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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-27
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】圧接コンタクト
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/24 20060101AFI20220128BHJP
   H01R 12/57 20110101ALN20220128BHJP
【FI】
H01R13/24
H01R12/57
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020534044
(86)(22)【出願日】2019-02-25
(86)【国際出願番号】 JP2019007136
(87)【国際公開番号】W WO2020026489
(87)【国際公開日】2020-02-06
【審査請求日】2020-11-20
(31)【優先権主張番号】P 2018142915
(32)【優先日】2018-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】横田 純一郎
【審査官】高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-073341(JP,A)
【文献】特開昭58-025078(JP,A)
【文献】特開2005-123050(JP,A)
【文献】特開2015-141794(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/24
H01R 12/57
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接点部と、
複数のスリットを有する平板状の底板部と、前記底板部の主面に対して垂直な方向における第1方向側に設けられたスペーサ部と、を有する基部と、
前記底板部から前記第1方向と反対の第2方向に延び、前記接点部及び前記基部を連結する弾性部と、
を備え
前記底板部は、対向する第1辺及び第2辺を有し、
前記複数のスリットは、前記第1辺及び前記第2辺から前記第1方向に対して垂直な方向へと互い違いに延びる
圧接コンタクト。
【請求項2】
前記弾性部は、前記第1辺の一部に接続された第1弾性部と、前記第2辺の一部に接続された第2弾性部と、を有し、
前記複数のスリットは、前記第1辺における前記第1弾性部と前記底板部との接続部分の外側と、前記第2辺における前記第2弾性部と前記底板部との接続部分の外側と、に形成される
請求項に記載の圧接コンタクト。
【請求項3】
前記接点部は、前記第1弾性部に接続された第1接点部と、前記第2弾性部に接続され、前記第1接点部と重複するように配置された第2接点部と、前記第1接点部の周縁の一部から外向きに延びるとともに徐々に前記第1方向へ傾斜する第1カバー部と、を有する
請求項に記載の圧接コンタクト。
【請求項4】
前記接点部は、前記第2接点部の周縁の一部から外向きに延びるとともに徐々に前記第1方向へ傾斜する第2カバー部を更に有する
請求項に記載の圧接コンタクト。
【請求項5】
前記底板部は、前記第1辺及び前記第2辺と直交する第3辺及び第4辺を更に有し、
前記第1カバー部は、前記第1接点部の、前記第1辺側、前記第3辺側、及び前記第4辺側の辺の少なくとも1つに設けられる
請求項に記載の圧接コンタクト。
【請求項6】
前記底板部は、前記第1辺及び前記第2辺と直交する第3辺及び第4辺を更に有し、
前記第2カバー部は、前記第2接点部の、前記第2辺側、前記第3辺側、及び前記第4辺側の辺の少なくとも1つに設けられる
請求項に記載の圧接コンタクト。
【請求項7】
前記スペーサ部は、前記底板部の前記第1辺及び前記第2辺と直交する第3辺及び第4辺からそれぞれ前記第1方向に延びる一対の脚部と、前記一対の脚部の前記第1方向側の端部からそれぞれ前記第1方向と垂直な方向に延びる一対の接続部と、を有する
請求項から請求項までのいずれか1項に記載の圧接コンタクト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧接コンタクトに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器に内蔵される2つの基板を電気的に接続する手段として、基部と、接点部と、基部及び接点部を連結する弾性部と、を備えた圧接コネクタが利用されている。圧接コネクタの基部を一方の基板の接点に接続し、圧接コネクタの接点部を他方の基板の接点に圧接させることにより、2つの基板を電気的に接続することができる。
【0003】
従来、圧接コネクタの弾性部として、圧接コネクタの伸縮方向に延びる螺旋形状のものが利用されている。また、圧接コンタクトの展開形状を小型化するために、折り返し部分を有する弾性部も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-56060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、折り返し部分を有する弾性部は、螺旋形状を有する弾性部に比べて、伸縮方向の弾性力が低くなるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、高い弾性力を有する圧接コンタクトを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態に係る圧接コンタクトは、接点部と、複数のスリットを有する平板状の底板部と、前記底板部の主面に対して垂直な方向における第1方向側に設けられたスペーサ部と、を有する基部と、前記底板部から前記第1方向と反対の第2方向に延び、前記底板部及び前記接点部を連結する弾性部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の各実施形態によれば、高い弾性力を有する圧接コンタクトを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】圧接コンタクトを示す外観斜視図。
図2】圧接コンタクトを示す外観斜視図。
図3】圧接コンタクトをY1方向から見た側面図。
図4】圧接コンタクトをX1方向から見た側面図。
図5】圧接コンタクトをY2方向から見た側面図。
図6】圧接コンタクトをX2方向から見た側面図。
図7】圧接コンタクトをZ1方向から見た底面図。
図8】圧接コンタクトをZ2方向から見た平面図。
図9】圧接コンタクトの展開形状を示す展開図。
図10】圧接コンタクトの製造方法の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の各実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。なお、各実施形態に係る明細書及び図面の記載に関して、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重畳した説明を省略する。
【0011】
一実施形態に係る圧接コンタクト100について、図1図10を参照して説明する。本実施形態に係る圧接コンタクト100は、2つの基板を電気的に接続する接続手段であり、全体を金属により形成される。以下、図中に示す各方向(X1,X2,Y1,Y2,Z1,Z2方向)を基準に、圧接コンタクト100について説明する。Z1方向を下方、Z2方向を上方、Z1方向側を下側、Z2方向側を上側、と称する場合がある。また、X1,X2方向をX方向、Y1,Y2方向をY方向、Z1,Z2方向をZ方向と総称する。
【0012】
図1及び図2は、一実施形態に係る圧接コンタクト100を示す外観斜視図である。図3は、圧接コンタクト100をY1方向から見た側面図である。図4は、圧接コンタクト100をX1方向から見た側面図である。図5は、圧接コンタクト100をY2方向から見た側面図である。図6は、圧接コンタクト100をX2方向から見た側面図である。図7は、圧接コンタクト100をZ1方向から見た底面図である。図8は、圧接コンタクト100をZ2方向から見た平面図である。
【0013】
図1に示すように、圧接コンタクト100は、接点部1と、基部2と、弾性部3(図1の第2弾性部32及び図2の第1弾性部31)と、を備える。圧接コンタクト100は、上側(Z2方向側)に配置された上基板と、下側(Z1方向側)に配置された下基板と、の間に実装される。より詳細には、圧接コンタクト100は、接点部1が上基板の接点に接触し、基部2が下基板の接点に接続され、弾性部3がZ方向に圧縮された状態で実装される。これにより、接点部1は上基板の接点に圧接されるため、上基板及び下基板の導通を確実に確保することができる。
【0014】
接点部1は、弾性部3に支持され、弾性部3の伸縮に伴って移動する可動接点であり、上基板の接点に圧接される。接点部1は、第1接点部11と、第2接点部12と、第1カバー部13と、第2カバー部14と、を有する。
【0015】
第1接点部11は、上基板の接点に接触し、圧接コンタクト100の接点として機能する部分である。第1接点部11は、後述する底板部21と平行な平板状であり、後述する第1弾性部31の上端部(Z2方向の端部)からX2方向に延びるように形成される。第1接点部11は、図8に示すように、Z2方向から見た形状が略矩形であり、X方向と平行な対向する一対の辺と、Y方向と平行な対向する一対の辺と、を有する。なお、本明細書において、略矩形は、矩形と、矩形の一部を切り欠いた形状と、を含むものとする。略矩形の辺とは、矩形の辺に対応する部分のことをいう。
【0016】
第2接点部12は、弾性部3の圧縮時において、第1接点部11と接触し、第1接点部11と共に圧接コンタクト100の接点として機能する部分である。第2接点部12は、底板部21と平行な平板状であり、後述する第2弾性部32の上端部(Z2方向側の端部)からX1方向に延びるように形成される。第2接点部12は、Z2方向から見た形状が略矩形であり、X方向と平行な対向する一対の辺と、Y方向と平行な対向する一対の辺と、を有する。第2接点部12は、第1接点部11とZ方向から見て重複するように、第1接点部11の下側(Z1方向側)に配置される。第2接点部12は、X1方向側の辺と、第1接点部11を支持する第1弾性部31の上端部と、が衝突しないように形成される。
【0017】
なお、弾性部3の非圧縮時において、第1接点部11及び第2接点部12は、接触していてもよいし、離間していてもよい。いずれの場合も、弾性部3のZ方向の圧縮時には、第1接点部11が下方(Z1方向)に移動することにより、第1接点部11及び第2接点部12は接触する。上述の通り、圧接コンタクト100は、弾性部3が圧縮された状態で実装されるため、圧接コンタクト100の実装時には、第1接点部11及び第2接点部12は接触している。したがって、圧接コンタクト100を利用することにより、上基板及び下基板を、第1接点部11及び第1弾性部31を通る経路と、第2接点部12及び第2弾性部32を通る経路と、の2つの経路を介して電気的に接続することができる。
【0018】
第1カバー部13は、圧接コンタクト100の組み立て時や実装時に、作業者の指や軍手(以下「指等」という。)が第1接点部11及び第2接点部12のY2方向側の辺に引っ掛ることを抑制するための部分である。第1カバー部13は、図4及び図6に示すように、第2接点部12のY2方向側の辺よりY2方向側に位置し、第1接点部11のY2方向側の辺の少なくとも一部からY2方向(外向き)に延びるとともに、徐々に下方(Z1方向)へ傾斜するように形成される。第1接点部11は、第1カバー部13が第2接点部12のY2方向側の辺よりY2方向側に位置するように形成される。具体的には、第1接点部11のY2方向側の辺が、第2接点部12のY2方向側の辺と同じ位置、又は第2接点部12のY2方向側の辺よりY2方向側に位置するように、第1接点部11は形成される。第1カバー部13は、図5に示すように、Y2方向から見た形状が略矩形であり、X方向と平行な対向する一対の辺と、Z方向と平行な対向する一対の辺と、を有する。第1カバー部13を設けることにより、作業者の指等が第1接点部11及び第2接点部12のY2方向側の辺に触れにくくなるため、圧接コンタクト100の組み立て時や実装時に、作業者の指等が第1接点部11及び第2接点部12のY2方向側の辺に引っ掛ることを抑制することができる。なお、第1カバー部13は、第1接点部11のX1方向側の辺に設けられてもよいし、第1接点部11のX2方向側の辺に設けられてもよいし、2つ以上の辺にそれぞれ設けられてもよい。いずれの場合も、第1カバー部13は、第1接点部11の辺の少なくとも一部から外向きに延びるとともに、徐々に下方へ傾斜するように形成される。これにより、作業者の指等を、第1接点部11及び第2接点部12における、第1カバー部13が設けられた辺に触れにくくすることができる。
【0019】
第2カバー部14は、圧接コンタクト100の組み立て時や実装時に、作業者の指等が第1接点部11及び第2接点部12のY1方向側の辺に引っ掛ることを抑制するための部分である。第2カバー部14は、図4及び図6に示すように、第1接点部11のY1方向側の辺よりY1方向側に位置し、第2接点部12のY1方向側の辺の少なくとも一部からY1方向(外向き)に延びるとともに、徐々に下方(Z1方向)へ傾斜するように形成される。第2接点部12は、第2カバー部14が第1接点部11のY1方向側の辺よりY1方向側に位置するように形成される。具体的には、第2接点部12のY1方向側の辺が、第1接点部11のY1方向側の辺と同じ位置、又は第1接点部11のY1方向側の辺よりY1方向側に位置するように、第2接点部12は形成される。第2カバー部14は、図3に示すように、Y1方向から見た形状が略矩形であり、X方向と平行な対向する一対の辺と、Z方向と平行な対向する一対の辺と、を有する。第2カバー部14を設けることにより、作業者の指等が第1接点部11及び第2接点部12のY1方向側の辺に触れにくくなるため、圧接コンタクト100の組み立て時や実装時に、作業者の指等が第1接点部11及び第2接点部12のY1方向側の辺に引っ掛ることを抑制することができる。なお、第2カバー部14は、第2接点部12のX1方向側の辺に設けられてもよいし、第2接点部12のX2方向側の辺に設けられてもよいし、2つ以上の辺にそれぞれ設けられてもよい。いずれの場合も、第2カバー部14は、第2接点部12の辺の少なくとも一部から外向きに延びるとともに、徐々に下方へ傾斜するように形成される。これにより、作業者の指等を、第1接点部11及び第2接点部12における、第2カバー部14が設けられた辺に触れにくくすることができる。
【0020】
なお、接点部1の構成は、図の例に限られない。例えば、第1接点部11上に上基板と嵌合する凸部が設けられてもよい。凸部と上基板とを嵌合させることにより、上基板に対する接点部1のXY方向の位置ずれを抑制できる。また、第1カバー部13及び第2カバー部14を備えない構成も可能である。また、第1接点部11、第2接点部12、第1カバー部13、及び第2カバー部14の形状は略矩形に限られず、任意に設計可能である。
【0021】
基部2は、下基板に固定される固定接点であり、下基板の接点に接続される。基部2は、底板部21と、スペーサ部22と、を有する。
【0022】
底板部21は、弾性部3を支持する部分であり、第1接点部11及び第2接点部12と平行な平板状である。底板部21は、図7に示すように、Z1方向から見た主面の形状が略矩形であり、X方向と平行な対向する一対の辺E1,E2と、Y方向と平行な対向する一対の辺E3,E4と、を有する。辺E1(第1辺)はY2方向側の辺であり、辺E2(第2辺)はY1方向側の辺であり、辺E3(第3辺)はX1方向側の辺であり、辺E4(第4辺)はX2方向側の辺である。辺E1,E2と辺E3,E4とは直交する。
【0023】
底板部21は、Y方向と平行な複数のスリット23を有する。複数のスリット23は、辺E1及び辺E2からY方向(Z1方向に対して垂直な方向)に互い違いに延びるように形成される。より詳細には、複数のスリット23は、それぞれX方向の位置が異なるように形成され、辺E1から延びるスリット23と、辺E2から延びるスリット23と、がX方向に交互に並ぶように配置される。図の例では、底板部21は、4つのスリット23を有するが、スリット23の数は任意である。スリット23を設けることにより、底板部21は、スリット23の先端を支点としてZ方向に弾性変形可能となる。これにより、底板部21のZ方向の弾性力が高くなるため、圧接コンタクト100のZ方向の弾性力を高めることができる。
【0024】
なお、スリット23の長さ及び幅は、底板部21の強度を維持できる範囲で任意に設計可能である。また、スリット23は、Y方向に対して傾斜していてもよい。また、各スリット23の長さは、辺E3,E4の長さの半分より長いのが好ましい。これにより、底板部21の弾性変形の支点(スリット23の先端)が作用点(辺E1,E2)から遠ざかるため、底板部21がより弾性変形しやすくなり、底板部21のZ方向の弾性力を更に高めることができる。
【0025】
スペーサ部22は、下基板の接点に固定される部分であって、底板部21の下側(底板部21の主面に対して垂直なZ1方向側)に設けられる。スペーサ部22により、下基板と底板部21との間に隙間が確保され、底板部21がZ方向に弾性変形可能となる。スペーサ部22は、一対の脚部24と、一対の接続部25と、を有する。
【0026】
一対の脚部24は、スペーサ部22の高さ(Z方向の長さ)を設定する部分であり、底板部21の辺E3,E4の少なくとも一部からそれぞれ下方(Z1方向)に延びるように形成される。一対の脚部24は、図4及び図6に示すように、X方向から見た形状が略矩形であり、Y方向と平行な対向する一対の辺と、Z方向と平行な対向する一対の辺と、を有する。なお、一対の脚部24は、スペーサ部22の高さが一定となるように形成されればよく、Z方向に対して傾斜していてもよい。
【0027】
一対の接続部25は、下基板の接点に、半田などにより固定される部分であり、一対の脚部24の下端部(Z1方向の端部)からそれぞれZ方向と垂直な方向に延びるように形成される。一対の接続部25は、図7に示すように、Z1方向から見た形状が略矩形であり、X方向と平行な対向する一対の辺と、Y方向と平行な対向する一対の辺と、を有する。なお、図の例では、一対の接続部25は、内側(互いに接近する方向)に向かって延びるが、外側(互いに離間する方向)に向かって延びてもよい。
【0028】
なお、スペーサ部22の構成は、図の例に限られない。例えば、一対の接続部25を備えない構成も可能である。この場合、一対の脚部24を下基板の接点に固定すればよい。また、脚部24及び接続部25の形状は略矩形に限られず、任意に設計可能である。
【0029】
弾性部3は、接点部1及び基部2を連結する部分であり、底板部21から上方(Z2方向)に延びるように形成される。弾性部3の上端部(Z2方向の端部)には第1接点部11及び第2接点部12が接続され、下端部(Z1方向の端部)には底板部21が接続される。弾性部3は、弾性を有し、Z方向に伸縮可能である。弾性部3は、第1弾性部31と、第2弾性部32と、を有する。
【0030】
第1弾性部31は、第1接点部11を支持する部分である。第1弾性部31は、底板部21の辺E1の一部からZ2方向に延び、その上端部からX2方向に第1接点部11が延びる。すなわち、第1弾性部31は、下端部が底板部21の辺E1に接続され、上端部が第1接点部11のX1方向側の辺に接続される。第1弾性部31は、図2に示すように、第1部分31aと、第2部分31bと、第3部分31cと、第4部分31dと、第5部分32eと、第6部分32fと、を有する。
【0031】
第1部分31aは、底板部21の辺E1の一部からZ2方向に延びる、XZ平面と平行な部分である。第1部分31aは、第1弾性部31の下端部に相当する。辺E1からの延びるスリット23は、辺E1と第1部分31aとの接続部分の外側に形成される。
【0032】
第2部分31bは、第1部分31aのX1方向側の端部からY1方向に延びる、YZ平面と平行な部分である。より詳細には、第2部分31bは、第1部分31aのX1方向側の端部からY1方向に延びる下側部分と、当該下側部分のY1方向の端部から上方(Z2方向)に延びる折り返し部分と、当該折り返し部分の上端部からY2方向に延びる上側部分と、を有するU字状である。第2部分31bは、下側部分のY2方向側の端部が、上側部分のY2方向側の端部より、Y2方向側に位置するように形成される。また、第2部分31bの折り返し部分は、略円形に肉抜きされる。
【0033】
第3部分31cは、第2部分31bの上側部分のY2方向側の端部からX2方向に延びる、XZ平面と平行な部分である。
【0034】
第4部分31dは、第3部分31cのX2方向側の端部からY1方向に延びる、YZ平面と平行な部分である。より詳細には、第4部分31dは、第3部分31cのX2方向側の端部からY1方向に延びる下側部分と、当該下側部分のY1方向の端部から上方(Z2方向)に延びる折り返し部分と、当該折り返し部分の上端部からY2方向に延びる上側部分と、を有するU字状である。第4部分31dは、下側部分のY2方向側の端部が、上側部分のY2方向側の端部より、Y2方向側に位置するように形成される。また、第4部分31dの折り返し部分は、略円形に肉抜きされる。
【0035】
第5部分31eは、第4部分31dの上側部分のY2方向側の端部からX1方向に延びる、XZ平面と平行な部分である。
【0036】
第6部分31fは、第5部分31eのX1方向側の端部からY1方向に延びる、YZ平面と平行な部分である。第6部分31fは、第1弾性部31の上端部に相当する。第1接点部11は、第6部分31fの上端部からX2方向に延びるように形成される。
【0037】
以上のような構成により、第1弾性部31に荷重が加わると、第3部分31c及び第5部分31eが下方に移動することにより、第1弾性部31が圧縮されると共に、第1部分31aを介して、底板部21の辺E1に荷重が加わる。この結果、底板部21における、第1部分31aと辺E1との接続部分の周辺部が、当該接続部分に隣接するスリット23の先端を支点として弾性変形する。このように、第1弾性部31と共に底板部21を弾性変形させることにより、圧接コンタクト100の弾性力を高めることができる。
【0038】
また、図8に示すように、第3部分31cは、Z方向から見て第1部分31aと重複しない。したがって、第3部分31cは、第1弾性部31に荷重が加わった際に、第1部分31aと衝突することなく下方に移動することができる。同様に、第5部分31eは、Z方向から見て第3部分31cと重複しない。したがって、第5部分31eは、第1弾性部31に荷重が加わった際に、第3部分31cと衝突することなく下方に移動することができる。このように、第3部分31c及び第5部分31eが下方へ移動できる距離を大きくすることにより、第1弾性部31のZ方向のストロークを大きくすることができる。
【0039】
また、第2部分31b及び第4部分31dの折り返し部分を肉抜きすることにより、第1弾性部31の圧縮時に折り返し部分に生じる応力を緩和し、第1弾性部31の寿命を長期化することができる。
【0040】
第2弾性部32は、第2接点部12を支持する部分である。第2弾性部32は、底板部21の辺E2の一部からZ2方向に延び、その上端部からX1方向に第2接点部12が延びる。すなわち、第2弾性部32は、下端部が底板部21の辺E2に接続され、上端部が第2接点部12のX2方向側の辺に接続される。第2弾性部32は、図1に示すように、第1部分32aと、第2部分32bと、第3部分32cと、第4部分32dと、第5部分32eと、第6部分32fと、を有する。
【0041】
第1部分32aは、底板部21の辺E2の一部からZ2方向に延びる、XZ平面と平行な部分である。第1部分32aは、第2弾性部32の下端部に相当する。辺E2からの延びるスリット23は、辺E2と第1部分32aとの接続部分の外側に形成される。
【0042】
第2部分32bは、第1部分32aのX2方向側の端部からY2方向に延びる、YZ平面と平行な部分である。より詳細には、第2部分32bは、第1部分32aのX2方向側の端部からY2方向に延びる下側部分と、当該下側部分のY2方向の端部から上方(Z2方向)に延びる折り返し部分と、当該折り返し部分の上端部からY1方向に延びる上側部分と、を有するU字状である。第2部分32bは、下側部分のY1方向側の端部が、上側部分のY1方向側の端部より、Y1方向側に位置するように形成される。また、第2部分32bの折り返し部分は、略円形に肉抜きされる。
【0043】
第3部分32cは、第2部分32bの上側部分のY1方向側の端部からX1方向に延びる、XZ平面と平行な部分である。
【0044】
第4部分32dは、第3部分32cのX1方向側の端部からY2方向に延びる、YZ平面と平行な部分である。より詳細には、第4部分32dは、第3部分32cのX1方向側の端部からY2方向に延びる下側部分と、当該下側部分のY2方向の端部から上方(Z2方向)に延びる折り返し部分と、当該折り返し部分の上端部からY1方向に延びる上側部分と、を有するU字状である。第4部分32dは、下側部分のY1方向側の端部が、上側部分のY1方向側の端部より、Y1方向側に位置するように形成される。また、第4部分31dの折り返し部分は、略円形に肉抜きされる。
【0045】
第5部分32eは、第4部分32dの上側部分のY1方向側の端部からX2方向に延びる、XZ平面と平行な部分である。
【0046】
第6部分32fは、第5部分32eのX2方向側の端部からY2方向に延びる、YZ平面と平行な部分である。第6部分32fは、第2弾性部32の上端部に相当する。第2接点部12は、第6部分32fの上端部からX1方向に延びるように形成される。
【0047】
以上のような構成により、第2弾性部32に荷重が加わると、第3部分32c及び第5部分32eが下方に移動することにより、第2弾性部32が圧縮されると共に、第1部分32aを介して、底板部21の辺E2に荷重が加わる。この結果、底板部21における、第1部分32aと辺E2との接続部分の周辺部が、当該接続部分に隣接するスリット23の先端を支点として弾性変形する。このように、第2弾性部32と共に底板部21を弾性変形させることにより、圧接コンタクト100の弾性力を高めることができる。
【0048】
また、図8に示すように、第3部分32cは、Z方向から見て第1部分32aと重複しない。したがって、第3部分32cは、第2弾性部32に荷重が加わった際に、第1部分32aと衝突することなく下方に移動することができる。同様に、第5部分32eは、Z方向から見て第3部分32cと重複しない。したがって、第5部分32eは、第2弾性部32に荷重が加わった際に、第3部分32cと衝突することなく下方に移動することができる。このように、第3部分32c及び第5部分32eが下方へ移動できる距離を大きくすることにより、第2弾性部32のZ方向のストロークを大きくすることができる。
【0049】
また、第2部分32b及び第4部分32dの折り返し部分を肉抜きすることにより、第2弾性部32の圧縮時に折り返し部分に生じる応力を緩和し、第2弾性部32の寿命を長期化することができる。
【0050】
なお、弾性部3の構成は、図の例に限られない。例えば、弾性部3は、第1弾性部31又は第2弾性部32のいずれか一方だけを有してもよい。また、弾性部3は、螺旋形状であってもよい。また、第1弾性部31及び第2弾性部32は、それぞれ1つ又は3つ以上の折り返し部分を有してもよい。
【0051】
ここで、図9は、圧接コンタクト100の展開形状を示す展開図である。圧接コンタクト100は、図9の展開形状を有する金属板の各部を曲げる(屈曲又は湾曲させる)ことにより形成される。図9における各部の間の領域(例えば、第1部分32aと第2部分32bとの間の領域)は、曲げ部分に相当する。
【0052】
弾性部3が螺旋形状である場合、弾性部3の展開形状が直線的に延びる長い帯状となり、圧接コンタクト100の展開形状が大型化する(展開形状の最大寸法が大きくなる)。これに対して、本実施形態では、弾性部3が折り返し部分を有する形状とすることにより、図9に示すように、弾性部3の展開形状が折り返し部分を有する帯状(S字状)とし、圧接コンタクト100の展開形状を小型化(展開形状の最大寸法を小さく)することができる。
【0053】
次に、圧接コンタクト100の製造方法について説明する。図10は、圧接コンタクト100の製造方法の一例を示すフローチャートである。
【0054】
まず、打ち抜き加工により、金属板から図9に示す展開形状を形成する(ステップS101)。この際、金属板から展開形状を1つずつ打ち抜いてもよいし、金属板から複数の展開形状が連結された形状を打ち抜いた後、各展開形状を切り離してもよい。
【0055】
次に、曲げ加工により、脚部24及び接続部25を曲げ、スペーサ部22を形成する(ステップS102)。具体的には、図9における底板部21から接続部25までに含まれる曲げ部分を曲げることにより、スペーサ部22が形成される。
【0056】
続いて、曲げ加工により、弾性部3を組み立てる(ステップS103)。具体的には、図9における第1部分31aから第6部分31fまでに含まれる曲げ部分を曲げることにより、第1弾性部31が組み立てられ、第1部分32aから第6部分32fまでに含まれる曲げ部分を曲げることにより、第2弾性部32が組み立てられる。また、第6部分31fから第1カバー部13までに含まれる曲げ部分を曲げることにより、第1接点部11及び第1カバー部13が組み立てられ、第6部分32fから第2カバー部14までに含まれる曲げ部分を曲げることにより、第2接点部12及び第2カバー部14が組み立てられる。
【0057】
弾性部3の組み立て後、曲げ加工により、第2弾性部32を立ち上げる(ステップS104)。具体的には、図9における第1部分32aと底板部21との間の曲げ部分を曲げる。これにより、第2接点部12、第2カバー部14、及び第2弾性部32が形成される。
【0058】
その後、曲げ加工により、第1弾性部31を立ち上げる(ステップS105)。具体的には、図9における第1部分31aと底板部21との間の曲げ部分を曲げる。これにより、第1接点部11、第1カバー部13、及び第1弾性部31が形成される。第1接点部11、第1カバー部13、及び第1弾性部31は、第1弾性部31を立ち上げる際に、第2接点部12、第2カバー部14、及び第2弾性部32と衝突しないように形成される。
【0059】
以上により、圧接コンタクト100が完成する。なお、圧接コンタクト100の製造方法は、図10の例に限られない。例えば、スペーサ部22は、弾性部3の組み立て後、又は弾性部3の形成後に行ってもよい。また、第2接点部12、第2カバー部14、及び第2弾性部32の形成後に、第1接点部11、第1カバー部13、及び第1弾性部31を組み立ててもよい。
【0060】
完成した圧接コンタクト100は、上基板及び下基板の間に実装される。具体的には、圧接コンタクト100は、スペーサ部22を下基板の接点に接続され、接点部1が上基板の接点に接触した状態で圧縮される。これにより、接点部1が上基板の接点に圧接されるため、上基板及び下基板の導通を確実に確保することができる。
【0061】
以上説明した通り、本実施形態によれば、底板部21に複数のスリット23が形成され、底板部21の下側に、下基板と底板部21との間の隙間を確保するスペーサ部22が設けられる。このような構成により、底板部21は、スリット23の先端を支点としてZ方向に弾性変形可能となる。これにより、底板部21のZ方向の弾性力が高くなるため、圧接コンタクト100のZ方向の弾性力を高めることができる。すなわち、本実施形態によれば、高い弾性力を有する圧接コンタクト100を提供することができる。
【0062】
また、Y1方向に延びる第2カバー部14が第1接点部11に設けられている場合、第1弾性部31を立ち上げる際に、第2カバー部14と第2接点部12とが衝突するため、第1弾性部31の立ち上げが困難になる。同様に、Y2方向に延びる第1カバー部13が第2接点部12に設けられている場合、第1弾性部31を立ち上げる際に、第1カバー部13と第1接点部11とが衝突するため、第1弾性部31の立ち上げが困難になる。これに対して、本実施形態によれば、第1カバー部13が第1接点部11に設けられ、第2カバー部14が第2接点部12に設けられているため、上記のような衝突が生じず、第1弾性部31の立ち上げが容易である。この結果、圧接コンタクト100を容易に製造することができる。
【0063】
なお、上記実施形態に挙げた構成等に、その他の要素との組み合わせなど、ここで示した構成に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【0064】
また、本国際出願は、2018年7月30日に出願した日本国特許出願第2018-142915号に基づく優先権を主張するものであり、当該出願の全内容を本国際出願に援用する。
【符号の説明】
【0065】
1:接点部
2:基部
3:弾性部
11:第1接点部
12:第2接点部
13:第1カバー部
14:第2カバー部
21:底板部
22:スペーサ部
23:スリット
24:脚部
25:接続部
31:第1弾性部
32:第2弾性部
31a,32a:第1部分
31b,32b:第2部分
31c,32c:第3部分
31d,32d:第4部分
31e,32e:第5部分
31f,32f:第6部分
E:辺
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10