IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大洋香料株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-28
(45)【発行日】2022-02-07
(54)【発明の名称】炭酸感増強剤
(51)【国際特許分類】
   A23L 27/00 20160101AFI20220131BHJP
   A23L 2/00 20060101ALI20220131BHJP
   A23L 2/38 20210101ALI20220131BHJP
   A23L 2/54 20060101ALI20220131BHJP
   C12G 3/04 20190101ALI20220131BHJP
【FI】
A23L27/00 Z
A23L2/00 T
A23L2/38 A
A23L2/54
C12G3/04
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020031901
(22)【出願日】2020-02-27
(65)【公開番号】P2021132581
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2020-05-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000208086
【氏名又は名称】大洋香料株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085316
【弁理士】
【氏名又は名称】福島 三雄
(74)【代理人】
【識別番号】100171572
【弁理士】
【氏名又は名称】塩田 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100213425
【弁理士】
【氏名又は名称】福島 正憲
(72)【発明者】
【氏名】沼田 健人
(72)【発明者】
【氏名】前田 大輔
【審査官】福間 信子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/022179(WO,A1)
【文献】Analysis of beer carbonyls at the part per billion level by combined liquid chromatography and high pressure liquid chromatograph, Journal of the Institute of Brewing, 1981,vol.87, no.1, p.35-41
【文献】特許庁公報 周知・慣用技術集(香料)第II部 食品用香料 , 2000, p.49
【文献】Evolution of the volatile components of ewes raw milk Zamorano cheese. Seasonal variation, International Dairy Journal, 2004, vol.14, p.701-711
【文献】白カビチーズに特徴的な香り成分とその生成経路, Milk Science, 2010, vol.59, no.3, p.303-307
【文献】Analysis of microvolatiles inbrandy: relationship between methylketone concentration and Cognac age, Journalof the Science of Food and Agriculture, 2003, vol.83 no.11, p.1143-1149
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
C12G
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素数5~11の2-飽和メチルケトンのうち1種もしくは異なる炭素数からなる2種以上が有効成分として含有する炭酸感増強剤。
【請求項2】
請求項1に記載の炭酸感増強剤と、炭酸飲料または炭酸入り食品とを混合する、炭酸飲料または炭酸入り食品の炭酸感を増強させる方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭酸を含む飲食品の炭酸感を増強する炭酸感増強剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、清涼飲料水などを口に含んだ際に清涼感を付加させることを目的として炭酸ガスを溶解させてなる炭酸飲料が製造販売され、広く飲食されている(先行文献1)。
【0003】
また、溶解された炭酸ガスの脱気によって、いわゆる気の抜けた状態となることで炭酸ガスによる刺激が減少することで炭酸感が低下するため、炭酸感を増強させる炭酸感増強剤が発案されている(先行文献2~4)。例えば、特許文献3では、辛味物質を共存させることによって炭酸感を増強させる方法として、炭酸飲料に絡み物質を閾値の1/10以上、閾値未満の濃度で添加する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-173631号公報
【文献】WO2016/043021
【文献】特開2010-068749号公報
【文献】特開2019-062867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、例えば炭酸感を増強させるとされる唐辛子を由来とするカプサイシンには、唐辛子そのものの風味が感じられる呈味が含まれる。また、同じく炭酸感を増強させるとされる胡椒を由来とするピペリンにも胡椒そのものの風味が感じられる呈味が含まれる。そのため、香辛料を由来とする組成物を炭酸感増強の有効成分として用いると、由来とする香辛料の呈味も異味として感じられてしまい、炭酸感のみを増強させようとしても飲料の風味が変化したように感じられてしまう。また、炭酸感を増強させる有効成分となる組成物の分子構造において、炭素原子間に二重結合が含まれると、油っぽさ(ファッティ)感が飲料などを口に含んだ際に異味として感じられてしまう。
【0006】
そのため、もともと辛味成分を含む清涼飲料水などであれば気になることがない従来の炭酸感増強剤を、無味の単なる炭酸水、若しくはレモン風味などの僅かな果実風味を付加した炭酸水などの炭酸感を違和感なく増強させることが難しいという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、上記課題を解決する本発明の要旨は以下のとおりである。
〔1〕 炭素数5~11の2-飽和メチルケトンのうち1種若しくは異なる炭素数からなる2種以上が有効成分として含有する炭酸感増強剤。
〔2〕 〔1〕に記載の炭酸感増強剤を含有してなる炭酸飲料。
〔3〕 〔1〕に記載の炭酸感増強剤を含有してなる炭酸入り食品。
【0008】
本発明に係る炭酸感増強剤を含有してなる飲料としては、炭酸水、炭酸入り清涼飲料水、炭酸入り乳酸飲料、及び炭酸入りアルコール飲料などが挙げられる。また、飲用前においては粉末状であり、飲用時に炭酸水などに溶解させて飲む粉末飲料であっても好ましい。さらに、本発明に係る炭酸感増強剤を含有してなる食品としては、炭酸入りゼリーなどが挙げられ、咀嚼の必要がなく飲料と同様に飲み込むことができる炭酸入り食品であることが好ましい。
【0009】
本発明に係る有効成分は、熟成されたブルーチーズに含まれる香気成分である。ブルーチーズに含まれる香気成分に、炭酸感増強効果があることは、これまでには知られていなかった。発明者は、ブルーチーズの一種であるゴルゴンゾーラピカンテの香気成分分析を行い、得られた香気成分の炭酸感増強効果に対するスクリーニングの結果、本発明を見出した。
【0010】
なお、ゴルゴンゾーラピカンテの香気成分分析は、減圧水蒸気蒸留法によって行った。具体的には、サイコロ状にカットしたサンプル670.9gと、蒸留水約700mLをミキサーで粉砕し、減圧水蒸気蒸留を行った(40℃、10mmHg、消泡剤添加)。得られた留出液を食塩にて飽和後、エーテル抽出を行った。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮し香気濃縮物を得たものをガスクロマトグラフィー(アジレント・テクノロジー株式会社製 Agilent6890N)にて行った。そして得られた分析結果より、本発明の有効成分となる香気成分は、2-ペンタノン、2-ヘキサノン、2-ヘプタノン、2-オクタノン、2-ノナノン、2-デカノン、及び2-ウンデカノンであることを見出した。
【0011】
前述したように、従来の炭酸感増強剤を開発するにあたって通常用いられてきたものは香辛料に由来する辛味成分であった。例えば、唐辛子に含まれるカプサイシンや、胡椒に含まれるピペリン等である。しかし、これらの辛味成分はいずれも呈味物質でもあるため、これらの辛味成分を含有させることによって炭酸感の増強効果は得られる場合があるものの、その辛味成分の由来となる唐辛子や胡椒の呈味まで感じられるため、対象となる飲食品の味に変化を与えてしまう場合が生じるものであった。これに対し、本発明の意外性は、有効成分が従来技術で用いられていた辛味成分ではなく、呈味を備えない香気成分であることにある。本発明の有効成分である2-ペンタノン、2-ヘキサノン、2-ヘプタノン、2-オクタノン、2-ノナノン、2-デカノン、及び2-ウンデカノンは、香気成分を構成する香料化合物として知られているが、炭酸感の増強効果を発揮し得る組成物であることは知られていなかった。なお、前記本発明の有効成分は、公知の方法で合成することもでき、市販されているものを利用することもできる。
【0012】
本発明に係る有効成分が、香料としての香りを付加する効果ではなく、炭酸の泡が舌の痛覚を刺激する作用を補強する効果により、炭酸感を増強させる機能を発揮する成分であることを、発明者が見出したことに本発明の意義がある。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、異味を感じさせることなく炭酸を溶解させた飲食品の炭酸感を増強させることができる。
【0014】
特に、本発明によれば、異味としてのファッティ感を感じさせることがないため、炭酸を含む乳酸飲料や甘味料含有飲料だけでなく、炭酸を含む清涼飲料、単なる炭酸水、及び清涼感のあるアルコール飲料に対しても違和感なく炭酸感の増強効果を発揮することができる。
【実施例
【0015】
以下、本発明に係る炭酸感増強剤の効果について具体的な検討結果を用いて説明する。なお、特に言及がない限り、実施例中における濃度(ppq~ppm、%)は、重量割合を示す。
【0016】
本実施例においては、ブルーチーズ(ゴルゴンゾーラピカンテ)の分析によって得られた2-ペンタノン、2-ヘプタノン、2-オクタノン、2-ノナノン、2-デカノン、及び2-ウンデカノンを、炭酸感の増強効果の評価対象となる炭酸飲料に濃度を変えながら添加したものを被検試料として評価を行った。
【0017】
〔炭酸水に対する炭酸感増強剤の評価〕
炭酸水を用いて、炭酸感増強効果について評価を行った。評価対象とした炭酸水は、水に炭酸を溶解させた無味の市販炭酸水を用いた。被検試料は、表1に示すように、2-ペンタノン、2-ヘプタノン、2-オクタノン、2-ノナノン、2-デカノン、及び2-ウンデカノンから選択した1種を市販炭酸水に添加したものとし、被検試料中において10ppt~10ppmの範囲内で所定の濃度としたものを用いた。炭酸感増強効果の評価にあたり、炭酸感増強剤を滴下しない市販炭酸水をブランクとした。
【0018】
〔評価方法〕
評価は、よく訓練されたパネラー5名がブランク10mlを口に含んで飲み込んだ後、被検試料10mlを口に含んで飲み込み、炭酸の刺激の強さを評価した。評価基準は、市販炭酸水の炭酸の刺激の強さに対して差異なしを-、炭酸感増強効果が認められるものを○、炭酸感増強効果が強く認められるものを◎、有効成分を構成する化合物由来の異味が認められるものを△と評価した。評価結果を表1に示す。
【0019】
【表1】
【0020】
表1の結果から、有効成分の種類によって最も炭酸感増強効果が得られる濃度は異なるものの、2-ペンタノンでは1ppb~1ppmの範囲で、2-ヘプタノンでは10ppb~1ppmの範囲で、2-オクタノンでは100ppt~10ppbの範囲で、2-ノナノンでは100ppt~100ppbの範囲で、2-デカノンでは1ppb~50ppbの範囲で、2-ウンデカノンでは1ppb~50ppbの範囲で炭酸感増強効果を感じることができた。また、これらの炭酸感増強効果を感じることができた範囲においては、無味である炭酸水に対しても異味を感じさせることなく、炭酸感の増強効果を得ることができた。さらに、いずれの有効成分を添加した被検試料においてもファッティ感は感じられなかった。なお、それぞれの有効成分において△の評価以上の濃度を添加した場合には、僅かに有効成分を構成する化合物由来の異味が感じられた。また、2-ヘキサノンは本願出願時において食品添加物用香料として認められていないため表中には示さなかったが、本実施例と同様の評価により、表1の範囲内の濃度、例えば10ppbの濃度において炭酸水に対する炭酸感増強効果を有することは確認された。
【0021】
〔9%アルコール炭酸水に対する炭酸感増強剤の評価〕
次に、9%アルコール炭酸水を用いて、炭酸感増強効果について評価を行った。評価対象とした9%アルコール炭酸水は、ウォッカ(ドーバー酒造株式会社VODKAアルコール分50度)に前記市販炭酸水を混合して、アルコール度数9%としたものを用いた。被検試料は、表2に示すように、2-ペンタノン、2-ヘプタノン、2-オクタノン、2-ノナノン、2-デカノン、及び2-ウンデカノンから選択した1種を9%アルコール炭酸水に添加したものとし、被検試料中において10ppt~10ppmの範囲内で所定の濃度としたものを用いた。炭酸感増強効果の評価にあたり、炭酸感増強剤を滴下しない9%アルコール炭酸水をブランクとした。なお評価は、「炭酸水に対する炭酸感増強剤の評価」における評価方法と同様の方法を用いて行った。
【0022】
【表2】
【0023】
表2の結果から、有効成分の種類によって最も炭酸感増強効果が得られる濃度は異なるものの、2-ペンタノンでは1ppb~50ppb範囲で、2-ヘプタノンでは100ppt~50ppbの範囲で、2-オクタノンでは1ppt~100pptの範囲で、2-ノナノンでは1ppt~1ppbの範囲で、2-デカノンでは10ppt~100pptの範囲で、2-ウンデカノンでは1ppt~100pptの範囲で炭酸感増強効果を感じることができた。また、これらの炭酸感増強効果を感じることができた範囲においては、9%アルコール炭酸水に対しても異味を感じさせることなく、炭酸感の増強効果を得ることができた。さらに、いずれの有効成分を添加した被検試料においてもファッティ感は感じられなかった。なお、それぞれの有効成分において△の評価以上の濃度を添加した場合には、僅かに有効成分を構成する化合物由来の異味が感じられた。また、2-ヘキサノンは本願出願時において食品添加物用香料として正式には認められていないため表中には示さなかったが、本実施例と同様の評価により、表2の範囲内の濃度、例えば1ppbの濃度において9%アルコール炭酸水に対する炭酸感増強効果を有することは確認された。
【0024】
〔水への添加時の炭酸感付与の有無〕
次に、本発明に係る有効成分を水に添加した場合に、炭酸感が付与されるかどうかについて確認を行った。被検試料は、表3に示すように、「炭酸水に対する炭酸感増強剤の評価」で特に炭酸感の増強効果が高かった濃度となるように、2-ペンタノン、2-ヘプタノン、2-オクタノン、2-ノナノン、2-デカノン、及び2-ウンデカノンのうち1種ずつを水に添加したものとした。炭酸感付与の確認にあたり、炭酸感増強剤を滴下しない単なる水をブランクとした。なお評価は、「炭酸水に対する炭酸感増強剤の評価」における評価方法と同様の方法を用いて行った。
【0025】
【表3】
【0026】
表3より、本発明に係る炭酸感増強剤を混合しても、炭酸の含まない飲料には、炭酸感は付与されないことが確認された。本発明に係る炭酸感増強剤は、炭酸感を付与するのではなく、炭酸を含む飲食品の炭酸感を増強する効果を有するものであることが確認された。
【0027】
〔2以上の有効成分を組み合わせた場合の炭酸感増強剤の評価〕
次に、2以上の有効成分を組み合わせて炭酸水に添加した場合の炭酸感増強効果について評価を行った。被検試料は、表4に示すように、「炭酸水に対する炭酸感増強剤の評価」で特に炭酸感の増強効果が高かった濃度となるように、2-ペンタノン(サンプルA)、2-ヘプタノン(サンプルB)、2-オクタノン(サンプルC)、2-ノナノン(サンプルD)、2-デカノン(サンプルE)、及び2-ウンデカノン(サンプルF)を炭酸水に添加したものを作成した。さらに、2-ペンタノンと2-ヘプタノンを組み合わせたサンプルG、2-オクタノン、2-ノナノン、及び2-ウンデカノンを組み合わせたサンプルH、2-ペンタノン、2-ヘプタノン、2-オクタノン、2-ノナノン、及び2-ウンデカノンを組み合わせたサンプルIを、それぞれの被検試料中における有効成分濃度がサンプルA~Fに対応する濃度となるように作成した。炭酸感増強効果の評価にあたり、炭酸感増強剤を滴下しない市販炭酸水をブランクとした。
【0028】
〔評価方法〕
評価は、よく訓練されたパネラー5名がブランク10mlを口に含んで飲み込んだ後、被検試料10mlを口に含んで飲み込み、口に含んだ直後(トップ)に感じる炭酸の刺激の強さ、トップ以後の時間であって炭酸水を舌の上にのせた時に感じる炭酸の刺激の強さ(ミドル)、及びミドル以後の時間であって炭酸水を飲み込む際に下の付け根から喉に差し掛かる際(ラスト)に感じる炭酸の刺激の強さのそれぞれについて評価した。これにより、有効成分ごと、若しくは有効成分の組み合わせによって、飲食品を口に含んだあとの時間の経過に対して感じられる炭酸感増強効果についても評価を行った。
【0029】
評価結果は、ブランクである炭酸水を口に含んで飲み込むまでに感じる炭酸感と比較して、トップ、ミドル、及びラストにおいて炭酸感の増強効果を感じることができたタイミングを記述することによって表4に示した。
【0030】
【表4】
【0031】
表4の結果より、サンプルA~Fのそれぞれにおいて、炭酸感増強効果が得られる一方で、炭酸感増強効果が発揮されるタイミングが異なることが分かった。特に、ブランクに用いた本発明に係る炭酸感増強剤を含まない市販炭酸水は、冷蔵された状態では特に、炭酸感がラスト付近に強く感じられる傾向がある。そのため、例えばサンプルA~Dに係る炭酸感増強剤を含有する炭酸入り飲料とすることで、市販炭酸水では強く感じられないトップからミドルにかけても強い炭酸感を感じることができ、従来よりも炭酸感の持続性が向上した炭酸入り飲料を実現することできる。この効果は9%アルコール炭酸水でも同様に得ることができる。従って、本発明を用いることによって、口に含んで飲み込むまでに対応する炭酸感持続性をも自在にコントロールされた炭酸入り飲料を提供することができる。これにより、これまでにない炭酸飲料の持続性を有するといった市場の多様なニーズに対応することができる。また、この効果は炭酸入り食品においても発揮しうる。
【0032】
また、サンプルEまたはF、若しくは両方を添加することで市販炭酸水本来の炭酸感が感じられるラスト付近の炭酸感を増強させることができるため、炭酸感の持続性に違和感を与えることなく炭酸感が増強された炭酸入り飲料を提供することもできる。なお、この効果は%アルコール炭酸水でも同様に得ることができる。これにより、炭酸飲料に対する炭酸感の持続性に違和感を与えることなく炭酸感を増強させたいなどの、市場の多様なニーズに対応することができる。また、この効果は炭酸入り食品においても発揮しうる。
【0033】
さらに、添加される有効成分が1種のみである場合、有効成分が一定濃度以上であると僅かに化合物由来の異味が感じられるが、サンプルG~Hのように炭酸感増強効果が発揮されるタイミングの異なる有効成分を組み合わせることで、1種のみでは有効成分を構成する化合物由来の異味が感じられる高い濃度を添加しても、そのような異味が感じられることを回避することができる。さらに、いずれの有効成分を添加した被検試料においてもファッティ感は感じられなかった。また、複数の有効成分を組み合わせることで、トップ~ミドル、又はトップ~ラストにかけてなど、飲料が口の内面に触れている間、1種のみよりも長い時間において炭酸感増強効果を持続させることができるため、より自然な炭酸感を与えることができる。
【0034】
そして、有効成分を組み合わせたサンプルG~Iにおいては、各有効成分が発揮し難い炭酸感増強効果のタイミングを補強し合う効果によって、炭酸を含む飲食品の炭酸感増強効果の持続性を高める効果が得られることが分かった。