(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-27
(45)【発行日】2022-02-21
(54)【発明の名称】1-フェニルプロパノン化合物およびその使用
(51)【国際特許分類】
A61K 31/4453 20060101AFI20220214BHJP
A61K 31/5375 20060101ALI20220214BHJP
A61K 31/495 20060101ALI20220214BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220214BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20220214BHJP
C07D 295/108 20060101ALI20220214BHJP
【FI】
A61K31/4453
A61K31/5375
A61K31/495
A61P35/00
A61P35/02
C07D295/108 CSP
(21)【出願番号】P 2019538741
(86)(22)【出願日】2017-09-29
(86)【国際出願番号】 IB2017056010
(87)【国際公開番号】W WO2018060947
(87)【国際公開日】2018-04-05
【審査請求日】2020-09-08
(31)【優先権主張番号】102016000098338
(32)【優先日】2016-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】519113228
【氏名又は名称】ウニヴェルシタ デリ ストゥーディ ディ パドヴァ
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】特許業務法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】ザゴット ジュゼッペ
(72)【発明者】
【氏名】リバウド ジョヴァンニ
(72)【発明者】
【氏名】ブルナティ アンナ マリア
(72)【発明者】
【氏名】パガーノ マリオ アンジェロ プリモ
(72)【発明者】
【氏名】ティバルディ エレーナ
(72)【発明者】
【氏名】トレンティン リヴィオ
【審査官】榎本 佳予子
(56)【参考文献】
【文献】特公昭35-018278(JP,B1)
【文献】米国特許第04277474(US,A)
【文献】特開平03-197427(JP,A)
【文献】特開昭55-049317(JP,A)
【文献】DATABASE REGISTRY [Online]: Chemical Abstracts Service, Columbus, Ohio, USA, Retrieved from STN,Registry No. 803640-36-0 (Entered STN: 29 Dec 2004)
【文献】Journal of Medicinal Chemistry,2009年,Vol.52, No.13,p.3892-3901
【文献】Chemical and Pharmaceutical Bulletin,1961年,Vol.9, No.11,p.908-914
【文献】International Journal of Molecular Medicine,2009年,Vol.23, No.2,p.205-209
【文献】Molecular Medicine Reports,2014年,Vol.10, No.5,p.2609-2612
【文献】Pharmazie,1998年,Vol.53, No.2,p.117-123
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00- 33/44
A61P 1/00- 43/00
C07D 295/00-295/32
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)の1-フェニルプロパノン化合物またはその薬学上許容される塩
を含む、乳癌、慢性リンパ性白血病または神経芽細胞腫の治療のための医薬。
【化1】
ここで:
Xは、メチレン基(-CH
2-)または、O、SおよびSeからなる群から選択される原子であり、
nは、4~6の整数であり、
Aは、4-モルホリル、1-ピペリジニルおよび4-メチル-1-ピペラジニルからなる群から選択される置換基であり、そして、それは、(C
1-C
3)アルキルまたは(C
1-C
3)アシル基で置換されていてもよい、
ただし、
XがCH
2のとき、nは5に等しい。
【請求項2】
Xが、S、SeまたはCH
2
である、請求項1に記載の
医薬。
【請求項3】
XがSである、請求項1に記載の医薬。
【請求項4】
nが、5または6である、
請求項1~3のいずれか一項に記載の
医薬。
【請求項5】
前記化合物が、下記からなる群から選択される、請求項1に記載の
医薬:
化合物1(AF08)、1-(4-(ヘキシルオキシ)フェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
化合物2(CC11)1-(4-(ヘプチルオキシ)フェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン
化合物3(AF07)、1-(4-(ヘキシルオキシ)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物4(CC12)、1-(4-(ヘプチルオキシ)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物5(AlO1)、1-(4-(ヘプチルオキシ)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物6(MD63)、3-モルホリノ-1-(4-(ペンチルチオ)フェニル)プロパン-1-オン、
化合物7(VP158)、1-(4-(ヘキシルチオ)フェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
化合物8(FT017)、1-(4-(ヘプチルチオ)フェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
化合物9(MC12)、1-(4-(ペンチルチオ)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物10(VP157)、1-(4-(ヘキシルチオ)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物11(FT018)、1-(4-(ヘプチルチオ)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物12(FT013)、3-(4-メチルピペラジン-1-イル)-1-(4-(ペンチルチオ)フェニル)プロパン-1-オン、
化合物13(FT016)、1-(4-(ヘキシルチオ)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物14(FT019)、1-(4-(ヘプチルチオ)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物15(GR376)、3-モルホリノ-1-(4-(ペンチルセレニル)フェニル)プロパン-1-オン、
化合物16(GR377)、1-(4-(ヘキシルセレニル)フェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
化合物17(GR386)、1-(4-(ヘプチルセレニル)フェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
化合物18(GR378)、1-(4-(ペンチルセレニル)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物19(GR381)、1-(4-(ヘキシルセレニル)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物20(GR387)、1-(4-(ヘプチルセレニル)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物21(GR379)、3-(4-メチルピペラジン-1-イル)-1-(4-(ペンチルセレニル)フェニル)プロパン-1-オン、
化合物22(GR383)、1-(4-(ヘキシルセレニル)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物23(GR388)、1-(4-(ヘプチルセレニル)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物24(GR390)、1-(4-ヘプチルフェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
化合物25(GR391)、1-(4-ヘプチルフェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、および
化合物26(GR392)、1-(4-ヘプチルフェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
【請求項6】
前記化合物が、下記からなる群から選択される、
請求項5に記載の
医薬:
化合物1(AF08)、1-(4-(ヘキシルオキシ)フェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
化合物3(AF07)、1-(4-(ヘキシルオキシ)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物4(CC12)、1-(4-(ヘプチルオキシ)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物5(AlO1)、1-(4-(ヘプチルオキシ)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物7(VP158)、1-(4-(ヘキシルチオ)フェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
化合物8(FT017)、1-(4-(ヘプチルチオ)フェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
化合物9(MC12)、1-(4-(ペンチルチオ)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物10(VP157)、1-(4-(ヘキシルチオ)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物11(FT018)、1-(4-(ヘプチルチオ)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物13(FT016)、1-(4-(ヘキシルチオ)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物14(FT019)、1-(4-(ヘプチルチオ)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物16(GR377)、1-(4-(ヘキシルセレニル)フェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
化合物17(GR386)、1-(4-(ヘプチルセレニル)フェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
化合物20(GR387)、1-(4-(ヘプチルセレニル)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物23(GR388)、1-(4-(ヘプチルセレニル)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物24(GR390)、1-(4-ヘプチルフェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
化合物25(GR391)、1-(4-ヘプチルフェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、および
化合物26(GR392)、1-(4-ヘプチルフェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
【請求項7】
前記化合物が、下記からなる群から選択される、
請求項6に記載の
医薬:
化合物1(AF08)、1-(4-(ヘキシルオキシ)フェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
化合物5(AlO1)、1-(4-(ヘプチルオキシ)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物7(VP158)、1-(4-(ヘキシルチオ)フェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
化合物8(FT017)、1-(4-(ヘプチルチオ)フェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
化合物9(MC12)、1-(4-(ペンチルチオ)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物10(VP157)、1-(4-(ヘキシルチオ)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物11(FT018)、1-(4-(ヘプチルチオ)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物13(FT016)、1-(4-(ヘキシルチオ)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物14(FT019)、1-(4-(ヘプチルチオ)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物17(GR386)、1-(4-(ヘプチルセレニル)フェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
化合物20(GR387)、1-(4-(ヘプチルセレニル)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物23(GR388)、1-(4-(ヘプチルセレニル)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物24(GR390)、1-(4-ヘプチルフェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
化合物25(GR391)、1-(4-ヘプチルフェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、および
化合物26(GR392)、1-(4-ヘプチルフェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン。
【請求項8】
一般式(I)の1-フェニルプロパノン化合物またはその薬学上許容される塩:
【化2】
ここで:
Xは、メチレン基(-CH
2-)または、O、SおよびSeからなる群から選択される原子であり、
nは、4~6の整数であり、
Aは、4-モルホリル、1-ピペリジニルおよび4-メチル-1-ピペラジニルからなる群から選択される置換基であり、そして、それは、(C
1-C
3)アルキルまたは(C
1-C
3)アシル基で置換されていてもよい、
ただし、
Xが、Oである場合、Aは、4-メチル-1-ピペラジニルであり、そして、nは6に等しく、
Xが、Sで、nが5のとき、Aは、4-メチル-1-ピペラジニルであり、
Xが、Seであり、そして、Aが、1-ピペリジニルであるとき、nは、6であり、
Xが、CH
2であるとき、nは、5に等しく、そして、Aは、4-メチル-1-ピペラジニルまたは4-モルホリルである。
【請求項9】
Xが、S、SeまたはCH
2
からなる群から選択される、請求項8に記載の
化合物またはその薬学上許容される塩。
【請求項10】
Xが、Sである、請求項9に記載の化合物またはその薬学上許容される塩。
【請求項11】
nが5または6である、
請求項8~10のいずれか一項に記載の
化合物またはその薬学上許容される塩。
【請求項12】
前記化合物が、以下からなる群から選択される、請求項8に記載の
化合物またはその薬学上許容される塩。
化合物5(AlO1)、1-(4-(ヘプチルオキシ)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物6(MD63)、3-モルホリノ-1-(4-(ペンチルチオ)フェニル)プロパン-1-オン、
化合物8(FT017)、1-(4-(ヘプチルチオ)フェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
化合物9(MC12)、1-(4-(ペンチルチオ)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物11(FT018)、1-(4-(ヘプチルチオ)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物12(FT013)、3-(4-メチルピペラジン-1-イル)-1-(4-(ペンチルチオ)フェニル)プロパン-1-オン、
化合物13(FT016)、1-(4-(ヘキシルチオ)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物14(FT019)、1-(4-(ヘプチルチオ)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物15(GR376)、3-モルホリノ-1-(4-(ペンチルセレニル)フェニル)プロパン-1-オン、
化合物16(GR377)、1-(4-(ヘキシルセレニル)フェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
化合物17(GR386)、1-(4-(ヘプチルセレニル)フェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
化合物20(GR387)、1-(4-(ヘプチルセレニル)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物21(GR379)、3-(4-メチルピペラジン-1-イル)-1-(4-(ペンチルセレニル)フェニル)プロパン-1-オン、
化合物22(GR383)、1-(4-(ヘキシルセレニル)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物23(GR388)、1-(4-(ヘプチルセレニル)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物24(GR390)、1-(4-ヘプチルフェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、および
化合物26(GR392)、1-(4-ヘプチルフェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン。
【請求項13】
前記化合物が、以下からなる群から選択される、
請求項12に記載の
化合物またはその薬学上許容される塩。
化合物5(AlO1)、1-(4-(ヘプチルオキシ)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物8(FT017)、1-(4-(ヘプチルチオ)フェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
化合物9(MC12)、1-(4-(ペンチルチオ)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物11(FT018)、1-(4-(ヘプチルチオ)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物13(FT016)、1-(4-(ヘキシルチオ)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物14(FT019)、1-(4-(ヘプチルチオ)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物17(GR386)、1-(4-(ヘプチルセレニル)フェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
化合物20(GR387)、1-(4-(ヘプチルセレニル)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物23(GR388)、1-(4-(ヘプチルセレニル)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物24(GR390)、1-(4-ヘプチルフェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、および
化合物26(GR392)、1-(4-ヘプチルフェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン。
【請求項14】
前記化合物が、以下からなる群から選択される、
請求項13に記載の
化合物またはその薬学上許容される塩。
化合物8(FT017)、1-(4-(ヘプチルチオ)フェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
化合物11(FT018)、1-(4-(ヘプチルチオ)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物13(FT016)、1-(4-(ヘキシルチオ)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物14(FT019)、1-(4-(ヘプチルチオ)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物17(GR386)、1-(4-(ヘプチルセレニル)フェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
化合物24(GR390)、1-(4-ヘプチルフェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、および
化合物26(GR392)、1-(4-ヘプチルフェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン。
【請求項15】
請求項8~14のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学上許容される塩、および薬学上許容されるビヒクルを含有する医薬組成物。
【請求項16】
一般式(I)の化合物またはその薬学上許容される塩
を含む抗腫瘍剤:
【化4】
ここで:
Xは、メチレン基(-CH
2-)または、O、SおよびSeからなる群から選択される原子であり、
nは、4~6の整数であり、
Aは、4-モルホリル、1-ピペリジニルおよび4-メチル-1-ピペラジニルからなる群から選択される置換基であり、そして、それは、(C
1-C
3)アルキルまたは(C
1-C
3)アシル基で置換されていてもよく、
ただし、
Xが、Oである場合、Aは、4-メチル-1-ピペラジニルまたは1-ピペリジニルであり、そして、nは6に等しい。
Xが、CH
2であるとき、nは、5に等しい。
【請求項17】
抗腫瘍治療が、乳癌、肝癌、慢性リンパ性白血病または神経芽細胞腫に対するものである、
請求項16に記載の
抗腫瘍剤。
【請求項18】
Xが、S、SeまたはCH
2
からなる群から選択される、請求項16または17に記載の
抗腫瘍剤。
【請求項19】
Xが、Sである、請求項18に記載の抗腫瘍剤。
【請求項20】
nが5または6である、
請求項16~19のいずれか一項に記載の
抗腫瘍剤。
【請求項21】
前記化合物が、以下からなる群から選択される、
請求項16に記載の
抗腫瘍剤。
化合物4(CC12)、1-(4-(ヘプチルオキシ)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物5(AlO1)、1-(4-(ヘプチルオキシ)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物6(MD63)、3-モルホリノ-1-(4-(ペンチルチオ)フェニル)プロパン-1-オン、
化合物7(VP158)、1-(4-(ヘキシルチオ)フェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
化合物8(FT017)、1-(4-(ヘプチルチオ)フェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
化合物9(MC12)、1-(4-(ペンチルチオ)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物10(VP157)、1-(4-(ヘキシルチオ)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物11(FT018)、1-(4-(ヘプチルチオ)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物12(FT013)、3-(4-メチルピペラジン-1-イル)-1-(4-(ペンチルチオ)フェニル)プロパン-1-オン、
化合物13(FT016)、1-(4-(ヘキシルチオ)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物14(FT019)、1-(4-(ヘプチルチオ)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物15(GR376)、3-モルホリノ-1-(4-(ペンチルセレニル)フェニル)プロパン-1-オン、
化合物16(GR377)、1-(4-(ヘキシルセレニル)フェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
化合物17(GR386)、1-(4-(ヘプチルセレニル)フェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
化合物18(GR378)、1-(4-(ペンチルセレニル)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物19(GR381)、1-(4-(ヘキシルセレニル)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物20(GR387)、1-(4-(ヘプチルセレニル)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物21(GR379)、3-(4-メチルピペラジン-1-イル)-1-(4-(ペンチルセレニル)フェニル)プロパン-1-オン、
化合物22(GR383)、1-(4-(ヘキシルセレニル)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物23(GR388)、1-(4-(ヘプチルセレニル)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物24(GR390)、1-(4-ヘプチルフェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
化合物25(GR391)、1-(4-ヘプチルフェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、および
化合物26(GR392)、1-(4-ヘプチルフェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン。
【請求項22】
前記化合物が、以下からなる群から選択される、請求項21に記載の
抗腫瘍剤。
化合物4(CC12)、1-(4-(ヘプチルオキシ)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物5(AlO1)、1-(4-(ヘプチルオキシ)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物7(VP158)、1-(4-(ヘキシルチオ)フェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
化合物8(FT017)、1-(4-(ヘプチルチオ)フェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
化合物9(MC12)、1-(4-(ペンチルチオ)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物10(VP157)、1-(4-(ヘキシルチオ)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物11(FT018)、1-(4-(ヘプチルチオ)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物13(FT016)、1-(4-(ヘキシルチオ)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物14(FT019)、1-(4-(ヘプチルチオ)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物16(GR377)、1-(4-(ヘキシルセレニル)フェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
化合物17(GR386)、1-(4-(ヘプチルセレニル)フェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
化合物20(GR387)、1-(4-(ヘプチルセレニル)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物23(GR388)、1-(4-(ヘプチルセレニル)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物24(GR390)、1-(4-ヘプチルフェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
化合物25(GR391)、1-(4-ヘプチルフェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、および
化合物26(GR392)、1-(4-ヘプチルフェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン。
【請求項23】
前記化合物が、以下からなる群から選択される、請求項22に記載の
抗腫瘍剤。
化合物5(AlO1)、1-(4-(ヘプチルオキシ)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物7(VP158)、1-(4-(ヘキシルチオ)フェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
化合物8(FT017)、1-(4-(ヘプチルチオ)フェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
化合物9(MC12)、1-(4-(ペンチルチオ)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物10(VP157)、1-(4-(ヘキシルチオ)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物11(FT018)、1-(4-(ヘプチルチオ)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物13(FT016)、1-(4-(ヘキシルチオ)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物14(FT019)、1-(4-(ヘプチルチオ)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物17(GR386)、1-(4-(ヘプチルセレニル)フェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
化合物20(GR387)、1-(4-(ヘプチルセレニル)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物23(GR388)、1-(4-(ヘプチルセレニル)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物24(GR390)、1-(4-ヘプチルフェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
化合物25(GR391)、1-(4-ヘプチルフェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、および
化合物26(GR392)、1-(4-ヘプチルフェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[発明の詳細な説明]
[発明の分野]
本発明は、慢性リンパ球性白血病に罹患した患者の悪性B細胞およびいくつかの腫瘍型の他の細胞モデルにおいて、インビトロで、アポトーシスの誘導に関して、有効な1-フェニルプロパノン化合物に関する。
[技術水準]
FTY720(フィンゴリモドとしても知られ、そして、Gilenya(商標)としてNovartisによって市販されている)、すなわち、下記に報告される式を有する、2-アミノ-2[2-(4-オクチルフェニル)エチル]プロパン-1,3-ジオール塩酸塩
【化1】
は、スフィンゴシンの構造類似体であり、免疫抑制作用を有する天然化合物(ミリオシン(別名ISP-1、昆虫病原性真菌(entomopathogenic fungus)Isaria sinclairiiの代謝産物)として公知である)の修飾により合成される(Fujita Tら、J.Antibiot.、1994年、47:208~15)。
強力な免疫抑制活性を有する後者は、より副作用の少ない、より効果的な免疫抑制剤を開発するためのリード化合物として使用されてきた[Adachiら、Bioorg.Med.Chem.Lett.、1995年;5:853-56;Adachi K.、Chiba K.、Perspect Medicin.Chem.2008年;1:11-23.2]。
FTY720は、それ自体で、またはシクロスポリンなどの古典的な免疫抑制剤と組み合わせて、移植後拒絶反応の予防における潜在的な薬物として最初に試験された[Chiba K.ら、Transplant Proc.、1996年、28(2):1056-1059;Brinkmannら、J.Biol.Chem.、2002年、277(24):21453-21457]、しかし、この分野では、シクロスポリンを超える優位性は示されず、二次リンパ器官へのリンパ球遊走(lymphocytes migration into secondary lymphoid organs)に対する抑制効果に関心が向けられた。そのため、多発性硬化症(multiple sclerosis)のような、免疫障害の治療における新たな可能性を開いた[Mansoor M.、Melendez A.J.、Rev.Recent Clin.Trials、2008年、3(1):62~69]。
【0002】
FTY720は、2010年と2011年に、米国のFDAと欧州の欧州医薬品庁により、それぞれ、後者の治療、特に、再発寛解型治療薬(relapsing-remitting form)として承認された。
【0003】
FTY720の免疫抑制活性は、酵素であるスフィンゴシンキナーゼ2(SphK2)(天然の基質であるスフィンゴシンと構造的に類似しているため薬物を認識する。)による、リンパ球内での、リン酸化型(FTY720-P)への変換に関連している。
続いて、FTY720-Pが細胞から押し出され、そして、それは、Gタンパク質共役型スフィンゴシン-1-リン酸(S1P)受容体(G-protein coupled sphingosine-1-phosphate (S1P) receptors)(特にS1P1と呼ばれるもの)と相互作用し、それらの内在化(internalization)および分解を引き起こす。
【0004】
これらの受容体の非存在下では、天然のリガンドS1Pと相互作用することがもはやできない、リンホスフィンゴ細胞(lymphosphingocyte)は、二次リンパ器官に隔離され(sequestered)、全身循環におけるリンパ球減少症(lymphopenia in the general circulation)をもたらす[Brinkmannら、Nat.Rev.Drug Discov.、2010年11月、9(11):883~9;および特許出願WO2007/143081 A2]。
FTY720が誘発するリンパ球減少症を調査することを目的とした研究中に、この薬剤が、末梢リンパ球においてアポトーシスを誘発することが観察された[Nagaharaら、Immunopharmacology、2000年,48:75-85;Nagaharaら、J.Immunol.、2000年、165:3250-3259;Fufino M.、Li X.K.、Kitazawa Y.ら、J.Pharmacol.Exp.Thar.、2002年、300:939-45]、そして、これは、抗腫瘍剤としてのその可能性の評価をもたらした[Pinschewer D.D.、Brinkmann V.、Mender D.、Neurology 2011、76:515~9]。
【0005】
したがって、FTY720は、血液学的[Liuら、Blood、2008年、111:275~84頁;Nevianiら、J.Cin.Invest.、2007年、117:2408~21頁]、ならびに、前立腺、膀胱、腎臓、膵臓、肝臓、乳房、結腸、胃、および肺などの固体新生物(solid neoplasm)[Permpongkosolら、Int.J.Cancer、2002年、98:167sfingo-72;Azumaら、J.Urol.、2003年、169:2372~7;Ubelら、Anticancer Res.、2007、27:75~88;Shenら、Cancer Lett.、2007年、254:288~97頁;Hoら、Mol.Cancer Thor.、2005年、4:1430~8;Azumaら、Cancer Res.、2002年、62:1410~9;Nagaokaら、Bid.Pharm.、2008年、31:117741;Mengら、J.Cell Biochem.、2010年、111:218~28;Salinasら、Int.Immunopharmacol.、2009年、9:689~93]の両方に由来する細胞において、アポトーシスを誘導することができることが実証された。
【0006】
細胞死の根底にある分子機構に関しては、細胞型に依存して、時々プロアポトーシスタンパク質Bad、Bax、BidおよびBtfの発現の増加と関連する[Ubaiら、Anticancer Res.、27:75-88、2007年]、カスパーゼ9および3の関与する[Zhengら、sfingo J.Cell Biochem.、111:218-228、2010年]、カスパーゼ依存性アポトーシス経路と、Akt[Liuら、Clin.Cancer Res.、16:3182~3192、2010年]やERK1/2[Liuら、Blood 111:275~284;200824]などのプロテインキナーゼの活性化状態、酸素反応種の生成[Wallington-Beddoeら、Autophagy、7:707~715、2011年]、オートファジー(autophagy)の誘導[Liuら、Clin.Cancer Res.、16:3182~3192、2010年;Liuら、Blood、111:275~284、2008年]、ならびにオートファジー(autophagy)[Zhang N.ら、Autophagy、6:1157~1167、2010年;Wallington-Beddoeら、Autophagy、7:707-715、2011年;Liaoら、Eur.J.Pharm.Sci.45:600-605、2012]などによって役割が担われている、カスパーゼ非依存性のアポトーシス経路が疑われている。
【0007】
腫瘍細胞において細胞死を誘導する、FTY720の能力は、薬物リン酸化、そして、したがって、免疫抑制機構とは無関係であることに留意すべきである[Wallington-Beddoeら、Autophagy、7:707-715、2011年]。
【0008】
FTY720による細胞死を媒介するメカニズムは、まだ完全には解明されていないという事実にもかかわらず、この生物学的効果を説明するために、FTY720の非リン酸化型の分子標的が提案されている。
【0009】
一方では、急性リンパ芽球性白血病[Wallington-Beddoeら、Autophagy、7:707-715、2011年]、マントルリンパ腫(mantle lymphoma)[Liuら、Clin.Cancer Res.、16:3182~3192、2010年]および多発性骨髄腫(multiple myeloma)[Liaoら、Eur.J.Pharm.Sci.、45:600-605、2012年]における、FTY720による細胞死の誘導における活性酸素種の生成[Wallington-Beddoeら、Autophagy、7:707-715、2011年]が、疑われている。
【0010】
他方、この化合物は、腫瘍表現型(tumor phenotype)の発生(genesis)および維持に関与するシグナル伝達経路の、重要なタンパク質因子の活性を有害に調節し、その結果、ほんの数例を挙げると、タンパク質ホスファターゼ2A[Nevianiら、Cancer Cell、8:355~368、2005年;Nevianiら、J.Clin.Invest.、117:2408~2421、2007年]、いわゆるMAPK(Mitogen活性化プロテインキナーゼ)経路[Ubaiら、Anticancer Res.、27:75~88,2007年;Estrada-Bernalら、Neuro.Oncol.、14:405-415,2012年]、PI3K/AKTカスケード[Zhengら、J.Cell Biochem.、111:218-228、2010年;Liuら、Clin.Cancer Res.、16:3182-3192、2010年]および14-3-3適応タンパク質[Woodcockら、Cell Signal、22:1291-1299、2010年]のような、その活性化をもたらす可能性がある。
【0011】
これらの所見は、前臨床モデルにおける抗腫瘍効果を示し、したがって、ヒトの治療におけるそれらの使用を評価するためのさらなる調査を行うことを可能にするが、市場へのその承認以来、その禁忌(contraindications)は、活性相における実際の新生物ならびに、化学療法剤によって引き起こされる可能性がある二次的なものを含む免疫不全を含む。
加えて、免疫抑制は、例えば、免疫学的に媒介される疾患の治療または拒絶反応の予防について示唆されているが、感染または腫瘍にも対する宿主の感受性を増大させる可能性がある。したがって、免疫抑制は常に考慮に入れられ、そして、可能な限り最小限に抑えられるべきである。
FTY720に類似の構造を有する分子は、すでに文献に記載されている。
【0012】
「甲状腺ホルモン受容体とコアクチベーターとの相互作用の阻害剤:予備的な構造活性相関」、L.A.Arnoldら、J.Med.Chem.、2007年11月、1巻、50(22):5269~5280、の論文には、主にARO細胞系(未分化甲状腺癌細胞(anaplastic thyroid cancer cells))に対してではあるが、細胞傷害活性を示す1-フェニルプロパノン誘導体が開示されている。
【0013】
論文「ジクロニンおよびクエン酸アルベリンは、乳癌細胞に対するプロテアソーム阻害剤MG132の細胞傷害作用を増強する」、D.Juら、Int.J.Mol.Med.、2009年2月、23(2):205~9頁、および「ダイクロニンは、多発性骨髄腫細胞において、プロテアソーム阻害剤ボルテゾミブの細胞傷害作用を増強する」、D.Juら、MOLECULAR MEDICINE REPORTS、10:2609~2612、2014年は、癌治療における補助剤としての、下記の式を有するジクロニン分子の性質を報告する。
【0014】
【化2】
具体的には、2つの引用された論文の最初のものには、乳癌におけるジクロニンの活性が調べられているが、2番目のものには、多発性骨髄腫に対する活性が調べられている。
どちらの場合も、インビトロでの研究により、ジクロニンは、標的細胞に対する、MG132プロテアーゼ阻害剤(乳癌の治療で知られている)および薬物ボルテゾミブ(多発性骨髄腫の治療で知られている)の細胞毒性効果を有意に高めることができるが、単独では、それは非常に限られた細胞毒性効果を有すると結論する。
それ故、本発明の目的は、高い効力を有し、同時に免疫抑制特性を伴わずに、腫瘍細胞に対してアポトーシス促進作用を示す分子の設計を通して代替的な解決法を提供することである。
【0015】
[発明の要約]
上記目的は、一般式(I)の1-フェニルプロパノン化合物の合成および、乳癌、慢性リンパ性白血病(LLC)または神経芽細胞腫の治療における抗腫瘍薬としての使用のために、研究によって達成される。
【0016】
【化3】
これらは、インビトロで、そして免疫抑制作用の非存在下で、新生物の細胞モデルにおいて、アポトーシスによる細胞死を誘導することが示されている。
ここで、
Xは、メチレン基(-CH
2-)または、O、SおよびSeからなる群から選択される原子であり、
nは、4~6の整数であり、
Aは、4-モルホリル、1-ピペリジニルおよび4-メチル-1-ピペラジニルからなる群から選択される置換基であり、そして、それは、(C
1-C
3)アルキルまたは(C
1-C
3)アシル基で置換されていてもよい、
ただし、
Xが、CH
2であるとき、nは、5に等しい。
【0017】
本発明者らはまた、腫瘍細胞に対してアポトーシス活性を有する結果を齎す、新たな1-フェニルプロパノン誘導体化合物を合成した。
したがって、別の態様において、本発明は一般式(I)の化合物に関する。
【化4】
ここで:
Xは、メチレン基(-CH
2-)または、O、SおよびSeからなる群から選択される原子であり、
nは、4~6の整数であり、
Aは、4-モルホリル、1-ピペリジニルおよび4-メチル-1-ピペラジニルからなる群から選択される置換基であり、そして、それは、(C
1-C
3)アルキルまたは(C
1-C
3)アシル基で置換されていてもよい、
ただし、
Xが、Oである場合、Aは、4-メチル-1-ピペラジニルであり、そして、nは6に等しく、
Xが、Sで、nが5のとき、Aは、4-メチル-1-ピペラジニルであり、
Xが、Seであり、そして、Aが、1-ピペリジニルであるとき、nは、6であり、
Xが、CH
2であるとき、nは、5に等しく、そして、Aは、4-メチル-1-ピペラジニルまたは4-モルホリルである。
【0018】
さらなる態様において、本発明は、一般式(I)の化合物の医薬としての使用に関する。
【0019】
【化5】
ここで:
Xは、メチレン基(-CH
2-)または、O、SおよびSeからなる群から選択される原子であり、
nは、4~6の整数であり、
Aは、4-モルホリル、1-ピペリジニルおよび4-メチル-1-ピペラジニルからなる群から選択される置換基であり、そして、それは、(C
1-C
3)アルキルまたは(C
1-C
3)アシル基で置換されていてもよい、
ただし、
Xが、Oである場合、Aは、4-メチル-1-ピペラジニルであり、そして、nは6に等しく、
Xが、Sで、nが5のとき、Aは、4-メチル-1-ピペラジニルまたは4-モルホリルであり、
Xが、Seであり、そして、Aが、1-ピペリジニルであるとき、nは、6であり、
Xが、CH
2であるとき、nは、5に等しく、そして、Aは、4-メチル-1-ピペラジニルまたは4-モルホリルである。
【0020】
さらなる態様において、本発明は、医薬としての一般式(I)の化合物、およびその薬学上許容されるビヒクルを含む医薬組成物に関する。
【0021】
なおさらなる態様において、本発明は、抗腫瘍剤としての使用のための、一般式(I)の化合物に関する。
【0022】
【化6】
ここで:
Xは、メチレン基(-CH
2-)または、O、SおよびSeからなる群から選択される原子であり、
nは、4~6の整数であり、
Aは、4-モルホリル、1-ピペリジニルおよび4-メチル-1-ピペラジニルからなる群から選択される置換基であり、そして、それは、(C
1-C
3)アルキルまたは(C
1-C
3)アシル基で置換されていてもよい、
ただし、
Xが、Oである場合、Aは、4-メチル-1-ピペラジニルまたは1-ピペリジニルであり、そして、nは6に等しい。
Xが、CH
2であるとき、nは、5に等しい。
【0023】
好ましくは、抗腫瘍治療は、乳癌、肝癌、慢性リンパ性白血病(LLC)または神経芽細胞腫に対する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、本発明の化合物の、および、比較のため、先行技術の化合物の免疫抑制特性を評価することを目的とした試験の結果を示す。
【0025】
[発明の詳細な説明]
本発明の化合物において、置換基Aの任意の置換基C3-アルキルは、n-プロピルまたはイソプロピルのいずれかであり得る。
【0026】
本発明は、乳癌、慢性リンパ性白血病(LLC)または神経芽細胞腫の治療における抗腫瘍剤として使用するための、一般式(I)の1-フェニルプロパノン化合物に関する。
【0027】
【化7】
ここで:
Xは、メチレン基(-CH
2-)または、O、SおよびSeからなる群から選択される原子であり、
nは、4~6の整数であり、
Aは、4-モルホリル、1-ピペリジニルおよび4-メチル-1-ピペラジニルからなる群から選択される置換基であり、そして、それは、(C
1-C
3)アルキルまたは(C
1-C
3)アシル基で置換されていてもよい、
ただし、
Xが、CH
2であるとき、nは、5に等しい。
【0028】
乳癌、慢性リンパ性白血病(LLC)または神経芽細胞腫の治療において、本発明の化合物は、好ましくは、
- Xが、S、SeまたはCH2、より好ましくは、Sである化合物;
- nが、5または6である化合物である。
【0029】
Aは、(C1-C3)アルキルまたは(C1-C3)アシル置換基で、置換されていてもよい。
好ましくは、乳癌、慢性リンパ性白血病(LLC)または神経芽細胞腫の治療において、一般式(I)の化合物は、以下からなる群から選択される。
【0030】
化合物1(AF08)、1-(4-(ヘキシルオキシ)フェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
【化8】
化合物2(CC11)1-(4-(ヘプチルオキシ)フェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン
【化9】
化合物3(AF07)、1-(4-(ヘキシルオキシ)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
【化10】
化合物4(CC12)、1-(4-(ヘプチルオキシ)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
【化11】
化合物5(AlO1)、1-(4-(ヘプチルオキシ)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
【化12】
化合物6(MD63)、3-モルホリノ-1-(4-(ペンチルチオ)フェニル)プロパン-1-オン、
【化13】
化合物7(VP158)、1-(4-(ヘキシルチオ)フェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
【化14】
化合物8(FT017)、1-(4-(ヘプチルチオ)フェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
【化15】
化合物9(MC12)、1-(4-(ペンチルチオ)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
【化16】
化合物10(VP157)、1-(4-(ヘキシルチオ)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
【化17】
化合物11(FT018)、1-(4-(ヘプチルチオ)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
【化18】
化合物12(FT013)、3-(4-メチルピペラジン-1-イル)-1-(4-(ペンチルチオ)フェニル)プロパン-1-オン、
【化19】
化合物13(FT016)、1-(4-(ヘキシルチオ)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
【化20】
化合物14(FT019)、1-(4-(ヘプチルチオ)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
【化21】
化合物15(GR376)、3-モルホリノ-1-(4-(ペンチルセレニル)フェニル)プロパン-1-オン、
【化22】
化合物16(GR377)、1-(4-(ヘキシルセレニル)フェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
【化23】
化合物17(GR386)、1-(4-(ヘプチルセレニル)フェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
【化24】
化合物18(GR378)、1-(4-(ペンチルセレニル)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
【化25】
化合物19(GR381)、1-(4-(ヘキシルセレニル)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
【化26】
化合物20(GR387)、1-(4-(ヘプチルセレニル)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
【化27】
化合物21(GR379)、3-(4-メチルピペラジン-1-イル)-1-(4-(ペンチルセレニル)フェニル)プロパン-1-オン、
【化28】
化合物22(GR383)、1-(4-(ヘキシルセレニル)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
【化29】
化合物23(GR388)、1-(4-(ヘプチルセレニル)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
【化30】
化合物24(GR390)、1-(4-ヘプチルフェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
【化31】
化合物25(GR391)、1-(4-ヘプチルフェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
【化32】
化合物26(GR392)、1-(4-ヘプチルフェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
【化33】
【0031】
より好ましくは、乳癌、慢性リンパ性白血病(LLC)または神経芽細胞腫の治療において、一般式(I)の化合物は、以下からなる群から選択される:
化合物1(AF08)、1-(4-(ヘキシルオキシ)フェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
化合物3(AF07)、1-(4-(ヘキシルオキシ)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物4(CC12)、1-(4-(ヘプチルオキシ)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物5(AlO1)、1-(4-(ヘプチルオキシ)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物7(VP158)、1-(4-(ヘキシルチオ)フェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
化合物8(FT017)、1-(4-(ヘプチルチオ)フェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
化合物9(MC12)、1-(4-(ペンチルチオ)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物10(VP157)、1-(4-(ヘキシルチオ)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物11(FT018)、1-(4-(ヘプチルチオ)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物13(FT016)、1-(4-(ヘキシルチオ)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物14(FT019)、1-(4-(ヘプチルチオ)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物16(GR377)、1-(4-(ヘキシルセレニル)フェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
化合物17(GR386)、1-(4-(ヘプチルセレニル)フェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
化合物20(GR387)、1-(4-(ヘプチルセレニル)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物23(GR388)、1-(4-(ヘプチルセレニル)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物24(GR390)、1-(4-ヘプチルフェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
化合物25(GR391)、1-(4-ヘプチルフェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、および
化合物26(GR392)、1-(4-ヘプチルフェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン。
【0032】
さらにより好ましくは、乳癌、慢性リンパ性白血病(LLC)または神経芽細胞腫の治療において、一般式(I)の化合物は、以下からなる群から選択される:
化合物1(AF08)、1-(4-(ヘキシルオキシ)フェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
化合物5(AlO1)、1-(4-(ヘプチルオキシ)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物7(VP158)、1-(4-(ヘキシルチオ)フェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
化合物8(FT017)、1-(4-(ヘプチルチオ)フェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
化合物9(MC12)、1-(4-(ペンチルチオ)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物10(VP157)、1-(4-(ヘキシルチオ)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物11(FT018)、1-(4-(ヘプチルチオ)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物13(FT016)、1-(4-(ヘキシルチオ)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物14(FT019)、1-(4-(ヘプチルチオ)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物17(GR386)、1-(4-(ヘプチルセレニル)フェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
化合物20(GR387)、1-(4-(ヘプチルセレニル)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物23(GR388)、1-(4-(ヘプチルセレニル)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物24(GR390)、1-(4-ヘプチルフェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
化合物25(GR391)、1-(4-ヘプチルフェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、および
化合物26(GR392)、1-(4-ヘプチルフェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン。
【0033】
本発明者らはまた、腫瘍細胞に対してアポトーシス活性を有することになる、新たな1-フェニルプロパノン化合物を合成した。
【0034】
他の態様において、本発明は、一般式(I)の1-フェニルプロパノン化合物に関する。
【化34】
ここで:
Xは、メチレン基(-CH
2-)または、O、SおよびSeからなる群から選択される原子であり、
nは、4~6の整数であり、
Aは、4-モルホリル、1-ピペリジニルおよび4-メチル-1-ピペラジニルからなる群から選択される置換基であり、そして、それは、(C
1-C
3)アルキルまたは(C
1-C
3)アシル基で置換されていてもよい、
ただし、
Xが、Oである場合、Aは、4-メチル-1-ピペラジニルであり、そして、nは6に等しく、
Xが、Sで、nが5のとき、Aは、4-メチル-1-ピペラジニルであり、
Xが、Seであり、そして、Aが、1-ピペリジニルであるとき、nは、6であり、
Xが、CH
2であるとき、nは、5に等しく、そして、Aは、4-メチル-1-ピペラジニルまたは4-モルホリルである。
【0035】
好ましくは、本発明の1-フェニルプロパノン化合物において、
Xは、S、SeまたはCH2からなる群より選択され、より好ましくはSである。
Aは、(C1-C3)アルキルまたは(C1-C3)アシル置換基で置換されていてもよい。
【0036】
有利には、本発明の化合物は、nが、5または6である化合物である。
【0037】
一般式(I)の新規化合物は、好ましくは、以下からなる群から選択される化合物である:
化合物5(AlO1)、1-(4-(ヘプチルオキシ)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物6(MD63)、3-モルホリノ-1-(4-(ペンチルチオ)フェニル)プロパン-1-オン、
化合物8(FT017)、1-(4-(ヘプチルチオ)フェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
化合物9(MC12)、1-(4-(ペンチルチオ)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物11(FT018)、1-(4-(ヘプチルチオ)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物12(FT013)、3-(4-メチルピペラジン-1-イル)-1-(4-(ペンチルチオ)フェニル)プロパン-1-オン、
化合物13(FT016)、1-(4-(ヘキシルチオ)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物14(FT019)、1-(4-(ヘプチルチオ)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物15(GR376)、3-モルホリノ-1-(4-(ペンチルセレニル)フェニル)プロパン-1-オン、
化合物16(GR377)、1-(4-(ヘキシルセレニル)フェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
化合物17(GR386)、1-(4-(ヘプチルセレニル)フェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
化合物20(GR387)、1-(4-(ヘプチルセレニル)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物21(GR379)、3-(4-メチルピペラジン-1-イル)-1-(4-(ペンチルセレニル)フェニル)プロパン-1-オン、
化合物22(GR383)、1-(4-(ヘキシルセレニル)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物23(GR388)、1-(4-(ヘプチルセレニル)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物24(GR390)、1-(4-ヘプチルフェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
化合物26(GR392)、1-(4-ヘプチルフェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン。
【0038】
より好ましくは、一般式(I)の新規化合物は、好ましくは、以下からなる群から選択される化合物である:
化合物5(AlO1)、1-(4-(ヘプチルオキシ)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物8(FT017)、1-(4-(ヘプチルチオ)フェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
化合物9(MC12)、1-(4-(ペンチルチオ)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物11(FT018)、1-(4-(ヘプチルチオ)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物13(FT016)、1-(4-(ヘキシルチオ)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物14(FT019)、1-(4-(ヘプチルチオ)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物17(GR386)、1-(4-(ヘプチルセレニル)フェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
化合物20(GR387)、1-(4-(ヘプチルセレニル)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物23(GR388)、1-(4-(ヘプチルセレニル)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物24(GR390)、1-(4-ヘプチルフェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、および
化合物26(GR392)、1-(4-ヘプチルフェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン。
【0039】
さらにより好ましくは、一般式(I)の新規化合物は、好ましくは、以下からなる群から選択される化合物である:
化合物8(FT017)、1-(4-(ヘプチルチオ)フェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
化合物11(FT018)、1-(4-(ヘプチルチオ)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物13(FT016)、1-(4-(ヘキシルチオ)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物14(FT019)、1-(4-(ヘプチルチオ)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物17(GR386)、1-(4-(ヘプチルセレニル)フェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
化合物24(GR390)、1-(4-ヘプチルフェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、および
化合物26(GR392)、1-(4-ヘプチルフェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン。
【0040】
さらなる態様において、本発明は、医薬として使用される、一般式(I)の化合物に関する。
【0041】
【化35】
ここで:
Xは、メチレン基(-CH
2-)または、O、SおよびSeからなる群から選択される原子であり、
nは、4~6の整数であり、
Aは、4-モルホリル、1-ピペリジニルおよび4-メチル-1-ピペラジニルからなる群から選択される置換基であり、そして、それは、(C
1-C
3)アルキルまたは(C
1-C
3)アシル基で置換されていてもよい、
ただし、
Xが、Oである場合、Aは、4-メチル-1-ピペラジニルであり、そして、nは6に等しく、
Xが、Sで、nが5のとき、Aは、4-メチル-1-ピペラジニルまたは4-モルホリルであり、
Xが、Seであり、そして、Aが、1-ピペリジニルであるとき、nは、6であり、
Xが、CH
2であるとき、nは、5に等しく、そして、Aは、4-メチル-1-ピペラジニルまたは4-モルホリルである。
【0042】
好ましくは、本発明の医薬としての1-フェニルプロパノン化合物において、
Xは、S、SeまたはCH2からなる群から選択され、より好ましくは、それは、Sであり、
Aは、(C1-C3)アルキルまたは(C1-C3)アシル置換基で置換されていてもよい。
【0043】
有利には、本発明の医薬としての化合物は、nが、5または6である化合物である。
【0044】
医薬としての一般式(I)の化合物は、好ましくは、以下からなる群から選択される化合物である:
化合物5(AlO1)、1-(4-(ヘプチルオキシ)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物6(MD63)、3-モルホリノ-1-(4-(ペンチルチオ)フェニル)プロパン-1-オン、
化合物7(VP158)、1-(4-(ヘキシルチオ)フェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
化合物8(FT017)、1-(4-(ヘプチルチオ)フェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
化合物9(MC12)、1-(4-(ペンチルチオ)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物11(FT018)、1-(4-(ヘプチルチオ)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物12(FT013)、3-(4-メチルピペラジン-1-イル)-1-(4-(ペンチルチオ)フェニル)プロパン-1-オン、
化合物13(FT016)、1-(4-(ヘキシルチオ)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物14(FT019)、1-(4-(ヘプチルチオ)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物15(GR376)、3-モルホリノ-1-(4-(ペンチルセレニル)フェニル)プロパン-1-オン、
化合物16(GR377)、1-(4-(ヘキシルセレニル)フェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
化合物17(GR386)、1-(4-(ヘプチルセレニル)フェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
化合物20(GR387)、1-(4-(ヘプチルセレニル)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物21(GR379)、3-(4-メチルピペラジン-1-イル)-1-(4-(ペンチルセレニル)フェニル)プロパン-1-オン、
化合物22(GR383)、1-(4-(ヘキシルセレニル)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物23(GR388)、1-(4-(ヘプチルセレニル)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物24(GR390)、1-(4-ヘプチルフェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、および
化合物26(GR392)、1-(4-ヘプチルフェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン。
より好ましくは、医薬としての一般式(I)の新規な化合物は、好ましくは、以下からなる群から選択される化合物である:
化合物5(AlO1)、1-(4-(ヘプチルオキシ)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物7(VP158)、1-(4-(ヘキシルチオ)フェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
化合物8(FT017)、1-(4-(ヘプチルチオ)フェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
化合物9(MC12)、1-(4-(ペンチルチオ)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物11(FT018)、1-(4-(ヘプチルチオ)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物13(FT016)、1-(4-(ヘキシルチオ)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物14(FT019)、1-(4-(ヘプチルチオ)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物17(GR386)、1-(4-(ヘプチルセレニル)フェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
化合物20(GR387)、1-(4-(ヘプチルセレニル)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物23(GR388)、1-(4-(ヘプチルセレニル)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物24(GR390)、1-(4-ヘプチルフェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、および
化合物26(GR392)、1-(4-ヘプチルフェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン。
【0045】
さらに、より好ましくは、医薬としての一般式(I)の新規な化合物は、好ましくは、以下からなる群から選択される化合物である:
化合物7(VP158)、1-(4-(ヘキシルチオ)フェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
化合物8(FT017)、1-(4-(ヘプチルチオ)フェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
化合物11(FT018)、1-(4-(ヘプチルチオ)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物13(FT016)、1-(4-(ヘキシルチオ)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物14(FT019)、1-(4-(ヘプチルチオ)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物17(GR386)、1-(4-(ヘプチルセレニル)フェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
化合物24(GR390)、1-(4-ヘプチルフェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、および
化合物26(GR392)、1-(4-ヘプチルフェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン。
【0046】
さらなる態様では、本発明は、医薬としての一般式(I)の化合物と薬学上許容されるビヒクルとを含む医薬組成物に関する。
【0047】
本発明の化合物それ自体、またはその薬学上許容される塩は、医薬に使用することができる。
次に、それらを、薬学的に許容されるビヒクル、および任意の適切な賦形剤と組み合わせて、薬学的組成物を得ることができる。
「薬学上許容されるビヒクル」という用語は、本発明の化合物を投与するのに使用される、溶媒、技術的助剤、希釈剤などを含むことを意味する。
【0048】
そのような医薬組成物は、非経口、経口、口腔内、舌下、経鼻、直腸、局所または経皮経路によって投与することができる。
経口投与に適した本発明の組成物は、便利には、錠剤、カプセル剤、カシェ剤、粉末もしくは顆粒剤のような個別の単位の形態、または液体中の懸濁剤でさえの形態であろう。
錠剤は、また、アルファ化デンプン、微結晶セルロース、グリコールデンプンナトリウム、タルク、ラクトース、ステアリン酸マグネシウム、スクロース、ステアリン酸、マンニトールなどの適切な薬学賦形剤を含んでもよい。
非経口投与用の組成物は、好ましくは、無菌調製物を含むであろう。
局所投与用の組成物は、クリーム、ペースト、オイル、軟膏、エマルジョン、フォーム、ジェル、ドロップ、スプレー溶液、および経皮パッチの形態であるのが便利であろう。
なおさらなる態様において、本発明は、抗腫瘍剤としての使用のための、一般式(I)の化合物に関する。
【0049】
【化36】
ここで:
Xは、メチレン基(-CH
2-)または、O、SおよびSeからなる群から選択される原子であり、
nは、4~6の整数であり、
Aは、4-モルホリル、1-ピペリジニルおよび4-メチル-1-ピペラジニルからなる群から選択される置換基であり、そして、それは、(C
1-C
3)アルキルまたは(C
1-C
3)アシル基で置換されていてもよい、
ただし、
Xが、Oである場合、Aは、4-メチル-1-ピペラジニルまたは1-ピペリジニルであり、そして、nは6に等しい。
Xが、Cである場合、nが5である。
【0050】
好ましくは、抗腫瘍の治療は、乳癌、肝癌、慢性リンパ性白血病(LLC)または神経芽細胞腫に対する。
【0051】
好ましくは、抗腫瘍剤として使用するための本発明の1-フェニルプロパノン化合物において、Xは、S、SeまたはCH2からなる群から選択され、より好ましくは、それはSである。
Aは、(C1-C3)アルキルまたは(C1-C3)アシル置換基で置換されていてもよい。
有利には、抗腫瘍剤として使用するための本発明の化合物は、nが5または6である化合物である。
好ましくは、抗腫瘍剤として使用するための、本発明の1-フェニルプロパノン化合物は、以下からなる群から選択される化合物である:
化合物4(CC12)、1-(4-(ヘプチルオキシ)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物5(AlO1)、1-(4-(ヘプチルオキシ)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物6(MD63)、3-モルホリノ-1-(4-(ペンチルチオ)フェニル)プロパン-1-オン、
化合物7(VP158)、1-(4-(ヘキシルチオ)フェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
化合物8(FT017)、1-(4-(ヘプチルチオ)フェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
化合物9(MC12)、1-(4-(ペンチルチオ)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物10(VP157)、1-(4-(ヘキシルチオ)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物11(FT018)、1-(4-(ヘプチルチオ)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物12(FT013)、3-(4-メチルピペラジン-1-イル)-1-(4-(ペンチルチオ)フェニル)プロパン-1-オン、
化合物13(FT016)、1-(4-(ヘキシルチオ)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物14(FT019)、1-(4-(ヘプチルチオ)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物15(GR376)、3-モルホリノ-1-(4-(ペンチルセレニル)フェニル)プロパン-1-オン、
化合物16(GR377)、1-(4-(ヘキシルセレニル)フェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
化合物17(GR386)、1-(4-(ヘプチルセレニル)フェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
化合物18(GR378)、1-(4-(ペンチルセレニル)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物19(GR381)、1-(4-(ヘキシルセレニル)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物20(GR387)、1-(4-(ヘプチルセレニル)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物21(GR379)、3-(4-メチルピペラジン-1-イル)-1-(4-(ペンチルセレニル)フェニル)プロパン-1-オン、
化合物22(GR383)、1-(4-(ヘキシルセレニル)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物23(GR388)、1-(4-(ヘプチルセレニル)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物24(GR390)、1-(4-ヘプチルフェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
化合物25(GR391)、1-(4-ヘプチルフェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、および
化合物26(GR392)、1-(4-ヘプチルフェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン。
【0052】
より好ましくは、以下からなる群から選択される抗腫瘍用途のための化合物である:
化合物4(CC12)、1-(4-(ヘプチルオキシ)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物5(AlO1)、1-(4-(ヘプチルオキシ)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物7(VP158)、1-(4-(ヘキシルチオ)フェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
化合物8(FT017)、1-(4-(ヘプチルチオ)フェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
化合物9(MC12)、1-(4-(ペンチルチオ)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物10(VP157)、1-(4-(ヘキシルチオ)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物11(FT018)、1-(4-(ヘプチルチオ)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物13(FT016)、1-(4-(ヘキシルチオ)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物14(FT019)、1-(4-(ヘプチルチオ)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物16(GR377)、1-(4-(ヘキシルセレニル)フェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
化合物17(GR386)、1-(4-(ヘプチルセレニル)フェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
化合物20(GR387)、1-(4-(ヘプチルセレニル)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物23(GR388)、1-(4-(ヘプチルセレニル)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物24(GR390)、1-(4-ヘプチルフェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
化合物25(GR391)、1-(4-ヘプチルフェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、および
化合物26(GR392)、1-(4-ヘプチルフェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン。
【0053】
さらに、より好ましくは、抗腫瘍剤としての使用のための一般式(I)の化合物は、以下からなる群から選択されるである。
化合物5(AlO1)、1-(4-(ヘプチルオキシ)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物7(VP158)、1-(4-(ヘキシルチオ)フェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
化合物8(FT017)、1-(4-(ヘプチルチオ)フェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
化合物9(MC12)、1-(4-(ペンチルチオ)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物10(VP157)、1-(4-(ヘキシルチオ)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物11(FT018)、1-(4-(ヘプチルチオ)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物13(FT016)、1-(4-(ヘキシルチオ)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物14(FT019)、1-(4-(ヘプチルチオ)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物17(GR386)、1-(4-(ヘプチルセレニル)フェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
化合物20(GR387)、1-(4-(ヘプチルセレニル)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物23(GR388)、1-(4-(ヘプチルセレニル)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン、
化合物24(GR390)、1-(4-ヘプチルフェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン、
化合物25(GR391)、1-(4-ヘプチルフェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、および
化合物26(GR392)、1-(4-ヘプチルフェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン。
【0054】
本発明によれば、新規化合物または医薬としてまたは抗腫瘍剤として、好ましくはそして特に、乳癌、慢性リンパ性白血病、または神経芽細胞腫のために使用するための化合物は、容易な工業的拡張性、および長くて高価な製造工程の使用の回避、安定な医薬品等級の化合物が高収率で得られる、簡単な方法によって得られる。
【0055】
本発明の化合物を製造するための実験の部、およびその有効性の評価について説明するが、これは説明のためであり、本発明を限定するものではない。
【0056】
[実験の部]
実施例1
一般式(I)の化合物の調製
Xが酸素である、一般式(I)の1-フェニルプロパノン化合物の一般的製造方法
フェニルアルキルエーテル中間体は、フェノールと適切な1-ブロモアルカン(例えば、1当量の1-ブロモペンタン、1-ブロモヘキサン、または1-ブロモヘプタン)との、炭酸カリウム(2当量)存在下で、アセトニトリル中の反応から得られた。
混合物を、室温で、5時間撹拌し、このようにして形成した固体を、次に、濾過により除去し、そして、溶媒をロータリーエバポレーションにより、蒸発させた。
得られたフェニルアルキルエーテル中間体を、氷浴中で、1,2-ジクロロエタン中の3-ブロモプロピオニルクロリド(2当量)および三塩化アルミニウム(3当量)と反応させた。
それを水中に注ぎ、反応を停止させ、そして、所望の中間体を、ジエチルエーテルで抽出した。有機層を分離し、そして、ロータリーエバポレーターにかけて、パラ位がアシル化されたフェニルアルキルエーテル誘導体を得た。
このようにして合成した中間体を、次に、トルエン中で、適当な環状アミン(モルホリン、ピペリジンまたはN-メチルピペラジン、2当量)、ヨウ化カリウム(2当量)および炭酸カルシウム(3当量)で処理した。
混合物を、12時間還流した。冷却後、固体を濾過により除去し、そして、溶媒をロータリーエバポレーターにより蒸発させた。
次いで、残留物を、ジクロロメタン中に分散させ、そして、混合物を、10%水酸化ナトリウム溶液で洗浄した。有機層をロータリーエバポレーターで蒸発させて、以下に示すように所望の化合物を得た。
収率:68~78%。
【0057】
化合物1(AF08)、1-(4-(ヘキシルオキシ)フェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ:7.95(d,2H,PhH),6.92(d,2H,PhH),4.00(t,2H,OCH2),3.71(m,4H,OCH2),3.15(t,2H,COCH2),2.85(t,2H,NCH2),2.54(m,4H,NCH2),1.82(m,2H,CH2),1.4-1.2(m,6H,CH2),0.92(t,3H,CH3).
13C-NMR{1H}(100MHz,CDCl3)δ:196.5,162.2,129.3,113.2,76.2,67.3,65.9,52.8,52.7,34.5,30.5,28.0,24.6,21.6,13.0.
m/z(ESI):320.2.
収率:72%.
純度(HPLC):97%.
【0058】
化合物2(CC11)、1-(4-(ヘプチルオキシ)フェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ:7.95(d,2H,PhH),6.94(d,2H,PhH),4.04(t,2H,OCH2),3.74(m,4H,OCH2),3.16(t,2H,COCH2),2.85(t,2H,NCH2),2.54(m,4H,NCH2),1.83(m,2H,CH2),1.5-1.2(m,8H,CH2),0.92(t,3H,CH3).
13C-NMR{1H}(100MHz,CDCl3)δ:197.5,163.2,130.3,129.7,114.2,68.3,67.0,53.8,53.7,35.6,31.7,29.1,29.0,25.9,22.6,14.1.
m/z(ESI):334.2.
収率:68%.
純度(HPLC):97%.
【0059】
化合物3(AF07)、1-(4-(ヘキシルオキシ)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ:7.80(d,2H,PhH),6.94(d,2H,PhH),4.04(t,2H,OCH2),3.18(m,4H,NCH2),3.11(t,2H,COCH2),2.82(t,2H,CH2),1.82(m,2H,CH2),1.63(m,4H,CH2),1.49(m,4H,CH2),1.37(m,4H,CH2),0.93(t,3H,CH3).
13C-NMR{1H}(100MHz,CDCl3)δ:195.5,161.8,129.0,128.5,12.9,75.9,66.9,53.3,52.8,30.3,27.8,24.6,24.7,21.3,19.0,12.8.
m/z(ESI):318.2.
収率:75%.
純度(HPLC):98%.
【0060】
化合物4(CC12)、1-(4-(ヘプチルオキシ)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ:7.81(d,2H,PhH),6.92(d,2H,PhH),4.01(t,2H,OCH2),3.18(m,4H,NCH2),3.10(t,2H,COCH2),2.83(t,2H,CH2),1.82(m,2H,CH2),1.62(m,6H,CH2),1.50(m,4H,CH2),1.32(m,4H,CH2),0.99(t,3H,CH3).
13C-NMR{1H}(100MHz,CDCl3)δ:198.0,163.1,130.3,129.8,114.2,68.2,54.6,54.2,36.1,31.7,29.1,29.0,26.0,25.9,24.3,22.6,14.1.
m/z(ESI):332.3.
収率:76%.
純度(HPLC):97%.
【0061】
化合物5(AlO1)、1-(4-(ヘプチルオキシ)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ:7.89(d,2H,PhH),6.90(d,2H,PhH),4.03(t,2H,OCH2),3.12(t,2H,COCH2),2.83(t,2H,NCH2),2.62(m,4H,NCH2),2.50(m,4H,NCH2),2.33(s,3H,CH3),1.81(m,2H,CH2),1.4-1.2(m,8H,CH2),0.92(t,3H,CH3).
13C-NMR{1H}(100MHz,CDCl3)δ:196.2,162.2,129.1,114.1,76.9,66.7,65.1,52.8,51.1,45.1,32.5,33.2,29.4,28.7,24.6,21.2,13.1.
m/z(ESI):347.3.
収率:70%.
純度(HPLC):97%.
【0062】
Xが硫黄である、一般式(I)の1-フェニルプロパノン化合物の一般的製造方法
エタノール中で、水酸化カリウム(2当量)の存在下、室温で、チオフェノールと適切な1-ブロモアルカン(例えば、1-ブロモペンタン、1-ブロモヘキサン、または1-ブロモヘプタン、1当量)との反応から、フェニルアルキルチオエーテル中間体を得た。
混合物を、室温で、5時間撹拌し、このようにして形成した固体を、次に、濾過により除去し、そして、溶媒を、ロータリーエバポレーターにより蒸発させた。
次いで、得られたフェニルアルキルチオエーテル中間体を、氷浴中で、1,2-ジクロロエタン中、3-ブロモプロピオニルクロリド(2当量)および三塩化アルミニウム(3当量)と反応させた。
それを水中に注ぎ、反応を停止させた。そして、所望の中間体を、ジエチルエーテルで抽出し、有機層を分離し、そして、、ロータリーエバポレーターにかけて、パラ位がアシル化されたフェニルアルキルチオエーテルを得た。
このようにして合成した中間体を、トルエン中、適当な環状アミン(モルホリン、ピペリジンまたはN-メチルピペラジン、2当量)、ヨウ化カリウム(2当量)および炭酸カルシウム(3当量)で処理した。
混合物を12時間還流した。
冷却後、固体を濾過により除去し、そして、溶媒を、ロータリーエバポレーターにより蒸発させた。
残渣を、ジクロロメタン中に分散させ、そして、混合物を、10%水酸化ナトリウム溶液で洗浄した。
有機層を、ロータリーエバポレーターにより蒸発させて所望の化合物を得た。
収率:65-75%。
【0063】
化合物6(MD63)、3-モルホリノ-1-(4-(ペンチルチオ)フェニル)プロパン-1-オン
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ:7.83(d,2H,PhH),7.28(d,2H,PhH),3.69(t,4H,OCH2),3.12(t,2H,COCH2),2.97(t,2H,CH2),2.81(t,2H,SCH2),2.49(m,4H,NCH2),1.69(m,4H,CH2),1.37(m,2H,CH2),0.90(t,3H,CH3).
13C-NMR(100MHz,CDCl3)δ:197.9,145.1,133.5,128.4,126.3,66.8,53.7,53.6,35.8,31.8,31.0,28.4,22.1,13.8.
m/z(ESI):322.2.
収率:72%.
純度(HPLC):98%.
【0064】
化合物7(VP158)、1-(4-(ヘキシルチオ)フェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ:7.84(d,2H,PhH),7.19(d,2H,PhH),3.69(t,4H,OCH2),3.10(t,2H,COCH2),2.98(t,2H,CH2),2.81(t,2H,SCH2),2.44(m,4H,NCH2),1.7-1.5(m,6H,CH2),1.37(m,2H,CH2),0.90(t,3H,CH3).
13C-NMR(100MHz,CDCl3)δ:197.9,145.2,137.1,133.4,128.8,68.9,53.7,35.7,33.6,31.9,31.3,30.5,29.1,28.5,22.5.
m/z(ESI):336.2.
収率:69%.
純度(HPLC):97%.
【0065】
化合物8(FT17)、1-(4-(ヘプチルチオ)フェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ:7.82(d,2H,PhH),7.22(d,2H,PhH),3.66(t,4H,OCH2),3.12(t,2H,COCH2),2.92(t,2H,CH2),2.79(t,2H,SCH2),2.44(m,4H,NCH2),1.6-1.5(m,8H,CH2),1.34(m,2H,CH2),0.98(t,3H,CH3).
13C-NMR(100MHz,CDCl3)δ:197.7,145.1,136.1,133.2,128.9,69.9,54.7,36.7,35.4,33.6,31.9,31.0,30.1,29.4,28.4,22.5.
m/z(ESI):350.2.
収率:65%.
純度(HPLC):97%.
【0066】
化合物9(MC12)、1-(4-(ペンチルチオ)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ:7.74(d,2H,PhH),6.94(d,2H,PhH),3.13(m,4H,NCH2),3.11(t,2H,COCH2),3.04(t,2H,SCH2),2.72(t,2H,CH2),1.82(m,2H,CH2),1.63(m,4H,CH2),1.49(m,2H,CH2),1.37(m,2H,CH2),0.93(t,3H,CH3).
13C-NMR{1H}(100MHz,CDCl3)δ:198.0,163.1,130.3,129.8,14.2,68.2,54.6,54.2,34.1,31.7,29.3,26.7,24.3,22.6,14.1
m/z(ESI):320.2.
収率:72%.
純度(HPLC):98%.
【0067】
化合物10(VP157)、1-(4-(ヘキシルチオ)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ:7.70(d,2H,PhH),6.94(d,2H,PhH),3.12(m,4H,NCH2),3.09(t,2H,COCH2),3.04(t,2H,SCH2),2.71(t,2H,CH2),1.81(m,2H,CH2),1.6-1.5(m,4H,CH2),1.49(m,4H,CH2),1.37(m,2H,CH2),0.93(t,3H,CH3).
13C-NMR(100MHz,CDCl3)δ:198.2,145.1,133.4,128.8,126.3,54.5,53.9,45.1,36.0,33.6,31.9,31.3,28.9,28.5,25.7,22.5.
m/z(ESI):334.2.
収率:71%.
純度(HPLC):97%.
【0068】
化合物11(FT018)、1-(4-(ヘプチルチオ)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ:7.72(d,2H,PhH),6.93(d,2H,PhH),3.11(m,4H,NCH2),3.08(t,2H,COCH2),3.00(t,2H,SCH2),2.72(t,2H,CH2),1.81(m,2H,CH2),1.6-1.5(m,4H,CH2),1.49(m,6H,CH2),1.33(m,2H,CH2),0.90(t,3H,CH3).
13C-NMR(100MHz,CDCl3)δ:197.9,145.0,136.0,133.1,128.8,69.9,62.3,54.7,36.2,35.8,33.5,31.8,31.1,30.2,29.7,28.2,22.4.
m/z(ESI):349.2.
収率:68%.
純度(HPLC):97%.
【0069】
化合物12(FT013)、3-(4-メチルピペラジン-1-イル)-1-(4-(ペンチルチオ)フェニル)プロパン-1-オン
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ:7.75(d,2H,PhH),6.90(d,2H,PhH),3.16(t,2H,COCH2),3.03(t,2H,SCH2),2.84(t,2H,NCH2),2.60(m,4H,NCH2),2.51(m,4H,NCH2),2.23(s,3H,CH3),1.82(m,2H,CH2),1.4-1.2(m,4H,CH2),0.97(t,3H,CH3).
13C-NMR{1H}(100MHz,CDCl3)δ:193.2,161.2,132.3,111.6,75.3,67.9,65.1,52.7,51.6,45.2,34.5,31.6,29.2,22.2,13.8.
m/z(ESI):335.2.
収率:75%.
純度(HPLC):98%.
【0070】
化合物13(FT016)、1-(4-(ヘキシルチオ)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ:7.75(d,2H,PhH),6.92(d,2H,PhH),3.15(t,2H,COCH2),3.03(t,2H,SCH2),2.84(t,2H,NCH2),2.64(m,4H,NCH2),2.52(m,4H,NCH2),2.27(s,3H,CH3),1.82(m,2H,CH2),1.4-1.2(m,6H,CH2),0.92(t,3H,CH3).
13C-NMR{1H}(100MHz,CDCl3)δ:196.1,164.1,130.3,112.1,75.2,68.9,65.3,52.1,51.7,45.5,34.9,31.2,28.0,23.2,21.2,14.6.
m/z(ESI):349.2.
収率:72%.
純度(HPLC):97%.
【0071】
化合物14(FT19)、1-(4-(ヘプチルチオ)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ:7.78(d,2H,PhH),6.90(d,2H,PhH),3.11(t,2H,COCH2),3.01(t,2H,SCH2),2.87(t,2H,NCH2),2.63(m,4H,NCH2),2.52(m,4H,NCH2),2.23(s,3H,CH3),1.82(m,2H,CH2),1.4-1.2(m,8H,CH2),0.99(t,3H,CH3).
13C-NMR{1H}(100MHz,CDCl3)δ:190.3,168.2,130.1,111.4,75.4,69.0,65.4,52.8,51.2,49.3,34.8,31.0,29.9,28.4,23.7,21.2,13.9.
m/z(ESI):363.2.
収率:70%.
純度(HPLC):97%.
【0072】
Xがセレンである、一般式(I)の1-フェニルプロパノン化合物の一般的製造方法
適量のジフェニルジセレニドを、エタノールに溶解し、そして、得られた溶液を氷浴に入れた。
水素化ホウ素ナトリウム(4当量)を、冷却しながら、撹拌下、慎重に加えた。20分後、適切な1-ブロモアルカン(例えば、1-ブロモペンタン、1-ブロモヘキサン、または1-ブロモヘプタン、1当量)を混合物に加えた。
5時間後、水を加えて反応を停止させ、そして、エタノールを、ロータリーエバポレーターで除去した。得られた残渣をジエチルエーテルに分散させ、そして、有機層を水洗した。ジエチルエーテルを、ロータリーエバポレーターにより除去して、フェニルアルキルセレノエーテルを得た。そのような中間体を、氷浴中で、1,2-ジクロロエタン中、3-ブロモプロピオニルクロリド(2当量)および三塩化アルミニウム(3当量)と反応させた。それを水中に注ぎ、反応を停止させた。そして所望の中間体をジエチルエーテルで抽出するした。
有機層を分離し、そして、ロータリーエバポレーターにかけて、パラ位がアシル化されたフェニルアルキルセレノエーテルを得た。
このようにして合成した中間体を、トルエン中、適当な環状アミン(モルホリン、ピペリジンまたはN-メチルピペラジン、2当量)、ヨウ化カリウム(2当量)および炭酸カルシウム(3当量)で処理した。
混合物を12時間還流した。
冷却後、固体を濾過により除去し、そして、溶媒をロータリーエバポレーターにより蒸発させた。次いで、残留物をジクロロメタン中に分散させ、そして、混合物を、10%水酸化ナトリウム溶液で洗浄した。有機層を、ロータリーエバポレーターにより蒸発させて、所望の化合物を得た。
収量:72~80%。
【0073】
化合物15(GR376)、3-モルホリノ-1-(4-(ペンチルセレニル)フェニル)プロパン-1-オン
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ:7.76(d,2H,PhH),7.28(d,2H,PhH),3.69(t,4H,OCH2),3.12(t,2H,COCH2),3.01(t,2H,SeCH2),2.92(t,2H,NCH2),2.49(m,4H,NCH2),1.69(m,4H,CH2),1.37(m,2H,CH2),0.90(t,3H,CH3).
13C-NMR(100MHz,CDCl3)δ:196.2,145.4,133.5,128.2,126.3,66.7,53.2,53.1,35.2,31.2,31.1,28.7,22.2,13.9.
m/z(ESI):370.2.
収率:73%.
純度(HPLC):98%.
【0074】
化合物16(GR377)、1-(4-(ヘキシルセレニル)フェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ:7.75(d,2H,PhH),7.29(d,2H,PhH),3.64(t,4H,OCH2),3.12(t,2H,COCH2),3.02(t,2H,SeCH2),2.91(t,2H,NCH2),2.49(m,4H,NCH2),1.69(m,6H,CH2),1.37(m,2H,CH2),0.90(t,3H,CH3).
13C-NMR(100MHz,CDCl3)δ:196.2,145.4,132.5,128.2,125.2,66.7,53.6,53.1,35.1,31.2,31.1,28.7,25.2,22.2,13.9.
m/z(ESI):384.1.
収率:79%.
純度(HPLC):97%.
【0075】
化合物17(GR386)、1-(4-(ヘプチルセレニル)フェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ:7.73(d,2H,PhH),7.29(d,2H,PhH),3.62(t,4H,OCH2),3.12(t,2H,COCH2),3.03(t,2H,SeCH2),2.91(t,2H,NCH2),2.47(m,4H,NCH2),1.7-1.5(m,8H,CH2),1.38(m,2H,CH2),0.91(t,3H,CH3).
13C-NMR(100MHz,CDCl3)δ:198.1,145.2,132.1,128.6,125.1,66.8,53.2,49.5,35.3,31.0,31.2,28.9,25.1,22.0,14.2.
m/z(ESI):398.2.
収率:80%.
純度(HPLC):97%.
【0076】
化合物18(GR378)、1-(4-(ペンチルセレニル)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ:7.74(d,2H,PhH),6.94(d,2H,PhH),3.15(m,4H,NCH2),3.11(t,2H,COCH2),3.01(m,2H,SeCH2),2.82(t,2H,CH2),1.80(m,2H,CH2),1.63(m,2H,CH2),1.46(m,4H,CH2),1.37(m,2H,CH2),0.93(t,3H,CH3).
13C-NMR{1H}(100MHz,CDCl3)δ:198.0,162.1,131.2,129.3,140.1,68.1,53.2,54.6,34.2,30.5,29.2,26.7,24.2,22.1,14.0.
m/z(ESI):368.1.
収率:72%.
純度(HPLC):97%.
【0077】
化合物19(GR381)、1-(4-(ヘキシルセレニル)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ:7.74(d,2H,PhH),6.92(d,2H,PhH),3.11(m,4H,NCH2)3.08(t,2H,COCH2),3.02(m,2H,SeCH2),2.81(t,2H,CH2),1.79(m,2H,CH2),1.62(m,4H,CH2),1.45(m,6H,CH2),1.32(m,2H,CH2),0.91(t,3H,CH3).
13C-NMR{1H}(100MHz,CDCl3)δ:195.2,161.6,132.1,130.2,141.1,67.4,53.1,51.4,38.2,33.1,30.5,29.8,26.1,23.9,19.8,14.1.
m/z(ESI):382.2.
収率:76%.
純度(HPLC):98%.
【0078】
化合物20(GR387)、1-(4-(ヘプチルセレニル)フェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ:7.74(d,2H,PhH),6.92(d,2H,PhH),3.12(m,4H,NCH2),3.09(t,2H,COCH2),3.01(t,2H,SeCH2),2.81(t,2H,CH2),1.79(m,4H,CH2),1.7-1.4(m,10H,CH2),0.91(t,3H,CH3).
13C-NMR{1H}(100MHz,CDCl3)δ:191.2,162.2,131.5,132.1,142.2,68.2,51.0,50.4,38.1,35.2,32.4,31.5,29.0,26.2,23.8,19.7,14.2.
m/z(ESI):396.2.
収率:75%.
純度(HPLC):96%.
【0079】
化合物21(GR379)、3-(4-メチルピペラジン-1-イル)-1-(4-(ペンチルセレニル)フェニル)プロパン-1-オン
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ:7.75(d,2H,PhH),6.90(d,2H,PhH),3.16(t,2H,COCH2),3.01(t,2H,SeCH2),2.84(t,2H,NCH2),2.60(m,4H,NCH2),2.51(m,4H,NCH2),2.21(s,3H,CH3),1.82(m,2H,CH2),1.4-1.2(m,4H,CH2),0.97(t,3H,CH3).
13C-NMR{1H}(100MHz,CDCl3)δ:195.8,161.1,132.2,111.6,75.2,68.1,64.2,51.7,51.5,45.1,33.2,31.4,29.1,22.1,14.8.
m/z(ESI):383.2.
収率:72%.
純度(HPLC):97%.
【0080】
化合物22(GR383)、1-(4-(ヘキシルセレニル)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ:7.74(d,2H,PhH),6.91(d,2H,PhH),3.13(t,2H,COCH2),3.01(t,2H,SeCH2),2.81(t,2H,NCH2),2.60(m,4H,NCH2),2.48(m,4H,NCH2),2.22(s,3H,CH3),1.81(m,2H,CH2),1.5-1.2(m,6H,CH2),0.93(t,3H,CH3).
13C-NMR{1H}(100MHz,CDCl3)δ:193.2,161.0,132.0,111.5,75.1,68.4,64.9,52.9,51.0,45.2,37.1,33.1,31.7,29.1,22.0,13.8.
m/z(ESI):397.2.
収率:79%.
純度(HPLC):98%.
【0081】
化合物23(GR388)、1-(4-(ヘプチルセレニル)フェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ:7.74(d,2H,PhH),6.91(d,2H,PhH),3.13(t,2H,COCH2),3.01(t,2H,SeCH2),2.81(t,2H,NCH2),2.60(m,4H,NCH2),2.48(m,4H,NCH2),2.22(s,3H,CH3),1.81(m,2H,CH2),1.5-1.2(m,8H,CH2),0.93(t,3H,CH3).
13C-NMR{1H}(100MHz,CDCl3)δ:196.4,160.2,131.2,111.2,75.3,68.2,64.3,52.1,51.9,45.1,37.5,33.3,32.7,31.4,29.8,22.2,13.9.
m/z(ESI):411.2.
収率:76%.
純度(HPLC):97%.
【0082】
Xが、メチレン、CH2である、一般式(I)の1-フェニルプロパノン化合物の一般的製造方法
適切なアルキルベンゼン(例えば、ペンチルベンゼン、ヘキシルベンゼン、またはヘプチルベンゼン)を、氷浴中で、1,2-ジクロロエタン中の3-ブロモプロピオニルクロリド(2当量)および三塩化アルミニウム(3当量)と反応させた。
それを水中に注ぎ、反応を停止させた。そして、所望の中間体を、ジエチルエーテルで抽出した。有機層を分離し、そして、ロータリーエバポレーターにかけた。このようにして合成した中間体を、次に、トルエン中、適当な環状アミン(モルホリン、ピペリジンまたはN-メチルピペラジン、2当量)、ヨウ化カリウム(2当量)および炭酸カルシウム(3当量)で処理した。
混合物を、12時間還流した。
冷却後、固体を濾過により除去し、そして、溶媒を、ロータリーエバポレーターにより蒸発させた。
残渣を、ジクロロメタン中に分散させ、そして、混合物を、10%水酸化ナトリウム溶液で洗浄した。有機層を、ロータリーエバポレーターにより蒸発させて、所望の化合物を得た。
収率:61~75%。
【0083】
化合物24(GR390)、1-(4-ヘプチルフェニル)-3-モルホリノプロパン-1-オン
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ:7.75(d,2H,PhH),7.08(d,2H,PhH),3.69(t,4H,OCH2),3.12(t,2H,COCH2),2.87(t,2H,NCH2),2.62(t,2H,PhCH2),2.48(m,4H,NCH2),1.74(m,6H,CH2),1.30(m,4H,CH2),0.90(t,3H,CH3).
13C-NMR(100MHz,CDCl3)δ:191.5,157.2,143.1,131.6,124.3,67.5,53.2,51.4,34.3,32.0,31.3,28.4,25.6,23.0,22.8,14.1.
m/z(ESI):318.2.
収率:61%.
純度(HPLC):97%.
【0084】
化合物25(GR391)、1-(4-ヘプチルフェニル)-3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ:7.74(d,2H,PhH),6.91(d,2H,PhH),3.09(t,2H,COCH2),2.99(m,4H,NCH2),2.55(t,2H,PhCH2),2.84(t,2H,CH2),1.75(m,4H,CH2),1.62(m,4H,CH2),1.41(m,6H,CH2),1.31(m,4H,CH2),0.96(t,3H,CH3).
13C-NMR(100MHz,CDCl3)δ:190.4,157.5,142.2,133.1,125.2,68.7,54.1,52.2,37.0,32.1,31.5,29.7,28.4,27.2,25.0,24.2,13.5.
m/z(ESI):316.3.
収率:72%.
純度(HPLC):98%.
【0085】
化合物26(GR392)、1-(4-ヘプチルフェニル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-オン
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ:7.72(d,2H,PhH),6.90(d,2H,PhH),3.12(t,2H,COCH2),2.82(t,2H,NCH2),2.62(m,4H,NCH2),2.49(t,2H,PhCH2),2.43(m,4H,NCH2),2.21(s,3H,CH3),1.81(m,2H,CH2),1.5-1.2(m,8H,CH2),0.93(t,3H,CH3).
13C-NMR{1H}(100MHz,CDCl3)δ:196.3,161.4,131.3,111.6,78.2,67.1,66.2,54.2,51.7,45.2,34.5,33.3,31.7,31.5,29.7,21.2,15.1.
m/z(ESI):331.3.
収率:75%.
純度(HPLC):97%。
【0086】
実施例2
in vitroでの腫瘍細胞に対するアポトーシス促進作用の評価
フローサイトフルオロメトリーを使用して、特にアポトーシスに関して、細胞死を誘導する本発明のいくつかの化合物の能力を評価した。
この後者の現象は、細胞質側から細胞の外側表面への原形質膜(plasmatic membrane)中における、リン脂質のホスファチジルセリン(PS)の転座の結果としての原形質膜(plasmatic membrane)の形態学的修飾を特徴とする。
【0087】
カルシウムイオンの存在下では、アネキシンVタンパク質は、PSに対して、高い親和性を示し、アポトーシス検出のための信頼できるマーカーとなる。アネキシンは特定の蛍光色素と結合しているので検出され、かくして、アポトーシスを、壊死現象と区別することを可能にして、その代わりに、損傷した原形質膜を有する細胞内に自由に浸透する蛍光色素ヨウ化プロピジウムによって測定される。
【0088】
慢性リンパ性白血病(LLC)に罹患した患者から採取した原発性リンパ球性腫瘍細胞および、神経芽細胞腫(SK-N-BE)、肝癌腫(HepG2およびHUH7.5)および乳癌(MDA-MB-231)のヒト化細胞株の両方を用いた。
【0089】
HepG2(ウェル当たり2×105細胞)、HUH7.5およびMDA-MB-231(ウェル当たり1.5×105細胞)細胞を、ダルベッコの改変イーグル培地(DMEM)、10%FBS中で、6-ウェルプレートに播種し、そして、37℃で、5%CO2雰囲気中で培養した。
【0090】
24時間後、培地を除去し、そして、予め、100%ジメチルスルホキシドに溶解した、試験化合物を含有するDMEMと交換し、そして、細胞インキュベーション溶液中のその同じ最終濃度が0.5%(v/v)となるように希釈した。
30分のインキュベーション後、10%FBSを添加し、そして、細胞を24時間インキュベートし、次いで、トリプシンで剥離し、そして細胞蛍光光度計(cytofluorimeter)により分析した。
【0091】
LLC細胞(1ウェルあたり1×106細胞)を播種し、5%CO2を含む加湿雰囲気中、37℃で、RPMI-1640培地、10%FBS中で、12-ウェルプレート上で培養した。
この培地に、試験化合物を添加し、そして、インキュベーションを24時間実施し、その後、細胞を細胞蛍光光度計により分析した。
【0092】
LLC患者の末梢血から、脱血(venous withdrawal)にヘパリンを加えた後、白血病リンパ球を単離し、1:3の比率で生理食塩水で希釈し、Ficoll/Hypaque(F/H)密度勾配上に重層し、900rpmで、20分間、20℃で、ブレーキ無しで(without brakes)、遠心分離した。
F/H勾配の最上部に集中している、単核細胞および血小板を、室温で、400rpmで遠心分離しながら、さらに2回洗浄した後に分離した。
【0093】
このようにして得られた単核細胞を、PBSで、3回洗浄し、ブレーキを用いて(with brakes)、20℃で、400rpmで、10分間遠心分離し、そして、RPMI1640で再懸濁した。
【0094】
大部分のLLCの場合、白血病B細胞の割合は、末梢血由来のすべての単核球細胞に関して、85%より高かった。
3回行った3つの別々の実験から、細胞蛍光光度計によって得られた結果を表にして、50%アポトーシスを引き起こすのに必要な濃度(IC50)、および標準偏差を推定した。
結果を下記表1に示す。
【0095】
【0096】
表1に示されるように、化合物への細胞の曝露は以下のことを明らかにする。
-理想的なアルキル鎖は、6または7個の炭素原子で表され、したがって、nは5または6が好ましい。
-Seで表されるヘテロ原子を有する化合物については、炭素鎖が7個のC原子を含むとき、すなわちnが6に等しいとき、より高い効力が観察される。
-分子に最も高い有効性を付与するヘテロ原子は、Sであり、ピペリジン、モルホリン、およびメチルピペラジン基とは無関係に、アポトーシスを同様に誘導することができる。
-ヘテロ原子がSではない化合物では、モルホリン基がより効果的なアポトーシス作用を与えるものである。
【0097】
さらに、上記のように、D.Juら名前で引用された2つの論文は、本発明のいくつかの化合物に類似の化合物であるが、わずか4個の炭素原子のアルコキシル鎖を有する化合物、ジクロニン、の特性について論じる。
これらの論文は、乳癌および多発性骨髄腫細胞における、アポトーシスの誘導におけるプロテアソームインヒビター効果の増強剤としてのジクロニンの役割のみを強調し、そして、15~30μMの範囲の濃度(本発明の化合物が活性である濃度よりもはるかに高い(0.55から最大14.23μMまでのIC50値、ほとんどの化合物は3未満のIC50値を示す))でのみ、カスパーゼ依存性アポトーシスの誘導における有効性(IC50値)を示す。
【0098】
実施例3
本発明の化合物の免疫抑制効果の評価
序論で論じたように、化合物FTY720は、S1P受容体の分解に存する免疫抑制効果の根底にある分子機構を維持しながら、腫瘍細胞に対して細胞傷害作用を発揮する。
抗腫瘍治療における潜在的使用にとって望ましくない、このメカニズムが、本発明の化合物の存在下で存続するかどうかを評価するために、これらのいくつかを、それらを同じ条件下で、FTY720と比較することにより試験した。
この目的のために、LLC細胞(5×105/ウェル)をRPMI-1640培地、10%FBS中、5%CO2を含む加湿雰囲気中、37℃で、12-ウェルプレートに播種し、培養し、培養液に、様々な試験化合物を加えた。
インキュベーションを、別々の時間で行った。
その最後に、細胞を溶解して、S1P1受容体を特異的に認識する抗体を用いた、ウエスタンブロット分析に、タンパク質内容物をかけた。
【0099】
図1に示す結果は、FTY720がS1P
1受容体の急速な減少を誘導することを明らかに示しており、インキュベーション後3時間後にはすでに明らかであり、そして、12時間のインキュベーション後にはさらにより顕著である(S1P
1濃度の減少は免疫抑制の原因である)。逆に、試験した本発明の化合物は、試験の全ての時点で、同じ受容体の発現プロファイルを変化させないでおく。