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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-28
(45)【発行日】2022-02-07
(54)【発明の名称】ハンドルロック装置
(51)【国際特許分類】
   B62H 5/06 20060101AFI20220131BHJP
   B60R 25/0215 20130101ALI20220131BHJP
【FI】
B62H5/06
B60R25/0215
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018240714
(22)【出願日】2018-12-25
(65)【公開番号】P2020100331
(43)【公開日】2020-07-02
【審査請求日】2020-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000155067
【氏名又は名称】株式会社ホンダロック
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】栗山 和幸
(72)【発明者】
【氏名】浦 健豪
(72)【発明者】
【氏名】ムーントーン プラチャヤー
【審査官】渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-103653(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0178756(US,A1)
【文献】特開2008-49812(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第2055874(EP,A1)
【文献】中国特許出願公開第102390464(CN,A)
【文献】特開2017-19360(JP,A)
【文献】特開2003-11865(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60H 5/02- 5/06
B60R 25/01- 25/023
E05B 1/00- 85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1位置と第2位置との間を第1方向に沿う回転軸回りに回転可能に構成された操作部と、
前記操作部に接続されるとともに、前記操作部が前記第1位置にあるときに、車両の電源を起動させる電源スイッチと、
前記第1方向に交差する第2方向で前記操作部に対向配置されるとともに、前記操作部が前記第1位置にあることを検出する電源検出スイッチを有する制御部と、
前記電源検出スイッチを操作する操作位置と、前記電源検出スイッチから退避した退避位置と、の間を前記操作部の回転に伴い前記第2方向に移動する第1可動部と、を備えているハンドルロック装置。
【請求項2】
前記操作部は、
前記操作部を回転操作させる摘み部と、
前記摘み部に連なるとともに、前記回転軸に対して偏心するカム部と、を有し、
前記第1可動部は、前記カム部に係合するカム従節部を有している請求項1に記載のハンドルロック装置。
【請求項3】
前記車両の操舵系による操舵を規制するロック位置、及び前記操作部が少なくとも前記第1位置にあるとき、前記操舵系による操舵を許容するロック解除位置に移動可能な第2可動部を備え、
前記第2可動部は、前記第1可動部に固定されている請求項1又は請求項2に記載のハンドルロック装置。
【請求項4】
前記操作部が収納された操作ハウジングと、
前記操作ハウジングに前記第2方向で重ね合わされるとともに、前記制御部を収納する制御ハウジングと、を備え、
前記制御ハウジングには、前記電源検出スイッチを露出させるとともに、前記制御ハウジングの外部から前記第1可動部により前記電源検出スイッチを操作可能とする露出孔が形成されている請求項1から請求項3の何れか1項に記載のハンドルロック装置。
【請求項5】
前記制御部は、携帯機との認証動作を開始させるとともに、前記操作部に対して前記第2方向で対向配置された認証スイッチを有し、
前記操作部は、前記第2位置において、前記第1方向にスライド移動可能に構成され、
前記操作部の前記第1方向の移動に伴い、前記認証スイッチを操作する操作位置と、前記認証スイッチから退避した退避位置と、の間を移動する認証機構を備えている請求項1から請求項4の何れか1項に記載のハンドルロック装置。
【請求項6】
前記操作部に係合して前記操作部の回転を規制する規制状態、及び前記操作部から退避して前記操作部の回転を許容する退避状態の間を移動可能なアクチュエータを備え、
前記制御部は、前記認証スイッチの操作に伴い、前記携帯機との認証動作を開始するとともに、前記認証動作が正常に完了した場合に、前記アクチュエータを前記退避状態に移動させる請求項5に記載のハンドルロック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンドルロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動二輪車等に搭載されるハンドルロック装置として、ユーザが所持する携帯機と、自動二輪車に搭載された制御部と、の通信を行った後に、操作部(シリンダキー)を操作することで、自動二輪車の電源のオンオフ動作を行う構成が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-11865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来のハンドルロック装置にあっては、小型化を図った上で、操作部と制御部との連係を図る点で未だ改善の余地があった。
【0005】
本発明は、小型化を図った上で、操作部と制御部との連係を図ることができるハンドルロック装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために本発明の一態様に係るハンドルロック装置は、第1位置と第2位置との間を第1方向に沿う回転軸回りに回転可能に構成された操作部と、前記操作部に接続されるとともに、前記操作部が前記第1位置にあるときに、車両の電源を起動させる電源スイッチと、前記第1方向に交差する第2方向で前記操作部に対向配置されるとともに、前記操作部が前記第1位置にあることを検出する電源検出スイッチを有する制御部と、前記電源検出スイッチを操作する操作位置と、前記電源検出スイッチから退避した退避位置と、の間を前記操作部の回転に伴い前記第2方向に移動する第1可動部と、を備えている。
【0007】
本態様によれば、操作部の回転操作に伴い、第1可動部が電源検出スイッチを操作する。これにより、電源検出スイッチを有する制御部を操作部に近付けることができる。
しかも、操作部の回転操作に伴い、電源スイッチの操作と、制御部の電源検出スイッチの操作と、を行うことができる。この場合、制御部は、電源スイッチのオンオフ状態に応じて携帯機との通信形態を切り替える等の制御を行うことができる。
その結果、小型化を図った上で、操作部と制御部との連係を図ることができる。
【0008】
上記態様に係るハンドルロック装置において、前記操作部は、前記操作部を回転操作させる摘み部と、前記摘み部に連なるとともに、前記回転軸に対して偏心するカム部と、を有し、前記第1可動部は、前記カム部に係合するカム従節部を有していてもよい。
本態様によれば、操作部の回転操作に伴い、カム部が回転軸回りに偏心回転することで、第1可動部が第2方向に移動する。これにより、小型化を図った上で、第1可動部をスムーズに移動させることができる。
【0009】
上記態様に係るハンドルロック装置において、前記車両の操舵系による操舵を規制するロック位置、及び前記操作部が少なくとも前記第1位置にあるとき、前記操舵系による操舵を許容するロック解除位置に移動可能な第2可動部を備え、前記第2可動部は、前記第1可動部に固定されていてもよい。
本態様によれば、第1可動部に連動して第2可動部が移動する。これにより、操作部の第1位置までの回転操作とは別に第2可動部をロック解除位置まで移動させる必要がない。その結果、操作性の向上を図ることができる。
【0010】
上記態様に係るハンドルロック装置において、前記操作部が収納された操作ハウジングと、前記操作ハウジングに前記第2方向で重ね合わされるとともに、前記制御部を収納する制御ハウジングと、を備え、前記制御ハウジングには、前記電源検出スイッチを露出させるとともに、前記制御ハウジングの外部から前記第1可動部により前記電源検出スイッチを操作可能とする露出孔が形成されていてもよい。
本態様によれば、露出孔を通じて電源検出スイッチが操作可能とされているため、操作部と制御部とを別々のハウジングに収納できる。そのため、本態様では、操作部と、制御部と、を別々にハウジングに組み付けた後、各ハウジング同士を組み付けることで、ハンドルロック装置を製造することができる。これにより、組付性を向上させることができる。また、操作部及び制御部を同一ハウジング内に収納する場合に比べて、各ハウジング内でのレイアウト性を向上させることができる。
【0011】
上記態様に係るハンドルロック装置において、前記制御部は、携帯機との認証動作を開始させるとともに、前記操作部に対して前記第2方向で対向配置された認証スイッチを有し、前記操作部は、前記第2位置において、前記第1方向にスライド移動可能に構成され、前記操作部の前記第1方向の移動に伴い、前記認証スイッチを操作する操作位置と、前記認証スイッチから退避した退避位置と、の間を移動する認証機構を備えていてもよい。
本態様によれば、操作部の操作により認証動作を開始することで、待機時(電源オフ時)における省電力化を図ることができる。しかも、本態様では、電源スイッチのオンオフ操作とは異なる操作(第1方向へのスライド操作)によって認証動作を開始させることで、誤操作の発生を抑制できる。
【0012】
上記態様に係るハンドルロック装置において、前記操作部に係合して前記操作部の回転を規制する規制状態、及び前記操作部から退避して前記操作部の回転を許容する退避状態の間を移動可能なアクチュエータを備え、前記制御部は、前記認証スイッチの操作に伴い、前記携帯機との認証動作を開始するとともに、前記認証動作が正常に完了した場合に、前記アクチュエータを前記退避状態に移動させてもよい。
本態様によれば、携帯機との認証が正常に完了した時点で、操作部の回転操作が許容されるので、防盗性の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一態様によれば、小型化を図った上で、操作部と制御部との連係を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態に係る自動二輪車の概略側面図である。
図2】実施形態に係るハンドルロック装置の正面図である。
図3】実施形態に係るハンドルロック装置の分解斜視図である。
図4】実施形態に係るハンドルロック装置の分解斜視図である。
図5】実施形態に係る操作ハウジングの一部を破断したハンドルロック装置の斜視断面図である。
図6】実施形態に係る操作部の分解斜視図である。
図7図5のVII-VII線に相当する断面図である。
図8】実施形態に係る操作部の部分側面図である。
図9】実施形態に係る第1インナーノブ及び第2インナーノブの周辺を示すハンドルロック装置の斜視断面図である。
図10図2のX-X線に相当する断面図である。
図11】実施形態に係るカバーを取り外した状態を示す開放機構の平面図である。
図12】実施形態に係る制御ユニットの分解斜視図である。
図13図3のXIII-XIII線に沿う断面図である。
図14図3のXIV-XIV線に沿う断面図である。
図15図3のXV-XV線に沿う断面図である。
図16】実施形態に係るハンドルロック装置の拡大斜視図である。
図17】認証動作を説明するための説明図であって、図10に対応する断面図である。
図18】ノブロック機構の退避状態を示す図5に対応する斜視断面図である。
図19】電源オフ位置を示す図7に対応する断面図である。
図20】開操作位置を示す図7に対応する断面図である。
図21】開操作を説明するための説明図であって、図9に対応する斜視図である。
図22】第2インナーノブの操作位置を示す図8に対応する部分側面図である。
図23】開操作を説明するための説明図であって、図11に対応する平面図である。
図24】電源オン位置を示す図7に対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、本発明に係るハンドルロック装置9が自動二輪車1に搭載された構成を例にして説明する。但し、ハンドルロック装置9は、自動二輪車1に限らず、種々の車両に搭載することが可能である。なお、以下の説明において、前後上下左右の向きは、特に記載が無ければ自動二輪車1における向きと同一とする。
[自動二輪車]
図1は、自動二輪車1の概略側面図である。
図1に示す自動二輪車1は、例えばスクータ型である。自動二輪車1は、前輪2と、後輪3と、車体フレーム4と、車体カバー5と、パワーユニット6と、シート(蓋部材)7と、燃料タンク(収納部)8と、ハンドルロック装置9と、を備えている。
【0017】
前輪2は、フロントフォーク11の下端部に軸支されている。フロントフォーク11の上端部は、ステアリングステム12を介して車体フレーム4の前端部に支持されている。ステアリングステム12の上部には、操舵用のバーハンドル13が取り付けられている。なお、前輪2、フロントフォーク11、ステアリングステム12及びバーハンドル13により操舵系15を構成している。
【0018】
車体フレーム4は、複数種の鋼材を溶接や締結等により一体に結合して形成されている。車体フレーム4は、前後方向に延在している。車体フレーム4の前端部は、ステアリングステム12を支持している。
車体カバー5は、車体フレーム4やフロントフォーク11等を覆っている。車体カバー5は、例えば合成樹脂等により形成されている。
【0019】
パワーユニット6は、車体フレーム4の後方下部に上下揺動可能に支持されている。パワーユニット6は、内燃機関であるエンジンや、エンジンから後方に延びるアーム部等を備える。
エンジンには、排気管18が接続されている。排気管18の後端部は、後輪3の側方に配置されたマフラー19に接続されている。
アーム部の後端部は、後輪3を軸支する。
【0020】
シート7は、パワーユニット6の上方で車体フレーム4に支持されている。シート7の下方において、車体カバー5の内側には、上方に開口する収納ボックス(収納部)21が配設されている。収納ボックス21は、シート7によって開閉可能に構成されている。すなわち、シート7は、ヒンジ部(不図示)を介して上下方向に回動可能に構成されている。なお、シート7の回動操作(開操作)は、シートロック機構7aにより規制されている。
【0021】
燃料タンク8は、車体カバー5の内側において、車体フレーム4における前後方向の中央部で支持されている。車体カバー5には、燃料タンク8の給油口を露出させる露出開口22が形成されている。露出開口22(燃料タンク8)は、給油カバー(蓋部材)23によって開閉可能に構成されている。すなわち、給油カバー23は、ヒンジ部(不図示)を介して回動可能に構成されている。なお、給油カバー23の回動操作(開操作)は、カバーロック機構23aにより規制されている。
【0022】
<ハンドルロック装置>
ハンドルロック装置9は、自動二輪車1の前部において、車体カバー5の内側に収納されている。本実施形態のハンドルロック装置9は、車体フレーム4のうち、バーハンドル13の下方に位置する部分に固定されている。したがって、バーハンドル13(操舵系15)の回動操作を行っても、ハンドルロック装置9自体は移動しない。本実施形態のハンドルロック装置9は、後述する操作部34の回転操作や押込操作等によって、例えば以下の機能を実現する。
(1)自動二輪車1の電源のオン操作及びオフ操作。
(2)操舵系15のロック操作及びロック解除操作。
(3)シートロック機構7aの操作(収納ボックス21の開閉操作)。
(4)カバーロック機構23aの操作(露出開口22の開閉操作)。
【0023】
図2は、ハンドルロック装置9の正面図である。図3は、ハンドルロック装置9の分解斜視図である。以下の説明では、ハンドルロック装置9をXYZの直交座標系を用いて説明する。この場合、操作部34の回転軸O1に沿う方向をX方向(第1方向)とし、X方向に直交する方向をそれぞれY方向(第2方向)、Z方向とする。
図2図3に示すように、ハンドルロック装置9は、操作ユニット30と、制御ユニット(制御部)31と、を備えている。操作ユニット30と制御ユニット31は、Y方向に重ね合わされた状態(対向配置された状態)で組み付けられている。
【0024】
<操作ユニット>
操作ユニット30は、操作ハウジング33と、操作部34と、駆動機構35と、ロータリスイッチ36と、を備えている。
【0025】
<操作ハウジング>
図4は、ハンドルロック装置9の分解斜視図である。
図4に示すように、操作ハウジング33は、ハウジング本体41と、アクチュエータカバー42と、ノブカバー43と、外装カバー44と、を備えている。
ハウジング本体41は、X方向に延びるブロック状に形成されている。ハウジング本体41には、ハウジング本体41をX方向に貫通する貫通孔45が形成されている。
アクチュエータカバー42は、+Z方向に開口する箱型に形成されている。アクチュエータカバー42は、ハウジング本体41の-Z方向を向く面に連結されている。アクチュエータカバー42には、+Y方向に開口する端子露出孔42aが形成されている。
【0026】
ノブカバー43は、ハウジング本体41を-X方向から覆っている。ノブカバー43において、X方向から見て貫通孔45と重なる位置には、ノブカバー43を貫通する貫通孔47が形成されている。
【0027】
外装カバー44は、ノブカバー43を-X方向から覆っている。外装カバー44において、X方向から見て貫通孔47と重なる位置には、貫通孔48が形成されている。外装カバー44において、貫通孔48の周囲に位置する部分は、-X方向に膨出するリング部49を構成している。図2に示すように、リング部49には、ハンドルロック装置9の状態を示す表示部50A~50Dが付されている。図2の例において、表示部50A~50Dは、ハンドルロック位置(第2位置)50A、電源オフ位置(第2位置)50B、開操作位置50C及び電源オン位置(第1位置)50Dを示す印がリング部49の周方向に順に付されて構成されている。
【0028】
<操作部>
図4に示すように、操作部34は、X方向に延びる回転軸O1回りに回転可能に、ハウジング本体41の貫通孔45内に挿通されている。操作部34は、第1インナーノブ53と、第2インナーノブ54と、アウターノブ55と、を有している。操作部34のうち、第1インナーノブ53、第2インナーノブ54及びアウターノブ55は、X方向に連結されて構成されている。
第1インナーノブ53は、棒状に形成されている。第1インナーノブ53は、貫通孔45内に回転可能に収容されている。
【0029】
図5は、操作ハウジング33の一部を破断したハンドルロック装置9の斜視断面図である。図6は、操作部34の分解斜視図である。
図5図6に示すように、第1インナーノブ53は、スイッチ係合部61と、ロックカム(カム部)62と、ノブ連結部63と、が接続軸64を介して連なっている。
【0030】
スイッチ係合部61は、貫通孔45を通じてハウジング本体41から+X方向に突出している。スイッチ係合部61は、X方向から見た正面視で非真円形状(図示の例では、矩形状)に形成されている。正面視において、スイッチ係合部61の中心は、回転軸O1上に位置している。
ロックカム62は、第1インナーノブ53においてX方向の中央部に位置している。
【0031】
図7は、図5のVII-VII線に相当する断面図である。
図7に示すように、ロックカム62は、スイッチ係合部61に接続軸64を介して連なっている。ロックカム62は、回転軸O1に対して偏心した位置でX方向に延在している。ロックカム62は、正面視において、矩形の一部が切り欠かれた形状をなしている。具体的に、ロックカム62において、一の対角には、円弧部62a及び傾斜部62bが各別に形成されている。
【0032】
図6に示すように、ノブ連結部63は、ロックカム62に接続軸64を介して連なっている。ノブ連結部63は、回転軸O1と同軸で延びる筒状に形成されている。
【0033】
図8は、操作部34の部分側面図である。
図8に示すように、ノブ連結部63には、ノブ連結部63を回転軸O1の径方向(以下、単に径方向という。)に貫通する第1係合溝66が形成されている。第1係合溝66は、径方向から見た側面視でT字状に形成されている。具体的に、第1係合溝66は、X方向に延びる縦溝部66aと、縦溝部66aにおける-X方向端部から回転軸O1の周方向に延びる横溝部66bと、を有している。なお、第1係合溝66は、ノブ連結部63において、径方向で対向する位置にそれぞれ形成されている。
【0034】
図5図6に示すように、第2インナーノブ54は、第1インナーノブ53に対して回転可能、かつX方向に移動可能に貫通孔45内に収容されている。第2インナーノブ54は、回転軸O1と同軸で延びるとともに、+X方向に向かうに従い外径が縮小する段付き柱状に形成されている。具体的に、第2インナーノブ54の小径部54aは、上述したノブ連結部63内に収容されている。小径部54aとノブ連結部63とは、係合ピン65(図6参照)により連結されている。具体的に、係合ピン65は、小径部54aを径方向に貫通するとともに、上述した係合溝66内に保持されている。なお、小径部54aと第1インナーノブ53との間には、インナーノブ53,54同士を互いに離間する方向に付勢する付勢部材71が介在している。
【0035】
第2インナーノブ54の大径部54bには、第2係合溝72が形成されている。第2係合溝72は、径方向から見た側面視で、X方向を長手方向とする長方形状に形成されている。
【0036】
図9は、第1インナーノブ53及び第2インナーノブ54の周辺を示すハンドルロック装置9の斜視断面図である。
図9に示すように、第2インナーノブ54において、小径部54aと大径部54bとの段差面54cには、突起部74が形成されている。突起部74は、例えば回転軸O1を間に挟んで対向する位置に一対で形成されている。
【0037】
図6に示すように、第2インナーノブ54の大径部54bには、トルクリミッタ機構67が設けられている。トルクリミッタ機構67は、付勢部材68と、クリックボール69と、連結キャップ70と、を備えている。
付勢部材68は、大径部54bに形成されたばね収容部54d内に収容されている。ばね収容部54dは、大径部54bの外周面において、径方向に開口している。
クリックボール69は、付勢部材68の先端部(径方向の外側端部)に保持されている。
【0038】
連結キャップ70は、大径部54bに対して-X方向から装着されている。連結キャップ70において、周方向の一部には、ボール保持部70aが形成されている。ボール保持部70aは、クリックボール69を保持する。すなわち、ボール保持部70aとクリックボール69とが周方向で一致するとき、クリックボール69がボール保持部70aに係合することで、第2インナーノブ54とトルクリミッタ機構67との相対回転が規制される。一方、アウターノブ55を介して操作部34に所定以上のトルクが作用した場合には、ボール保持部70aとクリックボール69との係合が解除され、アウターノブ55及び連結キャップ70が第2インナーノブ54に対して相対回転する。
【0039】
図5に示すように、アウターノブ55は、第2インナーノブ54に対して-X方向から連結されている。アウターノブ55は、貫通孔47,48内に挿通されている。アウターノブ55は、装着キャップ75と、摘み部76と、を有している。
装着キャップ75は、上述した連結キャップ70に対して-X方向から装着されている。装着キャップ75は、連結キャップ70に対して相対回転不能に取り付けられている。
【0040】
図10は、図2のX-X線に相当する断面図である。
図10に示すように、装着キャップ75には、径方向の外側に張り出すフランジ部75aが形成されている。装着キャップ75は、フランジ部75aがノブカバー43における貫通孔48の開口縁に係合することで、操作ハウジング33に対するアウターノブ55の-X方向への移動が規制されている。なお、装着キャップ75は、貫通孔48を通じて外部に露出している。
【0041】
摘み部76は、装着キャップ75から-X方向に突出している。すなわち、摘み部76は、外装カバー44よりも-X方向(第1側)に突出して、ユーザにより操作可能に構成されている。図2に示すように、摘み部76は、正面視で径方向に沿って直線状に延在している。摘み部76において、径方向の第1端部には、操作部34の回転位置を示す指示部76aが形成されている。
【0042】
<駆動機構>
図4に示すように、駆動機構35は、操作部34の操作に伴い駆動する。具体的に、駆動機構35は、認証機構100と、ノブロック機構101と、ハンドルロック機構102と、開放機構103と、を備えている。
【0043】
<認証機構>
図4図10に示すように、認証機構100は、ハウジング本体41のうち、貫通孔45に対して+Z方向に位置する認証機構収容部110内に収容されている。認証機構収容部110は、+Z方向及び-X方向に開口している。
【0044】
認証機構100は、第1スライダ111と、第2スライダ112と、を備えている。
第1スライダ111は、X方向に延びる円柱状に形成されている。第1スライダ111は、認証機構収容部110内でX方向に移動可能に収容され、アウターノブ55(装着キャップ75)に対向して配置されている。第1スライダ111は、操作ハウジング33に対するアウターノブ55の+X方向の移動に伴い、認証機構収容部110内で+X方向に押し込まれる。
【0045】
第1スライダ111の中途部は、くびれ部115を構成している。くびれ部115は、外径が一様なストレート部115aと、ストレート部115aに対して両側に連なるテーパ部(第1テーパ部115b及び第2テーパ部115c)と、を備えている。第1テーパ部115bは、+X方向に向かうに従い漸次拡径されている。第2テーパ部115cは、-X方向に向かうに従い漸次拡径されている。なお、第1スライダ111は、認証機構収容部110と第1スライダ111との間に介在する付勢部材(不図示)によって-X方向に付勢されている。
【0046】
第2スライダ112は、Y方向に延びる円柱状に形成されている。第2スライダ112は、認証機構収容部110内でY方向に移動可能に収容されている。第2スライダ112において、-Y方向端部は連係部117を構成している。連係部117は、上述したくびれ部115に倣って縮径するテーパ状に形成されている。連係部117は、くびれ部115内に収容されている。第2スライダ112は、くびれ部115及び連係部117が摺動し合うことで、第1スライダ111のX方向の移動に伴い、Y方向に移動可能に構成されている。本実施形態において、第2スライダ112は、第1スライダ111のX方向での移動に伴い、認証機構収容部110から+Y方向に出没可能に構成されている。
【0047】
<ノブロック機構>
図4図5に示すように、ノブロック機構101は、ハウジング本体41に-Z方向から連結されるとともに、アクチュエータカバー42によって-Z方向から覆われている。ノブロック機構101は、操作部34の回転の規制及び許容を切り替える。
ノブロック機構101は、いわゆるソレノイド機構である。具体的に、ノブロック機構101は、フレーム120と、コイル121と、プランジャ122と、レバー123と、端子124と、を備えている。
【0048】
図5に示すように、コイル121は、フレーム120内に収容されている。図4に示すように、フレーム120には、コイル121に接続される端子124が支持されている。端子124は、フレーム120から+Y方向に突出している。端子124は、アクチュエータカバー42の端子露出孔42aを通じてアクチュエータカバー42の外部に露出している。
【0049】
図5に示すように、プランジャ122は、コイル121の内側に挿入されている。プランジャ122は、コイル121との間に作用する電磁力によって、+X方向に移動可能に構成されている。
【0050】
レバー123は、Y方向から見た側面視でL字状に形成されている。具体的に、レバー123は、支持部125と、第1アーム126と、第2アーム127と、を備えている。
支持部125は、Y方向に沿う回動軸O2回りに回動可能にフレーム120に支持されている。
【0051】
第1アーム126は、支持部125から片持ちで延在している。第1アーム126の先端部は、プランジャ122に連結されている。すなわち、レバー123は、プランジャ122の移動に伴い、Y方向に延びる回動軸O2回り回動可能に構成されている。
【0052】
第2アーム127は、第1アーム126の延在方向に交差する方向に支持部125から片持ちで延在している。第2アーム127の先端部は、レバー123の回動操作に伴い、第2インナーノブ54の第2係合溝72内に係脱可能に構成されている。操作部34は、第2アーム127が第2係合溝72内に係合された状態において、操作部34の回転が規制された規制状態となる。操作部34は、第2アーム127が第2係合溝72から退避した状態において、操作部34の回転が許容された許容状態となる。なお、レバー123とフレーム120との間には、第2アーム127が第2係合溝72内に係合する方向にレバー123を付勢する付勢部材(不図示)が介在している。
【0053】
<ハンドルロック機構>
図4に示すように、ハンドルロック機構102は、ハウジング本体41において、貫通孔45をY方向に貫くハンドルロック収容部130内に収容されている。ハンドルロック収容部130の開口部は、閉塞プレート131によって閉塞されている。
【0054】
ハンドルロック機構102は、操作部34の回転操作に基づき、操舵系15のロック及びロック解除を切り替える。ハンドルロック機構102は、カムプレート(第1可動部)133と、ロックバー(第2可動部)134と、付勢部材135と、を備えている。
【0055】
図7に示すように、カムプレート133は、X方向を厚さ方向としてハンドルロック収容部130内に配置されている。カムプレート133は、ベースプレート137と、突起部138と、バー係止部139と、を備えている。
ベースプレート137には、貫通孔140が形成されている。貫通孔140内には、上述したロックカム62が挿通されている。本実施形態において、貫通孔140は、正面視でクランク状に形成されている。
【0056】
貫通孔140の内周面のうち、Y方向で対向する部分は、ロックカム62が係合するカム従節部141を構成している。カムプレート133は、ロックカム62とカム従節部141とが係合(接触)した状態で、操作部34(第1インナーノブ53)が回転することで、Y方向に移動可能に構成されている。具体的に、カム従節部141は、貫通孔140の内周面のうち、Y方向に対向する部分に第1基準面141a及び第2基準面141bを有している。第1基準面141aにおけるZ方向の中央部には、凹部141cが形成されている。第1基準面141aにおける+Z方向端部には、第1基準面141aに対して膨出する第1膨出部141dが形成されている。第2基準面141bにおける-Z方向端部には、第2基準面141bに対して膨出する第2膨出部141eが形成されている。
【0057】
突起部138は、ベースプレート137から+Y方向に突出している。突起部138は、閉塞プレート131に形成された第1出没孔145を通じて出没可能に構成されている。
バー係止部139は、ベースプレート137における-Y方向端部に位置している。バー係止部139は、蟻溝状(T字状)に形成されている。
【0058】
ロックバー134は、Y方向に延びる柱状に形成されている。ロックバー134は、バー係止部139に係止されている。ロックバー134は、カムプレート133のY方向の移動に伴い、Y方向に移動可能に構成されている。具体的に、ロックバー134は、上述した操舵系15に係合するロック位置と、操舵系15との係合が解除されたロック解除位置と、の間を移動する。ロック位置において、ロックバー134は、ハウジング本体41に形成された第2出没孔148を通じて操作ハウジング33から突出する。ロック位置において、ロックバー134は、操舵系15による操舵を規制する。ロック解除位置において、ロックバー134は、ロック位置に比べて操作ハウジング33からの突出量が小さくなる。すなわち、ロック解除位置において、ロックバー134は、操舵系15から退避して、操舵系15による操舵を許容する。
【0059】
付勢部材135は、ロックバー134とハウジング本体41との間に介在している。付勢部材135は、ロックバー134を上述したロック解除位置に向けて付勢している。
【0060】
<開放機構>
図4に示すように、開放機構103は、切替部155と、開放ユニット156と、を備えている。
【0061】
切替部155は、回転軸O1と同軸で延びる筒状に形成されている。切替部155は、第1インナーノブ53に対して相対回転可能に貫通孔45内に収容されている。図9に示すように、切替部155は、ベース筒部157と、係合筒部(規制部)158と、切替ピン159と、を備えている。
ベース筒部157には、第1インナーノブ53のノブ連結部63が挿通されている。
【0062】
係合筒部158は、ベース筒部157から-X方向に突出している。係合筒部158は、回転軸O1と同軸で延びるとともに、ベース筒部157よりも小径に形成されている。係合筒部158における回転軸O1回りの周方向の一部には、係合凹部158aが形成されている。
【0063】
係合凹部158aは、上述した突起部74が周方向の同位置に配置された状態で(図21に示す開操作位置50C)、切替部155に対する第2インナーノブ54の+X方向の移動に伴い、突起部74を収容可能に構成されている。すなわち、上述した第2インナーノブ54は、突起部74が係合凹部158a内に収容された操作位置と、突起部74が係合凹部158aから退避した空転位置と、の間をX方向に移動する(図21図22参照)。一方、係合凹部158aと突起部74との周方向の位置がずれているとき(開操作位置50C以外の場合)、第2インナーノブ54の+X方向の移動に伴い、突起部74が係合筒部158に突き当たる。これにより、第2インナーノブ54の操作位置への移動が規制される(例えば、図9参照)。なお、図示の例において、係合凹部158aにおける開口端部は、-X方向に向かうに従い周方向の幅が広がるテーパ状に形成されている。
【0064】
切替ピン159は、ベース筒部157から+Z方向に突出している。切替ピン159は、ハウジング本体41を貫通して、ハウジング本体41の外部に突出している。切替ピン159は、上述した操作位置において、アウターノブ55の回転操作に連動して、回転軸O1回りに揺動する。
【0065】
図4に示すように、開放ユニット156は、ハウジング本体41に対して+Z方向から連結されている。開放ユニット156は、シートケーブル150(図11参照)を介してシートロック機構7aに接続されている。開放ユニット156は、フエルケーブル151(図11参照)を介してカバーロック機構23aに接続されている。開放ユニット156は、操作部34の回転操作に伴い、シートロック機構7aの操作又はカバーロック機構23aの操作を行う。
【0066】
図11は、カバー166を取り外した状態を示す開放機構103の平面図である。
図11に示すように、開放ユニット156は、ケーブルケース160と、切替レバー161と、ケーブルスライダ(シートスライダ162及びフエルスライダ163)と、付勢部材164と、を備えている。
【0067】
ケーブルケース160は、Z方向から見た平面視でU字状に形成されている。ケーブルケース160は、ケース本体165と、カバー166(図3参照)と、を備えている。
ケース本体165は、+Z方向に開口する箱型に形成されている。
カバー166は、ケース本体165を覆っている。
【0068】
ケース本体165の-X方向端部には、ケーブル係止部(シートケーブル係止部170及びフエルケーブル係止部171)が形成されている。ケーブル係止部170,171は、ケーブルケース160の側壁に形成された凹部である。ケーブル係止部170,171は、ケーブルケース160において、Y方向に並んで配設されている。
【0069】
シートケーブル係止部170には、シートケーブル150のアウタが係止されている。
フエルケーブル係止部171には、フエルケーブル151のアウタが係止されている。
【0070】
ケース本体165の底壁において、-X方向端部には、底壁を貫通する進入孔173が形成されている。上述した切替部56の切替ピン159は、進入孔173を通じてケーブルケース160内に進入している。
【0071】
切替レバー161は、Z方向に延びる回動軸O3回りに回動可能にケーブルケース160に収納されている。具体的に、切替レバー161は、切替ベース180と、ピン係止部181と、シートアーム182と、フエルアーム183と、を備えている。
切替ベース180は、Z方向に延びる支持ピン185を介してケーブルケース160に回動可能に支持されている。
ピン係止部181は、切替ベース180から-X方向に延在している。ピン係止部181は、上述した切替ピン83をY方向の両側から保持している。
【0072】
シートアーム182は、切替ベース180から+Y方向に延在している。
フエルアーム183は、切替ベース180から-Y方向に延在している。
【0073】
シートスライダ162は、ケース本体165において、シートケーブル係止部170に対してX方向で接近離間するようにスライド移動可能に支持されている。シートスライダ162における-X方向端部は、上述したシートアーム182に係合している。シートスライダ162における+X方向端部には、シートケーブル150のインナが係止されている。
【0074】
フエルスライダ163は、ケース本体165において、フエルケーブル係止部171に対してX方向で接近離間するようにスライド移動可能に支持されている。フエルスライダ163における-X方向端部は、上述したフエルアーム183に係合している。フエルスライダ163における+X方向端部には、フエルケーブル151のインナが係止されている。
【0075】
付勢部材164は、例えばねじりコイルばねである。付勢部材164は、ケース本体165と各スライダ162,163との間に介在している。付勢部材164は、シートスライダ162をシートケーブル係止部170に向けて付勢するとともに、フエルスライダ163をフエルケーブル係止部171に向けて付勢している。
【0076】
<ロータリスイッチ>
図4に示すように、ロータリスイッチ36は、ハウジング本体41に対して+X方向から連結されている。ロータリスイッチ36は、操作部34の回転操作に伴い、自動二輪車1に搭載された本体ECU187(図1参照)に対して電源のオン信号を出力する。具体的に、ロータリスイッチ36は、スイッチハウジング186内にロータ(不図示)や固定接点(不図示)が収納されて構成されている。
【0077】
スイッチハウジング186には、差込口186aが形成されている。差込口186a内には、第1インナーノブ53のスイッチ係合部61が差し込まれている。スイッチハウジング186は、コネクタ受部186bを備えている。コネクタ受部186bには、本体ECU187から引き回されたコネクタが装着される。
【0078】
ロータは、回転軸O1回りに回転可能にスイッチハウジング186内に収容されている。ロータには、スイッチ係合部61が嵌合されている。これにより、ロータは、第1インナーノブ53の回転に伴い、回転可能に構成されている。ロータには、回転接点(不図示)が配設されている。回転接点は、ロータの回転に伴い回転軸O1回りの周方向に沿って移動する。
【0079】
固定接点は、スイッチハウジング186において、ロータに対向する位置で、回転接点の移動軌跡上に間隔をあけて配設されている。固定接点は、ロータの回転に伴い、回転接点に接触可能に構成されている。すなわち、ロータリスイッチ36は、第1インナーノブ53の回転に伴い、回転接点と固定接点とが接触すると、本体ECU187に対して電源のオン信号を出力する。
【0080】
<制御ユニット>
図4に示すように、制御ユニット31は、ハウジング本体41に対して+Y方向から連結されている。Y方向から見た側面視において、制御ユニット31の外形は、ハウジング本体41よりも大きい矩形状に形成されている。制御ユニット31は、ハンドルロック装置9の動作を制御する。制御ユニット31は、制御ハウジング200内に複数の電子部品が収納されて構成されている。
【0081】
図12は、制御ユニット31の分解斜視図である。
図12に示すように、制御ハウジング200は、第1ハウジング201及び第2ハウジング202がY方向で組み合わされて構成されている。本実施形態において、第1ハウジング201及び第2ハウジング202は、スナップフィット等によって組み付けられている。
【0082】
第1ハウジング201は、収納部210と、コネクタ受部211と、レンズ保持部212と、連結部213(図3参照)と、を備えている。
収納部210は、+Y方向に開口する箱型に形成されている。収納部210には、第1露出孔220及び第2露出孔221が形成されている。第1露出孔220及び第2露出孔221は、収納部210をY方向に貫通している。第1露出孔220は、制御ユニット31が操作ユニット30に組み付けられた状態において、操作ユニット30における認証機構100の第2スライダ112に対向する。
第2露出孔221は、制御ユニット31が操作ユニット30に組み付けられた状態において、閉塞プレート131の第1出没孔145に対向している。
【0083】
図3に示すように、収納部210には、端子台222が設けられている。端子台222は、収納部210に対して-Y方向に膨出した状態で、収納部210に一体に形成されている。端子台222は、例えば外周部分が蛇行することで、Y方向に弾性変形可能に構成されている。端子台222の中央部には、一対のソケット端子223が配設されている。ソケット端子223には、制御ユニット31が操作ユニット30に組み付けられた状態において、ノブロック機構101の端子124が各別に装着される。すなわち、本実施形態のハンドルロック装置9において、操作ユニット30と制御ユニット31は、ハーネスを介さず端子同士が直接接続されている。
【0084】
また、第1ハウジング201外側に臨むソケット端子223の周囲には、ソケット端子223を囲み-Y方向に立設する端子隠蔽枠224が設けられる。この端子隠蔽枠224は、制御ハウジング200を操作ハウジング33に組み付ける際、操作ユニット30側の端子124と制御ユニット31側のソケット端子223を結合すると同時に、端子隠蔽枠224も操作ハウジング33の端子外周に設けられた端子隠蔽枠又は溝(共に図示せず)と嵌合する。すなわち、端子124,223は、端子隠蔽枠224に周囲が覆われ、外部から視認不能に構成されている。なお、本実施形態では、端子隠蔽部の一例として、操作ハウジング33及び制御ハウジング200の双方に端子隠蔽枠又は溝を有する構成について説明したが、この構成に限られない。端子隠蔽部は、例えば操作ハウジング33及び制御ハウジング200の何れかに端子隠蔽枠が設けられていてもよい。また、端子隠蔽部は、操作ハウジング33及び制御ハウジング200の間において、操作ユニット30及び制御ユニット31が協働して端子124,223を外部に露出させない構成であればよい。
【0085】
コネクタ受部211は、収納部210から-Z方向に突出している。コネクタ受部211には、本体ECU187から引き出されたハーネスがコネクタを介して接続される。
【0086】
レンズ保持部212は、収納部210の周壁部から片持ちで突出している。レンズ保持部212は、Y方向で間隔をあけて一対で構成されている。収納部210の周壁部のうち、レンズ保持部212で囲まれた部分は、収納部210の内外を連通させる連通孔210aが形成されている。なお、レンズ保持部212は、X方向で間隔をあけて一対で構成されていてもよい。
【0087】
レンズ保持部212には、レンズ228が保持されている。レンズ228は、光透過性(例えば透明)を有する樹脂材料等により形成されている。レンズ228は、後述する発光素子262から出射された光をX方向に導く。具体的に、レンズ228の第1端部(入射端)は、制御ハウジング200内において、+X方向を向き、後述する制御基板249に近接している。レンズ228の第2端部(出射端)は、-X方向を向き、制御ユニット31が操作ユニット30に組み付けられた状態で、外装カバー44のリング部49に対向する。リング部49において、レンズ228と対向する位置には、出射孔229が形成されている。レンズ228の第2端部は、出射孔229を通じて外部に露出する。
【0088】
図3に示すように、連結部213は、第1係合爪部230と、第2係合爪部231と、第1挿通部232と、第2挿通部233と、を有している。
第1係合爪部230は、収納部210の底壁において、X方向の中心に対して+X方向寄りに位置している。第1係合爪部230は、収納部210から-Y方向に片持ちで延在している。
【0089】
図13は、図3のXIII-XIII線に沿う断面図である。
図13に示すように、第1係合爪部230は、ハウジング本体41の第1爪固定部240に係合されている。第1爪固定部240は、ハウジング本体41から+Y方向に突出している。
【0090】
図3に示すように、第2係合爪部231は、収納部210の底壁において、X方向の中心に対して-X方向寄りに位置している。第2係合爪部231は、収納部210から-Y方向に延在している。
【0091】
図14は、図3のXIV-XIV線に沿う断面図である。
図14に示すように、第2係合爪部231は、ハウジング本体41の第2爪固定部241に係合されている。第2爪固定部241は、ハウジング本体41から+Y方向に突出している。
【0092】
図3に示すように、第1挿通部232は、収納部210のうち、端子台222に対して+X方向に位置している。第1挿通部232は、収納部210から-Y方向に突出している。
【0093】
図15は、図3のXV-XV線に沿う断面図である。
図15に示すように、操作ハウジング33のうち、ハウジング本体41に対して-Z方向に位置する部分には、第1取付台座242が形成されている。第1取付台座242は、制御ユニット31が操作ユニット30に組み付けられた状態において、第1挿通部232に+Z方向で重ね合わされている。第1取付台座242には、第1挿通部232を通じて第1締結部材245が-Z方向から螺着されている。なお、第1締結部材245の頭部は、操作ユニット30及び制御ユニット31よりも+Z方向に位置している。すなわち、第1締結部材245の周囲は、操作ユニット30及び制御ユニット31により取り囲まれている。
【0094】
図3に示すように、第2挿通部233は、収納部210のうち、+X方向かつ+Z方向の端部に位置している。
【0095】
図16は、ハンドルロック装置9の拡大斜視図である。
図16に示すように、ハウジング本体41には、第2取付台座243が形成されている。第2取付台座243は、制御ユニット31が操作ユニット30に組み付けられた状態において、第2挿通部233に対して-Z方向に重ね合わされている。第2取付台座243には、第2挿通部233を通じて第2締結部材246が+Z方向から螺着されている。なお、第2締結部材246の頭部は、操作ユニット30及び制御ユニット31よりも-Z方向に位置している。すなわち、第2締結部材246の周囲は、操作ユニット30及び制御ユニット31により取り囲まれている。なお、操作ユニット30と制御ユニット31との組み付け方法は適宜変更が可能である。
【0096】
図12に示すように、制御ハウジング200内には、制御基板249が収容されている。制御基板249は、Y方向を厚さ方向として制御ハウジング200内に収容されている。制御基板249において、+Y方向を向く面には、送信アンテナ250及び受信アンテナ251が実装されている。送信アンテナ250及び受信アンテナ251は、ユーザが所持する携帯機との間で無線通信を行う。
具体的に、送信アンテナ250は、所定の通信範囲内にリクエスト信号を送信する。受信アンテナ251は、LF信号に応答する携帯機からの応答信号を受信する。
【0097】
制御基板249において、+Y方向を向く面には、ブザー255が実装されている。ブザー255は、自動二輪車1に所定のアクションがあった場合に警報を発する。所定のアクションとは、例えば、セキュリティアラームやアンサーバック等のことである。セキュリティアラームとは、ユーザ以外の第三者が盗難目的で車両に振動を与えたとき、それを感知して警報を鳴らすことである。アンサーバックは、携帯機を操作したとき、ウインカーの点滅とブザーの報知により車両の存在を知らせることである。
【0098】
制御基板249の操作ハウジング33を向く面には、認証スイッチ257及び電源検出スイッチ258が実装されている。認証スイッチ257及び電源検出スイッチ258は、押下タイプのマイクロスイッチで各々構成される。
認証スイッチ257は、制御基板249において、第1ハウジング201の第1露出孔220と対向する位置に配置されている。認証スイッチ257は、防水ラバー260により覆われた状態で、第1露出孔220を通じて-Y方向に突出している。認証スイッチ257は、第2スライダ112の+Y方向への移動に伴い、押圧操作が可能となっている。制御ユニット31は、認証スイッチ257が押圧操作されることで、上述した送信アンテナ250からリクエスト信号を送信する。
【0099】
電源検出スイッチ258は、制御基板249において、第1ハウジング201の第2露出孔221と対向する位置に配置されている。電源検出スイッチ258は、防水ラバー261により覆われた状態で、第2露出孔221を通じてY方向に突出している。電源検出スイッチ258は、ハンドルロック機構102のカムプレート133の+Y方向の移動に伴い突起部138により押圧操作が可能となっている。
【0100】
制御基板249において、-X方向端部には、発光素子262が実装されている。発光素子262は、レンズ228の第1端部の近傍に配置され、制御基板249の面に対して平行な方向(X方向)に光を出射するサイドビュータイプのLEDである。したがって、発光素子262は損失を抑えてレンズ228の入射端に光を出射する。制御ユニット31は、車両状態に応じて発光素子262の点灯パターンを切り替える。例えば、ハンドルロック位置50Aにおいて、発光素子262は例えば赤色で点滅し、ハンドルロック位置50A以外(携帯機との認証完了後)において、発光素子262は青色で点灯する。なお、発光素子262の点灯パターンは適宜変更が可能である。
【0101】
第2ハウジング202は、第1ハウジング201の収納部210に対して+Y方向から組み付けられている。第2ハウジング202において、上述したブザー255と対向する位置には、開口部263が形成されている。ブザー255は、開口部263を通じて外部に露出している。
【0102】
[作用]
次に、上述したハンドルロック装置9の作用について説明する。以下の説明では、操作部34の指示部76aがハンドルロック位置50Aを指し示した状態から、指示部76aが電源オフ位置50B、開操作位置50C及び電源オン位置50Dに移行する動作について主に説明する。なお、ハンドルロック位置50Aにおいて、ノブロック機構101のレバー123(第2アーム127)が、操作部34(第2インナーノブ54)の第2係合溝72内に係合することで、操作部34の回転が規制されている(規制状態)。
【0103】
<認証動作>
図17は、認証動作を説明するための説明図であって、図10に対応する断面図である。
図10図17に示すように、ハンドルロック装置9の認証を開始するには、携帯機を所持した状態で、アウターノブ55を+X方向に押し込む。この際、図8に示すように、第1インナーノブ53及び第2インナーノブ54を連結する係合ピン65は、縦溝部66a内における-X方向端部に位置している(係合位置)。そのため、アウターノブ55の押込み操作に伴い、アウターノブ55及び第2インナーノブ54が第1インナーノブ53に対して+X方向に移動する。
【0104】
図10図17に示すように、アウターノブ55が+X方向に移動すると、第1スライダ111が+X方向に押し込まれる。第1スライダ111が+X方向に押し込まれるのに伴い、第2スライダ112が+Y方向に移動する。具体的に、第1スライダ111の第2テーパ部115cが、第2スライダ112の連係部117に摺動することで、第2スライダ112が認証機構収容部110内に収まった退避位置から+Y方向に移動する。
【0105】
第2スライダ112が+Y方向に移動すると、制御ユニット31の認証スイッチ257が押圧操作される(操作位置)。認証スイッチ257が押圧されると、制御ユニット31による携帯機との認証動作が開始する。具体的には、図12に示すように、送信アンテナ250からリクエスト信号が送信される。携帯機は、リクエスト信号を受信すると、応答信号を送信する。受信アンテナ251は、携帯機から送信された応答信号を受信する。その後、制御ユニット31において、受信アンテナ251が受信した携帯機の応答信号に基づいて携帯機のID認証を行う。制御ユニット31は、認証が正常に完了した場合に、ノブロック機構101に電力を供給する。
【0106】
図18は、ノブロック機構101の許容状態を示す図5に対応する斜視断面図である。
図5図18に示すように、ノブロック機構101に電力が供給されると、コイル121とプランジャ122との間に作用する電磁力によって、プランジャ122が+X方向に移動する。プランジャ122が+X方向に移動することで、レバー123が回動軸O2回りに回動する。すると、レバー123が第2係合溝72から退避する(許容状態)。すなわち、レバー123が第2係合溝72から退避することで、操作部34の回転軸O1回りの回転が許容される。
【0107】
<ハンドルロック位置から電源オフ位置への移行>
次に、ハンドルロック位置50Aから電源オフ位置50Bへ移行させる。具体的には、操作部34を図2で示す時計回りに回転させる。この際、係合ピン65は、縦溝部66a内における-X方向端部に位置している(係合位置)。すなわち、第1インナーノブ53及び第2インナーノブ54は係合ピン65を介して周方向に係合している。そのため、操作部34は、アウターノブ55、第1インナーノブ53及び第2インナーノブ54が一体となって回転する。操作部34が回転すると、ロックカム62の回転軸O1回りの偏心回転によりカムプレート133が+Y方向に移動する。
【0108】
図19は、電源オフ位置50Bを示す図7に対応する断面図である。
図19に示すように、ロックカム62が回転軸O1回りに偏心回転すると、カムプレート133の第2基準面141bに対してロックカム62の円弧部62aが摺動する。これにより、カムプレート133が+Y方向に移動する。カムプレート133の移動に伴い、ロックバー134が+Y方向に移動する。これにより、ロックバー134が操舵系15から退避する(ロック解除位置)。その結果、操舵系15による操舵が許容される。カムプレート133は、第1膨出部141dがロックカム62の傾斜部62bに係合することで、付勢部材135によるカムプレート133及びロックバー134の+Y方向への移動が規制されている。なお、電源オフ位置50Bにおいて、カムプレート133の突起部138は、第1出没孔145から突出していない。
【0109】
<開操作>
次に、電源オフ位置50Bから開操作位置50Cに向け、操作部34を図2で示す時計回りに回転させる。すると、操作部34は、アウターノブ55、第1インナーノブ53及び第2インナーノブ54が一体となって回転する。
【0110】
図20は、開操作位置50Cを示す図7に対応する断面図である。
図20に示すように、ロックカム62が回転軸O1回りに偏心回転すると、ロックカム62が第1膨出部141dから退避する。これにより、カムプレート133が付勢部材135の付勢力によって+Y方向に移動する。その後、カムプレート133は、第1基準面141aがロックカム62に突き当たる。これにより、カムプレート133は、突起部138が電源検出スイッチ258に近接又は当接した状態で、+Y方向への移動が規制される。
【0111】
図21は、開操作を説明するための説明図であって、図9に対応する斜視図である。
図21に示すように、操作部34が開操作位置50Cまで移動すると、第2インナーノブ54の突起部74と、切替部155の係合凹部158aと、が対向する。操作部34が開操作位置50Cに位置している状態で、アウターノブ55を介して操作部34を+X方向に押し込む。すると、係合筒部82による第2インナーノブ54の+X方向の移動が許容され、突起部74が係合凹部158a内に進入する。これにより、第2インナーノブ54と切替部155とが周方向で係合する(操作位置)。
【0112】
図22は、第2インナーノブ54の操作位置を示す図8に対応する部分側面図である。
図22に示すように、第2インナーノブ54の+X方向への移動に伴い、係合ピン65が係合溝66の横溝部66b内に進入する(係合解除位置)。すると、係合ピン65を介した第1インナーノブ53及び第2インナーノブ54の係合が解除される。これにより、第1インナーノブ53に対するアウターノブ55及び第2インナーノブ54の回転軸O1回りの相対回転が許容される(アウターノブ55及び第2インナーノブ54が第1インナーノブ53に対して空転する)。
【0113】
図23は、開操作を説明するための説明図であって、図11に対応する平面図である。
図23に示すように、第2インナーノブ54と切替部155との操作位置において、操作部34を例えば図2で示す時計回りに回転させる。すると、第2インナーノブ54の回転に伴い、切替部155が-X方向から見て回転軸O1を時計回りに回転する。すると、切替部155の回転に伴い、切替レバー161が回動軸O3を時計回りに回動する。切替部155の回動に伴い、シートアーム182がシートスライダ162を-X方向に引っ張る。これにより、シートスライダ162が-X方向に移動することで、シートケーブル150が引っ張られる。シートケーブル150が引っ張られることで、シートロック機構7aが作動する。その結果、シートロック機構7aによるシート7の回動規制が解除される。シート7の回動規制が解除されることで、収納ボックス21を開放することができる。
【0114】
一方、第2インナーノブ54と切替部155との操作位置において、操作部34を例えば図2で示す反時計回りに回転させる。すると、第2インナーノブ54の回転に伴い、切替部155が-X方向から見て回転軸O1を反時計回りに回転する。すると、切替部155の回転に伴い、切替レバー161が回動軸O3を反時計回りに回動する。切替部155の回動に伴い、フエルアーム183がフエルスライダ163を-X方向に引っ張る。これにより、フエルスライダ163が-X方向に移動することで、フエルケーブル151が引っ張られる。フエルケーブル151が引っ張られることで、カバーロック機構23aが作動する。その結果、カバーロック機構23aによる給油カバー23の開操作が可能になる。
【0115】
<電源オフ位置から電源オン位置への移行>
次に、電源オフ位置50Bから電源オン位置50Dに向け、操作部34を図2で示す時計回りに回転させる。すると、操作部34は、アウターノブ55、第1インナーノブ53及び第2インナーノブ54が一体となって回転する。これにより、ロータリスイッチ36の固定接点と可動接点とが接触する。その結果、ロータリスイッチ36から本体ECU187に対してオン信号が送信される。電源オン位置50Dにおいて、自動二輪車1に配設されたスタータ等を操作することで、パワーユニット6のエンジンが点火される。
【0116】
図24は、電源オン位置50Dを示す図7に対応する断面図である。
図20図24に示すように、操作部34が回転すると、ロックカム62の回転軸O1回りの偏心回転によりカムプレート133が+Y方向に移動する。具体的に、ロックカム62が回転軸O1回りに偏心回転すると、ロックカム62の円弧部62aがカムプレート133の第2基準面141bを通って第2膨出部141eに到達する。これにより、カムプレート133の突起部138は、第2出没孔148を通じて電源検出スイッチ258を押し込む。制御ユニット31は、電源検出スイッチ258が押し込み操作に伴い、例えばリクエスト信号の送信タイミングの変更等を行う。なお、カムプレート133は、ロックカム62が凹部141cに係合することで、+Y方向への移動が規制される。
【0117】
このように、本実施形態では、操作部34と制御ユニット31(制御基板249)とがY方向に対向配置されるとともに、操作部34の回転操作に伴い、自動二輪車1の電源のオンオフ操作を行う。本実施形態では、操作部34の回転操作に伴いY方向に移動して、電源検出スイッチ258を操作するカムプレート133を備える構成とした。
この構成によれば、操作部34の回転操作に伴い、カムプレート133が電源検出スイッチ258を直接操作する。これにより、電源検出スイッチ258を有する制御基板249を操作部34に近付けることができる。
しかも、操作部34の回転操作に伴い、ロータリスイッチ36の操作と、電源検出スイッチ258の操作と、を行うことができる。この場合、制御ユニット31は、自動二輪車1のオンオフ状態に応じて携帯機との通信形態を切り替える等の制御を行うことができる。
その結果、小型化を図った上で、操作部34と基板249との連係を図ることができる。
【0118】
本実施形態では、操作部34の回転操作に伴い、ロックカム62が回転軸O回りに偏心回転することで、カムプレート133がY方向に移動する。これにより、小型化を図った上で、カムプレート133をスムーズに移動させることができる。
【0119】
本実施形態では、操舵系15による操舵を規制するロック位置、及び操舵系15による操舵を許容するロック解除位置に移動可能なロックバー134を備え、ロックバー134は、ロックプレート133に固定された構成とした。
この構成によれば、カムプレート133に連動してロックバー134が移動する。これにより、操作部34の電源オン位置50Dまでの回転操作とは別にロックバー134をロック解除位置まで移動させる必要がない。その結果、操作性の向上を図ることができる。換言すれば、電源検出スイッチ258の押下と、ロックバー134の移動とを一つのカムプレート133行う構成としているので、部品点数の削減も図れている。
【0120】
本実施形態では、制御ハウジング200には、電源検出スイッチ258を露出させるとともに、制御ハウジング200の外部からカムプレート133により電源検出スイッチ258を操作可能とする第2露出孔221が形成されている構成とした。
この構成によれば、第2露出孔221を通じて電源検出スイッチ258が操作可能とされているため、操作部34と制御ユニット31とを別々のハウジングに収納できる。そのため、操作部34と、制御基板249と、を別々にハウジング33,200に組み付けた後、各ハウジング33,200同士を組み付けることで、ハンドルロック装置9を製造することができる。これにより、組付性を向上させることができる。
また、操作部34及び制御基板249を同一ハウジング内に収納する場合に比べて、各ハウジング33,200内でのレイアウト性を向上させることができる。
【0121】
本実施形態では、アウターノブ55の押込み操作により、認証スイッチ257を操作する認証機構100を備える構成とした。
この構成によれば、アウターノブ55の操作により認証動作を開始することで、待機時(電源オフ時)における省電力化を図ることができる。しかも、本実施形態では、ロータリスイッチ36のオンオフ操作とは異なる操作(X方向へのスライド操作)によって認証動作を開始させることで、誤操作の発生を抑制できる。すなわち、従来の双方向通信式のハンドルロックと同様な操作により、携帯機との認証及びハンドルロックの解除が行うことができ、ユーザが操作に戸惑うことがない。
【0122】
本実施形態では、制御ユニット31は、認証スイッチ257の操作に伴い、携帯機との認証動作を開始するとともに、認証動作が正常に完了した場合に、ノブロック機構101を退避状態に移動させる構成とした。
この構成によれば、携帯機との認証が正常に完了した時点で、操作部34の回転操作が許容されるので、防盗性の向上を図ることができる。
【0123】
本実施形態では、操作部34がハンドルロック位置50Aにあるときに認証動作を行うことができるので、防盗性を向上させることができる。
【0124】
(その他の変形例)
以上、本発明の好ましい実施例を説明したが、本発明はこれら実施例に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。本発明は上述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
例えば、上述した実施形態では、ノブロック機構101としてソレノイド機構を採用した場合について説明したが、この構成のみに限られない。ノブロック機構101は、ソレノイド機構以外の種々のアクチュエータを採用できる。
【0125】
上述した実施形態では、操作ユニット30及び制御ユニット31が別々のハウジング33,200で構成された場合を例にして説明したが、操作ユニットと制御ユニットとを同一のハウジングで構成してもよい。
上述した実施形態では、認証機構100がアウターノブ55の押込み操作により動作する構成について説明したが、この構成のみに限られない。認証機構100は、例えば操作部34の回転操作により動作する構成であってもよい。
【0126】
上述した実施形態では、締結部材245,246、及び係合爪部230,231により操作ユニット30と制御ユニット31とを組み付ける構成について説明したが、この構成のみに限られない。操作ユニット30と制御ユニット31との組付方法や組付方向は適宜変更が可能である。例えば、締結部材のみ、若しくは係合爪部のみで操作ユニットと制御ユニットとを組み付けてもよい。但し、上述した実施形態のように、係合爪部230,231により操作ユニット30及び制御ユニット31を仮組みした状態で、締結部材245,246により締結することで、組付性を向上させることができる。
【0127】
上述した実施形態では、制御ユニット31がブザー255や発光素子262を備える構成について説明したが、この構成のみに限られない。
【0128】
上述した実施形態では、横溝部66bが縦溝部66aにおける-X方向端部に連なる構成について説明したが、この構成のみに限られない。横溝部66bは、縦溝部66aの+X方向端部に連なっていてもよい。
上述した実施形態では、開放機構103が収納ボックス21及び燃料タンク8の開放操作を行う構成について説明したが、この構成のみに限られない。開放機構103は、収納ボックス21や燃料タンク8以外に、リアボックス等を開放する構成であってもよい。また、開放機構103は、本実施形態のように複数の収納部を開放する構成であってもよく、単数の収納部を開放する構成であってもよい。単数の収納部を開放する構成の場合、横溝部66bは、例えば縦溝部66aから周方向の第1側のみに延在する。
上述した実施形態では、横溝部66bを1つのみ設ける構成について説明したが、この構成のみに限られない。横溝部66bは、X方向に間隔をあけて複数形成してもよい。すなわち、アウターノブ55及び第2インナーノブ54は、X方向に多段に移動させる構成であってもよい。
【0129】
上述した実施形態では、係合筒部158が開操作位置50C以外の位置で第2インナーノブ54の係合解除位置への移動を規制する構成について説明したが、この構成のみに限られない。係合筒部158は、少なくとも電源オン位置50Dにおいて、第2インナーノブ54の係合解除位置への移動を規制する構成であればよい。
上述した実施形態では、第2インナーノブ54の+X方向への移動を規制する規制部として、係合筒部158を採用した場合について説明したが、この構成のみに限られない。規制部は、少なくとも開操作位置50Cにおいて、第2インナーノブ54(突起部74)とX方向で対向する位置に形成されていれば筒状以外の構成を採用してもよい。
【0130】
上述した実施形態では、操作部34と第1可動部(カムプレート133)とが別体で形成された構成について説明したが、この構成のみに限らず、操作部34と第1可動部とが一体であってもよい。上述した実施形態では、ロックカム62を介して操作部34の回転を第1可動部(カムプレート133)に伝える構成について説明したが、この構成に限られない。すなわち、第1可動部は、操作部34の回転操作に伴いY方向に移動可能な構成であればよい。
【0131】
上述した実施形態では、第1可動部と第2可動部とが連動する構成について説明したが、この構成のみに限らず、第1可動部と第2可動部とが独立して移動する構成であってもよい。
上述した実施形態では、カムプレート133が電源検出スイッチ258を直接操作する構成について説明したが、この構成に限られない。例えば、第1可動部が、中間部材を介して電源検出スイッチ258を操作する構成であってもよい。この構成においても、中間部材の長さを短くすることで、制御基板249を操作部34に近付けることができる。
【0132】
なお、本発明に係るハンドルロック装置は、以下の機能のうち、少なくとも(1)の機能を有していればよい。
(1)自動二輪車1の電源のオン操作及びオフ操作。
(2)操舵系15のロック操作及びロック解除操作。
(3)シートロック機構7aの操作(収納ボックス21の開閉操作)。
(4)カバーロック機構23aの操作(燃料タンク8の開閉操作)。
【0133】
上述した実施形態では、ハンドルロック装置9が車体フレーム4に固定された構成について説明したが、この構成のみに限られない。ハンドルロック装置9は、自動二輪車1の前部において、操舵系15とは異なる部分に固定されていればよい。ハンドルロック装置9は、例えば車体カバー5に固定されていてもよい。
【0134】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
【符号の説明】
【0135】
1…自動二輪車(車両)
9…ハンドルロック装置
15…操舵系
31…制御ユニット(制御部)
33…操作ハウジング
34…操作部
36…ロータリスイッチ(電源スイッチ)
50A…ハンドルロック位置(第2位置)
50B…電源オフ位置(第2位置)
50C…電源オン位置(第1位置)
62…ロックカム(カム部)
76…摘み部
100…認証機構
101…ノブロック機構(アクチュエータ)
133…カムプレート(第1可動部)
134…ロックバー(第2可動部)
221…第2露出孔(第2露出孔)
249…制御基板(制御部)
257…認証スイッチ
258…電源検出スイッチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
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図10
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