(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-27
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】温度センサおよび温度センサの製造方法
(51)【国際特許分類】
G01K 7/22 20060101AFI20220128BHJP
H01C 7/02 20060101ALI20220128BHJP
H01C 7/04 20060101ALI20220128BHJP
【FI】
G01K7/22 J
H01C7/02
H01C7/04
(21)【出願番号】P 2021539905
(86)(22)【出願日】2020-12-03
(86)【国際出願番号】 JP2020045048
(87)【国際公開番号】W WO2021145088
(87)【国際公開日】2021-07-22
【審査請求日】2021-07-08
(31)【優先権主張番号】P 2020003591
(32)【優先日】2020-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000145242
【氏名又は名称】株式会社芝浦電子
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】荒野 大輔
(72)【発明者】
【氏名】濱田 守富
【審査官】平野 真樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-070953(JP,A)
【文献】特開2000-266608(JP,A)
【文献】米国特許第04789850(US,A)
【文献】中国特許出願公開第108106750(CN,A)
【文献】実開昭54-156584(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 7/16-7/28
H01C 7/02,7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気絶縁材料からなる第1支持膜と、
電気絶縁材料からなる第2支持膜と、
前記第1支持膜と前記第2支持膜の間に設けられるセンサ素子と、を備え、
前記センサ素子は、
温度によって電気的特性が変化する感熱体と、前記第1支持膜または前記第2支持膜に配設され、前記感熱体に電気的に接続されるリードパターンと、を有し、
前記第1支持膜と前記第2支持膜とは、前記感熱体が設けられる領域において対向するように配設されており、
前記リードパターンは、第1リードパターンおよび第2リードパターンを有し、
前記第1リードパターンおよび前記第2リードパターンは、前記第1支持膜であって前記第2支持膜に対向する同じ平面上に貼り付けられており、
前記第2支持膜は、前記感熱体が設けられる領域に対向する面に第3導通パッドを備え、
前記感熱体に電気的に接続される前記第3導通パッドを介して、前記第1リードパターンと前記第2リードパターンが電気的に接続さ
れ、
前記第1支持膜は、
前記感熱体を支持し、前記第1リードパターンと電気的に接続される第1導通パッドと、
前記第2リードパターンと電気的に接続される第2導通パッドと、を備える、
ことを特徴とする温度センサ。
【請求項2】
前記感熱体は、一対の電極を備え、
一対の前記電極の一方が前記第1導通パッドに対向し、一対の前記電極の他方が前記第3導通パッドに対向して配置される、
請求項
1に記載の温度センサ。
【請求項3】
前記第1導通パッドと前記第2導通パッドは、
前記第1支持膜の長さ方向に間隔をあけて並び、かつ、前記第1導通パッドが前記第2導通パッドよりも前記長さ方向の端部に近く配置される、
請求項
2に記載の温度センサ。
【請求項4】
前記第1導通パッドと前記第2導通パッドは、前記第1支持膜の幅方向(W)の中央に配置される、
請求項
3に記載の温度センサ。
【請求項5】
前記第1支持膜と前記第2支持膜は、
別体として構成されている、
請求項1から請求項
4のいずれか一項に記載の温度センサ。
【請求項6】
前記第1支持膜と前記第2支持膜は、
一体の支持膜を所定位置で折り曲げることで構成されている、
請求項1から請求項
4のいずれか一項に記載の温度センサ。
【請求項7】
前記第1導通パッドおよび前記第3導通パッドの一方または双方と前記感熱体との電気的な接続が、異方性導電性ペーストまたは異方性導電フィルムを出発物質とする電気的な接合体を介して行われる、
請求項
1から請求項
6のいずれか一項に記載の温度センサ。
【請求項8】
前記第1支持膜および前記第2支持膜は、フレキシブルプリント回路基板から構成されるが、
前記第2導通パッドが配置される領域は、カバーレイが省かれる、
請求項
1から請求項
6のいずれか一項に記載の温度センサ。
【請求項9】
電気絶縁材料からなり、センサ素子が一方の面に貼り付けられている第1支持膜と電気絶縁材料からなる第2支持膜とを、前記一方の面を前記第2支持膜に対向させた状態で積層する工程(a)と、
前記第1支持膜と前記第2支持膜とを接合する工程(b)と、を備え、
前記センサ素子は、
温度によって電気的特性が変化する感熱体と、前記感熱体に電気的に接続される第1リードパターンおよび第2リードパターンと、を備え、
前記工程(a)において、前記第1支持膜よりも平面積が小さい前記第2支持膜が、前記感熱体が設けられる領域を含む、前記第1支持膜の一部を覆うように積層され、
前記第2支持膜は、前記感熱体が設けられる領域に対向する面に第3導通パッドを備え、
前記工程(a)において、前記感熱体に電気的に接続される前記第3導通パッドを介して、前記第1リードパターンと前記第2リードパターンが電気的に接続される、
ことを特徴とする温度センサの製造方法。
【請求項10】
前記第1支持膜は、
前記感熱体を支持し、前記第1リードパターンと電気的に接続される第1導通パッドと、
前記第2リードパターンと電気的に接続される第2導通パッドと、を備え、
前記工程(a)において、
前記第3導通パッドが前記第1導通パッドと前記第2導通パッド15に電気的に接続されることで、前記第1リードパターンと前記第2リードパターンが電気的に接続される、請求項
9に記載の温度センサの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度センサに関し、特に薄型化が可能な温度センサに関する。
【背景技術】
【0002】
温度センサとして、温度によって電気抵抗が変化する性質を有するサーミスタ(thermally sensitive resistorの略称)を利用して温度を検出すものがある。この温度センサの測定対象物は種々あり、その使用環境に応じた耐性が温度センサに要求される。耐性としては、耐熱性、耐水性、耐薬品性、耐油性などが掲げられる。また、測定対象物との関係で、温度センサには寸法、形状に関する要求もある。寸法、形状に関して、例えば極めて狭いスペースに挿入されて測定対象物の温度を測定する薄型の温度センサの要求がある。
【0003】
これまで、薄型の温度センサとして例えば特許文献1および特許文献2に開示される。
特許文献1の温度センサは、センサ素子と、センサ素子に接続されるリード線と、リード線の一部とセンサ素子とを被覆するパッケージと、を有する。パッケージは、互いに密着された2層の絶縁フィルムを有し、2層の絶縁フィルムの間にセンサ素子とリード線の一部が挟着されて被覆されている。
また、特許文献2の温度センサは、サーミスタ素子、引出し線および引出し線とリード線との接続部位が、内層に被覆されるとともに、一対の外層の間に挟まれて被覆される。加えて、一対の外層の表面はサーミスタ素子、引出し線および引出し線とリード線との接続部位に対応する部位を含めて平坦状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平8-128901号公報
【文献】特許第6606308号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1および特許文献2に開示される温度センサは一定のレベルでの薄型化を実現する。例えば、特許文献1によれば、2mm以下の厚さの温度センサを実現している。しかし、温度測定対象物によっては、この程度の薄型化で対応できないことがある。また、薄型化された温度センサを製造する作業は容易でないことがある。
【0006】
以上より、本発明は、製造が容易でありながらも薄型化された温度センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、電気絶縁材料からなる第1支持膜と、電気絶縁材料からなる第2支持膜と、第1支持膜と第2支持膜の間に設けられるセンサ素子と、を備える。
本発明におけるセンサ素子は、温度によって電気的特性が変化する感熱体と、第1支持膜または第2支持膜に配設され、感熱体に電気的に接続されリードパターンと、を備える。
本発明における第1支持膜と第2支持膜とは、感熱体が設けられる領域において対向するように配設されている。
【0008】
本発明におけるリードパターンは、好ましくは、第1リードパターンおよび第2リードパターンを有し、第1リードパターンおよび第2リードパターンは、第1支持膜であって第2支持膜に対向する同じ平面上に貼り付けられている。
【0009】
本発明において、好ましくは、第2支持膜は、感熱体が設けられる領域に対向する面に第3導通パッドを備える。感熱体に電気的に接続される第3導通パッドを介して、第1リードパターンと第2リードパターンが電気的に接続される。
【0010】
本発明において、好ましくは、第1支持膜は、感熱体を支持し、第1リードパターンと電気的に接続される第1導通パッドと、第2リードパターンと電気的に接続される第2導通パッドと、を備える。
【0011】
本発明において、好ましくは、第3導通パッドが第1導通パッドと第2導通パッドに電気的に接続されることで、第1リードパターンと第2リードパターンが電気的に接続される。
【0012】
本発明において、好ましくは、感熱体は、一対の電極を備え、一対の電極の一方が第1導通パッドに対向し、一対の電極の他方が第3導通パッドに対向して配置される。
【0013】
本発明において、好ましくは、第1導通パッドと第2導通パッドは、第1支持膜の長さ方向(L)に間隔をあけて並び、かつ、第1導通パッドが第2導通パッドよりも長さ方向(L)の端部に近く配置される。
【0014】
本発明において、好ましくは、第1導通パッドと第2導通パッドは、第1支持膜の幅方向(W)の中央に配置される。
【0015】
本発明において、第1支持膜と前記第2支持膜は、好ましくは、別体として構成されているか、または、一体の支持膜を所定位置で折り曲げることで構成されている。
【0016】
本発明において、第1導通パッドおよび第3導通パッドの一方または双方と感熱体との電気的な接続が、好ましくは、異方性導電性ペーストまたは異方性導電フィルムを出発物質とする電気的な接合体を介して行われる。
【0017】
本発明において、第1支持膜および前記第2支持膜は、好ましくは、フレキシブルプリント回路基板から構成されるが、第2導通パッドが配置される領域は、カバーレイが省かれる。
【0018】
本発明の温度センサの製造方法は、電気絶縁材料からなり、センサ素子が一方の面に貼り付けられている第1支持膜と電気絶縁材料からなる第2支持膜とを、一方の面を第2支持膜に対向させた状態で積層する工程(a)と、
第1支持膜と第2支持膜とを接合する工程(b)と、を備える。
本発明におけるセンサ素子は、温度によって電気的特性が変化する感熱体と、感熱体に電気的に接続される第1リードパターンおよび第2リードパターンと、を備える。
本発明の工程(a)において、第1支持膜よりも平面積が小さい第2支持膜が、感熱体が設けられる領域を含む、第1支持膜の一部を覆うように積層される。
【0019】
本発明の温度センサの製造方法において、好ましくは、第2支持膜は、感熱体が設けられる領域に対向する面に第3導通パッドを備える。本発明の工程(a)において、感熱体に電気的に接続される第3導通パッドを介して、第1リードパターンと第2リードパターンが電気的に接続される。
【0020】
本発明の温度センサの製造方法において、第1支持膜は、感熱体を支持し、第1リードパターンと電気的に接続される第1導通パッドと、第2リードパターンと電気的に接続される第2導通パッドと、を備える。そして、本発明は、工程(a)において、第3導通パッドが第1導通パッドと第2導通パッド15に電気的に接続されることで、第1リードパターンと第2リードパターンが電気的に接続される。
【発明の効果】
【0021】
本発明の温度センサによれば、電気絶縁材料からなる第1支持膜と、第1支持膜に積層される、電気絶縁材料からなる第2支持膜と、第1支持膜と第2支持膜の間に設けられるセンサ素子と、を備えるので、薄型化ができる。しかも、第1支持膜と第2支持膜とは、感熱体が設けられる領域において対向するように配設されており、第2支持膜は、第1支持膜の一部を覆うのに留まるので、第1支持膜と貼り合せる作業が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】(a)は本発明の第1実施形態に係る温度センサの平面図および(b)はその底面図である。
【
図2】(a)は
図1のIIa-IIa矢視断面図であり、(b)はサーミスタの三面図であって、それぞれ平面図(PV)、側面図(SV)および正面図(FV)である。
【
図3】(a)は
図1のIIIa-IIIa矢視断面図であり、(b)は
図1のIIIb-IIIb矢視断面図である。
【
図4】第1実施形態に係る温度センサを製造する手順であって、第1支持膜を製造する工程を示す図である。
【
図5】第1実施形態に係る温度センサを製造する手順であって、第2支持膜を製造する工程を示す図である。
【
図6】第1実施形態に係る温度センサを製造する手順であって、第1支持膜と第2支持膜を貼り合わせる工程を示す図である。
【
図7】本発明の第2実施形態に係る温度センサの平面図であり、(a)が第1支持膜と第2支持膜が展開された状態を示し、(b)が第2支持膜を第1支持膜に貼り合わせた状態を示している。
【
図8】本発明の第3実施形態に係る温度センサの平面図である。
【
図9】本発明の第4実施形態に係る温度センサを示し、(a)は平面図、(b)は底面図である。
【
図11】(a)は
図9のXIa-XIa線矢視断面図、(b)は
図9のXIb-XIb線矢視断面図である。
【
図12】第4実施形態に係る温度センサを製造する手順を示し、(a)、(b)および(c)の順で進む。
【
図13】
図12に続いて、第4実施形態に係る温度センサを製造する手順を示し、(a)、(b)および(c)の順で進む。
【
図14】本発明の第5実施形態に係る温度センサを示し、
図10に対応する断面図である。
【
図15】(a)は
図10の(a)に対応する断面図、(b)は
図10の(b)に対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を参照しながら、本発明のいくつかの実施形態について説明する。
〔第1実施形態:
図1~
図6〕
[全体構成]
図1~
図6を参照して第1実施形態に係る温度センサ1を説明する。
図1に示すように、温度センサ1は、センサ素子10と、第1支持膜30と、第1支持膜30と貼り合せにより積層される第2支持膜50と、を備えている。以下の説明においては、第1支持膜30と第2支持膜50はともに平面視した形状が矩形に形成され、第1支持膜30に比べて第2支持膜50は平面積が小さく設定されている場合を例示して説明する。したがって、第2支持膜50は第1支持膜30の前方であって、感熱体11が設けられる領域を含む一部だけを覆っている。
【0024】
温度センサ1において、
図1に示すように、センサ素子10の感熱体11が設けられる側を前(F)と定義し、前(F)の反対側を後(B)と定義する。前(F)は、場合によっては、前方(F)、前端(F)などと称される。後(B)についても同様である。
また、温度センサ1において、
図1に示すように、幅方向(W)および長さ方向(L)が定義されるものとする。
さらに、温度センサ1において、第2支持膜50が設けられる側をおもて側と定義し、その反対側をうら側と定義する。
【0025】
[センサ素子10:
図1~
図3]
第1支持膜30と第2支持膜50の間に、以下説明するように、センサ素子10の要部が設けられる。
センサ素子10は、
図1~
図3に示すように、銅箔からなる第1導通パッド14と、第1導通パッド14に電気的に接続されるサーミスタを構成要素とする感熱体11と、感熱体11に電気的に接続される第1リードパターン12と、を備える。また、センサ素子10は、銅箔からなる第2導通パッド15と、第2導通パッド15に電気的に接続される第2リードパターン16と、を備える。
感熱体11および第1導通パッド14は、
図1に示すように、温度センサ1の前端(F)の近くであって、幅方向(W)の中央に配置される。また、第2導通パッド15は、感熱体11よりも後端(B)寄りであって、幅方向(W)の中央に配置される。つまり、感熱体11(第1導通パッド14)および第2導通パッド15は、長さ方向(L)に間隔があけられ、前端(F)の側から感熱体11、第2導通パッド15の順に、温度センサ1を幅方向(W)に二等分する位置に並んで配置されている。第2導通パッド15よりも感熱体11が前端(F)に近いという配置は、温度センサ1が奏する効果の一つの要件である。
【0026】
第1リードパターン12は、
図1に示すように、感熱体11(第1導通パッド14)から幅方向(W)の一方(
図1(a)中、右方)に引き出されてから、後端(B)に向けて真っ直ぐに延びる、平面視してL字状の形状をなす。第1リードパターン12の後端(B)の側には、第1端子パッド13が電気的に接続されている。第1端子パッド13は、第1リードパターン12よりも幅が広く形成されており、外部の端子などと接続される。
第2リードパターン16は、第2導通パッド15から幅方向(W)の他方(
図1(a)中、左方)に引き出されてから、後端(B)に向けて真っ直ぐに延びる、平面視してL字状の形状をなす。第2リードパターン16の後端(B)の側に第2端子パッド17が電気的に接続されている。第2端子パッド17は、第2リードパターン16よりも幅が広くされており、外部の端子などと接続される。
【0027】
第1リードパターン12と第2リードパターン16は、一例として同じ幅を有するとともに、互いに平行に配設されている。第1リードパターン12と第2リードパターン16は、第1支持膜30に形成された導電材料、例えば銅合金からなる箔より構成される。第1支持膜30および第2支持膜50は、いわゆる片面FPC(Flexible Printed Circuits:フレキシブルプリント回路基板)からなり、第1リードパターン12、第1端子パッド13、第2リードパターン16および第2端子パッド17は、FPCの回路部分に対応する。
第1リードパターン12および第2リードパターン16は、第1支持膜30の厚さ方向の内部に埋設されており、外部に露出しない。しかし、第1リードパターン12および第2リードパターン16に接続される第1端子パッド13および第2端子パッド17は、第1支持膜30の後端(B)の近傍に設けられる接続窓47,48を介して、おもて面の側に開放される。
【0028】
センサ素子10は、感熱体11(第1導通パッド14)と第2導通パッド15とを電気的に接続する第3A導通パッド18、第3B導通パッド19および第3C導通パッド21を備える。第3A導通パッド18は感熱体11および第1導通パッド14に対応する位置に設けられる。第2リードパターン16と第3A導通パッド18の間には感熱体11が挟まれて設けられ、第2リードパターン16と第3A導通パッド18とが電気的に接続される。また、第3B導通パッド19は第2導通パッド15に対応する位置に設けられ、第2導通パッド15は第3導通パッド19に電気的に接続される。第3A導通パッド18と第3B導通パッド19は、第3C導通パッド21により電気的に接続されている。第3A導通パッド18、第3B導通パッド19および第3C導通パッド21は一体に形成され、第2支持膜50に貼り付けられている。
【0029】
感熱体11は、
図2(b)に示すように、サーミスタ11Aと、サーミスタ11Aの一方の面の側に設けられる第1電極11Bと、サーミスタ11Aの他方の面の側に設けられる第2電極11Cと、を備えている。感熱体11は、一例として、第1電極11Bが第1導通パッド14に対向し、第2電極11Cが第3A導通パッド18に対向して配置される。つまり、感熱体11は、温度センサ1の表裏に沿って第1電極11Bおよび第2電極11Cが配置される。この感熱体11の配置にも関わらず、温度センサ1の第1リードパターン12および第2リードパターン16は、同じ平面上に形成される。
【0030】
サーミスタ11Aは、温度変化に対して電気抵抗の変化が大きい特性を有する。サーミスタには、温度が上がると抵抗値が下がるNTC(Negative Temperature Coefficient)サーミスタと、ある温度まで抵抗値が一定で、ある温度を境に急激に抵抗値が高くなるPTC(Ppositive Temperature Coefficient)サーミスタがある。本実施形態のサーミスタ11Aには、NTCおよびPTCのいずれのサーミスタも適用できる。
第1電極11Bおよび第2電極11Cは、金、銀、銅及び白金等から構成され、サーミスタ11Aの表裏両面に蒸着などの手段により形成される。
本実施形態にかかるサーミスタ11Aは、例えば幅方向(W)、長さ方向(L)および厚さ方向の寸法が0.05~0.1mmの範囲を有している。感熱体11は、サーミスタ11A、第1電極11Bおよび第2電極11Cを周囲から覆うガラスなどの保護層が設けられていない。これにより感熱体11の寸法が小さくされる。
【0031】
[第1支持膜30:
図2、
図3]
次に、温度センサ1のうら側に設けられる第1支持膜30について説明する。
第1支持膜30は、センサ素子10を支持する要素であり、一例としてFPCから構成される。このFPCは、
図2(a)および
図3(a),(b)に示すように、ベース31と、ベース31と対向して設けられるカバー33と、ベース31の表面であって、カバー33の切りかかれた部分に設けられる導電パターン35と、を備える。センサ素子10の構成要素である第1リードパターン12、第1端子パッド13、第1導通パッド14、第2導通パッド15、第2リードパターン16および第2端子パッド17は、導電パターン35から構成される。つまり、第1リードパターン12および第2リードパターン16は、ベース31のおもて面側の同じ平面上に設けられる。
図2(a)および
図3(a),(b)などにおけるカバー33、カバー33および導電パターン35の形状および厚さは実体を反映しているわけではない。また、本実施形態において、膜とは面積に対して厚さが十分に薄い部材をいう。FPCにおいて、ベース31および導電パターン35は、例えばそれぞれが50μm以下、好ましくは30μm、より好ましくは20μm以下とされる。また、本実施形態における膜とは、その剛性と直接的には結び付かない。つまり、片持ち構造としたときに、自重によって偏平な原形をとどめずに支持部分から折れ曲がる程度から、偏平な状態を維持できる程度までを包含する。
【0032】
ベース31およびカバー33は、電気絶縁材料、一例としてポリイミドから構成され、導電パターン35は、銅箔から構成される。FPCの製造工程は周知であるので、説明を省略する。なお、ベース31と導電パターン35の間、および、カバー33と導電パターン35の間には、接着剤による接合層が形成されることがあるが、
図2(a)および
図3(a),(b)には記載が省略されている。
【0033】
[第2支持膜50:
図2、
図3]
次に、温度センサ1のおもて側に設けられる第2支持膜50について説明する。
第2支持膜50は、感熱体11と第2導通パッド15とを電気的に接続するための構成要素である。
第2支持膜50も一例として第1支持膜30と同様にFPCから構成され、
図2(a)および
図3(a),(b)に示すように、ベース51と、ベース51と対向して設けられるカバー53と、導電パターン55と、を備える。第2支持膜50における導電パターン55は、感熱体11と電気的に接続されるのに加えて、第2導通パッド15と電気的に接続される。導電パターン55は、ベース51とカバー53に跨って設けられている。
センサ素子10の構成要素である第3A導通パッド18、第3B導通パッド19および第3C導通パッド21は、導電パターン55から構成される。したがって、第3A導通パッド18、第3B導通パッド19および第3C導通パッド21は、第2支持膜50であって第1支持膜30に対向する同じ平面上に貼り付けられている。
第1支持膜30と第2支持膜50は、一例として両面テープ54により貼り付けられている。
【0034】
[電気的な接続関係:
図2、
図3]
図2(a)および
図3(a)に示すように、感熱体11と第1導通パッド14の間には導電性の接合体37が設けられ、感熱体11と導電パターン55の間には導電性の接合体57が設けられる。また、
図2(a)および
図3(b)に示すように、第2導通パッド15と導電パターン55の間には導電性の接合体39および導電性の接合体59が設けられる。こうして、センサ素子10は、第1リードパターン12、感熱体11および第2リードパターン16により電気回路が構成される。つまり、センサ素子10は、第1リードパターン12、第3B導通パッド19、第3C導通パッド21、第3A導通パッド18、感熱体11、第1導通パッド14、第2導通パッド15および第2リードパターン16の順で電気的に接続される。この電気回路は、感熱体11の第1電極11Bおよび第2電極11Cが、温度センサ1の表裏に沿って配置されるにも関わらず、温度センサ1の第1リードパターン12および第2リードパターン16を、同じ平面上に形成させるために必要である。
【0035】
接合体57,59などに用いられる材料は任意であり、例えば導電性接着剤が選択される。導電性接着剤は、エポキシ、ウレタンなどのバインダー樹脂の中に導電性のフィラーを分散させ、接着後にそれらのフィラーが導電パスを形成することで導電接合を達成する材料が広く適用される。導電性のフィラーとして、銅、ニッケル、銀などの金属粉のほか、グラファイトやCNT(カーボンナノチューブ)などの炭素系材料を用いることもできる。また、導電性と接合の機能を備える半田を用いることもできるし、後述するように異方性導電性ペースト、異方性導電フィルムなどを用いることができる。また、これらの材料を組み合わせて用いることもできる。
【0036】
[温度センサ1の製造方法
図4~
図6]
次に、
図4~
図6を参照して、温度センサ1を製造する手順を説明する。
はじめに、
図4を参照して、第1支持膜30について説明する。
図4(a)に示すように、第1支持膜30の出発物質である第1FPC41が用意される。第1FPC41には、感熱体11および接合体37,39の収容穴43,45がすでに形成されている。収容穴43,45は、カバー33をエッチングすることにより形成される。収容穴43,45には、それぞれ第1導通パッド14、第2導通パッド15が形成されている。なお、第1FPC41において、第1支持膜30と同じ構成要素については、第1支持膜30と同じ符号を付けており、その説明を省略する。
【0037】
図4(b)に示すように、第1FPC41が備える収容穴43,45のそれぞれに、接合体37,39を塗布する。接合体37,39のそれぞれは、収容穴43,45において、第1導通パッド14、第2導通パッド15の表面に電気的に接続される。
次いで、
図4(c)に示すように、収容穴43に配置される接合体37の頂部に感熱体11が置かれる。感熱体11は、図示を省略する第1電極11Bおよび第2電極11Cの一方が接合体37に接する。
ここまでで、第1FPC41は、第2支持膜50の出発物質であるFPC61との貼り合わせに供される。
【0038】
次に、
図5を参照して、第2支持膜50について説明する。
図5(a)に示すように、第2支持膜50の出発物質である第2FPC61が用意される。第2FPC61には、接合体57,59が配置されるための収容穴63,65がすでに形成されている。収容穴63,65は、カバー53を、一例としてはレーザー加工することにより形成される。なお、第2FPC61において、第2支持膜50と同じ構成要素については、第2支持膜50と同じ符号を付けており、その説明を省略する。
【0039】
図5(b)に示すように、第2FPC61が備える収容穴63,65のそれぞれに、接合体57,59を塗布する。接合体57,59は、収容穴63,65において、第3B導通パッド19の表面に電気的に接続される。
ここまでで、第2FPC61は第1FPC41との貼り合わせに供される。
【0040】
次に、
図6(a)に示すように、第1FPC41と第2FPC61とを位置合わせをする。この位置合わせは、第1FPC41の接合体37,39と第2FPC61の接合体57,59とが水平方向Hにおいて、同じ位置に置かれることをいう。
第1FPC41と第2FPC61とを位置合わせした後に、第1FPC41と第2FPC61とを重ね合わせる。このとき、
図6(b)に示すように、接合体59と感熱体11とが接触する。重ね合わせた状態で、第1FPC41のカバー33と第2FPC61のカバー53とを接合させる。この接合は、加熱しながら加圧する熱圧着、両面テープなどの手段から選択される。
以上の手順により、温度センサ1が得られる。
【0041】
[第1実施形態が奏する効果]
次に、温度センサ1が奏する効果について説明する。
[第1の効果:薄型化]
温度センサ1は、感熱体11がガラスなどの保護層を備えていないのに加えて、FPCの技術を利用することで第1支持膜30および第2支持膜50を含む全体の厚さを、0.5mm以下、好ましくは0.3mm以下の薄型化を実現できる。
【0042】
[第2の効果:貼り合わせの範囲]
次に、温度センサ1は、第1支持膜30と第2支持膜50が貼り合わされて形成されているが、第2支持膜50は第1支持膜30の一部、特に感熱体11を第1リードパターン12と第2リードパターン16の両者に電気的に接続する領域に限って第1支持膜30を覆っている。
ここで、2枚のフィルムを貼り合わせる際に、フィルムの面積が大きくなるほど、貼り合わせるのが難しくなり、シワがよるなどの不具合が生じるおそれが大きくなる。また、フィルムの面積が大きくなるほど、材料費が高くなる。
以上に対して温度センサ1は、第2支持膜50の表面積が小さいので、第1支持膜30と貼り合せる作業が容易になるとともに、材料費を抑えることができる。
【0043】
[第3の効果:感熱体11の位置]
温度センサ1は、第2導通パッド15よりも感熱体11が前端(F)に近い位置に設けられている。このように、感熱体11が最も前端(F)に近ければ、狭いスペースの奥に温度の測定対象がある場合に、このスペースに前端(F)から温度センサ1を挿入すれば、感熱体11を測定対象物に近接させることができる。これにより、温度センサ1は測定対象物の温度を精度よく測定できる。
また、温度センサ1は、幅方向(W)の中央に感熱体11が配置されている。したがって、測定対象部の熱源の中心に感熱体11の位置を合わせれば、熱源からの熱源を効率よく吸収できる。これによっても、温度センサ1は測定対象物の温度を精度よく測定できる。
ただし、本発明の温度センサは、これらの位置に限らず、他の位置に感熱体11を配置できる。例えば、測定対象物の位置に基づいて、感熱体11が電気的に接続される第1導通パッド14と第2導通パッド15の位置を長さ方向Lにおいて逆にすることができるし、感熱体11の位置を幅方向(W)の中央から変位させることもできる。
【0044】
[第4の効果:第1リードパターン12と第2リードパターン16の位置関係]
次に、温度センサ1は、第1リードパターン12および第2リードパターン16が第1支持膜30のベース31とカバー33の間に形成される。つまり、第1リードパターン12と第2リードパターン16は、同じ平面上に設けられる。これにより、温度センサ1の一方の面側から第1端子パッド13および第2端子パッド17への電線の接続作業を行うことができる。
このように第1リードパターン12と第2リードパターン16とを同じ平面上に設けるために、上述した電気的な接続関係を採用している。
【0045】
〔第2実施形態:
図7〕
次に、
図7を参照して、第2実施形態にかかる温度センサ2を説明する。
温度センサ2は温度センサ1と同じ構造を有するが、製造方法が異なる。つまり、温度センサ2は、
図7(a)に示すように、第1支持膜30と第2支持膜50が一体となって接続された支持膜2Prが提供される。この支持膜2Prにおいて、第2支持膜50を第1支持膜30に対して折り曲げて、
図7(b)に示すように、第2支持膜50を第1支持膜30に重ね合わせる。その後、前述した熱圧着などのいずれかの手段により、第2支持膜50と第1支持膜30を貼り合わせる。そうすると、温度センサ1と同じ構造の温度センサ2を得ることができる。
【0046】
[第2実施形態が奏する効果]
温度センサ2は、前述した第1の効果~第4の効果を奏する。しかも、温度センサ2は、第1支持膜30と第2支持膜50が一枚の素材、例えばFPCを用意すればよい。したがって、第1支持膜30と第2支持膜50とが別体として用意される第1実施形態に比べて、コスト低減に寄与する。
【0047】
〔第3実施形態:
図8〕
次に、
図8を参照して、第3実施形態にかかる温度センサ3を説明する。
温度センサ3は、
図8に示すように、第1導通パッド14と第2導通パッド15が幅方向(W)に並んで配置される。しかも、温度センサ3において、センサ素子10が幅方向(W)の中心を基準にして線対称に配置されている。
【0048】
温度センサ3は、前述した第1の効果、第2の効果および第4の効果を奏する。しかも、温度センサ3によれば、センサ素子10が対称に配置されているので、非対称な温度センサ1に比べて製造が容易である。
【0049】
〔第4実施形態:
図9~
図12〕
次に、
図9~
図12を参照して、第4実施形態にかかる温度センサ4を説明する。温度センサ4は、第1支持膜130と第2支持膜150の電気的な接続がACP(Anisotropic Conductive Paste:異方性導電性ペースト)を用いて行われる。また、温度センサ4は、感熱体11を介さない電気的な接続を担う領域(第2領域A2)には、第1実施形態の
図2に示すカバー33,53に対応する部材が省略される。
【0050】
図9に示すように、温度センサ4の平面視および底面視した構造は、温度センサ1と類似している。ただし、温度センサ4は、第1支持膜130および第2支持膜150の具体的な構成が温度センサ1の第1支持膜30および第2支持膜50と異なる。特に、第1支持膜130は、カバー137およびカバー157を備える第1領域A1と、カバー137およびカバー157を備えない第2領域A2と、に区分される。第1領域A1は、第2領域A2を間に挟んで、センサ素子10の支持に関わる部分とそうでない部分を含む。以下、
図10を参照して第1支持膜130および第2支持膜150を説明する。
【0051】
[第1支持膜130(センサ素子10の支持部分):
図10,
図11(a)]
第1支持膜130は、センサ素子10を支持する要素であり、一例としてFPCから構成される。第1領域A1において、このFPCは、
図10および
図11(a)に示すように、ベース131と、ベース131に積層される銅箔からなる第1導通パッド133Aと、を備える。第1支持膜130は、第1導通パッド133Aの表面に接着剤層135を介してカバー137が積層され、FPCが構成される。ベース131、第1導通パッド133Aおよびカバー137などの材質、厚さなどの寸法は、温度センサ1に従うことができる。
【0052】
第1支持膜130は、
図10および
図11(a)に示すように、接着剤層135およびカバー137が途切れている、感熱体11の第1領域A1を備える。第1領域A1において、第1導通パッド133Aの表面にACPを出発物質とする接合体134が設けられる。接合体134の表面に感熱体11が接合される。
第1領域A1および第2領域A2において、第1支持膜130と第2支持膜150は、両面テープ140により貼り付けられている。
【0053】
[第1支持膜130(第2領域A2):
図10,
図11(b)]
次に、第2領域A2において、第1支持膜130は、ベース131と、ベース131に積層される銅箔からなる第2導通パッド133Bと、を備える。第2領域A2においては、第1領域A1において設けられている接着剤層135およびカバー137が省かれている。
第2領域A2において、第2導通パッド133Bの表面には、第2支持膜150との電気的な接続を担うACPを出発物質とする接合体145が形成されている。
【0054】
[第2支持膜150(センサ素子10の支持部分):
図10,
図11(a)]
第1領域A1において、第2支持膜150も第1支持膜130と同様にFPCを含み、
図10および
図11(a)に示すように、ベース151と、ベース151に積層される銅箔からなる第3導通パッド153と、を備える。第2支持膜150は、第3導通パッド153の表面に接着剤層155を介してカバー157が積層されており、前述したFPCを構成する。ベース151、第3導通パッド153およびカバー157などの材質、厚さなどの寸法は、温度センサ1に従うことができる。
【0055】
第2支持膜150においても、
図10および
図11(a)に示すように、接着剤層155およびカバー157が途切れている、感熱体11の第1領域A1を備える。第1領域A1において、第3導通パッド153の表面にACPを出発物質とする接合体154が設けられる。接合体154と第1支持膜130の接合体134の間に感熱体11が配置される。
【0056】
[第2支持膜150(第2領域A2):
図10および
図11(b)]
次に、第2領域A2において、第2支持膜150は、ベース151と、ベース151に積層される銅箔からなる第3導通パッド153と、を備える。第2領域A2においては、第1領域A1において設けられている接着剤層155およびカバー157が省かれている。
第2領域A2において、第3導通パッド153と第2導通パッド133Bの間には、第1支持膜130との電気的な接続を担うACPを出発物質とする接合体145が形成される。
【0057】
[電気的な接続関係:
図9~
図11]
図9、
図10および
図11に示すように、感熱体11は第1導通パッド133Aと第3導通パッド153との間に配置され、両者と電気的に接続されている。第3導通パッド153は、接合体145を介して第2導通パッド133Bと電気的に接続されている。第1導通パッド133Aは第1リードパターン12と電気的に接続され、第2導通パッド133Bは第2リードパターン16と電気的に接続される。こうして、温度センサ4において、センサ素子10は、第1リードパターン12、感熱体11および第2リードパターン16により電気回路が構成される。つまり、センサ素子10は、第1リードパターン12、第1導通パッド133A、接合体134、感熱体11、接合体154、第3導通パッド153、接合体145、導電パターン145および第2リードパターン16の順で電気的に接続される。
【0058】
[温度センサ4の製造方法:
図12~
図14]
次に、
図12~
図14を参照して、温度センサ4を製造する手順を説明する。
はじめに、
図12を参照して、第1支持膜130について説明する。
図12(a)に示すように、第1支持膜130の出発物質である第1FPC141が用意される。第1FPC141には、第1リードパターン12、第1端子パッド13、第2リードパターン16、第2端子パッド17、第1導通パッド133A,133Bがすでに形成されている。また、第1FPC141は、第1領域A1と第2領域A2にすでに区分されている。なお、第1FPC141において、第1支持膜130と同じ構成要素については、第1支持膜130と同じ符号を付けており、その説明を省略する。
【0059】
図12(b)に示すように、第1FPC141が備える第1導通パッド133Aの所定位置に接合体134の出発物質である異方性導電性ペーストACP1(以下、単にACP1)を塗布する。
次いで、
図12(c)に示すように、ACP1の表面に感熱体11が配置し、その後、ACP1の硬化処理が行われる。
【0060】
次に、
図13(a)に示すように、第2導通パッド133Bの所定位置に接合体154の出発物質である異方性導電性ペーストACP2(以下、単にACP2)が塗布される。
ACP2を塗布した後に、別途用意されている第2支持膜150の出発物質である第2FPC161を第1FPC141に、
図13(b)に示すように位置合わせした後に貼り合わせた後に、加熱圧着をすることで、温度センサ4を得る。
【0061】
ここで、
図13(c)は、第2支持膜150の出発物質である第2FPC161を示している。
図13(c)は、第2支持膜150との貼り合わせに供される面の側を示している。
図13(c)に示すように、第2FPC161には、第3導通パッド153が形成されているが、感熱体11に対応する位置に接合体154の出発物質であるACP3が塗布されるとともに、接合体145に対応する位置に接合体145の出発物質であるACP4が塗布されている。
【0062】
[温度センサ4の効果]
温度センサ4は、前述した第1の効果~第4の効果を奏するのに加えて、以下の効果を奏する。
温度センサ4は、第2領域A2には、カバー137,157が設けられていない。第2領域A2の周辺にカバー137,157が設けられていると、加熱圧着の後にカバー137,157が元の厚さに戻ろうとする反発■により、ACPを出発物質とする接合体145の接合界面が剥離するおそれがある。これにより、温度センサ4によれば、ACPを出発物質とする接合体145の導通が確保される。
なお、本実施形態においては、第1支持膜130と第2支持膜150とを電気的に接続するための接合体134および接合体135の双方にACPを用いた場合を例示して説明しているが、電気的接続を行うことができれば、いずれか一方を通常の半田を用いてもよい。
【0063】
〔第5実施形態〕
次に、
図14~
図16を参照して、第5実施形態にかかる温度センサ5を説明する。温度センサ5は、第4実施形態にかかる温度センサ4において第1支持膜130と第2支持膜150の電気的な接続に用いたACPの代わりにACF(Anisotropic Conductive Film:異方性導電フィルム)を用いる。したがって、以下ではこの相違点を中心にして温度センサ5を説明する。なお、
図14~
図16において、温度センサ4と同じ要素については、
図9~
図13と同じ符号を付してその説明を省略する。
【0064】
[温度センサ5の構成]
温度センサ5は、
図14および
図15(a)に示すように、第1領域A1において、カバー137とカバー157の間にACPを出発物質とする接合体156が設けられる。この接合体156は導電性を有するので、感熱体11とで電気的に接合される。また、この接合体156は、
図14および
図15(b)に示すように、第2領域A2まで延設されており、第2導通パッド133Bおよび第3導通パッド153に電気的に接合される。
【0065】
したがって、温度センサ5においても温度センサ4と同様に、センサ素子10は、第1リードパターン12、感熱体11および第2リードパターン16により電気回路が構成される。つまり、センサ素子10は、第1リードパターン12、第1導通パッド133A、接合体134、感熱体11、接合体154、第3導通パッド153、接合体145、第2導通パッド133Bおよび第2リードパターン16の順で電気的に接続される。
【0066】
温度センサ5の基本的な製造方法は温度センサ4と同じであるが、
図16(b)に示すように、第2FPC161に異方性導電フィルムACFが貼り付けられており、この第2FPC161を第1FPC141に重ね合わせ、熱圧着することで、第1支持膜130と第2支持膜150を備える温度センサ5が得られる。
【0067】
[温度センサ5の効果]
温度センサ5は温度センサ4と同様の効果を奏するのに加えて、以下の効果を奏する。
温度センサ5は異方性導電フィルムACFが両面テープの機能を有するので、温度センサ4が必要としていた両面テープを設けることなく、第1支持膜130と第2支持膜150とを接合できる。
なお、本実施の形態においては、第1支持膜130と第2支持膜150との電気的に接続するためにACFを用いた場合を例示して説明しているが、いずれか一方を通常の半田を用いたり、一方をACFにし他方をACPを用いるようにしても良い。
【0068】
以上、本発明の好ましい実施形態にかかる温度センサを説明したが、上記以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
【0069】
例えば、温度センサ1~3の形状、寸法は本発明の一例を示したに過ぎない。温度センサ1~3よりも長さ方向(L)の寸法を長くまたは短くし、幅方向(W)の寸法を長くまたは短くすることができる。第1導通パッド14、第2導通パッド15などについても同様であり、例えばこれらパッドの平面形状を矩形以外の例えば円形にすることができる。また、第1支持膜130および第2支持膜150の平面形状は矩形に限らず、例えば長さ方向(L)の一方端を円弧状に突き出す、あるいは、凹ますことができる。第1支持膜130および第2支持膜150の平面形状は台形、三角形など任意である。
【0070】
また、温度センサ1の製造手順において、感熱体11を第2支持膜150の第2出発物質61の側に設けてから、第1支持膜130の第1出発物質41との積層、接合を行ってもよい。
【0071】
また、以上の実施形態においては、長さ方向(L)の寸法が大きい第1支持膜130に第1リードパターン12および第2リードパターン16を設けているが、本発明はこれに限らない。長さ方向(L)の寸法が小さい第2支持膜150に第1リードパターン12および第2リードパターン16を設けることができる。
【符号の説明】
【0072】
1,2,3,4,5 温度センサ
10 センサ素子
11 感熱体
12 第1リードパターン
13 第1端子パッド
14 第1導通パッド
15 第2導通パッド
16 第2リードパターン
17 第2端子パッド
18 第3A導通パッド
19 第3B導通パッド
21 第3C導通パッド
30,130 第1支持膜
47,48 接続窓
50,130 第2支持膜