(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-28
(45)【発行日】2022-02-07
(54)【発明の名称】燃焼反応器および燃焼方法
(51)【国際特許分類】
F23C 99/00 20060101AFI20220131BHJP
C25B 1/044 20210101ALI20220131BHJP
C25B 9/00 20210101ALI20220131BHJP
【FI】
F23C99/00 308
C25B1/044
C25B9/00 A
(21)【出願番号】P 2021509238
(86)(22)【出願日】2020-05-26
(86)【国際出願番号】 JP2020020811
(87)【国際公開番号】W WO2020241656
(87)【国際公開日】2020-12-03
【審査請求日】2021-02-17
(31)【優先権主張番号】P 2019099827
(32)【優先日】2019-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】595030712
【氏名又は名称】徳田 美幸
(73)【特許権者】
【識別番号】515052682
【氏名又は名称】株式会社バランス・イースト
(73)【特許権者】
【識別番号】321002226
【氏名又は名称】株式会社バイオケミカルイノベーション
(74)【代理人】
【識別番号】100145861
【氏名又は名称】木村 薫
(72)【発明者】
【氏名】徳田 美幸
【審査官】岩▲崎▼ 則昌
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-203249(JP,A)
【文献】特開2016-197090(JP,A)
【文献】特開2016-191704(JP,A)
【文献】特開2015-7522(JP,A)
【文献】特開2004-239562(JP,A)
【文献】特開2000-320816(JP,A)
【文献】登録実用新案第3131938(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23C 99/00
C25B 1/044
C25B 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズル状の噴出部から噴出し水素ガスと酸素ガスのモル比が2:1で混合された酸素水素混合ガスの燃焼により生じた
燃焼炎であって内側に行くにしたがって温度が高くなる燃焼炎
を接触させることにより被写体に所定の反応を生じさせ、前記被写体の
所定の反応は、前記燃焼炎により前記被写体を電離して前記被写体から陽子および電子を放出してプラズマ化するプラズマ崩壊を含
み、
前記燃焼炎と前記被写体との相対位置関係を変更する位置調整部を有し、前記位置調整部により前記燃焼炎と前記被写体との相対位置関係を変更して前記燃焼炎の内側の領域に前記被写体を提供し、
前記燃焼炎を検出する検出器と、前記検出器による検出データに基づいて前記燃焼炎の内側の領域を判断する領域判断部と、を有し、
前記位置調整部は、前記領域判断部の判断結果に応じて前記燃焼炎と前記被写体との相対位置関係を変更することを特徴とする燃焼反応器。
【請求項2】
ノズル状の噴出部から噴出し水素ガスと酸素ガスのモル比が2:1で混合された酸素水素混合ガスの燃焼により生じた燃焼炎であって内側に行くにしたがって温度が高くなる燃焼炎を接触させることにより被写体に所定の反応を生じさせ、前記被写体の所定の反応は、前記燃焼炎により前記被写体を電離して前記被写体から陽子および電子を放出してプラズマ化するプラズマ崩壊を含み、
前記燃焼炎と前記被写体との相対位置関係を変更する位置調整部により前記燃焼炎と前記被写体との相対位置関係を変更して前記燃焼炎の内側の領域に前記被写体を提供し、
前記位置調整部は、前記燃焼炎を検出する検出器による検出データに基づいて前記燃焼炎の内側の領域を判断する領域判断部の判断結果に応じて前記燃焼炎と前記被写体との相対位置関係を変更することを特徴とする燃焼反応方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼反応器および燃焼方法に関し、特に酸素ガスおよび水素ガスを混合した酸素水素混合ガスの燃焼により生じた燃焼炎により被写体に所定の燃焼反応を生じさせる燃焼反応器および燃焼方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から酸素水素混合ガスが知られている。酸素水素混合ガスは、ブラウンガスやHHOガスとも呼ばれ、水素ガスと酸素ガスのモル比が2:1で混合されたガスの総称である。
【0003】
このような酸素水素混合ガスを発生させる装置は、例えば、特許文献1に開示される技術を参照することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
昨今は、酸素水素混合ガスから得られる燃焼炎の有効活用を図ることが強く望まれている。
【0006】
本願発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、酸素水素混合ガスから得られる燃焼炎の有効活用を図ることができる燃焼反応器および燃焼方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る燃焼反応器は、酸素ガスおよび水素ガスを混合した酸素水素混合ガスの燃焼により生じた燃焼炎により被写体に所定の反応を生じさせることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、上記構成により、酸素水素混合ガスの燃焼により生じた燃焼炎により被写体に所定の反応を生じさせることができる等、酸素水素混合ガスから得られる燃焼炎の有効活用を図ることができる。
【0009】
前記被写体の反応は、前記燃焼炎により前記被写体を電離して前記被写体から陽子および電子を放出してプラズマ化するプラズマ崩壊を含むことができる。
前記被写体の反応は、前記燃焼炎の内側の領域に前記被写体を提供することにより生じることとすれば、燃焼炎の内側の領域には、酸素水素混合ガス中において酸素原子と未反応の水素原子が存在し易く、被写体のプラズマ崩壊の促進が図られる。
【0010】
前記燃焼炎と前記被写体との相対位置関係を変更する位置調整部を有し、前記位置調整部により前記燃焼炎と前記被写体との相対位置関係を変更して前記燃焼炎の内側の領域に前記被写体を提供することとすれば、例えば燃焼炎と被写体との距離を短くして水素原子が多い領域で反応を生じさせてプラズマ崩壊を促進したり、燃焼炎と被写体との距離を長くして水素原子が少ない領域で反応を生じさせてプラズマ崩壊を抑制することができる。
【0011】
前記燃焼炎を検出する検出器と、前記検出器による検出データに基づいて前記燃焼炎の内側の領域を判断する領域判断部と、を有し、前記位置調整部は、前記領域判断部の判断結果に応じて前記燃焼炎と前記被写体との相対位置関係を変更することとすれば、燃焼炎の領域を正確に把握しながら燃焼炎と被写体との相対位置関係の変更をすることができる。
【0012】
前記酸素水素混合ガスは、水の電気分解を行う電気分解室により生成されるとともに、前記電気分解室は、外気と遮断するように密閉する構成とすることとすれば、水の電気分解により生じた酸素ガスおよび水素ガスを空気中の酸素と非接触の状態として非イオン化し原子の状態に保持することができる。
前記密閉は、所定のシール材により前記電気分解室をシールして行うことができる。
【0013】
前記被写体の燃焼反応により生じた熱エネルギーにより発電を行う発電器を有することとすれば、エネルギーの有効活用を図ることができる。
【0014】
上記目的を達成するために、本発明に係る燃焼反応方法は、酸素ガスおよび水素ガスを混合した酸素水素混合ガスの燃焼により生じた燃焼炎により被写体に所定の反応を生じさせることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、酸素水素混合ガスから得られる燃焼炎の有効活用を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態に係る燃焼反応器を含む酸素水素混合ガス発生装置の全体構成を示す図である。
【
図3】同燃焼反応器の構成を示す別の図で、(a)は噴出部の位置を調整した状態を示す図、(b)は提供部の位置を調整した状態を示す図である。
【
図4】同酸素水素混合ガス発生装置の電源装置の構成を示す図である。
【
図7】同電源装置の出力波形を示す図で、(a)は交流電源からの出力波形、(b)はコンバータ回路からの出力波形、(c)はパルスカット回路および極性反転回路からの出力波形、(d)はインバータ回路からの出力波形を示す図である。
【
図8】同酸素水素混合ガス発生装置による混合ガスの発生方法を説明するためのフローチャートである。
【
図9】本発明の変形例に係る酸素水素混合ガス発生装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る燃焼反応器を含む酸素水素混合ガス発生装置の全体構成を示す図、
図2は、同燃焼反応器の構成を示す図、
図3は、同燃焼反応器の構成を示す別の図、
図4は、同酸素水素混合ガス発生装置の電源装置の構成を示す図、
図5は、同電源装置の第1の電路を示す図、
図6は、同電源装置の第2の電路を示す図、
図7は、同電源装置の出力波形を示す図である。
【0018】
図1を参照して本発明の実施形態に係る酸素水素混合ガス発生装置1の概要を説明すると、酸素水素混合ガス発生装置1は、電気分解装置10、混合器20、燃焼反応器30、発電機40、および電源装置50を有しており、酸素水素混合ガスを連続的に発生させることができる。
【0019】
電気分解装置10は、電気分解室10aおよび電極を有し、電極は、第1の電極11、および第2の電極12を有している。
【0020】
すなわち、電気分解装置10は、電気分解室10aに水を満たしつつ、第1の電極11および第2の電極12を水に浸漬させて通電することにより水の電気分解を行うことができ、電気分解室10aは、第1の電極11および第2の電極12から酸素ガスおよび水素ガスを発生させることができる。電気分解室10aの少なくとも上部側は、酸素水素混合ガスが滞留する滞留部10a´として機能する。
【0021】
ここで、電気分解室10aは、外気と遮断するように密閉し閉鎖する構成となっており、この密閉は、所定のシール材100により電気分解室10aの上壁10a´における側壁10b´との継ぎ目、上壁10a´における電極11,12の貫通部、上壁10a´における配管10bの接続部分等、各所をシールして行うことができる。シール材100は、例えばシリコン樹脂とすることができる。
【0022】
すなわち、電気分解室10aにおいて生じた酸素水素混合ガスは、電気分解室10aを外気と遮断するように密閉し閉鎖する閉鎖空間とすることができる。これにより、水の電気分解により生じた酸素ガスおよび水素ガスを空気中の酸素と非接触の状態として非イオン化し原子の状態に保持することができる。滞留部10a´´には、体積換算で67%の水素原子と33%の酸素原子が存在することとなる。
【0023】
第1の電極11および第2の電極12は、電源装置40により極性より詳しくは陽極と陰極を交互に反転させることができ、陽極から酸素ガスを、陰極から水素ガスを発生させることができる。電極11,12は、チタン、プラチナ、およびステンレスのうち少なくともいずれかを含んで構成することができる。
【0024】
電気分解室10aに満たされた水には、電気分解を促進させる物質が添加されている。電気分解を促進させる物質は、ナトリウム系化合物および/またはカリウム系化合物とすることができ、ナトリウム系化合物は、ナトリウム系の炭酸塩とし、カリウム系の化合物は、カリウム系の炭酸塩とすることができる。更に、ナトリウム系の炭酸塩は、炭酸ナトリウムおよび/または重炭酸ナトリウムとし、カリウム系の炭酸塩は、炭酸カリウムおよび/または重炭酸カリウムとすることができる。
【0025】
混合器20は、電気分解室10aの上壁10a´と配管10bを介して接続し連通しており、第1の電極11および第2の電極12から発生した酸素ガスおよび水素ガスを流入させて混合し酸素水素混合ガスとすることができる。
【0026】
燃焼反応器30は、所定の着火装置を有しており、混合器20により混合された酸素水素混合ガスを燃焼させることができる。燃焼反応器30は、酸素水素混合ガスの初期燃焼を補助するための補助燃料の供給系統を有することとしてもよい。
【0027】
ここで、燃焼反応器30は、酸素ガスおよび水素ガスを混合した酸素水素混合ガスの燃焼により生じた燃焼炎31により被写体35(本実施形態において、被写体35とは、燃焼反応器30による燃焼反応より詳しくはプラズマ崩壊の対象物であり、後述するように産業廃棄物等の各種のゴミを含む等、燃焼反応器30による燃焼反応より詳しくはプラズマ崩壊をすることができる各種の物質を含むことができる)に所定の燃焼反応を生じさせる燃焼方法を提供することができる。
【0028】
すなわち、被写体35の燃焼反応は、燃焼炎31により被写体35を電離して被写体35から陽子および電子を放出してプラズマ化し水素原子とするプラズマ崩壊を含むことができる。
【0029】
つまり、酸素水素混合ガスは、酸素原子および水素原子を含んでおり、燃焼反応は、水素原子が被写体35に衝突することにより、被写体35から陽子および電子を放出するプラズマ崩壊を含むことができる。そして、この燃焼反応は、更にプラズマ崩壊により放出された陽子および電子と水素原子とが結合して水素分子を発生させる反応とすることができる。
【0030】
この被写体35の燃焼反応は、
図2に示すように、燃焼炎31の内側の領域31´に被写体35を提供することにより生じることができる。燃焼炎31の内側の領域には、酸素水素混合ガス中において酸素原子と未反応の水素原子が存在し易く、被写体35のプラズマ崩壊を促進させることができる。
【0031】
燃焼反応器30は、同じく
図2に示すように、検出器33と領域判断部34を有している。検出器33は、燃焼炎31を検出することができ、領域判断部34は、検出器33による検出データに基づいて燃焼炎31の内側の領域31´の位置を判断することができる。
【0032】
検出器33による検出データは、例えば、燃焼炎31の色や温度とすることができ、領域判断部34は、燃焼炎31の色や温度に基づいて燃焼炎31の内側の領域31´の位置を判断することができる。酸素水素混合ガスの燃焼炎31は、内側から外側に行くにしたがって白色の燃焼炎31の領域31a、黄色の燃焼炎31の領域31b、オレンジ色の燃焼炎31の領域31c、赤色の燃焼炎31の領域31dの如く順次火炎の色が遷移し、内側に行くにしたがって燃焼炎31の温度が高くなるという特徴を有している(領域判断部34は、白色の領域31a、黄色の領域31b、オレンジ色の領域31c、赤色の領域31dの位置を判断することができる)。したがって、燃焼炎31の各領域31a,31b,31c,31dの色や温度を検出し把握することにより、効率よく被写体35の燃焼反応を行うことができる
【0033】
すなわち、燃焼反応器30は、同じく
図2に示すように、位置調整部32を有しており、位置調整部32は、燃焼炎31と被写体35との相対位置関係を変更することができる。つまり、位置調整部32により燃焼炎31と被写体35との相対位置関係を変更して燃焼炎31の内側の領域31´に被写体35を提供することとしたり、被写体35を燃焼炎31の内側の領域31´に提供した後に、内側の領域31´における被写体35の位置の微調整を行うことができる。位置調整部32は、領域判断部34の判断結果に応じて燃焼炎31と被写体35との相対位置関係を変更することができる。
【0034】
より詳しくは、燃焼反応器30は、酸素水素混合ガスを噴出する噴出部36を有している。噴出部36は、酸素水素混合ガスが噴出可能なノズル状となっており、電気分解室10aの上部側の滞留部10a´´と連通している。すなわち、被写体35の燃焼反応は、噴出部36から噴出する酸素水素混合ガスの燃焼炎31により生じ、位置調整部32は、領域判断部34の判断結果に基づいて、
図3(a)に示すように、噴出部36の位置を調整することにより、燃焼炎31と被写体35との相対位置関係を変更することができる。
【0035】
また、燃焼反応器30は、被写体35を提供する提供部37を有しており、提供部37は、被写体35を載置可能な所定の台とすることができる。位置調整部32は、領域判断部34の判断結果に基づいて、
図3(b)に示すように、提供部37の位置を調整することにより、燃焼炎31と被写体35との相対位置関係を変更することもできる。なお、噴出部36および提供部37は、モータの駆動力等により駆動可能な所定の移動機構を備えている。
【0036】
このように酸素水素混合ガスを燃焼させて、この燃焼による燃焼炎31を被写体35に接触させることにより、被写体35のプラズマ崩壊を生じさせて被写体35を一つの陽子および一つの電子からなる物質つまり原子水素に分裂させる燃焼方法を提供することができ、この燃焼方法により、様々な被写体35を瞬時にプラズマ崩壊させて原子水素に分解し消失させることができる。
【0037】
被写体35は、各種の物質とすることができ、有害な物質や毒性のある物質であっても、本発明の酸素水素混合ガスの燃焼炎31を接触させることにより、無害化することができる。また、大量の処理が必要な産業廃棄物等にあっても短時間で焼失させることができ、廃棄物処理の低コスト化を図ることができる。
【0038】
更に、燃焼反応器30は、上記の燃焼反応より詳しくはプラズマ崩壊により生じた分裂した原子水素同士、前記分裂した原子水素と酸素水素混合ガス中の原子水素、酸素水素混合ガス中の原子水素同士により水素分子を生成する燃焼方法を提供することができる。更にまた、燃焼反応器30は、上記の燃焼反応より詳しくはプラズマ崩壊を連続的に行ことにより、水素の全てを水素分子とすることができる。これにより、酸素水素混合ガスの状態を安定させることができる。
【0039】
発電機40は、燃焼反応器30の上記燃焼反応により生じる熱エネルギーを電気エネルギーに変換して発電を行うことができる。
【0040】
電源装置50は、
図4に示すように、交流電源51、AC/DCコンバータ回路52、パルスカット回路53、極性反転回路54、およびインバータ回路55を有しており、電気分解装置10の第1の電極11と第2の電極12に所定のパルス電力を供給することができる。
【0041】
すなわち、AC/DCコンバータ回路52は、スイッチング素子、トランス、およびブリッジダイオードを含んでおり、交流電源51から供給される交流電力を直流電力に変換することができる。
【0042】
パルスカット回路53は、AC/DCコンバータ回路52から供給される直流電力のオンオフを繰り返し行うことにより直流電力のパルスカットを行い、所定の周波数のパルス波を形成することができる。
【0043】
パルスカット回路53は、スイッチング素子を含み、同素子のスイッチング操作により直流電力のオン時間およびオフ時間を制御してパルスカットを行い所定のパルス波形を形成することができる。
【0044】
極性反転回路54は、第1の電極11と第2の電極12の極性より詳しくは陽極と陰極を交互に反転させてパルス波の極性を交互に反転させることができる。
【0045】
極性反転回路54は、スイッチング素子を含み、同素子のスイッチング操作により第1の電路60および第2の電路70を交互に形成することができる。
【0046】
すなわち、第1の電路60は、
図5に示すように、直流電力に基づく電流が第1の電極11から第2の電極12に流れて第1の電極11を陽極とし第2の電極12を陰極とする電路である。第2の電路70は、
図6に示すように、直流電力に基づく電流が第2の電極12から第1の電極11に流れて第1の電極11を陰極とし第2の電極12を陽極とする電路である。これら第1の電路11および第2の電路70を交互に形成することにより、第1の電極11と第2の電極12の極性を交互に反転させることができる。
【0047】
インバータ回路55は、電源装置50から供給される直流電力の電圧を制御することができる。インバータ回路55により直流電圧の昇圧および降圧のいずれも可能な構成となっている。
【0048】
この電源装置50によるパルス電圧の形成方法は、次のように説明される。
すなわち、
図7(a)に示す交流電源51からの交流電力を、
図7(b)に示すように、AC/DCコンバータ回路52により直流電力に変換する。次いで、
図7(c)に示すように、パルスカット回路53のスイッチング操作によりパルスカットを行うとともに、極性反転回路54のスイッチング操作により極性の交互の反転を行う。続いて、
図7(d)に示すように、インバータ回路55により直流電力の電圧の制御を行う。
【0049】
次に、上記の如く構成された酸素水素混合ガス発生装置1による混合ガスの発生方法を
図8のフローチャートに基づいて説明する。
【0050】
すなわち、まずステップS10において、電気分解装置10の電気分解室10aに水を満たしつつ第1の電極11および第2の電極12を浸漬させる。そして、電源装置50を作動させてAC/DCコンバータ回路52により交流電源51から供給される交流電力を直流電力に変換しつつ、AC/DCコンバータ回路52から供給される直流電力のオンオフを行うことにより直流電力のパルスカットを行い第1の電極11および第2の電極12にパルス電力を供給する。このパルス電力の供給により、第1の電極11および第2の電極12において、極性反転回路54により陽極と陰極を交互に反転させることができ、陽極から酸素ガスを、陰極から水素ガスを発生させることができる。
【0051】
続いて、ステップ20において、ステップS10で発生した酸素ガスおよび水素ガスを混合器20により混合し酸素水素混合ガスとする。
【0052】
ここで、このように発生した酸素水素混合ガスを吸引することにより、体内で取り込まれた原子酸素は、体内から電子を受け取り自らは還元され体内の免疫力を促す酸素イオンとなり、原子水素は電子を放出し、細胞に還元力を与える水素イオンとなる。
【0053】
特に、水素イオンは、各種疾患の最大の原因として、知られているハイドロキシラジカル(OH-)のみを効率的に中和する。同時にイオンになる際に電子を放出するため、細胞の還元、つまり老化を緩和する。あらかじめ、通常の電気分解で生成された水素イオン水はすでに、電子を放出した後であるため、ハイドロキシラジカルの中和は期待できるが、新たな電子の放出はないため還元力は期待できない。
【0054】
すなわち、本発明の酸素水素混合ガスにより、体内における原子酸素から酸素イオンに変わった際の免疫力のアップと原子水素が水素イオンに変わった際のハイドロキシラジカルの中和と、原子水素からの電子放出による、細胞の還元を図ることができる。
【0055】
ステップ2S0に続くステップS30において、ステップS20で発生した酸素水素混合ガスを燃焼反応器30により連続的に燃焼させ燃焼炎31を被写体35に接触させる。これにより、被写体35の燃焼反応より詳しくはプラズマ崩壊を生じさせて被写体35を原子水素に分裂させ、分裂した水素原子から水素分子を生成することができ、被写体35を消失させることができる。
【0056】
次に、ステップS40において、発電機40が、燃焼反応器30の反応により生じた熱エネルギーを電気エネルギーに変換して発電を行う。燃焼反応器30の反応により生じた熱エネルギーはプラズマ崩壊を伴うものであるから被写体35の質量に比例して膨大な熱エネルギーを得ることができ、発電機40における発電効率を向上させることができる。なお、燃焼反応器30を含む本実施形態の酸素水素混合ガス発生装置1は、所定のバッテリーを有し、稼働時のみバッテリーを作動させることとすれば、それ以降は、被写体35の燃焼反応の際に得られる熱エネルギーを発電機40により電気エネルギーに変換して稼働を継続することができる。
【0057】
以上説明したように、本発明の酸素水素混合ガス発生装置1および酸素水素混合ガス発生方法によれば、電源装置50は、第1の電極11と第2の電極12の極性を交互に反転させることとしたので、第1の電極11と第2の電極12の極性を交互に反転させながら電気分解を行うことができ、電極への不純物の付着を低減させることができる。これにより、電気分解により安定的に酸素水素混合ガスを発生させることができる。
【0058】
また、本発明の燃焼反応器30および燃焼方法によれば、酸素水素混合ガスの燃焼による燃焼炎31を被写体35に接触させることにより、被写体35の燃焼反応より詳しくはプラズマ崩壊を生じさせて被写体35を原子水素に分裂させることとしたので、酸素水素混合ガスの燃焼炎31により被写体35を原子水素に分解し消失させることができ、酸素水素混合ガスから得られる燃焼炎31の有効活用を図ることができる。
【0059】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されることなく種々の応用実施、変形実施が可能であることは勿論である。
【0060】
すなわち、上述した実施形態においては、燃焼反応器30により酸素水素混合ガスを燃焼させることとしているが、
図9に示すように燃焼反応器30を介さずに酸素水素混合ガスを放出し、吸引することとしても所要の効果を奏する。
【符号の説明】
【0061】
1:酸素水素混合ガス発生装置
10:電気分解装置
10a:電気分解室
10a´:上壁
10a´´:滞留部
10b:配管
10b´:側壁
11:第1の電極
12:第2の電極
20:混合器
30:燃焼反応器
31:燃焼炎
31a:白色の火炎領域
31b:黄色の火炎領域
31c:オレンジ色の火炎領域
31d:赤色の火炎領域
31´:内側の領域
32:位置調整部
33:検出器
34:領域判断部
35:被写体
36:噴出部
37:提供部
40:発電機
50:電源装置
51:交流電源
52:AC/DCコンバータ回路
53:パルスカット回路
54:極性反転回路
55:インバータ回路
60:第1の電路
70:第2の電路
100:シール材