(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-28
(45)【発行日】2022-02-07
(54)【発明の名称】製氷機
(51)【国際特許分類】
F25C 1/10 20060101AFI20220131BHJP
F25C 1/25 20180101ALI20220131BHJP
【FI】
F25C1/10 301A
F25C1/25 305G
(21)【出願番号】P 2018042946
(22)【出願日】2018-03-09
【審査請求日】2021-02-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】林 勝彦
【審査官】西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】特許第2669941(JP,B2)
【文献】特開2012-207824(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25C 1/10
F25C 1/25
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水パイプから供給される水を貯留する貯水用凹部を備える製氷皿と、
前記製氷皿を通過する軸線回りにおいて、前記製氷皿を、前記貯水用凹部が上を向く貯水位置と当該貯水用凹部が下を向く氷離脱位置との間で反転させる駆動部と、
前記製氷皿および前記駆動部を支持するフレームと、を有し、
前記フレームは、前記製氷皿が回転する回転軌跡から側方に外れているフレーム部分と、前記フレーム部分から前記回転軌跡の側に突出する注水部と、を備え、
前記注水部は、前記製氷皿が前記貯水位置にある状態を上方から見た場合に、前記製氷皿において前記貯水位置から前記氷離脱位置へ向かう第1回転方向への回転開始時に下方に移動する製氷皿部分に重なり、
前記フレーム部分の上面には、前記注水部に連通する給水路が設けられており、
前記給水パイプからの水は、前記給水路に供給されて前記注水部から前記貯水用凹部に注がれることを特徴とする製氷機。
【請求項2】
前記注水部の先端は、前記製氷皿が前記貯水位置にあるときに、前記製氷皿の上端よりも下方に位置することを特徴とする請求項1に記載の製氷機。
【請求項3】
前記駆動部は、前記製氷皿の前記軸線方向の一方側に連結されており、
前記フレーム部分は、前記軸線方向で前記製氷皿を間に挟んで前記駆動部と対向する対向部分と、前記対向部から前記軸線方向の一方側に延びる延設部分と、を備えており、
前記給水路は、前記対向部分の上面に設けられた第1給水路部分と、前記延設部分の上面に設けられた第2給水路部分と、を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の製氷機。
【請求項4】
前記製氷皿は、可撓性材料からなり、
前記対向部分には、前記製氷皿が前記第1回転方向に回転して前記氷離脱位置に達したときに当該第1回転方向の前方から前記製氷皿に当接して当該第1回転方向に駆動されている前記製氷皿の回転を阻止する被当接部が設けられており、
前記製氷皿が前記被当接部に当接した状態で、前記注水部は前記製氷皿の前記第1回転方向
の前方に離間していることを特徴とする請求項3に記載の製氷機。
【請求項5】
前記給水路の底面は、前記注水部に向かって下方に傾斜していることを特徴とする請求項1から4のうちのいずれか一項に記載の製氷機。
【請求項6】
前記給水路は、前記フレーム部分において前記製氷皿が位置する側の面で開口する給水出口を備え、
前記注水部と前記給水路とは、前記給水出口を介して連通しており、
前記注水部は、上面が前記給水出口を介して前記給水路の底面に連続する底部と、前記フレーム部分において前記給水出口を間に挟んで対向する当該給水出口の開口縁部分からそれぞれ前記製氷皿の側に突出して下端が前記底部に接続された一対の壁部と、を備えることを特徴とする請求項1から5のうちのいずれか一項に記載の製氷機。
【請求項7】
前記製氷皿は、複数の前記貯水用凹部と、隣り合う2つの前記貯水用凹部を互いに部分的に連通させる連通部と、を備えることを特徴とする請求項1から6のうちのいずれか一項に記載の製氷機。
【請求項8】
前記給水パイプと、
給水タンクと前記給水パイプとの間を接続する接続水路と、
前記接続水路を開閉する弁と、
前記弁を駆動制御して前記給水パイプから所定量の水を前記製氷皿に供給する給水制御部と、を有し、
前記給水制御部は、前記所定量の水を供給する間に前記弁の開閉を繰り返して前記給水パイプから水を断続的に流出させることを特徴とする請求項1から7のうちのいずれか一項に記載の製氷機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給水パイプから供給される水を製氷皿に貯留して製氷する製氷機に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫に搭載される製氷機は特許文献1に記載されている。同文献の製氷機は、貯水用凹部を備える製氷皿と、製氷皿を通過する軸線回りに当該製氷皿を反転させる駆動部と、製氷皿および駆動部を支持するフレームと、を有する。製氷機は、給水パイプから供給される水を貯水用凹部に充填して製氷を行う。また、製氷機は、製氷が完了すると、駆動部によって製氷皿を反転させるとともに、製氷皿の一部分をフレームに当接させて製氷皿を捻る。これにより、氷を製氷皿から離脱させて、下方に配置した貯氷容器へ落下させる。同文献では、給水パイプの給水口は、製氷皿の上方に位置しており、水は製氷皿に直接注がれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
給水パイプを製氷皿の上方に配置する場合には、給水パイプの給水口が反転(回転)する製氷皿と干渉しないように、給水パイプを製氷皿の回転軌跡から上方に離間させる必要がある。従って、給水パイプを含めた製氷機の設置スペースが上下方向で大きくなるという問題がある。
【0005】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、給水パイプを含めた設置スペースを上下方向で抑制できる製氷機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る製氷機は、給水パイプから供給される水を貯留する貯水用凹部を備える製氷皿と、前記製氷皿を通過する軸線回りにおいて、前記製氷皿を、前記貯水用凹部が上を向く貯水位置と当該貯水用凹部が下を向く氷離脱位置との間で反転させる駆動部と、前記製氷皿および前記駆動部を支持するフレームと、を有し、前記フレームは、前記製氷皿が回転する回転軌跡から側方に外れているフレーム部分と、前記フレーム部分から前記回転軌跡の側に突出する注水部と、を備え、前記注水部は、前記製氷皿が前記貯水位置にある状態を上方から見た場合に、前記製氷皿において前記貯水位置から前記氷離脱位置へ向かう第1回転方向への回転開始時に下方に移動する製氷皿部分に重なり、前記フレーム部分の上面には、前記注水部に連通する給水路が設けられており、前記給水パイプからの水は、前記給水路に供給されて前記注水部から前記貯水用凹部に注がれることを特徴とする。
【0007】
本発明では、給水パイプからの水は、製氷皿の回転軌跡の側方に位置するフレームのフレーム部分に設けられた給水路に注がれ、給水路から注水部に流入して、注水部から貯水用凹部に供給される。従って、給水パイプの給水口を製氷皿の側方に位置させることができる。これにより、給水パイプの給水口を製氷皿の上方で当該製氷皿の回転軌跡から離間する位置に配置する必要がなくなるので、給水パイプを含めた製氷機の設置スペースを上下方向で抑制することができる。また、注水部は、製氷皿が貯水位置にあるときに、製氷皿と重なる位置にある。従って、注水部から注がれる水を確実に製氷皿に流入させること
ができる。さらに、注水部は、製氷皿において貯水位置から氷離脱位置へ向かう第1回転方向への回転開始時に下方に移動する製氷皿部分に重なる。従って、上方から見た場合に注水部と製氷皿の回転軌跡が重なっていても、フレーム部分から突出する注水部と、回転する製氷皿とが干渉することはない。
【0008】
本発明において、前記注水部の先端は、前記製氷皿が前記貯水位置にあるときに、前記製氷皿の上端よりも下方に位置することが望ましい。このようにすれば、注水部から製氷皿に注がれる水を、飛散させることなく、貯水用凹部に貯留できる。
【0009】
本発明において、前記駆動部は、前記製氷皿の前記軸線方向の一方側に連結されており、前記フレーム部分は、前記軸線方向で前記製氷皿を間に挟んで前記駆動部と対向する対向部分と、前記対向部から前記軸線方向の一方側に延びる延設部分と、を備えており、前記給水路は、前記対向部分の上面に設けられた第1給水路部分と、前記延設部分の上面に設けられた第2給水路部分と、を備えることが望ましい。このようにすれば、駆動部と給水路とを軸線方向で離間させることが容易である。従って、給水パイプから給水路に注がれた水が飛散した場合でも、駆動部にかかることを防止あるいは抑制できる。また、給水路が互いに交差する方向に延びる第1給水路部分と第2給水部分とを備えるので、給水路に水を供給する給水パイプの配置の自由度が向上する。
【0010】
本発明において、前記製氷皿は、可撓性材料からなり、前記対向部分には、前記製氷皿が前記第1回転方向に回転して前記氷離脱位置に達したときに当該第1回転方向の前方から前記製氷皿に当接して当該第1回転方向に駆動されている前記製氷皿の回転を阻止する被当接部が設けられており、前記製氷皿が前記被当接部に当接した状態で、前記注水部は前記製氷皿の前記第1回転方向の前方に離間していることが望ましい。このようにすれば、製氷皿と被当接部とが当接して製氷皿の回転が阻止されたときに、製氷皿に捻りを発生させることができる。従って、氷離脱位置に達した時に氷が製氷皿から離脱しやすい。また、氷離脱位置において製氷皿がフレームの被当接部に当接すれば、製氷皿が氷離脱位置よりも更に第1回転方向に回転してしまうことを防止できる。従って、製氷皿と注水部とが干渉することを回避できる。
【0011】
本発明において、前記給水路の底面は、前記注水部に向かって下方に傾斜していることが望ましい。このようにすれば、給水路に供給された水は注水部に向かって淀みなく流れる。また、給水が停止したときに、給水路に水が残って結氷してしまうことが防止あるいは抑制される。
【0012】
本発明において、前記給水路は、前記フレーム部分において前記製氷皿が位置する側の面で開口する給水出口を備え、前記注水部と前記給水路とは、前記給水出口を介して連通しており、前記注水部は、上面が前記給水出口を介して前記給水路の底面に連続する底部と、前記フレーム部分において前記給水出口を間に挟んで対向する当該給水出口の開口縁部分からそれぞれ前記製氷皿の側に突出して下端が前記底部に接続された一対の壁部と、を備えることが望ましい。このようにすれば、給水路の給水出口から流出する水を、給水部の底部の上面に沿って案内して、製氷皿に導くことができる。
【0013】
本発明において、前記製氷皿は、複数の前記貯水用凹部と、隣り合う2つの前記貯水用凹部を互いに部分的に連通させる連通部と、を備えることが望ましい。このようすれば、製氷皿に注がれた水を、連通部を介して全ての貯水用凹部に流入させて、貯留することが容易である。
【0014】
本発明において、前記給水パイプと、給水タンクと前記給水パイプとの間を接続する接続水路と、前記接続水路を開閉する弁と、前記弁を駆動制御して前記給水パイプから所定
量の水を前記製氷皿に供給する給水制御部と、を有し、前記給水制御部は、前記所定量の水を供給する間に前記弁の開閉を繰り返して前記給水パイプから水を断続的に流出させることが望ましい。このようにすれば給水パイプから一度に給水路に注がれる水の流量を調整できるので、水が給水路や注水部から溢れて飛散することを防止できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、給水パイプの給水口を製氷皿の側方に位置させることができる。これにより、給水パイプの給水口を製氷皿の上方で当該製氷皿の回転軌跡から離間する位置に配置する必要がなくなるので、給水パイプを含めた製氷機の設置スペースを上下方向で抑制することができる。また、注水部は、製氷皿が貯水位置にあるときに、製氷皿と重なる位置にある。従って、注水部から注がれる水を製氷皿に流入させることができる。さらに、注水部は、製氷皿において貯水位置から氷離脱位置へ向かう第1回転方向への回転開始時に下方に移動する製氷皿部分に重なる。従って、上方から見た場合に注水部と製氷皿が重なっていても、回転する製氷皿と注水部とが干渉することはない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明を適用した製氷機を上方から見た場合の斜視図である。
【
図2】製氷皿が貯水位置にある製氷機を下方から見た場合の斜視図である。
【
図3】製氷皿が貯水位置にある製氷機を上方から見た場合の平面図である。
【
図5】製氷皿が貯水位置から回転を開始した状態の製氷機の斜視図である。
【
図6】製氷皿が氷離脱位置に配置された状態の製氷機の斜視図である。
【
図7】
図1のA-A線で切断した製氷機の断面図である。
【
図8】
図5のB-B線で切断した製氷機の断面図である。
【
図9】
図6のC-C線で切断した製氷機の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に図面を参照して、本発明の実施の形態の製氷機を説明する。
(全体構成)
図1は本発明を適用した製氷機を上方から見た場合の斜視図である。
図2は
図1の製氷機を下方から見た場合の斜視図である。
図3は製氷機を上方から見た場合の平面図である。
図1から
図3において、製氷皿は、製氷用の水を貯留する貯水位置に配置されている。
図4は製氷機の分解斜視図である。
図5は製氷皿が貯水位置から回転を開始した状態の製氷機の斜視図である。
図6は製氷皿が氷離脱位置に配置された状態の製氷機の斜視図である。
【0018】
製氷機1は冷蔵庫に搭載される。
図1に示すように、製氷機1は、製氷皿5と、製氷皿5を反転させる駆動部6と、製氷皿5および駆動部6を支持するフレーム7とを有する。また、製氷機1は、製氷皿5に製氷用の水を供給するための給水パイプ2を備える。給水パイプ2は、接続配管3(接続水路)を介して図示しない給水タンクに接続されている。接続配管3の途中には、接続配管3を開閉する電磁弁4(弁)が設置されている。
【0019】
また、製氷機1は、電磁弁4を駆動制御する給水制御部8を備える。給水制御部8は、電磁弁4を駆動制御して製氷皿5が満杯となる所定量の水を給水パイプ2から製氷皿5に供給する。また、給水制御部8は、所定量の水を供給する間に電磁弁4の開閉を繰り返し、水を給水パイプ2から断続的に供給する。なお、給水制御部8は冷蔵庫の制御部に一体に設けられている場合もある。
【0020】
製氷皿5は、その平面形状が略長方形である。製氷皿5は給水パイプ2から供給される水を貯留する複数の貯水用凹部9を備える。駆動部6は、製氷皿5を、当該製氷皿5の短
手方向の中央部分を長手方向に通過する軸線L回りに反転させる。駆動部6は、その出力軸10が製氷皿5の軸線L方向の一方側の端部分に連結されている。駆動部6の駆動により、製氷皿5は、貯水用凹部9が上方を向く貯水位置5A(
図1参照)と、貯水用凹部9が下方を向く氷離脱位置5B(
図6参照)との間を回転する。
【0021】
製氷機1は、
図1に示すように、製氷皿5を貯水位置5Aに配置して給水パイプ2から供給される所定量の水を製氷皿5の貯水用凹部9に貯留して、製氷を行う。製氷が完了すると、駆動部6は、
図5に示すように、製氷皿5を貯水位置5Aから氷離脱位置5Bに向かう第1回転方向R1に回転させて、
図6に示す氷離脱位置5Bに到達させる。これにより、製氷皿5の氷を製氷機1の下方に配置した貯氷容器(不図示)へ落下させる。
【0022】
以下の説明では、互いに直交する3方向をX方向、Y方向、Z方向とする。X方向は軸線L方向である。Z方向は製氷機1の設置姿勢(
図1に示す姿勢)における上下方向である。Y方向は、軸線L方向および上下方向と直交する方向である。また、X方向において、駆動部6が位置する側をX1方向とし、製氷皿5が位置する側をX2方向とする。Z方向において、上方をZ1方向、下方をZ2方向とする。また、Y方向において、製氷皿5が軸線L回りを貯水位置5Aから氷離脱位置5Bに向かう第1回転方向R1に回転する際に、貯水用凹部9の開口が向く方向をY1方向とし、その反対側をY2方向とする。
【0023】
(製氷皿)
製氷皿5は弾性変形可能な可撓性材料からなる。本例では製氷皿5は樹脂材料からなる。
図4に示すように、製氷皿5は、X1方向に位置する第1壁部15と、X2方向に位置する第2壁部16と、を備える。第1壁部15には駆動部6の出力軸10に連結される連結部17が設けられている。第2壁部16には、連結部17と同軸に、軸部18が設けられている。軸部18は第2壁部16からX2方向に突出する。また、第2壁部16は、製氷皿5が貯水位置5Aに配置するときに、軸部18からY1方向に離間する位置からX2方向に突出する突出部19を備える。
【0024】
製氷皿5において、第1壁部15と第2壁部16との間には複数の貯水用凹部9が配置されている。貯水用凹部9は、Y方向に並ぶ2つの貯水用凹部9が組になってX方向に4列配置されている。製氷皿5は、隣り合う2つの貯水用凹部9を互いに部分的に連通させる連通部20を備える。より詳細には、製氷皿5は、X方向に配列された4つの貯水用凹部9について、隣り合う貯水用凹部9を互いに部分的に連通させる連通部20を備える。また、製氷皿5は、X1方向の端においてY方向に配列された2つの貯水用凹部9を互いに部分的に連通させる連通部20を備える。さらに、製氷皿5は、X2方向の端においてY方向に配列された2つの貯水用凹部9を互いに部分的に連通させる連通部20を備える。連通部20は、隣り合う貯水用凹部9の間に位置する壁を上方から切り欠いた切欠きである。また、製氷皿5は、製氷皿5を貯水位置5Aに配置したときに、複数の貯水用凹部9の開口を囲んで上方に延びる矩形枠状の周壁部21を備える。
【0025】
ここで、
図5に示すように、製氷皿5において、製氷皿5を貯水位置5Aに配置したときに軸部18よりもY1方向に位置する部分は、製氷皿5が貯水位置5Aから氷離脱位置5Bへ向かう第1回転方向R1へ回転を開始するときに、Z2方向(下方)に移動する製氷皿部分22である。
【0026】
図2に示すように、製氷皿5において、Z2方向の下面には、貯水用凹部9の形状が反映された凸部が配列されている。製氷皿5の下面には、製氷皿5の温度を検知するサーミスタ25が配置されている。サーミスタ25は、製氷皿5の下面に固定されたカバー26で覆われている。
【0027】
(駆動部)
図2に示すように、駆動部6は、直方体状に成形されたケース31を備える。ケース31には、駆動源となるモータと、モータの回転力を伝達する回転伝達機構と、回転伝達機構によりモータの回転力が伝達されるカム歯車とが収納されている。カム歯車には、出力軸10が一体成形されている。出力軸10は、ケース31のX2方向の端板32に設けられた穴33からケース31の外方に突出する。
図4に示すように、出力軸10は製氷皿5の第1壁部15に設けられた連結部17に連結される。出力軸10は、製氷皿5を貯水位置5Aから氷離脱位置5Bに回転させる際には、軸線Lを中心に第1回転方向R1に回転する。また、出力軸10は、製氷皿5を氷離脱位置5Bから貯水位置5Aに戻す際には、第1回転方向R1とは反対の第2回転方向R2に回転する。
【0028】
製氷皿5に対してY1方向で隣り合う位置には検氷レバー35が配置されている。駆動部6のケース31内には、出力軸10と一体に回転するカム歯車の回転角度に応じてカム歯車と連動して検氷レバー35を軸線L回り(
図4参照)に回転させる動作させる検氷機構や、サーミスタ25からの信号に基づいて動作するスイッチ機構等が構成されている。
【0029】
(フレーム)
図1、
図3、
図4に示すように、フレーム7は、製氷皿5および駆動部6のY1方向の側でX方向に延びる第1枠部分41(延設部分)と、製氷皿5および駆動部6のY2方向の側で第1枠部分41と平行に延びる第2枠部分42とを備える。また、フレーム7は、Y方向に延びて第1枠部分41および第2枠部分42のX1方向の端を接続する第3枠部分43と、Y方向に延びて第1枠部分41および第2枠部分42のX2方向の端を接続する第4枠部分44(対向部分)と、を備える。さらに、フレーム7は、第3枠部分43の上端からX2方向に張り出して駆動部6の上方で第1枠部分41と第2枠部分42との間を部分的に接続する矩形の支持部45を備える。第1枠部分41、第2枠部分42は、製氷皿5が軸線回りに回転する回転軌跡Tから側方(Y方向)に外れている(
図7参照)。第3枠部分43、第4枠部分44、支持部45は、製氷皿5が軸線回りに回転する回転軌跡Tから側方(X方向)に外れている。支持部45には、駆動部6が支持されている。
【0030】
第1枠部分41は、Z方向から見た場合に検氷レバー35と重なっている。第1枠部分41には、検氷レバー35の上端部が内側に位置する開口部41aが設けられている。開口部41aはX方向における第1枠部分41の中程に位置する。第3枠部分43は、フレーム7のX1方向の端を規定する端板であり、X方向から見た場合の形状が矩形である。第3枠部分43は、支持部45に支持された駆動部6をX1方向から被う。
【0031】
第4枠部分44は、板状の複数のリブが互いに連結された多孔性の壁である。
図4に示すように、第4枠部分44におけるX1方向の側の面の中央には、製氷皿5の軸部18を回転可能に支持する軸穴47が設けられている。駆動部6の出力軸10に製氷皿5の連結部17が連結された状態で、駆動部6がフレーム7の支持部45に支持され、製氷皿5の軸部18が軸穴47に挿入されると、
図1から
図3に示すように、駆動部6および製氷皿5はフレーム7に支持される。駆動部6および製氷皿5がフレーム7に支持されると、駆動部6が動作したときに、製氷皿5が軸線L回りに回転可能となる。
【0032】
また、
図4に示すように、第4枠部分44には、製氷皿5が軸線L周を貯水位置5Aから第1回転方向R1に回転して氷離脱位置5Bに達したときに第1回転方向R1の前方から製氷皿5(突出部19)に当接する被当接部48が設けられている。被当接部48は第4枠部分44からX1方向に突出する。被当接部48は、氷離脱位置5Bにおいて突出部19に当接して、第1回転方向R1に駆動されている製氷皿5の回転を阻止する。これにより、製氷皿5には捻りが発生する。
【0033】
フレーム7において、第1枠部分41および第4枠部分44からなるフレーム部分50の上面には給水パイプ2から供給される水を流通させる給水路55が設けられている。給水路55は凹溝であり、上方が解放状態となっている。給水路55は、第4枠部分44に沿ってY方向(軸線Lと交差する方向)に延びる第1給水路部分56と、第1給水路部分56のY1方向の端部分から第1枠部分41に沿ってX方向に延びる第2給水路部分57とを備える。第2給水路部分57は、開口部41aよりもX2方向の側に位置する。従って、給水路55は、フレーム7のX2方向の側の部分に設けられている。
【0034】
また、フレーム7は、フレーム部分50(第1枠部分41)からY2方向(製氷皿5の回転軌跡Tの側)に突出する注水部60を備える。注水部60は、製氷皿5が貯水位置5Aにある状態を上方から見た場合に、製氷皿5において軸線LよりもY1方向の側に位置する製氷皿部分22に重なる。
【0035】
図3に示すように、注水部60は第2給水路部分57におけるX1方向の端部分に連通する。より詳細には、給水路55は、第1枠部分41(フレーム部分50)において製氷皿5が位置する側の面で開口する給水出口61を備える。注水部60と給水路55とは給水出口61を介して連通する。
【0036】
ここで、給水路55の底面55aは、注水部60に向かって下方に傾斜している。すなわち、第1給水路部分56はY1方向に向かって下方に傾斜し、第2給水路部分57は、第1給水路部分56のY1方向の端部分からX1方向に向かって下方に傾斜する。また、第2給水路部分57のX1方向の端部は給水出口61に向かって下方に傾斜している。
【0037】
(注水部)
図7は
図1のA-A線で切断した製氷機1の断面図である。
図8は
図5のB-B線で切断した製氷機1の断面図である。
図9は
図6のC-C線で切断した製氷機1の断面図である。注水部60は、
図1、
図4に示すように、上面62aが給水出口61を介して給水路55(第2給水路部分57)の底面55aに連続する底板部62(底部)と、フレーム部分50において給水出口61を間に挟んで対向する当該給水出口61の開口縁部分からそれぞれ製氷皿5の側に突出する一対の壁部63を備える。
【0038】
底板部62は、第1枠部分41からY2方向に向かって下方に傾斜する第1傾斜板部64と、第1傾斜板部64の先端縁からY2方向に向かって第1傾斜板部64よりも急な勾配で下方に傾斜する第2傾斜板部65を備える。
図3に示すように、注水部60の先端60a(底板部62の先端)は、複数の貯水用凹部9のうち、X2方向の端においてY1方向の側に位置する貯水用凹部9の上方に位置する。また、
図7に示すように、注水部60の先端60a(底板部62の先端)は、製氷皿5が貯水位置5Aにあるときに、製氷皿5の上端(周壁部21の上端21a)よりも下方に位置する。換言すれば、第2傾斜板部65の先端は、製氷皿5の周壁部21の内側に挿入されている。
【0039】
ここで、給水パイプ2は、給水口2aが第1給水路部分56の上方に位置している。
【0040】
(製氷動作)
図1に示すように、製氷動作を開始する初期状態では、製氷皿5は貯水位置5Aに配置されている。この状態で、冷蔵庫の制御部から給水制御部8に給水を行う給水指令が送信されると、給水制御部8は、電磁弁4を駆動して、給水タンクから所定量の水を製氷皿5に供給して、製氷皿5を満杯とする。また、給水制御部8は、所定量の水を製氷皿5に供給する間に、一定時間だけ電磁弁4を開く開動作と、弁を閉じる閉動作とを繰り返す。これにより、給水制御部8は給水パイプ2から水を断続的に供給して、給水パイプ2から一度に給水路55に注がれる水の流量を調整する。
【0041】
図7に一点鎖線の矢印で示すように、給水口2aを介して給水パイプ2から給水路55に注がれる水Wは、給水路55の第1給水路部分56から第2給水路部分57を流れて、給水出口61に向かう。また、給水出口61から注水部60に流入して、注水部60から製氷皿5に注がれる。
【0042】
ここで、給水路55は、その底面55aが給水部に向かって下方に傾斜している。よって、給水パイプ2から給水路55に注がれる水は淀みなく給水出口61に向かう。また、注水部60は、製氷皿5が貯水位置5Aにあるときに、製氷皿5と重なる位置にある。従って、注水部60から注がれる水は確実に製氷皿5に流入する。なお、給水路55は、その底面55aが注水部60に向かって下方に傾斜しているので、給水が停止したときに、給水路55に水が残って結氷してしまうことを防止できる。
【0043】
さらに、注水部60では、給水出口61から流出する水を一対の壁部63が底板部62の上面に沿って案内して、製氷皿5に導く。また、
図7に示すように、注水部60の先端60aが、製氷皿5の上端(周壁部21の上端21a)よりも下方に位置するので、注水部60から製氷皿5に注がれる水を、製氷皿5から外に飛散させることなく、貯水用凹部9に貯留できる。
【0044】
また、給水制御部8は、給水時に電磁弁4の開閉動作を繰り返すことにより、給水パイプ2から一度に給水路55に一度に注がれる水の量を調整する。従って、給水パイプ2から給水路55に注がれる水が、給水路55や注水部60から外側に飛散してしまうことを防止できる。
【0045】
ここで、注水部60から製氷皿5に注がれる水は、注水部60に最も近い貯水用凹部9に流入する。そして、この貯水用凹部9から、連通部20を介してX方向およびY方向に隣り合う貯水用凹部9に流入して、全ての貯水用凹部9に貯留される。
【0046】
その後、給水パイプ2から所定量の水が供給されると、貯水用凹部9への水の充填は終了する。しかる後に、製氷皿5内に充填された水は冷却される。製氷が完了したか否かは、製氷皿5に取り付けられたサーミスタ25により、製氷皿5の温度が所定温度以下となったか否かで判断される。
【0047】
製氷が完了すると、検氷レバー35により、製氷皿5の下方に設置された貯氷容器の氷量の検出が行なわれる。具体的には、検氷レバー35が駆動部6に駆動されて下降する。その際、検氷レバー35が所定位置まで下降する場合には、貯氷容器内が満氷でないと判断される。一方、所定位置まで下降する前に、検氷レバー35が貯氷容器内の氷に接触する場合には、貯氷容器内が満氷であると判断される。貯氷容器内が満氷の場合には、所定時間待機した後、再度、検氷レバー35により貯氷容器内の氷量の検出が行なわれる。
【0048】
貯氷容器内が満氷でない場合には、製氷皿5から氷を離脱させて、貯氷容器内に落下させる。具体的には、
図5、
図8に示すように、製氷機1は、駆動部6の駆動により出力軸10を第1回転方向R1に回転させて、製氷皿5を、軸線L回りで第1回転方向R1に回転させる。
【0049】
ここで、
図3に示すように、注水部60は、フレーム7の第1枠部分41から製氷皿5の側に突出しており、製氷皿5が貯水位置5Aにある状態を上方から見た場合には、製氷皿5と重なっている。しかし、注水部60が重なる製氷皿部分22は、製氷皿5において軸線LよりもY1方向の側に位置しており、製氷皿5が第1回転方向R1に回転するときに下方する。従って、
図8に示すように、製氷皿5が第1回転方向R1に回転するのに伴
って製氷皿5は注水部60から離間する。よって、製氷皿5が回転する際に、フレーム7から突出する注水部60と回転する製氷皿5とが、干渉することはない。
【0050】
製氷皿5は、水平に配置された貯水位置5Aから90°以上の所定の回転角(例えば120°)まで製氷皿5が回転して、
図6および
図9に示す氷離脱位置5Bに到達する。
図9に示すように、氷離脱位置5Bでは、フレーム7の被当接部48に製氷皿5の突出部19が当接する。
【0051】
ここで、製氷皿5の突出部19がフレーム7の被当接部48に当接した時点では、製氷皿5は駆動部6によって第1回転方向R1に駆動されているが、突出部19と被当接部48との当接によって製氷皿5が更に第1回転方向R1に回転することが阻止される。これにより、製氷皿5には捻りが加えられて、変形する。よって、製氷皿5内の氷が貯水用凹部9から剥離し、製氷皿5から離脱して、貯氷容器に落下する。
【0052】
製氷皿5が氷離脱位置5Bに配置された状態では、注水部60は、製氷皿5の第1回転方向R1の前方に離間している。製氷皿5が氷離脱位置5Bに配置された状態では、製氷皿5(突出部19)と被当接部48との当接によって、製氷皿5が更に第1回転方向R1へ回転することが阻止されている。従って、製氷皿5と注水部60とは干渉することがない。
【0053】
その後、駆動部6は、製氷皿5を第2回転方向R2方向に回転させ、製氷皿5を貯水用凹部9が上を向く貯水位置5Aに戻す。そして、上記の製氷動作が繰り返される。
【0054】
(作用効果)
本発明では、給水パイプ2からの水は、製氷皿5の回転軌跡Tの側方に位置するフレーム7のフレーム部分50に設けられた給水路55に供給され、給水路55から注水部60に流入して、注水部60から貯水用凹部9に注がれる。従って、給水パイプ2の給水口2aを製氷皿5の側方に位置させることができる。これにより、給水パイプ2の給水口2aを製氷皿5の上方で当該製氷皿5の回転軌跡Tから離間する位置に配置する必要がなくなるので、給水パイプ2を含めた製氷機1の設置スペースをZ方向で抑制できる。
【0055】
また、本例では、給水路55は、フレーム7の上面62aにおいて駆動部6とはX方向に離間する位置に設けられている。従って、給水パイプ2から給水路55に注がれた水が飛散した場合でも、駆動部6にかかることを防止できる。
【0056】
(変形例)
上記の例では、給水パイプ2は、その給水口2aが給水路55の第1給水路部分56のY方向の中央部分に位置するように設置されているが、給水パイプ2の配置は、給水口2aが第1給水路部分56の上方であれば、Y方向のどのような位置に配置してもよい。また、給水パイプ2は、その給水口2aが第2給水路部分57の上方に位置すれば、X方向のどのような位置に配置してもよい。すなわち、本例の製氷機1は、給水路55は、第4枠部分44の上面に設けた第1給水路部分56と、第1枠部分41の上面に設けた第2給水路部分57と、を備えるので、給水路55に水を供給する給水パイプ2の配置の自由度が高い。
【0057】
また、注水部60は、第4枠部分44から製氷皿5の側(X1方向)に突出させてもよい。この場合にも、注水部60を、製氷皿5が貯水位置5Aに位置する状態を上方から見た場合に、製氷皿部分22と重なる位置に設ければ、回転する製氷皿5と注水部60との干渉を回避できる。また、この場合には、第4枠部分44のX1方向の側の面に給水出口を設ければ、第1給水路部分56と注水部60とを連通させることができる。また、この
場合にも、給水路55は、その底面55aが注水部60に向かって下方に傾斜するものとする。
【符号の説明】
【0058】
1…製氷機、2…給水パイプ、2a…給水口、3…接続配管(接続水路)、4…電磁弁、5…製氷皿、5A…貯水位置、5B…氷離脱位置、6…駆動部、7…フレーム、8…給水制御部、9…貯水用凹部、10…出力軸、15…第1壁部、16…第2壁部、17…連結部、18…軸部、19…突出部、20…連通部、21…周壁部、21a…上端、22…製氷皿部分、25…サーミスタ、26…カバー、31…ケース、32…端板、33…穴、35…検氷レバー、41…第1枠部分(延設部分)、41a…開口部、42…第2枠部分、43…第3枠部分、44…第4枠部分(対向部分)、45…支持部、47…軸穴、48…被当接部、50…フレーム部分、55…給水路、55a…底面、56…第1給水路部分、57…第2給水路部分、60…注水部、60a…先端、61…給水出口、62…底板部(底部)、62a…上面、63…壁部、64…第1傾斜板部、65…第2傾斜板部、R1…第1回転方向、R2…第2回転方向