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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-28
(45)【発行日】2022-02-07
(54)【発明の名称】ガス脱臭装置
(51)【国際特許分類】
   A61L 9/00 20060101AFI20220131BHJP
   A61L 9/01 20060101ALI20220131BHJP
   B01D 53/18 20060101ALI20220131BHJP
   B01D 53/14 20060101ALI20220131BHJP
   B01D 53/38 20060101ALI20220131BHJP
   B01D 53/79 20060101ALI20220131BHJP
   B01D 53/78 20060101ALI20220131BHJP
【FI】
A61L9/00 Z
A61L9/01 E ZAB
B01D53/18 130
B01D53/18 110
B01D53/14 210
B01D53/38 130
B01D53/79
B01D53/78
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2017177798
(22)【出願日】2017-09-15
(65)【公開番号】P2019051095
(43)【公開日】2019-04-04
【審査請求日】2020-08-31
(73)【特許権者】
【識別番号】504312254
【氏名又は名称】集塵装置株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109553
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 一郎
(72)【発明者】
【氏名】榎本 直弘
【審査官】山崎 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-103418(JP,A)
【文献】特開2009-039560(JP,A)
【文献】特開2003-166798(JP,A)
【文献】特開平07-323210(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0237782(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 9/00- 9/22
B01D 53/00-53/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバーと、
チャンバー内に備えられる洗浄水シャワー手段を含む気液接触部と、
チャンバー内にガスを導入するガス導入部と、
気液接触部に自然流下で洗浄水を供給するための洗浄水貯留部と、
洗浄水貯留部に貯留される洗浄水にオゾンバブルを含有させるためのオゾンバブル発生部と、
気液接触部にて洗浄水と接触したガスをチャンバーの外に排出するガス排出部と、
気液接触部にてガスと接触した洗浄水を導入して洗浄水中に残存するオゾンを分解するオゾン分解部と、
オゾン分解部にて残存するオゾンを分解された洗浄水を貯留部に還流させるためのポンプを含む還流部と、
を有し、
前記洗浄水貯留部には、保守点検の際にオゾンを分解するための第一保守点検用オゾン分解部を有するガス洗浄装置。
【請求項2】
気液接触部にてガスと接触した洗浄水のオゾン分解部への導入を自然流下にてするための分解用導入部をさらに有する請求項1に記載のガス洗浄装置。
【請求項3】
チャンバー内底部はガスと接触した洗浄水をためる接触後洗浄水貯留槽である請求項1又は請求項2に記載のガス洗浄装置。
【請求項4】
ガス導入部のガス導入口は前記接触後洗浄水貯留槽内に設けられる請求項3に記載のガス洗浄装置。
【請求項5】
保守点検の際にチャンバー内のオゾンを分解するための第二保守点検用オゾン分解部を有する請求項1から請求項のいずれか一に記載のガス洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機溶剤からの臭気、飼育動物等から発生する臭気、さらにはごみ処理場等の臭気が問題となる場所に使用するガス脱臭装置に関する。
【0002】
脱臭に使用される有機材からの臭気や、飼育動物から発生する臭気、さらにはごみ処理場の臭気が問題となっている場所での従来の脱臭には、いくつかの方法が存在する。そのうち、代表的な脱臭方法としては、(1)洗浄法、(2)燃焼法、(3)吸着法、(4)生物脱臭法がある。
【0003】
上記(1)の洗浄法は、臭気と洗浄液とを気液接触させ、臭気成分を洗浄液で吸収・中和・酸化等の反応により除去し、脱臭する方法である。薬液には、硫酸、塩酸、苛性ソーダ等が使用されるが、課題としては、洗浄液自体の臭気があり、洗浄液の廃液処理が必要となる場合が多いことがある。
【0004】
また、上記(2)の燃焼法は、特に高濃度臭気に対する確実な脱臭方法となる。この方法では焼却のための燃料や施設等を使用するので、温度ほか環境問題、地球温暖化問題につながる可能性がある。
【0005】
上記(3)の吸着法は、臭気を活性炭やゼオライト等固体の表面に吸着する方法である。ここでは吸着能力低下の検知方法の開発や有効期間の数値化が必要であるが、実現が容易でないという問題がある。
【0006】
上記(4)の生物脱臭法は、臭気を微生物の代謝機能を利用して除去する脱臭法である。この効力維持のためには、微生物の恒常的な繁殖が不可欠であり、繁殖には培地等の大きなスペースが必要であることに加え、温度他繁殖条件の管理が必要となる。このように一定条件にするには解決しなければならない課題が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2009-136748号公報
【文献】特開2011-031227号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
脱臭方式はさまざまな方式があるが、具体化すると装置が大型になり、構造が複雑であり、メンテナンスにコストがかかるという欠点がある。本発明はオゾンを使用する脱臭装置だが、オゾンはガスの脱臭効率が高い一方で、装置の酸化作用による装置の腐食を避けることが難しいという面がある。特に配管、ポンプ等の腐食を可能な限り避け、ランニングコストを低減し、メンテナンスを容易に行えることでコストを下げ、環境にも配慮する技術が課題となっている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そのような課題を解決するため、本発明は臭気のあるガスを洗浄水中に存在するオゾンの酸化力により分解し臭気を抑える一方で、オゾンの存在領域を制限しつつ、使用後のオゾンを分解し、オゾンを含まない洗浄水を還流することにより、ポンプや配管の腐食を最小限にとどめるガス洗浄装置を提供する。
【0010】
具体的には、オゾン存在領域を、洗浄水にオゾンを溶解する工程から、チャンバー内でのガスの消臭、オゾン分解部までの脱臭関連部分に限ることとする。そして洗浄水の還流を、オゾン存在領域外で行うことにより、ポンプと配管にはオゾンの影響が及ばず、環境に配慮しつつメンテナンス等のランニングコストを抑えたガス洗浄装置を提供できる。
【0011】
チャンバー外に設置されるナノオゾンバブル発生装置を備えた洗浄水貯留部から、チャンバー内の気液接触部に、オゾンを含む洗浄水を自然流下させ、臭気のあるガスと気液接触することにより、ガス中のオゾンを酸化し分解する。接触後洗浄水はチャンバー底部の接触後洗浄水貯留槽からチャンバー外のオゾン分解部へ送られ、オゾンが分解される。オゾン分解後の洗浄水はポンプでチャンバー外の配管の上方向に設置されるナノオゾンバブル発生装置へ還流する。オゾン分解後の洗浄水を、ポンプでチャンバー外の洗浄水貯蓄部へ送り循環させることにより、ポンプと配管はオゾンの影響が及ばず、環境に配慮しつつランニングコストを抑えることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、オゾンによる酸化分解を利用する消臭効果が高いガス洗浄装置であるが、接触後洗浄水中のオゾンをチャンバー外で分解することで、ポンプと配管のオゾンによる腐食を抑えることができ、また洗浄水の還流により環境へ配慮したガス洗浄装置の提供が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1(a)】脱臭装置のガス取込から脱臭、ガス排出までの断面図。図1(a)は太い間で導入したガスを導入口から気液接触部へ導く。
図1(b)】脱臭装置のガス取込から脱臭、ガス排出までの断面図。図1(b)はいくつかの導入口によりガスを分散し排出する。
図2】接触後洗浄水を分解用導入部により自然流下にてオゾン分解部へ導くことの説明図
図3】チェンバー内部の接触後洗浄水貯留槽の図
図4】接触後洗浄水貯留槽内のガス導入口の図
図5】洗浄水貯留部内の第一保守点検用オゾン分解部の図
図6】接触後洗浄水貯留糟何の第二保守点検用オゾン分解部の図
図7】脱臭装置の脱臭対象となる牛舎の図
図8】気液接触部の網膜の(a)斜視図と(b)断面図
図9】洗浄水シャワー手段の図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本件発明の実施形態を説明する。
<実施形態1概要>
<概要>
【0015】
本実施形態の脱臭装置は、オゾンを含有するオゾン水によりガスを浄化するとともに、オゾンがチャンバー外のポンプの長い配管を通らないよう予めその前でオゾンを分離して流通させることにより、オゾンでモーター軸、モーター内の金属部分等が傷まないよう配管・ポンプの劣化を防ぐことができる。
【0016】
図1(a)は臭気のあるガスがガス導入部(0104)の管口からチャンバー(0112)内に放たれるように導入されるものである。気液接触部の面積は、管から排出されるガスを漏れなく受け止められる面積であることが望ましい。図1(b)はガス導入部の管口が気液接触部の下方に置かれ、管の上側にある多数のガス導入口により、気液接触部に下方からガスを導入する。気液接触部にガスを広範に導入することで、ガスのオゾンとの接触効率を高めている。
<構成>
【0017】
本脱臭装置は、チャンバー(1112)、気液接触部(0111)、ガス導入部(0104)、洗浄水貯留部(0108)、オゾンバブル発生器(0109)、ガス排出部(0114)、オゾン分解部(0105)、還流部(0115)からなる。以下、各部の構成について説明する。
<チャンバー>
【0018】
「チャンバー」(0112)は、脱臭が行われる主要な部分を格納する。ナノオゾンバブルを含む洗浄水は、外部の洗浄水貯留部(0108)にてオゾンが洗浄水に溶解して作られる。そしてチャンバー内の洗浄水シャワー手段(0110)へ送られ、シャワーとなって気液接触部(0111)へ分散して降りかかり、流れ落ちる間これに留まるようになっている。臭気のあるガス(0103)はガス導入部(0104)の管を送られるチャンバー内に放出されることにより、気液接触部のオゾンを含有する洗浄水と接触し、洗浄水中のオゾンが酸化によりガスの臭気を破壊する。
【0019】
脱臭済ガスは上方へ向かい、オゾン除去装置(0101)によりオゾンが除去された後、ガス排出部(0114)から外部へ排出される。以上の基本的なプロセスが、このチャンバー内で行われる。オゾンを含む洗浄水は気液接触後、チャンバー内底部に向かい、底部に備わる管により接続される外部のオゾン分解部へと送られ、ここでオゾンは分解される。
【0020】
ナノオゾンバブルとは、オゾンの微細な気泡のことである。ナノバブルの厳密な定義は応用分野や生成方法によって異なるが、一般的には1マイクロメートル以下のナノメートル単位のものがナノバブルと呼ばれており、気泡が極小のため、発生させても肉眼では透明な水に見える。
<気液接触部>
【0021】
「気液接触部」(0111)は、チャンバー内の洗浄水シャワー手段の下方に備わる網膜状の部分を指し、気液接触後のガスはガス排出部より排出される。図8(a)は気液接触部の斜視図であり、網膜状の円筒形の筒状を示している。図8(b)は気液接触部をAで切断した場合の断面図である。洗浄水シャワー手段から分散されて降り注ぐ洗浄水が網膜状の部分に留まる間に、ガスとの気液接触が起こるようになっている。気液接触部は網膜状であるため、ガスという気体が洗浄水という液体に接触する面積が大きくなり、その結果臭気のあるガスと液体の接触効率が高く、オゾンの酸化力による臭気の分解の効率が高い。
【0022】
脱臭済接触後ガスは上方のオゾン除去部(0101)を通り、オゾンは除去され、ガスのみがガス排出部より外部へ排出される。脱臭後下方に落ちチャンバー内底部に達する洗浄水には残存オゾンが含まれ、オゾン除去部にてオゾンを除去されたのち、外部に排出される。なお図9は洗浄水シャワー手段の形状例を示している。
<ガス導入部>
【0023】
「ガス導入部」(0104)は、チャンバーに臭気のあるガスを導入する。図7にあるような牛舎など多数の飼育動物から発生する臭気が強い場所(0103)から管を用い引いてくる臭気のあるガスを送風機(0116)によりチャンバー内へと送り込む。牛舎等からの臭いのあるガスを管により引き込み、送風機が圧をかけてチャンバー内に送り込むため、洗浄水が逆に流れ、チャンバーから流れ込み、牛舎等に達することはない。
【0024】
臭気のあるガスをチャンバー内にて洗浄水と接触させる方法には、臭気のあるガスを気液接触部の下方に放ち、下から上昇させ気液接触部へ送る方法と、チャンバー内オゾン含有洗浄水中に洗浄する臭気のあるガスを直接的に導入する方法などがある。
<洗浄水貯留部>
【0025】
洗浄水貯留部(0108)は、チャンバー外のチェンバー上方に備えられ、オゾンが溶解された洗浄水を蓄える。洗浄水については、チャンバー外下方のオゾン分解器により脱臭に使われたオゾンを分解処理された接触後洗浄水が、ポンプ(0107)により管の中を押し上げられ還流し、洗浄水貯留部へと到達する。
【0026】
洗浄水貯留部内にはオゾン発生器(0109)が備えられ、還流された洗浄水にオゾン発生器で作られたオゾンを溶解し貯留する。洗浄水貯留部に貯留されたオゾンが溶解洗浄水は、自然流下にてナノオゾンバブルシャワー手段(0110)へと送られ、シャワー状の水滴となり分散され降り注ぎ、気液接触部へ到達する。ここで洗浄水貯留部の底面と洗浄水シャワー手段の高低差(h)が多い方が、洗浄水の圧力が増加し、洗浄水シャワー手段からの洗浄水の勢いが強くなる。例えば洗浄水貯留部内の洗浄水が300リットルから500リットル、高低差が50センチメートルから1.5メートルの場合、洗浄水シャワー手段から気液接触部への降水量は毎分5リットルから10リットルとなる。
【0027】
なお、接触後洗浄水中に残存するオゾンはオゾン分解器で分解され、オゾンのない洗浄水のみがポンプにより管を通り還流されるため、ポンプと管への負担が少なく、交換等の費用を軽減し、環境に配慮した再利用システムを提供することができる。
<オゾンバブル発生部>
【0028】
「オゾンバブル発生部」(0109)は、チャンバー外の上方洗浄水滞留部内に設置され、ナノオゾンバブルを発生する。そのオゾンは洗浄水貯留部に貯留される洗浄水に溶解され、オゾン含有洗浄水となり、ガスの脱臭に使用される。
【0029】
なお、洗浄水貯留部のオゾンを含む洗浄水は、チェンバー内の洗浄水シャワー手段に送られシャワーとなり、気液接触部に降り注ぎ、洗浄水中のナノオゾンバブルは、気液接触部において、チャンバー内下方から気液接触部へ送られるガスの臭気を酸化分解し脱臭する。洗浄水はオゾン分解機へ送られオゾンと分離され、オゾンは分解される一方で、洗浄水はチャンバー外の管の中を還流し、オゾンバブル発生器を内蔵する洗浄水貯留部へ戻る。
【0030】
当発明では、チャンバー内のオゾンの存在領域(0102)を限定している。チャンバー外のオゾンバブル発生部により発生したオゾンは、チャンバー内で消臭の役目を果たし、再びチャンバー外に管の中を送られ、オゾン分解器へ到達しここで分解される。そのためオゾンが外部に排出されないだけでなく、外部に備わるポンプ、管への腐食等の影響を最小限に抑えられる。
【0031】
なおオゾンバブルの発生を人工的に行う方法には、沿面放電方式式、プラズマイオン(無声放電)方式、電解方式などいくつかあるが、本脱臭装置にはどの方式でもよい。
<ガス排出部>
【0032】
「ガス排出部」(0114)は、チャンバーの上部に備わり、オゾン除去部(0101)と送風ファン(0113)のように構成される。送風ファンは臭気処理済みのガスを外部へと送り出すために備わり、また使用されなかったオゾンがチャンバー内で上昇し外部に排出されてしまわないようオゾン除去部(0101)を有することもできる。
【0033】
ガス排出部は処理済ガスを外部に排出する。チャンバー内の気液接触部において洗浄水と接触し、洗浄水中に溶解されているオゾンによる酸化分解により脱臭されたガスを、送風ファン(0113)によりチャンバー外に排出してもよい。
<オゾン分解部>
【0034】
オゾン分解部(0105)はチャンバー下端の接触後洗浄水貯留槽からの接触後洗浄水を取り込み、オゾン処理済みの洗浄水をチャンバー外上部の洗浄水貯留部へ送り込むように構成される。酸化分解による脱臭に使用されなかったオゾンを含む洗浄水は、オゾン分解部でオゾン分解され、洗浄水貯留部へ還流するため、ポンプや管を腐食しない。還流した洗浄水は内蔵のオゾン発生器により発生するオゾンを再び溶解し、次の洗浄サイクルへと向かうという再利用が行われる。
<還流部>
【0035】
「還流部」(0115)は、オゾン存在領域(0101)外であるチャンバー外に存在し、チャンバー外部のポンプや外部管のように構成され、チャンバー内部でガスの脱臭を終えたオゾン分解後の接触済洗浄水を上部の洗浄水貯留部へ送る。ポンプ(0107)は、オゾン分解器でオゾンを分解したあとの接触後洗浄水を、管(0106)経由で押し上げ還流させ、洗浄水貯留部へと送る。
【0036】
チャンバー内のオゾンを含んだ洗浄水は、そのままではポンプや管を腐食してしまうが、ポンプや管に入る前に、オゾン分解部でオゾンが分解処理され、オゾンを含まない洗浄水としてポンプで管を押し上げられ、上部の洗浄水貯留部へ送られるため、腐食の可能性を激減させる。
【0037】
ポンプは羽根車、軸受け、外部ケーシング他の部材から構成され、圧延鋼からステンレスまでさまざまな金属材料や、樹脂などが使われている。金属及びフッ素系を除く樹脂はオゾンにより酸化分解されるため、オゾンにはできる限り接触しないようにすることが望ましい。また配管材料は、炭素鋼鋼管、ステンレスパイプ、アルミニウムパイプ、塩ビ配管などの樹脂パイプ、塗覆装鋼管や亜鉛めっき鋼管などが主なものだが、やはりオゾンにより酸化分解されやすいため、ポンプ、管を通る洗浄水にはオゾンが含まれていないことが望ましい。還流部をチャンバー外に置くことで、装置の複雑性やメンテナンスコストが軽減され、使いやすい脱臭装置となっている。
【0038】
<実施形態2概要>
<概要>
【0039】
本実施形態は、実施例の1の特徴に加え、気液接触部にて接触した洗浄水のオゾン分解部(0201)への導入を自然流下にてするための分解用導入部(0202)を有するガス洗浄装置である。オゾンを含む洗浄水のオゾン分解部への導入を自然落下で行うことにより、オゾン存在領域にポンプを一台設置し、オゾンを含む洗浄水を送る必要がなくなり、ポンプの買い替えが不要となるため、コストの削減となる。オゾンはポンプを腐食するため、腐食したポンプのメンテナンスや買換えコストがかかるが、本実施形態では、オゾン存在領域中においてポンプを使用する必要がなくなり、メンテナンス等の費用を削減することができる。
<構成>
【0040】
本実施形態は、チャンバー底部からオゾン分解部へ洗浄水を送るオゾン分解用導入部(0202)、チャンバー外の還流部配管(0204)とオゾン分解部(0201)とから構成される。チャンバー底部に気液接触部より落ち貯まる接触後洗浄水を、分解用導入部の管を使い自然流下させることにより、オゾンを含有する接触後洗浄水をオゾン分解部へ送り込み、オゾン分解するものである。なおオゾン分解後の接触後洗浄水はチャンバー外のポンプにより管の中を押し上げられ、洗浄水貯留部へと還流される。
【0041】
自然流下は追加のエネルギーを必要とせず、高低差により接触後洗浄水は分解用導入部を経て図2のように、やや下方に備わるオゾン分解部へ送られる。そこでオゾンは分解され、分解後の洗浄水は、再使用のため、ポンプ(0203)により管を通り洗浄水貯留部(0205)へと送られるので、オゾン存在領域外となる管やポンプの腐食が減少することになり、交換、メンテナンスコストが減少し、かつ環境に配慮した装置が提供される。
【0042】
<実施形態3概要>
<概要>
【0043】
本実施形態はチャンバー内底部にガスと接触した後の接触後洗浄水を貯める洗浄水貯留槽(0301)を有するガス洗浄装置である。
<構成>
【0044】
接触後洗浄水貯留槽(0301)は、気液接触部より落下するオゾン処理後の接触後洗浄水を貯留するチャンバー内の部位であり、貯留槽内の接触後洗浄水を自然流下等によりオゾン分解部へと送り込むように構成される。接触後洗浄水貯留槽内の接触後洗浄水の量により、オゾン分解部の分解能力の緩衝機能を果たしているということができる。
【0045】
<実施形態4概要>
<概要>
【0046】
本実施形態は、ガス臭気のオゾンによる酸化分解を利用する脱臭方法のひとつであり、臭気のあるガスを気液接触部下部で放出し気液接触部へ送る方法に加え、図4にあるように、ガスをガス導入口(0401)経由で洗浄水貯留部へと導入し、接触後洗浄水中に存在するオゾンにより分解する方法である。
<構成>
【0047】
この方法は、臭気のあるガスをガス導入口に送る送風機(0404)、臭気のあるガスを導入するガス導入口(0401)、チャンバー内の接触後洗浄水貯留部(0402)、脱臭後のガスからオゾンを除去するオゾン除去部から構成される。
【0048】
ガス導入口は、気液接触部から落ちてきて、チャンバー内の接触後洗浄水貯留部に貯まった接触後洗浄水の中に臭いのあるガスを直接導入して接触させる。ガス洗浄口は導入ガス接触後洗浄水貯留部内(0402)に設けられる。ガス導入口を経て臭いのあるガスは貯蓄部内洗浄水に送りこまれ、洗浄水に含まれるオゾンがガスを酸化分解して脱臭する。オゾン分解で脱臭されたガスは、上方へ向かいオゾン除去装置(0403)によりオゾンが除去されたのち、チャンバー外へ排出される。
【0049】
本実施形態は気液接触部へのガス放出と並ぶオゾンによる臭気の酸化分解方法のひとつだが、この二つの方法を同時に行うことも可能である。なお牛舎等からの臭いのあるガスを引き込み、送風機(0404)により圧をかけてチャンバー内に送り込むため、洗浄水が逆流して、牛舎等に達することはない。
【0050】
<実施形態5概要>
<概要>
【0051】
第一保守点検用オゾン分解部(0501)は、装置上部の外側に備わる洗浄水貯留部(0502)に貯留されている洗浄水に溶解されるオゾンを、保守点検の際に、分解するとともに、オゾン排出による保守員の健康リスクや環境リスクを低減するため設置される。
<構成>
【0052】
第一保守点検用オゾン分解器は、図5のように洗浄水貯留部内に設置される容器の中に備わり構成される。主な用途としては、保守点検の際に、チャンバー内洗浄水貯留部の洗浄水内に含まれるオゾンを分解・排出することにより、保守員の健康リスクや環境リスクを低減することである。
【0053】
当装置上部の外側に備わる洗浄水貯留部には、ナノオゾンバブル発生器(0503)が設置され、貯留されている洗浄水にはオゾンが溶解される。そのため保守点検の際洗浄水中のオゾンを分解し、オゾン排出による環境リスクや保守員の健康リスクを低減することが不可欠である。なお様々な業界や団体により安全管理基準というものが出されているが、その基準濃度が0.05?0.1ppmを超えないものとするというのがほとんどである。
【0054】
<実施形態6概要>
<概要>
【0055】
チャンバー底部に備わる洗浄水貯留装置内には、保守点検の際に貯留洗浄水内の接触後洗浄水(0602)に残存するオゾンを分解するための第二保守点検用オゾン分解部(0601)が備わっている。
<構成>
【0056】
第二保守点検用分解部(図6)は、接触後洗浄水貯留槽内に設置される容器の中に備わり構成される。保守点検の際に、チャンバー内洗浄水貯留槽の洗浄水内に含まれるオゾンの分解・排出により、保守員の健康リスクや環境リスクを低減するために設置されるようなものである。保守点検時には作動させ、チャンバー内洗浄水貯留部の洗浄水内のオゾンを分解する。
【0057】
図6の第一保守点検用分解部は、上部のチャンバー外の洗浄水貯留部内に備えられ、オゾン発生器が発生させたオゾンを含む洗浄水が貯留されているが、図6のチャンバー内底部の洗浄水貯留部(0602)にも同様にオゾンを含んだ洗浄水が滞留し、保守点検時には、オゾンの分解・排出が不可欠である。なお様々な業界や団体により安全管理基準というものが出されているが、その基準濃度が0.05?0.1ppmを超えないものとするというのがほとんどである。
【符号の説明】
【0058】
チャンバー:0112
洗浄水貯留部:0108、0206、0502
ナノオゾンバブル発生部:0109、0503
オゾン含有洗浄水自然流下部:0110
気液接触部:0111
接触後洗浄水貯留槽:0301、0402、0602
オゾン存在領域:0102
オゾン分解部:0105、0201
オゾン分解用導入部:0202
還流部:0115、0205
還流部配管:0106、0204
還流部ポンプ:0107、0203
ガス排出部:0114、0304
オゾン除去部:0101、0302、0403
送風ファン:0113、0303
異臭発生源等:0103
ガス導入部:0104
ガス導入口:0401
送風機:0116、0404
第一保守点検用分解部:0501
第二保守点検用分解部:0601
図1(a)】
図1(b)】
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9