(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-27
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】アンテナおよび移動端末
(51)【国際特許分類】
H01Q 13/10 20060101AFI20220128BHJP
H01Q 21/06 20060101ALI20220128BHJP
H01Q 1/22 20060101ALI20220128BHJP
【FI】
H01Q13/10
H01Q21/06
H01Q1/22 Z
(21)【出願番号】P 2020091919
(22)【出願日】2020-05-27
【審査請求日】2020-05-27
(31)【優先権主張番号】202010033914.3
(32)【優先日】2020-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516180667
【氏名又は名称】北京小米移動軟件有限公司
【氏名又は名称原語表記】Beijing Xiaomi Mobile Software Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.018, Floor 8, Building 6, Yard 33, Middle Xierqi Road, Haidian District, Beijing 100085, China
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャン ルーポン
(72)【発明者】
【氏名】ドゥアン シャオチャオ
【審査官】鈴木 肇
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第106711616(CN,A)
【文献】特開2013-037653(JP,A)
【文献】特開2013-026860(JP,A)
【文献】特開2017-228982(JP,A)
【文献】特開2019-205090(JP,A)
【文献】特開2014-170989(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/00-25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナであって、
前記アンテナは、
アンテナ本体と、
アンテナ本体に設置され、アレイ状に配列されてスロットアンテナ素子アレイを形成する複数のスロットアンテナ素子とを含み、
前記スロットアンテナ素子は、前記アンテナ本体の内部に形成されたキャビティと、前記アンテナ本体の表面を貫通して形成されたスロットとを含み、
前記キャビティは、前記スロットアンテナ素子の給電システムであり、
前記スロットと前記キャビティは、5Gミリ波を伝送するためのサイズを有
し、
前記アンテナには、第2アンテナ素子がさらに設置され、前記第2アンテナ素子と前記アンテナ本体が接続した所に第2スロットが設けられ、前記第2アンテナ素子は、前記第2スロットを介して2G/3G/4G波の信号を外部に伝送することを特徴とする、前記アンテナ。
【請求項2】
前記スロットの長さは、動作波長の4分の1より大きいか等しく、且つ動作波長の4分の3より小さいか等しく、
前記スロットの幅は、動作波長の16分の1より小さいか等しく、
前記動作波長は、前記スロットアンテナ素子アレイによって伝送されるビームの波長に従って決定されることを特徴とする、
請求項1に記載のアンテナ。
【請求項3】
前記スロットの長さは、動作波長の2分の1であることを特徴とする、
請求項2に記載のアンテナ。
【請求項4】
前記キャビティは、立方体の形状を有し、
前記キャビティのサイズは、標準導波路とフランジサイズの対応関係に従って決定されることを特徴とする、
請求項1に記載のアンテナ。
【請求項5】
前記スロットは、高誘電率且つ低誘電損失を有する誘電体材料で充填されることを特徴とする、
請求項1に記載のアンテナ。
【請求項6】
前記高誘電率は、誘電率が4以上の誘電率であり、
前記低誘電損失は、誘電損失が2‰以下の誘電損失であることを特徴とする、
請求項5に記載のアンテナ。
【請求項7】
動作波長は、前記スロットアンテナ素子アレイによって伝送されるビームの波長であることを特徴とする、
請求項1ないし4のいずれか一項に記載のアンテナ。
【請求項8】
動作波長は、前記スロットアンテナ素子アレイによって伝送されるビームの波長および前記スロットに充填された誘電体材料の誘電率に従って決定されることを特徴とする、
請求項5または6に記載のアンテナ。
【請求項9】
前記スロットアンテナ素子の前記キャビティの内部には、高誘電率且つ低誘電損失を有する誘電体材料で充填されることを特徴とする、
請求項1に記載のアンテナ。
【請求項10】
前記高誘電率は、誘電率が4以上の誘電率であり、
前記低誘電損失は、誘電損失が2‰以下の誘電損失であることを特徴とする、
請求項9に記載のアンテナ。
【請求項11】
前記アンテナ本体には、
スペーサがさらに設置され、前記スペーサは、前記スロットアンテナ素子アレイの隣接する2つのスロットアンテナ素子の間に設置されることを特徴とする、
請求項1に記載のアンテナ。
【請求項12】
前記スロットアンテナ素子アレイの隣接する2つのスロットアンテナ素子の前記スロット間の間隔は、前記スロットアンテナ素子アレイの伝送ビームの2分の1波長と1波長の間であることを特徴とする、
請求項1に記載のアンテナ。
【請求項13】
前記アンテナ本体は、移動端末の金属フレームであることを特徴とする、
請求項1に記載のアンテナ。
【請求項14】
移動端末であって、
前記移動端末は、
金属フレームと、
アンテナとを含み、前記アンテナは、請求項1ないし13のいずれか一項記載のアンテナであり、
前記アンテナ本体は、前記金属フレームの一部であることを特徴とする、前記移動端末。
【請求項15】
前記アンテナ本体は、前記金属フレームの下部、上部、および両側の一部または全部であることを特徴とする、
請求項14に記載の移動端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2020年01月13日に中国特許局に提出された、出願番号がCN202010033914.3である中国特許出願に基づいて提出されるものであり、当該中国特許出願の優先権を主張し、当該中国特許出願の全ての内容が参照によって本願に組み込まれる。
【0002】
本開示は、通信技術分野に関し、特に、アンテナおよび移動端末に関する。
【背景技術】
【0003】
通信技術の急速な発展に伴い、人々はスマート端末機器に対する要求はますます高まっている。同時に、通信技術のアップグレードにおける重要なノードとして、5Gはネットワークの速度、安定性、信頼性、および低遅延を包括的に改善し、4G時代では達成できないさまざまなシナリオを実現する。
【0004】
5G通信の発展に応じて、移動端末などの通信機器は、移動端末の通信を実現するためには、対応するアンテナとマッチングされる必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
関連技術に存在する問題を克服するために、本開示は、アンテナおよび移動端末を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の実施例の第1態様によれば、アンテナを提供し、前記アンテナは、アンテナ本体と、アンテナ本体に設置され、アレイ状に配列されてスロットアンテナ素子アレイを形成する複数のスロットアンテナ素子とを含み、スロットアンテナ素子は、アンテナ本体の内部に形成されたキャビティと、アンテナ本体の表面を貫通して形成されたスロットとを含み、スロットとキャビティは、5Gミリ波を伝送するためのサイズを有する。
【0007】
一実施形態において、スロットの長さは、動作波長の4分の1より大きいか等しく、且つ動作波長の4分の3より小さいか等しく、スロットの幅は、動作波長の16分の1より小さいか等しく、動作波長は、スロットアンテナ素子アレイによって伝送されるビームの波長に従って決定される。
【0008】
別の実施形態において、スロットの長さは、動作波長の2分の1である。
【0009】
さらに別の実施形態において、キャビティは、立方体の形状を有し、キャビティのサイズは、標準導波路とフランジサイズの対応関係に従って決定される。
【0010】
さらに別の実施形態において、スロットは、高誘電率且つ低誘電損失を有する誘電体材料で充填される。
【0011】
さらに別の実施形態において、高誘電率は、誘電率が4以上の誘電率であり、低誘電損失は、誘電損失が2‰以下の誘電損失である。
【0012】
さらに別の実施形態において、動作波長は、スロットアンテナ素子アレイによって伝送されるビームの波長である。
【0013】
さらに別の実施形態において、動作波長は、スロットアンテナ素子アレイによって伝送されるビームの波長およびスロットに充填された誘電体材料の誘電率に従って決定される。
【0014】
さらに別の実施形態において、スロットアンテナ素子のキャビティの内部には、高誘電率且つ低誘電損失を有する誘電体材料で充填される。
【0015】
さらに別の実施形態において、高誘電率は、誘電率が4以上の誘電率であり、低誘電損失は、誘電損失が2‰以下の誘電損失である。
【0016】
さらに別の実施形態において、アンテナ本体には、スペーサがさらに設置され、スペーサは、スロットアンテナ素子アレイの隣接する2つのスロットアンテナ素子の間に設置される。
【0017】
さらに別の実施形態において、スロットアンテナ素子アレイの隣接する2つのスロットアンテナ素子のスロット間の間隔は、スロットアンテナ素子アレイの伝送ビームの2分の1波長から1波長の間である。
【0018】
さらに別の実施形態において、アンテナ本体は、移動端末の金属フレームである。
【0019】
本開示の実施例の第2態様によれば、移動端末を提供し、前記移動端末は、金属フレームと、アンテナとを含み、ここで、アンテナは、本開示の第1態様または第2態様のいずれか1つの実施例に記載のアンテナであり、アンテナ本体は、金属フレームの一部である。
【0020】
一実施形態において、アンテナ本体は、金属フレームの下部、上部、および両側の一部または全部である。
【発明の効果】
【0021】
本開示の実施例によって提供される技術的解決策は、以下の有益な効果を含み得る。本開示によって提供されるアンテナは、アンテナ本体とアンテナ本体に設置されたスロットアンテナ素子アレイによって、移動端末で5Gミリ波アンテナを構築して、移動端末が5Gデータ伝送ネットワークを用いた伝送データの送受信を実現することができる。
【0022】
上記の一般的な説明および後述する詳細な説明は、単なる例示および説明に過ぎず、本開示を限定するものではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
ここでの図面は、本明細書に組み込まれてその一部を構成し、本開示と一致する実施例を示し、明細書とともに本開示の原理を説明するために使用される。
【
図1】本開示の一例示的な実施例によるアンテナ構成の平面図の概略図である。
【
図2】本開示の一例示的な実施例によるアンテナ構成の断面図の概略図である。
【
図3】本開示の一例示的な実施例によるアンテナのスロットアンテナ素子アレイの概略的な構造図である。
【
図4】本開示の一例示的な実施例による別のアンテナの平面図の概略図である。
【
図5】本開示の一例示的な実施例による別のアンテナの正面図の概略図である。
【
図6】本開示の一例示的な実施例によるアンテナの走査におけるメインローブ減衰の結果の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
ここで、例示的な実施例について詳細に説明し、その例は図面に示す。特に明記しない限り、以下の説明が添付の図面に関する場合、異なる図面の同じ数字は同じまたは類似な要素を表す。以下の例示的な実施例で説明される実施形態は、本開示と一致するすべての実施形態を表すものではない。むしろ、それらは、添付された特許請求の範囲に詳述されたように、本開示の特定の態様と一致する装置および方法の例である。
【0025】
図面において、同じまたは類似の参照番号は、全体を通して同じまたは類似のコンポーネント、または、同じまたは類似な機能を有するコンポーネントを示す。説明された実施例は、本開示の実施例の一部であり、全部の実施例ではない。以下に図面を参照して説明した実施例は、本開示を説明するための例示的なものであり、本開示を限定するものではない。本開示の実施例に基づいて、創造的な努力なしに当業者によって得られる他のすべての実施例は、本開示の保護範囲に含まれる。以下、図面を参照して本開示の実施例を詳細に説明する。
【0026】
本実施例の説明において、「中心」、「縦向き」、「横向き」、「前」、「後ろ」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「上」、「下」、「内」、「外」などの用語が示す方向または位置関係は、図面に示す方向または位置関係に基づいたものであり、単なる本実施例の説明の便宜および簡潔のためであり、言及された装置またはコンポーネントが必ずしも特定の方向を有し、特定の方向で構築および操作しなければならないことを示すまたは暗示するものではない。したかって、本実施例の保護範囲を限定するものとして理解することはできない。特に説明されていない限り、これらの実施例で説明されたコンポーネントの相対的な配置、数式、および数値は、本開示の保護範囲を限定しないことに留意されたい。
【0027】
移動通信機器に対するユーザの要求の増加と、通信技術の活発な発展に伴い、移動通信機器に対する技術要求もますます高まっている。特に移動通信技術では、過去の2G技術から現在の5G技術に発展した。
【0028】
ここで、5Gネットワークは、第5世代移動通信ネットワーク(5G:5th generation mobile networksまたは5th generation wireless systems)を指す。5Gネットワークは最新世代のセルラー移動通信技術であり、その性能は、高データレート、遅延の減少、省エネルギ、コスト削減、システム容量の増加および大規模な機器接続などである。主な利点は、データ伝送レートが以前のセルラーネットワークよりもはるかに高く、最大10Gbit/sで、4Gによりも100倍速い。
【0029】
アンテナは、移動通信ネットワークの伝送媒体として、伝送線路で伝播される導波路を、境界のない媒体または自由空間で伝播される電磁波に変換することができる。5Gの発展に伴い、アンテナに対する移動端末の要求も高くなり、アンテナは5G移動通信ネットワークシステムの重要な要素になる。
【0030】
本開示の実施例によって提供されるアンテナは、携帯電話またはタブレットコンピュータなどの移動端末に適用されることができる。
【0031】
図1は、本開示の一例示的な実施例によるアンテナ構成の平面図の概略図であり、
図2は、本開示の一例示的な実施例によるアンテナ構成の断面図の概略図であり、
図3は、本開示の一例示的な実施例によるアンテナのスロットアンテナ素子アレイの概略的な構造図である。
【0032】
図1、
図2および
図3に示すように、アンテナ100は、アンテナ本体101と、アンテナ本体101に設置されたスロットアンテナ素子1021と含み、ここで、複数のスロットアンテナ素子1021は、アレイ状に配列されてスロットアンテナ素子アレイ102を形成する。
【0033】
アンテナ本体101は、アンテナ100の構造骨格であり、アンテナ本体101は、金属材料で作られることができ、金属フレームとして理解することができる。
【0034】
スロットアンテナ素子アレイ102は、いくつかのスロットアンテナ素子1021で構成され、ここで、スロットアンテナ素子1021は、アンテナ本体101の内部に形成されたキャビティ10211と、アンテナ本体101の表面を貫通して形成されたスロット10212とを含む。
【0035】
キャビティ10211は、金属材料で作られることができる。
【0036】
「アンテナ本体101の表面を貫通して形成されたスロット10212」とは、アンテナ本体101の表面にスロット10212が設けられることを意味する。キャビティ10211は、スロット10212を介してアンテナ本体101の外表面と貫通することができ、即ち、スロット10212は、キャビティ10211が外界と連通するようにする。
【0037】
本開示のアンテナにおいて、キャビティ10211は、スロットアンテナ素子1021の給電システムであり得る。適用において、スロットアンテナ素子1021は、アンテナ本体101の表面を貫通して形成されたスロット10212によって、5Gミリ波の伝送を実行することができる。
【0038】
スロット10212とキャビティ10211は、5Gミリ波を伝送するためのサイズを有する。
【0039】
さらに、スロットアンテナ素子1021のスロット10212のサイズは、伝送されるビームの波長に関連する。
【0040】
スロットアンテナ素子1021のキャビティ10211のサイズは、伝送されるビームの動作周波数帯域のサイズに関連し、ここでの対応関係は、導波管キャビティのフランジサイズのサイズと伝送される異なる波帯の周波数の対応関係を参照して決定することができる。
【0041】
スロットアンテナ素子アレイ102は、各スロットアンテナ素子1021を介して5Gミリ波の伝送を実行し、複数のスロットアンテナ素子1021を利用して5Gミリ波を伝送するためのアレイを形成することにより、5Gミリ波の効果的な伝送を確保する。
【0042】
5Gミリ波の動作周波数帯域の標準は各国によって異なるが、ここで、中国での5Gミリ波の動作周波数帯域の標準は28GHzである。
【0043】
本開示によって提供されるアンテナは、アンテナ本体101とアンテナ本体101に設置されたスロットアンテナ素子アレイ102によって、移動端末で5Gミリ波アンテナを構築して、5Gデータ伝送ネットワークを用いた伝送データの送受信を実現することができる。
【0044】
本開示の一例示的な実施例において、スロット10212の長さは、動作波長の4分の1より大きいか等しく、且つ動作波長の4分の3より小さいか等しい。スロット10212の幅は、動作波長の16分の1より小さいか等しい。ここで、動作波長は、スロットアンテナ素子アレイ102によって伝送されるビームの波長に従って決定される。
【0045】
スロット10212のサイズは、スロットアンテナ素子アレイ102が5Gミリ波を効果的に伝送できるかどうかに影響を及ぼし得る。スロット10212の長さが動作波長の4分の1より大きいか等しく、且つ動作波長の4分の3より小さいか等しく、スロットの幅が動作波長の16分の1より小さいか等しい場合、スロットアンテナ素子アレイ102は、5Gミリ波を効果的に伝送することができる。
【0046】
動作波長は、スロットアンテナ素子アレイ102によって伝送されるビームの波長に従って決定される。例えば、動作波長は、スロットアンテナ素子アレイ102によって伝送されるビームの波長であり得る。これにより、スロット10212の長さは、スロットアンテナ素子アレイ102によって伝送されるビームの波長の4分の1より大きいか等しく、且つアンテナ素子アレイ102によって伝送されるビームの波長の4分の3より小さいか等しい必要がある。スロット10212の幅は、スロットアンテナ素子アレイ102によって伝送されるビームの波長の16分の1より小さいか等しい必要がある。
【0047】
本開示の一例示的な実施例において、スロット10212の長さは、動作波長の2分の1であり得る。動作波長がスロットアンテナ素子アレイ102によって伝送されるビームの波長である場合、スロット10212の長さは、スロットアンテナ素子アレイ102によって伝送されるビームの波長の2分の1である必要がある。
【0048】
本開示の一例示的な実施例において、キャビティ10211は、立方体の形状を有し得、キャビティ10211のサイズは、標準導波路とフランジサイズの対応関係に従って決定される。
【0049】
電磁波の指向性伝送を誘導できる機器は、まとめて導波路装置と呼ばれ、指向性伝送に誘導される電磁波は、誘導電磁波、または略して導波路と呼ばれる。標準導波路は、国際標準に従って、周波数帯域に基づいて導波路を分割して決定した異なる周波数帯域の導波路として理解することができる。
【0050】
実際の用途では、導波路装置のフランジサイズと当該導波路装置が伝送できるビームの周波数の間には対応関係があり、当該対応関係は、標準導波路とフランジサイズの対応関係である。例えば、スロットアンテナ素子アレイ102によって伝送される5Gミリ波のビームの周波数が21.7GHz~33GHzである場合、キャビティ10211の長さは8.616mm~8.656mmであり、キャビティ10211の幅は4.298mm~4.338mmである。
【0051】
本開示の一例示的な実施例において、スロット10212は、高誘電率且つ低誘電損失を有する誘電体材料で充填される。高誘電率は、誘電率が4より大きいか等しい誘電体材料として理解することができる。低誘電損失は、誘電損失が2‰以下の誘電体材料として理解することができる。高誘電率且つ低誘電損失を有する誘電体材料は、樹脂材料、プラスチック材料、誘電体基板材料であり得る。
【0052】
本開示の一例示的な実施例において、動作波長は、スロットアンテナ素子アレイ102によって伝送されるビームの波長である。動作波長がスロットアンテナ素子アレイ102によって伝送されるビームの波長である場合、スロット10212の長さは、スロットアンテナ素子アレイ102によって伝送されるビームの波長の4分の1より大きいか等しく、且つアンテナ素子アレイ102によって伝送されるビームの波長の4分の3より小さいか等しい必要がある。スロット10212の幅は、スロットアンテナ素子アレイ102によって伝送されるビームの波長の16分の1より小さいか等しい必要がある。
【0053】
本開示の一例示的な実施例において、動作波長は、スロットアンテナ素子アレイ102によって伝送されるビームの波長およびスロット10212に充填された誘電体材料の誘電率に従って決定される。
【0054】
スロット10212が高誘電率且つ低誘電損失を有する誘電体材料で充填された場合、スロット10212に沿って伝送される波長は、動作波長である。このとき、動作波長は、スロットアンテナ素子アレイ102によって伝送されるビームの波長とスロット10212に充填された誘電体材料の誘電率に関連される。動作波長=スロットアンテナ素子アレイ102によって伝送されるビームの波長/(誘電率)1/2。
【0055】
高誘電率且つ低誘電損失を有する誘電体材料がスロット10212に充填されることにより、動作波長は、スロットアンテナ素子アレイ102によって伝送されるビームの波長よりも小さい。伝送効率を確保する前提で、スロット10212の小型化を実現することができ、さらに5Gミリ波を伝送するためのアンテナの小型化を実現することができる。
【0056】
本開示の一例示的な実施例において、スロットアンテナ素子1021のキャビティ10211の内部は、高誘電率且つ低誘電損失を有する誘電体材料で充填されることができる。高誘電率は、誘電率が4より大きいか等しい誘電体材料として理解することができる。低誘電損失は、誘電損失が2‰以下の誘電体材料として理解することができる。
【0057】
同じ原理に基づいて、スロットアンテナ素子1021のキャビティ10211の内部に高誘電率且つ低誘電損失を有する誘電体材料で充填されることにより、キャビティ10211の小型化を実現することができ、さらに5Gミリ波を伝送するアンテナの小型化を実現することができる。即ち、スロットアンテナ素子1021のキャビティ10211が比較的に小さい場合でも、誘電体材料を充填することにより、5Gミリ波の良好な伝送を満足することができる。
【0058】
ここで、高誘電率且つ低誘電損失を有する誘電体材料は、樹脂材料、プラスチック材料、および誘電体基板材料であってもよい。
【0059】
本開示の一例示的な実施例において、アンテナ本体101には、スペーサ103がさらに設置される。ここで、スペーサ103は、スロットアンテナ素子アレイ102の隣接する2つのスロットアンテナ素子1021の間に設置される。
【0060】
各スロットアンテナ素子1021は、スロットアンテナ素子アレイ102によって伝送される5Gミリ波信号であり得、それぞれ伝送した5Gミリ波の信号によって、スロットアンテナ素子アレイ102によって伝送される5Gミリ波信号アレイを形成することにより、5Gミリ波の良好な伝送を確保する。スロットアンテナ素子アレイ102の隣接する2つのスロットアンテナ素子1021の間にスペーサ103を設置することにより、各スロットアンテナ素子1021によって伝送される5Gミリ波の信号が相手の干渉を受けないように確保し、スロットアンテナ素子アレイ102が5Gミリ波の信号アレイを正常に伝送できることを確保する。
【0061】
本開示の一例示的な実施例において、スロットアンテナ素子アレイ102の隣接する2つのスロットアンテナ素子1021のスロット10212間の間隔は、スロットアンテナ素子アレイ102の伝送ビームの2分の1波長と1波長の間である。
【0062】
スロットアンテナ素子アレイ102の隣接する2つのスロットアンテナ素子1021のスロット10212間の間隔を、スロットアンテナ素子アレイ102の伝送ビームの2分の1波長と1波長の間になるように制御することにより、スロットアンテナ素子アレイ102が大きな角度まで走査する場合、メインローブゲインがより優れ、且つメインローブへのグレーティングローブの影響を低減するように確保するため、スロットアンテナ素子アレイ102による5Gミリ波の良好な伝送を実現することができる。
【0063】
本開示の一例示的な実施例において、スロットアンテナ素子アレイ102は、2つ以上のスロットアンテナ素子1021を含む。
【0064】
スロットアンテナ素子アレイ102には、2つ以上のスロットアンテナ素子1021が配置され、5Gミリ波を伝送するためのアレイを構成することができ、5Gミリ波の効果的な伝送を確保することができる。
【0065】
スロットアンテナ素子アレイ102に設置されるスロットアンテナ素子1021の数は、実際の状況に応じて決定することができる。例えば、当該アンテナ100が移動端末に設置される場合、アンテナ100のアンテナ本体101は、移動端末の金属フレームであり得る。移動端末の金属フレームの大きさの制限により、アンテナ本体101、即ち、移動端末のスロットアンテナ素子アレイ102のスロットアンテナ素子1021の数もそれに応じて制限される。
【0066】
本開示の一例示的な実施例において、スロットアンテナ素子アレイ101は、5Gミリ波を伝送するために使用される。
【0067】
5Gミリ波の動作周波数帯域の標準は各国によって異なるが、中国での標準によれば、5Gミリ波の動作周波数帯域は28GHzである。
【0068】
他の国の標準に対する5Gミリ波は、当該国の5Gミリ波を伝送することは、スロットアンテナ素子アレイ102のスロットアンテナ素子1021のキャビティ10211とスロット10212の大きさを調整することにより実現することができる。
【0069】
本開示の一例示的な実施例において、アンテナ本体101は、移動端末の金属フレームである。ここで、移動端末は、携帯電話またはタブレットコンピュータであり得る。
【0070】
アンテナ本体101を移動端末の金属フレームと統合することにより、アンテナ100の伝送信号の感度を確保する基で、移動端末での占有スペースを節約し、移動端末の小型化および薄型化の実現を確保する。
【0071】
図4は、本開示の一例示的な実施例による別のアンテナの平面図の概略図であり、
図5は、本開示の一例示的な実施例による別のアンテナの正面図の概略図である。
【0072】
本開示の一例示的な実施例において、
図4および
図5に示すように、アンテナ100には、第2アンテナ104がさらに設置されることもでき、第2アンテナ104は、2G/3G/4G波信号を伝送するために使用される。2G/3G/4G波の動作周波数帯域は699MHz~2690MHzである。
【0073】
第2アンテナ104は、第1アンテナブランチ1041および第2アンテナブランチ1042を含む。ここで、第1アンテナブランチ1041および第2アンテナブランチ1042は、金属材料で作られることができ、両者は、L字形で一体で形成される。
【0074】
さらに、第2アンテナブランチ1042は、アンテナ本体101と接続することができ、第2アンテナブランチ1042とアンテナ本体101が接続した所に第1スロット1043が設けられ、第2アンテナ104は、第1スロット1043を介して2G/3G/4G波の信号を外部に伝送することができる。
【0075】
第1スロット1043は、アンテナ本体101を貫通してもよいことを留意されたい。
【0076】
上記した設置により、アンテナ100は、2G/3G/4G波の信号と5Gミリ波信号の両方を伝送することができる。
【0077】
上記のようなアンテナは、様々な移動端末に適用することができ、移動端末による5Gミリ波の効果的な伝送と2G/3G/4G波の信号の効果的な伝送を確保する。
【0078】
図6は、本開示の一例示的な実施例によるアンテナの走査におけるメインローブ減衰結果の概略図である。
【0079】
図6に示すように、本開示のアンテナ100の給電の異なる位相および振幅を制御することにより、メインローブ減衰が1dB未満であるように確保する前提で、アンテナ100のスロットアンテナ素子アレイ102は、±60°方向での走査を実行することができる。したかって、本開示のアンテナ100は、5Gミリ波の良好な伝送を実現することができる。
【0080】
同じ構想に基づいて、本開示の一例示的な実施例では、移動端末を提供する。移動端末は、金属フレームとアンテナとを含む。ここで、アンテナは、本開示の上記の実施例によるアンテナ100である。さらに、アンテナ100のアンテナ本体101は、移動端末の金属フレームの一部である。
【0081】
上記した設置により、移動端末は、5Gミリ波信号を伝送することができ、これにより、移動端末の信号伝送の高データレート、遅延の減少、省エネルギ、コストの削減およびシステム容量の増加などの効果を実現することができる。
【0082】
ここで、移動端末は、携帯電話またはタブレットコンピュータであり得る。
【0083】
本開示の一例示的な実施例において、アンテナ本体101は、移動端末の金属フレームの下部、上部、および両側の一部または全部であり得る。つまり、アンテナ100は、移動端末の金属フレームの下部、上部、または両側に設置されることができる。アンテナ100を、移動端末の金属フレームの下部、上部、または両側、即ち、アンテナ100を移動端末の目立たない位置に配置して、移動端末の信号伝送の感度を確保する基で、移動端末の外観の美観性も確保することができる。
【0084】
当業者は、明細書を考慮して、本明細書に開示された発明を実施した後に、本開示の他の実施形態を容易に想到し得るであろう。本出願は、本開示のあらゆる変形、応用または適応性変化を網羅することを意図し、これらの変形、応用または適応性変化は、本開示の普通の原理に準拠し、本開示によって開示されない本技術分野における公知知識または従来の技術的手段を含む。明細書と実施例は、例示としてのみ考慮され、本開示の真の範囲及び思想は添付の特許請求の範囲によって示される。
【0085】
本開示は、上記に既に説明し且つ図面に示した正確な構造に限定されるものではなく、その範囲から逸脱することなく様々な修正及び変更を行うことができることを理解されたい。本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ制限される。