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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-28
(45)【発行日】2022-02-07
(54)【発明の名称】ウォーターバリア
(51)【国際特許分類】
   E21D 11/38 20060101AFI20220131BHJP
【FI】
E21D11/38 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018058062
(22)【出願日】2018-03-26
(65)【公開番号】P2019167774
(43)【公開日】2019-10-03
【審査請求日】2021-02-25
(73)【特許権者】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(73)【特許権者】
【識別番号】591029921
【氏名又は名称】フジモリ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】上野 博務
(72)【発明者】
【氏名】福田 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】谷川 学
(72)【発明者】
【氏名】川村 親平
(72)【発明者】
【氏名】真中 明浩
(72)【発明者】
【氏名】細田 優介
【審査官】亀谷 英樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-090151(JP,A)
【文献】米国特許第06168846(US,B1)
【文献】韓国登録特許第10-0973793(KR,B1)
【文献】特開2003-176698(JP,A)
【文献】特開2015-101851(JP,A)
【文献】特開平04-128497(JP,A)
【文献】特開昭58-007099(JP,A)
【文献】特開昭57-172100(JP,A)
【文献】特開2000-337096(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0008674(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D 11/00-19/06
E21D 23/00-23/26
E21D 1/00-9/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚さおよび幅よりも大きい長さを有する基板部と、前記基板部の幅方向に間隔をおいた複数箇所から前記基板部の厚さ方向に突出し前記基板部の長さ方向に延在する複数のリブとを備え、
トンネルの内壁面に前記内壁面を覆うように取着される防水シートの前記内壁面と反対に位置する内面に前記基板部が取着されるウォーターバリアであって、
前記ウォーターバリアに、前記リブに面する空間に連通し空気の流通を可能としかつコンクリートの流通を不能とし前記基板部の長さ方向に延在する空気流通部が設けられ、
前記基板部に、前記基板部の長さ方向に延在する膨出壁が設けられ、
前記膨出壁の内部に前記膨出壁と共に前記基板部の長さ方向に延在する空気通路が設けられ、
前記リブに面する空間に前記膨出壁が面する箇所で前記膨出壁の少なくとも長さ方向に間隔をおいた複数箇所に、前記リブに面する空間と前記空気通路とを連通する孔が設けられ、
空気の流通を可能としコンクリートの流通を不能とした空気流通用部材が前記孔に充填され、
前記空気流通部は、前記空気通路と前記空気流通用部材を含んで構成され、
前記基板部、前記リブ、前記膨出壁、前記空気流通部は型により一体成形されている、
ことを特徴とするウォーターバリア。
【請求項2】
前記基板部、前記リブ、前記膨出壁、前記空気流通部は、前記防水シートと共に型により一体成形されている、
ことを特徴とする請求項1記載のウォーターバリア。
【請求項3】
前記膨出壁は、前記基板部の長さ方向と直交する平面で切断した形状が矩形を呈し、
前記矩形の一辺は前記リブに接続され、前記一辺と直交する前記矩形の他の一辺は前記基板部に接続され、
前記孔は、前記膨出壁の長さ方向に間隔をおいた箇所毎に2つ設けられ、
前記リブに面する空間に前記2つの孔が面する箇所は、前記矩形の一辺が前記リブに接続され前記一辺と前記リブとにより形成される角部の箇所と、前記一辺と直交する前記矩形の他の一辺が前記基板部に接続され前記一辺と前記基板部とにより形成される角部の箇所である、
ことを特徴とする請求項1または2記載のウォーターバリア。
【請求項4】
前記膨出壁は、前記基板部の長さ方向と直交する平面で切断した形状が直角三角形を呈し、
前記直角三角形の斜辺は前記リブに面する空間に面し、前記直角三角形の残りの二辺のうちの一辺は前記リブに接続され、残りの二辺のうちの他の一辺は前記基板部に接続され、
前記孔は、前記膨出壁の長さ方向に間隔をおいた箇所毎に2つ設けられ、
前記リブに面する空間に前記2つの孔が面する箇所は、前記直角三角形の斜辺が前記リブに接続される角部の箇所と、前記斜辺が前記基板部に接続される角部の箇所である、
ことを特徴とする請求項1または2記載のウォーターバリア。
【請求項5】
前記膨出壁は、前記基板部の幅方向において隣り合うリブの間にわたって設けられ、
前記膨出壁が前記隣り合うリブの間の空間に面する箇所は、前記リブの間の中央に位置する箇所が前記基板部側に最も窪み前記隣り合うリブに向かうにつれて前記基板部から離れる方向に変位する湾曲面で形成され、
前記空気通路は、前記リブの間の中央に位置する前記膨出壁の箇所に設けられ、
前記孔が前記隣り合うリブの間の空間に面する箇所は、前記リブの間の中央に位置する前記湾曲面の箇所である、
ことを特徴とする請求項1または2記載のウォーターバリア。
【請求項6】
厚さおよび幅よりも大きい長さを有する基板部と、前記基板部の幅方向に間隔をおいた複数箇所から前記基板部の厚さ方向に突出し前記基板部の長さ方向に延在する複数のリブとを備え、
トンネルの内壁面に前記内壁面を覆うように取着される防水シートの前記内壁面と反対に位置する内面に前記基板部が取着されるウォーターバリアであって、
前記ウォーターバリアに、前記リブに面する空間に連通し空気の流通を可能としかつコンクリートの流通を不能とし前記基板部の長さ方向に延在する空気流通部が設けられ、
前記隣り合う前記リブの間に位置する前記基板部の箇所に、空気の流通を可能としコンクリートの流通を不能とした空気流通用部材が前記基板部の長さ方向に延在して設けられ、
前記空気流通部は、前記空気流通用部材を含んで構成され、
前記基板部、前記リブ、前記空気流通部は型により一体成形されている、
ことを特徴とするウォーターバリア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はウォーターバリアに関する。
【背景技術】
【0002】
図11に示すように、従来、トンネル10の施工にあたっては、地山18が掘削されることで形成されたトンネル地山内面、あるいは、その地山内面にコンクリートを吹き付けて覆工された一次覆工20の内面に、地山18内の水がトンネル10内に侵入しないように防水シート14を敷設し、次いで、防水シート14の内面に対向させてコンクリート打設型枠16を配置し、防水シート14とコンクリート打設型枠16の型枠面1602との間に打設孔1604からコンクリート22を打設して二次覆工を行なう。
防水シート14は、合成樹脂シート等の防水性材料から形成され、防水シート14を順次継ぎ足しながら地山内面あるいは一次覆工20の内面全面に順次敷設する。
この際、防水シート14に漏水個所が生じないように隣接する防水シート14同士は溶着等によって接合する。
また、防水シート14の内面側に施工する二次覆工は、トンネル長さ方向に沿ったコンクリート打設型枠16の型枠面1602の長さ(スパン)毎にコンクリート22を打設することでなされる。
したがって、二次覆工には打設型枠面1602の長さ(スパン)毎にトンネルの周方向に延在する打継目が形成されることになる。
【0003】
一方、二次覆工の背面(外面)側には場所によっては常に地下水圧が作用している箇所も有り、このような場合、防水シート14に地下水圧が作用し、防水シート14を破損させることもある。
防水シート14が1箇所でも破損すると、その破損箇所からの漏水がトンネル10の長さ方向全域に廻る可能性があり、この漏水は二次覆工の打継目からトンネル10内に漏れ出る。
そこで、防水シート14が破損したときに、いわゆる水みち(水道)となる可能性のある二次覆工の打継目において、防水シート14にウォーターバリアを設けることによって、漏水のトンネル10の長さ方向への広がりを抑制し、また、打継目からトンネル10内に漏れ出ることを抑制する技術が提案されている。
【0004】
このウォーターバリアは、例えば防水シート14と同一材料の帯状の基板部(ウェブ)上に、トンネル10の周方向に延びる複数本のリブを一体的に設けたものである。
ウォーターバリアは、そのリブを二次覆工側に向けた状態で二次覆工の打継目に対応する位置で防水シート14の内面側に取り付けられている。
【0005】
しかしながら、防水シート14とウォーターバリアを設置しても、二次覆工を形成するコンクリート22の充填が不充分であると、防水シート14が地山内面もしくは一次覆工20の内面に密着せず、その部分に大きな水圧が作用して防水シート14が破損し、漏水の原因となる。
特に、トンネル10の天端近傍は、ここに存在していた空気の抜け場がないのでコンクリート22が上部まで充填されず、二次覆工のコンクリート22と防水シート14との間には、水みちとなる隙間Gが生じやすい。
また天端近傍のウォーターバリアは、その構造上、二次覆工のコンクリート22の打設時に隣り合うリブ間の空気が抜けにくく、そのために二次覆工のコンクリートが充填されずに空隙が生じる不具合がある。
【0006】
そこで、特許文献1においては、ウォーターバリアの隣り合うリブ間に排気注入ホースを設置して、それらの内側に二次覆工のコンクリート22を打設する際に、隣り合うリブ間に残留する空気を排気注入ホースを介して外部に自然排出させる技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第3241344号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来技術では、以下の不具合がある。
1)排気注入ホースをウォーターバリアの隣り合うリブ間に挿入しホットメルト接着剤を用いて取り付ける面倒な取り付け作業が必要となる。
この排気注入ホースを取り付ける面倒な作業は、トンネル10の長さが数キロ、数十キロになると、二次覆工の打継目毎に必要となることから何百回となり、トンネル10の施工効率を向上する上で不利がある。
2)何百本もの排気注入ホースがウォーターバリアと共に二次覆工のコンクリート22に打設されるため、トンネル10の施工コストが嵩む不利がある。
3)排気注入ホースをウォーターバリアの隣り合うリブ間に取り付ける場合、排気注入ホースが配置されるリブ間の空間の形状は矩形であり、排気注入ホースの断面は円形であることから、ウォーターバリアの矩形の空間の角部と排気注入ホース外周面との間にコンクリートが充填されない三角形状の隙間がトンネル10の周方向に沿って生じるため、その隙間が水みちとなり漏水の原因となる。
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、その目的は、トンネルの施工効率の向上、施工コストの低減、漏水の抑制を図る上で有利なウォーターバリアを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を達成するため、本発明は、厚さおよび幅よりも大きい長さを有する基板部と、前記基板部の幅方向に間隔をおいた複数箇所から前記基板部の厚さ方向に突出し前記基板部の長さ方向に延在する複数のリブとを備え、トンネルの内壁面に前記内壁面を覆うように取着される防水シートの前記内壁面と反対に位置する内面に前記基板部が取着されるウォーターバリアであって、前記ウォーターバリアに、前記リブに面する空間に連通し空気の流通を可能としかつコンクリートの流通を不能とし前記基板部の長さ方向に延在する空気流通部が設けられ、前記基板部に、前記基板部の長さ方向に延在する膨出壁が設けられ、前記膨出壁の内部に前記膨出壁と共に前記基板部の長さ方向に延在する空気通路が設けられ、前記リブに面する空間に前記膨出壁が面する箇所で前記膨出壁の少なくとも長さ方向に間隔をおいた複数箇所に、前記リブに面する空間と前記空気通路とを連通する孔が設けられ、空気の流通を可能としコンクリートの流通を不能とした空気流通用部材が前記孔に充填され、前記空気流通部は、前記空気通路と前記空気流通用部材を含んで構成され、前記基板部、前記リブ、前記膨出壁、前記空気流通部は型により一体成形されていることを特徴とする
また、本発明は、前記基板部、前記リブ、前記膨出壁、前記空気流通部は、前記防水シートと共に型により一体成形されていることを特徴とする。
た、本発明は、前記膨出壁は、前記基板部の長さ方向と直交する平面で切断した形状が矩形を呈し、前記矩形の一辺は前記リブに接続され、前記一辺と直交する前記矩形の他の一辺は前記基板部に接続され、前記孔は、前記膨出壁の長さ方向に間隔をおいた箇所毎に2つ設けられ、前記リブに面する空間に前記2つの孔が面する箇所は、前記矩形の一辺が前記リブに接続され前記一辺と前記リブとにより形成される角部の箇所と、前記一辺と直交する前記矩形の他の一辺が前記基板部に接続され前記一辺と前記基板部とにより形成される角部の箇所であることを特徴とする。
また、本発明は、前記膨出壁は、前記基板部の長さ方向と直交する平面で切断した形状が直角三角形を呈し、前記リブに面する空間に前記直角三角形の斜辺は面し、前記直角三角形の残りの二辺のうちの一辺は前記リブに接続され、残りの二辺のうちの他の一辺は前記基板部に接続され、前記孔は、前記膨出壁の長さ方向に間隔をおいた箇所毎に2つ設けられ、前記リブに面する空間に前記2つの孔が面する箇所は、前記直角三角形の斜辺が前記リブに接続される角部の箇所と、前記斜辺が前記基板部に接続される角部の箇所であることを特徴とする。
また、本発明は、前記膨出壁は、前記基板部の幅方向において隣り合うリブの間にわたって設けられ、前記膨出壁が前記隣り合うリブの間の空間に面する箇所は、前記リブの間の中央に位置する箇所が前記基板部側に最も窪み前記隣り合うリブに向かうにつれて前記基板部から離れる方向に変位する湾曲面で形成され、前記空気通路は、前記リブの間の中央に位置する前記膨出壁の箇所に設けられ、前記孔が前記隣り合うリブの間の空間に面する箇所は、前記リブの間の中央に位置する前記湾曲面の箇所であることを特徴とする。
また、本発明は、厚さおよび幅よりも大きい長さを有する基板部と、前記基板部の幅方向に間隔をおいた複数箇所から前記基板部の厚さ方向に突出し前記基板部の長さ方向に延在する複数のリブとを備え、トンネルの内壁面に前記内壁面を覆うように取着される防水シートの前記内壁面と反対に位置する内面に前記基板部が取着されるウォーターバリアであって、前記ウォーターバリアに、前記リブに面する空間に連通し空気の流通を可能としかつコンクリートの流通を不能とし前記基板部の長さ方向に延在する空気流通部が設けられ、前記隣り合う前記リブの間に位置する前記基板部の箇所に、空気の流通を可能としコンクリートの流通を不能とした空気流通用部材が前記基板部の長さ方向に延在して設けられ、前記空気流通部は、前記空気流通用部材を含んで構成され、前記基板部、前記リブ、前記空気流通部は型により一体成形されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、コンクリートの打設時に、特にトンネルの天端近傍において、リブに面する空間の空気を空気流通部を介して排気することができるため、リブに面する空間に空気が残留することが防止されるとともに、リブに面する空間にコンクリートを隙間なく確実に効率的に充填させる上で有利となる。
したがって、排気注入ホースをウォーターバリアのリブ間に挿入しホットメルト接着剤を用いて取り付ける面倒な作業が不要となるため、トンネルの施工効率の向上を図る上で有利となる。
また、排気注入ホースが不要となるため、トンネルの施工コストの低減を図る上で有利となる。
また、ウォーターバリアと別部材である排気注入ホースを省略できるので、コンクリートが充填されない隙間が生じて水みちとなることが無く、漏水の抑制を図る上で有利となる。
また、空気流通用部材を用いることにより、空気流通部を簡単に確実に形成する上で有利となる。
また、ウォーターバリアと防水シートとを型により一体成形すると、部品点数を削減でき、取り扱い上有利となる。
また、膨出壁を設けると、膨出壁の内部に空気通路を形成でき、空気流通部を簡単に確実に形成する上で有利となる。
また、膨出壁の断面形状を矩形あるいは直角三角形で形成し、あるいは膨出壁に湾曲面を形成しておくと、コンクリート打設時の空気を効率良く排気する上で有利となり、コンクリートを隙間なく確実に効率的に充填させる上で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施の形態のウォーターバリアが適用されたトンネルの正面断面図であり、(A)は二次覆工前の状態を示し、(B)は二次覆工後の状態を示す。
図2】第1の実施の形態のウォーターバリアが適用されたトンネルの縦断面図であり、二次覆工前の状態を示している。
図3】第1の実施の形態のウォーターバリアが適用されたトンネルの縦断面図であり、二次覆工後の状態を示している。
図4】第1の実施の形態のウォーターバリアが適用されたトンネルの天端部分を示す縦断面図であり、二次覆工前の状態を示している。
図5】第1の実施の形態のウォーターバリアが適用されたトンネルの天端部分を示す縦断面図であり、二次覆工後の状態を示している。
図6】(A)は第1の実施の形態のウォーターバリアの平面図、(B)はウォーターバリアの空気流通部が位置した部分を基板部の長さ方向と直交する平面で切断した断面図、(C)は空気流通部が位置していない部分を基板部の長さ方向と直交する平面で切断した断面図、(D)は(A)のD矢視図である。
図7】ウォーターバリアの空気通路の配置状態を模式的に示す説明図である。
図8】(A)は第2の実施の形態のウォーターバリアの空気流通部が位置した部分を基板部の長さ方向と直交する平面で切断した断面図、(B)は空気流通部が位置していない部分を基板部の長さ方向と直交する平面で切断した断面図である。
図9】(A)は第3の実施の形態のウォーターバリアの空気流通部が位置した部分を基板部の長さ方向と直交する平面で切断した断面図、(B)は空気流通部が位置していない部分を基板部の長さ方向と直交する平面で切断した断面図である。
図10】第4の実施の形態のウォーターバリアを基板部の長さ方向と直交する平面で切断した断面図である。
図11】二次覆工時に天端部分に空気が残存した状態を示すトンネルの正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の実施の形態)
次に本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1(A)に示すように、地山18が掘削され、その内面にコンクリートを吹き付けることで一次覆工20が施工され、一次覆工20の内面に防水シート14が被せられる。
図1(B)に示すように、防水シート14の内側にコンクリート打設型枠16が配置され、コンクリート打設型枠16の型枠面1602と防水シート14との間にコンクリート22が打設されることでトンネル10の二次覆工がなされる。
なお、符号13はトンネル10の床版を示す。
本発明において、トンネル10の内壁面12とは、掘削された地山18の内面(トンネル地山内面)、あるいは、地山18の内面にコンクリートを吹き付けることで施工された一次覆工20の内面である。
本実施の形態では、トンネル10の内壁面12が一次覆工20の内面で構成されている場合について説明する。
【0013】
コンクリート打設型枠16はトンネル10内を移動可能でトンネル10内に配設される。
コンクリート打設型枠16は、トンネル10の内壁面12に対向しトンネル10の長さ方向に沿った長さとトンネル10の周方向に沿った幅とを有する湾曲状の型枠面1602を備える。
また、コンクリート打設型枠16には、型枠面1602に開口する複数の打設口1604が設けられている。
本実施の形態では、打設口1604は、トンネル10の周方向に間隔をおいて9個、トンネル10の長さ方向に間隔をおいて5個、合計45個の打設口1604が設けられている。
各打設口1604には、コンクリート22が吐出される不図示の打設管の先部が連通している。
また、各打設口1604には不図示の閉鎖板が設けられ、閉鎖板は不図示のアクチュエータにより、コンクリート22の打設時に閉鎖板が打設口1604を開放する開放位置に移動され、コンクリート22の打設後に閉鎖板が打設口1604を閉塞する閉塞位置に移動される。
【0014】
防水シート14は不透水性であり、図2図5に示すように、防水シート14は、シート本体24を備えている。シート本体24は、地山18の水がトンネル10内に侵入することを阻止するものであり、合成樹脂シート等の防水性材料から形成され、幅と幅よりも大きい寸法の長さを有する矩形状を呈している。
シート本体24の幅は、トンネル10の内壁面12の周方向の長さに対応した寸法で形成され、シート本体24の長さは、コンクリート打設型枠16の長さに対応した寸法で形成されている。
シート本体24は、その長さ方向をトンネル10の長さ方向に沿わせて、その幅方向をトンネル10の周方向に沿わせて内壁面12を覆うように内壁面12に取り付けられている。
シート本体24の取り付けは、例えば、トンネル10の内壁面12に予め取り付けられた不図示のアンカーやボルトの頭部にシート本体24の箇所が溶着されることでなされる。
なお、防水シート14には、トンネル施工時に防水シートとして用いられるポリエチレン、ポリプロピレンなどの従来公知の様々な樹脂が採用可能である。
【0015】
ウォーターバリア26Aは、図2図3に示すように、トンネル10の周方向に沿って延在する二次覆工のコンクリート22の打継目Jに対応するシート本体24の箇所に、その長さ方向をシート本体24の周方向に延在させて取り付けられている。
なお、図2図3においてウォーターバリア26Aはその形状を省略しウォーターバリア26Aの箇所を破線で示している。
図4図5図6(A)~(D)に示すように、ウォーターバリア26Aは、基板部28と、複数のリブ30と、膨出壁32と、空気流通部35とを備えている。
ウォーターバリア26Aは、後述する空気流通用部材3504を除いて、シート本体24と同材料で形成され、トンネル10の内壁面12に防水シート14が敷設されるときに、ウォーターバリア26Aがシート本体24の形状に追従して変形しやすいように図られている。
基板部28は、幅よりも大きい長さを有し、その幅方向がトンネル10の長さ方向に向けられ、その長さ方向がトンネル10の内壁面12の周方向に向けてシート本体24に取着されている。
リブ30は、基板部28の幅方向に間隔をおいた複数箇所から基板部28の厚さ方向に突出し、基板部28の長さ方向に沿って延在している。
【0016】
膨出壁32は、基板部28の幅方向において隣り合うリブ30と、基板部28とで形成されるトンネル断面の中央に向けて開放状の空間S1に面する箇所に設けられ、かつ、隣り合うリブ30のうちの一方のリブ30の基部と基板部28とにわたって形成されている。
本実施の形態では、基板部28の長さ方向と直交する平面で切断した膨出壁32の断面形状は矩形であり、膨出壁32の矩形の一辺が基板部28に接続され、前記一辺に直交する他の一辺がリブ30に接続され、膨出壁32はリブ30と共に基板部28の長さ方向に延在している。
膨出壁32の内部に空気通路34が形成され、空気通路34は膨出壁32と共に基板部28の長さ方向に延在している。
【0017】
より詳細には、リブ30に面する空間S1に膨出壁32が面する箇所で膨出壁32の長さ方向に間隔をおいた複数箇所に、リブ30に面する空間S1と空気通路34とを連通する孔3502が設けられ、それら孔3502に、空気の流通を可能としコンクリート22の流通を不能とした空気流通用部材3504が充填されている。
このような空気流通用部材3504としてガラス繊維、岩綿、石綿、不織布、不織布以外の布、発泡材料など多孔質材料やその他従来公知の様々な材料が使用可能である。
本実施の形態では、空気流通用部材3504は、膨出壁32の長さ方向に間隔をおいた箇所毎に2つ設けられている。
2つの空気流通用部材3504が隣り合うリブ30の間の空間S1に面する箇所は、矩形の一辺がリブ30に接続され一辺とリブ30とにより形成される角部の箇所35Aと、一辺と直交する矩形の他の一辺が基板部28に接続され一辺と基板部28とにより形成される角部の箇所35Bである。
したがって、本実施の形態では、リブ30に面する空間S1に連通し、空気の流通を可能としかつコンクリートの流通を不能とし基板部28の長さ方向に延在する空気流通部35が基板部28に設けられ、空気流通部35は、膨出壁32に形成された孔3502と、孔3502に充填された空気流通用部材3504と、空気通路34とを含んで構成されている。
【0018】
また、本実施の形態では、防水シート14がトンネル10の内壁面12に取り付けられた状態で、図7に示すように、空気通路34の床版13寄りの2箇所には、空気通路34に連通しトンネル10の内側に突出する排気用管部36が設けられ、あるいは、空気通路34に連通しトンネル10の内側に突出する排気用管部36が係脱可能に結合する筒状の結合部が設けられている。
このような構成のウォーターバリア26Aは型により一体成形され、言い換えると、基板部28、リブ30、膨出壁32、空気通路34、空気流通部35、排気用管部36または筒状の結合部を有するウォーターバリア26Aは型により一体成形されている。
【0019】
次に、本実施の形態のウォーターバリア26Aを用いたトンネル10の施工について説明する。
予め、掘削された地山18の内面に一次覆工20がなされているものとする。
まず、図1図2図4に示すように、防水シート14のシート本体24を、その長さ方向をトンネル10の長さ方向に沿わせて、その幅方向をトンネル10の周方向に沿わせ、内壁面12を覆うように内壁面12に取り付ける。
この取り付けは、不図示のアンカーやボルトの頭部にシート本体24の箇所を溶着することでなされる。
【0020】
また、図3図5に示すように、トンネル10の周方向に沿って延在する二次覆工のコンクリート22の打継目Jに対応する箇所に位置するようにウォーターバリア26Aの基板部28をシート本体24の内面に取り付ける。
この場合、基板部28のシート本体24への取り付けは、例えば、防水シート14の工場で行ってもよく、あるいは、トンネル10近傍の平坦な現場で行ってもよく、あるいは、トンネル10の内壁面に敷設されたシート本体24の内面に基板部28を取り付けても良い。
基板部28の取り付けは、図5に示すように、トンネル10内側から見て、トンネル10の長さ方向において打継目Jを挟んで同じ数のリブ30が位置し、かつ、それらリブ30が打継目Jに沿って延在するようになされる。
この取り付けは、基板部28の箇所をシート本体24の内面に溶着することでなされる。
したがって、リブ30および膨出壁32は、図4に示すように、トンネル断面の中央部に向いた状態でトンネル10の周方向に沿って延在している。
【0021】
なお、2つのウォーターバリア26Aを二次覆工のコンクリート22の打継目Jの両側に並べて配置してもよく、あるいは、ウォーターバリア26Aを二次覆工のコンクリート22の打継目Jと無関係の位置に配置してもよく、何れの場合もウォーターバリア26Aによって漏水がトンネル10の長さ方向全域にいきわたりトンネル10内への漏水が防止されることに変わりはない。
【0022】
図7に示すように、排気用管部36の先端は、コンクリート打設型枠16に設けられた開口を介して、コンクリート打設型枠16の内側の空間S2に導入され、コンクリート打設型枠16内において排気用管部36の先端は、大気に開放されていてもよいし、不図示の真空ポンプに接続されていてもよい。
【0023】
このように防水シート14、ウォーターバリア26Aがトンネル10の内壁面12に配置されたならば、図1(B)に示すように、コンクリート打設型枠16の周方向の一方の半部の下方の打設口1604からコンクリート22を打設し、次にコンクリート打設型枠16の周方向の他方の半部の下方の打設口1604からコンクリート22を打設し、このように下方から上方へとコンクリート打設型枠16の型枠面1602とトンネル10の内壁面12との間にコンクリート22を打設する作業が行われる。
コンクリート22の打設に伴いウォーターバリア26Aの隣り合うリブ30間の空間S1に存在していた空気は、コンクリート22の進入に伴って空気流通用部材3504を通り、空気通路34、排気用管部36を介してコンクリート打設型枠16の内側の空間S2に順次排気され、その空気と入れ替わるようにして隣り合うリブ30間の空間S1にコンクリート22が充填される。
【0024】
本実施の形態によれば、空気流通用部材3504と空気通路34とを含む空気流通部35を有するウォーターバリア26Aを型により一体成形した。
したがって、コンクリート22の打設時に、特にトンネル10の天端近傍において、リブ30に面する空間S1の空気を空気流通部35を介して排気することができるため、リブ30に面する空間S1に空気が残留することが防止されるとともに、リブ30に面する空間S1にコンクリート22を隙間なく確実に効率的に充填させる上で有利となる。
また、コンクリート22の打設時に、排気用管部36および真空吸引ポンプを介して空気流通部35を介してリブ30に面する空間S1の空気を強制的に吸引排気すれば、リブ30に面する空間S1に空気が残留して空隙が生じることを抑制する上でより有利となり、リブ30に面する空間S1にコンクリート22を隙間なく確実に効率的に充填させる上でより有利となる。
また、トンネル10の天端近傍において、コンクリート22の打設時に、ウォーターバリア26Aに形成される角部に空気が停滞しがちであるが、本実施の形態では、角部の箇所35A、35Bに空気流通部35が面しているので、角部の箇所35A、35Bの空気を排気でき、リブ30に面する空間S1にコンクリート22を隙間なく確実に効率的に充填させる上でより有利となる。
【0025】
そして、従来技術において必要であった排気注入ホースをウォーターバリア26Aのリブ30間に挿入しホットメルト接着剤を用いて取り付ける面倒な作業が不要となるため、数キロ、数十キロのトンネル10において、排気注入ホースを何百本も取り付ける面倒な作業を省略でき、トンネル10の施工効率の向上を図る上で有利となる。
また、何百本もの排気注入ホースが不要となるため、トンネル10の施工コストの低減を図る上で有利となる。
また、ウォーターバリア26Aと別部材である排気注入ホースを省略できるので、従来のように排気注入ホースの円形の外周面と、ウォーターバリア26Aの矩形の空間の角部との間にコンクリート22が充填されない隙間が生じて水みちとなることが無く、漏水の抑制を図る上で有利となる。
特に、トンネル10の出入口付近に補強用の鉄筋が構築され、それら鉄筋が二次覆工コンクリート22に埋設される場合、地山18内の水、特に酸性の水が二次覆工コンクリート22内に漏水すると、鉄筋が腐食して膨張し、二次覆工コンクリート22にひび割れが生じることが懸念される。
しかしながら、本実施の形態によれば、このような漏水が抑制されるため、二次覆工コンクリート22のひび割れの抑制を図る上で有利となる。
【0026】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態について図8(A)、(B)を参照して説明する。
なお、以下の実施の形態では、第1の実施の形態と同様の部分、部材については第1の実施の形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
第2の実施の形態は、ウォーターバリア26Bの膨出壁32の断面形状が第1の実施の形態と異なっており、基板部28の長さ方向と直交する平面で切断した膨出壁32の断面形状は、直角三角形を呈している。
直角三角形を構成する膨出壁32の斜辺3202は、隣り合うリブ30の間の空間S1に面し、直角三角形を形成する膨出壁32の一辺はリブ30に接続され、この一辺に直交する他の一辺は基板部28に接続している。
【0027】
リブ30に面する空間S1に面する膨出壁32の箇所で膨出壁32の長さ方向に間隔をおいた複数箇所に、空間S1と空気通路34とを連通する孔3502が設けられ、それら孔3502に、空気の流通を可能としコンクリート22の流通を不能とした空気流通用部材3504が充填されている。
本実施の形態では、空気流通用部材3504は、膨出壁32の長さ方向に間隔をおいた箇所毎に2つ設けられている。
リブ30に面する空間S1に2つの空気流通用部材3504が面する箇所は、直角三角形の斜辺3202がリブ30に接続される角部の箇所35Cと、斜辺3202が基板部28に接続される角部の箇所35Dであり、コンクリート22の打設時にトンネル10の天端近傍において、空気が停滞しがちな角部の箇所35C、35Dの空気を排気し、空間S1へのコンクリート22の充填を円滑に行なう上で有利となっている。
したがって、本実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、基板部28に、リブ30に面する空間S1に連通し、空気の流通を可能としかつコンクリートの流通を不能とし基板部28の長さ方向に延在する空気流通部35が設けられ、空気流通部35は、膨出壁32に形成された孔3502と、孔3502に充填された空気流通用部材3504と、空気通路34とを含んで構成されている。
【0028】
このような第2の実施の形態においても第1の実施の形態と同様の効果が奏される他、直角三角形を形成する膨出壁32の斜辺3202は、リブ30と、基板部28とで形成されるトンネル断面の中央に向けて開放状の空間S1の一部を仕切る。
そのため、膨出壁32の斜辺3202の一端は基板部28に対して鈍角をなして交わり、膨出壁32の斜辺3202の他端はリブ30に対して鈍角をなして交わることから、空間S1へのコンクリート22の充填を円滑に行なう上で有利となっている。
【0029】
(第3の実施の形態)
次に、第3の実施の形態について図9(A)、(B)を参照して説明する。
第3の実施の形態は、第2の実施の形態と同様に、ウォーターバリア26Cの膨出壁32の断面形状が第1の実施の形態と異なっている。
すなわち、基板部28の長さ方向と直交する平面で切断した膨出壁32の断面形状は、その幅方向の両側が隣り合うリブ30に接続されると共に高さ方向の端部が基板部28に接続されている。
膨出壁32が隣り合うリブ30の間の空間S1に面する箇所は、リブ30の間の中央に位置する箇所が基板部28側に最も窪み隣り合うリブ30に向かうにつれて基板部28から離れる方向に変位する湾曲面3210で形成されている。
隣り合うリブ30の間の空間S1に面する湾曲面3210の箇所で湾曲面3210の長さ方向に間隔をおいた複数箇所に、空間S1と空気通路34とを連通する孔3502が設けられ、それら孔3502に、空気の流通を可能としコンクリート22の流通を不能とした空気流通用部材3504が充填されている。
空気流通用部材3504は、リブ30の間の中央に位置する膨出壁32の箇所に設けられ、湾曲面3210の幅方向の中央に設けられている。
したがって、本実施の形態では、リブ30に面する空間S1に連通し空気の流通を可能としかつコンクリート22の流通を不能とし基板部28の長さ方向に延在する空気流通部35が、第1の実施の形態と同様に、孔3502と、孔3502に充填された空気流通用部材3504と、空気通路34とを含んで構成されている。
【0030】
このような第3の実施の形態においても第1の実施の形態と同様の効果が奏される他、トンネル10の天端近傍において隣り合うリブ30の間に位置する膨出壁32の湾曲面3210は上方に凸状を呈しており、したがって、コンクリート22の打設時にトンネル10の天端近傍において、湾曲面3210により空気流通用部材3504、空気通路34を介して排出しやすく、空間S1へのコンクリート22の充填を円滑に行なう上で有利となっている。
なお、膨出壁32をリブ30と離間させて基板部28に設けてもよいが、第1~第3の実施の形態のように膨出壁32をリブ30と基板部28とにわたって設けると、空気を効率良く排出する上で、また、空気流通部35を有するウォーターバリア26Aを型により簡単に一体成形する上で有利となる。
また、リブ30に基板部28と離間させて空気流通部35を設けてもよいが、第1~第3の実施の形態のように空気流通部35を基板部28に設けると、空気を効率良く排出する上で、また、空気流通部35を有するウォーターバリア26Aを型により簡単に一体成形する上で有利となる。
【0031】
(第4の実施の形態)
次に、第4の実施の形態について図10を参照して説明する。
第4の実施の形態のウォーターバリア26Dは、基板部28に、基板部28の長さ方向に延在する空気流通用部材3504が設けられている。
基板部28の長さ方向と直交する平面で切断した空気流通用部材3504の形状は矩形を呈し、矩形の一辺は基板部28に接続され、この一辺に直交して互いに対向する2つの辺は、隣り合うリブ30に接続され、残りの一辺は、隣り合うリブ30の間の空間S1に面している。
【0032】
空気流通用部材3504は、第1~第3の実施の形態と同様で、空気の流通を可能としコンクリート22の流通を不能とした材料で形成されている。
また、第1の実施の形態と同様に、防水シート14がトンネル10の内壁面12に取り付けられた状態で、図7に示すように、空気流通用部材38の床版13寄りの2箇所には、空気流通用部材38の内部に連通しトンネル10の内側に突出する排気用管部36が設けられ、あるいは、空気流通用部材3504の内部に連通しトンネル10の内側に突出する排気用管部36が係脱可能に結合する筒状の結合部が設けられている。
そして、基板部28、リブ30、空気流通用部材3504、排気用管部36または筒状の結合部は型により一体成形されている。
したがって、本実施の形態では、リブ30に面する空間S1との空気の流通を可能としかつコンクリート22の流通を不能とし基板部28の長さ方向に延在する空気流通部35が、空気流通用部材3504で構成されている。
【0033】
第4の実施の形態によれば、コンクリート22の打設時に空気流通用部材38の表面をコンクリート22が覆うことにより、コンクリート22とリブ30の表面と基板部28の表面とで囲まれた空気流通用部材38の内部が、第1~第3の実施の形態の空気通路34として機能する。
したがって、空気流通部35を介してリブ30に面する空間S1の空気が排気されるため、第1の実施の形態と同様の効果が奏される。
また、空気流通用部材38は、隣り合うリブ30間にわたる幅を有し、隣り合うリブ30間の全域に位置しているため、コンクリート22の打設時にトンネル10の天端近傍において、隣り合うリブ30間に残存した空気を効率よく排気する上で有利となっている。
なお、空気流通用部材3504は、リブ30と離間した基板部28の箇所に設けてもよいが、第4の実施の形態のように、空気流通用部材3504を隣り合うリブ30と基板部28とにわたって設けると、空気を効率良く排出する上で、また、空気流通部35を有するウォーターバリア26Aを型により簡単に一体成形する上で有利となる。
また、空気流通用部材3504を基板部28から離間させてリブ30に設けてもよいが、第4の実施の形態のように空気流通用部材3504を基板部28に設けると、空気を効率良く排出する上で、また、空気流通部35を有するウォーターバリア26Aを型により簡単に一体成形する上で有利となる。
【0034】
なお、実施の形態では、排気用管部36を床版13近傍に配置した場合について説明したが、排気用管部36の配置位置は任意である。
例えば、排気用管部36をトンネル10の天端近傍に配置すると、トンネル10の天端近傍においてコンクリート22と防水シート14との間に残存する空気を確実に排気する上で有利となる。
この場合、天端近傍に設けた排気用管部36の先端に真空吸引ポンプを接続して空気を強制的に吸引排気するようにすれば、空隙が生じやすい天端近傍の隣り合うリブ30間の空間S1に空気が残留して空隙が生じることを抑制する上でより一層有利となり、リブ30間にコンクリート22を隙間なく確実に効率的に充填させる上でより一層有利となる。
また、本実施の形態では、防水シート14とウォーターバリア26A~26Dとが別体である場合について説明したが、本発明は、防水シート14とウォーターバリア26A~26Dとが一体化されたウォーターバリア一体型の防水シートにも無論適用される。この場合には、シート本体24の上に基板部28が位置することになり、このように一体化することで部品点数が減少するため、取り扱い上有利となる。
また、本実施の形態では、空気流通部35を空間S1の空気を排気する排気路として利用する場合について説明したが、必要に応じ空間S1に注入材を充填させる充填路として利用するなどその使用方法は任意である。
【符号の説明】
【0035】
10 トンネル
12 内壁面
14 防水シート
22 コンクリート
24 シート本体
26A~26D ウォーターバリア
28 基板部
30 リブ
32 膨出壁
3202 斜辺
3210 湾曲面
34 空気通路
35 空気流通部
3502 孔
3504 空気流通用部材
35A~35D 角部の箇所
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11