(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-28
(45)【発行日】2022-02-07
(54)【発明の名称】センサユニットの製造方法
(51)【国際特許分類】
G01L 1/20 20060101AFI20220131BHJP
【FI】
G01L1/20 Z
(21)【出願番号】P 2018155929
(22)【出願日】2018-08-23
【審査請求日】2021-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000144027
【氏名又は名称】株式会社ミツバ
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】特許業務法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 隆之
(72)【発明者】
【氏名】丸山 毅
(72)【発明者】
【氏名】飯野 晃弘
(72)【発明者】
【氏名】塚原 康裕
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 陽平
(72)【発明者】
【氏名】笛木 崇雄
【審査官】大森 努
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-106048(JP,A)
【文献】特開2004-340796(JP,A)
【文献】特開2006-080366(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0169513(US,A1)
【文献】特開2002-205608(JP,A)
【文献】実開昭60-034921(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 1/20,
B60J 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
障害物の近接または接触を検出するケーブル状のセンサ本体と、
前記センサ本体を保持し、かつ外力の付加により弾性変形されるセンサホルダと、
を備えたセンサユニットの製造方法であって、
前記センサホルダは、
内部に前記センサ本体が収容されるセンサ収容部と、
前記センサ収容部に一体に設けられ、前記センサ収容部を固定対象物に固定するための固定基部と、
前記固定基部に設けられ
、断面形状が略円形に形成された芯金部材が
内部に収容される芯金収容部と、
を有し、
前記芯金収容部の長手方向に沿う所定箇所に、前記芯金収容部の長さ寸法よりも短い長さ寸法の前記芯金部材を挿入する芯金挿入工程と、
前記固定基部の前記芯金部材が挿入された部分を、前記固定対象物の湾曲形状に倣って折り曲げ
て、前記芯金部材の塑性変形により湾曲状態で保持させる折り曲げ工程と、
を備える、
センサユニットの製造方法。
【請求項2】
請求項1記載のセンサユニットの製造方法において、
前記折り曲げ工程の後に、前記折り曲げ工程を経て折り曲げられた前記センサホルダを、前記固定対象物に固定するセンサホルダ固定工程を行う、
センサユニットの製造方法。
【請求項3】
請求項1または2記載のセンサユニットの製造方法において、
前記芯金挿入工程では、前記芯金部材を、前記固定基部の端部から前記芯金収容部に挿入する、
センサユニットの製造方法。
【請求項4】
請求項3記載のセンサユニットの製造方法において、
前記芯金挿入工程と前記折り曲げ工程との間に、前記固定基部の端部に端末部を形成する端末処理工程を行う、
センサユニットの製造方法。
【請求項5】
請求項4記載のセンサユニットの製造方法において、
前記芯金挿入工程と前記端末処理工程との間に、前記芯金収容部の端部にキャップ部材を装着するキャップ装着工程を行う、
センサユニットの製造方法。
【請求項6】
請求項1または2記載のセンサユニットの製造方法において、
前記芯金挿入工程の前に、前記固定基部の長手方向に沿う所定箇所を、前記固定基部の長手方向と交差する方向に切断する固定基部切断工程を行い、
その後の前記芯金挿入工程で、前記芯金部材を、前記固定基部の切断箇所から前記芯金収容部に挿入する、
センサユニットの製造方法。
【請求項7】
請求項6記載のセンサユニットの製造方法において、
前記固定基部切断工程の前に、前記固定基部の端部に端末部を形成する端末処理工程を行う、
センサユニットの製造方法。
【請求項8】
請求項7記載のセンサユニットの製造方法において、
前記端末処理工程の前に、前記芯金収容部の端部にキャップ部材を装着するキャップ装着工程を行う、
センサユニットの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、障害物の近接または接触を検出するケーブル状のセンサ本体と、センサ本体を保持し、かつ外力の付加により弾性変形されるセンサホルダと、を備えたセンサユニットの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の車両には、自動開閉装置により開閉されるテールゲートを備えたものがある。この自動開閉装置は、操作者の意思による操作スイッチの操作により駆動されるが、それ以外の条件によっても駆動可能となっている。具体的には、自動開閉装置には、テールゲートと開口部との間に障害物が挟まれたことを検出するセンサユニットが設けられている。
【0003】
センサユニットは、テールゲートに固定され、閉駆動されているテールゲートに障害物が接触するのを検出するようになっている。そして、自動開閉装置は、センサユニットからの検出信号の入力に基づいて、操作スイッチの操作に依らず閉駆動されているテールゲートを開駆動させたり、閉駆動されているテールゲートをその場で緊急停止させたりする。
【0004】
このようなセンサユニットの一例が、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載されたタッチセンサユニットは、ケーブル状のセンサ本体を保持するセンサ部と、センサ部をテールゲートに固定するための土台部と、を備えた絶縁ゴム製のセンサホルダを有している。
【0005】
そして、土台部に設けられる湾曲部の径方向内側に硬質樹脂部を設け、これにより土台部を湾曲させた状態で保持可能とし、土台部の真っ直ぐに戻ろうとする復元力により両面テープを剥離させないようにしている。また、硬質樹脂部に換えて、土台部の湾曲部に対応する部分に芯金をモールドするようにし、モールドされた芯金を湾曲させることにより、土台部を湾曲させた状態で保持可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の特許文献1に記載された技術では、土台部の硬度よりも高い硬度の硬質樹脂部を設けるため、タッチセンサユニットを外部から見たときに、土台部と硬質樹脂部との間の境界部分が目立ってしまい、見栄えが悪くなるという問題を生じ得る。
【0008】
また、土台部の湾曲部に対応する部分に芯金をモールドした場合には、土台部を射出成形して硬化させた後に、絶縁ゴム材の収縮等により芯金を設けた部分が膨らんでしまい、これによっても見栄えが悪くなるという問題を生じ得る。
【0009】
さらに、タッチセンサユニットをテールゲートに固定する際に、湾曲部の位置ずれ等が生じた場合には、当該湾曲部の位置を調整することができなかった。つまり、硬質樹脂部の位置や芯金の位置を土台部の長手方向にずらすことができなかった。よって、歩留まりの悪化を招くばかりか、他の車種と共通化を図るのが困難であった。
【0010】
本発明の目的は、見栄えの向上は勿論のこと湾曲部をセンサホルダの長手方向に調整可能とし、歩留まりを良くしつつ汎用性を高めることができるセンサユニットの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様では、障害物の近接または接触を検出するケーブル状のセンサ本体と、前記センサ本体を保持し、かつ外力の付加により弾性変形されるセンサホルダと、を備えたセンサユニットの製造方法であって、前記センサホルダは、内部に前記センサ本体が収容されるセンサ収容部と、前記センサ収容部に一体に設けられ、前記センサ収容部を固定対象物に固定するための固定基部と、前記固定基部に設けられ、断面形状が略円形に形成された芯金部材が内部に収容される芯金収容部と、を有し、前記芯金収容部の長手方向に沿う所定箇所に、前記芯金収容部の長さ寸法よりも短い長さ寸法の前記芯金部材を挿入する芯金挿入工程と、前記固定基部の前記芯金部材が挿入された部分を、前記固定対象物の湾曲形状に倣って折り曲げて、前記芯金部材の塑性変形により湾曲状態で保持させる折り曲げ工程と、を備える。
【0012】
本発明の他の態様では、前記折り曲げ工程の後に、前記折り曲げ工程を経て折り曲げられた前記センサホルダを、前記固定対象物に固定するセンサホルダ固定工程を行う。
【0013】
本発明の他の態様では、前記芯金挿入工程では、前記芯金部材を、前記固定基部の端部から前記芯金収容部に挿入する。
【0014】
本発明の他の態様では、前記芯金挿入工程と前記折り曲げ工程との間に、前記固定基部の端部に端末部を形成する端末処理工程を行う。
【0015】
本発明の他の態様では、前記芯金挿入工程と前記端末処理工程との間に、前記芯金収容部の端部にキャップ部材を装着するキャップ装着工程を行う。
【0016】
本発明の他の態様では、前記芯金挿入工程の前に、前記固定基部の長手方向に沿う所定箇所を、前記固定基部の長手方向と交差する方向に切断する固定基部切断工程を行い、その後の前記芯金挿入工程で、前記芯金部材を、前記固定基部の切断箇所から前記芯金収容部に挿入する。
【0017】
本発明の他の態様では、前記固定基部切断工程の前に、前記固定基部の端部に端末部を形成する端末処理工程を行う。
【0018】
本発明の他の態様では、前記端末処理工程の前に、前記芯金収容部の端部にキャップ部材を装着するキャップ装着工程を行う。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、芯金収容部の長手方向に沿う所定箇所に、芯金収容部の長さ寸法よりも短い長さ寸法の芯金部材を挿入する芯金挿入工程と、固定基部の芯金部材が挿入された部分を、固定対象物の湾曲形状に倣って折り曲げる折り曲げ工程と、を備えている。
【0020】
これにより、固定基部の芯金部材が挿入された部分(湾曲部)の見栄えを向上させることができる。また、芯金収容部に収容する芯金部材の長さ寸法を長くすることで、湾曲部が形成される位置を、固定基部の長手方向に所定量ずらすことができる。よって、湾曲部の位置を調整することができ、ひいては歩留まりの向上および汎用性の向上を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図2】
図1のテールゲートを側方から見た側面図である。
【
図3】センサユニットのテールゲートへの装着状態を示す斜視図である。
【
図5】センサユニットの基端側を示す斜視図である。
【
図6】センサユニットの先端側を示す斜視図である。
【
図8】モールド樹脂部の内部構造を説明する斜視図である。
【
図9】センサユニットの製造手順を示すフローチャートである。
【
図10】[芯金挿入工程]を説明する斜視図である。
【
図11】[端末処理工程]および[両面テープ装着工程]を説明する斜視図である。
【
図12】[折り曲げ工程]を説明する斜視図である。
【
図13】[貼り付け工程]を説明する斜視図である。
【
図14】実施の形態2のセンサユニットの製造手順を示すフローチャートである。
【
図15】実施の形態2の[芯金挿入工程]を説明する斜視図である。
【
図16】[キャップ装着工程]を説明する斜視図である。
【
図17】実施の形態3のセンサユニットの製造手順を示すフローチャートである。
【
図18】[固定基部切断工程]を説明する斜視図である。
【
図19】実施の形態3の[芯金挿入工程]を説明する斜視図である。
【
図20】実施の形態4のセンサユニットの製造手順を示すフローチャートである。
【
図21】実施の形態5のセンサユニットを示す
図7に対応した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態1について、図面を用いて詳細に説明する。
【0023】
図1は車両のテールゲートを示す正面図を、
図2は
図1のテールゲートを側方から見た側面図を、
図3はセンサユニットのテールゲートへの装着状態を示す斜視図を、
図4は
図3のセンサユニットの正面図を、
図5はセンサユニットの基端側を示す斜視図を、
図6はセンサユニットの先端側を示す斜視図を、
図7は
図4のA-A線に沿う断面図を、
図8はモールド樹脂部の内部構造を説明する斜視図をそれぞれ示している。
【0024】
図1および
図2に示される車両10は、所謂ハッチバックタイプの車両であり、当該車両10の後方側には、大きな荷物を車室内に出し入れし得る開口部11が形成されている。開口部11は、車両10の天井部の後方側に設けられたヒンジ(図示せず)を中心に回動されるテールゲート(開閉体)12により、
図2の実線矢印および破線矢印のように開閉される。
【0025】
また、本実施の形態に係る車両10には、パワーテールゲート装置(自動開閉装置)13が搭載されている。パワーテールゲート装置13は、テールゲート12を開閉させる減速機付きのアクチュエータ(ACT)13aと、操作スイッチ(図示せず)の操作信号に基づいてアクチュエータ13aを制御するコントローラ(ECU)13bと、障害物BLの接触を検出する一対のセンサユニット20と、を備えている。
【0026】
図1に示されるように、センサユニット20は、テールゲート12の車幅方向両側(図中左右側)にそれぞれ装着されている。より具体的には、一対のセンサユニット20は、テールゲート12の車幅方向両側の縁部12aの湾曲形状に沿って設けられている。つまり、一対のセンサユニット20は、縁部12aの湾曲形状に倣って湾曲状態とされ、当該湾曲状態のもとで、テールゲート12にそれぞれ固定されている。
【0027】
これにより、開口部11とテールゲート12との間において、障害物BLがセンサユニット20に接触されると、当該センサユニット20を形成するセンサ本体30(
図7参照)が直ぐに弾性変形される。
【0028】
そして、一対のセンサユニット20は、それぞれコントローラ13bに電気的に接続され、センサ本体30の弾性変形時に発生する検出信号は、コントローラ13bに入力される。コントローラ13bは、センサ本体30からの検出信号の入力に基づき、操作スイッチの操作に依らず閉駆動されているテールゲート12を開駆動(反転駆動)させるか、または閉駆動されているテールゲート12をその場で停止(緊急停止)させる。これにより、障害物BLの挟み込みが未然に防止される。
【0029】
ここで、
図6および
図7に示されるように、センサ本体30には一対の電極33,34が設けられ、その先端側(
図6中左側)には抵抗Rが電気的に接続されている。これにより、センサ本体30が弾性変形されていない状態では、一対の電極33,34は互いに接触されず、コントローラ13bには、抵抗Rの抵抗値が入力される。つまり、コントローラ13bは、抵抗Rの抵抗値が入力されている場合には、障害物BLの挟み込みが無いと判断して、テールゲート12の閉駆動を継続して実行する。
【0030】
これに対し、センサユニット20に障害物BLが接触して、センサ本体30が弾性変形されると、一対の電極33,34が互いに接触されて短絡される。すると、コントローラ13bには、抵抗Rを介さない抵抗値(無限大)が入力されるようになる。これにより、コントローラ13bは抵抗値の変化を検出して、当該抵抗値の変化をトリガにテールゲート12を開駆動させるか、またはテールゲート12をその場で停止させる制御を実行する。
【0031】
図3ないし
図8に示されるように、センサユニット20は、長尺のケーブル状に形成されている。そして、センサユニット20は、センサブラケット50を介して両面テープ(粘着テープ)TPによりテールゲート12に固定されている。なお、
図3においては、センサブラケット50を、太い二点鎖線(想像線)で模式的に示している。
【0032】
センサユニット20を形成し、かつ障害物BL(
図2参照)の接触により弾性変形されるセンサ本体30(
図7参照)は、テールゲート12の縁部12aに沿うようにして配置される。これにより、複雑な形状のテールゲート12であっても、障害物BLの挟み込みを確実に防止することができる。
【0033】
ここで、センサブラケット50は、本発明における固定対象物を構成している。そして、センサユニット20が装着されたセンサブラケット50は、テールゲート12に対して複数の固定ボルト(図示せず)によって、がたつくこと無く強固に固定されている。なお、センサブラケット50は、硬質プラスチック等によって板状に形成されている。
【0034】
センサユニット20は、当該センサユニット20の長手方向全域に亘って設けられるケーブル状のセンサ本体30と、当該センサ本体30を保持するセンサホルダ40と、から構成されている。また、
図5に示されるように、センサ本体30の基端側(
図5中右側)には、一対の電極33,34の基端側が配置され、これらの電極33,34の基端部分には、コントローラ13b(
図1および
図2参照)のメス型コネクタ(図示せず)に装着されるオス型コネクタ31が設けられている。
【0035】
図7に示されるように、センサ本体30は、可撓性を有する絶縁ゴム材等よりなる中空の絶縁チューブ32を備えている。絶縁チューブ32は外力の付加により弾性変形され、絶縁チューブ32の径方向内側(内部)には、一対の電極33,34が互いに非接触の状態で螺旋状に保持されている。これらの電極33,34は、可撓性を有する導電ゴム等よりなる導電チューブ35を備え、その内部には複数の銅線を束ねてなる導電線36が設けられている。
【0036】
そして、絶縁チューブ32の内径寸法は、一対の電極33,34の直径寸法の約3倍の大きさとなっている。言い換えれば、絶縁チューブ32の軸心を中心に互いに対向する一対の電極33,34の間には、電極が約1本入る程度の微小な隙間Sが形成されている。
【0037】
このように、絶縁チューブ32の内部には、一対の電極33,34が径方向に対向配置されるとともに長手方向に螺旋状に固定され、かつ一対の電極33,34間には、電極が約1本入る程度の微小な隙間Sが確保されている。これにより、センサ本体30のどの部分が障害物BL(
図2参照)により弾性変形されたとしても、略同じ条件(外力)で一対の電極33,34は互いに接触して短絡される。
【0038】
ここで、テールゲート12に用いられるセンサユニット20では、絶縁チューブ32の直径寸法は約5.0mm程度となっている。したがって、センサユニット20のテールゲート12に対する取り回しや、検出感度を考慮すると、直径寸法が1.0mm程度の一対の電極33,34を、絶縁チューブ32の内部に螺旋状に設けるのが望ましい。
【0039】
例えば、本実施の形態では、センサ本体30を半径が4.0mmの小径の支柱に巻き掛けた場合でも、一対の電極33,34は互いに短絡されなかった。これに対し、比較例として、例えば同じ絶縁チューブの内部に4本の同じ電極を平行に設けたものでは、センサ本体を半径が7.5mmの大径の支柱に巻き掛けた場合でも各電極は短絡された。
【0040】
このように、本実施の形態、つまり、絶縁チューブ32の内部に一対の電極33,34を螺旋状に設けたものにおいては、略90度(略直角)に湾曲された縁部12aを有するテールゲート12に対して、十分に対応可能となっている。
【0041】
図7および
図8に示されるように、センサホルダ40は、可撓性を有する絶縁ゴム材を押し出し成形等することで長尺のケーブル状に形成され、内部にセンサ本体30が収容された中空のセンサ収容部41と、センサブラケット50に固定される固定基部42と、を備えている。なお、
図7においては、センサ収容部41と固定基部42との境界部分に破線を施している。
【0042】
センサホルダ40の長手方向と交差する方向、つまりセンサホルダ40の短手方向に沿うセンサ収容部41の断面形状は、略円形形状に形成されている。また、センサ収容部41の肉厚は、絶縁チューブ32の肉厚よりも薄い肉厚となっている。すなわち、センサ収容部41においても、外力の付加(障害物BLの接触)により容易に弾性変形可能となっている。
【0043】
したがって、絶縁チューブ32に保持された一対の電極33,34は、センサ収容部41および絶縁チューブ32の弾性変形により互いに容易に接触(短絡)され、よって、センサ本体30の十分な検出性能(感度)が確保されている。
【0044】
固定基部42は、センサ収容部41の長手方向に沿うようにして当該センサ収容部41に一体に設けられている。固定基部42は、センサ収容部41をセンサブラケット50に固定するためのものであって、センサ収容部41およびセンサ本体30は、固定基部42を介してセンサブラケット50に固定されている。
【0045】
また、固定基部42におけるセンサホルダ40の短手方向に沿う断面形状は、略台形形状に形成され、その短手方向両側面には、それぞれ傾斜面43が形成されている。これらの傾斜面43は、センサホルダ40の幅方向(
図7中左右方向)から互いに対向するように配置されている。さらに、一対の傾斜面43は、センサ収容部41側からセンサブラケット50側に向かうに連れて、固定基部42の幅寸法を大きくするように傾斜されている。
【0046】
ここで、一対の傾斜面43は、センサユニット20を、センサブラケット50に対して両面テープTPで固定する際に、作業者により把持または押圧される部分となっている。具体的には、作業者が一対の傾斜面43を把持しつつ、センサユニット20をセンサブラケット50に向けて押圧することで、センサユニット20が両面テープTPを介してセンサブラケット50に固定される。これにより、センサ本体30には無理な力が掛からず、センサ本体30を損傷させるようなことが無い。
【0047】
図7に示されるように、固定基部42の略中央部分には、断面形状が略円形に形成された中空の芯金収容部42aが設けられている。具体的には、芯金収容部42aは、センサ収容部41における軸心の直下に配置され、固定基部42の長手方向全域に設けられている。つまり、芯金収容部42aは、センサホルダ40を押し出し成形等する際に同時に形成される。
【0048】
図4,
図6ないし
図8に示されるように、芯金収容部42aの内部には、断面形状が略円形の針金等よりなり、かつ所定の長さに設定された芯金部材44が収容されている。ここで、芯金部材44は、芯金収容部42aに対して、若干の隙間(図示せず)を介して略抵抗無く挿入可能となっている。これにより、後述する[芯金挿入工程]における芯金部材44の芯金収容部42aへの挿入作業を、容易に行えるようにしている。
【0049】
また、芯金部材44は、センサユニット20における湾曲部CPの部分(
図4参照)に配置され、当該湾曲部CPを所定の角度(本実施の形態では略90度)で保持するようになっている。すなわち、芯金部材44を折り曲げて塑性変形させることにより、固定基部42の真っ直ぐに戻ろうとする復元力に抗して、湾曲部CPの湾曲状態に沿わせて固定基部42(センサホルダ40)の湾曲状態を保持することができる。
【0050】
これにより、センサユニット20のセンサブラケット50への固定作業を容易に行えるようになる。また、両面テープTPで貼り付けられたセンサユニット20が、湾曲部CPの近傍に作用する復元力によって、センサブラケット50から剥離してしまうことが抑制される。
【0051】
ここで、芯金部材44の長さ寸法は、芯金収容部42aの長さ寸法よりも短い長さ寸法に設定されている。具体的には、芯金部材44は、固定基部42の端部から芯金収容部42aに挿入されるが、芯金部材44の長さ寸法は、
図4に示されるように、その先端側が固定基部42の端部から湾曲部CPの部分を通過する程度の長さ寸法に設定されている。
【0052】
このように、芯金部材44を芯金収容部42aの全ての部分に設けるのでは無く、必要な部分(湾曲部CPの部分)に設けるようにしており、これにより芯金部材44の長さ寸法を必要最小限に抑えることができる。したがって、センサユニット20の重量が嵩むことが抑えられて、かつセンサユニット20のコスト低減が可能となっている。
【0053】
なお、
図4,
図6,
図8,
図10~
図13においては、芯金部材44の長さ寸法や芯金収容部42aに対する位置関係を分かり易くするために、芯金部材44に網掛けを施している。
【0054】
図6および
図8に示されるように、センサホルダ40の端末(センサ本体30の先端側)には、モールド樹脂部45が一体に設けられている。モールド樹脂部45は、本発明における端末部を構成しており、絶縁チューブ32の端部および一対の電極33,34の端部を覆っている。さらには、モールド樹脂部45の内部には、絶縁体よりなるセパレータSPと、1つの抵抗Rと、2つのかしめ部材SWとが設けられている。
【0055】
このように、モールド樹脂部45は、絶縁チューブ32の端部,一対の電極33,34の端部,セパレータSP,抵抗R,一対のかしめ部材SWが、それぞれ外部に露出されるのを防止して、これらの構成部品を保護する機能を備えている。
【0056】
ここで、抵抗Rの両端部には、長尺接続部P1と短尺接続部P2とが設けられている。そして、長尺接続部P1を短尺接続部P2に対して180度折り返すことで、長尺接続部P1および短尺接続部P2は、一対の電極33,34の導電線36に対して、一対のかしめ部材SWによりそれぞれ電気的に接続されている。このように、一対の電極33,34の端部は、抵抗Rを介して互いに電気的に接続されている。
【0057】
なお、一対のかしめ部材SWは、電工ペンチ等のかしめ治具(図示せず)によりかしめられるもので、これにより抵抗Rは、一対の電極33,34のそれぞれの導電線36に強固に電気的に接続される。また、一対のかしめ部材SWは、セパレータSPを中心にその両側に対称となるようにそれぞれ配置され、当該セパレータSPの部分において互いに短絡されることが防止されている。
【0058】
そして、モールド樹脂部45は、セパレータSPや抵抗R等が組み付けられたセンサホルダ40の端部を金型(図示せず)にセットして、当該金型内に溶融された絶縁ゴム材等を射出することで形成される。すなわち、セパレータSPや抵抗R等の構成部品は、モールド樹脂部45の内部にインサート成形により埋設されている。
【0059】
ここで、モールド樹脂部45は、センサホルダ40と同じ絶縁ゴム材により形成され、十分な柔軟性を有している。ただし、例えば、モールド樹脂部45の内部に埋設されたセパレータSPや抵抗R等をより確実に保護すべく、センサホルダ40よりも高い硬度の絶縁ゴム材で形成することもできる。なお、モールド樹脂部45は、センサホルダ40の端部に設けられるため、センサホルダ40に対して材質を異ならせても目立つことが無い。よって、見栄えを悪化させるようなことが抑えられている。
【0060】
次に、以上のように形成されたセンサユニット20の製造方法、特に、センサユニット20のセンサブラケット50への装着手順について、図面を用いて詳細に説明する。
【0061】
図9はセンサユニットの製造手順を示すフローチャートを、
図10は[芯金挿入工程]を説明する斜視図を、
図11は[端末処理工程]および[両面テープ装着工程]を説明する斜視図を、
図12は[折り曲げ工程]を説明する斜視図を、
図13は[貼り付け工程]を説明する斜視図をそれぞれ示している。
【0062】
実施の形態1では、
図9に示される手順に従って、センサユニット20をセンサブラケット50に固定するようになっている。
【0063】
[芯金挿入工程]
まず、ステップS10において、[芯金挿入工程]を実行する。具体的には、
図10に示されるように、先端側が固定基部42の端部から湾曲部CPの部分(
図4参照)を通過する程度の長さ寸法に設定された芯金部材44を準備する。また、別の組み立て工程を経て組み立てられたサブアッシSAを準備する。ここで、サブアッシSAとは、センサ収容部41にセンサ本体30が収容され、かつセンサ本体30の端部にセパレータSP,抵抗R,かしめ部材SWが組み付けられた状態のものを言う。
【0064】
その後、図中矢印M1に示されるように、芯金部材44を、固定基部42の端部から芯金収容部42aに挿入していく。このとき、芯金部材44と芯金収容部42aとの間には、若干の隙間(図示せず)が形成されているため、芯金部材44の芯金収容部42aへの挿入作業を、容易に行うことができる。そして、芯金部材44の基端側までの全てが芯金収容部42aに入り込むまで、当該挿入作業を継続して行う。なお、挿入作業は、作業者により手作業であっても良いし、自動組立装置(図示せず)により自動で行っても良い。
【0065】
これにより、芯金収容部42aの長手方向に沿う所定箇所、すなわち、後に湾曲部CPとなる部分(
図4参照)に芯金部材44が挿入されて、ステップS10の[芯金挿入工程]が完了する。
【0066】
[端末処理工程]
次に、ステップS11において、[端末処理工程]を実行する。具体的には、
図11に示されるように、センサホルダ40の端末(センサ本体30の先端側)に、モールド樹脂部45を形成する処理を実行する。すなわち、サブアッシSAの端部(抵抗R等が組み付けられた側の端部)を、図示しない金型にセットして、当該金型内に溶融された絶縁ゴム材等を射出する。
【0067】
すると、矢印M2に示されるように、固定基部42の端部にモールド樹脂部45が形成されて、センサユニット20が完成する。よって、当該モールド樹脂部45によりセパレータSPや抵抗R等の構成部品が保護されるとともに、芯金収容部42aに挿入された芯金部材44の抜け止めがなされる。これにより、ステップS11の[端末処理工程]が完了する。
【0068】
[両面テープ装着工程]
次に、ステップS12において、[両面テープ装着工程]を実行する。具体的には、
図11に示されるように、まず、モールド樹脂部45を含むセンサユニット20の長さ寸法に略等しい長さ寸法の両面テープTPを準備する。次いで、両面テープTPの一方側の剥離紙(図示せず)を剥がして、図中矢印M3に示されるように、モールド樹脂部45および固定基部42の裏面、つまりセンサブラケット50と対向する対向面に、両面テープTPを貼り付ける。
【0069】
このとき、センサユニット20は、未だ直線状となっている。そのため、両面テープTPの貼り付け作業を、容易に行うことができる。なお、貼り付け作業は、作業者により手作業であっても良いし、自動組立装置(図示せず)により自動で行っても良い。
【0070】
これにより、モールド樹脂部45および固定基部42の裏面に両面テープTPが貼り付けられて、ステップS12の[両面テープ装着工程]が完了する。
【0071】
[折り曲げ工程]
次に、ステップS13において、[折り曲げ工程]を実行する。具体的には、
図12の矢印M4に示されるように、センサユニット20の長手方向に沿う所定箇所を折り曲げる。このとき、作業者は、固定基部42の一対の傾斜面43を把持する等して、固定基部42の芯金部材44が挿入された部分を、センサブラケット50(
図4参照)の湾曲形状に倣って略90度となるように折り曲げる。なお、折り曲げ方向については、両面テープTPの貼り付け方向(
図11の矢印M3の方向)と直交する方向となっている。
【0072】
これにより、
図12の二点鎖線で示されるように、固定基部42の端部から所定距離の場所に湾曲部CPが形成されて、ステップS13の[折り曲げ工程]が完了する。
【0073】
ここで、湾曲部CPは、固定基部42の芯金部材44が挿入された部分であればどこでも形成できるため、湾曲部CPを設ける部分がずれた場合に調整したり、他の形状のセンサブラケットに対応すべく湾曲部CPを設ける位置を変更したりすることができる。よって、センサユニット20の汎用性が向上する。また、他の長さに設定された芯金部材を準備することで、センサユニット20の汎用性をより向上させることができる。
【0074】
さらには、芯金部材44は、固定基部42に予め形成された芯金収容部42aに対して、若干の隙間を介して収容されている。そのため、芯金部材44の形状が外から見て判るほど、固定基部42が大きく膨らむようなことは無い。よって、従前のように見栄えが悪くなることが抑制される。
【0075】
[貼り付け工程]
[折り曲げ工程]の後には、ステップS14において[貼り付け工程]を実行する。ここで、当該[貼り付け工程]は、本発明におけるセンサホルダ固定工程を構成している。この[貼り付け工程]では、具体的には、両面テープTP(
図12参照)の他方側の剥離紙(図示せず)を剥がして、
図13の矢印M5に示されるように、センサユニット20の両面テープTP側(図中下側)を、センサブラケット50の所定位置(センサユニット20を貼り付ける位置)と対向させる。
【0076】
その後、作業者は、一対の傾斜面43を把持しつつ、センサユニット20(センサホルダ40)をセンサブラケット50に向けて押し付ける。このとき、センサユニット20の長手方向全域を、順次押し付けるようにする。
【0077】
これにより、[折り曲げ工程]を経て折り曲げられたセンサユニット20(センサホルダ40)が、両面テープTPを介してセンサブラケット50に強固に固定される。よって、ステップS14の[貼り付け工程]が完了する。
【0078】
以上詳述したように、実施の形態1によれば、芯金収容部42aの長手方向に沿う所定箇所(湾曲部CPの部分)に、芯金収容部42aの長さ寸法よりも短い長さ寸法の芯金部材44を挿入する[芯金挿入工程]と、固定基部42の芯金部材44が挿入された部分(湾曲部CPの部分)を、センサブラケット50の湾曲形状に倣って折り曲げる[折り曲げ工程]と、を備えている。
【0079】
これにより、固定基部42の芯金部材44が挿入された部分(湾曲部CPの部分)の見栄えを向上させることができる。また、芯金収容部42aに収容する芯金部材44の長さ寸法を長くすることで、湾曲部CPが形成される位置を、固定基部42の長手方向に所定量ずらすことができる。よって、湾曲部CPの位置を調整することができ、ひいては歩留まりの向上および汎用性の向上を図ることが可能となる。
【0080】
また、実施の形態1によれば、[折り曲げ工程]の後に、[折り曲げ工程]を経て折り曲げられたセンサホルダ40(センサユニット20)を、センサブラケット50に固定する[貼り付け工程]を行う。これにより、センサユニット20を、センサブラケット50に対して、精度良くかつ容易に固定することができる。
【0081】
さらに、実施の形態1によれば、[芯金挿入工程]では、芯金部材44を、固定基部42の端部から芯金収容部42aに挿入する。これにより、芯金部材44を芯金収容部42aに容易に収容させることができ、かつ作業者は、芯金部材44の芯金収容部42aに対する挿入位置を容易に把握することができる。よって、作業性の向上を図ることができる。
【0082】
また、実施の形態1によれば、[芯金挿入工程]と[折り曲げ工程]との間に、固定基部42の端部にモールド樹脂部45を形成する[端末処理工程]を行う。これにより、モールド樹脂部45によりセパレータSPや抵抗R等の構成部品を保護することができ、かつ芯金収容部42aに挿入された芯金部材44の抜け止めを行うことができる。よって、その後の[折り曲げ工程]を容易に行うことが可能となる。
【0083】
次に、本発明の実施の形態2ないし実施の形態5(他の4種類)について、図面を用いて詳細に説明する。なお、上述した実施の形態1と同様の機能を有する部分については同一の記号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0084】
<実施の形態2>
図14は実施の形態2のセンサユニットの製造手順を示すフローチャートを、
図15は実施の形態2の[芯金挿入工程]を説明する斜視図を、
図16は[キャップ装着工程]を説明する斜視図をそれぞれ示している。
【0085】
図14に示されるように、実施の形態2では、実施の形態1(
図9参照)に比して、[芯金挿入工程]と[端末処理工程]との間に[キャップ装着工程]を行う点が異なっている。また、[芯金挿入工程]の作業内容も異なっている。
【0086】
以下、実施の形態2の[芯金挿入工程]および[キャップ装着工程]について、具体的に説明する。
【0087】
[芯金挿入工程]
図14のステップS20における[芯金挿入工程]では、
図15に示されるように、実施の形態1の芯金部材44(
図10参照)よりも短い長さ寸法の芯金部材60を用いている。そして、当該芯金部材60の芯金収容部42aへの挿入作業には、挿入治具TLが用いられる。ここで、挿入治具TLは、芯金部材60の直径寸法と同じかそれよりも小さい直径寸法の本体部TL1と、芯金部材60の芯金収容部42aの端部からの挿入位置を決定する鍔部TL2とを備えている。
【0088】
そして、図中矢印M6に示されるように、芯金部材60を、固定基部42の端部から芯金収容部42aに挿入していく。次いで、図中矢印M7に示されるように、挿入治具TLの本体部TL1を芯金収容部42aに差し込んでいく。これにより、実施の形態1の芯金部材44よりも短い芯金部材60を、実施の形態1と同様の湾曲部CPとなる部分(
図4参照)に挿入することができる。このとき、挿入治具TLの鍔部TL2を、固定基部42の端面SFに突き当てるようにする。
【0089】
これにより、芯金収容部42aの長手方向に沿う所定箇所、すなわち、後に湾曲部CPとなる部分に、芯金部材60が精度良く収容されて、ステップS20の[芯金挿入工程]が完了する。なお、実施の形態2においても、当該挿入作業は、作業者により手作業であっても良いし、自動組立装置(図示せず)により自動で行っても良い。
【0090】
[キャップ装着工程]
図14のステップS21における[キャップ装着工程]では、
図16の矢印M8に示されるように、芯金収容部42aの端部にキャップ(キャップ部材)CAを装着する。これは、ステップS21の[キャップ装着工程]の後で行われるステップS11での[端末処理工程]において、芯金収容部42aの端部側の空間部分(芯金部材60が存在しない部分)に、モールド樹脂部45(
図11参照)を形成する溶融樹脂が流れ込まないようにするためである。
【0091】
仮に、溶融樹脂が芯金収容部42aの内部に流れ込んでしまうと、実施の形態1の芯金部材44(
図10参照)に比して短くかつ軽量化された芯金部材60が、芯金収容部42aの内部で移動してしまう虞がある。言い換えれば、キャップCAを設けることで、芯金部材60の芯金収容部42a内での「位置ずれ」を無くして、歩留まりを向上させている。
【0092】
ここで、キャップCAは、プラスチック等の樹脂材料により形成され、略円柱形状に形成された差し込み本体CA1と、固定基部42の端面SFに突き当てられる頭部CA2とを備えている。そして、差し込み本体CA1の直径寸法は、芯金収容部42aの直径寸法よりも若干大きい直径寸法に設定され、差し込み本体CA1は芯金収容部42aに圧入により差し込まれている。よって、キャップCAは、センサユニット20の組み立て時において、芯金収容部42aから抜け落ちることが無い。これにより、ステップS21の[キャップ装着工程]が完了する。
【0093】
このように、キャップCAを芯金収容部42aの端部に装着することで、その後のステップS11で行われる[端末処理工程]において、芯金部材60を芯金収容部42aの所定箇所、すなわち、後に湾曲部CPとなる部分に芯金部材60を確実に止めておくことができる。なお、キャップCAは、[端末処理工程]の後には、モールド樹脂部45(
図11参照)の内部に埋設される。
【0094】
以上のように形成された実施の形態2においても、上述した実施の形態1と同様の作用効果を奏することができる。これに加えて、実施の形態2では、針金等の金属材料よりなる芯金部材60を短くして軽量化することができ、ひいてはセンサユニット20全体をより軽量化することが可能となる。
【0095】
<実施の形態3>
図17は実施の形態3のセンサユニットの製造手順を示すフローチャートを、
図18は[固定基部切断工程]を説明する斜視図を、
図19は実施の形態3の[芯金挿入工程]を説明する斜視図をそれぞれ示している。
【0096】
図17に示されるように、実施の形態3では、実施の形態1(
図9参照)に比して、[芯金挿入工程]の前に[固定基部切断工程]を行う点が異なっている。また、[芯金挿入工程]の作業内容も異なっている。さらには、[固定基部切断工程]の前に[端末処理工程]を行う点も異なっている。
【0097】
以下、実施の形態3の[固定基部切断工程]および[芯金挿入工程]について、具体的に説明する。
【0098】
[固定基部切断工程]
図17のステップS30における[固定基部切断工程]では、
図18に示されるように、ステップS11において予めモールド樹脂部45が設けられた状態のサブアッシSA(ただし、芯金部材44が芯金収容部42aに挿入されていないもの)に対して、固定基部42の所定箇所、つまり、後に湾曲部CPとなる部分(
図4参照)を、矢印M9のように切断する処理を行う。
【0099】
具体的には、固定基部42の長手方向に沿う所定箇所に、カッターナイフ等の切断刃CKを用いて、固定基部42(センサユニット20)の長手方向と直交する方向から切り込みを入れる。このとき、固定基部42への切り込み深さ寸法Dは、センサ収容部41に切り込みを入れない程度の切り込み深さ寸法とする。
【0100】
すると、
図18および
図19に示されるように、固定基部42の湾曲部CPとなる部分に、切断面CSが形成される。この切断面CSは、センサ収容部41の繋がっている部分を折り曲げることで外部に露出可能となっている。これにより、ステップS30の[固定基部切断工程]が完了する。
【0101】
[芯金挿入工程]
図17のステップS31における[芯金挿入工程]では、
図19に示されるように、実施の形態1の芯金部材44(
図10参照)よりも短い長さ寸法の芯金部材70を用いている。また、芯金部材70を、固定基部42の切断箇所、すなわち切断面CSから芯金収容部42aに挿入するようになっている。
【0102】
具体的には、矢印M10に示されるように、固定基部42の切断面CSを外部に露出させるべく、センサ収容部41の繋がっている部分を折り曲げる。すると、矢印M11に示されるように、固定基部42の切断箇所が開いて、固定基部42の切断面CSが外部に露出されるようになる。これにより、切断面CSの部分において芯金収容部42aが開口される。
【0103】
次いで、矢印M12に示されるように、芯金部材70を、固定基部42の切断箇所、つまり切断面CSから、芯金収容部42aに挿入していく。これにより、実施の形態1の芯金部材44よりも短い芯金部材70を、実施の形態1と同様の湾曲部CPとなる部分(
図4参照)に挿入することができる。
【0104】
これにより、芯金収容部42aの長手方向に沿う所定箇所、すなわち、後に湾曲部CPとなる部分に、芯金部材70が精度良く収容されて、ステップS31の[芯金挿入工程]が完了する。なお、芯金部材70の芯金収容部42aへの挿入後は、切断面CSに接着剤等(図示せず)を塗布しても良い。これにより、芯金収容部42aが密閉されて、芯金部材70が錆びるようなことが防止される。
【0105】
以上のように形成された実施の形態3においても、上述した実施の形態1と同様の作用効果を奏することができる。これに加えて、実施の形態2では、針金等の金属材料よりなる芯金部材70を短くして軽量化することができ、ひいてはセンサユニット20全体をより軽量化することが可能となる。
【0106】
<実施の形態4>
図20は実施の形態4のセンサユニットの製造手順を示すフローチャートを示している。
【0107】
図20に示されるように、実施の形態4では、実施の形態3(
図17参照)に比して、[端末処理工程]の前に[キャップ装着工程]を行う点が異なっている。具体的には、実施の形態4の[キャップ装着工程]では、実施の形態2の[キャップ装着工程]と同じ処理を行う。すなわち、
図13の二点鎖線円および二点鎖線白抜矢印に示されるように、差し込み本体CA1および頭部CA2を有するキャップCAを、矢印M13に沿わせて芯金収容部42aの端部に装着する。
【0108】
以上のように形成された実施の形態4においても、上述した実施の形態3と同様の作用効果を奏することができる。これに加えて、実施の形態4では、ステップS11の[端末処理工程]において、溶融樹脂が芯金収容部42aの内部に流れ込んでしまうことを確実に防止することができる。
<実施の形態5>
図21は実施の形態5のセンサユニットを示す
図7に対応した断面図を示している。
【0109】
図21に示されるように、実施の形態5のセンサユニット80では、実施の形態1のセンサユニット20(
図7参照)に比して、まず、センサホルダ40の形状が異なっている。具体的には、センサホルダ40のセンサ収容部41側(図中上側)が、実施の形態1に比してより先細り形状に形成されている。また、センサホルダ40が導電性を有するゴム材で形成されている点も異なっている。さらには、センサ収容部41に保持されるセンサ本体81の検知方式が異なっている。
【0110】
具体的には、ケーブル状のセンサ本体81は、人体等の障害物BLが近接したことをコントローラ13b(
図1および
図2参照)に検出させる非接触タイプの近接センサとなっている。センサ本体81は電極からなり、人体等の障害物BLが
図21の二点鎖線円で示される検出領域に入ると、障害物BLがセンサユニット80に近付いたことを示す電気信号の変化が、コントローラ13bに出力される。
【0111】
ここで、センサ本体81には、微弱な電気信号がコントローラ13bから流れた状態となっている。そして、この状態で障害物BLがセンサ本体81に近付くと、障害物BLとセンサ本体81との間の静電容量が変化して、センサ本体81に流れている電気信号が立ち上がるようになっている。
【0112】
この電気信号の変化をコントローラ13bに検出させることで、コントローラ13bは、障害物BLがセンサユニット80に近付いたことを検出する。すなわち、電極により形成されるセンサ本体81は、静電容量センサとなっている。なお、センサ本体81(電極)は、例えば複数の銅線を束ねた導電線(配線コード)により形成されている。
【0113】
以上のように形成された実施の形態5においても、上述した実施の形態1と同様の作用効果を奏することができる。これに加えて、実施の形態5では、センサ本体81を非接触タイプの近接センサとしたので、障害物BLの接触を未然に防ぐことができ、より信頼性を高めることが可能となる。また、非接触タイプのセンサ本体81を採用したことで、センサユニット80をより小型軽量化することが可能となる。
【0114】
なお、実施の形態5においても、上記実施の形態2ないし実施の形態4で示されたセンサユニットの製造手順を適用することができる。
【0115】
本発明は上記各実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、上記実施の形態1ないし実施の形態4では、絶縁チューブ32の内部に一対の電極33,34を螺旋状に固定したものを示したが、本発明はこれに限らず、電極の太さや必要とされる検出性能等に応じて、4本や6本等の電極を螺旋状に設けたり平行に設けたりしても良い。
【0116】
さらに、上記各実施の形態では、センサユニット20,80を、車両10のテールゲート12に固定した場合を示したが、本発明はこれに限らず、車両のガラスハッチやサンルーフ、さらには車両の側方にあるスライドドアに固定しても良いし、車両10への適用に限らず、建物の出入り口を開閉するための自動ドア装置等にも適用することができる。
【0117】
その他、上記各実施の形態における各構成要素の材質,形状,寸法,数,設置箇所等は、本発明を達成できるものであれば任意であり、上記各実施の形態に限定されない。
【符号の説明】
【0118】
10 車両
11 開口部
12 テールゲート
12a 縁部
13 パワーテールゲート装置
13a アクチュエータ
13b コントローラ
20 センサユニット
30 センサ本体
31 オス型コネクタ
32 絶縁チューブ
33,34 電極
35 導電チューブ
36 導電線
40 センサホルダ
41 センサ収容部
42 固定基部
42a 芯金収容部
43 傾斜面
44 芯金部材
45 モールド樹脂部(端末部)
50 センサブラケット(固定対象物)
60,70 芯金部材
80 センサユニット
81 センサ本体
BL 障害物
CA キャップ(キャップ部材)
CA1 差し込み本体
CA2 頭部
CK 切断刃
CP 湾曲部(所定箇所)
CS 切断面(切断箇所)
P1 長尺接続部
P2 短尺接続部
R 抵抗
S 隙間
SA サブアッシ
SF 端面
SP セパレータ
SW かしめ部材
TL 挿入治具
TL1 本体部
TL2 鍔部
TP 両面テープ