(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-28
(45)【発行日】2022-02-07
(54)【発明の名称】半導体発光装置の製造方法及び半導体発光装置
(51)【国際特許分類】
H01L 33/52 20100101AFI20220131BHJP
【FI】
H01L33/52
(21)【出願番号】P 2017158835
(22)【出願日】2017-08-21
【審査請求日】2020-07-14
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成29年4月11日に、スタンレー電気株式会社が、スタンレー電気株式会社のウェブサイト(https://www.stanley.co.jp/)にて公開。平成29年6月22日に、スタンレー電気株式会社が、ホテル雅叙園東京(東京都目黒区下目黒1-8-1)にて、製品カタログ・会社案内・パンフレットを配布。
(73)【特許権者】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】特許業務法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大野 泰弘
(72)【発明者】
【氏名】山下 裕介
(72)【発明者】
【氏名】湯浅 真擁
【審査官】村井 友和
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-144963(JP,A)
【文献】特開2013-055172(JP,A)
【文献】特開2015-070126(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0087822(US,A1)
【文献】国際公開第2013/088790(WO,A1)
【文献】特開2008-071859(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/48-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子が載置されている基板の載置面上において、前記発光素子を囲む領域を画定するように複数の段差部を前記基板上に設ける工程と、
前記発光素子を覆うように液体樹脂原料をポッティングすることによって前記載置面上の前記領域内に設ける工程と、
前記液体樹脂原料を硬化して樹脂体を形成する工程と、を含み、
前記段差部を前記基板上に設ける工程は、前記基板を前記載置面から穿つことによって実行されることを特徴とする半導体発光装置の製造方法。
【請求項2】
発光素子が載置されている基板の載置面上において、前記発光素子を囲む領域を画定するように複数の段差部を前記基板上に設ける工程と、
前記発光素子を覆うように液体樹脂原料をポッティングすることによって前記載置面上の前記領域内に設ける工程と、
前記液体樹脂原料を硬化して樹脂体を形成する工程と、を含み、
前記段差部を前記基板上に設ける工程は、前記基板を成型する工程を含み、
前記基板を成型する工程は、前記基板の原料を型に入れて加熱することによって行われることを特徴とする半導体発光装置の製造方法。
【請求項3】
基板と、
前記基板上に載置されている発光素子と、
前記発光素子が載置されている載置面において、前記発光素子を囲うように設けられ、かつ、前記基板の載置面上の領域を画定する複数の段差部と、
前記発光素子を覆うように前記基板上に載置されている樹脂体と、を有し、
前記基板の前記載置面上における前記樹脂体の周縁部は、前記複数の段差部によって画定された前記領域の境界に沿って設けられており、
前記段差部は、前記基板を貫通する複数の孔部であることを特徴とする半導体発光装置。
【請求項4】
基板と、
前記基板上に載置されている発光素子と、
前記発光素子が載置されている載置面において、前記発光素子を囲うように設けられ、かつ、前記基板の載置面上の領域を画定する複数の段差部と、
前記発光素子を覆うように前記基板上に載置されている樹脂体と、を有し、
前記基板の前記載置面上における前記樹脂体の周縁部は、前記複数の段差部によって画定された前記領域の境界に沿って設けられており、
前記段差部は、前記基板の前記載置面から窪んだ複数の凹部であることを特徴とする半導体発光装置。
【請求項5】
基板と、
前記基板上に載置されている発光素子と、
前記発光素子が載置されている載置面において、前記発光素子を囲うように設けられ、かつ、前記基板の載置面上の領域を画定する複数の段差部と、
前記発光素子を覆うように前記基板上に載置されている樹脂体と、を有し、
前記基板の前記載置面上における前記樹脂体の周縁部は、前記複数の段差部によって画定された前記領域の境界に沿って設けられており、
前記段差部は、前記基板の前記載置面から突出して形成された複数の凸部であることを特徴とす
る半導体発光装置。
【請求項6】
前記複数の段差部は、前記載置面と垂直な方向から見た上面視において、前記発光素子の中心に関して、回転対称な位置にそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項3ないし5のいずれかに記載の半導体発光装置。
【請求項7】
前記複数の段差部は、前記載置面と垂直な方向から見た上面視において、前記発光素子の中心を通る中心線に関して対称な位置に設けられていることを特徴とする請求項3ないし5のいずれかに記載の半導体発光装置。
【請求項8】
前記複数の段差部は、前記載置面と垂直な方向から見た上面視において、前記発光素子の中心を通る第1の中心線に関して非対称な位置であり、前記第1の中心線と垂直に交わり、かつ前記発光素子の中心を通る第2の中心線に関して対称な位置に設けられていることを特徴とする請求項3ないし5のいずれかに記載の半導体発光装置。
【請求項9】
基板と、
前記基板上に載置されている発光素子と、
前記発光素子が載置されている載置面において、前記発光素子を囲うように設けられ、かつ、前記基板の前記載置面上の領域を画定する領域画定部と、
前記発光素子を覆うように前記基板上に載置されている樹脂体と、を有し、
前記領域画定部は、前記基板とは異なる材料からなり、かつ、前記樹脂体の液体樹脂原料が前記領域画定部に対して生じる接触角が前記基板に対して生じる接触角よりも大きい接触角の材料で構成され、
前記基板の前記載置面上における前記樹脂体の周縁部は、前記領域画定部によって画定された前記領域の境界に沿って設けられており、
前記基板は、前記基板を貫通して形成された複数の孔部を有し、
前記複数の孔部は、前記領域画定部によって画定された前記領域の境界に沿って設けられていることを特徴とする半導体発光装置。
【請求項10】
基板と、
前記基板上に載置されている発光素子と、
前記発光素子が載置されている載置面において、前記発光素子を囲うように設けられ、かつ、前記基板の前記載置面上の領域を画定する領域画定部と、
前記発光素子を覆うように前記基板上に載置されている樹脂体と、を有し、
前記領域画定部は、前記基板とは異なる材料からなり、かつ、前記樹脂体の液体樹脂原料が前記領域画定部に対して生じる接触角が前記基板に対して生じる接触角よりも大きい接触角の材料で構成され、
前記基板の前記載置面上における前記樹脂体の周縁部は、前記領域画定部によって画定された前記領域の境界に沿って設けられており、
前記基板は、複数の凹部を有し、
前記複数の凹部は、前記領域画定部によって画定された前記領域の境界に沿って設けられていることを特徴とする半導体発光装置。
【請求項11】
前記孔部又は前記凹部は、前記載置面と垂直な方向から見た上面視において、前記発光素子の中心に関して、回転対称な位置にそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項9又は10に記載の半導体発光装置。
【請求項12】
前記孔部又は前記凹部は、前記載置面と垂直な方向から見た上面視において、前記発光素子の中心を通る中心線に関して対称な位置に設けられていることを特徴とする請求項9又は10に記載の半導体発光装置。
【請求項13】
前記孔部又は前記凹部は、前記載置面と垂直な方向から見た上面視において、前記発光素子の中心を通る第1の中心線に関して非対称な位置であり、前記第1の中心線と垂直に交わり、かつ前記発光素子の中心を通る第2の中心線に関して対称な位置に設けられていることを特徴とする請求項9又は10に記載の半導体発光装置。
【請求項14】
基板と、
前記基板上に載置されている発光素子と、
前記発光素子が載置されている載置面において、前記発光素子を囲うように設けられ、かつ、前記基板の前記載置面上の領域を画定する領域画定部と、
前記発光素子を覆うように前記基板上に載置されている樹脂体と、を有し、
前記領域画定部は、前記基板とは異なる材料からなり、かつ、前記樹脂体の液体樹脂原料が前記領域画定部に対して生じる接触角が前記基板に対して生じる接触角よりも大きい接触角の材料で構成され、
前記基板の前記載置面上における前記樹脂体の周縁部は、前記領域画定部によって画定された前記領域の境界に沿って設けられており、
前記基板の材料は、セラミックス又はエポキシ樹脂体であり、
前記領域画定部は、金属であることを特徴とする半導体発光装置。
【請求項15】
前記金属は、タングステン、モリブデン、金、銀、銅、及びこれらを母材とした合金のうち、少なくともいずれか1つを成分として含むことを特徴とする請求項14に記載の半導体発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体発光装置の製造方法及び半導体発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LED(Light Emitting Diode)等の発光素子を搭載した半導体発光装置は、照明等に用いられている。このような半導体発光装置では、発光素子は、基板に搭載された後、樹脂体によって封止される。
【0003】
この樹脂体は、レンズとしての機能を有する場合もある。樹脂体がレンズとしての機能を有する場合、金型に樹脂を充填して成型することが行われている。
【0004】
このような半導体発光装置としては、基台部と、前記基台部に接続され、凹部を有する反射部と、前記凹部の底面に搭載した発光素子とを有する半導体発光装置において、前記反射部を覆うように、前記反射部の外周に沿って前記基台部面上に形成された接続部に接続されたレンズ部を備えた半導体発光装置が特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の半導体発光装置は、金型を用いて樹脂体の成型を行っている。したがって、高い圧力で樹脂を押し出して成型を行うために、大型な装置が必要になる問題がある。
【0007】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、大型な装置を必要とせずに所望の形状に樹脂の成型を行うことが可能な半導体発光装置の製造方法及び半導体発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した目的を達成するため、本発明の半導体発光装置の製造方法は、発光素子が載置されている基板の載置面上において、前記発光素子を囲む領域を画定するように複数の段差部を前記基板上に設ける工程と、前記発光素子を覆うように液体樹脂原料をポッティングすることによって前記載置面上の前記領域内に設ける工程と、前記液体樹脂原料を硬化して樹脂体を形成する工程と、を含むことを特徴とする。
【0009】
また、半導体発光装置の製造方法は、発光素子が載置されている基板の載置面上において、前記発光素子を囲む領域を画定する領域画定部を前記基板上に設ける工程と、前記発光素子を覆うように液体樹脂原料をポッティングすることによって前記載置面上の前記領域内に設ける工程と、前記液体樹脂原料を硬化して前記樹脂体を形成する工程と、を含むことを特徴とする。
【0010】
本発明の半導体発光装置は、前記基板上に載置されている発光素子と、前記発光素子が載置されている載置面において、前記発光素子を囲うように設けられ、かつ、前記基板の載置面上の領域を画定する複数の段差部と、前記発光素子を覆うように前記基板上に載置されている樹脂体と、を有し、前記基板の前記載置面上における前記樹脂体の周縁部は、前記複数の段差部によって画定された前記領域の境界に沿って設けられていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の半導体発光装置は、基板と、前記基板上に載置されている発光素子と、前記発光素子が載置されている載置面において、前記発光素子を囲うように設けられ、かつ、前記基板の載置面上の領域を画定する凸部と、前記発光素子を覆うように前記基板上に載置されている樹脂体と、を有し、前記載置面上における前記樹脂体の周縁部は、前記凸部によって画定された前記領域の境界に沿って設けられていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の半導体発光装置は、基板と、前記基板上に載置されている発光素子と、前記発光素子が載置されている載置面において、前記発光素子を囲うように設けられ、かつ、前記基板の前記載置面上の領域を画定する領域画定部と、前記発光素子を覆うように前記基板上に載置されている樹脂体と、を有し、前記領域画定部は、前記基板とは異なる材料からなり、かつ、前記樹脂体の液体樹脂原料が前記領域画定部に対して生じる接触角が前記基板に対して生じる接触度の異なる材料で構成され、前記基板の前記載置面上における前記樹脂体の周縁部は、前記領域画定部によって画定された前記領域の境界に沿って設けられていることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施例1に係る半導体発光装置の上面図である。
【
図3】実施例1に係る半導体発光装置の断面図である。
【
図4】実施例1に係る半導体発光装置の製造方法を示すフロー図である。
【
図5】実施例1に係る半導体発光装置の断面図である。
【
図6】実施例1に係る半導体発光装置の断面図である。
【
図7】実施例1に係る半導体発光装置の断面図である。
【
図8】実施例2に係る半導体発光装置の断面図である。
【
図9】実施例3に係る半導体発光装置の上面図である。
【
図11】実施例3に係る半導体発光装置の断面図である。
【
図12】実施例3に係る半導体発光装置の断面図である。
【
図13】実施例4に係る半導体発光装置の上面図である。
【
図15】実施例4に係る半導体発光装置の断面図である。
【
図16】実施例4に係る半導体発光装置の製造方法を示すフロー図である。
【
図17】実施例4に係る半導体発光装置の断面図である。
【
図18】実施例5に係る半導体発光装置の上面図である。
【
図19】実施例5に係る半導体発光装置の上面図である。
【
図20】実施例5に係る半導体発光装置の上面図である。
【
図21】実施例5に係る半導体発光装置の上面図である。
【
図22】実施例6に係る半導体発光装置の上面図である。
【
図23】実施例7に係る半導体発光装置の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0014】
以下に本発明の好適な実施例を詳細に説明する。尚、以下の説明及び添付図面においては、実質的に同一又は等価な部分には同一の参照符号を付している。
【0015】
図1及び
図2に示すように、半導体発光装置10は、基板としての実装基板20と、実装基板20の載置面21上に載置されている発光素子30と、発光素子30が載置されている載置面21において、発光素子30を囲うように設けられ、かつ、実装基板20の載置面21上の領域Rを画定する複数の段差部としての孔部40aと、発光素子30を覆うように実装基板20上に載置されている樹脂体50と、を有して構成されている。
【0016】
実装基板20は、例えばアルミナやAlNなどのセラミックス材料、エポキシ等の樹脂材料からなるものである。実装基板20は、平板状に形成され、一方に載置面21が形成され、他方である載置面21の反対側に裏面22が形成されている。実装基板20の載置面21上には、孔部40aが8か所に形成されている。
【0017】
各孔部40aは、載置面21から裏面22にかけて実装基板20を貫通して形成されている。孔部40aの開口端は、載置面21と垂直な方向から見た上面視(以下、単に上面視とする)が円状に形成されている。尚、孔部40aの形状は、上面視が円状に形成されるものに限られず、例えば多角形状に形成されるものであってもよい。
【0018】
8か所の孔部40aは、上面視において、発光素子30の中心Cに関して、45°の回転対称な位置にそれぞれ設けられている。8か所の孔部40aによって、実装基板20の載置面21上に領域Rが円状に画定されている。
【0019】
尚、領域Rは、上面視において、載置面21上の領域Rの境界上の一点から発光素子30の中心Cを通る第1の中心線CL1と、この上面視において第1の中心線CL1と垂直に交わり、かつ発光素子30の中心Cを通る第2の中心線CL2と、によって分割されている4つの領域R1~R4からなっている。
【0020】
分割された一の領域である領域R1は、隣り合う他の2つの領域R2及び領域R4と同じ面積を有する。言い換えれば、領域Rは、上面視において、中心線CL1を境にして左右の形状が対称となるように画定されている。領域R1、R2、R3、R4は、それぞれ内角が90度である扇形に画定され、同一の面積である。
【0021】
樹脂体50は、載置面21に垂直な方向に対して突出するように半球のドーム状に形成されている。樹脂体50は、発光素子30を封止しつつ、レンズとしての機能も有している。樹脂体50の載置面21上の周縁部51(以下、単に周縁部51とする)は、領域R内においてその境界に沿って形成されている。
【0022】
樹脂体50としては、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等の透光性樹脂を用いることができる。また、
図2に示すように、樹脂体50の周縁部51は、孔部40aの縁部41の一部を覆うように設けられている。さらに、孔部40aの周囲に形成される樹脂体50の周縁部51は、孔部40aの形状に沿って、かつ、領域Rの外側から内側方向に向かって窪んで形成されている。
【0023】
尚、樹脂体50の周縁部51は、
図3に示すように、孔部40aの全体を覆うように形成されているようにしてもよい。このようにした場合であっても、孔部40aの周囲に形成される樹脂体50の周縁部51は、孔部40aの形状に沿って、かつ、領域Rの外側から内側に向かって窪んで形成されている。
【0024】
実装基板20は、発光素子30と電気的に接続する接続電極23を有して構成されている。実装基板20の表面には、発光素子30と電源(図示せず)とを接続する配線(図示せず)が設けられている。
【0025】
配線は、電源の一端側と接続電極23とを接続するものと、電源の他端側と発光素子30とを接続するものと、の2種類を有している。
【0026】
発光素子30は、実装基板20の中央部上に載置される。発光素子30は、半導体構造層31と、半導体構造層31を支持する支持基板32とから構成されている。
【0027】
半導体構造層31は、その上面(光取出し面)側に表面電極34が設けられ、支持基板32側の半導体構造層31の表面に裏面電極(図示せず)が設けられている。
【0028】
支持基板32は、例えばSi及びSiCなどの導電性材料からなる。支持基板32の実装基板20への固定は、例えば、ダイアタッチ剤などの導電性の接着剤を用いて行われている。
【0029】
表面電極34と接続電極23とは、金等で形成されたボンディングワイヤ60を用いてワイヤボンディングによって電源の一端側に接続されている。ボンディングワイヤ60は、全体が樹脂体50に覆われている。
【0030】
裏面電極と実装基板20の配線とは、支持基板32を介して電源の他端側に接続されている。
【0031】
尚、発光素子30上には蛍光体粒子が設けられていてもよい。蛍光体粒子は、例えば、青色光によって励起されて黄色蛍光を出射する。このような蛍光体粒子としては、Ce附活イットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG:Ce)、Ce附活テルビウム・アルミニウム・ガーネット(TAG:Ce)、オルトシリケート蛍光体((BaSrCa)SiO4、他)、αサイアロン蛍光体(Ca-α-SiAlON:Euなど)などを用いることができる。
【0032】
以上で説明した半導体発光装置10の製造方法について
図4を参照しつつ説明する。
【0033】
発光素子30を囲む領域Rを画定するように孔部40aを載置面21上の8か所に設ける(ステップS01)。孔部40aは、円筒状のピンやレーザーマーカー等によって実装基板20の載置面21から穿つことによって形成してもよいし、実装基板20の成型時に形成するようにしてもよい。
【0034】
実装基板20の成型時に孔部40aを形成する方法としては、実装基板20がセラミックス材料である場合、セラミックスの成型時に形成される。この場合の成型方法としては、プレス成型、押出成形等が挙げられる。また、実装基板20がエポキシ等の樹脂材料である場合、樹脂の成型時に形成される。この場合の成型方法としては、プレス成型、押出成形等が挙げられる。
【0035】
液体樹脂原料を実装基板20の載置面21上にポッティングすることにより、載置面21上の領域R内に設ける(ステップS02)。
【0036】
液体樹脂原料は、実装基板20の載置面21にポッティングされる際、孔部40aに流入する。このため、孔部40aの周囲に存在する液体樹脂原料は、孔部40aに引き込まれる方向に力が作用する。言い換えれば、液体樹脂原料は、孔部40aによって実装基板20の載置面21から裏面22に向かって張力が加わる。このため、孔部40aは、液体樹脂原料が載置面21上において領域Rの外側に広がろうとする力を緩和するように液体樹脂原料に作用する。
【0037】
尚、液体樹脂原料は、実装基板20の載置面21上にポッティングした際に領域Rの内側に留まるように、粘度、チクソ性を調整するとよい。
【0038】
樹脂原料を硬化して樹脂体50形成する(ステップS03)。
【0039】
硬化処理としては、樹脂の反応温度に応じて加熱処理を行うことが挙げられる。例えば、シリコーン樹脂を液体樹脂原料として用いた場合は、60~150℃の温度環境下で1~4時間加熱処理を行うと良い。
【0040】
以上のように本発明の半導体発光装置10によれば、孔部40aが樹脂体50を形成する際に、液体樹脂原料が載置面21上において領域Rの外側に広がろうとする力を緩和するように液体樹脂原料に作用する。したがって、樹脂体50の周縁部51を領域R内において領域Rの境界に沿って設けることが可能となる。
【0041】
このため、樹脂体50を金型を用いることなく樹脂体50の形状を所望の形状に成型することが可能となる。また、定量の液体樹脂原料をポッティングするシンプルな工法で、樹脂体50をレンズとして成型することができる。
【0042】
したがって、樹脂体50をレンズとして成型するために大型な装置を導入することなく、半導体発光装置10を製造することが可能となるため、製造コストの削減を図ることが可能となる。
【0043】
また領域Rを画定するにあたって、孔部40aの配置を変更することによって、領域Rの画定位置を適宜変更するようにしてもよい。
【0044】
図5にその一例を示す。上面視において、中心線CL1対して対称な位置に孔部40aを設け、かつ、領域Rとの交点P1の発光素子30の中心Cからの距離L1が、中心線CL2と領域Rとの交点P2の発光素子30の中心Cからの距離L2よりも長い楕円状に領域Rが画定されているように各孔部40aが設けられている。
【0045】
このように領域Rを画定することで、レンズの形状に合わせて金型を製造することが不要になる。このため、製造コストの削減を図ることができる。また、金型を作成する費用や時間を削減することが可能になる。
【0046】
尚、本実施例においては、第1の中心線CL1に関して対称となるように孔部40aを配置した。しかし、8か所の孔部40aは、発光素子30の中心Cを通る第1の中心線CL1に関して非対称な位置であり、第1の中心線L1と垂直に交わり、かつ発光素子30の中心Cを通る第2の中心線CL2に関して対称な位置に設けられているようにしてもよい。
【0047】
図6はその一例を示す。具体的には、上面視において、中心線CL1の右側に画定される領域R1,R2は、半円状に画定されているように孔部40aが設けられている。また、中心線CL1の左側に画定される領域R3,R4は、半楕円状に画定されているように孔部40aが設けられている。
【0048】
尚、上面視において、分割された一の領域である領域R1は、隣り合う他の2つの領域R2、R4と面積が異なるように画定されている。
【0049】
また、孔部40aの配置間隔を狭めるようにして領域Rを細かく画定してもよい。具体的には、
図7に示すように、上面視において、CL1の左側の領域であるR3及びR4間の孔部40a間の配置間隔が狭くなるように配置するようにしてもよい。
【0050】
このように孔部40aの配置を変更することにより、配光を変化させることが可能となる。したがって、レンズの形状に合わせて金型を製造することが不要になる。このため、製造コストの削減を図ることができる。また、金型を作成する費用や時間を削減することが可能になる。
【実施例2】
【0051】
実施例1の段差部は、孔部40aによって構成されているものであった。しかし、段差部は実装基板20を穿って形成した凹部によって構成されているようにしてもよい。
【0052】
図8に示すように、実装基板20の載置面21上には、凹部40bが8か所に形成されている。
【0053】
また、実施例1と同様に、樹脂体50の周縁部51は、領域Rの内側において領域Rの境界に沿って形成されている。また、樹脂体50の周縁部51は、凹部40bの縁部の一部を覆うように設けられている。さらに、凹部40bの周囲に形成される樹脂体50の周縁部51は、凹部40bの形状に沿って、かつ、領域Rの外側から内側に向かって窪んで形成されている。
【0054】
尚、樹脂体50の周縁部51は、凹部40bの全体を覆うように形成されているようにしてもよい。この場合の態様も実施例1と同様であるので説明を省略する。
【0055】
また、本実施例の半導体発光装置10は、実施例1で説明した製造方法を用いることができる。すなわち、凹部40bは、円筒状のピン等によって実装基板20の載置面21から穿つことによって形成するとよい。
【0056】
さらに、凹部40bは、孔部40aと同様の作用効果を有する。すなわち、液体樹脂原料は、実装基板20の載置面21にポッティングされる際、凹部40bに流入する。このため、凹部40bの周囲に存在する液体樹脂原料は、凹部40bに引き込まれる方向に力が作用する。このため、凹部40bは、液体樹脂原料が載置面21上において領域Rの外側に広がろうとする力を緩和するように液体樹脂原料に作用する。
【0057】
尚、樹脂体50を成型するステップS03については実施例1と同じであるので説明を省略する。
【0058】
以上のように、段差部を凹部40bとして実施しても、実施例1と同様に、樹脂体50の周縁部51を領域R内において領域Rの境界に沿って設けることが可能となる。また、金型を用いることなく樹脂体50の形状を所望の形状に成型することが可能となる。さらに、シンプルな工法で、樹脂体50をレンズとして成型することができる。
【0059】
したがって、大型な装置を導入することなく、半導体発光装置10を製造することが可能となるため、製造コストの削減を図ることが可能となる。
【実施例3】
【0060】
実施例1の段差部は、孔部40aで構成されているものであった。しかし、段差部は凸部によって構成されているようにしてもよい。
【0061】
図9及び10に示すように、実装基板20は、載置面21から垂直方向に突出して形成された凸部40cが段差部として8か所に形成されている。
【0062】
それぞれの凸部40cは、直方体又は立方体状にそれぞれ形成されている。したがって、それぞれの凸部40cの上面42は平面状に形成されている。凸部40cの形状は、これらの形状に限定されず、例えば、円筒状、多角柱状、錘台状であってもよい。
【0063】
樹脂体50の周縁部51は、凸部40cの上面42上に設けられている。すなわち、樹脂体50の周縁部51は、領域Rの内側において領域Rの境界に沿って形成されている。
【0064】
樹脂体50の周縁部51は、凸部40cの上面42の略全面を覆うように設けられているようにしてもよいし、上面42の一部を覆うようにして設けられているようにしてもよい。上面42の一部を覆う態様としては、例えば、
図11に示すように、領域Rの内側方向に形成されている凸部40cの上面42の端部のみが覆われている態様が挙げられる。
【0065】
以上で説明した本実施例の半導体発光装置10の製造方法について
図4を参照しつつ説明する。
【0066】
発光素子30を囲む領域Rを画定するように凸部40cを載置面21上の8か所に設ける(ステップS01)。
【0067】
凸部40cは、実装基板20がセラミックス材料である場合、セラミックスの成型時に形成される。
【0068】
また、それぞれの凸部40cは、実装基板20がエポキシ等の樹脂材料である場合、樹脂の成型時に形成される。樹脂の成型方法としては、プレス成型、押出成形等が挙げられる。
【0069】
液体樹脂原料を実装基板20の載置面21上にポッティングすることにより、載置面21上の領域R内に設ける(ステップS02)。
【0070】
それぞれの凸部40cは、液体樹脂原料がポッティングされる際に、領域Rの外側に液体樹脂原料が流れ出ようとする力を受け止める。さらに、凸部40cの上面42において表面張力が作用する。
【0071】
したがって、凸部40cの上面42が載置面21と同一の材料で形成されていても、凸部40cの高さ分に応じて液面が上昇した後に表面張力が液体樹脂原料に作用させることが可能となる。このため、領域Rの外側に液体樹脂原料が流れ出すことを防ぐことができる。
【0072】
液体樹脂原料は、凸部40cの上面42に液面が達したときに硬化され、樹脂体50が形成される(ステップS03)。
【0073】
以上のように、段差部を凸部40cとして実施しても、実施例1と同様に、樹脂体50の周縁部51を領域R内において領域Rの境界に沿って設けることが可能となる。また、金型を用いることなく樹脂体50の形状を所望の形状に成型することが可能となる。さらに、シンプルな工法で、樹脂体50をレンズとして成型することができる。
【0074】
したがって、大型な装置を導入することなく、半導体発光装置10を製造することが可能となるため、製造コストの削減を図ることが可能となる。
【0075】
尚、本実施例においては、複数の凸部40cが設けられている態様を説明した。しかし、凸部40cは、発光素子30を載置面21上で囲うように設けられた1の凸部40dで構成してもよい。
【0076】
具体的には、
図12に示すように、凸部40dは、載置面21から垂直方向に円板状に突出して形成されている。凸部は、発光素子30を囲うように内側面43aが形成されている。凸部40dは、載置面21と平行に形成される上面44を有する。言い換えると凸部40dは、上面44を有するドーナツ状に形成されている。
【0077】
領域Rは、凸部40dの外側面43bに沿って上面視が円状に画定されている。このように凸部40dを形成しても本実施例と同様の作用及び効果が得られる。
【実施例4】
【0078】
上述の実施例1ないし3は、段差部によって実装基板20の載置面21上に領域Rが画定されているものであった。しかし、領域Rは実装基板20の材料と異なる材料によって画定されるものであってもよい。
【0079】
具体的には、
図13及び
図14に示すように、実装基板20の載置面21上には、発光素子30を囲うように設けられ、かつ、実装基板20の載置面21上の領域Rを画定する領域画定部としての画定部材45が設けられているようにしてもよい。
【0080】
画定部材45は、実装基板20の材料とは異なる材料である。すなわち、実装基板20の材料がセラミックス材料やエポキシ樹脂等の材料であるのに対して、異種部材の材料は、金属、ポリテトラフルオロエチレン等の樹脂の材料である。
【0081】
これらの画定部材45の材料は、樹脂体50の液体樹脂原料が画定部材45に対して生じる接触角が実装基板20に対して生じる接触度が異なる材料である。具体的には、画定部材45の材料は、樹脂体50の液体樹脂原料が画定部材45に対して生じる接触角が実装基板20に対して生じる接触角よりも大となる材料である。
【0082】
画定部材45の材料は、実装基板20の材料に応じて選択されることが望ましい。具体的には、実装基板20にセラミックス材料が用いられている場合、画定部材45は、タングステン、モリブデン、銀、銅、及びこれらを母材とする合金から選択されることが好ましい。また、金属、樹脂を母材とした材料の表面上に金メッキ、銀メッキが施されたものや、スパッタでAlN、Ti/Pt/Au、Ti/Pd/Au、Cr/Au、Ti/Alなどの膜を形成したものであってもよい。
【0083】
また、実装基板20にエポキシ等の樹脂材料が用いられている場合、画定部材45は、銅、及び銅を母材とする合金から選択されることが好ましい。また、金属、樹脂を母材とした材料の表面上に金メッキ、銀メッキが施されたものであってもよい。
【0084】
これらの画定部材45の材料のうち、金属、樹脂を母材とした材料の表面上に銀メッキ施されたものを用いることで特に反射効率を高めることができる。
【0085】
画定部材45は、発光素子30を囲うように上面視が円状かつ帯状の平板部48として形成されている。画定部材45は、載置面21と平行な方向から見た側面視において、平板部48の互いに対向する内側面46と、外側面47とを有して形成されている。
【0086】
尚、平板部48は、載置面21から画定部材45の厚さに応じた高さを有する。この結果、実装基板20の載置面21上における樹脂体50の周縁部51は、画定部材45によって画定された領域Rの境界に沿って設けられている。
【0087】
樹脂体50の周縁部51は、画定部材45の平板部48上に設けられている。樹脂体50の周縁部51は、
図15に示すように、領域Rの外側方向にわずかに突出するように断面が半円状に形成されている。
【0088】
尚、周縁部51は、平板部48の略全面を覆うように設けられているようにしてもよいし、平板部48の一部を覆うようにして設けられているようにしてもよい。平板部48の一部を覆う態様としては、例えば、実施例3と同様の態様が挙げられるので説明を省略する。
【0089】
以上で説明した本実施例の半導体発光装置10の製造方法について
図16を参照しつつ説明する。
【0090】
発光素子30を囲む領域Rを画定するように画定部材45を載置面21上に設ける(ステップS11)。
【0091】
尚、画定部材45が金属材料である場合、画定部材45は、マスク印刷によって実装基板20の載置面21上に設けるようにするとよい。
【0092】
液体樹脂原料を実装基板20の載置面21上にポッティングすることにより、載置面21上の領域R内に設ける(ステップS12)。
【0093】
上述のように、画定部材45は、接触角が実装基板20に対して生じる接触角よりも大となる材料である。このため、画定部材45上の液体樹脂原料は、載置面21上よりも表面張力が高くなる。したがって、液体樹脂原料は、外側に拡がろうとする力が画定部材45によって緩和される。
【0094】
また、平板部48は、載置面21から画定部材45の厚さに応じた高さを有することにより、液体樹脂原料を堰き止めることができ、液体樹脂原料が領域Rの外側に向かって広がろうとする力を緩和することができる。
【0095】
液体樹脂原料を硬化して樹脂体50を形成する(ステップS13)。液体樹脂原料を硬化する処理については、実施例1のステップS03と同一であるので説明を省略する。
【0096】
以上のように、本実施例の半導体発光装置10によれば、画定部材45が液体樹脂原料の表面張力を高め、液体樹脂原料の領域Rの外側に拡がろうとする力を緩和する。この結果、樹脂体50の周縁部51を領域R内において領域Rの境界に沿って設けることが可能となる。また、領域R内に液体樹脂原料が留まることになるため、樹脂体50を所望の形状に成型することが可能となる。
【0097】
したがって、上記実施例と同様に、金型を用いることなく樹脂体50の形状を所望の形状に成型することが可能となる。また、シンプルな工法で、樹脂体50をレンズとして成型することができる。
【0098】
このため、大型な装置を導入することなく、半導体発光装置10を製造することが可能となるため、製造コストの削減を図ることが可能となる。
【0099】
尚、画定部材45は、載置面21内に埋設されているようにしてもよい。具体的には、
図17に示すように、予め画定部材45の厚さに応じた凹部24を実装基板20の載置面21上に形成し、この凹部40bに画定部材45を埋設することにより、載置面21上を平坦に形成することが可能となる。
【0100】
このように形成しても、液体樹脂原料が画定部材45に接する際に表面張力を高めることができるため、本実施例と同様の効果を得ることができる。
【実施例5】
【0101】
画定部材45の外側面47は、多角形状に形成されているようにしてもよい。
【0102】
例えば、
図18に示すように、画定部材45の外側面47は、上面視において、12角形の多角形状に形成されているようにしてもよい。
【0103】
このように画定部材45を形成した場合でも、樹脂体50の周縁部51は、上面視が円状になるように平板部48上に設けられている。
【0104】
尚、ポッティングする液体樹脂原料の量を
図18に示した場合よりも多くした場合、平板部48の領域Rの外側において表面張力が作用する。このため、樹脂体50の周縁部51は、外側面47の形状に沿って形成されている。
【0105】
このように、画定部材45の外側面47は、多角形状に形成されているようにすることで、液体樹脂原料の画定部材45の外側面47との接触面積を増やすことが可能となる。このため、液体樹脂原料の表面張力をより高めることが可能となる。
【0106】
また、画定部材45の外側面47の形状は、多角形状に限られず、湾曲形状を有するようにしてもよい。例えば、
図19に示すように、画定部材45の外側面47は、上面視において、領域Rの内側方向と外側方向に湾曲した凹面と凸面を有するように波型となるように形成されているようにしてもよい。このように外側面47を形成しても、液体樹脂原料の画定部材45の外側面47との接触面積を増やすことが可能となる。
【0107】
さらに、画定部材45の内側面46は、多角形状に形成されているようにしてもよい。
【0108】
例えば、
図20に示すように、画定部材45の内側面46は、上面視において、12角形の多角形状に形成されているようにしてもよい。このように内側面46を形成しても、液体樹脂原料の画定部材45の内側面46との接触面積を増やすことが可能となる。このため、液体樹脂原料の表面張力をより高めることが可能となる。
【0109】
ここで、ポッティングする液体樹脂原料の量を
図20に示した場合よりも少なくした場合、平板部48の領域Rの内側において表面張力が作用する。このため、樹脂体50の周縁部51は、内側面46の形状に沿って形成されている。
【0110】
尚、内側面46の形状は、多角形状に限定されず外側面47と同様に波型に形成されているものであってもよい。また、内側面46と外側面47との両方が多角形状や湾曲面を有して形成されているようにしてもよい。
【0111】
具体的には、
図21に示すように、上面視において、外側面47は、領域Rの外側方向に向かって突出するように半円状の湾曲面49aが外側面47の8か所に等間隔で形成されている。上面視において、内側面46は、外側面47の湾曲のRに沿うように、突出方向に向かって窪みを有するように半円状の湾曲面49bが形成されている。
【0112】
以上のように、本実施例の半導体発光装置10によれば、液体樹脂原料と画定部材45との接触面積を増やすことができるため、液体樹脂原料の表面張力をより高めることが可能となる。
【実施例6】
【0113】
以上の実施例においては、段差部又は画定部材45のいずれかが載置面21上に設けられているものであった。しかし、画定部材45と孔部40a又は凹部40bのいずれかが載置面21上に設けられているようにしてもよい。
【0114】
具体的には、
図22に示すように、円板上の画定部材45が領域Rを画定するように設けられている。画定部材45は、上面視が円状となる内側面46が形成されている。孔部40aは、画定部材45によって画定された領域Rの境界に沿い、かつ画定部材45の内側面46に沿って8か所に形成されている。
【0115】
尚、凹部40bは孔部40aと同様の作用効果を奏するため、孔部40aに代えて凹部40bで実施してもよい。
【0116】
以上のように、本実施例に係る半導体発光装置によれば、画定部材45と孔部40a又は凹部40bのいずれかが載置面21上に設けられていることにより、画定部材45による液体樹脂原料の表面張力を高めることができる。また、液体樹脂原料が孔部40aによって実装基板20の載置面21から裏面22に向かって張力が加わることで、液体樹脂原料の領域Rの外側に拡がろうとする力が緩和される。したがって、樹脂体50の周縁部51を領域Rの境界に沿って設けることが可能となる。
【実施例7】
【0117】
実施例6においては、画定部材45は円板状に形成されているものであった。しかし、画定部材45は、外側面47及び内側面46の少なくともいずれかが、多角形状又は湾曲形状に形成されているものであってもよい。具体的には、
図23に示すように、画定部材45の外側面47は、領域Rの外側方向に向かって突出するように半円状の湾曲面49aが外側面47の8か所に等間隔で形成されている。
【0118】
画定部材45の内側面46には、外側面47の湾曲面の形成部位に対応して円周上の8か所にそれぞれ湾曲面49bが設けられている。内側面46の湾曲面49bは、外側面47の湾曲面のRに沿い、かつ、外側面47の湾曲面の突出方向に向かって窪みを有するように上面視が半円状に形成されている。
【0119】
内側面46に形成された湾曲面のそれぞれの近傍には、孔部40aが設けられている。これら8か所の孔部40aは、上面視において、発光素子30の中心Cに関して、45°の回転対称な位置にそれぞれ設けられている。8か所の孔部40aによって、実装基板20の載置面21上に領域Rが円状に画定されている。
【0120】
以上のように、本実施例に係る半導体発光装置によれば、画定部材45と孔部40a又は凹部40bのいずれかが載置面21上に設けられていることにより、画定部材45による液体樹脂原料の表面張力を高めることができる。また、液体樹脂原料が孔部40aによって実装基板20の載置面21から裏面22に向かって張力が加わることで、液体樹脂原料の領域Rの外側に拡がろうとする力が緩和される。さらに、画定部材45の湾曲面49a,49bによって液体樹脂原料の画定部材45に対する接触面積の増大し液体樹脂原料の表面張力を高めることができる。
【0121】
このため、液体樹脂原料の領域Rの外側に拡がろうとする力の緩和をより効果的に行うことができ、樹脂体50の周縁部51を領域Rの境界に沿って設けることが可能となる。
【符号の説明】
【0122】
10 半導体発光装置
20 実装基板
21 載置面
30 発光素子
40a 孔部
40b 凹部
40c 凸部
40d 凸部
45 画定部材
46 内側面
47 外側面
48 平板部
50 樹脂体
51 樹脂体の周縁部
R 領域
R1~R4 分割された領域
CL1 第1の中心線
CL2 第2の中心線