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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-28
(45)【発行日】2022-02-07
(54)【発明の名称】空調装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 1/00 20060101AFI20220131BHJP
   F24F 13/22 20060101ALI20220131BHJP
   F25B 39/04 20060101ALI20220131BHJP
【FI】
F25B1/00 381A
F24F1/0007 361C
F24F13/22 222
F25B39/04 Y
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2018551949
(86)(22)【出願日】2017-03-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-05-23
(86)【国際出願番号】 AU2017050279
(87)【国際公開番号】W WO2017165924
(87)【国際公開日】2017-10-05
【審査請求日】2020-03-27
(31)【優先権主張番号】2016901211
(32)【優先日】2016-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】518344276
【氏名又は名称】エイチブイピーエス・ホールディングス(ピーティーワイ)リミテッド
【住所又は居所原語表記】Level 1,88 Collins St,Melbourne,Victoria 3000,Australia
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴァキロロアヤ、ヴァヒド
【審査官】笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04067205(US,A)
【文献】特開2012-101167(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0362230(US,A1)
【文献】特開2013-155949(JP,A)
【文献】国際公開第2015/164919(WO,A1)
【文献】特許第4526442(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/00
F25B 39/04
F24F 1/0007
F24F 13/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
凝縮器と、膨張装置と、蒸発器と、冷媒が充填された冷凍回路に接続された圧縮機とを含む空調システムと共に使用される熱交換装置であって、
凝縮液として前記蒸発器に凝縮した凝縮液を回収する回収装置と、
前記凝縮器に流れる空気流から前記蒸発器から受け取った凝縮液への熱伝達を容易にするように構成された第1の熱交換器と、
前記第1の熱交換器に対応する容器内に配置され、かつ前記第1の熱交換器の上部に配置され、前記蒸発器から受け取った凝縮液への冷媒からの熱伝達を容易にするように構成された第2の熱交換器と、
を有することを特徴とする熱交換装置。
【請求項2】
前記回収装置、前記第1の熱交換器、および冷却剤出口は、冷却剤流路を介して流体連通状態で接続され、
前記冷却剤出口は、前記冷却剤流路内の前記第1の熱交換器の下流に配置され、使用時において、前記第1の熱交換器から熱を受け取った廃冷却剤を排出することを特徴とする請求項1に記載の熱交換装置。
【請求項3】
前記冷却剤流路は、前記第1の熱交換器の入口下流から前記第1の熱交換器の出口上流まで延びる再循環ループを含み、
使用時において、前記第1の熱交換器に供給される凝縮液の一部は、前記再循環ループを通って供給される再循環凝縮液であることを特徴とする請求項2に記載の熱交換装置。
【請求項4】
前記第1の熱交換器に供給される再循環凝縮液の一部は、前記第1の熱交換器に供給される凝縮液の全容積流量の10%未満であることを特徴とする請求項3に記載の熱交換装置。
【請求項5】
前記再循環凝縮液の一部は、前記第1の熱交換器に供給される凝縮液の全容積流量の5%未満であることを特徴とする請求項4に記載の熱交換装置。
【請求項6】
前記冷却剤流路は開ループ構成を含み、前記凝縮液の液流の一部は前記第1の熱交換器を通って再循環されないことを特徴とする請求項2に記載の熱交換装置。
【請求項7】
前記冷却剤流路は、前記回収装置によって集められた実質的に全ての凝縮液を前記第1の熱交換器に送るように構成されることを特徴とする請求項2乃至6のいずれか1項に記載の熱交換装置。
【請求項8】
前記冷却剤流路は、前記回収装置と前記第1の熱交換器との間の凝縮液の温度上昇を最小にするように構成されることを特徴とする請求項2乃至7のいずれか1項に記載の熱交換装置。
【請求項9】
前記冷却剤流路は、前記第1の熱交換器が前記回収装置の直ぐ下流にあるように構成されることを特徴とする請求項2乃至8のいずれか1項に記載の熱交換装置。
【請求項10】
前記熱交換装置は、前記第1の熱交換器から前記第2の熱交換器への流体の流れを導くように構成されることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の熱交換装置。
【請求項11】
前記第2の熱交換器は、前記第1の熱交換器の下流で、かつ前記冷却剤出口の上流において前記冷却剤流路に接続されていることを特徴とする請求項10に記載の熱交換装置。
【請求項12】
前記第1の熱交換器は、下部冷却剤タンクと上部冷却剤タンクを有する一対の冷却剤タンクの間に延在する複数の冷却剤流路を含み、
前記第2の熱交換器は、前記上部冷却剤タンク内に配置され、
前記熱交換装置は、前記蒸発器から集められた凝縮液を前記下部冷却剤タンクに送るための導管をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の熱交換装置。
【請求項13】
前記第1の熱交換器が複数の細長いパイプを有することを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の熱交換装置。
【請求項14】
前記第1の熱交換器は、使用時に、前記凝縮器の空気流入口の上に重なるように構成される冷却面を画定することを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の熱交換装置。
【請求項15】
前記第1の熱交換器は、使用時に、前記空気流入口を横切る液状冷却剤の流れを容易にするように構成されることを特徴とする請求項14に記載の熱交換装置。
【請求項16】
既存の空調システムに前記熱交換装置を後付けするように構成されたキットを有することを特徴とする請求項1乃至15のいずれか1項に記載の熱交換装置。
【請求項17】
前記キットは、既存の空調システムの凝縮器の空気取入口への前記第1の熱交換器の接続を容易にするように構成されていることを特徴とする請求項16に記載の熱交換装置。
【請求項18】
請求項1乃至17のいずれか1項に記載の熱交換装置を含む空調システム。
【請求項19】
冷媒で満たされた冷凍回路に接続された凝縮器、膨張装置、蒸発器および圧縮機を含む空調システムの効率を改善する方法であって、
a.前記蒸発器からの冷却した凝縮液を捕集装置に集め、
b.前記凝縮液を第1の熱交換器に導き、該凝縮液を使用して前記凝縮器を冷却する空気流を冷却し、
c.前記凝縮液を第2の熱交換器に導き、前記凝縮液を用いて前記冷凍回路内の冷媒を冷却し、前記第2の熱交換器に導かれた前記凝縮液は前記第1の熱交換器を最初に通過し、前記第2の熱交換器は、前記第1の熱交換器に対応する容器内に配置され、かつ前記第1の熱交換器の上部に配置されていることを特徴とする空調システムの効率を改善する方法。
【請求項20】
既存の空調システムに関連付けられた対応する凝縮器の空気流入口に前記第1の熱交換器を取り付ける工程を含むことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記第1および第2の熱交換器の両方から熱を受取った後に凝縮液を前記廃液出口に案内する工程を含むことを特徴とする請求項19または20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
凝縮液の流れの一部は、前記廃液出口へ導かれる前に、前記第1または第2の熱交換器を通って再循環されることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
再循環凝縮液の一部は、前記第1の熱交換器を通る凝縮液容積流量の10%未満であることを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記再循環凝縮液の一部は、前記第1の熱交換器を通る凝縮液容積流量の5%未満であることを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項25】
凝縮器と、膨張装置と、蒸発器と、圧縮機とを有する改善された空調システムであって、
前記凝縮器、前記膨張装置、前記蒸発器および前記圧縮機は、冷媒で満たされた冷凍回路内において流体連通状態に接続され、
前記空調システムは、熱交換装置を含み、
前記熱交換装置は、前記蒸発器から受け取った凝縮液に対して前記凝縮器に向かって流れる空気流からの熱伝達を容易にするように構成された第1の熱交換器と、
前記第1の熱交換器に対応する容器内に配置され、かつ前記第1の熱交換器の上部に配置され、前記蒸発器から受け取った凝縮液への冷媒からの熱伝達を容易にするように構成された第2の熱交換器と、
をさらに含むことを特徴とする空調システム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願のためのクロスリファレンス】
【0001】
本出願は、2016年4月1日に出願されたオーストラリア仮特許出願第2016901211号の優先権を主張し、その全体の開示は、本明細書中に参考として援用されるべきである。
【技術分野】
【0002】
本発明は、冷却、加熱、冷凍、空調に関し、特に改良された空調システムに関する。本発明は、主に、空調システムおよび/または冷凍システムで使用するために開発されたものであり、本願を参照して以下に説明する。しかしながら、本発明はこの特定の使用分野のみに限定されるものではないことが認められる。
【背景技術】
【0003】
本発明の背景についての以下の議論は、本発明の理解を容易にすることを意図している。しかしながら、この議論は、言及された資料のいずれかが公表された、または出願の優先日における一般的な知識の一部であるという承認または受容ではないことを理解されたい。
【0004】
空調システムは、夏の電力需要のピークに大きく関与する。貴重な化石燃料資源の削減につながる一方で、オゾン層を枯渇させる温室効果ガスの排出という非常に大きな問題に関係しており、それは悲惨な健康上の結果につながっている。地球温暖化の問題は、世界中の平均気温を上昇させる従来の暖房、換気、空調(HVAC)システムに起因するもう1つの重要な問題である。HVACシステムは、通常、建物の総電力消費の約40%を占める。冷房需要が最も高い場合、高い周囲温度で空調ユニットが最も効率的ではない。これは、公害の増加、待機世代能力への過度の投資、およびピークに達する資産の不十分な利用につながる。よって、エネルギー消費量の全体的な達成可能な減少および建物内の人間の快適さの向上は、HVACシステムの性能に依存する。上記を考慮して、空調システムの効率を高める試みが続けられている。
【0005】
空調サイクルには数多くの熱力学的および機械的操作が含まれており、その多くは以前のプロセス効率の改善のための努力が主題とされていた。これまでになされてきた努力は、例えば、提供され改良された化学的冷媒に向けられてきた。これまでのその他の努力は、空調用冷媒の4つの移行段階(圧縮、凝縮、膨張、蒸発)の1つで効率を改善することに焦点を当ててきた。一例として、電動モータ技術の改良により、空調プロセスの圧縮段階で改善がもたらされたが、屋外凝縮器ユニットのインバータファンの提供は、サイクルの凝縮段階での効率改善に焦点を当てた。
【0006】
開発の特定の領域は、空調サイクル内の冷媒として蒸発器から集められた液体凝縮液の使用である。そのような例はフランス特許2552862号公報によって提供されている。この文献は、凝縮器に入る前に冷媒を予冷するように、圧縮機と凝縮器との間の冷媒配管の一部分を流す凝縮液タンク内の凝縮液の収集と貯蔵を開示している。冷媒ラインのプレクーラーの他の例は、米国特許出願公開第20050028545号公報によって提供されている。このシステムは、蒸発器(または他の給水器)からの凝縮液によって濡れた冷媒ラインの蒸発冷却を可能にする、建物の空気供給の排気口に予冷器を配置することを含むものである。
【0007】
冷媒ラインを冷却するために凝縮液を使用するさらなる例は、とりわけ、フランス特許2552862号公報に開示されている概念の実行の改善を提供した本出願人の先の国際公開2015164919号公報に記載されている。とくに国際公開2015164919号公報は、第1の熱交換器が冷媒から熱を蒸発器から集められた液体凝縮液リザーバのリザーバに移す一対の協働する熱交換器を提供するものである。凝縮器ファン空気流の下流には、凝縮器ファン空気流を介して凝縮液から大気への熱伝達を容易にする第2の熱交換器が設けられている。この配置は、凝縮液温度が冷媒ラインの有用な冷却を提供するのに十分に低い期間を引き延ばすようにするために、凝縮物の加温を遅延させるか、または減少させる。
【0008】
上記の従来のシステムでは、エバポレータ凝縮液が専ら冷媒ラインを冷却するために使用されてきたことは理解されよう。従来の代替システムでは、冷媒ラインから熱を受けた後に、その凝縮液をさらに利用する努力がなされている。
【0009】
このような例は、コンデンサと膨張弁との間に配置された「サブクーラー」を介して冷媒ラインを冷却するための第1の熱伝達プロセスにおいて、凝縮液が利用される米国特許20130061615号公報によって提供されている。サブクーラーから出た後、凝縮液は第2の熱伝達工程で利用され、これにより暖められた凝縮液はマニホールドに圧送され、凝縮器に入る空気流に噴霧される。第2の熱伝達プロセスは、凝縮器を冷却すること(すなわち、凝縮器の効率を向上させること)に向けられるが、この配置には多くの欠点がある。とくに、この構成では、動作のために電気の入力が必要となるポンプの影響下で凝縮液を移動させることが必要であり、凝縮液に熱が加えられることになり、それによって第2の熱伝達工程によってもたらされる改善を減衰させてしまう。第2の熱伝達プロセスの有効性は、凝縮器に吹き付けられた凝縮物がサブクーラー内の第1の熱伝達プロセスによって既に暖められている点でも限定されている。さらに、霧状の凝縮物を凝縮器コイルに噴霧することは、一般に腐食促進の点で望ましくない。
【0010】
凝縮液を利用する他の先行例(冷媒ラインの冷却以外)は、多数の凝縮液利用冷却装置を単一のシステムで組み合わせようとした米国特許第2015/0362230号公報により提供される。とくに、この先行文献は、蒸発器から貯蔵タンクに回収される液体凝縮液を開示している。凝縮液は、3つの別々の熱交換システムを介して機械的に循環され、その後に3つのシステムを通る連続的な再循環のために凝縮液タンクに戻される。3つの熱交換システムは、蒸発器の上流の空気流を冷却するための第1のプレクーラーと、凝縮器に吹き付けられる空気流を冷却するための第2のプレクーラーと、第3に、凝縮器と膨張弁との間の冷媒ラインを冷却するためのサブクーラーとを含んでいる。
【0011】
前述の従来の構成と同様に、米国特許第2015/0362230号公報に記載されたシステムは、種々の導管、弁および熱交換器を通して冷媒を駆動するために必須の構成要素として電動ポンプを必要とする欠点がある。電動ポンプの使用は電力使用量を増加させ、望ましくないほど冷たい凝縮液に追加の熱を加える。もう1つの欠点は、3つの冷却システムを通る凝縮液の継続的な再循環が、貯蔵タンク内の凝縮液温度を漸進的に増加させ、それによってシステム効力を減少させることである。さらなる欠点は、システムの全体的な複雑さである。例えば、凝縮液を特定の冷却システムに向けるためには(凝縮液が最小抵抗の経路を移動する傾向を補償するために)制御弁が必要になる。システムの複雑さはまた、比較的多数の熱交換器およびポンプおよび多数の弁のような可動部品を考慮すると、信頼性を低下させる可能性がある。米国特許第2015/0362230号公報に開示されているような複雑なシステムも、初期コストを増加させるおそれがあり、それにより(もしあれば)効率の改善が従来の空調システムを上回る追加コストを相殺する前に、望ましくないほどの長い運転期間の中断を必要とする。
【0012】
上記に照らして、改善されたまたは代替えの熱交換器配置または空調システムを提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0013】
本発明によれば、凝縮器と、膨張装置と、蒸発器と、冷媒で満たされた冷凍回路に接続された圧縮器とを含む空調システムと共に使用するための熱交換装置であって、凝縮液として蒸発器に凝縮した凝縮液を回収する回収装置と、凝縮器に流れる空気流から蒸発器から受け取った凝縮液への熱伝達を容易にするように構成された第1の熱交換器と、前記第1の熱交換器に対応する容器内に配置され、かつ前記第1の熱交換器の上部に配置され、前記蒸発器から受け取った凝縮液に対する冷媒からの熱の伝達を容易にするように構成された第2の熱交換器と、を有する熱交換装置が提供される。
【0014】
冷媒を冷却するために凝縮液を使用することに一般に焦点を絞った従来のシステムとは対照的に、本発明のシステムは、蒸発器から集められた凝縮液を利用して凝縮器に流れる空気流を冷却する点で有利である。エアコンの凝縮器に吹き付けられる大気温度が大幅に変動する可能性があり、暖かい日にはシステム効率を大幅に低下させる可能性がある。容易に理解されるように、凝縮器の機能は、高圧ガスを高圧液体に変換するように圧縮機を出る高圧ガスを冷却することである。暖かい日(空調が最も望まれるとき)の間に、凝縮器を収容する室外ユニットに吹きつける大気温度は30℃以上に上昇することがある。大気温度の上昇は、凝縮器の高圧ガス冷媒を十分に冷却する能力を著しく低下させる。凝縮器の効率が低下すると、凝縮器から出る冷媒の温度が高くなり、作動流体(すなわち、冷媒)からの冷却ポテンシャルが低下する。したがって、凝縮器に向かって流れる空気流を冷却することになり、システム効率が向上する。
【0015】
本発明は、有利には、蒸発器から集められた凝縮液を利用して、第1の熱交換器の凝縮器に吹き付けられる空気流の温度を低下させることによってこの概念を適用する。これに対して、国際公開2015164919号公報、フランス特許2552862号公報、および米国特許出願公開第20050028545号公報に開示されているような従来技術のシステムは、凝縮器空気流温度ではなく、冷媒の冷却に関する。
【0016】
米国特許第2015/0362230号公報および米国特許20130061615号公報に開示された従来のシステムは、集められた凝縮液を使用する凝縮器冷却を一般に開示しているが、各先行システムの凝縮器冷却構成要素は、1つ以上の他の冷却システムと共に使用され、したがって従来技術の凝縮冷却器の有効性を著しく低下させる。とくに、従来の凝縮器冷却システムは、すでにあまりにも暖かい凝縮液に頼っており、効率の望ましい改善を提供していない。米国特許第2015/0362230号公報に開示されたシステムは、様々な冷却システム間での凝縮物の供給を制限し、それによって凝縮器冷却システムに供給される凝縮物の量を減少させる。米国特許20130061615号公報のシステムは、凝縮物流が冷媒ライン冷却システムを出た後に初めてコンデンサ冷却システムに凝縮物を供給し、それによってコンデンサ冷却剤(condenser-coolant)として使用する前に凝縮物冷却ポテンシャルを減少させる。
【0017】
上述したように、大気温度の上昇(通常、空調のユーザ需要の増加に対応する)は、より高い温度の大気が凝縮器に吹き付けられるため、凝縮器効率を低下させる結果となる。本発明の第1の熱交換器によって提供される空気流冷却は、典型的には、大気温度の上昇と共により有利になり、本発明によって提供されるエネルギー節約は、より暑い日に一般に増加する。同様に、より大きい大気湿度は、一般に蒸発器から集められた凝縮液の体積を増加させ、結果として第1の熱交換器に供給される冷却液の体積を増加させる。したがって、本発明によって提供されるエネルギー節約は、一般に、より湿り気のある日に増加する。
【0018】
本発明の特定の実施形態によれば、回収装置、第1の熱交換器および冷却剤出口は、冷却剤流路を介して流体連通状態で接続され、前記冷却剤出口は、冷却剤流路内の第1の熱交換器の下流に配置され、使用中に第1の熱交換器から熱を受け取った廃液を排出する。本発明のこの実施形態は、有利には、冷却特性が消費された後の廃液冷却剤の排出を可能にする。蒸発器から集められた凝縮物の全てまたは実質的に全てを再循環しようとする既存のシステムとは対照的に、第1の熱交換器の下流に冷却剤出口を設けることは、第1の熱交換器への主に「新鮮な」冷却剤、すなわち第1の熱交換器からまだ熱を受け取っていない冷却剤の供給を容易にする。本発明のこの実施形態は、常に加温する凝縮液を連続的に再循環させる従来の装置よりも著しい改善を示す。このようなシステムでは、凝縮液が熱交換器と実質的に同じ温度に加熱されるまで(各時点で冷却効率がゼロに達するまで)各再循環によって冷却効率が低下する。
【0019】
本明細書の「冷却剤」への言及は蒸発器から集められた凝縮物を含み、場合によっては冷却剤流路内の冷却剤は完全に液体の凝縮物からなることが理解されよう。他の場合(蒸発器から集められた凝縮物の量が少ない低湿度環境など)、液体凝縮物を外部水供給源で補充することが望ましい場合があり、この場合、本発明に関連する冷却剤は、液体凝縮液と補充液または「トップアップ」水が含まれている。
【0020】
上述したように、第1の熱交換器には、回収装置から直接受け取った完全に新鮮な凝縮液、すなわち第1の熱交換器を未だ通過していない凝縮液が供給されるのが一般に望ましい。このため、本発明の特定の形態では、冷却剤流路は開ループ構成を備え、凝縮液流の一部が第1の熱交換器を通って再循環されない。第1の熱交換器に供給される凝縮液の全てが最大冷却ポテンシャル(すなわち、できるだけ寒い)で供給される限り、冷却剤流路の開ループ形式が望ましい。第1の熱交換器に供給される凝縮液の全てが最大冷却ポテンシャル(すなわち、できるだけ寒い)で供給される限り、冷却剤流路の開ループ形式が望ましい。
【0021】
しかしながら、本発明の別の形態では、冷却剤流路は、蒸発器から集められた新鮮な凝縮液を補うために凝縮液の比較的小さな部分を再循環させるように適合されてもよい。したがって、本発明の特定の形態では、冷却剤流路は、第1の熱交換器の下流の入口から第1の熱交換器の上流の出口まで延びる再循環ループを含み、使用時には、第1の熱交換器に供給される凝縮液の一部は、再循環ループを介して供給される再循環凝縮液である。
【0022】
本発明のこの形態は、依然として凝縮液の大部分または全部を再循環させ、冷却ポテンシャルが消費された後には一般に凝縮液を排出しない既存のシステムよりも改善されていることが理解される。実質的な効率低下の前に再循環できる凝縮液の正確な量は、地理的位置、基本的な空調機の効率および日々の温度などの種々の要因に依存して変化する。しかしながら、本発明の特定の実施形態では、第1の熱交換器に供給される再循環凝縮液の部分は、第1の熱交換器に供給される凝縮液の全容積流量の50%未満である。本発明のより特定の形態では、再循環凝縮液は、第1の熱交換器に供給される凝縮液の全容積流量の40%未満、より具体的には30%未満、さらにより具体的には20%未満である。本発明の特定の実施形態では、第1の熱交換器に供給される再循環凝縮液の部分は、第1の熱交換器に供給される凝縮液の全容積流量の10%未満、特に5%未満である。
【0023】
本発明の特定の形態では、冷却剤流路は、回収装置によって集められた実質的に全ての凝縮液を第1の熱交換器に送達するように構成されている。本発明のこの形態は、凝縮液供給が3つの別個の冷却回路の間で分割されている米国特許2015/0362230号公報に開示されている従来装置に対して重要な利点を提供する。第1の熱交換器が回収装置の直ぐ下流にある、すなわち第1の熱交換器に入る前に他の熱伝達装置に冷却剤が入らないように、冷却剤流路を構成することもできる。この点で、液体凝縮液の最大冷却ポテンシャルを第1の熱交換器に提供することができる。
【0024】
上述のように、従来の装置は、凝縮液を凝縮器(コンデンサ)の気流冷却目的のために使用する前に、他の熱交換器、例えば、冷媒冷却熱交換器に凝縮液を使用することは望ましくない。したがって、これらのシステムでは、凝縮液の温度は、システムの凝縮器冷却部に入る前に著しく増加する。有利には、本発明の冷却剤流路は、回収装置と第1の熱交換器との間の凝縮液温度の上昇を最小にするように一般に構成することができる。このように、冷却剤流路は、凝縮液が回収装置で回収される温度とほぼ等しいか又はわずかに高い温度で、凝縮液を第1の熱交換器に送ることができる。一例として、冷却剤流路は、第1の熱交換器が回収装置の直ぐ下流にあるように構成することができる。すなわち、中間熱交換器は、回収装置と凝縮器冷却熱交換器(すなわち、第1の熱交換器)との間に配置されていない。
【0025】
回収装置から第1の熱交換器への移動中に凝縮液のある程度の加温が起こり得ることが理解されるであろう。しかし、この加温は、回収装置と凝縮器空気流冷却器との間にホット冷媒(hot refrigerant)冷却プロセスを配置した従来のシステムと比較して通常わずかである。ここで、「直接下流」という用語は、中間装置を介さずに第1の熱交換器に導かれる凝縮物を指すものとして解釈されるべきである。従って、本発明は、集熱器と第1の熱交換器との間に顕著なまたは意図的な加熱プロセスを受ける凝縮物を回避するように構成することができる。回収装置と第1の熱交換器とを接続する凝縮液導管には、凝縮液温度を可能な限り維持するために適切な断熱材を設けることもできる。
【0026】
上述のように、本発明は、凝縮液の冷却ポテンシャルが凝縮器に向かう空気流の冷却に主に費やされる熱交換器構成を対象とする点で有利である。空気流から凝縮器へ熱を受け取った第1の熱交換器装置を出る凝縮物は、本発明のいくつかの実施形態では、冷却剤出口を通して廃棄物として排出されてもよく、あるいは、その一部分は、第1の熱交換器を通る第2の通路のための再循環ループを介して再循環されてもよい。熱交換器の固有の効率限界のために、第1の熱交換器を出る冷却剤は暖められるが、典型的には大気温度よりも低い温度であり、一般に冷媒温度よりも低いことは理解されよう。
【0027】
したがって、本発明の特定の形態では、熱交換器装置は、蒸発器(エバポレータ)から受け取った凝縮液への冷媒の熱伝達を促進するように構成された第2の熱交換器を有する。この第2の熱交換器は、第1の熱交換器によって提供されるエアコン効率の改善を補うように動作することができる。しかし、従来のシステムとは異なり、本発明の熱交換装置は、凝縮器の空冷器と冷媒冷却器との間で新鮮な凝縮物の供給を分割することによって、または凝縮器冷却器に冷媒冷却器から排出された(暖められた)冷却材を供給することによって凝縮器の冷却を妥協することなく行われる。
【0028】
この点で、本発明の熱交換装置は、第1の熱交換器から第2の熱交換器への流体の流れを案内するように有利に構成することができる。すなわち、第2の熱交換器には、第1の熱交換器を最初に通過した凝縮液が供給され、米国特許20130061615号公報のような従来装置で提供されているように逆方向ではない。本発明の実施形態では、第2の熱交換器は、第1の熱交換器の下流で冷却剤出口の上流の冷却剤流路に接続することができる。
【0029】
米国特許2015/0362230号公報および米国20130061615号公報に記載された従来装置では、集められた凝縮液を使用する凝縮器冷却を一般に開示しているが、凝縮器冷却システムは、凝縮液が既に凝縮冷却能力が低いか、または機能冷却を提供しない点まで既に暖められているように配置されている。これは、空気調和機の運転を支配する基本的な熱力学的原理に起因する。とくに、凝縮器の機能は、熱い冷媒(ホットリフリジラント)からより涼しい大気に熱を伝達することにある。凝縮器内での熱交換は決して理想的ではない(すなわち完全な交換を達成しない)ため、凝縮器から出る冷媒は依然として大気よりも高い温度にある。エバポレータから回収された冷却液凝縮液(クールリキッド・コンデンセート)は、通常10~20℃の間にあり、凝縮液と大気温度との間の温度差が凝縮液と冷却剤との間の温度差よりも小さいが、冷媒温度および大気温度の両方よりも低くなる。
【0030】
本発明は、凝縮液を第2の熱交換器の前に第1の熱交換器のほうに導くことによって、この原理を有利に認識して利用している。液体凝縮液の温度は、冷媒または凝縮器に吹き付けられる大気のうちのいずれか(または両方)を冷却するのに適しているが、熱伝達(すなわち、熱流束)は、冷却剤(クーラント)と冷却に必要な加熱媒体との間の温度差に比例することが理解されよう。したがって、冷媒よりも低い温度の外気を冷却するためには、凝縮水をできるだけ冷たくする必要がある。凝縮液が最初に熱い冷媒ラインを冷却するために使用される場合、凝縮液は一般的には大気の温度に近いか又はそれに等しい温度に加温され、凝縮液の凝縮冷却能力を排除するか又はそれを著しく低下させる。
【0031】
一例として、本発明は25℃の大気温度を冷却するために第1の熱交換器に12℃の凝縮液を供給することができる。大気の冷却後に、凝縮液の温度は例えば12℃から17℃に上昇してもよい。この時点で、凝縮液は、第2の熱交換器において凝縮器から出る冷媒を冷却するのに十分なほど冷却されている(一般的には20~50℃)。これに対して、米国特許20130061615号公報の従来システムでは、凝縮液を利用して、凝縮器から出てくる冷媒を最初に冷却することから、凝縮液を著しく暖めてしまい、凝縮液の大気冷却能力を低下させるか又は奪ってしまう。この点に関して、本発明によって提供される冷却剤流路構成は、凝縮器に吹き付けられる大気および冷媒の両方を効果的に冷却することを可能にしている。
【0032】
このため、集塵装置から集められた冷却剤は、第1の熱交換器に導かれ、凝縮液の最大冷却ポテンシャルを高い大気温度で利用することができる。第1の熱交換器から出ると、暖められた凝縮液は、凝縮器に向かって流れる大気流から熱を受ける。しかし、上述のように、凝縮液は、一般には依然として冷媒よりも低い温度にあるため、第2の熱交換器で利用され、冷媒ラインから追加の熱を受ける。第1および第2の熱交換器から熱を受けた後、液体凝縮物は、第2の熱交換器の下流の冷却剤出口を通って排出される。排出された凝縮液は、例えば植物灌水目的のために庭に向けられてもよく、または本発明の他の実施形態では、地方の水供給源を加熱するために使用されてもよい。
【0033】
第2の熱交換器の位置は、冷却剤流路に関して第1の熱交換器の下流にあるが、第2の熱交換器の位置は、冷媒回路に関して種々変えることができる。例えば、第2の熱交換器は、圧縮機と凝縮器との間に(すなわち、凝縮器に入る前に冷媒を冷却するように圧縮機の下流に)配置することができる。あるいは、第2の熱交換器は、凝縮器と膨張装置との間(すなわち、膨張装置に入る前に冷媒を冷却するように凝縮器の下流に)に配置することもできる。
【0034】
第1および第2の熱交換器の特定の構造的配置は変更可能であり、様々な熱交換器の設計が、空気流から液体凝縮液(第1の熱交換器内)へと流れる熱伝達、および、冷媒から(第2の熱交換器内の)液体凝縮液へと流れる熱伝達をそれぞれ促進するのに適していることが理解されよう。しかし、本発明の特定の実施形態では、第2の熱交換器は、第1の熱交換器に関連付けられ、かつその上部に配置された容器内に配置される。この特定の配置は、第1の熱交換器(より低い密度の)のより暖かい流体が第2の熱交換器に向かって上方に浮上する傾向がある流体対流の原理を利用する点で有利である。
【0035】
対流原理の利用は、場合によっては、機械的ポンプの必要性を排除することができる。前述のように、機械的ポンプは、電気的要件に起因する全体的な効率を低下させ得るものであり、冷却剤に追加の(望ましくない)熱の導入となり得るものである。これに関して、本発明は、ポンプ、バルブ、スイッチなどのような可動部品なしで動作するように構成することができ、これにより、信頼性の向上、コストの低減、およびシステムの堅牢性の改善がもたらされる。前述のように、従来のコンデンサ冷却システム、例えば米国特許2015/0362230号公報および米国特許20130061615号公報の従来システムでは、それぞれモータを作動させる必要がある。これに対して、本発明の第1の熱交換器の直立パイプ構成では、冷却剤流路に沿った流れを促進する対流力を利用する。
【0036】
いくつかの実施形態では、可動部品の回避は、第1の熱交換器における細長管の設計によって容易にすることもできる。細長管の寸法パラメータは、熱伝達を最大にすることと、他方で、冷却剤の流れを最大にすることとの間の妥協を伴う。より多くのより肉薄のパイプを第1の熱交換器に設けることにより、熱伝達を増加させるより大きな表面積が提供されることが理解されるであろう。しかしながら、より細いパイプを設けることにより、冷却剤流路に大きな収縮を与えることができ、これは克服するために追加の流れ圧力を必要とする。電動ポンプが存在しない本発明の実施形態では、冷却剤の流れ圧力は、主として、回収装置と第1の熱交換器との間の仰角の差によって誘発されることが理解されよう。例えば、室内ユニット(および回収装置)が床上200cmにあり、室外ユニット(および第1の熱交換器)が床上85cmに位置する場合、冷却液経路に沿って凝縮液を流す115cmの静的なヘッド圧力が誘発される。機械的ポンプを必要としないシステムを設計するために、本発明は、(凝縮物導管を逆流させ、室内空調ユニットから望ましくない漏れを生じる可能性がある)115cmより大きい圧力損失を提供しないように構成することができる。
【0037】
本発明の特定の形態では、細長いパイプの直径は約0.750インチであり、一般的な条件では熱伝達を最大にすると同時に冷却剤の流れを促進する効果的な妥協点をもたらす0.02インチの壁厚を有する。より肉薄の細長いパイプの場合と同様に、より長い(すなわち背の高い)細長いパイプもまた、冷却剤をパイプを通って冷却剤出口から上方に押し出すために供給圧力を増加させる必要があることが理解されよう。
この点に関して、銅管の直径および長さの両方を、供給される圧力を超えないようにカスタマイズすることができ、可能な場合には電動ポンプ装置を用いて供給圧力を補充する必要性を避けるために、回収装置と冷却剤出口との間の冷却剤流路に沿って所望の冷却剤流を容易にする。したがって、第1の熱交換器パイプの寸法パラメータは、熱伝達および/または冷却剤流を最適化するように変更または構成することができるが、パイプの特定の寸法はそれにもかかわらず変化し得ることが理解されるべきである。
【0038】
出願人の先の国際公開2015164919号公報によりポンプ無しの冷却装置が以前から提供されていたが、下部タンクに冷媒冷却器を設置することによって一連の直立管を通る冷却剤の流れが促進された。国際公開2015164919号公報の下部タンクに流入する冷却剤は、熱い冷媒(ホット・リフリジラント)によって著しく加熱され、直立管を介して冷却剤を上昇させていた。しかしながら、冷媒冷却器を下部冷却剤タンク内に配置することは、本発明の凝縮器冷却機能にとって有害であることが理解されよう。国際公開2015164919号公報に開示されたシステムとは対照的に、本発明のシステムによる冷却剤の流れは、下部冷却剤タンク内に配置された第2の熱交換器から受け取られる熱によって補助されるか又は促進されることができない。この問題を克服するために、本発明の冷却剤流路は、上述のようにポンプレス冷却剤の流れを促進するように構成することができる。例えば、水を回収装置から熱交換装置の最高点まで移動させるのに必要な圧力が、重力供給される凝縮液供給によって供給される圧力よりも小さくなるように、細長いパイプのサイズおよび高さを構成する。
【0039】
熱交換器装置のより特定の実施形態では、第1の熱交換器は、下部冷却剤タンクと上部冷却剤タンクとを含む一対の冷却剤タンクの間に延在する複数の冷却剤流路を含み、前記第2の熱交換器は前記上部冷却剤タンク内に配置され、前記熱交換器装置はさらに、前記蒸発器から集められた凝縮液を前記下部冷却剤タンクに送るための導管を含む。本発明のこの実施形態は、有利には、「新鮮な」冷却剤が回収装置から下部タンクに供給され、冷却剤流路を通過する間に加温されると、自然対流力は暖かい水を第2の熱交換器に向かって上向きに押し出し、それによって下側タンクから追加の「新鮮な」(および冷たい)凝縮物を引き出す。第2の熱交換器を含む上部タンク内に浮遊する、より浮力のある加温凝縮液は、冷却剤出口を通って排出される前に、第2の熱交換器の作動によって第2の時間用の熱を受ける。複数の冷却剤流路がそれぞれ一対の冷却剤タンクと流体連通して、下部冷却剤タンクが冷却剤入口マニホールドとして機能し、上部タンクが第1の熱交換器の冷却剤出口マニホールドとして機能することが理解されよう。
【0040】
本発明の特定の実施形態では、上側冷却剤タンクは、上側冷却剤タンク内に配置された第2の熱交換器を収容するように、下側冷却剤タンクよりも大きくてもよい。下部冷却剤タンクは、比較的狭いパイプまたはチューブで構成されていてもよい。本発明の特定の実施形態では、回収装置と第1の熱交換器との間の凝縮液導管には、凝縮液の望ましくない加温を低減するための1つ以上の絶縁層が設けられている。同様に、第1の熱交換器の下部冷却剤タンクにも同じ理由で1つ以上の断熱層を設けることができる。
【0041】
この特定の構成は、ポンプを使用することなく冷却剤流路を通る冷却剤の流れを容易にする第1の熱交換器と第2の熱交換器との間の作動的関連を提供することが理解されるであろう(ただし、ポンプは依然として特定の設備では使用するのが望ましいかもしれない)。第1の熱交換器の冷却剤流路は、下側冷却剤タンクから冷却剤流路を通って上側冷却剤タンクへの冷却剤の対流によって誘発される流れを促進するように、ほぼ直立した向きに延びることができる。これに関して、本発明の特定の実施形態は、上述の対流誘導流によって補われる重力供給冷却剤流を促進させることができる。本発明の「無人の」実施形態は、蒸発器が例えば空気調和機の室内ユニットが内壁の上部に取り付けられている場合のように凝縮器よりも高い仰角に配置されている設備に特に適している。この場合、蒸発器から集められた液体凝縮物は、重力の影響を受けて第1の熱交換器に向かって排出することができる。
【0042】
上述した実施形態の冷却剤タンクは、任意の適切な液体保持容器またはリザーバを含むことができる。本発明の特定の実施形態では、冷却剤タンクは、第1の熱交換器の冷却剤流路を含む複数の細長い銅パイプの縁部に沿って延び出すマニホールド配置を含むことができる。いくつかの実施形態では、細長い銅パイプは真っ直ぐであってもよい。他の実施形態では、細長い銅パイプは、下部冷却剤タンクを室外空調ユニットの表面から離間させるために、下部タンクに隣接する偏向またはねじれ部分を含むことができる。この実施形態は、下部冷却剤タンクが細長いパイプの上部セクションによって画定される平面からオフセットされることを可能にする。このオフセットは、有利には、下部冷却剤タンクと室外ユニットとの間の接触を生じさせることなく、細長いパイプの大部分(すなわち、細長いパイプの上部セクション)を凝縮器のできるだけ近くに配置することを可能にする。
【0043】
本発明の特定の実施形態では、冷却剤流路は、複数の細長いパイプを含む。複数の細長いパイプは、様々な材料から形成することができるが、特定の実施形態では、複数の細長いパイプは、その比較的高い熱伝導率のために銅でつくられる。本発明のより特定の実施形態では、冷却剤流路は、使用時に、ほぼ垂直に配置された複数の細長いパイプを含む。しかしながら、冷却剤流路の特定の向きは、第1の熱交換器が関連する空調ユニットの角度に依存し得ることが理解されるであろう。本発明の特定の実施形態によれば、第1の熱交換器の冷却剤流路は、空調システムの凝縮器の空気流入口の上に重なるように構成される。凝縮器は、一般には、典型的な「スプリットシステム」空調機の「室外ユニット」の一部を形成するものである。第1の熱交換器を室外ユニットの空気入口に重なるように構成することにより、(一般に凝縮器ファンの影響下で)第1の熱交換器内の冷却剤と凝縮器に流入する空気流との間の熱伝達を有利に増加させることができる。
【0044】
これに関連して、第1の熱交換器の冷却剤流路の向きは、凝縮器空気流入口の吸気面とほぼ平行であることが理解されよう。特定のユニットでは、凝縮器空気流入口の吸気面は、ほぼ垂直な平面を画定することができ、その場合、冷却剤流路の向きもまた垂直であり得る。他の例では、凝縮器の空気流入口/吸気口の吸気面は、水平であっても角度を有していてもよく、この場合、第1の熱交換器のパイプの通路は、同様に水平であるか、または傾斜していてもよい。いずれの場合でも、第1の熱交換器は、第1の熱交換器の冷却面(すなわち、冷却剤流路)に接触する吸入空気の体積を最大にするように、凝縮器空気流の吸気面を横断して延び出すことが一般に望ましい。
【0045】
第1の熱交換器は、使用時に、凝縮器の空気流入口の上に重なるように構成された冷却面を画定することができることが理解されよう。冷却面は、例えば、複数の細長いパイプの外面から構成することができ、パイプの内部通路を通る凝縮液流によって冷却される。これに関して、第1の熱交換器は、使用時に、空気流入口を横断する液体冷却剤の流れを容易にするように構成することもできる。すなわち、第1の熱交換器は、一般に、空気流入口に流入する最大量の空気に冷却剤が曝されるように、(冷却剤流路を通る)冷却剤が空気流入口の面を横断して移動するように構成することができる。この文脈において、用語「横断する」は、入口の一方の側から他方の側への流れを指し、横方向への必要性はない。上述のように、冷却剤は、凝縮器空気流入口の下側に隣接して位置する下部タンクから、凝縮器空気流入口の上側に隣接して位置する上部タンクに流れることが、一般に望ましいことがある。第1の熱交換器の冷却剤流路がほぼ直立または垂直に配向されている場合、冷却剤流は、入口面を横断して流れ、入口の下側から入口の上側への冷却剤の流れを指す。
【0046】
本発明の熱交換装置は、既存の空調システム、例えば既存の空調システムの室外ユニットに接続するように構成された熱交換器アセンブリを含むことができる。熱交換器アセンブリは、例えば、凝縮器の空気流入口に実質的に重なるような大きさ及び形状の第1の熱交換器を含むことができる。
【0047】
上記のように、第2の熱交換器は、第1の熱交換器の上部冷却剤タンク内に配置され、両方の熱交換器が、凝縮器空気流入口に隣接して便利に設置できるように構成された一体アセンブリ内に収容される。熱交換器アセンブリは、凝縮器の空気流の入口に設置するために単一の構成要素のみが必要とされる限り、設置を容易にする第1及び第2の熱交換器の両方を含むことができる。熱交換器アセンブリは、例えば、一対の冷却剤タンクと、上部冷却剤タンク内に配置された第2の熱交換器との間に延びる第1の熱交換器の冷却剤パイプを含むことができる。
【0048】
第2の熱交換器は、上部冷却剤タンク内に配置された螺旋管、例えば冷媒で満たされた上部冷却剤タンクにホット冷媒を流すように構成されたコイル状銅管からなることができる。コイル状の配置は、冷却剤にさらされる表面積を有利に増加させ、それによって冷却液から冷却剤への熱伝達を増加させる。
【0049】
本発明の熱交換装置は、既存の空調システムに後付けするように構成されたキットを含むことができる。キットは、既存の空調システムの凝縮器の空気取り入れ口への第1の熱交換器の接続を容易にするように構成することができる。キットは、例えばブラケット、チューブ、パイプ、ボルトまたはねじ等の締結具、支持脚、または取り付けを容易にするのに適した他の構成要素を含むことができる。有利なことに、本発明は、設置を合理化し、それによって最終消費者のコストを削減するためのキットとして容易に適合させることができ、さらに、本発明の技術を、多数の既存の空調システムばかりでなく空調システムの新たな設置に適用することができる。
【0050】
さらに、キットとして構成される本発明の性能は、既存の装置への改造に一般には適さない従来システムよりも顕著な利点を提供する。一例として、米国特許2015/0362230号公報のシステムでは、エアコン室内ユニットの実質的な分解を必要とする蒸発器空気流の上流にサブクーラーを設置する必要があるため、既存のシステムへの手軽で便利な改装には適合しない。
【0051】
本発明装置の設置は、例えば、第1の熱交換器が実質的に入口に重なるように、空調機室外ユニットの空気流入口に熱交換器アセンブリを配置する工程と、前記回収装置を取り付け、前記蒸発凝縮液を前記回収装置から前記熱交換器アセンブリの前記下部タンクへの導管に迂回させる工程と、凝縮器の冷媒出口が熱交換器アセンブリの上部タンクの入口ポートに接続され、膨張装置を熱交換器アセンブリの上部タンクの出口ポートに接続するように、凝縮器と膨張装置との間で冷媒回路を迂回させる(すなわち、凝縮器と膨張装置との間に第2の熱交換器を導入する)工程とを含む。設置手順の最終工程は、熱交換装置を外部の水供給源からの水で満たし、システムを圧力試験して様々な接続をチェックすることを含むことができる。
【0052】
本発明は、上述した熱交換装置の実施形態のいずれかを含む空調システムにも関連していることが理解されよう。本発明の他の態様によれば、凝縮器と、膨張装置と、蒸発器と、冷媒で満たされた冷凍回路に接続された圧縮機とを含む空調システムの効率を改善する方法が提供され、その方法では、前記蒸発器からの冷却凝縮液(チルド凝縮物)を回収装置内に収集し、前記凝縮液を第1の熱交換器に案内し、前記凝縮液を用いて前記凝縮器を冷却している空気流を冷却し、前記凝縮液を前記第2の熱交換器に導き、それによって凝縮液を使用して冷媒回路内の冷媒を冷却し、前記第2の熱交換器に導かれた凝縮液は、前記第1の熱交換器を最初に通過し、前記凝縮液を第2の熱交換器に導き、前記凝縮液を用いて前記冷凍回路内の冷媒を冷却し、前記第2の熱交換器に導かれた前記凝縮液は前記第1の熱交換器を最初に通過し、前記第2の熱交換器は、前記第1の熱交換器に対応する容器内に配置され、かつ前記第1の熱交換器の上部に配置されている。
【0053】
この態様の特定の実施形態は、凝縮液を第2の熱交換器に導き、凝縮液を利用して冷媒回路内の冷媒を冷却する付加的な工程を含む。上述のように、本発明のこの実施形態は、有利には冷却剤の冷却ポテンシャルを最初に凝縮器内への大気温度の空気流の冷却に用いる。このように、第1の熱交換器に入る冷却剤の温度は、第2の熱交換器の動作の影響を受けず、流入する凝縮器の空気流に対する冷却効果が最大化され、システム効率の最大限の改善をもたらす。
【0054】
本発明のこの態様は、既存の空調システムに関連する凝縮器の空気流入口に熱交換器を設置する工程を含むことができる。本発明は、第1の熱交換器から熱を受けた後に凝縮液を廃液出口に案内する工程を含むことができる。特定の実施形態では、凝縮液流の一部は、廃棄物出口に導かれる前に第1または第2の熱交換器を通って再循環される。再循環凝縮液の量は変化し得る。しかし、特定の実施形態によれば、再循環凝縮液の一部は、第1の熱交換器を通流する凝縮液体積流量の10%未満、より具体的には5%未満である。
【0055】
上述したように、本発明の特定の実施形態では、第1の熱交換器の細長いパイプは銅から形成される。上部および下部冷却剤タンクは、いくつかの実施形態では銅から形成されてもよく、または他の実施形態ではステンレス鋼などの他の材料から形成されてもよい。本発明の特定の形態では、複数の細長いパイプおよび下部冷却剤タンクが銅から形成され、上部冷却剤タンクはステンレス鋼から形成される。都合のよいことに、これらの材料のそれぞれは、リサイクル可能で環境にやさしい。これに関して、製品のライフサイクルの終わりに、材料は回収され、他の目的のために再利用され得る。種々の材料が本発明での使用に適しており、特定の設備の要件に従って当業者により選択され得ることは理解されよう。
【0056】
本発明の他の態様によれば、改善された空調システムであって、凝縮器(コンデンサ)、膨張装置(エクスパンジョンデバイス)、蒸発器(エバポレータ)、および圧縮機(コンプレッサ)を備え、前記凝縮器、膨張装置、蒸発器、および圧縮機は、冷媒で満たされた冷凍回路内で流体連通状態に接続され、前記空調システムは熱交換装置を含み、前記熱交換装置は、前記凝縮器に向かって流れる空気流から前記蒸発器から受け取った凝縮液への熱伝達を促進させるように構成された第1の熱交換器と、前記第1の熱交換器に対応する容器内に配置され、かつ前記第1の熱交換器の上部に配置され、前記蒸発器から受け取った凝縮液に対する冷媒からの熱の伝達を容易にするように構成された第2の熱交換器と、をさらに有する。
【0057】
一実施形態では、熱交換装置は、凝縮液として蒸発器に凝縮した凝縮液を収集する回収装置をさらに有する。
【0058】
一実施形態では、改良された空調システムは、凝縮液を蒸発器から輸送するための導管を有する。
【0059】
一実施形態では、改良された空調システムは、凝縮液を蒸発器から第1の熱交換器に圧送するためのポンプを有する。
【0060】
一実施形態では、熱交換装置は、第2の熱交換器を含む。
【0061】
一実施形態では、第2の熱交換器は、圧縮機から受け取った冷媒から、蒸発器から受け取った凝縮液への熱の移動を容易にするように構成されている。
【0062】
一実施形態では、第2の熱交換器は、凝縮器から受け取った冷媒から、蒸発器から受け取った凝縮液への熱の移動を容易にするように構成されている。
【0063】
一実施形態では、第2の熱交換器は、圧縮機および凝縮器から選択される1つまたは複数の冷媒を受け取るように構成されている。
【0064】
一実施形態では、改良された空調システムは、圧縮機から第2の熱交換器に冷媒を輸送するための導管を有する。
【0065】
一実施形態では、改良された空調システムは、凝縮器から第2の熱交換器に冷媒を輸送するための導管を有する。
【0066】
一実施形態において、第2の熱交換器は、第1の熱交換器と関連した容器内に配置されている。
【0067】
一実施形態では、第2の熱交換器は、第1の熱交換器の上方に配置された容器内に配置されている。
【0068】
一実施形態では、第1の熱交換器は、複数の細長いパイプを有する。
【0069】
一実施形態では、第1の熱交換器は、一対の1次冷却剤タンクと、前記1次冷却剤タンクの間に延びる少なくとも1つ以上の細長いパイプとを有する。
【0070】
一実施形態では、第2の熱交換器は、コイル状のパイプを有する。
【0071】
一実施形態では、第2の熱交換器は、第2の冷却剤タンク内に配置されたコイル状のパイプを有する。
【0072】
一実施形態では、第2の熱交換器は、第2の冷却剤タンク内に配置されたコイル状のパイプを有する。
【0073】
一実施形態では、改良された空調システムは、冷却剤を第1の熱交換器から第2の冷却剤タンクに輸送する輸送導管を有する。
【0074】
一実施形態では、改善された空調システムは、輸送導管に沿って配置された少なくとも1つのバルブを有する。
【0075】
一実施形態では、輸送導管に沿って配置された少なくとも1つのバルブが逆止弁である。
【0076】
一実施形態では、コイル状のパイプは、少なくとも1つ以上の冷却剤タンク内に延びている。
【0077】
一実施形態では、改良型空調システムは、第1の熱交換器を介して凝縮器に向けて空気を移動させるように構成されたファンを有する。
【0078】
一実施形態では、改良された空調システムは、第3の熱交換器を有する。
【0079】
一実施形態では、改良された空調システムは、水道水供給源から第3の熱交換器を通って水を受け取るように構成されている。
【0080】
一実施形態では、第3の熱交換器は、冷却剤から水道水への熱の移動を容易にするように構成される。
【0081】
一実施形態では、第3の熱交換器は、第3の熱交換器から水を導き、加熱された水を施設に供給するように構成されている。
【0082】
本発明のさらなる態様では、凝縮器を含む空調システムと共に使用するための熱交換装置であって、膨張装置と、蒸発器と、冷媒が充填された冷凍回路に接続された圧縮機とを備え、前記熱交換装置は、凝縮液として前記蒸発器に凝縮した凝縮液を回収する回収装置と、前記凝縮器に流れる空気流から前記蒸発器から受け取った凝縮液への熱伝達を容易にするように構成された第1の熱交換器とを有する。
【0083】
一実施形態では、熱交換装置は、凝縮液として蒸発器に凝縮した凝縮液を収集するための回収装置をさらに有する。
【0084】
一実施形態では、冷媒リザーバは、蒸発器から凝縮液として冷却剤を受け取るように構成される。
【0085】
一実施形態では、熱交換装置は、凝縮液を蒸発器から輸送するための導管を有する。
【0086】
一実施形態では、熱交換装置は、凝縮液を蒸発器から第1の熱交換器に圧送するためのポンプを有する。
【0087】
一実施形態では、熱交換器装置は、第1の熱交換器から第2の熱交換器へ流体の流れを導くように構成される。
【0088】
一実施形態では、第2の熱交換器は、第1の熱交換器よりも垂直方向に高いレベルに配置される。
【0089】
一実施形態では、前記凝縮器は、ファン装置および熱交換器を具備し、前記第1の熱交換器は、前記ファン装置と凝縮器との間に挿入されるように構成されている。
【0090】
一実施形態では、熱交換装置は、第2の熱交換器を有する。
【0091】
一実施形態では、第2の熱交換器は、圧縮機から受け取った冷媒から、蒸発器から受け取った凝縮液への熱の移動を容易にするように構成されている。
【0092】
一実施形態では、第2の熱交換器は、凝縮器から受け取った冷媒から、蒸発器から受け取った凝縮液への熱の移動を容易にするように構成されている。
【0093】
一実施形態では、第2の熱交換器は、圧縮機および凝縮器から選択された1つまたは複数の冷媒を受け取るように構成されている。
【0094】
一実施形態では、改良された空調システムは、圧縮機から第2の熱交換器に冷媒を輸送するための導管を有する。
【0095】
一実施形態では、改良された空調システムは、加熱された冷媒を凝縮器から第2の熱交換器に輸送するための導管を有する。
【0096】
一実施形態では、第2の熱交換器は、第1の熱交換器に関連する容器内に配置される。
【0097】
一実施形態において、第2の熱交換器は、第1の熱交換器の上方に位置する容器内に配置される。
【0098】
一実施形態では、第1の熱交換器は、複数の細長いパイプを有する。
【0099】
一実施形態では、第1の熱交換器は、一対の一次冷却剤タンクと、一次冷却剤タンクの間に延びる少なくとも1つ以上の細長いパイプとを有する。
【0100】
一実施形態では、第2の熱交換器は、コイル状のパイプを有する。
【0101】
一実施形態では、第2の熱交換器は、第1の冷却剤タンク内に配置されたコイル状のパイプを有する。
【0102】
一実施形態では、第2の熱交換器は、第2の冷却剤タンク内に配置されたコイル状のパイプを有する。
【0103】
一実施形態では、改良された空調システムは、冷却剤を第1の熱交換器から第2の冷却剤タンクに輸送するための輸送導管を有する。
【0104】
一実施形態では、改良された空調システムは、輸送導管に沿って配置された少なくとも1つのバルブを有する。
【0105】
一実施形態では、輸送導管に沿って配置された少なくとも1つのバルブは、逆止弁である。
【0106】
一実施形態では、コイル状のパイプは、少なくとも1つ以上の冷却剤タンク内に延び込んでいる。
【0107】
一実施形態では、改良型空調システムは、第1の熱交換器を介して凝縮器に向かって空気を移動させるように構成されたファンを備える。
【0108】
一実施形態では、改良型空調システムは、第3の熱交換器を有する。
【0109】
一実施形態では、改善された空調システムは、水道水供給源から第3の熱交換器を通って水を受け取るように構成されている。
【0110】
一実施形態では、第3の熱交換器は、冷却剤から水道水への熱の移動を容易にするように構成されている。
【0111】
一実施形態では、第3の熱交換器は、第3の熱交換器からの水を導いて、加熱水を施設へ供給するように構成されている。
【0112】
本発明のさらなる態様では、本発明は、上述の熱交換装置を備える空調システムに存するものと言える。
【0113】
本発明のさらなる態様では、本発明は、上述の空調システムの制御システムに存するものと言える。
【0114】
一実施形態では、コントローラは、凝縮液を蒸発器から一次冷却剤タンクに圧送するように構成されたポンプの動作を制御するように構成される。
【0115】
一実施形態では、コントローラは、レベルセンサから受信した信号に応答してポンプの動作を制御するように構成されている。
【0116】
一実施形態では、レベルセンサは、コレクタから一次冷却剤タンクまでの導管内の水のレベルを検知するように構成されている。
【0117】
一実施形態では、コントローラは、少なくとも1つのバルブの動作を制御するように構成されている。
【0118】
一実施形態では、バルブは、一次冷却剤タンクから二次冷却剤タンクへの流体の流れを制御するように構成される。
【0119】
一実施形態では、バルブは、一次冷却剤タンクから周囲環境への流体の流れを制御するように構成される。
【0120】
本発明のさらなる態様において、本発明は、冷媒で満たされた冷凍回路に接続された凝縮器、膨張装置、蒸発器および圧縮機を含む空調システムの効率を改善する方法であって、前記方法は、回収装置内のエバポレータから凝縮した凝縮物を集め、集めた凝縮液を第1の熱交換器に導き、凝縮液を用いて凝縮器を冷却する空気流を冷却する。
【0121】
一実施形態では、この方法は、凝縮液を第2の熱交換器に導く工程を含み、それにより、凝縮液は、圧縮機および凝縮器から選択された1つ以上からの冷たい冷媒に使用される。
【0122】
一実施形態では、この方法は、凝縮液を第3の熱交換器に導き、凝縮液を用いて水道水を加熱する工程を含む。
【0123】
本発明は、広範囲に言えば、本明細書中で個別にまたは集合的に言及され、または明細書に示された部分、要素および特徴、ならびにこれらの部品、要素または特徴の任意の2つ以上の任意のまたは全ての組み合わせであり、本発明が関連する技術分野における既知の均等物を有する特定の整数が本明細書に記載されている場合、そのような既知の均等物は、個々に記載されているかのように本明細書に組み込まれるものとみなされる。
【0124】
本発明に関連する当業者には、添付の特許請求の範囲に定義された本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の構造の様々な変更および広範に異なる実施形態および用途が示唆される。本明細書中の開示および説明は、純粋に例示的なものであり、決して限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0125】
本発明の範囲内に入る他の形態にもかかわらず、添付の図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を単なる例として以下に説明する。
図1図1は、冷媒が圧縮機から出る際に第2の熱交換器によって冷却される改良された空調システムの第1の実施形態および熱交換装置の第1の実施形態の概略図を示す。
図2図2は、冷媒は凝縮器から出て行く際に第2の熱交換器によって冷却される改良された空調システムの第2の実施形態および熱交換装置の第1の実施形態の概略図を示す。
図3図3は、第1の実施形態の熱交換装置および凝縮器を示す図1の改良された空調システムの第1の実施形態の拡大概略図を示す。
図4図4は、熱交換器装置、凝縮器ファンおよび凝縮器の第1の実施形態の概略的な側面図であり、それらの相対的レイアウトを示す。
図5図5は、熱交換装置の第1の実施形態の斜視図を示す。
図6図6は、第1の冷却剤タンクと、第1の冷却剤タンク内に配置された第2の熱交換器および第3の熱交換器を有する第1の熱交換器の一部を示す熱交換装置の第2の実施形態の斜視図を示す。
図7図7は、第2の熱交換器が配置された第2の冷却剤タンクを示す熱交換装置の第3の実施形態の斜視図を示す。
図8図8は、従来の空調システムと本発明による空調システム(IPハイブリッドサイクルと称する)とを比較した圧力-エンタルピ線図を示す。
図9図9は、本発明の特定の実施形態による熱交換器装置の一部としての熱交換器アセンブリを示す。
図10図10は、図9に示した熱交換器アセンブリの断面斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0126】
上記の図面を参照すると、類似の特徴は一般に類似の数字で示されているが、本発明の第1の態様の改良された空調システムは全体的に符号1000番代で示され、熱交換器の配置は全体として符号2000番代で示される。
【0127】
ここで説明する一実施形態では、熱交換装置2000を備える改良された空調システム1000が提供される。空調システム1000は、凝縮器ファン1110によって冷却される凝縮器1100と、膨張弁などの膨張装置1200と、蒸発器1300と、圧縮器1400とを備えている。凝縮器1100、膨張装置1200、蒸発器1300および圧縮器1400は、冷媒が充填された冷凍回路1500内において流体連通状態に接続されている。凝縮器1100は、凝縮器ファン1110によって生成される空気流によって冷却される。
【0128】
熱交換器装置2000は、回収装置2100と、凝縮物導管2150と、第1の熱交換器2200とを含む。コレクタ構成2100は、好ましくは、冷却凝縮液として蒸発器1300上に凝縮した凝縮液を収集するように構成されたトラフ2105であり、凝縮液導管2150は、収集された凝縮液を第1の熱交換器2200に導くように構成されている。
【0129】
第1の熱交換器2200は、好ましくは、収集された凝縮液を受け取る一対の第1の冷却剤タンク2210を備える。一次冷却剤タンク2210は、複数の熱交換チューブ2220を介して互いに流体連通している。冷却凝縮流体は、図の矢印Bで示す下部一次冷却剤タンク2210aの入口2212に受け入れられる。
【0130】
第1の熱交換器2200は、凝縮器ファン1110によって生成された空気流内に配置され、凝縮器1100に向かって流れる(図2図3及び図6の矢印Aで示す)空気流を冷却し、空気流Aからの熱を蒸発器から受け取った凝縮液に伝達し、凝縮液を加熱する。このようにして、冷却された凝縮液は、凝縮器1100に向かって流れる空気流を冷却するために使用される。
【0131】
凝縮器ファン1110が凝縮器に向かって空気流Aを吹き付けている場合、第1の熱交換器2200は凝縮器ファン1110と凝縮器1100との間に配置されることが想定される。しかしながら、凝縮器ファンが凝縮器1100を通って空気を引き込む場合には、第1の熱交換器2200は、凝縮器ファン1110から凝縮器の反対側に配置される。また、凝縮器ファンが凝縮器と空気流入口との間に配置されている(すなわち、空気を入口から引き込み、空気を凝縮器に向かって押す)場合には、第1の熱交換器2200は凝縮器から凝縮器ファンの反対側に配置される。いずれの構成においても、凝縮器に接触する前に流入空気を冷却するように、第1の熱交換器が空気流入口に配置されることは理解されよう。
【0132】
空気流Aを冷却することにより、凝縮器を横切る冷媒回路内の冷媒の温度差(すなわち、低下)が増大し、空調システムにおける効率の向上が可能になる。
【0133】
蒸発器は、凝縮液のかなりのヘッドが蓄積されることを可能にし、凝縮液導管2150を介して蒸発器から第1の熱交換器2200への凝縮液の安定した流れを生成する凝縮器(例えば、壁面上の高さ)凝縮器よりも一般に高い位置(例えば、壁面上の高い位置)に配置される。しかしながら、蒸発器1300が凝縮器1100から十分に上昇していない場合、または凝縮液導管2150内の抗力が凝縮液のヘッドが克服するために高すぎる場合には、熱交換器装置1000に冷却剤ポンプ2300(図7に示す)を設けることができることが想定される。冷却剤ポンプ2300は、レベルセンサ3100によって示されるように凝縮液がある高さに達したときに凝縮液が第1の熱交換器に向かって確実にポンプされるようにする制御システム3000によって制御することができる。
【0134】
制御システム3000は、さらに、凝縮物導管2150に沿った凝縮物流バルブ2152と、一次冷却剤タンク2210からのオーバーフローバルブ2230とを制御するように構成することができると考えられる。
【0135】
第1の熱交換器2200は、複数の細長い銅管2220を含む複数の冷却剤流路を含む。凝縮液が第1の熱交換器2200に流入すると、凝縮液は下部の第1の冷却剤タンク2210a、熱交換器チューブ2220、上部の第1の冷却剤タンク2210bを満たす。第1の熱交換器2200内が一杯になると、使用時に、熱交換器管2220内にある凝縮液は、熱交換器管2220を通過する空気流Aからの熱伝達によって加熱される。したがって、熱交換器チューブ2220は、流入空気流Aと接触し、凝縮器に入る前に空気流Aを冷却する冷却面を画定する。
【0136】
加熱された凝縮流体は、上部の一次冷却剤タンク2210bに向かって上昇する(図3の矢印Yとして示される)。空気流Aは、凝縮器に係合する前に冷却され、凝縮温度を低下させ、圧縮機吐出圧力を低下させ、圧縮機の電力使用量を大幅に減少させる。
【0137】
上部一次冷却剤タンク2210bに流入した凝縮液または冷却液は、オーバーフローバルブ2230(図3の矢印Eで示す)を含む冷却剤出口を介して環境に流入させるか、または第2の熱交換器2400で利用することができる。第2の熱交換器2400は、冷凍回路1500内の冷媒から冷却液としての凝縮液への熱の移動を容易にするように構成されている。この点に関して、第2の熱交換器2400は、2つの異なる実施形態で動作することが想定される。
【0138】
第1の実施形態では、圧縮機1400から第2の熱交換器2400によって導管(図3図5図6の矢印Cで示す)を介して比較的高い温度で流れる加熱された冷媒が第2の熱交換器2400に受け入れられることが想定される。この点に関して、回収装置2100、第1の熱交換器2200、第2の熱交換器2400および流出バルブ2230は、回収装置2100から凝縮物導管2150に沿って下側タンク2210aからパイプ2200を通って上方タンク2210bを通ってオーバーフローバルブ2230を通って延びている冷媒経路を介して流体連通状態に接続されている。
【0139】
図2に示す第2の実施形態では、凝縮器1100から第2の熱交換器2400によって導管を介して比較的低い温度で流れる冷媒が入口2440で第2の熱交換器2400に受け入れられることが想定されている(図面では矢印Cとしても示されている)。この実施形態を図2に示す。
【0140】
図示されているように、冷却剤流路は、「開ループ」構成を含み、それによって凝縮液、すなわち、第1の熱交換器2200に流入する凝縮液の全ては回収装置2100から供給される「新鮮な」冷却剤であるが、これらはいずれもまったく熱交換器を通って再循環されない。さらに、冷却剤流路は、回収装置2100によって回収された冷却剤の全てが第1の熱交換器2200に供給されるように構成される。第1の熱交換器2200は、回収装置2100の直下に配置されている。すなわち、凝縮液導管2150は、回収装置2100と第1の熱交換器2200の下部タンク2210aとの間に直接延びている。これに関して、(凝縮液導管2150に沿って通過中に起こりうる不可避的な加温以外の)第1の熱交換器2200に供給される凝縮物を暖めるように作用し得る第1の熱交換器の上流に位置する中間構成要素は存在しない。
【0141】
冷媒は、第2の熱交換器2400を通過し、出口2450で第2の熱交換器2400を出る(図中の矢印Dで示す)。
【0142】
上述のように、第2の熱交換器は、凝縮器の上流側(すなわち、圧縮機と凝縮器との間)または凝縮器の下流側(すなわち、凝縮器と膨張器装置との間)に接続することができる。場合によっては、どちらの選択肢も同様の結果をもたらす可能性がある。他の例では、インストーラは、使用される空調システムのタイプに応じて、他方の選択肢を選択することができる。一例として、空調システムがインバータによって制御される凝縮器ファンを含む場合、凝縮器ファンに供給される冷媒の温度に応じて凝縮器ファンの回転速度が増減する。この場合、第2の熱交換器を、凝縮器の上流または下流のいずれかに接続することが適切であり得る。これは、インバータがファンの回転速度を制御して最適な冷却効果を達成できるからである。
【0143】
インバータが存在しない代替システムでは、凝縮器ファンは、一般的には、閾値冷媒温度でスイッチオンとなり、閾値冷媒温度以下でコンデンサに供給される冷媒のスイッチオフとなるように構成される。この場合、第2の熱交換器を凝縮器の上流に接続することにより、冷媒温度をトリガ温度以下に低下させることができ、凝縮器ファンを遮断し、それにより第1の熱交換器を通る空気の流れを終了または減少させる効果を有し、本発明によって提供される利点を減少させる。したがって、凝縮器ファンがインバータ装置によって制御されない場合、凝縮器ファンの遮断を望ましくないようにするために、凝縮器の下流に第2の熱交換器を接続することが望ましい場合がある。
【0144】
第2の熱交換器の2つの実施形態が添付図面に示されている。第1の実施形態が図1図2図3図5および図6に示されており、第2の熱交換器2400は、好ましくは熱伝導性材料からなるコイル状パイプ2410を備え、上部一次冷却剤タンク2210b内に受け入れられ、冷媒用の導管を形成する。熱は、コイル状パイプ2410内の比較的高温の冷媒から、上部第一次冷却剤タンク2210b内の比較的冷たい凝縮液に移される。この実施形態は、加熱された冷却剤が上部一次冷却剤タンク2210b内に上昇するという事実に依拠している。
【0145】
第2の実施形態が図7に示され、凝縮液が上部一次冷却剤タンク2210bから流出した後に流入するように第2の貯蔵タンク2420が設置されている。コイル状パイプ2410は、二次貯蔵タンク2420内に配置されている。一次冷却剤タンク2210と二次貯蔵タンク2420とは輸送導管2430を介して接続されている。好ましい実施形態では、制御バルブ3200が輸送導管2430に沿って配置され、制御システム3000によって制御可能である。本実施形態では、第2の熱交換器2400における冷媒の冷却に用いられる冷却剤液は、第1の熱交換器2200による空気流Aの冷却に用いられる冷却剤液から分離される。
【0146】
さらに、空調システム1000は、水道水を受けて一次冷却剤タンク2210および/または二次冷却剤タンク2420内の冷却剤を補充するための水道水供給源への接続部2154を有し得ることが想定される。市水道接続2154からの水の流れは、好ましくは、制御弁2156によって制御可能である。制御弁2156はまた、好ましくは、制御システム3000によって制御可能である。湿度が低く、その後凝縮流が低い日に、市水道水流を利用して凝縮液の流れを補うことがある。
【0147】
代替の実施形態(図示せず)では、熱交換器装置2000は、第1の熱交換器を介して凝縮器に向かって空気を移動させるように構成された別個のファン(図示せず)を備えることができると考えられる。
【0148】
熱交換器装置は、液体冷却剤を排出するために、一次冷却剤タンクおよび/または二次冷却剤タンクの低点に位置する排水出口(図示せず)および排水閉鎖部を含むことがさらに想定される。排水閉鎖部はデッキ排水出口から取り外すことができ、例えば目的のために一次冷却剤タンク2210および/または二次冷却剤タンク2420から冷却剤を排出することができる。
【0149】
図6に示す他の実施形態では、改良された空調システム1000は、また第3の熱交換器2500も備えることがある。第3の熱交換器は、水道水を受け取るように構成された導電性パイプ2510を備え、加熱された冷却剤からの熱伝達によって加熱される(これは冷媒からの熱伝達により加熱される)ように構成されている。予熱された水は、次に、施設内への水の加熱効率を高めるために施設に送られる。
【0150】
第3の熱交換器の導電性パイプ2510は、上部一次冷却剤タンク2210bまたは第2の貯蔵タンク2420のいずれかのなかに延び込み、受け入れることができると考えられる。
【0151】
熱交換器装置1000は、好ましくは、既存の空調システムに遡って設定可能であることが想定され、この理由から、第1の熱交換器は、凝縮器ファンによって生成された空気流に挿入されるように寸法決めされ、取り付けられることが想定される。熱交換装置1000は、好ましくは、第1の熱交換器および第2の冷却剤タンクのいずれかを所定位置に取り付けるための取付構造(図示せず)を有する。
[運転の原理 - 熱力学サイクル]
一段蒸気圧縮直接膨張(DX)空調システムは、一般的には4つの主な構成要素、すなわち回転スクロール圧縮機、空冷凝縮器、膨張弁およびDX蒸発器からなる。従来のシステムでは、サイクルは、蒸発器に入る液体冷媒と蒸気冷媒との混合物から始まる。(例えば建物内部の)暖気からの熱は、蒸発器DXコイル(図示せず)によって吸収される。このプロセス中に、冷媒の状態は液体から気体に変化し、蒸発器の出口で過熱される。液状冷媒のスラグ(小さい塊り)が圧縮機に到達して圧縮機を損傷するのを防ぐためには、過熱する必要がある。
【0152】
次いで、過熱蒸気が圧縮機に流入し、そこで圧力が上昇し、凝縮器に流れる前に冷媒の温度も上昇する。従来の蒸気圧縮冷凍システムでは、凝縮圧力は、高い大気温度での冷媒の凝縮を可能にするように設計されている。凝縮器ファンがインバータ式制御装置によって制御されていない場合、大気温度が低くて凝縮温度が高くないときに、部分的な負荷が掛かってエネルギーが無駄になってしまう。本発明の改良された空調システム1000では、熱交換装置2000を利用することにより、凝縮器コイルに到達する前に空気が予冷され、凝縮器がより多く放熱することが可能となる。その結果、空調システムの冷却能力は増加して、エネルギー需要および使用量は減少する。圧縮機の出口におけるヘッド圧力が低下すると、冷媒凝縮温度は低下する。これにより、圧縮機は、冷媒を低圧に圧縮するのに必要なエネルギーを少なくし、所与の空調期間内での運転時間を短縮してエネルギーを節約することができる。
【0153】
大気が凝縮器コイルと接触交流する前に大気の温度を低下させることにより、空冷凝縮器のより涼しい運転環境がもたらされ、凝縮器が大気への追加の熱を拒絶することが可能になる。次に、圧縮機ヘッドの圧力は、例えば図8のポイント(3)からポイント(b)へ減少する。
【0154】
さらに、従来のシステムでは、過熱された冷媒が空冷凝縮器に流入し、その過熱状態から冷却されて、冷媒が膨張弁に入ると過冷却状態になり、冷媒温度の低下が起こる。過冷却は、膨張弁の前にフラッシュガス形成を防止し、設計された蒸発器の性能範囲が達成されることを確実にする。
【0155】
しかし、本発明では、空調システム1000を利用することによって、凝縮器からの冷媒は第2の熱交換器2400に受け入れられ、膨張装置に入る前に冷媒の過冷却を可能にしている。これは、システムの冷凍効果、ひいてはその性能係数を向上させ、また、本発明の空調システム1000がより高い負荷要求に対処することを可能にする。これは、図8において、ポイント(1)を冷凍サイクルのポイント(a)に置き換えることによって実証される。
【0156】
したがって、高圧下で冷却された冷媒は、図8のポイント(c)で膨張弁を通って流れることができ、その圧力を低下させる働きをする。
【0157】
図9および図10を参照すると、既存の空調システムの室外ユニットに便利に後付けするのに適した熱交換器アセンブリ4000が示されている。
熱交換器アセンブリ4000は、(図1図3に例示されるような)より大きな熱交換装置2000の一部であり、回収装置および蒸発器から熱交換器アセンブリ4000へ液状凝縮物を送るための導管も含む。
【0158】
熱交換器アセンブリ4000は、上部冷却剤タンク4210bと、入口マニホールドパイプ4210aを含む下部冷却剤タンクとを含む。図10に示すように、上部冷却剤タンク4210bは、上部冷却剤タンク4210b内の凝縮物にコイル4400を通って駆動されるホット冷媒からの熱伝達を促進するために、銅コイル4400で形成される第2の熱交換器を含む。
【0159】
細長い銅パイプ4220を含む複数の冷媒通路が、入口マニホールドパイプ4210aと上部冷却剤タンク4210bとの間に延びている。しかしながら、パイプ4220の数は、熱交換器アセンブリ4000と共に使用することを意図した空調ユニットのサイズに依存して変えることが可能であり、パイプの数が変わり得るものであることは理解されよう。銅パイプ4220は、空調機の室外ユニットの凝縮器ファン空気流入口に実質的に重なるように、そのサイズ及び形状によって適合される。
【0160】
各細長いパイプ4220は、捩れ部4220bと、捩れ部4220bの上方に位置する上部4220aと、捩れ部4220bの下方に位置する下部4220cとを含む。捩れ部4220bは、各冷却剤タンク4210aのより近くに配置され、各パイプ4220の長さの大部分が上部部分4220aから構成されている。捩れ部4220bは、上部4220aによって規定される軸から下部4220cをオフセットさせるように、上部および下部4220a、4220cに対して傾斜している。したがって、上側部分4220aおよび下側部分4220cは、ほぼ平行であるが、同軸ではない。パイプ4220の捩れ部4220bは、下部冷却剤タンク4210aを、上部部分4220aによって画定される平面集合体からオフセットさせる。これにより、下部冷却剤タンクが室外ユニットに接触することなく、またはアセンブリの配置を妨げることなく、上部4220aが凝縮器ファン入口に近接する所望の近接位置に配置されることが可能になる。このように、捩れ部4220bを設けることにより、大部分のパイプ4220を凝縮器空気入口により近く配置することができ、したがって本発明によって提供される凝縮器冷却を容易にすることができる。
【0161】
捩れ部4220bは、パイプ4220の上端部および下端部が、所望のオフセットを提供するために必要とされ得る斜めの入口とは対照的に、概して真っ直ぐな姿勢で上部および下部タンク42に入ることを可能にする限り、有利である。管端部をタンクに直接的に挿入することにより、溶接プロセスが容易になり、それによって製造コストが低減されるとともに、溶接された接続部の応力点が低減され、全体的な堅牢性が改善される。
【0162】
入口マニホールドパイプ4210aに含まれる下部冷却剤タンクは、回収装置(図示せず)から延びる凝縮物供給導管に接続するための入口ポート4211aを含む。上部冷媒タンク4210bは、冷媒回路に接続するための入口ポートおよび出口ポートを提供する一対のポート4211b,4211cを含む。上部冷却剤タンク4210bは、第1の熱交換器パイプ4220および第2の熱交換器コイル4400から熱を受け取った廃液を排出するための冷却剤出口4211dをさらに含む。
【0163】
図9図10を参照すると、本発明は、熱交換器装置の便利な設置を可能にする単一熱交換器アセンブリを有利に提供することができることが理解されよう。本発明は、熱交換器アセンブリ、回収装置、および冷媒経路を接続するのに必要な配管を含む「キット」として提供することができる。従来のシステムとは対照的に、本発明の第1及び第2の熱交換器は、図9図10の単一の構成要素内に、すなわち熱交換器アセンブリ4000内に収容されると都合がよい。
【0164】
さらに、凝縮器コイルを通過する前に空気を予冷し、蒸発器に入る前に冷媒を冷却することによって、空調システムの冷凍効果が増大することに留意されたい。したがって、圧縮機は、空調システムの動作中、従来の空調システムよりも長い期間オフにされる。
[シミュレーションデータ及び試験データ]
本発明の空調システムによって達成可能な効率を決定するために、数学的モデリングが実行された。年間を通してオーストラリアのシドニーにおけるこれらのシミュレートされた実際の気象条件、および、理論上のエネルギー節約を達成可能であることを、本発明の空調システムおよび銅熱交換器チューブ2220を用いることにより予想される負荷履行(ロード・フルフィルメント)と共に、以下の表1aと表1bに示す。
【0165】
【表1a】
【0166】
【表1b】
【0167】
さらに、実際の試験は、2016年12月20日から2017年2月12日までの期間にシドニーで実施された。図2に概要を示した本発明の実施形態装置を用いて試験した。すなわち、第2の熱交換器を凝縮器の下流で(かつ膨張器の上流に)接続した。使用した実施形態装置は、図9図10に示す実施形態装置と同等とした。試験装置の細長い管は、銅から形成され、ねじれ部分を含むものとした。断熱材を用いて下部冷却材タンクを覆った。
【0168】
試験には、2つの同一の7.1kWスプリットシステム三菱空調システムの「サイドバイサイド」評価が含まれていた。本発明(「IPハイブリッド」または「キネティック」と呼ぶ)は、空調機の1つと、他のシステムを制御装置として使用した。2つの空調機の室内ユニットは、それぞれ、西シドニー大学に隣接する2つの同一の部屋に設置した。2つの室外ユニットは、部屋の外に配置して、同じ外気温度にさらされた。空調機はそれぞれ23℃の温度を自動的に維持するように設定した。また、各消費電力測定時に消費電力データを大気温度と比較して、大気温度が潜在的な省電力に及ぼす影響を調べた。
【0169】
大気温度が高いときがエアコン使用のピーク時であるため、午前8時から午後6時までの時間の電力消費にとくに注目した。以下の表2は、11回の測定(すなわち、午前8時、午前9時、午前10時……午後5時、午後6時)における平均消費電力および周囲温度を示す。試験は2017年1月10日および2017年1月20日~31日の期間に中断されたため、これらの日付のデータは以下に含まれていない。
【0170】
【表2-1】
【0171】
【表2-2】
【0172】
表2に示すように、試験のほぼ毎日、本発明の「キネティック」熱交換装置を備えた空調システムは、本発明に適合しない同一空調システムより少ない電力を使用して、午前8時から午後6時までの時間の間において23℃の設定温度を維持することができた。
【0173】
実験全体にわたって午前8時から午後6時までの時間の間の総電力消費量の合計を、実験の全期間にわたり観察されたピーク消費量の比較とともに、以下の表3に示して比較した。
【0174】
【表3】
【0175】
表3に示すように、本発明装置では、試験期間中の午前8時から午後6時までの間において総電力消費量が28%も減少することが観察された。本発明の熱交換装置を備えた空調システムは、従来の制御空調システムよりも43%低いピークエネルギ供給を引き出したことも観察された。
【0176】
このように、本発明は、より高い大気温度で増加することが見出された効率の有意な改善を提供することが観察された。以下のプロット1とプロット2に示すように、測定データの回帰分析を行って傾向線を計算した。
【プロット1】
【0177】
【プロット2】
【0178】
【0179】
プロット1とプロット2に示すように、消費電力は、より高い大気温度の日に増加することが観察された。しかしながら、従来の制御システムでは、プロット1に最も良く適合する特性線によって示されるように、温度の上昇とともにkW消費が二次相関で増加していくことが見出された。これに対して、本発明に適合するシステムでは、プロット2のベストフィットの特性線によって示されるように、より線形的な相関でkW消費が増加していく。このように本発明の空調装置を使用する場合に比べて従来の制御用空調装置を使用する場合は、大気温度が上昇するにつれて、設定温度を23℃内に維持するために、はるかに大きな電力消費の増加が必要であった。本発明は、効率を改善することに加えて、また、はるかに低い「ピーク」エネルギー消費をもたらした。
【0180】
プロット1とプロット2に示した傾向特性線は、大気温度の範囲における各システムの予測消費電力を対比して比較することを可能にする。これらを下記の表4に示す。
【0181】
【表4】
【0182】
表4に示すように、回帰分析では、25℃の大気温度で11%の節電をモデル化したが、大気温度が40℃である場合は39%の節電がモデル化された。さらに、湿度の高い領域(例えば、赤道に近い領域)での効率がより良い結果を達成するであろうことが本願出願人によって期待されている。
[解釈]
本明細書を通して、「一実施形態」または「ある実施形態」は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造または特性が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書の様々な箇所における「一実施形態」または「ある実施形態」という表現の出現は、必ずしもすべてが同じ実施形態を指しているわけではないが、そうでなくてもよい。さらに、特定の特徴、構造または特性は、1つまたは複数の実施形態において、本開示から当業者に明らかであるように、任意の適切な方法で組み合わせることができる。
【0183】
同様に、本発明の例示的な実施形態の上記の説明において、本発明の様々な特徴は、本開示を合理化し、様々な発明的態様のうちの1つ以上の理解を助ける目的で、単一の実施形態、図、またはその説明でまとめられることがある。しかしながら、この開示の方法は、クレームされた発明が各クレームに明示的に記載されているより多くの特徴を必要とするという意図を反映するものと解釈されるべきではない。むしろ、以下の特許請求の範囲が反映するように、本発明の態様は、単一の前述の開示された実施形態のすべての特徴よりも少ないものである。したがって、特定の実施形態の詳細な説明に続く請求項は、本発明の別個の実施形態として単独で立っている特定の実施形態のこの詳細な説明に明示的に組み込まれる。
【0184】
さらに、本明細書に記載されるいくつかの実施形態は、他の実施形態に含まれるいくつかの他の特徴を含むが、異なる実施形態の特徴の組み合わせは、本発明の範囲内にあることを意味し、当業者に理解されるように、異なる実施形態を形成することができる。例えば、以下の特許請求の範囲において、特許請求された実施形態のいずれかは、任意の組み合わせで使用することができる。
【0185】
本明細書で使用されるように、他に特定されない限り、共通の対象物(オブジェクト)を記述するための順序付き形容詞「第1」、「第2」、「第3」などの使用は、単に類似の対象物の異なるインスタンスが参照されていることを示し、そのように記述された対象物が、時間的、空間的、順位付けのいずれかの順序で与えられなければならないことを意味するものではない。
【0186】
本明細書で提供される説明では、多くの具体的な詳細が記載されている。しかし、本発明の実施形態は、これらの特定の詳細なしに実施され得ることが理解される。他の例では、周知の方法、構造および技術は、この説明の理解を不明瞭にしないために詳細に示されていない。
【0187】
図面に示された本発明の好ましい実施形態を説明するにあたり、明瞭化のために特定の用語が使用される。しかしながら、本発明は、そのように選択された特定の用語に限定されることを意図するものではなく、それぞれの特定の用語は、同様の技術的目的を達成するために類似の方法で動作するすべての技術的等価物を含む。「前方」、「後方」、「半径方向」、「周辺」、「上向き」、「下向き」などの用語は、参照点を提供するための便宜的な用語として使用され、限定用語として解釈されるべきではない。
【0188】
本明細書の目的のために、「プラスチック」という用語は、広範囲の合成または半合成重合生成物の一般的な用語を意味すると解釈され、一般に炭化水素ベースのポリマーからなる。
【0189】
本明細書中で使用される場合、用語「および/または」は、「および」または「または」、またはその両方を意味する。
【0190】
本明細書において、名詞の後に続く「(s)」は、名詞の複数形および/または単数形を意味する。
【0191】
以下の特許請求の範囲および本発明の前述の説明において、文脈が明示的な言語または必要な意味合いのために別途必要な場合を除いて、「有する(comprise)」という語または「有する(comprises)」などの変形は包括的な意味で使用され、すなわち記載された特徴の存在を特定するが、本発明の様々な実施形態におけるさらなる特徴の存在または追加を排除するものではない。
【0192】
本明細書で使用する「含む(including)」または「含む(which includes)」または「含んでいる(that includes)」という用語のいずれかは、少なくともその用語に続く要素を含むことを意味するが、他の要素を排除しないことを意味する公開された用語でもある。従って、「含む(including)」は、「有する(comprising)」と同義語であり、有することを意味する。
【0193】
したがって、本発明の好ましい実施形態であると考えられるものが記載されているが、当業者であれば、本発明の精神から逸脱することなく他の改変を行うことができ、本発明の範囲内に含まれる全てのそのような変更および修正を請求することが意図されている。例えば、上に与えられた任意の式は、使用され得る手順の単なる代表例である。機能はブロック図に追加または削除され、機能は機能ブロック間で交換される。ステップは、本発明の範囲内で説明された方法に追加または削除されてもよい。
【0194】
本発明を特定の実施例を参照して説明したが、本発明は多くの他の形態で具体化されてもよいことが当業者には理解されるであろう。
【0195】
最後に、本明細書に記載された本発明は、具体的に記載されたもの以外の変形、修正および/または追加が可能であることが理解されるべきであり、本発明は、本開示の精神および範囲内に入るこのようなすべての変形、修正および/または追加を含むことが理解されるべきである。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 凝縮器と、膨張装置と、蒸発器と、冷媒が充填された冷凍回路に接続された圧縮機とを含む空調システムと共に使用される熱交換装置であって、
凝縮液として前記蒸発器に凝縮した凝縮液を回収する回収装置と、
前記凝縮器に流れる空気流から前記蒸発器から受け取った凝縮液への熱伝達を容易にするように構成された第1の熱交換器と、
を有することを特徴とする熱交換装置。
[2] 前記回収装置、前記第1の熱交換器、および冷却剤出口は、冷却剤流路を介して流体連通状態で接続され、
前記冷却剤出口は、前記冷却剤流路内の前記第1の熱交換器の下流に配置され、使用時において、前記第1の熱交換器から熱を受け取った廃冷却剤を排出することを特徴とする[1]に記載の熱交換装置。
[3] 前記冷却剤流路は、前記第1の熱交換器の入口下流から前記第1の熱交換器の出口上流まで延びる再循環ループを含み、
使用時において、前記第1の熱交換器に供給される凝縮液の一部は、前記再循環ループを通って供給される再循環凝縮液であることを特徴とする[2]に記載の熱交換装置。
[4] 前記第1の熱交換器に供給される再循環凝縮液の一部は、前記第1の熱交換器に供給される凝縮液の全容積流量の10%未満であることを特徴とする[3]に記載の熱交換装置。
[5] 前記再循環凝縮液の一部は、前記第1の熱交換器に供給される凝縮液の全容積流量の5%未満であることを特徴とする[4]に記載の熱交換装置。
[6] 前記冷却剤流路は開ループ構成を含み、前記凝縮液の液流の一部は前記第1の熱交換器を通って再循環されないことを特徴とする[2]に記載の熱交換装置。
[7] 前記冷却剤流路は、前記回収装置によって集められた実質的に全ての凝縮液を前記第1の熱交換器に送るように構成されることを特徴とする[2]乃至[6]のいずれか1に記載の熱交換装置。
[8] 前記冷却剤流路は、前記回収装置と前記第1の熱交換器との間の凝縮液の温度上昇を最小にするように構成されることを特徴とする[2]乃至[7]のいずれか1に記載の熱交換装置。
[9] 前記冷却剤流路は、前記第1の熱交換器が前記回収装置の直ぐ下流にあるように構成されることを特徴とする[2]乃至[8]のいずれか1に記載の熱交換装置。
[10] 前記熱交換装置は、前記蒸発器から受け取った凝縮液への冷媒からの熱伝達を容易にするように構成された第2の熱交換器を有することを特徴とする[2]乃至[9]のいずれか1に記載の熱交換装置。
[11] 前記熱交換装置は、前記第1の熱交換器から前記第2の熱交換器への流体の流れを導くように構成されることを特徴とする[10]に記載の熱交換装置。
[12] 前記第2の熱交換器は、前記第1の熱交換器の下流で、かつ前記冷却剤出口の上流において前記冷却剤流路に接続されていることを特徴とする[11]に記載の熱交換装置。
[13] 前記第2の熱交換器は、前記第1の熱交換器に関連付けられ、かつ前記第1の熱交換器の上部に配置された容器内に配置されていることを特徴とする[8]乃至[12]のいずれか1に記載の熱交換装置。
[14] 前記第1の熱交換器は、下部冷却剤タンクと上部冷却剤タンクを有する一対の冷却剤タンクの間に延在する複数の冷却剤流路を含み、
前記第2の熱交換器は、前記上部冷却剤タンク内に配置され、
前記熱交換装置は、前記蒸発器から集められた凝縮液を前記下部冷却剤タンクに送るための導管をさらに含むことを特徴とする[13]に記載の熱交換装置。
[15] 前記第1の熱交換器が複数の細長いパイプを有することを特徴とする[1]乃至[14]のいずれか1に記載の熱交換装置。
[16] 前記第1の熱交換器は、使用時に、前記凝縮器の空気流入口の上に重なるように構成される冷却面を画定することを特徴とする[1]乃至[15]のいずれか1に記載の熱交換装置。
[17] 前記第1の熱交換器は、使用時に、前記空気流入口を横切る液状冷却剤の流れを容易にするように構成されることを特徴とする[16]に記載の熱交換装置。
[18] 既存の空調システムに前記熱交換装置を後付けするように構成されたキットを有することを特徴とする[1]乃至[17]のいずれか1に記載の熱交換装置。
[19] 前記キットは、既存の空調システムの凝縮器の空気取入口への前記第1の熱交換器の接続を容易にするように構成されていることを特徴とする[18]に記載の熱交換装置。
[20] [1]乃至[19]のいずれか1に記載の熱交換装置を含む空調システム。
[21] 冷媒で満たされた冷凍回路に接続された凝縮器、膨張装置、蒸発器および圧縮機を含む空調システムの効率を改善する方法であって、
a.蒸発器からの冷却凝縮物を捕集装置に集め、
b.凝縮液を第1の熱交換器に導き、該凝縮液を使用して凝縮器を冷却する空気流を冷却する、ことを特徴とする空調システムの効率を改善する方法。
[22] 前記凝縮液を第2の熱交換器へ導き、前記凝縮液を用いて前記冷凍回路内の冷媒を冷却する工程を有し、前記第2の熱交換器に導かれた前記凝縮液は前記第1の熱交換器を最初に通過することを特徴とする[21]に記載の方法。
[23] 既存の空調システムに関連付けられた凝縮器の空気流入口に前記第1の熱交換器を取り付ける工程を含むことを特徴とする[21]または[22]のいずれか1に記載の方法。
[24] 前記第1の熱交換器から熱を受け取った後に凝縮液を廃液出口に案内する工程を含むことを特徴とする[21]乃至[23]のいずれか1に記載の方法。
[25] 前記第1および第2の熱交換器の両方から熱を受取った後に凝縮液を前記廃液出口に案内する工程を含むことを特徴とする[24]に記載の方法。
[26] 凝縮液の流れの一部は、前記廃液出口へ導かれる前に、前記第1または第2の熱交換器を通って再循環されることを特徴とする[24]または[25]のいずれか1に記載の方法。
[27] 再循環凝縮液の一部は、前記第1の熱交換器を通る凝縮液容積流量の10%未満であることを特徴とする[26]に記載の方法。
[28] 前記再循環凝縮液の一部は、前記第1の熱交換器を通る凝縮液容積流量の5%未満であることを特徴とする[27]に記載の方法。
[29] 凝縮器と、膨張装置と、蒸発器と、圧縮機とを有する改善された空調システムであって、
前記凝縮器、前記膨張装置、前記蒸発器および前記圧縮機は、冷媒で満たされた冷凍回路内において流体連通状態に接続され、
前記蒸発器から受け取った流体を凝縮させるための前記凝縮器に向かって流れる空気流からの熱伝達を容易にするように構成された第1の熱交換器をさらに含むことを特徴とする空調システム。
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