IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ウルトラシオン,エスエルの特許一覧

特許7016699溶融プラスチック材料を型枠キャビティ内に供給する装置と方法
<>
  • 特許-溶融プラスチック材料を型枠キャビティ内に供給する装置と方法 図1
  • 特許-溶融プラスチック材料を型枠キャビティ内に供給する装置と方法 図2
  • 特許-溶融プラスチック材料を型枠キャビティ内に供給する装置と方法 図3
  • 特許-溶融プラスチック材料を型枠キャビティ内に供給する装置と方法 図4
  • 特許-溶融プラスチック材料を型枠キャビティ内に供給する装置と方法 図5
  • 特許-溶融プラスチック材料を型枠キャビティ内に供給する装置と方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-28
(45)【発行日】2022-02-07
(54)【発明の名称】溶融プラスチック材料を型枠キャビティ内に供給する装置と方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/02 20060101AFI20220131BHJP
   B29B 7/22 20060101ALI20220131BHJP
   B29B 13/02 20060101ALI20220131BHJP
   B29C 31/04 20060101ALI20220131BHJP
   B29C 45/76 20060101ALI20220131BHJP
【FI】
B29C45/02
B29B7/22
B29B13/02
B29C31/04
B29C45/76
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2017534614
(86)(22)【出願日】2015-12-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-01-25
(86)【国際出願番号】 IB2015002280
(87)【国際公開番号】W WO2016103016
(87)【国際公開日】2016-06-30
【審査請求日】2018-11-21
【審判番号】
【審判請求日】2020-09-19
(31)【優先権主張番号】14380040.7
(32)【優先日】2014-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】517218804
【氏名又は名称】ウルトラシオン,エスエル
(74)【代理人】
【識別番号】100081053
【弁理士】
【氏名又は名称】三俣 弘文
(72)【発明者】
【氏名】マルフィル,ロメロ,ホセ アントニオ
(72)【発明者】
【氏名】ハナー アンゲレッテ,マーセル
(72)【発明者】
【氏名】プランタ トラルバ,フランシスコ ハヴィエル
【合議体】
【審判長】細井 龍史
【審判官】相田 元
【審判官】加藤 友也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0272843(US,A1)
【文献】特表2010-535652(JP,A)
【文献】特開2014-069415(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C45/00-45/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融プラスチック材料を型枠キャビティ(30)内に供給する装置において、
前記装置は、溶融室(20)を有し、前記溶融室(20)は、
超音波トランスデューサのソノトロード(10)が振動する振動部分(11)が挿入される入口部分と、
固形プラスチック材料を搭載する進入路(21)と、
前記溶融プラスチック材料を前記型枠キャビティ(30)に供給する出口開口(22)と
連通し、
前記装置は、更に並進手段(12)と抵抗センサー(40)とプログラム可能な電子制御装置(50)とを有し、
前記並進手段(12)は、前記ソノトロード(10)の振動部分(11)と溶融室(20)との間の相対運動を提供し、前記ソノトロード(10)の振動部分(11)の一部が溶融室(20)内にあるように調整し、
前記抵抗センサー(40)は、前記溶融室(20)内に進入路(21)を介して供給されるプラスチック材料が前記ソノトロード(10)の振動部分(11)と前記溶融室(20)との間の相対運動に抵抗する抵抗力を検出し、
前記電子制御装置(50)は、前記抵抗センサー(40)により提供される情報に基づいて、前記並進手段(12)を調整する
ことを特徴とする溶融プラスチック材料を型枠キャビティ内に供給する装置。
【請求項2】
前記装置は、更に供給センサー(41)と環境センサー(42)と動作センサー(43)の内の少なくとも1つのセンサーを有し、
前記供給センサー(41)は、前記溶融室(20)内に供給される固形プラスチック材料の数量と重量の少なくとも一方を検出し測定し、
前記環境センサー(42)は、周囲の温度と湿度の少なくとも一方を検出し、
前記動作センサー(43)は、以下のパラメータ
前記ソノトロード(10)の振動部分(11)の溶融室(20)に対する相対的位置;
前記ソノトロード(10)の温度;
前記ソノトロード(10)の振動部分(11)の温度;
前記溶融室(20)の温度;
前記型枠キャビティ(30)の温度;
前記固形プラスチック材料の温度;
の内の少なくとも1つを検出する
ことを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記電子制御装置(50)は、アクチュエータを制御し、前記アクチュエータは、前記抵抗センサー(40)と供給センサー(41)と環境センサー(42)と動作センサー(43)の少なくとも1つのセンサーにより提供されるデータに基づいて、以下のパラメータ
前記ソノトロード(10)の動作;
前記ソノトロード(10)の活性化後、前記ソノトロード(10)の振動部分(11)の溶融室(20)に対する相対位置;
前記ソノトロード(10)の動作時間;
前記ソノトロード(10)の振動周波数;
前記ソノトロード(10)の振動振幅;
前記ソノトロード(10)の振動部分(11)の溶融室(20)に対する相対運動の速度;
前記ソノトロード(10)の振動部分(11)の溶融室(20)に対する相対運動の加速度;
前記ソノトロード(10)の振動部分(11)の溶融室(20)に対する相対運動により加えられる溶融室(20)内にあるプラスチック材料にかかる圧力;
冷却手段(60)の活性状態
の内の少なくとも1つを調整する
ことを特徴とする請求項1又は2記載の装置。
【請求項4】
前記電子制御装置(50)は、ユーザインターフェースを有し、これによりオペレータが電子制御装置(50)内に使用されるべきプラスチック材料の種類と形状に関する情報を入力し、
前記電子制御装置(50)は、オペレータにより入力された前記情報に基づいて、装置の変数と動作パラメータを調整する
ことを特徴とする請求項1-3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記電子制御装置(50)はメモリを有し、前記メモリは、前記固形プラスチック材料の種類、前記固形プラスチック材料の使用可能な形状フォーマット、前記型枠キャビティ(30)への入口となる前記出口開口(22)の形状、前記型枠キャビティ(30)の形状の内の少なくとも1つに関連する変数と動作パラメータを記憶し、
前記電子制御装置(50)は、前記メモリ内に記憶された情報に基づいて、前記装置の変数と動作パラメータを調整する
ことを特徴とする請求項4記載の装置。
【請求項6】
前記並進手段(12)は電気的に駆動され、
前記抵抗センサー(40)は動作中の前記並進手段(12)の電力消費を検出する
ことを特徴とする請求項1-5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記ソノトロード(10)の振動部分(11)を冷却する冷却手段(60)を更に具備し、前記冷却手段(60)は、前記溶融室(20)内にあるソノトロード(10)の振動部分(11)の入口周囲に配置された冷却ガス・ディフューザを有し、
前記冷却ガス・ディフューザは、冷却ガスを、前記溶融室(20)から引き抜かれた前記ソノトロード(10)の振動部分(11)に放散する
ことを特徴とする請求項1-6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記ソノトロード(10)の振動部分(11)を冷却する冷却手段(60)を更に具備し、前記冷却手段(60)は、前記溶融室(20)の部分の周囲に配置された冷却流体回路を有し、
前記冷却流体回路は、冷却流体がそこを貫通できるようにし、前記ソノトロード(10)の振動部分(11)伝熱状態にある前記溶融室(20)の部分を冷却する
ことを特徴とする請求項1-6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
請求項1に記載の装置により溶融プラスチック材料を型枠キャビティ(30)内に供給する方法において、
前記方法は、以下の生成サイクルを形成するステップを実行し、
(a)固形プラスチック材料を、前記溶融室(20)内に前記進入路(21)を介して投入するステップと、
(b)前記ソノトロード(10)を活性化して前記固形プラスチック材料を溶融させるステップと、
(c)前記ソノトロード(10)の振動部分(11)と前記溶融室(20)との間の相対運動を提供する並進手段(12)を活性化するステップと、
(d)前記ソノトロード(10)の振動部分(11)の先端を更に前記溶融室(20)内に挿入するステップと、
(e)前記型枠キャビティ(30)内に、出口開口(22)を介して溶融プラスチック材料を押し込むステップ
を有し、前記ステップ(b)を実行する前に、
(b1)前記ソノトロード(10)の振動部分(11)と前記溶融室(20)との間に第1相対運動を生成するステップと、
(b2)前記ソノトロード(10)の振動部分(11)の先端を前記溶融室(20)内に、所定の時点まで挿入するステップと、
前記所定の時点とは、前記抵抗センサー(40)が、前記溶融室(20)内に入れられたプラティック材料が前記ソノトロード(10)の振動部分(11)の前方への動きに抵抗するのを検出した時点即ち前記ソノトロード(10)の振動部分(11)とプラティック材料との接触を検出する時点であり、
(b3)前記プラスチック材料により専有された溶融室(20)の容積に関する表示を提供するステップと
を実行し、
前記電子制御装置(50)は、前記抵抗センサー(40)により提供されたデータに基づいて、前記ソノトロード(10)の活性化と並進手段(12)の駆動を調整する
ことを特徴とする方法。
【請求項10】
前記電子制御装置(50)は、
前記供給センサー(41)が検出する溶融室(20)内に供給される固形プラスチック材料の個数又は固形プラスチック材料の重量、
前記環境センサー(42)が検出する周囲温度又は周囲湿度、
前記動作センサー(43)が検出する以下のパラメータ
前記ソノトロード(10)の振動部分(11)の溶融室(20)に対する相対的位置;
前記ソノトロード(10)の温度;
前記ソノトロード(10)の振動部分(11)の温度;
前記溶融室(20)の温度;
前記型枠キャビティ(30)の温度;
前記固形プラスチック材料の温度;
の内の少なくとも1つに基づいて、動作パラメータの調整を実行する
ことを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記電子制御装置(50)は、前記抵抗センサー(40)により提供されるデータに基づいて、以下の動作パラメータ
前記ソノトロード(10)の活性化後、前記ソノトロード(10)の振動部分(11)の溶融室(20)に対する相対位置;
前記ソノトロード(10)の動作時間;
前記ソノトロード(10)の振動周波数;
前記ソノトロード(10)の振動振幅;
前記ソノトロード(10)の振動部分(11)の溶融室(20)に対する相対運動の速度;
前記ソノトロード(10)の振動部分(11)の溶融室(20)に対する相対運動の加速度;
前記ソノトロード(10)の振動部分(11)の溶融室(20)に対する相対運動により加えられる溶融室(20)内にあるプラスチック材料にかかる圧力;
の内の少なくとも1つの動作パラメータを調整し、
前記電子制御装置(50)は、前記動作パラメータによりプラスチック材料に加えなければならないエネルギーを計算し、前記動作パラメータの調整量を計算し、
これにより、前記加えられたエネルギーは、前記プラスチック材料が適切に溶融するのに十分であるがプラスチック材料が劣化しない程度であり、これは、前記抵抗センサー(40)と供給センサー(41)と環境センサー(42)と動作センサー(43)の内の少なくとも1つにより得られた情報に基づいており、かつ前記電子制御装置(50)内に記憶された最小と最大のエネルギー範囲内である
ことを特徴とする請求項9又は10記載の方法。
【請求項12】
前記抵抗センサー(40)と供給センサー(41)と環境センサー(42)と動作センサー(43)の内の少なくとも1つは、測定を実行し、生産サイクルの様々な時点で情報を提供し、
前記電子制御装置(50)は、前記生産サイクルの様々な時点で前記動作パラメータの様々な調整を実行し、この動作パラメータを、前記抵抗センサー(40)と供給センサー(41)と環境センサー(42)と動作センサー(43)の少なくとも1つのセンサーにより提供された情報に従って、調整する
ことを特徴とする請求項10又は11記載の方法。
【請求項13】
前記電子制御装置(50)は、前記抵抗センサー(40)と供給センサー(41)と環境センサー(42)と動作センサー(43)の内の少なくとも1つのセンサーにより提供された情報により、前記溶融プラスチック材料が所定の流動性に達したと決定されると、
前記ソノトロード(10)の振動パラメータ又は振幅パラメータを、電子制御装置(50)内の所定のデータに従って提供する、あるいは特定のプロファイルに従って提供する
ことを特徴とする請求項9-12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記電子制御装置(50)は、前記抵抗センサー(40)と供給センサー(41)と環境センサー(42)と動作センサー(43)の内の少なくとも1つのセンサーにより提供された情報により、溶融プラスチック材料が前記型枠キャビティ(30)内に充填されたと決定すると、
前記ソノトロード(10)の振動部分(11)と溶融室(20)との間の相対運動の速度又は加速度により、前記ソノトロード(10)の振動を活性化する、或いは前記溶融室(20)に含まれる溶融プラスチック材料へ加えられる圧力を高める
ことを特徴とする請求項9-12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
第1の生産サイクルと第2の生産サイクルとの間で、前記電子制御装置(50)は、前記動作センサー(43)から得られたソノトロード(10)の振動部分(11)の温度が所定の温度範囲を超えたか否かを決定し、超えた場合には、
(x)前記ソノトロード(10)の振動部分(11)を冷却手段(60)に接触させるステップと、
(y)前記冷却手段(60)を活性化するステップと
を含む冷却サイクルを実行する
ことを特徴とする請求項9記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶融プラスチック材料を型枠キャビティ内に供給する装置と方法に関する。溶融プラスチック材料は溶融室内に計量しながら投入される。固形プラスチック材料は、ソノトロードの部分が溶融室に対し動く/振動することにより、溶融する。ソノトロードの動き又は活性化により、溶融プラスチック材料は前記溶融室と連通する型枠キャビティに導入される。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、溶融室内に挿入される部分を有するソノトロードの振動によりプラスチック材料を溶融する装置を開示する。プラスチック材料は、溶融室内のソノトロードの部分の動きにより型枠キャビティ内に導入される。この特許文献1は、プラスチック材料へ供給されるエネルギーを、ソノトロードの振動を介して調整し、使用されるプラスチック材料の量と種類と供給特性を考慮に入れて、これらのパラメータを組み合わせながら調整を実行する。
【0003】
特許文献2は、ソノトロードを用いて溶融プラスチック材料を注入する装置を記載する。このソノトロードの部分は溶融室内に挿入される。ソノトロードの部分は前記プラスチック材料と直接接触し、プラスチック材料の溶融フロー特性を改善し、これによりプラスチック材料を駆動して型枠キャビティ内に導入する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】ヨーロッパ特許第2189264号明細書
【文献】国際公開パンフレット第2004/024415号
【文献】ヨーロッパ特許第2591901号明細書
【文献】ヨーロッパ特許出願公開第1000732号明細書
【0005】
特許文献3は、固形プラスチック材料を供給する装置を開示する。この装置は、粒状のプラスチック材料の量を制御しながら粒を計数しかつ重量を量って供給し、固形プラスチック材料を溶融する溶融装置を校正する有益な情報を提供し、前記供給装置に搭載されるチェンバー内で動くようにソノトロードを組み込む。
【0006】
特許文献4には、ソノトロードの動作領域を冷却する為に、空気用の進入路を具備するソノトロードを開示する。これは、特にプラスチック材料を組み合わせる場合に有効である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、プラスチック材料がソノトロードの突起部の溶融室内における動きに抗する抵抗力/抗力を検出する抵抗センサーを具備する、溶融プラスチック材料を型枠キャビティ内に供給する装置と方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は熔解したプラスチック材料を型枠キャビティ内に供給する装置に関する。前記装置は、溶融室を有し、前記溶融室は、
超音波トランスデューサのソノトロードの振動する部分である振動部分と、
固形プラスチック材料を搭載する進入路と、
前記溶融プラスチック材料を前記型枠キャビティに供給する出口開口と
連通する。前記装置は、更に並進手段を有し、前記並進手段は、前記ソノトロードの部分と溶融室との間の相対運動を提供し、前記ソノトロードの部分の一部が溶融室内にあるように調整する。
前記溶融室は、個体プラスチック材料(ペレット)で、供給路を介して少なくとも部分的に充填される。この個体プラスチック材料は、ほぼ均一な粒子サイズの分布を有するのが好ましい。
【0009】
別の構成として、固形プラスチック材料の様々なフォーマットに特有の他のフィードシステム、例えば導入通路、移送装置等も使用できる。
【0010】
このソノトロードは、前記溶融室内に挿入される部分を有する。この挿入は並進手段により調整される。
【0011】
溶融室内に挿入されるソノトロードの一部は、溶融室内に堆積した固形プラスチック材料と接触し、超音波トランスデューサにより生成される超音波振動により、それを溶融し、前記ソノトロードの一部を介して移動させる。プラスチック材料を溶融させる振動の周波数は10-50kHzの間が最適と考えられるが、これに限定されない。
【0012】
並進手段は、ガイドされた軸方向の動きを可能とする装置である。この装置は、アクチュエータに連結された機構により自動的に動作される。その一例は、回転動作又は線形動作をする電気モーター、電磁マグネット、サーボモーター、ピストンあるいは他の類似のアクチュエータであり、静止している溶融室に対しソノトロードの方をを動かす。静止しているソノトロードに対し溶融室を動かしてもよい。サーボ-水圧駆動あるいは純粋な水圧駆動もこの装置に含まれる。
【0013】
ソノトロードと溶融室(中のプラスチック材料は溶融状態であり)との間の相対運動により、溶融プラスチック材料を、溶融室の出口開口を介して、型枠キャビティ内に注入する。
【0014】
本発明は、溶融プラスチック材料を型枠キャビティ内に計量しながら注入する装置に抵抗センサーを具備した装置である。抵抗センサーは、進入路を介して溶融室内に計測して注入されるプラスチック材料がソノトロードの一部と前記溶融室との間の相対運動に抗する抵抗力を検出する。
【0015】
本発明は、抵抗センサーにより提供された情報に基づいて、並進手段を調整する制御装置を含む。
【0016】
抵抗センサーにより、ソノトロードの一部と接触しているプラスチック材料が、その動きに抗する抵抗力を検出することができる。この抵抗力の検出により、ソノトロードの一部がプラスチック材料と接触した時点を知り、それが溶融した時にはプラスチック材料の流動性を知ることができる。これは、流動性が大きくなるとソノトロードの動きに対する抵抗力が弱まるからである。その逆も真である。
【0017】
これら全ての情報とソノトロードと溶融室との間の相対位置に関する情報と共に、電子制御装置は、プラスチック材料の粒子又は溶解プラスチック材料により専有されている溶融室の容積または流動性の程度を知ることができる。
【0018】
プラスチック材料の流動性を知ることにより、電子制御装置は、並進手段を調整し、この並進手段の動作を溶融プラスチック材料の流動性に合わせ、型枠キャビティへの供給量を改善する。
【0019】
抵抗センサーはあらゆる種類のセンサーでもよい。その理由はこの抵抗力は様々な方法で検出できるからである。一例として抵抗センサーは、並進手段が電気で駆動されている場合その電力消費を検出する。そのため、並進手段がプラスチック材料の抵抗力に打ち勝たなければならない作業を検出する。別の例はソノトロード内、ブースター・セグメント内、トランスデューサー内、あるいは振動要素の他の部分内、溶融室の支持部材内に配置された抵抗センサーを含む。これらにより、ソノトロードの部分の前方向への動きに抗する溶解プラスチック材料の抵抗力(大小に関わらず)により引き起こされる圧力の変動を検出できる。更に別の実施例としては、並進手段が水圧アクチュエータ又は空気アクチュエータにより駆動される場合には、流体を駆動する圧力を測定するよう構成することもできる。これにより、ソノトロードの前方向への動きに対するプラスチック材料により加えられる力の変動を検出することもできる。抵抗センサーの他の実施例は、本発明の要旨を変更することなく当業者が容易に実現できる。
【0020】
前記抵抗センサーにより得られた情報は電子制御装置に送られる。この電子制御装置が並進手段を制御し調整する。抵抗センサーからの情報と前記電子制御装置内で実行されたプログラミングの結果に基づいて、電子制御装置は、並進手段の動作パラメータを制御し、これにより溶融プラスチック材料が型枠キャビティ内に供給される量を調整する。
【0021】
電子制御装置は、当業者に公知の他の等価の解決手段/方法でもよい。
【0022】
電子制御装置は、例えばプログラム可能なロジック・コントローラであり、これはサーキットボード、コンピュータ・ボードの形態で実現され、データの入力装置と出力装置とメモリとを具備し、計算動作を実行する。前記装置には、センサーからのデータが与えられ、その計算動作により制御指示が出される。
【0023】
電子制御装置は、電源、データ表示手段例えばスクリーンを含む。これによりオペレータに情報を与える。電子制御装置は、前記オペレータが電子制御装置の構成を変更できるような手段、例えばキーボード、ボタン、オプション・メニュー等を含む。これらの装置は局部操作あるいは遠隔操作のいずれでもよい。
【0024】
一実施例によれば、溶融プラスチック材料を型枠キャビティ内に供給する本発明の装置は供給センサーを含む。供給センサーは、溶融室内に供給される固形プラスチック材料の粒子の数量又は重量を検出する。これによりプラスチック材料の重量あるいは粒子の数量の正確な測定値を得ることができる。しかしプラスチック材料が溶融室内に供給された後のプラスチック材料の粒子が溶融室内を占有する容積はこの測定値ではない。その理由はプラスチック材料の粒子は密度を変化させるような泡(空気の空間)を含み、また粒子はランダムに配置されるからである。電子制御装置から得られた情報は、抵抗センサーにより提供されたデータにより得られ、これにより、ソノトロードの先端が固形プラスチック材料と接触した点(電子制御装置により検知できる位置)を知ることができる。それ故に、固形プラスチック材料を重量あるいは容積あるいは粒子の数で測定することは、供給センサーと抵抗センサーの手段により制御される。
【0025】
選択的事項として、本発明の装置は環境センサーを含む。環境センサーは、周囲の温度と湿度の少なくとも一方を検出する。本発明の装置は、以下のパラメータの内の少なくとも1つを検出する動作センサーを具備することもできる。
ソノトロードの部分の溶融室に対する相対的位置;
ソノトロードの温度;
ソノトロードの部分の温度;
溶融室の温度;
型枠キャビティの温度;
固形プラスチック材料の温度;
【0026】
抵抗センサー、供給センサー、環境センサー、動作センサーにより得られた情報は電子制御装置に送られる。電子制御装置は、本発明の装置のアクチュエータを制御し、本発明の装置の以下の動作パラメータの内の少なくとも1つを調整する。
ソノトロードの動作;
ソノトロードの振動活性化後ソノトロードの部分の溶融室に対する相対位置;
ソノトロードの動作時間;
ソノトロードの振動周波数;
ソノトロードの振動振幅;
ソノトロードの部分の溶融室に対する相対運動の速度;
ソノトロードの部分の溶融室に対する相対運動の加速度;
ソノトロードの部分の溶融室に対する相対運動により加えられる溶融室内にあるプラスチック材料にかかる圧力;
【0027】
溶融プラスチック材料を供給する装置はソノトロードの部分の外側に冷却手段を有する。これにより冷却流体をソノトロードの部分に接触させ冷却効果を得る。
【0028】
一実施例によれば、冷却手段は、前記溶融室内にあるソノトロードの部分の入口周囲に配置された冷却ガス・ディフューザを有し、冷却ガスを、溶融室から引き抜かれたソノトロードの部分に当てる。他の実施例よれば、冷却手段は、溶融室の部分の周囲に配置された冷却流体回路を有し、冷却流体がそこを回るようにし、ソノトロードの部分と伝熱状態にある溶融室の部分を冷却する。
【0029】
冷却手段の活性化は電子制御装置により制御される。これは、抵抗センサー、供給センサー、周囲センサー、動作センサーのいずれかにより得られたデータに基づいて行われる。
【0030】
本発明の装置は、ソノトロードの一部あるいは溶融室のいずれにも加熱手段を含んでいないが、振動と摩擦によりソノトロードの一部が熱せられる。ソノトロードの一部の過剰な加熱は、溶融プラスチック材料をソノトロードの部分に固着させる危険がある。冷却サイクルがこの様な現象を阻止する。
【0031】
これらのパラメータは、プラスチック材料に加えられるエネルギー量を正確に制御することができる。その理由は、振動(周波数と時間)と動き(速度と加速度と圧力)の両方はエネルギーを加える手段/方法だからである。エネルギーをプラスチック材料の全てあるいはその一部に過剰に加えると、プラスチック材料が劣化する。そのため、溶融室内にある固形プラスチック材料の量や位置を正確に知ることが好ましい。それは、電子制御装置が加えるエネルギー量を正確に調整し、プラスチック材料を劣化させることなく、プラスチック材料の正確な溶融を達成させるためである。それ故に電子制御装置は、そのプログラム内に、プラスチック材料を溶融させるのに必要な最小エネルギー量とそれを劣化させることになる最大エネルギー量を示す範囲を含む。この範囲は、様々なセンサーにより検出される様々な環境に合わせられる。
【0032】
他の実施例によれば、電子制御装置は更にユーザインターフェースを有する。これによりオペレータは、電子制御装置内に使用されるプラスチック材料のタイプ又はペレットフォーマットに関連する情報を入力し、動作パラメータの調整を改善する。
【0033】
本発明の電子制御装置はメモリを有する。このメモリには、プラスチック材料のタイプあるいは粒子のフォーマットに関連する装置の動作パラメータの構造を記憶する。これにより、電子制御装置は、メモリ内に含まれる情報に基づいて動作パラメータを調整し、この情報に基づいて正確な調整が可能となる。
【0034】
本発明の一実施例によれば、並進手段は電気的に駆動/活性化され、抵抗センサーは、並進手段の活性化中にその電力消費を検出する。
【0035】
本発明は、圧力センサーと並進手段を制御する電子制御装置を具備する装置により溶融プラスチック材料を型枠キャビティ内に供給する方法に関する。
本発明の方法は、以下の生成サイクルを形成するステップを実行する。
(a)プラスチック材料を、前記溶融室内に前記進入路を介して投入するステップと、
(b)前記ソノトロードを活性化して前記プラスチック材料を溶融させるステップと、
(c)前記ソノトロードの部分と前記溶融室との間の相対運動を提供する並進手段を活性化するステップと、
(d)前記ソノトロードの部分の先を更に前記溶融室内に挿入するステップと、
(e)前記型枠キャビティ内に、出口開口を介して溶融プラスチック材料を押し込むステップ。
【0036】
本発明は、更に、前記ステップ(b)を実行する前に、
(b1)前記ソノトロードの部分と前記溶融室との間に第1相対運動を生成するステップと、(b2)前記ソノトロードの部分の先を前記溶融室内に所定の時点まで挿入するステップと、(前記所定の時点とは、前記抵抗センサーが、前記溶融室内に挿入されたプラティック材料が前記ソノトロードの部分の前方への動きに抵抗するのを検出した時点即ち前記ソノトロードの部分とプラティック材料との接触を検出する時点であり)(b3)前記プラスチック材料により専有された溶融室の容積に関する表示を提供するステップとを実行する。この情報は電子制御装置に送られ、電子制御装置は、抵抗センサーにより提供されたデータに基づいて、ステップc)のソノトロードの活性化と並進手段の駆動を調整する。
【0037】
これにより電子制御装置は、粒子状プラスチック材料により専有された溶融室の容積を知ることができる。並進手段より生成されるソノトロードと溶融室との間の相対的な動きと振動の調整が、前記情報に基づいて行われる。その結果、プラスチック材料に加えられるエネルギー量(電子制御装置に記憶されている所定のエネルギー範囲内に維持されている)は、プラスチック材料を劣化させることなく溶融させる。
【0038】
本発明の方法の他の実施例によれば、電子制御装置は、動作パラメータの調整を、供給センサー、周囲センサー、動作センサーにより与えられる情報に基づいて行う。供給センサーは、溶融室内に供給される固形プラスチック材料の粒子の数量又は重量を検出し、環境センサーは、周囲の温度又は湿度を検出し、動作センサー以下のパラメータの内の少なくとも1つを検出する。
【0039】
前記ソノトロードの部分の溶融室に対する相対的位置;
前記ソノトロードの温度;
前記ソノトロードの部分の温度;
前記溶融室の温度;
前記型枠キャビティの温度;
【0040】
これらのセンサーにより提供される情報により、電子制御装置は、動作パラメータをより正確に調整でき、プラスチック材料の溶融時点を改善し、その結果モールドされたプラスティックの品質が向上する。
【0041】
本発明の方法の他の実施例によれば、電子制御装置は、抵抗センサーにより提供されるデータに基づいて、以下の動作パラメータの内の少なくとも1つを調整する。
【0042】
前記ソノトロードの振動活性化後前記ソノトロードの部分の溶融室に対する相対位置;
前記ソノトロードの動作時間;
前記ソノトロードの振動周波数;
前記ソノトロードの振動振幅;
前記ソノトロードの部分の溶融室に対する相対運動の速度;
前記ソノトロードの部分の溶融室に対する相対運動の加速度;
前記ソノトロードの部分の溶融室に対する相対運動により加えられる溶融室内にあるプラスチック材料にかかる圧力;
【0043】
これらのパラメータはプラスチック材料に加えられるエネルギー量を決定する。
【0044】
電子制御装置は、プラスチック材料に加えられるエネルギー量を、この動作パラメータに基づいて計算する。電子制御装置は、前記動作パラメータの調整量を計算し、その結果加えられるエネルギーが、プラスチック材料を適正に溶融するが、プラスチック材料を劣化させない程度にする。これは、様々なセンサーにより得られた情報に基づいて、かつ前記電子制御装置内の最小と最大のエネルギー範囲に基づいて行われる。
【0045】
電子制御装置は、様々なセンサーから供給される全ての情報を解析し、各動作パラメータの調整量を決定する。これは、プラスチック材料に加えられるエネルギー量がプラスチック材料を劣化させずに溶融するのに適し、プログラミングにより電子制御装置に提供された最小エネルギー量と最大エネルギー量を示す範囲に従って行われること考慮して、行われる。
【0046】
本発明の一実施例によれば、様々なセンサーの内の少なくとも1つのセンサーは、測定を実行し、生産サイクルの様々な時点で情報を提供する。電子制御装置は、生産サイクルの様々な時点で動作パラメータの様々な調整を実行し、動作パラメータを、前記センサーの内の少なくとも1つのセンサーにより提供された情報に従って、調整する。動作の調整は、エネルギーを受領すると、プラスチック材料が示す変動(それが固形状態か流動状態か、それの粘性の程度)に適合できるよう行われる。この調整は、生産サイクルを通して変動し、適合するよう行われる。
【0047】
電子制御装置は、上記の各変動或いは変数を独立してリンクして制御する、或いは他の方法(ルーラー、関係カーブ)を用いて、生産プロセスを通して制御する。
【0048】
電子制御装置は、複数のセンサーの内の少なくとも1つのセンサーにより提供された情報により、プラスチック材料が所定の流動性(粘度)に達したと決定されると、ソノトロードの振動を停止するが、これは必ずしもソノトロードの部分と溶融室との間の相対運動を停止することではない。これにより、プラスチック材料へ供給されるエネルギー量を減らす。その結果プラスチック材料の流動化を所定のレベル(プラスチック材料を型枠キャビティ内に注入するのに最適なレベル)で停止できる。
【0049】
電子制御装置が、前記センサーの内の少なくとも1つのセンサーにより提供された情報により、溶融プラスチック材料が前記型枠キャビティ内に充填された或いはほぼ充填されたと判断すると、ソノトロードの振動部分と溶融室との間の相対運動の速度又は加速度により、ソノトロードの振動を活性化する、或いは溶融室に含まれる溶融プラスチック材料へ加えられる圧力を高める。
【0050】
電子制御装置が、型枠キャビティの容積とプラスチック材料の測定値を知った結果、溶融プラスチック材料が前記型枠キャビティ内に充填された或いはほぼ充填されたと判断する。これにより、プラスチック材料が溶融室から型枠キャビティ内に流れ込んだ時点を知ることは、溶融室が80%以上充填されたと判断するのに十分である。この時点で、ソノトロードの振動を活性化すること或いは圧力を上げることは、溶融室内にあるプラスチック材料がより圧縮されるようになり、固化した時にモールド整形されたプラスチック部品の空洞即ち品質劣化を回避できるようになる。
【0051】
本発明の方法の他の実施例によれば、第1の生産サイクルと第2の生産サイクルとの間で、電子制御装置は、前記動作センサーから得られたソノトロードの部分の温度が、所定の温度範囲を超えたか否かを決定する。超えた場合は冷却サイクルを実行する。
本発明の方法の一実施例によれば、冷却サイクルは、
(x)前記ソノトロードの部分を冷却手段に接触させるステップと、
(y)前記冷却手段を活性化するステップと を含む。
【0052】
前記冷却手段は、溶融室の入口周囲に管状に配置された冷却流体分配装置に連結された冷却空気生成機(例えばボルテックス装置)である。、これにより、冷却流体を複数の方向からソノトロードの部分の先端に与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1】第1ステップで、溶融プラスチック材料を型枠キャビティに供給する装置の概略図。同装置において固形プラスチック材料は計量しながら溶融室内に投入される。この溶融室は型枠キャビティに隣接しそれに連通して配置されている。ソノトロードの先端振動部は、溶融室に面しその入口に隣接して配置されており、電子装置でセンサーと通信している。
図2図1に類似し、ソノトロードの先端振動部が、固形プラスチック材料と接触するまで移動した状態を表す図。
図3】ソノトロードを活性化することにより固形プラスチック材料を溶融するステップを表す図。
図4】ソノトロードを溶融室内に動かすことにより、型枠キャビティ内に溶融プラスチック材料を流し込む状態を表す図。
図5】ソノトロードの先端振動部が、溶融室外にあり、吹き付けられた冷却流体に晒されている状態を表す図。
図6】ソノトロードの冷却流体を分散する要素の実施例を表す図。
【発明を実施するための形態】
【0054】
本発明の一実施例によれば、溶融プラスチック材料を型枠キャビティ30内に導入する装置は空洞の溶融室20を有する。溶融室20は実施例では円筒状である。溶融室20は上端部は開放されており、下端部は出口開口22を除いて閉じられている。出口開口22により、溶融室20と型枠キャビティ30とは連通している。
【0055】
この実施例においては、溶融室20はその上部部分に進入路21を有する。進入路21は、溶融室20の側面壁と固形プラスチック材料の供給器とを連通させている。電子制御装置50により制御され供給センサー41を具備する自動計量供給装置は、前記計量と供給を正確に実行している。
【0056】
ソノトロード10は、溶融室20の上方に配置され突起部11を具備する。この突起部11のサイズと形状は溶融室20のそれに嵌まるようになっている。これにより、突起部11が溶融室20内にその下端が当たるまで挿入される(図3)。その結果、溶融室20内に配置された固形プラスチック材料と接触するようになる。そして溶融プラスチック材料を、溶融室20から型枠キャビティ30内に出口開口22を介して、測定しながら送り込む。
【0057】
溶融プラスチック材料が固まった後、型枠キャビティ30は開いた状態になり(図5)、モールドされたプラスチック部品を取り出し新たな製造サイクルに備える。
【0058】
この実施例においては、ソノトロード10は線形のガイド・システム上に搭載され、ガイドされた垂直方向の動きが可能となる。ソノトロード10の突起部11は溶融室20に整合して(嵌まって)いる。電気的に駆動される並進手段12はソノトロードの垂直方向の動きを制御する。この実施例においては並進手段12は電気モータを利用する。
【0059】
図1に示すように電気モータは抵抗センサー40を有する。抵抗センサー40は、電子制御装置50と連結され、電気モータの電力消費の制御に基づいて、溶融室20内にあるプラスチック材料が、ソノトロード10の突起部11の溶融室20内における動きに抗する抵抗力を検出する。これによりソノトロード10の先端が固形プラスチック材料と接触した時点と溶融プラスチック材料の流動性により生成される反力/反応を推定する。
【0060】
電子制御装置50は、選択的事項として、環境センサー42と動作センサー43とを有する。環境センサー42は、大気の温度と湿度のような大気に関連するパラメータを測定する。動作センサー43は、本発明の装置の様々なパラメータ、例えばその構成部材の温度、プラスチック材料の温度、構成要素の相対的動き等を測定する。
【0061】
これらのパラメータの全ては、プラスチック材料の溶融とモールド(整形)プロセスに影響を及ぼす。電子制御装置50が、様々なセンサー40,41,42,43から必要な全ての情報を得ることが重要である。
【0062】
電子制御装置50は、本発明の装置の様々なアクチュエータを制御する。例えば、アクチュエータの一例は、ソノトロード110,並進手段12,溶融室20,冷却手段60、溶融室20に固形プラスチック材料を測定しながら供給する測定供給装置である。
【0063】
これらのアクチュエータの動作パラメータの調整は、センサー40,41,42,43により提供される情報により基づいて、電子制御装置50により行われる。
【0064】
この電子制御装置50は他の情報に基づいて動作パラメータを調整できる。他の情報の一例は、電子制御装置50のメモリ内に含まれる情報、使用される固形プラスチック材料の種類あるいはフォーマットに関するデータである。これらのデータはメモリ内に記憶されるかあるいはインターフェースを介してオペレータにより入力される。
【0065】
前記メモリは、各動作パラメータの許容可能な最大値と最小値を示す動作範囲を記録する。これらの動作範囲は、複数の可変パラメータに関連し、可変である。可変パラメータの一例は、例えば周囲温度、プラスチック材料の種類、型枠キャビティ30の形状、出口開口22の形状等である。この動作範囲は生産サイクルの時間に関連し、それに依存する。
【0066】
電子制御装置50は、固形プラスチック材料が溶融する(プラスチック材料の種類やフォーマットに依存する)のに必要な最小エネルギー量に関する情報と、プラスチック材料が劣化する(同じくプラスチック材料の種類やフォーマットに依存する)ことのない最大許容エネルギーに関する情報を受領する。電子制御装置50により調整される様々なアクチュエータを活性化することにより、前記プラスチック材料に加えられるエネルギーの量を知ることができる。これにより動作パラメータの制御が可能となる。その結果プラスチック材料に加えられるエネルギー量は、生産サイクルの如何なる時でも最大限界を超えることがなく、プラスチック材料が劣化するのを阻止できる。
【0067】
図1は製造サイクルの第1ステップを示す。このステップにおいては、電子制御装置50は、粒状の固形プラスチック材料を、自動供給装置を調整することにより、溶融室20へ計量しながら供給する。
【0068】
供給センサー41は、溶融室20内に導入される固形プラスチック材料の粒量と重量に関する正確な情報を電子制御装置50に与える。
【0069】
図2は製造サイクルの次のステップを示す。このステップにおいては、並進手段12は電子制御装置50により活性化/駆動され、ソノトロード10の突起部11が溶融室20内に導入される。ソノトロード10の突起部11の先端がプラスチック材料と接触すると、抵抗センサー40は、ソノトロードの前進方向に抗する抵抗力/抗力を検出し、この情報を電子制御装置50に送る。この情報により、固形プラスチック材料が専有する溶融室20内の容積を知ることができる。この情報は、供給センサー41から受領した情報と組み合わられ、供給される固形プラスチック材料の種類とフォーマットに関連してオペレータにより入力される情報と組み合わされる。電子制御装置50は、固形プラスチック粒子が溶融室内に堆積されると、固形プラスチック粒子が詰まっている(圧縮されている)程度を推定し、これによりこの情報に従って動作パラメータを調整する。
【0070】
図3は製造サイクルのその後のステップを示す。このステップにおいては、ソノトロードの振動は、ソノトロードの追加的な動きと共に活性化され、溶融室20内のプラスチック材料は溶融して収縮/圧縮される。この段階において、抵抗センサー40は、プラスチック材料により得られた流動性を決定/推定する。しかしこの情報は、動作センサー43により提供される溶融プラスチック材料の平均温度からも推定可能である。
【0071】
この情報に基づいて、電子制御装置50は、ソノトロード10の振動と、ソノトロード10の動きの速度と加速度の両方に対し追加的な調整を行い、溶融プラスチック材料の所望の流動状態を達成しあるいは維持し、溶融プラスチック材料を型枠キャビティ30内への導入を最適化する。
【0072】
図4は製造サイクルの最終ステップを有する。このステップにおいては、型枠キャビティ30は既に満杯あるいはほぼ満杯である。この時点で、電子制御装置50は振動条件を調整する又はソノトロード10の圧力、速度、加速度を増加させ、型枠キャビティ30内の溶融プラスチック材料を圧縮する。
【0073】
このステップが終了した後、溶融プラスチック材料は冷却され、硬くなり、その後型枠から取り出される。型枠キャビティ30は製造サイクルを再開する準備ができる。
【0074】
製造サイクルの終了した後、電子制御装置50は、ソノトロード10の突起部11の温度が動作センサー43により提供されるデータに基づいた所定のパラメータ以下であるか否かを決定する。それが所定のパラメータ以下であるならば、新たな製造サイクルが始まるが、そうでない場合には冷却サイクルが必要とされる。
【0075】
この冷却サイクルを図5に示す。同図は、ソノトロード10の突起部11が溶融室20から引き出される状態を示す。突起部11は冷却手段60に面する。この実施例においては、図6に示すように、冷却手段60はディフューザからなり、ディフューザは、周囲の領域からソノトロード10の突起部11の上に冷却ガスをかける。
【0076】
以上の説明は、本発明の一実施例に関するもので、この技術分野の当業者であれば、本発明の種々の変形例を考え得るが、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。特許請求の範囲の構成要素の後に記載した括弧内の番号は、図面の部品番号に対応し、発明の容易なる理解の為に付したものであり、発明を限定的に解釈するために用いてはならない。また、同一番号でも明細書と特許請求の範囲の部品名は必ずしも同一ではない。これは上記した理由による。用語「又は」に関して、例えば「A又はB」は、「Aのみ」、「Bのみ」ならず、「AとBの両方」を選択することも含む。特に記載のない限り、装置又は手段の数は、単数か複数かを問わない。
【符号の説明】
【0077】
10;ソノトロード
11:突起部(振動部分)
12:並進(トランスレーション)手段
20:溶融室
21:進入路
22:出口開口
30:型枠キャビティ
40-43:センサー
40:抵抗センサー
41:供給センサー
42:環境センサー
43:動作センサー
50:電子制御装置
60:冷却手段
110:ソノトロード
図1
図2
図3
図4
図5
図6