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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-28
(45)【発行日】2022-02-07
(54)【発明の名称】運動器具
(51)【国際特許分類】
   A63B 23/04 20060101AFI20220131BHJP
【FI】
A63B23/04 C
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018081268
(22)【出願日】2018-04-20
(65)【公開番号】P2019187604
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2020-05-22
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 特許出願人が業務提携を結んでいる者に公開を依頼し、平成30年3月21日に開催された「足踏み運動器発表会」において発表。
(73)【特許権者】
【識別番号】516227560
【氏名又は名称】健幸ライフ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100172225
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 宏行
(72)【発明者】
【氏名】本村 真祐
【審査官】安田 明央
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0298949(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第1850312(CN,A)
【文献】特開2002-291942(JP,A)
【文献】特開平06-105930(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 1/00-5/00
A63B 1/00-26/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の両足が載置される載置部と、
円弧部を有し、前記載置部に載置された使用者の両足が交互に動作することで所定範囲に亘って回動する本体部と、
前記本体部の回動方向と垂直な方向への移動を禁止するとともに、前記本体部の回動方向への移動を抑制する規制手段と、を備え、
前記規制手段は、
前記本体部の前記円弧部の一部を除去することによって形成された凹部と、
前記凹部に嵌め合わされる凸部と、を有し、
前記凸部の長手方向における長さ寸法は前記凹部の長手方向における長さ寸法よりも小さく、
前記凸部は前記凹部によって覆われ、
床面に設置され前記凸部を上面に固定したベース部をさらに備え、
前記本体部は、前記ベース部及び前記凸部に対して、水平方向を軸心として回動自在に支持されることを特徴とする運動器具。
【請求項2】
前記本体部の回動時においては、前記凹部のエッジ部に前記凸部が接触することで、前記本体部の移動が規制されることを特徴とする請求項1に記載の運動器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者が両足を交互に上下させる運動に供する運動器具に関する。
【背景技術】
【0002】
血行の促進やストレス解消、運動不足の簡易的な解消手段として、両足を交互に小刻みに上下させる運動・動作、いわゆる「貧乏ゆすり」が効果的であるといわれている(以下、この動作を「ジグリング」と称する)。近年では、車椅子での生活を余儀なくされている高齢者の運動不足を解消する手段としても注目されている。
【0003】
そこで従来、車椅子等に着座した姿勢でジグリングを簡単に行える足踏み器具が提案されている(例えば特許文献1)。特許文献1に示す足踏み器具は、円柱を平滑面に対して直交する方向から切断した形状を有しており、平滑な面は足置き部となっている。使用者は円弧の頂点部を床等に接触させ、この状態で足置き部に両足を載置したうえで交互に上下させる。これにより、使用者はジグリングを連続して行えるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-73597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上記従来技術では、足踏み器具の一側を使用者の足で押し下げた際、押し下げ時の力によって足踏み器具が所定位置から予期せぬ方向へ移動してしまい(水平面内における位置ずれ)、一定の位置でジグリングを連続してスムーズに行うことができないといった事態が生じていた。このように従来技術では、位置ずれを抑制しつつジグリングを連続して行うことが困難であった。
【0006】
そこで本発明は、位置ずれを抑制しつつジグリングを連続して行うことができる運動器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の運動器具は、使用者の両足が載置される載置部と、円弧部を有し、前記載置部に載置された使用者の両足が交互に動作することで所定範囲に亘って回動する本体部と、前記本体部の回動方向と垂直な方向への移動を禁止するとともに、前記本体部の回動方向への移動を抑制する規制手段と、を備え、前記規制手段は、前記本体部の前記円弧部の一部を除去することによって形成された凹部と、前記凹部に嵌め合わされる凸部と、を有し、前記凸部の長手方向における長さ寸法は前記凹部の長手方向における長さ寸法よりも小さく、前記凸部は前記凹部によって覆われ、床面に設置され前記凸部を上面に固定したベース部をさらに備え、前記本体部は、前記ベース部及び前記凸部に対して、水平方向を軸心として回動自在に支持される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、位置ずれを抑制しつつジグリングを連続して行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】(a)(b)本発明の実施の形態1における運動器具の模式的な全体斜視図
図2】本発明の実施の形態1における運動器具の模式的な(a)正面図(b)(c)側面図
図3】(a)本発明の実施の形態1における運動器具の模式的な図2(b)で示すA-A’矢視図(b)本発明の実施の形態1における運動器具の図2(c)で示すB-B’矢視図
図4】(a)(b)本発明の実施の形態1における運動器具の模式的な構造説明図
図5】本発明の実施の形態1における運動器具の模式的な正面図
図6】(a)(b)(c)本発明の実施の形態1における運動器具の使用例を示す図
図7】本発明の実施の形態2における運動器具の模式的な(a)正面図(b)平面図(c)側面図(d)図7(c)で示すC-C’矢視図
図8】本発明の実施の形態2における運動器具の模式的な構造説明図
図9】本発明の実施の形態2における運動器具の模式的な構造説明図
図10】(a)(b)本発明の実施の形態2における運動器具の使用例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施の形態1)
図1-5を参照して、本発明の実施の形態1における運動器具を説明する。図3(a),(b)は、それぞれ図2(b),(c)に示すA-A’矢視図、B-B’矢視図である。運動器具1は、使用者の両足を踵側から交互に小刻みに上下させる運動・動作、すなわち使用者の両足の運動(ジグリング)に供するものである。
【0011】
運動器具1は、床面F(図6)上に載置される矩形のベース部2を備えている。ベース部2の上面には、ベース部2の長手方向に延びた凸部としての柱状体3が固定されている。すなわち、ベース部2は柱状体3を下方から支持する。ベース部2の下面には、滑り止め部材としてのゴムシート4が設けられており、これによりベース部2が床面Fに対して横滑りしないようになっている。以下、ベース部2の長辺と平行な方向をX軸方向、X軸方向と水平面内で直交する方向をY軸方向、XY平面に対して直交する方向をZ軸方向と定義する。
【0012】
ベース部2には回動体としての本体部5が該ベース部2に対して、所定範囲に亘って回動自在に設けられている。本体部5は、例えば円柱状の部材を平滑面に対して直交する方向から切断することで、正面視して円弧状(半円状)に成形されている。これにより、本体部5は切断面が平滑面5aとなっており、且つ、本体部5の平滑面5aを除く周方向に沿って円弧部5bが形成されている。すなわち、円弧部5bは曲面を有する。ベース部2、柱状体3、本体部5は、例えば木材から成る。
【0013】
図2(b),(c)及び図3(a),(b)において、本体部5は円弧部5b(曲面)を部分的に除去することにより、所定範囲に亘って形成された凹部としての溝部5cを有する。実施の形態1では、円弧部5b(曲面)の頂部T1(図3(b))を起点に周方向に沿って部分的に除去することによって、溝部5cが形成されている。溝部5cを形成する範囲は鈍角が望ましい。図2(c)において、溝部5cを形成する本体部5の表面5c1,5c2,5c3は、例えば粗面加工によって「粗」となっている。
【0014】
図2(b)に示すように、溝部5cの幅方向の長さ寸法t1は、柱状体3の幅方向の長さ寸法と略同一、或いは柱状体3の長さ寸法よりも若干大きく設定されている。図3(a)に示すように、溝部5cの深さt2は柱状体3の高さ(Z軸方向の長さ寸法)と略同一に設定されている。柱状体3を溝部5cに嵌め合わせることで、本体部5はベース部2及び柱状体3に対して、水平方向を軸心として回動自在に支持される。
【0015】
本体部5は溝部5cが形成された範囲内でベース部2及び柱状体3に対して円弧部5b(曲面)に沿って回動する。したがって図4(a),(b)に示すように、本体部5の平滑面5aの一方の端部5a1は、使用者のジグリングにより所定距離Sに亘ってZ軸方向に移動する。実施の形態1において、溝部5cの両端部の高さ位置はそれぞれ同じであるため、本体部5の平滑面5aの一方の端部5a2側も所定距離Sを移動する。
【0016】
本体部5の平滑面5aは、使用者の両足L1,L2(図6)が載置される載置部となっている。なお、図5に示すように、使用者の身体的特徴(例えば身長)に応じて、平滑面5aの長手方向における長さ寸法よりも大きいサイズの板状部材6を平滑面5a上に固定し、この板状部材6を載置部としてもよい。また、使用者の両足L1,L2が接触する平滑面5a上の位置、或いは板状部材6上の位置に、ゴムシート等の滑り止め部材を設けてもよい。
【0017】
実施の形態1における運動器具1は以上のように構成される。次に図6を参照して、運動器具1の使用例を説明する。まず図6(a)に示すように、使用者は運動器具1を床面F上に設置する。なお、ジグリング開始前における運動器具1の基本姿勢は、本体部5の円弧部5bの頂部T1がベース部2に最も接近する位置、言い換えれば平滑面5aが水平となる位置にある。
【0018】
次いで使用者は、一方の足L1と他方の足L2のそれぞれを平滑面5aの両側に載置する。次いで図6(b)に示すように、使用者が一方の足L1を踵側から下方に動かすことで(矢印a)、本体部5は溝部5cと柱状体3との嵌合を維持しつつ矢印b方向に回動するとともに、他方の足L2が上方に移動する。すなわち、本体部5は柱状体3から離脱することなく、柱状体3によって幅方向(柱状体3の長手方向と水平面内で直交するY軸方向)への移動(位置ずれ)が規制される。なお、溝部5cを形成する本体部5の表面5c1,5c2,5c3は「粗」となっており、ジグリング時には本体部5の表面5c1,5c2,5c3が柱状体3の表面上を摺動するので、本体部5は柱状体3の長手方向(X軸方向)への横滑りも抑制される。
【0019】
次いで図6(c)に示すように、使用者が他方の足L2を踵側から下方に動かすことで(矢印c)、本体部5は溝部5cと柱状体3との嵌合を維持しつつ矢印d方向に回動するとともに、一方の足L1が上方に移動する。そして、使用者が一方の足L1と他方の足L2を小刻みに交互に上下させることで(ジグリング)、本体部5は往復により回動する(矢印b→矢印d→矢印b→矢印d・・・)。
【0020】
このように、本体部5は円弧部5b(曲面)を有し、載置部に載置された使用者の両足L1,L2が交互に動作することで、円弧部5bの周方向に沿って所定範囲に亘って回動する。また、ベース部2、柱状体3、本体部5に形成された溝部5cは、本体部5の水平面内における移動を規制する規制手段となっている。また、溝部(凹部)5cは本体部5の円弧部5b(曲面)に沿って形成され、柱状体(凸部)3はベース部2を介して床面Fに対して設置され、一の方向に延び且つ溝部5cに嵌め合わされる。さらにベース部2は、床面Fに設置され柱状体3を上面に固定する。
【0021】
以上説明したように、実施の形態1における運動器具1によれば、使用者がジグリングを行う際の本体部5の位置ずれを抑制することができ、その結果としてジグリングを一定の位置において連続して行うことができる。
【0022】
(実施の形態2)
次に図7,8,9を参照して、本発明の実施の形態2における運動器具を説明する。実施の形態1,2における運動器具1,10とでは、凹部と凸部の形状が異なる。すなわち、運動器具10が備えるベース部11の上面には、円柱状の部材を平滑面に対して直交する方向から切断することで、両端から中央に亘って弧を描きながら隆起した凸部としての隆起部12が設けられている。すなわち、隆起部12は曲面を有し、正面視して略半円状に成形されている。
【0023】
本体部13の主形状は実施の形態1における本体部5と同様であり、上面には載置部としての平滑面13aが形成されている。本体部13において、円弧部13b(曲面)の頂部T2(図9)を中心とした略中央部には、弧(円弧)を描きながら部分的に除去することで、正面視して略半円状に形成された凹部としての溝部13cが形成されている。図7(c)に示すように、溝部13cの幅方向の長さ寸法t3は、隆起部12の幅方向の長さ寸法と略同一、或いは隆起部12の幅方向の長さ寸法よりも若干大きく設定されている。したがって、溝部13cを介して本体部13を隆起部12に嵌合させた状態では、本体部13の幅方向(Y軸方向)における移動が規制される。
【0024】
図9において、溝部13cの縁部を沿うようにして形成される仮想円C1の径は、隆起部12の縁部を沿うようにして形成される仮想円C2の径よりも大きくなるように設定されている。また、頂部T2がベース部11に最も接近する位置に合わせて本体部13を隆起部12に嵌合させたとき、仮装円S1,S2のそれぞれは中心点Rを中心として同心円状に位置する。したがって、溝部13cを形成する縁部と隆起部12との間には、一定の幅t4のクリアランス(遊び代)が生じる。本体部13は、溝部13cを介して隆起部12に嵌合された状態において、前述したクリアランスに応じた範囲で水平面内方向への移動が許容されるとともに、ベース部11及び隆起部12に対して回動することができる(矢印e)。図9では便宜上、本体部13とベース部11を離している。
【0025】
図10(a),(b)に示すように、使用者が本体部13の平滑面13aに両足L1,L2を載置した状態で小刻みに上下させることで、本体部13はクリアランスに応じた範囲で円弧部13b(曲面)をベース部11に接触させながら回動する(矢印f→矢印g→矢印f→矢印g・・・)。本体部13の回動時においては、溝部13cのエッジ部E1,E2に隆起部12がそれぞれ接触することで、本体部13の長手方向(X軸方向)への移動が規制される。すなわち、実施の形態2における運動器具10によれば、ジグリング時における本体部13のXY方向への移動を規制することができる。
【0026】
本発明に係る運動器具は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で設計変更が可能である。例えば、柱状体3の形状は任意であり、溝部5cに嵌合可能であって、ベース部2に対して一の方向に延びた凸状のものであればよい。また、本体部5の上面に足が収容されるサイズの凹部を設け、この凹部に足を収容してジグリングを行うようにしてもよい。また、本体部5が有する載置部(平滑面5a)は表面に凹凸があってもよい。さらに、実施の形態2における運動器具10では、本体部13に複数の溝部13cを形成し、溝部13cの数に応じた隆起部12をベース部11に設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明によれば、位置ずれを抑制しつつジグリングを連続して行うことができ、高齢者の運動不足を解消するツールとして特に有用である。
【符号の説明】
【0028】
1,10 運動器具
2,11 ベース部
3 柱状体(凸部)
5,13 本体部
5a,13a 平滑面(載置部)
5b,13b 円弧部
5c,13c 溝部(凹部)
12 隆起部(凸部)
F 床面
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図2
図3
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図5
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