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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-28
(45)【発行日】2022-02-07
(54)【発明の名称】浴室システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/007 20060101AFI20220131BHJP
   F24F 7/06 20060101ALI20220131BHJP
   A47K 4/00 20060101ALI20220131BHJP
   B08B 3/02 20060101ALI20220131BHJP
   F24F 11/50 20180101ALI20220131BHJP
【FI】
F24F7/007 B
F24F7/06 B
A47K4/00
B08B3/02 F
F24F11/50
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018044651
(22)【出願日】2018-03-12
(65)【公開番号】P2019158218
(43)【公開日】2019-09-19
【審査請求日】2021-01-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(72)【発明者】
【氏名】下田 和博
(72)【発明者】
【氏名】福冨 達也
(72)【発明者】
【氏名】加納 廣人
(72)【発明者】
【氏名】奥 航太
【審査官】伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-043315(JP,A)
【文献】特開平10-235301(JP,A)
【文献】特開2002-295894(JP,A)
【文献】特開2006-333909(JP,A)
【文献】特開2001-025445(JP,A)
【文献】特開2009-195619(JP,A)
【文献】特開平10-216068(JP,A)
【文献】特開2018-082795(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/00-7/10
A47K 3/00-4/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄水を吐水することで浴室の洗い場床、壁及び浴槽の少なくとも一部を洗浄する洗浄機器と、
前記浴室に設けられ、前記浴室を換気する換気機器と、
前記洗浄機器と前記換気機器とを連動制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記洗浄機器により、前記洗い場床、前記壁及び前記浴槽の少なくとも一部を洗浄する洗浄モードの実行中に、前記換気機器により、前記浴室を換気する換気モードを実行し、
前記換気モードは、第1風量で換気を行う第1モードと、前記第1風量よりも大きい第2風量で換気を行う第2モードと、を有し、
前記制御部は、前記洗浄モードの実行中に前記第2モードを実行することを特徴とする浴室システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記洗浄モードが終了してから所定時間経過後に、前記換気モードを停止することを特徴とする請求項1記載の浴室システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記洗浄モードの実行前に前記第1モード及び前記第2モードのいずれかを実行していた場合、前記洗浄モードの終了後に前記第1モード及び前記第2モードの前記いずれかを実行することを特徴とする請求項記載の浴室システム。
【請求項4】
洗浄水を吐水することで浴室の洗い場床、壁及び浴槽の少なくとも一部を洗浄する洗浄機器と、
前記浴室に設けられ、前記浴室を換気する換気機器と、
前記洗浄機器と前記換気機器とを連動制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記洗浄機器により、前記洗い場床、前記壁及び前記浴槽の少なくとも一部を洗浄する洗浄モードの実行中に、前記換気機器により、前記浴室を換気する換気モードを実行し、
前記換気モードは、第1風量で換気を行う第1モードと、前記第1風量よりも大きい第2風量で換気を行う第2モードと、を有し、
前記制御部は、
前記洗浄モードの開始時に前記換気モードを停止していた場合、前記洗浄モードの実行中に前記第2モードを実行し、
前記洗浄モードの開始時に前記第1モードを実行していた場合、前記洗浄モードの実行中に前記第1モードを実行することを特徴とする浴室システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記洗浄モードの開始と同時に、前記換気モードを実行することを特徴とする請求項1~のいずれか1つに記載の浴室システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、浴室システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水を吐出することで浴室内の洗浄を行う装置が知られている。例えば、特許文献1に記載の洗浄システムは、浴槽と洗い場に散水する散水手段と、浴槽と洗い場に洗剤を噴霧する洗剤噴霧手段と、を有する。
さらに、特許文献1の洗浄システムは、浴室内を換気する換気手段を有する。特許文献1には、換気手段によって洗浄後の浴室内を乾燥させることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-216068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
浴室内の洗浄終了後においては、洗浄のために吐出された水によって、浴槽や洗い場床は濡れた状態であり、洗浄の残水が存在する。一般に、洗浄のために吐出された水が蒸発せずに残水として残ると、残水が存在する部分の近傍に黒カビが発生しやすい。そのため、黒カビの発生を抑制するためには、残水が蒸発しやすいことが望ましい。しかしながら、浴室内の洗浄終了後においては、洗浄のために吐出された水によって浴室内の湿度が高くなっているため、残水の蒸発が遅いことがある。そのため、黒カビが発生してしまう恐れがある。
【0005】
また、特許文献1に記載の洗浄システムのように、散水手段による散水が終了してから換気を行う場合には、浴室内の湿度が換気によって下がり、残水が蒸発しやすくなるまでに長時間を要する恐れがある。その結果、黒カビの発生を効果的に抑制できない恐れがある。
【0006】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、浴室内の黒カビの発生を抑制することができる浴室システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、洗浄水を吐水することで浴室の洗い場床、壁及び浴槽の少なくとも一部を洗浄する洗浄機器と、前記浴室に設けられ、前記浴室を換気する換気機器と、前記洗浄機器と前記換気機器とを連動制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記洗浄機器により、前記洗い場床、前記壁及び前記浴槽の少なくとも一部を洗浄する洗浄モードの実行中に、前記換気機器により、前記浴室を換気する換気モードを実行することを特徴とする浴室システムである。
【0008】
この浴室システムによれば、洗浄モードの実行中に換気モードが実行されるため、洗浄機器が洗い場床や浴槽を吐水しているときから、浴室内の湿度の上昇を抑えることができ、洗浄機器から吐水された洗浄水の残水を蒸発させやすくすることができる。これにより、浴室内の黒カビの発生を効果的に抑制することができる。
【0009】
第2の発明は、第1の発明において、前記換気モードは、第1風量で換気を行う第1モードと、前記第1風量よりも大きい第2風量で換気を行う第2モードと、を有し、前記制御部は、前記洗浄モードの実行中に前記第2モードを実行することを特徴とする浴室システムである。
【0010】
この浴室システムによれば、洗浄モードの実行中に、風量が大きい第2モードを実行することにより、浴室内の湿度の上昇をより抑えることができる。これにより、浴室内の黒カビの発生をより抑制することができる。
【0011】
第3の発明は、第1または第2の発明において、前記制御部は、前記洗浄モードが終了してから所定時間経過後に、前記換気モードを停止することを特徴とする浴室システムである。
【0012】
この浴室システムによれば、洗浄モードの終了後、所定時間が経過するまで換気モードが継続されるため、洗浄モードの終了後においても浴室内の湿度の上昇を抑えることができる。これにより、洗浄機器から吐水された洗浄水の残水をより蒸発させやすくすることができる。
【0013】
第4の発明は、第2の発明において、前記制御部は、前記洗浄モードの実行前に前記第1モード及び前記第2モードのいずれかを実行していた場合、前記洗浄モードの終了後に前記第1モード及び前記第2モードの前記いずれかを実行することを特徴とする浴室システムである。
【0014】
この浴室システムによれば、洗浄モードの終了後に、制御部によって、洗浄モードが開始される前の換気モードが自動で実行される。これにより、洗浄モード中に換気モードが切り替えられた場合でも、使用者が元の換気モードに戻す必要がなく使い勝手が良い。
【0015】
第5の発明は、第1の発明において、前記換気モードは、第1風量で換気を行う第1モードと、前記第1風量よりも大きい第2風量で換気を行う第2モードと、を有し、前記制御部は、前記洗浄モードの開始時に前記換気モードを停止していた場合、前記洗浄モードの実行中に前記第2モードを実行し、前記洗浄モードの開始時に前記第1モードを実行していた場合、前記洗浄モードの実行中に前記第1モードを実行することを特徴とする浴室システムである。
【0016】
この浴室システムによれば、洗浄モード開始時の換気モードの状態に基づいて、洗浄モード中の換気の風量を制御することで、効率的な換気を行うことができる。例えば、洗浄モードの実行中に第1モードを実行することで、第2モードを実行する場合に比べて、消費電力の増加を抑えることができる。また、洗浄モードの実行中に第1モードを実行することで、第2モードを実行する場合に比べて、換気機器の動作音(ファンの動作音)を抑制することができる。
【0017】
第6の発明は、第1~第5のいずれか1つの発明において、前記制御部は、前記洗浄モードの開始と同時に、前記換気モードを実行することを特徴とする浴室システムである。
【0018】
この浴室システムによれば、洗浄モードの開始時から浴室内の換気が行われるため、浴室内の湿度の上昇をより抑えることができる。これにより、浴室内の黒カビの発生をより抑制することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の態様によれば、浴室内の黒カビの発生を抑制することができる浴室システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施形態に係る浴室システムを有する浴室を例示する斜視図である。
図2】実施形態に係る浴室システムを例示するブロック図である。
図3】実施形態に係る浴室システムの洗浄機器を例示する模式図である。
図4】実施形態に係る浴室システムの換気機器の要部構成を例示する模式図である。
図5】実施形態に係る浴室システムの換気機器を例示する断面図である。
図6】実施形態に係る浴室システムの操作部を例示する斜視図である。
図7図7(a)~図7(c)は、実施形態に係る浴室システムの動作を例示するタイミングチャートである。
図8図8(a)~図8(d)は、実施形態に係る浴室システムの動作を例示するタイミングチャートである。
図9】浴室内の湿度を例示するグラフ図である。
図10図10(a)~図10(c)は、実施形態に係る浴室システムの動作を例示するタイミングチャートである。
図11】実施形態に係る浴室システムの動作を例示するフローチャートである。
図12図12(a)~図12(d)は、実施形態に係る浴室システムの動作を例示するタイミングチャートである。
図13】実施形態に係る浴室システムの動作を例示するフローチャートである。
図14】実施形態に係る浴室システムの洗浄機器を例示する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、実施形態に係る浴室システムを有する浴室を例示する斜視図である。
図1は、実施形態に係る浴室システム100(図2を参照)が設置される浴室の一例を示している。
図1に示すように、浴室500は、概ね直方体の4つの側面に相当する配置の第1壁541、第2壁542、第3壁543、第4壁544を有する。第2壁542は、第1壁541と対向しており、第4壁544は、第3壁543と対向している。第1壁541と第2壁542とは、それぞれ、第3壁543及び第4壁544と接続されている。
【0022】
説明の便宜上、本明細書において、第2壁542(図1の奥側の壁)から第1壁541(図1の手前側の壁)へ向かう方向を「前方」とし、これと反対の方向を「後方」とする。また、前後方向および上下方向に対して垂直な方向を横方向とする。
【0023】
第4壁544の側に浴槽510が設けられており、当該浴槽510と第3壁543との間に洗い場床520(浴室洗い場床)が設けられている。すなわち、浴槽510と洗い場床520とは、共に前後方向に延びて、横方向に並んでいる。洗い場床520は、第3壁543に加えて、第1壁541の一部及び第2壁542の一部にも接している。
【0024】
洗い場床520には、排水口521が設けられている。排水口521は、洗い場床520の前後方向における中央付近であって、洗い場床520の横方向における浴槽510側の端に設けられている。洗い場床520には、排水口521へ向かう緩やかな(例えば1~5°程度の)排水勾配(傾斜)が設けられている。また、洗い場床520の表面は、親水コーティングされている。
【0025】
そして、洗い場床520が接している第2壁542の一部に(浴室500の後方側に)、カウンタ530が設けられている。浴室500の第2壁542には、鏡、給水栓、シャワーホースなどが適宜設けられている。
【0026】
図2は、実施形態に係る浴室システムを例示するブロック図である。
図2に示すように、浴室システム100は、洗浄機器200と、換気機器300と、制御部30と、操作部35と、を有する。
【0027】
洗浄機器200は、浴室500内に設けられる。洗浄機器200は、例えば、洗浄水を吐水する吐水口や、給水源(水道管など)から吐水口へ洗浄水を導く流路を開閉する電磁弁などを有する。洗浄機器200は、給水源から供給された洗浄水を、浴室500の洗い場床520、壁(第1~第4壁541~544)及び浴槽510の少なくとも一部に吐水する。これにより、洗浄機器200は、洗い場床520、壁及び浴槽510の少なくとも一部を洗浄する。なお、図1に示した例では、洗浄機器200は、カウンタ530に設けられ、洗い場床520を洗浄する洗浄機器200a(床洗浄装置)である。
【0028】
換気機器300は、浴室500に設けられ、浴室を換気するための換気手段(ファン)を有する。例えば、換気機器300は、さらにヒータを有していてもよい。換気機器300は、例えば、浴室内の換気や暖房、乾燥を行うことができる。
【0029】
制御部30は、例えばマイコンなどを有する電気回路である。制御部30は、洗浄機器200及び換気機器300のそれぞれと接続されている。制御部30と洗浄機器200との接続、制御部30と換気機器300との接続は、有線接続であっても無線接続であってもよい。洗浄機器200及び換気機器300のそれぞれは、制御部30から送信された信号(指令)に基づいて動作する。図1に示した例では、制御部30は、浴室500の天井545に設置されている。ただし、制御部30の配置は任意である。また、制御部30は、複数の基板などに適宜分割されて配置されてもよい。例えば、制御部30の一部が洗浄機器200に配置されたり、換気機器300に配置されたりしてもよい。
【0030】
制御部30は、洗浄機器200及び換気機器300の一方の動作に、他方の動作を連動させる連動制御を行う。すなわち、制御部30は、洗浄機器200及び換気機器300の一方の動作状態に基づいて、他方の動作を制御する。この連動制御の詳細については、後述する。
【0031】
また、浴室システム100は、使用者が洗浄機器200及び換気機器300の動作を操作するための操作部35(リモコン)を有する。操作部35は、浴室500内、又は浴室500外(例えば浴室500に隣接する脱衣所など)に設けられる。操作部35は、制御部30と有線又は無線により接続されている。使用者は、操作部35に設けられたボタン(スイッチ)を操作することにより、洗浄機器200及び換気機器300の動作を開始/停止させたり、動作の設定を変更したりすることができる。具体的には、使用者が操作部35を操作すると、その操作に応じた信号が制御部30に送信される。制御部30は、操作部35からの信号に基づいて、洗浄機器200及び換気機器300のそれぞれに信号(指令)を送信する。
【0032】
図3を参照して、洗浄機器200の一例(洗浄機器200a)について説明する。
図3は、実施形態に係る浴室システムの洗浄機器を例示する模式図である。
図3は、浴室500のカウンタ530の近傍を側方から見た様子を示している。
洗浄機器200aは、カウンタ530の下部に突出するノズル部10aを有する。ノズル部10aは、カウンタ530の下部に、洗い場床520から離間した位置に配置されている。例えば、ノズル部10aは、洗い場床520の横方向における中央付近に設置されている。
【0033】
浴室500の外部(例えば第2壁542の後方)には、給水管51が設けられている。給水管51は、図示しない水道管と接続されている。これにより、給水管51から水道水が洗浄機器200aに供給される。
【0034】
カウンタ530の内部(天板531と下カバー532との間)には、第1ストレーナ53aと、第1電磁弁54aと、第2電磁弁54bと、調圧弁55と、バキュームブレーカ57と、逆止弁56と、機能水生成部20と、第2ストレーナ53bと、電動モータ17と、が設けられている。第1ストレーナ53aは、給水管51と接続されており、第1ストレーナ53aの下流において、水道水の流路は2つに分岐している。
【0035】
第1ストレーナ53aの下流側の一方の流路は、第1電磁弁54aを介して、水道水(洗浄水の一例である)を直接的にノズル部10aに供給する。第1電磁弁54aを開くことで、水道水がノズル部10aに供給される。
【0036】
第1ストレーナ53aの下流側の他方の流路には、上流側から順に、第2電磁弁54b、調圧弁55、バキュームブレーカ57、逆止弁56、機能水生成部20、第2ストレーナ53bが接続されており、機能水(洗浄水の一例である)をノズル部10aに供給する。
【0037】
第1電磁弁54a及び第2電磁弁54bは、それぞれ、水道水の流路を開く動作、及び、水道水の流路を閉じる動作、を行う。調圧弁55は、供給される水道水の圧力を制御する。これにより、後述する機能水生成部20に供給される水道水の流量を所望に調整することができる。機能水生成部20に供給される水道水の流量を調整することで、ノズル部10aに供給される機能水の流量が調整される。第2電磁弁54bを用いて水道水の流量を調整してもよい。
【0038】
機能水は、例えば除菌(又は殺菌)の機能を有する除菌水である。機能水は、例えば、次亜塩素酸を含む。この例では、機能水生成部20は、陽極と陰極とを有する電解室(電解槽)である。機能水生成部20は、陽極と陰極との間に電圧を印加して、それら電極の間を流れる水道水を電気分解することで、低濃度の次亜塩素酸を生成する。水道水は、塩化物イオンを含んでいるため、その塩化物イオンを電気分解することによって、次亜塩素酸が生成される。
【0039】
なお、機能水は、次亜塩素酸を含むものには限定されない。例えば、機能水は、銀イオン銅イオン、または亜鉛イオンなどの金属イオンを含む溶液、電解塩素やオゾンなどを含む溶液、酸性水、または、アルカリ水などでもよい。機能水生成部20は電解槽に限らず、除菌水を生成可能な任意の構成でよい。
【0040】
ストレーナ53a、53b、電磁弁54a、54b、調圧弁55、バキュームブレーカ57、逆止弁56、機能水生成部20及び電動モータ17の少なくとも一部が、カウンタ530の外部や浴室500の外部に設けられることも可能である。
【0041】
第1電磁弁54a、第2電磁弁54b、調圧弁55、及び機能水生成部20は、制御部30によって適宜に制御される。これにより、ノズル部10aからの水道水の散水と、ノズル部10aからの機能水の散水と、を互いに独立に制御できる。
【0042】
具体的には、第1電磁弁54a及び第2電磁弁54bは、制御部30からの信号に基づいて、水道水の流路の開閉を行う。これにより、下流側に供給される水道水の流量が制御される。また、機能水生成部20は、制御部30からの信号に基づいて、電解室のON/OFF等を切り替える。このようにして制御部30は、機能水における各種構成成分の濃度、吐水される洗浄水の流量(単位時間当たりの流量)、吐水される洗浄水の総水量、を制御することができる。
【0043】
また、ノズル部10aには、吐水口12(開口)が設けられている。ノズル部10aは、上流から供給された洗浄水(水道水や機能水)を、水圧によって吐水口12から浴室500の洗い場床520上へ吐水する。これにより、洗い場床520上の汚れ(例えば、人体からの皮脂、垢、髪の毛など)を排水口521へ洗い流したり、洗い場床520上を除菌することができる。ノズル部10aから吐水される洗浄水は、例えば霧状である。
【0044】
ノズル部10aの位置姿勢は、洗浄水が吐水される洗い場床520上の領域を変えるよう、変動することができる。具体的には、ノズル部10aは、電動モータ17によって回転駆動される。電動モータ17は、例えばステッピングモータからなる。
【0045】
電動モータ17は、制御部30によって制御される。制御部30からの信号に基づいて電動モータ17が制御されることにより、ノズル部10a回転角度や回転速度が変化する。
【0046】
図4及び図5を参照して、換気機器300の一例について説明する。
図4は、実施形態に係る浴室システムの換気機器の要部構成を例示する模式図である。図4では、風路系統と電気系統とを併せて表している。
図5は、実施形態に係る浴室システムの換気機器を例示する断面図である。
【0047】
図4に表したように、換気機器300は、風路316と、加熱手段318(加熱部、ヒータ)と、ファン322と、を有する。風路316は、吸込口312と、吹出口314と、を有する。
【0048】
この例では、換気機器300は、ビルトイン(天井埋め込み)タイプである。すなわち、図5に表したように、天井545に設置された状態において、換気機器300の上部は、天井545よりも上方に位置し、浴室500の外部に配置される。換気機器300の下部は、天井545よりも下方に位置し、浴室500の内部に配置される。
【0049】
図4に表した風路316は、換気機器300の筐体311の内部に設けられた空気の通路である。風路316は、吸込口312及び吹出口314を繋ぐ。吸込口312及び吹出口314は、それぞれ浴室500へ通じている。これにより、風路316は、吸込口312及び吹出口314を介して、浴室500の内部と通じている。
【0050】
ファン322は、風路316の内部に設けられる。ファン322は、例えばモータを含む。ファン322(モータ)が通電されることによって、モータが回転し、ファン322が駆動される。これにより、ファン322は、風路316内に空気の流れを発生させる。
【0051】
図4及び図5に表した矢印A1のように、ファン322の動作に応じて、吸込口312は、浴室内の空気を吸い込む。吸い込まれた空気は、風路316を通り、ファン322によって吹出口314へ導かれる。図4及び図5に表した矢印A2のように、吹出口314は、吸込口312によって吸い込まれた空気を浴室500内へと吹き出す。
【0052】
加熱手段318は、風路316の内部に設けられる。図2の例では、加熱手段318は、風路316上において、ファン322と吹出口314との間に位置する。加熱手段318は、例えば、電気ヒータであり、通電によって発熱する発熱体を有する。加熱手段318は、熱を発して空気を暖めることができる任意の構成でよい。
【0053】
加熱手段318が通電されることによって、加熱手段318は、風路316内の空気を加熱する。すなわち、加熱手段318は、吸込口312によって吸い込まれた空気を加熱する。これにより、加熱された空気を吹出口314から吹き出すことができる。
【0054】
また、図5に表したように、換気機器300には、さらに吸込口332及び排出口334を有する。これにより、矢印A3のように、外気(例えば、浴室500と隣接して設けられた脱衣室の空気)が吸込口332から吸い込まれる。また、ダンパ336の位置を調整することで、矢印A4のように、吸い込まれた空気が排出口334から浴室外へ排出される。
【0055】
制御部30は、ファン322、加熱手段318及びダンパ336に接続されている。制御部30は、ファン322の動作(通電)、加熱手段318の動作(通電)、及びダンパ336の動作を制御する。これにより、換気機器300は、浴室500の内部の空気を換気する「換気運転」、浴室500の内部の空気を暖める「暖房運転」や、浴室500の内部に温風を送って浴室500や浴室500内の衣類を乾燥させる「乾燥運転」を実行することができる。
【0056】
換気運転においては、制御部30は、ダンパ336によって吹出口314を閉じ、排出口334を開く。この状態で、制御部30は、ファン322を作動させる。このとき、加熱手段318は作動させない(ヒータは非通電とする)。ファン322によって浴室500内から吸引された空気は、排出口334から屋外等へ排出される。これにより、浴室500内の空気の入れ替え(換気)を行うことができる。
【0057】
暖房運転においては、制御部30は、ダンパ336によって排出口334を閉じ、吹出口314を開く。この状態で、制御部30は、ファン322を作動させ、加熱手段318を作動させる(ヒータを通電する)。ファン322によって浴室500内から吸引された空気は、加熱手段318によって加熱された後、吹出口314から浴室500内へ吹き出される。これにより、浴室500内の空気は、循環しながら加熱手段318によって加熱されるため、浴室500内の温度が上昇する。
【0058】
乾燥運転においては、制御部30は、ダンパ336によって吹出口314と排出口334の双方を開く。この状態で、制御部30は、ファン322を作動させ、加熱手段318を作動させる。ファン322によって浴室500内から吸引された空気の一部は、排出口334から屋外等へ排出される。吸引された空気の残りの一部は、加熱手段318によって加熱された後、吹出口314から浴室500内へ吹き出され、浴室500内を循環する。
【0059】
なお、実施形態において、換気機器300は、加熱手段318(ヒータ)を有していなくてもよく、暖房運転及び乾燥運転を実行しなくてもよい。換気機器300は、浴室500内の空気を入れ替えることができる任意の構成の換気手段を有していればよい。
【0060】
図6は、実施形態に係る浴室システムの操作部を例示する斜視図である。
操作部35(リモコン)は、第1換気スイッチ35a、第2換気スイッチ35b、掃除連動スイッチ35c、浴槽洗浄スイッチ35d、及び床洗浄スイッチ35eなどの複数のスイッチ(ボタン)を有する。
【0061】
制御部30は、換気機器300により、浴室500を換気する換気モードを有する。使用者が、第1換気スイッチ35a及び第2換気スイッチ35bのいずれかを操作すると、制御部30は、その操作に応じた信号を受信し、換気モードを実行する。換気モードにおいて、制御部30は、換気機器300の換気手段(ファン322)を作動させ、換気機器300に上述の換気運転を実行させる。
【0062】
また、換気モードは、第1風量で換気を行う第1モードと、第2風量で換気を行う第2モードと、を有する。第2風量は、第1風量よりも大きい。例えば、第1モードは、換気機器300に弱換気(又は24時間換気)を実行させる動作モードであり、第2モードは、換気機器300に強換気を実行させる動作モードである。
【0063】
使用者が、第1換気スイッチ35a(24時間換気スイッチ)を操作すると、制御部30は、その操作に応じた信号を受信し、第1モードを実行する。第1モードにおいて、制御部30は、ファン322を第1電力で作動させ、換気機器300に換気運転を実行させる。同様に、使用者が、第2換気スイッチ35b(強換気スイッチ)を操作すると、制御部30は、その操作に応じた信号を受信し、第2モードを実行する。第2モードにおいて、制御部30は、ファン322を第2電力で作動させ、換気機器300に換気運転を実行させる。
【0064】
第2モードにおけるファン322の第2電力(ワット)は、第1モードにおけるファン322の第1電力(ワット)よりも大きい。したがって、第2モードにおいては、第1モードに比べて、ファン322のモータの回転速度が高い。これにより、第2モードの第2風量は、第1モードの第1風量よりも大きくなっている。
【0065】
また、制御部30は、洗浄機器200により、洗い場床520、壁(第1~第4壁541~544)及び浴槽510の少なくとも一部を洗浄する洗浄モードを有する。使用者が、掃除連動スイッチ35c、浴槽洗浄スイッチ35d、及び床洗浄スイッチ35eのいずれかを操作すると、制御部30は、その操作に応じた信号を受信し、洗浄モードを実行する。洗浄モードにおいて、制御部30は、洗浄機器200を制御して、洗浄機器200に浴室の洗浄動作(浴室への吐水動作)を実行させる。
【0066】
洗浄モードには、例えば、床洗浄モードと、浴槽洗浄モードと、掃除連動モードがある。例えば、使用者が床洗浄スイッチ35eを操作すると、制御部30は、床洗浄モードを実行する。これにより、制御部30から洗浄機器200a(床洗浄装置)に信号が送られ、洗い場床520の洗浄が開始される。また、使用者が浴槽洗浄スイッチ35dを操作すると、制御部30は、浴槽洗浄モードを実行する。これにより、制御部30から、後述する洗浄機器200b(浴槽洗浄装置)に信号が送られ、浴槽510の洗浄が開始される。また、使用者が掃除連動スイッチ35cを操作すると、掃除連動モードが実行される。これにより、制御部30から洗浄機器200a及び洗浄機器200bに信号が送られ、洗浄機器200a(床洗浄装置)の洗浄動作と、洗浄機器200b(浴槽洗浄装置)の洗浄動作と、が互いに連動しながら同時に行われる。これにより、浴室500の掃除に要する時間を短縮したり、使用者が操作部35を操作する手間を省くことができる。なお、実施形態においては、洗浄機器は、1つであってもよい。
【0067】
次に、制御部30による、洗浄機器200と換気機器300との連動制御について説明する。
この連動制御において、制御部30は、洗浄モードの実行中に、換気モードを実行する。この例について、以下、図を参照して説明する。
【0068】
図7(a)~図7(c)は、実施形態に係る浴室システムの動作を例示するタイミングチャートである。
タイミングチャートにおいて、横軸は、時間(t)である。図7(a)は、使用者が操作部35の掃除スイッチ(掃除連動スイッチ35c、浴槽洗浄スイッチ35d、床洗浄スイッチ35eのいずれか)を操作したタイミングを表す。図7(b)は、洗浄モードの実行(ON)と停止(OFF)のタイミングを表す。図7(c)は、換気モードの実行(ON)と停止(OFF)のタイミングを表す。
【0069】
なお、洗浄モードがONのときは、床洗浄モード、浴槽洗浄モード、及び掃除連動モードの少なくともいずれかが実行されている。洗浄モードがOFFのときは、床洗浄モード、浴槽洗浄モード、及び掃除連動モードのいずれも実行されていない。つまり、洗浄モードがOFFのときは、浴室500の洗浄(浴室500内への吐水)が行われていない。また、換気モードがONのときは、第1モード及び第2モードのいずれかが実行されている。換気モードがOFFのときは、第1モード及び第2モードのいずれも実行されていない。つまり、換気モードがOFFのときは、浴室500の換気が行われていない。
【0070】
図7(a)に示すように、時刻T1において、使用者が操作部35の掃除スイッチを操作する。すると、図7(b)に示すように、時刻T1において、制御部30は、洗浄モードを開始する。洗浄モードは、時刻T1の後の時刻T3に終了する。すなわち、時刻T1~時刻T3の間に、洗浄機器200の洗浄動作が実行され、洗浄機器200から浴室500内に洗浄水が吐水される。そして、図7(c)に示すように、制御部30は、洗浄モードの実行中、すなわち時刻T1~時刻T3の間において、換気モードを実行する。この例では、換気モードは、時刻T1の後の時刻T2において開始され、時刻T3において終了する。
【0071】
このように、実施形態においては、洗浄モードの実行中に換気モードが実行される。つまり、洗浄機器200が洗い場床520や浴槽510に吐水している最中に、換気機器300の換気運転が実行される。これにより、洗浄機器200が吐水を行っているときから、浴室500内の湿度の上昇を抑えることができる。したがって、洗浄機器200から吐水された洗浄水の残水を蒸発させやすくすることができる。これにより、浴室500内の黒カビの発生を効果的に抑制することができる。
【0072】
なお、換気モードの開始は、洗浄モードの開始と同時(時刻T1)であってもよい。これにより、洗浄モードの開始時から浴室500内の換気が行われるため、浴室内の湿度の上昇をより抑えることができる。また、換気モードの終了は、洗浄モードの終了(時刻T3)よりも前であってもよいし、洗浄モードの終了よりも後であってもよい。
【0073】
図8(a)~図8(d)は、実施形態に係る浴室システムの動作を例示するタイミングチャートである。
図8(a)は、使用者が操作部35の掃除スイッチを操作したタイミングを表す。図8(b)は、洗浄モードの実行(ON)と停止(OFF)のタイミングを表す。図8(c)は、第1モードの実行(ON)と停止(OFF)のタイミングを表す。図8(d)は、第2モードの実行(ON)と停止(OFF)のタイミングを表す。
【0074】
図8(a)に示すように、時刻T4において、使用者が操作部35の掃除スイッチを操作する。すると、図8(b)に示すように、時刻T4において、制御部30は、洗浄モードを開始する。洗浄モードは、時刻T4の後の時刻T6に終了する。すなわち、時刻T4~時刻T6の間に、洗浄機器200の洗浄動作が実行され、洗浄機器200から浴室500内に洗浄水が吐水される。
【0075】
この例では、図8(c)及び図8(d)に示すように、洗浄モードの開始(時刻T4)の前においては、第1モード(弱換気)が実行されており、第2モード(強換気)は実行されていない。そして、制御部30は、洗浄モードの実行中、すなわち時刻T4~時刻T6の間において、第2モードを実行する。この例では、換気モードは、時刻T4の後の時刻T5において、第1モードから第2モードに切り替えられ、時刻T6において終了する。時刻T6において終了する。
【0076】
図9は、浴室内の湿度を例示するグラフ図である。
図9は、図8(a)及び図8(b)に示したように、時刻T4において洗浄モードが開始し、時刻T6において洗浄モードが終了した場合の浴室内の湿度の例を示す。
湿度H1は、図8(c)及び図8(d)に関して説明したように、時刻T5において、換気モードが第1モードから第2モードに切り替えられた場合の、浴室内の湿度の変化を示す。
湿度H2は、時刻T5において、換気モードが切り替えられず、時刻T4から時刻T6まで第1モードが継続された場合の、浴室内の湿度の変化を示す。
湿度H3は、時刻T5において、換気モードが停止された場合の、浴室の湿度の変化を示す。すなわち、湿度H3においては、時刻T4から時刻T5まで第1モードが実行され、時刻T5以降は、換気が行われていない。
【0077】
図9に示すように、洗浄モードが実行中である時刻T5以降において、湿度H1は、湿度H2よりも低く、湿度H3よりも低い。このように、洗浄モードの実行中に、風量が大きい第2モードを実行することにより、浴室500内の湿度の上昇をより抑えることができ、洗浄水の残水をより蒸発させやすくすることができる。これにより、浴室500内の黒カビの発生をより抑制することができる。
【0078】
なお、図8の例において、第1モードから第2モードへの切り替えは、洗浄モードの開始と同時(時刻T4)に行われてもよい。これにより、洗浄モードの開始時から、風量の大きい第2モードで換気が行われるため、浴室内の湿度の上昇をより抑えることができる。
【0079】
図10(a)~図10(c)は、実施形態に係る浴室システムの動作を例示するタイミングチャートである。
図10(a)は、使用者が操作部35の掃除スイッチを操作したタイミングを表す。図10(b)は、洗浄モードの実行(ON)と停止(OFF)のタイミングを表す。図10(c)は、換気モードの実行(ON)と停止(OFF)のタイミングを表す。
【0080】
図10(a)に示すように、時刻T7において、使用者が操作部35の掃除スイッチを操作する。すると、図10(b)に示すように、時刻T7において、制御部30は、洗浄モードを開始する。洗浄モードは、時刻T7の後の時刻T9に終了する。そして、図10(c)に示すように、制御部30は、洗浄モードの実行中、すなわち時刻T7~時刻T9の間において、換気モードを実行する。
【0081】
この例では、換気モードは、時刻T7の後の時刻T8において開始される。また、換気モードは、洗浄モードが終了する時刻T9の後の時刻T10において終了する。すなわち、制御部30は、洗浄モードが終了してから所定時間P1経過後に、換気モードを停止する。これにより、洗浄モードの終了後、所定時間が経過するまで換気モードが継続されるため、洗浄モードの終了後においても浴室500内の湿度の上昇を抑えることができる。これにより、洗浄機器200から吐水された洗浄水の残水をより蒸発させやすくすることができ、黒カビの発生をより抑制することができる。
【0082】
なお、所定時間P1は、任意であるが、例えば、換気モードによって浴室500内の湿度が下がる速さや、浴室500内に吐水された洗浄水が排水される速さに応じて適宜定めることができる。所定時間P1は、例えば10~20分間程度である。
【0083】
図11は、実施形態に係る浴室システムの動作を例示するフローチャートである。
使用者が操作部35の掃除スイッチを押すと、制御部30は洗浄モードを実行する(ステップS101)。これにより、洗浄機器200は、浴室500内の洗浄を開始する。
【0084】
また、掃除スイッチが押されたとき(洗浄モードが開始されたとき)に、換気モードが実行されていた場合、制御部30は、その換気モードを記憶する(ステップS102)。より具体的には、制御部30は、掃除スイッチが押されたときに、換気モードが実行されていたか否か、及び、換気モードが実行されていた場合、第1モード及び第2モードのいずれが実行されていたかを記憶する。
なお、掃除スイッチが押されたとき(洗浄モードが開始されたとき)に、換気モードが実行されていなかった場合、洗浄モード中に第1モードまたは第2モードの何れかが実行されるようにしてもよい。
【0085】
その後、洗浄モードにより、浴室500内の洗浄が実行される(ステップS103)。洗浄モードの実行中において、制御部30は、ステップS102において記憶した換気モードが第2モードであった場合(ステップS104:YES)、第2換気モードを継続する(ステップS105)。一方、洗浄モードの実行中において、制御部30は、ステップ102において記憶した換気モードが第2モードモードでなかった場合(ステップS104:NO)、第2モードに移行する(ステップS106)。
【0086】
洗浄モードの開始から第1所定時間が経過すると(ステップS107:YES)、洗浄モードが終了する(ステップS108)。
【0087】
洗浄モードが終了してから第2所定時間が経過すると(ステップS109:YES)、制御部30は、ステップS102において記憶した換気モードに移行する(ステップS110)。すなわち、掃除スイッチが押されたときに、第2モードが実行されていた場合、制御部30は、ステップS110において第2モードを継続する。掃除スイッチが押されたときに、第1モードが実行されていた場合、制御部30は、ステップS110において第2モードから第1モードへ移行する。
【0088】
なお、ステップS109の第2所定時間は、図10に関して説明した所定時間P1と同様に、適宜、任意に定められる。また、第2所定時間はゼロであってもよく、制御部30は、洗浄モードの終了と同時に、記憶した換気モードに移行してもよい。
【0089】
図12(a)~図12(d)は、実施形態に係る浴室システムの動作を例示するタイミングチャートである。これらの図は、図11に関して説明した動作の一例を表す。
図12(a)は、使用者が操作部35の掃除スイッチを操作したタイミングを表す。図12(b)は、洗浄モードの実行(ON)と停止(OFF)のタイミングを表す。図12(c)は、第1モードの実行(ON)と停止(OFF)のタイミングを表す。図12(d)は、第2モードの実行(ON)と停止(OFF)のタイミングを表す。
【0090】
図12(a)に示すように、時刻T11において、使用者が操作部35の掃除スイッチを操作する。すると、図12(b)に示すように、時刻T11において、制御部30は、洗浄モードを開始する。洗浄モードは、時刻T11の後の時刻T14に終了する。
【0091】
この例では、図12(c)及び図12(d)に示すように、洗浄モードの開始の前、および時刻T11においては、第1モードが実行されている。そのため、制御部30は、ステップS102に関して説明したように、第1モードが実行されていたことを記憶する。そして、制御部30は、洗浄モードの実行中に第2モードを実行する。この例では、換気モードは、時刻T11の後の時刻T13において第1モードから第2モードに切り替えられる。
【0092】
その後、時刻T14において洗浄モードが終了すると、ステップS110に関して説明したように、制御部30は、記憶した換気モードに移行する。すなわち、図12(c)及び図12(d)に示すように、時刻T14において、換気モードは、第2モードから第1モードへ切り替えられる。
【0093】
このように、図11及び図12に関して説明した例において、制御部30は、洗浄モードの実行前に第1モード及び第2モードのいずれかを実行していた場合、洗浄モードの終了後に、洗浄モードの実行前に実行していた方のモードを実行する。
つまり、洗浄モードが開始される前の換気モードが、洗浄モードの終了後に、制御部30によって自動で実行される。これにより、洗浄モード中に換気モードが切り替えられた場合であっても、使用者が元の換気モードに戻す必要が無く使い勝手が良い。
【0094】
図13は、実施形態に係る浴室システムの動作を例示するフローチャートである。
ステップS201~S203は、図11に関して説明したステップS101~S103と同様である。
【0095】
その後、洗浄モードの実行中において、制御部30は、ステップS202において換気モードが実行中であることを記憶していた場合(ステップS204:YES)、その換気モードの実行を維持する(ステップS205)。すなわち、洗浄モードが開始されたときに、第1モードが実行中であった場合は、第1モードの実行を維持し、第2モードが実行中であった場合は、第2モードの実行を維持する。一方、洗浄モードの実行中において、制御部30は、ステップS202において換気モードが実行されていないことを記憶していた場合(ステップS204:No)、第2モードを実行する。すなわち、洗浄モードが開始されたときに、第1モード及び第2モードのいずれも実行されていない場合は、第2モードを実行する。
【0096】
その後のステップS207~S210は、図11に関して説明したステップS107~S110と同様である。
【0097】
このように、制御部30は、洗浄モードの開始時に換気モードを停止していた場合、洗浄モードの実行中に第2モードを実行する。つまり、洗浄モードの開始時に換気が行われていなかった場合は、洗浄モードの開始時に浴室500内の湿度が比較的高いと考えられるため、風量の大きい第2モードが実行される。
【0098】
一方、制御部30は、洗浄モードの開始時に第1モードを実行していた場合、洗浄モードの実行中に第1モードを実行する。つまり、洗浄モードの開始時に第1モードで換気が行われていた場合は、洗浄モードの開始時に浴室500内の湿度が比較的低いと考えられるため、風量の小さい第1モードが継続される。
【0099】
このように洗浄モード開始時の換気モードの状態に基づいて、洗浄モード中の換気の風量を制御することで、効率的な換気を行うことができる。例えば、洗浄モードの実行中に第1モードを実行することで、第2モードを実行する場合に比べて、消費電力の増加を抑えることができる。また、洗浄モードの実行中に第1モードを実行することで、第2モードを実行する場合に比べて、換気機器300の動作音(ファンの動作音)を抑制することができる。
【0100】
図14を参照して、洗浄機器200の別の例(洗浄機器200b)について説明する。 図14は、実施形態に係る浴室システムの洗浄機器を例示する模式図である。
洗浄機器200bは、浴槽510に洗浄水を吐水することで、浴槽510を洗浄する浴槽洗浄装置である。
洗浄機器200bは、流量検知装置604、水量制御装置605、電磁弁606、洗浄ノズル601、給水路608、排水栓駆動用モータ624など、を有する。
【0101】
洗浄ノズル601は、給水路608を介して、給水管51と接続されている。これにより、給水管51から、給水路608を通った水道水が洗浄ノズル601に供給される。
【0102】
給水路608には、上流側から順に、流量検知装置604、水量制御装置605、電磁弁606が設けられている。電磁弁606は、給水路608を開く動作、及び、給水路608を閉じる動作を行う。電磁弁606が開くことで、水道水が洗浄ノズル601に供給され、電磁弁606が閉じることで、洗浄ノズル601への給水が停止する。
【0103】
洗浄ノズル601は、浴槽510に設けられている。洗浄ノズル601の吐水口601aは、例えば、浴槽510の内壁に露出している。洗浄ノズル601は、上流から供給された洗浄水(水道水)を、水圧によって吐水口601aから浴槽510内へ吐水する。これにより、浴槽510内の汚れを、浴槽510の排水口512へ洗い流すことができる。洗浄ノズル601から吐水される洗浄水は、例えば霧状である。
【0104】
排水栓駆動用モータ624は、ワイヤーケーブル621を介して、スラストロック機構部623を作動させることができる。スラストロック機構部623が作動することで、排水栓622を上下に動かすことができ、排水口512を開閉することができる。なお、使用者は、浴槽510のリムなどに設けられた手動スイッチ620を操作することによっても、スラストロック機構部623を作動させ、排水口512を開閉することができる。
【0105】
流量検知装置604、水量制御装置605、電磁弁606、排水栓駆動用モータ624は、制御部30と有線又は無線により接続されており、制御部30によって適宜に制御される。すなわち、電磁弁606は、制御部30からの信号に基づいて、給水路608の開閉を行う。これにより、洗浄ノズル601の吐水と止水とが切り替えられる。また、排水栓駆動用モータ624は、制御部30からの信号に基づいて、排水口512の開閉を行う。
【0106】
洗浄機器200bによる浴槽510の洗浄動作において、制御部30は、まず、排水栓駆動用モータ624によって排水口512を開く。これにより、浴槽510内に残っている水(湯)が排水される。排水口512が開いてから所定時間が経過し、排水が行われた後に、制御部30は、電磁弁606を開く。これにより、洗浄ノズル601から浴槽510内に洗浄水が吐水され、浴槽510内を洗浄することができる。
【0107】
なお、洗浄機器200bは、水道水だけでなく、洗浄機器200aと同様の構成により機能水を吐水してもよい。また、洗浄機器200bは、内部に洗剤タンクやポンプを有し、洗浄ノズル601から浴槽510内に洗剤を散布してもよい。
【0108】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、浴室システムが備える各要素の形状、寸法、材質、配置、設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0109】
10a ノズル部、 12 吐水口、 17 電動モータ、 20 機能水生成部、 30 制御部、 35 操作部、 35a 第1換気スイッチ、 35b 第2換気スイッチ、 35c 掃除連動スイッチ、 35d 浴槽洗浄スイッチ、 35e 床洗浄スイッチ、 51 給水管、 53a 第1ストレーナ、 53b 第2ストレーナ、 54a 第1電磁弁、 54b 第2電磁弁、 55 調圧弁、 56 逆止弁、 57 バキュームブレーカ、 100 浴室システム、 200、200a、200b 洗浄機器、 300 換気機器、 311 筐体、 312 吸込口、 314 吹出口、 316 風路、 318 加熱手段、 322 ファン、 332 吸込口、 334 排出口、 336 ダンパ、 500 浴室、 510 浴槽、 512 排水口、 520 洗い場床、 521 排水口、 530 カウンタ、 531 天板、 532 下カバー、 541~544 第1~第4壁、 545 天井、 601 洗浄ノズル、 601a 吐水口、 604 流量検知装置、 605 水量制御装置、 606 電磁弁、 608 給水路、 620 手動スイッチ、 621 ワイヤーケーブル、 622 排水栓、 623 スラストロック機構部、 624 排水栓駆動用モータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14