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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-28
(45)【発行日】2022-02-07
(54)【発明の名称】グリル装置
(51)【国際特許分類】
   A47J 37/06 20060101AFI20220131BHJP
   F24C 3/02 20060101ALI20220131BHJP
   F24C 3/12 20060101ALI20220131BHJP
【FI】
A47J37/06 366
F24C3/02 F
F24C3/12 K
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018052892
(22)【出願日】2018-03-20
(65)【公開番号】P2019162356
(43)【公開日】2019-09-26
【審査請求日】2020-11-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹内 直行
(72)【発明者】
【氏名】林 周作
【審査官】山本 崇昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-237570(JP,A)
【文献】特開2016-056994(JP,A)
【文献】特開2002-130662(JP,A)
【文献】特開2001-050147(JP,A)
【文献】特開2009-142315(JP,A)
【文献】特開2012-097924(JP,A)
【文献】特開2016-217192(JP,A)
【文献】特開2011-000315(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 37/00-37/07
F24C 3/00-3/14
F23K 5/00-5/22
F23N 1/00-5/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被調理物を収容するグリル庫と、該グリル庫内の被調理物を上方から加熱する上火バーナと、前記グリル庫内の被調理物を下方から加熱する下火バーナと、前記グリル庫内で生じた燃焼排気を排出する排気口と、前記各バーナの着火の有無を検出する着火検出部と、前記各バーナに点火するための点火部と、前記両バーナの燃焼を制御するグリル制御部とを備え、前記グリル制御部は、前記上火バーナの燃焼と前記下火バーナの燃焼とを各別に制御して被調理物に応じた調理を実行する調理制御部を備えるグリル装置であって、
前記調理制御部は、調理制御の実行中に、前記上火バーナと前記下火バーナとの何れか一方のバーナの燃焼を維持しているとき、他方のバーナを消火させた後に燃料ガスの供給を開始して前記点火部を駆動する点火動作を行う点火機能部を備え、
前記点火機能部は、消火させた後に点火動作を行った他方のバーナの着火を前記着火検出部が検出しなかったとき、他方のバーナへの燃料ガスの供給を停止させ、予め設定された待機時間が経過した後に、他方のバーナの再点火動作を行うものにおいて、
前記調理制御部は、点火動作の際に前記点火部を駆動する点火動作時間が予め設定されており、
前記点火機能部における前記待機時間は、当該待機時間の待機を実行する直前の点火動作における前記点火動作時間より長い時間が設定されており、
前記点火機能部は、前記他方のバーナに対する前記再点火動作を、前記他方のバーナが着火するまで、又は、予め定められた調理解除時間を超えるまで、前記待機時間を介して複数回実行し、
前記点火機能部における前記点火動作時間は、前記再点火動作が実行される毎に短くなるように設定されることを特徴とするグリル装置。
【請求項2】
被調理物を収容するグリル庫と、該グリル庫内の被調理物を上方から加熱する上火バーナと、前記グリル庫内の被調理物を下方から加熱する下火バーナと、前記グリル庫内で生じた燃焼排気を排出する排気口と、前記各バーナの着火の有無を検出する着火検出部と、前記各バーナに点火するための点火部と、前記両バーナの燃焼を制御するグリル制御部とを備え、前記グリル制御部は、前記上火バーナの燃焼と前記下火バーナの燃焼とを各別に制御して被調理物に応じた調理を実行する調理制御部を備えるグリル装置であって、
前記調理制御部は、調理制御の実行中に、前記上火バーナと前記下火バーナとの何れか一方のバーナの燃焼を維持しているとき、他方のバーナを消火させた後に燃料ガスの供給を開始して前記点火部を駆動する点火動作を行う点火機能部を備え、
前記点火機能部は、消火させた後に点火動作を行った他方のバーナの着火を前記着火検出部が検出しなかったとき、他方のバーナへの燃料ガスの供給を停止させ、予め設定された待機時間が経過した後に、他方のバーナの再点火動作を行うものにおいて、
前記調理制御部は、点火動作の際に前記点火部を駆動する点火動作時間が予め設定されており、
前記点火機能部における前記待機時間は、当該待機時間の待機を実行する直前の点火動作における前記点火動作時間より長い時間が設定され且つ前記再点火動作が実行される毎に短くなるように設定されることを特徴とするグリル装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上火バーナと下火バーナとを備えるグリル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のグリル装置として、調理中に被調理物を裏返すことなく被調理物の上下両面を加熱するために、上火バーナと下火バーナとを備えているものが知られている。更に、上火バーナを消火して下火バーナによって被調理物を加熱することにより、被調理物の焦げ過ぎを防止しながらグリル庫内の温度を比較的高くして、所謂オーブン調理を可能としたグリル装置が知られている(下記特許文献1参照)。このものでは、上火バーナと下火バーナとを各別に制御することが行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-223361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上火バーナと下火バーナとを各別に制御すると、下火バーナの燃焼を維持しつつ上火バーナの燃焼をON・OFFさせる制御(即ち、下火バーナの燃焼中に上火バーナを一旦消火し、予め設定された時間経過後に上火バーナに点火する制御)を自動で行うことができる。そこで、例えば、魚の切り身の照り焼きに適度な焦げ目をつけたり、てんぷらをあたためて表面を揚げたての状態に戻すといった自動調理が容易に行える。
【0005】
しかし、上火バーナと下火バーナとを各別に制御するとき、一方のバーナの燃焼中に他方のバーナへの再点火を行った場合には、他方のバーナが着火しないおそれがある。点火動作は、燃料ガスの供給を開始し、イグナイタを駆動して点火プラグとバーナとの間で火花放電を発生させる動作である。このため、調理中の他方のバーナへの再点火は、被調理物から発生した水蒸気や油分等の影響で十分な火花放電が生じ難くなる場合がある。自動調理中に他方のバーナが着火不良になると、自動調理が中断したり、調理失敗の原因となる。
【0006】
そこで、上記の再点火でバーナが着火しない場合には、点火動作を比較的長い時間にわたって継続させることが考えられる。しかし、点火動作を開始してから着火するまでに長い時間を要すると、その間、バーナから流出した未燃焼の燃料ガスが当該バーナの周囲に滞留する。そして、多量の未燃焼の燃料ガスに点火されたとき、比較的大きな火炎が発生するおそれがある。調理途中の被調理物がこのような大きな火炎に接触すると、部分的な焼き過ぎや焦げ目にムラができる等の調理品質の低下が生じる。
【0007】
上記の点に鑑み、本発明は、一方のバーナの燃焼中に他方のバーナの消火及び点火を行う制御を、調理品質を低下させることなく実行することができるグリル装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するために、本発明は、被調理物を収容するグリル庫と、該グリル庫内の被調理物を上方から加熱する上火バーナと、前記グリル庫内の被調理物を下方から加熱する下火バーナと、前記グリル庫内で生じた燃焼排気を排出する排気口と、前記各バーナの着火の有無を検出する着火検出部と、前記各バーナに点火するための点火部と、前記両バーナの燃焼を制御するグリル制御部とを備え、前記グリル制御部は、前記上火バーナの燃焼と前記下火バーナの燃焼とを各別に制御して被調理物に応じた調理を実行する調理制御部を備えるグリル装置であって、前記調理制御部は、調理制御の実行中に、前記上火バーナと前記下火バーナとの何れか一方のバーナの燃焼を維持しているとき、他方のバーナを消火させた後に燃料ガスの供給を開始して前記点火部を駆動する点火動作を行う点火機能部を備え、前記点火機能部は、消火させた後に点火動作を行った他方のバーナの着火を前記着火検出部が検出しなかったとき、他方のバーナへの燃料ガスの供給を停止させ、予め設定された待機時間が経過した後に、他方のバーナの再点火動作を行うものにおいて、前記調理制御部は、点火動作の際に前記点火部を駆動する点火動作時間が予め設定されており、前記点火機能部における前記待機時間は、当該待機時間の待機を実行する直前の点火動作における前記点火動作時間より長い時間が設定されており、前記点火機能部は、前記他方のバーナに対する前記再点火動作を、前記他方のバーナが着火するまで、又は、予め定められた調理解除時間を超えるまで、前記待機時間を介して複数回実行し、前記点火機能部における前記点火動作時間は、前記再点火動作が実行される毎に短くなるように設定されることを特徴とする。
【0009】
本発明のグリル装置は、調理制御部により上火バーナと下火バーナとを各別に制御する。この調理制御において、調理制御部は、点火機能部により上火バーナと下火バーナとの何れか一方のバーナの燃焼を維持し、他方のバーナを消火させる。これにより、グリル庫内の温度を低下させることなく、他方のバーナによる被調理物の焼き具合や焦げ目の突き具合等を調節することができる。次いで、調理制御部は、点火部を駆動して他方のバーナへの点火を行う。このときの点火動作により他方のバーナが着火すれば、調理が進行して所定の調理品質を得ることができる。一方、点火動作を行っても他方のバーナが着火しない場合(着火検出部が着火を検出しない場合)、点火機能部は、他方のバーナへの燃料ガスの供給を停止させるだけでなく、予め設定された待機時間が経過した後に他方のバーナに対する再点火動作(燃料ガスの供給開始及び火花放電等による点火)を行う。
【0010】
他方のバーナが着火しないことにより、点火動作中の他方のバーナから流出した未燃焼の燃料ガスが当該バーナの周囲に放出されるが、燃料ガスの供給を停止させて前記待機時間を設けることにより、燃焼中の一方のバーナが生成する気流により未燃焼の燃料ガスも排気口へ向かう。これにより、他方のバーナから流出した未燃焼の燃料ガスが当該バーナの周囲に滞留することがなく、再点火時に他方のバーナが円滑に着火するので、再点火動作に伴う調理品質の低下を防止することができる。
【0012】
また、他方のバーナにおける点火動作時間は、他方のバーナが着火しないことにより未燃焼の燃料ガスが放出されている時間と略等しい。そこで、待機時間を点火動作時間より長く設定することで、未着火の他方のバーナから放出された未燃焼の燃料ガスを、排出口からグリル庫の外部へ確実に排出することができる。
【0013】
更に、他方のバーナの再点火動作を待機時間を介して複数回実行することにより、未燃焼の燃料ガスをグリル庫の内部に滞留させることなく再点火動作を繰り返すことができる。しかも、点火動作時間は再点火動作が実行される毎に短くなるので、点火動作の放電等に伴う音の発生時間を短く抑えて使用者の不快感を低減することができる。
【0014】
また、本発明は、被調理物を収容するグリル庫と、該グリル庫内の被調理物を上方から加熱する上火バーナと、前記グリル庫内の被調理物を下方から加熱する下火バーナと、前記グリル庫内で生じた燃焼排気を排出する排気口と、前記各バーナの着火の有無を検出する着火検出部と、前記各バーナに点火するための点火部と、前記両バーナの燃焼を制御するグリル制御部とを備え、前記グリル制御部は、前記上火バーナの燃焼と前記下火バーナの燃焼とを各別に制御して被調理物に応じた調理を実行する調理制御部を備えるグリル装置であって、前記調理制御部は、調理制御の実行中に、前記上火バーナと前記下火バーナとの何れか一方のバーナの燃焼を維持しているとき、他方のバーナを消火させた後に燃料ガスの供給を開始して前記点火部を駆動する点火動作を行う点火機能部を備え、前記点火機能部は、消火させた後に点火動作を行った他方のバーナの着火を前記着火検出部が検出しなかったとき、他方のバーナへの燃料ガスの供給を停止させ、予め設定された待機時間が経過した後に、他方のバーナの再点火動作を行うものにおいて、前記調理制御部は、点火動作の際に前記点火部を駆動する点火動作時間が予め設定されており、前記点火機能部における前記待機時間は、当該待機時間の待機を実行する直前の点火動作における前記点火動作時間より長い時間が設定され且つ前記再点火動作が実行される毎に短くなるように設定されることを特徴とする
【0015】
れによれば、前記他方のバーナが着火するまで、又は、予め定められた調理解除時間を超えるまでの再点火動作の実行回数を最大限に多くすることができ、他方のバーナが着火する機会を多く得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態によるグリル装置を模式的に示す説明図。
図2】自動調理制御部の作動を示すフローチャート。
図3】自動点火機能部の作動を示すフローチャート。
図4】自動調理のタイミングチャート。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態のグリル装置1の構成を模式的に示している。なお、本実施形態のグリル装置1は、図示しないが、天面に複数のコンロバーナを備えるガスコンロの筐体に組み込まれている。
【0018】
グリル装置1は、図1に示すように、前面開口2を有するグリル庫3と、グリル庫3の前面開口2を開閉自在に閉塞するグリル扉4とを備えている。グリル扉4には受け皿5が支持されている。受け皿5は、グリル扉4の開閉によりグリル庫3内から出し入れされる。受け皿5には、魚等の被調理物を載置する焼網6が取り付けられている。
【0019】
グリル庫3には、焼網6に載置された被調理物を上方から加熱する上火バーナ7と下方から加熱する下火バーナ8とが設けられている。上火バーナ7と下火バーナ8とは、グリルコントローラ9(グリル制御部)により制御される。グリル庫3の後端部には、グリル庫3内で発生した水蒸気や煙成分等を含む排気ガス等を機外に排出する排気口10が形成されている。
【0020】
図示しないコンロ筐体の前面には、グリルコントローラ9に対して各種の設定や自動調理の運転指示を行う設定操作パネル11と、上火バーナ7の点火と消火を指示するための上火バーナ操作釦12と、下火バーナ8の点火と消火を指示するための下火バーナ操作釦13とが設けられている。
【0021】
上火バーナ7への点火は上火バーナ点火電極14の火花放電を形成するために上火バーナイグナイタ15を駆動することにより行われ、下火バーナ8への点火は下火バーナ点火電極16の火花放電を形成するために下火バーナイグナイタ17を駆動することにより行われる。上火バーナ点火電極14及び下火バーナ点火電極16は本発明における点火部に相当する。また、上火バーナ7の着火の有無は上火バーナ熱電対18により検出され、下火バーナ8の着火の有無は下火バーナ熱電対19により検出される。上火バーナ熱電対18及び下火バーナ熱電対19は本発明における着火検出部に相当する。更に、グリル庫3には、グリル庫3内部の温度を検出するグリル温度センサ20が設けられている。
【0022】
上火バーナ7と下火バーナ8とには、ガス供給管21を介して燃料ガスが供給される。ガス供給管21には、上火バーナ7と下火バーナ8とに対して各別に燃料ガスの供給と遮断を切り替える元ガス弁22,23とガス量調節弁24,25とが設けられている。
【0023】
グリルコントローラ9は、記憶部26及び計時部27を備えている。グリルコントローラ9には、設定操作パネル11からの信号、各操作釦12,13からの信号、グリル温度センサ20の温度検出信号、各熱電対18,19の燃焼状態検出信号が入力される。
【0024】
また、グリルコントローラ9は、自動調理を行う際に上火バーナ7及び下火バーナの燃焼を制御する自動調理制御部28(調理制御部)を機能的に備えている。記憶部26には、自動調理を行うための制御プログラムや、後述する点火動作時間データ及び待機時間データが格納されている。グリルコントローラ9の自動調理制御部28は、上記の各入力信号に基づいて制御プログラムを実行し、上火バーナ7や下火バーナ8の燃焼運転を行う。更に、自動調理制御部28は、機能的に備える自動点火機能部29(点火機能部)により点火動作時間データ及び待機時間データを用いて上火バーナ7や下火バーナ8の点火動作を実行する。
【0025】
次に、本実施形態のグリル装置1において、自動調理制御部28の作動の一例を図2図4に基づいて説明する。自動調理は、使用者が設定操作パネル11のスイッチを操作して所望の自動調理を選択することにより開始される。
【0026】
図2に示すように、自動調理制御部28は、自動調理を開始すると、STEP1において上火バーナ7及び下火バーナ8への初期点火動作を行う。初期点火動作は、上火バーナイグナイタ15と下火バーナイグナイタ17とを同時に駆動し、上火バーナ点火電極14と下火バーナ点火電極16との夫々に火花放電を発生させることにより行われる。このときの、点火動作時間は、記憶部26に予め記憶されている初期点火時の点火動作時間データに基づものであり、本実施形態においては一例として、10秒に設定されている。
【0027】
次いで、自動調理制御部28は、STEP2で上下加熱運転を行う。上下加熱運転では、上火バーナ7と下火バーナ8との両方を燃焼状態として被調理物に対して予め設定されている加熱時間にわたり上下からの加熱を行う。
【0028】
続いて、自動調理制御部28は、STEP3で上火バーナ7を消火する。そして、STEP4へ進み、下火バーナ8を燃焼状態として被調理物に対して予め設定されている下火加熱時間にわたり下火加熱を行う。
【0029】
更に、自動調理制御部28は、STEP5において、自動点火機能部29により上火バーナ7に点火する。上火バーナ7が着火すると、自動調理制御部28は、STEP6でSTEP2と同様に上下加熱運転を行う。
【0030】
その後、自動調理制御部28は、STEP7へ進んで上火バーナ7と下火バーナ8とを消火し、燃料ガスの供給を停止させて(元ガス弁22,23を閉じて)、自動調理を終了する。
【0031】
ここで、図2のSTEP5における自動点火機能部29の点火動作制御を、図3及び図4に基づいて詳しく説明する。
【0032】
自動点火機能部29は、上火バーナ7の点火動作制御を開始すると、図3に示すように、先ず、STEP5-1で後述のn(再点火動作回数),t(点火動作時間),t(待機時間),t(点火動作のトータル時間)の初期化を行う。続いて、STEP5-2へ進んで点火動作時間tを算出し、STEP5-3へ進む。STEP5-3では、燃料ガスを供給しつつ上火バーナイグナイタ15をt秒間駆動する。
【0033】
具体的には、本実施形態においては一例として、STEP5-2で用いる初期設定時間tが初期点火時間よりも3秒短い7秒に設定されており、記憶部26に点火動作時間データとして記憶されている。第1回目のSTEP5-2の処理では、n=0であるので、点火動作時間tは7秒となる。このとき、上火バーナ点火電極14の放電時間が初期点火時間(図2のSTEP1の点火動作時間)よりも短いことにより、STEP5-3で行う点火動作で発生する放電時の音が初期点火より短時間となり(図4参照)、使用者に与える不快感を軽減することができる。
【0034】
次いで、自動点火機能部29はSTEP5-4で上火バーナ熱電対18から得られる情報に基づいて着火の有無を判断し、上火バーナ7が着火していれば、上火バーナ7の点火動作制御を終了する。
【0035】
一方、STEP5-4で上火バーナ7が着火していない場合には、STEP5-5及びSTEP5-6を経て、STEP5-7へ進む。なお、図示しないが、STEP5-5へ進むに先立ち、燃料ガスの供給を停止させる(元ガス弁22を閉じる)。
【0036】
STEP5-5では、点火動作のトータル時間tを算出し、STEP5-6では点火動作のトータル時間tが自動調理解除時間(調理解除時間)未満であるとき(本実施形態においては30秒未満であるとき)、STEP5-7へ進み、自動調理解除時間以上であるとき、STEP5-10へ進む。この時点では、第1回目のSTEP5-3の点火動作時間tが経過しているだけなので、STEP5-7へ進む。
【0037】
STEP5-7では、第1回目の点火動作時間tに1秒加算して待機時間tを算出し、STEP5-8へ進んでt秒間待機する。このときの待機動作により、上火バーナ7からグリル庫3内に流入する未燃焼の燃料ガスが上火バーナ7の周囲に滞留しようとしても、燃焼中の下火バーナ8によってグリル庫3内に形成されている排気流に載り、排気口10から機外へ排出される。
【0038】
また、STEP5-7における算出により設定される待機時間tが、上火バーナイグナイタ15の作動時間である点火動作時間tよりも長いことにより、未燃焼の燃料ガスが上火バーナ7から流出する時間よりも長い待機時間tが設定され、未燃焼の燃料ガスの排出が確実に行われる。
【0039】
続いて、自動点火機能部29はSTEP5-9で変数nに1を加算し、STEP5-2へ戻る。n=1となることにより自動点火機能部29は、続くSTEP5-2~STEP5-8のループが2回目であることを認識する。
【0040】
第2回目のSTEP5-2の処理では、n=1であるので、点火動作時間tは6秒に設定される。そして、STEP5-3へ進んで上火バーナイグナイタ15をt秒(6秒)間駆動する再点火動作を実行する。そして、STEP5-4における上火バーナ7への着火の有無の判断により上火バーナ7が着火していれば、上火バーナ7の点火動作制御を終了する。
【0041】
STEP5-4で上火バーナ7が着火していないと判断すると、自動点火機能部29は、STEP5-5に進み、点火動作時間tと待機時間tと前回通過時に算出したtとのトータル時間を算出してtを更新する。そして、STEP5-6においてトータル時間tが自動調理解除時間(本実施形態では30秒)未満であれば、自動点火機能部29は、STEP5-7へ進んで待機時間tを算出し、STEP5-8に進んで第2回目の待機をt秒間行う。なお、図4に示すように、本実施形態では第2回目の待機時間tは7秒に設定される。
【0042】
その後、自動点火機能部29は、STEP5-9及びSTEP5-2を経て、STEP5-3で第3回目の上火バーナイグナイタ15の駆動による再点火動作を実行する。本実施形態における第3回目の上火バーナイグナイタ15の駆動時間である点火動作時間tは5秒に設定される。
【0043】
そして、自動点火機能部29は、点火動作時間tで第3回目の上火バーナイグナイタ15の駆動を行っても、STEP5-4で上火バーナ7への着火が検出されなかったとき、燃料ガスの供給を停止させて(元ガス弁22を閉じて)STEP5-5及びSTEP5-6へ進む。本実施形態においては、第3回目の点火動作を経た時点で33秒経過している。このため、STEP5-6ではトータル時間t3が30秒以上と判断されて自動調理解除時間を超えるので、自動点火機能部29は、STEP5-10へ進み、自動調理制御部28による自動調理を中止させて燃料ガスの供給を停止させる(元ガス弁22,23を閉じる)。
【0044】
以上のように、本発明の上記実施形態によれば、自動調理において、下火バーナ8の燃焼中に上火バーナ7の消火と点火とを行うとき、上火バーナ7の消火後の点火動作を1回のみでなく繰り返し複数回行うことで、未着火による調理失敗の発生を低減させることができるので、調理品質を低下させることなく自動調理を実行することができる。
【0045】
また、自動調理中の上火バーナ7の消火後、第2回目のSTEP5-3による点火動作(再点火動作)は、第1回目のSTEP5-3による点火動作よりも時間が短く設定され、第3回目のSTEP5-3による点火動作(再点火動作)は、第2回目のSTEP5-3による点火動作(再点火動作)よりも時間が短く設定される。これにより、点火動作が繰り返し複数回行われても、点火動作の放電等に伴う音の発生時間を短く抑えて使用者の不快感を低減することができる。
【0046】
更に、上火バーナ7が未着火のとき、第2回目のSTEP5-8による待機は、第1回目のSTEP5-8による待機よりも時間が短く設定される。これにより、待機のために費やされる時間を削減して点火動作の繰り返し回数を多くすることができ、点火の確実性を向上させることができる。
【0047】
なお、本実施形態においては、記憶部26に点火動作時間データとして記憶されている初期設定時間tを用いて点火動作時間tと待機時間tとを算出するようにしているが、これに替えて、毎回の点火動作時間tと待機時間tとの全てを記憶部26に点火動作時間データとして記憶させておいてもよい。
【0048】
また、本実施形態においては、自動調理の一例として下火バーナ8の燃焼中の上火バーナ7の消火と点火(再点火)について説明したが、これに限らず、本発明は、他の自動調理として、上火バーナ7の燃焼中の下火バーナ8の消火と点火(再点火)においても採用することができる。
【0049】
また、本実施形態において用いた具体的な各時間は、これに限るものではなく、調理内容に応じた時間に設定される。
【符号の説明】
【0050】
1…グリル装置、3…グリル庫、7…上火バーナ、8…下火バーナ、9…グリルコントローラ(グリル制御部)、10…排気口、14…上火バーナ点火電極(点火部)、16…下火バーナ点火電極(点火部)、18…上火バーナ熱電対(着火検出部)、19…下火バーナ熱電対(着火検出部)、28…自動調理制御部(調理制御部)、29…自動点火機能部(点火機能部)。
図1
図2
図3
図4