(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-27
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】スクロール圧縮機
(51)【国際特許分類】
F04C 18/02 20060101AFI20220128BHJP
【FI】
F04C18/02 311F
(21)【出願番号】P 2018084536
(22)【出願日】2018-04-25
【審査請求日】2021-02-26
(73)【特許権者】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100210572
【氏名又は名称】長谷川 太一
(72)【発明者】
【氏名】小林 慶生
(72)【発明者】
【氏名】高須 洋悟
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 創
(72)【発明者】
【氏名】谷口 征大
(72)【発明者】
【氏名】高橋 一樹
【審査官】岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-219401(JP,A)
【文献】特開平08-284853(JP,A)
【文献】特開平08-319958(JP,A)
【文献】特開平07-253084(JP,A)
【文献】特開昭62-124324(JP,A)
【文献】実開平01-105701(JP,U)
【文献】特開昭63-088287(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 18/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を圧縮させるスクロール圧縮機であって、
第1の方向に延び、該第1の方向に対して直交する第2の方向において対向する一対の直線部、前記一対の直線部の一方の端を接続する第1の接続部、前記一対の直線部の他方の端を接続するとともに、前記第1の方向において前記第1の接続部と対向する第2の接続部を有するオルダムリング本体と、
前記第1の方向及び前記第2の方向に対して直交する前記オルダムリング本体の軸線の一方側に配置された前記一対の直線部の面にそれぞれ設けられており、前記オルダムリング本体の周方向に配置され、荷重を受ける第1の受圧面を有する第1のオルダムキーと、
前記軸線の他方側に配置された前記第1の接続部及び前記第2の接続部の面にそれぞれ設けられており、前記オルダムリング本体の周方向に配置され、荷重を受ける第2の受圧面を有する第2のオルダムキーと、
を
有するオルダムリングと、
前記オルダムリング本体の前記軸線が延びる方向に延び、回転する回転軸と、
前記回転軸に設けられ、前記第1のオルダムキーが挿入される溝が形成された端板を含む旋回スクロールと、
前記旋回スクロールと対向して配置され、該旋回スクロールとの間に流体を圧縮する圧縮室を形成するとともに、前記第2のオルダムキーが挿入される溝が形成された固定スクロールと、
前記オルダムリング、前記回転軸、前記旋回スクロール、及び前記固定スクロールを収容するハウジングと、
を備え、
前記第2の方向における前記一対の直線部間の第1の距離は、前記第1の方向における前記第1の接続部と前記第2の接続部との間の第2の距離よりも短く、
前記第1の受圧面の面積は、前記第2の受圧面の面積よりも大き
く、
前記第1のオルダムキーは、前記直線部の外面から外側に突出しないように配置されており、
前記第2のオルダムキーは、前記第1の接続部及び前記第2の接続部の外周面からそれぞれ突出するように配置されているスクロール圧縮機。
【請求項2】
前記軸線が延びる方向である軸線方向において、前記第1のオルダムキーの高さは、前記第2のオルダムキーの高さよりも高い請求項1記載の
スクロール圧縮機。
【請求項3】
前記第2の方向における前記第1のオルダムキーの長さは、前記第1の方向における前記第2のオルダムキーの長さよりも長い請求項1または2記載の
スクロール圧縮機。
【請求項4】
前記第1の方向における前記第1のオルダムキーの幅は、前記第2の方向における前記第2のオルダムキーの幅よりも広い請求項1から3のうち、いずれか一項記載の
スクロール圧縮機。
【請求項5】
前記第1の接続部及び前記第2の接続部の形状は、それぞれ円弧形状である請求項1から
4のうち、いずれか一項記載の
スクロール圧縮機。
【請求項6】
前記第1の方向に対して直交する面で前記直線部を切断することで形成される該直線部の切断面の面積は、前記第1の接続部が延びる方向に対して直交する面で第1の接続部を切断することで形成される前記第1の接続部の切断面の第1の面積、及び前記第2の接続部が延びる方向に対して直交する面で第2の接続部を切断することで形成される前記第2の接続部の切断面の第2の面積よりも大きい請求項
5記載の
スクロール圧縮機。
【請求項7】
前記第1の接続部及び前記第2の接続部は、前記一対の直線部の内面と接続され、前記軸線が延びる方向である軸線方向から見て半円形状とされた内周面と、前記一対の直線部の外面と接続され、前記軸線方向から見て半円形状とされた外周面と、を有し、
前記第1の接続部の内周面及び外周面の中心位置と前記第1の接続部と接続される前記一対の直線部の一方の端同士を結ぶ直線の中間位置とを一致させ、
前記第2の接続部の内周面及び外周面の中心位置と前記第2の接続部と接続される前記一対の直線部の他方の端同士を結ぶ直線の中間位置とを一致させる請求項
5または
6記載の
スクロール圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクロール圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
流体(冷媒)を圧縮するスクロール圧縮機は、空気調和装置や冷凍装置等に用いられている。スクロール圧縮機は、固定スクロールに対して旋回スクロールを公転するように旋回させて、固定スクロールと旋回スクロールとの間に形成された圧縮室の容量を減少させることで流体の圧縮を行う。
【0003】
スクロール圧縮機は、旋回スクロールの自転を抑制するためのオルダムリングを有する。
オルダムリングは、オルダムキーを有する。
【0004】
特許文献1には、オルダムリング及び旋回スクロールの小型化を図る観点から、長円形形状とされたオルダムリングが開示されている。
特許文献1に開示されたオルダムリングは、一対の直線部と、一対の直線部の一方の端を接続する第1の円弧部と、一対の直線部の他方の端を接続する第2の円弧部と、一対の直線部にそれぞれ設けられ、旋回スクロールの端板の溝に挿入される第1のオルダムキーと、第1及び第2の円弧部にそれぞれ設けられた第2のオルダムキーと、を有する。
【0005】
第1のオルダムキーは、オルダムリングの軸線方向一方側に配置されている。第1のオルダムキーは、オルダムリングの周方向に配置され、旋回スクロールからの荷重を受ける第1の受圧面を有する。
第2のオルダムキーは、オルダムリングの軸線方向他方側に配置されている。第2のオルダムキーは、オルダムリングの周方向に配置された第2の受圧面を有する。
オルダムリング及び旋回スクロールの小型化を図る観点から、一対の直線部間の距離は、第1の円弧部と第2の円弧部との距離よりも小さくなるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示されたオルダムリングは、上述したように、一対の直線部間の距離が第1の円弧部と第2の円弧部との距離よりも小さくなるように構成されているため、一対の第1のオルダムキー間の距離が一対の第2のオルダムリング間の距離よりも小さくなる。
これにより、第1のオルダムキーの第1の受圧面には、第2のオルダムキーの第2の受圧面が受ける荷重よりも大きな荷重(旋回荷重や圧縮荷重等)が作用し、第1のオルダムキーが損傷する可能性があった。
【0008】
そこで、本発明は、第1のオルダムキーが損傷することを抑制した上で、オルダムリング及び旋回スクロールの小型化及び軽量化を図ることの可能なスクロール圧縮機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の一態様に係るスクロール圧縮機は、流体を圧縮させるスクロール圧縮機であって、第1の方向に延び、該第1の方向に対して直交する第2の方向において対向する一対の直線部、前記一対の直線部の一方の端を接続する第1の接続部、前記一対の直線部の他方の端を接続するとともに、前記第1の方向において前記第1の接続部と対向する第2の接続部を有するオルダムリング本体と、前記第1の方向及び前記第2の方向に対して直交する前記オルダムリング本体の軸線の一方側に配置された前記一対の直線部の面にそれぞれ設けられており、前記オルダムリング本体の周方向に配置され、荷重を受ける第1の受圧面を有する第1のオルダムキーと、前記軸線の他方側に配置された前記第1の接続部及び前記第2の接続部の面にそれぞれ設けられており、前記オルダムリング本体の周方向に配置され、荷重を受ける第2の受圧面を有する第2のオルダムキーと、を有するオルダムリングと、前記オルダムリング本体の前記軸線が延びる方向に延び、回転する回転軸と、前記回転軸に設けられ、前記第1のオルダムキーが挿入される溝が形成された端板を含む旋回スクロールと、前記旋回スクロールと対向して配置され、該旋回スクロールとの間に流体を圧縮する圧縮室を形成するとともに、前記第2のオルダムキーが挿入される溝が形成された固定スクロールと、前記オルダムリング、前記回転軸、前記旋回スクロール、及び前記固定スクロールを収容するハウジングと、を備え、前記第2の方向における前記一対の直線部間の第1の距離は、前記第1の方向における前記第1の接続部と前記第2の接続部との間の第2の距離よりも短く、前記第1の受圧面の面積は、前記第2の受圧面の面積よりも大きく、前記第1のオルダムキーは、前記直線部の外面から外側に突出しないように配置されており、前記第2のオルダムキーは、前記第1の接続部及び前記第2の接続部の外周面からそれぞれ突出するように配置されている。
【0010】
本発明によれば、第2の方向における一対の直線部間の第1の距離を第1の方向における第1の接続部と第2の接続部との間の第2の距離よりも短くすることで、第2の方向におけるオルダムリング及び旋回スクロールのサイズを小さくすることが可能となる。これにより、オルダムリング及び旋回スクロールの小型化及び軽量化を図ることができる。
また、このように、直線部の外面から外側に突出しないように、第1のオルダムキーを配置させることで、第2の方向において、オルダムリングを大型化することを抑制できる。
このように、上述したオルダムリングを備えることで、小型化されたオルダムリング及
び旋回スクロールからなる構造体とハウジングの内面との間に形成される隙間を大きくす
ることが可能となるので、回転軸が延びる方向において流体を移動させやすくすることが
できる。
【0011】
また、オルダムリング本体の軸線からの距離が第2のオルダムキーよりも短い第1のオルダムキーの第1の受圧面の面積を第2のオルダムキーの第2の受圧面の面積よりも大きくすることで、第2の受圧面が受ける荷重よりも大きな荷重を受ける第1の受圧面の面圧を低減させて、第1のオルダムキーが損傷することを抑制できる。
つまり、本発明によれば、第1のオルダムキーが損傷することを抑制した上で、オルダムリング及び旋回スクロールの小型化及び軽量化を図ることができる。
【0012】
また、上記本発明の一態様に係るオルダムリングにおいて、前記軸線が延びる方向である軸線方向において、前記第1のオルダムキーの高さは、前記第2のオルダムキーの高さよりも高くてもよい。
【0013】
このように、軸線方向における第1のオルダムキーの高さを第2のオルダムキーの高さよりも高くすることで、第2の方向において、オルダムリングを大型化させることなく、第1の受圧面の面積を第2の受圧面の面積よりも大きくすることができる。
【0014】
また、上記本発明の一態様に係るオルダムリングにおいて、前記第2の方向における前記第1のオルダムキーの長さは、前記第1の方向における前記第2のオルダムキーの長さよりも長くてもよい。
【0015】
このように、第2の方向における第1のオルダムキーの長さを、第1の方向における第2のオルダムキーの長さよりも長くすることで第1の受圧面の面積を第2の受圧面の面積よりも大きくすることができる。
【0016】
また、上記本発明の一態様に係るオルダムリングにおいて、前記第1の方向における前記第1のオルダムキーの幅は、前記第2の方向における前記第2のオルダムキーの幅よりも広くてもよい。
【0017】
このように、第1の方向における第1のオルダムキーの幅を、第2の方向における第2のオルダムキーの幅よりも広くすることで、オルダムキー本体と第1のオルダムキーとの間の接続強度を高めることが可能となる。これにより、第1のオルダムキーが損傷することを抑制できる。
【0020】
また、上記本発明の一態様に係るオルダムリングにおいて、前前記第1の接続部及び前記第2の接続部の形状は、それぞれ円弧形状であってもよい。
【0021】
このように、第1の接続部及び第2の接続部の形状をそれぞれ円弧形状とすることで、第1の接続部及び第2の接続部を直線形状とした場合と比較して、第1の接続部及び第2の接続部が受ける応力を小さくすることができる。
【0022】
また、上記本発明の一態様に係るオルダムリングにおいて、前記第1の方向に対して直交する面で前記直線部を切断することで形成される該直線部の切断面の面積は、前記第1の接続部が延びる方向に対して直交する面で第1の接続部を切断することで形成される前記第1の接続部の切断面の第1の面積、及び前記第2の接続部が延びる方向に対して直交する面で第2の接続部を切断することで形成される前記第2の接続部の切断面の第2の面積よりも大きくてもよい。
【0023】
直線部には、円弧形状とされた第1の接続部及び第2の接続部よりも大きな応力を受けやすい。
そこで、直線部の断面積を、第1の接続部の第1の断面積、及び第2の接続部の第2の断面積よりも大きくすることで、直線部の強度が向上し、直線部の損傷を抑制することができる。
【0024】
また、上記本発明の一態様に係るオルダムリングにおいて、前記第1の接続部及び前記第2の接続部は、前記一対の直線部の内面と接続され、前記軸線が延びる方向である軸線方向から見て半円形状とされた内周面と、前記一対の直線部の外面と接続され、前記軸線方向から見て半円形状とされた外周面と、を有し、前記第1の接続部の内周面及び外周面の中心位置と前記第1の接続部と接続される前記一対の直線部の一方の端同士を結ぶ直線の中間位置とを一致させ、前記第2の接続部の内周面及び外周面の中心位置と前記第2の接続部と接続される前記一対の直線部の他方の端同士を結ぶ直線の中間位置とを一致させてもよい。
【0025】
このように、第1の接続部の内周面及び外周面の中心位置と第1の接続部と接続される一対の直線部の一方の端同士を結ぶ直線の中間位置とを一致させることで、一対の直線部の内面と第1の接続部の内周面とを滑らかな面で接続することが可能になるとともに、一対の直線部の外面と第1の接続部の外周面とを滑らかな面で接続することが可能になる。
これにより、一対の直線部の内面と第1の接続部の内周面との境界部分、及び一対の直線部の外面と第1の接続部の外周面との境界部分に応力が集中することを抑制できる。
【0026】
また、第2の接続部の内周面及び外周面の中心位置と第2の接続部と接続される一対の直線部の他方の端同士を結ぶ直線の中間位置とを一致させることで、一対の接続部の内面と第2の接続部の内周面とを滑らかな面で接続することが可能になるとともに、一対の接続部の外面と第2の接続部の外周面とを滑らかな面で接続することが可能になる。
これにより、一対の接続部の内面と第2の接続部の内周面との境界部分、及び一対の接続部の外面と第2の接続部の外周面との境界部分に応力が集中することを抑制できる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、第1のオルダムキーが損傷することを抑制した上で、オルダムリング及び旋回スクロールの小型化及び軽量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係るスクロール圧縮機の概略構成を示す断面図である。
【
図2】
図1に示す旋回スクロールを回転軸側から視た平面図である。
【
図3】
図1に示すオルダムリングを旋回スクロール側から視た平面図である。
【
図4】
図3に示すオルダムリングをA視した側面図である。
【
図5】
図1に示すオルダムリングを回転軸側から視た平面図である。
【
図6】
図3に示す一方の直線部のA
1-A
2線方向の断面図(一方の直線部が延びる方向に対して直交する面で一方の直線部を切断した際の断面図)である。
【
図7】
図3に示す他方の直線部のB
1-B
2線方向の断面図(他方の直線部が延びる方向に対して直交する面で他方の直線部を切断した際の断面図)である。
【
図8】
図3に示す第1の接続部のE
1-E
2線方向の断面図(第1の接続部が延びる方向に対して直交する面で第1の接続部を切断した際の断面図)である。
【
図9】
図3に示す第2の接続部のF
1-F
2線方向の断面図(第2の接続部が延びる方向に対して直交する面で第2の接続部を切断した際の断面図)である。
【
図10】
図1に示すオルダムリング及び旋回スクロールを回転軸側から視た平面図である。
【
図11】本発明の第2の実施形態に係るオルダムリングを旋回スクロール側から視た平面図である。
【
図13】本発明の第3の実施形態に係るオルダムリングを旋回スクロール側から視た平面図である。
【
図14】本発明の第4の実施形態に係るオルダムリングを旋回スクロール側から視た平面図である。
【
図15】
図14に示すオルダムリングをC視した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
(第1の実施形態)
図1を参照して、第1の実施形態のスクロール圧縮機10について説明する。
図1において、Oは回転軸本体35の軸線(以下、「軸線O」という)、O
1は偏心軸36の偏心軸線(以下、「偏心軸線O
1」という)、X方向は第1の方向、Z方向はスクロール圧縮機10の高さ方向をそれぞれ示している。
【0036】
スクロール圧縮機10は、ハウジング11と、吸入配管13と、吐出配管15と、メイン軸受17と、サブ軸受19と、回転軸21と、給油ポンプ22と、駆動部23と、スクロール圧縮機本体24と、ブッシュアセンブリ25と、オルダムリング27と、を有する。
【0037】
ハウジング11は、密閉構造とされており、その内部に中空部を有する。ハウジング11は、筒状部31と、底部32と、蓋部33と、を有する。
筒状部31は、円筒形状とされた部材であり、Z方向に延びている。筒状部31の上端及び下端は、開放端とされている。
底部32は、筒状部31の下端を塞ぐように設けられている。蓋部33は、筒状部31の上端を塞ぐように設けられている。
【0038】
ハウジング11は、メイン軸受17、サブ軸受19、回転軸21、給油ポンプ22、駆動部23、スクロール圧縮機本体24、ブッシュアセンブリ25、及びオルダムリング27を収容している。
ハウジング11の内部は、スクロール圧縮機本体24により、スクロール圧縮機本体24の下方に配置された吸入室11Aと、スクロール圧縮機本体24の上方に配置された吐出室11Bと、に区画されている。
【0039】
吸入配管13は、筒状部31の中部に設けられている。吸入配管13は、ハウジング11内に形成された吸入室11Aと連通されている。吸入配管13は、ハウジング11の外部から吸入室11Aに流体(例えば、作動流体である冷媒ガス)を導入させる。
【0040】
吐出配管15は、蓋部33に設けられている。吐出配管15は、吐出室11Bに連通している。スクロール圧縮機10を業務用マルチエアコンの室外機として用いる場合、吐出配管15は、例えば、使用先である複数の室内機(図示せず)と接続される。
吐出配管15には、スクロール圧縮機本体24により圧縮された流体(以下、「高圧流体」という)が排出される。そして、排出された高圧流体は、使用先に供給される。
【0041】
メイン軸受17は、ハウジング11の内壁に固定されている。メイン軸受17は、吸入配管13とハウジング11との接続位置とスクロール圧縮機本体24との間に配置されている。
メイン軸受17は、軸線O方向に延在する回転軸本体35の一方の端部35Aを回転可能な状態で支持している。
【0042】
回転軸21は、回転軸本体35と、偏心軸36と、を有する。回転軸本体35は、円柱形状とされている。回転軸本体35は、スクロール圧縮機本体24側に配置された一方の端部35Aと、底部32側に配置された他方の端部35Bと、を有する。
回転軸本体35は、メイン軸受17及びサブ軸受19により軸線O周りに回転可能な状態で支持されている。
【0043】
偏心軸36は、回転軸本体35の一方の端部35Aの端に設けられている。偏心軸36は、軸線Oに対してオフセット(偏心)された偏心軸線O1を中心軸としている。偏心軸36は、回転軸本体35の外径よりも小さい円柱状の軸である。
このような構成とされた偏心軸36は、軸線O回りに回転軸本体35が回転すると、軸線O1回りに公転する。
【0044】
給油ポンプ22は、サブ軸受19の下方に設けられている。給油ポンプ22は、メイン軸受17及びサブ軸受19を構成する軸受本体に潤滑油を供給する。
【0045】
駆動部23は、ハウジング11内に収容されている。駆動部23は、回転軸本体35の中央部の外周面を囲むように配置されている。駆動部23は、回転軸本体35を回転させる。
【0046】
スクロール圧縮機本体24は、メイン軸受17と吐出室11Bとの間に設けられている。スクロール圧縮機本体24は、固定スクロール41と、旋回スクロール42と、を有する。
【0047】
固定スクロール41は、旋回スクロール42と吐出室11Bとの間に配置されている。固定スクロール41は、端板45と、固定ラップ46と、を有する。
【0048】
端板45は、円盤状の板材であり、ハウジング11の内壁に固定されている。端板45は、固定スクロール41の下方に配置された旋回スクロール42と対向している。
端板45は、吐出口45Aを有する。吐出口45Aは、端板45の中央を貫通するように形成された穴であり、Z方向に延在している。吐出口45Aは、スクロール圧縮機本体24による圧縮が完了した高圧流体を吐出室11Bに吐出させる。
【0049】
固定ラップ46は、旋回スクロール42と対向する端板45の面(下面)に設けられている。固定ラップ46は、Z方向に立設されている。固定ラップ46は、Z方向から見て渦巻き状に形成された壁体である。固定ラップ46としては、例えば、端板45の中心回りに巻回された板状の部材を用いることが可能である。
【0050】
次に、
図1及び
図2を参照して、旋回スクロール42について説明する。
図2において、Y方向は第2の方向であり、X方向及び
図1に示すZ方向に対して直交する方向である。
【0051】
旋回スクロール42は、固定スクロール41とメイン軸受17との間に配置されている。旋回スクロール42は、端板48と、旋回ラップ49と、ボス部51と、溝53と、を有する。
【0052】
端板48は、円盤状の板材であり、Z方向において端板45と対向している。
旋回ラップ49は、端板45と対向する端板48の面に設けられている。旋回ラップ49は、Z方向に立設されている。旋回ラップ49は、Z方向から見て渦巻き状に形成された壁体である。旋回ラップ49としては、例えば、端板48の中心回りに巻回された板状の部材を用いることが可能である。
【0053】
上記構成とされた旋回ラップ49は、先に説明した固定ラップ46と噛み合うように配置されている。これにより、旋回ラップ49と固定ラップ46との間には、流体を圧縮する空間である圧縮室24Aが区画される。旋回ラップ49が固定スクロール41に対して旋回することで、圧縮室24Aの容積が変化する。これにより、圧縮室24A内の流体(冷媒)が圧縮される。
【0054】
ボス部51は、回転軸21と対向する端板48の面48aの中央部に設けられている。ボス部51は、円筒形状の部材であり、サブ軸受19に向かう方向に突出している。ボス部51は、偏心軸36の外周を囲むように配置されている。
なお、ボス部51の内周面には、軸受が設けられている。該軸受には、給油ポンプ22から潤滑油が供給される。
【0055】
溝53は、端板48の面48a側に2つ形成されている。2つの溝53は、平面視した状態でボス部51を挟んで対向している。2つの溝53は、端板48の外周まで延びている。
【0056】
図1を参照するに、ブッシュアセンブリ25は、旋回スクロール42と回転軸21との間に設けられている。ブッシュアセンブリ25は、旋回スクロール42と回転軸21とを連結している。ブッシュアセンブリ25は、偏心軸36とボス部51との間に設けられたブッシュ25Aを有する。
【0057】
次に、
図1~
図10を参照して、オルダムリング27について説明する。
図3において、C
1は直線部64の一方の端64Aと直線部65の一方の端65Aとを結ぶ直線の中間位置(以下、「中間位置C
1」という)、C
2は半円形状とされた第1の接続部67の内周面67c及び外周面67dの中心位置(以下、「中心位置C
2」という)、C
3は直線部64の他方の端64Bと直線部65の他方の端65Bとを結ぶ直線の中間位置(以下、「中間位置C
3」という)、C
4は半円形状とされた第2の接続部68の内周面68c及び外周面68dの中心位置(以下、「中心位置C
4」という)をそれぞれ示している。
【0058】
また、
図3において、L
1はY方向における第1のオルダムキー57の長さ(以下、「長さL
1」という)、L
2はY方向における第1のオルダムキー58の長さ(以下、「長さL
2」という)、L
3はX方向における第2のオルダムキー61の長さ(以下、「長さL
3」という)、L
4はX方向における第2のオルダムキー62の長さ(以下、「長さL
4」という)をそれぞれ示している。
【0059】
また、
図3において、O
2はオルダムリング本体55の軸線(以下、「軸線O
2」という)、G
1は直線部64が延びる方向における直線部64の幅(以下、「幅G
1」という)、G
2は直線部65が延びる方向における直線部65の幅(以下、「幅G
2」という)、G
3は第1の接続部67が延びる方向における第1の接続部67の幅(以下、「幅G
3」という)、G
4は第2の接続部68が延びる方向における第2の接続部68の幅(以下、「幅G
4」という)をそれぞれ示している。
【0060】
さらに、
図3において、W
1はX方向における第1のオルダムキー57の幅(以下、「幅W
1」という)、W
2はX方向における第1のオルダムキー58の幅(以下、「幅W
2」という)、W
3はY方向における第2のオルダムキー61の幅(以下、「幅W
3」という)、W
4はY方向における第2のオルダムキー62の幅(以下、「幅W
4」という)をそれぞれ示している。
【0061】
図4では、第1のオルダムキー58に隠れた第1のオルダムキー57を点線で図示する。また、
図4において、H
1は軸線O
2方向(Z方向)における第1のオルダムキー57の高さ(以下、「高さH
1」という)、H
2は軸線O
2方向(Z方向)における第1のオルダムキー58の高さ(以下、「高さH
2」という)、H
3は軸線O
2方向(Z方向)における第2のオルダムキー61の高さ(以下、「高さH
3」という)、H
4は軸線O
2方向(Z方向)における第2のオルダムキー62の高さ(以下、「高さH
4」という)をそれぞれ示している。
図3において、
図1に示す構造体と同一構成部分には、同一符号を付す。
図3~
図9において、同一構成部分には、同一符号を付す。
図10において、
図2及び
図3に示す構造体と同一構成部分には、同一符号を付す。
【0062】
オルダムリング27は、旋回スクロール42の自転(偏心軸線O1回りの回転)を抑制するための部材であり、旋回スクロール42とメイン軸受17との間に設けられている。
オルダムリング27は、オルダムリング本体55と、第1のオルダムキー57,58と、第2のオルダムキー61,62と、を有する。
【0063】
オルダムリング本体55は、一対の直線部である直線部64,65と、第1の接続部67と、第2の接続部68と、を有する。
直線部64,65は、それぞれX方向(第1の方向)に延びている。直線部64,65は、Y方向(第2の方向)において互いに離れた状態で対向配置されている。
【0064】
直線部64は、X方向に配置された一方の端64A、及び他方の端64Bと、面64a,64bと、内面64cと、外面64dと、を有する。
面64aは、軸線O2の一方側に配置された面であり、Z方向において一部が旋回スクロール42と対向している。面64bは、軸線O2の他方側に配置された面であり、面64aの反対側に配置されている。
内面64cは、Y方向において直線部65と対向する面である。外面64dは、内面64cの反対側に配置された面である。
【0065】
X方向に対して直交する面(仮想面)で直線部64を切断することで形成される直線部64の切断面64eは、矩形とされている。Y方向における直線部64の幅は、幅G1とされている。また、Z方向における直線部64の厚さは、厚さM1とされている。
【0066】
直線部65は、X方向に配置された一方の端65A、及び他方の端65Bと、面65a,65bと、内面65cと、外面65dと、を有する。
面65aは、軸線O2の一方側に配置された面であり、Z方向において一部が旋回スクロール42と対向している。面65bは、軸線O2の他方側に配置された面であり、面65aの反対側に配置されている。
内面65cは、Y方向において直線部64と対向する面である。外面65dは、内面65cの反対側に配置された面である。
【0067】
X方向に対して直交する面(仮想面)で直線部65を切断することで形成される直線部65の切断面65eは、矩形とされている。Y方向における直線部65の幅G2は、直線部64の幅G1と等しくなるように構成されている。
また、Z方向における直線部65の厚さM2は、直線部64の厚さM1と等しくなるように構成されている。
【0068】
第1の接続部67は、直線部64の一方の端64Aと直線部65の一方の端65Aとを接続している。第1の接続部67は、円弧形状とされた部材である。
このように、第1の接続部67を円弧形状とすることで、第1の接続部67を直線形状とした場合と比較して、第1の接続部67が受ける応力を小さくすることができる。
【0069】
第1の接続部67は、面67a,67bと、内周面67cと、外周面67dと、を有する。
面67aは、軸線O2の一方側に配置された面である。面67bは、軸線O2の他方側に配置された面であり、面67aの反対側に配置されている。
【0070】
内周面67cは、直線部64,65の内面64c,65cと接続された面である。内周面67cは、軸線O2方向から見て半円形状とされている。
外周面67dは、直線部64,65の外面64d,65dと接続された面である。外周面67dは、軸線O2方向から見て半円形状とされている。
第1の接続部67の内周面67c及び外周面67dの中心位置C2は、直線部64の一方の端64Aと直線部65の一方の端65Aとを結ぶ直線の中間位置C1と一致するように構成されている。
【0071】
このように、第1の接続部67の内周面67c及び外周面67dの中心位置C2と一方の端64A,65A同士を結ぶ直線の中間位置C1とを一致させることで、一対の直線部64,65の内面64c,65cと第1の接続部67の内周面67cとを滑らかな面で接続することが可能になるとともに、一対の直線部64,65の外面64d,65dと第1の接続部67の外周面67dとを滑らかな面で接続することが可能になる。
これにより、一対の直線部64,65の内面64c,65cと第1の接続部67の内周面67cとの境界部分、及び一対の直線部64,65の外面64d,65dと第1の接続部67の外周面67dとの境界部分に応力が集中することを抑制できる。
【0072】
第1の接続部67が延びる方向に対して直交する面(仮想面)で第1の接続部67を切断することで形成される第1の接続部67の切断面67eは、矩形とされている。
第1の接続部67が延びる方向に対して直交する直線部64の幅G3は、直線部64,65の幅G1,G2と等しくなるように構成されている。
また、Z方向における第1の接続部67の厚さM3は、直線部64,65の厚さM1,M2と等しくなるように構成されている。
【0073】
第2の接続部68は、直線部64の他方の端64Bと直線部65の他方の端65Bとを接続している。第2の接続部68は、円弧形状とされた部材である。
このように、第2の接続部68を円弧形状とすることで、第2の接続部68を直線形状とした場合と比較して、第2の接続部68が受ける応力を小さくすることができる。
【0074】
第2の接続部68は、面68a,68bと、内周面68cと、外周面68dと、を有する。
面68aは、軸線O2の一方側に配置された面である。面68bは、軸線O2の他方側に配置された面であり、面68aの反対側に配置されている。
【0075】
内周面68cは、直線部64,65の内面64c,65cと接続された面である。内周面68cは、軸線O2方向から見て半円形状とされている。
外周面68dは、直線部64,65の外面64d,65dと接続された面である。外周面68dは、軸線O2方向から見て半円形状とされている。
第2の接続部68の内周面68c及び外周面68dの中心位置C4は、直線部64の他方の端64Bと直線部65の他方の端65Bとを結ぶ直線の中間位置C3と一致するように構成されている。
【0076】
このように、第2の接続部68の内周面68c及び外周面68dの中心位置C4と他方の端64B,65B同士を結ぶ直線の中間位置C3とを一致させることで、一対の直線部64,65の内面64c,65cと第2の接続部68の内周面68cとを滑らかな面で接続することが可能になるとともに、一対の直線部64,65の外面64d,65dと第2の接続部68の外周面68dとを滑らかな面で接続することが可能になる。
【0077】
これにより、一対の直線部64,65の内面64c,65cと第2の接続部68の内周面68cとの境界部分、及び一対の直線部64,65の外面64d,65dと第2の接続部68の外周面68dとの境界部分に応力が集中することを抑制できる。
【0078】
第2の接続部68が延びる方向に対して直交する面(仮想面)で第2の接続部68を切断することで形成される第2の接続部68の切断面68eは、矩形とされている。
第2の接続部68が延びる方向に対して直交する直線部64の幅G4は、直線部64,65の幅G1,G2及び第1の接続部67の幅G3と等しくなるように構成されている。
また、Z方向における第2の接続部68の厚さM4は、直線部64,65の厚さM1,M2及び第1の接続部67の厚さM3等しくなるように構成されている。
【0079】
したがって、第1の実施形態では、直線部64,65の切断面64e,65eの面積、第1の接続部67の切断面67eの第1の面積、及び第2の接続部68の切断面68eの第2の面積が等しくなるように構成されている。
【0080】
第1のオルダムキー57は、直線部64の中央部に位置する面64aに設けられている。第1のオルダムキー57は、旋回スクロール42の2つの溝53のうち、一方の溝53に挿入されている。
第1のオルダムキー57は、オルダムリング本体55の周方向に配置され、荷重を受ける第1の受圧面57aを有する。
第1のオルダムキー57は、直線部64の外面64dの外側に突出している。Y方向における第1のオルダムキー57の長さL1は、直線部64の幅G1よりも大きくなるように構成されている。
【0081】
第1のオルダムキー58は、直線部65の中央部に位置する面65aに設けられている。第1のオルダムキー58は、Y方向において第1のオルダムキー57と対向している。第1のオルダムキー58は、旋回スクロール42の2つの溝53のうち、他方の溝53に挿入される。
第1のオルダムキー58は、オルダムリング本体55の周方向に配置され、荷重を受ける第1の受圧面58aを有する。
【0082】
第1のオルダムキー58は、直線部65の外面65dの外側に突出している。Y方向における第1のオルダムキー58の長さL2は、直線部65の幅G2よりも大きくなるように構成されている。
X方向における第1のオルダムキー58の幅W2は、第1のオルダムキー57の幅W1と等しくなるように構成されている。また、第1のオルダムキー58の高さH2は、第1のオルダムキー57の高さH1と等しくなるように構成されている。
第1のオルダムキー57,58の長さL1,L2は、第2のオルダムキー61,62の長さL3,L4よりも長くなるように構成されている。
【0083】
第2のオルダムキー61は、第1の接続部67の中央部に位置する面67aに設けられている。第2のオルダムキー61は、固定スクロール41に形成された溝(図示せず)に挿入される。
第2のオルダムキー61は、オルダムリング本体55の周方向に配置され、荷重を受ける第2の受圧面61aを有する。
【0084】
第2のオルダムキー61は、X方向において第1の接続部67の外周面67dの外側に突出している。X方向における第2のオルダムキー61の長さL3は、第1の接続部67の幅G3よりも大きくなるように構成されている。
Y方向における第2のオルダムキー61の幅W3は、第1のオルダムキー57,58の幅W1,W2と等しくなるように構成されている。また、第2のオルダムキー61の高さH3は、第1のオルダムキー57,58の高さH1,H2と等しくなるように構成されている。
【0085】
第2のオルダムキー62は、第2の接続部68の中央部に位置する面68aに設けられている。第2のオルダムキー62は、X方向において、第2のオルダムキー61と対向している。
第2のオルダムキー62は、固定スクロール41に形成された溝(図示せず)に挿入される。第2のオルダムキー62は、オルダムリング本体55の周方向に配置され、荷重を受ける第2の受圧面62aを有する。
【0086】
第2のオルダムキー62は、第2の接続部68の外周面68dの外側に突出している。Y方向における第2のオルダムキー62の長さL4は、第2の接続部68の幅G4よりも大きくなるように構成されている。
Y方向における第2のオルダムキー62の幅W4は、第1のオルダムキー57,58の幅W1,W2、及び第2のオルダムキー61の幅W3と等しくなるように構成されている。
また、第2のオルダムキー62の高さH4は、第1のオルダムキー57,58の高さH1,H2、及び第2のオルダムキー62の高さH3と等しくなるように構成されている。
つまり、第1及び第2のオルダムキー57,58,61,62は、長さが異なり、幅及び高さが等しいオルダムキーである。
【0087】
第1の実施形態のオルダムリング27では、Y方向における一対の直線部64,65間の第1の距離D1は、X方向における第1の接続部67と第2の接続部68との第2の距離D2よりも短くなるように構成されている。
【0088】
このように、Y方向における一対の直線部64,65間の第1の距離D1を、X方向における第1の接続部67と第2の接続部68との第2の距離D2よりも短くすることで、Y方向におけるオルダムリング27及び旋回スクロール42のサイズを小さくすることが可能となる。これにより、オルダムリング27及び旋回スクロール42の小型化及び軽量化を図ることができる。
【0089】
一方、第1の距離D1を第2の距離D2よりも短くすると、第1の受圧面57a,58aは、第2の受圧面61a,62aが受ける荷重よりも大きな荷重を受けることになる。
しかしながら、上述したように、第1のオルダムキー57,58の長さL1,L2は、第2のオルダムキー61,62の長さL3,L4よりも長くなるように構成されている。
【0090】
このように、第1のオルダムキー57,58の長さL1,L2を第2のオルダムキー61,62の長さL3,L4よりも長くすることで、第2の受圧面61a,62aの面積よりも第1の受圧面57a,58aの面積を大きくすることが可能となる。
これにより、第2の受圧面61a,62aが受ける荷重よりも大きな荷重を受ける第1の受圧面57a,58aの面圧(荷重に起因する面圧)を低減させて、第1のオルダムキー57の損傷を抑制することができる。
【0091】
第1の実施形態のオルダムリング27によれば、上述したように、第1のオルダムキー57,58が配置された一対の直線部64,65間の第1の距離D1を、第2のオルダムキー61が配置された第1の接続部67と第2のオルダムキー62が配置された第2の接続部68との第2の距離D2よりも短くなるように構成することで、オルダムリング27及び旋回スクロール42の小型化及び軽量化を図ることができる。
【0092】
また、第1のオルダムキー57,58の長さL1,L2を第2のオルダムキー61,62の長さL3,L4よりも長くすることで、第2のオルダムキー61,62の第2の受圧面61a,62aの面積よりも第1のオルダムキー57,58の第1の受圧面57a,58aの面積を大きくすることが可能となる。
これにより、荷重に起因して第1の受圧面57a,58aが受ける面圧を低減することが可能となるので、第1のオルダムキー57,58の損傷を抑制することができる。
【0093】
また、上記オルダムリング27を備えたスクロール圧縮機10によれば、小型化されたオルダムリング27及び旋回スクロール42を有することで、オルダムリング27及び旋回スクロール42とハウジング11の内面との間に形成される隙間を大きくすることが可能となる。これにより、回転軸21が延びるZ方向において流体を移動させやすくすることができる。
【0094】
なお、第1の実施形態では、一例として、直線部64,65の厚さM1,M2と第1及び第2の接続部67,68の厚さM3,M4とが等しく、かつ直線部64,65の幅G1,G2と第1及び第2の接続部67,68の幅G3,G4とが等しい場合を例に挙げて説明したが、例えば、直線部64,65の厚さM1,M2の厚さを第1及び第2の接続部67,68の厚さM3,M4よりも厚くしたり、直線部64,65の幅G1,G2を第1及び第2の接続部67,68の幅G3,G4よりも広くしたりすることで、直線部64,65の切断面64e,65eの断面積を第1の接続部67の切断面67eの第1の断面積、及び第2の接続部68の切断面68eの第2の断面積よりも大きくしてもよい。
【0095】
このように、直線部64,65の切断面64e,65eの断面積を第1の接続部67の切断面67eの第1の断面積、及び第2の接続部68の切断面68eの第2の断面積よりも大きくすることで、直線部64,65の強度が向上し、直線部64,65の損傷を抑制することができる。
【0096】
(第2の実施形態)
図11及び
図12を参照して、第2の実施形態のオルダムリング75について説明する。
図11において、L
5はY方向における第1のオルダムキー76の長さ(以下、「長さL
1」という)、L
6はY方向における第1のオルダムキー77の長さ(以下、「長さL
2」という)をそれぞれ示している。
図11において、
図3に示す構造体と同一構成部分には同一符号を付す。
図12において、H
5は軸線O
2方向(Z方向)における第1のオルダムキー76の高さ(以下、「高さH
5」という)、H
6は軸線O
2方向(Z方向)における第1のオルダムキー77の高さ(以下、「高さH
6」という)をそれぞれ示している。
図12において、
図4及び
図11に示す構造体と同一構成部分には、同一符号を付す。
【0097】
オルダムリング75は、第1の実施形態のオルダムリング27を構成する第1のオルダムキー57,58に替えて、第1のオルダムキー76,77を有すること以外はオルダムリング27と同様に構成されている。
【0098】
第1のオルダムキー76は、第1のオルダムキー57の長さL1よりも短い長さL5とされ、かつ第1のオルダムキー57の高さH1よりも高い高さH5とされたこと以外は、第1のオルダムキー57と同様に構成されている。
第1のオルダムキー76の長さL5は、例えば、第2のオルダムキー61,62の長さL3,L4と同じ長さにすることが可能である。
第1のオルダムキー76は、オルダムリング本体55の周方向に配置され、第2の受圧面61a,62aよりも面積の大きい第1の受圧面76aを有する。
【0099】
第1のオルダムキー77は、第1のオルダムキー58の長さL2よりも短い長さL6とされ、かつ第1のオルダムキー58の高さH2よりも高い高さH6とされたこと以外は、第1のオルダムキー58と同様に構成されている。
第1のオルダムキー77の長さL6は、例えば、第2のオルダムキー61,62の長さL3,L4、及び第1のオルダムキー76の長さL5と同じ長さにすることが可能である。
第1のオルダムキー77は、オルダムリング本体55の周方向に配置され、第2の受圧面61a,62aよりも面積の大きい第1の受圧面77aを有する。
【0100】
第2の実施形態のオルダムリング75によれば、第1のオルダムキー76,77の長さL5,L6を第2のオルダムキー61,62の長さL3,L4よりも長くすることなく、第1のオルダムキー76,77の高さH5,H6を第2のオルダムキー61,62の高さH3,H4よりも高くすることで、Y方向にオルダムリング75を大型化させることなく、第1の受圧面76a,77aの面積を第2の受圧面61a,62aの面積よりも大きくして、荷重に起因する第1の受圧面76a,77aが受ける面圧を低減することが可能となる。
これにより、第1のオルダムキー76,77の損傷を抑制した上で、オルダムリング75及び旋回スクロールの小型化及び軽量化を図ることができる。
【0101】
(第3の実施形態)
図13を参照して、第3の実施形態のオルダムリング80について説明する。
図13において、W
5はX方向における第1のオルダムキー81の幅(以下、「幅W
5」という)、W
6はX方向における第1のオルダムキー82の長さ(以下、「幅W
6」という)をそれぞれ示している。
図13において、
図11に示す構造体と同一構成部分には同一符号を付す。
【0102】
オルダムリング80は、第2の実施形態のオルダムリング75を構成する第1のオルダムキー76,77に替えて、第1のオルダムキー81,82を有すること以外はオルダムリング27と同様に構成されている。
【0103】
第1のオルダムキー81は、第1のオルダムキー76の幅W1より広い幅W5を有すること以外は、第1のオルダムキー76と同様な構成とされている。
第1のオルダムキー81は、オルダムリング本体55の周方向に配置され、第2の受圧面61a,62aよりも面積の大きい第1の受圧面81aを有する。
【0104】
第1のオルダムキー82は、第1のオルダムキー77の幅W2よりも広い幅W6を有すること以外は、第1のオルダムキー77と同様な構成とされている。
第1のオルダムキー82は、オルダムリング本体55の周方向に配置され、第2の受圧面61a,62aよりも面積の大きい第1の受圧面82aを有する。
【0105】
第3の実施形態のオルダムリング80によれば、第2のオルダムキー61,62の長さL3,L4よりも第1のオルダムキー81,82の長さL5,L6を長くすることなく、第1のオルダムキー81,82の幅W5,W6を第2のオルダムキー61,62の幅W3,W4よりも広くすることで、Y方向にオルダムリング80を大型化させることなく、オルダムリング本体55と第1のオルダムキー81,82との間の接続強度を高めることが可能となる。これにより、第1のオルダムキー81,82が損傷することを抑制できる。
【0106】
(第4の実施形態)
図14及び
図15を参照して、第4の実施形態のオルダムリング85について説明する。
図14において、L
7はY方向における第1のオルダムキー86の長さ(以下、「長さL
7」という)、L
8はY方向における第1のオルダムキー87の長さ(以下、「長さL
7」という)をそれぞれ示している。
図13において、
図3に示す構造体と同一構成部分には同一符号を付す。
図15において、H
7は軸線O
2方向における第1のオルダムキー86の高さ(以下、「高さH
7」という)、H
8は軸線O
2方向における第1のオルダムキー87の高さ(以下、「高さH
8」という)をそれぞれ示している。
図15において、
図4及び
図14に示す構造体と同一構成部分には同一符号を付す。
【0107】
オルダムリング85は、第1の実施形態のオルダムリング27を構成する第1のオルダムキー57,58に替えて、第1のオルダムキー86,87を有すること以外はオルダムリング27と同様に構成されている。
【0108】
第1のオルダムキー86は、直線部64の外面64dの外側に突出しないように、Y方向の長さL7が直線部64の幅G1と同じ大きさとされ、かつ高さH7が第1のオルダムキー57の高さH1、及び第2のオルダムキー61,62の高さH3,H4よりも高くなるように構成されていること以外は、第1のオルダムキー57と同様な構成とされている。
第1のオルダムキー86は、オルダムリング本体55の周方向に配置された第1の受圧面86aを有する。
【0109】
第1のオルダムキー87は、直線部65の外面65dの外側に突出しないように、Y方向の長さL8が直線部65の幅G2と同じ大きさとされ、かつ高さH8が第1のオルダムキー58の高さH2、及び第2のオルダムキー61,62の高さH3,H4よりも高くなるように構成されていること以外は、第1のオルダムキー58と同様な構成とされている。
第1のオルダムキー87は、オルダムリング本体55の周方向に配置された第1の受圧面87aを有する。
【0110】
第4の実施形態のオルダムリング85によれば、直線部64,65の外面64d,65dの外側に第1のオルダムキー86,87が突出しないように、第1のオルダムキー86,87の長さL7,L8を直線部64,65の幅G1,G2と同じ大きさにするとともに、第1のオルダムキー86,87の高さH1,H2を第2のオルダムキー61,62の高さH3,H4よりも高くすることで、Y方向にオルダムリング85を大型化させることなく、第1の受圧面86a,87aの面積を第2の受圧面61a,62aの面積よりも大きくして、荷重に起因する第1の受圧面81a,82aが受ける面圧を低減することが可能となる。
これにより、第1のオルダムキー86,87の損傷を抑制した上で、オルダムリング85及び旋回スクロールの小型化及び軽量化を図ることができる。
【0111】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0112】
第1の実施形態では、第1のオルダムキー57,58の長さL1,L2の長さを第2のオルダムキー61,62の長さL3,L4を長くすることで、第2の受圧面61a,62aの面積よりも第1の受圧面57a,58aの面積を大きくし、第2の実施形態では、第1のオルダムキー76,77の高さH5,H6を第2のオルダムキー61,62の高さH3,H4よりも高くすることで、第2の受圧面61a,62aの面積よりも第1の受圧面76a,77aの面積を大きくし、第3の実施形態では、第1のオルダムキー81,82の幅W5,W6を第2のオルダムキー61,62の幅W3,W4よりも広くすることで、第2の受圧面61a,62aの面積よりも第1の受圧面81a,82aの面積を大きくしたが、例えば、これら3つの形態(長さ、高さ、幅)を適宜組み合わせることで、第1のオルダムキーの第1の受圧面の面積を第2の受圧面の面積よりも大きくしてもよい。
【0113】
また、第1~第4の実施形態では、一例として、
図1に示すように、旋回スクロール42の下方にオルダムリング27,75,80,85を配置させた場合を例に挙げて説明したが、例えば、固定スクロール41と旋回スクロール42との間に、オルダムリング27,75,80,85を配置させてもよい。この場合、オルダムリング27,75,80,85の第2のオルダムキー61,62は、固定スクロール41に形成された溝(図示せず)に挿入される。
【0114】
さらに、第1~第4の実施形態では、第1及び第2の接続部67,68が円弧形状の場合を例に挙げて説明したが、第1及び第2の接続部67,68の形状は、円弧形状以外の形状にしてもよい。具体的には、第1及び第2の接続部67,68の形状は、それぞれ1つの直線部で構成してもよいし、互いに交差する方向に延びる複数の直線部を連結させて構成してもよい。
【符号の説明】
【0115】
10…スクロール圧縮機
11…ハウジング
11A…吸入室
11B…吐出室
13…吸入配管
15…吐出配管
17…メイン軸受
19…サブ軸受
21…回転軸
22…給油ポンプ
23…駆動部
24…スクロール圧縮機本体
24A…圧縮室
25…ブッシュアセンブリ
25A…ブッシュ
27,75,80,85…オルダムリング
31…筒状部
32…底部
33…蓋部
35…回転軸本体
35A…一方の端部
35B…他方の端部
36…偏心軸
41…固定スクロール
42…旋回スクロール
45,48…端板
45A…吐出口
46…固定ラップ
48a,64a,64b,65a,65b,67a,67b,68a,68b…面
49…旋回ラップ
51…ボス部
53…溝
55…オルダムリング本体
57,58,76,77,81,82,86,87…第1のオルダムキー
57a,58a,76a,77a,81a,82a,86a,87a…第1の受圧面
61,62…第2のオルダムキー
61a,62a…第2の受圧面
64,65…直線部
64A,65A…一方の端
64B,65B…他方の端
64c,65c…内面
64d,65d…外面
64e,65e,67e,68e…切断面
67…第1の接続部
67c,68c…内周面
67d,68d…外周面
68…第2の接続部
C1,C3…中間位置
C2,C4…中心位置
D1…第1の距離
D2…第2の距離
G1~G4,W1~W6…幅
H1~H8…高さ
L1~L8…長さ
M1~M4…厚さ
O,O2…軸線
O1…偏心軸線