(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-27
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】蓄電池の組み立て
(51)【国際特許分類】
H01M 50/258 20210101AFI20220128BHJP
H01M 50/213 20210101ALI20220128BHJP
H01M 50/218 20210101ALI20220128BHJP
H01M 50/293 20210101ALI20220128BHJP
H01M 50/505 20210101ALI20220128BHJP
H01M 50/512 20210101ALI20220128BHJP
H01M 50/503 20210101ALI20220128BHJP
H01M 50/516 20210101ALI20220128BHJP
H01M 50/528 20210101ALI20220128BHJP
【FI】
H01M50/258
H01M50/213
H01M50/218
H01M50/293
H01M50/505
H01M50/512
H01M50/503
H01M50/516
H01M50/528
(21)【出願番号】P 2018544506
(86)(22)【出願日】2017-02-22
(86)【国際出願番号】 CA2017050218
(87)【国際公開番号】W WO2017143433
(87)【国際公開日】2017-08-31
【審査請求日】2020-01-08
(32)【優先日】2016-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CA
(73)【特許権者】
【識別番号】507381363
【氏名又は名称】ハイドロ-ケベック
(74)【代理人】
【識別番号】100158920
【氏名又は名称】上野 英樹
(72)【発明者】
【氏名】ラヴォア, サミュエル
(72)【発明者】
【氏名】ランバート, ジスラン
(72)【発明者】
【氏名】ザジブ, カリム
【審査官】福井 晃三
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102011119253(DE,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0340672(US,A1)
【文献】特開2011-216366(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0177376(US,A1)
【文献】国際公開第2012/101728(WO,A1)
【文献】特開2011-108613(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0020645(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20-50/298
H01M 50/50-50/598
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状蓄電池用の組立モジュールであって、
並列構成の管状蓄電池群の両端部を受け入れ、かつ保持するための開口部のそれぞれの配列を有する、絶縁材料で作られている第1および第2の支持要素であって、前記蓄電池の前記端部が延在するそれぞれの表面を有する、第1および第2の支持要素と、
それぞれが前記第1および第2の支持要素の前記表面に接触して延在する導電材料の第1および第2のシートであって、前記蓄電池の前記端部のうちの対応する1つに溶接され、前記蓄電池との電気接触面を形成する、導電材料の第1および第2のシートと、
管状蓄電池用の組立モジュールの前記シートのうちの1つと接触して配置される管状蓄電池用の同様の組立モジュールの支持要素の相補固定配列を有する前記第1および第2の支持要素の固定要素の配列と
を含
み、前記固定配列のうちの1つが、前記第1の支持要素の導電材料の前記シートの穴と合致するように前記第1の支持要素上に取り付けられたナットの組を含み、前記固定配列のうちの別のものが、前記ナットに適応させた、前記第2の支持要素の導電材料の前記シートの穴を通じて突出するねじの組を含み、前記ナットの組と前記ねじの組が、前記組立モジュールと端部同士をつなげて組み立てられる同様の組立モジュールのナットの組とねじの組と連携する、組立モジュール。
【請求項2】
前記第1の支持要素の前記表面が、前記ナットを受け入れ、かつ押し込むための前記蓄電池の前記端部間に分配されたハウジングを含み、前記第2の支持要素が、対応する前記ナットへの前記ねじのねじ止めを可能にするために、前記ねじと位置合わせされた穴を含む、請求項
1に記載の組立モジュール。
【請求項3】
前記ねじと位置合わせされた前記穴が、前記ねじの通過を防ぐショルダを有する、請求項
2に記載の組立モジュール。
【請求項4】
前記支持要素の前記表面が、前記蓄電池の前記端部間に延在する凹部を含む組立モジュールであって、前記支持要素と導電材料の前記対応するシートとの間の前記凹部に挿入される剛性材料で作られているプレートをさらに含む、請求項1に記載の組立モジュール。
【請求項5】
導電材料の前記シートが、前記支持要素の側面に突出するタブを有する、請求項1に記載の組立モジュール。
【請求項6】
前記蓄電池が円筒状であり、前記支持要素の前記開口部が円状である、請求項1に記載の組立モジュール。
【請求項7】
前記支持要素が、長方形の形状を有し、前記支持要素の前記開口部が、均一かつ対称的に分配される、請求項1に記載の組立モジュール。
【請求項8】
管状蓄電池を組み立てるためのプロセスであって、
直列に結合される組立モジュールにおいて並列の蓄電池群の形状で前記管状蓄電池を取り付けるステップであって、前記組立モジュールの各々が、
並列構成の管状蓄電池群の両端部を受け入れ、かつ保持するための開口部のそれぞれの配列を有する、絶縁材料で作られている第1および第2の支持要素であって、前記蓄電池の前記端部が延在するそれぞれの表面を有する、第1および第2の支持要素と、
それぞれが前記第1および第2の支持要素の前記表面に接触して延在する導電材料の第1および第2のシートであって、前記蓄電池の前記端部のうちの対応する1つに溶接され、前記蓄電池との電気接触面を形成する、導電材料の第1および第2のシートと、
管状蓄電池用の前記組立モジュールの前記シートのうちの1つと接触して配置される管状蓄電池用の同様の組立モジュールの支持要素の相補固定配列を有する前記第1および第2の支持要素の固定要素の配列と
を含
み、前記固定配列のうちの1つが、前記第1の支持要素の導電材料の前記シートの穴と合致するように前記第1の支持要素上に取り付けられたナットの組を含み、前記固定配列のうちの別のものが、前記ナットに適応させた、前記第2の支持要素の導電材料の前記シートの穴を通じて突出するねじの組を含み、前記ナットの組と前記ねじの組が、前記組立モジュールと端部同士をつなげて組み立てられる同様の組立モジュールのナットの組とねじの組と連携する、ステップと、
前記組立モジュール間の導電材料の前記シートが互いに接触するように、前記組立モジュールを直列に配置するステップと、
前記組立モジュールの固定要素の前記配列によって前記組立モジュールを互いに固定するステップと
を含む、プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、蓄電池の組み立てに関し、より具体的には、管状蓄電池を組み立てるためのモジュールおよびプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
様々な用途では、電気車両(例えば、バス)の事例のように、並列および直列に配列される多数の蓄電池を組み立てることを必要とする。蓄電池の電気配線抵抗は最小であることが望ましい。また、蓄電池の組み立ては、例えば、欠陥を呈する恐れのある蓄電池群を都合よく交換できるようにすることも望ましい。また、蓄電池の熱膨張、振動の事例における接点の強度および重量などの他の態様も考慮される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、管状蓄電池(例えば、円筒状蓄電池)を組み立て、蓄電池の電気配線抵抗を最小化するためのモジュールおよびプロセスを提供することであり、同モジュールおよびプロセスは、有利には、電気車両の事例のような用途に適している。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の態様によれば、管状蓄電池用の組立モジュールであって、
並列構成の管状蓄電池群の両端部を受け入れ、かつ保持するための開口部のそれぞれの配列を有する、絶縁材料で作られている第1および第2の支持要素であって、蓄電池の端部が延在するそれぞれの表面を有する、第1および第2の支持要素と、
それぞれが第1および第2の支持要素の表面に接触して延在する導電材料の第1および第2のシートであって、蓄電池の端部のうちの対応する1つに溶接され、蓄電池との電気接触面を形成する、導電材料の第1および第2のシートと、
管状蓄電池用の組立モジュールのシートのうちの1つと接触して配置される管状蓄電池用の同様の組立モジュールの支持要素の相補固定配列を有する第1および第2の支持要素の固定要素の配列と
を含む、組立モジュールが提供される。
【0005】
本発明の別の態様によれば、管状蓄電池を組み立てるためのプロセスであって、
直列に結合される組立モジュールにおいて並列の蓄電池群の形状で管状蓄電池を取り付けるステップであって、組立モジュールが、
並列構成の管状蓄電池群の両端部を受け入れ、かつ保持するための開口部のそれぞれの配列を有する、絶縁材料で作られている第1および第2の支持要素であって、蓄電池の端部が延在するそれぞれの表面を有する、第1および第2の支持要素と、
それぞれが第1および第2の支持要素の表面に接触して延在する導電材料の第1および第2のシートであって、蓄電池の端部のうちの対応する1つに溶接され、蓄電池との電気接触面を形成する、導電材料の第1および第2のシートと、
管状蓄電池用の組立モジュールのシートのうちの1つと接触して配置される管状蓄電池用の同様の組立モジュールの支持要素の相補固定配列を有する第1および第2の支持要素の固定要素の配列と
を含む、ステップと、
組立モジュール間の導電材料のシートが互いに接触するように、組立モジュールを直列に配置するステップと、
組立モジュールの固定要素の配列によって組立モジュールを互いに固定するステップと
を含む、プロセスが提供される。
【0006】
本発明の好ましい実施形態の詳細な説明は、以下の図面を参照して、以下で提供する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施形態による、並列蓄電池群用の組立モジュールの展開概略図である。
【
図2】本発明の実施形態による、直列位置で組み立てられた並列蓄電池群用の2つの組立モジュールを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
好ましい実施形態の詳細な説明
図1を参照すると、本発明の実施形態による、並列蓄電池4群用の組立モジュール2が示されている。モジュール2は、並列構成の蓄電池4群の両端部を受け入れ、かつ保持するための開口部10のそれぞれの配列を有する、絶縁材料で作られている第1および第2の支持要素6、8を含む。示される実施形態では、蓄電池4は円筒状であり、開口部10は円状であるが、他の管状形状も可能である。支持要素6、8は、蓄電池4の端部が延在するそれぞれの表面12を有する。導電材料の第1および第2のシート14、16は、それぞれが支持要素6、8の表面12に接触して延在する。シート14、16は、例えば材料を溶かすことによって蓄電池4の端部(端子)のうちの対応する1つに溶接され、蓄電池4との電気接触面を形成する。ナット18とナット18に適応させたねじ22の組などの固定要素の配列は、
図2に示されるように、組立モジュール2のシート14、16のうちの1つと接触して配置される同様の組立モジュール2の支持要素の相補固定配列によって支持要素6、8を固定することを可能にする。従って、モジュール2は、直列配列で一緒に固定される。示される実施形態では、ナット18は、シート14の穴20と合致するように第1の支持要素6上に取り付けられ、ねじ22は、シート16の穴24を通じて突出し、ナット18とねじ22の組は、組立モジュール2と、端部同士をつなげて組み立てられた同様の組立モジュール2のナットとねじの組と連携する。
【0009】
第1の支持要素6の表面10は、ナット18を受け入れ、かつ押し込むための蓄電池4の端部間に分配されたハウジング26を含み得る。ナット18が六角形である場合は、ハウジング26は、六角形の形状を有し得る。第2の支持要素8は、例えば、六角形のキーとしての適切なツール(図示せず)を用いて、対応するナット18へのそれらのねじ止めを可能にするために、ねじ22と位置合わせされた穴28を含み得る。穴28は、ねじ22の通過を防ぐショルダ30を有し得る。
【0010】
支持要素6、8の表面12は、蓄電池4の端部間に延在する凹部32(図では、支持要素6の凹部32のみが見える)を含み得、その結果、剛性材料で作られているプレート34は、支持要素6、8と対応するシート14、16との間の凹部32に挿入される。そのようなプレート34は、特に、機械的剛性の増大を可能にし、それと同時に、シート14、16と接触する表面は、導電性の増大を可能にする。
【0011】
シート14、16は、例えば、モジュール2の蓄電池4のためのテストデバイス(図示せず)を接続するために使用される導体(図示せず)を接続するための電気的固定点を提供するために、支持要素6、8の側面に突出するタブ36を有し得る。
【0012】
支持要素6、8は、一般に、支持要素6、8における開口部10の均一かつ対称的な分配および必要に応じて一緒に組み立てられたモジュール2のスタックの並置配列に適応させた長方形の形状を有し得る。示される実施形態では、モジュール2は、5つの蓄電池4を並列に取り付けることを可能にするが、モジュール2は、必要に応じて、9つまたは別の数の蓄電池4を並列に取り付けられるようにすることは容易である。支持要素6、8には、必要に応じて、例えば、電子回路(図示せず)を取り付けるために、モジュール2の一方の側面に突出するブラケット38を提供することができる。支持要素6、8は、モジュール2の重量を軽くするために、他の凹部40を有し得る。
【0013】
図2を参照すると、蓄電池4群が並列に取り付けられた2つのモジュール2の組み立てが示されている。モジュール2は、モジュール2間のシート14、16(図では、シート14のみが見える)が互いに接触するように、直列に配列される。モジュール2は、組立モジュール2の固定要素の配列を形成するナット18とねじ22の組(
図1に示されるような)によって、互いに固定される。並列の蓄電池4および直列のモジュール2の電気配線抵抗は、モジュール2の構成によって最小化され、従って、バスなどの電気車両で必要とされるように、大多数のモジュール2を組み立てることができる。また、モジュール2の組み立ては、例えば、欠陥を呈する恐れのある蓄電池4群を都合よく交換できるようにする。支持要素6、8間の空間は、蓄電池4の熱膨張を可能にする。また、上記で説明されるモジュール2の構成は、それらの重量の低減にも貢献し、それは、電気車両にとって有利であり得る。
【0014】
本発明の実施形態は、添付の図面で示し、上記で説明してきたが、当業者であれば、本発明から逸脱することなく、その中で変更を行えることは明らかであろう。