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特許7016805粘性式クラッチ用のモーニングシックネスバルブシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-28
(45)【発行日】2022-02-07
(54)【発明の名称】粘性式クラッチ用のモーニングシックネスバルブシステム
(51)【国際特許分類】
   F16D 35/02 20060101AFI20220131BHJP
【FI】
F16D35/02 Z
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2018536707
(86)(22)【出願日】2016-10-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-10-11
(86)【国際出願番号】 US2016055260
(87)【国際公開番号】W WO2017062330
(87)【国際公開日】2017-04-13
【審査請求日】2019-08-22
(31)【優先権主張番号】62/237,286
(32)【優先日】2015-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506038235
【氏名又は名称】ホートン, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】特許業務法人ナガトアンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴンス, マイケル
(72)【発明者】
【氏名】プレストン, ジェイムズ, アール
【審査官】増岡 亘
(56)【参考文献】
【文献】実開昭58-56113(JP,U)
【文献】登録実用新案第364717(JP,Z2)
【文献】特開2004-162911(JP,A)
【文献】特表2016-511380(JP,A)
【文献】特開2003-81384(JP,A)
【文献】実開昭58-178565(JP,U)
【文献】特表2015-529317(JP,A)
【文献】実開昭62-114223(JP,U)
【文献】特開2003-176838(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 35/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ザーバを有する粘性式クラッチにおけるモーニングシックネス現象を抑制するためのバルブシステムであって、
前記リザーバは、剪断流体を前記リザーバに戻すことが出来る中央開口と、前記リザーバの外縁部分またはその近傍に位置する孔と、が設けられ、
バルブ素子と、
カウンタウエイト部と、
前記バルブ素子と前記カウンタウエイト部との間に配置されたピボットであって、前記バルブ素子と前記カウンタウエイト部とが、開位置と閉位置との間で、前記ピボット周りに一緒に動くように構成されるピボットと、
既定状態として、前記閉位置にて前記孔を覆うように前記バルブ素子を付勢する付勢部材とを備え、
前記カウンタウエイト部は、遠心荷重が加わったときに、前記付勢部材に抗して前記バルブ素子に作用し、前記バルブ素子が前記開位置にて前記孔を少なくとも部分的に開放状態とするように構成され、
前記バルブ素子は、カム作用時に、前記孔を取り囲む面に対し前記バルブ素子を押し付けるように構成されるカム部を備えることを特徴とするバルブシステム。
【請求項2】
前記カム部は、傾斜面、傾斜溝、及び凸曲面からなる群から選択された構成を有することを特徴とする請求項1に記載のバルブシステム。
【請求項3】
前記閉位置にあるときに前記バルブ素子が当接するように構成された当接部材を更に備えることを特徴とする請求項1に記載のバルブシステム。
【請求項4】
前記カム部は、前記閉位置にて前記当接部材に当接することを特徴とする請求項3に記載のバルブシステム。
【請求項5】
前記当接部材は、前記バルブ素子の前記カム部に対向して配置された付加的カム部を更に備え、前記カム部と前記付加的カム部とが互いに当接するときに、前記孔を取り囲む面に対し前記バルブ素子を押し付けるように構成されることを特徴とする請求項4に記載のバルブシステム。
【請求項6】
前記バルブ素子の前記カム部と、前記当接部材の前記付加的カム部とは、互いに相補的となる形状を有することを特徴とする請求項5に記載のバルブシステム。
【請求項7】
前記バルブ素子の前記カム部と、前記当接部材の前記付加的カム部とは、前記バルブ素子が前記閉位置にあるときの断面で見たときに実質的に互いに平行となる対向面を有することを特徴とする請求項5に記載のバルブシステム。
【請求項8】
前記バルブ素子の前記カム部と、前記当接部材の前記付加的カム部とは、互いに異なる形状を有することを特徴とする請求項5に記載のバルブシステム。
【請求項9】
記当接部材はカム部を備えることを特徴とする請求項3に記載のバルブシステム。
【請求項10】
前記バルブ素子と前記当接部材とは、前記閉位置において互いに当接しているときに、フェースカム構造を形成することを特徴とする請求項3に記載のバルブシステム。
【請求項11】
入力部材と、出力部材と、孔が設けられたリザーバとを有する粘性式クラッチにおけるモーニングシックネス現象を抑制するための方法であって、
前記入力部材に保持されたバルブ素子を、既定状態として前記リザーバの前記孔を覆うように付勢するステップと、
遠心荷重に応じ、少なくとも部分的に前記孔を開放状態とするように前記バルブ素子を回動させるステップと、
能動的バルブアセンブリを選択的に駆動して前記孔を覆うステップと、を備え、
前記能動的バルブアセンブリは、前記孔の第1端部を覆うように配置され、
前記バルブ素子は、前記孔とは反対側の第2端部を覆うように配置されることを特徴とする方法。
【請求項12】
カム部を当接させることにより、前記孔の周囲の面に対し、前記バルブ素子を押し付けて密閉を助長するステップを更に備えることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記カム部は、前記バルブ素子が閉位置に達する際の前記バルブ素子の行程の一部でのみ当接することを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
粘性式クラッチのための組立体であって、
流体の流動を許容する孔を備え、前記孔が第1端部と当該第1端部とは反対側の第2端部とを有するリザーバ境界壁と、
前記第1端部において前記孔を選択的に開閉することで前記孔を通過する流体を調整するように制御可能であって、既定状態として前記孔を開放する位置に付勢される能動的バルブアセンブリと、
前記第2端部において前記孔を開閉することでアイドル状態における流体の流動を抑制するように動くことが可能であって、前記能動的バルブアセンブリとは独立して作動可能なモーニングシックネスバルブシステムとを備え、
前記モーニングシックネスバルブシステムは、
バルブ素子と、
カウンタウエイト部と、
前記バルブ素子と前記カウンタウエイト部との間に配置されたピボットであって、前記バルブ素子と前記カウンタウエイト部とが、開位置と閉位置との間で、前記ピボット周りに一緒に動くように構成されるピボットと、
既定状態として、前記閉位置にて前記孔を覆うようにバルブ素子を付勢する付勢部材とを備え、
前記カウンタウエイト部は、遠心荷重が加わったときに、前記付勢部材に抗して前記バルブ素子に作用し、前記バルブ素子が前記開位置にて前記孔を少なくとも部分的に開放状態とするように構成される
ことを特徴とする組立体。
【請求項15】
前記ピボットとの関係において固定された位置で、前記孔の近傍に配置された当接部材を更に備え、
前記モーニングシックネスバルブシステムの前記バルブ素子は、前記閉位置にあるときに前記当接部材に当接するように構成される
ことを特徴とする請求項14に記載の組立体。
【請求項16】
前記当接部材は湾曲形状を有し、
前記カウンタウエイト部は、前記当接部材の前記湾曲形状に対して相補的な湾曲形状の外縁部を有する
ことを特徴とする請求項15に記載の組立体。
【請求項17】
前記バルブ素子及び前記当接部材の少なくとも一方は、前記バルブ素子が前記閉位置にあるときに、前記バルブ素子を前記リザーバ境界壁に押し付けるように構成されたカム部を更に備えることを特徴とする請求項15に記載の組立体。
【請求項18】
前記カム部は、傾斜面、傾斜溝、及び凸曲面からなる群から選択された構成を有することを特徴とする請求項17に記載の組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概ねバルブシステムに関するものであり、より具体的には、粘性式クラッチと共に用いられて、「モーニングシックネス現象」を抑制するためのバルブシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
粘性式クラッチは、自動車のファン駆動用など、様々な用途で広範に使用されている。これらの粘性式クラッチは、2つの回転部材の間でトルクを選択的に伝達するために、比較的濃密なシリコーンオイル(より一般的には、剪断流体または粘性流体と称される)を用いるのが一般的である。入力部材と出力部材との間(例えば、ロータとハウジングとの間)に設けられた粘性式クラッチの作動空間に対し、オイルを選択的に吸排させることにより、クラッチの接続や切断が可能となり、この入力部材と出力部材との間で、オイルによって粘性剪断結合が形成されることにより、入力部材から出力部材へのトルクの伝達が可能となる。作動空間に対するオイルの流入及び流出の少なくとも一方を制御するためにバルブが用いられる。近年のクラッチの構成として、クラッチが切断状態にある間、入力部材(例えば、ハウジング内に設けられて常時トルクが入力されるのが一般的なロータ)に取り付けられたリザーバにオイルを蓄えることができるようにして、オイル中に運動エネルギを利用可能な状態で維持することにより、クラッチの外側出力ハウジングを、切断状態から迅速に接続状態とすることができるようにすると共に、バルブが作動空間へのオイルの流入を遮断する状態にある間は、クラッチが極めて低い速度(例えば、ファン速度)の出力速度を有するようにしたものがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
粘性式クラッチの使用に伴って生じる問題の1つは、いわゆる「モーニングシックネス現象」である(「無為回転」、「付随回転」など、別の言葉で呼称されることもある)。エンジンが停止状態にあってクラッチが静止しているとき(例えば、一晩にわたって使用されなかった車両の場合)、剪断流体は、リザーバから作動室に移動する可能性がある。作動室への流体移動の程度は、静止状態にあるときのクラッチの回転方向の位置によって変動する。その位置によっては、クラッチ内の孔またはそれ以外の通路が、クラッチの低い部分またはその近傍にあって、これらの孔または通路を介し、かなりの量の剪断流体が重力によって作動室内へと移動してしまう場合がある。エンジンの始動に伴い、クラッチに対する回転入力があると、作動室内に移動した剪断流体が存在することによって、クラッチの出力部材への不必要な接続が、かなり大きな程度で発生する可能性がある。このような、「モーニングシックネス現象」によるクラッチの出力部材への不必要な接続は、例えば、好ましくないファン騒音、付随して生じるパワー損失、及びエンジンの過冷却などを伴う、比較的高速のファン回転出力を生じる可能性がある(ファンクラッチとして適用した場合)。「モーニングシックネス現象」に起因した作動室内の流体は、運転時間の経過と共に、作動室からリザーバへと速やかに排出されるのが一般的であるが、このような「モーニングシックネス現象」を実質的に完全に回避することが望まれる。
【0004】
従って、「モーニングシックネス現象」に対応した、新たな粘性式クラッチ及びバルブシステムの少なくとも一方の提供が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様において、孔が設けられたリザーバを有する粘性式クラッチにおけるモーニングシックネス現象を抑制するためのバルブシステムは、バルブ素子と、カウンタウエイト部と、ピボットと、付勢部材とを備える。ピボットは、前記バルブ素子と前記カウンタウエイト部との間に配置され、前記バルブ素子と前記カウンタウエイト部とは、開位置と閉位置との間で、前記ピボット周りに一緒に動くように構成される。付勢部材は、既定状態として、前記閉位置にて前記孔を覆うように前記バルブ素子を付勢するように構成される。カウンタウエイト部は、遠心荷重が加わったときに、前記付勢部材に抗して前記バルブ素子に作用し、前記バルブ素子が前記開位置にて前記孔を少なくとも部分的に開放状態とするように構成されている。
【0006】
本発明のもう1つの態様において、入力部材と、出力部材と、孔が設けられたリザーバとを有する粘性式クラッチにおけるモーニングシックネス現象を抑制する方法は、前記入力部材に保持されたバルブ素子を、既定状態として前記リザーバの前記孔を覆うように付勢するステップと、遠心荷重に応じ、少なくとも部分的に前記孔を開放状態とするように前記バルブ素子を回動させるステップとを備える。
【0007】
この発明の概要は、例として提示するものに過ぎず、本発明を限定するものではない。本発明の他の特徴は、本明細書、特許請求の範囲、及び添付図面の全てを含め、ここに開示する全てに鑑みて認識されうるものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係るモーニングシックネスバルブシステムを有した粘性式クラッチの断面図である。
図2A図1のモーニングシックネスバルブシステムを閉状態で示す正面図である。
図2B図1及び図2Aのモーニングシックネスバルブシステムを開状態で示す正面図である。
図2C図2AにおけるC-C線に沿う断面により、図1図2A、及び図2Bのモーニングシックネスバルブシステムを示す斜視断面図である。
図3】本発明のもう1つの実施形態に係るモーニングシックネスバルブシステムを開状態で示す斜視図である。
図4A】本発明の更にもう1つの実施形態に係るモーニングシックネスバルブシステムを示す斜視図である。
図4B図4AにおけるB-B線に沿うモーニングシックネスバルブシステムの断面図である。
図5】本発明のもう1つの実施形態に係るモーニングシックネスバルブシステムの一部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
上記の図は本発明のいくつかの実施形態を示すものであるが、以下に言及するように、別の実施形態もまた考えられる。いずれの場合においても、ここに開示するものは、代表的なものとして本発明を提示するものであって、発明を限定するものではない。別の様々な改善や態様が、当業者によって案出され得るが、それらはいずれも本発明の本質の範囲及び趣旨内にあると理解すべきである。図は、一定の縮尺で描かれたものではない場合があり、本発明の適用や具現化には、具体的には図面に明確に示されていない特徴、ステップ、または構成部材を含み得るものである。
【0010】
全般的に、本発明は、粘性式クラッチが、非作動の期間(即ち、アイドル期間)の後に回転入力を受けたとき、いわゆる「モーニングシックネス現象」を抑制または防止するのに有用なバルブシステムを提供するものである。粘性式クラッチは、当該粘性式クラッチを駆動するエンジンが停止状態にある場合などのように、長い期間にわたって粘性式クラッチを使用しない場合に、剪断流体をリザーバに保持しておくのが望ましい。このリザーバが密閉されていない場合、剪断流体が作動室内に漏出し、その後、エンジンが始動されたときに、粘性式クラッチから(例えば、ファンやそれ以外の出力装置に対し)過剰なトルク出力が生じることがある。モーニングシックネスバルブシステムは、アイドルまたは停止状態の間、リザーバを選択的に封止して、当該リザーバ内に剪断流体を留めておくことができるようにすることで、「モーニングシックネス現象」を抑制または防止可能とするものである。いくつかの実施形態では、カム構造(例えば、フェースカム構造またはリニアカム構造)を採用し、モーニングシックネスバルブシステムの密閉性を改善することが可能となっている。なお、本発明のモーニングシックネスバルブシステムは、様々な構造の粘性式クラッチに適用することが可能である。
【0011】
本出願は、米国特許仮出願第62/237286号に基づき優先権を主張するものであり、当該米国特許仮出願における開示内容は、その全体が参照によりここに組み入れられるものである。
【0012】
図1は、剪断流体の戻りまたは移動によって、静止期間(即ち、粘性式クラッチ20にトルク入力がないアイドル期間)の後に、不必要なクラッチ接続を引き起こす可能性のある、いわゆる「モーニングシックネス現象」を抑制または防止する特徴を有した粘性式クラッチ20の一実施形態の一部を示す断面図である。簡略化のため、図1には、回転中心軸線Aより上にある粘性式クラッチ20の部位のみが示されている。図1において省略されている回転中心軸線Aより下の部位が、回転中心軸線Aより上にある部位と概ね同様の構成であることは、クラッチの具体例が、多くの場合、回転中心軸線Aを中心として完全な対称とはならない構造であることを理解しつつ、当業者が認識しうるものである。本実施形態において、粘性式クラッチ20は、ジャーナルブラケット(即ち、取付軸)22、プーリ(即ち、溝車)24、ロータアセンブリ26、ハウジングアセンブリ28、バルブアセンブリ30、電磁コイルアセンブリ32、第1ベアリングセット34、第2ベアリングセット36、リザーバ38、作動室40、シールベアリング42、及びモーニングシックネスバルブシステム44(シャッタバルブと呼称することもある)を備えている。粘性式クラッチ20は、回転中心軸線Aを規定する。なお、図1に示す粘性式クラッチ20の実施形態は、単に一例として示すものであって、本発明を限定するものではない。多くの様々な構成の粘性式クラッチが可能であり、様々な構成の粘性式クラッチと共にモーニングシックネスバルブシステム44を使用することが可能であることは、当業者が認識しうるものである。
【0013】
ジャーナルブラケット(即ち、取付軸)22は、車両のエンジンルーム内に配置されるエンジンのシリンダブロックなどといった所望の取付箇所に固定される静止部材(即ち、非回転部材)とすることができる。本実施形態では、ジャーナルブラケット22が、中心軸線方向に延在する軸部22-1と、全体として径方向に延設されるフランジ部22-2とを備える。必要に応じ、ジャーナルブラケット22内を通るコンジット22-3を形成することが可能であり、このコンジット22-3は、中心軸線方向で実質的に軸部22-1の全長にわたって延設することができる。図示するように、コンジット22-3は、中心軸線Aと同軸状に形成されている。コンジット22-3には、個々の用途に応じて、電線やそれ以外のものを通すことが可能である。
【0014】
本実施形態のハウジングアセンブリ28は、ベース28-1及びカバー28-2を含む複数の部品からなる組立体である。ベース28-1及びカバー28-2は、留め具や溶接などのような任意の適切な手段を用い、互いに固定することが可能である。ハウジングアセンブリ28の外面には、冷却フィン28-3を設け、粘性式クラッチ20で発生する熱が周囲の大気中に散逸されるのを助長することが可能である。図1の実施形態に示すように、概ね放射状に延設されて、周方向で互いに離間する複数の冷却フィン28-3が、カバー28-2の前面に配置される。また、概ね放射状に延設されて、周方向で互いに離間した更なる冷却フィン28-4が、ハウジングアセンブリ28のベース28-1の外面に配置される。本実施形態において、ハウジングアセンブリ28は、第1ベアリングセット34により、ジャーナルブラケット22の軸部22-1に回転可能に支持されており、ハウジングアセンブリ28が、軸部22-1を全体的に取り囲んでいる。更に、ハウジングアセンブリ28のカバー28-2は、シールベアリング42により、ロータアセンブリ26に回転可能に支持されている。シールベアリング42は、ジャーナルベアリングのような形式で、流体封止機能と構造的な回転支持機能との両方が得られるようになっている。ハウジングアセンブリ28は、粘性式クラッチ20の入力部材の一部、即ちトルク入力部となる。
【0015】
本実施形態において、ハウジングアセンブリ28はリザーバ38を保持しており、このリザーバ38は、ハウジングアセンブリ28と共に回転する。リザーバ38は、粘性式クラッチ20で使用する剪断流体(例えば、シリコーンオイル)を蓄えておくことが可能であり、粘性式クラッチ20が切断状態にあるときには、剪断流体の大部分がリザーバ38内に保持される。ハウジングアセンブリ28が入力側機構の一部であることから、ハウジングアセンブリ28に回転入力があるときには、常にハウジングアセンブリ28が回転する。そして、ハウジングアセンブリ28の回転により、剪断流体は、リザーバ38内にある間、加圧状態に維持され、比較的高い運動エネルギを有した状態に剪断流体を保持することが可能となって、粘性式クラッチ20の迅速な接続を可能とする一助となる。一実施形態として、リザーバ38は、ハウジングアセンブリ28のベース28-1に形成された概ね環状のキャビティとして設けることができる。リザーバカバー46を設け、リザーバ38の境界となる部分を形成することが可能であり、即ち、リザーバ38となる部位の境界を定める壁として、リザーバカバー46を機能させることができる。本実施形態において、リザーバカバー46は、圧入、スエージ加工、留め具の使用などによりベース28-1に取り付けられた、概ね環状のプレートとして構成されている。リザーバカバー46(または、これに代えて、リザーバ38の別の境界部分または壁でもよい)には、1つ以上の流出孔(リザーバ孔とも称する)46-1を設け、リザーバ38から剪断流体が流出できるようにすることが可能であり、この流出孔46-1を、バルブアセンブリ30で制御することが可能である。本実施形態において、流出孔46-1は、径方向におけるリザーバカバー46の外縁部分またはその近傍に配置され、径方向におけるリザーバ38の外縁部分またはその近傍に位置するようになっている。このようにすることで、ハウジング28及びリザーバ38が回転してリザーバ38内の剪断流体が加圧され、この剪断流体が遠心力によってリザーバ38の径方向外寄りに位置しようとするときに、流出孔46-1から容易に剪断流体が流出できるようになる。リザーバカバー46に形成された中央開口46-2は、剪断流体をリザーバ38に戻すことができるようにするものである。リザーバカバー46の中央、または径方向内寄りの部分への中央開口46-2の配置は、粘性式クラッチ20が静止状態にあるときに、リザーバ38内にある剪断流体のほとんどまたは全てが、重力によって中高開口46-2よりも下方に移動するので、リザーバ38からの剪断流体の不必要な流出を抑制する上で有効である。
【0016】
プーリ(即ち、溝車)24は、ベース28-1など、ハウジングアセンブリ28に直接的または間接的に固定することが可能であり、ベルト(図示せず)から回転入力を受け取るように構成される。ハウジングアセンブリ28は、プーリ24と一体回転することが可能である。本実施形態において、プーリ24は、中心軸線方向において、ジャーナルブラケット22のフランジ部22-2の前方に位置している。
【0017】
本実施形態のロータアセンブリ26は、ディスク26-1、ベアリングハブ26-2、及び流動案内部材26-3を備える。ロータアセンブリ26のディスク26-1及びベアリングハブ26-2は、圧入、ローレットによる結合、螺合、スプライン結合、またはそれ以外の結合方法といった、適切な結合方法により互いに固定されて一緒に回転する(即ち、一体回転する)、別個の部材として構成することができる。これに代わる実施形態として、ディスク26-1及びベアリングハブ26-2を、一体化して単体で形成することも可能である。ロータアセンブリ26は、第2ベアリングセット36により、ジャーナルブラケット22の軸部22-1に回転可能に支持することができる。図1に示すように、ロータアセンブリ26は、ジャーナルブラケット22の軸部22-1を一周して配置される。
【0018】
ロータアセンブリ26のディスク26-1は、前面及び後面の両方に、同心の環状リブを一般的な配置で多数備えることが可能である。これらの環状リブは、作動室40に沿ってハウジングアセンブリ28に同様に設けられた環状リブと相補関係にある。本実施形態において、ディスク26-1は、ハウジングアセンブリ28によって取り囲まれている。ディスク26-1の径方向外寄りなどのような部位には、一般的な方法により、概ね中心軸線方向にディスク26-1を貫通する1以上の流路(図示せず)を形成することが可能であり、この流路により、ディスク26-1の前面側と後面側との間で、作動室40内の剪断流体が行き来するのを許容するようにしてもよい。また、ディスク26-1内を通る戻し通路26-1Bを設けることが可能である。流動案内部材26-3は、ディスク26-1に取り付けることが可能であり、リザーバカバー46に形成された中央開口46-2を貫通させることなどにより、リザーバカバー46を横切るように設けることができる。
【0019】
本実施形態のロータアセンブリ26では、ベアリングハブ(ファンハブとも称する)26-2が、概ね中心軸線方向に延設されたスリーブ部26-2A、概ね径方向に延設されたフランジ部26-2B、及び案内部26-2Cを備える。スリーブ部26-2Aは、概ね筒状に形成することが可能であり、ディスク26-1及び第2ベアリングセット36の双方と、中心軸線方向の位置を概ねそろえるように配置することができる。フランジ部26-2B及び案内部26-2Cは、それぞれ少なくとも一部を、中心軸線方向でハウジングアセンブリ28より先(即ち、外方)まで延設することが可能であり、フランジ部26-2B、案内部26-2C、及びロータアセンブリ26のベアリングハブ26-2におけるそれ以外の部位の少なくともいずれか1つには、粘性式クラッチ20の前端部またはその近傍に、出力機構(例えば、ファン、ポンプ、シャフトなど)のための取付面を設けることができる。なお、これに代わる実施形態として、出力機構をいずれか別の場所に取り付けるようにすることも可能である。
【0020】
作動室(同じ意味で作動空間とも称する)40は、ロータアセンブリ26とハウジングアセンブリ28との間に形成される。本実施形態において、作動室40は、ディスク26-1の前面及び後面に沿って延在するが、別の実施形態として、作動室40が、概ねディスク26-1の一方の側のみに形成されるようにしてもよい。作動室40内に剪断流体が存在することにより、ロータアセンブリ26とハウジングアセンブリ28との間で流体摩擦による結合が生じて粘性式クラッチ20が接続状態となり、入力部材と出力部材との間でトルクが伝達される。瞬間的なトルク伝達率は、作動室40内にある剪断流体の量に応じて変動する。通常、剪断流体は、流体供給経路に沿って、リザーバ38から作動室40に送給され、戻し経路に沿って作動室40からリザーバ38に戻される。これら流体供給経路及び戻し経路の厳密な位置及び形状が、個々の用途での必要に応じ、それぞれ変わる可能性があることは、当業者が認識しうるものである。作動室40、またはその近傍に、1つ以上の適切な送給機構を設け、戻し経路を介し、作動室40から積極的に剪断流体を排出させるようにすることも可能である。
【0021】
バルブアセンブリ30は、ハウジングアセンブリ28に取り付けて保持することが可能である。全般的に、バルブアセンブリ30は、リザーバ38の流出孔46-1を選択的に開閉する能動的バルブアセンブリである。流出孔46-1が露出している(即ち、開いている)場合、剪断流体は、流体供給経路に沿って、リザーバ38から作動室40に流動可能となる。バルブアセンブリ30は、既定状態として、例えばバネ付勢力により、開状態となるように付勢することができる。電磁コイルアセンブリ32を励磁することにより、少なくとも部分的に流出孔46-1を覆う状態に、バルブアセンブリ30を駆動することができる。好適なバルブアセンブリの構成及び作動についての更なる説明は、通常に譲渡された国際特許出願の国際公開第2014/047430号に記載されている。なお、これに代わる多くの様々な形式のバルブアセンブリも使用可能である。例えば、通常に譲渡された国際特許出願の国際公開第2012/024497号に記載されるようなバルブアセンブリを使用することが可能である。これ以外にも、揺動式、回転式、平行移動式、またはそれ以外の可動バルブ素子を含む、多くの形式のバルブアセンブリを採用することが可能である。
【0022】
図1に示すように、電磁コイルアセンブリ32には、バルブアセンブリ30の駆動のための磁束を案内するために用いる容器(例えば、鋼製容器)の中に配設された、耐熱性絶縁銅線からなる1つ以上のコイルを設けることができる。電磁コイルアセンブリ32は、ジャーナルブラケット22に対して相対回転不能に固定され、ハウジングアセンブリ28及びバルブアセンブリ30の近傍に配置することが可能である。本実施形態では、電磁コイルアセンブリ32がジャーナルブラケット22の軸部22-1を取り囲み、当該軸部22-1に支持されている。本実施形態において、電磁コイルアセンブリ32は、全体的としてハウジングアセンブリ28及びプーリ24の後方に配置されるが、これに代わる実施形態として、これ以外の位置に電磁コイルアセンブリ32を配置することも可能である。
【0023】
粘性式クラッチ20を作動させる上で、様々な制御方法が可能である。一実施形態において、電磁コイルアセンブリ32が選択的に励磁されると、バルブアセンブリ30が、完全に開いた状態(既定状態)と完全に閉じた状態とのいずれかに保持されるように、大まかなオン・オフ方法で電磁コイルアセンブリ32を励磁することが可能である。バルブアセンブリ30は、既定状態として完全に開いた状態となるように付勢されているので、粘性式クラッチ20がアイドル状態にあって、コイルアセンブリ32に電力が供給されないときには、バルブアセンブリ30が開状態となる。別の実施形態として、エンジン電子制御装置(図示せず)からのパルス幅変調(PWM)信号を用い、コイルアセンブリ32の励磁を行うことも可能である。PWM信号を用いることにより、リザーバ38から流出する剪断流体の平均流量を動的に変更可能となる。PWM信号のパルス幅(即ち、パルス継続時間)及び周波数に応じ、バルブアセンブリ30は、時間の経過と共にリザーバ38から流出孔46-1を通って作動室40に流出しうる剪断流体の量を調整することが可能である。即ち、PWM信号により、コイルアセンブリ32にバルブアセンブリ30を開閉させ、このとき、バルブアセンブリ30が開状態となる(即ち、流出孔46-1を露出させる)時間の平均値により、リザーバ38から流出する剪断流体の平均流量が定まる。PWM信号のパルス幅及び周波数の少なくとも一方が増大するほど、バルブアセンブリ30が閉状態となる傾向が高まり、作動室40に流動する剪断流体の量が低下する。このようなPWM信号の制御により、単なる大まかなオン・オフ方式ではなく、ロータアセンブリ26が、ハウジングアセンブリ28の回転速度の0%から概ね100%までのいずれか任意の回転速度で回転するように、必要に応じて変更可能な回転速度で粘性式クラッチ20を作動させることが可能となる。
【0024】
上述した制御方法のいずれにおいても、バルブアセンブリ30は、既定状態として開状態となるように付勢されている。一般に、このような既定状態のバルブ設定は、電磁コイルアセンブリ32に電力が供給されなくなるといった、バルブアセンブリ30または電磁コイルアセンブリ32の故障の際に、既定状態として粘性式クラッチ20が接続された状態となる「故障時オン」設定を考慮したものである。バルブアセンブリ30の「故障時オン」設定は、車両故障またはクラッチ故障の際の接続を可能とするものではあるが、バルブアセンブリ30の既定状態を開状態とすることは、粘性式クラッチ20がアイドル状態にあるときに、剪断流体が移動し、即ち戻ってしまい、アイドル期間の後に初めて粘性式クラッチ20にトルク入力があるエンジンまたは車両の始動時に、不必要なクラッチ接続を招く、いわゆる「モーニングシックネス現象」を引き起こすという望ましくない問題を有するものである。
【0025】
モーニングシックネスバルブシステム44は、粘性式クラッチ20が静止状態にあるときに、リザーバカバー46の流出孔46-1を覆って、当該流出孔46-1を介したリザーバ38からの剪断流体の移動を抑制または防止することが可能な受動的バルブアセンブリである。図1の実施形態に示すように、モーニングシックネスバルブシステム44は、リザーバカバー46の後方側の面に配置される一方、バルブアセンブリ30のバルブアームまたはバルブ素子が、リザーバカバー46の前方側の面に配置され、モーニングシックネスバルブシステム44とバルブアセンブリ30とが、流出孔46-1を挟んで互いに反対側となるリザーバカバー46の面に配置されている。このように、モーニングシックネスバルブシステム44は、バルブアセンブリ30から離間した位置で、バルブアセンブリ30とは別個に作動することが可能となっている。即ち、モーニングシックネスバルブシステム44は、バルブアセンブリ30と干渉することがなく、バルブアセンブリ30の動きや機能を規制することもない。なお、これに代わる実施形態として、モーニングシックネスバルブシステム44及びバルブアセンブリ30の前後の配置を入れ替えることが可能であり、或いは、ロータアセンブリ26のような別の場所にモーニングシックネスバルブシステム44を配置することも可能である(即ち、リザーバがロータアセンブリに形成または保持されている粘性式クラッチの場合)。
【0026】
より具体的には、モーニングシックネスバルブシステム44は、機械作動式の回動バルブとすることが可能であり、この場合、モーニングシックネスバルブシステム44は、粘性式クラッチ20が作動中に発生する遠心力の大きさに応じて、当該遠心力により駆動され、選定された基準回転速度を下回る回転速度の場合には、流出孔46-1を介したリザーバ38から作動室40への剪断流体の流動を抑制または完全に遮断する一方、この基準回転速度を上回る回転速度の場合には、流出孔46-1を介した剪断流体の流動を許容する。モーニングシックネスバルブシステム44は、能動的な(例えば、電磁的に駆動される)バルブアセンブリ30とは別に、受動的な機械的制御が行われる。このようにして、モーニングシックネスバルブシステム44は、能動的なバルブアセンブリ30が、流出孔46-1を介した剪断流体の流動を許容する状態となる特定の条件において、流出孔46-1を介した剪断流体の流動を阻止するため、バルブアセンブリ30に優先し、独立して機能することが可能である。モーニングシックネスバルブシステム44を、バルブアセンブリ30から離間して配置し、バルブアセンブリ30とは別個に作動させることにより、直接的な相互作用及び機械的干渉を効果的に回避し、操作の簡素化が可能となると共に、モーニングシックネスバルブシステム44及びバルブアセンブリ30の一方の故障が、他方の作動に影響を及ぼすのを回避することも可能となる。相互に作用し合い、互いに接するようなバルブの場合、一方のバルブが他方のバルブを不必要にロックして、粘性式クラッチが本来の状態に戻れなくなる(または限られた状況の場合だけしか戻ることができない)ような特定の状態になるなど、一方のバルブが他方のバルブの作動を制限する可能性がある。従って、独立したバルブ作動には、数多くの利点がある。
【0027】
図2A図2Cは、一実施形態に係るモーニングシックネスバルブシステム44を、更に詳細に示している。図2Aは、閉状態にあるモーニングシックネスバルブシステム44を示す正面図である。図2Bは、開状態にあるモーニングシックネスバルブシステム44を示す正面図である。図2Cは、図2A(閉状態)におけるC-C線に沿う断面により、モーニングシックネスバルブシステム44を示す斜視断面図である。なお、図2Bには、完全に開いた状態のモーニングシックネスバルブシステム44が示されているが、モーニングシックネスバルブシステム44の「開状態」には、様々な実施形態において、完全に開いた状態と、部分的に開いた状態とを含みうる。
【0028】
図1、及び図2A図2Cに示す実施形態において、モーニングシックネスバルブシステム44は、バルブ素子44-1、カウンタウエイト部44-2、ピボット44-3、付勢部材44-4、及び当接部材44-5を備える。全体として、モーニングシックネスバルブシステム44は、粘性式クラッチ20のリザーバ38またはリザーバ38に対応する位置に固定することができる。後に詳述するように、モーニングシックネスバルブシステム44は、遠心力によって駆動されるので、リザーバ38を保持する粘性式クラッチ20の入力部材に配置される必要がある。図1に示して上述した粘性式クラッチ20は、ハウジングアセンブリ28内にリザーバ38が設けられており、ハウジングアセンブリ28が粘性式クラッチ20の入力部材となっている。但し、これに代わる実施形態として、入力部材であるロータアセンブリに保持されたリザーバまたは当該リザーバに対応する位置にモーニングシックネスバルブシステム44を取り付けることも可能である。
【0029】
バルブ素子44-1は、流出孔46-1を覆って、当該流出孔46-1を通過する剪断流体の流動を制限または阻止するのに適合する弁体である。カウンタウエイト部44-2は、ピボット44-3に対し、バルブ素子44-1とは反対の側に配置されており、換言すれば、ピボット44-3が、バルブ素子44-1とカウンタウエイト部44-2との間に位置している。図示するように、バルブ素子44-1は、カウンタウエイト部44-2の延設方向に対して約45°となる方向に、内方に(或いは、当接部材44-5及びリザーバカバー46の外縁部から離間するように)湾曲している。このようなバルブ素子44-1の角度は、遠心荷重がかかったときにバルブ素子44-1が開きにくくなる可能性を減らして、遠心荷重がかかったときのモーニングシックネスバルブシステム44の作動を適切なものとする上で有用である。なお、バルブ素子44-1及びカウンタウエイト部44-2は、別の実施形態として、上記とは異なる向きに配置することも可能であるが、バルブ素子44-1の上記角度は、0°以上90°未満とするのが好ましい。カウンタウエイト部44-2及びバルブ素子44-1は、互いに結合されて、ピボット44-3周りに一緒に回動するようになっている。本実施形態において、カウンタウエイト部44-2及びバルブ素子44-1は、ピボット44-3によってリザーバカバー46に取り付けられた、全体として平坦かつ縦長の部材の一部として一体的に単体で形成されており、ピボット44-3は、柱、軸、またはそれ以外の適切な構造体とすることができる。
【0030】
ピボット44-3は、粘性式クラッチ20の回転中心軸線Aに概ね直角に配置することができる。これにより、バルブ素子44-1及びカウンタウエイト部44-2は、回転中心軸線Aに概ね直角な平面において、ピボット44-3周りに回動するが、これに代わる実施形態として、ピボット44-3は、必ずしも厳密に回転中心軸線Aに直角でなくてもよい。ピボット44-3は、バルブ素子44-1(及びカウンタウエイト部44-2)の比較的抵抗の少ない回動を可能とするものである。
【0031】
カウンタウエイト部44-2は、概ね長方形の形状の縦長の部材とすることができる。全般に、カウンタウエイト部44-2は、バルブ素子44-1とは反対側に位置する重りとなり、粘性式クラッチ20が使用状態にあってリザーバカバー46がハウジングアセンブリ28と共に回転するときに生じる遠心荷重を受けて、モーニングシックネスバルブシステム44を動かす。カウンタウエイト部44-2の質量を適正に調整するため、必要に応じて孔を設けることができる。また、図3の実施形態に示すように、追加のカウンタウエイト44-2’を、カウンタウエイト部44-2に取り付けて、質量を増大させることも可能である。カウンタウエイト部44-2の質量増大は、モーニングシックネスバルブシステム44の開状態への移行を、より一層迅速かつ確実なものとする上で有効である。
【0032】
再び図2A図2Cの実施形態に戻ると、カウンタウエイト部44-2の外側縁部44-6は湾曲しており、当接部材44-5の形状及びリザーバカバー46の外縁部形状の少なくとも一方に沿った相補的な形状を有している。このような外側縁部44-6の形状により、干渉が生じる可能性を低減すると共に、バルブ素子44-1の回動範囲を増大させることができる。図2Bに示すような開状態にある場合、外側縁部44-6は、当接部材44-5に当接することが可能であり、当接部材44-5がストッパとして機能するが、このような外側縁部44-6と当接部材44-5との当接は、絶対に必要というわけではない。更なる実施形態として、外側縁部44-6は、当接部材44-5の対応する箇所の形状に相補的となる別の形状を有していてもよい。また、これに代えて、外側縁部44-6は、直線的な形状、或いはそれ以外で当接部材44-5の形状とは異なり相補的ではない形状であってもよい。
【0033】
付勢部材44-4は、適切なスプリングとすることが可能である。図2A図2Cにおいて、付勢部材44-4は、一端がカウンタウエイト部44-2に取り付けられており、他端が、カウンタウエイト部44-2よりも径方向内方となる位置でリザーバカバー46に取り付けられていて、緊張状態で作用している。通常、付勢部材44-4は、流出孔46-1を覆う閉位置(図2Aに示すような状態)となるようにバルブ素子44-1を付勢する。従って、更なる実施形態として、付勢部材44-4は、バルブ素子44-1に取り付けられると共に、バルブ素子44-1よりも径方向外方においてリザーバカバー46に取り付けられるというような、別の構成となっていてもよい。
【0034】
粘性式クラッチ20の作動中、カウンタウエイト部44-2に作用する遠心力は、付勢部材44-4の付勢力に対抗し、バルブ素子44-1を回動させて、モーニングシックネスバルブシステム44を既定状態の閉状態から開状態へと移行させる。このようにして、粘性式クラッチ20にトルク入力があると、遠心力により、付勢部材44-4の付勢力に抗してピボット44-3周りにバルブ素子44-1を回動させ、回転速度が基準入力回転速度に達すると、流出孔46-1を露出させる開位置(離脱位置)にバルブ素子44-1が移動する。バルブ素子44-1が離脱位置に移動する具体的な基準入力回転速度は、付勢部材44-4のバネ定数、カウンタウエイト部44-2(及びそれ以外のモーニングシックネスバルブシステム44の部位)の釣り合い特性、及びピボット44-3から付勢部材44-4の取付位置までの距離に応じて変化しうる。前述したように、必要に応じ、追加のカウンタウエイト44-2’をモーニングシックネスバルブシステム44に取り付けることが可能であり、これにより、個々の用途ごとに必要とされる基準入力回転速度の調整が容易となる。
【0035】
当接部材44-5は、リザーバカバー46から突設された隆起部またはリブとすることが可能であり、流出孔46-1及びピボット44-3の双方に対し固定した位置関係で、リザーバカバー46に直に(即ち、相対回転不能に)取り付けられ、例えば、リザーバカバー46と一体化して単体として形成することが可能である。本実施形態において、当接部材44-5は、リザーバカバー46の全周に延在する隆起部であって、流出孔46-1の近傍に位置すると共に、リザーバカバー46の外縁部またはその近傍に設けられる。作動時には、当接部材44-5が、バルブ素子44-1の回動を規制するストッパとして機能し、バルブ素子44-1が、確実に流出孔46-1と位置をそろえ、流出孔46-1を覆うようになっている。当接部材44-5は、リザーバカバー46と一緒に回転するが、バルブ素子44-1のように遠心荷重によって移動することはない。
【0036】
効果的な密閉を助長するため、バルブ素子44-1には、カム部44-1Cを設けることが可能であり、当接部材44-5にも、カム部44-5Cを設けることが可能である。図2Cに最も分かり易く示されているように、これらカム部44-1C及びカム部44-5Cは、それぞれ傾斜面または傾斜溝となっている。より具体的には、図2Cにおいて、カム部44-1Cは、リザーバカバー46から離間する方向に向くバルブ素子44-1の外縁部の素材を除去することによって傾斜面が形成され(即ち、リザーバカバー46から離間する方向に向く面において、バルブ素子44-1の外縁部が、内側に向けて削り取られることにより、くさび状に成形される)、カム部44-5Cは、リザーバカバー46の方に向けて開口するように当接部材44-5に形成され、カム部44-1Cに対向してカム部44-1Cの傾斜面と相補形状を有するV字状の切れ込みまたは溝とすることができる。断面で見た場合に、カム部44-1C及びカム部44-5Cのそれぞれの係合面は、(互いに当接したとき)互いに平行となるように配置することが可能であり、また、これに代えて平行ではない配置とすることも可能である。カム部44-1Cは、モーニングシックネスバルブシステム44が閉状態にあるときに、流出孔46-1を覆っているバルブ素子44-1の部位のすぐ近くに配置することができる。また、カム部44-1Cは、バルブ素子44-1の残りの部分から突設することが可能である(例えば、図2B及び図2Cに示すように、外方に向けて突設する)。カム部44-5Cは、流出孔46-1の近傍に局所的に形成することが可能であり、或いは、当接部材44-5の全周にわたって形成された連続的な溝とすることも可能である。カム部44-1Cとカム部44-5Cとは、モーニングシックネスバルブシステム44が閉状態にあるときに、(付勢部材44-4による付勢力によって)互いに当接することで、カム作用またはくさび効果を生起して、リザーバカバー46(または、流出孔46-1を取り囲む面)に対しバルブ素子44-1を圧接し(即ち、押し付け)、両者の間の密閉性を強化して、剪断流体の漏洩抑制を助長することができる。これにより、カム部44-1C及びカム部44-5Cは、密閉効果を増大させ、「モーニングシックネス現象」を引き起こす可能性のある剪断流体の不必要な漏洩を更に抑制することが可能となる。また、カム部44-1C及びカム部44-5Cは、バルブ素子44-1の移動範囲(即ち、行程)の限られた部分でのみ作用するので、バルブ素子44-1が流出孔46-1を覆う動きをする際、バルブ素子44-1の行程の多くの部分にわたって比較的抵抗の少ないバルブ素子44-1の動きを可能とする一方、行程の終了時には、(バルブ素子44-1とリザーバカバー46との間の抵抗は増大するものの)比較的高い密閉性を得ることが可能となる。
【0037】
リザーバカバー46に形成された流出孔46-1に関連し、モーニングシックネスバルブシステム44の説明を行ったが、更なる実施形態として、モーニングシックネスバルブシステム44は、流出孔46-1が設けられたリザーバ38の任意の境界構造体に近接して設けることが可能である。また、モーニングシックネスバルブシステム44は、組み合わされる孔または開口を通過する流体の流動方向に左右されるものではなく、また、リザーバ38に設けられた流入孔、またはそれ以外の開口または孔にも適用することが可能である。
【0038】
モーニングシックネスバルブシステム44に加え、粘性式クラッチ20には、必要に応じ、戻し通路26-1Bにチェックバルブ(図示せず)を設けることも可能である。図1に示す戻し通路26-1Bの構成は、戻し通路26-1Bの出口が回転中心軸線Aに近いことから、不必要な剪断流体の戻りが生じるおそれはあまりないものの、これに代わる実施形態として、ハウジングアセンブリ28を通る戻し通路を有した粘性式クラッチ20では、チェックバルブを用いることによる効果が得られる可能性があり、この場合のチェックバルブは、公知の構成である圧力作動式または遠心作動式チェックバルブとすることができる。チェックバルブ及びモーニングシックネスバルブシステム44は、粘性式クラッチ20がアイドル状態にあるとき、共に、リザーバ38に対して流入及び流出する流体経路の全てを遮断し、これにより、バルブアセンブリ30を用いて粘性式クラッチ20の適切に制御された電磁駆動を可能としつつ、「モーニングシックネス現象」の問題を抑制または排除することが可能となる。
【0039】
図4Aは、本発明のもう1つの実施形態に係るモーニングシックネスバルブシステム144を示す斜視図であり、図4Bは、図4AにおけるB-B線に沿う、モーニングシックネスバルブシステム144の断面図である。モーニングシックネスバルブシステム144は、バルブ素子144-1、カウンタウエイト部144-2及びカウンタウエイト144-2’、ピボット144-3、付勢部材144-4、並びに当接部材144-5を備えている。モーニングシックネスバルブシステム144は、モーニングシックネスバルブシステム44と概ね同様に作動する。但し、モーニングシックネスバルブシステム144は、いくつかの点で相違している。
【0040】
第1に、モーニングシックネスバルブシステム144は、トーションスプリングとして構成された付勢部材144-4を採用しており、この付勢部材144-4は、バルブ素子144-1(または、これに代えてカウンタウエイト部144-2)及びリザーバカバー46にそれぞれ設けられた柱またはそれ以外の適切な構造体に係止可能となっている。付勢部材144-4のコイル部分は、ピボット144-3の周りに巻くことが可能であり、或いはこれに代えて、別の構造体の周囲に巻くことも可能である。
【0041】
第2に、当接部材144-5は、カム部144-5Cを備える一方、バルブ素子144-1はカム部を備えていない。即ち、バルブ素子144-1は、カム部144-5Cに対向して当接可能な概ね矩形状の縁部を有した概ね平坦なプレートとして構成され、カム部144-5Cは、傾斜面を有してリザーバカバー46の方に向けて開口するV字状の溝となっている。更なる実施形態として、バルブ素子144-1のみにカム部を設け、当接部材144-5には、単純な矩形状の切れ込みを設けるようにしてもよい。
【0042】
図5は、本発明の更にもう1つの実施形態に係るモーニングシックネスバルブシステム244の一部を示す断面図である。図5に示す実施形態において、バルブ素子244-1はカム部244-1Cを有し、当接部材244-5はカム部244-5Cを有する。カム部244-1C及びカム部244-5Cは、互いに対向して凸状に湾曲する面として形成されている。
【0043】
更なる実施形態として、別の形状を有したカム部を採用することも可能であり、上述した様々な実施形態におけるカム部の形状は、個々の実施形態ごとに必要に応じ、凸曲面のカム部を斜面または溝のカム部と組み合わせたり、凸曲面のカム部をカム部のない部材と組み合わせたりするなど、種々組み合わせて用いることが可能である。また、例えば、個々の実施形態ごとに必要に応じ、任意の適切なフェースカム構造を適用することも可能である。更に、バルブ素子と当接部材とは互いに相補的な形状を有していてもよいし、異なる形状であってもよい。
【0044】
[可能性のある実施形態の検討]
以下は、本発明の可能性のある態様についての、非排他的な記載である。
【0045】
孔が設けられたリザーバを有する粘性式クラッチにおけるモーニングシックネス現象を抑制するためのバルブシステムであって、当該バルブシステムは、バルブ素子と、カウンタウエイト部と、前記バルブ素子と前記カウンタウエイト部との間に配置されたピボットであって、前記バルブ素子と前記カウンタウエイト部とが、開位置と閉位置との間で、前記ピボット周りに一緒に動くように構成されるピボットと、既定状態として、前記閉位置にて前記孔を覆うように前記バルブ素子を付勢する付勢部材とを備え、前記カウンタウエイト部は、遠心荷重が加わったときに、前記付勢部材に抗して前記バルブ素子に作用し、前記バルブ素子が前記開位置にて前記孔を少なくとも部分的に開放状態とするように構成される。
【0046】
直前の段落に述べたバルブシステムは、以下に示す特徴、構成、及び付加的部材のうちの少なくともいずれか1つを、付加または置き換えにより選択的に備えることが可能であり、
前記バルブ素子は、カム部を更に備え、
前記カム部は、傾斜面、傾斜溝、及び凸曲面からなる群から選択された構成を有することが可能であり、
前記閉位置にあるときに前記バルブ素子が当接するように構成された当接部材を更に備え、
前記当接部材は、前記孔及び前記ピボットの少なくとも一方との関係において固定された位置とすることが可能であり、
前記バルブ素子は、前記閉位置にて前記当接部材に当接するカム部を更に備え、
前記当接部材は、前記バルブ素子の前記カム部に対向して配置された付加的カム部を更に備えることが可能であり、
前記バルブ素子の前記カム部と、前記当接部材の前記付加的カム部とは、互いに相補的となる形状を有することが可能であり、
前記バルブ素子の前記カム部と、前記当接部材の前記付加的カム部とは、前記バルブ素子が前記閉位置にあるときの断面で見たときに実質的に互いに平行となる対向面を有することが可能であり、
前記バルブ素子の前記カム部と、前記当接部材の前記付加的カム部とは、互いに異なる形状を有することが可能であり、
前記当接部材は、カム部を更に備えることが可能であり、或いは、
前記バルブ素子と前記当接部材とは、前記閉位置において互いに当接しているときに、フェースカム構造を形成する。
【0047】
入力部材と、出力部材と、孔が設けられたリザーバとを有する粘性式クラッチにおけるモーニングシックネス現象を抑制する方法であって、当該方法は、前記入力部材に保持されたバルブ素子を、既定状態として前記リザーバの前記孔を覆うように付勢するステップと、遠心荷重に応じ、少なくとも部分的に前記孔を開放状態とするように前記バルブ素子を回動させるステップとを備える。
【0048】
直前の段落に述べた方法は、以下に示すステップ、特徴、構成、及び付加的部材のうちの少なくともいずれか1つを、付加または置き換えにより選択的に備えることが可能であり、
カム部を当接させることにより、前記孔の周囲の面に対し、前記バルブ素子を押し付けて密閉を助長するステップを更に備え、
前記カム部は、前記バルブ素子が前記閉位置に達する際の前記バルブ素子の行程の一部でのみ当接することが可能であり、或いは、
能動的バルブアセンブリを選択的に駆動して前記孔を覆うステップを更に備え、前記能動的バルブアセンブリは、前記孔の第1端部を覆うように配置され、前記バルブ素子は、前記孔の前記第1端部とは反対側の第2端部を覆うように配置される。
【0049】
粘性式クラッチのための組立体は、流体の流動を許容する孔を備え、前記孔が第1端部と当該第1端部とは反対側の第2端部とを有するリザーバ境界壁と、前記第1端部において前記孔を選択的に開閉することで前記孔を通過する流体を調整するように制御可能であって、既定状態として前記孔を開放する位置に付勢される能動的バルブアセンブリと、前記第2端部において前記孔を開閉することでアイドル状態における流体の流動を抑制するように動くことが可能であって、前記能動的バルブアセンブリとは独立して作動可能なモーニングシックネスバルブシステムとを備える。前記モーニングシックネスバルブシステムは、バルブ素子と、カウンタウエイト部と、前記バルブ素子と前記カウンタウエイト部との間に配置されたピボットであって、前記バルブ素子と前記カウンタウエイト部とが、開位置と閉位置との間で、前記ピボット周りに一緒に動くように構成されるピボットと、既定状態として、前記閉位置にて前記孔を覆うようにバルブ素子を付勢する付勢部材とを備え、前記カウンタウエイト部は、遠心荷重が加わったときに、前記付勢部材に抗して前記バルブ素子に作用し、前記バルブ素子が前記開位置にて前記孔を少なくとも部分的に開放状態とするように構成される。
【0050】
直前の段落に述べた組立体は、以下に示す特徴、構成、及び付加的部材のうちの少なくともいずれか1つを、付加または置き換えにより選択的に備えることが可能であり、
前記ピボットとの関係において固定された位置で、前記孔の近傍に配置された当接部材を更に備え、前記モーニングシックネスバルブシステムの前記バルブ素子は、前記閉位置にあるときに前記当接部材に当接するように構成され、
前記当接部材は湾曲形状を有することが可能であり、前記カウンタウエイト部は、前記当接部材の前記湾曲形状に対して相補的な湾曲形状の外縁部を有することが可能であり、
前記バルブ素子及び前記当接部材の少なくとも一方は、前記バルブ素子が前記閉位置にあるときに、前記バルブ素子を前記リザーバ境界壁に押し付けるように構成されたカム部を更に備えることが可能であり、或いは、
前記カム部は、傾斜面、傾斜溝、及び凸曲面からなる群から選択された構成を有することが可能である。
【0051】
[総括]
ここで使用する「実質的」、「本質的」、「概ね」、「約」等の相対的な語句または程度の語句は、ここで明確に述べられた適用可能な定義または制限に従うと共に、当該定義または制限を条件として解釈すべきである。全ての例示において、ここで使用する相対的な語句または程度の語句は、関連して開示する実施形態を広く包含すると共に、ここに開示するもの全てを考慮して当業者が理解しうるような、通常の製造誤差範囲、偶発的な位置ずれ、または、温度、回転もしくは振動に関わる作動条件等に起因した一時的な位置もしくは形状の変化等の範囲及び変更を含むものであると解釈すべきである。更に、ここで使用する相対的な語句または程度の語句は、指定される品質、特性、パラメータまたは値が明らかに含まれる範囲を、特定の開示または記載において適正な相対的語句または程度の語句を用いないかのごとく、変更することなしに、包含するものと解釈すべきである。
【0052】
好ましい実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態を詳細にわたって変更できることは、当業者が認識しうるものである。例えば、いずれか特定の実施形態の特徴は、全般的に、具体的な用途に関して必要に応じ、別のいずれかの実施形態と共に、または独立して使用することが可能である。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4A
図4B
図5