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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-28
(45)【発行日】2022-02-07
(54)【発明の名称】プラズマ式治療装置
(51)【国際特許分類】
   A61C 17/00 20060101AFI20220131BHJP
   A61B 18/00 20060101ALI20220131BHJP
   H05H 1/26 20060101ALI20220131BHJP
   A61N 1/44 20060101ALI20220131BHJP
【FI】
A61C17/00 E
A61B18/00
H05H1/26
A61N1/44
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018176584
(22)【出願日】2018-09-20
(65)【公開番号】P2020044205
(43)【公開日】2020-03-26
【審査請求日】2020-09-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】長原 悠
(72)【発明者】
【氏名】安宅 元晴
(72)【発明者】
【氏名】井上 毅
(72)【発明者】
【氏名】上原 剛
【審査官】小河 了一
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2015-0146253(KR,A)
【文献】特開2014-147924(JP,A)
【文献】国際公開第2016/181938(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 17/00
A61B 18/00
H05H 1/26
A61C 19/06
A61N 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に収容室を有するカウリングと、プラズマを発生するプラズマ発生部と、前記プラズマ及び前記プラズマによって発生した活性ガスの何れか一方又は両方を含む噴射ガスを吐出するノズルとを備える照射器具を備え、
前記プラズマ発生部は、前記収容室内に位置し、
前記プラズマ発生部と前記カウリングとの間に、前記プラズマ発生部に接する衝撃緩衝体を備え
前記衝撃緩衝体は、前記照射器具に外力が加わった時に、前記プラズマ発生部に伝わる力を緩和する、プラズマ式治療装置。
【請求項2】
前記衝撃緩衝体は、エラストマー成形体及び樹脂発泡体の双方又はいずれか一方である、請求項1に記載のプラズマ式治療装置。
【請求項3】
歯科用である、請求項1又は2に記載のプラズマ式治療装置。
【請求項4】
前記照射器具は、手持ち操作用である、請求項1~3のいずれか一項に記載のプラズマ式治療装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマ式治療装置に関する。
【背景技術】
【0002】
歯科治療等において創傷等の患部にプラズマやプラズマによって発生した活性ガスを照射して患部の治癒を図るプラズマ式治療装置が知られている。プラズマ式治療装置としては、プラズマジェット照射装置(例えば特許文献1)及び活性ガス照射装置(例えば特許文献2)がある。プラズマジェット照射装置は、プラズマ及びプラズマによって発生した活性種をノズルから吐出し、被照射物に照射する。活性ガス照射装置は、プラズマによって発生した活性種を含む活性ガスをノズルから吐出し、被照射物に照射する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5441066号公報
【文献】特開2017-50267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、特許文献2のプラズマ式治療装置のインスツルメント(照射器具)は、プラズマ発生部を照射器具内に備える。プラズマ発生部は、管状誘電体と、管状誘電体の内部に位置する内部電極と、管状誘電体の外側に位置する外部電極とを備える。この種のプラズマ式治療装置において、落下等により照射器具に外力(衝撃力)が加わると、プラズマ発生部が破損する場合がある。プラズマ発生部が破損すると、照射器具から吐出されるプラズマの強度や活性ガスの組成に影響が生じ、治療効果が低下する懸念がある。
そこで、本発明は、外力が加わっても、プラズマ発生部が破損しにくいプラズマ式治療装置を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、下記の態様を有する。
<1>内部に収容室を有するカウリングと、プラズマを発生するプラズマ発生部と、前記プラズマ及び前記プラズマによって発生した活性ガスの何れか一方又は両方を含む噴射ガスを吐出するノズルとを備える照射器具を備え、
前記プラズマ発生部は、前記収容室内に位置し、
前記プラズマ発生部と前記カウリングとの間に、前記プラズマ発生部に接する衝撃緩衝体を備える、プラズマ式治療装置。
<2>前記衝撃緩衝体は、エラストマー成形体及び樹脂発泡体の双方又はいずれか一方である、<1>に記載のプラズマ式治療装置。
<3>歯科用である、<1>又は<2>に記載のプラズマ式治療装置。
<4>前記照射器具は、手持ち操作用である、<1>~<3>のいずれかに記載のプラズマ式治療装置。
【発明の効果】
【0006】
本発明のプラズマ式治療装置は、プラズマ発生部が破損しにくい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の第一の実施形態のプラズマ式治療装置を示す模式図である。
図2】本発明の第一の実施形態のプラズマ式治療装置を構成する照射器具の部分断面図である。
図3図2の照射器具のx1-x1断面図である。
図4】本発明の第二の実施形態のプラズマ式治療装置を構成する照射器具の部分断面図である。
図5図4の照射器具のx2-x2断面図である。
図6】本発明の第三の実施形態のプラズマ式治療装置を構成する照射器具の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明のプラズマ式治療装置は、照射器具を備える。照射器具は、プラズマ発生部とプラズマ及びプラズマによって発生した活性ガスの何れか一方又は両方を含む噴射ガスを吐出するノズルとを備える。
プラズマ式治療装置は、プラズマジェット照射装置であってもよく、活性ガス照射装置であってもよい。
【0009】
プラズマジェット照射装置は、プラズマを発生させる。プラズマジェット照射装置は、発生したプラズマと活性種とを被照射物に直接照射する。活性種は、プラズマ中の気体又はプラズマ周辺の気体とプラズマとが反応して生成される。活性種としては、活性酸素種、活性窒素種等を例示できる。活性酸素種としては、ヒドロキシルラジカル、一重項酸素、オゾン、過酸化水素、スーパーオキシドアニオンラジカル等を例示できる。活性窒素種としては、一酸化窒素、二酸化窒素、ペルオキシナイトライト、過酸化亜硝酸、三酸化二窒素等を例示できる。
活性ガス照射装置は、プラズマを発生させる。活性ガス照射装置は、活性種を含む活性ガスを被照射物に照射する。活性種は、プラズマ中の気体又はプラズマ周辺の気体とプラズマとが反応して生成される。
プラズマジェット照射装置において、噴射ガスはプラズマと活性種とを含む。
活性ガス照射装置において、噴射ガスは活性ガスである。
【0010】
<第一の実施形態>
本実施形態のプラズマ式治療装置は、活性ガス照射装置である。
図1に示すように、本実施形態の活性ガス照射装置100は、照射器具10(インスツルメント)と、供給ユニット20と、ガス管路30と、電気配線40とを備える。
照射器具10は、照射器具10内で発生した活性ガスを吐出する。本実施形態の照射器具10は、手指で把持して使用する手持ち操作用の器具である。供給ユニット20は、照射器具10に電気及びプラズマ発生用ガスを供給する。ガス管路30は、照射器具10と供給ユニット20とを接続している。電気配線40は、照射器具10と供給ユニット20とを接続している。本実施形態において、ガス管路30と電気配線40とは、各々独立しているが、ガス管路30と電気配線40とは一体でもよい。
供給ユニット20は、プラズマ発生ガスの供給源(不図示)と接続されている。また、供給ユニット20は、プラズマ発生ガスの供給源を内蔵してもよい。プラズマ発生ガスの供給源は、例えば、ガスボンベ等である。
供給ユニット20は、例えば、100Vの家庭用電源等の電源(図示略)と接続されている。
【0011】
図2は、照射器具10における軸線に沿う断面を示す部分断面図である。図3は、図2の照射器具のx1-x1断面図である。
照射器具10は、長尺状のカウリング2と、カウリング2の先端から突出するノズル1と、カウリング2内に位置するプラズマ発生部12と、プラズマ発生部12とカウリング2との間に位置する衝撃緩衝体14と、カウリング2の外周面に設けられた操作スイッチ9(操作部)とを備える。
【0012】
カウリング2は、胴体部2bと、胴体部2bの先端を塞ぐヘッド部2aとを備える。
胴体部2bは、管軸O1方向に延びる円筒状の部材である。胴体部2bは、円筒形に限らず、四角筒、六角筒、八角筒等の多角筒形でもよい。
胴体部2bは、内部に収容室13を有する。
なお、カウリング2の後端は、胴体部2bの一部で塞がれていてもよいし、他の部材で塞がれていてもよい。この場合、ヘッド部2aと胴体部2bと前記他の部材とで囲われた空間が収容室13となる。
【0013】
胴体部2bの材料としては、特に限定されないが、絶縁性を有する材料が好ましい。胴体部2bは、電気絶縁性の材料のみで形成されてもよいし、電気絶縁性の材料とその表面に金属材料の層を有する多層構造でもよい。
絶縁性の材料としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等を例示できる。熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂(ABS樹脂)等を例示できる。熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコン樹脂等を例示できる。
金属材料としては、アルミニウム、銅、鉄、ステンレス鋼等を例示できる。
胴体部2bの大きさは、特に制限はなく、手指で把持しやすい大きさとすることができる。
【0014】
ヘッド部2aは、先端に向かい漸次窄んでいる。即ち、ヘッド部2aは、円錐形である。ヘッド部2aは、円錐形に限らず、四角錘、六角錘、八角錘等の多角錘形でもよい。
ヘッド部2aは、先端に嵌合孔2cを有している。嵌合孔2cは、ノズル1を受け入れる孔である。ノズル1は、ヘッド部2aに着脱可能になっている。ヘッド部2aは、管軸O1方向に延びる第一の活性ガス流路7を内部に有している。管軸O1は、胴体部2bの管軸である。
【0015】
ヘッド部2aの材料は、特に制限はなく、絶縁性を有してもよいし、絶縁性を有しなくてもよい。ヘッド部2aの材料としては、耐摩耗性、耐腐食性に優れる材料が好ましい。耐摩耗性、耐腐食性に優れる材料としては、ステンレス鋼等の金属を例示できる。ヘッド部2aと胴体部2bとの材料は、同じでもよく、異なってもよい。
ヘッド部2aの大きさは、活性ガス照射装置100の用途等を勘案して決定できる。例えば、活性ガス照射装置100が口腔内用治療器具である場合、ヘッド部2aの大きさは、口腔内に挿入できる大きさが好ましい。
【0016】
ノズル1は、嵌合孔2cに嵌合する台座部1bと、台座部1bから突出する照射管1cとを備える。台座部1bと照射管1cとは一体になっている。ノズル1は、その内部に、第二の活性ガス流路8を有している。ノズル1は、先端に照射口1aを有している。第二の活性ガス流路8と第一の活性ガス流路7とは、連通している。
【0017】
ノズル1の材料は、特に制限はなく、絶縁性を有してもよいし、導電性を有してもよい。ノズル1の材料としては、耐摩耗性、耐腐食性に優れる材料が好ましい。耐摩耗性、耐腐食性に優れる材料としては、ステンレス鋼等の金属を例示できる。
【0018】
ノズル1における照射管1c内の流路の長さ(即ち、距離L2)は、活性ガス照射装置100の用途等を勘案して、適宜決定できる。
照射口1aの開口径は、例えば、0.5~5mmが好ましい。開口径が上記下限値以上であると、活性ガスの圧力損失を抑制できる。開口径が上記上限値以下であると、照射する活性ガスの流速を高めて、患部の治癒等を促進できる。
照射管1cは、管軸O1に対して屈曲している。
照射管1cの管軸O2と管軸O1とのなす角度θは、活性ガス照射装置100の用途等を勘案して決定できる。
【0019】
照射器具10は、収容室13内にプラズマ発生部12を備える。プラズマ発生部12は、胴体部2bの内周面と離間している。
衝撃緩衝体14は、胴体部2bの内周面とプラズマ発生部12とに接している。即ち、衝撃緩衝体14は、胴体部2bとプラズマ発生部12との間を埋めている。本実施形態において、衝撃緩衝体14は、プラズマ発生部12の外周の全面を覆い、収容室13の内面に接している。
【0020】
プラズマ発生部12は、管状誘電体3と、内部電極4と、外部電極5とを備える。
管状誘電体3と内部電極4と外部電極5とは、管軸O1を中心として同心円状に位置している。
内部電極4の外周面と外部電極5の内周面とは、管状誘電体3を挟んで互いに対向している。
【0021】
管状誘電体3は、管軸O1方向に延びる円筒状の部材である。管状誘電体3は、管軸O1方向に延びるガス流路6を内部に有している。第一の活性ガス流路7とガス流路6とは連通している。なお、管軸O1は、管状誘電体3の管軸と同じである。
【0022】
管状誘電体3の材料としては、公知のプラズマ装置に使用する誘電体材料を適用できる。管状誘電体3の材料としては、例えば、ガラス、セラミックス、合成樹脂等を例示できる。管状誘電体3の誘電率は低いほど好ましい。
管状誘電体3の材料がガラス、セラミックスの場合、照射器具10に外力が加わると、管状誘電体3が破損しやすい。本発明は、照射器具10に外力が加わった時に、衝撃緩衝体14によって、プラズマ発生部12の管状誘電体3等に伝わる力を緩和できる。
【0023】
管状誘電体3の内径Rは、内部電極4の外径dを勘案して適宜決定できる。内径Rは、後述する距離sを所望の範囲とするように決定する。
【0024】
内部電極4は、管軸O1方向に延びる略円柱状の部材である。内部電極4は、管状誘電体3の内部に位置し、管状誘電体3の内面と離間している。
内部電極4は、管軸O1方向に延びる軸部と、軸部の外周面のねじ山とを備える。軸部は、中実でもよいし、中空でもよい。軸部は中実が好ましい。軸部が中実であれば、加工が容易であり、かつ機械的な耐久性を高められる。内部電極4のねじ山は、軸部の周方向に周回する螺旋状のねじ山である。内部電極4の形態は、雄ねじと同様の形態である。
内部電極4は、外周面にねじ山を有することで、ねじ山先端部の電界が局所的に強くなり、放電開始電圧が低くなる。このため、低電力でプラズマを生成し、維持できる。
なお、内部電極4は、外周面にねじ山等の凹凸を有しなくてもよい。即ち、内部電極4は、外周面に凹凸を有しない円柱の部材でもよい。
【0025】
内部電極4の外径dは、活性ガス照射装置100の用途(即ち、照射器具10の大きさ)等を勘案して、適宜決定できる。活性ガス照射装置100が口腔内用治療器具である場合、外径dは、0.5~20mmが好ましく、1~10mmがより好ましい。外径dが上記下限値以上であると、内部電極4を容易に製造できる。加えて、外径dが上記下限値以上であると、内部電極4の表面積が大きくなり、プラズマをより効率的に発生して、治癒等をより促進できる。外径dが上記上限値以下であると、照射器具10を過度に大きくすることなく、プラズマをより効率的に発生し、治癒等をより促進できる。
【0026】
内部電極4のねじ山の高さhは、内部電極4の外径dを勘案して適宜決定できる。
内部電極4のねじ山のピッチpは、内部電極4の長さや外径d等を勘案して適宜決定できる。ピッチpは、0.2~2.5mmが好ましく、0.2~2.0mmがより好ましい。
【0027】
内部電極4の材料は、導電材であれば特に制限はなく、公知のプラズマ装置の電極に使用する金属を適用できる。内部電極4の材料としては、ステンレス鋼、銅、タングステン等の金属、カーボン等を例示できる。
【0028】
内部電極4としては、JIS B 0205:2001のメートルねじの規格品(M2、M2.2、M2.5、M3、M3.5等)、JIS B 2016:1987のメートル台形ねじの規格品(Tr8×1.5、Tr9×2、Tr9×1.5等)、JIS B 0206:1973のユニファイ並目ねじの規格品(No.1-64UNC、No.2-56UNC、No.3-48UNC等)等と同等の仕様が好ましい。これらの規格品と同等の仕様であれば、コスト面で優位である。
【0029】
内部電極4の外周面と管状誘電体3の内周面との距離sは、0.05~5mmが好ましく、0.1~1mmがより好ましい。距離sが上記下限値以上であると、所望量のプラズマ発生用ガスを容易に通流できる。距離sが上記上限値以下であると、プラズマをさらに効率的に発生し、活性ガスの温度を低くできる。
【0030】
外部電極5は、管状誘電体3の外周面に沿って周回する環状の電極である。外部電極5は、管状誘電体3の外周面の一部に存在する。
【0031】
外部電極5の材料は、導電材であれば特に制限はなく、公知のプラズマ装置の電極に使用する金属を適用できる。外部電極5の材料としては、ステンレス鋼、銅、タングステン等の金属、カーボン等を例示できる。
【0032】
外部電極5の先端中心点Q1からヘッド部2aの先端Q2までの距離L1と、先端Q2から照射口1aまでの距離L2との合計(即ち、内部電極4から照射口1aまでの道のり)は、活性ガス照射装置100に求める大きさや、照射した活性ガスが当たる面(被照射面)における温度等を勘案して適宜決定する。距離L1と距離L2の合計が長ければ、被照射面の温度を低くできる。距離L1と距離L2の合計が短ければ、活性ガスのラジカル密度がさらに高くなり、被照射面における清浄化、賦活化、治癒等の効果がさらに高くなる。なお、先端Q2は、管軸O1と管軸O2との交点である。
【0033】
本実施形態の衝撃緩衝体14としては、例えば、発泡ポリウレタン、発泡ポリスチレン、発泡ポリオレフィン等の発泡樹脂の成形体(樹脂発泡体)、エラストマーの成形体(エラストマー成形体)を例示できる。衝撃緩衝体14は、全てが樹脂発泡体又はエラストマー成形体のいずれかでもよいし、樹脂発泡体とエラストマー成形体との組み合わせでもよい。樹脂発泡体とエラストマー成形体との組み合わせとしては、発泡樹脂層とエラストマー層とを有する積層物を例示できる。発泡ポリスチレンは、ビーズ法発泡ポリスチレン(EPS)、発泡ポリスチレンシート(PSP)のいずれでもよい。
エラストマーは、熱硬化性エラストマー、熱可塑性エラストマーのいずれでもよい。
熱硬化性エラストマーは、例えば、天然ゴム、合成ゴム等の加硫ゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム等である。
熱可塑性エラストマーは、例えば、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、ウレタン系エラストマー等である。
【0034】
衝撃緩衝体14の硬度は、A10~A90が好ましい。硬度が上記下限値以上であれば、保形性がよく、取り扱いしやすい。硬度が上記上限値以下であれば、外力がプラズマ発生部12に伝わるのをさらに緩和できる。衝撃緩衝体14の硬度は、JIS K 6253-3:2012に従い、タイプAのデュロメータで測定した値である。
衝撃緩衝体14の厚さTは、0.1~5mmが好ましく、0.5~3mmがより好ましい。厚さTが上記下限値以上であれば、外力がプラズマ発生部12に伝わるのをさらに緩和できる。厚さTが上記上限値以下であれば、照射器具10が過度に大きくなるのを抑制しやすい。
【0035】
操作スイッチ9は、使用者が操作することによって、ノズル1からの活性ガスの吐出を開始するための電気信号を発信する。
操作スイッチ9は、例えば、押釦である。操作スイッチ9が押釦である場合、操作スイッチ9は、使用者が押釦を1回押したときに電気信号を1回だけ発信する構成を有してもよく、使用者が押釦を押し続けている間、電気信号を発信し続ける構成を有してもよい。
【0036】
ガス管路30は、供給ユニット20から照射器具10にプラズマ発生用ガスを供給する経路である。ガス管路30は、照射器具10の管状誘電体3の後端部に接続している。ガス管路30の材料は特に制限はなく、公知のガス管に用いる材料を適用できる。ガス管路30の材料としては、例えば、樹脂製の配管、ゴム製のチューブ等を例示でき、可撓性を有する材料が好ましい。
【0037】
電気配線40は、供給ユニット20の給電部50から照射器具10のプラズマ発生部12に電気を供給する配線、及び照射器具10の操作スイッチ9と供給ユニット20とを電気的に接続する配線を備える。
電気配線40は、照射器具10の内部電極4、外部電極5及び操作スイッチ9に接続している。電気配線40の材料は特に制限はなく、公知の電気配線に用いる材料を適用できる。電気配線40の材料としては、絶縁材料で被覆した金属導線等を例示できる。
【0038】
次に、プラズマ式治療キットの使用方法(治療方法)を説明する。
被照射物としては、例えば、細胞、生体組織、生物個体等を例示できる。
生体組織としては、各器官(内臓等)、体表や体腔の内面を覆う上皮組織、歯周組織(歯肉、歯槽骨、歯根膜、セメント質等)、歯、骨等を例示できる。活性ガスの照射によって処理可能な疾患及び症状としては、例えば、歯肉炎、歯周病等の口腔内の疾患、皮膚の創傷等を例示できる。
生物個体としては、哺乳類(ヒト、犬、猫、豚等)、鳥類、魚類等を例示できる。
【0039】
次いで、医師等の使用者は、照射器具10を持って移動させ、ノズル1を被照射物に向ける。この状態で操作スイッチ9を押し、供給ユニット20からガス管路30を介して照射器具10のプラズマ発生部12にプラズマ発生用ガスを供給する。また、供給ユニット20から照射器具10のプラズマ発生部12に電気を供給する。
プラズマ発生部12に供給したプラズマ発生用ガスは、管状誘電体3の後端部から管状誘電体3の内空部に流入する。プラズマ発生用ガスは、電圧を印加した内部電極4と外部電極5とが対向する位置において電離し、プラズマになる。
【0040】
本実施形態においては、内部電極4と外部電極5とが、プラズマ発生用ガスの流れる方向と直交する向きに対向している。内部電極4の外周面と外部電極5の内周面とが対向する位置で発生したプラズマは、ガス流路6と、第一の活性ガス流路7と、第二の活性ガス流路8とをこの順に通流する。この間、プラズマは、ガス組成を変化しつつ通流し、ラジカル等の活性種を含む活性ガスとなる。
【0041】
生じた活性ガスはノズル1の照射口1aから吐出される。吐出された活性ガスは、照射口1a近傍の気体の一部をさらに活性化して活性種を生成する。これらの活性種を含む活性ガスを塗布領域に照射する。
【0042】
プラズマ発生用ガスとしては、例えば、希ガス(ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン等)、窒素等を例示できる。これらのガスは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
プラズマ発生用ガスは、窒素を主成分とすることが好ましい。ここで、窒素を主成分とするとは、プラズマ発生用ガスにおける窒素の含有量が50体積%超であることをいう。
即ち、プラズマ発生用ガスにおける窒素の含有量は、50体積%超が好ましく、70体積%以上がより好ましく、80~100体積%がさらに好ましく、90~100体積%が特に好ましい。プラズマ発生用ガス中の窒素以外のガス成分としては、例えば、空気、酸素、希ガス等を例示できる。
プラズマ発生ガスは、窒素を主成分とすることで、被照射物の清浄化、賦活化又は治癒をより促進できる。加えて、窒素を主成分とすることで、プラズマ発生ガス中の酸素を低減して、活性ガス中のオゾンを低減できる。活性ガス照射装置100を口腔内の治療に用いる場合、活性ガス中のオゾンを低減することが好ましい。
従来のプラズマ発生部では、窒素を含むプラズマ発生ガスを用いると、プラズマを発生しにくかった。本実施形態においては、外周面にらせん状の凸条(ねじ山)を備える(即ち、らせん状の溝を備える)内部電極を用いるため、容易にプラズマを発生できる。
【0043】
活性ガス照射装置100が口腔内用治療器具である場合、管状誘電体3に導入するプラズマ発生用ガスの酸素濃度は、1体積%以下が好ましい。酸素濃度が上限値以下であると、オゾンの発生をさらに低減できる。
【0044】
管状誘電体3に導入するプラズマ発生用ガスの流量は、1~10L/minが好ましい。管状誘電体3に導入するプラズマ発生用ガスの流量が上記下限値以上であると、被照射物における被照射面の温度の上昇を抑制しやすい。プラズマ発生用ガスの流量が上記上限値以下であると、被照射物の清浄化、賦活化又は治癒をさらに促進できる。
【0045】
内部電極4と外部電極5との間に印加する交流電圧は、5kVpp以上20kVpp以下が好ましい。ここで、交流電圧を表す単位「Vpp(Volt peak to peak)」は、交流電圧波形の最高値と最低値との電位差である。印加する交流電圧が上記上限値以下であると、発生するプラズマの温度を低く抑えられる。印加する交流電圧が上記下限値以上であると、さらに効率的にプラズマを発生できる。
【0046】
内部電極4と外部電極5との間に印加する交流の周波数は、0.5kHz以上20kHz未満が好ましく、1kHz以上15kHz未満がより好ましく、2kHz以上10kHz未満がさらに好ましく、3kHz以上9kHz未満が特に好ましく、4kHz以上8kHz未満が最も好ましい。交流の周波数が上記上限値以下であると、発生するプラズマの温度を低く抑えられる。交流の周波数が上記下限値以上であると、さらに効率的にプラズマを発生できる。
【0047】
ノズル1の照射口1aから照射する活性ガスの温度は、50℃以下が好ましく、45℃以下がより好ましく、40℃以下がさらに好ましい。ノズル1の照射口1aから照射する活性ガスの温度が上記上限値以下であると、被照射面の温度を40℃以下にしやすい。被照射面の温度を40℃以下にすることで、被照射部分が患部である場合にも、患部への刺激を低減できる。ノズル1の照射口1aから照射する活性ガスの温度の下限値は、特に制限はなく、例えば、10℃である。活性ガスの温度は、照射口1aにおける活性ガスの温度を熱電対で測定した値である。
【0048】
照射口1aから被照射面までの距離(照射距離)は、例えば、0.01~10mmが好ましい。照射距離が上記下限値以上であると、被照射面の温度を低くし、被照射面への刺激をさらに緩和できる。照射距離が上記上限値以下であると、治癒等の効果をさらに高められる。
【0049】
照射口1aから1mm以上10mm以下の距離で離れた位置の被照射面における活性ガスの温度は、40℃以下が好ましい。被照射面における活性ガスの温度が40℃以下であると、被照射面への刺激を低減できる。被照射面における活性ガスの温度の下限値は特に制限はないが、例えば10℃である。
被照射面の温度は、内部電極4と外部電極5との間に印加する交流電圧、照射する活性ガスの吐出量、外部電極5の先端中心Q1から照射口1aまでの道のり等の組み合わせで調節できる。被照射面の温度は、熱電対を用いて測定できる。
【0050】
活性ガスに含まれる活性種としては、ヒドロキシルラジカル、一重項酸素、オゾン、過酸化水素、スーパーオキシドアニオンラジカル、一酸化窒素、二酸化窒素、ペルオキシナイトライト、過酸化亜硝酸、三酸化二窒素等を例示できる。活性ガスに含まれる活性種の種類は、例えば、プラズマ発生用ガスの種類等によって調節できる。
【0051】
活性ガス中におけるヒドロキシルラジカルの密度(ラジカル密度)は、0.1~300μmol/Lが好ましく、0.1~100μmol/Lがより好ましく、0.1~50μmol/Lがさらに好ましい。ラジカル密度が上記下限値以上であると、細胞、生体組織及び生物個体から選ばれる被照射物の清浄化、賦活化又は異常の治癒を促進しやすい。ラジカル密度が上記上限値以下であると、被照射面への刺激を低減できる。
【0052】
ラジカル密度は、例えば、以下の方法で測定できる。
DMPO(5,5-ジメチル-1-ピロリン-N-オキシド)0.2mol/L溶液0.2mLに対して、活性ガスを30秒間照射する。この際、照射口1aから液面までの距離を5.0mmとする。活性ガスを照射した溶液について、電子スピン共鳴(ESR)法を利用してヒドロキシルラジカル濃度を測定し、これをラジカル密度とする。
【0053】
活性ガス中における一重項酸素の密度(一重項酸素密度)は、0.1~300μmol/Lが好ましく、0.1~100μmol/Lがより好ましく、0.1~50μmol/Lがさらに好ましい。一重項酸素密度が上記下限値以上であると、細胞、生体組織及び生物個体等の被照射物の清浄化、賦活化又は異常の治癒を促進しやすい。上記上限値以下であると、被照射面への刺激を低減できる。
【0054】
一重項酸素密度は、例えば、以下の方法で測定できる。
TPC(2,2,5,5-テトラメチル-3-ピロリン-3-カルボキサミド)0.1mol/L溶液0.4mLに対して、活性ガスを30秒間照射する。この際、照射口1aから液面までの距離を5.0mmとする。活性ガスを照射した溶液について、電子スピン共鳴(ESR)法を利用して一重項酸素濃度を測定し、これを一重項酸素密度とする。
【0055】
照射口1aから吐出する活性ガスの流量は、1~10L/minが好ましい。
照射口1aから吐出する活性ガスの流量が上記下限値以上であると、活性ガスが被照射面に作用する効果を充分に高められる。照射口1aから吐出する活性ガスの流量が上記上限値以下であると、活性ガスの被照射面の温度が過度に高まることを防止できる。加えて、被照射面が濡れている場合には、被照射面の急速な乾燥を防止できる。さらに、被照射面が患部である場合には、患者への刺激を抑制できる。活性ガス照射装置100において、照射口1aから吐出する活性ガスの流量は、管状誘電体3へのプラズマ発生用ガスの供給量で調節できる。
【0056】
活性ガス照射装置100によって生じる活性ガスは、外傷や異常の治癒を促進する効果を有する。活性ガスを細胞、生体組織又は生物個体に照射することによって、その被照射部分の清浄化、賦活化、又はその被照射部分の治癒を促進できる。
【0057】
外傷や異常の治癒を促進する目的で活性ガスを照射する場合、その照射頻度、照射回数及び照射期間は特に制限はない。例えば、1~5.0L/minの照射量で活性ガスを患部に照射する場合、1日1~5回、毎回10秒~10分、1~30日間、等の照射条件が、治癒を促進する観点から好ましい。
【0058】
管状誘電体3の材料がガラス、セラミックスの場合、照射器具10に外力が加わると、管状誘電体3が破損しやすい。
本実施形態のプラズマ式治療装置は、プラズマ発生部12に接する衝撃緩衝体14を備える。このため、落下等によって照射器具10に外力が加わった時に、衝撃緩衝体14によって、プラズマ発生部12の管状誘電体3等に伝わる力を緩和して、プラズマ発生部12の破損を防止できる。
【0059】
<第二の実施形態>
本発明の第二の実施形態に係るプラズマ式治療装置について、図面を参照して説明する。
本実施形態のプラズマ式治療装置は、活性ガス照射装置である。
本実施形態の活性ガス照射装置は、照射器具10に代えて照射器具10aを備える点で、第一の実施形態と相違し、その他の構成は第一の実施形態と同じである。
【0060】
図4は、照射器具10aにおける軸線に沿う断面を示す部分断面図である。図5は、図2の照射器具のx2-x2断面図である。
照射器具10aは、長尺状のカウリング2と、カウリング2の先端から突出するノズル1と、カウリング2内に位置するプラズマ発生部12と、プラズマ発生部12とカウリング2との間に位置する衝撃緩衝体14aと、カウリング2の外周面に設けられた操作スイッチ9(操作部)とを備える。
本実施形態の照射器具10aは、衝撃緩衝体14に代えて衝撃緩衝体14aを備える点で、第一の実施形態の照射器具10と異なる。
【0061】
図4、5に示すように、胴体部2bの内周面とプラズマ発生部12とは離間している。胴体部2bの内周面とプラズマ発生部12の外周面との間には、空隙がある。前記空隙には、2以上の衝撃緩衝体14aが点在している。2以上の衝撃緩衝体14aは、胴体部2bとプラズマ発生部12とに接している。
図4に示すように、2以上の衝撃緩衝体14aは、管軸O1方向に並んで、列を形成している。図5に示すように、2以上の衝撃緩衝体14aからなる4つ列は、管軸O1を中心として、90°間隔で環状に位置している。
【0062】
衝撃緩衝体14aとして、樹脂発泡体、エラストマー成形体等の樹脂成形体の他に、金属製又は樹脂製のバネ等を例示できる。バネとしては、コイルバネ、板バネ、渦巻きバネ等を例示できる。衝撃緩衝体14aとしては、樹脂成形体が好ましい。樹脂成形体であれば、任意の形状への成形が容易である。
また、2以上の衝撃緩衝体14aは、全てが樹脂発泡体又はエラストマー成形体のいずれかでもよいし、樹脂発泡体の衝撃緩衝体14aとエラストマー成形体の衝撃緩衝体14aとの組み合わせでもよい。あるいは、2以上の衝撃緩衝体14aは、樹脂成形体の衝撃緩衝体14aと、バネの衝撃緩衝体14aとの組み合わせでもよい。
【0063】
衝撃緩衝体14aが発泡樹脂又はエラストマーの成形体の場合、衝撃緩衝体14の形状は、例えば、真円柱、楕円柱等の円柱でもよいし、多角柱でもよい。なお、衝撃緩衝体14aは、管状誘電体3の表面に接していてもよく、外部電極5に接していてもよい。ただし、管状誘電体3の破損をさらに抑制する観点からは、管状誘電体3に接する衝撃緩衝体14aを有することが好ましい。
【0064】
衝撃緩衝体14aの大きさは、照射器具10a全体の大きさを勘案して決定できる。
衝撃緩衝体14aの高さT1は、例えば、0.1~5mmが好ましく、0.5~3mmがより好ましい。高さT1が上記下限値以上であれば、外力がプラズマ発生部12に伝わるのをさらに緩和できる。高さT1が上記上限値以下であれば、照射器具10が過度に大きくなるのを抑制しやすい。
衝撃緩衝体14aの幅W1は、例えば、1~10mmが好ましく、3~5mmがより好ましい。幅W1が上記下限値以上であれば、外力がプラズマ発生部12に伝わるのをさらに緩和できる。幅W1が上記上限値以下であれば、胴体部2bとプラズマ発生部12との間の空隙の中に、衝撃緩衝体14aを設置しやすい。
【0065】
<第三の実施形態>
本発明の第三の実施形態に係るプラズマ式治療装置について、図面を参照して説明する。
本実施形態のプラズマ式治療装置は、活性ガス照射装置である。
本実施形態の活性ガス照射装置は、照射器具10に代えて照射器具10bを備える点で第一の実施形態と相違し、その他の構成は第一の実施形態と同じである。
【0066】
図6は照射器具10bにおける軸線に沿う断面を示す部分断面図である。照射器具10bは、長尺状のカウリング2と、カウリング2の先端から突出するノズル1と、カウリング2内に位置するプラズマ発生部12と、プラズマ発生部12とカウリング2との間に位置する先端衝撃緩衝体114aと後端衝撃緩衝体114bと、カウリング2の外周面に設けられた操作スイッチ9(操作部)とを備える。
本実施形態の照射器具10bは、衝撃緩衝体14に代えて先端衝撃緩衝体114aと後端衝撃緩衝体114bとを備える点で、第一の実施形態の照射器具10と異なる。
【0067】
本実施形態において、先端衝撃緩衝体114aは、プラズマ発生部12の先端に設けられている。先端衝撃緩衝体114aは、プラズマ発生部12の先端(即ち、管状誘電体3の先端縁)で、管状誘電体3とカウリング2との間に位置し、かつ双方に接している。
後端衝撃緩衝体114bは、プラズマ発生部12の後端に設けられている。後端衝撃緩衝体114bは、プラズマ発生部12の後端(即ち、管状誘電体3の後端縁)で、管状誘電体3とカウリング2との間に位置し、かつ双方に接している。
【0068】
先端衝撃緩衝体114aは、管状誘電体3の先端とカウリング2との間に位置できる形状であればよい。先端衝撃緩衝体114aとしては、例えば、Oリング等が挙げられる。また、例えば、先端衝撃緩衝体114aは、衝撃緩衝体14aと同様の柱状の部材でもよい。
先端衝撃緩衝体114aの素材としては、樹脂発泡体及びエラストマー成形体の双方又はいずれか一方が挙げられる。先端衝撃緩衝体114aは、全てが樹脂発泡体又はエラストマー成形体のいずれかでもよいし、樹脂発泡体とエラストマー成形体との組み合わせでもよい。樹脂発泡体とエラストマー成形体との組み合わせとしては、発泡樹脂層とエラストマー層とを有する積層物を例示できる。
【0069】
先端衝撃緩衝体114aの厚さT21は、例えば、0.1~5mmが好ましく、0.5~3mmがより好ましい。厚さT21が上記下限値以上であれば、外力がプラズマ発生部12に伝わるのをさらに緩和できる。厚さT21が上記上限値以下であれば、照射器具10bが過度に大きくなるのを抑制しやすい。
【0070】
後端衝撃緩衝体114bは、管状誘電体3の後端とカウリング2との間に位置できる形状であればよい。後端衝撃緩衝体114bとしては、例えば、Oリング、柱状の部材等が挙げられる。
後端衝撃緩衝体114bの素材は、先端衝撃緩衝体114aの素材と同様である。後端衝撃緩衝体114bの素材は、先端衝撃緩衝体114aの素材と同じでもよく、異なってもよい。
【0071】
後端衝撃緩衝体114bの厚さT22は、先端衝撃緩衝体114aの厚さT21と同様である。厚さT21と厚さT22とは、同じでもよいし、異なってもよい。
【0072】
なお、本実施形態では、先端衝撃緩衝体114aと後端衝撃緩衝体114bとの双方を有している。しかしながら、本発明はこれに限定されず、先端衝撃緩衝体114aと後端衝撃緩衝体114bのいずれか一方のみを有していてもよい。
本実施形態では、先端衝撃緩衝体114aと後端衝撃緩衝体114bとの双方が、胴体部2bに接している。しかしながら、本発明はこれに限定されず、先端衝撃緩衝体114aがヘッド部2aに接していてもよい。あるいは、後端衝撃緩衝体114bが、胴体部2bの後端を塞ぐ他の部材に接していてもよい。即ち、各衝撃緩衝体は、収容室13の内面に接していればよい。
【0073】
<他の実施形態>
なお、本発明のプラズマ式治療装置は、衝撃緩衝体を備える照射器具を備えればよく、上述の実施形態に限定されない。
【0074】
図示例では、供給ユニット20は1つであるが、供給ユニットを複数設け、異種又は同種のガスの2種以上を照射器具10に供給してもよい。
【0075】
操作スイッチ9が、上記の実施形態と異なってもよい。例えば、照射器具10の操作スイッチ9に代えて、供給ユニット20に足踏みペダルを設けてもよい。この場合、足踏みペダルを操作部とし、例えば使用者が足踏みペダルを踏んだときに、ガス供給源からプラズマ発生用ガスをプラズマ発生部12に供給する構成を採用すること等ができる。
【0076】
上記の実施形態では、内部電極4の形状はねじ状であるが、内部電極と外部電極との間にプラズマを発生できれば、内部電極の形状は限定されない。
内部電極は、表面に凹凸を有してもよいし、表面に凹凸を有しなくてもよい。内部電極としては、外周面に凹凸を有する形状が好ましい。
内部電極の形状は、例えば、コイル状でもよいし、外周面に突起、穴、貫通孔が複数形成された棒形状又は筒形状でもよい。内部電極の断面形状としては、例えば、真円形、楕円形等の円形、四角形、六角形等の多角形を例示できる。
【0077】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記の実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した実施形態や変形例を適宜組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明のプラズマ式治療キットは、口腔内の治療、歯科の治療、動物の治療等の用途に有用である。
本発明の治療方法は、生体組織の治癒促進に有効である。本発明の治療方法は、ヒトのみならず、ヒトを除く動物の治療にも有効である。
【符号の説明】
【0079】
100 活性ガス照射装置;1 ノズル;2 カウリング;10、10a、10b 照射器具;12 プラズマ発生部;13 収容室;14、14a 衝撃緩衝体;114a 先端衝撃緩衝体;114b 後端衝撃緩衝体
図1
図2
図3
図4
図5
図6