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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-28
(45)【発行日】2022-02-07
(54)【発明の名称】リジッド多層プリント配線板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/46 20060101AFI20220131BHJP
   H05K 1/02 20060101ALN20220131BHJP
【FI】
H05K3/46 Z
H05K3/46 G
H05K1/02 B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018080269
(22)【出願日】2018-04-18
(65)【公開番号】P2019192680
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2020-04-27
(73)【特許権者】
【識別番号】591017353
【氏名又は名称】株式会社キョウデン
(74)【代理人】
【識別番号】100139996
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 洋子
(72)【発明者】
【氏名】鶴巻 健一
(72)【発明者】
【氏名】押野 洋平
(72)【発明者】
【氏名】柏原 優樹
【審査官】柴垣 宙央
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-251625(JP,A)
【文献】特開2001-185854(JP,A)
【文献】特開2006-228887(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/46
H05K 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
層構成材を積層してリジッド多層プリント配線板を製造する方法であって、
少なくとも一方面部に第1の導体層が積層されたコア材の当該第1の導体層を所定の回路パターンとする工程と、
この第1の導体層上に樹脂組成物からなる樹脂ダム層を1つ以上インクジェット印刷により印刷する工程と、
この第1の導体層上に少なくとも1つずつの第1の樹脂層及び第2の導体層をその一方側面部が前記樹脂ダム層の一方側面部と接するように積み重ねる工程と、
前記樹脂ダム層及び各層構成材を加熱する工程とを含み、
前記樹脂ダム層及び各層構成材は加熱により積層状態となり、
前記コア材はエポキシ樹脂を含む樹脂組成物を含侵させたプリプレグの熱硬化物であり、
前記樹脂ダム層の膜厚と前記第1の樹脂層及び第2の導体層を併せた高さとは同等となるよう構成され、
前記樹脂ダム層の他方側面部と前記第1の導体層のうち前記第1の樹脂層及び第2の導体層が積層されていない領域の最外面とはL字型若しくは逆L字型となるよう構成されることにより、一部の膜厚が他の部分の膜厚と異なるように構成されることを特徴とするリジッド多層プリント配線板の製造方法。
【請求項2】
層構成材を積層してリジッド多層プリント配線板を製造する方法であって、
少なくとも一方面部に第1の導体層が積層されたコア材の当該第1の導体層を所定の回路パターンとする工程と、
この第1の導体層上に樹脂組成物からなる樹脂ダム層を1つ以上インクジェット印刷により印刷する工程と、
この第1の導体層上に少なくとも1つずつの第1の樹脂層及び第2の導体層をその一方側面部が前記樹脂ダム層の一方側面部近傍となるよう間隙部を設けて積み重ねる工程と、
前記樹脂ダム層及び各層構成材を加熱する工程とを含み、
前記樹脂ダム層及び各層構成材は加熱により積層状態となり、
前記コア材はエポキシ樹脂を含む樹脂組成物を含侵させたプリプレグの熱硬化物であり、
加熱時に前記第1の樹脂層から流出した樹脂組成物が前記間隙部に流入し硬化して樹脂硬化物となり、この樹脂硬化物を介して前記樹脂ダム層、前記第1の樹脂層及び第2の導体層とが隣接するように積層状態となり、
前記樹脂ダム層の膜厚、前記第1の樹脂層及び第2の導体層を併せた高さ並びに前記樹脂硬化物の高さは同等となるよう構成され、
前記樹脂ダム層の他方側面部と前記第1の導体層のうち前記第1の樹脂層及び第2の導体層が積層されていない領域の最外面とはL字型若しくは逆L字型となるよう構成されることにより、一部の膜厚が他の部分の膜厚と異なるように構成されることを特徴とするリジッド多層プリント配線板の製造方法。
【請求項3】
前記樹脂ダム層は前記第1の導体層上に四角形の輪郭を呈するように印刷されることを特徴とする請求項1に記載のリジッド多層プリント配線板の製造方法。
【請求項4】
更に前記樹脂ダム層の上面部と前記第2の導体層の上面部に接するように第2の樹脂層を積み重ね前記第2の樹脂層の上面部に第3の導体層を積み重ねる工程とを含み、
前記第2の樹脂層及び第3の導体層はその一方側面部が前記樹脂ダム層の他方側面部と垂直上で同一直線上に存するよう積み重ねられ、
前記樹脂ダム層の他方側面部及び前記第2の樹脂層及び第3の導体層の一方側面部と前記第1の導体層のうち前記第1の樹脂層及び第2の導体層が積層されていない領域の最外面とはL字型若しくは逆L字型となるよう構成されることを特徴とする請求項2に記載のリジッド多層プリント配線板の製造方法。
【請求項5】
層構成材を積層してリジッド多層プリント配線板を製造する方法であって、
少なくとも一方面部に第1の導体層が積層されたコア材の当該第1の導体層を所定の回路パターンとする工程と、
この第1の導体層上に第1の樹脂ダム層を1つ以上インクジェット印刷により印刷する工程と、
この第1の導体層上にその一方側面部が前記第1の樹脂ダム層の一方側面部と接するように第1の樹脂層を積み重ねる工程と、
この第1の樹脂層の上面部及び前記第1の樹脂ダム層の上面部と接し且つその一方側面部が前記第1の樹脂ダム層の他方側面部よりも外側に突出するように放熱層を積み重ねる工程と、
この放熱層上に第2の樹脂ダム層を1つ以上インクジェット印刷により印刷する工程と、
この放熱層上に第2の樹脂層をその一方側面部が前記第2の樹脂ダム層の一方側面部と接するように積み重ねる工程と、
第3の樹脂層の上面部に第3の導体層及び下面部に第2の導体層をそれぞれ積層した銅張積層板を第2の樹脂層の上面部及び前記第2の樹脂ダム層の上面部と接するように積み重ねる工程と、
記第1の樹脂ダム層、第2の樹脂ダム層及び各層構成材を加熱する工程と、
前記コア材及び前記第1の導体層を前記第1の樹脂ダム層の他方側面部と垂直上で同一直線上に存する位置で切断してその一部を除去する工程と、
前記第2の導体層、第3の樹脂層及び第3の導体層を前記第2の樹脂ダム層の他方側面部と垂直上で同一直線上に存する位置で切断してその一部を除去する工程とを含み、
前記第1の樹脂ダム層、第2の樹脂ダム層及び各層構成材は加熱により積層状態となり、
前記コア材は樹脂材または中間材の硬化物であり、
前記第1の樹脂層の高さと前記第1の樹脂ダム層の膜厚とは同等となるよう,
且つ前記第2の樹脂層の高さと前記第2の樹脂ダム層の膜厚とは同等となるよう構成され、
前記放熱層は放熱性を有する素材からなり、この放熱層が前記第1の樹脂ダム層の他方側面部及び第2の樹脂ダム層の他方側面部よりも外層側に突出するように露出状態となることを特徴とするリジッド多層プリント配線板の製造方法。
【請求項6】
所定位置にビアホールを形成する工程を含むことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のリジッド多層プリント配線板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リジッド多層プリント配線板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の電子制御装置の性能向上に伴い、これに用いられる電子回路実装基板に実装される電子部品の数は増加傾向にある。しかし一方で、電子制御装置の小型化も進んでおり、電子制御装置内部の空間は減少傾向にある。
そのため、電子回路実装基板においても、電子部品の高密度実装化と併せ、これが組み込まれる電子制御装置内スペースの効率的な活用が課題の1つとなっている。
【0003】
上記課題を解決する方法として、フレキシブルプリント配線板やフレキシブルリジッドプリント配線板を用いてこれに電子部品を実装し、屈曲した状態で当該基板を電子制御装置に組み込む方法が広く用いられている(特許文献1参照)。
しかしフレキシブルプリント配線板は可撓性が高い一方で耐熱性や耐久性が低いものが多く、また特殊な性能を有する樹脂ではフレキシブルプリント配線板化が難しいものもある。
またフレキシブルリジッドプリント配線板の場合、フレキシブル部の素材とリジッド部の素材とが異なる場合には熱膨張係数の差により破損が生じ易くなる虞がある。また上述の通り、特殊な性能を有する樹脂ではフレキシブル部の素材として利用できない虞があるため、可撓性が高く且つ所望の特性を有する基板を作製することは難しい。
【0004】
そこでリジッドプリント配線板(多層板)の一部の厚みを薄くして当該部分に可撓性(所謂、屈曲性)を持たせた屈曲式リジットプリント配線板の製造方法が提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-8315号公報
【文献】国際公開第2007/013595号公報
【0006】
特許文献2においては、硬質のコア材に間隙部分を設け、当該コア材の表面に間隙部分を含め耐熱性樹脂層を積層し、裏面に間隙部分を除いて耐熱性樹脂層を積層する方法や、上記間隙部分に耐熱性樹脂材を埋没し、上記コア材の両面に耐熱性樹脂層を積層してこれに回路(導体層)を形成した後、上記間隙部分に埋設させた耐熱性樹脂材を対応する耐熱性樹脂層及び導体層と共に除去する方法が開示されている。
このような方法の場合、前提としてコア材に間隙部分を形成する工程が必要となる。またコア材の間隙部分に埋没した耐熱性樹脂材の素材として特許文献2の段落[0016]でテフロン(登録商標)シート、シリコンゴム等を列挙しているが、これらはいずれもコア材等とは接着し難い(離型性の高い)樹脂である。そのため、耐熱性樹脂材の厚み、大きさ及び幅等によっては、例えば積層された耐熱性樹脂層の熱圧着時において、耐熱性樹脂層から溶出した耐熱性樹脂が間隙部分のうちコア材と耐熱性樹脂材との隙間に入り込み易く、耐熱性樹脂材の除去において手間がかかる虞がある。またこの場合、コア材と耐熱性樹脂材との隙間に入り込んだ前記耐熱性樹脂が設計上望ましくない部分に付着して硬化する可能性があり、耐熱性樹脂材の除去時に併せて不要な硬化物を除去して耐熱性樹脂層の表面を平滑にしなければならない虞がある。
【0007】
また耐熱性樹脂材の除去において間隙部分に切込みを入れて耐熱性樹脂材を除去する方法を用いる場合、耐熱性樹脂材の厚みに合わせて間隙部分に切込みを入れる必要があり、高い加工精度が要求される。
即ち、例えば特許文献2の段落[0016]で例示しているような厚みが0.4mmの耐熱性樹脂材を用いる場合、仮にコア材の裏面に積層された厚み0.1mmの耐熱性樹脂層と厚み200μm~600μmの銅層(同段落[0017]参照)を併せても切込みを入れる深さ(銅層の裏面から耐熱性樹脂材の表面までの厚み)は0.6mm弱と非常に浅い。そのため、耐熱性樹脂材の除去において、屈曲式リジットプリント配線板を構成する他の層構成材に傷等つけることなく切込みを入れるためには非常に高い加工精度が要求される。
このように、上記方法では耐熱性樹脂材を取り出す際に屈曲式リジットプリント配線板に形成された回路や他の箇所を毀損・破損する虞があり、また除去時に発生した塵やゴミ等が屈曲式リジッドプリント配線板上に異物として残る虞がある。
【0008】
ここで、シリコンゴムのような非結晶素材からなる耐熱性樹脂材は、耐熱性樹脂層等の熱圧着時において形状変化し易い性質を有する。そのため非結晶性素材からなる耐熱性樹脂材を用いる場合、熱圧着時に耐熱性樹脂層から溶出した耐熱性樹脂はコア材と耐熱性樹脂材との隙間に更に入り込み易く、耐熱性樹脂材の除去時に屈曲部の位置、形状、厚み等を所望のものとするために手間を要する虞がある。
【0009】
またテフロン(フッ素樹脂)のような結晶性素材からなる耐熱性樹脂材は、耐熱性樹脂層等の熱圧着時において形状変化はし難いものの、例えばコア材の裏面には間隙部分を除いて耐熱性樹脂層を積層する場合、圧着時に溶出した樹脂が耐熱性樹脂材の裏面にまで及ぶ虞がある。また特にコア材と耐熱性樹脂材との厚みが異なる場合において、溶出した樹脂のコントロール(制御)が難しくなる。
【0010】
なお特許文献1においては、フレキシブル部とリジッド部とを設け、リジッド部の一部に空間部を設けてこれに電子部品を接続し且つこれを密閉する方法が開示されており、電子部品とリジット部とを接続する層とフレキシブル部とが接続しないよう、リジッド部のうち空間部を形成する位置に接着防止材による層を形成してリジッド部を構成する層を積層し、その後空間部を形成するリジッド部の一部と上記接着防止材層とを除去することで空間を形成しているものであり、リジッド部を薄膜化してこれに可撓性を持たせることを目的としていない。またこの方法は、リジッド部の一部を除去し、更に接着防止材層を除去しなければならないために手間がかかる。更にはリジッド部に形成される接着防止材による層は洗浄成分を用いて除去されるため、洗浄しきれずリジッド部に残留した成分がイオン化することにより、基板の信頼性を低下させる虞がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は上記課題を解決するものであり、作製されるリジッド多層プリント配線板のコアとなる層構成材に間隙部分を形成する工程が不要であり、またリジッド多層プリント配線板の製造に用いる層構成材を積み重ねる工程において各層構成材の積み重ね位置を調整することにより作製されるリジッド多層プリント配線板の膜厚を容易に調整し、また外部に露出する層を容易に調整し得るリジッド多層プリント配線板の製造方法を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明に係るリジッド多層プリント配線板の製造方法は、以下の構成を有する。
【0013】
(1)本発明は、上面部及び下面部の少なくとも一方に1つ以上の樹脂ダム層を備える層と他の層とがそれぞれ1つ以上積層されてなるリジッド多層プリント配線板であって、前記樹脂ダム層を備える層及び他の層はそれぞれ導体層及び非導体層の少なくとも一方からなり、前記非導体層は中間材及び樹脂材の少なくとも一方の硬化物から構成され、前記樹脂ダム層の少なくとも1つの一方側面部の一部または全部は、リジッド多層プリント配線板のいずれかの側面部の一部または全部を構成し、当該樹脂ダム層を備える層の当該樹脂ダム層と接する面若しくは当該面側に積層され且つ当該樹脂ダム層と接する他の層の最外面と前記リジッド多層プリント配線板のいずれかの側面部とはL字型または逆L字型となるよう構成されることにより、一部の膜厚が他の部分の膜厚と異なるように構成されるリジッド多層プリント配線板の製造方法であって、1つ以上の導体層並びに中間材、樹脂材及びこれらの硬化物から選ばれる少なくともいずれかの上面部及び下面部の少なくとも一方に樹脂組成物からなる樹脂ダム層を1つ以上形成する樹脂ダム層形成工程と、前記樹脂ダム層の形成される導体層並びに中間材、樹脂材及びこれらの硬化物から選ばれる少なくともいずれかと1つ以上の他の導体層並びに中間材、樹脂材及びこれらの硬化物から選ばれる少なくともいずれかを積み重ねる積重工程とを含み、前記積重工程において、前記樹脂ダム層の形成される導体層並びに中間材、樹脂材及びこれらの硬化物から選ばれる少なくともいずれかと前記他の導体層並びに中間材、樹脂材及びこれらの硬化物から選ばれる少なくともいずれかは、前記樹脂ダム層の少なくとも1つの一方側面部の一部または全部がリジッド多層プリント配線板のいずれかの側面部の一部または全部を構成するように、且つ当該樹脂ダム層を備える導体層並びに中間材、樹脂材及びこれらの硬化物から選ばれる少なくともいずれかの当該樹脂ダム層と接する面若しくは当該面側に積み重ねられて当該樹脂ダム層と接する他の導体層並びに中間材、樹脂材及びこれらの硬化物から選ばれる少なくともいずれかの最外面と前記リジッド多層プリント配線板のいずれかの側面部とがL字型または逆L字型となるように積み重ねられ、前記樹脂ダム層の形成される導体層並びに中間材、樹脂材及びこれらの硬化物から選ばれる少なくともいずれかと前記他の導体層並びに中間材、樹脂材及びこれらの硬化物から選ばれる少なくともいずれかは、リジッド多層プリント配線板の製造工程のいずれかにおいて加熱により積層状態となることをその特徴とする。
【0014】
(2)本発明は、上面部及び下面部の少なくとも一方に1つ以上の樹脂ダム層を備える層と他の層とがそれぞれ1つ以上積層されてなるリジッド多層プリント配線板であって、前記樹脂ダム層を備える層及び他の層はそれぞれ導体層及び非導体層の少なくとも一方からなり、前記非導体層が中間材及び樹脂材の少なくとも一方の硬化物から構成され、前記樹脂ダム層の少なくとも1つの一方側面部の一部または全部は、リジッド多層プリント配線板のいずれかの側面部の一部または全部を構成し、当該樹脂ダム層を備える層の当該樹脂ダム層と接する面若しくは当該面側に積層され且つ当該樹脂ダム層と接する他の層の最外面と前記リジッド多層プリント配線板のいずれかの側面部とはL字型または逆L字型となるよう構成されることにより、一部の膜厚が他の部分の膜厚と異なるように構成されるリジッド多層プリント配線板の製造方法であって、1つ以上の導体層並びに中間材、樹脂材及びこれらの硬化物から選ばれる少なくともいずれかの上面部及び下面部の少なくとも一方に樹脂組成物からなる樹脂ダム層を1つ以上形成する樹脂ダム層形成工程と、前記樹脂ダム層の形成される導体層並びに中間材、樹脂材及びこれらの硬化物から選ばれる少なくともいずれかと1つ以上の他の導体層並びに中間材、樹脂材及びこれらの硬化物から選ばれる少なくともいずれかを積み重ねる積重工程と、前記樹脂ダム層の少なくとも1つの一方側面部の一部または全部がリジッド多層プリント配線板のいずれかの側面部の一部または全部を構成するように、且つ当該樹脂ダム層を備える導体層並びに中間材、樹脂材及びこれらの硬化物から選ばれる少なくともいずれかの当該樹脂ダム層と接する面若しくは当該面側に積み重ねられて当該樹脂ダム層と接する他の導体層並びに中間材、樹脂材及びこれらの硬化物から選ばれる少なくともいずれかの最外面と前記リジッド多層プリント配線板のいずれかの側面部とがL字型または逆L字型となるように、当該樹脂ダム層よりも外層側に積み重ねられる前記他の導体層並びに中間材、樹脂材及びこれらの硬化物から選ばれる少なくともいずれかの一部を除去する除去工程を含み、前記樹脂ダム層の形成される導体層並びに中間材、樹脂材及びこれらの硬化物から選ばれる少なくともいずれかと前記他の導体層並びに中間材、樹脂材及びこれらの硬化物から選ばれる少なくともいずれかは、リジッド多層プリント配線板の製造工程のいずれかの工程において加熱により積層状態となることをその特徴とする。
【0015】
(3)上記(1)または(2)に記載の製造方法にあって、前記樹脂ダム層は、スクリーン印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、インクジェット印刷、ディスペンサー印刷及びオフセット印刷のうち少なくともいずれかの方法により前記樹脂組成物を前記導体層並びに中間材、樹脂材及びこれらの硬化物のうち少なくともいずれかの上面部及び下面部の少なくとも一方に印刷することにより形成され、当該樹脂ダム層はリジッド多層プリント配線板の製造工程のいずれかにおいて紫外線硬化及び熱硬化の少なくとも一方の方法により硬化状態となることをその特徴とする。
【0016】
(4)上記(1)から(3)のいずれか1に記載の製造方法にあって、前記樹脂組成物は、紫外線硬化性樹脂及び熱硬化性樹脂、紫外線硬化性・熱硬化性樹脂の少なくともいずれかを含むことをその特徴とする。
【0017】
(5)本発明は、上記(1)から(4)のいずれか1に記載のリジッド多層プリント配線板の製造方法にあり、前記他の中間材の硬化物からなる非導体層と前記樹脂ダム層とがその一部または全部において同一平面上に存し、当該樹脂ダム層と当該他の中間材の硬化物からなる非導体層とがその一部または全部において当該他の中間材由来の樹脂硬化物を介して隣接するよう構成されるリジッド多層プリント配線板の製造方法であって、前記積重工程において前記樹脂ダム層と前記他の中間材との間に間隙部が設けられるように前記樹脂ダム層の形成される導体層並びに中間材、樹脂材及びこれらの硬化物から選ばれる少なくともいずれかと前記他の中間材とが積み重ねられることをその特徴とする。
【0018】
(6)本発明は、上記(1)から(5)のいずれか1に記載のリジッド多層プリント配線板の製造方法にあり、その一部または全部において同一平面上に存し且つ前記他の中間材由来の樹脂硬化物を介して隣接する前記他の中間材の硬化物からなる非導体層と前記樹脂ダム層とが複数存在するリジッド多層プリント配線板の製造方法であって、前記積重工程において前記樹脂ダム層と前記他の中間材との間に間隙部が設けられるように前記樹脂ダム層の形成される導体層並びに中間材、樹脂材及びこれらの硬化物から選ばれる少なくともいずれかと前記他の中間材とが積み重ねられることをその特徴とする。
【0019】
(7)本発明は、上記(1)から(6)のいずれか1に記載のリジッド多層プリント配線板の製造方法にあって、当該リジッド多層プリント配線板の製造工程のいずれかの工程において、積み重ねられる前記樹脂ダム層の形成される導体層並びに中間材、樹脂材及びこれらの硬化物から選ばれる少なくともいずれかと他の導体層並びに中間材、樹脂材及びこれらの硬化物から選ばれる少なくともいずれか若しくはこれらが積層状態となったものにビアホールを形成する工程を含むことをその特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明のリジッド多層プリント配線板の製造方法は、作製されるリジッド多層プリント配線板のコアとなる層構成材に間隙部分を形成する工程が不要であり、またリジッド多層プリント配線板の製造に用いる層構成材を積み重ねる工程において各層構成材の積み重ね位置を調整することにより作製されるリジッド多層プリント配線板の膜厚を容易に調整し、また外部に露出する層を容易に調整し得る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1の実施形態におけるリジッド多層プリント配線板の製造方法を説明する概略断面図である。
図2】同実施形態の変形例におけるリジッド多層プリント配線板の製造方法である。
図3】同実施形態におけるリジッド多層プリント配線板の概略上面図である。
図4】同実施形態における樹脂ダム層の形成方法の変形例を表わす概略上面図である。
図5】同実施形態におけるリジッド多層プリント配線板を屈曲させた状態の概略断面図である。
図6】本発明の第2の実施形態におけるリジッド多層プリント配線板の製造方法を説明する概略断面図である。
図7】本発明の第3の実施形態におけるリジッド多層プリント配線板の製造方法を説明する概略断面図である。
図8】同実施形態におけるリジッド多層プリント配線板を屈曲させた状態の概略断面図である。
図9】同実施形態の変形例におけるリジッド多層プリント配線板の概略断面図である。
図10】本発明の第4の実施形態におけるリジッド多層プリント配線板の製造方法を説明する概略断面図である。
図11】本発明の第5の実施形態におけるリジッド多層プリント配線板の製造方法を説明する第1概略断面図である。
図12】同実施形態におけるリジッド多層プリント配線板の製造方法を説明する第2概略断面図である。
図13】本発明の第6の実施形態におけるリジッド多層プリント配線板の概略上面図及び概略断面図である。
図14】本発明の第7の実施形態におけるリジッド多層プリント配線板の製造方法を説明する第1概略断面図である。
図15】同実施形態におけるリジッド多層プリント配線板の製造方法を説明する第2概略断面図である。
図16】同実施形態におけるリジッド多層プリント配線板の製造方法を説明する第3概略断面図である。
図17】同実施形態におけるリジッド多層プリント配線板の製造方法を説明する第4概略断面図である。
図18】本発明の第8の実施形態におけるリジッド多層プリント配線板の製造方法を説明する第1概略断面図である。
図19】同実施形態におけるリジッド多層プリント配線板の製造方法を説明する第2概略断面図である。
図20】同実施形態におけるリジッド多層プリント配線板の製造方法を説明する第3概略断面図である。
図21】本発明の第9の実施形態におけるリジッド多層プリント配線板の製造方法を説明する第1概略断面図である。
図22】同実施形態におけるリジッド多層プリント配線板の製造方法を説明する第2概略断面図である。
図23】同実施形態におけるリジッド多層プリント配線板の製造方法を説明する第3概略断面図である。
図24】本発明の第10の実施形態におけるリジッド多層プリント配線板の製造方法を説明する第1概略断面図である。
図25】同実施形態におけるリジッド多層プリント配線板の製造方法を説明する第2概略断面図である。
図26】同実施形態におけるリジッド多層プリント配線板の製造方法を説明する第3概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明のリジッド多層プリント配線板の製造方法の一実施形態について詳細に説明する。なお、本発明が以下の実施形態に限定されるものではないことはもとよりである。
【0023】
<第1の実施形態>
第1の実施形態について、図1を参照して説明する。
先ずコア材111の上面部111aに導体層132を、下面部111bに導体層131をそれぞれ積み重ねて積層状態(接着状態)とする(図1(a)参照)。
【0024】
コア材111は、例えば樹脂材、中間材を熱硬化することにより作製される。コア材111の膜厚は、10μm以上6mm以下であることが望ましい。
本明細書において「層構成材」とは、導体層、非導体層を形成する中間材、樹脂材及びこれらの硬化物をいう。
「樹脂材」とは、エポキシ樹脂等の樹脂を含む接着性樹脂組成物、硬化性樹脂組成物及び絶縁樹脂組成物等の樹脂組成物を他の層構成材に塗布乾燥することにより形成される層、並びにドライフィルム及びボンディングシート等を構成する接着性樹脂組成物、硬化性樹脂組成物及び絶縁樹脂組成物等からなる層のような樹脂組成物からなるシート状の材料をいう。
また本明細書において「中間材」とは、プリプレグのようなエポキシ樹脂等の樹脂を含む接着性樹脂組成物、硬化性樹脂組成物及び絶縁樹脂組成物等の樹脂組成物を含侵させたシートをいう。
【0025】
導体層131,132は、例えば銅等の導体めっき等によりコア材111の上面部111a及び下面部111bにそれぞれ積み重ねられて積層状態とされ得る。
また導体層131,132は、例えばコア材111の上面部111a及び下面部111bに接着性樹脂組成物からなる層(接着層。図示せず)を介するようにこれらをそれぞれ積み重ねて加熱(熱圧着を含む。以下同じ。)され得る。そしてこれにより、当該接着層を介してコア材111の上面部111aと導体層132とが、また下面部111bと導体層131とが積層状態とされ得る。
この場合、導体層131,132として箔状といったシート状の導体を用いてもよく、例えばコア材111の上面部111aに接着層及びシート状の導体層132を順に積み重ね、またコア材111の下面部111bに前記接着層及びシート状の導体層131を順に積み重ねてこれらを加熱して、積層状態にしてもよい。
【0026】
前記接着層は、例えばコア材111の上面部111a及び下面部111bにエポキシ樹脂等の樹脂を含む接着性樹脂組成物を塗布乾燥することにより、コア材111の上面部111a及び下面部111bに積み重ねてもよい。また接着性樹脂組成物からなる樹脂シート(ドライフィルム、ボンディングシート等)やプリプレグのような炭素繊維等に接着性や熱硬化性を有する樹脂を含侵させたシートを用いてコア材111の上面部111a及び下面部111bに積み重ねてもよい。
【0027】
次に導体層132の上面部(コア材111の上面部111aと接していない方の面)に2つの樹脂ダム層121(樹脂ダム層1211,1212)を形成する(図1(b)参照)。
【0028】
導体層132の上面部に樹脂ダム層121を形成する方法としては、例えばスクリーン印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、インクジェット印刷、ディスペンサー印刷及びオフセット印刷のうち少なくともいずれかの方法を用いることができる。また前記樹脂組成物を導体層132の上面部に印刷する回数は、樹脂ダム層121の膜厚の設計内容により適宜調整可能であり、1回であっても複数回であってもよい。
これらの印刷方法のうち、微細な樹脂ダム層121を形成し得ることから、特にインクジェット印刷方法が好ましく用いられる。また一定以上の膜厚の樹脂ダム層121を形成する場合であって、1回の印刷で所望の膜厚を実現したい場合、例えば粘度の高い樹脂組成物をディスペンサー印刷方法を用いて印刷することが好ましい。
【0029】
樹脂ダム層121を形成する層構成材及びその位置は、作製されるリジッド多層プリント配線板100の設計内容やその膜厚を調整したい位置等により適宜調整できる。本実施形態においては、樹脂ダム層1211の側面部121b、樹脂ダム層1212の側面部121cが後述するリジッド多層プリント配線板100の側面部100a,100bをそれぞれ構成するように、その位置を調整して樹脂ダム層121を形成することが望ましい。
また樹脂ダム層121の膜厚は、作製されるリジッド多層プリント配線板100の膜厚、樹脂ダム層121を形成する層構成材及び他の層構成材の膜厚等により適宜調整し得る。
【0030】
また本実施形態においては、樹脂ダム層121は導体層132の上面部に2つ形成されるが、作製されるリジッド多層プリント配線板100の膜厚を調整し得るのであれば、形成される樹脂ダム層121の数は1つであってもよく、また複数であってもよい。
【0031】
樹脂ダム層121の形成に用いられる樹脂組成物は、例えば紫外線硬化性樹脂及び熱硬化性樹脂、紫外線硬化性・熱硬化性樹脂の少なくともいずれかを含むことが好ましい。また前記樹脂組成物には、これら樹脂以外の樹脂、光重合開始剤、熱硬化触媒、溶剤及び添加剤等を適宜配合してもよい。
【0032】
前記紫外線硬化性樹脂としては、紫外線に反応し硬化する官能基を有する樹脂であれば好ましく用いられる。例えば単官能のアクリレート樹脂、多官能のアクリレート樹脂等が挙げられる。これらは、1種単独で又は複数種を組み合わせて用いることができる。
【0033】
前記熱硬化性樹脂としては 、例えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、シリコーン樹脂、トリアジン樹脂及びメラミン樹脂等が挙げられる。これらは、1種単独で又は複数種を組み合わせて用いることができる。
【0034】
前記その他の樹脂としては、例えばスチレン樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。
【0035】
前記光重合開始剤としては、前記紫外線硬化性樹脂及び紫外線硬化性・熱硬化性樹脂の紫外線硬化を促進するものであれば好ましく用いられ、例えばラジカル系光重合開始剤及びカチオン系光重合開始剤等が挙げられる。これらは、1種単独で又は複数種を組み合わせて用いることができる。
【0036】
前記熱硬化触媒としては、前記熱硬化性樹脂及び紫外線硬化・熱硬化性樹脂の熱硬化を促進するものであれば好ましく用いられ、例えばイミダゾール系硬化触媒、アミン系硬化触媒、リン系硬化触媒等が挙げられる。これらは、1種単独で又は複数種を組み合わせて用いることができる。
【0037】
前記溶剤としては、例えばケトン系、芳香族炭化水素系、グリコールエーテル系、エステル系、脂肪族炭化水素系、石油系等の溶剤が挙げられる。これらは、1種単独で又は複数種を組み合わせて用いることができる。
【0038】
前記添加剤としては、例えば消泡剤、フィラー、増粘剤、可塑剤及び増核剤等が挙げられる。
消泡剤としては、例えばポリアルキルシロキサン等を使用することができる。またフィラーとしては金属酸化物、ケイ素化合物、ガラスフィラー及びタルク等を使用することができる。
これらは、1種単独で又は複数種を組み合わせて用いることができる。
【0039】
前記樹脂組成物の組成及び各組成の配合量は、硬化後の樹脂ダム層121の硬度、形成範囲及び位置、樹脂ダム層121が形成される層構成材の材質等を考慮して適宜調整される。
【0040】
また樹脂ダム層121はリジッド多層プリント配線板100の製造工程のいずれかにおいて、紫外線硬化及び熱硬化の少なくとも一方の方法により硬化状態となり、これに接する他の層構成材と積層状態になり得る。
なお当該熱硬化は、後述する樹脂層141の加熱や樹脂層142の加熱と同時に行ってもよい。
【0041】
そして樹脂ダム層1211の側面部121b及び樹脂ダム層1212の側面部121cが後述するリジッド多層プリント配線板100の側面部100a,100bをそれぞれ構成するように、導体層132の上面部側に樹脂層141及び導体層133が積み重ねられる(図1(c)参照)。
本実施形態においては、導体層132の上面部の2つの樹脂ダム層1211211,1212の間隙部分以外の面に樹脂層141及び導体層133が積み重ねられる。即ち図1(c)で表すように、1つずつの樹脂層141及び導体層133のそれぞれの一側面部が樹脂ダム層1211の側面部121aと接するように、また別の1つずつの樹脂層141及び導体層133のそれぞれの一側面部が樹脂ダム層1212の側面部121dと接するように積み重ねられる。
なお、樹脂層141として中間材を用いる場合、以下で詳述する第1の実施形態の変形例(図2参照)のように、樹脂層141である中間材及び導体層133は、各々樹脂ダム層121の側面部(樹脂ダム層1211の側面部121a、樹脂ダム層1212の側面部121d)近傍であってこれらと接しないように若干の間隙部を設けて導体層132の上面部側に積み重ねられることが望ましい。このような構成とすることにより、後述する樹脂層141の加熱時において中間材(樹脂層141)から溶出した樹脂組成物が前記間隙部に流入し、これが硬化して樹脂硬化物となり、これを介して樹脂ダム層121と樹脂層141及び導体層133とが隣接するように積層状態になり得る。
【0042】
本実施形態においては、形成する樹脂ダム層121の高さ(膜厚)と樹脂層141及び導体層133を併せた高さ(膜厚)とを同等としたが、それぞれの膜厚を適宜調整してもよいことはもちろんである。
【0043】
導体層133は、導体層131と同様の方法で樹脂層141の上面部(導体層132と接していない方の面)にこれを積み重ねて積層状態にし得る。
また導体層133は、後述する樹脂層141の加熱時において樹脂層141と積層状態となるようにしてもよい。
【0044】
樹脂層141としては、樹脂材及び中間材が好ましく用いられる。樹脂層141は、導体層132の上面部に樹脂組成物を塗布乾燥することによりこれを積み重ねてもよく、また樹脂組成物からなるシート状の材料や中間材を樹脂層141として導体層132の上面部に積み重ねてもよい。
【0045】
樹脂層141は、リジッド多層プリント配線板100の製造工程のいずれかの工程における加熱により硬化し、これに接する他の層構成材と積層状態になり得る。
樹脂ダム層1211の側面部121aに接するよう積み重ねられた樹脂層141は樹脂ダム層1211の側面部121aと積層状態となり、樹脂ダム層1212の側面部121dに接するよう積み重ねられた樹脂層141は樹脂ダム層1212の側面部121dと積層状態になり得る。
但し樹脂層141を加熱するタイミングによっては、樹脂層141の加熱前に樹脂ダム層121と樹脂層141とが積層状態となっている場合も存在し、この場合は樹脂層141の加熱により、樹脂ダム層121と硬化した樹脂層141とが積層状態になり得る。
なお、本明細書においては、加熱により硬化する前及び硬化した後のいずれの状態についても「樹脂層」という。これは樹脂層141以外の樹脂層及び他の実施形態における樹脂層についても同様である。
そして樹脂ダム層121は、上記加熱時に樹脂層141から溶出した樹脂組成物の流動を留める壁の役割を果たし、当該樹脂組成物が導体層132の上面部の2つの樹脂ダム層1211,1212の間隙部分の面まで溶出することを抑制し得る。これにより、導体層132の上面部を平滑に保つことができ、リジッド多層プリント配線板100の膜厚調整を容易にし得る。
【0046】
また本実施形態においては、導体層132の上面部のうち2つの樹脂ダム層1211,1212の間隙部分の面に樹脂層142を積み重ねる。
【0047】
樹脂層142としては、絶縁性樹脂組成物を用いた樹脂材及び中間材が好ましく用いられる。樹脂層142は、導体層132の上面部の所定位置に絶縁性樹脂組成物を塗布乾燥することによりこれを積み重ねてもよく、また絶縁性樹脂組成物からなるシート状の材料や中間材を樹脂層142として導体層132の上面部の所定位置に積み重ねてもよい。なお図3のように作製されるリジッド多層プリント配線板100を屈曲状態で使用する場合、後述する加熱及び/または紫外線照射等により導体層132と積層状態となった樹脂層142が可撓性を有するように前記樹脂組成物の成分を調整することが望ましい。
【0048】
前述の通り、樹脂層142は、リジッド多層プリント配線板100の製造工程のいずれかの工程において加熱及び/または紫外線照射等されて硬化し、これに接する他の層構成材と積層状態になり得る。なお、上記加熱は、樹脂層141の加熱と同時に行ってもよい。
【0049】
本実施形態においては、樹脂層142は他の層構成材を積み重ねた後に導体層132の上面部に積み重ねられたが、例えば他の層構成材の積み重ね前または他の層構成材の積み重ねと同時に導体層132の上面部に積み重ねられてもよい。
また本実施形態においては導体層132の上面部に樹脂ダム層121を形成したが、例えば樹脂層142に樹脂ダム層121を形成し、樹脂ダム層121を形成した樹脂層142を導体層132の所定位置に積み重ねてもよい。
またコア材111の上面部111aのうち、樹脂ダム層1211,1212の間隙部分にあたる面に導体層132を設けない場合、例えば当該部分に積層された導体層132をエッチング処理等により除去し、コア材111の上面部111aのうち導体層132が除去された部分に樹脂ダム層121を形成して他の層構成材を積み重ねる場合、樹脂層142はリジッド多層プリント配線板100の構成要素から除外してもよい。
【0050】
そして樹脂ダム層121及び樹脂層141,142を硬化状態とし、また全ての層構成材を積層状態とすることにより、本実施形態のリジッド多層プリント配線板100が作製される(図1(d)参照)。
本実施形態のリジッド多層プリント配線板100は、図1(d)で表されるように、樹脂ダム層1211の側面部121b及び樹脂ダム層1212の側面部121cがそれぞれリジッド多層プリント配線板100の側面部100a,100bを構成するように積層されている。
また樹脂層142は樹脂ダム層121を備える導体層132の上面部と積層状態となり、且つ樹脂ダム層121と接するよう積層されている。そしてリジッド多層プリント配線板100は、樹脂層142の上面部とリジッド多層プリント配線板100の側面部100aとがL字型(リジッド多層プリント配線板100の側面部100aを縦線、樹脂層142の上面部を横線と見た場合)となるように、また樹脂層142の上面部とリジッド多層プリント配線板100の側面部100bとが逆L字型(リジッド多層プリント配線板100の側面部100bを縦線、樹脂層142の上面部を横線と見た場合)となるよう構成されている。
本実施形態のリジッド多層プリント配線板100はこのような構成となることにより、導体層133の上面部から導体層131の下面部までの高さ(膜厚H1)と樹脂層142の上面部から導体層131の下面部までの高さ(膜厚H2)とが異なるように、即ち膜厚H2の方を膜厚H1よりも薄くし得る。
【0051】
リジッド多層プリント配線板100において、膜厚H1は100μm以上6mm以下であることが望ましい。また膜厚H2は30μm以上であり且つ膜厚H1よりも100μmm以上薄いことが望ましい。
【0052】
このように、本実施形態の製造方法により作製されるリジッド多層プリント配線板100は、リジッド多層プリント配線板100のコアとなる層(コア材111)に間隙部分を形成する工程が不要であり、また層構成材を積み重ねる工程において各層構成材の積み重ね位置等を調整することにより、リジッド多層プリント配線板100の膜厚(H1,H2)を容易に調整し得る。
【0053】
導体層131,132,133は、リジッド多層プリント配線板100の製造工程のいずれかの工程にて、所望の回路パターンとなるようにエッチング等により不要な部分を除去し得る。
【0054】
樹脂層141のように導体層間にある樹脂層の膜厚は、硬化状態において20μm以上であることが望ましい。また樹脂層142のような表層絶縁層となる樹脂層の膜厚は、硬化状態において5μm以上30μm以下であることが望ましい。
また導体層131,132,133の膜厚は5μm以上300μm以下であることが望ましい。
【0055】
なお、本実施形態においては、コア材111の上面部111aに導体層132を、コア材111の下面部111bに導体層131をそれぞれ積み重ねてこれを積層状態にし、導体層132の上面部側に他の層構成材を積層したが、例えばコア材111,導体層131,132(上面部に樹脂ダム層121を形成),133、樹脂層141,142を所定の構成となるように積み重ねてこれらを加熱することにより、各々が積層状態となるようにしてもよい。
また各層構成材の積み重ね及び積層は、例えば1層ずつ積み重ねて積層してもよく、複数の層構成材を積み重ねて積層してもよく、またこれらの組み合わせであってもよい。
【0056】
また本実施形態においては、コア材111の上面部111aと下面部111bにそれぞれ導体層131,132を積み重ねて積層状態とする工程を含んでいるが、例えば予めコア材111の両面に導体層131,132に対応する導体層が積層されている銅張積層板(図示せず)を用いることにより、上記工程を省略してもよい。
このような銅張積層板は、コア材111の上面部111a及び下面部111bにそれぞれ導体層131,132を積み重ねて積層状態とする方法と同様の方法にて作製し得る。
【0057】
また本実施形態においては、リジッド多層プリント配線板100のいずれかの製造工程において、ビアホールを形成する工程を設けてもよい。例えばリジッド多層プリント配線板100の構成要素となる全ての層構成材が積層状態となった後に、これの所定の位置にビアホール(図示せず)を形成することにより、導体層131,132,133を電気的接続し得る。また例えば当該ビアホールは、一部の層構成材が積層状態となった際に設けてもよい。
前記ビアホールの形成される位置は、リジッド多層プリント配線板100における設計回路パターンにより適宜調整し得る。
そして導体層131,133の所定の位置(例えばランド部。図示せず)や形成されたビアホールに所定の電子部品を搭載することにより、所望のリジッド多層プリント実装配線板が作製される。
【0058】
<第1の実施形態の変形例>
次に第1の実施形態の変形例について、図2を用いて説明する。なお、第1の実施形態と同一の構成要素には同一符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
先ず、コア材111の上面部111a及び下面部111bにそれぞれ導体層131,132が積層された銅張積層板161を用意する(図2(a)参照)。なお、銅張積層板161の膜厚は40μm以上3.2mm以下であることが望ましい。
【0059】
次いで銅張積層板161を構成する導体層132の上面部(コア材111の上面部111aと接していない方の面)に樹脂ダム層121を形成する(図2(b)参照)。
【0060】
そして樹脂ダム層121の側面部のうち樹脂ダム層1211の側面部121b及び樹脂ダム層1212の側面部121cが後述するリジッド多層プリント配線板100の側面部100a,100bをそれぞれ構成するように、導体層132の上面部側に樹脂層141として中間材及び導体層133が積み重ねられる(図2(c)参照)。
本変形例においては、導体層132の上面部の2つの樹脂ダム層1211,1212の間隙部分以外の面に樹脂層141及び導体層133が積み重ねられる。即ち図2(c)で表すように、1つずつの樹脂層141及び導体層133が、樹脂ダム層1211の側面部121aの近傍であってこれと接しないように若干の間隙部を設けて導体層132の上面部側に積み重ねられる。
また別の1つずつの樹脂層141及び導体層133が樹脂ダム層1212の側面部121dの近傍であってこれと接しないように若干の間隙部を設けて導体層132の上面部側に積み重ねられる。
【0061】
そして樹脂層141の加熱時に、樹脂ダム層1211の側面部121a側に積み重ねられた樹脂層141から流出した樹脂組成物は、図2(c)に表される樹脂ダム層1211の側面部121a、導体層132,133及び樹脂層141に囲まれた間隙部に流入し、これが硬化して樹脂層1431(樹脂硬化物)となる。また上記加熱時に、樹脂ダム層1212の側面部121d側に積み重ねられた樹脂層141から流出した樹脂組成物は、図2(c)に表される樹脂ダム層1212の側面部121d、導体層132,133及び樹脂層141に囲まれた間隙部に流入し、これが硬化して樹脂層1432(樹脂硬化物)となる。
そして、樹脂層1431を介して樹脂ダム層1211(側面部121a側)と樹脂層141及び導体層133とが隣接するように積層状態となり、樹脂層1432を介して樹脂ダム層1212(側面部121d側)と樹脂層141及び導体層133とが隣接するように積層状態となる(図2(b)参照)。
このように、樹脂ダム層121は、上記加熱時に樹脂層141から溶出した樹脂組成物の流動を留める壁の役割を果たし、当該樹脂組成物が導体層132の上面部の2つの樹脂ダム層1211,1212の間隙部分の面まで溶出することを抑制し得る。これにより、導体層132の上面部を平滑に保つことができ、リジッド多層プリント配線板100の膜厚調整を容易にし得る。
【0062】
なお、本変形例において、銅張積層板161を構成する導体層132について、樹脂ダム層1211,1212の間隙部分にあたる面をエッチング処理等により除去してリジッド多層プリント配線板100を作製する場合、樹脂層142はリジッド多層プリント配線板100の構成要素から除外してもよい。
【0063】
そして樹脂ダム層121及び樹脂層141,142,1421,1432を硬化状態とし、また各々接する層構成材を積層状態とすることにより、本変形例のリジッド多層プリント配線板100が作製される(図2(e)参照)。
本変形例のリジッド多層プリント配線板100は、図2(e)で表されるように、樹脂ダム層121の側面部121b,121cがそれぞれリジッド多層プリント配線板100の側面部100a,100bを構成するように積層されている。
また樹脂層142は樹脂ダム層121を備える導体層132の上面部と積層状態となり、且つ樹脂ダム層121と接するよう積層されている。そしてリジッド多層プリント配線板100は、樹脂層142の上面部とリジッド多層プリント配線板100の側面部100aとがL字型(リジッド多層プリント配線板100の側面部100aを縦線、樹脂層142の上面部を横線と見た場合)となるように、また樹脂層142の上面部とリジッド多層プリント配線板100の側面部100bとが逆L字型(リジッド多層プリント配線板100の側面部100bを縦線、樹脂層142の上面部を横線と見た場合)となるよう構成されている。
本変形例のリジッド多層プリント配線板100はこのような構成となることにより、導体層133の上面部から導体層131の下面部までの高さ(膜厚H1)と樹脂層142の上面部から導体層131の下面部までの高さ(膜厚H2)とが異なるように、即ち膜厚H2の方を膜厚H1よりも薄くし得る。
【0064】
本変形例のリジッド多層プリント配線板100において、膜厚H1は100μm以上6mm以下であることが望ましい。また膜厚H2は30μm以上であり且つ膜厚H1よりも100μmm以上薄いことが望ましい。
【0065】
このように、本変形例の製造方法により作製されるリジッド多層プリント配線板100は、リジッド多層プリント配線板100のコアとなる層(コア材111)に間隙部分を形成する工程が不要であり、層構成材を積み重ねる工程において各層構成材の積み重ね位置等を調整することにより、リジッド多層プリント配線板100の膜厚(H1,H2)を容易に調整し得る。
【0066】
なお、本変形例においては、各層構成材の積み重ね及び積層は、例えば1層ずつ積み重ねて積層してもよく、複数の層構成材を積み重ねて積層してもよく、またこれらの組み合わせであってもよい。
【0067】
また本変形例においては、銅張積層板161を使用したが、例えばコア材111の上面部111aと下面部111bにそれぞれ導体層131,132を積み重ねて積層状態とする工程を含んでいてもよい。
【0068】
次に第1の実施形態にかかるリジッド多層プリント配線板100を上面から見た構成を図3を参照して説明する。
図3に表されるように、樹脂ダム層1211,1212、導体層133及び樹脂層142がリジッド多層プリント配線板100の上方最外層となるよう積層されている。
そして上方最外層が樹脂層142の範囲の膜厚(膜厚H2)は、上方最外層が樹脂ダム層1211,1212及び導体層133の膜厚(膜厚H1)よりも薄い。
【0069】
なお、樹脂ダム層121の形成工程においては、樹脂組成物を導体層132の上面部のみに印刷してもよく、また図4のように導体層132の上面部外(銅張積層板161外)の領域にも印刷してよい(図4(a)参照)。そして、リジッド多層プリント配線板100の製造工程のいずれかにおいて、導体層132の上面部外の領域に印刷された樹脂ダム層121eを除去して樹脂ダム層121f(樹脂ダム層1211,1212に対応)のみを残すようにしてもよい(図4(b)参照)。
この場合、樹脂ダム層121e,121fは隣接するように印刷されることが望ましく、樹脂ダム層121は例えば円形、楕円形、矩形等の任意の形状となるよう印刷されることが好ましい。樹脂ダム層121をこのような態様で印刷することにより、上述した加熱時において樹脂層141から溶出した樹脂組成物が銅張積層板161の側面部(161a,161b)に付着することを防止することができる。
なお樹脂ダム層121eに対応する部分は、上述の加熱時に樹脂層141から溶出した樹脂組成物が銅張積層板161の側面部(161a,161b)に付着することを防止し得るのであれば、樹脂ダム層121e以外の構造、例えば導電性ペーストからなるダム層としてもよい。但しこの場合であっても、樹脂ダム層121fと当該導電性ペーストからなるダム層とは隣接するように形成されることが望ましい。
【0070】
このように、樹脂ダム層121の一部または全部は、リジッド多層プリント配線板100の製造工程のいずれかにおいて適宜除去し得る。このような樹脂ダム層の形成方法は、他の実施形態においても用いることができる。
【0071】
またリジッド多層プリント配線板100を屈曲させた構成を図5を参照して説明する。
図5に表されるように、リジッド多層プリント配線板100は、導体層131が最外層となるように樹脂層142が積層された(膜厚H2となる)部分を屈曲させることができる。このようにリジッド多層プリント配線板100は屈曲状態で使用することができるため、電子制御装置内のスペースを効率的に活用することができると共に、リジッド多層プリント配線板100への電子部品の実装(設計)やこれを組み込んだ電子制御装置の設計の自由度を広げることができる。
【0072】
そしてリジッド多層プリント配線板100は、屈曲させる部分(樹脂層142が積層された(膜厚H2となる)部分)の材質を選ぶことなくその膜厚を調整し得るため、この部分に例えば耐熱性や耐久性の高い材質を使用することができ、また特殊な性能を有する樹脂を使用することができるため、高い信頼性を実現することができる。
【0073】
更にはリジッド多層プリント配線板100のうち、膜厚H2となる部分を構成するコア材111及び導体層131,132,133と膜厚H1となる部分を構成するコア材111及び導体層131,132,133とは各々同じ材質となり得るため、熱膨張係数の差を抑え、破損の発生を抑制することもできる。またこれらの材質が同一の場合には誘電率も一致することから、これらを異なる材質とした場合と比較して、高周波特性への対応を容易に行うことができる。
そして膜厚H2となる部分を構成する各層構成材と膜厚H1となる部分を構成する各層構成材との材質を同一にでき、また既存の層構成材を利用し得ることから、既存の層構成材について既に取得した信頼性評価等(例えば回路、スルーホール等について)の結果をリジッド多層プリント配線板100自体の信頼性評価に一部流用することができ、これに要するコストや時間を抑制することができる。
【0074】
<第2の実施形態>
第2の実施形態について、図6を参照して説明する。
先ずコア材211の上面部211aに樹脂ダム層221を形成する(図6(a)参照)。本実施形態においては、樹脂ダム層221はコア材211の上面部211aに1つ形成され得る。
コア材211は、前述の第1の実施形態のコア材111と同様の方法にて作製し得る。またコア材211の上面部211aへの樹脂ダム層211の形成は、前述の第1の実施形態の樹脂ダム層121の形成方法と同様の方法を用いることができ、同様の構成とし得る。
なお樹脂ダム層221を形成する層構成材及びその位置は、作製されるリジッド多層プリント配線板200の設計内容やその膜厚を調整したい位置等により適宜調整できる。本実施形態においては、樹脂ダム層221の側面部221aが後述するリジッド多層プリント配線板200の側面部200aを構成するように、その位置を調整して樹脂ダム層221を形成することが望ましい。
また樹脂ダム層221の膜厚は、作製されるリジッド多層プリント配線板200の膜厚、樹脂ダム層221を形成する層構成材及び他の層構成材の膜厚等により適宜調整し得る。
また樹脂ダム層221はリジッド多層プリント配線板200の製造工程のいずれかにおいて、紫外線硬化及び熱硬化の少なくとも一方の方法により硬化状態となり、これに接する他の層構成材と積層状態になり得る。
なお当該熱硬化は、後述する樹脂層241の加熱と同時に行ってもよい。
【0075】
次にコア材211の下面部211bに導体層231を積み重ねて積層状態とする(図6(b)参照)。
導体層231のコア材211の下面部211bへの積層は、前述の第1の実施形態における導体層131のコア材111の下面部111bへの積層方法と同様の方法を用いることができ、同様の構成とし得る。
【0076】
そして樹脂ダム層221の側面部のうち221aが後述するリジッド多層プリント配線板200の側面部200aを構成するように、コア材211の上面部211a側に導体層232、樹脂層241及び導体層233が積み重ねられる。
本実施形態においては、1つずつの導体層232、樹脂層241及び導体層233のそれぞれの一側面部が樹脂ダム層221の側面部221bと接するようにコア材211の上面部211a側に積み重ねられる。
なお、樹脂層241として中間材を用いる場合、導体層232、樹脂層241である中間材及び導体層233は、各々樹脂ダム層221の側面部221bの近傍であってこれと接しないように若干の間隙部を設けてコア材211の上面部211a側に積み重ねられることが望ましい。このような構成とすることにより、後述する樹脂層241の加熱時において中間材(樹脂層241)から溶出した樹脂組成物が前記間隙部に流入し、これが硬化して樹脂硬化物となり、これを介して樹脂ダム層221と導体層232、樹脂層241及び導体層233とが隣接するように積層状態になり得る。
【0077】
本実施形態においては、形成する樹脂ダム層221の高さ(膜厚)と樹脂層241及び導体層232,233を併せた高さ(膜厚)とを同等としたが、それぞれの膜厚を適宜調整してもよいことはもちろんである。
【0078】
導体層232,233は、前述の第1の実施形態の導体層132と同様の方法でコア材211の上面部211a及び樹脂層241の上面部に各々を積み重ねて積層状態にし得る。
また導体層232,233は、後述する樹脂層241の加熱時において樹脂層241と積層状態となるようにしてもよい。
【0079】
樹脂層241は、前述の第1の実施形態における樹脂層141と同様の構成とすることができ、また同様の方法にて他の層構成材に積み重ねることができる。
【0080】
樹脂層241は、リジッド多層プリント配線板200の製造工程のいずれかの工程における加熱により硬化し、これに接する他の層構成材と積層状態になり得る。また樹脂ダム層221の側面部221bに接するよう積み重ねられた樹脂層241は、樹脂ダム層221の側面部221bと積層状態になり得る。但し樹脂層241を加熱するタイミングによっては、樹脂層241の加熱前に樹脂ダム層221と樹脂層241とが積層状態となっている場合も存在し、この場合は樹脂層241の加熱により、樹脂ダム層221と硬化した樹脂層241とが積層状態になり得る。
そして樹脂ダム層221は、上記加熱時に樹脂層241から溶出した樹脂組成物の流動を留める壁の役割を果たし、当該樹脂組成物がコア材211の上面部211aまで溶出することを抑制し得る。これにより、コア材211の上面部211aを平滑に保つことができ、リジッド多層プリント配線板200の膜厚調整を容易にし得る。
【0081】
そして樹脂ダム層221及び樹脂層241を硬化状態とし、また各々接する層構成材を積層状態とすることにより、本実施形態のリジッド多層プリント配線板200が作製される(図6(c)参照)。
本実施形態のリジッド多層プリント配線板200は、図2(c)で表されるように、樹脂ダム層221の側面部221aがリジッド多層プリント配線板200の側面部200aを構成するように積層されている。そしてリジッド多層プリント配線板200は、樹脂ダム層221を備えるコア材211の上面部211aとリジッド多層プリント配線板200の側面部200aとが逆L字型(リジッド多層プリント配線板200の側面部200aを縦線、コア材211の上面部211aを横線と見た場合)となるよう構成されている。
本実施形態のリジッド多層プリント配線板200はこのような構成となることにより、導体層233の上面部から導体層231の下面部までの高さ(膜厚H1)とコア材211の上面部211aから導体層231の下面部までの高さ(膜厚H2)とを異なるように、即ち膜厚H2の方を膜厚H1よりも薄くし得る。
【0082】
リジッド多層プリント配線板200において、膜厚H1は100μm以上6mm以下であることが望ましい。また膜厚H2は30μm以上であり且つ膜厚H1よりも100μmm以上薄いことが望ましい。
【0083】
このように、本実施形態の製造方法により作製されるリジッド多層プリント配線板200は、リジッド多層プリント配線板200のコアとなる層(コア材211)に間隙部分を形成する工程が不要であり、層構成材を積み重ねる工程において各層構成材の積み重ね位置等を調整することにより、リジッド多層プリント配線板100の膜厚(H1,H2)を容易に調整し得る。
【0084】
導体層231,232,233は、リジッド多層プリント配線板200の製造工程のいずれかの工程にて、所望の回路パターンとなるようにエッチング等により不要な部分を除去し得る。
【0085】
樹脂層241のように導体層間にある樹脂層の膜厚は、硬化状態において20μm以上であることが望ましい。
また導体層231,232,233の膜厚は5μm以上300μm以下であることが望ましい。
【0086】
なお、本実施形態においては、コア材211の下面部211bに導体層231を積み重ねてこれを積層状態にし、コア材211の上面部211a側に他の層構成材を積層したが、例えばコア材211(上面部211aに樹脂ダム層221を形成)、導体層231,232,233及び樹脂層241を所定の構成となるように積み重ねてこれらを加熱することにより、各々が積層状態となるようにしてもよい。
また各層構成材の積み重ね及び積層は、例えば1層ずつ積み重ねて積層してもよく、複数の層構成材を積み重ねて積層してもよく、またこれらの組み合わせであってもよい。
【0087】
また本実施形態においては、コア材211の上面部211aと下面部211bにそれぞれ導体層231,232を積み重ねて積層状態とする工程を含んでいるが、例えば予めコア材211の両面の所定の位置に導体層231,232に対応する導体層が積層されている銅張積層板(図示せず)を用いることにより、上記工程を省略してもよい。
このような銅張積層板は、コア材211の上面部211a及び下面部211bにそれぞれ導体層231,232を積み重ねて積層状態とする方法と同様の方法にて作製し得る。
【0088】
また本実施形態においては、リジッド多層プリント配線板200のいずれかの製造工程において、ビアホールを形成する工程を設けてもよい。例えばリジッド多層プリント配線板200の構成要素となる全ての層構成材が積層状態となった後に、これの所定の位置にビアホール(図示せず)を形成することにより、導体層231,232,233を電気的接続し得る。また例えば当該ビアホールは、一部の層構成材が積層状態となった際に設けてもよい。
前記ビアホールの形成される位置は、リジッド多層プリント配線板200における設計回路パターンにより適宜調整し得る。
そして導体層231,233の所定の位置(例えばランド部。図示せず)や形成されたビアホールに所定の電子部品を搭載することにより、所望のリジッド多層プリント実装配線板が作製される。
【0089】
リジッド多層プリント配線板200は、膜厚H2となる部分を屈曲させたり、当該部分に電子部品を埋め込んでスペースを効率的に利用したりすることができと共に、リジッド多層プリント配線板200への電子部品の実装(設計)やこれを組み込んだ電子制御装置の設計の自由度を広げることができる。
そしてリジッド多層プリント配線板200は、材質を選ぶことなくその膜厚を調整し得るため、この部分に例えば耐熱性や耐久性の高い材質を使用することができ、また特殊な性能を有する樹脂を使用することができるため、高い信頼性を実現することができる。
【0090】
更にはリジッド多層プリント配線板200のうち、膜厚H2となる部分を構成するコア材211及び導体層231と膜厚H1となる部分を構成するコア材211及び導体層231(232,233)とは各々同じ材質となり得るため、熱膨張係数の差を抑え、破損の発生を抑制することもできる。またこれらの材質が同一の場合には誘電率も一致することから、これらを異なる材質とした場合と比較して、高周波特性への対応を容易に行うことができる。
そして膜厚H2となる部分を構成する各層構成材と膜厚H1となる部分を構成する各層構成材との材質を同一にでき、また既存の層構成材を利用し得ることから、既存の層構成材について既に取得した信頼性評価等(例えば回路、スルーホール等について)の結果をリジッド多層プリント配線板200自体の信頼性評価に一部流用することができ、これに要するコストや時間を抑制することができる。
【0091】
<第3の実施形態>
第3の実施形態について、図7を参照して説明する。
先ず、コア材311の上面部311a及び下面部312bにそれぞれ導体層331,332が積層された銅張積層板361を用意する(図7(a)参照)。
銅張積層板361は、前述の第1の実施形態の変形例の銅張積層板161の作製方法と同様の方法を用いることができ、同様の構成とし得る。
【0092】
次いで銅張積層板361を構成する導体層332の上面部(コア材311の上面部311aと接していない方の面)及び導体層331の下面部(コア材311の下面部311bと接していない方の面)にそれぞれ樹脂ダム層321,322を形成する(図7(b)参照)。
導体層332の上面部への樹脂ダム層321の形成及び導体層331の下面部への樹脂ダム層322の形成は、前述の第1の実施形態の樹脂ダム層121の形成方法と同様の方法を用いることができ、同様の構成とし得る。
また本実施形態においては、樹脂ダム層321は導体層332の上面部に2つ形成され(樹脂ダム層3211,3212)、樹脂ダム層322は導体層331の下面部に2つ形成される(樹脂ダム層3221,3222)が、作製されるリジッド多層プリント配線板300の膜厚を調整し得るのであれば、形成される樹脂ダム層321,322の数はそれぞれ1つであってもよく、またそれぞれ複数であってもよい。
樹脂ダム層321,322を形成する層構成材及びその位置は、作製されるリジッド多層プリント配線板300の設計内容やその膜厚を調整したい位置等により適宜調整できる。本実施形態においては、樹脂ダム層3211の側面部321b、樹脂ダム層3212の側面部321c、樹脂ダム層3221の側面部322b,樹脂ダム層3222の側面部322cが後述するリジッド多層プリント配線板300の側面部300a,300b,300c,300dをそれぞれ構成するように位置を調整して樹脂ダム層321,322を形成することが望ましい。
また樹脂ダム層321,322の膜厚は、作製されるリジッド多層プリント配線板300の膜厚、樹脂ダム層321,322を形成する層構成材及び他の層構成材の膜厚等により適宜調整し得る。
また樹脂ダム層321,322はリジッド多層プリント配線板300の製造工程のいずれかにおいて、紫外線硬化及び熱硬化の少なくとも一方の方法により硬化状態となり、これらにそれぞれ接する他の層構成材と積層状態になり得る。
なお当該熱硬化は、後述する樹脂層341,343の加熱や樹脂層342,344の加熱と同時に行ってもよい。
【0093】
そして樹脂ダム層3211の側面部321b、樹脂ダム層3212の側面部321cが後述するリジッド多層プリント配線板300の側面部300a,300bをそれぞれ構成するように導体層332の上面部側に樹脂層341及び導体層333が積み重ねられる。また樹脂ダム層3221の側面部322b、樹脂ダム層3222の側面部322cがリジッド多層プリント配線板300の側面部300c,300dをそれぞれ構成するように導体層331の下面部側に樹脂層343及び導体層334が積み重ねられる(図7(b)参照)。
本実施形態においては、図7(c)で表されるように、1つずつの樹脂層341及び導体層333のそれぞれの一側面部が樹脂ダム層3211の側面部321aに接するように、また別の1つずつの樹脂層341及び導体層333のそれぞれの一側面部が樹脂ダム層3212の側面部321dに接するように導体層332の上面部側に積み重ねられる。
また1つずつの樹脂層343及び導体層334のそれぞれの一側面部が樹脂ダム層3221の側面部322aに接するように、また別の1つずつの樹脂層343及び導体層334のそれぞれの一側面部が樹脂ダム層3222の側面部322dに接するように導体層321の下面部側に積み重ねられる。
【0094】
なお、樹脂層341として中間材を用いる場合、樹脂層341である中間材及び導体層333は、各々樹脂ダム層321の側面部(樹脂ダム層3211の側面部321a、樹脂ダム層3212の側面部321d)と接しないように、これらとの間に若干の間隙部を設けて導体層332の上面部側に積み重ねられることが望ましい。また樹脂層343として中間材を用いる場合、樹脂層343である中間材及び導体層334は、各々樹脂ダム層322の側面部(樹脂ダム層3221の側面部322a、樹脂ダム層3222の側面部321dと接しないように、これらとの間に若干の間隙部を設けて導体層331の下面部側に積み重ねられることが望ましい。
このような構成とすることにより、後述する樹脂層341,343の加熱時において中間材(樹脂層341,343)から溶出した樹脂組成物が前記間隙部にそれぞれ流入し、これらが硬化して樹脂硬化物となり、これを介して樹脂ダム層321と樹脂層341及び導体層333とが、また樹脂ダム層322と樹脂層343及び導体層334とが各々隣接するように積層状態になり得る。
【0095】
本実施形態においては、樹脂ダム層321の高さ(膜厚)と導体層333及び樹脂層341を併せた高さ(膜厚)とを同等とし、また樹脂ダム層322の高さ(膜厚)と導体層334及び樹脂層343を併せた高さ(膜厚)とを同等としたが、それぞれの膜厚を適宜調整してもよいことはもちろんである。
【0096】
導体層333,334は、前述の第1の実施形態の導体層131と同様の方法でそれぞれ樹脂層341の上面部及び樹脂層343の下面部にこれを積み重ねて積層状態にし得る。
また導体層333,334は、後述する樹脂層341,343の加熱時において、樹脂層341,344とそれぞれ積層状態となるようにしてもよい。
【0097】
樹脂層341,343は、前述の第1の実施形態における樹脂層141と同様の構成とすることができ、また同様の方法にて他の層構成材に積み重ねることができる。
【0098】
樹脂層341,343は、リジッド多層プリント配線板300の製造工程のいずれかの工程における加熱によりこれらに接する他の層構成材と積層状態になり得る。
また樹脂ダム層3211の側面部321aに接するよう積み重ねられた樹脂層341は樹脂ダム層3211の側面部321aと積層状態となり、樹脂ダム層3212の側面部321dに接するよう積み重ねられた樹脂層341は樹脂ダム層3212の側面部321dと積層状態になり得る。同様に樹脂ダム層3221の側面部322aに接するよう積み重ねられた樹脂層343は樹脂ダム層3221の側面部322aと積層状態となり、樹脂ダム層3222の側面部322dに接するよう積み重ねられた樹脂層343は樹脂ダム層3222の側面部322dと積層状態になり得る。
但し樹脂層341,343を加熱するタイミングによっては、樹脂層341,343の加熱前に樹脂ダム層321と樹脂層341とが、樹脂ダム層322と樹脂層343とがそれぞれ積層状態となっている場合も存在し、この場合は樹脂層341,343の加熱により、樹脂ダム層321と硬化した樹脂層341とが、樹脂ダム層321と硬化した樹脂層343とがそれぞれ積層状態になり得る。
そして樹脂ダム層321は、上記加熱時に樹脂層341から溶出した樹脂組成物の流動を留める壁の役割を果たし、当該樹脂組成物が導体層322の上面部の2つの樹脂ダム層3211,3212の間隙部分の面まで溶出することを抑制し得る。これにより、導体層322の上面部を平滑に保つことができ、リジッド多層プリント配線板300の膜厚調整を容易にし得る。
また樹脂ダム層322は、上記加熱時に樹脂層343から溶出した樹脂組成物の流動を留める壁の役割を果たし、当該樹脂組成物が各層構成材において本来付着すべきではない場所に付着し硬化することを抑制し得る。
【0099】
また本実施形態においては、導体層332の上面部のうち2つの樹脂ダム層3211,3212の間隙部分の面に樹脂層342を、導体層331の下面部のうち2つの樹脂ダム層3221,3222の間隙部分の面に樹脂層344をそれぞれ積み重ねる。
【0100】
樹脂層342,344は、前述の第1の実施形態における樹脂層142と同様の構成とすることができ、また同様の方法にて他の層構成材に積み重ねることができる。なお作製されるリジッド多層プリント配線板300を屈曲状態で使用する場合、後述する加熱及び/または紫外線照射等によりそれぞれが導体層332,331と積層状態となった樹脂層342,344が可撓性を有するようにこれらの形成に用いる樹脂組成物の成分を調整することが望ましい。
【0101】
樹脂層342,344は、リジッド多層プリント配線板300の製造工程のいずれかの工程において加熱及び/または紫外線照射等されて硬化し、これに接する他の層構成材と積層状態になり得る。なお、上記加熱は、樹脂層341,343の加熱と同時に行ってもよい。
【0102】
本実施形態においては、樹脂層342,344は他の層構成材を積み重ねた後にそれぞれ導体層332の上面部及び導体層331の下面部に積み重ねられたが、例えば他の層構成材の積み重ね前または他の層構成材の積み重ねと同時にそれぞれ導体層332の上面部及び導体層331の下面部に積み重ねられてもよい。
また本実施形態においては導体層332の上面部及び導体層331の下面部にそれぞれ樹脂ダム層321,322を形成したが、例えば樹脂層342の上面部に樹脂ダム層321を形成し、樹脂ダム層321を形成した樹脂層342を導体層332の上面部の所定位置に積み重ねてもよく、樹脂層344の下面部に樹脂ダム層322を形成し、樹脂ダム層322を形成した樹脂層344を導体層331の下面部の所定位置に積み重ねてもよい。
またコア材311の上面部311aのうち、樹脂ダム層3211,3212の間隙部分にあたる面に導体層332を設けない場合、例えば当該部分に積層された導体層332をエッチング処理等により除去し、コア材311の上面部311aのうち導体層332が除去された部分に樹脂ダム層321を形成して他の層構成材を積み重ねる場合、樹脂層342はリジッド多層プリント配線板300の構成要素から除外してもよい。同様にコア材311の下面部311bのうち、樹脂ダム層3221,3222の間隙部分にあたる面に導体層331を積層しない場合、例えば当該部分に積層された導体層331をエッチング処理等により除去し、コア材311の下面部311bのうち導体層331が除去された部分に樹脂ダム層322を形成して他の層構成材を積み重ねる場合、樹脂層344はリジッド多層プリント配線板300の構成要素から除外してもよい。
【0103】
そして樹脂ダム層321,322及び樹脂層341,342,343,344を硬化状態とし、また各々接する層構成材を積層状態とすることにより、本実施形態のリジッド多層プリント配線板300が作製される(図7(d)参照)。
本実施形態のリジッド多層プリント配線板300は、図7(d)で表わされるように、樹脂ダム層3211の側面部321b、樹脂ダム層3212の側面部321cがリジッド多層プリント配線板300の側面部300a,300bをそれぞれ構成するように積層されている。また樹脂ダム層3221の側面部322b、樹脂ダム層3222の側面部322cがリジッド多層プリント配線板300の側面部300c,300dをそれぞれ構成するように積層されている。
また樹脂層342は樹脂ダム層321を備える導体層332の上面部と積層状態となり、且つ樹脂ダム層321と接するよう積層されている。そしてリジッド多層プリント配線板300は、樹脂層342の上面部とリジッド多層プリント配線板300の側面部300aとがL字型(リジッド多層プリント配線板300の側面部300aを縦線、樹脂層342の上面部を横線と見た場合)となるように、また樹脂層342の上面部とリジッド多層プリント配線板300の側面部300bとが逆L字型(リジッド多層プリント配線板300の側面部300bを縦線、樹脂層342の上面部を横線と見た場合)となるよう構成されている。
更に樹脂層344は樹脂ダム層322を備える導体層331の下面部と積層状態となり、且つ樹脂ダム層322と接するよう積層されている。そしてリジッド多層プリント配線板300は、樹脂層344の下面部とリジッド多層プリント配線板300の側面部300cとが逆L字型(リジッド多層プリント配線板300の側面部300cを縦線、樹脂層344の下面部を横線と見た場合)となるように、また樹脂層344の下面面部とリジッド多層プリント配線板300の側面部300dとがL字型(リジッド多層プリント配線板300の側面部300dを縦線、樹脂層344の下面部を横線と見た場合)となるよう構成されている。
本実施形態のリジッド多層プリント配線板300はこのような構成となることにより、導体層333の上面部から導体層331の下面部までの高さ(膜厚H1)と樹脂層342の上面部から導体層331の下面部までの高さ(膜厚H2)とを異なるように、即ち膜厚H2の方を膜厚H1よりも薄くし得る。
【0104】
リジッド多層プリント配線板300において、膜厚H1は100μm以上6mm以下であることが望ましい。また膜厚H2は30μm以上であり且つ膜厚H1よりも100μmm以上薄いことが望ましい。
【0105】
このように、本実施形態の製造方法により作製されるリジッド多層プリント配線板300は、リジッド多層プリント配線板300のコアとなる層(コア材311)に間隙部分を形成する工程が不要であり、層構成材を積み重ねる工程において各層構成材の積み重ね位置等を調整することにより、リジッド多層プリント配線板300の膜厚(H1,H2)を容易に調整し得る。
【0106】
導体層331,332,333,334は、リジッド多層プリント配線板300の製造工程のいずれかの工程にて、所望の回路パターンとなるようにエッチング等により不要な部分を除去し得る。
【0107】
樹脂層341,343のように導体層間にある樹脂層の膜厚は、硬化状態において20μm以上であることが望ましい。また樹脂層342,344のような表層絶縁層となる樹脂層の膜厚は、硬化状態において5μm以上30μm以下であることが望ましい。
また導体層331,332,333,334の膜厚は5μm以上300μm以下であることが望ましい。
【0108】
なお、本実施形態においては、各層構成材の積み重ね及び積層は、例えば1層ずつ積み重ねて積層してもよく、複数の層構成材を積み重ねて積層してもよく、またこれらの組み合わせであってもよい。
【0109】
また本実施形態においては、銅張積層板361を使用したが、例えばコア材311の上面部311aと下面部311bにそれぞれ導体層331,332を積み重ねて積層状態とする工程を含んでいてもよい。
【0110】
また本実施形態においては、リジッド多層プリント配線板300のいずれかの製造工程において、ビアホールを形成する工程を設けてもよい。例えばリジッド多層プリント配線板300の構成要素となる全ての層構成材が積層状態となった後に、これの所定の位置にビアホール(図示せず)を形成することにより、導体層331,332,333,334を電気的接続し得る。また例えば当該ビアホールは、一部の層構成材が積層状態となった際に設けてもよい。
前記ビアホールの形成される位置は、リジッド多層プリント配線板300における設計回路パターンにより適宜調整し得る。
そして導体層333,334の所定の位置(例えばランド部。図示せず)や形成されたビアホールに所定の電子部品を搭載することにより、所望のリジッド多層プリント実装配線板が作製される。
【0111】
またリジッド多層プリント配線板300を屈曲させた構成を図8を参照して説明する。
図8(a)に表されるように、リジッド多層プリント配線板300は、導体層334が最外層となるように樹脂層342,344が積層された(膜厚H2となる)部分を屈曲させることができる。更には図8(b)に表されるように、リジッド多層プリント配線板300は、導体層333が最外層となるようにも樹脂層342,344が積層された(膜厚H2となる)部分を屈曲させることができる。
このようにリジッド多層プリント配線板300は、導体層333側を最外層とするようにも、導体層334側を最外層とするようにも、いずれの方向にも屈曲状態で使用することができるため、電子制御装置内のスペースを更に効率的に活用することができると共に、リジッド多層プリント配線板300への電子部品の実装(設計)やこれを組み込んだ電子制御装置の設計の自由度を更に広げることができる。
【0112】
そしてリジッド多層プリント配線板300は、屈曲させる部分(樹脂層342,344が積層された(膜厚H2となる)部分)の材質を選ぶことなくその膜厚を調整し得るため、この部分に例えば耐熱性や耐久性の高い材質を使用することができ、また特殊な性能を有する樹脂を使用することができるため、高い信頼性を実現することができる。
【0113】
更にはリジッド多層プリント配線板300のうち、膜厚H2となる部分を構成するコア材311及び導体層331,332と膜厚H1となる部分を構成するコア材311及び導体層331,332(333,334)とは各々同じ材質となり得るため、熱膨張係数の差を抑え、破損の発生を抑制することもできる。またこれらの材質が同一の場合には誘電率も一致することから、これらを異なる材質とした場合と比較して、高周波特性への対応を容易に行うことができる。
そして膜厚H2となる部分を構成する各層構成材と膜厚H1となる部分を構成する各層構成材との材質を同一にでき、また既存の層構成材を利用し得ることから、既存の層構成材について既に取得した信頼性評価等(例えば回路、スルーホール等について)の結果をリジッド多層プリント配線板300自体の信頼性評価に一部流用することができ、これに要するコストや時間を抑制することができる。
【0114】
なお、リジッド多層プリント配線板300においては、樹脂ダム層3211の側面部321a,321b、樹脂ダム層3212の側面部321c,321dと、樹脂ダム層3221の側面部322a,322b、樹脂ダム層3222の側面部322c,322dとがそれぞれが垂直上で同一直線上に存するように構成されているが、例えば図9に示す第3の実施形態の変形例のように、樹脂ダム層321の各側面部と樹脂ダム層322の各側面部とがそれぞれ垂直上で同一直線上に存しないように、または一部のみが垂直上で同一直線上に存するように樹脂ダム層321,322形成してもよい。
このようなリジッド多層プリント配線板300は、これがSの字状や波型状となるように膜厚H2となる部分を屈曲させることができるため、電子制御装置内のスペースを更に効率的に活用することができると共に、リジッド多層プリント配線板300への電子部品の実装(設計)やこれを組み込んだ電子制御装置の設計の自由度を更に広げることができる。
【0115】
<第4の実施形態>
第4の実施形態について、図10を参照して説明する。
先ず、コア材411の上面部411a及び下面部412bにそれぞれ導体層431,432が積層された銅張積層板461を用意する(図10(a)参照)。
銅張積層板461は、前述の第1の実施形態の変形例の銅張積層板161の作製方法と同様の方法を用いることができ、同様の構成とし得る。
【0116】
次いで銅張積層板461を構成する導体層432の上面部(コア材411の上面部411aと接していない方の面)に樹脂ダム層421を形成する(図10(b)参照)。
導体層432の上面部への樹脂ダム層421の形成は、前述の第1の実施形態の樹脂ダム層121の形成方法と同様の方法を用いることができ、同様の構成とし得る。
また本実施形態においては、樹脂ダム層421は導体層432の上面部に2つ形成される(樹脂ダム層4211,4212)が、作製されるリジッド多層プリント配線板400の膜厚を調整し得るのであれば、形成される樹脂ダム層421の数は1つであってもよく、また複数であってもよい。
樹脂ダム層421を形成する層構成材及びその位置は、作製されるリジッド多層プリント配線板400の設計内容やその膜厚を調整したい位置等により適宜調整できる。本実施形態においては、樹脂ダム層4211の側面部421b、樹脂ダム層4212の側面部421cが後述するリジッド多層プリント配線板400の側面部400a,400bをそれぞれ構成するように位置を調整して樹脂ダム層421を形成することが望ましい。
また樹脂ダム層421の膜厚は、作製されるリジッド多層プリント配線板400の膜厚、樹脂ダム層421を形成する層構成材及び他の層構成材の膜厚等により適宜調整し得る。
また樹脂ダム層421はリジッド多層プリント配線板400の製造工程のいずれかにおいて、紫外線硬化及び熱硬化の少なくとも一方の方法により硬化状態となり、これに接する他の層構成材と積層状態になり得る。
なお当該熱硬化は、後述する樹脂層443の加熱や樹脂層422の加熱と同時に行ってもよい。
【0117】
そして樹脂ダム層4211の側面部421b、樹脂ダム層4212の側面部421cが後述するリジッド多層プリント配線板400の側面部400a,400bをそれぞれ構成するように、導体層432の上面部側に樹脂層441として中間材、導体層433、樹脂層443及び導体層434が積み重ねられる(図10(c)参照)。
本実施形態においては、導体層432の上面部の2つの樹脂ダム層4211,4212の間隙部分以外の面に樹脂層441、導体層433、樹脂層443及び導体層434が積み重ねられる。
即ち図10(c)で表されるように、樹脂ダム層421の高さ(膜厚)と樹脂層441及び導体層433を併せた高さ(膜厚)とを同程度とし、且つ、1つずつの樹脂層441及び導体層433が樹脂ダム層4211の側面部421aの近傍であってこれと接しないように若干の間隙部を設けて導体層332の上面部に積み重ねられる。また別の1つずつの樹脂層441及び導体層433が樹脂ダム層4212の側面部421dの近傍であってこれと接しないように若干の間隙部を設けて導体層332の上面部に積み重ねられる。
更には、本実施形態においては、一方の導体層433の上面部側に1つずつの樹脂層443及び導体層434が、樹脂ダム層4211の上面部を覆うように、且つ導体層434の一側面部434a及び樹脂層443の一側面部443aが樹脂ダム層4211の側面部421bと垂直上で同一直線上に存するように積み重ねられる。また他方の導体層433の上面部側に別の1つずつの樹脂層443及び導体層434が、樹脂ダム層4212の上面部を覆うように、且つ導体層434の一側面部434b及び樹脂層443の一側面部443bが樹脂ダム層4212の側面部421cと垂直上で同一直線上に存するように積み重ねられる。
このように各層構成材を積み重ねることにより、樹脂ダム層4211の側面部421b、導体層434の側面部434a及び樹脂層443の側面部443aがリジッド多層プリント配線板400の側面部400aを構成し、樹脂ダム層4212の側面部421c、導体層434の側面部434b及び樹脂層443の側面部443bがリジッド多層プリント配線板400の側面部400bを構成し得る。このような構成となることにより、後述するように、リジッド多層プリント配線板400は、導体層431が最外層となるように屈曲状態で使用し得る。
このように、本実施形態においては樹脂ダム層よりも外層に位置するよう積み重ねられる層構成材については、その一側面部が樹脂ダム層のいずれかの側面部と併せてリジッド多層プリント配線板の側面部の一部を構成するように積み重ねることができる。これは他の実施形態においても同様である。
【0118】
本実施形態においては、樹脂ダム層421の高さ(膜厚)と樹脂層441及び導体層433を併せた高さ(膜厚)とを同等としたが、樹脂層443及び導体層434含め、それぞれの膜厚を適宜調整してもよいことはもちろんである。
【0119】
導体層433,434は、前述の第1の実施形態の導体層131と同様の方法でそれぞれ樹脂層441の上面部及び樹脂層443の上面部にこれを積み重ねて積層状態にし得る。
また導体層433,434は、後述する樹脂層441,443の加熱時において樹脂層441,443とそれぞれ積層状態となるようにしてもよい。
【0120】
樹脂層441,443は、前述の第1の実施形態における樹脂層141と同様の構成とすることができ、また同様の方法にて他の層構成材に積み重ねることができる。
【0121】
樹脂層441,443は、リジッド多層プリント配線板400の製造工程のいずれかの工程における加熱により硬化し、これに接する他の層構成材と積層状態になり得る。
そして上記加熱時に、樹脂ダム層4211の側面部421a側にそれぞれ積み重ねられた樹脂層441から流出した樹脂組成物は、図10(e)に表される樹脂ダム層4211の側面部421a、導体層432,433及び樹脂層441,443に囲まれた間隙部に流入し、これが硬化して樹脂層4441(樹脂硬化物)となる。また上記加熱時に、樹脂ダム層4212の側面部421d側に積み重ねられた樹脂層441から流出した樹脂組成物は、図10(e)に表される樹脂ダム層4212の側面部421d、導体層432,433及び樹脂層441,443に囲まれた間隙部に流入し、これが硬化して樹脂層4442(樹脂硬化物)となる。
【0122】
そして、樹脂層4441を介して樹脂ダム層4211(側面部421a側)と導体層433及び樹脂層441とが隣接するように積層状態となり、樹脂層4442を介して樹脂ダム層4212(側面部421d側)と導体層433及び樹脂層441とが隣接するように積層状態になり得る(図10(e)参照)。
このように、樹脂ダム層421は、上記加熱時に樹脂層441から溶出した樹脂組成物の流動を留める壁の役割を果たし、当該樹脂組成物が導体層432の上面部の2つの樹脂ダム層4211,4212の間隙部分の面まで溶出することを抑制し得る。これにより、導体層432の上面部を平滑に保つことができ、リジッド多層プリント配線板400の膜厚調整を容易にし得る。
【0123】
また本実施形態においては、導体層432の上面部のうち2つの樹脂ダム層4211,4212の間隙部分の面に樹脂層442を積み重ねる。
【0124】
樹脂層442は、前述の第1の実施形態における樹脂層142と同様の構成とすることができ、また同様の方法にて他の層構成材に積み重ねることができる。なお作製されるリジッド多層プリント配線板400を屈曲状態で使用する場合、後述する加熱及び/または紫外線照射等により導体層432と積層状態となった樹脂層442が可撓性を有するように前記樹脂組成物の成分を調整することが望ましい。
【0125】
樹脂層442は、リジッド多層プリント配線板400の製造工程のいずれかの工程において加熱及び/または紫外線照射等されて硬化し、これに接する他の層構成材と積層状態になり得る。なお、上記加熱は、樹脂層441,443の加熱と同時に行ってもよい。
【0126】
本実施形態においては、樹脂層442は他の層構成材を積み重ねた後に導体層432の上面部に積み重ねられたが、例えば他の層構成材の積み重ね前または他の層構成材の積み重ねと同時に導体層432の上面部に積み重ねられてもよい。
また本実施形態においては導体層432の上面部に樹脂ダム層421を形成したが、例えば樹脂層442の上面部に樹脂ダム層421を形成した樹脂層442を導体層432の上面部の所定位置に積み重ねてもよい。
またコア材411の上面部411aのうち、樹脂ダム層421の間隙部分にあたる面に導体層432を設けない場合、例えば当該部分に積層された導体層432をエッチング処理等により除去し、コア材411の上面部411aのうち導体層432が除去された部分に樹脂ダム層421を形成して他の層構成材を積み重ねる場合、樹脂層442はリジッド多層プリント配線板400の構成要素から除外してもよい。
【0127】
そして樹脂ダム層421及び樹脂層441,443,4441,4442を硬化状態とし、また各々接する層構成材を積層状態とすることにより、本実施形態のリジッド多層プリント配線板400が作製される(図10(e)参照)。
本実施形態のリジッド多層プリント配線板400は、図10(d)で表すように、樹脂ダム層4211の側面部421b、樹脂ダム層4212の側面部421cがリジッド多層プリント配線板400の側面部400a,400bをそれぞれ構成するように積層されている。
また樹脂層442は樹脂ダム層421を備える導体層432の上面部と積層状態となり、且つ樹脂ダム層421と接するよう積層されている。そしてリジッド多層プリント配線板400は、樹脂層442の上面部とリジッド多層プリント配線板400の側面部400aとがL字型(リジッド多層プリント配線板400の側面部400aを縦線、樹脂層442の上面部を横線と見た場合)となるように、また樹脂層442の上面部とリジッド多層プリント配線板400の側面部400bとが逆L字型(リジッド多層プリント配線板400の側面部400bを縦線、樹脂層442の上面部を横線と見た場合)となるよう構成されている。
本実施形態のリジッド多層プリント配線板400はこのような構成となることにより、導体層434の上面部から導体層431の下面部までの高さ(膜厚H1)と樹脂層442の上面部から導体層431の下面部までの高さ(膜厚H2)とを異なるように、即ち膜厚H2の方を膜厚H1よりも薄くし得る。
【0128】
リジッド多層プリント配線板400において、膜厚H1は100μm以上6mm以下であることが望ましい。また膜厚H2は30μm以上であり且つ膜厚H1よりも100μmm以上薄いことが望ましい。
【0129】
このように、本実施形態の製造方法により作製されるリジッド多層プリント配線板400は、リジッド多層プリント配線板400のコアとなる層(コア材411)に間隙部分を形成する工程が不要であり、また層構成材を積み重ねる工程において各層構成材の積み重ね位置等を調整することにより、リジッド多層プリント配線板400の膜厚(H1,H2)を容易に調整し得る。
【0130】
導体層431,432,433,434は、リジッド多層プリント配線板400の製造工程のいずれかの工程にて、所望の回路パターンとなるようにエッチング等により不要な部分を除去し得る。
【0131】
樹脂層441,443のように導体層間にある樹脂層の膜厚は、硬化状態において20μm以上であることが望ましい。また樹脂層442のような表層絶縁層となる樹脂層の膜厚は、硬化状態において5μm以上30μm以下であることが望ましい。
また導体層431,432,433,434の膜厚は5μm以上300μm以下であることが望ましい。
【0132】
なお、本実施形態においては、各層構成材の積み重ね及び積層は、例えば1層ずつ積み重ねて積層してもよく、複数の層構成材を積み重ねて積層してもよく、またこれらの組み合わせであってもよい。
【0133】
また本実施形態においては、銅張積層板461を使用したが、例えばコア材411の上面部411aと下面部411bにそれぞれ導体層431,432を積み重ねて積層状態とする工程を含んでいてもよい。
【0134】
また本実施形態においては、リジッド多層プリント配線板400のいずれかの製造工程において、ビアホールを形成する工程を設けてもよい。例えばリジッド多層プリント配線板400の構成要素となる全ての層構成材が積層状態となった後に、これの所定の位置にビアホール(図示せず)を形成することにより、導体層431,432,433,434を電気的接続し得る。また例えば当該ビアホールは、一部の層構成材が積層状態となった際に設けてもよい。
前記ビアホールの形成される位置は、リジッド多層プリント配線板400における設計回路パターンにより適宜調整し得る。
そして導体層431,434の所定の位置(例えばランド部。図示せず)や形成されたビアホールに所定の電子部品を搭載することにより、所望のリジッド多層プリント実装配線板が作製される。
【0135】
リジッド多層プリント配線板400は、導体層431が最外層となるように樹脂層442が積層された(膜厚H2となる)部分を屈曲させることができる。このようにリジッド多層プリント配線板400は屈曲状態で使用することができるため、電子制御装置内のスペースを効率的に活用することができると共に、リジッド多層プリント配線板400への電子部品の実装(設計)やこれを組み込んだ電子制御装置の設計の自由度を広げることができる。
そしてリジッド多層プリント配線板400は、材質を選ぶことなくその膜厚を調整し得るため、この部分に例えば耐熱性や耐久性の高い材質を使用することができ、また特殊な性能を有する樹脂を使用することができるため、高い信頼性を実現することができる。
【0136】
更にはリジッド多層プリント配線板400のうち、膜厚H2となる部分を構成するコア材411及び導体層431,432と膜厚H1となる部分を構成するコア材411及び導体層431,432(433,434)とは各々同じ材質となり得るため、熱膨張係数の差を抑え、破損の発生を抑制することもできる。またこれらの材質が同一の場合には誘電率も一致することから、これらを異なる材質とした場合と比較して、高周波特性への対応を容易に行うことができる。
そして膜厚H2となる部分を構成する各層構成材と膜厚H1となる部分を構成する各層構成材との材質を同一にでき、また既存の層構成材を利用し得ることから、既存の層構成材について既に取得した信頼性評価等(例えば回路、スルーホール等について)の結果をリジッド多層プリント配線板400自体の信頼性評価に一部流用することができ、これに要するコストや時間を抑制することができる。
【0137】
<第5の実施形態>
第5の実施形態について、図11及び図12を参照して説明する。
先ず、コア材511の上面部511a及び下面部511bにそれぞれ導体層531,532が積層された銅張積層板561を用意する。またコア材512の下面部512bに導体層533が積層された銅張積層板562を用意する。(図11(a)参照)。
銅張積層板561は、前述の第1の実施形態の変形例の銅張積層板161の作製方法と同様の方法を用いることができ、同様の構成とし得る。また銅張積層板562は、コア材512の上面部512aに導体層が積層されていないこと以外は銅張積層板161の作製方法と同様の方法を用いることができ、同様の構成とし得る。
【0138】
次いで銅張積層板561を構成する導体層532の上面部(コア材511の上面部511aと接していない方の面)に樹脂ダム層521を形成する。また銅張積層板562を構成する導体層533の下面部(コア材512の下面部512bと接していない方の面)に樹脂ダム層522を形成する(図11(b)参照)。
【0139】
導体層532の上面部への樹脂ダム層521の形成及び導体層533の下面部への樹脂ダム層522の形成は、前述の第1の実施形態の樹脂ダム層121の形成方法と同様の方法を用いることができ、同様の構成とし得る。
また本実施形態においては、樹脂ダム層521は導体層532の上面部に2つ形成され(樹脂ダム層5211,5212)、樹脂ダム層522は導体層533の下面部に2つ形成される(樹脂ダム層5221,5222)が、作製されるリジッド多層プリント配線板500の膜厚を調整し得るのであれば、形成される樹脂ダム層521,522の数はそれぞれ1つであってもよく、またそれぞれ複数であってもよい。
樹脂ダム層531,532を形成する層構成材及びその位置は、作製されるリジッド多層プリント配線板500の設計内容やその膜厚を調整したい位置等により適宜調整できる。本実施形態においては、樹脂ダム層5211の側面部521b、樹脂ダム層5221の側面部521cが後述するリジッド多層プリント配線板500の側面部500a,500bをそれぞれ構成するように位置を調整して樹脂ダム層521を形成することが望ましく、樹脂ダム層5221の側面部522b、樹脂ダム層5222の側面部522bが後述するリジッド多層プリント配線板500の側面部500c,500dをそれぞれ構成するように位置を調整して樹脂ダム層522を形成することが望ましい。
また樹脂ダム層521,522の膜厚は、作製されるリジッド多層プリント配線板500の膜厚、樹脂ダム層521,522を形成する層構成材及び他の層構成材の膜厚等により適宜調整し得る。
また樹脂ダム層521,522はリジッド多層プリント配線板500の製造工程のいずれかにおいて、紫外線硬化及び熱硬化の少なくとも一方の方法により硬化状態となり、これに接する他の層構成材と積層状態になり得る。
なお当該熱硬化は、後述する樹脂層541,543や樹脂層542,546の加熱と同時に行ってもよい。
【0140】
そして樹脂ダム層5211の側面部521b,樹脂ダム層5212の側面部521cが後述するリジッド多層プリント配線板500の側面部500a,500bをそれぞれ構成するように導体層532の上面部側に樹脂層541として中間材及び導体層534が積み重ねられる。また樹脂ダム層5221の側面部522b,樹脂ダム層5222の側面部522cがリジッド多層プリント配線板500の側面部500c,500dをそれぞれ構成するように導体層533の下面部側に樹脂層543として中間材及び導体層535が積み重ねられると共に、銅張積層板561を上側及び銅張積層板562を下側として、銅張積層板561,562が積み重ねられる(図11(c)参照)。
本実施形態においては、導体層532の上面部の2つの樹脂ダム層5211,5212の間隙部分以外の面に樹脂層541及び導体層534が積み重ねられ、導体層531の下面部の2つの樹脂ダム層5221,5222の間隙部分以外の面に樹脂層543及び導体層535が積み重ねられる。
即ち図11(c)で表すように、樹脂ダム層521の高さ(膜厚)と樹脂層541及び導体層534を併せた高さ(膜厚)とを同程度とし、且つ、1つずつの樹脂層541及び導体層534が樹脂ダム層5211の側面部521aの近傍であってこれと接しないように若干の間隙部を設けて導体層532の上面部側に積み重ねられる。また別の1つずつの樹脂層541及び導体層534が樹脂ダム層5212の側面部521dの近傍であってこれと接しないように若干の間隙部を設けて導体層532の上面部側に積み重ねられる。
また樹脂ダム層522の高さ(膜厚)と樹脂層543及び導体層535を併せた高さ(膜厚)とを同程度とし、且つ、1つずつの樹脂層543及び導体層535が樹脂ダム層5221の側面部522aの近傍であってこれと接しないように若干の間隙部を設けて導体層533の下面部側に積み重ねられる。また別の1つずつの樹脂層543及び導体層535が樹脂ダム層5222の側面部521dの近傍であってこれと接しないように若干の間隙部を設けて導体層533の下面部側に積み重ねられる。
【0141】
本実施形態においては、樹脂ダム層521の高さ(膜厚)と樹脂層541及び導体層534を併せた高さ(膜厚)とを同等とし、樹脂ダム層522の高さ(膜厚)と樹脂層543及び導体層535を併せた高さ(膜厚)とを同等としたが、樹脂層541,543及び導体層534,535の膜厚を適宜調整してもよいことはもちろんである。
【0142】
銅張積層板561,562は、例えば銅張積層板561,562の間に接着性樹脂組成物からなる層(接着層。図示せず)を介するようにこれらをそれぞれ積み重ねてリジッド多層プリント配線板500の製造工程のいずれかにおいて加熱することにより、当該接着層を介して銅張積層板561を構成する導体層531の下面部と銅張積層板562を構成するコア材512の上面部512aとが接するようにこれらを積層状態にし得る。
【0143】
導体層534,535は、前述の第1の実施形態の導体層131と同様の方法で樹脂層541の上面部及び樹脂層543の下面部にこれらを積み重ねて積層状態にし得る。
また導体層534,535は、後述する樹脂層541,543の加熱時において樹脂層541,543とそれぞれ積層状態となるようにしてもよい。
【0144】
樹脂層541,543は、前述の第1の実施形態における樹脂層141と同様の構成とすることができ、また同様の方法にて他の層構成材に積み重ねることができる。
【0145】
樹脂層541,543は、リジッド多層プリント配線板500の製造工程のいずれかの工程における加熱により硬化し、これらに接する他の層構成材とそれぞれ積層状態になり得る。
上記加熱時に、樹脂ダム層5211の側面部521a側に積み重ねられた樹脂層541から流出した樹脂組成物は、図12(d)に表される樹脂ダム層5211の側面部521a、導体層532,534及び樹脂層541に囲まれた間隙部に流入し、これが硬化して樹脂層5441(樹脂硬化物)となる。また上記加熱時に、樹脂ダム層5212の側面部521d側に積み重ねられた樹脂層541から流出した樹脂組成物は、図12(d)に表される樹脂ダム層5212の側面部521d、導体層532,534及び樹脂層541に囲まれた間隙部に流入し、これが硬化して樹脂層5442(樹脂硬化物)となる。
更に上記加熱時に、樹脂ダム層5221の側面部522a側に積み重ねられた樹脂層543から流出した樹脂組成物は、図12(d)に表される樹脂ダム層5221の側面部522a、導体層533,535及び樹脂層543に囲まれた間隙部に流入し、これが硬化して樹脂層5451(樹脂硬化物)となる。また上記加熱時に、樹脂ダム層5222の側面部522d側に積み重ねられた樹脂層543から流出した樹脂組成物は、図12(d)に表される樹脂ダム層5222の側面部522d、導体層533,535及び樹脂層543に囲まれた間隙部に流入し、これが硬化して樹脂層5452(樹脂硬化物)となる。
そして、樹脂層5441を介して樹脂ダム層5211(側面部521a側)と樹脂層541及び導体層534とが隣接するように積層状態となり、樹脂層5442を介して樹脂ダム層5212(側面部521d側)と樹脂層541及び導体層534とが隣接するように積層状態になり得る(図12(e)参照)。
また樹脂層5451を介して樹脂ダム層5221(側面部522a側)と樹脂層543及び導体層535とが隣接するように積層状態となり、樹脂層5452を介して樹脂ダム層5222(側面部522d側)と樹脂層543及び導体層535とが隣接するように積層状態になり得る(図12(e)参照)。
このように、樹脂ダム層521は、上記加熱時に樹脂層541から溶出した樹脂組成物の流動を留める壁の役割を果たし、当該樹脂組成物が導体層532の上面部の2つの樹脂ダム層5211,5212の間隙部分の面まで溶出することを抑制し得る。これにより、導体層532の上面部を平滑に保つことができ、リジッド多層プリント配線板500の膜厚調整を容易にし得る。
また樹脂ダム層522は、上記加熱時に樹脂層543から溶出した樹脂組成物の流動を留める壁の役割を果たし、当該樹脂組成物が各層構成材において本来付着すべきではない場所に付着し硬化することを抑制し得る。
【0146】
また本実施形態においては、導体層532の上面部のうち2つの樹脂ダム層5211,5212の間隙部分の面に樹脂層542を、導体層533の下面部のうち2つの樹脂ダム層5221,5222の間隙部分の面に樹脂層546をそれぞれ積み重ねる。
【0147】
樹脂層542,546は、前述の第1の実施形態における樹脂層142と同様の構成とすることができ、また同様の方法にて他の層構成材に積み重ねることができる。なお作製されるリジッド多層プリント配線板500を屈曲状態で使用する場合、後述する加熱及び/または紫外線照射等によりそれぞれが導体層532,533と積層状態となった樹脂層542,546が可撓性を有するようにこれらの形成に用いる樹脂組成物の成分を調整することが望ましい。
【0148】
樹脂層542,546は、リジッド多層プリント配線板500の製造工程のいずれかの工程において加熱及び/または紫外線照射等されて硬化し、これに接する他の層構成材とそれぞれ積層状態になり得る。なお、上記加熱は、樹脂層541,545の加熱と同時に行ってもよい。
【0149】
本実施形態においては、樹脂層542,546は他の層構成材を積み重ねた後にそれぞれ導体層532の上面部及び導体層533の下面部側に積み重ねられたが、例えば他の層構成材の積み重ね前または他の層構成材の積み重ねと同時にそれぞれ導体層532の上面部及び導体層533の下面部に積み重ねてもよい。
また本実施形態においては導体層532の上面部及び導体層533の下面部にそれぞれ樹脂ダム層521,522を形成したが、例えば樹脂層542の上面部に樹脂ダム層521を形成し、樹脂ダム層521を形成した樹脂層542を導体層532の上面部の所定位置に積み重ねてもよく、樹脂層546の下面部に樹脂ダム層522を形成し、樹脂ダム層522を形成した樹脂層546を導体層533の下面部の所定位置に積み重ねてもよい。
またコア材511の上面部511aのうち、樹脂ダム層5211,5212の間隙部分にあたる面に導体層532を設けない場合、例えば当該部分に積層された導体層532をエッチング処理等により除去し、コア材511の上面部511aのうち導体層532が除去された部分に樹脂ダム層521を形成して他の層構成材を積み重ねる場合、樹脂層542はリジッド多層プリント配線板500の構成要素から除外してもよい。同様にコア材512の下面部511bのうち、樹脂ダム層5221,5222の間隙部分にあたる面に導体層533を設けない場合、例えば当該部分に積層された導体層533をエッチング処理等により除去し、コア材511の下面部511bのうち導体層533が除去された部分に樹脂ダム層522を形成して他の層構成材を積み重ねる場合、樹脂層546はリジッド多層プリント配線板500の構成要素から除外してもよい。
【0150】
そして樹脂ダム層521,522及び樹脂層541,542,543,5441,5442,5451,5452,546を硬化状態とし、また各々接する層構成材を積層状態とすることにより、本実施形態のリジッド多層プリント配線板500が作製される(図12(e)参照)。
本実施形態のリジッド多層プリント配線板500は、図11(e)で表すように、樹脂ダム層5211の側面部521b、樹脂ダム層5212の側面部521cがリジッド多層プリント配線板500の側面部500a,500bをそれぞれ構成するように積層されている。また樹脂ダム層5221の側面部522b、樹脂ダム層5222の側面部522cがリジッド多層プリント配線板500の側面部500c,500dをそれぞれ構成するように積層されている。
また樹脂層542は樹脂ダム層521を備える導体層532の上面部と積層状態となり、且つ樹脂ダム層521と接するよう積層されている。そしてリジッド多層プリント配線板500は、樹脂層542の上面部とリジッド多層プリント配線板500の側面部500aとがL字型(リジッド多層プリント配線板500の側面部500aを縦線、樹脂層542の上面部を横線と見た場合)となるように、また樹脂層542の上面部とリジッド多層プリント配線板500の側面部500bとが逆L字型(リジッド多層プリント配線板500の側面部500bを縦線、樹脂層542の上面部を横線と見た場合)となるよう構成されている。
更に樹脂層546は樹脂ダム層522を備える導体層533の下面部と積層状態となり、且つ樹脂ダム層522と接するよう積層されている。そしてリジッド多層プリント配線板500は、樹脂層546の下面部とリジッド多層プリント配線板500の側面部500cとが逆L字型(リジッド多層プリント配線板500の側面部500cを縦線、樹脂層546の下面部を横線と見た場合)となるように、また樹脂層546の下面部とリジッド多層プリント配線板500の側面部500dとがL字型(リジッド多層プリント配線板500の側面部500dを縦線、樹脂層546の下面部を横線と見た場合)となるよう構成されている。
本実施形態のリジッド多層プリント配線板500はこのような構成となることにより、導体層534の上面部から導体層535の下面部までの高さ(膜厚H1)と樹脂層542の上面部から樹脂層546の下面部までの高さ(膜厚H2)とを異なるように、即ち膜厚H2の方を膜厚H1よりも薄くし得る。
【0151】
リジッド多層プリント配線板500において、膜厚H1は100μm以上6mm以下であることが望ましい。また膜厚H2は30μm以上であり且つ膜厚H1よりも100μmm以上薄いことが望ましい。
【0152】
このように、本実施形態の製造方法により作製されるリジッド多層プリント配線板500は、リジッド多層プリント配線板500のコアとなる層(コア材511,512)に間隙部分を形成する工程が不要であり、また層構成材を積み重ねる工程において各層構成材の積み重ね位置等を調整することにより、リジッド多層プリント配線板500の膜厚(H1,H2)を容易に調整し得る。
【0153】
導体層531,532,533,534,535は、リジッド多層プリント配線板500の製造工程のいずれかの工程にて、所望の回路パターンとなるようにエッチング等により不要な部分を除去し得る。
【0154】
樹脂層541,543のように導体層間にある樹脂層の膜厚は、硬化状態において20μm以上であることが望ましい。また樹脂層542,546のような表層絶縁層となる樹脂層の膜厚は、硬化状態において5μm以上30μm以下であることが望ましい。
また導体層531,532,533,534,535の膜厚は5μm以上300μm以下であることが望ましい。
【0155】
なお、本実施形態においては、各層構成材の積み重ね及び積層は、例えば1層ずつ積み重ねて積層してもよく、複数の層構成材を積み重ねて積層してもよく、またこれらの組み合わせであってもよい。
【0156】
また本実施形態においては、銅張積層板561,562を使用したが、例えばコア材511の上面部511aと下面部511bにそれぞれ導体層531,532を積み重ねて積層状態とする工程を含んでいてもよく、コア材512の下面部512bに導体層533を積み重ねて積層状態とする工程を含んでいてもよい。
【0157】
また本実施形態においては、リジッド多層プリント配線板500のいずれかの製造工程において、ビアホールを形成する工程を設けてもよい。例えばリジッド多層プリント配線板500の構成要素となる全ての層構成材が積層状態となった後に、これの所定の位置にビアホール(図示せず)を形成することにより、導体層531,532,533,534,535を電気的接続し得る。また例えば当該ビアホールは、一部の層構成材が積層状態となった際に設けてもよい。
前記ビアホールの形成される位置は、リジッド多層プリント配線板500における設計回路パターンにより適宜調整し得る。
そして導体層534,535の所定の位置(例えばランド部。図示せず)や形成されたビアホールに所定の電子部品を搭載することにより、所望のリジッド多層プリント実装配線板が作製される。
【0158】
リジッド多層プリント配線板500は、導体層534が最外層となるように樹脂層542,546が積層された(膜厚H2となる)部分を屈曲させることができる。更にはリジッド多層プリント配線板500は、導体層535が最外層となるようにも樹脂層542,546が積層された(膜厚H2となる)部分を屈曲させることができる。
このようにリジッド多層プリント配線板500は、導体層534側を最外層とするようにも、導体層535側を最外層とするようにも、いずれの方向にも屈曲状態で使用することができるため、電子制御装置内のスペースを更に効率的に活用することができると共に、リジッド多層プリント配線板500への電子部品の実装(設計)やこれを組み込んだ電子制御装置の設計の自由度を更に広げることができる。
【0159】
そしてリジッド多層プリント配線板500は、屈曲させる部分(樹脂層542,546が積層された(膜厚H2となる)部分)の材質を選ぶことなくその膜厚を調整し得るため、この部分に例えば耐熱性や耐久性の高い材質を使用することができ、また特殊な性能を有する樹脂を使用することができるため、高い信頼性を実現することができる。
【0160】
更にはリジッド多層プリント配線板500のうち、膜厚H2となる部分を構成するコア材511,512及び導体層531,532,533と膜厚H1となる部分を構成するコア材511,512及び導体層531,532,533(534,535)とは各々同じ材質となり得るため、熱膨張係数の差を抑え、破損の発生を抑制することもできる。またこれらの材質が同一の場合には誘電率も一致することから、これらを異なる材質とした場合と比較して、高周波特性への対応を容易に行うことができる。
そして膜厚H2となる部分を構成する各層構成材と膜厚H1となる部分を構成する各層構成材との材質を同一にでき、また既存の層構成材を利用し得ることから、既存の層構成材について既に取得した信頼性評価等(例えば回路、スルーホール等について)の結果をリジッド多層プリント配線板500自体の信頼性評価に一部流用することができ、これに要するコストや時間を抑制することができる。
【0161】
なお、リジッド多層プリント配線板500においては、樹脂ダム層5211の側面部521a,521b、樹脂ダム層5212の側面部521c,521dと樹脂ダム層5221の側面部522a,522b、樹脂ダム層5222の側面部522c,522dとは、それぞれ垂直上で同一直線上に存するよう構成されているが、これらがそれぞれ垂直上で同一直線上に存しないように、または一部のみが垂直上で同一直線上に存するように樹脂ダム層521,522を形成してもよい。
このようなリジッド多層プリント配線板500は、これがSの字状や波型状となるように膜厚H2となる部分を屈曲させることができるため、電子制御装置内のスペースを更に効率的に活用することができると共に、リジッド多層プリント配線板500への電子部品の実装(設計)やこれを組み込んだ電子制御装置の設計の自由度を更に広げることができる。
【0162】
<第6の実施形態>
第6の実施形態にかかるリジッド多層プリント配線板600について図13を参照して説明する。
図13(b)で表されるように、リジッド多層プリント配線板600は、コア材611の上面部611a側に導体層632、樹脂層641及び導体層633が積層され、またコア材611の下面部611b側に導体層631が積層されている。そして導体層632の上面部に樹脂ダム層621が設けられている。この樹脂ダム層621は、図13(a)で表されるように、導体層632の上面部に四角形の輪郭を描くように設けられている。
なお本実施形態においては、樹脂ダム層621の外周部のそれぞれの側面部を側面部621a,621b,621c,621dとし、内周部のそれぞれの側面部を側面部621e,621f,621g,621hとした。
【0163】
リジッド多層プリント配線板600の製造工程においては、コア材611の上面部611a及び下面部611bにそれぞれ導体層631,632を積み重ね積層する工程を含んでいてもよく、またコア材611の上面部611a及び下面部611bに導体層631,632がそれぞれ積層されている銅張積層板661(図示せず)を用いてもよい。
【0164】
導体層631,632は、前述の第1の実施形態の導体層131,132と同様の方法でコア材611の上面部611a及び下面部611bにそれぞれ積み重ねられ、積層状態にし得る。
【0165】
導体層632の上面部への樹脂ダム層621の形成は、前述の第1の実施形態の樹脂ダム層121の形成方法と同様の方法を用いることができ、同様の構成とし得る。
樹脂ダム層621を形成する層構成材及びその位置は、作製されるリジッド多層プリント配線板600の設計内容やその膜厚を調整したい位置等により適宜調整できる。
また樹脂ダム層621の膜厚は、作製されるリジッド多層プリント配線板600の膜厚、樹脂ダム層621を形成する層構成材及び他の層構成材の膜厚等により適宜調整し得る。
また樹脂ダム層621はリジッド多層プリント配線板600の製造工程のいずれかにおいて、紫外線硬化及び熱硬化の少なくとも一方の方法により硬化状態となり、これに接する他の層構成材と積層状態になり得る。
なお当該熱硬化は、後述する樹脂層641の加熱と同時に行ってもよい。
【0166】
リジッド多層プリント配線板600においては、図13(a)及び(b)で表されるように、樹脂ダム層621の側面部のうち621e,621f,621g,621hがリジッド多層プリント配線板600の側面部600a,600b,600c,600dをそれぞれ構成するように各層構成材を積み重ねて積層状態にし得る。
【0167】
本実施形態においては、導体層632の上面部側への樹脂層641及び導体層633の積み重ねは前述の第1の実施形態の導体層132の上面部側への樹脂層141及び導体層133の積み重ねと同様の方法を用いることができ、同様の構成とし得る。
【0168】
樹脂層641は、前述の第1の実施形態における樹脂層141と同様の構成とすることができ、また同様の方法にて他の層構成材に積み重ねることができる。本実施形態においては、樹脂層641は、樹脂ダム層621の側面部621a,621b,621c,621dに接するように導体層632の上面部に積み重ねられる。
また導体層633は、前述の第1の実施形態における導体層131と同様の構成とすることができ、また同様の方法にて他の層構成材に積み重ねることができる。また導体層633は、後述する樹脂層641の加熱時において樹脂層641と積層状態となるようにしてもよい。
【0169】
本実施形態においては、樹脂ダム層621の高さ(膜厚)と樹脂層641及び導体層633を併せた高さ(膜厚)とを同等とたが、これらの膜厚を適宜調整してもよいことはもちろんである。
【0170】
樹脂層641は、リジッド多層プリント配線板600の製造工程のいずれかの工程における加熱により硬化し、これに接する他の層構成材と積層状態になり得る。但し樹脂層641を加熱するタイミングによっては、樹脂層641の加熱前に樹脂ダム層621と樹脂層641とが積層状態となっている場合も存在し、この場合は樹脂層641の加熱により、樹脂ダム層621と硬化した樹脂層641とが積層状態になり得る。
そして樹脂ダム層621は、上記加熱時に樹脂層641から溶出した樹脂組成物の流動を留める壁の役割を果たし、当該樹脂組成物が導体層632の上面部まで溶出することを抑制し得る。これにより、導体層632の上面部を平滑に保つことができ、リジッド多層プリント配線板600の膜厚調整を容易にし得る。
【0171】
本実施形態のリジッド多層プリント配線板600は、樹脂ダム層621及び樹脂層641が硬化状態となり、また各々接する層構成材が積層状態となることにより作製される。
そしてリジッド多層プリント配線板600は、樹脂ダム層621を備える導体層632の上面部とリジッド多層プリント配線板600の側面部600a、及び導体層632の上面部とリジッド多層プリント配線板600の側面部600bとがそれぞれL字型(リジッド多層プリント配線板600の側面部600a,600bを縦線、導体層632の上面部を横線と見た場合)となるように、また導体層632の上面部とリジッド多層プリント配線板600の側面部600c、及び導体層632の上面部とリジッド多層プリント配線板600の側面部600dとがそれぞれ逆L字型(リジッド多層プリント配線板600の側面部600c,600dを縦線、導体層632の上面部を横線と見た場合)となるよう構成されている。
本実施形態のリジッド多層プリント配線板600はこのような構成となることにより、導体層633の上面部から導体層631の下面部までの高さ(膜厚H1)と導体層632の上面部から導体層631の下面部までの高さ(膜厚H2)とを異なるように、即ち膜厚H2の方を膜厚H1よりも薄くし得る。
【0172】
リジッド多層プリント配線板600において、膜厚H1は100μm以上6mm以下であることが望ましい。また膜厚H2は30μm以上であり且つ膜厚H1よりも100μmm以上薄いことが望ましい。
【0173】
即ち、本実施形態の製造方法により作製されるリジッド多層プリント配線板600は、リジッド多層プリント配線板600のコアとなる層(コア材611)に間隙部分を形成する工程が不要であり、また層構成材を積み重ねる工程において各層構成材の積み重ね位置等を調整することにより、リジッド多層プリント配線板300の膜厚(H1,H2)を容易に調整し得る。
またリジッド多層プリント配線板600の樹脂ダム層621の一部の側面部がリジッド多層プリント配線板600の一部の側面部を構成している領域は四角状に窪んでいるような(凹状となっている)構成となっているため、当該領域の形状に応じて、これに適合する電子部品(図示せず)の埋め込み搭載が可能となる。特に樹脂ダム層641をインクジェット印刷方法を用いて形成する場合には、微細な形状で樹脂組成物を導体層632の上面部に印刷し得るため、この場合、微細な電子部品を埋め込み搭載できるようなリジッド多層プリント配線板600を作製し得る。
このようにリジッド多層プリント配線板600は、様々な電子部品を埋め込み搭載することができる。またリジッド多層プリント配線板600には複数の樹脂ダム層621を設けられるため、これに電子部品を実装した基板を組み込んだ電子制御装置内のスペースを効率的に活用することができる。
【0174】
導体層631,632,633は、リジッド多層プリント配線板600の製造工程のいずれかの工程にて、所望の回路パターンとなるようにエッチング等により不要な部分を除去し得る。
【0175】
樹脂層641のように導体層間にある樹脂層の膜厚は、硬化状態において20μm以上であることが望ましい。
また導体層631,632,633の膜厚は5μm以上300μm以下であることが望ましい。
【0176】
なお、本実施形態においては、各層構成材の積み重ね及び積層は、例えば1層ずつ積み重ねて積層してもよく、複数の層構成材を積み重ねて積層してもよく、またこれらの組み合わせであってもよい。
【0177】
また本実施形態においては、リジッド多層プリント配線板600のいずれかの製造工程において、ビアホールを形成する工程を設けてもよい。例えばリジッド多層プリント配線板600の構成要素となる全ての層構成材が積層状態となった後に、これの所定の位置にビアホール(図示せず)を形成することにより、導体層631,632,633を電気的接続し得る。また例えば当該ビアホールは、一部の層構成材が積層状態となった際に設けてもよい。
前記ビアホールの形成される位置は、リジッド多層プリント配線板600における設計回路パターンにより適宜調整し得る。
そして導体層631,633の所定の位置(例えばランド部。図示せず)や形成されたビアホールに所定の電子部品を搭載することにより、所望のリジッド多層プリント実装配線板が作製される。
【0178】
またリジッド多層プリント配線板600は、膜厚H2となる部分の材質を選ぶことなくその膜厚を調整し得るため、この部分に例えば耐熱性や耐久性の高い材質を使用することができ、また特殊な性能を有する樹脂を使用することができるため、高い信頼性を実現することができる。
【0179】
更にはリジッド多層プリント配線板600のうち、膜厚H2となる部分を構成するコア材611及び導体層631,632と膜厚H1となる部分を構成するコア材611及び導体層631,632(633)とは各々同じ材質となり得るため、熱膨張係数の差を抑え、破損の発生を抑制することもできる。またこれらの材質が同一の場合には誘電率も一致することから、これらを異なる材質とした場合と比較して、高周波特性への対応を容易に行うことができる。
そして膜厚H2となる部分を構成する各層構成材と膜厚H1となる部分を構成する各層構成材との材質を同一にでき、また既存の層構成材を利用し得ることから、既存の層構成材について既に取得した信頼性評価等(例えば回路、スルーホール等について)の結果をリジッド多層プリント配線板600自体の信頼性評価に一部流用することができ、これに要するコストや時間を抑制することができる。
【0180】
<第7の実施形態>
第7の実施形態について、図14から図17を参照して説明する。
コア材711の上面部711a及び下面部711bにそれぞれ導体層731,732が積層された銅張積層板761を用意する(図14(a)参照)。
銅張積層板761は、前述の第1の実施形態の変形例の銅張積層板161の作製方法と同様の方法を用いることができ、同様の構成とし得る。
【0181】
次いで銅張積層板761の所定の位置に空隙部751を形成する(図14(b)参照)。
【0182】
銅張積層板761を構成する導体層731,732について、後述する樹脂硬化物からなる樹脂層745,746,748,749が形成される位置に対応する領域をエッチング等で除去した後、導体層732の上面部(コア材711の上面部711aと接していない方の面)に樹脂ダム層721を形成する(図14(c)参照)。
導体層732の上面部への樹脂ダム層721の形成は、前述の第1の実施形態の樹脂ダム層121の形成方法と同様の方法を用いることができ、同様の構成とし得る。
また本実施形態においては、樹脂ダム層721は導体層732の上面部に2つ形成され(樹脂ダム層7211,7212)、1つの樹脂ダム層7211はその側面部721bが銅張積層板761の側面部761aと垂直上で同一直線上に存するように、もう1つの樹脂ダム層7212はその側面部721cが銅張積層板761の側面部761bと垂直上で同一直線上に存するように形成される。
なお、作製されるリジッド多層プリント配線板700の膜厚を調整し得るのであれば、形成される樹脂ダム層721の数は1つであってもよく、また複数であってもよい。
また樹脂ダム層721はリジッド多層プリント配線板700の製造工程のいずれかにおいて、紫外線硬化及び熱硬化の少なくとも一方の方法により硬化状態となり、これと接する他の層構成材と積層状態になり得る。
なお当該熱硬化は、後述する熱圧着と同時に行ってもよい。
【0183】
コア材712の上面部712a及び下面部712bにそれぞれ導体層733,734が積層された銅張積層板762を用意する(図15(d)参照)。
銅張積層板762は、前述の第1の実施形態の変形例の銅張積層板161の作製方法と同様の方法を用いることができ、同様の構成とし得る。
【0184】
次いで銅張積層板762を構成する導体層733,734について、後述する樹脂硬化物からなる樹脂層747,749が形成される位置に対応する領域及び積み重ねた際に樹脂ダム層7211の側面部721aから樹脂ダム層7212の側面部721dまでの間に対応する領域をエッチング等で除去する(図15(e)参照)。
【0185】
コア材713の上面部713a及び下面部713bにそれぞれ導体層735,736が積層された銅張積層板763を用意する(図16(f)参照)。
銅張積層板763は、前述の第1の実施形態の変形例の銅張積層板161の作製方法と同様の方法を用いることができ、同様の構成とし得る。
【0186】
次いで銅張積層板763を構成する導体層736について、後述する樹脂硬化物からなる樹脂層744が形成される位置に対応する領域をエッチング等で除去する(図16(g)参照)。
【0187】
そして、導体層736の上面部の所定の位置に樹脂層741を積み重ねる(図16(h)参照)。樹脂層741は、前述の第1の実施形態における樹脂層142と同様の構成とすることができ、また同様の方法にて他の層構成材に積み重ねることができる。なお作製されるリジッド多層プリント配線板700を屈曲状態で使用する場合、後述する加熱及び/または紫外線照射等により導体層736と積層状態となった樹脂層741が可撓性を有するようにこれの形成に用いる樹脂組成物の成分を調整することが望ましい。
【0188】
樹脂層741は、リジッド多層プリント配線板700の製造工程のいずれかの工程において加熱及び/または紫外線照射等されて硬化し、これに接する他の層構成材と積層状態になり得る。
また樹脂層741を積み重ねる導体層736の位置及び樹脂層741の大きさ(広さ)等は、作製されるリジッド多層プリント配線板700において、後述する樹脂ダム層7221の側面部722bがリジッド多層プリント配線板700の側面部700aの一部を構成するように、また樹脂ダム層7222の側面部722cがリジッド多層プリント配線板700の側面部700bの一部を構成するように積み重ねられるよう、適宜調整し得る。
【0189】
そして樹脂層741の上面部(導体層736の上面部と接していない方の面)に樹脂ダム層722を形成する(図16(i)参照)。
樹脂層741の上面部への樹脂ダム層721の形成は、前述の第1の実施形態の樹脂ダム層121の形成方法と同様の方法を用いることができ、同様の構成とし得る。
また本実施形態においては、樹脂ダム層722は樹脂層741の上面部に2つ形成される(樹脂ダム層7221,7222)。更に樹脂ダム層722は、後述する銅張積層板761,762,763の積み重ね時において、樹脂ダム層7221の側面部722a,722b、樹脂ダム層7222の側面部722c,722dがそれぞれ樹脂ダム層7211の側面部721a,721b、樹脂ダム層7212の側面部721c,721dと垂直上で同一直線上に存するように形成される。
なお、作製されるリジッド多層プリント配線板700の膜厚を調整し得るのであれば、形成される樹脂ダム層722の数は1つであってもよく、また複数であってもよい。
また樹脂ダム層722はリジッド多層プリント配線板700の製造工程のいずれかにおいて、紫外線硬化及び熱硬化の少なくとも一方の方法により硬化状態となり、コア材711の下面部711b及び樹脂層741と積層状態となる。なお、当該熱硬化は後述する熱圧着と同時に行ってもよい。
【0190】
そして樹脂ダム層7211の側面部721b、樹脂ダム層7212の側面部721c及び樹脂ダム層7221の側面部722b、樹脂ダム層7222の側面部722cがそれぞれ後述するリジッド多層プリント配線板700の側面部700a,700bの一部を構成するように、銅張積層板761,762,763を下から763,761,762となるように積み重ねると共に、図17(j)に表されるように樹脂層742,743を積み重ねる。
本実施形態においては、図17(j)で表されるように、1つの樹脂層742が導体層736の上面部と導体層731の下面部に接するように且つ樹脂ダム層7221の側面部722aの近傍であってこれと接しないように若干の間隙部を設けて積み重ねられ、また別の樹脂層742が導体層736の上面部と導体層731の下面部に接するように且つ樹脂ダム層7222の側面部722dの近傍であってこれと接しないように若干の間隙部を設けて積み重ねられる。
また図17(j)で表されるように、1つの樹脂層743が導体層732の上面部と導体層733の下面部に接するように且つ樹脂ダム層7211の側面部721aの近傍であってこれと接しないように若干の間隙部を設けて積み重ねられ、また別の樹脂層743が導体層732の上面部と導体層733の下面部に接するように且つ樹脂ダム層7212の側面部721dの近傍であってこれと接しないように若干の間隙部を設けて積み重ねられる。
【0191】
本実施形態においては、樹脂ダム層721の高さ(膜厚)と導体層732,733及び樹脂層743を併せた高さ(膜厚)とを同等とし、樹脂ダム層722と樹脂層741を併せた高さ(膜厚)と導体層731及び樹脂層742を併せた高さ(膜厚)とを同等としたが、それぞれの膜厚を適宜調整してもよいことはもちろんである。また同様に他の各層構成材についても適宜膜厚を調整し得る。
【0192】
樹脂層742,743は、リジッド多層プリント配線板700の製造工程のいずれかの工程における加熱により硬化し、これらに接する他の層構成材と積層状態になり得る。本実施形態においては、上記各層構成材を積み重ねた後、熱圧着により各層構成材を積層状態とすることが望ましい。
上記加熱時に、樹脂ダム層7221の側面部722a側に積み重ねられた樹脂層742から流出した樹脂組成物は、図17(k)に表されるコア材713の上面部713a、導体層736及び樹脂層742に囲まれた間隙部、コア材711の下面部711b、導体層731及び樹脂層742に囲まれた間隙部及びコア材711の下面部711b、樹脂ダム層7221の側面部722a、導体層731,736及び樹脂層741,742に囲まれた間隙部にそれぞれ流入し、これが硬化してそれぞれ樹脂硬化物(樹脂層744,745,7481)となる。
また上記加熱時に、樹脂ダム層7222の側面部722d側に積み重ねられた樹脂層742から流出した樹脂組成物は、図17(k)に表されるコア材713の上面部713a、導体層736及び樹脂層742に囲まれた間隙部、コア材711の下面部711b、導体層731及び樹脂層742に囲まれた間隙部及びコア材711の下面部711b、樹脂ダム層7222の側面部722d、導体層731,736及び樹脂層741,742に囲まれた間隙部にそれぞれ流入し、これが硬化してそれぞれ樹脂硬化物(樹脂層744,745,7482)となる。
更には、上記加熱時に、樹脂ダム層7211の側面部721a側に積み重ねられた樹脂層743から流出した樹脂組成物は、図17(k)に表されるコア材711の上面部711a、導体層732及び樹脂層743に囲まれた間隙部、コア材712の下面部712b、導体層733及び樹脂層743に囲まれた間隙部及びコア材712の下面部712b、樹脂ダム層7211の側面部721a、導体層732,733及び樹脂層743に囲まれた間隙部にそれぞれ流入し、これが硬化してそれぞれ樹脂硬化物(樹脂層746,747,7491)となる。
また上記加熱時に樹脂ダム層7212の側面部721d側に積み重ねられた樹脂層743から流出した樹脂組成物は、図17(k)に表されるコア材711の上面部711a、導体層732及び樹脂層743に囲まれた間隙部、コア材712の下面部712b、導体層733及び樹脂層743に囲まれた間隙部及びコア材712の下面部712b、樹脂ダム層7212の側面部721d、導体層732,733及び樹脂層743に囲まれた間隙部にそれぞれ流入し、これが硬化してそれぞれ樹脂硬化物(樹脂層746,747,7492)となる。
そして、樹脂層7481を介して樹脂ダム層7221(側面部722a側)と導体層731及び樹脂層742とが隣接するように積層状態になり、樹脂層7482を介して樹脂ダム層7222(側面部722d側)と導体層731及び樹脂層742とが隣接するように積層状態になり得る(図17(k)参照)。またこの際、樹脂層7481とコア材711の下面部711b及び導体層736の上面部とを、樹脂層7482とコア材711の下面部711b及び導体層736の上面部とをそれぞれ積層状態にし得る。
また、樹脂層7491を介して樹脂ダム層7211(側面部721a側)と導体層732,733及び樹脂層743とが隣接するように積層状態となり、樹脂層7492を介して樹脂ダム層7212(側面部721d側)と導体層732,733及び樹脂層743とが隣接するように積層状態となる(図17(k)参照)。またこの際、樹脂層7491とコア材711の上面部711a及びコア材712の下面部712bとを、樹脂層7492とコア材711の上面部711a及びコア材712の下面部712bとをそれぞれ積層状態にし得る。
なお、樹脂層744はコア材713の上面部713a、導体層736の側面部及び樹脂層742の下面部と積層状態となり、樹脂層745はコア材711の下面部711b、導体層732の側面部及び樹脂層742の上面部と積層状態となり、樹脂層746はコア材711の上面部711a、導体層733の側面部及び樹脂層743の下面部と積層状態となり、樹脂層747はコア材712の下面部712b、導体層733の側面部及び樹脂層743の上面部と積層状態になり得る。
そして樹脂ダム層721は、上記加熱時に樹脂層743から溶出した樹脂組成物の流動を留める壁の役割を果たし、当該樹脂組成物が樹脂層741の上面部まで溶出することを抑制し得る。これにより、樹脂層741の上面部を平滑に保つことができ、リジッド多層プリント配線板700の膜厚調整を容易にし得る。
また樹脂ダム層722は、上記加熱時に樹脂層743から溶出した樹脂組成物の流動を留める壁の役割を果たし、当該樹脂組成物が樹脂層741の上面部まで溶出することを抑制し得る。これにより、樹脂層741の上面部を平滑に保つことができ、リジッド多層プリント配線板700の膜厚調整を容易にし得る。
【0193】
本実施形態においては、樹脂層742,743及び銅張積層板761,762,763を同時に積み重ねて積層状態とするような構成としたが、例えば樹脂層742及び銅張積層板761,763とを積み重ねてこれらを積層状態にし、その後これと樹脂層743と銅張積層板762とを積み重ねて積層状態にしてもよく、樹脂層743及び銅張積層板761,762とを積み重ねてこれらを積層状態にし、その後これと樹脂層742と銅張積層板763とを積み重ねて積層状態にしてもよい。
【0194】
本実施形態においては、樹脂ダム層721,722及び樹脂層741,742,743,744,745,746,747,7481,7482,7491,7492を硬化状態とし、また各々接する層構成材が積層状態となった後、コア材712及び導体層734のうち、樹脂ダム層7211の側面部721b及び樹脂ダム層7221の側面部722bと垂直上で同一直線上に対応する位置を切断し、並びに樹脂ダム層7212の側面部721c及び樹脂ダム層7222の側面部722cに垂直上で同一直線上に対応する位置を切断することにより、コア材712及び導体層734の一部を除去する。これにより、本実施形態のリジッド多層プリント配線板700が作製される(図17(l)参照)。
なお本実施形態においては、全ての層構成材が積層状態となった後にコア材712及び導体層734の一部を除去したが、これらの除去はリジッド多層プリント配線板700の製造工程のいずれであってもよい。
そしてリジッド多層プリント配線板700は、図17(l)で表されるように、樹脂ダム層7211の側面部721b及び樹脂ダム層7221の側面部722bがリジッド多層プリント配線板700の側面部700aの一部を構成し、樹脂ダム層7212の側面部721c及び樹脂ダム層7222の側面部722cがリジッド多層プリント配線板700の側面部700bの一部を構成している。
そしてリジッド多層プリント配線板700は、樹脂ダム層722を備える樹脂層741の上面部とリジッド多層プリント配線板700の側面部700aとがL字型(リジッド多層プリント配線板700の側面部700aを縦線、樹脂層741の上面部を横線と見た場合)となるように、また樹脂層741の上面部とリジッド多層プリント配線板700の側面部700bとが逆L字型(リジッド多層プリント配線板700の側面部700bを縦線、樹脂層741の上面部を横線と見た場合)となるよう構成されている。
本実施形態のリジッド多層プリント配線板700はこのような構成となることにより、導体層734の上面部から導体層735の下面部までの高さ(膜厚H1)と樹脂層741の上面部から導体層735の下面部までの高さ(膜厚H2)とを異なるように、即ち膜厚H2の方を膜厚H1よりも薄くし得る。
【0195】
リジッド多層プリント配線板700において、膜厚H1は100μm以上6mm以下であることが望ましい。また膜厚H2は30μm以上であり且つ膜厚H1よりも100μmm以上薄いことが望ましい。
【0196】
このように、本実施形態の製造方法により作製されるリジッド多層プリント配線板700は、リジッド多層プリント配線板700のコアとなる層(コア材713)に間隙部分を形成する工程が不要であり、またリジッド多層プリント配線板700を構成する層構成材を積み重ねる工程において各層構成材の積み重ね位置等を調整することにより、リジッド多層プリント配線板700の膜厚(H1,H2)を容易に調整し得ると共に、外部に露出する層(樹脂層741)を容易に調整し得る。
【0197】
導体層731,732,733,734,735,736は、リジッド多層プリント配線板700の製造工程のいずれかの工程にて、所望の回路パターンとなるようにエッチング等により不要な部分を除去し得る。
【0198】
樹脂層742,743のように導体層間にある樹脂層の膜厚は、硬化状態において20μm以上であることが望ましい。また樹脂層741のような表層絶縁層となる樹脂層の膜厚は、硬化状態において5μm以上30μm以下であることが望ましい。
また導体層731,732,733,734,735,736の膜厚は5μm以上300μm以下であることが望ましい。
【0199】
また本実施形態においては、銅張積層板761,762,763を使用したが、例えばコア材711の上面部711aと下面部711bにそれぞれ導体層731,732を積み重ねて積層状態とする工程、コア材712の上面部712aと下面部712bにそれぞれ導体層733,734を積み重ねて積層状態とする工程及びコア材713の上面部713aと下面部713bにそれぞれ導体層735,736を積み重ねて積層状態とする工程を含んでいてもよい。
【0200】
また本実施形態においては、リジッド多層プリント配線板700のいずれかの製造工程において、ビアホールを形成する工程を設けてもよい。例えばリジッド多層プリント配線板700の構成要素となる全ての層構成材が積層状態となった後に、これの所定の位置にビアホール(図示せず)を形成することにより、導体層731,732,733,734,735,736を電気的接続し得る。また例えば当該ビアホールは、一部の層構成材が積層状態となった際に設けてもよい。
前記ビアホールの形成される位置は、リジッド多層プリント配線板700における設計回路パターンにより適宜調整し得る。
そして導体層734,735の所定の位置(例えばランド部。図示せず)や形成されたビアホールに所定の電子部品を搭載することにより、所望のリジッド多層プリント実装配線板が作製される。
【0201】
リジッド多層プリント配線板700は、導体層735が最外層となるように樹脂層741が積層された(膜厚H2となる)部分を屈曲させることができる。このようにリジッド多層プリント配線板700は屈曲状態で使用することができるため、電子制御装置内のスペースを効率的に活用することができると共に、リジッド多層プリント配線板700への電子部品の実装(設計)やこれを組み込んだ電子制御装置の設計の自由度を広げることができる。
そしてリジッド多層プリント配線板700は、材質を選ぶことなくその膜厚を調整し得るため、この部分に例えば耐熱性や耐久性の高い材質を使用することができ、また特殊な性能を有する樹脂を使用することができるため、高い信頼性を実現することができる。
【0202】
更にはリジッド多層プリント配線板700のうち、膜厚H2となる部分を構成するコア材713及び導体層735,736と膜厚H1となる部分を構成するコア材(711,712)713及び導体層(731,732,733,734)735,736とは各々同じ材質となり得るため、熱膨張係数の差を抑え、破損の発生を抑制することもできる。またこれらの材質が同一の場合には誘電率も一致することから、これらを異なる材質とした場合と比較して、高周波特性への対応を容易に行うことができる。
そして膜厚H2となる部分を構成する各層構成材と膜厚H1となる部分を構成する各層構成材との材質を同一にでき、また既存の層構成材を利用し得ることから、既存の層構成材について既に取得した信頼性評価等(例えば回路、スルーホール等について)の結果をリジッド多層プリント配線板700自体の信頼性評価に一部流用することができ、これに要するコストや時間を抑制することができる。
【0203】
<第8の実施形態>
第8の実施形態について、図18から図20を参照して説明する。
コア材811の上面部811a及び下面部811bにそれぞれ導体層831,832が積層された銅張積層板861を用意する(図18(a)参照)。
銅張積層板861は、前述の第1の実施形態の変形例の銅張積層板161の作製方法と同様の方法を用いることができ、同様の構成とし得る。
【0204】
次いで銅張積層板861を構成する導体層831,832について、後述する樹脂硬化物からなる樹脂層845,846が形成される位置に対応する領域をエッチング等で除去する(図18(b)参照)。
【0205】
そして、導体層832の上面部の所定の位置に樹脂層8412を積み重ね、導体層831の下面部の所定の位置に樹脂層8411を積み重ねる(図18(c)参照)。
樹脂層8411,8412は、前述の第1の実施形態における樹脂層142と同様の構成とすることができ、また同様の方法にて他の層構成材に積み重ねることができる。なお作製されるリジッド多層プリント配線板800を屈曲状態で使用する場合、後述する加熱及び/または紫外線照射等により導体層831と積層状態になった樹脂層8411と、導体層832と積層状態となった樹脂層8412とが、それぞれ可撓性を有するようにこれらの形成に用いられる樹脂組成物の成分を調整することが望ましい。
【0206】
樹脂層8411,8412は、リジッド多層プリント配線板800の製造工程のいずれかの工程において加熱及び/または紫外線照射等されて硬化し、これらに接する他の層構成材と積層状態になり得る。
また樹脂層8411を積み重ねる位置及び樹脂層8411の大きさ(広さ)等は、作製されるリジッド多層プリント配線板800において、後述する樹脂ダム層8211の側面部821bがリジッド多層プリント配線板800の側面部800aの一部を構成するように、また樹脂ダム層8212の側面部821cがリジッド多層プリント配線板800の側面部800bの一部を構成するように積み重ねられるよう、適宜調整し得る。
同様に、樹脂層8412を積み重ねる位置及び樹脂層8412の大きさ(広さ)等は、作製されるリジッド多層プリント配線板800において、後述する樹脂ダム層樹脂ダム層8221の側面部822bがリジッド多層プリント配線板800の側面部800cの一部を構成するように、また樹脂ダム層8222の側面部822cがリジッド多層プリント配線板800の側面部800dの一部を構成するように積み重ねられるよう、適宜調整し得る。
【0207】
そして樹脂層8412の上面部(導体層832の上面部と接していない方の面)に樹脂ダム層821を形成し、樹脂層8411の下面部(導体層831の下面部と接していない方の面)に樹脂ダム層822を形成する(図18(d)参照)。
樹脂層8412の上面部への樹脂ダム層821の形成及び樹脂層8411の下面部への樹脂ダム層822の形成は、前述の第1の実施形態の樹脂ダム層121の形成方法と同様の方法を用いることができ、同様の構成とし得る。
また本実施形態においては、樹脂ダム層821は導体層8412の上面部に2つ形成され(樹脂ダム層8211,8212)、樹脂ダム層822は導体層8411の下面部に2つ形成される(樹脂ダム層8221,8222)。そして樹脂ダム層821,822は、樹脂ダム層8211の側面部821a,821b、樹脂ダム層8212の側面部821c,821dと樹脂ダム層8221の側面部822a,822b、樹脂ダム層8222の側面部822c,822dとがそれぞれ垂直上で同一直線上に存するように形成される。
なお、作製されるリジッド多層プリント配線板800の膜厚を調整し得るのであれば、形成される樹脂ダム層821,822の数は1つであってもよく、また複数であってもよい。
また樹脂ダム層821,822はリジッド多層プリント配線板800の製造工程のいずれかにおいて、紫外線硬化及び熱硬化の少なくとも一方の方法により硬化状態となり、これらにそれぞれ接する他の層構成材と積層状態になり得る。
なお当該熱硬化は、後述する熱圧着と同時に行ってもよい。
【0208】
コア材812の上面部812a及び下面部812bにそれぞれ導体層833,834が積層された銅張積層板862を用意する(図19(e)参照)。
銅張積層板862は、前述の第1の実施形態の変形例の銅張積層板161の作製方法と同様の方法を用いることができ、同様の構成とし得る。
【0209】
銅張積層板862を構成する導体層833,834について、後述する樹脂硬化物からなる樹脂層847,8491,8492が形成される位置に対応する領域及び積み重ねた際に樹脂ダム層8211の側面部821aから樹脂ダム層8212の側面部821dまでの間に対応する領域をエッチング等で除去する(図19(f)参照)。
【0210】
コア材813の上面部813a及び下面部813bにそれぞれ導体層835,836が積層された銅張積層板863を用意する(図19(g)参照)。
銅張積層板863は、前述の第1の実施形態の変形例の銅張積層板161の作製方法と同様の方法を用いることができ、同様の構成とし得る。
【0211】
銅張積層板863を構成する導体層836について、後述する樹脂硬化物からなる樹脂層844,8481,8482が形成される位置に対応する領域及び積み重ねた際に樹脂ダム層8221の側面部822aから樹脂ダム層8222の側面部822dまでの間に対応する領域をエッチング等で除去する(図19(h)参照)。
【0212】
そして樹脂ダム層8211の側面部821bが後述するリジッド多層プリント配線板800の側面部800aの一部を構成し、樹脂ダム層8212の側面部821cがリジッド多層プリント配線板800の側面部800bの一部を構成し樹脂ダム層8221の側面部822bが後述するリジッド多層プリント配線板800の側面部800cの一部を構成し、樹脂ダム層8222の側面部822cがリジッド多層プリント配線板800の側面部800dの一部をそれぞれ構成するように、銅張積層板861,862,863を下から863,861,862となるように積み重ねると共に、図20(i)に表されるように樹脂層842,843を積み重ねる。
本実施形態においては、図20(i)で表されるように、1つの樹脂層842が導体層836の上面部と導体層831の下面部に接するように且つ樹脂ダム層8221の側面部822aの近傍であってこれと接しないように若干の間隙部を設けて積み重ねられる。また別の樹脂層842が導体層836の上面部と導体層831の下面部に接するように且つ樹脂ダム層8222の側面部822dの近傍であってこれと接しないように若干の間隙部を設けて積み重ねられる。
また図20(j)で表されるように、1つの樹脂層843が導体層832の上面部と導体層833の下面部に接するように且つ樹脂ダム層8211の側面部821aの近傍であってこれと接しないように若干の間隙部を設けて積み重ねられる。また別の樹脂層843が導体層832の上面部と導体層833の下面部に接するように且つ樹脂ダム層8212の側面部821dの近傍であってこれと接しないように若干の間隙部を設けて積み重ねられる。
【0213】
本実施形態においては、樹脂層8411と樹脂ダム層822を併せた高さ(膜厚)と導体層836及び樹脂層843を併せた高さ(膜厚)とを同等とし、樹脂層8412と樹脂ダム層821を併せた高さ(膜厚)と導体層833及び樹脂層843を併せた高さ(膜厚)とを同等としたが、それぞれの膜厚を適宜調整してもよいことはもちろんである。また同様に他の各層構成材についても適宜膜厚を調整し得る。
【0214】
樹脂層842,843は、リジッド多層プリント配線板800の製造工程のいずれかの工程における加熱により硬化し、これらに接する他の層構成材と積層状態になり得る。本実施形態においては、上記各層構成材を積み重ねた後、熱圧着により各層構成材を積層状態とすることが望ましい。
上記加熱時に、樹脂ダム層8221の側面部822a側に積み重ねられた樹脂層842から流出した樹脂組成物は、図20(j)に表されるコア材813の上面部813a、導体層836及び樹脂層842に囲まれた間隙部、コア材811の下面部811b、導体層831及び樹脂層842に囲まれた間隙部、コア材813の上面部813ab、樹脂ダム層8221の側面部822a、導体層831,836及び樹脂層8411,842に囲まれた間隙部にそれぞれ流入し、これが硬化してそれぞれ樹脂硬化物(樹脂層844,845,8481)となる。
また上記加熱時に、樹脂ダム層8222の側面部822d側に積み重ねられた樹脂層842から流出した樹脂組成物は、図20(j)に表されるコア材813の上面部813a、導体層836及び樹脂層842に囲まれた間隙部、コア材811の下面部811b、導体層831及び樹脂層842に囲まれた間隙部及びコア材813の上面部813a、樹脂ダム層8222の側面部822d、導体層831,836及び樹脂層8411,842に囲まれた間隙部にそれぞれ流入し、これが硬化してそれぞれ樹脂硬化物(樹脂層844,845,8482)となる。
更には、上記加熱時に、樹脂ダム層8211の側面部821a側に積み重ねられた樹脂層843から流出した樹脂組成物は、図20(j)に表されるコア材811の上面部811a、導体層832及び樹脂層843に囲まれた間隙部、コア材812の下面部812b、導体層833及び樹脂層843に囲まれた間隙部及びコア材812の下面部812b、樹脂ダム層8211の側面部821a、導体層832,833及び樹脂層8412,843に囲まれた間隙部にそれぞれ流入し、これが硬化してそれぞれ樹脂硬化物(樹脂層846,847,8491)となる。
また上記加熱時に樹脂ダム層8212の側面部821d側に積み重ねられた樹脂層843から流出した樹脂組成物は、図20(j)に表されるコア材811の上面部811a、導体層832及び樹脂層843に囲まれた間隙部、コア材812の下面部812b、導体層833及び樹脂層843に囲まれた間隙部及びコア材812の下面部812b、樹脂ダム層8212の側面部821d、導体層832及び樹脂層8412,843に囲まれた間隙部にそれぞれ流入し、これが硬化してそれぞれ樹脂硬化物(樹脂層846,847,8492)となる。
そして、樹脂層8481を介して樹脂ダム層8221(側面部822a側)と導体層836及び樹脂層842とが隣接するように積層状態となり、樹脂層8482を介して樹脂ダム層8222(側面部822d側)と導体層836及び樹脂層842とが隣接するように積層状態になり得る(図20(j)参照)。またこの際、樹脂層8481とコア材813の上面部813a、導体層831の下面部及び樹脂層8411の側面部とを積層状態にし、樹脂層8482とコア材813の上面部813a、導体層831の下面部及び樹脂層8411の側面部とをそれぞれ積層状態にし得る。
また、樹脂層8491を介して樹脂ダム層8211(側面部821a側)と導体層833及び樹脂層843とが隣接するように積層状態になり、樹脂層8492を介して樹脂ダム層8212(側面部821d側)と導体層833及び樹脂層843とが隣接するように積層状態になり得る(図20(j)参照)。またこの際、樹脂層8491とコア材812の下面部812b、導体層832の上面部及び樹脂層8412の側面部とを、樹脂層8492とコア材812の下面部812b、導体層832の上面部及び樹脂層8412の側面部とをそれぞれ積層状態にし得る。
なお、樹脂層844はコア材813の上面部813a、導体層836の側面部及び樹脂層842の下面部と積層状態になり、樹脂層845はコア材811の下面部811b、導体層831の側面部及び樹脂層842の上面部と積層状態になり、樹脂層846はコア材811の上面部811a、導体層832の側面部及び樹脂層843の下面部と積層状態になり、樹脂層847はコア材812の下面部812b、導体層833の側面部及び樹脂層843の上面部と積層状態になり得る。
そして樹脂ダム層821は、上記加熱時に樹脂層843から溶出した樹脂組成物の流動を留める壁の役割を果たし、当該樹脂組成物が樹脂層8412の上面部まで溶出することを抑制し得る。これにより、樹脂層8412の上面部を平滑に保つことができ、リジッド多層プリント配線板800の膜厚調整を容易にし得る。
また樹脂ダム層822は、上記加熱時に樹脂層842から溶出した樹脂組成物の流動を留める壁の役割を果たし、当該樹脂組成物が各層構成材において本来付着すべきではない場所に付着し硬化することを抑制し得る。
【0215】
本実施形態においては、樹脂層842,843及び銅張積層板861,862,863は同時に積み重ねて積層状態とするような構成としたが、例えば樹脂層842及び銅張積層板861,863とを積み重ねてこれらを積層状態にし、その後これと樹脂層843と銅張積層板862とを積み重ねて積層状態にしてもよく、樹脂層843及び銅張積層板861,862とを積み重ねてこれらを積層状態にし、その後これと樹脂層842と銅張積層板863とを積み重ねて積層状態にしてもよい。
【0216】
本実施形態においては、樹脂ダム層821,822及び樹脂層841,842,843,844,845,846,847,8481,8482,8491,8492を硬化状態とし、また各々接する層構成材が積層状態となった後、コア材812及び導体層834並びにコア材813及び導体層835のうち、樹脂ダム層8211の側面部821b及び樹脂ダム層8221の側面部822bに垂直上で同一直線上に対応する位置を切断し、樹脂ダム層8212の側面部821c及び樹脂ダム層8222の側面部822cに垂直上で同一直線上に対応する位置を切断することにより、コア材812及び導体層834並びにコア材813及び導体層835の一部をそれぞれ除去する。これにより、本実施形態のリジッド多層プリント配線板800が作製される(図20(k)参照)。
なお本実施形態においては、全ての層構成材が積層状態となった後にコア材812及び導体層834並びにコア材813及び導体層835の一部を除去したが、これらの除去はリジッド多層プリント配線板800の製造工程のいずれであってもよい。
そしてリジッド多層プリント配線板800は、図20(k)で表されるように、樹脂ダム層8211の側面部821bがリジッド多層プリント配線板800の側面部800aの一部を構成し、樹脂ダム層8212の側面部821cがリジッド多層プリント配線板800の側面部800bの一部を構成し、樹脂ダム層8221の側面部822bがリジッド多層プリント配線板800の側面部800cの一部を構成し、樹脂ダム層8222の側面部822cがリジッド多層プリント配線板800の側面部800dの一部を構成している。
そしてリジッド多層プリント配線板800は、樹脂ダム層821を備える樹脂層8412の上面部とリジッド多層プリント配線板800の側面部800aとがL字型(リジッド多層プリント配線板800の側面部800aを縦線、樹脂層8412の上面部を横線と見た場合)となるように、また樹脂層8412の上面部とリジッド多層プリント配線板800の側面部800bとが逆L字型(リジッド多層プリント配線板800の側面部800bを縦線、樹脂層8412の上面部を横線と見た場合)となるよう構成されている。
更には、リジッド多層プリント配線板800は、樹脂ダム層822を備える樹脂層8411の下面部とリジッド多層プリント配線板800の側面部800cとが逆L字型(リジッド多層プリント配線板800の側面部800cを縦線、樹脂層8411の下面部を横線と見た場合)となるように、また樹脂層8411の下面部とリジッド多層プリント配線板800の側面部800dとがL字型(リジッド多層プリント配線板800の側面部800dを縦線、樹脂層8411の下面部を横線と見た場合)となるよう構成されている。
本実施形態のリジッド多層プリント配線板800はこのような構成となることにより、導体層834の上面部から導体層835の下面部までの高さ(膜厚H1)と樹脂層8412の上面部から樹脂層8411の下面部までの高さ(膜厚H2)とを異なるように、即ち膜厚H2の方を膜厚H1よりも薄くし得る。
【0217】
リジッド多層プリント配線板800において、膜厚H1は100μm以上6mm以下であることが望ましい。また膜厚H2は30μm以上であり且つ膜厚H1よりも100μmm以上薄いことが望ましい。
【0218】
このように、本実施形態の製造方法により作製されるリジッド多層プリント配線板800は、リジッド多層プリント配線板800のコアとなる層(コア材811)に間隙部分を形成する工程が不要であり、またリジッド多層プリント配線板800を構成する層構成材を積み重ねる工程において各層構成材の積み重ね位置等を調整することにより、リジッド多層プリント配線板800の膜厚(H1,H2)を容易に調整し得ると共に、外部に露出する層(樹脂層8411,8412)を容易に調整し得る。
【0219】
導体層831,832,833,834,835,836は、リジッド多層プリント配線板800の製造工程のいずれかの工程にて、所望の回路パターンとなるようにエッチング等により不要な部分を除去し得る。
【0220】
樹脂層842,843のように導体層間にある樹脂層の膜厚は、硬化状態において20μm以上であることが望ましい。また樹脂層8411,8412のような表層絶縁層となる樹脂層の膜厚は、硬化状態において5μm以上30μm以下であることが望ましい。
また導体層831,832,833,834,835,836の膜厚は5μm以上300μm以下であることが望ましい。
【0221】
また本実施形態においては、銅張積層板861,862,863を使用したが、例えばコア材811の上面部811aと下面部811bにそれぞれ導体層831,832を積み重ねて積層状態とする工程、コア材812の上面部812aと下面部812bにそれぞれ導体層833,834を積み重ねて積層状態とする工程及びコア材813の上面部813aと下面部812bにそれぞれ導体層835,836を積み重ねて積層状態とする工程を含んでいてもよい。
【0222】
また本実施形態においては、リジッド多層プリント配線板800のいずれかの製造工程において、ビアホールを形成する工程を設けてもよい。例えばリジッド多層プリント配線板800の構成要素となる全ての層構成材が積層状態となった後に、これの所定の位置にビアホール(図示せず)を形成することにより、導体層831,832,833,834,835,836を電気的接続し得る。また例えば当該ビアホールは、一部の層構成材が積層状態となった際に設けてもよい。
前記ビアホールの形成される位置は、リジッド多層プリント配線板800における設計回路パターンにより適宜調整し得る。
そして導体層834,835の所定の位置(例えばランド部。図示せず)や形成されたビアホールに所定の電子部品を搭載することにより、所望のリジッド多層プリント実装配線板が作製される。
【0223】
リジッド多層プリント配線板800は、導体層835が最外層となるように樹脂層8411,8412が積層された(膜厚H2となる)部分を屈曲させることができ、また導体層834が最外層となるように樹脂層8411,8412が積層された(膜厚H2となる)部分を屈曲させることもできる。
このようにリジッド多層プリント配線板800は導体層834,835のいずれをも最外層とするように屈曲状態で使用することができるため、電子制御装置内のスペースをより効率的に活用することができると共に、リジッド多層プリント配線板800への電子部品の実装(設計)やこれを組み込んだ電子制御装置の設計の自由度をより広げることができる。
そしてリジッド多層プリント配線板800は、材質を選ぶことなくその膜厚を調整し得るため、この部分に例えば耐熱性や耐久性の高い材質を使用することができ、また特殊な性能を有する樹脂を使用することができるため、高い信頼性を実現することができる。
【0224】
更にはリジッド多層プリント配線板800のうち、膜厚H2となる部分を構成するコア材813及び導体層835,836と膜厚H1となる部分を構成するコア材(811,812)813及び導体層(831,832,833,834)835,836とは各々同じ材質となり得るため、熱膨張係数の差を抑え、破損の発生を抑制することもできる。またこれらの材質が同一の場合には誘電率も一致することから、これらを異なる材質とした場合と比較して、高周波特性への対応を容易に行うことができる。
そして膜厚H2となる部分を構成する各層構成材と膜厚H1となる部分を構成する各層構成材との材質を同一にでき、また既存の層構成材を利用し得ることから、既存の層構成材について既に取得した信頼性評価等(例えば回路、スルーホール等について)の結果をリジッド多層プリント配線板800自体の信頼性評価に一部流用することができ、これに要するコストや時間を抑制することができる。
【0225】
<第9の実施形態>
第9の実施形態について、図21から図23を参照して説明する。
コア材911の上面部911a及び下面部911bにそれぞれ導体層931,932が積層された銅張積層板961を用意する(図21(a)参照)。
銅張積層板961は、前述の第1の実施形態の変形例の銅張積層板161の作製方法と同様の方法を用いることができ、同様の構成とし得る。
【0226】
次いで銅張積層961を構成する導体層931について、後述する樹脂硬化物からなる樹脂層9944,9451,9452が形成される位置に対応する領域及び積み重ねた際に樹脂ダム層9211の側面部921aから樹脂ダム層9212の側面部921dまでの間に対応する領域をエッチング等で除去する(図21(b)参照)。
【0227】
そして銅張積層板961の所定の位置に空隙部951を形成する(図21(c)参照)。
空隙部951は、その側面部951aが後述する樹脂ダム層9211の側面部921bと垂直上で同一直線上に存するように、また空隙部951の側面部bが樹脂ダム層921の側面部921cに垂直上で同一直線上に存するように銅張積層板961(コア材911)に設けられることが望ましい。
【0228】
コア材912の上面部912a及び下面部912bにそれぞれ導体層933,934が積層された銅張積層板962を用意する(図22(d)参照)。
銅張積層板962は、前述の第1の実施形態の変形例の銅張積層板161の作製方法と同様の方法を用いることができ、同様の構成とし得る。
【0229】
次いで銅張積層962を構成する導体層934について、後述する樹脂硬化物からなる樹脂層943が形成される位置に対応する領域をエッチング等で除去する(図22(e)参照)。
【0230】
そして、導体層934の上面部の所定の位置に樹脂層941を積み重ねる(図20(f)参照)。樹脂層941は、前述の第1の実施形態における樹脂層142と同様の構成とすることができ、また同様の方法にて他の層構成材に積み重ねることができる。なお作製されるリジッド多層プリント配線板900を屈曲状態で使用する場合、後述する加熱及び/または紫外線照射等により導体層934と積層状態となった樹脂層941が可撓性を有するようにこれの形成に用いられる樹脂組成物の成分を調整することが望ましい。
【0231】
樹脂層941は、リジッド多層プリント配線板900の製造工程のいずれかの工程において加熱及び/または紫外線照射等されて硬化し、これに接する他の層構成材と積層状態になり得る。
また導体層943の上面部に樹脂層941を積み重ねる際の位置及びその範囲等は、作製されるリジッド多層プリント配線板900において、後述する樹脂ダム層9211の側面部921bがリジッド多層プリント配線板900の側面部900aの一部を構成するように、また樹脂ダム層9212の側面部921cがリジッド多層プリント配線板900の側面部900bの一部を構成するように積み重ねられるよう、適宜調整し得る。
【0232】
そして樹脂層941の上面部(導体層934の上面部と接していない方の面)に樹脂ダム層921を形成する(図22(g)参照)。
樹脂層941の上面部への樹脂ダム層921の形成は、前述の第1の実施形態の樹脂ダム層121の形成方法と同様の方法を用いることができ、同様の構成とし得る。
また本実施形態においては、樹脂ダム層921は樹脂層941の上面部に2つ形成される(樹脂ダム層9211,9212)。
樹脂ダム層9211は、樹脂ダム層9211の側面部921bが前述した空隙部951の側面部951aと垂直上で同一直線上に存するように且つリジッド多層プリント配線板900の側面部900aの一部を構成するように形成される。また樹脂ダム層9212は、樹脂ダム層9212の側面部921cが空隙部951の側面部951bと垂直上で同一直線上に存するように且つリジッド多層プリント配線板900の側面部900bの一部を構成するように形成される。
なお、作製されるリジッド多層プリント配線板900の膜厚を調整し得るのであれば、形成される樹脂ダム層921の数は1つであってもよく、また複数であってもよい。
また樹脂ダム層921はリジッド多層プリント配線板900の製造工程のいずれかにおいて、紫外線硬化及び熱硬化の少なくとも一方の方法により硬化状態となり、これに接する他の層構成材と積層状態になり得る。
なお当該熱硬化は、後述する熱圧着と同時に行ってもよい。
【0233】
そして樹脂ダム層9211の側面部921b、樹脂ダム層9212の側面部921cがそれぞれ後述するリジッド多層プリント配線板900の側面部900a,900bの一部を構成するように、また空隙部951の側面部951aが樹脂ダム層9211の側面部921aと垂直上で同一直線上に存するように、また空隙部951の側面部951bが樹脂ダム層9212の側面部921cと垂直上で同一直線上に存するように、銅張積層板961,962を下から962,961となるように積み重ねると共に、図23(h)に表されるように樹脂層942を積み重ねる。
本実施形態においては、図23(h)で表されるように、1つの樹脂層942が導体層934の上面部と導体層931の下面部に接するように且つ樹脂ダム層9211の側面部921aの近傍であってこれと接しないように若干の間隙部を設けて積み重ねられ、また別の樹脂層942が導体層934の上面部と導体層931の下面部に接するように且つ樹脂ダム層9212の側面部921dの近傍であってこれと接しないように若干の間隙部を設けて積み重ねられる。
【0234】
本実施形態においては、樹脂ダム層921と樹脂層941を併せた高さ(膜厚)と導体層931及び樹脂層942を併せた高さ(膜厚)とを同等としたが、それぞれの膜厚を適宜調整してもよいことはもちろんである。また同様に他の各層構成材についても適宜膜厚を調整し得る。
【0235】
樹脂層942は、リジッド多層プリント配線板900の製造工程のいずれかの工程における加熱により硬化し、これと接する他の層構成材と積層状態になり得る。本実施形態においては、上記各層構成材を積み重ねた後、熱圧着により各層構成材を積層状態とすることが望ましい。
上記加熱時に、樹脂ダム層9211の側面部921a側に積み重ねられた樹脂層942から流出した樹脂組成物は、図23(i)に表されるコア材912の上面部912a、導体層934及び樹脂層942に囲まれた間隙部、コア材911の下面部911b、導体層931及び樹脂層942に囲まれた間隙部及びコア材911の下面部911b、樹脂ダム層9211の側面部921a、導体層931,934及び樹脂層941,942に囲まれた間隙部にそれぞれ流入し、これが硬化してそれぞれ樹脂硬化物(樹脂層943,944,9451)となる。
また上記加熱時に、樹脂ダム層9212の側面部921d側に積み重ねられた樹脂層942から流出した樹脂組成物は、図23(i)に表されるコア材912の上面部912a、導体層934及び樹脂層942に囲まれた間隙部、コア材911の下面部911b、導体層931及び樹脂層942に囲まれた間隙部及びコア材911の下面部911b、樹脂ダム層9212の側面部921d、導体層931,934及び樹脂層941,942に囲まれた間隙部にそれぞれ流入し、これが硬化してそれぞれ樹脂硬化物(樹脂層943,944,9452)となる。
そして、樹脂層9451を介して樹脂ダム層9211(側面部921a側)と導体層931及び樹脂層942とが隣接するように積層状態となり、樹脂層9452を介して樹脂ダム層9212(側面部921d側)と導体層931及び樹脂層942とが隣接するように積層状態になり得る(図23(i)参照)。またこの際、樹脂層9451とコア材911の下面部911b及び導体層934の上面部とを、樹脂層9452とコア材911の下面部911b及び導体層934の上面部とをそれぞれ積層状態にし得る。
なお、樹脂層943はコア材912の上面部912a、導体層934の側面部及び樹脂層942の下面部と積層状態となり、樹脂層944はコア材911の下面部912b、導体層934の側面部及び樹脂層942の上面部と積層状態になり得る。
そして樹脂ダム層921は、上記加熱時に樹脂層942から溶出した樹脂組成物の流動を留める壁の役割を果たし、当該樹脂組成物が樹脂層941の上面部まで溶出することを抑制し得る。これにより、樹脂層941の上面部を平滑に保つことができ、リジッド多層プリント配線板900の膜厚調整を容易にし得る。
【0236】
本実施形態においては、樹脂ダム層921及び樹脂層941,942,943,944,9451,9452を硬化状態とし、また各々接する層構成材が積層状態となった後、コア材911及び導体層932のうち、空隙部951の側面部951a,951bに垂直上で同一直線上に存する位置をそれぞれ切断することにより、コア材911及び導体層932の一部を除去する。これにより、本実施形態のリジッド多層プリント配線板900が作製される(図23(j)参照)。
なお本実施形態においては、全ての層構成材が積層状態となった後にコア材911及び導体層932の一部を除去したが、これらの除去はリジッド多層プリント配線板900の製造工程のいずれであってもよい。
そしてリジッド多層プリント配線板900は、図23(j)で表されるように、樹脂ダム層9211の側面部921bがリジッド多層プリント配線板900の側面部900aの一部を構成し、樹脂ダム層9212の側面部921cがリジッド多層プリント配線板900の側面部900bの一部を構成している。
そしてリジッド多層プリント配線板900は、樹脂ダム層921を備える樹脂層941の上面部とリジッド多層プリント配線板900の側面部900aとがL字型(リジッド多層プリント配線板900の側面部900aを縦線、樹脂層941の上面部を横線と見た場合)となるように、また樹脂層941の上面部とリジッド多層プリント配線板900の側面部900bとが逆L字型(リジッド多層プリント配線板900の側面部900bを縦線、樹脂層941の上面部を横線と見た場合)となるよう構成されている。
本実施形態のリジッド多層プリント配線板900はこのような構成となることにより、導体層932の上面部から導体層933の下面部までの高さ(膜厚H1)と樹脂層941の上面部から導体層933の下面部までの高さ(膜厚H2)とを異なるように、即ち膜厚H2の方を膜厚H1よりも薄くし得る。
【0237】
リジッド多層プリント配線板900において、膜厚H1は100μm以上6mm以下であることが望ましい。また膜厚H2は30μm以上であり且つ膜厚H1よりも100μmm以上薄いことが望ましい。
【0238】
即ち、本実施形態の製造方法により作製されるリジッド多層プリント配線板700は、リジッド多層プリント配線板900のコアとなる層(コア材912)に間隙部分を形成する工程が不要であり、またリジッド多層プリント配線板900を構成する層構成材を積み重ねる工程において各層構成材の積み重ね位置等を調整することにより、リジッド多層プリント配線板900の膜厚(H1,H2)を容易に調整し得ると共に、外部に露出する層(樹脂層941)を容易に調整し得る。
【0239】
導体層931,932,933,934は、リジッド多層プリント配線板700の製造工程のいずれかの工程にて、所望の回路パターンとなるようにエッチング等により不要な部分を除去し得る。
【0240】
樹脂層942のように導体層間にある樹脂層の膜厚は、硬化状態において20μm以上であることが望ましい。また樹脂層941のような表層絶縁層となる樹脂層の膜厚は、硬化状態において5μm以上30μm以下であることが望ましい。
また導体層931,932,933,934の膜厚は5μm以上300μm以下であることが望ましい。
【0241】
また本実施形態においては、銅張積層板961,962を使用したが、例えばコア材911の上面部911aと下面部911bにそれぞれ導体層931,932を積み重ねて積層状態とする工程、コア材912の上面部912aと下面部912bにそれぞれ導体層933,934を積み重ねて積層状態とする工程を含んでいてもよい。
【0242】
また本実施形態においては、リジッド多層プリント配線板900のいずれかの製造工程において、ビアホールを形成する工程を設けてもよい。例えばリジッド多層プリント配線板900の構成要素となる全ての層構成材が積層状態となった後に、これの所定の位置にビアホール(図示せず)を形成することにより、導体層931,932,933,934を電気的接続し得る。また例えば当該ビアホールは、一部の層構成材が積層状態となった際に設けてもよい。
前記ビアホールの形成される位置は、リジッド多層プリント配線板900における設計回路パターンにより適宜調整し得る。
そして導体層932,933の所定の位置(例えばランド部。図示せず)や形成されたビアホールに所定の電子部品を搭載することにより、所望のリジッド多層プリント実装配線板が作製される。
【0243】
リジッド多層プリント配線板900は、導体層933が最外層となるように樹脂層941が積層された(膜厚H2となる)部分を屈曲させることができる。このようにリジッド多層プリント配線板900は屈曲状態で使用することができるため、電子制御装置内のスペースを効率的に活用することができると共に、リジッド多層プリント配線板900への電子部品の実装(設計)やこれを組み込んだ電子制御装置の設計の自由度を広げることができる。
そしてリジッド多層プリント配線板900は、材質を選ぶことなくその膜厚を調整し得るため、この部分に例えば耐熱性や耐久性の高い材質を使用することができ、また特殊な性能を有する樹脂を使用することができるため、高い信頼性を実現することができる。
【0244】
更にはリジッド多層プリント配線板900のうち、膜厚H2となる部分を構成するコア材912及び導体層933,934と膜厚H1となる部分を構成するコア材(911)912及び導体層(931,932)933,934とは各々同じ材質となり得るため、熱膨張係数の差を抑え、破損の発生を抑制することもできる。またこれらの材質が同一の場合には誘電率も一致することから、これらを異なる材質とした場合と比較して、高周波特性への対応を容易に行うことができる。
そして膜厚H2となる部分を構成する各層構成材と膜厚H1となる部分を構成する各層構成材との材質を同一にでき、また既存の層構成材を利用し得ることから、既存の層構成材について既に取得した信頼性評価等(例えば回路、スルーホール等について)の結果をリジッド多層プリント配線板900自体の信頼性評価に一部流用することができ、これに要するコストや時間を抑制することができる。
【0245】
<第10の実施形態>
第10の実施形態について、図24から図26を参照して説明する。
コア材1011の上面部1011a及び下面部1011bにそれぞれ導体層1031,1032が積層された銅張積層板1061を用意する(図24(a)参照)。
銅張積層板1061は、前述の第1の実施形態の変形例の銅張積層板161の作製方法と同様の方法を用いることができ、同様の構成とし得る。
【0246】
そして導体層1032の上面部(コア材1011の上面部1011aと接していない方の面)に樹脂ダム層1021を形成する(図24(b)参照)。
導体層1032の上面部への樹脂ダム層1021の形成は、前述の第1の実施形態の樹脂ダム層121の形成方法と同様の方法を用いることができ、同様の構成とし得る。
また本実施形態においては、樹脂ダム層1021は導体層1032の上面部に2つ形成され(樹脂ダム層10211,10212)、樹脂ダム層10211の側面部1021cが後述するリジッド多層プリント配線板1000の側面部1000bの一部を構成するように形成される。
なお、作製されるリジッド多層プリント配線板1000の膜厚を調整し得るのであれば、形成される樹脂ダム層1021の数は1つであってもよく、また複数であってもよい。
また樹脂ダム層1021はリジッド多層プリント配線板1000の製造工程のいずれかにおいて、紫外線硬化及び熱硬化の少なくとも一方の方法により硬化状態となり、これと接する他の層構成材と積層状態になり得る。
なお当該熱硬化は、後述する樹脂層1041,1042の加熱と同時に行ってもよい。
【0247】
次いで導体層1032の上面部に樹脂層1041が積み重ねられる(図24(c)参照)。
本実施形態においては、導体層1032の上面部の2つの樹脂ダム層10211,10212の間隙部分以外の面に樹脂層1041が積み重ねられる。
即ち図24(c)で表されるように、樹脂ダム層1021の高さ(膜厚)と樹脂層1041(膜厚)とを同程度とし、且つ、1つの樹脂層1041が樹脂ダム層10211の側面部1021aと接するように、また1つの樹脂層1041が樹脂ダム層10212の側面部1021dと接するように導体層1032の上面部に積み重ねられる。なお、これらの膜厚を適宜調整してもよいことはもちろんである。
【0248】
樹脂層1041は、前述の第1の実施形態における樹脂層141と同様の構成とすることができ、また同様の方法にて他の層構成材に積み重ねることができる。
【0249】
樹脂層1041は、リジッド多層プリント配線板1000の製造工程のいずれかの工程における加熱により硬化し、これに接する他の層構成材と積層状態になり得る。
また樹脂ダム層10211の側面部1021aに接するよう積み重ねられた樹脂層1041は樹脂ダム層10211の側面部1021aと積層状態となり、樹脂ダム層10212の側面部1021dに接するよう積み重ねられた樹脂層1041は樹脂ダム層10212の側面部1021dと積層状態となる。
但し樹脂層1041を加熱するタイミングによっては、樹脂層1041の加熱前に樹脂ダム層1021と樹脂層1041とが積層状態となっている場合も存在し、この場合は樹脂層1041の加熱により、樹脂ダム層1021と硬化した樹脂層1041とが積層状態となる。
そして樹脂ダム層1021は、上記加熱時に樹脂層1041から溶出した樹脂組成物の流動を留める壁の役割を果たし、当該樹脂組成物が導体層1032の上面部の2つの樹脂ダム層10211,10212の間隙部分の面まで溶出することを抑制し得る。これにより、導体層1032の上面部を平滑に保つことができ、リジッド多層プリント配線板1000の膜厚調整を容易にし得る。
【0250】
次いで、樹脂ダム層10211に接する樹脂層1041の上面部にコア材1012を積み重ねる(図24(d)参照)。コア材1012は、前述の第1の実施形態におけるコア材111と同様の構成とすることができ、また同様の方法にて他の層構成材に積み重ねることができる。
コア材1012はコア材1012の一側面部である側面部1012aが樹脂ダム層10211の側面部1021bと垂直上で同一直線上に存するように積み重ねられることが望ましい。
【0251】
そして樹脂ダム層10212の上面部及び樹脂ダム層10212に接する樹脂層1041の上面部を覆うように放熱性を有する導体層である放熱層1071を積み重ねる(図24(e)参照)。放熱層1071は、放熱層1071の一側面部である側面部1071aが樹脂ダム層10212の側面部1021cよりも樹脂ダム層10211側寄りに位置するように積み重ねられることが望ましい。
放熱層1071としては放熱性を有する素材を用いることができ、例えば銅、銀、金及びアルミニウム等の少なくとも1種、または基材を放熱性を有する樹脂、銅、亜鉛及びニッケル等で被覆したもの等が挙げられる。また放熱層1071の膜厚は1mm以上2mm以下であることが望ましい。
なお、放熱層1071はコア材1012には接しないように積み重ねられることが望ましく、放熱層1071とコア材1012とは同等の膜厚とすることが望ましい。放熱層1071をこのような構成とすることにより、後述するコア材1012を含む所定の層構成材の除去を容易にし得る。
【0252】
またコア材1012の上面部(樹脂ダム層10211の上面部及び樹脂層1041の上面部と接していない方の面)に1つ(樹脂ダム層10221)、及び放熱層1071の上面部(樹脂ダム層10212の上面部及び樹脂層1041の上面部と接していない方の面)に1つ(樹脂ダム層10222)、樹脂ダム層1022を形成する(図24(f)参照)。
樹脂ダム層1022の形成は、前述の第1の実施形態の樹脂ダム層121の形成方法と同様の方法を用いることができ、同様の構成とし得る。
また本実施形態においては、樹脂ダム層1022は上述の通り、コア材1012の上面部に1つ、放熱層1071の上面部に1つ、計2つ形成される。
樹脂ダム層10221は、樹脂ダム層10221の側面部1022bとコア材1012の側面部1012a及び樹脂ダム層10211の側面部1021bとが垂直上で同一直線上に存するように形成される。
また樹脂ダム層10222は、樹脂ダム層1022の側面部1022cが後述するリジッド多層プリント配線板1000の側面部1000bの一部を構成するように形成される。
更には、樹脂ダム層10221は樹脂ダム層10221の側面部1022a,1022bと樹脂ダム層10211の側面部1021a,1021bとが垂直上で同一直線上に存するようにコア材1012の上面部に形成され、また樹脂ダム層10222は樹脂ダム層10222の側面部1022c,1022dと樹脂ダム層10221の側面部1022c,1022dとがそれぞれ垂直上で同一直線上に存するように放熱層1071の上面部に形成される。
なお、作製されるリジッド多層プリント配線板1000の膜厚を調整し得るのであれば、形成される樹脂ダム層1022の数は1つであってもよく、また複数であってもよい。
また樹脂ダム層1022はリジッド多層プリント配線板1000の製造工程のいずれかにおいて、紫外線硬化及び熱硬化の少なくとも一方の方法により硬化状態となり、これに接する他の層構成材と積層状態になり得る。
なお当該熱硬化は、上述した樹脂層1041や後述する樹脂層1042の加熱と同時に行ってもよい。
【0253】
次いで放熱層1071の上面部に樹脂層1042が積み重ねられる(図23(g)参照)。
本実施形態においては、図25(g)で表されるように、樹脂ダム層1022の高さ(膜厚)と樹脂層1042(膜厚)とを同程度とし、且つ、1つの樹脂層1042が樹脂ダム層10221の側面部1022aと接するようにコア材1012の上面部に積み重ねられ、また別の1つの樹脂層1042が樹脂ダム層10222の側面部1022dと接するように放熱層1071の上面部に積み重ねられる。なお、これらの膜厚を適宜調整してもよいことはもちろんである。
【0254】
樹脂層1042は、前述の第1の実施形態における樹脂層141と同様の構成とすることができ、また同様の方法にて他の層構成材に積み重ねることができる。
【0255】
樹脂層1042は、リジッド多層プリント配線板1000の製造工程のいずれかの工程における加熱により硬化し、これに接する他の層構成材と積層状態になり得る。
また樹脂ダム層10221の側面部1022aに接するよう積み重ねられた樹脂層1042は樹脂ダム層10221の側面部1022aと積層状態となり、樹脂ダム層10222の側面部1022dに接するよう積み重ねられた樹脂層1042は樹脂ダム層10222の側面部1022dと積層状態となる。
但し樹脂層1042を加熱するタイミングによっては、樹脂層1042の加熱前に樹脂ダム層1022と樹脂層1042とが積層状態となっている場合も存在し、この場合は樹脂層1042の加熱により、樹脂ダム層1022と硬化した樹脂層1042とが積層状態となる。
そして樹脂ダム層1022は、上記加熱時に樹脂層1042から溶出した樹脂組成物の流動を留める壁の役割を果たし、当該樹脂組成物が放熱層1071の上面部及び導体層1032の上面部にまで溶出することを抑制し得る。これにより、放熱層1071の上面部に樹脂硬化物が付着することを防止すると共に、放熱層1071の上面部及び導体層1032の上面部を平滑に保つことができるため、リジッド多層プリント配線板1000の膜厚調整を容易にし得る。
【0256】
また コア材1013の上面部1013a及び下面部1013bにそれぞれ導体層103,104が積層された銅張積層板1062を用意し、樹脂層1042の上面部(コア材1012の上面部及び放熱層1071の上面部と接していない方の面)に銅張積層板1062を積み重ねる(図26(h)参照)。
銅張積層板1062は、前述の第1の実施形態の変形例の銅張積層板161の作製方法と同様の方法を用いることができ、同様の構成とし得る。
また銅張積層板1062は、コア材1012の上面部及び放熱層1071の上面部を覆うように積み重ねられることが望ましい。
【0257】
本実施形態においては、樹脂ダム層1021,1022及び樹脂層1041,1042を硬化状態とし、また各々接する層構成材が積層状態となった後、銅張積層板1061,1062のうち、樹脂ダム層10122の側面部1021c及び樹脂ダム層10222の側面部1022cに垂直上で同一直線上に対応する位置をそれぞれ切断することにより、コア材1012、並びに樹脂ダム層10211,10221樹脂層1041,1042のそれぞれ一方及び銅張積層板1061,1062の一部を除去する(図26(i)参照)。
【0258】
このように各層構成材の一部が除去され、放熱層1071の一部(側面部1071a付近)が樹脂ダム層10212の側面部1021c及び樹脂ダム層10222の側面部1022cよりも外層側に突出するように(凸状となるように)露出状態となった本実施形態のリジッド多層プリント配線板1000が作製される(図26(j)参照)。
【0259】
本実施形態のリジッド多層プリント配線板1000は、図26(j)で表すように、樹脂ダム層10212の側面部1021cがリジッド多層プリント配線板1000の側面部1000bの一部を構成し、樹脂ダム層10222の側面部1022cがリジッド多層プリント配線板1000の側面部1000aの一部を構成するように積層されている。
また樹脂ダム層10212を備える放熱層1071の下面部と多層プリント配線板1000の側面部1000bとがL字型(リジッド多層プリント配線板1000の側面部1000bを縦線、放熱層1071の下面部を横線と見た場合)となるように構成されており、また樹脂ダム層10222を備える放熱層1071の上面部とリジッド多層プリント配線板1000の側面部1000aとが逆L字型(リジッド多層プリント配線板1000の側面部1000aを縦線、放熱層1071の上面部を横線と見た場合)となるよう構成されている。
本実施形態のリジッド多層プリント配線板1000はこのような構成となることにより、リジッド多層プリント配線板1000の一部の膜厚を調整、即ち放熱層1071の一部を容易に外部に露出させることができる。
【0260】
このように、本実施形態の製造方法により作製されるリジッド多層プリント配線板1000は、リジッド多層プリント配線板1000を構成する層構成材を積み重ねる工程において各層構成材の積み重ね位置等を調整し、且つ、樹脂ダム層1021,1022の外層側に積み重ねられる銅張積層板1061,1062の所定位置を切断するだけでこれらの一部と所定の層構成材を除去でき、容易に放熱層1071を外部に露出させる(リジッド多層プリント配線板1000の一部の膜厚を調整する)ことができる。
【0261】
導体層1031,1032,1033,1034は、リジッド多層プリント配線板1000の製造工程のいずれかの工程にて、所望の回路パターンとなるようにエッチング等により不要な部分を除去し得る。
【0262】
樹脂層1041,1042のように導体層間にある樹脂層の膜厚は、硬化状態において20μm以上であることが望ましい。
また導体層1031,1032,1033,1034の膜厚は5μm以上300μm以下であることが望ましい。
【0263】
なお、本実施形態においては、各層構成材の積み重ね及び積層は、例えば1層ずつ積み重ねて積層してもよく、複数の層構成材を積み重ねて積層してもよく、またこれらの組み合わせであってもよい。
【0264】
また本実施形態においては、銅張積層板1061,1063を使用したが、例えばコア材1061の上面部1011aと下面部1011bにそれぞれ導体層1031,1032を積み重ねて積層状態とする工程、コア材1013の上面部1013aと下面部1013bにそれぞれ導体層1033,1034を積み重ねて積層状態とする工程を含んでいてもよい。
【0265】
また本実施形態においては、リジッド多層プリント配線板1000のいずれかの製造工程において、ビアホールを形成する工程を設けてもよい。例えばリジッド多層プリント配線板1000の構成要素となる全ての層構成材が積層状態となった後に、これの所定の位置にビアホール(図示せず)を形成することにより、導体層1031,1032,1033,1034を電気的接続し得る。また例えば当該ビアホールは、一部の層構成材が積層状態となった際に設けてもよい。
前記ビアホールの形成される位置は、リジッド多層プリント配線板1000における設計回路パターンにより適宜調整し得る。
そして導体層1031,1034の所定の位置(例えばランド部。図示せず)や形成されたビアホールに所定の電子部品を搭載することにより、所望のリジッド多層プリント実装配線板が作製される。
【0266】
リジッド多層プリント配線板1000は、上述の通り、樹脂ダム層1012,1022の外層側に積み重ねられる銅張積層板1061,1062の所定位置を切断するだけでこれらの一部と所定の層構成材を除去でき、容易に放熱層1071を外部に露出させることができる。即ち、放熱層1071の上面部及び下面部に接する層構成材を切断することなく放熱層1071を外部に露出することができるため、高度な切断加工技術が不要であり、また上述した切断時において放熱層1071を毀損・破損するリスクを低減させることができる。
またこのようなリジッド多層プリント配線板1000は、その膜厚を容易に調整することができるため、電子制御装置内のスペースを効率的に活用することができると共に、リジッド多層プリント配線板1000への電子部品の実装(設計)やこれを組み込んだ電子制御装置の設計の自由度を広げることができる。
そしてリジッド多層プリント配線板1000は、材質を選ぶことなくその膜厚を調整し得るため、この部分に例えば耐熱性や耐久性の高い材質を使用することができ、また特殊な性能を有する樹脂を使用することができるため、高い信頼性を実現することができる。
【0267】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り種々の変形が可能なことは勿論である。
【符号の説明】
【0268】
コア材 … 111,211,311,411,511,512,611,711,712,713,811,812,813,911,912,913,1011,1012,1013
樹脂ダム層 … 121(1211,1212),221,321(3211,3212),322(3221,3222),421(4211,4212),521(5211,5212),522(5221,5222),621(6211,6212),721(7211,7212)、722(7221,7222)、821(8211,8212),822(8221,8222),921(9211,9212),1021(10211,10212),1022(10221,10222)
導体層 … 131,132,133,134,231,232,233,331,332,333,334,431,432,433,434,531,532,533,534,535,631,632,633,731,732,733,734,835,736,831,832,833,834,835,836,931,932,933,1031,1032,1033,1034
樹脂層 … 141,142,1431,1432,241,341,342,343,344,441,442,443,4441,4442,541,542,543,5441,5442,543,5451,5452,546,641,741,742,743,744,745,746,747,7481,7482,7491,7492,8411,8412,843,844,845,846,847,8481,8482,8491,8492,941,942,943,944,9451,9452,1041,1042
銅張積層板 … 161,361,461,561,761,762,763,861,862,863,961,962,1061,1063
放熱層 … 1071
リジッド多層プリント配線板 … 100,200,300,400,500,600,700,800,900,1000


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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