(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-28
(45)【発行日】2022-02-07
(54)【発明の名称】テープ送り装置
(51)【国際特許分類】
B65B 15/04 20060101AFI20220131BHJP
【FI】
B65B15/04 N
B65B15/04 C
B65B15/04 M
(21)【出願番号】P 2018076302
(22)【出願日】2018-04-11
【審査請求日】2021-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】597007178
【氏名又は名称】ワイエイシイガーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】島田 亮司
(72)【発明者】
【氏名】石井 進
【審査官】加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-013088(JP,A)
【文献】特開2011-011748(JP,A)
【文献】特開2017-063116(JP,A)
【文献】特開2004-111797(JP,A)
【文献】国際公開第2012/107956(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/087485(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/046932(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/194136(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の収容部が形成されたテープ部材を送り方向に送ることにより、第1の位置から電子部品を収容する又は取り出す基準位置へ前記複数の収容部を順次移動させるテープ送り手段と、
前記テープ送り手段を駆動させる駆動手段と、
前記駆動手段による駆動量を制御する制御部と、
撮像手段と、
を有するテープ送り装置であって、
前記制御部は、
前記第1の位置から前記送り方向において前記基準位置よりも手前の第2の位置へ前記収容部を移動させるように、前記第1の位置から前記基準位置へ前記収容部を移動させる場合の第1の駆動量よりも少ない第2の駆動量で前記駆動手段により前記テープ送り手段を駆動させる第1の動作と、
前記撮像手段により撮像されることにより取得される前記第2の位置にある前記収容部の位置情報に基づいて、前記送り方向における前記基準位置に対する前記収容部の第1のずれ量を取得し、前記第1のずれ量に基づいて、前記収容部を前記第2の位置から前記基準位置へ移動させるように第3の駆動量で前記駆動手段により前記テープ送り手段を駆動させる第2の動作と、
を実行する、
テープ送り装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記第2の動作において前記複数の収容部のうち1の収容部を前記第2の位置から前記基準位置へ移動させるように、前記駆動手段により前記テープ送り手段を駆動させた後、
前記撮像手段により撮像されることにより取得される前記1の収容部の位置情報に基づいて、前記送り方向における前記基準位置に対する前記1の収容部の第2のずれ量を取得し、前記第2のずれ量に基づいて、前記第3の駆動量を設定する、
請求項1に記載のテープ送り装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記第2の動作において前記複数の収容部のうち少なくとも2以上の収容部を前記第2の位置から前記基準位置へ順次移動させるように、前記駆動手段により前記テープ送り手段を駆動させた後、
前記撮像手段により撮像されることにより取得される前記少なくとも2以上の収容部の位置情報に基づいて、前記送り方向における前記基準位置に対する前記少なくとも2以上の収容部の第2のずれ量をそれぞれ取得し、前記第2のずれ量の平均値に基づいて、前記第3の駆動量を設定する、
請求項1に記載のテープ送り装置。
【請求項4】
前記基準位置にある前記収容部に対して前記電子部品を収容する、又は前記基準位置にある前記収容部から前記電子部品を取り出す電子部品移動手段をさらに含み、
前記制御部は、
設定された前記第3の駆動量で前記収容部を前記第2の位置から前記基準位置へ移動させた後、前記収容部の位置情報を取得することなく、前記収容部に対して前記電子部品を収容する又は前記収容部から前記電子部品を取り出すように前記電子部品移動手段を制御する、
請求項2又は3に記載のテープ送り装置。
【請求項5】
前記テープ送り手段は、径方向に突起部を複数備える歯車を含み、
前記テープ部材は、前記歯車の回転に伴って前記突起部が突き当たる面を有する、
請求項1に記載のテープ送り装置。
【請求項6】
前記テープ部材は、前記突き当たる面を内面とする貫通孔を有し、
前記突起部は、前記内面に突き当たった状態で前記貫通孔との間に隙間を有する、
請求項5に記載のテープ送り装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記複数の収容部のうち、前記歯車を1回転させて複数の前記突起部のそれぞれを前記突き当たる面に突き当てることにより、前記第2の位置から前記基準位置へ移動させられた収容部の、前記送り方向における前記基準位置に対する第2のずれ量をそれぞれ取得し、前記第2のずれ量の平均値に基づいて、前記第3の駆動量を設定する、
請求項5又は6に記載のテープ送り装置。
【請求項8】
前記テープ送り手段は、前記送り方向に前記テープ部材を間欠的に送る、
請求項1~7のいずれか1項に記載のテープ送り装置。
【請求項9】
前記テープ部材は樹脂材料からなり、
前記収容部はエンボス加工により形成される溝である、
請求項1~8のいずれか1項に記載のテープ送り装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープ送り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体素子等の電子部品をポケットに収容するキャリアテープを間欠的に移送するテープ送り装置が知られている。また、近年、電子部品の小型化が進んでおり、そのような電子部品をキャリアテープのポケットに確実に収容するためには、ポケットの位置精度が重要になる。しかしながら、キャリアテープは樹脂等からなり、ポケットの位置にはばらつきが生じている場合がある。そこで、引用文献1においては、電子部品をポケットに収容する精度を向上するため、カメラを用いてポケットの位置認識を行い、認識したポケットの位置に基づいて、ポケットが電子部品を収容する収容位置にくるように、キャリアテープの移送を制御する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、キャリアテープに形成されるポケットには位置ずれが生じている場合があり、そのずれはキャリアテープの送り方向側に生じている場合もあれば、送り方向の反対方向側に生じている場合もある。そのため、ポケット毎に、キャリアテープを送り方向へ送る補正を行ったり、送り方向の反対方向に送る補正を行ったりと、その制御が煩雑になってしまう。その結果、ポケットの位置ずれに対する補正の制御に長時間を要してしまうという問題が生じていた。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、電子部品を収容部に対して、精度よくかつ短時間で収容すること又は取り出すことにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決すべく本出願において開示される発明は種々の側面を有しており、それら側面の代表的なものの概要は以下の通りである。
【0007】
(1)複数の収容部が形成されたテープ部材を送り方向に送ることにより、第1の位置から電子部品を収容する又は取り出す 基準位置へ前記複数の収容部を順次移動させるテープ送り手段と、前記テープ送り手段を駆動させる駆動手段と、前記駆動手段による駆動量を制御する制御部と、撮像手段と、を有するテープ送り装置であって、前記制御部は、前記第1の位置から前記送り方向において前記基準位置よりも手前の第2の位置へ前記収容部を移動させるように、前記第1の位置から前記基準位置へ前記収容部を移動させる場合の第1の駆動量よりも少ない第2の駆動量で前記駆動手段により前記テープ送り手段を駆動させる第1の動作と、前記撮像手段により撮像されることにより取得される前記第2の位置にある前記収容部の位置情報に基づいて、前記送り方向における前記基準位置に対する前記収容部の第1のずれ量を取得し、前記第1のずれ量に基づいて、前記収容部を前記第2の位置から前記基準位置へ移動させるように第3の駆動量で前記駆動手段により前記テープ送り手段を駆動させる第2の動作と、を実行する、テープ送り装置。
【0008】
(2)(1)において、前記制御部は、前記第2の動作において前記複数の収容部のうち1の収容部を前記第2の位置から前記基準位置へ移動させるように、前記駆動手段により前記テープ送り手段を駆動させた後、前記撮像手段により撮像されることにより取得される前記1の収容部の位置情報に基づいて、前記送り方向における前記基準位置に対する前記1の収容部の第2のずれ量を取得し、前記第2のずれ量に基づいて、前記第3の駆動量を設定する、テープ送り装置。
【0009】
(3)(1)において、前記制御部は、前記第2の動作において前記複数の収容部のうち少なくとも2以上の収容部を前記第2の位置から前記基準位置へ順次移動させるように、前記駆動手段により前記テープ送り手段を駆動させた後、前記撮像手段により撮像されることにより取得される前記少なくとも2以上の収容部の位置情報に基づいて、前記送り方向における前記基準位置に対する前記少なくとも2以上の収容部の第2のずれ量をそれぞれ取得し、前記第2のずれ量の平均値に基づいて、前記第3の駆動量を設定する、テープ送り装置。
【0010】
(4)(2)または(3)において、前記基準位置にある前記収容部に対して前記電子部品を収容する、又は前記基準位置にある前記収容部から前記電子部品を取り出す電子部品移動手段をさらに含み、前記制御部は、設定された前記第3の駆動量で前記収容部を前記第2の位置から前記基準位置へ移動させた後、前記収容部の位置情報を取得することなく、前記収容部に対して前記電子部品を収容する又は前記収容部から前記電子部品を取り出すように前記電子部品移動手段を制御する、テープ送り装置。
【0011】
(5)(1)において、前記テープ送り手段は、径方向に突起部を複数備える歯車を含み、前記テープ部材は、前記歯車の回転に伴って前記突起部が突き当たる面を有する、テープ送り装置。
【0012】
(6)(5)において、前記テープ部材は、前記突き当たる面を内面とする貫通孔を有し、前記突起部は、前記内面に突き当たった状態で前記貫通孔との間に隙間を有する、テープ送り装置。
【0013】
(7)(5)又は(6)において、前記制御部は、前記複数の収容部のうち、前記歯車を1回転させて複数の前記突起部のそれぞれを前記突き当たる面に突き当てることにより、前記第2の位置から前記基準位置へ移動させられた収容部の、前記送り方向における前記基準位置に対する第2のずれ量をそれぞれ取得し、前記第2のずれ量の平均値に基づいて、前記第3の駆動量を設定する、テープ送り装置。
【0014】
(8)(1)~(7)のいずれかにおいて、前記テープ送り手段は、前記送り方向に前記テープ部材を間欠的に送る、テープ送り装置。
【0015】
(9)(1)~(8)のいずれかにおいて、前記テープ部材は樹脂材料からなり、前記収容部はエンボス加工により形成される溝である、テープ送り装置。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、電子部品を収容部に対して、精度よくかつ短時間で収容すること又は取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本実施形態に係るテープ送り装置を模式的に示す側面図である。
【
図2】本実施形態のキャリアテープを示す上面図である。
【
図3】本実施形態に係るテープ送り装置の全体構成の概要を示すブロック図である。
【
図4】本実施形態におけるキャリアテープの送り量の制御について説明する上面図である。
【
図5】本実施形態における制御部の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態(以下、本実施形態という)について図面に基づき詳細に説明する。
【0019】
まず、
図1~
図3を参照して本実施形態に係るテープ送り装置100の概要について説明する。
図1は、本実施形態に係るテープ送り装置を模式的に示す側面図である。
図2は、本実施形態のキャリアテープを示す上面図である。
図3は、本実施形態に係るテープ送り装置の全体構成の概要を示すブロック図である。
【0020】
テープ送り装置100は、電子部品Eを収容するキャリアテープ(テープ部材)10を送り方向Sに送ると共に、テーピングを行う装置である。なお、電子部品Eは、例えば、発光素子、トランジスタ等の半導体素子であるとよい。
【0021】
図2に示すように、キャリアテープ10は、送り方向Sに延びる帯状のテープであって、送り方向Sに略等間隔で並んで形成される複数のポケット12を有する。ポケット12は、樹脂等からなるキャリアテープ10にエンボス加工により形成される溝であるとよい。本実施形態においては、2.0mm間隔で並ぶようにポケット12を形成した。すなわち、互いに隣り合うポケット12の送り方向Sにおける中心を通る中心線Oの間隔Dが2.0mmとなるように、ポケット12を形成した。
【0022】
また、キャリアテープ10は、送り方向Sに略等間隔で並んで形成される送り孔11を有する。送り孔11は、キャリアテープ10の上面から下面を貫いて形成される円形の貫通孔であって、後述のスプロケット70の突起部71が挿入可能な大きさで形成されるとよい。ただし、送り孔11は、円形に限られるものではなく、また、貫通孔に限られるものでもない。送り孔11は、少なくとも、後述のスプロケット70の突起部71が突き当たる内面を形成するものであればよい。
【0023】
テープ送り装置100は、
図3に示すように、制御部20、撮像装置30、画像処理装置40、モータ駆動部50、モータ60、スプロケット70、電子部品離脱機構80を含むとよい。なお、図示は省略するが、テープ送り装置100は、キャリアテープ10の両脇にサイドガイドを有しており、サイドガイドの間の領域がキャリアテープ10の経路となっている。
【0024】
制御部20は、テープ送り装置100が有する各構成の動作を制御するものである。制御部20は、例えば、CPU(中央演算装置)及びその作業領域であるRAM(Random Access Memory)等を含んだコンピュータ又はPLC(Programmable Logic Controller)として構成され、各種の制御はRAMに記憶されるプログラムに従って実行されるとよい。
【0025】
撮像装置30は、
図1に示すように、キャリアテープ10の経路の上方に固定して配置され、制御部20から送られる撮像命令に従って、キャリアテープ10に形成されるポケット12の外観を撮像する。撮像装置30は、後述の収容位置にあるポケット12を撮像可能な位置に固定されて設けられるとよい。また、撮像装置30は、ポケット12の位置情報を取得できる程度の画質で撮像可能な撮像手段であるとよい。
【0026】
画像処理装置40は、撮像装置30により撮像されたポケット12の外観の画像情報を取得する。そして、制御部20が、画像処理装置40において取得された画像情報に基づいて、ポケット12の位置情報を取得する。
【0027】
モータ駆動部50は、制御部20から送られる駆動命令に従って、モータ60を駆動するための駆動パルス(駆動量)を出力する回路等であるとよい。モータ駆動部50は、出力する駆動パルス数を可変にすることにより、モータ60の回転量(回転角度)を制御することができる。モータ60は、モータ駆動部50から出力された駆動パルスに基づいて間欠回転を行う。モータ60は、例えば、サーボモータであるとよい。
【0028】
スプロケット70は、円盤状の回転体である歯車であり、
図1に示すように、その周面に複数の突起部71を有する。なお、本実施形態においては、
図1に示すように、キャリアテープ10を掛け渡すように2つのスプロケット70を用い、それらが図中R方向に同じタイミングで間欠回転する構成とした。ただし、スプロケット70の数はこれに限られるものではない。
【0029】
スプロケット70は、モータ60の間欠回転に応じて、間欠回転を行うように構成される。すなわち、スプロケット70は、モータ駆動部50から出力される駆動パルスに応じて間欠回転を行う。また、スプロケット70は、間欠回転することにより、キャリアテープ10に形成された送り孔11に、突起部71が順次挿入されるように配置される。そして、スプロケット70が図中R方向に回転することにより、キャリアテープ10の送り孔11の内面に突起部71が突き当たり、突起部71によって送り孔11の内面が押されることにより、キャリアテープ10が送り方向Sに移動することとなる。スプロケット70が間欠的に回転することにより、キャリアシート10は複数のポケット12を収容位置へ順次移動させるように、2.0mmずつ間欠的に移動させられる。なお、送り孔11の径は、スプロケット70の突起部71がより確実に挿入されるよう、突起部71の径よりも大きい方が好ましい。
【0030】
なお、本実施形態において、収容位置(基準位置)は、後述の電子部品離脱機構80により、電子部品Eが収容されるポケット12の位置である。なお、電子部品離脱機構80により電子部品Eが収容される位置の中心線は予め制御部20に記憶されており、その中心線に撮像装置30により撮像されたポケット12の中心線Oを合わせ込むように、制御部20がモータ駆動部50に対して駆動命令を行い、モータ60及びスプロケット70を回転させるとよい。
【0031】
電子部品離脱機構80は、例えば、電子部品Eを吸着等により保持及び離脱することが可能なマニピュレータ等であるとよい。電子部品離脱機構80は、キャリアテープ10の経路の上方に配置され、電子部品Eを保持し、収容位置にあるポケット12に向けて電子部品Eを離脱させ、ポケット12に電子部品Eを収容する。本実施形態においては、スプロケット70が間欠的に回転することによって、キャリアテープ10が送り方向Sに送られることにより、複数のポケット12は収容位置へと順次移動し、電子部品離脱機構80により複数のポケット12に対して電子部品Eが順次収容される。
【0032】
なお、キャリアテープ10は送り方向Sの上流側に配置される不図示の供給用リールから引き出されるとよい。また、テープ送り装置100は、電子部品Eがポケット12に収容された後に、ポケット12を封止めするようにカバーテープを圧着するための不図示の各種機構等を有してもよい。また、カバーテープにより電子部品Eを収容するポケット12が封止めされたキャリアテープ10は、送り方向Sの下流側に配置される不図示の収納用リールに巻き取られて収納されるとよい。
【0033】
次に、
図4を参照して、本実施形態におけるキャリアテープ10の送り量の制御について説明する。
図4は、本実施形態におけるキャリアテープの送り量の制御について説明する上面図である。
図4において、二点鎖線は第1の位置にあるポケット12bの中心線Oを示しており、一点鎖線は第2の位置にあるポケット12aの中心線Oを示しており、破線は収容位置にあるポケット12a及びその中心線Oを示している。なお、第1の位置とは送り方向Sにおける収容位置よりも1ピッチ分前の位置であり、第2の位置とは送り方向Sにおける収容位置よりも手前の位置であるとする。
【0034】
ここで、電子部品Eの大きさが微小な場合、それに合わせてポケット12の大きさも小さくするのが好ましい。微小な大きさのポケット12に微小な大きさの電子部品Eを収容させるにあたり、ポケット12の位置精度が重要になるところ、キャリアテープ10は樹脂等からなる場合、ポケット12が形成される位置精度にはばらつきが出てしまう。そのため、キャリアテープ10に形成されるポケット12を収容位置に移動させるように、スプロケット70を回転させても、ポケット12の位置精度が低いと、ポケット12は収容位置からずれた場所に位置することとなってしまう。そのような場合、電子部品離脱機構80から離脱された電子部品Eは、ポケット12からはみ出してしまい、ポケット12内に収容されないこととなってしまう。また、上述のように、ポケット12を封止めするようにカバーテープを圧着する際に熱圧着を行うと、その熱によりキャリアテープ10の形状が変形し、ポケット12の位置精度にばらつきが出てしまう場合もある。
【0035】
そこで、従来、撮像装置30によって撮像することによって取得されるポケット12の位置情報に基づいて、モータ駆動部50から出力される駆動パルスを制御することにより、ポケット12の位置を補正することが行われていた。すなわち、ポケット12が収容位置からずれていた場合、スプロケット70を回転させるようにモータ駆動部50を駆動させることにより、そのずれ量分キャリアテープ10を送る動作を行っていた。
【0036】
しかしながら、ポケット12の位置は、送り方向S側にずれている場合もあれば、送り方向Sの反対方向側にずれている場合もあり、それに応じてスプロケット70の回転の向きを変える必要が生じるため、スプロケット70の動作の制御が煩雑になるという問題があった。
【0037】
さらに、
図2に示したように、送り孔11の内面に突起部71が突き当たった状態において、送り孔11と突起部71との間には隙間Cが形成され、キャリアテープ10を送り方向Sの反対方向に移動させる場合、送り孔11と突起部71との間の隙間Cを考慮して、スプロケット70を回転させる必要がある。すなわち、キャリアテープ10を送り方向Sに送る場合、キャリアテープ10の送り量に応じた量だけスプロケット70を回転させればよいが、送り方向Sの反対方向に送る場合、送り孔11の送り方向Sの反対側の内面に突起部71が突き当たるよう隙間C分突起部71を移動させるようにスプロケット70を回転させるのに加えて、キャリアテープ10の送り量に応じた量スプロケット70を回転させる必要がある。このように、キャリアテープ10を送り方向Sの反対方向へ送ることで、ポケット12の位置を補正する場合、スプロケット70の回転の制御が煩雑となってしまう。そのため、ポケット12の位置を補正する際に、スプロケット70を1回間欠的に回転させるだけで収容位置へ正確に移動させることが困難であり、複数回数微調整を行う必要が生じる等、ポケット12の位置の補正に長時間を要してしまうという問題があった。
【0038】
そこで、本実施形態においては、ポケット12の位置の補正が、キャリアテープ10を送り方向Sのみに送ることで実現可能となるように、制御部20によりモータ駆動部50から出力される駆動パルスを制御することとした。なお、本実施形態においては、モータ駆動部50が出力する駆動パルスに対応してスプロケット70の回転角度、及びキャリアシート10の送り量を可変にする例について説明するが、これに限られるものではなく、駆動手段から出力される何らかの駆動量によってキャリアシート10の送り量が可変になる構成であればよい。
【0039】
具体的には、間隔が2.0mmとなるようにポケット12を形成した場合、まず、ポケット12を収容位置の0.1mm手前の位置(第2の位置)へ移動するようにスプロケット70を回転させる。言い換えると、スプロケット70を回転することにより、キャリアテープ10を送り方向Sに1.9mm分送る。すなわち、制御部20が、第1の位置から収容位置へポケット12を移動させる場合(ポケット12のピッチ分(2.0mm)移動させる場合)の第1の駆動パルスよりも少ない第2の駆動パルスでモータ駆動部50によりスプロケット70を駆動させるように、駆動命令を行う(以下、第1の動作ともいう)。なお、ここでの説明で用いた数値は一例であり、これに限られるものではない。キャリアテープ10に形成されるポケット12の位置精度が高ければ、第2の位置を収容位置に近い位置に設定するとよく、ポケット12の位置精度が低ければ、第2の位置を収容位置から遠い位置に設定するとよい。
【0040】
そして、収容位置の0.1mm手前の位置(第2の位置)にくるように移動させられたポケット12を撮像装置30により撮像する。制御部20は、撮像装置30により撮像されたポケット12の位置情報に基づいて、収容位置に対するポケット12のずれ量(第1のずれ量)を取得する。そして、制御部20は、取得したずれ量に基づいて、ポケット12を第2の位置から収容位置へ移動するように第3の駆動パルスでモータ駆動部50によりスプロケット70を駆動させるように、駆動命令を行う(以下、第2の動作ともいう)。
【0041】
例えば、ポケット12の位置ずれが送り方向S側に0.02mmある場合、送り方向Sにおける収容位置に対する第2の位置にあるポケット12のずれ量は0.98となり、ポケット12が送り方向Sに0.98mm分移動するように、スプロケット70を回転させるとよい。また、ポケット12の位置ずれが送り方向Sの反対側に0.02mmある場合、送り方向Sにおける収容位置に対する第2の位置にあるポケット12のずれ量は1.02mmとなり、ポケット12が送り方向Sに1.02mm分移動するように、スプロケット70を回転させるとよい。
【0042】
以上説明したように、本実施形態においては、撮像装置30によって撮像することによりポケット12の位置情報を取得する際に、高い確度で収容位置の手前にポケット12が配置されるようモータ駆動部50を制御部20により制御することとした。そのため、キャリアテープ10を送り方向Sのみに送るようにスプロケット70をR方向のみに回転させることで、ポケット12の位置の補正を行うことが可能となる。したがって、スプロケット70を煩雑に駆動させる必要がなく、その結果、電子部品Eをポケット12へ精度よくかつ短時間で収容させることが可能となる。
【0043】
次に、
図5を参照して、本実施形態における制御部20の動作について説明する。
図5は、本実施形態における制御部の動作を示すフローチャートである。
【0044】
まず、制御部20は、ポケット12が収容位置の0.1mm手前に移動するように、モータ駆動部50に対して駆動命令を行う(ステップS1、第1の動作)。次に、制御部20は、撮像装置30に対して撮像命令を行う(ステップS2)。そして、画像処理装置40が取得したポケット12の外観の画像情報に基づいて、制御部20は、ポケット12の位置情報を取得する(ステップS3)。制御部20は、ポケット12の位置情報に基づいて、収容位置に対するポケット12の位置のずれ量(第1のずれ量)を取得し、そのずれ量に基づいて、ポケット12が収容位置に移動するように、モータ駆動部50に対して駆動命令を行う(ステップS4、第2の動作)。制御部20は、キャリアテープ10に形成される複数のポケット12のそれぞれに対して同様にステップS1~ステップS4の動作を繰り返すとよい。
【0045】
上記実施形態においては、キャリアテープ10に形成されるポケット12の成形精度によるポケット12の位置のばらつきに対する制御について説明したが、スプロケット70の突起部71の位置精度等、機械的要因によりキャリアテープ10の送り量にばらつきが生じる場合もある。すなわち、予め設定されるキャリアテープ10の送り量に応じた駆動パルスをモータ駆動部50に出力させた場合に、スプロケット70の突起部71の位置精度等によっては、必要な送り量分キャリアテープ10が送り方向Sに送られない場合がある。具体的には、例えば、収容位置の0.1mm手前にある第2の位置から収容位置へポケット12を移動させるように、制御部20がモータ駆動部50に対して駆動命令を送ったとしても、実際には、0.09mmしかポケット12が移動せず、ポケット12を正確に収容位置に送ることができない場合がある。
【0046】
そこで、制御部20は、第2の動作においてポケット12が収容位置へ移動するようにモータ駆動部50に対して駆動命令を行った後、さらに、撮像装置30に対して撮像命令を行い、ポケット12の位置情報を取得し、収容位置に対するポケット12のずれ量(第2のずれ量)を取得するとよい。そして、そのずれ量に基づいて、モータ駆動部50が出力する第3の駆動パルス(第3の駆動量)を設定するとよい。すなわち、ポケット12が収容位置に対して送り方向Sの手前に位置ずれしている場合は、第3の駆動パルスを予め設定されている数よりも多くするよう設定するとよく、ポケット12が収容位置よりも送り方向S側に位置ずれしている場合は、第3の駆動パルスを予め設定されている数よりも少なくするように設定するとよい。
【0047】
制御部20は、第2の動作において1のポケット12を第2の位置から収容位置へ移動させるように、モータ駆動部50によりスプロケット70を駆動させた後、撮像装置30により撮像されることにより取得される1のポケット12の位置情報に基づいて、送り方向Sにおける収容位置に対する1のポケット12のずれ量(第2のずれ量)を取得し、そのずれ量に基づいて、他のポケット12を第2の位置から収容位置へ移動させる際の第3の駆動パルスを設定するとよい。
【0048】
また、制御部20は、第2の動作において複数のポケット12のうち少なくとも2以上のポケット12を第2の位置から収容位置へ順次移動させるように、モータ駆動部50によりスプロケット70を駆動させた後、撮像装置30により撮像されることにより取得されるポケット12の位置情報に基づいて、送り方向Sにおける収容位置に対する少なくとも2以上のポケット12のずれ量をそれぞれ取得し、そのずれ量の平均値に基づいて、ポケット12を第2の位置から収容位置へ移動させる際の第3の駆動パルスを設定してもよい。
【0049】
制御部20は、上記のように設定された第3の駆動パルスでポケット12を第2の位置から収容位置へ移動させた後、撮像装置30によりポケット12を撮像することなく、すなわちポケット12の位置情報を取得することなく、ポケット12に電子部品Eを収容するように電子部品離脱機構80を制御するとよい。上記のように設定された第3の駆動パルスで第2の位置から収容位置へ移動させられたポケット12は、収容位置に精度高く位置していると考えられるため、再度撮像装置30を用いて位置情報を取得し、ポケット12の位置補正を行う必要性が低いためである。
【0050】
また、制御部20は、スプロケット70を1回転させて複数の突起部71のそれぞれを送り孔11の内面に突き当てることにより、ポケット12を第2の位置から収容位置へ移動させた後、送り方向Sにおける収容位置に対する複数のポケット12のずれ量をそれぞれ取得し、そのずれ量の平均値に基づいて、ポケット12を第2の位置から収容位置へ移動させる際の第3の駆動パルスを設定してもよい。また、制御部20は、複数の突起部71毎にそれぞれキャリアテープ10の送り量と第3の駆動パルスとを関連付けて記憶し、突起部71毎の精度に対応させてモータ駆動部50を駆動することとしてもよい。
【0051】
以上説明した制御を行うことで第3の駆動パルスを設定することにより、スプロケット70の突起部71の位置精度等、機械的要因によるポケット12の収容位置に対する位置ずれを低減することができる。これにより、精度良く電子部品Eをポケット12に収容させることが可能となる。
【0052】
なお、本実施形態においては、電子部品Eをポケット12に収容する際の例について説明したが、これに限られるものではなく、電子部品Eをポケット12から取り出す場合に、制御部20が上述の第1の動作及び第2の動作を実行することとしてもよい。すなわち、基準位置としての取り出し位置にあるポケット12から電子部品Eを、電子部品移動機構である電子部品取り出し機構によって取り出す場合において、制御部20が上述の第1の動作及び第2の動作を実行してもよい。
【0053】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形実施が当業者にとって可能であるのはもちろんである。
【符号の説明】
【0054】
10 キャリアテープ、11 送り孔、12 ポケット、20 制御部、30 撮像装置、40 画像処理装置、50 モータ駆動部、60 モータ、70 スプロケット、71 突起部、80 電子部品離脱機構、100 テープ送り装置。