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  • 特許-回転工具用主軸 図1
  • 特許-回転工具用主軸 図2
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  • 特許-回転工具用主軸 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-28
(45)【発行日】2022-02-07
(54)【発明の名称】回転工具用主軸
(51)【国際特許分類】
   B23B 31/117 20060101AFI20220131BHJP
   B23B 19/02 20060101ALI20220131BHJP
   B23Q 11/10 20060101ALI20220131BHJP
   B23Q 11/12 20060101ALI20220131BHJP
【FI】
B23B31/117 601A
B23B19/02 A
B23Q11/10 D
B23Q11/12 C
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018204597
(22)【出願日】2018-10-31
(65)【公開番号】P2020069565
(43)【公開日】2020-05-07
【審査請求日】2019-09-05
(73)【特許権者】
【識別番号】518386265
【氏名又は名称】日精ホンママシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067356
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 容一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100160004
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 憲雅
(74)【代理人】
【識別番号】100120558
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 勝彦
(74)【代理人】
【識別番号】100148909
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧澤 匡則
(72)【発明者】
【氏名】真壁 敏夫
【審査官】中川 康文
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-155315(JP,A)
【文献】特開2010-179399(JP,A)
【文献】特開2016-059975(JP,A)
【文献】実開平04-067911(JP,U)
【文献】実開平05-044406(JP,U)
【文献】特開平07-178607(JP,A)
【文献】特開平07-204908(JP,A)
【文献】特許第2557915(JP,B2)
【文献】特開平10-080841(JP,A)
【文献】特開平10-122484(JP,A)
【文献】特開2004-025389(JP,A)
【文献】国際公開第2004/112999(WO,A1)
【文献】特開平10-029131(JP,A)
【文献】特開平09-183039(JP,A)
【文献】特開2010-260142(JP,A)
【文献】実開平04-051349(JP,U)
【文献】特開2003-039213(JP,A)
【文献】実開平05-026246(JP,U)
【文献】特開昭63-212438(JP,A)
【文献】特開平05-154736(JP,A)
【文献】特開平11-090762(JP,A)
【文献】特開2001-096438(JP,A)
【文献】特開2001-310229(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 1/00-25/06
B23B 31/00-33/00
B23Q 11/00-13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転工具を収納し、雄テーパー部を有すると共に尾部にプルスタッドを有する工具ホルダを、回転する回転工具用主軸であり、
中空ラムと、この中空ラムに回転自在に収納され先端に前記雄テーパー部に対応する円錐穴を有する中空主軸と、この中空主軸に収納され前記プルスタッドに係合するコレットと、前記中空主軸に収納され前記コレットを軸方向へ移動するドローバーと、このドローバーを前進させる油圧シリンダと、前記ドローバーを後進させる皿ばねとを有する回転工具用主軸において、
前記ドローバーは、前記中空主軸に移動可能に収納され、前記皿ばねを受けるばね受け部を有し、
前記皿ばねは、前記中空主軸内に配置され、且つ前記ドローバーの先端から前記ばね受け部までの軸方向距離の少なくとも半分の距離に配置され、
前記中空主軸は、前記雄テーパー部へ吹き出す空気を流す流体通路を有しており、
前記流体通路については、
前記皿ばねを囲う部位では、前記皿ばねの外周と、前記皿ばねを収納するばね収納室の壁面との間に流体通路が形成され、
前記皿ばねを囲う部位を外れて前記円錐穴に至るまでの部位では、前記中空主軸の肉厚内に流体通路が形成され
この肉厚内の流体通路は、少なくとも2本形成され、
前記肉厚内の流体通路の入口は、前記ばね収納室の円筒面に設けられていることを特徴とする回転工具用主軸。
【請求項2】
請求項1記載の回転工具用主軸であって、
前記ドローバーは、前記ばね受け部を有するバー本体と、このバー本体の先端に軸方向移動可能に取付けられたノズルと、前記バー本体に収納され前記ノズルを前方へ付勢するスプリングとからなり、
前記バー本体及び前記ノズルに、クーラントを流すクーラント流路が設けられていることを特徴とする回転工具用主軸。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合旋盤回転工具用主軸(以下、回転工具用主軸と略記する。)に関する。
【背景技術】
【0002】
バイトやフライスなどの工具(刃具とも呼ばれる。)を、主軸周りに回転させつつ被切削物を切削する複合旋盤が広く普及している。
複合旋盤では、回転工具を適宜交換する。そのために、コレットチャックと称する工具つかみ部を備えている旋盤が多い。ドローバーと呼ばれる引き棒で操作すると、コレットが縮径して回転工具をつかむ。このようなドローバーとコレットを備える複合旋盤が広く知られている(例えば、特許文献1(図1)参照。)。
【0003】
図4は従来の技術の基本構成を説明する図である。
ラム101に、軸受102を介して駆動軸103が取付けられている。
また、ラム101の先にアタッチメント104が取付けられ、このアタッチメント104に主軸ハウジング105が嵌められ、この主軸ハウジング105に軸受106を介して中空主軸107が回転自在に取付けられている。
【0004】
この中空主軸107は、先端に円錐形の工具取付穴108を有し、この工具取付穴108の近傍にコレット109を内蔵し、このコレット109から駆動軸103側へ延びるドローバー111を内蔵している。
このドローバー111は駆動軸103にカップリング112で機械的に連結されている。
駆動源で駆動軸103が回されると、カップリング112を介してドローバー111が回される。ドローバー111の回転力は、キー113を介して中空主軸107へ伝達される。キー113により、ドローバー111は中空主軸107と一緒に回る。
【0005】
回転工具115は、雄テーパー部116を有する工具ホルダ117に取付けられている。工具ホルダ117は尾部にプルスタッド118を有する。
工具ホルダ117を工具取付穴108に挿入し、プルスタッド118をコレット109へ差し入れる。この状態でドローバー111を引くと、雄テーパー部116が工具取付穴108に密着し、所定の摩擦力が発生する。
以降、駆動軸103で工具ホルダ117を回し、回転工具115で切削加工を実施することができる。
【0006】
ところで、ドローバー111の前進は、主軸ハウジング105に嵌められている油圧シリンダ119及びこの油圧シリンダ119に収納されるピストン121により、実施される。すなわち、油圧シリンダ119に圧油を供給すると、ピストン121が前進し、このピストン121でドローバー111が前進側に押される。ピストン121の前進により、皿ばね122が圧縮される。
【0007】
ドローバー111の後進は、皿ばね122による。すなわち、油圧シリンダ119の圧油が抜かれると、皿ばね122がドローバー111を後進(引き側)へ移動させる。皿ばね122の力で、工具ホルダ117が中空主軸107に保持されている。
【0008】
ところで、構造的や機構的には、ドローバー111の前進と後進との両方を、油圧シリンダ119に委ねることができる。しかし、油圧シリンダ119でドローバー111を後進させると、停電などで油圧が失われると、工具ホルダ117の保持に問題が起こる。この点、皿ばね122は停電の影響を受けない。
【0009】
このような理由により、皿ばね122が使用される。
ドローバー111のストローク(前進量)は、コレット109の構造で定められる。コレット109の構造によっては、ストロークの増加が求められる。
皿ばね122は、1枚当たりの軸方向変位量に制限があるため、ドローバー111のストロークを増加には、皿ばね122の枚数を増やす必要がある。
特許文献1では、皿ばね122は、6枚であるが、これを20枚~30枚に変更することが求められる。
【0010】
特許文献1の構造では、キー113が存在するため、皿ばね122は、カップリング112側に増やすことになる。すると、ドローバー111が長くなり、回転工具用主軸が大形になる。
回転工具用主軸の小型化が求められる中、ドローバー111を長くすることなく、皿ばね122の枚数を増やすことができる構造が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特許第2557915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、ドローバーを長くすることなく、皿ばねの枚数を増やすことができる構造の回転工具用主軸を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1に係る発明は、回転工具を収納し、雄テーパー部を有すると共に尾部にプルスタッドを有する工具ホルダを、回転する回転工具用主軸であり、
中空ラムと、この中空ラムに回転自在に収納され先端に前記雄テーパー部に対応する円錐穴を有する中空主軸と、この中空主軸に収納され前記プルスタッドに係合するコレットと、前記中空主軸に収納され前記コレットを軸方向へ移動するドローバーと、このドローバーを前進させる油圧シリンダと、前記ドローバーを後進させる皿ばねとを有する回転工具用主軸において、
前記ドローバーは、前記中空主軸に移動可能に収納され、前記皿ばねを受けるばね受け部を有し、
前記皿ばねは、前記中空主軸内に配置され、且つ前記ドローバーの先端から前記ばね受け部までの軸方向距離の少なくとも半分の距離に配置され、
前記中空主軸は、前記雄テーパー部へ吹き出す空気を流す流体通路を有しており、
前記流体通路については、
前記皿ばねを囲う部位では、前記皿ばねの外周と、前記皿ばねを収納するばね収納室の壁面との間に流体通路が形成され、
前記皿ばねを囲う部位を外れて前記円錐穴に至るまでの部位では、前記中空主軸の肉厚内に流体通路が形成され
この肉厚内の流体通路は、少なくとも2本形成され、
前記肉厚内の流体通路の入口は、前記ばね収納室の円筒面に設けられていることを特徴とする。
【0014】
請求項2に係る発明は、請求項1の回転工具用主軸であって、
前記ドローバーは、前記ばね受け部を有するバー本体と、このバー本体の先端に軸方向移動可能に取付けられたノズルと、前記バー本体に収納され前記ノズルを前方へ付勢するスプリングとからなり、
前記バー本体及び前記ノズルに、クーラントを流すクーラント流路が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る発明では、皿ばねを、ドローバーの先端からばね受け部までの軸方向距離の半分以上の距離に配置した。皿ばねを、前方(円錐穴側)に増加した。
これにより、ドローバーを長くすることなく、皿ばねの枚数を増やすことができる構造の回転工具用主軸が提供される。
加えて、皿ばねの外周と中空主軸側のばね収納室の壁面との間に、隙間を設け、この隙間に空気を流すようにした。仮に、中空主軸に流体通路を形成すると、中空主軸の肉を厚くする必要がある。この点、本発明では、流体通路に代わる隙間を中空主軸外に設けたため、中空主軸の肉を厚くする必要がない。
また、皿ばねは、多数枚を重ねるため、隣り同士の皿ばね間で、僅かではあるが発熱や微量のコンタミが発生する。皿ばねの外周側に空気を流すことにより、この空気で冷却やコンタミの除去を図ることができる。
加えて、肉厚内の流体通路は、少なくとも2本形成され、肉厚内の流体通路の入口は、ばね収納室の円筒面に設けられている。
【0017】
請求項2に係る発明では、バー本体及びノズルに、クーラントを流すクーラント流路が設けられている。クーラントを回転工具に供給することで、高負荷切削が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明に係る回転工具用主軸の断面図である。
図2】回転工具用主軸の作用図である。
図3】流体通路及び流体を吹き出す開口の作用図である。
図4】従来の技術の基本構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。
【実施例
【0022】
図1に示すように、工具ホルダ10は、刃具とも呼ばれる回転工具11を収納し、雄テーパー部12を有すると共に尾部にプルスタッド13を有する。
回転工具用主軸20は、工具ホルダ10を、設定された速度で回転する役割を果たす。
【0023】
回転工具用主軸20は、中空ラム21と、この中空ラム21に軸受22、23、24を介して回転自在に収納される中空主軸30と、この中空主軸30に収納されるコレットチャック機構40と、このコレットチャック機構40を操作するドローバー50と、このドローバー50を前進させる油圧シリンダ60と、ドローバー50を後進させる皿ばね61とを有する。
【0024】
中空主軸30は、先端に雄テーパー部12に対応する円錐穴31を有し、後半部分37に、ばね収納室32を有する。
コレットチャック機構40は、中空主軸30に収納されるコレット収納筒41と、このコレット収納筒41に内蔵される蟹鋏み状のコレット42と、ドローバー50に固定されコレット42を開閉するコレット駆動部材43とからなる。
【0025】
ドローバー50は、中空主軸30に収納され、皿ばね61を受けるばね受け部51を有する。
皿ばね61は、ばね収納室32にて、ドローバー50と中空主軸30との間に配置される。
【0026】
従来の技術で採用したキー(図4、符号113)が、本発明では存在しない。
キーが存在しないので、皿ばね61を前方に配置することができるようになり、結果、皿ばね61は、ドローバー50の先端からばね受け部51までの軸方向距離L1の少なくとも半分の距離L2に配置するようにした。皿ばね61の枚数を増やすことで、ドローバー50のストロークを増やすことができる。
【0027】
ドローバー50は、ばね受け部51を有するバー本体52と、このバー本体52の先端に軸方向移動可能に取付けられた管状のノズル53と、バー本体52に収納されノズル53を前方へ付勢するスプリング54とからなる。この例では、ノズル53の前進限は、コレット駆動部材43で規定される。
【0028】
バー本体52及びノズル53に、白抜き矢印で示すクーラント55を流すクーラント流路56が形成されている。クーラント55は冷却液を兼ねた切削液を意味する。
工具ホルダ10を介して回転工具11にクーラント55を供給すると、回転工具11が効率よく冷却され且つ被切削物との間が効果的に潤滑され、高負荷切削が可能となる。
【0029】
雄テーパー部12が円錐穴31に正しく取付けられていることを検出するための流体通路33及び流体を吹き出す開口34が、中空主軸30の前半部分35に設けられている。流体通路33へは、矢印で示す流体36が供給される。流体36は空気が好適であるが、窒素などの不活性ガスやその他の液体であってもよい。
【0030】
ところで、中空主軸30の後半部分37の肉厚内に、流体通路33を設けることは差し支えないが、そうすると後半部分37の肉厚を大きくする必要がある。本実施例では、皿ばね61の外周と、ばね収納室32の壁面との間に、隙間62を設け、この隙間62に流体36を流すようにした。
これにより、中空主軸30の後半部分37は、肉を薄くすることができ、その分、皿ばね61の外径を大きくすることができた。
【0031】
実施例では、皿ばね61の外径は、コレット収納筒41の外径より大きく設定した。
皿ばね61は、外径が大きくなると、許容撓みを大きくすることができ、比較的少ない枚数で大きなストロークを得ることができる。又は、枚数が決まっている場合には、応力が小さくなり、皿ばね61への負担を軽減することができる。
【0032】
別の観点から、本実施例によれば、ばね収納室32の長さ(軸方向長さ)を小さくすることができると言える。
仮に、外径が小さい皿ばねは、1枚当たりの許容撓みが小さく、ばね力も小さい。所望の総撓み(ストローク)と所望のばね力を得るには、外径が小さい皿ばねの枚数を増やす必要がある。増やすと、ばね収納室32が長くなる。
この点、本実施例のように、外径が大きな皿ばね61を使用すると、皿ばね61は、1枚当たりの許容撓みが大きく、ばね力も大きくなる。所望の総撓み(ストローク)と所望のばね力を得るには、皿ばね61の枚数は少なくて済む。少なくなると、ばね収納室32の長さが小さくなる。
【0033】
次に、円錐穴31に、雄テーパー部12を当てるようにして、工具ホルダ10を中空主軸30に取付ける。プルスタッド13は、コレット42の間に挿入される。挿入されるプルスタッド13がノズル53に当たり、スプリング54に抗してノズル53を後退させる。
【0034】
次に、油圧シリンダ60の油圧をゼロにする。すると、皿ばね61の弾発力により、ドローバー50が図右(円錐穴31から離れる方向)へ移動する。この移動により、コレット42が縮径する。
【0035】
図2に示すように、工具ホルダ10が中空主軸30に保持される。ノズル53は、スプリング54によりプルスタッド13に付勢されているため、クーラント55がコレット42側に漏れることはない。
中空主軸30が回されると、工具ホルダ10を介して回転工具11が回される。このときには、工具ホルダ10でコレットチャック機構40を介してドローバー50が回される。すなわち、ドローバー50と中空主軸30とが一緒に回る。
【0036】
ドローバー50と中空主軸30とを、キーなどの連結機構で機械的に連結していない。
図1においては、工具ホルダ10が円錐穴31に取付けられていないため、中空主軸30を回しても、ドローバー50は、一緒に回らない。図1では、原則として中空主軸30を回さない。試験的に回す必要があるときは、工具ホルダ10に相当するダミーホルダを、取付ければ、中空主軸30とドローバー50とを一緒に回すことができる。
【0037】
次に、雄テーパー部12が円錐穴31に正しく取付けられていることを検出する機構及び検出する手順を説明する。
図3(a)は、図1の3a部拡大図である。
好ましくは、図3(a)に示すように、円錐穴31の小径端31aから円筒部38を延ばし、この円筒部38に、開口34を設ける。開口34が円錐穴31から外れた位置に設けられているため、開口34が雄テーパー部12で傷められる心配はない。
【0038】
流体源64から供給される流体(例えば空気)は、電磁弁65で遮断されているため、流体通路33の圧力は大気圧となる。
次に、図3(b)に示すように、電磁弁65を開くと、流体36が流体通路33を通り、開口34から吹き出す。開口34から吹き出すため、流体通路33での圧力は高くならない。
【0039】
次に、図3(c)に示すように、円錐穴31へ工具ホルダ10を挿入すると、挿入完了直前において、開口34の軸線が雄テーパー部12と交差する。
すると、吹き出した流体36が、雄テーパー部12に衝突し、流れ方向を変えて円錐穴31と雄テーパー部12との間の隙間を高速で流れる。この高速の流れにより、円錐穴31と雄テーパー部12とを清掃する。このときも流体通路33での圧力は高くならない。
【0040】
図3(d)は、図2の3d部拡大図である。
図3(d)に示すように、円錐穴31に雄テーパー部12が完全に挿入された状態であっても、開口34は雄テーパー部12で塞がれない。流体36は、プルスタッド13周りの閉空間67に溜まる。
【0041】
流体36が漏れないため、閉空間67及び流体通路33での圧力は高くなる。そのことを圧力スイッチ66で検出する。圧力スイッチ66が切り替わることで、円錐穴31に正しく雄テーパー部12が取付けられたことを検出する。
圧力スイッチ66は、圧力を測定する圧力センサであってもよい。しかし、圧力センサは高価である。この点、圧力スイッチ66は、2接点スイッチであるため、安価である。
【0042】
ところで、回転工具11を頻繁に交換すると、図1図2とが繰り返され、多数枚の皿板61が、伸縮される。ある皿ばね61と隣りの皿ばね61とは直接接触しており、擦れ合うため僅かであるが発熱し、微量であるがコンタミ(ごみ)が発生する。
皿ばね61の外周の隙間62に流体を流すようにしたので、この流体で冷却し、コンタミの除去を図ることができる。
【0043】
尚、実施例では、皿ばね61の外径は、コレット収納筒41の外径より大きくしたが、コレット収納筒41の外径より小さくしてもよい。
また、実施例では、バー本体52にクーラント流路56を設けたが、クーラント流路56を省略してもよい。省略した場合は、ノズル53及びスプリング54が不要となるため、ドローバー50はバー本体52だけで構成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、工具ホルダを、回転する回転工具用主軸に好適である。
【符号の説明】
【0045】
10…工具ホルダ、11…回転工具、12…雄テーパー部、13…プルスタッド、20…回転工具用主軸、21…中空ラム、30…中空主軸、31…円錐穴、32…ばね収納室、41…コレット収納筒、42…コレット、50…ドローバー、51…ばね受け部、52…バー本体、53…ノズル、54…スプリング、55…クーラント、56…クーラント流路、60…油圧シリンダ、61…皿ばね、62…隙間、L1…ドローバーの先端からばね受け部までの軸方向距離、L2…少なくとも半分の距離。
図1
図2
図3
図4