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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-28
(45)【発行日】2022-02-07
(54)【発明の名称】加熱調理システム
(51)【国際特許分類】
   F24C 3/12 20060101AFI20220131BHJP
   H05B 6/12 20060101ALI20220131BHJP
   F24C 7/04 20210101ALI20220131BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20220131BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20220131BHJP
   H04W 92/08 20090101ALI20220131BHJP
   H04W 84/10 20090101ALI20220131BHJP
   H04W 76/10 20180101ALI20220131BHJP
【FI】
F24C3/12 E
H05B6/12 313
F24C7/04 301Z
F24C7/04 301A
F24C3/12 A
H04Q9/00 301D
H04M11/00 301
H04W92/08 110
H04W84/10
H04W76/10
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2017183557
(22)【出願日】2017-09-25
(65)【公開番号】P2019060511
(43)【公開日】2019-04-18
【審査請求日】2020-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森竹 結衣
(72)【発明者】
【氏名】黒田 紳司
【審査官】比嘉 貴大
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-046686(JP,A)
【文献】特開2017-163290(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 3/12
H05B 6/12
F24C 7/04
H04Q 9/00
H04M 11/00
H04W 92/08
H04W 76/10
H04W 84/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加熱物を加熱する加熱部を有する加熱調理器と、該加熱調理器のユーザが使用する外部端末であり、該加熱調理器と無線での通信を行い得る一つ以上の外部端末とを備える加熱調理システムであって、
前記外部端末のそれぞれは、前記加熱調理器との通信を開始するとき、該加熱調理器に対して接続要求を送信するように構成されており、
前記加熱調理器は、該加熱調理器と通信を行い得る複数の外部端末から、前記接続要求が受信される場合に、該複数の外部端末のうちの一つを通信対象の外部端末として選定する通信対象決定部を含み、該通信対象決定部で選定した通信対象の外部端末との通信を確立するように構成されており、
前記通信対象決定部は、前記通信対象の外部端末を選定するとき、前記複数の外部端末から、あらかじめ定められた所定の条件に基づいて、前記通信対象の外部端末の候補を選定する処理と、当該候補を前記通信対象の外部端末として承認するか否かを、前記加熱調理器に備えられた報知部から、又は、前記複数の外部端末のうち、当該候補を少なくとも含む一つ以上の外部端末から、ユーザに対して要求する処理とを実行し、当該候補を前記通信対象の外部端末として承認する旨の所定の操作が前記加熱調理器又は当該候補の外部端末で行われた場合に、当該候補を前記通信対象の外部端末として確定するように構成されていることを特徴とする加熱調理システム。
【請求項2】
請求項1記載の加熱調理システムにおいて、
前記所定の条件は、前記複数の外部端末のうち、前記加熱調理器に最も近い外部端末を前記候補として選定するという条件であることを特徴とする加熱調理システム。
【請求項3】
請求項1記載の加熱調理システムにおいて、
前記所定の条件は、前記複数の外部端末のうち、前記通信対象の外部端末としての使用頻度が最も高い外部端末を前記候補として選定するという条件であることを特徴とする加熱調理システム。
【請求項4】
請求項1記載の加熱調理システムにおいて、
前記所定の条件は、前記複数の外部端末のうち、前記通信対象の外部端末としての使用履歴が最も新しい外部端末を前記候補として選定するという条件であることを特徴とする加熱調理システム。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の加熱調理システムにおいて、
前記所定の条件は、あらかじめ用意された複数の条件のなかから、ユーザにより選定された条件であることを特徴とする加熱調理システム。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の加熱調理システムにおいて、
前記通信対象決定部は、前記候補を前記通信対象の外部端末として承認する旨の所定の操作が行われなかった場合には、前記複数の外部端末のうちの一つの外部端末を前記通信対象の外部端末として選択すべき旨を、前記加熱調理器に備えられた報知部から、又は、前記複数の外部端末のそれぞれから、ユーザに対して要求する処理を実行し、該処理に応じてユーザにより選択された一つの外部端末を、前記通信対象の外部端末として確定するように構成されていることを特徴とする加熱調理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱調理器と外部端末とを含む加熱調理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に見られるように、コンロ等の加熱調理器と、ユーザのスマートフォン等の外部端末との間で、調理に関する種々の情報を通信し得るようにした加熱調理システムが知られている。この種の加熱調理システムでは、外部端末でユーザが選択した調理メニューにおける加熱調理器の作動を指示する情報を外部端末から加熱調理器に送信したり、加熱調理器の作動状態、機能などを示す情報を加熱調理器から外部端末に送信して、該外部端末で表示させることなどが行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-158345
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記の如き加熱調理システムでは、加熱調理器とユーザの外部端末との通信を行うためには、一般に、該外部端末に加熱調理器との通信用のサービスアプリケーションをインストールした上で該外部端末の識別情報等の情報を、該加熱調理器に登録する接続設定作業を事前に行っておく必要がある。この場合、加熱調理器を複数のユーザで使用する場合には、各ユーザの外部端末毎に、上記接続設定作業を行うことで、複数の外部端末の情報が、加熱調理器に登録される。
【0005】
そして、この種の加熱調理システムの加熱調理器は、その電源が投入された状態で、ある外部端末(サービスアプリケーションが起動された外部端末)から通信接続の要求を受けると、該外部端末が登録されている外部端末であれば、該外部端末との通信接続を自動的に確立するようになっている。
【0006】
しかしながら、この種の加熱調理システムでは、加熱調理器と、ある外部端末との通信接続が確立された状態では、他の外部端末は該加熱調理器との通信を行うことができないものとなる。このため、該加熱調理器に複数の通信対象の外部端末が登録されている場合、次のような不都合が生じることが判明した。
【0007】
すなわち、例えば、あるユーザAが、加熱調理器の使用後に、自身の外部端末のサービスアプリケーションを終了せずに、該外部端末と加熱調理器との通信接続が継続している場合がある。このようにユーザAの外部端末と加熱調理器との通信接続が維持された状態で、他のユーザBが加熱調理器を使用した調理を行うべく、該ユーザBの外部端末のサービスアプリケーションを起動しても、該ユーザBの外部端末は加熱調理器に通信接続することができない。
【0008】
あるいは、加熱調理器を使用して調理を行おうとするユーザBが、加熱調理器の電源を投入したときに、ユーザBの外部端末だけでなく、他のユーザAの外部端末のサービスアプリケーションが既に起動している場合がある。そして、この場合、加熱調理器の電源の投入直後に、ユーザAの外部端末と加熱調理器との通信接続が先に確立してしまう場合がある。この場合にも、調理を行おうとするユーザBの外部端末は加熱調理器に通信接続することができない。
【0009】
そして、これらの場合には、調理を行おうとするユーザBの外部端末と加熱調理器との通信接続を行うためには、ユーザAのサービスアプリケーションを終了してもらったり、加熱調理器の電源を投入し直す等の処置が必要となり、利便性が損なわれるという不都合がある。
【0010】
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、加熱調理器を使用して調理を行おうとするユーザの外部端末と、加熱調理器との通信接続を行うことを利便性よく簡易に行うことを可能とする加熱調理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の加熱調理システムは、上記の目的を達成するために、被加熱物を加熱する加熱部を有する加熱調理器と、該加熱調理器のユーザが使用する外部端末であり、該加熱調理器と無線での通信を行い得る一つ以上の外部端末とを備える加熱調理システムであって、
前記外部端末のそれぞれは、前記加熱調理器との通信を開始するとき、該加熱調理器に対して接続要求を送信するように構成されており、
前記加熱調理器は、該加熱調理器と通信を行い得る複数の外部端末から、前記接続要求が受信される場合に、該複数の外部端末のうちの一つを通信対象の外部端末として選定する通信対象決定部を含み、該通信対象決定部で選定した通信対象の外部端末との通信接続を確立するように構成されており、
前記通信対象決定部は、前記通信対象の外部端末を選定するとき、前記複数の外部端末から、あらかじめ定められた所定の条件に基づいて、前記通信対象の外部端末の候補を選定する処理と、当該候補を前記通信対象の外部端末として承認するか否かを、前記加熱調理器に備えられた報知部から、又は、前記複数の外部端末のうち、当該候補を少なくとも含む一つ以上の外部端末から、ユーザに対して要求する処理とを実行し、当該候補を前記通信対象の外部端末として承認する旨の所定の操作が前記加熱調理器又は当該候補の外部端末で行われた場合に、当該候補を前記通信対象の外部端末として確定するように構成されていることを特徴とする(第1発明)。
【0012】
なお、本発明において、「加熱調理器と通信を行い得る」外部端末というのは、より詳しくは、加熱調理器の運転に係る通信を該加熱調理器と行うことができるように、加熱調理器との通信接続を確立し得る外部端末を意味する。
【0013】
上記第1発明によれば、前記所定の条件に基づいて、前記複数の外部端末から選定された候補(通信対象の外部端末の候補)は、該候補に対するユーザの承認が得られること(詳しくは、ユーザが当該候補を通信対象の外部端末として承認する旨の所定の操作を行うこと)を必要条件として、通信対象の外部端末として確定され、ひいては、加熱調理器との通信接続が確立される。
【0014】
従って、加熱調理器を使用して調理を行おうとするユーザの外部端末と異なる外部端末と加熱調理器との通信接続がユーザの意図に反して行われることを防止できる。
【0015】
また、前記候補がユーザの外部端末である場合には、該ユーザは、前記候補を通信対象の外部端末として承認する旨の所定の操作(2者択一的な操作)を行うだけで、該ユーザの外部端末と加熱調理器との通信接続を確立させることができる。
【0016】
よって、第1発明によれば、加熱調理器を使用して調理を行おうとするユーザの外部端末と、加熱調理器との通信接続を行うことを利便性よく簡易に行うことが可能となる。
【0017】
上記第1発明では、前記所定の条件として、例えば、前記複数の外部端末のうち、前記加熱調理器に最も近い外部端末を前記候補として選定するという条件を採用し得る(第2発明)。
【0018】
ここで、加熱調理器を使用して調理を行おうとするユーザは、通常、該加熱調理器に接近した状態で該加熱調理器を使用する。このため、第2発明によれば、前記候補は、加熱調理器を使用して調理を行おうとするユーザの外部端末に一致する蓋然性が高い。従って、多くの場合、ユーザは、前記候補を通信対象の外部端末として承認する旨の所定の操作(2者択一的な操作)を行うだけで、該ユーザの外部端末と加熱調理器との通信接続を確立させることができる。
【0019】
また、上記第1発明では、前記所定の条件として、例えば、前記複数の外部端末のうち、前記通信対象の外部端末としての使用頻度が最も高い外部端末を前記候補として選定するという条件を採用することもできる(第3発明)。
【0020】
あるいは、前記所定の条件として、前記複数の外部端末のうち、前記通信対象の外部端末としての使用履歴が最も新しい外部端末を前記候補として選定するという条件を採用することもできる(第4発明)。
【0021】
なお、第4発明において、前記通信対象の外部端末としての使用履歴が最も新しいというのは、前記通信対象の外部端末として実際に使用した日時が最も新しいことを意味する。
【0022】
ここで、加熱調理器を使用した調理作業において、自身の外部端末と加熱調理器との通信を行うことを活用した調理作業を頻繁に行うユーザの外部端末は、上記第3発明または第4発明における所定の条件に合致するものとなる蓋然性が高い。
【0023】
従って、かかるユーザが、加熱調理器を使用して調理を行なおうとした場合、多くの場合、前記候補が該ユーザの外部端末に一致し、ひいては、該ユーザは、前記候補を通信対象の外部端末として承認する旨の所定の操作(2者択一的な操作)を行うだけで、該ユーザの外部端末と加熱調理器との通信接続を確立させることができる。
【0024】
また、上記第1~第4発明では、前記所定の条件は、あらかじめ用意された複数の条件のなかから、ユーザにより選定された条件であることが好ましい(第5発明)。
【0025】
これによれば、ユーザは、該ユーザによる加熱調理器の使用形態を考慮して前記所定の条件を選定できるので、前記候補が、加熱調理器を使用して調理を行おうとするユーザの外部端末に一致する蓋然性を高めることができる。ひいては、該ユーザの外部端末と加熱調理器との通信接続を確立することの利便性をより一層高めることができる。
【0026】
また、上記第1~第5発明では、前記通信対象決定部は、前記候補を前記通信対象の外部端末として承認する旨の所定の操作が行われなかった場合には、前記複数の外部端末のうちの一つの外部端末を前記通信対象の外部端末として選択すべき旨を、前記加熱調理器に備えられた報知部から、又は、前記複数の外部端末のそれぞれから、ユーザに対して要求する処理を実行し、該処理に応じてユーザにより選択された一つの外部端末を、前記通信対象の外部端末として確定するように構成されていることが好ましい(第6発明)。
【0027】
これによれば、前記候補がユーザの外部端末でない場合には、該ユーザは自身の外部端末を前記複数の外部端末のなかから選択して、加熱調理器との通信接続を確立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の実施形態の加熱調理システムの全体構成を示す図。
図2】実施形態の加熱調理システムの加熱調理器の制御及び通信に係る構成を示すブロック図。
図3】実施形態の加熱調理システムの加熱調理器の制御装置の処理を示すフローチャート。
図4】実施形態の加熱調理システムの加熱調理器の制御装置の処理を示すフローチャート。
図5図3のフローチャートのSTEP11のサブルーチン処理を示すフローチャート。
図6図3のフローチャートのSTEP12のサブルーチン処理を示すフローチャート。
図7図5のフローチャートのSTEP32での選択画面の表示例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の一実施形態を図1図7を参照して以下に説明する。図1を参照して、本実施形態の加熱調理システムAは、加熱調理器1と、外部端末20とを含む。加熱調理器1は、例えばガスコンロ(ビルトイン型のガスコンロ)であり、その本体部であるコンロ本体2の上面部(天板)に、左コンロバーナ3L(以下、左コンロ3Lという)、右コンロバーナ3R(以下、右コンロ3Rという)及び後コンロバーナ3B(以下、後コンロ3Bという)の3つのコンロバーナが配置されている。また、コンロ本体2の内部には、図示を省略するグリルバーナを有するグリル庫4が設けられている。左コンロ3L、右コンロ3R、後コンロ3B及びグリルバーナのそれぞれは、その燃焼運転により、調理物もしくは調理容器等の被加熱物を加熱する加熱部である。
【0030】
コンロ本体2の上面部の後端寄りの箇所には、グリル庫4の排気を行う排気口5が設けられ、コンロ本体2の上面部の前端寄りの箇所には、加熱調理器1の運転に関する各種情報を表示する表示部6が設けられている。表示部6は、本発明における報知部に相当する。
【0031】
また、コンロ本体2の前面には、左コンロ3L、右コンロ3R、後コンロ3B及びグリルバーナのそれぞれの点火・消火及び火力調節を行うための操作ボタン7L,7R,7B,7Gと、加熱調理器1の電源スイッチ8と、グリル庫4を開閉するグリル扉9と、左コンロ3L、右コンロ3R及び後コンロ3Bのそれぞれを使用した自動調理(湯沸し、炊飯等)もしくは自動消火等に関する種々の操作を行うための開閉式の操作部10と、グリルバーナを使用した自動調理(魚焼き等)もしくは自動消火等に関する種々の操作を行うための開閉式の操作部11とが備えられている。
【0032】
操作ボタン7L,7R,7B,7Gのそれぞれの押し操作により、対応するバーナの点火又は消火が行われ、それぞれの回転操作により、対応するバーナの火力調節が行われるようになっている。また、操作部10,11のそれぞれは、その押し操作によって開閉し、開状態において、図示を省略する複数の操作スイッチ等が露出するようになっている。
【0033】
また、図2に示す如く、加熱調理器1(ガスコンロ)には、該加熱調理器1の運転制御等を行う制御装置15と、外部端末20との無線通信を行うための無線通信部16とが搭載されている。無線通信部16は、例えばBluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)等の無線通信方式で外部端末20との双方向通信を行い得るように構成されている。
【0034】
なお、本実施形態では、加熱調理器1の無線通信部16と、外部端末20との間の通信を直接的に行うことが可能であるが、当該通信は、加熱調理器1が設置された住戸内に構築されたローカルエリアネットワーク(ホームネットワーク)、あるいは、インターネットもしくは公衆通信網等により構成される外部ネットワーク(広域ネットワーク)を介して間接的に行い得るようになっていてもよい。この場合、加熱調理器1の無線通信部16と、外部端末20との間の通信経路の中間部には有線通信経路を含み得る。
【0035】
制御装置15は、例えばマイクロコンピュータ、メモリ、インターフェース回路等を含む電子回路ユニットにより構成され、前記表示部6、操作部10,11、無線通信部16と信号線を介して接続されている。
【0036】
該制御装置15は、実装されたハードウェア構成とプログラム(ソフトウェア構成)とにより実現される機能として、加熱調理器1の運転制御を行う機能の他、無線通信部16と外部端末20との通信接続に関する処理を行う機能を有する。当該機能には、本発明における通信対象決定部15aとしての機能が含まれる。そして、制御装置15は、無線通信部16と外部端末20との通信接続を確立した状態では、該外部端末20との間で、加熱調理器1の運転に係る通信(以降、実体的な通信ということがある)を無線通信部16を介して行うことが可能となる。
【0037】
外部端末20は、例えばスマートフォン、タブレット端末、フィーチャーフォン等の携帯型の通信端末により構成され、加熱調理器1の運転に係る通信を該加熱調理器1と行うためのサービスアプリケーションがあらかじめインストールされている。該サービスアプリケーションは、加熱調理器1のメーカ等により提供されるアプリケーションであり、インターネット上のサーバ等から、適宜、外部端末20にダウンロードすることが可能である。
【0038】
上記サービスアプリケーションがインストールされた外部端末20は、加熱調理器1に対する登録を事前に行っておくことで、該サービスアプリケーションを起動した状態で、加熱調理器1の無線通信部16との通信接続を確立し、さらには制御装置15との間で無線通信部16を介して実体的な通信(加熱調理器1の運転に係る通信)を行うことが可能となる。そして、外部端末20は、加熱調理器1の制御装置15との実体的な通信を行うことで、加熱調理器1に自動調理運転(種々の調理メニューのレシピに応じた自動調理運転)を行わせたり、加熱調理器1の運転状態を示す情報を取得することが可能である。
【0039】
この場合、加熱調理器1には、制御装置15と実体的な通信を行い得る複数の外部端末20(加熱調理器1の複数のユーザのそれぞれの外部端末20)を登録しておくことが可能である。ただし、加熱調理器1の運転時には、登録された複数の外部端末20のうちのいずれか一つの外部端末20だけが、無線通信部16との通信接続を確立し、ひいては、該無線通信部16を介して制御装置15と実体的な通信を行うことができるようになっている。
【0040】
次に、加熱調理器1と外部端末20との通信に係る具体的な作動を図3図7を参照して説明する。
【0041】
ユーザが加熱調理器1の電源を投入すると(電源スイッチ8をオン操作すると)、該加熱調理器1の制御装置15等が起動する。このとき、加熱調理器1の制御装置15は、図3及び図4のフローチャートに示す処理を実行する。
【0042】
まず、STEP1において、制御装置15は、端末登録モードの起動操作(操作部10又は11での所定の操作)がユーザによりなされたか否かを判断する。該端末登録モードは、加熱調理器1の制御装置15との実体的な通信を可能とする外部端末20(実体的な通信を許可する外部端末20)を加熱調理器1に対して登録するためのモードである。
【0043】
加熱調理器1の各ユーザは、自身が所有する外部端末20を加熱調理器1に登録する場合、該外部端末20にインストールされているサービスアプリケーションを起動した状態で、端末登録モードの起動操作を行う。このとき、STEP1の判断結果が肯定的になる。
【0044】
この場合には、制御装置15は、STEP2からの処理を実行する。STEP2では、制御装置15は、端末登録モードを起動する。このとき、制御装置15は、表示部6の表示を端末登録モード用の案内表示に切り替える。
【0045】
次いで、STEP3において、制御装置15は、外部端末20(以降、単に端末20ということがある)を登録するための操作(操作部10又は11での操作)がユーザによりなされたか否かを逐次判断する。そして、この判断結果が肯定的になると、STEP4において、加熱調理器1に登録済の端末20の台数が所定の上限数(例えば7台)よりも少ないか否かを判断する。
【0046】
このとき、登録済の端末20の台数が所定の上限数に達していない場合(STEP4の判断結果が肯定的になる場合)には、制御装置15は、STEP5において、ユーザによる登録操作(STEP3で行われた登録操作)を受け付ける。
【0047】
このSTEP5では、制御装置15は、より詳しくは、ユーザによる登録操作の対象の端末20と加熱調理器1の無線通信部16とのペアリング(通信接続の確立)を行う処理を実行する。ここで、サービスアプリケーションを起動させている端末20は、加熱調理器1との通信接続が確立していない状態では、自身の識別情報を含む接続要求を逐次送信する。そして、制御装置15は、上記ペアリングの処理では、端末20から送信された接続要求を無線通信部16で受信すると、該接続要求を送信した端末20と通信接続用のパスワードの授受等を行うことで、該端末20と無線通信部16との通信接続を確立する。
【0048】
次いで、STEP6において、制御装置15は、無線通信部16と端末20とのペアリングの処理が正常に終了したか否かを判断する。
【0049】
このSTEP6の判断結果が肯定的である場合(ペアリングの処理が正常に終了した場合)には、制御装置15は、STEP7において、ペアリングの対象の端末20の識別情報、該端末20に係る通信接続用のパスワード等の情報を記憶保持する。これにより該端末20が加熱調理器1の制御装置15との実体的な通信を行い得る端末として登録される。
【0050】
そして、制御装置15は、STEP8において、端末登録モードの終了操作(操作部10又は11での所定の操作)がユーザによりなされたか否かを判断し、その判断結果が肯定的になると、STEP9において、端末登録モードを終了する。
【0051】
一方、前記STEP4の判断結果が否定的である場合(登録済の端末20の台数が上限数に達している場合)、あるいは、STEP6の判断結果が否定的になった場合(通信不良等に起因して前記ペアリングの処理が正常に終了しなかった場合)には、制御装置15は、STEP13からの処理を実行する。
【0052】
STEP13では、制御装置15は、ユーザが加熱調理器1に登録しようとした端末20を登録できない旨を、前記表示部6での表示によって、ユーザに視覚的に報知する。なお、当該報知は、例えば音声により聴覚的に行うことも可能である。
【0053】
さらに、制御装置15は、STEP14において端末登録モードを終了し、その後、加熱調理器1の電源のオフ操作(電源スイッチ8のオフ操作)がユーザによりなされたか否かをSTEP15で逐次判断する。この場合、ユーザが電源スイッチ8のオフ操作をするまでは(STEP15の判断結果が否定的に維持される状態では)、ユーザは、適宜、左コンロ3L、右コンロ3R、後コンロ3B、グリルバーナのいずれか使用して調理作業を行うことが可能である。
【0054】
そして、電源スイッチ8のオフ操作がなされることによって、STEP15の判断結果が肯定的になると、制御装置15は、STEP16において、加熱調理器1の電源をオフにする(制御装置15等に供給させる電源電力を遮断する)。
【0055】
なお、図3での記載は省略しているが、本実施形態の加熱調理器1では、制御装置15は、電源スイッチ8のオフ操作がなされた場合に限らず、左コンロ3L、右コンロ3R、後コンロ3B及びグリルバーナの全ての燃焼運転が停止されており、且つ、操作部10,11のなんらかの操作が行われない状態が、所定時間継続した場合にも、加熱調理器1の電源を自動的にオフにする。
【0056】
前記STEP1の判断結果が否定的である場合(端末登録モードの起動操作がなされない場合)、あるいは、STEP9で端末登録モードを終了した後、制御装置15は、次にSTEP10からの処理を実行する。STEP10では、制御装置15は、優先接続端末の選択モードの起動操作(操作部10又は11での所定の操作)がユーザによりなされたか否かを判断する。
【0057】
ここで、優先接続端末の選択モードというのは、加熱調理器1の電源が投入された状態で、サービスプリケーションが起動されている登録済の端末20(加熱調理器1と通信接続を確立し得る端末20。以降、単に接続可能端末20又は接続可能な端末20という)が、加熱調理器1の周辺に複数存在しており、ひいては、これらの複数の接続可能端末20のそれぞれから逐次送信される接続要求が加熱調理器1の無線通信部16で受信される状況において、これらの複数の接続可能端末20のうちのどの端末20を、優先的に加熱調理器1の通信対象の端末(優先的に加熱調理器1の無線通信部16との通信接続を確立すべき端末。以降、優先接続端末という)とすべきかの条件(指針)、換言すれば、優先接続端末とする端末20が満たすべき条件を、加熱調理器1であらかじめ用意されている複数の条件のなかから、ユーザが選択するためのモードである。
【0058】
そして、STEP10の判断結果が肯定的になった場合(優先接続端末の選択モードの起動操作がなされた場合)には、制御装置15は、STEP11において、優先接続端末に関する上記条件を選択する処理を実行する。
【0059】
このSTEP11の処理は、具体的には、図5のフローチャートに示す如く実行される。STEP31において、制御装置15は、優先接続端末の選択モードを起動し、さらにSTEP32において、優先接続端末とする端末20が満たすべき条件を選択するための画面(以降、単に選択画面という)を表示部6に表示させる。
【0060】
図7は、当該選択画面の一例を示している。図示の如く、本実施形態では、優先接続端末とする端末20が満たすべき条件は、優先接続端末とすべき端末20が、接続可能端末20のうち、加熱調理器1に最も近い端末20であるという条件を示す「近くにある端末」という条件と、優先接続端末とすべき端末20が、接続可能端末20のうち、最も使用頻度が高い端末20(詳しくは、無線通信部16との通信接続を確立した頻度が最も高い端末20)であるという条件を示す「よく使う端末」という条件と、優先接続端末とすべき端末20が、接続可能端末20のうち、無線通信部16との通信接続を確立することを最後に行った時期又は制御装置15との実体的な通信を最後に行った時期が、現時点に最も近い端末20であるという条件を示す「使用履歴が最新の端末」という条件と、優先接続端末とすべき端末20が、加熱調理器1に登録済の端末20からユーザにより選択される一つの端末20であるということを示す「登録済の端末」という条件との4種類の条件があらかじめ用意されている。そして、ユーザは、これらの4種類の条件から、優先接続端末とする端末20が満たすべき条件を選択可能である。
【0061】
図7に示す例では、ユーザは、加熱調理器1の操作部10又は11のアップダウンスイッチの操作によって、黒色のカーソルを上下に動かすことで、所望の条件を強調表示することができる(図示例では所望の条件が、黒色のカーソル内で白抜きの文字で表示される)。そして、所望の条件を強調表示した状態で、操作部10又は11の決定操作用の所定の操作スイッチを操作することで、該所望の条件を、優先接続端末とする端末20が満たすべき条件として選択することができる。
【0062】
図5の説明に戻って、制御装置15は、STEP32で選択画面を表示部6に表示させた後、STEP33において、優先接続端末とする端末20が満たすべき条件を選択するための選択操作がユーザによりキャンセルされたか否か(当該キャンセルのための操作部10又は11の所定の操作がなされたか否か)を判断する。
【0063】
このSTEP33の判断結果が肯定的である場合(キャンセルの場合)には、制御装置15は、STEP39において、優先接続端末の選択モードを終了し、さらにSTEP40において、表示部6での選択画面の表示をオフにする。これにより、図5の処理(優先接続端末を選択する処理)が終了する。
【0064】
一方、STEP33の判断結果が否定的である場合には、制御装置15は、次に、STEP34~37において、前記4種類の条件のうちのいずれかの条件がユーザにより選択されたか否かを判断し、いずれかの条件が未だ選択されていない場合(STEP34~37の全ての判断結果が否定的となる場合)には、STEP33からの処理を継続する。
【0065】
そして、4種類の条件のうちのいずれかの条件がユーザにより選択された場合(STEP34~37のいずれかの判断結果が肯定的になった場合)には、制御装置15は、STEP38において、選択された条件を、優先接続端末とする端末20が満たすべき条件として記憶する。その後、制御装置15は、前記したSTEP39,40の処理を実行し、図5の処理(優先接続端末を選択する処理)を終了する。
【0066】
以上の如く、前記STEP11の処理(優先接続端末を選択する処理)では、あらかじめ用意された4種類の条件のうちの一つの条件が、優先接続端末をどの端末20にすべきかの条件としてユーザにより選定される。
【0067】
図3に戻って、上記の如くSTEP11の処理を実行した後、制御装置15は、次に、STEP12において、実体的な通信の対象とする端末20を検索する処理(端末検索処理)を実行する。この端末検索処理は、具体的には図6のフローチャートに示す如く実行される。
【0068】
STEP51において、制御装置15は、接続可能端末20(サービスプリケーションが起動されている登録済の端末20)が有るか否かを判断する。このとき、登録済の全ての端末20からの接続要求が無線通信部16で受信されない場合(登録されていない端末20からの接続要求が無線通信部16で受信される場合を含む)には、STEP51の判断結果が否定的になる。
【0069】
この場合には、制御装置15は、STEP52において、通信対象の端末20(詳しくは、無線通信部16との通信接続を確立して、制御装置15との実体的な通信を行う端末20)が無いとして、図6の処理(端末検索処理)を終了する。
【0070】
STEP51で、登録済のいずれかの端末20からの接続要求が無線通信部16で受信される場合には、STEP51の判断結果が肯定的になる。この場合には、制御装置15は、優先接続端末とする端末20が満たすべき条件に基づいて、通信対象の端末20の候補を自動的に選定する。
【0071】
具体的には、制御装置15は、STEP53において、優先接続端末とする端末20が満たすべき条件が「近くにある端末」という条件に設定されているか否かを判断する。そして、この判断結果が肯定的である場合には、制御装置15は、STEP54において、接続可能な各端末20から無線通信部16で受信される接続要求の無線通信の電波強度を無線通信部16を介して検出する。
【0072】
そして、制御装置15は、STEP55において、接続可能端末20のうち、電波強度が最も強い端末20を通信対象の端末20の候補として設定し、図6の処理(端末検索処理)を終了する。
【0073】
この場合、無線通信部16で受信される接続要求の無線通信の電波強度は、該接続要求を送信する端末20が加熱調理器1に近いほど、強いものとなる。従って、STEP55では、加熱調理器1に最も近い接続可能端末20が通信対象の端末20の候補として設定されることとなる。なお、現在の接続可能端末20が1台だけである場合には、制御装置15は、STEP55において、当該1台の接続可能端末20を通信対象の端末20の候補として設定する。
【0074】
STEP53の判断結果が否定的である場合には、制御装置15は、次にSTEP56において、優先接続端末とする端末20が満たすべき条件が「よく使う端末」という条件に設定されているか否かを判断する。そして、この判断結果が肯定的である場合には、制御装置15は、STEP57において、接続可能な各端末20の過去の接続回数(現在以前において、各端末20と無線通信部16との通信接続を確立した回数)をメモリから読み出す。
【0075】
ここで、本実施形態では、制御装置15は、登録済の各端末20と無線通信部16とのの通信接続を確立する都度(又は登録済の各端末20と制御装置15との実体的な通信が行われる都度)、後述するSTEP25の処理によって、該端末20の接続回数を累積的にカウントして、各端末20毎にメモリに記憶保持する。そして、制御装置15は、このようにして記憶保持した接続回数(接続可能な各端末20毎の接続回数)をSTEP57で読み出す。なお、該接続回数は、加熱調理器1の設置当初からの累積的な接続回数、あるいは、現在以前の所定期間内での累積的な接続回数のいずれであってもよい。
【0076】
次いで、制御装置15は、STEP58において、接続可能端末20のうち、過去の接続回数が最も多い端末20を、通信対象の端末20の候補として設定し、図6の処理(端末検索処理)を終了する。なお、現在の接続可能端末20が1台だけである場合には、制御装置15は、STEP58において、当該1台の接続可能端末20を通信対象の端末20の候補として設定する。
【0077】
STEP56の判断結果が否定的である場合には、制御装置15は、次にSTEP59において、優先接続端末とする端末20が満たすべき条件が「使用履歴が最新の端末」という条件に設定されているか否かを判断する。そして、この判断結果が肯定的である場合には、制御装置15は、STEP60において、接続可能な各端末20について、過去に無線通信部16との通信接続の確立を最後に実行した日時(あるいは、制御装置15との実体的な通信を最後に実行した日時)を示す履歴情報を図示しないメモリから読み出す。
【0078】
ここで、本実施形態では、制御装置15は、登録済の各端末20と無線通信部16とのの通信接続を確立する都度(又は登録済の各端末20と制御装置15との実体的な通信が行われる都度)、後述するSTEP25の処理によって、該端末20と無線通信部16との通信接続を確立した日時(又は該端末20と制御装置15との実体的な通信を実行した日時)を示す履歴情報を更新して、各端末20毎にメモリに記憶保持する。そして、制御装置15は、このようにして記憶保持した履歴情報をSTEP60で読み出す。
【0079】
次いで、制御装置15は、STEP61において、接続可能端末20のうち、履歴情報が最も新しい端末20(履歴情報により示される日時が最も新しい端末20)を、通信対象の端末20の候補として設定し、図6の処理(端末検索処理)を終了する。なお、現在の接続可能端末20が1台だけである場合には、制御装置15は、STEP61において、当該1台の接続可能端末20を通信対象の端末20の候補として設定する。
【0080】
STEP59の判断結果が否定的である場合には、制御装置15は、次にSTEP62において、優先接続端末とする端末20が満たすべき条件が「登録済の端末」という条件に設定されているか否かを判断する。そして、この判断結果が肯定的である場合には、制御装置15は、STEP63において、通信対象の端末20をユーザに選択させるための選択画面を表示部6に表示させる。この選択画面では、登録済の端末20のうちの現在の接続可能端末20のリストが表示される。
【0081】
そして、制御装置15は、表示部6で表示された接続可能端末20のリストから、一つの端末20を選択する操作(操作部10又は11での操作)がユーザによりなされたか否かをSTEP64で判断し、この判断結果が否定的である場合には、STEP63からの処理を継続する。
【0082】
また、STEP64の判断結果が肯定的になった場合(表示部6で表示された接続可能端末20のリストから、一つの端末20を選択する操作がユーザによりなされた場合)には、制御装置15は、STEP65において、当該選択された端末20を通信対象の端末20の候補として設定し、図6の処理(端末検索処理)を終了する。なお、現在の接続可能端末20が1台だけである場合には、当該1台の接続可能端末20がSTEP64で選択されることとなるので、STEP65では結果的に、当該1台の接続可能端末20が通信対象の端末20の候補として設定されることとなる。
【0083】
前記STEP62の判断結果が否定的となる状況は、前記STEP11で優先接続端末を選択する処理が未だ実行されていないか、もしくは、キャンセルされた状況である。この場合には、制御装置15は、STEP66において、接続可能端末20のうちの一つの端末20(例えば、接続要求が最も早期に受信された端末20)を、通信対象の端末20の候補として設定し、図6の処理(端末検索処理)を終了する。
【0084】
以上の如くSTEP12の端末検索処理では、接続可能端末20が存在する場合に、優先接続端末とする端末20が満たすべき条件に基づいて、通信対象の端末20の候補が選定される。なお、STEP53,56,59,62の判断処理の順番は、図6に示した順番と異なっていてもよい(任意の順番でよい)。また、現在の接続可能端末20の台数が1台である場合には、STEP53~66の処理を省略して、当該1台の接続可能端末20を通信対象の端末20の候補として設定するようにしてもよい。
【0085】
制御装置15は、図3のSTEP12の端末検索処理を上記の如く実行した後、次に、図4に示すSTEP17において、該端末検索処理により設定された通信対象の端末20の候補があるか否かを判断する。
【0086】
この場合、前記STEP52において、通信対象の端末20が無いとされた場合には、STEP17の判断結果が否定的になる。この場合には、制御装置15は、前記したSTEP15からの処理を実行する。すなわち、加熱調理器1の電源のオフ操作がなされると(STEP15の判断結果が肯定的になると)、STEP16で加熱調理器1の電源をオフにする。
【0087】
一方、前記STEP55,58,61,65,66のいずれかで通信対象の端末20の候補が設定された場合には、STEP17の判断結果が肯定的になる。
【0088】
この場合には、制御装置15は、次に、STEP18において、設定された通信対象の端末20の候補を表示部6に表示する。また、このとき、制御装置15は、通信対象の端末20の候補として設定した端末20に対して(又は全ての接続可能端末20に対して)、通信対象の端末20の候補が、ユーザが実体的な通信を行わせようとしている端末20(通信接続を確立すべき端末20)として承認され得るものであるか否かをユーザに判断させるための要求を送信する。これに応じて、通信対象の端末20の候補として設定された端末20(又は全ての接続可能端末20のそれぞれ)においては、通信対象の端末20の候補を承認するか否かを2者択一的に選択し得る画面の表示がなされる。
【0089】
なお、通信対象の端末20の候補は、表示部6で表示する代わりに、又は表示部6で表示することに加えて、通信対象の端末20の候補として設定された端末20(又は全ての接続可能端末20のそれぞれ)において、表示されるようにしてもよい。
【0090】
次いで、制御装置15は、STEP19において、通信対象の端末20の候補として設定された端末20からの返信(該候補を承認するか否かを示す返信)を無線通信部16で受信したか否かを判断し、その判断結果が否定的である場合には、STEP18の処理後に、所定時間(例えば30秒)が経過したか否かをSTEP27で判断する。このSTEP27の判断結果が否定的である場合には、制御装置15は、STEP18からの処理を継続する。
【0091】
STEP19の判断結果が肯定的になった場合(通信対象の端末20の候補として設定された端末20からの返信を無線通信部16で受信した場合)には、制御装置15は、当該返信の内容が、通信対象の端末20の候補として設定された端末20と無線通信部16との通信接続を確立することを承認するものであるか否か(接続承認の返信であるか否か)をSTEP20で判断する。
【0092】
このSTEP20の判断結果が肯定的である場合(受信した返信が接続承認の返信であある場合)には、制御装置15は、通信対象の端末20の候補が適正なものであるとして、STEP21において、該候補の端末20と無線通信部16との通信接続を確立する。そして、制御装置15は、STEP22において、該端末20(通信接続を確立した端末20)との間で、加熱調理器1の運転に係る実体的な通信を開始する。その後、制御装置15は、STEP23において、端末20との通信により与えられる指令もしくは調理情報等に基づいて、自動調理等の調理動作を加熱調理器1で実行させる。
【0093】
また、前記STEP27の判断結果が肯定的になった場合(通信対象の端末20の候補として設定された端末20からの返信が無いまま、所定時間が経過した場合)、あるいは、STEP20の判断結果が否定的になった場合(通信対象の端末20の候補として設定された端末20からの返信が、該候補を承認しない旨の返信である場合)には、制御装置15は、STEP28からの処理を実行する。
【0094】
STEP28では、制御装置15は、現在の接続可能端末20のリストを表示部6に表示させる。次いで、STEP29において、制御装置15は、接続可能端末20の中から、ユーザが所望する通信対象の端末20(制御装置15と通信接続を確立すべき端末20)を選択する操作(操作部10又は11での操作)がなされたか否かを判断し、該判断結果が否定的である場合には、STEP28からの処理を継続する。
【0095】
また、STEP29の判断結果が肯定的になった場合(通信対象の端末20を選択する操作がユーザによりなされた場合)には、制御装置15は、前記したSTEP21からの処理を実行する。この場合、STEP21では、STEP29においてユーザが選択した端末20と無線通信部16との通信接続が確立される。
【0096】
補足すると、本実施形態では、上記STEP18~21の処理が通信対象決定部15aの処理である。
【0097】
前記STEP23の調理動作の実行後、制御装置15は、STEP24において、加熱調理器1の電源のオフ操作(電源スイッチ8のオフ操作)がなされたか否かを逐次判断し、その判断結果が肯定的になった場合には、STEP25の処理を実行した後、STEP26において、加熱調理器1の電源をオフにする。
【0098】
上記STEP25では、制御装置15は、電源のオフ操作の直前に制御装置15との通信接続が行われていた端末20についての累積的な接続回数をカウントアップ(接続回数を1つ増加)して記憶すると共に、該端末20と無線通信部16との通信接続の確立を最後に実行した日時を示す履歴情報(又は該端末20と制御装置15との実体的な通信を開始した日時を示す履歴情報)を更新して記憶する。
【0099】
なお、図4での記載は省略しているが、本実施形態の加熱調理器1では、制御装置15は、STEP23での調理動作の実行後、左コンロ3L、右コンロ3R、後コンロ3B及びグリルバーナの全ての燃焼運転が停止されており、且つ、操作部10,11のなんらかの操作が行われない状態が、所定時間継続した場合にも、STEP25の処理を実行した後、加熱調理器1の電源を自動的にオフにする。
【0100】
補足すると、STEP12の端末検索処理で、接続可能端末20が一台だけであった場合には、STEP12の処理の後、STEP17~20及びSTEP27~29の処理を省略して、該端末20と無線通信部16との通信接続の確立(STEP20の処理)を直ちに実行するようにしてもよい。
【0101】
以上説明した実施形態によれば、優先接続端末とする端末20が満たすべき条件として、前記4種類の条件のうちのいずれかの条件がユーザにより設定された状態で、加熱調理器1の運転を開始した場合には、加熱調理器1の周辺でサービスアプリケーションが起動されている登録済の端末20が複数存在している場合(複数の接続可能端末20が存在する場合)に、ユーザにより設定された条件に適合する優先接続端末が通信対象の端末20の候補として自動的に設定される。そして、該候補の端末20が、加熱調理器1の表示部6あるいはユーザの端末20を介してユーザに提示される。
【0102】
この場合、ユーザが加熱調理器1を使用して調理を行おうとした場合、通常、該ユーザは、加熱調理器1に接近している。このため、優先接続端末とする端末20が満たすべき条件として、「近くにある端末」という条件が設定されている場合、多くの場合、調理を行うユーザが所有する端末20は、通信対象の端末20の候補に一致する。従って、該ユーザは、当該候補の端末20と制御装置15との通信接続の確立を承認する操作を行うだけで、自身の端末20と制御装置15との間で、加熱調理器1の運転に係る実体的な通信を開始することができる。
【0103】
また、自身の端末20と加熱調理器1の制御装置15との通信を行うことを頻繁に活用するユーザが、加熱調理器1を使用する場合、該ユーザの端末20は、多くの場合、前記4種類の条件のうち「よく使う端末」あるいは「使用履歴が最新の端末」という条件に合致する。
【0104】
このため、優先接続端末とする端末20が満たすべき条件として、「よく使う端末」あるいは「使用履歴が最新の端末」という条件が設定されている状況で、上記ユーザ(自身の端末20と加熱調理器1の制御装置15との通信を行うことを頻繁に活用するユーザ)が加熱調理器1の運転を開始させた場合には、多くの場合、該ユーザが所有する端末20は、通信対象の端末20の候補に一致する。従って、該ユーザは、当該候補の端末20と制御装置15との通信接続の確立を承認する操作を行うだけで、自身の端末20と制御装置15との間で、加熱調理器1の運転に係る実体的な通信を開始することができる。
【0105】
また、優先接続端末とする端末20が満たすべき条件として、「登録済の端末」という条件が設定されている場合には、加熱調理器1を使用して調理を行おうとするユーザは、接続可能端末20が自身の端末20を含めて複数存在する状況であっても、STEP12の端末検索処理において、自身の端末20を通信対象の端末20の候補として設定することができる。このため、該ユーザは、その後、当該候補の端末20と制御装置15との通信接続の確立を承認する操作を行うことで、自身の端末20と制御装置15との間で、加熱調理器1の運転に係る実体的な通信を開始することができる。
【0106】
また、通信対象の端末20の候補が、加熱調理器1を使用して調理を行おうとするユーザの端末20と異なる場合には、該ユーザは、該候補を承認しない旨の操作を行った後に、STEP29において、自身の端末20を選択することで、自身の端末20と制御装置15のとの通信接続を確立させて、自身の端末20と制御装置15との間で、加熱調理器1の運転に係る実体的な通信を開始することができる。
【0107】
以上の如く、本実施形態によれば、加熱調理器1を使用して調理を行おうとするユーザの端末20と、加熱調理器1の制御装置15との通信接続を行うことの利便性を高めることができる。
【0108】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態を採用することもできる。以下の他の実施形態をいくつか説明する。
【0109】
前記実施形態では、優先接続端末とする端末20が満たすべき条件を、4種類の条件のうちからユーザが選定し得るようにした。ただし、当該条件は、4種類よりも多い条件、あるいは、4種類よりも少ない条件であってもよい。
【0110】
また、例えば、当該条件を1種類のみ(例えば、「近くにある端末」という条件、あるいは、「よく使う端末」という条件、あるいは、「使用履歴が最新の端末」という条件)として、STEP12の端末検索処理において、接続可能端末20が複数存在する場合に、当該1種類の条件に合致する端末20を通信対象の端末20の候補として設定してもよい。この場合には、前記STEP10,11の処理は不要である。
【0111】
また、前記実施形態では、通信対象の端末20の候補をユーザが承認するか否かの操作をユーザの端末20で行い得るようにした。ただし、当該操作を加熱調理器1の操作部10又は11で行い得るようにしたり、あるいは、加熱調理器1の操作部10又は11と、ユーザの端末20とのいずれもでも行い得るようにしてもよい。
【0112】
また、前記実施形態では、前記STEP28において、接続可能端末20のリストを、加熱調理器1の表示部6で表示するようにした。ただし、例えば、接続可能端末20のリストを接続可能端末20のそれぞれで表示させるようにしてもよい。そして、この場合、さらに、接続可能端末20のそれぞれで、通信対象の端末20をユーザが選択する操作を行い得るようにしてもよい。
【0113】
また、前記実施形態では、STEP27の判断結果が肯定的となった場合、又はSTEP20の判断結果が否定的となった場合に、STEP28の処理を実行した。ただし、STEP28の処理を実行する代わりに、STEP12に戻って、端末検索処理を改めて実行するようにしてもよい。そして、この場合のSTEP12では、先にSTEP18で表示した端末20を、通信対象の端末20の候補から除外して、端末検索処理を実行するようにしてもよい。
【0114】
また、接続可能端末20が複数である場合において、通信対象の端末を決定する処理では、例えば次のような態様を採用することもできる。すなわち、複数の接続可能端末20のそれぞれを任意の順番で、通信対象の端末20の候補として、該候補を加熱調理器1の表示部6又は接続可能端末20のそれぞれを介してユーザに提示し、該候補を承認するか否かをユーザに選択させる。そして、ユーザが承認した候補の端末20を通信対象の端末20として決定する。
【0115】
また、前記実施形態では、加熱調理器1としてガスコンロを例にとって説明した。ただし、本発明における加熱調理器は、ガスコンロに限らず、IHヒータ等の電気式の加熱部を備える加熱調理器であってもよく、あるいは、オーブン、電子レンジ、炊飯器等の加熱調理器であってもよい。
【符号の説明】
【0116】
A…加熱調理システム、1…加熱調理器、6…表示部(報知部)、15a…通信対象決定部、20…外部端末。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7