(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-28
(45)【発行日】2022-02-07
(54)【発明の名称】四重極型加速器及び四重極型加速器の製造方法
(51)【国際特許分類】
H05H 9/00 20060101AFI20220131BHJP
【FI】
H05H9/00 B
H05H9/00 D
(21)【出願番号】P 2021165816
(22)【出願日】2021-10-07
【審査請求日】2021-10-08
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】508323311
【氏名又は名称】タイム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100194478
【氏名又は名称】松本 文彦
(74)【代理人】
【識別番号】100187838
【氏名又は名称】黒住 智彦
(72)【発明者】
【氏名】山内 英明
(72)【発明者】
【氏名】舛岡 優史
【審査官】藤本 加代子
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-086494(JP,A)
【文献】特開2011-086498(JP,A)
【文献】特開平4-92400(JP,A)
【文献】特開平10-41100(JP,A)
【文献】特開2000-306698(JP,A)
【文献】特開平5-82297(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0238408(US,A1)
【文献】米国特許第4949047(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 3/00-15/00
JSTPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
四重極型加速器であって、
中央部材と、
前記中央部材のうち一方の側に固定される第一側方部材と、
前記中央部材のうち他方の側に固定される第二側方部材と、
を備え、
前記中央部材は、
中央外枠部と、
前記中央外枠部から内側に向かって突出する第一電極と、
前記中央外枠部から内側に向かって突出する第二電極と、
を有し、
前記第一側方部材は、
第一側方外枠部と、
前記第一側方外枠部から外側に向かって延びる第一壁部と、
前記第一壁部から内側に向かって突出する第三電極と、
を有し、
前記第二側方部材は、
第二側方外枠部と、
前記第二側方外枠部から外側に向かって延びる第二壁部と、
前記第二壁部から内側に向かって突出する第四電極と、
を有し、
前記中央部材は、一つの部材から一体的に形成され、
前記第一側方部材は、一つの部材から一体的に形成され、
前記第二側方部材は、一つの部材から一体的に形成され、
前記第一側方外枠部は、固定部材によって前記中央外枠部の一方の側に固定され、
前記第二側方外枠部は、固定部材によって前記中央外枠部の他方の側に固定され、
前記第一壁部と前記第一電極と前記第三電極とによって囲まれた空間には、荷電粒子の加速軸方向に長尺な筒状の第一中空筒が形成され、
前記第一壁部と前記第三電極と前記第二電極とによって囲まれた空間には、前記加速軸方向に長尺な筒状の第二中空筒が形成され、
前記第二壁部と前記第二電極と前記第四電極とによって囲まれた空間には、前記加速軸方向に長尺な筒状の第三中空筒が形成され、
前記第二壁部と前記第四電極と前記第一電極とによって囲まれた空間には、前記加速軸方向に長尺な筒状の第四中空筒が形成され、
前記第一壁部のうち前記第一中空筒の一部を形成する内面には、第一切削面が設けられ、
前記第一壁部のうち前記第二中空筒の一部を形成する内面には、第二切削面が設けられ、
前記第二壁部のうち前記第三中空筒の一部を形成する内面には、第三切削面が設けられ、
前記第二壁部のうち前記第四中空筒の一部を形成する内面には、第四切削面が設けられ、
前記第一切削面、前記第二切削面、前記第三切削面及び前記第四切削面を切削する前の共振周波数は、電源から供給される高周波電力の周波数よりも高いことを特徴とする四重極型加速器。
【請求項2】
前記第一切削面、前記第二切削面、前記第三切削面及び前記第四切削面は、いずれも、前記加速軸方向に関して複数のセクションに分割されていることを特徴とする請求項1に記載の四重極型加速器。
【請求項3】
中央部材と、
前記中央部材のうち一方の側に固定される第一側方部材と、
前記中央部材のうち他方の側に固定される第二側方部材と、
を備え、
前記中央部材は、
中央外枠部と、
前記中央外枠部から内側に向かって突出する第一電極と、
前記中央外枠部から内側に向かって突出する第二電極と、
を有し、
前記第一側方部材は、
第一側方外枠部と、
前記第一側方外枠部から外側に向かって延びる第一壁部と、
前記第一壁部から内側に向かって突出する第三電極と、
を有し、
前記第二側方部材は、
第二側方外枠部と、
前記第二側方外枠部から外側に向かって延びる第二壁部と、
前記第二壁部から内側に向かって突出する第四電極と、
を有し、
前記中央部材は、一つの部材から一体的に形成され、
前記第一側方部材は、一つの部材から一体的に形成され、
前記第二側方部材は、一つの部材から一体的に形成され、
前記第一側方外枠部は、固定部材によって前記中央外枠部の一方の側に固定され、
前記第二側方外枠部は、固定部材によって前記中央外枠部の他方の側に固定され、
前記第一壁部と前記第一電極と前記第三電極とによって囲まれた空間には、荷電粒子の加速軸方向に長尺な筒状の第一中空筒が形成され、
前記第一壁部と前記第三電極と前記第二電極とによって囲まれた空間には、前記加速軸方向に長尺な筒状の第二中空筒が形成され、
前記第二壁部と前記第二電極と前記第四電極とによって囲まれた空間には、前記加速軸方向に長尺な筒状の第三中空筒が形成され、
前記第二壁部と前記第四電極と前記第一電極とによって囲まれた空間には、前記加速軸方向に長尺な筒状の第四中空筒が形成され、
前記第一壁部のうち前記第一中空筒の一部を形成する内面には、第一切削面が設けられ、
前記第一壁部のうち前記第二中空筒の一部を形成する内面には、第二切削面が設けられ、
前記第二壁部のうち前記第三中空筒の一部を形成する内面には、第三切削面が設けられ、
前記第二壁部のうち前記第四中空筒の一部を形成する内面には、第四切削面が設けられ、
前記第一切削面、前記第二切削面、前記第三切削面及び前記第四切削面を切削する前の共振周波数は、電源から供給される高周波電力の周波数よりも高い四重極型加速器の製造方法であって、
a)前記中央部材に前記第一側方部材及び前記第二側方部材を固定して前記四重極型加速器を組み立て、共振周波数及び電界強度を計測するステップと、
b)計測された前記共振周波数及び前記電界強度に基づいて、前記第一切削面の切削量と前記第二切削面の切削量と前記第三切削面の切削量と前記第四切削面の切削量とを決定するステップと、
c)前記四重極型加速器を分解し、前記ステップb)で決定した各切削量に応じて前記第一切削面、前記第二切削面、前記第三切削面及び前記第四切削面をそれぞれ切削するステップと、
d)前記四重極型加速器を再度組み立て、前記共振周波数及び前記電界強度を再度計測するステップと、
e)計測された前記共振周波数及び前記電界強度に基づく電場分布が完了条件を満たすか否かを判断するステップと、
f)前記ステップe)で前記完了条件を満たさないと判断された場合には前記ステップb)から前記ステップe)の処理を繰り返し、
g)前記ステップe)で前記完了条件を満たすと判断された場合には処理を終了することを特徴とする四重極型加速器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、四重極型加速器及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高周波加速器として4つの電極を備えた四重極型加速器が知られている。四重極型加速器において、4つの電極は互いに対向する対を2つ形成する。各電極の先端には、加速軸方向において荷電粒子の加速に適した波形の端部が形成されている。各電極の先端に囲まれる空間には、荷電粒子の加速および集束のための電場が形成される。当該空間に荷電粒子を入射することにより荷電粒子が加速される。
【0003】
例えば、特許文献1では、第1の電極(21)、第2の電極(22)、第3の電極(23)および第4の電極(24)を備えた四重極型加速器が開示されている。4つの電極(21~24)は、筒状部(2)を構成する部材と一体的に形成されている。また、4つの電極(21~24)は、断面形状の三角形の頂点が荷電粒子の加速軸に向かうように形成されている。それぞれの電極(21~24)の加速軸に向かう先端部分は、加速軸方向に荷電粒子を加速および集束する電場を形成するために、波形の端部が形成されている。
【0004】
ところで、高周波加速器において荷電粒子を所望のエネルギーまで加速させるためには、高周波加速器内の共振周波数を、高周波加速器に供給される高周波電力の周波数(以下、単に「供給周波数」とも称する)に近づける必要がある。
【0005】
そのため、特許文献1を含む従来型の高周波加速器では、専用のチューナーを用いて共振周波数を供給周波数に近づける調整(チューニング)を行っていた。具体的には、従来型の高周波加速器では組み立て後の初期状態において、高周波加速器内の共振周波数が意図的に低く設定されている。そのため、従来型では、組み立て後の高周波加速器にチューナーを装着し、当該チューナーを操作することで共振周波数を徐々に高くすることで高周波加速器内の共振周波数を供給周波数に近づけていた。
【0006】
具体的には、
図13に示すように、チューナーTNは、従来型の高周波加速器の側面に形成されたチューナーポート(図示せず)を介して装着される。
【0007】
図14に示すように、チューナーTNは、高周波加速器の内部空間に挿脱可能な銅製の円柱部CRを備えている。円柱部CRが高周波加速器の内部空間に突出すると、内部空間の体積が減少する。高周波加速器の内部空間の体積が減少すると、高周波加速器内の共振周波数は高くなるため、高周波加速器内の共振周波数を供給周波数に近づけることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、
図13及び
図14に示すチューナーTNを用いた高周波加速器内の共振周波数の調整(従来のチューニング手法)には、以下に述べるような問題がある。
【0010】
まず、チューナーTNの円柱部CRの一部が高周波加速器の内部空間に突き出すため、当該円柱部が電気抵抗になる。電気抵抗が大きいほど消費電力も大きくなるため、Q値(加速器の運転時に内部空間に蓄えられているエネルギーを消費エネルギーで除算した値)が低下するという問題がある。Q値が大きいほど単位エネルギーあたりの稼働時間が長くなり、運転効率に優れる。よって、Q値の低下は好ましくない。また、消費電力が大きくなると、高周波加速器内の温度も上昇するため、金属膨張によって体積が変化するという問題もある。
【0011】
また、高周波加速器の運転中にチューナーTNの円柱部CRを高周波加速器の内部空間に対して出し入れすると、高い頻度でマルチパクティングが発生するという問題がある。マルチパクティングが発生すると、真空状態に悪影響を及ぼしたり、高周波加速器内の状況が急激に変化したりするため、荷電粒子の加速に悪影響を及ぼす。
【0012】
更に、チューナーTNの円柱部CRは金属製であるため、円柱部CRを頻繁に出し入れすると、RFコンタクトと円柱部CRとの間に摩擦が生じ、金属粉が高周波加速器の内部空間に堆積するという問題がある。高周波加速器の内部空間に金属粉が堆積すると、放電などによって高周波加速器の稼働に支障をきたす。
【0013】
そこで、本発明は、チューナーを用いることなく高周波加速器内の共振周波数を所望の周波数に調整することが可能な四重極型加速器及びそれに関連する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本発明は、四重極型加速器であって、中央部材と、前記中央部材のうち一方の側に固定される第一側方部材と、前記中央部材のうち他方の側に固定される第二側方部材と、を備え、前記中央部材は、中央外枠部と、前記中央外枠部から内側に向かって突出する第一電極と、前記中央外枠部から内側に向かって突出する第二電極と、を有し、前記第一側方部材は、第一側方外枠部と、前記第一側方外枠部から外側に向かって延びる第一壁部と、前記第一壁部から内側に向かって突出する第三電極と、を有し、前記第二側方部材は、第二側方外枠部と、前記第二側方外枠部から外側に向かって延びる第二壁部と、前記第二壁部から内側に向かって突出する第四電極と、を有し、前記中央部材は、一つの部材から一体的に形成され、前記第一側方部材は、一つの部材から一体的に形成され、前記第二側方部材は、一つの部材から一体的に形成され、前記第一側方外枠部は、固定部材によって前記中央外枠部の一方の側に固定され、前記第二側方外枠部は、固定部材によって前記中央外枠部の他方の側に固定され、前記第一壁部と前記第一電極と前記第三電極とによって囲まれた空間には、荷電粒子の加速軸方向に長尺な筒状の第一中空筒が形成され、前記第一壁部と前記第三電極と前記第二電極とによって囲まれた空間には、前記加速軸方向に長尺な筒状の第二中空筒が形成され、前記第二壁部と前記第二電極と前記第四電極とによって囲まれた空間には、前記加速軸方向に長尺な筒状の第三中空筒が形成され、前記第二壁部と前記第四電極と前記第一電極とによって囲まれた空間には、前記加速軸方向に長尺な筒状の第四中空筒が形成され、前記第一壁部のうち前記第一中空筒の一部を形成する内面には、第一切削面が設けられ、前記第一壁部のうち前記第二中空筒の一部を形成する内面には、第二切削面が設けられ、前記第二壁部のうち前記第三中空筒の一部を形成する内面には、第三切削面が設けられ、前記第二壁部のうち前記第四中空筒の一部を形成する内面には、第四切削面が設けられ、前記第一切削面、前記第二切削面、前記第三切削面及び前記第四切削面を切削する前の共振周波数は、電源から供給される高周波電力の周波数よりも高いことを特徴とする四重極型加速器を提供している。
【0015】
ここで、前記第一切削面、前記第二切削面、前記第三切削面及び前記第四切削面は、いずれも、前記加速軸方向に関して複数のセクションに分割されているのが好ましい。
【0016】
また、本発明は、四重極型加速器であって、中央部材と、前記中央部材のうち一方の側に固定される第一側方部材と、前記中央部材のうち他方の側に固定される第二側方部材と、を備え、前記中央部材は、中央外枠部と、前記中央外枠部から内側に向かって突出する第一電極と、前記中央外枠部から内側に向かって突出する第二電極と、を有し、前記第一側方部材は、第一側方外枠部と、前記第一側方外枠部から外側に向かって延びる第一壁部と、前記第一壁部から内側に向かって突出する第三電極と、を有し、前記第二側方部材は、第二側方外枠部と、前記第二側方外枠部から外側に向かって延びる第二壁部と、前記第二壁部から内側に向かって突出する第四電極と、を有し、前記中央部材は、一つの部材から一体的に形成され、前記第一側方部材は、一つの部材から一体的に形成され、前記第二側方部材は、一つの部材から一体的に形成され、前記第一側方外枠部は、固定部材によって前記中央外枠部の一方の側に固定され、前記第二側方外枠部は、固定部材によって前記中央外枠部の他方の側に固定され、前記第一壁部と前記第一電極と前記第三電極とによって囲まれた空間には、荷電粒子の加速軸方向に長尺な筒状の第一中空筒が形成され、前記第一壁部と前記第三電極と前記第二電極とによって囲まれた空間には、前記加速軸方向に長尺な筒状の第二中空筒が形成され、前記第二壁部と前記第二電極と前記第四電極とによって囲まれた空間には、前記加速軸方向に長尺な筒状の第三中空筒が形成され、前記第二壁部と前記第四電極と前記第一電極とによって囲まれた空間には、前記加速軸方向に長尺な筒状の第四中空筒が形成され、前記第一壁部のうち前記第一中空筒の一部を形成する内面には、第一切削面が設けられ、前記第一壁部のうち前記第二中空筒の一部を形成する内面には、第二切削面が設けられ、前記第二壁部のうち前記第三中空筒の一部を形成する内面には、第三切削面が設けられ、前記第二壁部のうち前記第四中空筒の一部を形成する内面には、第四切削面が設けられ、前記第一切削面、前記第二切削面、前記第三切削面及び前記第四切削面を切削する前の共振周波数は、電源から供給される高周波電力の周波数よりも高い四重極型加速器の製造方法であって、a)前記中央部材に前記第一側方部材及び前記第二側方部材を固定して前記四重極型加速器を組み立て、共振周波数及び電界強度を計測するステップと、b)計測された前記共振周波数及び前記電界強度に基づいて、前記第一切削面の切削量と前記第二切削面の切削量と前記第三切削面の切削量と前記第四切削面の切削量とを決定するステップと、c)前記四重極型加速器を分解し、前記ステップb)で決定した各切削量に応じて前記第一切削面、前記第二切削面、前記第三切削面及び前記第四切削面をそれぞれ切削するステップと、d)前記四重極型加速器を再度組み立て、前記共振周波数及び前記電界強度を再度計測するステップと、e)計測された前記共振周波数及び前記電界強度に基づく電場分布が完了条件を満たすか否かを判断するステップと、f)前記ステップe)で前記完了条件を満たさないと判断された場合には前記ステップb)から前記ステップe)の処理を繰り返し、g)前記ステップe)で前記完了条件を満たすと判断された場合には処理を終了することを特徴とする四重極型加速器の製造方法を提供している。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、第一切削面、第二切削面、第三切削面及び第四切削面が設けられているため、初期状態において四重極型加速器に供給される高周波電力の周波数よりも共振周波数が高い。そのため、目標値よりも意図的に高く設定されていた共振周波数を当該目標値に徐々に近づけることができる。そのため、チューナーを用いることなく高周波加速器内の共振周波数を所望の周波数に調整することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図3】四重極型加速器を荷電粒子の加速軸方向に対して垂直に切断した概略斜視図。
【
図4】四重極型加速器の一部を構成する中央部材の概略斜視図。
【
図5】四重極型加速器の一部を構成する第一側方部材の概略斜視図。
【
図6】第1の側方部材を構成する第1の壁部の内側に設けられた6箇所の切削面を示す図。
【
図7】四重極型加速器を荷電粒子の加速軸方向に対して垂直に切断した断面の拡大図。
【
図8】四重極型加速器における共振周波数のチューニング工程を示すフローチャート。
【
図9】チューニング前の電場分布をプロットしたグラフを示す図。
【
図10】1回目チューニング後の電場分布をプロットしたグラフを示す図。
【
図11】2回目チューニング後の電場分布をプロットしたグラフを示す図。
【
図12】3回目チューニング後の電場分布をプロットしたグラフを示す図。
【
図13】従来型の四重極型加速器にチューナーが装着された概略斜視図。
【
図14】従来型の四重極型加速器をチューナーの装着位置において垂直に切断した断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<1.実施形態>
本発明の実施形態による四重極型加速器及び四重極型加速器の製造方法について
図1から
図12を参照しながら説明する。
【0020】
図1に示すように、四重極型加速器は、加速空洞1を備える。加速空洞1は筒状に形成されている筒状部2を含む。加速空洞1は、筒状部2から内部に向かって突出し、ベインと呼ばれる電極21~24を含む。それぞれの電極21~24は、筒状部2に電気的に接続されている。
【0021】
四重極型加速器は、第1の電極21、第2の電極22、第3の電極23および第4の電極24を備える。4つの電極21~24は、筒状部2を構成する部材と一体的に形成されている。それぞれの電極21~24は、荷電粒子の加速軸に沿って延びるように形成されている。
【0022】
各電極21~24は、三角柱状に形成されている。各電極21~24は、断面形状の三角形の頂点が荷電粒子の加速軸に向かうように形成されている。各電極21~24の加速軸に向かう先端部分は、加速軸の方向に荷電粒子を加速および集束する電場を形成するために、波形の端部が形成されている。電極の形状は、この形態に限られず、筒状部から突出し、電極の先端が加速軸に近接する任意の形状を採用することができる。たとえば、電極は、板状に形成されていても構わない。
【0023】
四重極型加速器は、高周波電力を供給するための電源装置を備える。電源装置は、高周波発生器72を含む。高周波発生器72は、前段増幅器73および主増幅器74に接続されている。高周波発生器72で生成された高周波の電力は、前段増幅器73および主増幅器74により増幅される。主増幅器74から出力される高周波電力は、結合器75を介して加速空洞1に供給されている。電源装置としては、この形態に限られず、加速空洞1に高周波電力を供給できる任意の装置を採用することができる。
【0024】
加速空洞1は、筒状部2およびそれぞれの電極21~24の形状に依存した浮遊容量および浮遊インダクタンスを有する。これらの浮遊容量および浮遊インダクタンスは、電気回路の一部を構成している。加速空洞に高周波電力が供給されることにより加速電場が形成される。四重極型加速器に適したTE210モードまたはTE211モードの電磁場を励振した場合には、第1の電極21、第2の電極22、第3の電極23および第4の電極24のそれぞれの電圧(絶対値)は同じになり、また、互いに対向する第1の電極21および第2の電極22の電極対と、互いに対向する第3の電極23および第4の電極24の電極対とは、互いに逆の極性(プラスまたはマイナス)になる。加速軸は4つの電極21~24に挟まれる空間に配置される。荷電粒子は加速軸に沿って加速されながら移動する。
【0025】
図2に、加速空洞1の概略斜視図を示す。
図3に、本実施の形態における加速空洞を切断したときの概略斜視図を示す。
図3は、
図2におけるA-A線において加速空洞を切断したときの斜視図である。
図2及び
図3に示される矢印100は、荷電粒子の加速軸の延びる方向である。加速空洞1は、加速軸の方向と平行に延びるように形成されている。
【0026】
図1から
図3に示すように、加速空洞1は、3つの構成部材を備える。加速空洞1は、第1の電極21および第2の電極22を含む中央部材11を備える。加速空洞1は、第3の電極23を含む第1の側方部材12を備える。加速空洞1は、第4の電極24を含む第2の側方部材13を備える。第1の側方部材12は、中央部材11の一方の側に配置されている。第2の側方部材13は、中央部材11の他方の側に配置されている。
【0027】
中央部材11は、一つの部材から一体的に形成されている。つまり、中央部材11は、複数の部品の接合線や溶接線等を有さずに、一つの材質により形成されている。また、第1の側方部材12は、一つの部材から一体的に形成されている。つまり、複数の部品の接合線や溶接線等を有さずに、一つの材質により形成されている。また、第2の側方部材13は、一つの部材から一体的に形成されている。つまり、第2の側方部材13は、複数の部品の接合線や溶接線等を有さずに、一つの材質により形成されている。なお、真空用ポート等の付加的な部材が、中央部材11、第1の側方部材12又は第2の側方部材13に予め配置されていても構わない。
【0028】
中央部材11、第1の側方部材12および第2の側方部材13は、固定部材により互いに固定されている。ここでは、ボルト51およびナット52が固定部材として用いられている。
【0029】
中央部材11と第1の側方部材12との接触面および中央部材11と第2の側方部材13との接触面には、真空封止部材としてのOリング55が配置されている。それぞれの構成部材の間に真空封止部材が配置されていることにより加速空洞1が密閉されている。
【0030】
図4に示すように、中央部材11は、加速空洞1の外枠部の中央部分を構成する中央外枠部11aを有する。中央外枠部11aは、平面視したときに環状に形成されている。中央部材11は、中央外枠部11aから内側に向かって突出する第1の電極21を有する。中央部材11は、中央外枠部11aから内側に向かって突出する第2の電極22を有する。第1の電極21および第2の電極22は、共に、先端部が加速軸に向かうように配置されている。
【0031】
中央部材11の外側の表面のうち、加速軸の方向の端面には荷電粒子が入射する入射口61が形成されている。また、入射口61が形成されている端面と反対側の端面には、荷電粒子が出射する出射口62が形成されている。入射口61および出射口62は、加速軸の延長上に形成されている。
【0032】
中央外枠部11aには、ボルトを通すための貫通孔14が形成されている。貫通孔14は、中央外枠部11aの形状に沿って複数形成されている。中央外枠部11aの表面のうち、第1の側方部材12または第2の側方部材13に接触する接触面には、Oリング55を配置するための凹部16が形成されている。凹部16は、平面視において、閉じた形状に形成されている。Oリング等の真空封止部材を配置するための凹部は、第1の側方部材12および第2の側方部材13に配置されていても構わない。
【0033】
中央部材11は、それぞれの部材を組立てる組立工程において部材同士の位置を定めるための基準マーク31が形成されている。基準マーク31は、入射口61が形成されている端面において直線状に形成されている。また、基準マーク31は、出射口62が形成されている端面において直線状に形成されている。
【0034】
図5に示すように、第1の側方部材12は、加速空洞1の外枠部の側方部分を構成する第1の側方外枠部12aを有する。第1の側方外枠部12aは、平面視において環状に形成されている。第1の側方部材12は、加速空洞の一部の形状を有する第1の壁部12bを有する。第1の壁部12bは、加速空洞1の筒状部2を構成する。第1の壁部12bは、第1の側方外枠部12aから外側に向かって延びるように形成されている。第1の壁部12bは、板状に形成され、第1の側方外枠部12aに結合されている。第1の側方部材12は、第1の壁部12bから内側に向かって突出する第3の電極23を含む。
【0035】
第1の側方外枠部12aには、ボルトを通すための貫通孔15が形成されている。第1の側方外枠部12aには、組立工程において組立て位置を定めるための位置合わせマーク32が形成されている。位置合わせマーク32は、第1の側方外枠部12aの端面のうち加速軸の方向における両側の端面に形成されている。
【0036】
図5においては、2つの側方部材のうち第1の側方部材12を例に取り上げて説明しているが、第2の側方部材13についても第1の側方部材12と同様の構成を有する。第2の側方部材13は、環状の第2の側方外枠部13aを含む。第2の側方部材13は、第2の側方外枠部13aから外側に向かって延び、加速空洞の一部の形状を有する第2の壁部13bを含む。第2の側方部材13は、第2の壁部13bから内側に向かって突出する第4の電極24を含む。
【0037】
図1に示すように、第1の壁部12bと第1の電極21と第3の電極23とによって囲まれた空間には、荷電粒子の加速軸方向に長尺な筒状の第1の中空筒HC1(本発明に係る第一中空筒の一例)が形成されている。
【0038】
また、第1の壁部12bと第3の電極23と第2の電極22とによって囲まれた空間には、荷電粒子の加速軸方向に長尺な筒状の第2の中空筒HC2(本発明に係る第二中空筒の一例)が形成されている。
【0039】
また、第2の壁部13bと第2の電極22と第4の電極24とによって囲まれた空間には、荷電粒子の加速軸方向に長尺な筒状の第3の中空筒HC3(本発明に係る第三中空筒の一例)が形成されている。
【0040】
さらに、第2の壁部13bと第4の電極24と第1の電極21とによって囲まれた空間には、荷電粒子の加速軸方向に長尺な筒状の第4の中空筒HC4(本発明に係る第四中空筒の一例)が形成されている。
【0041】
図6及び
図7に示すように、第1の壁部12bのうち第1の中空筒HC1の一部を形成する内面には、切削面CS1(本発明に係る第一切削面の一例)が設けられている。切削面CS1は、荷電粒子の加速軸方向に関して6セクション(切削面CS11,CS12,CS13,CS14,CS15,CS16)に分割されている。
【0042】
図7に示すように、第1の壁部12bのうち第2の中空筒HC2の一部を形成する内面には、切削面CS2(本発明に係る第二切削面の一例)が設けられている。切削面CS2は、荷電粒子の加速軸方向に関して6セクション(図示しない切削面CS21,CS22,CS23,CS24,CS25,CS26)に分割されている。
【0043】
同様に、第2の壁部13bのうち第3の中空筒HC3の一部を形成する内面には、切削面CS3(本発明に係る第三切削面の一例)が設けられている。切削面CS3は、荷電粒子の加速軸方向に関して6セクション(図示しない切削面CS31,CS32,CS33,CS34,CS35,CS36)に分割されている。
【0044】
同様に、第2の壁部13bのうち第4の中空筒HC4の一部を形成する内面には、切削面CS4(本発明に係る第四切削面の一例)が設けられている。切削面CS4は、荷電粒子の加速軸方向に関して6セクション(図示しない切削面CS41,CS42,CS43,CS44,CS45,CS46)に分割されている。
【0045】
つまり、第1の壁部21b及び第2の壁部13bの内面には、合計で24個の切削面が設けられている。
【0046】
図7に示すように、切削面CS1の存在によって、第1の中空筒HC1のうち荷電粒子の加速軸方向に対して垂直に切った第1の断面SC1の断面積は、切削面CS1が設けられない場合の断面積に比べて小さい。
【0047】
また、切削面CS2の存在によって、第2の中空筒HC2のうち荷電粒子の加速軸方向に対して垂直に切った第2の断面SC2の断面積は、切削面CS2が設けられない場合の断面積に比べて小さい。
【0048】
また、切削面CS3の存在によって、第3の中空筒HC3のうち荷電粒子の加速軸方向に対して垂直に切った第3の断面SC3の断面積は、切削面CS3が設けられない場合の断面積に比べて小さい。
【0049】
また、切削面CS4の存在によって、第4の中空筒HC4のうち荷電粒子の加速軸方向に対して垂直に切った第4の断面SC4の断面積は、切削面CS4が設けられない場合の断面積に比べて小さい。
【0050】
ここで、第1の中空筒HC1、第2の中空筒HC2、第3の中空筒HC3及び第4の中空筒HC4の各断面積は、共振周波数に反比例する。つまり、各断面積が小さくなると、共振周波数が大きくなり、逆に、各断面積が大きくなると、共振周波数が小さくなる。
【0051】
本実施形態では、切削面CS1~CS4が設けられることで、四重極型加速器は、初期状態において、四重極型加速器に供給される高周波電力の周波数(共振周波数の目標値)よりも共振周波数が意図的に高く設定されている。換言すれば、初期状態において、4つの断面SC1,SC2,SC3,SC4の合計の断面積は、共振周波数の目標値に相当する合計断面積よりも小さい。
【0052】
図1から
図3に示すように、加速空洞1は、中央外枠部11aと第1の側方外枠部12aとが密着している。また、中央外枠部11aと第2の側方外枠部13aとが密着している。中央外枠部11aと側方外枠部12a,13aとが、ボルト51およびナット52により互いに固定されている。中央外枠部11aおよび側方外枠部12a,13aにより、加速空洞1の外枠部が形成されている。
【0053】
次に、本実施の形態における四重極型加速器の組立方法について説明する。まず、中央部材11と、第1の側方部材12と、第2の側方部材13とを形成する。これらの構成部材を準備する準備工程を行なう。準備工程は、中央部材11、第1の側方部材12および第2の側方部材13のそれぞれを一つの部材から一体的に形成する工程を含む。
【0054】
本実施形態では、アルミニウムの無垢材を機械的に切削することにより構成部材を形成する。それぞれの構成部材を形成する工程においては、高精度で切削加工を行なうことが好ましい。また、製造工程においては、3次元測定器等により、中央部材、それぞれの側方部材の寸法を確認することが好ましい。また、中央外枠部の接触面および側方外枠部の接触面においては、電気的接触を確保するために、表面粗さを小さくすることが好ましい。さらに、筒状部の内面および電極の表面は、高精度加工や研磨等を行なうことにより、表面粗さを小さくすることが好ましい。
【0055】
準備工程においては、中央部材11の中央外枠部11aには、基準マーク31を形成する。また、第1の側方部材12の第1の側方外枠部12aには、位置合わせマーク32を形成する。第2の側方部材13の第2の側方外枠部13aには、位置合わせマーク32を形成する。中央部材11に形成した凹部16には、真空封止部材としてのOリング55を配置する。
【0056】
次に、中央部材11、第1の側方部材12、および第2の側方部材13をボルトおよびナットにより互いに固定する組立工程を行なう。中央部材11の両側に第1の側方部材12および第2の側方部材13を配置する。本実施の形態においては、中央外枠部11aに形成した基準マーク31と、それぞれの側方外枠部12a,13aに形成した位置合わせマーク32とが合致するように位置合わせを行なう。
【0057】
位置合わせを行なった後にボルトを締め付けることにより、中央外枠部11a、第1の側方外枠部12aおよび第2の側方外枠部13aを互いに固定する。中央部材11、第1の側方部材12および第2の側方部材13を互いに固定する。固定部材としてボルト等を用いる場合には、トルク管理を行ないながら締め付けることが好ましい。この方法により、構成部材の接触面を一様の圧力で接触させることができる。このように、加速空洞を形成することができる。この加速空洞に、電源装置や真空装置等を接続することにより加速器を組み立てることができる。
【0058】
位置合わせを行なうための基準マークおよび位置合わせマークとしては、直線状に限られず、任意の形状のマークを採用することができる。また、本実施の形態における基準マークおよび位置合わせマークは、加速空洞の外面のうち、加速軸の方向における端面に形成されているが、この形態に限られず、加速空洞の外面の任意の位置に基準マークおよび位置合わせマークを形成することができる。たとえば、加速空洞の外枠部の外面のうち、加速軸に垂直な方向における端面に基準マークおよび位置合わせマークが形成されていても構わない。
【0059】
なお、
図1に示すように、高周波加速器においては、四重極加速器に適したTE210モードまたはTE211モードの電磁場を励起したときに、任意の時点における各電極の電位の大きさは等しく、その符号は互いに対向する電極同士で同じである。一の方向において互いに対向する電極の電位の符号は、一の方向と直交する方向において互いに対向する電極の電位の符号と逆になる。電源装置により高周波電力を供給することにより、それぞれの電極の電位は、時間と共に正弦波に対応するように変化する。例えば、一の時刻においては、第1の電極21と第2の電極22との電位が最大値(正の値であり大きさが最大)である場合に、第3の電極23と第4の電極24の電位は最小値(負の値であり大きさが最大)になる。共振周波数の半周期の時間が経過した後には、電極の電位は逆の関係になる。
【0060】
上記組立方法により組み立てられた四重極型加速器(初期状態の四重極型加速器)は、上述したように、共振周波数の目標値(四重極型加速器に供給される高周波電力の周波数)よりも共振周波数が意図的に高く設定されている。その結果、四重極型加速器が組み立てられた初期状態では、荷電粒子を所望のエネルギーまで加速させることができない。
【0061】
そこで、本実施形態では、四重極型加速器の製造工程の最後に共振周波数を目標値に近づけるチューニング工程を実施する。以下、
図8のフローチャートを参照しながら、共振周波数のチューニング工程(四重極型加速器の最終製造工程)について詳細に説明する。
【0062】
まず、上述の組立方法に従って四重極型加速器を組み立て、初期状態の四重極型加速器の共振周波数及び電界強度を計測する(
図8のステップS1)。ここで、共振周波数及び電界強度は、検出器(アンテナ)や真空計などの公知の計器によって計測される。なお、計器は、図示しないピックアップポートを介して四重極型加速器の側面に取り付けられている。
【0063】
具体的には、四重極型加速器の共振周波数(Measured Frequency)として、共振周波数MF(MHz)が計測される。
【0064】
また、電界強度として、切削面CS11~CS16、切削面CS21~CS26、切削面CS31~CS36及び切削面CS41~CS46の24箇所の電界強度ME1,ME2,…,ME24(Measured Electric Field Strength)が計測される。電界強度ME1,ME2,…,ME24は、電界の相対的な強さを示す値である。
【0065】
次に、計測された共振周波数MF及び24箇所の電界強度ME1,ME2,…,ME24に基づいて、切削面CS11~CS16、切削面CS21~CS26、切削面CS31~CS36及び切削面CS41~CS46の24箇所の切削量をそれぞれ決定する(ステップS2)。
【0066】
具体的には、下記数式1及び下記数式2を制約条件として、下記数式3のΦを最小化する24箇所の切削量CL1,CL2,…,CL24(Cut Length)と、最終電界強度FE(Final Electric Field Strength)とを演算する。
【0067】
より詳細には、Wolfram Mathematica(登録商標)で提供されているNMinimize関数を利用し、24箇所の切削量CL1,CL2,…,CL24(Cut Length)と、最終電界強度FE(Final Electric Field Strength)とを演算する。
【0068】
NMinimize関数は、NMinimize[{f,cons},{x,y,…}]によって定義されている。NMinimize[{f,cons},{x,y,…}]は、制約条件cons下でfを数値的に最小にすることを意味する。
【数1】
【0069】
数式1において、TF(target frequency MHz)は、目標とする共振周波数(本実施形態では200.3MHzに設定)であり、予め設定される値である。DF
i(Delta Frequency)は、シミュレーションで事前に算出した周波数の変化予測値(変化量)である。CL
i(cut length)は、上述したNMinimize関数によって計算される値である。数式1は、切削後の共振周波数が目標とする共振周波数を下回らないようにするための制約条件である。なお、MFは、ステップS1で計測した共振周波数の実測値である。
【数2】
【0070】
数式2において、CL1~CL24(cut length)は、上述したNMinimize関数によって計算される値である。MC1~MC24(maximum cut mm)は、各切削面において許容できる切削量の最大値であり、予め設定された値である。数式2は、各切削面における切削量が各切削面において許容される切削量を超えないようにするための制約条件として機能する。
【数3】
【0071】
数式3において、Ci_jは、シミュレーションで事前に算出しておいた24×24の係数である。当該係数は、各切削面の切削量に応じた各切削面の電界強度の変化量を算出するために用いられる値である。電界強度の変化量は、Ci_j×CLjによって算出される。そのため、事前のシミュレーションにおいて、Ci_jは、電界強度の変化量/切削量によって算出される。
【0072】
上述したように、本実施形態では、切削面CS11~CS16、切削面CS21~CS26、切削面CS31~CS36及び切削面CS41~CS46の24箇所の切削面が存在する。
【0073】
例えば、切削面CS11を切削した場合、切削面CS11を含む全24箇所の切削面における電界強度の変化量を算出する必要がある。そのため、切削面CS11を切削した場合の係数がC1_1からC1_24の24個存在する。同様に、切削面CS12を切削した場合、切削面CS12を含む全24箇所の切削面における電界強度の変化量を算出する必要がある。そのため、切削面CS12を切削した場合の係数がC2_1からC2_24の24個存在する。残りの切削面についても同様である。
【0074】
以上より、係数は、C1_1からC1_24、C2_1からC2_24、…、C24_1からC24_24で24×24個ほど存在する。
【0075】
NMinimize関数により、24箇所の切削量CL1,CL2,…,CL24及び最終電界強度FEが演算されると、四重極型加速器を一旦分解する。そして、演算された24箇所の切削量CL1,CL2,…,CL24に応じて、切削面CS11~CS16、切削面CS21~CS26、切削面CS31~CS36及び切削面CS41~CS46をそれぞれ切削加工する(
図8のステップS3)。
【0076】
その後、四重極型加速器を再度組み立て、切削加工後の四重極型加速器の共振周波数及び電界強度を計測する(ステップS4)。
【0077】
そして、計測された共振周波数及び計測された電界強度に基づく電場分布がそれぞれの完了条件を満たすか否かを判断する(ステップS5)。
【0078】
具体的には、計測された共振周波数が基準値の±0.3MHz以内に収まると、計測された共振周波数が周波数の完了条件を満たしたと判断する。ここで、基準値とは、四重極型加速器に供給される高周波電力の周波数であり、本実施形態では200MHzである。
【0079】
また、電界強度に基づく電場分布をグラフにプロットした際(
図9から
図12参照)、第1の中空筒HC1、第2の中空筒HC2、第3の中空筒HC3及び第4の中空筒HC4の電場分布がすべてフラットになり、かつ、交差しない場合に、電場分布が電界強度の完了条件を満たしたと判断する。なお、電場分布がフラットになることは、荷電粒子のビームが曲がらず、真っ直ぐに加速することを意味する。
【0080】
図9はチューニング前の電場分布、
図10は1回目チューニング後の電場分布、
図11は2回目チューニング後の電場分布、
図12は3回目チューニング後の電場分布をプロットしたグラフである。
【0081】
各グラフの横軸は、荷電粒子の加速軸方向に関して入射口61からの距離を示している。また、各グラフの縦軸は、電界強度の正解値を100%とした場合の電界強度の予測値を示している。
【0082】
図9から
図12において、チューニングを繰り返すことで、第1の中空筒HC1、第2の中空筒HC2、第3の中空筒HC3及び第4の中空筒HC4すべてにおいて、電場分布のグラフが徐々にフラットになることが示されている。
【0083】
図9から
図12の例では、3回目のチューニングが完了した時点で、計測された共振周波数が基準値の±0.3MHz以内に収まり、かつ、第1の中空筒HC1、第2の中空筒HC2、第3の中空筒HC3及び第4の中空筒HC4の電場分布が概ねフラット(100%を基準として±5%以内)になっていることがわかる。ただし、一部のグラフが±5%以内に収まっておらず、また、交差しているグラフも存在するため、完了条件は未だ満たしていない。
【0084】
上記ステップS5において周波数の完了条件と電界強度の完了条件との双方を満たすと判断された場合(ステップS5でYES)、チューニング工程を終了する。
【0085】
一方、周波数の完了条件と電界強度の完了条件との双方又は一方を満たさないと判断された場合(ステップS5でNO)、上記ステップS2からS5の処理を双方の完了条件を満たすと判断されるまで繰り返す。
【0086】
上述した実施形態によれば、高周波電流は、表皮効果のために加速空洞1の筒状部の内表面を流れる。このため、電流は、矢印104に示すように、それぞれの電極21~24の表面および筒状部2の内面に沿って流れる。本実施の形態における電極21~24の表面および筒状部2の内面には、溶接跡等の凹凸がないために、電力損失を小さくすることができる。この結果、加速器のQ値を高くすることができる。
【0087】
また、本実施の形態においては、中央部材および2つの側方部材を予め形成して、これらの構成部材を固定部材により互いに固定している。このため、組立工程において、構成部材の温度上昇を回避して組立てることができる。
【0088】
例えば、組立工程において、ろう付けにより接合を行う場合のように構成部材が全体的に加熱されることを回避でき、それぞれの構成部材の熱変形を抑制することができる。熱変形には、固定装置による筒状部の固定を解除するときに、内部応力が開放されることによる変形が含まれる。本実施の形態においては、加速空洞の変形を抑制することができるため、変形に起因する共振周波数のずれを抑制することができる。設計値に対して精度良く加速器を製造することができる。
【0089】
このように、本実施の形態における四重極型加速器は、Q値が高く共振周波数のずれが小さい等の電気的性能に優れる。
【0090】
また、本実施の形態における四重極型加速器は、溶接などによる構成部品同士の接合部を有しないために、複数の構成部材を接合した後の機械的な仕上げを行なわなくてもよく、容易に製造することができる。例えば、電子ビーム溶接により、それぞれの構成部材を接合した場合においては、表面粗さが大きいために、さらに研削作業や研磨作業が必要であった。本実施の形態の四重極型加速器は、このような仕上げ作業を行なわなくても内面の表面粗さが小さな加速空洞を製造することができる。
【0091】
また、本実施の形態における四重極型加速器は、組立工程の途中に組立ての状況を確認することができる。例えば、所定の計測器を用いることにより組立工程の途中で不具合を発見することができて、作業の修正等を行なうことができる。この結果、歩留まりを向上させることができる。さらに、組立て後にも必要に応じて、固定部材を取り外すことにより容易に分解することができる。たとえば、位置合わせの再調整を行なうことができる。または、封止部材を交換する場合にも容易に取り替えることができる。
【0092】
本実施の形態において、準備工程は、中央部材11の端面に基準マーク31、第1の側方部材12の端面および第2の側方部材13の端面に位置合わせマーク32を形成する工程を含む。組立工程は、基準マーク31と位置合わせマーク32とを合わせることにより位置合わせを行なう工程を含む。この方法を採用することにより、中央部材11、およびそれぞれの側方部材12,13の位置合わせを容易に行なうことができる。
【0093】
組立工程における位置合わせの方法については、この形態に限られず、任意の方法を採用することができる。例えば、レーザトラッカーを用いて位置合わせを行なうことができる。この場合には、例えば、中央外枠部11aおよび側方外枠部12a,13aの外面のうち、加速軸に平行な方向に延びる外面を高精度に形成する。この外面をリフレクタ(反射体)が配置される基準面として用いることができる。
【0094】
または、中央部材および側方部材に、互いに嵌合する形状を有する嵌合部を予め形成しておいて、これらの嵌合部同士を合わせることにより位置合わせを行なうことができる。準備工程において、中央部材に第1の嵌合部を形成し、第1の側方部材および第2の側方部材のそれぞれに第2の嵌合部を形成する。組立工程において、第1の嵌合部と第2の嵌合部とを互いに嵌合させることにより、それぞれの部材同士の位置合わせを行なうことができる。この方法により、容易に位置合わせを行なうことができる。
【0095】
たとえば、準備工程において、中央部材と側方部材との位置合わせができるように、中央部材に第1嵌合部としての凸部を形成し、側方部材に第2嵌合部としての凹部を形成する。組立工程において、凸部と凹部とを嵌合させることにより、中央部材および側方部材の位置合わせを容易に行なうことができる。
【0096】
または、中央部材と側方部材との位置が合ったときに連通する位置合わせ穴を予め形成しておいて、この位置合わせ穴にピンを挿入することにより位置合わせを行なうことができる。準備工程において、中央部材に第1の位置合わせ穴を形成し、第1の側方部材および第2の側方部材に第2の位置合わせ穴を形成する。組立工程において、第1の位置合わせ穴および第2の位置合わせ穴に位置合わせ用のピンを挿入することにより、それぞれの部材同士の位置合わせを行なうことができる。この方法により、容易に位置合わせを行なうことができる。
【0097】
たとえば、準備工程において、中央部材および側方部材に対して、固定部材としてのボルトの貫通穴同士の間に位置合わせ穴を形成する。位置合わせ穴は、加速空洞に組立てられたときに中央部材の位置合わせ穴と側方部材の位置合わせ穴とが連通するように形成する。位置合わせ穴は、複数箇所に形成することが好ましい。組立工程において、位置合わせ穴に密着するピンを、中央部材の位置合わせ穴および側方部材の位置合わせ穴に挿入することにより、中央部材および側方部材の位置合わせを容易に行なうことができる。
【0098】
本実施の形態においては、中央部材、第1の側方部材および第2の側方部材を貫通するボルトを用いて、これらの構成部材を固定しているが、この形態に限られず、任意の固定部材を用いて中央部材と側方部材とを固定することができる。たとえば、中央部材にネジ溝が形成された貫通孔または袋孔を形成する。第1の側方部材の貫通穴の外側からボルトを挿入することにより、第1の側方部材を中央部材に固定することができる。また、第2の側方部材の貫通穴の外側からボルトを挿入することにより、第2の側方部材を中央部材に固定することができる。このように、それぞれの側方部材を個別に中央部材に固定しても構わない。この方法により、それぞれの部材同士の位置合わせおよび部材同士の固定をより容易に行なうことができる。
【0099】
本実施の形態における組立方法では、加速軸に沿った軸方向長さが長い四重極型加速器を容易に製造することができる。例えば、ろう付けによって軸方向長さが長い四重極型加速器を製造する場合には、加速空洞を高温炉の内部に配置しなければならない。このために、大型の高温炉が必要になる。しかしながら、本実施の形態においては、中央部材および側方部材を、それぞれ一体的に形成することにより、加速軸の方向に長い加速器を容易に製造することができる。
【0100】
また、本実施の形態においては、加速空洞の筒状部を構成する部材と電極とが、一体的に形成されている。加速空洞の組立方法においては、筒状部とそれぞれの電極とを個別に製造した後に、ボルトなどにより筒状部に対して電極を固定する方法が考えられる。しかしながら、この方法においては、部品点数が多くなって、構成部材同士の位置合わせが難しくなる。これに対して、本実施の形態のように、それぞれの電極と筒状部を構成する部材とが一体的に形成された構成部材を採用することにより、容易に位置合わせを行なうことができる。また、筒状部と電極との位置関係は機械加工時の精度が保たれるために寸法精度が高くなり、電気的性能に優れた四重極型加速器を提供することができる。
【0101】
また、上述した実施形態によれば、切削面CS11~CS16、切削面CS21~CS26、切削面CS31~CS36及び切削面CS41~CS46が設けられているため、初期状態において四重極型加速器に供給される高周波電力の周波数よりも共振周波数が高い。そして、切削面CS11~CS16、切削面CS21~CS26、切削面CS31~CS36及び切削面CS41~CS46を徐々に切削することで、断面SC1(
図7)の断面積、第2の断面SC2(
図7)の断面積、第3の断面SC3(
図7)の断面積及び第4の断面SC4(
図7)の断面積が徐々に大きくなる。
【0102】
断面SC1の断面積、第2の断面SC2の断面積、第3の断面SC3の断面積及び第4の断面SC4の断面積が徐々に大きくなれば、四重極型加速器内の共振周波数も徐々に低下する。すなわち、目標値よりも高く設定されていた共振周波数を当該目標値に徐々に近づけることができる。よって、
図13及び
図14に示すようなチューナーを用いることなく、高周波加速器内の共振周波数を所望の周波数に調整することが可能である。
【0103】
また、上述した実施形態によれば、24箇所の切削面の各切削量が事前に演算されるため(
図8のステップS2)、1回の切削量を比較的大きな値(1~4mm(ミリメートル))に設定することができる。その結果、
図8のステップS3における切削回数を少なくすることができ、製作コストも大幅に低減する。
【0104】
また、上述した実施形態によれば、切削面CS1、切削面CS2、切削面CS3及び切削面CS4がいずれも6セクションに分割されている。よって、セクション毎に切削量を演算することが可能となり、チューニング工程における切削加工をセクション毎に実施できる。
【0105】
<2.変形例>
本発明による四重極型加速器は上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形や改良が可能である。
【0106】
例えば、上述した実施形態における四重極型加速器は、中央部材11と第1の側方部材12とが接触している領域、および中央部材11と第2の側方部材13とが接触している領域に、導電性部材を介在させることができる。具体的には、真空封止部材としてのゴム製のOリングの代わりに、金属製の封止部材を配置することができる。または、真空封止部材を配置する凹部に加えて、中央部材および側方部材のうち少なくとも一方の接触面に凹部を追加形成し、その凹部にメタルワイヤ等の導電性部材を配置しても構わない。
【0107】
また、中央部材11と側方部材12,13とを導電性部材を介して固定することにより、中央部材11と、それぞれの側方部材12,13との間の導電性を向上させることができる。または、所望の電気的性能を確保することができる。
【0108】
また、四重極型加速器は、運転することにより電気抵抗に起因して温度が上昇する。温度が大きく上昇する場合には、Oリングが破損する虞がある。このような場合には、金属製の封止部材を採用することにより、封止部材の破損を回避することができる。たとえば、金属製の真空封止部材は、連続的に運転を行なう四重極型加速器に好適である。また、高周波加速器は、加速空洞を冷却するための冷却装置を備えていても構わない。例えば、電極内部や側方部材の表面に、冷却水を流すための冷却管が配置されていても構わない。
【0109】
また、上述した実施形態における四重極型加速器は、筒状部の断面形状がほぼ正八角形になるように形成されているが、この形態に限られず、四重極型加速器としての適切な電気的性能が実現できる任意の形状を採用することができる。たとえば、筒状部は、断面形状が円形や任意の多角形になるように形成することができる。
【0110】
また、上述した実施形態では、アルミニウムから中央部材および側方部材を形成しているが、この形態に限られず、任意の材料から中央部材および側方部材を形成することができる。たとえば、準備工程において、構成部材を銅の無垢材から形成することができる。または、任意の材料から形成した部材の表面に銅めっきを施した構成部材を採用しても構わない。
【0111】
また、上述した実施形態では、NMinimize関数によって24箇所の切削量CL1,CL2,…,CL24を演算し、演算した切削量CL1,CL2,…,CL24に基づいて各切削面を切削する場合を例示したが、これに限定されない。
【0112】
たとえば、切削量を演算することなく、1回の切削量を微小な値(0.3~0.5mm(ミリメートル))に設定し、設定された微小な切削量に従って切削を繰り返すことで共振周波数をチューニングするようにしてもよい。
【0113】
上述した変形例によれば、1回の切削量が上述した実施形態の切削量(1~4mm(ミリメートル))よりも小さくなる。そのため、上述した実施形態よりも切削回数は増加するものの、切削量を事前に演算する必要がない。
【0114】
また、上述した実施形態では、切削面CS1、切削面CS2、切削面CS3及び切削面CS4がそれぞれ6セクションに分割され、セクション毎に切削量が演算される場合を例示したが、これに限定されない。
【0115】
たとえば、切削面CS1、切削面CS2、切削面CS3及び切削面CS4を複数のセクションに分割せず、荷電粒子の加速軸方向の距離に応じて切削量が連続的な値として演算されるようにしてもよい。
【0116】
また、上述した実施形態では、電場分布がすべてフラットになり、かつ、交差しない場合に、電場分布が電界強度の完了条件を満たしたと判断する場合を例示したが、これに限定されない。電場分布の一部(例えば、グラフの両端)が交差していたとしても、電場分布がすべて略フラット(ばらつきが5%以内)になっていれば、電場分布が電界強度の完了条件を満たしたと判断するようにしてもよい。グラフの両端(電場分布の両端)は外部の影響を受けやすいためである。
【0117】
また、上述した実施形態では、切削面CS1、切削面CS2、切削面CS3及び切削面CS4を切削することで、
図7に示す断面SC1、断面SC2、断面SC3及び断面SC4の各断面積を大きくする(広げる)場合を例示したが、これに限定されない。例えば、切削面CS1、切削面CS2、切削面CS3及び切削面CS4を設けることなく、各電極21,22,23,24の根本を通常よりも太く加工し、太くなった各電極21,22,23,24の根本を切削することで、断面SC1、断面SC2、断面SC3及び断面SC4の各断面積を大きくするようにしてもよい。もちろん、各電極21,22,23,24の根本とともに切削面CS1、切削面CS2、切削面CS3及び切削面CS4を切削することで各断面積を大きくしてもよい。
【0118】
なお、上述のそれぞれの図において、同一または相当する部分には同一の符号を付している。
【産業上の利用可能性】
【0119】
以上のように本発明に係る四重極型加速器は、チューナーを用いることなく共振周波数を所望の周波数に調整するのに適している。
【符号の説明】
【0120】
1 加速空洞
2 筒状部
11 中央部材
11a 中央外枠部
12,13 側方部材
12a,13a 側方外枠部
12b,13b 壁部
21~24 電極
31 基準マーク
32 位置合わせマーク
HC1 第1の中空筒
HC2 第2の中空筒
HC3 第3の中空筒
HC4 第4の中空筒
CS1,CS2,CS3,CS4 切削面
SC1 第1の断面
SC2 第2の断面
SC3 第3の断面
SC4 第4の断面
【要約】
【課題】チューナーを用いることなく高周波加速器内の共振周波数を所望の周波数に調整することが可能な四重極型加速器及びそれに関連する技術の提供。
【解決手段】四重極型加速器は、中央部材11と第1の側方部材12と第2の側方部材13とを備える。第1の壁部12bのうち第1の中空筒HC1の一部を形成する内面には、切削面CS1が設けられている。第1の壁部12bのうち第2の中空筒HC2の一部を形成する内面には、切削面CS2が設けられている。第2の壁部13bのうち第3の中空筒HC3の一部を形成する内面には、切削面CS3が設けられている。第2の壁部13bのうち第4の中空筒HC4の一部を形成する内面には、切削面CS4が設けられている。第1の断面SC1、第2の断面SC2、第3の断面SC3及び第4の断面SC4の各断面積は、共振周波数の目標値に相当する断面の断面積よりも小さい。
【選択図】
図7