(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-28
(45)【発行日】2022-02-07
(54)【発明の名称】巻き付け式ロープ仮止め具
(51)【国際特許分類】
B60P 7/06 20060101AFI20220131BHJP
【FI】
B60P7/06 A
(21)【出願番号】P 2021154824
(22)【出願日】2021-09-22
【審査請求日】2021-12-04
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】309016533
【氏名又は名称】株式会社オクト工業
(74)【代理人】
【識別番号】100103986
【氏名又は名称】花田 久丸
(72)【発明者】
【氏名】吉田 裕一
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-238294(JP,A)
【文献】特開2021-4087(JP,A)
【文献】特開2011-102045(JP,A)
【文献】実公平6-7001(JP,Y2)
【文献】実公昭63-47557(JP,Y2)
【文献】登録実用新案第3075584(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60P 7/06
B65D 63/10
F16B 2/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロープの一端に具備する輪状部を車両のロープフックに安定的に係合保持するために用いるロープ仮止め具において;
ロープに直接巻き付けるベルト状の巻き付け帯(10)と、
巻き付け帯(10)の内側に装着した難滑面であって、巻き付けられたロープの表面に対して滑り難い難滑面(11)と、
ロープに密着させて巻き付けた巻き付け帯(10)を巻き付け固定する巻き付け固定部(12)と、
巻き付け帯(10)の外側に装着した磁着用磁石であって、巻き付け固定部(12)で巻き付け固定した巻き付け帯(10)をトラックの「あおり」またはトラック荷台の鉄製床枠に磁着固定させる磁着用磁石(13)、とで構成したことを特徴とする巻き付け式ロープ仮止め具(1)。
【請求項2】
前記難滑面(11)が、マジックテープ、合成ゴム、シリコンゴム、天然ゴム、各種滑り止めマット素材、ポリウレタン製のシート素材、各種の滑り止め塗料、PVC(ポリ塩化ビニル)マット素材、のいずれかで構成したことを特徴とする請求項1記載の巻き付け式ロープ仮止め具(1)。
【請求項3】
前記磁着用磁石(13)に加え、または前記磁着用磁石(13)の代わりに、前記巻き付け帯(10)の上部端に装着したフック(14)、とで構成したことを特徴とする請求項1記載の巻き付け式ロープ仮止め具(1)。
【請求項4】
前記ベルト状の巻き付け帯(10)に巻き付けるロープが、繊維ロープ、金属ワイヤーロープ、あるいはラッシングベルトであることを特徴とする請求項1記載の巻き付け式ロープ仮止め具(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラック等の車両に積載した荷物に1人でロープ掛け作業をする際に、ロープフックに掛けたロープ輪状部がロープフックから外れないように仮止めするロープ仮止め具に関する。なお以下の記述で「ロープ」とは、断面形状が円形の繊維ロープのみならず、金属ワイヤーロープ、さらに断面形状が扁平形状のラッシングベルト等、全ての結束用ロープとベルトを含むものと定義する。
【背景技術】
【0002】
トラック荷台に積荷を固定する方法としてロープによる固定法が多用されている。この積荷へのロープ掛け作業とは、ロープの一端に設けた輪状部(金属フックを含む)を荷台側縁下部に設けられたロープフックに掛けた後に、ロープを積荷の上に渡して他端を荷台反対側に投げ、この投げたロープをその荷台反対側のロープフックに掛けて固定する作業を指称する。
【0003】
このロープ掛け作業を2人でトラックの両側から行う場合は、そのうちの一人がロープの輪状部を保持すれば、ロープフックから外れることもないためその作業は比較的容易ではあるが、多くの場合は1人で行なわれる。この場合、その1人のロープ掛け作業者は、ロープの一端に設けられた輪状部を荷台片側のロープフックに掛けた状態で、ロープを荷台反対側に投げてから荷台反対側に回る。ところが、ロープフックの多くは荷台側縁下部から垂直下方へ伸びてから荷台中央方向に、やや湾曲する単純な形状となっているため、ロープ掛け作業者が荷台の反対側に回っている間にロープが少し下方にずれただけで輪状部がロープフックから外れてしまうことが頻発する。もっともこのロープの外れを防ぐために輪状部を紐等でロープフックに縛っておけばよいが、縛ったり解いたりするのは作業効率が悪い。特に複数本のロープを同時に使用してロープ掛け作業を行う大型トラックの場合には、このロープの外れを防止することが現場では必要となる。また金属ワイヤーロープの場合は、輪状部が繊維ロープと比較して重量もあるため車両のロープフックから外れ易い。更にまたラッシングベルトの場合にも、フック部が金属製のため重く、ロープ掛け作業者が引っ張っていないとロープフックから容易に外れてしまうという問題がある。
【0004】
こうしたロープ掛け現場での問題解決策として、ロープを「あおり」に仮止めしておく種々の器具が提案されている。なおここで指称する「あおり」とは、荷室架装のないトラックの荷台外周の囲いのことであり、下部に取付けた複数個の蝶番で外側に開くものである。語源としてこの「あおり」は馬具より転じたもので、漢字では泥障と表記される。まず特許文献1として実案公告昭63-47557には、
図7(A)に示すように、所定の長さを有する弾性体101と、この弾性体の下端に設けられトラック荷台のロープ係止用突起に係止せしめる盤体状の係止板102と、弾性体の上端に設けられトラックのあおり上端縁に係止せしめる二股状のフック103とから成ることを特徴とするトラック用ロープ仮止具100が開示されている。
【0005】
しかしながらこの構成では、
図7(B)に示すように、係止板102がロープ係止用突起にロープの先端に設けられた輪状部を押え込むため、1人でトラック荷台の両側でロープ掛け作業を容易に行うことが可能となる反面、ロープ本体とは完全に別器具であり、ロープを使用しない場合にはこのトラック用ロープ仮止具100はロープとは別に保管する必要がある。このためロープ掛け作業を行う際には、別に保管されたロープ仮止具100を準備する必要がある等、使い勝手が悪いという不具合を有する。
【0006】
また特許文献2として実公平06-7001号公報には、
図8(A)に示すように、トラックのあおり側面に磁着させる磁着体201とその磁着体201を抱持する抱持体202とからなるロープ仮止め具200が開示されている。すなわちこのロープ仮止め具200では、磁着体201は磁石203とその磁石203を包む磁石カバー204とからなり、磁石カバー204のあおり当接面にはロープを通す固定溝205が設けられ、その固定溝205の両側に磁石203が配してある。一方、抱持体202は手指の形に模して形成されている。使用する際はロープ輪状部をトラック荷台のロープ係止用突起に係止させ、ロープをあおり側面に沿って持ち上げ、ロープ輪状部の係止状態を維持させたまま固定溝205内にロープを通して磁着体201をあおり側面に磁着させる。次に、
図8(B)に示すようにロープ上端部を手指の形に模した抱持体202の2本の指の間に強制的に差し込んで仮止めを行なうものである。
【0007】
しかしながら、このロープ仮止め具200の場合、ロープ他端側を荷台反対側に投げた際や積荷に渡したロープを締め付け操作している間に、ロープが2本の指の間から外れることがある。また、ロープの太さが固定溝のサイズに比べて細い場合には、ロープが下がってロープ係止用突起からロープ輪状部が外れてしまう問題がある。また、このロープ仮止め具の場合は磁石を用いているため、アルミ製のあおりには使用できない問題もあった。
【0008】
更に特許文献3として特開2011-102045号公報には、
図9(A)に示すように、ロープフックに掛けたロープ輪状部を下側から持ち上げる状態でロープフックに掛けられる穴付き支持片310と、該穴付き支持片を紐311で吊り下げた状態であおりに磁石で仮止めされる仮止め具320で構成したロープ仮止め具300Aが開示されている。そしてこの仮止め具320は、片面に把手321を取り付けた板状体322と、磁石323を内包する2列の直方体状の磁石保持体324で構成されている。この磁石保持体324は板状体322における把手321とは反対面にロープを通す間隔を隔てて平行に取り付けられている。また紐311の仮止め具320側の端は、把手321又は板状体322に固定されている。また更に他の実施例として
図9(B)に示すように、板状体322をあおりに仮止めした状態で上部となる端面部に、水平軸周りに傾動可能に取り付けた二股状フック330を有するロープ仮止め具300Bが開示されている。この構成では仮止め具320をトラックのあおりに磁着させた後に、ロープフックに掛けられる穴付き支持片310によりロープ輪状部がロープフックに直接下から上へ持ち上げるように保持されるため、このロープ輪状部をロープフックへ確実に係合保持させることが可能となる。従って1人のロープ掛け作業者が、トラックの右側と左側に交互に回り込みながらロープをロープフックに掛ける場合にも、ロープ輪状部がロープフックから外れることなく効率的なロープ掛け作業を行うことが出来るという利点を有する。
【0009】
しかしながらこれ等のロープ仮止め具300A、300Bは不可避的に外形が大きく、かつ可成り重くなる欠点を有する。更に特に大型トラックの場合のロープ掛け作業では、複数個所のロープフックへ複数のロープ輪状部を同時に掛ける作業もあり、この場合には外形が大きくかつ可成り重い複数個のロープ仮止め具300A、300Bが必要になる欠点を有する。すなわちこのロープ仮止め具300A、300Bは本来的なロープ掛け作業と比較して、オーバースペックの感が否めないという欠点を有する。換言すれば現実の市場では、より簡便かつ軽量小型なロープ仮止め具が要望されている。
【0010】
また市販品の簡便なロープ仮止め具として、
図10に示すようなゴム製のベルトフック外れ止めホルダー400が公開されている。これは(A)の図中左側の星状部分を、(B)に示すようにラッシングベルトの輪状部を係合させたロープフックの下から挿入保持させることで、輪状部がベルトフックから外れるのを防止している。しかしながらこの構成の星状部分で、金属ワイヤーロープ等の比較的重い輪状部をロープフックに十分保持することは出来ず、従って現場レベルでは必ずしも全ての種類のロープに対応することは出来ないという問題点を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】実案公告昭63-47557号公報
【文献】実公平06-7001号公報
【文献】特開2011-102045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
解決しようとする問題点は、トラック等のロープ掛け作業で使用する簡便安価かつ軽量小型なロープ仮止め具が存在しない点である。すなわち従来例に係るロープ仮止め具は、ロープ輪状部をトラックのロープフックに安定的に係合保持する目的のために、その都度、ロープとは別個に保管されたロープ仮止め具を準備しなければならない。しかしながらトラックへの荷積み現場では、ロープとは別に保管した必要数のロープ仮止め具を、ロープ掛け作業時に、いちいち準備するのは煩雑であるという不具合が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願発明は、ロープ輪状部をロープフックに安定的に係合保持するために、複数本のロープ毎にロープ本体に巻き付け保管できる巻き付け式ロープ仮止め具を開示する。すなわちロープ掛け作業者1人でロープ輪状部をトラック荷台のロープフックに掛けて積載貨物にロープ掛け作業を行う際に使用する本願発明に係る巻き付け式ロープ仮止め具は、直接ロープに巻き付けるベルト状の「巻き付け帯」を具備している。この「巻き付け帯」は、例えばマジックテープ(登録商標)で、ロープに巻き付け固定される。そしてこのロープに巻き付けた「巻き付け帯」の外側には磁石を有し、かつ本願発明ではロープに密着する「巻き付け帯」の内側には、ロープに対して「巻き付け帯」が滑り難い様に「難滑面」を有していることが特徴である。この難滑面により、巻き付け帯の内部でロープが滑ることなく確実にロープを保持できるため、ロープが下方へずり落ちることなく、従ってロープフックから外れることを確実に防止することが出来る。そしてこの直接ロープに巻き付けた本願発明に係る巻き付け式ロープ仮止め具は、トラック等の「あおり」に磁着固定することで、ロープの輪状部をロープフックに確実に係合保持することが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
従来のロープ仮止め具が使用する毎にロープに取付けたり取外したりする構成に対し、本願発明に係る巻き付け式ロープ仮止め具は簡素な構成であるため、ロープに巻いたままで装着保管が可能となり、ロープ仮止め具の管理が極めて簡便となる利点を有する。また上述の様に、巻き付け式ロープ仮止め具のロープに接する内側には、「難滑面」を有しているため確実にロープを保持することが可能となる。更にまたこの巻き付け式ロープ仮止め具は、ロープを直接巻き付けて保持するため、ロープの断面形状や太さ等に制限されず、確実にロープを保持することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1(A)は本願発明に係る巻き付け式ロープ仮止め具の外側を示す斜視図であり、(B)は巻き付け式ロープ仮止め具の内側を示す斜視図である。(実施例1)
【
図2】
図2は巻き付け固定部をホックで構成した本願発明に係る巻き付け式ロープ仮止め具を示す斜視図である。
【
図3】
図3は磁着用磁石に加え、更にフックを追加した本願発明に係る巻き付け式ロープ仮止め具を示す斜視図である。(実施例2)
【
図4】
図4は
図1の本願発明に係る巻き付け式ロープ仮止め具を、実際に断面形状が円形ロープに巻き付けた時の斜視図である。
【
図5】
図5(A)は「巻き付け帯」の内側に、巻き付け固定部としてマジックテープのル-プ面とフック面を装着した構成を示す写真と、(B)、(C)は実際にあおり側面に磁着させた状態を示す写真である。
【
図6】
図6(A)は
図1の本願発明に係る巻き付け式ロープ仮止め具を、断面形状が扁平形状のラッシングベルトに装着する構成を示す写真と、(B)は実際にあおり側面に磁着させた状態を示す写真である。
【
図7】
図7は従来例に係るロープ仮止め具を示す斜視図である。
【
図8】
図8は従来例に係る他のロープ仮止め具を示す斜視図である。
【
図9】
図9は従来例に係る他のロープ仮止め具を示す斜視図である
【
図10】
図10は市販のロープ仮止め具の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ロープ輪状部をロープフックに安定的に係合保持するという目的を、最小限の部材点数で実現した。すなわちロープ輪状部をロープフックに係合させた後に、本願発明に係る巻き付け式ロープ仮止め具を直接ロープに巻き付けてから上方へ引っ張りながら、巻き付けたロープ仮止め具の外側に取付けた磁着用磁石をトラックの「あおり」側部に磁着して固定するか、またはフックを「あおり」上端に掛けて、この巻き付け式ロープ仮止め具を巻き付けたロープのロープ輪状部を、ロープフックに固定する。これによりロープ輪状部はロープフックから外れず、従ってロープ掛け作業者は、1人で荷台の反対側に回りロープ他端を反対側のロープフックに効率よく掛けられることを実現した。
【0017】
図1(A)は、本願発明の実施例1に係る巻き付け式ロープ仮止め具(1)の外側を示す斜視図であり、
図1(B)は内側を示す斜視図である。まずロープに直接巻き付ける巻き付け帯(10)は、例えば柔軟性のある化学繊維製である。また伸縮可能な化学繊維製としてもよい。この巻き付け帯(10)の横幅は太さが異なる各種のロープを十分に巻き付けられるサイズであり、縦長は重さが異なる繊維ロープや金属ワイヤーロープを十分に保持可能なサイズである。
【0018】
巻き付け帯(10)の内側は、巻き付けたロープと強く密着させた時に、ロープの表面に対して滑り難い難滑面(11)を有している点が特徴である。この難滑面(11)は、巻き付けるロープの軽重に依っても異なるが、軽量な繊維ロープであればマジックテープ(登録商標)等の凹凸面を有した素材を使用してもよい。また金属ワイヤーロープの様な比較的重量ロープであれば、この難滑面(11)を合成ゴム、シリコンゴム、天然ゴム、各種滑り止めマット素材、ポリウレタン製のシート素材、各種の滑り止め塗料、PVC(ポリ塩化ビニル)マット素材、等々の従来例に係る滑り止め素材を用いてもよい。これ等の難滑面(11)を構成する素材については、従来例に係る全ての滑り止め素材から適宜選択使用すれば良いため詳述は割愛する。
【0019】
また巻き付け帯(10)には、ロープを巻き付けて安定的に固定するための巻き付け固定部(12)を有している。この巻き付け固定部(12)は、例えばマジックテープであれば細かいカギ状になっているフック面である巻き付け固定部a(12a)と、小さなループがびっしり並んだル-プ面である巻き付け固定部b(12b)の2枚1組を、各々巻き付け帯(10)の例えば
図1(B)に示すように内側と外側の一部に装着することで構成される。そしてこの巻き付け固定部(12)により、ロープ掛け作業者が簡便に巻き付け式ロープ仮止め具(1)をロープに密着固定させる。なおこの巻き付け固定部(12)は、マジックテープに限定する趣旨ではなく、他の固定手段としては例えば
図2に示すようにホックや、図示しないが紐で結ぶ等々の従来部材から適宜選択すればよい。
【0020】
図1(A)に戻って本願発明に係る巻き付け式ロープ仮止め具(1)の巻き付け帯(10)の外側には、更に、ロープを巻き付けた後にトラック荷台側面の「あおり」に磁着固定する磁着用磁石(13)を有している。この磁着用磁石(13)のサイズは、トラックのロープフックへ掛けたロープの輪状部が外れない様に十分な磁着固定力があるようなサイズとする。磁着用磁石(13)は荷台側面の「あおり」に磁着させたり、或いは「あおり」が磁着しないアルミ等の素材である場合は、「あおり」のヒンジを取り付けるトラック荷台の鉄製床枠に磁着させてもよい。なお大型の金属ワイヤーロープ等が使用され、仮止めするロープ自体が重いため磁着力だけでは不十分な場合や、「あおり」が磁着しないアルミ製の場合を考慮して、
図3に示すように巻き付け帯(10)の上部に更にフック(14)を設けて、このフック(14)を「あおり」上端部に掛けるようにして固定してもよい(実施例2)。なお車両によりロープフックから「あおり」上端部までの長さは当然異なるため、その長さに応じて巻き付け式ロープ仮止め具(1)をロープに巻き付ける位置を上下方向に適宜調整すればよい。従って従来技術、例えば
図7(A)に示す弾性体(101)等を必要としない利点を有する。
【0021】
図4は、実際にロープに巻き付けた時の巻き付け式ロープ仮止め具(1)を示す斜視図である。まずロープ輪状部をトラック荷台のロープフックへ掛けた後に、ロープ掛け作業者がロープを上方に引っ張り、その位置で巻き付け式ロープ仮止め具(1)をロープ本体へ強く巻き付けて、巻き付け固定部(12)で直接ロープへ固定する。そして磁着用磁石(13)をトラックの「あおり」へ磁着させることで、ロープ輪状部をロープフックに安定的に係合保持させる。
【0022】
図5は、(A))は「巻き付け帯」(10)の内側に、巻き付け固定部としてマジックテープのル-プ面とフック面を装着した構成を示す写真と、(B)、(C)は実際にあおり側面に磁着させた状態を示す写真である。この例でも「巻き付け帯」(10)の外側中央に装着された磁着用磁石(13)により、本願発明に係る巻き付け式ロープ仮止め具(1)を「あおり」に安定的に磁着させることが可能である。この様に巻き付け式ロープ仮止め具(1)は簡素な構成であるため、従来例に係る仮止め具と異なり、トラックに積載するロープ毎に装着したままで済み、使い勝手が極めて良い利点を有する。
【0023】
図6(A)は
図1の本願発明に係る巻き付け式ロープ仮止め具(1)を、断面形状が扁平形状のラッシングベルトに装着する構成を示す写真と、(B)は実際にあおり側面に磁着させた状態を示す写真である。当然ではあるが巻き付け式ロープ仮止め具(1)の巻き付け帯(10)の内側には、ロープ表面に対し滑り難い難滑面(11)を有するため、ラッシングベルトに対しても滑り難く、従って強く密着するため、その輪状部がロープフックから外れことを防止する効果を有する。
【0024】
なおこの巻き付け式ロープ仮止め具(1)は上述の様にロープへ直接巻き付ける構成であり、従来のロープ仮止め具とは異なり、仮止め具を使用する毎に取付けたり、あるいは取外したりする必要はなく、ロープへ巻き付けたままで保管可能である。このためこの巻き付け式ロープ仮止め具(1)を紛失することもなく、また安価であるため、複数本のロープ毎に、全て予め装着しておくことも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本願発明に係る巻き付け式ロープ仮止め具(1)は、従来例に係る構成と比較して、構成する部品点数が少なく、極めて簡素な構成であるため安価であり、従って多くの量販店で量販品として販売可能であるという利点を有する。更に巻き付け式ロープ仮止め具(1)は、複数本のロープ毎に予め装着しておくことも容易であり、従来例とは異なり、仮止め具の保管管理が不必要であるため現場レベルでの利便性が高いという利点を有する。
【符号の説明】
【0026】
1 巻き付け式ロープ仮止め具
10 巻き付け帯
11 難滑面
12 巻き付け固定部
13 磁着用磁石
14 フック
【要約】
【課題】トラック等のロープ掛け作業で使用する簡便安価かつ軽量小型なロープ仮止め具であって、この本願発明に係るロープ仮止め具をロープに巻いたままで保管可能とする。
【解決手段】 このロープ仮止め具(1)は、ロープに直接巻き付けるベルト状の巻き付け帯(10)と、巻き付け帯(10)の内側に装着した難滑面であって、巻き付けられたロープの表面に対して滑り難い難滑面(11)と、ロープに密着させて巻き付けた巻き付け帯(10)を巻き付け固定する巻き付け固定部(12)と、そして巻き付け帯(10)の外側に装着した磁着用磁石であって、巻き付け固定部(12)で巻き付け固定した巻き付け帯(10)をトラックの「あおり」またはトラック荷台の鉄製床枠に磁着固定させる磁着用磁石(13)、とで構成したことを特徴とする。
【選択図】
図1