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特許7016498腹腔鏡下手術用一体型腹腔内ガス循環処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-28
(45)【発行日】2022-02-07
(54)【発明の名称】腹腔鏡下手術用一体型腹腔内ガス循環処理装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/94 20060101AFI20220131BHJP
   A61B 17/00 20060101ALI20220131BHJP
【FI】
A61B17/94
A61B17/00
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020142730
(22)【出願日】2020-08-26
(65)【公開番号】P2021069931
(43)【公開日】2021-05-06
【審査請求日】2020-08-26
(31)【優先権主張番号】201911034517.1
(32)【優先日】2019-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518186539
【氏名又は名称】珠海市司邁科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】SIMAI CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Unit 7-A,7-B, No.4 Building,CECT High Technology Industrial Park,No. 1, Technology Seven Road,High-tech Zone,Tangjia,Zhuhai, Guangdong,China
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】林敏
(72)【発明者】
【氏名】卓文帥
【審査官】家辺 信太郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/081587(WO,A1)
【文献】中国実用新案第208301736(CN,U)
【文献】国際公開第2018/039239(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00
A61B 17/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
濾過ユニット(100)と駆動ポンプユニット(200)とを備える腹腔鏡下手術用一体型腹腔内ガス循環処理装置であって、
前記濾過ユニット(100)に給気通路(30)が設けられ、前記給気通路(30)がヒトの腹腔(F)と連通することができ、
前記駆動ポンプユニット(200)が前記濾過ユニット(100)内に設けられ、前記濾過ユニット(100)と連通し、
前記駆動ポンプユニット(200)に排気通路(60)が設けられ、前記排気通路(60)が前記ヒトの腹腔(F)と連通することができ
前記濾過ユニット(100)は、濾過チャンバ(10)とフィルタエレメント(20)とを備え、前記フィルタエレメント(20)は、前記濾過チャンバ(10)のチャンバ壁に環設され、前記濾過チャンバ(10)外に前記給気通路(30)が設けられ、前記給気通路(30)は、前記濾過チャンバ(10)と前記ヒトの腹腔(F)を連通させることができ、
前記駆動ポンプユニット(200)は、駆動機構収容チャンバ(40)と駆動機構(50)とを備え、前記駆動機構(50)は、前記駆動機構収容チャンバ(40)内に設けられ、前記駆動機構収容チャンバ(40)は、前記濾過チャンバ(10)内に位置し、前記濾過チャンバ(10)は、前記駆動機構収容チャンバ(40)と連通し、前記駆動機構収容チャンバ(40)のチャンバ壁に前記排気通路(60)が設けられ、前記排気通路(60)は、前記駆動機構収容チャンバ(40)と前記ヒトの腹腔(F)を連通させることができ、
前記濾過チャンバ(10)のチャンバ壁に連通口(131)が設けられ、前記フィルタエレメント(20)は、前記濾過チャンバ(10)のチャンバ壁に環設され、前記給気通路(30)は、前記連通口(131)と前記ヒトの腹腔(F)を連通させることができ、
前記駆動機構収容チャンバ(40)は、第1凹部蓋体(41)と第2凹部蓋体(42)とを備え、前記第1凹部蓋体(41)の上開口(410)は、前記第2凹部蓋体(42)の下開口(420)に封止状態で接続され、前記第2凹部蓋体(42)の上部に、外側へ突出した前記排気通路(60)が設けられ、
前記第1凹部蓋体(41)のチャンバ壁に通路口(411)が設けられ、及び/又は、前記第2凹部蓋体(42)のチャンバ壁に通路口(411)が設けられ、前記通路口(411)は、前記連通口(131)と連通し、
前記濾過ユニット(100)は、第3凹部蓋体(11)、第4凹部蓋体(12)、インナーホルダ(13)、アウターホルダ(14)及び密閉蓋(15)を備え、前記フィルタエレメント(20)は、前記インナーホルダ(13)と前記アウターホルダ(14)との間に封止状態で設けられ、前記インナーホルダ(13)及び前記アウターホルダ(14)それぞれの一端は、前記第3凹部蓋体(11)の蓋底部(111)に封止状態で接続され、前記インナーホルダ(13)及び前記アウターホルダ(14)それぞれの他端は、前記密閉蓋(15)に封止状態で接続され、前記第3凹部蓋体(11)の蓋底部(111)は、前記第1凹部蓋体(41)の蓋底部(111)に封止状態で接続され、前記第3凹部蓋体(11)の上開口は、前記第4凹部蓋体(12)の下開口に封止状態で接続され、
前記密閉蓋(15)に、前記排気通路(60)と連通する開口(151)が設けられ、前記開口(151)の内壁は、前記排気通路(60)の外壁に封止状態で接続され、
前記第4凹部蓋体(12)に、内側へ突出した第1仕切部(121)が設けられ、前記第4凹部蓋体(12)に、外側へ突出した排気口(122)及び給気口(123)が設けられ、前記密閉蓋(15)に、前記第1仕切部(121)に嵌合される第2仕切部(152)が設けられ、両者は、前記第3凹部蓋体(11)と前記第4凹部蓋体(12)が封止状態で接続されたチャンバを排気チャンバ(16)と前記給気通路(30)に分け、前記排気口(122)、前記排気チャンバ(16)及び前記排気通路(60)は、順次連通し、前記給気口(123)は、前記給気通路(30)と連通し、
前記フィルタエレメント(20)は、円管状であり、円管状の前記フィルタエレメント(20)の最外層は、水濾過層であることを特徴とする
腹腔鏡下手術用一体型腹腔内ガス循環処理装置。
【請求項2】
前記駆動ポンプユニット(200)は、駆動接続部(70)を更に備え、前記駆動接続部(70)は、前記駆動機構収容チャンバ(40)内に挿通され、前記駆動機構収容チャンバ(40)のチャンバ壁に封止状態で接続され、前記駆動接続部(70)の内端部は、前記駆動機構(50)に接続され、前記駆動接続部(70)の外端部は、外駆動装置に取り外し可能に接続されることを特徴とする
請求項に記載の腹腔鏡下手術用一体型腹腔内ガス循環処理装置。
【請求項3】
前記駆動接続部(70)は、磁性流体を介して前記駆動機構収容チャンバ(40)のチャンバ壁に封止状態で接続されることを特徴とする
請求項に記載の腹腔鏡下手術用一体型腹腔内ガス循環処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療器具技術分野に関し、特に腹腔鏡下手術用一体型腹腔内ガス循環処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
腹腔鏡下手術技術の進歩に伴い、低侵襲腹腔鏡手術技術は、普及してきた。手術中、電気メスのような器具により切開又は電気凝固を行う時、大量の煙を発生する。これらの煙は、内視鏡の鏡面をぼかしてしまい、ひいては、撮像システムを経由してディスプレイに伝送される表示コンテンツをぼかしてしまう。それは、腹腔鏡下手術における最も煩わしい課題である。従って、このような煙を直ちに除去しなければならない。
一般的に用いられる従来の煙除去方式は、病院における負圧器具により煙を吸出すことである。吸出されたものは、ほぼCO及び臭い煙ガスである。吸出されてから直接排出されるため、空気汚染を引き起こすと共に、腹腔内の気圧を低下させ、手術に必要な腹腔空間の要件を満たすことができず、手術の順調さに影響を与えてしまった。従って、特許文献CN201720129500.4で還流吸引器が開示されている。具体的には、図1に示すように、該還流吸引器は、第1濾過瓶1(貯液瓶)、第2濾過瓶2(安全瓶)、フィルタ3及びピストンポンプ4を備え、第1濾過瓶1と第2濾過瓶2とは、接続管5を介して接続され、第2濾過瓶2とフィルタ3とは、接続管6を介して接続され、フィルタ3とピストンポンプ4とは、接続管7を介して接続される。
上記から分かるように、該還流吸引器は、3つの濾過部(第1濾過瓶1、第2濾過瓶2及びフィルタ3)と駆動部(ピストンポンプ4)とを備える。ピストンポンプ4により腹腔中の液体及びガスを吸い取り、また、順に第1濾過瓶1、第2濾過瓶2及びフィルタ3により濾過を行う。使用時、上記各部材は、互いに独立して設けられるが、各接続管(5/6/7)を介して連通する。従って、下記欠陥を有する。1、該還流吸引器の構造全体は、非常に複雑かつ煩雑であり、体積が大きく、腹腔鏡下手術中、医療従事者による使用及び操作に不便である。2、複数の濾過部、駆動部は、接続管(5/6/7)を介して接続され、接続封止性が好ましくないという欠陥がある。3、複数の濾過部、駆動部は、接続管(5/6/7)を介して接続され、且つ繰り返して使用され、濾過されたガスが細菌により交差汚染されるという課題を引き起こしてしまい、手術のリスクを直接的に増加させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上記従来技術に存在する課題を解決するために、腹腔鏡下手術用一体型腹腔内ガス循環処理装置を提供することを目的とする。該一体型腹腔内ガス循環処理装置は、濾過ユニットと駆動ポンプユニットが一体に設置され、設計が巧妙で、構造がコンパクトで、占用する空間が小さく、腹腔鏡下手術中、医療従事者による使用及び操作が簡単であり、手術過程全体における腹腔内の気圧の安定性が高く、ガス循環濾過効果が高く、手術効率及び品質を向上させ、汚染された消毒不能なワーク(例えば、駆動ポンプ)が繰り返して使用されないのを確保し、真の汚染ゼロを実現させることができる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を実現させるために、本発明は、下記技術的解決手段を提供する。
濾過ユニットと駆動ポンプユニットとを備える腹腔鏡下手術用一体型腹腔内ガス循環処理装置であって、前記濾過ユニットに給気通路が設けられ、前記給気通路がヒトの腹腔と連通することができ、前記駆動ポンプユニットが前記濾過ユニット内に設けられ、前記濾過ユニットと連通し、前記駆動ポンプユニットに排気通路が設けられ、前記排気通路が前記ヒトの腹腔と連通することができる。
更に、前記濾過ユニットは、濾過チャンバとフィルタエレメントとを備え、前記フィルタエレメントは、前記濾過チャンバのチャンバ壁に環設され、前記濾過チャンバ外に前記給気通路が設けられ、前記給気通路は、前記濾過チャンバと前記ヒトの腹腔を連通させることができ、前記駆動ポンプユニットは、密閉チャンバと駆動機構とを備え、前記駆動機構は、前記密閉チャンバ内に設けられ、前記密閉チャンバは、前記濾過チャンバ内に位置し、前記濾過チャンバは、前記密閉チャンバと連通し、前記密閉チャンバのチャンバ壁に前記排気通路が設けられ、前記排気通路は、前記密閉チャンバと前記ヒトの腹腔を連通させることができる。
更に、前記濾過チャンバのチャンバ壁に連通口が設けられ、前記フィルタエレメントは、前記濾過チャンバのチャンバ壁に環設され、前記給気通路は、前記連通口と前記ヒトの腹腔を連通させることができる。
更に、前記密閉チャンバは、第1凹部蓋体と第2凹部蓋体とを備え、前記第1凹部蓋体の上開口は、前記第2凹部蓋体の下開口に封止状態で接続され、前記第2凹部蓋体の上部に、外側へ突出した前記排気通路が設けられる。
更に、前記第1凹部蓋体のチャンバ壁に通路口が設けられ、及び/又は、前記第2凹部蓋体のチャンバ壁に通路口が設けられ、前記通路口は、前記連通口と連通する。
更に、前記濾過ユニットは、第3凹部蓋体、第4凹部蓋体、インナーホルダ、アウターホルダ及び密閉蓋を備え、前記フィルタエレメントは、前記インナーホルダと前記アウターホルダとの間に封止状態で設けられ、前記インナーホルダ及び前記アウターホルダそれぞれの一端は、前記第3凹部蓋体の蓋底部に封止状態で接続され、前記インナーホルダ及び前記アウターホルダそれぞれの他端は、前記密閉蓋に封止状態で接続され、前記第3凹部蓋体の蓋底部は、前記第1凹部蓋体の蓋底部に封止状態で接続され、前記第3凹部蓋体の上開口は、前記第4凹部蓋体の下開口に封止状態で接続される。
更に、前記密閉蓋に、前記排気通路と連通する開口が設けられ、前記開口の内壁は、前記排気通路の外壁に封止状態で接続される。
更に、前記第4凹部蓋体に、内側へ突出した第1仕切部が設けられ、前記第4凹部蓋体に、外側へ突出した排気口及び給気口が設けられ、前記密閉蓋に、前記第1仕切部に嵌合される第2仕切部が設けられ、両者は、前記第3凹部蓋体と前記第4凹部蓋体が封止状態で接続されたチャンバを排気チャンバと前記給気通路に分け、前記排気口、前記排気チャンバ及び前記排気通路は、順次連通し、前記給気口は、前記給気通路と連通する。
更に、前記駆動ポンプユニットは、駆動接続部を更に備え、前記駆動接続部は、前記密閉チャンバ内に挿通され、前記密閉チャンバのチャンバ壁に封止状態で接続され、前記駆動接続部の内端部は、前記駆動機構に接続され、前記駆動接続部の外端部は、外駆動装置に取り外し可能に接続される。
更に、前記駆動接続部は、磁性流体を介して前記密閉チャンバのチャンバ壁に封止状態で接続される。
【発明の効果】
【0005】
本発明の有益な効果は以下のとおりである。
1、本発明が提供する一体型腹腔内ガス循環処理装置において、駆動ポンプユニットは、濾過ユニット内に設けられ、且つ濾過ユニットと連通するため、濾過ユニットと駆動ポンプユニットが一体に設置されることを実現させる。構造がコンパクトで、体積が小さい。医療従事者は、濾過ユニット及び駆動ポンプユニットをそれぞれヒトの腹腔と連通させれば(例えば、それぞれ様々な手術用穿刺器具と連通させる)よい。使用及び操作が非常に容易である。該一体型腹腔内ガス循環処理装置を用いる時、駆動ポンプユニットによる駆動力(例えば、吸引力)の使用下で、ヒトの腹腔内で手術を行う過程において発生した煙を吸出し、濾過ユニットにより濾過処理(例えば、濾過除菌)を行う。濾過処理されたガスを駆動ポンプユニットによりヒトの腹腔内に注入する。従って、ヒトの腹腔内のガス循環を実現させ、腹腔内のガスの循環吸引排出の安定性が高く、効果が高く、手術の成功率を向上させる。
2、本発明が提供する一体型腹腔内ガス循環処理装置によれば、腹腔鏡下手術中、医療従事者による使用及び操作が簡単であり、手術過程全体における腹腔内の気圧の安定性が高く、ガス循環濾過効果が高く、手術効率及び品質を向上させ、汚染された消毒不能なワーク(例えば、駆動ポンプ)が繰り返して使用されないのを確保し、真の汚染ゼロを実現させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】従来技術における還流吸引器の構造を示す概略図である。
図2】一体型腹腔内ガス循環処理装置の循環原理を示す概略図である。
図3】一体型腹腔内ガス循環処理装置の構造全体を示す概略図である。
図4】駆動ポンプユニットの構造全体を示す概略図である。
図5】第1凹部蓋体の内部構造を示す図である。
図6】濾過ユニットの構造全体を示す概略図である。
図7】濾過ユニットの構造を示す分解図である。
図8】一体型腹腔内ガス循環処理装置を示す断面図である。
【0007】
図面において、100は、濾過ユニットであり、10は、濾過チャンバであり、11は、第3凹部蓋体であり、111は、蓋底部であり、12は、第4凹部蓋体であり、121は、第1仕切部、122は、排気口であり、123は、給気口であり、13は、インナーホルダであり、131は、連通口であり、14は、アウターホルダであり、141は、連通口であり、15は、密閉蓋であり、151は、開口であり、152は、第2仕切り部であり、16は、排気チャンバであり、17は、シールリングであり、20は、フィルタエレメントであり、30は、給気通路であり、200は、駆動ポンプユニットであり、40は、密閉チャンバであり、41は、第1凹部蓋体であり、410は、上開口であり、411は、通路口であり、412は、蓋底部フランジであり、42は、第2凹部蓋体であり、420は、下開口であり、50は、駆動機構であり、60は、排気通路であり、70は、駆動接続部であり、80は、ネジであり、1は、第1濾過瓶であり、2は、第2濾過瓶であり、3は、フィルタであり、4は、ピストンポンプであり、5は、接続管であり、6は、接続管であり、7は、接続管であり、Fは、ヒトの腹腔である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施例における図面を参照しながら、本発明の実施例における技術的解決手段を、明瞭且つ完全に説明する。当然ながら、説明される実施例は本発明の一部の実施例に過ぎず、全ての実施例ではない。本発明の実施例に基づいて、当業者が創造的な労力を要さずに想到しうる他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
本実施例は、腹腔鏡下手術用一体型腹腔内ガス循環処理装置を提供する。該装置は、ほぼ円柱状であるが、直方体状であってもよい。具体的には限定されない。該装置は、医療分野における腹腔手術に適用される。具体的には、ヒトの腹腔F内の煙を吸出し、濾過処理してから、ガスをヒトの腹腔F内に再注入する。
【0009】
具体的には図2に示すように、本実施例において、該一体型腹腔内ガス循環処理装置は、濾過ユニット100と駆動ポンプユニット200とを備え、駆動ポンプユニット200は、濾過ユニット100内に設けられ、駆動ポンプユニット200は、濾過ユニット100と連通する。これにより、濾過ユニット100と駆動ポンプユニット200を一体に設置することを実現させ、構造がコンパクトで、体積が小さい。医療従事者は、濾過ユニット100及び駆動ポンプユニット200をそれぞれヒトの腹腔Fと連通させればよい。具体的には、濾過ユニット100は、給気通路30を介して手術に通常用いられる器具(例えば、穿刺器具などの手術器具)に接続され、ヒトの腹腔F内に連通する。駆動ポンプユニット200は、排気通路60を介して手術に通常用いられる器具(例えば、もう1つの穿刺器具)に接続され、ヒトの腹腔F内に連通する。使用及び操作が簡単であり、腹腔内のガスの循環吸引排出の安定性が高く、効果が高く、手術の成功率を向上させることができる。
【0010】
具体的には、図3図8に示すように、濾過ユニット100は、濾過チャンバ10とフィルタエレメント20とを備え、濾過チャンバ10のチャンバ壁に連通口131(141)が環設され、フィルタエレメント20は、上記チャンバ壁に環設され、濾過チャンバ10外に給気通路30が設けられ、給気通路30は、連通口131(141)とヒトの腹腔Fを連通させることができる。これにより、濾過チャンバ10とヒトの腹腔Fを連通させる。駆動ポンプユニット200は、密閉チャンバ40と駆動機構50とを備え、駆動機構50は、密閉チャンバ40内に収容され、密閉チャンバ40は、濾過チャンバ10内に収容され、且つ濾過チャンバ10は、密閉チャンバ40と連通する。具体的には、密閉チャンバ40のチャンバ壁に通路口411が設けられ、密閉チャンバ40のチャンバ壁に排気通路60が設けられ、排気通路60は、密閉チャンバ40とヒトの腹腔Fを連通させることができる。
【0011】
該一体型腹腔内ガス循環処理装置は、駆動ポンプユニット200による駆動力(例えば、吸引力)の作用下で、手術中、ヒトの腹腔F内に発生した煙を吸出し、濾過ユニット100により濾過処理(例えば、濾過除菌)を行う。濾過処理されたガスは、駆動ポンプユニット200によりヒトの腹腔F内に注入される。従って、ヒトの腹腔F内のガス循環を実現させる(具体的には、図8に示した矢印に示すとおりである)。具体的には、密閉チャンバ40における駆動機構50(ピストンポンプなどの機構であってもよい)は、駆動力(例えば、吸引力)を発生する。濾過チャンバ10は、密閉チャンバ40と連通する。それと同時に、濾過チャンバ10は、給気通路30を介して手術に通常用いられる器具(例えば、穿刺器具などの手術器具)に接続され、ヒトの腹腔F内に連通する。従って、吸引力の作用下で、手術中、ヒトの腹腔F内で発生した煙を吸出し、濾過チャンバ10に環設されたフィルタエレメント20により濾過処理(例えば、濾過除菌)を行う。それと同時に、密閉チャンバ40は、排気通路60を介して手術に通常用いられる器具(例えば、穿刺器具などの手術器具)に接続され、ヒトの腹腔F内に連通する。従って、濾過処理されたガスは、密閉チャンバ40によりヒトの腹腔F内に注入される。これにより、ヒトの腹腔F内のガス循環を実現させる。
【0012】
具体的には、本実施例において、駆動ポンプユニット200は、密閉チャンバ40、駆動機構50及び駆動接続部70を備え、駆動機構50は、密閉チャンバ40内に収容され、密閉チャンバ40のチャンバ壁に排気通路60が設けられ、そのチャンバ壁に通路口411が設けられ、通路口411を介して濾過チャンバ10と密閉チャンバ40を連通させ、排気通路60は、密閉チャンバ40のチャンバと手術器具を連通させることで、ヒトの腹腔F内に連通する。
具体的には、駆動機構50は、密閉チャンバ40内に収容され、ヒトの腹腔Fと濾過チャンバ10を連通させ、外駆動装置(駆動モータであってもよい)に接続される。これにより吸引力を発生して、ヒトの腹腔F内の煙を濾過チャンバ10に注入する。濾過チャンバ10により濾過されたガスは、密閉チャンバ40内に注入され、ヒトの腹腔F内に再注入される。
【0013】
駆動機構50を密閉チャンバ40内に取り付けることを容易にするために、密閉チャンバ40は、第1凹部蓋体41と第2凹部蓋体42とを備える。第2凹部蓋体42は、蓋底部フランジ412を更に備える。第1凹部蓋体41のチャンバ壁に通路口411が設けられ、濾過チャンバ10と連通する。排气通道60は、外側へ突出するように第2凹部蓋体42の頂部に設けられて、ヒトの腹腔F内に連通する。駆動機構50を取り付けてから、第1凹部蓋体41の上開口410を第2凹部蓋体42の下開口420に封止状態で接続する。耐高温シーラントにより封止状態で接続されてもよいし、シールリングとネジを組み合わせた方式で封止してもよい。具体的には、第1凹部蓋体41のチャンバにネジ穴が設けられる。それに対応するように、シールリング及び第2凹部蓋体42のチャンバに同様にネジ穴が設けられる。また、長いネジにより、第1凹部蓋体41と第2凹部蓋体42が封止状態で接続される。
なお、駆動機構50は、密閉チャンバ40内に設けられ、駆動接続部70を介して外駆動装置に取り外し可能に接続されて吸引力を発生する。上記具体的な構造、原理は、特許CN201821266360.6(取り外し可能な密閉エアポンプ)と一致する。具体的には、該一体型腹腔内ガス循環処理装置はいつでも、外駆動装置に接続されるか又は外駆動装置から取り外されることが可能である。また、該一体型腹腔内ガス循環処理装置の交換を容易にし、使い捨てを実現させる。伝染病を患っている患者に使用されてから、繰り返して使用不可能になるため、病菌による交差感染の現象を避ける。
【0014】
ここで、本実施例における濾過ユニット100は、濾過チャンバ10とフィルタエレメント20とを備え、フィルタエレメント20は、濾過チャンバ10のチャンバ壁に環設され、濾過チャンバ10外に給気通路30が設けられ、濾過チャンバ10のチャンバ壁に連通口131(141)が設けられ、連通口131(141)は、通路口411と連通する。好ましくは、連通口131(141)は、通路口411に対応するように子受けられる。給気通路30は、濾過チャンバ10のチャンバと手術器具を連通させ、ヒトの腹腔F内に連通する。連通口131(141)は、駆動ポンプユニット200の密閉チャンバ40に連通するためのものである。
【0015】
具体的には、濾過効果を向上させるために、フィルタエレメント20は、外側から内側への濾過能力が次第に向上した多層フィルタエレメントを備えてもよい。つまり、ヒトの腹腔F内から吸出された煙は、上記多層フィルタエレメントにより順次濾過される。具体的には、まず、水、油、小さな粒子などの不純物を濾過し、続いて、硫化物、塩化物、病菌、微生物粒子、煙などのような有害物質及び電気メスのような器具が動作した時に発生した煙を濾過する。
また、好ましくは、フィルタエレメント20全体は、円管状である。多層フィルタエレメント同士は、耐高温シーラントにより封止状態で接続される。具体的には、円管状に巻き取られた第1層のフィルタエレメントの外濾過面の縁領域に耐高温シーラントを塗布してから、第2層のフィルタエレメントを貼り付ける。このように類推して、フィルタエレメント層をスキップして濾過するという状況を避ける。ここで、上記耐高温シーラントとして、一般的には、例えば二成分エポキシ接着剤、二成分ポリウレタンのような二成分接着剤が用いられる。これにより、人体に無毒・無害であることを確保し、高温に耐えられ、効果的な封止効果を実現させる。
【0016】
具体的には、図6図8に示すように、フィルタエレメント20の取付を容易にするために、濾過ユニット100は第3凹部蓋体11、第4凹部蓋体12、インナーホルダ13、アウターホルダ14及び密閉蓋15を備え、インナーホルダ13及びアウターホルダ14それぞれの一端は、溶接により、第3凹部蓋体11の蓋底部111に封止状態で接続され、インナーホルダ13及びアウターホルダ14それぞれの他端は、溶接により、密閉蓋15に封止状態で接続される。耐高温シーラントにより封止状態で接続されてもよい。インナーホルダ13の壁に連通口131が設けられ、アウターホルダ14の壁に連通口141が設けられる。第3凹部蓋体11の蓋底部111と第1凹部蓋体41の蓋底部412がシールリング17、ネジ80により、封止状態で接続されることで、濾過チャンバ10が形成される。インナーホルダ13及びアウターホルダ14は、濾過チャンバ10のチャンバ壁を構成する。フィルタエレメント20は、インナーホルダ13とアウターホルダ14との間に封止状態で設けられる。
【0017】
続いて、図6図8に示すように、第3凹部蓋体11の上開口と第4凹部蓋体12の下開口は、溶接により封止状態で接続される。耐高温シーラントにより封止状態で接続されてもよい。第4凹部蓋体12に、内側へ突出した第1仕切部121が設けられる。第1仕切部121は、環形突起状である。第4凹部蓋体12に、外側へ突出した排気口122及び給気口123が設けられる。排気口122と給気口123は、仕切られるように設けられる。それに対応するように、密閉蓋15に、第1仕切部121に嵌合される第2仕切部152が設けられる。第2仕切部152も環形突起状である。第3凹部蓋体11の上開口と第4凹部蓋体12の下開口が溶接により封止状態で接続されると共に、第1仕切部121と第2仕切部152も溶接により封止状態で接続される。これにより、第3凹部蓋体11と第4凹部蓋体12が封止状態で接続されたチャンバを排気チャンバ16と給気通路30に分ける。給気口123は給気通路30と連通し、給気通路30は、連通口131(141)と連通し、また通路口411と連通する。従って、駆動ポンプユニット200により、手術中、ヒトの腹腔F内に発生した煙を吸出す。排気口122、排気チャンバ16及び排気通路60が順次連通することで、濾過処理されたガスを駆動ポンプユニット200によりヒトの腹腔Fに再注入する。
【0018】
密閉蓋15に、排気通路60と連通する開口151が設けられ、排気通路60の外壁は、開口151内に挿通される。また、排気通路60の外壁と開口151の内壁は、シールリングを介して封止状態で接続される。これにより濾過処理されたガスを駆動ポンプユニット200によりヒトの腹腔Fに順調に安定して再注入する。
【0019】
以上の実施例は、本発明の技術的解決手段を説明するためのものに過ぎず、それを限定するものではない。好適な実施例を参照して本発明について詳細に説明したが、本発明の精神及び原則から逸脱することなく、本発明の技術的解決手段について修正又は均等物による置換を行うことができ、これらはいずれも本発明の特許要求の範囲内に含まれるものとすることが当業者であれば理解されるべきである。
図1
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図8