IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社クボタ工建の特許一覧

<>
  • 特許-製管機 図1
  • 特許-製管機 図2
  • 特許-製管機 図3
  • 特許-製管機 図4
  • 特許-製管機 図5
  • 特許-製管機 図6
  • 特許-製管機 図7
  • 特許-製管機 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-28
(45)【発行日】2022-02-07
(54)【発明の名称】製管機
(51)【国際特許分類】
   B29C 63/32 20060101AFI20220131BHJP
   F16L 1/00 20060101ALI20220131BHJP
【FI】
B29C63/32
F16L1/00 J
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018094944
(22)【出願日】2018-05-16
(65)【公開番号】P2019199026
(43)【公開日】2019-11-21
【審査請求日】2020-12-18
(73)【特許権者】
【識別番号】507157676
【氏名又は名称】株式会社クボタ建設
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】松本 真浩
(72)【発明者】
【氏名】篠原 賢俊
(72)【発明者】
【氏名】三山 和孝
【審査官】北澤 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-199097(JP,A)
【文献】特開2003-320582(JP,A)
【文献】特開平05-169539(JP,A)
【文献】特開2012-245618(JP,A)
【文献】特開平07-100927(JP,A)
【文献】特開2013-111921(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 63/00-63/48
F16L 1/00- 1/26
F16L 5/00- 7/02
F16L 51/00-55/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向の両側縁に嵌合部が設けられたストリップを既設の管渠の壁面に所定のピッチで螺旋状に巻き立て、一巻き先後する前記ストリップの嵌合部どうしを直接的に又はジョイナーを介して間接的に連結することによって、連続した更生管を形成する管路更生工法に用いられる製管機であって、
前記管渠内を走行可能な車体と、
前記車体に、該車体の進行方向前方へ向けて延出するとともに回転可能に備えられたシャフトと、
前記シャフトに該シャフトと一体的に回転可能に支持された送りアーム体と、
前記送りアーム体に設けられ、前記ストリップを前記壁面に向けて所定の送り出し角度を維持したまま送り出すように構成された送りユニットと、
前記シャフトに、前記送りアーム体よりも、前記車体の進行方向後方において前記シャフトと一体的に回転可能に支持された嵌合アーム体と、
前記嵌合アーム体に設けられ、後から巻き立てられた前記ストリップを押圧し該ストリップに設けられた嵌合部と、先に巻き立てられた前記ストリップに設けられた嵌合部とを嵌合させる、又は、一巻き先後する前記ストリップに跨るように配置された前記ジョイナーを押圧し、該ジョイナーの長手方向の両側部に設けられた嵌合部を一巻き先後する前記ストリップの嵌合部どうしに嵌合させる嵌合ローラが設けられた嵌合ユニットと、
前記送りユニットによる前記ストリップの送り出し位置を調節可能な位置調節機構と、が備えられ
前記位置調節機構は、前記送りアーム体の前記シャフトにおける位置と、前記嵌合アーム体の前記シャフトにおける位置とを、前記車体の進行方向に沿って相対的に近づけたり遠ざけることができるように構成されている製管機。
【請求項2】
前記位置調節機構は、該製管機の外部から供給される空気の圧力によって駆動するエアシリンダ機構又はエアモータ機構を備えて構成されている請求項に記載の製管機。
【請求項3】
前記送りアーム体は伸縮可能に構成され、
前記位置調節機構は、さらに、前記送りアーム体の伸縮を伴って前記送りユニットの前記シャフトからの距離を変更可能に構成されている請求項又はに記載の製管機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長手方向の両側縁に嵌合部が設けられたストリップを既設の管渠の壁面に所定のピッチで螺旋状に巻き立て、一巻き先後する前記ストリップの嵌合部どうしを直接的に又はジョイナーを介して間接的に連結することによって、連続した更生管を形成する管路更生工法に用いられる製管機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、硬質塩化ビニル等の合成樹脂からなる帯板状部材であるストリップ及びジョイナーを老朽化した管渠に送り込み、製管機を用いてストリップを管渠の壁面に螺旋状に巻き立てながら、ジョイナーによって一巻き先後するストリップどうしを嵌合して、管渠の壁面に更生管を形成する管路更生工法が知られている。
【0003】
特許文献1に、車体に、操作ユニット、走行ユニット、及び旋回ユニット等が備えられた構成の製管機が開示されている。
【0004】
旋回ユニットは、車体の進行方向前方に向けて延びる回転軸心まわりに回転する回転軸を備えている。回転軸に複数のアームが備えられ、各アームに案内ユニット、送りユニット、及び嵌合ユニットが車体の進行方向前方からこの順に備えられている。
【0005】
案内ユニットは、車体の進行方向前方から供給されてくるストリップを送りユニットへと案内する。送りユニットは、モータによって駆動可能な複数のローラを備え、該ローラによって案内ユニットから案内されるストリップを引き込み、管渠の壁面へ送り出す。これによりストリップは管渠の壁面に螺旋状に巻き立てられる。
【0006】
嵌合ユニットが備えられている嵌合アームに、シリンダが内蔵され、シリンダによってアームが伸長することにより、嵌合ユニットは管渠の壁面の方向へ付勢される。嵌合ユニットにローラが設けられており、該ローラによってジョイナーを押圧して該ジョイナーに設けられている嵌合部を、ストリップに設けられた嵌合部に嵌合させる。このようにして、管渠の壁面に更生管が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2013-199097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一巻き先後するストリップの嵌合部どうしをジョイナーを介して適切に連結するためには、ストリップを巻き立てるピッチが適切に管理される必要がある。しかし、管渠は、断面形状が円形のものに限らず、矩形や馬蹄形のものがあるため、ストリップのピッチの管理に関して改良の余地があった。
【0009】
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたもので、既設の管渠の壁面に螺旋状に巻き立てられるストリップのピッチを容易に管理することができる製管機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の目的を達成するための、本発明に係る製管機の特徴構成は、長手方向の両側縁に嵌合部が設けられたストリップを既設の管渠の壁面に所定のピッチで螺旋状に巻き立て、一巻き先後する前記ストリップの嵌合部どうしを直接的に又はジョイナーを介して間接的に連結することによって、連続した更生管を形成する管路更生工法に用いられる製管機であって、前記管渠内を走行可能な車体と、前記車体に、該車体の進行方向前方へ向けて延出するとともに回転可能に備えられたシャフトと、前記シャフトに該シャフトと一体的に回転可能に支持された送りアーム体と、前記送りアーム体に設けられ、前記ストリップを前記壁面に向けて所定の送り出し角度を維持したまま送り出すように構成された送りユニットと、前記シャフトに、前記送りアーム体よりも、前記車体の進行方向後方において前記シャフトと一体的に回転可能に支持された嵌合アーム体と、前記嵌合アーム体に設けられ、後から巻き立てられた前記ストリップを押圧し該ストリップに設けられた嵌合部と、先に巻き立てられた前記ストリップに設けられた嵌合部とを嵌合させる、又は、一巻き先後する前記ストリップに跨るように配置された前記ジョイナーを押圧し、該ジョイナーの長手方向の両側部に設けられた嵌合部を一巻き先後する前記ストリップの嵌合部どうしに嵌合させる嵌合ローラが設けられた嵌合ユニットと、前記送りユニットによる前記ストリップの送り出し位置を調節可能な位置調節機構と、が備えられ、前記位置調節機構は、前記送りアーム体の前記シャフトにおける位置と、前記嵌合アーム体の前記シャフトにおける位置とを、前記車体の進行方向に沿って相対的に近づけたり遠ざけることができるように構成されている点にある。
【0011】
送りユニットによるストリップの送り出し角度は、一定に維持されていることから、ストリップのピッチは、送りユニットの位置によって決定される。なお、送りユニットによるストリップの送り出し角度とは、ストリップの管渠の壁面の法線に対する角度をいう。
【0012】
上述の構成によると、位置調節機構によって送りユニットによるストリップの送り出し位置を調節すると、送りユニットから送り出されたストリップが管渠の壁面へ到達する位置が変更される。このように新たに巻き立てられる該ストリップの、一巻き先に巻き立てられたストリップに対する距離が容易に調節され、すなわち、ストリップのピッチを容易に適正なものとすることができる。
【0013】
例えば、新たに巻き立てられるストリップと一巻き先に巻き立てられたストリップとのピッチを広くしたいのであれば、新たに巻き立てられるストリップの管渠の壁面への到達位置が一巻き先に巻き立てられたストリップから遠ざかるように、送りユニットによるストリップの送り出し位置を調節すればよい。逆に、新たに巻き立てられるストリップと一巻き先に巻き立てられたストリップとのピッチを狭くしたいのであれば、新たに巻き立てられるストリップの管渠の壁面への到達位置が一巻き先に巻き立てられたストリップに近づくように、送りユニットによるストリップの送り出し位置を調節すればよい。
【0014】
このような簡単な構成によって、矩形や馬蹄形の管渠のように、対向する壁面間の最長距離と最短距離とが大きく異なる管渠であっても、壁面に螺旋状に巻き立てられるストリップのピッチを容易に管理することができる。また、上述の構成によると、送りアーム体と嵌合アーム体との間の距離を変更するという簡単な構成で、管渠の壁面に螺旋状に巻き立てられるストリップのピッチを容易に変更することができる。なお、位置調節機構は、送りアーム体のみを移動させてもよいし、嵌合アーム体のみを移動させてもよいし、両者を移動させてもよい。いずれにせよ、嵌合アーム体に設けられている嵌合ローラが、ストリップ又はジョイナーを適切に押圧し得るような位置にあるときの嵌合アーム体を基準として、送りアーム体が相対的に移動すればよい。
【0015】
【0016】
【0017】
本発明においては、前記位置調節機構は、該製管機の外部から供給される空気の圧力によって駆動するエアシリンダ機構又はエアモータ機構を備えて構成されていると好適である。
【0018】
上述の構成によると、製管機の外部、例えばマンホールの外に設置されたエアコンプレッサから供給される空気の圧力によって、位置調節機構に備えられたエアシリンダ機構やエアモータ機構を駆動させることができる。なお、エアシリンダ機構は、好ましくは複動型のエアシリンダを備えて構成される。エアモータ機構は、好ましくはエアモータと、複数のギヤからなる伝達機構とを備えて構成される。
【0019】
本発明においては、前記送りアーム体は伸縮可能に構成され、前記位置調節機構は、さらに、前記送りアーム体の伸縮を伴って前記送りユニットの前記シャフトからの距離を変更可能に構成されていると好適である。
【0020】
上述の構成によると、送りユニットの壁面からの距離を変更することができ、このような構成によっても、送りユニットから送り出されたストリップが管渠の壁面へ到達する位置が変更され、管渠の壁面に螺旋状にストリップを巻き立てるにあたって、新たに巻き立てられるストリップの、一巻き先に巻き立てられたストリップに対するピッチを適正なものとすることができる。
【0021】
なお、送りアーム体と嵌合アーム体との間の距離の変更及び送りユニットのシャフトからの距離の変更を組み合わせても、管渠の壁面に螺旋状に巻き立てられるストリップのピッチを変更することができる。いずれにせよ、ストリップの、適切なピッチとなる送り出し線上に送りユニットが位置するように調節される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】製管機の側面図である。
図2】製管機の正面図である。
図3】送りユニットの説明図である。
図4】送りユニットの説明図である。
図5】位置調節機構による送りユニットの位置調節の説明図である。
図6】位置調節機構による送りユニットの位置調節の説明図である。
図7】位置調節機構による送りユニットの位置調節の説明図である。
図8】位置調節機構による送りユニットの位置調節の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照しながら説明する。各図において、同一の部分又は対応する部分に同一符号を付してある。
【0024】
図1及び図2に示すように、本発明に係る製管機10は、ストリップ1を、断面形状が矩形の既設管渠P(以下、単に「管渠P」と記載する。)の壁面に所定のピッチで螺旋状に巻き立て、一巻き先後するストリップ1の嵌合部どうしをジョイナー2を介して間接的に連結することによって、連続した更生管3を形成する管路更生工法に用いられるものである。
【0025】
ストリップ1及びジョイナー2は、さまざまな環境の変化に対応できる十分な強度を備えた材料、例えば硬質塩化ビニル等の合成樹脂で形成された帯板状部材である。
【0026】
ストリップ1は、長手方向の両側縁に嵌合部1aが設けられている。ジョイナー2も、長手方向の両側縁に、一巻き先後するストリップ1の嵌合部1aどうしに嵌合可能な嵌合部2aが設けられている。嵌合部1a及び嵌合部2aは互いに嵌合可能な条溝から構成されている。
【0027】
使用前のストリップ1及びジョイナー2は、マンホールの周辺の地上にそれぞれ円状に巻かれた状態で保管されている。使用時にはマンホールを介して管渠P内に引き込まれ、管渠Pの壁面に螺旋状に巻き立てられる。本実施形態においては、ストリップ1及びジョイナー2は、製管機10の進行方向前方から供給される。
【0028】
製管機10によって、管渠Pの壁面にストリップ1を螺旋状に巻き立て、一巻き先後するストリップ1の嵌合部1aどうしに、ジョイナー2の嵌合部2aを嵌合することにより、一巻き先後するストリップ1がジョイナー2によって間接的に連結され、更生管3が形成される。
【0029】
なお、本実施形態においては、図2に示すように、管渠Pは、断面形状が矩形であるため、天面や角部にあらかじめスペーサSが配置されており、ストリップ1は実際にはスペーサSの表面に沿って巻き立てられる。そして、スペーサSによって設けられる管渠Pの壁面と更生管3との空隙に充填材を注入することによって、管渠Pと更生管3が一体化される。
【0030】
図1に示すように、製管機10は、管渠P内を管軸方向に走行可能な車体11に、駆動ユニット12や旋回ユニット13等が備えられている。
【0031】
車体11には、四隅に車輪が備えられ、この車輪によって走行可能となっている。さらに、車体11の上方や側面には、管渠Pの壁面に形成された更生管3に向けて補助輪14が延設されている。補助輪14が更生管3の表面に当接することによって、車体11の円滑な走行が補助される。
【0032】
駆動ユニット12は、地上に設置されたエアコンプレッサからチューブを介して供給される空気の圧力によって駆動するエアモータ及びこのエアモータの出力を変速する伝達機構等を備えて構成されている。
【0033】
旋回ユニット13は、駆動ユニット12から出力される動力によって、車体11に、該車体11の進行方向前方へ向けて延出するとともに回転可能に備えられたシャフト15を回転させるように構成されている。
【0034】
シャフト15に、シャフト15と一体的に回転可能に、送りアーム体31が支持部42によって支持されている。送りアーム体31には、ストリップ1を壁面に向けて送り出すように構成された送りユニット30が設けられている。
【0035】
図3及び図4に示すように、送りユニット30は、送り機構32に備えられた一対の送りローラ34,35によってストリップ1を引き込み、後述する嵌合ユニット20が備える嵌合ローラ22の進路前方の管渠Pの壁面に沿うように送り出すように構成されている。なお、管渠Pの壁面に沿うとは、管渠PにスペーサSが設けられるときには、該スペーサSの表面に沿うことをいう。
【0036】
送りユニット30は嵌合ユニット20に対して、製管機10を正面から見て、シャフト15の回転方向前方に一定の角度をなしている。なお、角度については、管渠Pの形状やストリップ1の剛性に応じて適度に調節される。
【0037】
送り機構32に、ストリップ1の表裏を挟む一対の送りローラ34、35と、送りローラ34を回転させる駆動モータ36と、駆動モータ36の動力を送りローラ34及び送りローラ35に伝達する伝達機構37等が設けられている。駆動モータ36は、図示しないエアコンプレッサからチューブを介して供給される空気の圧力によって駆動する。
【0038】
送りローラ34、35は、ストリップ1の引き込み及び送り出しをするために、ストリップ1を挟める距離だけの隙間を有するように配置されている。送りローラ34、35は、それぞれ軸受によって軸部が軸支され、軸部は一方の端部において、伝達機構37を構成するギヤどうしがかみ合わされている。この構成により、送りローラ34、35は互いに逆方向に回転する。
【0039】
送りローラ34、35に対するストリップ1の引き込み、及び送りローラ34、35からのストリップ1の送り出し方向を安定させるために、送りローラ34、35の前後に送りローラ34、35の回転軸心と直交する回転軸心を有する複数のガイドローラ38が備えられている。ストリップ1は、ガイドローラ38によって送りローラ34、35に対しての幅方向位置がガイドされる。
【0040】
送り機構32は、ストリップ1を送りアーム体31の回転方向の後ろ斜め外方向に送り出すことができるように設置されている。
【0041】
具体的には、送りユニット30によるストリップ1の送り出し角度は、製管機10の走行速度も考慮して、一巻き先後するストリップ1が所定のピッチで、具体的には一巻き先後するストリップ1,1の嵌合部1a,1aとジョイナー2の嵌合部2a,2aとが嵌合し得る間隔をあけて、管渠Pの壁面に沿って螺旋状に巻き立てられるように設定されている。
【0042】
シャフト15に、送りアーム体よりも、車体11の進行方向後方においてシャフト15と一体的に回転可能に嵌合アーム体24,25が支持されている。嵌合アーム体24,25には、嵌合ユニット20,21が設けられている。
【0043】
嵌合アーム体24,25は、製管機10を正面から見て180度の角度をもって配設されている。嵌合アーム体24に配設された嵌合ユニット20は、嵌合アーム体25に配設された嵌合ユニット21よりも、管渠Pの壁面に螺旋状に巻き立てられたストリップ1の半巻き分に相当する距離だけ進行方向前方に配置されている。
【0044】
嵌合ユニット20,21は、一巻き先後するストリップ1,1に跨るように配置されたジョイナー2を押圧し、該ジョイナー2の嵌合部2a,2aを一巻き先後するストリップ1,1の嵌合部1a,1aどうしに嵌合させる嵌合ローラ22,23が設けられている。
【0045】
嵌合アーム体24に複動型のエアシリンダ機構が内蔵され、図示しないエアコンプレッサからチューブを介して供給される空気の圧力によって伸縮が可能に構成されている。該エアシリンダ機構による嵌合アーム体24の伸長により嵌合ローラ22は、壁面方向に付勢される。
【0046】
同様に、嵌合アーム体25に複動型のエアシリンダ機構が内蔵され、図示しないエアコンプレッサから供給される空気の圧力によって伸縮が可能に構成されている。該エアシリンダ機構による嵌合アーム体25の伸長により嵌合ローラ23は、壁面方向に付勢される。
【0047】
なお、本実施形態においては、図2に示すように、シャフト15は、製管機10の正面から見て反時計まわりに旋回するように構成されている。したがって、嵌合ユニット20、21及び送りユニット30は、製管機10の正面から見て反時計まわりに旋回する。
【0048】
製管機10を管渠Pの管軸方向に沿って走行させながら、シャフト15を旋回させることによって、嵌合ユニット20、21及び送りユニット30は管渠Pの内部を螺旋状に進行する。
【0049】
嵌合ローラ22によってストリップ1に嵌合されたジョイナー2を、嵌合ローラ23によって再度押圧することによって、ジョイナー2はストリップ1に確実に嵌合される。
【0050】
嵌合ユニット20,21によって、ストリップ1とジョイナー2とが嵌合されることで、管渠P内にストリップ1とジョイナー2から成る更生管3が形成される。
【0051】
ところで、一巻き先後するストリップ1,1の嵌合部1a,1aとジョイナー2の嵌合部2a,2aとを適切に嵌合させるためには、ストリップ1を巻き立てるピッチが適切に管理される必要がある。しかし、管渠Pは、断面形状が円形のものに限らず、矩形や馬蹄形のものがあるため、ストリップ1のピッチの管理が容易ではない。
【0052】
そこで、製管機10に、新たに巻き立てられるストリップ1の、一巻き先に巻き立てられたストリップ1に対するピッチを適正なものにすべく、送りユニット30による該新たに巻き立てられるストリップ1の送り出し位置を調節可能な位置調節機構40が備えられている。
【0053】
位置調節機構40は、送りアーム体31のシャフト15における位置、すなわち、シャフト15における支持部42の位置を、車体11の進行方向に沿って前後に移動させることができるように構成されている。
【0054】
位置調節機構40は、該製管機10の外部から供給される空気の圧力によって駆動するエアモータ機構を備えて構成されている。エアモータ機構は、製管機10の外部、例えばマンホールの外に設置されたエアコンプレッサから供給される空気の圧力によって駆動するエアモータと、複数のギヤからなる伝達機構とを備えて構成される。
【0055】
該エアモータ機構によって、シャフト15における支持部42の位置が、車体11の進行方向に沿って前後に移動させられ、結果として送りアーム体31のシャフト15における位置と、嵌合アーム体24のシャフト15における位置とが、車体11の進行方向に沿って相対的に近づけたり遠ざけたりされる。
【0056】
送りユニット30によるストリップ1の送り出し角度(ストリップ1の管渠Pの壁面の法線に対する角度)は、一定に維持されていることから、ストリップ1のピッチは、送りユニット30の位置によって決定される。
【0057】
位置調節機構40によって送りユニット30によるストリップ1の送り出し位置を調節すると、送りユニット30から送り出されたストリップ1が管渠Pの壁面へ到達する位置が変更されるため、管渠Pの壁面に螺旋状に巻き立てられるストリップ1のピッチが変更される。
【0058】
図5に示すように、新たに巻き立てられるストリップが、一巻き先に巻き立てられたストリップに対して被さってしまうようなときは、図6に示すように、送りユニット30によるストリップ1の送り出し位置を前方へ移動すればよい。これによって、ストリップ1の管渠Pの壁面への到達位置を遠ざけることができ、新たに巻き立てられるストリップ1の、一巻き先に巻き立てられたストリップ1に対するピッチを広くすることができる。
【0059】
逆に、新たに巻き立てられるストリップ1と一巻き先に巻き立てられたストリップ1とのピッチを狭くしたいのであれば、送りユニット30によるストリップの送り出し位置を後方へ移動すればよい。これによって、ストリップ1の管渠Pの壁面への到達位置を近づけることができる。
【0060】
このように、シャフト15における支持部42の位置を変更する、すなわち送りアーム体31と嵌合アーム体24との間の距離を変更するという簡単な構成によって、管渠Pの断面形状が矩形や馬蹄形のように、対向する壁面間の最長距離と最短距離とが大きく異なる形状であっても、壁面に螺旋状に巻き立てられるストリップ1のピッチを容易に管理することができる。
【0061】
なお、位置調節機構40は、壁面に螺旋状に巻き立てられるストリップ1のピッチの変更にあたり、送りアーム体31のシャフト15における位置を、車体11の進行方向に沿って前後に移動させる構成について説明したが、これに限らない。送りアーム体31のシャフト15における位置を、車体11の進行方向に沿って前後に移動させるのではなく、嵌合アーム体24,25のシャフト15における位置を、車体11の進行方向に沿って前後に移動させる構成であってもよいし、送りアーム体31及び嵌合アーム体24,25のシャフト15における位置を、車体11の進行方向に沿って前後に移動させる構成であってもよい。いずれにせよ、嵌合アーム体24,25に設けられている嵌合ローラ22,23が、ジョイナー2を適切に押圧し得るような位置にあればよい。
【0062】
位置調節機構40は、さらに、送りアーム体31の伸縮を伴って送りユニット30のシャフト15からの距離を変更可能に構成されていてもよい。
【0063】
送りアーム体31は、それぞれ有底筒状であるとともにテレスコピックに構成されたステンレス鋼製の固定ケース31aと移動ケース31bとから構成されている。固定ケース31aの内面に、複動型のエアシリンダ機構のシリンダが固定され、移動ケース31bの内面にエアシリンダ機構のロッドが固定される。図示しないエアコンプレッサから供給される空気の圧力によって伸縮が可能に構成されている。
【0064】
移動ケース31bは、前記シリンダの外面と固定ケース31aの内面との隙間を、前記ロッドの進退に伴って移動可能に配置される。固定ケース31aは、シャフト15に支持部42を介して取り付けられる。なお、固定ケース31aは、送りアーム体31の長手方向に沿って支持部42への取り付け位置が調節可能に構成されている。
【0065】
該エアシリンダ機構による送りアーム体31の伸縮によっても送りユニット30によるストリップ1の送り出し位置が調節され、送りユニット30から送り出されたストリップ1が管渠Pの壁面へ到達する位置が変更されるため、管渠Pの壁面に螺旋状に巻き立てられるストリップ1のピッチが変更される。
【0066】
図7に示すように、新たに巻き立てられるストリップ1と一巻き先に巻き立てられたストリップ1とのピッチを広くしたいのであれば、送りアーム体31を伸長すればよい。これによって、新たに巻き立てられるストリップ1の管渠Pの壁面への到達位置を一巻き先に巻き立てられたストリップ1から遠ざけられる。
【0067】
逆に、新たに巻き立てられるストリップ1と一巻き先に巻き立てられたストリップ1とのピッチを狭くしたいのであれば、送りアーム体31を収縮すればよい。これによって、新たに巻き立てられるストリップ1の管渠Pの壁面への到達位置が一巻き先に巻き立てられたストリップに近づけられる。
【0068】
送りユニット30のシャフト15からの距離を変更するという簡単な構成によって、送りユニット30の壁面からの距離を変更され、管渠Pの断面形状が矩形や馬蹄形のように、対向する壁面間の最長距離と最短距離とが大きく異なる形状であっても、壁面に螺旋状に巻き立てられるストリップ1のピッチを容易に管理することができる。
【0069】
なお、製管機10は、図8に示すように、送りアーム体31と嵌合アーム体24,25(図1参照)との間の距離の変更及び送りユニット30のシャフト15からの距離の変更を組み合わせて、管渠Pの壁面に螺旋状に巻き立てられるストリップ1のピッチを変更するように構成されていてもよい。いずれにせよ、ストリップ1の、適切なピッチとなる送り出し線上に送りユニット30が位置するように調節される。
【0070】
位置調節機構40は、エアモータと、複数のギヤからなる伝達機構からなるエアモータ機構や、複動型のエアシリンダ機構等の、製管機の外部から供給される空気の圧力によって駆動する機構によって駆動される構成に限らない。作業員が手動で、位置調節機構40を操作するような構成であってもよい。
【0071】
上述した実施形態においては、ストリップ1及びジョイナー2が車体11の進行方向前方から供給される場合について説明したが、これに限らない。例えばストリップ1のみが車体11の進行方向前方から供給され、ジョイナー2は車体11の進行方向後方から供給されてもよい。また、ストリップ1及びジョイナー2は作業員によって人力で送りユニット30に送られてもよいし、送りユニット30の前方に備えられた案内ユニットによって送られてもよい。
【0072】
上述の実施形態では、更生管3がストリップ1とジョイナー2で構成される場合について説明したが、更生管3はストリップ1のみで構成されていてもよい。この場合ストリップ1の一方の端縁に嵌合部が備えられ、他方の端縁に前記嵌合部と嵌合する嵌合部が備えられる。嵌合ローラ22,23によって、後から巻き立てられたストリップ1を押圧し該ストリップに設けられた嵌合部と、先に巻き立てられたストリップ1に設けられた嵌合部とが嵌合させられる。
【0073】
上述の実施形態では、管渠Pが矩形の断面形状を有する場合を例に説明したが、管渠Pの断面形状は矩形に限らず、円形であってもよいし、非円形、例えば馬蹄形であってもよい。
【0074】
上述した実施形態は、いずれも本発明の一例であり、該記載により本発明が限定されるものではなく、各部の具体的構成は本発明の作用効果が奏される範囲で適宜変更設計可能である。
【符号の説明】
【0075】
1 :ストリップ
1a :嵌合部
2 :ジョイナー
2a :嵌合部
3 :更生管
10 :製管機
11 :車体
15 :シャフト
20 :嵌合ユニット
21 :嵌合ユニット
22 :嵌合ローラ
23 :嵌合ローラ
24 :嵌合アーム体
25 :嵌合アーム体
30 :送りユニット
31 :送りアーム体
40 :位置調節機構
P :管渠
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8