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特許7016314アミン又はホスフィン官能化末端ブロックを有するブロックコポリマー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-27
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】アミン又はホスフィン官能化末端ブロックを有するブロックコポリマー
(51)【国際特許分類】
   C08F 297/02 20060101AFI20220128BHJP
   C08J 5/18 20060101ALI20220128BHJP
【FI】
C08F297/02
C08J5/18 CEQ
C08J5/18 CET
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2018519387
(86)(22)【出願日】2016-10-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-11-01
(86)【国際出願番号】 US2016057066
(87)【国際公開番号】W WO2017066586
(87)【国際公開日】2017-04-20
【審査請求日】2019-10-01
(31)【優先権主張番号】62/242,249
(32)【優先日】2015-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】510145211
【氏名又は名称】クレイトン・ポリマーズ・ユー・エス・エル・エル・シー
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ファン・デル・ハイゼン,アドリー・アー
(72)【発明者】
【氏名】ウィリス,カール・エル
(72)【発明者】
【氏名】ストル,マリアンヌ
(72)【発明者】
【氏名】ミュイルデルマン,グザビエ・デー
【審査官】牟田 博一
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-148727(JP,A)
【文献】特表2009-513725(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0343177(US,A1)
【文献】特開2003-138220(JP,A)
【文献】特開2009-62415(JP,A)
【文献】特開2016-23311(JP,A)
【文献】Alison R. SCHULTZ et al.,Thermal and living anionic polymerization of 4-vinylbenzyl piperidine,Polym. Chem.,Vol. 5, No. 20, 2014,pp.6003-6011
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F297/
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a) 平均で少なくとも1つの式(I)のアミノ又はホスフィノ官能化ポリマー単位を含む少なくとも1つの末端ブロックD、
【化1】
並びに
以下、即ち、
(b)1つ以上のAブロックであって、Aブロックの各々は、独立して、重合した(i)1つ以上のアルキル基によって任意選択的に置換されるフェニル環を有するスチレンモノマー、(ii)α-アルキルスチレンモノマー、並びに(iii)(i)及び(ii)のモノマーから選択されるモノマーの混合物からなる群から選択され、
Aブロックの各々は、1,000~60,000の数平均分子量を有し、20℃以上のガラス転移温度を有する、1つ以上のAブロック、
及び
(c)1つ以上のBブロックであって、各ブロックBは、独立して、重合した(i)共役ジエンモノマー、並びに(ii)(i)共役ジエンモノマー及びBブロックの総量の15重量%以下の前記Aブロックで規定されたスチレンモノマーの混合物からなる群から選択され、重合した共役ジエンモノマーを含有するセグメントが任意選択的に水素化され、各ブロックBは、1,000~1,000,000の数平均分子量を有し、高くても20℃のガラス転移温度を有する、1つ以上のBブロック、
及び
(d) 1つ以上のAブロックと1つ以上のBブロックとの混合物
[式中、
は水素又はアルキル基であり;
は水素原子又は第三級アルキル基であり;
Rは各々独立して、任意選択的に部分-(A-NR) 置換されたアルキル又はフェニル基であり;又は
2つのR基は、それらが結合しているZと一緒になって、任意選択的に置換された環を形成し;
xは1、2又は3であり;
は、1つ以上のメチル基及び/又はエチル基で任意選択的に置換された直鎖アルキレンであり;
及びRは、各々独立して、水素又はアルキル基である]
からなる群から選択される1つ以上の追加のブロック、又は対応するオニウム塩
を含む、官能化ブロックコポリマーであって、
官能化ブロックコポリマーは、
(i)(D-B-A)X、(D-A-B)X、D-B、(D-B-D)X及び(D-B)X並びにそれらの混合物からなる群から選択される一般的な構成を有し、nは2~30の整数であり、Xはカップリング剤残基であり、Aブロック、Bブロック又はDブロックは同じ又は異なり、
Zは、窒素又はリンであり、
当該少なくとも1つのBブロックが、ブロックコポリマーの分子量の少なくとも75重量%を構成する、
官能化されたブロックコポリマー。
【請求項2】
前記Dブロックが、前記ブロックコポリマーの外部末端の各々に存在する、請求項1に記載の官能化ブロックコポリマー。
【請求項3】
前記少なくとも1つの末端ブロックDが、前記ブロックコポリマーの少なくとも25重量%である、請求項1又は2に記載の官能化ブロックコポリマー。
【請求項4】
前記Bブロックが共役ジエンのセグメントを含み、共役ジエン単位の少なくとも50%が水素化されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の官能化ブロックコポリマー。
【請求項5】
前記Dブロックが、前記ブロックコポリマーの全分子量の15重量%以下を構成し、共役ジエン単位の少なくとも70%が水素化されている、請求項4に記載の官能化ブロックコポリマー。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の官能化ブロックコポリマーを含むフィルム。
【請求項7】
記ブロックコポリマーが星型分岐状である、請求項1~5のいずれか一項に記載の官能化ブロックコポリマー。
【請求項8】
各ブロックDが、少なくとも1つの式(I)のアミノ官能化又はホスフィノ官能化ポリマー単位に加えて、(i)スチレンのホモポリマー及びコポリマーから誘導されたセグメント、(ii)第一級アルキル基で置換されたフェニル環を有するスチレンのホモポリマー及びコポリマーから誘導されたセグメント、(iii)α-アルキルスチレンのホモポリマー及びコポリマーから誘導されたセグメント、(iv)第一級アルキル基によって置換されたフェニル環を有するα-アルキルスチレンのホモポリマー及びコポリマーから誘導されたセグメント、及び(v)(i)~(iv)の組み合わせからなる群から独立して選択されるセグメントを含む、請求項1~5及び7のいずれか一項に記載の官能化ブロックコポリマー。
【請求項9】
アミノ又はホスフィノ官能化ブロックコポリマーを調製する方法であって、不活性炭化水素溶媒中、開始剤の存在下で、
(a) 少なくとも1種のビニルベンジルアミンモノマー類又は少なくとも1種のビニルベンジルホスフィンモノマー類の重合によりポリマー末端ブロックDを形成する工程、(ここで、当該少なくとも1種のビニルベンジルアミンモノマー類又は当該少なくとも1種のビニルベンジルホスフィンモノマー類は20℃~60℃の温度範囲で重合することができる)、
(b) 少なくとも1つ以上の追加のブロックを形成する工程(ここで、当該1つ以上の追加のブロックは、
高くても20℃のガラス転移点Tgを有する非晶質ブロックB、
少なくとも20℃の溶融温度Tm又は20℃以上のガラス転移点Tgを有する結晶性又は半結晶性のブロックA、
及びそれらの混合物
からなる群から選択される)、及び
(c)任意選択的に、工程(a)~(b)から形成されたブロックコポリマーをカップリングする、又は第2の末端ブロックDを重合する工程、ここで、当該少なくとも1種のビニルベンジルアミンモノマー類又は当該少なくとも1種のビニルベンジルホスフィンモノマー類は、式(Ia
【化2】

式中、Zはリン又は窒素であり、
は水素又はアルキル基であり;
は水素原子又は第三級アルキル基であり;
Rは各々独立して、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、並びにペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル及びデシルの異性体から選択されるアルキル基であって、アルキル基は任意選択的に部分-(A-NR) 置換されていてもよく、又は、
Rは各々独立して、任意選択的に部分-(A-NR) 置換されたフェニル基であり、ここで、xは、1,2若しくは3であり、
は、1つ以上のメチル基及び/又はエチル基で任意選択的に置換された直鎖アルキレンであり、
及びRは、各々独立して、水素又はアルキルであり、又は
2つのR基は、それらが結合しているZと一緒になって、任意選択的に置換された環を形成し、
官能化ブロックコポリマーは、(D-B-A)X、(D-A-B)X、D-B、(D-B-D)X及び(D-B)X並びにそれらの混合物からなる群から選択される一般的な構成を有し、nは2~30の整数であり、Xはカップリング剤残基であり、Aブロック、Bブロック又はDブロックは同じ又は異なり、
当該少なくとも1つのBブロックが、ブロックコポリマーの分子量の少なくとも75重量%を構成し、
又は対応するオニウム塩を含む、
アミノ又はホスフィノ官能化ブロックコポリマーを調製する方法。
【請求項10】
前記Dブロックが、前記ブロックコポリマーの外部末端の各々に存在する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
各末端ブロックDが、少なくとも1種のビニルベンジルアミンモノマー類から重合され、各末端ブロックDが、前記ブロックコポリマーの全分子量の10重量%以下を構成する、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記官能化ブロックコポリマーが、少なくとも1つのBブロックを含み、該少なくとも1つのBブロックが前記ブロックコポリマーの分子量の少なくとも75重量%であり、前記ブロックDの官能基の10~100%が、オニウム塩の形態である、請求項9~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記官能化ブロックコポリマーを膜に流涎成形する工程をさらに含む、請求項9~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
請求項1~5のいずれか一項に記載の官能化ブロックコポリマーを含む膜。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本願は、その全体が参照により本明細書に援用される、2015年10月15日に出願された「アミン又はホスフィン官能化末端ブロックを有するブロックコポリマー」と題された米国仮特許出願第62/242,249号の非仮出願であり、その優先権を主張する。
【0002】
分野
本開示は、一般に化学に関し、より詳細には、アミン又はホスフィン官能化ブロックコポリマーに関する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
スチレンブロックコポリマー(SBC)は、それらの特性をさらに改変するために官能化することができる。この例は、例えば、米国特許第3,577,357号、第5,468,574号、第7,737,224号(これらの各々は参照により本明細書に援用される)に記載されているように、スルホン酸又はスルホン酸エステル官能基をポリマー主鎖に付加することである。さらに、2011年7月12日に出願されたWillisらの同時係属出願第13/181,306号は、スルホン酸又はスルホン酸エステル官能基がスルホンアミド官能基に変換された、改質スルホン化SBCを記載する。さらに、2014年1月13日に出願された同時係属出願第14/154,146号は、ブロックコポリマーの内部にアミン官能化ブロックを有するアミン官能化SBCを開示する。
【0004】
しかし、改質された特性を有する官能化SBCが、1人(1つ)以上のユーザー及び/又は方法の目標を満たすための継続的な必要性が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許第3,577,357号明細書
【文献】米国特許第5,468,574号明細書
【文献】米国特許第7,737,224号明細書
【文献】米国同時係属出願第13/181,306号明細書
【文献】米国同時係属出願第14/154,146号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
(概要)
(a)平均で少なくとも1つの式(I)のアミノ又はホスフィノ官能化ポリマー単位を含む少なくとも1つの末端ブロックD
【0007】
【化1】
並びに
(b)アミノ官能基又はホスフィノ官能基を実質的に含まず、約1,000~約60,000の数平均分子量を有し、高い使用温度を有する1つ以上のAブロック、及び(c)各ブロックBが本質的に官能化されておらず、約1,000~約1,000,000の数平均分子量を有し、高くても約20℃のガラス転移温度を有する1つ以上のBブロック、及び(d)1つ以上のAブロックと1つ以上のBブロックとの混合物;[式中、Zは窒素又はリンであり;Rは水素又はアルキル基であり;Rは水素又は第三級アルキル基であり;Rは各々独立に、任意選択的に部分-(A-NR又は-(A-ORで置換されたアルキル又はフェニルであり;又は2つのR基は、それらが結合しているZと一緒になって、任意選択的に置換された環を形成し;xは、1、2又は3であり;Aは、1つ以上のメチル基及び/又はエチル基で任意選択的に置換された直鎖アルキレンであり;R及びRは、各々独立して、水素又はアルキル基である]からなる群から選択される1つ以上の追加のブロック又は対応するオニウム塩を含む、官能化されたブロックコポリマーが、本明細書中に開示される。
【0008】
不活性炭化水素溶媒中及び開始剤の存在下で、(a)複数のp-ビニルベンジルアミンモノマー又はビニルベンジルホスフィンモノマーからの末端ブロックDを重合する工程(ただし、p-ビニルベンジルアミンモノマー又はビニルベンジルホスフィンモノマーは20℃~60℃の温度範囲で重合することができる);b)少なくとも1つ以上の追加のブロックを重合する工程(ここで、1つ以上の追加のブロックが、高くても20℃のTgを有する該非晶質ブロックB、少なくとも約20℃の高い使用温度を有する結晶性又は半結晶性ブロックA、及びそれらの混合物を含む群から選択される)、及び、(a)任意選択的に、工程(a)~(b)から形成されたブロックコポリマーをカップリングし、又は第2の末端ブロックDを重合する工程を含む、アミノ又はホスフィノ官能化ブロックコポリマーの調製方法も、本明細書に開示される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(詳細な説明)
本開示は、以下の詳細な説明及びそこに含まれる実施例を参照することによって、より容易に理解され得る。さらに、本明細書に記載の態様の完全な理解を提供するために、多くの具体的な詳細が述べられている。しかし、当業者であれば、本明細書に記載された態様は、これらの特定の詳細なしに実施され得ることが理解されるであろう。また、説明は、本明細書に記載の態様の範囲を限定するものと見なされるべきではない。
【0010】
他に特に言及しない限り、本明細書で使用される全ての技術用語は、当業者によって一般に理解される意味を有する。
【0011】
本明細書中のブロックコポリマー又はそのポリマーに言及する場合、存在するポリマー単位の分子量又は特定量等の特性は、絶対値ではなく、むしろポリマーストランドによって、又はあるポリマーAブロックから対応するポリマーAブロックまで一定の範囲内で変化し得ることが当業者によって理解される。したがって、ブロックコポリマー又は特定のブロック中の特定のポリマー単位の量等の特性は、本明細書では「平均量」と呼ばれ、又はブロックコポリマー又はブロックの分子量の場合、別段の指定がない限り「数平均」が使用される。さらに、ここでの説明を簡単にするために、ブロックコポリマーそれ自体を単数で言及することができるが、「平均」について言及する場合、実際の現実の条件ではブロックコポリマーがポリマー組成物を形成する多数のストランド中に存在することが当業者によって理解されるであろう。
【0012】
特に断らない限り、ポリマーAブロックに関して本明細書で使用される「アミノ官能基を実質的に含まない」及び「ホスフィノ官能基を実質的に含まない」という表現は、それぞれのポリマーブロックが、部分-ZRを含む置換基を有する平均して1未満のポリマー単位又は対応するオニウム塩を含むことを意味する。特に、それぞれのポリマーブロックは、部分-ZRを含む置換基を有するポリマー単位又は対応するオニウム塩の測定可能な量を平均して含まない。
【0013】
特に断らない限り、本明細書で使用する「官能化(された)」という表現は、平均して少なくとも1つの式(I)のポリマー単位又は対応するオニウム塩を含む、ブロックコポリマー及びそのセグメント又はブロックを指す。
【0014】
特に断らない限り、ポリマーブロックBに関して本明細書で使用される「本質的に官能化されない」という表現は、それぞれのポリマーブロックが、部分-ZRを含む置換基を有する平均して1未満のポリマー単位又は対応するオニウム塩を含むことを意味する。特に、それぞれのポリマーブロックは、部分-ZRを含む置換基を有するポリマー単位又は対応するオニウム塩の測定可能な量を平均して含まない。
【0015】
特に断らない限り、「オニウム塩」という表現は、本明細書では、官能化ブロックコポリマー、そのセグメント若しくはブロック、又はそれらのポリマー単位のアンモニウム塩又はホスホニウム塩の総称として使用される。
【0016】
本明細書で使用される「ポリマー単位」という表現は、1つのモノマーによって形成され、それに対応するポリマー鎖の単位を指す。
【0017】
特に断らない限り、本明細書で使用される「ハロゲン」という表現は、ハロゲン、特にフッ素、塩素、臭素又はヨウ素、より具体的には塩素又は臭素を指す。
【0018】
特に断らない限り、本明細書で使用される「使用温度」という表現は、材料が有用な機械的特性を有する温度の範囲を指す。使用温度範囲の上限は、それを越すと材料の機械的性能が特定の用途の最低性能属性を満たすには不十分である温度を示す。例えば、使用温度範囲の上限を超える温度では、加えられる応力下で材料が変形し、性能に悪影響を及ぼす可能性がある。ポリマーの性質に応じて、使用温度範囲の上限は、ガラス転移温度Tg(ガラス状ポリマーブロック)又は溶融温度Tm(結晶性又は半結晶性ポリマーブロック)に対応し得る。
【0019】
本明細書で使用される「高い使用温度」という表現は、約20℃以上の使用温度範囲の上限を指す。
【0020】
特に断らない限り、本明細書で使用される「%重量」という表現は、乾燥重量基準でポリマー100重量部当たりのモノマーの重量部の数、又は特定の組成物100重量部当たりの成分の重量部の数を指す。
【0021】
本明細書で使用される場合、「分子量」という用語は、ポリマー又はコポリマーのブロックのg/モルで表されるポリスチレン等価、又は見かけの分子量を指す。本明細書及び特許請求の範囲で言及される分子量は、ASTM D5296に従って行われるような、ポリスチレン較正標準を使用するゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて測定することができる。GPCは、分子サイズに応じてポリマーを分離する方法であり、最大の分子が最初に溶出する。クロマトグラフは市販のポリスチレン分子量標準を用いて較正される。このように較正されたGPCを用いて測定されたポリマーの分子量は、見かけの分子量とも呼ばれるスチレン等価分子量である。ポリマーのスチレン含量及びジエンセグメントのビニル含量が既知である場合、スチレン等価分子量は真の分子量に変換することができる。使用される検出器は、紫外線及び屈折率検出器の組合せであることができる。本明細書において表現される分子量は、GPCトレースのピークで測定することができ、一般に「ピーク分子量」と呼ばれる。
【0022】
特に言及しない限り、本明細書で使用される「溶液」という表現は、1つ以上の液体物質(溶媒)中の1つ以上の物質(溶質)の分子濃度又はイオン濃度での液体の均一に分散した混合物を指す。
【0023】
本明細書に言及された全ての刊行物、特許出願、及び特許は、その全体が参照により本明細書に援用される。矛盾する場合、定義を含む本明細書は、統制することが意図される。
【0024】
本明細書中に開示された全ての範囲に関して、そのような範囲は、特定の組み合わせが具体的に列挙されていなくても、言及された上限及び下限の任意の組み合わせを含むことが意図される。
【0025】
本開示は、アミノ、ホスフィノ又は対応するオニウム塩基によって少なくとも1つの外部ブロックにおいて選択的に官能化され、アニオン交換特性を示し得るブロックコポリマーに関する。より具体的には、選択的に官能化されたブロックコポリマーは、
(a) 平均で少なくとも1つの式(I)のアミノ又はホスフィノ官能化ポリマー単位を含む少なくとも1つの末端ブロックD、
【0026】
【化2】
並びに
以下、即ち、
(b) 約1,000g/モル~約60,000g/モルの数平均分子量を有し、約20℃以上の使用温度範囲の上限を有する、アミノ官能基又はホスフィノ官能基を実質的に含まない1つ以上のAブロック、及び
(c) 各ブロックBが本質的に官能化されておらず、約1,000g/モル~約100,000g/モルの数平均分子量を有し、約20℃以下のガラス転移温度を有する1つ以上のBブロック、
及び
(d) 1つ以上のAブロックと1つ以上のBブロックとの混合物
[式中、
Zは窒素又はリンであり;
は水素又はアルキル基であり;
は水素又は第三級アルキル基であり;
Rは各々独立して、任意選択的に部分-(A-NR又は-(A-ORで置換されたフェニル又はアルキルであり、式中xは1、2又は3であり;
は、1つ以上のメチル基及び/又はエチル基で任意選択的に置換された直鎖アルキレンであり;
及びRは、各々独立して、水素又はアルキル基である]
からなる群から選択される1つ以上の追加のブロック又は対応するオニウム塩を含み;
又は2つのR基は、それらが結合しているZと一緒になって、任意選択的に置換された環を形成する。
【0027】
少なくとも1つの外部ブロックにおいてアミノ基又はホスフィノ基、又は対応するオニウム塩基、及び任意選択的に追加のヘテロ原子(これらの全てがブロックコポリマーに有意な極性を与え、例えば、アニオン交換特性を示すか、又は様々な他の用途に使用することができる)で官能化されたブロックコポリマーが本明細書で開示される。
【0028】
特に、使用されるブロックコポリマーは、末端アミノ又はホスフィノ官能化Dブロック及び1つ以上の「硬質」Aブロック又は「軟質」Bブロック(これらは内部又は外部ブロックであることができる)を有することができる。ブロックコポリマーのいくつかの例示的な構成には、D-A、D-A-D、D-A-D-A-D、(D-A-D)X、(D-A)X、D-A-B、D-B-A、D-A-B-D、D-B-A-D、D-B-A-B-D、D-A-B-A-D、(D-B-A)X、(D-A-B)X、D-B、D-B-D、D-B-D-B-D、(D-B-D)X又は(D-B)X(式中、Xはカップリング剤の残基であり、nは2~30の整数である。)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0029】
本明細書に開示された少なくとも1つのブロックにおいて官能化されたブロックコポリマーは、任意の適切な方法によって調製することができる。例えば、ブロックを重合し、次いでアミンで官能化することができる。いくつかの例では、ブロックをハロゲン化し、次いでハロゲン官能基をアミンで置換することができる。さらに、アミノ官能化モノマーを用いて外部ブロックが形成されるモノマー経路を使用することができる。例えば、1つの例示的な種類のモノマーは、ビニルベンジルアミノ官能基を含むことができる。ブロックコポリマーは、例えば、逐次重合及び/又はカップリング反応又は他の重合方法によって形成することができる。
【0030】
官能化ブロックコポリマーの形成のためのモノマー経路は、コポリマーの形成と比較して改善された制御及び精度を提供することができる。例えば、官能化ブロックの分子量及び官能化ブロックの四級化の量に対してより高い制御を制御することができる。
【0031】
いくつかの例では、アミノ又はホスフィノ官能化ブロックの各々、又はアミノ又はホスフィノ官能化ブロック全体は、ブロックコポリマーの約20重量%以上、あるいは約30重量%以上、あるいは約40重量%以上、あるいは約50重量%以上であることができる。あるいは、アミノ官能化又はホスフィノ官能化ブロック(単数又は複数)全体は、ブロックコポリマーの全分子量に基づいてブロックコポリマーの約50重量%以下、あるいはブロックコポリマーの約40重量%以下、あるいはブロックコポリマーの約30重量%以下、あるいはブロックコポリマーの約20重量%以下である。
【0032】
いくつかの態様では、アミノ又はホスフィノ官能化ブロックは、ブロックコポリマーの残部に対して少量であり得る。例えば、アミノ又はホスフィノ官能化ブロック(単数又は複数)は、「尾部」を形成することができ、ブロックコポリマーの全分子量に基づいて、約15重量%以下、あるいはブロックコポリマーの約10重量%以下、あるいはブロックコポリマーの約7.5重量%以下、あるいはブロックコポリマーの約5重量%以下、あるいはブロックコポリマーの約3重量%以下、あるいは約2重量%以下、あるいはブロックコポリマーの約1重量%以下であることができる。さらに、ブロックコポリマーは、ブタジエン及び/又はイソプレンのような共役ジエンから主に構成することができる。さらに、小さなアミノ又はホスフィノ官能化ブロック「尾部」を含むことで、ブロックコポリマーは、四級化に続いて、良好な機械的特性を有するフィルム又は膜に形成することができる。
【0033】
他の態様では、ジエン含有ポリマーセグメントが水素化されるように、アミノ又はホスフィノ官能化ブロックコポリマーを水素化することができる。例えば、アミノ又はホスフィノ官能化ブロックを尾部として含めることができ、したがって、約50%以上、あるいは約70%以上の水素化レベルを達成することができる。
【0034】
本開示の官能化ブロックコポリマーは、一般に、少なくとも1つの末端Dブロックと、(i)Aブロック、(ii)Bブロック、又は(iii)AブロックとBブロックの混合物の少なくとも1つを含み、これは内部ブロックでも外部ブロックであることができる。いくつかの態様では、官能化ブロックコポリマーは、1つ以上のAブロック及び/又は1つ以上の内部Bブロックをさらに含むことができる。いくつかの態様では、官能化ブロックコポリマーは、(i)1つ以上の内部及び/又は外部Aブロック(各Aブロックは同じであっても異なっていてもよい)及び/又はii)1つ以上の内部及び/又は外部Bブロック(各Bブロックは同じであっても異なっていてもよい)と組み合わせた少なくとも1つの末端Dブロックをさらに含むことができる。
【0035】
一態様では、官能化ブロックコポリマーの内部及び/又は外部Aブロックは、官能基を実質的に含まない。さらに、個々のAブロックの各々は、約1,000g/モル~60,000g/モルの数平均分子量を有し、約20℃以上の使用温度範囲の上限を有する。
【0036】
個々のAブロックを構成するモノマーの性質及び組成は、使用温度要件を満たすポリマー相を提供するように選択することができ、したがって、「ガラス状」、「硬質」、「結晶性」、又は少なくとも「半結晶性」であると記載することができる。これらの用語は、明細書全体にわたって交換可能に使用される。多くの「硬質」ポリマーブロックは、完全に結晶性でなくてもよく、したがって、様々な程度の結晶性、即ち、半結晶性を有し得ることが理解されるであろう。これは、結晶化度が全くないか又は無視できる量の非晶質ブロックと区別される。
【0037】
ガラス状ポリマーの場合、使用温度範囲の上限は、典型的には、ポリマーがガラス様挙動から液体様挙動に移行する温度によって制限される。この温度はしばしばガラス転移温度Tgと呼ばれる。ガラス状の末端AブロックのTgは、示差走査熱量測定(DSC)又は動的機械分析(DMA)を用いて決定することができる。結晶性及び半結晶性Aブロックの場合、使用温度範囲の上限は、通常、ブロックの結晶部分の溶融温度Tmによって制限される。結晶性又は半結晶性Aブロックの溶融温度は、DSCを用いて決定することができる。
【0038】
一般に、末端Aブロックの高い使用温度は、少なくとも約20℃である。いくつかの例では、末端Aブロックの高い使用温度は、少なくとも約50℃である。さらなる例では、末端Aブロックの高い使用温度は、少なくとも約90℃である。
【0039】
特定の例では、Aブロックの各々は、独立して、重合した(i)エチレンモノマー、(ii)プロピレンモノマー、(iii)1つ以上のアルキル基によって任意選択的に置換されるフェニル環を有するスチレン及びα-アルキルスチレンモノマー、(iv)(メタ)アクリレートエステルモノマー、その後に水素化される共役ジエンモノマー(v)、並びに(i)~(v)から選択されるモノマーの混合物からなる群から選択される。
【0040】
Aブロックがエチレンのポリマーブロックである場合、G.W. Coatesらの総説Angew. Chem.、Int. Ed.、41,2236-2257(2002)中の参考文献に教示されているように、ツィーグラーナッタ法を介してエチレンを重合することが有用であり得る。そのようなエチレンブロックは、米国特許第3,450,795号に教示されているようなアニオン重合技術を用いて調製することができる。そのようなエチレンブロックのブロック分子量は、典型的には約1,000g/モル~約60,000g/モルの間である。
【0041】
Aブロックがプロピレンのポリマーブロックである場合、上で引用したG.W. Coatesらの総説中の参考文献に教示されているように、ツィーグラーナッタ法によって調製することができる。そのようなプロピレンブロックのブロック分子量は、典型的には約1,000g/モル~約60,000g/モルの間である。
【0042】
Aブロックが水素化ポリジエン又は共役ジエンのポリマーブロック、例えば、水素化ポリブタジエンである場合、そのようなポリマーブロックは、例えば、米国特許第3,670,054号及び第4,107,236号に記載されているような任意の適切な方法によって調製することができる。そのような水素化ポリジエンブロックのブロック分子量は、典型的には約1,000g/モル~約60,000g/モルの間である。そのようなAブロックのビニル含量は、一般に水素化前に約20%以下、あるいは約15%以下、あるいは約10%以下である。水素化に伴うビニル含量の低下は「より硬質な」ブロックをもたらし、それによってこのブロックを組み込んだブロックコポリマーに機械的強度が与えられる。
【0043】
Aブロックはまた、任意選択的にアルキル置換されたスチレン及びα-メチルスチレン(以下、まとめて(メチル)スチレンと呼ぶ)のような1つ以上のアルキル基で任意選択的に置換されたフェニル環を有するスチレンモノマー又はα-アルキルスチレンモノマーのポリマーブロックであることができる。そのような(メチル)スチレンモノマーの任意のアルキル置換基は、一般に、1~10個の炭素原子を有することができ、直鎖であっても分枝していてもよい。そのような任意選択的にアルキル置換された(メチル)スチレンの例示的で非限定的な例は、未置換(メチル)スチレンモノマー、オルト-アルキル置換(メチル)スチレンモノマー、パラ-アルキル置換(メチル)スチレンモノマー、及びオルト、パラ-ジアルキル置換(メチル)スチレンモノマーを含む。本発明の開示に使用するのに適切な任意選択的にアルキル置換された(メチル)スチレンモノマーの追加の非限定的な例は、未置換(メチル)スチレン、オルト-メチル(メチル)スチレン、オルト-エチル(メチル)スチレン、オルト-n-プロピル(メチル)スチレン、オルト-イソ-プロピル(メチル)スチレン、オルト-n-ブチル(メチル)スチレン、オルト-イソ-ブチル(メチル)スチレン、オルト-sec-ブチル(メチル)スチレン、オルト-tert-ブチル(メチル)スチレン、オルト-デシル(メチル)スチレン、オルト-ドデシル(メチル)スチレンの異性体、パラ-メチル(メチル)スチレン、パラ-エチル(メチル)スチレン、パラ-n-プロピル(メチル)スチレン、パラ-イソ-プロピル(メチル)スチレン、パラ-n-ブチル(メチル)スチレン、パラ-イソ-ブチル(メチル)スチレン、パラ-sec-ブチル(メチル)スチレン、パラ-tert-ブチル(メチル)スチレン、パラ-デシル(メチル)スチレン、パラ-ドデシル(メチル)スチレンの異性体、オルト,パラ-ジメチル(メチル)スチレン、オルト,パラ-ジエチル(メチル)スチレン、オルト,パラ-ジ(n-プロピル)(メチル)スチレン、オルト,パラ-ジ(イソ-プロピル)(メチル)スチレン、オルト,パラ-ジ(n-ブチル)(メチル)スチレン、オルト,パラ-ジ(イソ-ブチル)(メチル)スチレン、オルト,パラ-ジ(sec-ブチル)(メチル)スチレン、オルト,パラ-ジ(tert-ブチル)(メチル)スチレン、オルト,パラ-ジデシル(メチル)スチレン、オルト,パラ-ジドデシル(メチル)スチレンの異性体、及び上記モノマーの混合物を含む。追加の(メチル)スチレンモノマーは、非置換又はモノC~C-アルキル置換(メチル)スチレンモノマーである。
【0044】
特定の例では、そのようなAブロックは、フェニル環が任意選択的にアルキル置換されているスチレンモノマーのポリマーブロックである。そのような任意選択的にアルキル置換されたスチレンモノマーの例示的で非限定的な例としては、特に、非置換スチレンモノマー、オルト-アルキル置換スチレンモノマー、パラ-アルキル置換スチレンモノマー、及びオルト,パラ-ジアルキル置換スチレンモノマーが挙げられる。追加の任意選択的にアルキル置換されたスチレンモノマーとしては、非置換スチレン、オルト-メチルスチレン、オルト-エチルスチレン、オルト-n-プロピルスチレン、オルト-イソ-プロピルスチレン、オルト-n-ブチルスチレン、オルト-イソ-ブチルスチレン、オルト-sec-ブチルスチレン、オルト-tert-ブチルスチレン、オルト-デシルスチレン、オルト-ドデシルスチレンの異性体、パラ-メチルスチレン、パラ-エチルスチレン、パラ-n-プロピルスチレン、パラ-イソ-プロピルスチレン、パラ-n-ブチルスチレン、パラ-イソ-ブチルスチレン、パラ-sec-ブチルスチレン、パラ-tert-ブチルスチレン、パラ-デシルスチレン、パラ-ドデシルスチレンの異性体、オルト,パラ-ジメチルスチレン、オルト,パラ-ジエチルスチレン、オルト,パラ-ジ(n-プロピル)スチレン、オルト,パラ-ジ(イソ-プロピル)スチレン、オルト,パラ-ジ(n-ブチル)スチレン、オルト,パラ-ジ(イソ-ブチル)スチレン、オルト,パラ-ジ(sec-ブチル)スチレン、オルト,パラ-ジ(tert-ブチル)スチレン、オルト,パラ-ジデシルスチレン、オルト,パラ-ジドデシルスチレンの異性体、及び上記モノマーの混合物が挙げられる。本開示での使用に適した追加のスチレンモノマーは、非置換又はモノC~C-アルキル置換スチレンモノマーである。
【0045】
Aブロックが任意選択的に置換された(アルキル)スチレンのポリマーブロックである場合、そのようなポリマーブロックは、上で引用したG.W. Coatesらの総説中の参考文献に教示されているように、ツィーグラーナッタ法によって調製することができる。そのような(アルキル)スチレンブロックのブロック分子量は、典型的には約1,000g/モル~約60,000g/モルの間である。そのような(アルキル)スチレンブロックを製造するために使用される重合方法では、モノマーのうちの1つだけ、例えば、スチレンを使用することができ、又はその2つ以上を組み合わせて使用することができる。2つ以上の(アルキル)スチレンモノマーを組み合わせて使用する場合は、それらを任意の共重合形態、例えば、ランダムに、ブロック及びテーパーブロック等の形態で共重合することができる。共重合形態は、モノマーの組み合わせ及びモノマーを重合系に添加するタイミング(例えば、2つ以上のモノマーの同時添加、又は所与の時間の間隔での別個の添加)のような条件を選択することによって影響され得る。
【0046】
Aブロックは、アクリルエステル又はメタクリルエステルのポリマーブロック(以後まとめて(メタ)アクリルエステルと呼ぶ)であることができる。そのようなポリマーブロックは、例えば、米国特許第6,767,976号に開示されている方法に従って製造することができる。適切な(メタ)アクリルエステルの具体的で非限定的な例としては、第一級アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル;第二級アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル、例えば、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル;第三アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル、例えば、(メタ)アクリル酸tert-ブチルが挙げられる。本開示では、必要に応じて、原料(単数又は複数)として、1つ以上の他のアニオン性重合性モノマーを(メタ)アクリルエステルと併用してもよい。また、ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸1,4-ブタンジオール、ジ(メタ)アクリル酸1,6-ヘキサンジオール、トリ(メタ)アクリル酸トリメチロールプロパン等の(メタ)アクリルエステル構造のような2つ以上のメタクリル構造又はアクリル構造を分子内に有する多官能性アニオン重合性モノマーを用いてもよい。
【0047】
(メタ)アクリルエステルポリマーブロックを製造するために使用される重合方法では、モノマーのうちの1つのみ、例えば、(メタ)アクリルエステルを用いてもよいし、またはその2つ以上を組み合わせて使用してもよい。2つ以上のモノマーを組み合わせて使用する場合、ランダムブロック、テーパーブロック等から選択される任意の共重合形態が適している。共重合形態は、モノマーの組み合わせ及びモノマーを重合系に添加するタイミング(例えば、2つ以上のモノマーの同時添加、又は所与の時間の間隔での別個の添加)のような条件を選択することによって影響され得る。
【0048】
いくつかの態様では、Aブロックの各々は、(メチル)スチレン及び/又は任意選択的にC-C-アルキル置換(メチル)スチレンのホモポリマー又はコポリマーである。さらなる態様では、Aブロックの各々は、スチレン及び/又は任意選択的にC-C-アルキル置換(メチル)スチレンのホモポリマー又はコポリマーである。
【0049】
官能化ブロックコポリマーの個々のAブロックは、同一であっても異なっていてもよい。官能化ブロックコポリマーのAブロックが異なる場合、そのような違いは、個々のブロックの数平均分子量に存在し得る。それに加えて又はそれに代えて、そのような相違は、個々のAブロックを構成するモノマーの性質又は組成に存在し得る。個々のAブロックは、個々のAブロックの各々を構成するモノマーの性質及び組成において、必ずしも同一ではないが、類似することができる。
【0050】
一態様では、官能化ブロックコポリマーの内部及び/又は外部ブロックBも官能基を実質的に含まない。さらに、このようなブロックBの各々は、約1,000g/モル~1,000,000g/モル、あるいは1,000g/モル~600,000g/モル、あるいは1,000g/モル~500,000g/モルの数平均分子量を有することができ、約20℃以下のガラス転移温度Tgを有することができる。いくつかの例では、官能化ブロックコポリマーのブロックBは、約10℃以下のガラス転移温度Tgを有する。さらなる例では、官能化ブロックコポリマーの任意の内部ブロックBは、約0℃以下のガラス転移温度Tgを有する。
【0051】
個々のブロックBを構成するモノマーの性質及び組成は、重合したモノマーがガラス温度要件を満たし、したがって「非晶質」、「軟質」又は「ゴム状」として記載することができる相を提供するように選択することができる。これらの用語は、明細書全体にわたって交換可能に使用される。「非晶質」ブロックは結晶化度が全くないか無視できる量しか含有していないことが理解されよう。
【0052】
一態様では、各ブロックBは、重合した、(i)エチレンモノマー、(ii)C~Cα-オレフィンモノマー、(iii)イソブチレンモノマー、(iv)共役ジエンモノマー、(v)(メタ)アクリレートエステルモノマー、(vi)ケイ素ポリマー、及び(vii)(i)から(v)から選択されるモノマーの混合物からなる群から独立して選択され、重合した共役ジエンモノマーを含有するセグメントが任意選択的に水素化される。
【0053】
Bブロックがエチレンのポリマーブロックである場合、上で引用したG.W. Coatesらの総説中の参考文献に教示されているように、ツィーグラーナッタ法を介してエチレンを重合することが有用であり得る。エチレンブロックは、米国特許第3,450,795号に記載されているようなアニオン重合技術を用いて調製することができる。そのようなエチレンブロックのブロック分子量は、典型的には約1,000g/モル~約1,000,000g/モルの間である。
【0054】
BブロックがC~Cα-オレフィン又はイソブチレンのポリマーである場合、そのようなポリマーブロックは、上で引用したG.W. Coatesらの総説中の参考文献に記載されているように、ツィーグラーナッタ法により調製することができる。α-オレフィンは、プロピレン、ブチレン、ヘキセン又はオクテン、あるいはプロピレンであることができる。そのようなα-オレフィンブロックのブロック分子量は、典型的には約1,000g/モル~約1,000,000g/モルの間である。
【0055】
Bブロックはまた、任意選択的に水素化される共役ジエンのポリマーブロックであることができる。適切な共役ジエンには、1,3-シクロヘキサジエン、1,3-シクロヘプタジエン及び1,3-シクロオクタジエン等の1,3-シクロジエンモノマーと同様に、ブタジエン、イソプレン等も非限定的に挙げられる。一態様では、Bブロックは1,3-シクロヘキサジエンのポリマーである。アミノ官能基又はホスフィノ官能基又は他の官能基が、本明細書において以下でより具体的に言及される種々のブロックの共重合後に導入される場合、水素化されない重合共役ジエンブロックはハロゲン化されやすいので共役ジエンモノマーを使用する場合にはBブロックは水素化されてもよい。しかし、本明細書で論じるようなモノマー経路に沿った官能化ブロックコポリマーの調製により、Dブロックが重合後の反応ではなくアミノ又はホスフィノ官能化モノマーから形成されるので、予防作用の必要性が回避される。したがって、共役ジエンモノマーを使用して製造された1つ以上のBブロックを含む非ハロゲン化前駆体ブロックコポリマーは、官能化の前に任意選択的に水素化することができる。Bブロックが、ブタジエン又はその混合物等の共役非環式ジエンの任意選択的に水素化されたポリマーブロックである場合、そのようなブロックは、水素化の前に約20モル%~約80モル%のビニル含量を有することができる。
【0056】
Bブロックは、(メタ)アクリルエステルのポリマーブロックであってもよい。そのようなポリマーブロックは、米国特許第6,767,976号に開示されている方法に従って製造することができる。適切な(メタ)アクリルエステルの具体例としては、第一級アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル、例えば、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル;第二級アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル、例えば、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル;第三アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル、例えば、(メタ)アクリル酸tert-ブチルが挙げられるが、これらに限定されない。本開示では、原料(複数可)として、1つ以上の他のアニオン性重合性モノマーを(メタ)アクリルエステルと併用してもよい。また、例えば、ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸1,4-ブタンジオール、ジ(メタ)アクリル酸1,6-ヘキサンジオール、トリ(メタ)アクリル酸トリメチロールプロパン等の(メタ)アクリルエステル構造のような2つ以上のメタクリル構造又はアクリル構造をその分子内に有する多官能性アニオン重合性モノマーを用いてもよい。
【0057】
さらに、Bブロックは、ケイ素ゴムセグメントのポリマーブロック、即ち、-[Si(R’)-O]-の反復単位を有するオルガノポリシロキサンのブロックであってもよく、式中、R’は有機基、例えば、アルキル、シクロアルキル又はアリールを表す。
【0058】
Bブロックはまた、約15モル%以下の他のアニオン重合可能なモノマー、例えば、Aブロックについて記載したモノマーを含有してもよい。いくつかの例では、Bブロックは、約10モル%以下、あるいは約5モル%以下、あるいは約2モル%以下の他のモノマーを含有してもよい。しかし、いくつかの例では、Bブロックは他のモノマーを含まない。
【0059】
特定の例のいくつかでは、ブロックBの各々は、ブタジエン及び/又はイソプレンの任意選択的に水素化されたホモポリマー又はコポリマーである。
【0060】
複数のBブロックが官能化ブロックコポリマー中に存在する場合、そのようなブロックは同一でも異なっていてもよい。個々のBブロック間の相違は、数平均分子量又は個々のBブロックを構成するモノマーの性質又は組成に存在し得る。複数のBブロックが存在する場合、個々のBブロックは、個々のBブロックの各々を構成するモノマーの性質及び組成において、必ずしも同一ではないが、類似することができる。
【0061】
本開示の官能化ブロックコポリマーは、約1,000g/モル~約100,000g/モルの数平均分子量を有し、平均して少なくとも1つの式(I)のアミノ又はホスフィノ官能化ポリマー単位又は対応するオニウム塩を含む、少なくとも1つの末端ブロック、Dブロックを有する。
【0062】
【化3】
【0063】
部分-CHR-ZR又は対応するオニウム塩部分は、式(I)のフェニル環に任意の位置で結合することができる。したがって、-CHR-ZR部分又は対応するオニウム塩部分は、式(I)中のフェニル環の2位(オルト位)、3位(メタ位)又は4位(パラ位)に結合することができる。前駆体ブロックコポリマー又はモノマーへの利用性及び合成の容易さの観点から、この部分は3又は4位に結合することができる。上記式(I)では、Zは窒素又はリンを表す。
【0064】
式(I)におけるRは、水素又はアルキル基を表す。Rの位置のアルキル基は、1~6個の炭素原子を有することができ、直鎖であっても分枝していてもよい。Rの例示的なアルキル基は、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル等が挙げられるが、これらに限定されない。一態様では、Rは水素又はメチルである。
【0065】
式(I)におけるRは、水素又は第三級アルキル基を表す。Rの位置における第三級アルキル基は、4~10個の炭素原子を有することができ、1位の分岐以外に、直鎖又は分枝していてもよい。Rの例示的な第三級アルキル基としては、tert-ブチル、1,1-ジメチル-プロピル、1,1-ジメチル-ブチル、1,1,2-トリメチル-プロピル、1-エチル,1-メチル-プロピル等が挙げられる。一態様では、Rは水素又はtert-ブチルである。
【0066】
式(I)中の部分-ZRにおけるRで表される基は、同一であっても異なっていてもよく、各Rは独立して、任意選択的に部分-(A-NR又は-(A-ORで置換されたアルキル基又はフェニル基を表す。したがって、一方又は両方のRは水素であってもよく、一方のRは水素であり、他方のRは任意選択的に置換されたアルキル基であってもよい。あるいは、一方又は両方のR基は、同一又は異なる非置換アルキル基又はフェニル基であってもよく、又は一方のRは非置換アルキル基又はフェニル基であり、他方のRは置換アルキル基又はフェニル基である。別の例では、両方のRは、同一又は異なる置換アルキル基を表す。いくつかの態様では、R基の少なくとも1つは水素とは異なる。さらなる態様では、基Rの両方が水素とは異なる。
【0067】
アルキル又はフェニルR基は、アリール基で置換されていてもよい。窒素又はリンに結合したアリール置換アルキル又はフェニルR基の例示的で非限定的な例としては、ベンジル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル又はペンチルベンゼン等のアルキルベンゼンが挙げられる。アリール基は、それ自体アルキル基、アルケニル基又はビニル基で置換されていてもよい。
【0068】
Rの位置における非置換アルキル基は、1~10個の炭素原子を有することができ、直鎖であっても分枝していてもよい。Rについての非置換アルキル基の例示的で非限定的な例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、並びにペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル及びデシルの異性体が挙げられる。特定の例のいくつかでは、式(I)中の部分-ZRの少なくとも1つのRは、非置換C~C-アルキル基である。さらなる態様では、式(I)中の部分-ZRの各Rは、独立して、非置換C~C-アルキル基である。
【0069】
式(I)中の部分-ZRにおけるRが、部分-(A-NR又は-(A-ORによって置換されたアルキル基又はフェニル基を表す場合、そのようなRは、一般に直鎖であり、2~4個の炭素原子を有し、任意選択的に1つ以上の追加のメチル基及び/又はエチル基を有する。したがって、置換アルキル基の例示的で非限定的な例としては、置換1,2-エチレン、1,2-プロピレン、1,3-プロピレン、1,2-ブチレン、1,3-ブチレン、2,3-ブチレン、1,4-ブチレン、2,3-ペンチレン、2,4-ペンチレン、2,4-ペンチレン、3-メチル-2,4-ペンチレン等のような部分が挙げられる。特定の態様のいくつかでは、Rで表されるそのような任意選択的に置換されたアルキル基又はフェニル基は、1,2-エチレン、1,2-プロピレン、1,3-プロピレン、又は1,4-ブチレンである。置換基-(A-NR又は-(A-ORの変数xは、整数1、2又は3、あるいは1又は2を表す。
【0070】
置換基-(A-NR又は-(A-ORのAは、1つ以上のメチル基及び/又はエチル基で任意選択的に置換された直鎖アルキレン基を表す。Aで表される直鎖アルキレン基は、一般に2~4個の炭素原子を有する。Aによって表される例示的な任意選択的にメチル及び/又はエチルで置換されたアルキレン基は、置換1,2-エチレン、1,2-プロピレン、1,3-プロピレン、1,2-ブチレン、1,3-ブチレン、2,3-ブチレン、1,4-ブチレン、2,3-ペンチレン、2,4-ペンチレン、2,4-ペンチレン、3-メチル-2,4-ペンチレン等が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの態様では、Aで表される任意選択的にメチル及び/又はエチルで置換されたアルキレン基は、1,2-エチレン、1,2-プロピレン、1,3-プロピレン、又は1,4-ブチレンである。
【0071】
置換基-(A-NR又は-(A-ORのR及びRで表される基は同一でも異なっていてもよく、R及びRの各々は、独立して水素又はアルキル基を表す。即ち、xが2又は3の値を有する場合、Rによって表される基は同一であっても異なっていてもよく、各Rは、独立して水素又はアルキル基を表す。R及びRの位置におけるアルキル基は、1~6個の炭素原子を有することができ、直鎖でも分岐していてもよい。R及びRのアルキル基の例示的で非限定的な例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル等が挙げられる。いくつかの態様では、R及びRは、水素又はC~C-アルキルを表す。さらなる態様では、R及びRの各々は、独立して、C~C-アルキル基を表す。
【0072】
さらなる態様では、式(I)中の部分-ZRの2つのRは、それらが結合しているZと一緒に、Z、炭素環員、及び任意選択的に窒素及び酸素から選択される1つ以上の追加のヘテロ原子環員で構成された任意選択的に置換された環を形成する。Z及び2つのRによって形成される環は、3~14個の環員を有することができ、単環式又は多環式であってもよく、飽和、部分不飽和又は芳香族であってもよい。任意選択的に、そのような環は、一般的に上記した、特にRに対して上記したような1つ以上のアルキル基で置換されている。Z及び2つのRによって形成される環の例示的で非限定的な例としては、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、1-アザビシクロ[2,2,2]ノナン、1,4-ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン(DABCO)、モルホリン、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、インドール、イソインドール、インダゾール、プリン、カルバゾール、フェノキサジン、アゼピン、対応するリン含有環等が挙げられる。当業者であれば、前述のDABCO等のような系中の窒素は3つの置換基を有することを理解するであろう。より具体的には、-ZRがDABCOを表す場合、式(I)のフェニル環は、以下の基を有する。
【0073】
【化4】
[式中、
【0074】
【化5】
はフェニル環への結合を示し、Y’はアニオン等価物を表す]。この種のそれぞれのポリマー単位は、上述の対応するオニウム塩の範囲内に入る。
【0075】
一態様では、Dブロックは、重合したパラ-ビニルベンジルアミノ(p-ビニルベンジルアミノ)誘導体又はビニルベンジルホスフィノ(p-ビニルベンジルホスフィノ)誘導体から構成されるポリマー単位を有する。そのようなブロックは、逐次重合及び/又はカップリング又は他の重合反応を介してp-ビニルベンジルアミノ誘導体モノマー又はp-ビニルベンジルホスフィノモノマーを使用するモノマー経路によって形成することができる。したがって、式(I)のアミノ官能化ポリマー単位を参照する場合、R2は水素であり、アミノ部分は4位に結合する。したがって、アミノ官能化ポリマー単位は、以下の式(IV)のp-ベンジル構造を有することができる。
【0076】
【化6】
-ZRは上記のように定義される。
【0077】
さらに、p-ビニルベンジルアミノ(p-VBA)誘導体のアミノ基の特定の例には、少なくとも以下のものが含まれる。
【0078】
【表1】
【0079】
本明細書では、Dブロック中のp-ビニルベンジルアミノ誘導体の使用は、ホフマン脱離反応を抑制する有益な効果を有することが見出されている。ホフマン脱離(完全メチル化としても知られる)は、第四級アミンを反応させて第三級アミン及びアルケンを生成する方法である。
【0080】
さらに、p-ビニルベンジルホスフィノ(p-VBPh)誘導体のホスフィノ基の特定の例には、少なくとも以下のものが含まれる。
【0081】
【表2】
【0082】
いくつかの態様では、官能化モノマーに加えて、Dブロックは、(i)スチレンのホモポリマー及びコポリマーから誘導されたセグメント、(ii)第一級アルキル基で置換されたフェニル環を有するスチレンのホモポリマー及びコポリマーから誘導されたセグメント、(iii)α-アルキルスチレンのホモポリマー及びコポリマーから誘導されたセグメント、(iv)第一級アルキル基によって置換されたフェニル環を有するα-アルキルスチレンのホモポリマー及びコポリマーから誘導されたセグメント、又は(v)(i)~(iv)の組み合わせを含むことができる。
【0083】
いくつかの態様では、式(I)のポリマー単位又は対応するオニウム塩に加えて、Dブロックのセグメントは、上記で定義したAブロック中に存在し得るポリマー単位のセグメント、例えば、重合した(i)エチレンモノマー;(ii)プロピレンモノマー、(iii)任意選択的に1つ以上のアルキル基で置換されたフェニル環を有するスチレン及びα-アルキルスチレンモノマー、(iv)(メタ)アクリレートエステルモノマー、又は(v)(i)~(iv)から選択されたモノマーの混合物を有することができる。したがって、式(I)のポリマー単位又は対応するオニウム塩は、ランダム状、テーパー状又は制御された様式で他のポリマーセグメントに分布することができる。
【0084】
特定の態様では、式(I)のポリマー単位又は対応するオニウム塩とは別に、Dブロックは、フェニル環が第一級アルキル、即ち、-CH-Rにより置換されている(アルキル)スチレン又は(アルキル)スチレンに由来するセグメントを含むことができる。したがって、各Dブロックは、スチレンのホモポリマー及びコポリマーから誘導されたセグメント、(ii)第一級アルキル基で置換されたフェニル環を有するスチレンのホモポリマー及びコポリマーから誘導されたセグメント、(iii)α-アルキルスチレンのホモポリマー及びコポリマーから誘導されたセグメント、(iv)第一級アルキル基で置換されたフェニル環を有するα-アルキルスチレンのホモポリマー及びコポリマーから誘導されたセグメント、又は(v)(i)~(iv)の組み合わせから選択される単位を含むことができる。
【0085】
いくつかの態様では、Dブロックの(アルキル)スチレン単位と共重合できるコモノマーは特に限定されない。Aブロック及びBブロックとの関連において言及された本質的に全てのモノマーは、Dブロックとの組み込みに適している。2つ以上のモノマーを組み合わせて使用する場合、ランダム、ブロック、テーパーブロック、制御された分布ブロック等の共重合形態から選択される任意の共重合形態を利用することができる。例えば、Dブロックは、米国特許第7,169,848号に開示されているように、コモノマーの制御された分布を有する共役ジエンブロックのセグメント、及びその部分的、選択的、又は完全に水素化された同等物を含むことができる。
【0086】
したがって、いくつかの態様では、Dブロックは、スチレン及び/又はα-アルキルスチレンのポリマー単位(又は他のポリマー単位)と共に、式(I)のポリマー単位又は対応するオニウム塩の混合ブロックであることができる。したがって、本明細書でさらに説明するように、これにより、Dブロック内で官能化ポリマー単位の程度をさらに制御することが可能になる。このように、Dブロック内には、官能化されないスチレンモノマーと、上記のようなアミノ基又はホスフィノ基で官能化されたものが存在するであろう。
【0087】
したがって、いくつかの態様では、アミノ基又はホスフィノ基は四級化されて、官能化ポリマー単位の対応するオニウム塩を形成することができ、より一般的には、式(I)で表すことができる。
【0088】
【化7】
[式中、R、R、R及びY’は前記の意味を有する]。他の態様では、基Rが、部分-(A-NRによって置換されたアルキル又はフェニルを表す場合、-(A-NR置換基の1つ以上の窒素は四級化されて官能化ポリマー単位の対応するオニウム塩を形成することができる。同様に、基Rが、それらが結合しているZ原子と一緒に、Zに加えて窒素環員を含む複素環系を形成する場合、そのような追加の窒素環員は四級化されてもよい。例えば、-ZRが任意選択的に置換されたピペラジン環を表す場合、対応するオニウム塩は、式(Iii)~(Iiv)のいずれか1つで表される構造を有することができる。
【0089】
【化8】
[式中、Y’は上記の意味を有し、そして各Rは独立して、一般に言及され、特にRaについて言及された水素又はアルキル基である。同様に、基Rが、それらが結合しているZ原子と一緒に、DABCO環系を形成する場合、対応するオニウム塩の式(I)のフェニル環の置換基もまた、以下の構造の1つを有することができる。
【0090】
【化9】
【0091】
さらに、アミンがアルキルを含む場合、又は混合酸素及び窒素員を含む環系を形成する場合、1つ以上の窒素基を四級化することができる。
【0092】
したがって、官能化ポリマー単位の対応するオニウム塩は、式(I.1)によって一般的に表すことができる。
【0093】
【化10】
[式中、添え字zは2又は3であり、nは-ZR又はZR サブ構造中に存在する四級化された窒素原子又はリン原子の総数であり、Y’は前述の意味を有する。]
Dブロック中に存在する官能基の数は、式(I)に対応する官能化ポリマー単位の平均量に、-ZR又はZR サブ構造中に存在する窒素原子の総数をかけたものによって決定されることは、上記から明らかである。官能化ブロックコポリマーがオニウム塩の形態である場合、官能基の約5%以上、あるいは約10%以上、あるいは約15%以上、又は約100%以下はオニウム塩の形態である。
【0094】
オニウム塩のアニオン当量Yを与えるアニオンは、特に限定されない。一般に、アニオンは、無機酸又は有機酸の任意の一塩基性又は多塩基性のアニオンであることができる。アニオンの例示的で非限定的な例としては、例えば、ハロゲン化物、特に、塩化物、臭化物及びヨウ化物、ヒドロキシル(OH)、硫酸塩(SO 2-)、硫酸水素塩(H )、硝酸塩(NO )、リン酸塩(PO 3-)、リン酸水素塩(HPO 2-)、リン酸二水素塩(HPO4―)、炭酸塩(CO 2-)、重炭酸塩(HCO )、ホウ酸塩(HBO4-)等;有機スルホン酸塩、例えば、メシラート(CH-SO3-)、トリフラート(CF-SO3-)、トシレート(4-CH-C-SO3-)、ベシレート(C-SO3-);有機カルボン酸塩、例えば、アセテート(CH-CO )、クロロアセテート(CHCl-CO )、ジクロロアセテート(CHCl-CO )、トリフルオロアセテート(CF-CO )、シュウ酸塩((CO 2-)、プロピオン酸塩(C-CO )、マロン酸塩((CHCO 2-)、酪酸塩(C-CO )、コハク酸塩([CH(CHCO2-)、安息香酸塩(C-CO )、フタル酸塩(C(CO 2-)、ビス(トリメチルシリル)イミド([(CHSi])、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド([CFSO)等が挙げられる。
【0095】
例示的な四級化剤としては、アルキル化剤、例えば、臭化ブチル、臭化ベンジル、及び臭化ネオペンチルが挙げられるが、これらに限定されない。種々のメチル化剤、例えば、限定するものではないが、ハロゲン化アルキル、ヨウ化メチル、臭化メチル、塩化メチル及びメチルトシレート等を適切に使用することができる。
【0096】
種々のアミン誘導体は、四級化に関して反応性の点で異なることが見出された。例えば、臭化ベンジルを使用することに関して、アミンは次の反応性の順序を有することができる。
【0097】
【化11】
【0098】
これは例示的なので、他のアミン又は他のハロゲン化物及び薬剤の使用は、反応性の他の順序を生じ得る。
【0099】
一般に、官能化末端ブロック(即ち、Dブロック)は、平均して少なくとも1つの式(I)の官能化ポリマー単位又は対応するオニウム塩を含む。しかし、官能化ブロックコポリマー中に存在する官能基の量は、材料のアニオン交換容量に直接的な影響を有するので、Dブロックの約5%以上のポリマー単位は、式(I)のポリマー単位又は対応するオニウム塩である。そのような例では、Dブロックのポリマー単位の約10%以上、あるいは約15%以上、あるいは約20%以上、あるいは約25%以上、あるいは約30%以上が式(I)のポリマー単位又は対応するオニウム塩である。
【0100】
いくつかの態様では、Dブロックのポリマー単位の100%が式(I)のポリマー単位又はオニウム塩である。他の態様では、Dブロックのポリマー単位の平均で約98%以下、あるいは95%以下、あるいは90%以下、あるいは85%以下が式(I)のポリマー単位又は対応するオニウム塩である。
【0101】
したがって、いくつかの態様では、Dブロックのポリマー単位の平均で約10%~約100%、あるいは約15%~約100%、あるいは約20%~約100%、あるいは約25%~約100%、あるいは約30%~約100%が、式(I)のポリマー単位又は対応するオニウム塩である。さらなる態様では、Dブロックのポリマー単位の平均で約10%~約98%、あるいは約15%~約98%、あるいは約20%~約98%、あるいは約25%~約98%、あるいは約30%~約98%が、式(I)のポリマー単位又は対応するオニウム塩である。いくつかの態様では、Dブロックのポリマー単位の平均で約10%~約95%、あるいは約15%~約95%、あるいは約20%~約95%、あるいは約25%~約95%、あるいは約30%~約95%が、式(I)のポリマー単位又は対応するオニウム塩である。他の態様では、Dブロックのポリマー単位の平均で約10%~約90%、あるいは約15%~約90%、あるいは約20%~約90%、あるいは約25%~約90%、あるいは約30%~約90%が、式(I)のポリマー単位又は対応するオニウム塩である。さらに別の態様では、Dブロックのポリマー単位の平均で約10%~約85%、あるいは約15%~約85%、あるいは約20%~約85%、あるいは約25%~約85%、あるいは約30%~約85%が、式(I)のポリマー単位又は対応するオニウム塩である。
【0102】
複数のDブロックが官能化ブロックコポリマー中に存在する場合、個々のDブロックは同一であっても異なっていてもよい。複数のDブロック間の差異は、(i)数平均分子量、(ii)式(I)の官能化ブロックコポリマー単位及び対応するオニウム塩の数、(iii)共重合したモノマーの存在又は不存在、(iv)存在する場合には、このような共重合したモノマーの量及び性質、又は(v)(i)~(iv)の組合せの1つ以上に存在することができる。
【0103】
いくつかの態様では、Dブロックが前記(アルキル)スチレンのコポリマーから誘導される場合、(アルキル)スチレンポリマー単位は、平均して少なくとも約10%の共重合ポリマーブロック単位を構成することができる。そのような共重合したブロックD(複数可)の(アルキル)スチレンポリマー単位は、平均して約15%以上、あるいは約20%以上、あるいは約25%以上、あるいは約30%以上の共重合したポリマーブロック単位を構成することができる。さらに、そのような共重合したブロックD(複数可)の前記(アルキル)スチレンは、平均で約80%以下、あるいは約75%以下、あるいは約70%以下の共重合したポリマーブロック単位を構成する。
【0104】
したがって、ブロックDが前記(アルキル)スチレンのコポリマーから誘導されるいくつかの態様では、(アルキル)スチレンポリマー単位は、平均で約10%~約80%、あるいは約15%~約80%、あるいは約20%~約80%、あるいは約25%~約80%、あるいは約30%~約80%の共重合したポリマーブロック単位を構成することができる。ブロックDが前記(アルキル)スチレンのコポリマーから誘導されるさらなる態様では、(アルキル)スチレンポリマー単位は、平均で約10%~約75%、あるいは約15%~約75%、あるいは約20%~約75%、あるいは約25%~約75%、あるいは約30%~約75%の共重合したポリマーブロック単位を構成することができる。ブロックDが前記(アルキル)スチレンのコポリマーから誘導される他の態様では、(アルキル)スチレンポリマー単位は、平均で約10%~約70%、あるいは約15%~約70%、あるいは約20%~約70%、あるいは約25%~約70%、あるいは約30%~約70%の共重合したポリマーブロック単位を構成することができる。
【0105】
官能化ブロックコポリマーのA、D及び任意のBブロックは、そのような構成の末端ブロックの少なくとも1つ又は全てがDブロックである限り、様々な構成で配置することができる。1つ以上のAブロック又はBブロックは、外部ブロック又は内部ブロックであることができる。官能化ブロックコポリマーは、末端Dブロックに加えて、さらなるブロックA又はブロックBの少なくとも1つを含む。特定の態様では、官能化ブロックコポリマーは、一般的な構成D-A,D-A-D,D-A-D-A-D,(D-A-D)X、(D-A)X、D-B-A-B-D、D-A-B-A-D、(D-B-A)X、(D-A-B)X、D-B、D-B-D、D-B-D-B-D、(D-B-D)X若しくは(D-B)X、又はそれらの混合物を有し、式中、nは2~約30の整数であり、Xはカップリング剤残基であり、複数のAブロック、Bブロック、又はDブロックは、同じであるか又は異なる。さらに、線状ブロックコポリマーを有することが望ましい場合には、nは2の整数である。しかし、実際には、線状ブロックコポリマーを線状にしようとする場合、ある程度の分枝があり、したがってnは平均で2~3であろう。非線状のブロックコポリマーの場合、整数nは3以上であり、星型の場合、整数nは3よりもはるかに大きい。
【0106】
一態様では、官能化ブロックコポリマーは、一般構造D-B、(D-B)X、D-B-D、(D-B-D)X又はそれらの混合物を有し、式中、nは2~約30の整数であり、Xはカップリング剤残基であり、複数のAブロック、Bブロック、又はDブロックは、同じであるか又は異なる。
【0107】
一態様では、官能化ブロックコポリマーは、一般構造D-A、(D-A)X、D-A-D、(D-A-D)X又はそれらの混合物を有し、式中、nは2~約30の整数であり、Xはカップリング剤残基であり、複数のAブロック、Bブロック、又はDブロックは、同じであるか又は異なる。
【0108】
本明細書に開示される官能化ブロックコポリマーは、任意の適切な方法を使用して調製することができる。ブロックコポリマーのDブロックの調製のための例示的な経路は、(1)その後にハロゲン化される官能化されていない前駆体ブロックの調製、あるいは(2)ハロゲン化ブロックコポリマーで出発し、これは次いでアミン又はホスフィン官能基で置換されること、あるいは(3)アミノ又はホスフィノ官能化モノマーが重合されてブロックを形成するモノマー経路を含む。Aブロック及び/又はBブロックはまた、任意のカップリング反応を用いて、前述の構成に従ってDブロックの前後に順次調製することができる。
【0109】
官能化ブロックコポリマーは、以下のスキームに概略的に示すように、様々な方法で調製することができる。
【0110】
【化12】
【0111】
前記式(II.a)、(III.a)、(IV.a)、(Ia)及び(I.b)中のR、R、Z、R、Y’、z及びnは、一般的に取り上げられる意味、特に前述の意味を有する。式(II.a)のYは、ハロゲン、特に塩素又は臭素を表す。式(II.a)、(III.a)、(IV.a)及び(I.a)のサブ構造
【0112】
【化13】
は、それぞれの変換の出発物質及び生成物がモノマーであってもよいし、それぞれ前駆体ブロックコポリマー(式(III.a)及び(IV.a))、ハロゲン化ブロックコポリマー(式(II.a))又は官能化ブロックコポリマー(式(I.a))のポリマー単位であってもよいことを示すことを意図される。好都合には、ブロック共重合は、変換(A)、(B)又は(E)のいずれか1つの前に実施することができる。
【0113】
当業者であれば、経路(C)に沿った式(II.a)から式(I.b)への直接変換は、式(II.a)がハロゲン化ブロックコポリマーの単位を表すことを必要とすることを理解するであろう。
【0114】
対照的に、経路(D)及び(E)に沿った式(I.a)を介した式(II.a)から式(I.b)への間接変換は、式(II.a)で表される出発物質及び式(I.a)で表される生成物がモノマーであり、モノマー(I.a)が引き続いてブロック共重合されて式(I.a)で表される官能化ブロックコポリマーを生成し、式(I.a)で表される官能化ブロックコポリマーが引き続いて四級化されて式(I.b)で表される官能化ブロックコポリマーを得るように実施される。それぞれのアプローチは、以下のスキームに概略的に示される。
【0115】
【化14】
【0116】
アミン官能化モノマーの調製の例示的な実例を以下に示す。
【0117】
【化15】
【0118】
上記に示すように、p-ビニルベンジルクロライド(p-VBC)をアミンと反応させて、HClを副生成物としてp-VBPを形成することができる。塩化物がp-VBCと共に使用されるが、他のハロゲン化物も同様に使用できることが理解されるであろう。さらに、官能化モノマーを形成するために、本明細書に記載の他のアミンを使用することができる。
【0119】
あるいは、先に記載したように、式(II.a)で表されるハロゲン化モノマーを出発物質として使用することができる。このような状況下では、モノマーは式(V.b)のアミンで処理するために溶媒又は溶媒混合物に溶解又は分散される。適切な溶媒には、前述のプロトン性又は非プロトン性の極性溶媒、及び任意選択的にハロゲン化された炭化水素等の無極性溶媒が含まれる。
【0120】
例えば、式(I.a)で表されるモノマーを用いた官能化ブロックコポリマーの重合は、スチレンブロックコポリマーのブロック共重合に通常使用されるブロック共重合法によって調製することができる。
【0121】
好都合には、それぞれのブロックコポリマーは、リチウム開始剤の存在下で溶液中で適切なモノマーが重合されるアニオン重合法によってブロック共重合される。重合ビヒクルとして使用される溶媒は、形成ポリマーのリビングアニオン鎖末端と反応せず、市販の重合単位中で容易に取り扱われ、生成ポリマーに対して適切な溶解特性を提供する任意の炭化水素であることができる。例えば、一般にイオン化可能な水素原子を欠いている非極性脂肪族炭化水素は、特に好適な溶媒を作る。シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン及びシクロオクタンのような環状アルカンが頻繁に使用され、これらは全て比較的非極性である。他の適切な溶媒は、重合温度が考慮される因子の1つである所与の一連の処理条件において効果的に実施されるように選択することができる。
【0122】
それぞれのブロックコポリマーを調製するための出発物質には、初期モノマー、特にAブロック、Bブロック又はDブロックを形成するために使用されるモノマーが含まれる。しかし、いくつかの態様では、重合を開始させる初期モノマーは、Aブロック又はDブロックに使用されるものであることができる。アニオン共重合のための他の出発物質には、1つ以上の重合開始剤が含まれる。適切な開始剤には、例えば、s-ブチルリチウム、n-ブチルリチウム、tert-ブチルリチウム、アミルリチウム等のアルキルリチウム化合物、及びm-ジイソプロペニルベンゼンのジ-sec-ブチルリチウム付加物等のジイニシエータ(di-initiator)をはじめとする他の有機リチウム化合物が含まれる。さらに好適なジイニシエータは、米国特許第6,492,469号に開示されている。種々の重合開始剤の中で、s-ブチルリチウムを利用することができる。開始剤は、所望のポリマー鎖当たり1つの開始剤分子に基づいて計算した量で、重合混合物(モノマー及び溶媒を含む)中で使用することができる。リチウム開始剤処理は、例えば、米国特許第4,039,593号及びRe.27,145に記載されている。
【0123】
それぞれのブロックコポリマーを調製するための重合条件は、典型的には、一般にアニオン重合に使用される条件と同様である。本開示では、重合は、約-30℃~約150℃、あるいは約10℃~約100℃、あるいは約30℃~約90℃の温度で行うことができる。いくつかの態様では、官能化モノマーの重合及び他のモノマー及びブロックとの共重合は、室温、あるいは約15℃~約70℃、あるいは約20℃~約60℃、あるいは約25℃~約50℃、又はこれらの前述の温度の組み合わせ、又はそのような範囲内の個々の温度で行うことができる。重合は、窒素のような不活性雰囲気中で行うことができ、約0.5~約10バールの範囲内の圧力下で達成することもできる。この共重合は、温度、モノマー成分の濃度、及びポリマー又はポリマーブロックの所望の分子量に依存して、一般に約12時間未満を要し、約5分~約5時間で達成することができる。2つ以上のモノマーを組み合わせて使用する場合、ランダム、ブロック、テーパーブロック、制御された分布ブロック等の共重合形態から選択される任意の共重合形態を利用することができる。
【0124】
本明細書に開示される官能化ブロックコポリマーは、逐次重合によって調製することができる。逐次重合のみを用いると、典型的には線状ポリマーが得られる。しかし、カップリング工程を用いることもできる。例えば、初期ブロックコポリマーは逐次重合によって形成され、次いでカップリング剤が添加されて、最終的なカップリングされたブロックコポリマーを形成することができる。
【0125】
様々なカップリング剤を、本開示のカップリングされたブロックコポリマーを調製する際に使用することができる。これらには、例えば、ジハロアルカン、ハロゲン化ケイ素、シロキサン、多官能性エポキシド、シリカ化合物、一価アルコールとカルボン酸とのエステル(例えば、安息香酸メチル及びアジピン酸ジメチル)及びエポキシ化オイルが挙げられるが、これらに限定されない。星型ポリマーは、例えば、米国特許第3,985,830号、米国特許第4,391,949号、及び米国特許第4,444,953号、及びカナダ特許第716,645号に開示されているようなポリアルケニルカップリング剤を用いて調製される。適切なポリアルケニルカップリング剤としては、ジビニルベンゼン及びm-ジビニルベンゼンが挙げられるが、これらに限定されない。具体例としては、テトラメトキシシラン(TMOS)、テトラエトキシシラン(TEOS)等のテトラアルコキシシラン、メチルトリメトキシシラン(MTMS)等のトリアルコキシシラン、アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジエチル等の脂肪族ジエステル、ビスフェノールAとエピクロロヒドリンとの反応に由来するジグリシジルエーテルのようなジグリシジル芳香族エポキシ化合物が挙げられる。一態様では、使用されるカップリング剤は、ジビニルベンゼン(DVB)のようなジビニル芳香族化合物を含むことができる。DVBは、約0.5:1~約4:1、あるいは約1:1~約3:1、あるいは約2:1~約3:1のDVB対開始剤(リチウム開始剤等)の比で添加することができる。驚くべきことに、DVBカップリング剤をVBP等のp-VBA誘導体モノマーと併用すると、2つのアームを有する線状のブロックコポリマーが得られる。他の態様では、カップリングされたブロックコポリマーは2~3つのアーム又は3つのアームを有することができ、したがって2~3のnを有する。さらに他の態様において、カップリングされたブロックコポリマーは、主に2つのアームを有することができ、したがって、主に線状であることができる。
【0126】
上記のように、場合によっては、ブロックコポリマーを選択的に水素化して、Aブロック及び/又はBをハロゲン化しやすくすることができる任意のエチレン性不飽和を除去する。また、水素化により、一般に、熱安定性、紫外線安定性、酸化安定性、したがって最終ポリマーの耐候性が改善される。
【0127】
水素化は、いくつかの水素化法又は選択的水素化法のいずれかを介して行うことができる。例えば、そのような水素化は、例えば、米国特許第3,595,942号、第3,634,549号、第3,670,054号、及び第3,700,633号、並びにUS Re. 27,145号に教示されているような方法を用いて達成されてきた。したがって、エチレン性不飽和を含有するポリマーは、適切な触媒を用いて水素化することができる。そのような触媒又は触媒前駆体は、アルミニウムアルキル又は元素の周期律表の第1、2及び13族から選択される金属、特にリチウム、マグネシウム又はアルミニウムの水素化物のような適切な還元剤と組み合わされるニッケル又はコバルトのような第9族又は第10族金属を含むことができる。水素化は、約20℃~約120℃の温度で適切な溶媒又は希釈剤中で行うことができる。有用な他の触媒としては、チタン系触媒系が挙げられる。
【0128】
上述したように、本明細書に開示されるアミノ又はホスフィノ官能化ブロックコポリマーは、アミノ又はホスフィノ官能化ブロックを「尾部」として含むことができる。特に、アミノ又はホスフィノ官能化ブロックは、残りのブロックコポリマーと比較して少量であることができる。
【0129】
例えば、アミノ又はホスフィノ官能化ブロック(単数又は複数)は、一緒になってブロックコポリマーの全分子量に基づいて、約15重量%以下、あるいはブロックコポリマーの約10重量%以下、あるいはブロックコポリマーの約7.5重量%以下、あるいはブロックコポリマーの約5重量%以下、あるいはブロックコポリマーの約3重量%以下、あるいは約2重量%以下、あるいはブロックコポリマーの約1重量%以下である。あるいはアミノ又はホスフィノ官能化ブロック(単数又は複数)は、一緒になって、ブロックコポリマーの全分子量に基づいて、ブロックコポリマーの約20モル%以下、あるいは約15重量%以下、あるいはブロックコポリマーの約10重量%以下、あるいはブロックコポリマーの約7.5重量%以下、あるいはブロックコポリマーの約5重量%以下、あるいはブロックコポリマーの約3重量%以下、あるいは約2重量%以下、あるいはブロックコポリマーの約1重量%以下である。
【0130】
いくつかの例では、例えば、ブロックコポリマーが大きなジエンセグメント又は大きなBブロック、即ち、「軟質」ブロックを有する場合、アミノ又はホスフィノ官能化尾部を対イオンで四級化することができる。いかなる特定の理論にも固執するつもりはないが、そのような場合、四級化されたアンモニウム又はホスホニウム官能化ブロックは架橋し、それによってブロックコポリマーに機械的強度が提供されると考えられる。したがって、ポリマーの大部分が1つ以上の軟質Bブロックで構成されているが、四級化されたアンモニウム又はホスホニウム尾部によるイオン架橋により、許容可能な引張強度を有する物品及び膜の形成が可能になる。例えば、Bブロックは、ブロックコポリマーの全分子量により、ブロックコポリマーの総重量に基づいて約50重量%以上、あるいは約70重量%以上、あるいは約80重量%以上、あるいは約90重量%以上、あるいは約95重量%以上、あるいは約99重量%以上であることができる。Bブロック(複数可)は、約50モル%以上、あるいは約70モル%以上、あるいは約80モル%以上、あるいは約90モル以上、あるいは約95モル%以上、あるいは約99モル%以上であることができる。アミノ又はホスフィノ官能化されたブロックは四級化されることができ、ブロックコポリマーは、強度を有し、力が加えられたときにいくらかの変形を許容する等の良好な機械的特性を有するフィルム又は膜に流涎成形される。
【0131】
一態様では、本明細書に開示されている種類のブロックコポリマーは、組成物に形成され、約1.0E-8cm/秒~約1.0E-6cm/秒の透過性及び約80%未満、あるいは約75%未満の選択透過性によって特徴付けられるフィルムに流涎成形される。
【0132】
他の態様では、ジエン含有ポリマーセグメントが水素化されるように、アミノ又はホスフィノ官能化ブロックコポリマーを水素化することができる。例えば、上記のような「尾部」としての、又はブロックコポリマー中のより少量のアミノ又はホスフィノ官能化ブロックによって、任意のジエンブロックを約50モル%以上のレベルまで水素化することができ、あるいは約60モル%以上、あるいは約70モル%以上が達成され得る。
【0133】
(追加の開示)
本開示の以下の列挙された態様は、非限定的な例として提供される。
【0134】
少なくとも1つの外部ブロックにおいてアミノ又はホスフィノ基、又は対応するオニウム塩基、及び任意選択的に追加のヘテロ原子(これらの全てがブロックコポリマーに有意な極性を与え、例えば、アニオン交換特性を示すか、又は様々な他の用途に使用することができる)で官能化されたブロックコポリマーが本明細書に開示される。特に、使用されるブロックコポリマーは、末端アミノ又はホスフィノ官能化Dブロック及び1つ以上の「硬質」Aブロック又は「軟質」Bブロックを有することができ、これらは内部又は外部ブロックであることができる。
【0135】
第1の態様では、本開示は、
(a) 平均で少なくとも1つの式(I)のアミノ又はホスフィノ官能化ポリマー単位を含む少なくとも1つの末端ブロックD、
【0136】
【化16】
並びに
(b) アミノ官能基又はホスフィノ官能基を実質的に含まず、約1,000~約60,000の数平均分子量を有し、高い使用温度を有する1つ以上のAブロック、及び
(c) 各ブロックBが本質的に官能化されておらず、約1,000~約1,000,000の数平均分子量を有し、高くても約20℃のガラス転移温度を有する1つ以上のBブロック、及び
(d) 1つ以上のAブロックと1つ以上のBブロックとの混合物
[式中、
Zは窒素又はリンであり;
は水素又はアルキル基であり;
は水素又は第三級アルキル基であり;
Rは、各々独立して、任意選択的に部分-(A-NR)xR又は-(A-OR)xRで置換されたアルキル又はフェニルであり;又は
2つのR基は、それらが結合しているZと一緒になって、任意選択的に置換された環を形成し;
xは、1、2又は3であり;
は、任意選択的に1つ以上のメチル基及び/又はエチル基で置換された直鎖アルキレンであり;及び
及びRは、各々独立して、水素又はアルキル基である。]
からなる群から選択される1つ以上の追加のブロック
又は対応するオニウム塩
を含む、官能化されたブロックコポリマーに関する。
【0137】
第2の態様では、本開示は、Dブロックがブロックコポリマーの外部末端の各々に形成される、第1の態様に従う官能化ブロックコポリマーに関する。
【0138】
第3の態様では、本開示は、少なくとも1つの末端ブロックDがブロックコポリマーの少なくとも25重量%である、上記態様のいずれか1つに従う官能化ブロックコポリマーに関する。
【0139】
第4の態様では、本開示は、少なくとも1つの末端ブロックDがブロックコポリマーの50重量%以下である、前記態様1及び2のいずれかに従う官能化ブロックコポリマーに関する。
【0140】
第5の態様では、本開示は、少なくとも1つの末端ブロックDがブロックコポリマーの3重量%以下である、上記態様1、2及び4のいずれかに従う官能化ブロックコポリマーに関する。
【0141】
第6の態様では、本開示は、官能化ブロックコポリマーが共役ジエンのセグメントを有するBブロックをさらに含む、前述の態様のいずれかに従う官能化ブロックコポリマーに関する。
【0142】
第7の態様では、本開示は、共役ジエン単位の少なくとも50%が水素化されている、第6の態様に従う官能化ブロックコポリマーに関する。
【0143】
第8の態様では、本開示は、Dブロックがブロックコポリマーの全分子量の15重量%以下を構成する、態様6又は7のいずれかに従う官能化ブロックコポリマーに関する。
【0144】
第9の態様では、本開示は、共役ジエン単位の少なくとも70%が水素化されている、態様6又は7のいずれかに従う官能化ブロックコポリマーに関する。
【0145】
第10の態様では、本開示は、官能化ブロックコポリマーが少なくとも1つのBブロックを含み、少なくとも1つのBブロックが一緒になってブロックコポリマーの分子量の少なくとも50重量%であり、ブロックD(複数可)の官能基の10~100%がオニウム塩の形態である、前述の態様のいずれかに従う官能化ブロックコポリマーに関する。
【0146】
第11の態様では、本開示は、官能化ブロックコポリマーが少なくとも1つのBブロックを含み、少なくとも1つのBブロックが一緒になってブロックコポリマーの分子量の少なくとも75重量%であり、ブロックコポリマーは星型分枝状である、前述の態様のいずれかに従う官能化ブロックコポリマーに関する。
【0147】
第12の態様では、本開示は、官能化ブロックコポリマーが少なくとも1つのBブロックを含み、各ブロックBが本質的に官能化されていない、前述の態様のいずれかに従う官能化ブロックコポリマーに関する。
【0148】
第13の態様では、本開示は、各ブロックBが、独立して、重合した(i)エチレンモノマー、(ii)C~Cα-オレフィンモノマー、(iii)イソブチレンモノマー、(iv)共役ジエンモノマー、(v)(メタ)アクリレートエステルモノマー、(vi)ケイ素ポリマー、及び(vii)(i)~(v)から選択されたモノマーの混合物からなる群から選択され、重合した共役ジエンモノマーを含有するセグメントが任意選択的に水素化されている、態様11に従う官能化ブロックコポリマーに関する。
【0149】
第14の態様では、本開示は、一般的な構成A-B-D、D-B-D、B-Dを有する、前述の態様のいずれかに従う官能化ブロックコポリマーに関する。
【0150】
第15の態様では、本開示は、Dブロック(複数可)が一緒になってブロックコポリマーの全分子量の10重量%未満を構成する、態様14に従う官能化ブロックコポリマーに関する。
【0151】
第16の態様では、本開示は、一般的な構成D-A、D-A-D、D-A-D-A-D、(D-A-D)X、(D-A)X、D-B-A-B-D、D-A-B-A-D、(D-B-A)X、(D-A-B)X、D-B、D-B-D、D-B-D-B-D、(D-B-D)X若しくは(D-B)X又はそれらの混合物を有し、式中、nは2~約30の整数であり、Xはカップリング剤残基であり、複数のAブロック、Bブロック、又はD Aブロックは同一又は異なる、前述の態様1から13のいずれかに従う官能化ブロックコポリマーに関する。
【0152】
第17の態様では、本開示は、各ブロックDが、独立して(i)スチレンのホモポリマー及びコポリマーから誘導されたセグメント、(ii)第一級アルキル基で置換されたフェニル環を有するスチレンのホモポリマー及びコポリマーから誘導されたセグメント、(iii)α-アルキルスチレンのホモポリマー及びコポリマーから誘導されたセグメント、及び(iv)第一級アルキル基で置換されたフェニル環を有するα-アルキルスチレンのホモポリマー及びコポリマーからなる群から選択される、前述の態様のいずれかに従う官能化ブロックコポリマーに関する。
【0153】
第18の態様では、本開示は、Dブロックが、(i)共役ジエン、又は(ii)任意選択的に1つ以上のアルキル基で置換されたフェニル環を有するスチレン又はα-アルキルスチレンモノマーから選択される追加のポリマー単位を含む混合ブロックである、前述の態様1~16のいずれかに従う官能化ブロックコポリマーに関する。
【0154】
第19の態様では、本開示は、前述の態様のいずれかに従う官能化ブロックコポリマーを含む膜又はフィルムに関する。
【0155】
第20の態様では、本開示は、不活性炭化水素溶媒中で開始剤の存在下で、(a)複数のp-ビニルベンジルアミンモノマー又はビニルベンジルホスフィンから末端ブロックDを重合する工程(ただし、(p-ビニルベンジルアミンモノマー又はビニルベンジルホスフィンモノマーは20℃~60℃の温度範囲で重合することができる);(b)少なくとも1つ以上の追加のブロックを重合する工程(ここで、1つ以上の追加のブロックは、高くても20℃のTgを有する非晶質ブロックB、少なくとも約20℃の高い使用温度を有する結晶性又は半結晶性のブロックA、及びそれらの混合物を含む群から選択される)、及び;(c)任意選択的に、工程(a)~(b)から形成されたブロックコポリマーをカップリングする、又は第2の末端ブロックDを重合する工程を含む、アミノ又はホスフィノ官能化ブロックコポリマーの調製方法に関する。
【0156】
第21の態様では、本開示は、Dブロックがブロックコポリマーの外部末端の各々に形成される、態様20に従うアミノ官能化ブロックコポリマーの調製方法に関する。
【0157】
第22の態様では、本開示は、ブロックDが複数のp-ビニルベンジルアミンモノマーから重合される、態様20に従うアミノ官能化ブロックコポリマーの調製方法に関する。
【0158】
第23の態様では、本開示は、各末端ブロックDがブロックコポリマーの全分子量の10重量%以下を構成する、態様20に従うアミノ又はホスフィノ官能化ブロックコポリマーの調製方法に関する。
【0159】
第24の態様では、本開示は、アミノ官能化ブロックコポリマーが少なくとも1つのBブロックを含み、少なくとも1つのBブロックが一緒になってブロックコポリマーの分子量の少なくとも50重量%であり、ブロックD(複数可)の官能基の10~100%がオニウム塩の形態である、前述の態様20から23のいずれかに従うアミノ官能化ブロックコポリマーの調製方法に関する。
【0160】
第25の態様では、本開示は、前述の態様20から24のいずれかに従う官能化ブロックコポリマーを含む膜又はフィルムに関する。
【実施例
【0161】
いくつかの例示的アミノ官能化ブロックコポリマーを表1の実施例1~8に示す。アミノ官能化ブロックコポリマーを、モノマー経路、即ち、スチレン(S)、及び/又はイソプレン(I)若しくはブタジエン(B)のような共役ジエンの1つ以上の他のブロックの前又は後にp-ビニルベンジルアミン(VBA)モノマーの逐次重合を介して調製する。VBAは表(即ち、p-ビニルベンジルアミン)に総括的に示されているが、特定のVBAは「VBA種類」の欄に示されている。
【0162】
最初に、アミノ官能化ブロックコポリマーを商業的に購入するか、又は所望のアミノ置換基によるポリ(p-ビニルベンジルクロライド)中の塩化物置換基の求核置換を介して合成した。VBAモノマーの有用性により、逐次アニオン重合を行うことができる。特に、溶媒としてのシクロヘキサン中、25℃~70℃の範囲の温度でアニオン重合を実施した。しかし、VBAモノマーの使用では、重合はリチウム系開始剤を用いて25℃(即ち、室温)で行った。
【0163】
実施例1~8の調製されたブロックコポリマーを表1に示す。
【0164】
【表3】
【0165】
実施例2をDVBを用いてカップリングし、75%のカップリング効率がもたらされ、星型分岐ポリマーが形成され、614,000g/モル~1,200,000g/モルの分子量を有していた(表1はカップリング前の分子量を報告する)。
【0166】
VBAと別のモノマーとの混合ブロックコポリマーも同様に調製することができる。合成手順は実施例1~8と同様であるが、コポリマーブロックの場合モノマーの混合物が開始された。実施例9~11を、S/VBAとして示されるスチレンとVBAとの混合ブロックを有するブロックを含む表2に示す。表2~3において、「/」は、2種類のモノマーのランダム混合ブロックを示す。実施例9をDVBを用いてカップリングし、94%のカップリング効率がもたらされ、星形分枝ポリマーが形成され、主に320kg/モルの分子量を有していた。
【0167】
【表4】
【0168】
ホスフィノ官能化ブロックコポリマーを、表3の実施例12~13に示す。ホスフィノ官能化ブロックコポリマーは、実施例9~11と同じ合成方法によって調製されるが、重合温度は40℃である。VBPhを表(即ち、p-ビニルベンジルホスフィン)に包括的に示すが、特定のVBPhを「VBPh種類」の欄に示す。
【0169】
【表5】
【0170】
水素化されたアミノ官能化ブロックコポリマーもまた形成することができる。例えば、1つの実験では、ポリマーをシクロヘキサンに溶解して約5重量%の固形分を有するポリマー溶液を形成することによって、実施例2のポリマー溶液を調製した。次いで、約100ppmのコバルト/アルミニウム触媒の存在下で、水素ガスを40barg及び75℃の温度で導入することによりポリマーを水素化した。得られたポリマー溶液を75℃の水中の1%リン酸溶液で2回洗浄した。アンモニア水で中和し、100の樹脂当たり0.2部(「phr」)のIrganox(R) 1010の添加後、水素化ポリマーを水蒸気凝固により凝固させ、続いて60℃で真空下で乾燥させた。残留ポリジエン不飽和濃度を、H-NMRによって、ポリマー1g当たり0.03ミリ当量であると決定した。
【0171】
表1及び表2の手順に従って調製することができる混合ブロックを有するさらなる仮説例を、以下の表4に示す。
【0172】
【表6】
【0173】
表5に示すように、さらなる実施例を四級化して及びしないで調製した。
【0174】
【表7】
【0175】
化学量論的量の適切な四級化剤との反応によって、p-VBA部分を第四級ポリアンモニウム塩に変換するために、表1~3の実施例の任意のものをその後に四級化することができる。表Iの実施例2及び8を、ヨウ化メチル又は臭化ベンジルとの反応によってクロロホルム中で首尾よく四級化した(表5参照)。四級化の前に、生成物は粘着性のある半固体材料に相当した。四級化後、両方の生成物を弾性可撓性フィルムに流涎成形することができた。表5のIECは、アミノ官能基の存在に基づく各ポリマーのイオン当量含有率を表す。
【0176】
続いて、実施例8Aを、120マイクロメートルのフィルムアプリケータを用いてマイラーに溶液流涎成形する工程によってフィルムに形成した。次いで、得られたフィルムを、透過性及び選択透過性をはじめとするイオン輸送特性について試験した。実施例8Aのフィルムは、1.0E-7cm/秒の透過性、70%の選択透過性を示した。
【0177】
本開示の組成物(試料番号18~30は参考例である。)のさらなる特性を表6及び7に示す。
【0178】
【表8】
【0179】
【表9】
【0180】
本開示の特定の組成物及び方法の前述の説明は、例示及び説明の目的で提示されている。これらは網羅的であることを意図せず、又は開示を正確な組成物及び開示された方法に限定することを意図するものではなく、明らかに多くの修正及び変形が上記の教示に照らして可能である。実施例は、本開示の原理及びその実際の応用を最もよく説明するために選択され、記載されており、当業者が意図される特定の用途に適した様々な修正をもって本開示を最も良く利用できるようにする。本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物によって規定されることが意図される。