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特許7016740検査支援方法、当該検査支援方法をプロセッサに実行させるプログラム、ならびに当該検査支援方法を実行するための検査装置および支援装置
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  • 特許-検査支援方法、当該検査支援方法をプロセッサに実行させるプログラム、ならびに当該検査支援方法を実行するための検査装置および支援装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-28
(45)【発行日】2022-02-07
(54)【発明の名称】検査支援方法、当該検査支援方法をプロセッサに実行させるプログラム、ならびに当該検査支援方法を実行するための検査装置および支援装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20220131BHJP
   A61B 5/33 20210101ALI20220131BHJP
【FI】
A61B5/00 L
A61B5/33 300
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2018051305
(22)【出願日】2018-03-19
(65)【公開番号】P2019162239
(43)【公開日】2019-09-26
【審査請求日】2021-01-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000230962
【氏名又は名称】日本光電工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小池 晃弘
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 智
【審査官】樋口 祐介
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-154988(JP,A)
【文献】特開2016-174906(JP,A)
【文献】特開2017-059261(JP,A)
【文献】特開2016-127942(JP,A)
【文献】国際公開第2009/013939(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B5/00-5/398
G06Q50/22
G16H10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者に携帯されて当該被検者の生体情報を取得する検査装置、および当該検査装置とは異なる支援装置を含む検査支援システムにおいて少なくとも一つのプロセッサにより実行される検査支援方法であって、
前記生体情報とは異なる情報を前記支援装置により取得するステップと、
前記生体情報とは異なる情報のうち前記検査装置により取得できない支援情報を特定するステップと、
前記生体情報と関連付けて前記支援情報を記録するステップと
を含んでいる、
検査支援方法。
【請求項2】
前記支援情報の少なくとも一部を、前記検査装置および前記支援装置とは異なる外部情報源から取得するステップを含んでいる、
請求項1に記載の検査支援方法。
【請求項3】
少なくとも前記支援情報が前記支援装置から前記検査装置へ無線送信され、
前記支援情報は、前記検査装置において前記生体情報と関連付けて記録される、
請求項1または2に記載の検査支援方法。
【請求項4】
前記支援情報の前記検査装置への無線送信は、前記生体情報の記録後に一括してなされる、
請求項3に記載の検査支援方法。
【請求項5】
前記支援情報の特定は、予め前記支援装置において行なわれる、
請求項1から4のいずれか一項に記載の検査支援方法。
【請求項6】
前記支援装置による前記支援情報の取得は、前記検査装置から前記支援装置への通信に基づいて開始される、
請求項1から5のいずれか一項に記載の検査支援方法。
【請求項7】
前記支援装置による前記支援情報の取得は、前記検査装置から前記支援装置への通信に基づいて終了される、
請求項1から6のいずれか一項に記載の検査支援方法。
【請求項8】
生体情報と関連付けて前記支援情報を記録するステップは、前記検査装置と前記支援装置以外の装置においてなされる、
請求項1から7のいずれか一項に記載の検査支援方法。
【請求項9】
被検者に携帯されて当該被検者の生体情報を取得する検査装置とは異なる支援装置において少なくとも一つのプロセッサにより実行される検査支援方法であって、
前記生体情報とは異なる情報を取得するステップと、
前記生体情報とは異なる情報のうち少なくとも前記検査装置によって取得できない支援情報を特定するステップと、
前記支援情報を、前記生体情報と関連付け可能な状態にするステップと、
を含んでいる、
検査支援方法。
【請求項10】
被検者に携帯される検査装置において少なくとも一つのプロセッサにより実行される検査支援方法であって、
前記被検者の生体情報を取得するステップと、
前記生体情報とは異なる情報を取得する支援装置から当該情報を受信するステップと、
前記支援装置から受信した情報のうち前記検査装置によって取得できない支援情報を特定するステップと、
前記生体情報を、前記支援情報と関連付け可能にするステップと、
を含んでいる、
検査支援方法。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の検査支援方法を少なくとも一つのプロセッサに実行させる、
プログラム。
【請求項12】
請求項9に記載の検査支援方法を実行する少なくとも一つのプロセッサを備えている、支援装置。
【請求項13】
請求項10に記載の検査支援方法を実行する少なくとも一つのプロセッサを備えている、
検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、被検者に携帯されて当該被検者の生体情報を取得する検査装置、および当該検査装置とは異なる支援装置を含む検査支援システムにおいて少なくとも一つのプロセッサにより実行される検査支援方法に関連する。また、本開示は、当該検査支援方法を少なくとも一つのプロセッサに実行させるプログラム、および当該プログラムを記憶する記憶媒体に関連する。さらに、本開示は、当該検査支援方法を実行するための検査装置と支援装置に関連する。
【背景技術】
【0002】
不整脈を発見するために、被検者の心電図を長期間にわたって収集する検査がある。特許文献1は、そのような検査に使用される検査装置の一例を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平08-299293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
被検者が医療従事者の管理下にない間も検査は継続される。その間、当該被検者は、行動記録を義務付けられる。具体的には、起床、運動、食事、入浴、排便、就寝などの行動に加え、胸痛を自覚した日時が所定の用紙に手書きで記録される。後日、医療従事者は、当該記録を参照しつつ検査装置により取得された生体情報を確認することによって、被検者の行動と生体情報の関連性について分析する。
【0005】
本開示の目的は、長期検査中の被検者の負担を軽減するとともに、医療従事者による検査結果の分析を支援することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための本開示の一態様は、被検者に携帯されて当該被検者の生体情報を取得する検査装置、および当該検査装置とは異なる支援装置を含む検査支援システムにおいて少なくとも一つのプロセッサにより実行される検査支援方法であって、
前記生体情報とは異なる情報を前記支援装置により取得するステップと、
前記生体情報とは異なる情報のうち前記検査装置により取得できない支援情報を特定するステップと、
前記生体情報と関連付けて前記支援情報を記録するステップと
を含んでいる。
【0007】
このような構成によれば、医療従事者による生体情報の分析を支援しうる支援情報の少なくとも一部が支援装置によって取得されるので、検査装置が情報取得のために備える構成を必要最小限にできる。これにより、検査装置の大型化、重量増、および電力消費の少なくとも一つを抑制できる。したがって、医療従事者による心電図データの分析を支援しつつ、長期間にわたる検査が被検者に与える負担を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に係る検査支援システムの構成を示している。
図2】上記の検査支援システムにおける携帯型心電図記録器と支援装置の機能構成を示している。
図3】上記の検査支援システムにおいて行なわれる検査支援方法の第一の例を示している。
図4】上記の検査支援システムにおいて行なわれる検査支援方法の第二の例を示している。
図5】上記の検査支援システムにおいて行なわれる検査支援方法の第三の例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
添付の図面を参照しつつ、実施形態の例を以下詳細に説明する。
【0010】
図1に示されるように、一実施形態に係る検査支援システム1は、携帯型心電図記録器2(以下、単に心電図記録器2と記す)を含んでいる。心電図記録器2は、被検者Sに携帯される。換言すると、心電図記録器2は、被検者Sが携帯可能な寸法と重量を有するように構成されている。心電図記録器2は、検査装置の一例である。
【0011】
図1に示されるように、被検者Sの胸部には複数の電極Eが装着および固定される。各電極Eは、装着された身体部位の生体電位を検出する。図2に示されるように、心電図記録器2は、インターフェース21を備えている。各電極Eを通じて検出された生体電位に対応する信号は、インターフェース21に入力される。インターフェース21は、入力された信号を後段の処理に必要な心電図データに変換する回路を含んでいる。当該回路としては、A/D変換回路、フィルタ回路などが例示されうる。すなわち、心電図データは、被検者Sの心電図に対応するデジタルデータである。心電図データは、生体情報の一例である。
【0012】
図1に示される例においては、複数の電極Eが心電図記録器2に有線接続されている。しかしながら、各電極Eを通じて検出された生体電位に対応する信号は、無線通信を介してインターフェース21に入力されてもよい。あるいは、心電図記録器2に複数の電極Eが内蔵された構成も採用されうる。この場合、心電図記録器2は、被検者Sの胸部に装着および固定される。
【0013】
図2に示されるように、心電図記録器2は、記録部22を備えている。記録部22は、心電図データを記録するためのストレージを備えるように構成されている。ストレージの例としては、半導体メモリやハードディスクドライブなどが例示されうる。
【0014】
心電図記録器2は、制御部23を備えている。制御部23は、プロセッサを備えている。プロセッサは、後述する検査支援方法の少なくとも一部を実行するように構成されている。プロセッサの機能は、メモリと協働して動作する汎用マイクロプロセッサにより実現されてもよいし、マイクロコントローラ、FPGA、ASICなどの専用集積回路によって実現されてもよい。
【0015】
心電図記録器2において、インターフェース21、記録部22、および制御部23は、通信バス24を介して相互に信号やデータのやり取りが可能とされている。
【0016】
図1に示されるように、検査支援システム1は、支援装置3を含んでいる。支援装置3は、心電図データとは異なる情報を取得するための装置である。支援装置3は、被検者Sが携帯可能な寸法と重量を有するように構成されている。
【0017】
支援装置3は、制御部31を備えている。制御部31は、プロセッサを備えている。プロセッサは、後述する検査支援方法の少なくとも一部を実行するように構成されている。プロセッサの機能は、メモリと協働して動作する汎用マイクロプロセッサにより実現されてもよいし、マイクロコントローラ、FPGA、ASICなどの専用集積回路によって実現されてもよい。
【0018】
支援装置3は、記録部32を備えている。記録部32は、種々のデータを記憶するためのストレージを備えるように構成されている。ストレージの例としては、半導体メモリやハードディスクドライブなどが例示されうる。
【0019】
支援装置3において、制御部31と記録部32は、通信バス33を介して相互に信号やデータのやり取りが可能とされている。
【0020】
図3は、上記のように構成された検査支援システム1において行なわれる検査支援方法の第一の例を示している。心電図記録器2において実行される処理は、制御部23の制御下において行なわれる。支援装置3において実行される処理は、制御部31の制御下において行なわれる。
【0021】
心電図記録器2は、複数の電極Eが所定の身体部位に装着・固定された状態で、被検者Sにより携帯される。心電図記録器2は、記録部22への心電図データの記録を開始する(STEP1)。心電図データは、当該データが取得された時刻を示す時刻情報とともに記録部22へ記録される。
【0022】
他方、支援装置3は、被検者Sに携帯された状態で、心電図データとは異なる情報の取得を開始する(STEP2)。例えば、図2に示されるように、支援装置3は、センサ34を備えうる。センサ34としては、加速度センサや体温センサが例示されうる。支援装置3は、加速度センサを通じて被検者Sの体動に係る情報を取得できる。支援装置3は、体温センサを通じて被検者Sの体温に係る情報を取得できる。
【0023】
センサ34は、通信バス33に接続されうる。センサ34を通じて取得された情報は、当該情報が取得された時刻を示す時刻情報とともに記録部32に記録される。
【0024】
心電図記録器2による心電図データの記録が終了した(STEP3)後、記録部22に記録された心電図データの分析が医療従事者によって行なわれる。その際、支援装置3の記録部32に記録された情報の参照がなされる。
【0025】
具体的には、まず支援情報の特定がなされる(STEP4)。支援情報は、支援装置3により取得された情報のうち、心電図記録器2によっては取得できない情報である。上記の例においては、支援装置3により被検者Sの体動に係る情報と体温に係る情報が取得されている。心電図記録器2によっては両情報とも取得できないので、両情報が支援情報に該当する。
【0026】
続いて、心電図データと支援情報の関連付けがなされる(STEP5)。具体的には、心電図記録器2の記録部22に記録された心電図データと、支援装置3の記録部32に記録された情報のうち支援情報と特定されたものとが、適当な装置により読み出される。そのような装置としては、USB接続などにより心電図記録器2や支援装置3とデータ送受信が可能なパーソナルコンピュータなどが例示されうる。心電図データと支援情報の各々は、時刻情報と対応付けられている。心電図記録器2と支援装置3以外の当該装置においては、この時刻情報を介して心電図データと支援情報の関連付けがなされる。
【0027】
例えば、ある時刻の心電図データに通常とは異なる傾向が見出された場合、医療従事者は、当該時刻に対応付けられている支援情報を参照できる。同時刻において支援装置3により取得された情報から被検者Sの大きな体動と体温上昇が認められた場合、医療従事者は、被検者Sが同時刻に比較的激しい運動を行なっており、心電図データの通常とは異なる傾向は、当該運動に起因するものであると分析できる。
【0028】
図2に示されるように、心電図記録器2は、電極Eとは異なる少なくとも一つのセンサSRと接続されうる。センサSRは、被検者Sに携帯されて心電図データとは異なる情報を取得するためのセンサである。センサSRとしては、加速度センサ、体温センサ、非観血動脈血酸素飽和度(SpO2)センサ、脳波センサ、GPSセンサ、気温センサ、湿度センサ、気圧センサ、標高センサなどが例示されうる。心電図記録器2とセンサSRの間での信号やデータの通信は、有線通信によりなされてもよいし、無線通信によりなされてもよい。センサSRは、心電図記録器2に内蔵されてもよい。
【0029】
この場合、図3に示されるように、心電図記録器2は、心電図データの記録中にセンサSRからも情報を取得する(STEP6)。センサSRを通じて取得された情報は、当該情報が取得された時刻を示す時刻情報とともに記録部22へ記録される。
【0030】
例えばセンサSRが加速度センサである場合、心電図記録器2は、被検者Sの体動に係る情報を取得できる。したがって、この場合においては、上記のように支援装置3により取得された情報のうち、STEP4において支援情報として特定されるのは、被検者Sの体温に係る情報のみとなる。
【0031】
上記のような構成によれば、医療従事者による心電図データの分析を支援しうる支援情報の少なくとも一部が支援装置3によって取得されるので、心電図記録器2が情報取得のために備える構成を必要最小限にできる。これにより、心電図記録器2の大型化、重量増、および電力消費の少なくとも一つを抑制できる。したがって、医療従事者による心電図データの分析を支援しつつ、長期間にわたる検査が被検者Sに与える負担を軽減できる。
【0032】
図2に示されるように、支援装置3は、センサ34に加えてあるいは代えて、インターフェース35を備えうる。インターフェース35は、外部情報源EIとの通信が可能である通信インターフェースを備えている。そのような通信インターフェースとしては、RFID(Radio Frequency Identification)、NFC(Near Field Communication)、Bluetooth(登録商標)やWi-Fiなどの規格に準拠した通信インターフェースが例示されうる。支援装置3は、心電図記録器2が取得できない情報を、インターフェース35を介して外部情報源EIから取得しうる。
【0033】
インターフェース35は、通信バス33に接続されうる。インターフェース35を介して取得された情報は、当該情報が取得された時刻を示す時刻情報とともに記録部32に記録される。
【0034】
例えば、心電図記録器2がGPSシステムから位置情報を取得できない構成である場合、支援装置3は、外部情報源EIとしてのGPSシステムから被検者Sの現在位置情報を取得できる。取得された現在位置情報は、当該情報が取得された時刻を示す現在時刻情報とともに記録部32に記録される。
【0035】
例えば、心電図記録器2が環境情報を取得できない構成である場合、支援装置3は、外部情報源EIとしての外部機器から被検者Sの周囲の環境情報を取得できる。環境情報は、被検者Sの所在地における気温、湿度、気圧、標高、天気などを示す情報である。取得された環境情報は、当該情報が取得された時刻を示す現在時刻情報とともに記録部32に記録される。外部情報源EIは、公的ネットワーク上において環境情報を提供するサービスサイトでありうる。
【0036】
前述したセンサSRもまた、外部情報源EIになりうる。この場合、センサSRからの信号は、心電図記録器2のインターフェース21ではなく、支援装置3のインターフェース35に入力される。
【0037】
外部情報源EIから取得された情報は、本来的に心電図記録器2によって取得できない情報であるので、STEP4において支援情報として特定される。外部情報源EIから取得された情報は、支援情報として、時刻情報を介して心電図データとの関連付けがなされる(STEP5)。
【0038】
このような構成によれば、心電図記録器2と支援装置3が情報取得のために備える構成を必要最小限にしつつ、医療従事者による心電図データの分析を支援しうる支援情報の選択自由度を高めることができる。
【0039】
図2に示されるように、心電図記録器2は、通信部25を備えうる。通信部25は、通信バス24に接続されうる。他方、支援装置3は、通信部36を備えうる。通信部36は、通信バス33に接続されうる。通信部25と通信部36は、両者の間で無線通信が可能な通信インターフェースを備えるように構成されうる。そのような通信インターフェースとしては、RFID(Radio Frequency Identification)、NFC(Near Field Communication)、Bluetooth(登録商標)やWi-Fiなどの規格に準拠した通信インターフェースが例示されうる。
【0040】
図4は、そのように構成された検査支援システム1において行なわれる検査支援方法の第二の例を示している。第一の例と実質的に同じ処理については、同一のステップ番号を付与している。第一の例と同様に、心電図記録器2において実行される処理は、制御部23の制御下において行なわれる。支援装置3において実行される処理は、制御部31の制御下において行なわれる。
【0041】
本例においては、支援装置3により取得された情報が、通信部36を介して心電図記録器2へ無線送信される(STEP7)。心電図記録器2は、通信部25を介して当該情報を受信する(STEP8)。
【0042】
続いて、心電図記録器2において、支援情報の特定がなされる(STEP9)。心電図記録器2が取得可能な情報と支援装置3が取得可能な情報が重複している可能性があるので、本ステップにおいて心電図データと関連付けがなされる情報の選別がなされる。例えば、加速度センサと体温センサを通じて取得された情報が支援装置3から受信され、心電図記録器2に接続されたセンサSRに加速度センサが含まれている場合、体温センサを通じて取得された情報のみが支援情報として特定される。
【0043】
なお、心電図記録器2においてセンサSRを通じて取得可能な情報と支援装置3により取得された情報が重複している場合、支援装置3から取得した情報を優先し、センサSRを通じて取得される情報を使用しないように支援情報の特定がなされてもよい。
【0044】
心電図記録器2は、特定された支援情報を、心電図データと関連付けて記録部22に記録する(STEP10)。第一の例と同様に、心電図データと支援情報の関連付けは、時刻情報を介してなされる。
【0045】
このような構成によれば、取得された情報を心電図記録器2内に集約できる。したがって、被検者Sは心電図記録器2のみを分析のために医療従事者に手渡せばよい。医療従事者は、心電図記録器2に記録されたデータのみに基づいて分析を行なえる。よって、被検者Sと医療従事者双方の負担を軽減できる。
【0046】
図示された例においては、心電図記録器2による心電図データの記録中において、支援装置3からの情報の受信が随時なされている。しかしながら、支援装置3からの情報の受信は、心電図データの記録が終了した後に一括して行なわれてもよい。すなわち、上記のSTEP7~10は、STEP3の後に行なわれうる。この場合、心電図記録器2の制御部23の処理負荷を軽減できる。
【0047】
第二の例においては、支援情報の特定は、心電図記録器2において行なわれる。しかしながら、支援情報の特定が予め支援装置3において行なわれてもよい。図5は、そのように構成された検査支援システム1において行なわれる検査支援方法の第三の例を示している。第一の例と実質的に同じ処理については、同一のステップ番号を付与している。第一の例と同様に、心電図記録器2において実行される処理は、制御部23の制御下において行なわれる。支援装置3において実行される処理は、制御部31の制御下において行なわれる。
【0048】
本例においては、まず、心電図記録器2の仕様に基づいて支援情報の特定がなされる(STEP11)。すなわち、心電図データの分析支援に必要とされる情報のうち、心電図記録器2では取得できない情報が特定される。支援情報は、ユーザによって手動で指定されてもよいし、心電図記録器2との仕様に係るデータの通信を通じ、制御部31により自動的に特定されてもよい。
【0049】
支援装置3がセンサ34を備えている場合、特定された支援情報がセンサ34を通じて取得される(STEP12)。支援装置3上で動作するアプリケーションが特定された支援情報を取得可能である場合、当該アプリケーションを通じて支援情報が取得される。取得された支援情報は、記録部32に記録される。
【0050】
支援装置3により取得された支援情報は、通信部36を介して心電図記録器2へ無線送信される(STEP13)。心電図記録器2は、通信部25を介して当該支援情報を受信する(STEP14)。
【0051】
心電図記録器2は、受信した支援情報を、心電図データと関連付けて記録部22に記録する(STEP15)。第一の例と同様に、心電図データと支援情報の関連付けは、時刻情報を介してなされる。
【0052】
このような構成によれば、支援情報として必要最小限の情報の取得と通信がなされるので、検査支援システム1におけるデータ量に係る冗長性を低減できる。したがって、心電図記録器2の制御部23および支援装置3の制御部31における処理負荷を軽減できる。
【0053】
STEP11において特定された支援情報の少なくとも一部は、外部情報源EIから取得されうる。例えば、支援情報として被検者Sの現在位置情報が必要である場合、支援装置3は、インターフェース35を介してGPSシステムから現在位置情報を取得できる。支援情報としてさらに標高情報が必要であり、支援装置3が地図アプリケーションを備えている場合、支援装置3は、GPSシステムから取得した現在位置情報に基づいて地図アプリケーションを起動し、標高情報を取得できる。
【0054】
図示された例においては、心電図記録器2による心電図データの記録中において、支援装置3からの支援情報の受信が随時なされている。しかしながら、支援装置3からの支援情報の受信は、心電図データの記録が終了した後に一括して行なわれてもよい。すなわち、上記のSTEP13~15は、STEP3の後に行なわれうる。この場合、心電図記録器2の制御部23の処理負荷をさらに軽減できる。
【0055】
上記の検査支援方法は、心電図記録器2のプロセッサと支援装置3のプロセッサがプログラムを実行することによって実現される。当該プログラムは、各プロセッサと協働するメモリに予め組み込まれていてもよいし、当該プログラムを記憶している記憶媒体から読み出してもよい。そのような記憶媒体は、SDカードやUSBメモリのような可搬型記憶媒体として提供されてもよいし、支援装置3が通信ネットワークを介して接続可能なサーバ装置が備える記憶媒体であってもよい。
【0056】
上記の実施形態は、本開示の理解を容易にするための例示にすぎない。上記の実施形態に係る構成は、本開示の趣旨を逸脱しなければ、適宜に変更・改良されうる。
【0057】
心電図記録器2と支援装置3の間で無線通信が可能な構成を前提としている第二の例と第三の例においては、支援装置3による支援情報の取得は、心電図記録器2から支援装置3への通信に基づいて開始されうる。例えば、心電図記録器2は、心電図データの記録が開始される(STEP1)旨や支援情報の取得開始を要求する旨を、通信部25を介して支援装置3へ通知してもよい。この場合、支援装置3は、通信部36を介して受信した当該通知に応答して情報の取得(STEP2)を開始する。このような構成によれば、心電図記録器2が必要とする場合にのみ支援装置3が支援情報の取得を開始するので、支援装置3における処理負荷や電力消費を軽減できる。
【0058】
同様に、支援装置3による支援情報の取得は、心電図記録器2から支援装置3への通信に基づいて終了されうる。例えば、心電図記録器2は、心電図データの記録が終了される(STEP3)旨や支援情報の取得終了を要求する旨を、通信部25を介して支援装置3へ通知してもよい。この場合、支援装置3は、通信部36を介して受信した当該通知に応答して情報の取得を終了する。このような構成によれば、心電図記録器2における必要が満たされた場合は、支援装置3が支援情報の取得を終了するので、支援装置3における処理負荷や電力消費を軽減できる。
【0059】
心電図記録器2と支援装置3の間で無線通信が可能な構成を前提としている第二の例と第三の例においても、第一の例で示したように、心電図記録器2と支援装置3以外の装置において心電図データと支援情報の関連付けがなされうる。すなわち、支援情報そのものが支援装置3から心電図記録器2へ送信されなくともよい。
【0060】
この場合、支援装置3が支援情報の取得を開始するにあたり、通信部36を介して心電図記録器2へ時刻情報の要求が送信される。心電図記録器2は、通信部25を介して当該要求を受信し、応答として時刻情報を送信する。支援装置3は、通信部36を介して当該時刻情報を受信する。受信された時刻情報は、取得される支援情報と関連付けられて記録部32に記録される。
【0061】
このような構成によれば、心電図記録器2と支援装置3の間で時刻情報を共有できる。心電図記録器2と支援装置3が個別の時刻情報に基づいて記録を行なう第一の例と比較すると、心電図データと支援情報の関連付け時における時間的精度を向上できる。また、支援装置3は、支援情報を心電図記録器2へ送信する必要がないので、通信時間と通信データ量が減少し、心電図記録器2と支援装置3における電力消費が抑制されうる。
【0062】
上記の実施形態においては、複数の電極Eからの信号が心電図記録器2のインターフェース21に入力されている。しかしながら、単一の電極Eからの信号がインターフェース21に入力される構成も採用されうる。
【0063】
上記の実施形態においては、検査装置として心電図記録器2が例示されている。しかしながら、被検者Sに携帯されて長期間にわたり被検者Sの生体情報を取得するように構成された検査装置であれば、検査支援システム1を構成しうる。
【符号の説明】
【0064】
1:検査支援システム、2:携帯型心電図記録器、23:制御部、3:支援装置、31:制御部、EI:外部情報源、S:被検者、SR:センサ
図1
図2
図3
図4
図5