(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-28
(45)【発行日】2022-02-07
(54)【発明の名称】極性切り替えを伴う衝撃波デバイス
(51)【国際特許分類】
A61B 17/22 20060101AFI20220131BHJP
【FI】
A61B17/22
(21)【出願番号】P 2018555589
(86)(22)【出願日】2017-02-01
(86)【国際出願番号】 US2017016066
(87)【国際公開番号】W WO2017189068
(87)【国際公開日】2017-11-02
【審査請求日】2020-01-21
(32)【優先日】2016-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515000292
【氏名又は名称】ショックウェーブ メディカル, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ク, ヴィンセント ウェンチュン
(72)【発明者】
【氏名】サーイビ, カミロ ペレス
【審査官】家辺 信太郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-528327(JP,A)
【文献】特開平10-066734(JP,A)
【文献】特表平06-506373(JP,A)
【文献】特表2015-522344(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0039002(US,A1)
【文献】中国実用新案第202113127(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
衝撃波デバイスであって、前記デバイスは、
軸方向に延びている細長い部材であって、前記細長い部材は、石灰化病変を治療するために血管を通って前進させられるように構成されている、細長い部材と、
前記細長い部材の一部を包囲する流体エンクロージャであって、前記流体エンクロージャは、伝導性流体で充填されるように構成されている、流体エンクロージャと、
第1の電極対と第2の電極対とを含む第1の電極アセンブリであって、前記第1の電極アセンブリは、前記流体エンクロージャによって
包囲されている前記細長い部材
の前記一部によって運搬され、前記伝導性流体中に位置付けられており、前記第1の電極対は、第1の電極と第2の電極とを含み、前記第1の電極対の前記第1の電極および前記第2の電極のそれぞれは、伝導性領域を有し、前記第2の電極対は、第1の電極と第2の電極とを含み、前記第2の電極対の前記第1の電極および前記第2の電極のそれぞれは、伝導性領域を有する、第1の電極アセンブリと、
前記第1の電極アセンブリに結合されているコントローラであって、前記コントローラは、一連の個々の電圧パルスを前記第1の電極アセンブリに送達するように構成されており、その結果、石灰化病変を治療するために、前記電圧パルスの各々は、前記伝導性流体中に衝撃波を作成し、前記コントローラは、一定の極性を有する電圧源と電圧極性スイッチとを含み、前記電圧極性スイッチは、前記電圧源の極性を切り替え、かつ、前記一連のパルスの一部に対して第1の方向に、および、前記一連のパルスの残りに対して前記第1の方向と反対の第2の方向に、前記
第1の電極アセンブリを通して電流を流動させるためのものであり、前記
第1の電極アセンブリに送達される各電圧パルスが単一の電流フロー方向を有するように、前記電圧極性スイッチは、個々の電圧パルスの送達の間でのみ動作し、前記第1の電極対および前記第2の電極対のそれぞれにおける前記第1の電極は、前記電圧極性スイッチに結合されており、前記第1の電極対における第2の電極は、前記第2の電極対の第2の電極に結合されており、前記第1の電極対における前記第1の電極は、前記第1の電極対における前記第2の電極の前記伝導性領域の表面積より小さい前記伝導性領域の表面積を有し、前記第2の電極対における前記第1の電極は、前記第2の電極対における前記第2の電極の前記伝導性領域の表面積より小さい前記伝導性領域の表面積を有する、コントローラと
を備える、デバイス。
【請求項2】
前記電圧極性スイッチは、前記一連のパルスの25パーセント~50パーセントに対して第2の方向に前記電流を流動させる、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
第1のワイヤが、前記第1の電極対の前記第1の電極を前記電圧極性スイッチの第1の端子に接続し、第2のワイヤが、前記第2の電極対の前記第1の電極を前記電圧極性スイッチの第2の端子に接続する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記デバイスは、前記第1の電極アセンブリに直列に結合されている第2の電極アセンブリをさらに備え、前記第2の電極アセンブリは、第3の電極対および第4の電極対を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記第3の電極対における第1の電極は、前記第2の電極対の第1の電極に接続されており、前記第4の電極対における第1の電極は、前記電圧極性スイッチに結合されており、前記第3の電極対における前記第1の電極および前記第4の電極対における前記第1の電極のそれぞれは、伝導性領域を有し、前記第3の電極対の第2の電極は、前記第4の電極対の第2の電極に結合されており、前記第3の電極対における前記第2の電極および前記第4の電極対における前記第2の電極のそれぞれは、伝導性領域を有し、前記第3の電極対における前記第1の電極は、前記第3の電極対における前記第2の電極の前記伝導性領域の表面積より小さい前記伝導性領域の表面積を有し、前記第4の電極対における前記第1の電極は、前記第4の電極対における前記第2の電極の前記伝導性領域の表面積より小さい前記伝導性領域の表面積を有する、請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
第1のワイヤが、前記第1の電極対の前記第1の電極を前記電圧極性スイッチの第1の端子に接続し、第2のワイヤが、前記第2の電極対の前記第1の電極を前記第3の電極対の前記第1の電極に接続し、第3のワイヤが、前記第4の電極対の前記第1の電極を前記電圧極性スイッチの第2の端子に接続する、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記デバイスは、第2の電極アセンブリをさらに備え、前記コントローラは、前記一連のパルスを前記第1の電極アセンブリおよび前記第2の電極アセンブリに選択的に送達するように構成されているマルチプレクサを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記流体エンクロージャは、前記細長い部材の一部を包囲するバルーンを含み、前記第1の電極アセンブリは、前記バルーン内に封入されており、かつ、前記バルーンから間隔を置かれている、請求項1に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衝撃波を生産するためのデバイスおよび方法に関する。デバイスおよび方法は、血管形成術および/または弁形成術手技のために使用され得る。
【背景技術】
【0002】
現在、血管形成術バルーンが、動脈の壁内の石灰化病変を開放するために使用されている。しかしながら、血管形成術バルーンが、血管壁内の病変を拡張させるように膨張されるとき、膨張圧力は、石灰化病変が破壊または亀裂が入るまでに膨大な量のエネルギーをバルーン内に貯蔵する。その貯蔵されたエネルギーは、次いで、解放され、応力および傷害を血管の壁にもたらし得る。
【0003】
電気水圧砕石術が、典型的には、尿路または胆道内の石灰化堆積物または「石」を破壊するために使用されている。砕石術電極は、同様に、血管構造の壁内の石灰化プラークを破壊するために有用であり得る。砕石術電極によって発生させられた衝撃波は、石灰化病変を選択的に破砕するために使用されることにより、脈管または弁壁がバルーンを使用して膨張されるとき、脈管または弁壁への急激な応力および傷害を防止することに役立ち得る。したがって、バルーン内に衝撃波を形成するための改良された方法を見出すことが有用であり得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書に説明されるのは、血管形成術または弁形成術手技において衝撃波を形成するためのデバイスおよび方法である。概して、本明細書に説明される衝撃波デバイスは、軸方向に延びている細長い部材を備えている。細長い部材は、第1の電極および第2の電極を備えている第1の電極対を備え得る。電極対は、伝導性流体中に位置付けられ得る。コントローラが、第1の電極対に結合され得、パルスの各々が伝導性流体中に衝撃波を作成するように、一連の個々のパルスを第1の電極対に送達するように構成され得る。コントローラは、一連のパルスの一部に対して第1の方向に、および残りの一連のパルスに対して第1の方向と反対の第2の方向に、電流に電極対を通って流動させ得る。いくつかの変形例では、電流は、一連のパルスの25パーセント~50パーセントに対して第2の方向に流動し得る。本明細書に説明される衝撃波デバイスおよび方法は、電極へのエネルギーの均一かつ一貫した送達を促進することに役立ち得、それは、電極の耐久性および性能を向上させ得る。
【0005】
いくつかの変形例では、コントローラは、一連のパルスの3分の1~半分に対して電流に第2の方向に流動させ得る。他の変形例では、コントローラは、一連のパルスの少なくとも約半分に対して電流に第2の方向に流動させ得る。
【0006】
いくつかの変形例では、コントローラは、正と負との間で電極の極性を切り替えるための電圧極性スイッチを備え得る。電極は、反対極性を有し得る。他の変形例では、第1の電極の第1の伝導性領域の第1の表面積は、第2の電極の第2の伝導性領域の第2の表面積より小さくあり得る。
【0007】
いくつかの変形例では、コントローラは、電圧源を備え得る。第1のワイヤが、第1の電極を電圧源の第1の端子に接続し得、第2のワイヤが、第2の電極を電圧源の第2の端子に接続し得る。いくつかの事例では、電流フローの第1の方向では、第1の端子は、正であり、第2の端子は、負であり、第2の方向いにおいて、第1の端子は、負であり、第2の端子は、正である。
【0008】
いくつかの変形例では、第2の電極対が、提供され得、コントローラは、一連のパルスを第1の電極対および第2の電極対に選択的に送達するように構成されているマルチプレクサをさらに備え得る。他の変形例では、デバイスは、電極対を包囲する流体エンクロージャをさらに備え得る。流体エンクロージャは、細長い部材の一部を包囲するバルーンを備え得る。バルーンは、伝導性流体で充填されるように構成され得、第1の電極対は、バルーン内に封入され、そこから間隔を置かれ得る。
【0009】
さらに他の変形例では、本明細書に説明される衝撃波デバイスは、軸方向に延びている細長い部材を備え得る。細長い部材は、第1の電極対および第2の電極対を備えている第1の電極アセンブリを備え得る。第1の電極アセンブリは、伝導性流体中に位置付けられ得る。コントローラが、第1の電極アセンブリに結合され、パルスの各々が伝導性流体中に衝撃波を作成するように、一連の個々のパルスを第1の電極アセンブリに送達するように構成され得る。コントローラは、一連のパルスの一部に対して第1の方向に、および残りの一連のパルスに対して第1の方向と反対の第2の方向に、電流に電極アセンブリを通って流動させ得る。いくつかの事例では、電流は、一連のパルスの25パーセント~50パーセントに対して第2の方向に流動する。
【0010】
いくつかの変形例では、第1の電極アセンブリは、第1の電極と、第2の電極と、共通電極とを備え得る。第1の電極対は、第1の電極と、共通電極とを備え得、第2の電極対は、第2の電極と、共通電極とを備え得る。いくつかの事例では、コントローラは、正と負との間で第1の電極および第2の電極の極性を切り替えるための電圧極性スイッチを備え得る。第1の電極および第2の電極は、反対極性を有し得る。他の事例では、第1の電極の第1の伝導性領域の第1の表面積および第2の電極の第2の伝導性領域の第2の表面積は、共通電極の第3の伝導性領域の第3の表面積と異なり得る。いくつかの事例では、コントローラは、電圧源を備え得、第1のワイヤが、第1の電極を電圧源の第1の端子に接続し得、第2のワイヤが、第2の電極を電圧源の第2の端子に接続し得る。他の事例では、コントローラは、電圧源を備え得、第1のワイヤが、第1の電極を電圧源の第1の端子に接続し得、第2のワイヤが、第2の電極を電圧源の第2の端子に接続し得、第3のワイヤが、共通電極を電圧源の第3の端子に接続し得る。
【0011】
いくつかの変形例では、第2の電極アセンブリは、第1の電極アセンブリに直列に結合され得る。いくつかの事例では、コントローラは、電圧源を備え得、第1のワイヤが、第1の電極アセンブリを電圧源の第1の端子に接続し得、第2のワイヤが、第1の電極アセンブリを第2の電極アセンブリに接続し得、第3のワイヤが、第2の電極アセンブリを電圧源の第2の端子に接続し得る。
【0012】
他の変形例では、デバイスは、第2の電極アセンブリを備え得る。コントローラは、一連のパルスを第1の電極アセンブリおよび第2の電極アセンブリに選択的に送達するマルチプレクサをさらに備え得る。さらに他の変形例では、デバイスは、第1の電極アセンブリを包囲する流体エンクロージャをさらに備え得る。流体エンクロージャは、細長い部材の一部を包囲するバルーンを備え得る。バルーンは、伝導性流体で充填されるように構成され得、第1の電極アセンブリは、バルーン内に封入され、そこから間隔を置かれ得る。
【0013】
いくつかの変形例では、本明細書に説明される衝撃波を形成する方法は、衝撃波デバイスを血管の中に前進させることを含み得る。衝撃波デバイスは、軸方向に延びている細長い部材を備え得る。細長い部材は、第1の電極および第2の電極を備えている第1の電極対を備え得る。第1の電極対は、伝導性流体中に位置付けられ得る。一連の個々のパルスは、第1の電極対に送達され、伝導性流体中に衝撃波を作成し、一連のパルスの一部に対して第1の方向に、および残りの一連のパルスに対して第1の方向と反対の第2の方向に、電流に電極対を通って流動させ得る。いくつかの変形例では、電流は、一連のパルスの25パーセント~50パーセントに対して第2の方向に流動し得る。
【0014】
いくつかの変形例では、電流は、一連のパルスの3分の1~半分に対して第2の方向に流動し得る。他の変形例では、電流は、一連のパルスの少なくとも約半分に対して第2の方向に流動し得る。いくつかの変形例では、電圧パルス幅が、測定され、衝撃波デバイスの状態を監視し得る。これらの変形例のいくつかでは、第2の方向に電流に流動させるパルスのパーセンテージは、測定された電圧パルス幅に従って調節され得る。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
衝撃波デバイスであって、前記デバイスは、
軸方向に延びている細長い部材と、
第1の電極および第2の電極を備えている第1の電極対であって、前記第1の電極対は、前記細長い部材上に提供され、伝導性流体中に位置付けられている、第1の電極対と、
前記第1の電極対に結合されているントローラと
を備え、
前記コントローラは、一連の個々のパルスを前記第1の電極対に送達するように構成され、それによって、前記パルスの各々は、前記伝導性流体中に衝撃波を作成し、前記コントローラは、前記一連のパルスの一部に対して第1の方向に、および残りの前記一連のパルスに対して前記第1の方向と反対の第2の方向に、電流に前記電極対を通って流動させ、前記電流は、前記一連のパルスの25パーセント~50パーセントに対して前記第2の方向に流動する、デバイス。
(項目2)
前記コントローラは、前記一連のパルスの3分の1~半分に対して前記電流に前記第2の方向に流動させる、項目1に記載のデバイス。
(項目3)
前記コントローラは、前記一連のパルスの少なくとも約半分に対して前記電流に前記第2の方向に流動させる、項目1に記載のデバイス。
(項目4)
前記コントローラは、正と負との間で前記電極の極性を切り替えるための電圧極性スイッチを備え、前記電極は、反対極性を有する、項目1に記載のデバイス。
(項目5)
前記第1の電極の第1の伝導性領域の第1の表面積は、前記第2の電極の第2の伝導性領域の第2の表面積より小さい、項目1に記載のデバイス。
(項目6)
前記コントローラは、電圧源を備え、第1のワイヤが、前記第1の電極を前記電圧源の第1の端子に接続し、第2のワイヤが、前記第2の電極を前記電圧源の第2の端子に接続する、項目1に記載のデバイス。
(項目7)
電流フローの前記第1の方向において、前記第1の端子は、正であり、前記第2の端子は、負であり、前記第2の方向いにおいて、前記第1の端子は、負であり、前記第2の端子は、正である、項目6に記載のデバイス。
(項目8)
第2の電極対をさらに備え、前記コントローラは、前記一連のパルスを前記第1の電極対および前記第2の電極対に選択的に送達するように構成されているマルチプレクサを備えている、項目1に記載のデバイス。
(項目9)
前記電極対を包囲する流体エンクロージャをさらに備えている、項目1に記載のデバイス。
(項目10)
前記流体エンクロージャは、前記細長い部材の一部を包囲するバルーンを備え、前記バルーンは、伝導性流体で充填されるように構成され、前記第1の電極対は、前記バルーン内に封入され、前記バルーンから間隔を置かれている、項目9に記載のデバイス。
(項目11)
衝撃波デバイスであって、前記デバイスは、
軸方向に延びている細長い部材と、
第1の電極対および第2の電極対を備えている第1の電極アセンブリであって、前記第1の電極アセンブリは、前記細長い部材上に提供され、伝導性流体中に位置付けられている、第1の電極アセンブリと、
前記第1の電極アセンブリに結合されているントローラと
を備え、
前記コントローラは、一連の個々のパルスを前記第1の電極アセンブリに送達するように構成され、それによって、前記パルスの各々は、前記伝導性流体中に衝撃波を作成し、前記コントローラは、前記一連のパルスの一部に対して第1の方向に、および残りの前記一連のパルスに対して前記第1の方向と反対の第2の方向に、電流に前記電極アセンブリを通って流動させ、前記電流は、前記一連のパルスの25パーセント~50パーセントに対して前記第2の方向に流動する、デバイス。
(項目12)
前記第1の電極アセンブリは、第1の電極と、第2の電極と、共通電極とを備え、前記第1の電極対は、前記第1の電極と、前記共通電極とを備え、前記第2の電極対は、前記第2の電極と、前記共通電極とを備えている、項目11に記載のデバイス。
(項目13)
前記コントローラは、正と負との間で前記第1の電極および前記第2の電極の極性を切り替えるための電圧極性スイッチを備え、前記第1の電極および前記第2の電極は、反対極性を有する、項目12に記載のデバイス。
(項目14)
前記第1の電極の第1の伝導性領域の第1の表面積および前記第2の電極の第2の伝導性領域の第2の表面積は、前記共通電極の第3の伝導性領域の第3の表面積と異なる、項目12に記載のデバイス。
(項目15)
前記コントローラは、電圧源を備え、第1のワイヤが、前記第1の電極を前記電圧源の第1の端子に接続し、第2のワイヤが、前記第2の電極を前記電圧源の第2の端子に接続する、項目12に記載のデバイス。
(項目16)
前記コントローラは、電圧源を備え、第1のワイヤが、前記第1の電極を前記電圧源の第1の端子に接続し、第2のワイヤが、前記第2の電極を前記電圧源の第2の端子に接続し、第3のワイヤが、前記共通電極を前記電圧源の第3の端子に接続する、項目12に記載のデバイス。
(項目17)
前記第1の電極アセンブリに直列に結合されている第2の電極アセンブリをさらに備えている、項目11に記載のデバイス。
(項目18)
前記コントローラは、電圧源を備え、第1のワイヤが、前記第1の電極アセンブリを前記電圧源の第1の端子に接続し、第2のワイヤが、前記第1の電極アセンブリを前記第2の電極アセンブリに接続し、第3のワイヤが、前記第2の電極アセンブリを前記電圧源の第2の端子に接続する、項目17に記載のデバイス。
(項目19)
第2の電極アセンブリをさらに備え、前記コントローラは、前記一連のパルスを前記第1の電極アセンブリおよび前記第2の電極アセンブリに選択的に送達するように構成されているマルチプレクサを備えている、項目11に記載のデバイス。
(項目20)
前記第1の電極アセンブリを包囲する流体エンクロージャをさらに備えている、項目11に記載のデバイス。
(項目21)
前記流体エンクロージャは、前記細長い部材の一部を包囲するバルーンを備え、前記バルーンは、伝導性流体で充填されるように構成され、前記第1の電極アセンブリは、前記バルーン内に封入され、前記バルーンから間隔を置かれている、項目20に記載のデバイス。
(項目22)
衝撃波を形成する方法であって、前記方法は、
衝撃波デバイスを血管の中に前進させることであって、前記衝撃波デバイスは、軸方向に延びている細長い部材と、第1の電極および第2の電極を備えている第1の電極対とを備え、前記第1の電極対は、前記細長い部材上に提供され、伝導性流体中に位置付けられている、ことと、
一連の個々のパルスを前記第1の電極対に送達し、前記伝導性流体中に衝撃波を作成し、前記一連のパルスの一部に対して第1の方向に、および残りの前記一連のパルスに対して前記第1の方向と反対の第2の方向に電流に前記電極対を通って流動させることと
を含み、
前記電流は、前記一連のパルスの25パーセント~50パーセントに対して前記第2の方向に流動する、方法。
(項目23)
前記電流は、前記一連のパルスの3分の1~半分に対して前記第2の方向に流動する、項目22に記載の方法。
(項目24)
前記電流は、前記一連のパルスの少なくとも約半分に対して前記第2の方向に流動する、項目22に記載の方法。
(項目25)
電圧パルス幅を測定し、前記衝撃波デバイスの状態を監視することをさらに含む、項目22に記載の方法。
(項目26)
前記第2の方向に電流に流動させるパルスのパーセンテージは、前記測定された電圧パルス幅に従って調節される、項目25に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1-1】
図1A-1Dは、電極アセンブリの変形例の例証的描写である。
図1Aおよび1Dは、電極アセンブリに結合されるコントローラの変形例のブロック図である。
図1Bおよび1Cは、平坦化電極アセンブリの変形例の例証的描写である。
【
図1-2】
図1A-1Dは、電極アセンブリの変形例の例証的描写である。
図1Aおよび1Dは、電極アセンブリに結合されるコントローラの変形例のブロック図である。
図1Bおよび1Cは、平坦化電極アセンブリの変形例の例証的描写である。
【
図2】
図2A-2Bは、一連の電極アセンブリの変形例の例証的描写である。
図2Aは、一連の電極アセンブリに結合されるコントローラの変形例のブロック図である。
図2Bは、平坦化電極アセンブリの変形例の例証的描写である。
【
図3】
図3は、電極アセンブリと、コントローラと、電圧源とを備えている衝撃波システムの変形例の例証的ブロック図である。
【
図4】
図4は、衝撃波システムの変形例の例証的タイミング図である。
【
図5】
図5は、衝撃波デバイスの別の変形例の斜視図である。
【
図6】
図6A-6Cは、電極アセンブリの別の変形例の例証的描写である。
図6Aは、電極アセンブリの変形例の上面図であり、
図6Bは、底面図である。
図6Cは、共通電極の変形例の斜視図である。
【
図7】
図7A-7Bは、一連の電極アセンブリの変形例の例証的描写である。
図7Aは、一連の電極アセンブリの変形例の上面図であり、
図7Bは、底面図である。
【
図8-1】
図8Aは、切り替えエネルギーパルスと非切り替えエネルギーパルスとの間のパルス数の関数として電圧降下を比較する例証的グラフである。
図8Bおよび8Cは、それぞれ、非切り替え電極アセンブリおよび切り替え電極アセンブリに関するパルス幅の関数として電圧降下を比較する、例証的グラフである。
【
図8-2】
図8Aは、切り替えエネルギーパルスと非切り替えエネルギーパルスとの間のパルス数の関数として電圧降下を比較する、例証的グラフである。
図8Bおよび8Cは、それぞれ、非切り替え電極アセンブリおよび切り替え電極アセンブリに関するパルス幅の関数として電圧降下を比較する例証的グラフである。
【
図9】
図9Aは、電圧極性の関数としてのパルス数の例証的グラフである。
図9Bは、切り替えエネルギーパルスと非切り替えエネルギーパルスとの間のパルス数の関数として電極アセンブリに送達されるエネルギーの例証的グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
血管形成術および/または弁形成術手技において使用するために好適であり得る1つ以上の衝撃波電極を備えているデバイスおよびシステムが、本明細書において説明される。概して、衝撃波電極は、軸方向に延びている細長い部材(例えば、カテーテル)に沿って提供され、種々のパルス持続時間にわたって0.1kV~10kVに及ぶ高電圧パルス源に取り付けられ得る。いくつかの変形例では、電極は、伝導性流体(例えば、生理食塩水)を伴うエンクロージャによって包囲され得る。いくつかの変形例では、エンクロージャは、細長い部材の一部を包囲するバルーンを備え、伝導性流体で充填されるように構成され得、電極は、バルーン壁内に封入され、バルーン壁から間隔を置かれ得る。
【0017】
コントローラが、第1の電極対に結合され、衝撃波を生産するための一連のエネルギーパルスを送達し得る。発生させられた衝撃波は、動脈または弁内の石灰化障害物を崩壊させ得る。衝撃波形成のための1つの機構が、以下に説明される。高電圧が、伝導性流体中に位置する一対の電極をまたいで印加されると、プラズマアークが、それらの間に生じ、蒸気の泡を流体中にもたらし得る。第1の衝撃波は、蒸気の泡が最初に生じるときに起こり得、第2の衝撃波は、蒸気の泡が崩壊するときに起こり得る。衝撃波は、流体を通して機械的に伝導され、機械的力または圧力を加え、血管系壁上または内の任意の石灰化プラークを破壊し得る。
【0018】
泡のサイズ、拡張率、および崩壊(したがって、機械的力の大きさ、持続時間、および分布)は、電圧パルスの大きさおよび持続時間に基づいて変動し得る。さらに、泡のタイミングおよびサイズは、得られる衝撃波の音波出力および伝搬方向とともに、少なくとも部分的に、電極の場所、幾何学形状、サイズ、状態、およびそれらの間の距離(電極ギャップ距離)に依存する。例えば、電極ギャップ距離の増加は、対応する音波出力を減少させる。電極のサイズおよび配列は、衝撃波デバイスによってアクセスおよび治療され得る血管構造のタイプにも影響を及ぼし得る。衝撃波電極は、使用中に発生させられ得る高電圧レベルおよび強い機械的力(例えば、数マイクロ秒以内に約300~3000psiまたは20~200ATM)に耐えることができる材料から作製され得る。例えば、電極は、ステンレス鋼、タングステン、ニッケル、鉄、鋼鉄等から作製され得る。
【0019】
概して、伝導性流体中の一対の電極間を流動する電流は、正の端子から負の端子への金属の移動を生じさせ、それは、最終的に、材料の正の端子電極を消耗させ、電流フローの方向が固定されている場合、片側浸食と称され得る。衝撃波電極は、流体を通って流動する必然的高電流(例えば、数百アンペア)、プラズマアークによって発生させられた熱、および機械的衝撃波力に起因して、パルスが印加される度に高摩耗および浸食率を経験し得る。
【0020】
本明細書に説明されるデバイス、システム、および方法は、電極摩耗率を低減させ、電極耐久性および衝撃波一貫性を向上させることに役立ち得る。電極対の寿命は、以下のうちの少なくとも1つに依存し得る:電圧パルスの極性、電圧パルスの長さ、電圧パルスの大きさ、材料性質、流体伝導性、電極対における電極の各々の伝導性領域間の電極ギャップ距離、および/または、対における電極の伝導性領域の表面積。より長いパルスは、より短いパルスと比較して、電極対の摩耗/浸食を増加させ得る。電極対が異なるサイズの電極を有し、一方の電極が他方の電極より小さい伝導性領域表面積を有するいくつかの変形例では、より小さい伝導性領域を伴う電極は、より大きい伝導性領域を伴う電極より浸食を受けやすくあり得る。すなわち、より小さい伝導性領域を伴う電極は、より大きい伝導性領域を伴う電極より高い率で浸食し得る。本明細書に説明されるデバイスおよび方法は、電極がほぼ同率で浸食するように、電極対における電極間の浸食率を均一化することに役立ち得る。これは、全体的電極対の耐久性を向上させ得、さらに、より多数のパルスにわたって電極対への均一エネルギー送達を促進し得る。
【0021】
衝撃波デバイスは、電極のサイズが異なり、より小さい電極が正の極性を有し、より大きい電極が負の極性を有するとき、最強衝撃波を発生させることを理解されたい。したがって、小さい正の端子電極と、大きい負の端子電極とを有する電極対は、最強衝撃波を形成し得るが、サイズおよび極性のこの組み合わせは、電極対の寿命を短縮し得る。短寿命の問題は、衝撃波デバイスおよび電極のサイズが前進させられる血管系のサイズによって限定され得るので、電極サイズを増加させるという単純な問題ではないこともある。しかしながら、以下にさらに詳細に説明されるような電圧極性切り替えは、電極が血管系を通してナビゲートされ得るように電極サイズを維持しながら、電極の長生きを促進し得る。加えて、または代替として、電圧極性切り替えは、非極性切り替えデバイスと比較して同様の電極寿命を伴って、電極サイズの低減を促進し得る。
【0022】
さらに、本明細書に説明されるデバイス、システム、および方法は、衝撃波デバイスに沿う異なる部位に形成される衝撃波強度の均一性を促進し得る。いくつかの変形例では、衝撃波デバイスは、直列に接続される複数の間隔を置かれる電極対を備え得る。電極対によって発生させられた衝撃波は、電極対のサイズおよび形状が同一であっても、強度が変動し得る。例えば、180度互いから離れて直列に位置付けられる同じ電極対は、デバイスの対向側から変動する強度の衝撃波を形成し得る。この差異は、任意の単一パルスに関して無視可能であり得る。しかしながら、一連のパルスにわたって、衝撃波デバイスの片側は、デバイスの他側よりカルシウム堆積物に亀裂を入れることにおいてより効果的であり得る。電圧極性切り替えは、以下にさらに詳細に説明されるように、異なる電極対において形成される衝撃波強度の均一性を促進し得る。
【0023】
例えば、コントローラが、一部のパルスのために第1の方向に、および他のパルスのために第1の方向と反対の第2の方向に電流に電極対を通って流動させ得る。例として、電流フローの方向は、パルス毎または2パルス毎に変動し得、特に、限定されない。パルスは、電流が衝撃波デバイスを通って流動しないとき、パルス間に合間が存在するように、離散的に出力されることに留意されたい。合間の持続時間は、例えば、所望の衝撃波発生率または周波数に従って事前に選択され得る。さらに、各パルスは、単一電流フロー方向を有し、パルス内で切り替わらない。例えば、電圧極性切り替えは、電流が衝撃波デバイスに流動していないときのみ切り替わり得る(すなわち、電圧極性切り替えは、電圧パルス間の合間においてのみ起こり、電圧パルス中には起こらないであろう)。
【0024】
さらに、電流フローの方向は、総パルス数が所定の電流フロー方向率を維持する限り、各パルスに対してランダムに変動し得る。例えば、第1の方向および第2の方向に均一に分割される50パルスの組に対して、電流フローの方向は、パルス毎に切り替わる必要はない。例証的例として、第1の方向における20パルス後、第2の方向に10パルス、次いで、第1の方向に3パルス、第2の方向に15パルス、および第1の方向に2パルスが続き得る。故に、総パルス数は、第1および第2の方向間で均一に分割されるが、電流フローにおける切り替え数は、必ずしも、電流フロー比方向に対応しない。
【0025】
いくつかの変形例では、単一パルスが、第2の方向に提供され、残りのパルスは、第1の方向に提供され得、その逆であり得る。これは、電極対が、一定極性を伴うパルスを受信する電極対と比較して、故障までにより多数のパルスを用いて衝撃波を生産することを可能にする。耐久性は、したがって、両電極にわたって正のパルスの電極摩耗を分散させることによって改良され得る。
【0026】
一変形例では、電流は、一連のパルスの約半分に対して第1の方向に、および一連のパルスの約残り半分に対して第2の反対方向に流動し得る。そうすることによって、各電極は、パルスの約半分に対して正の端子であるように設定され、それによって、電極のうちの任意の一方によって経験される高浸食正のパルスの数を略等しく対における電極間に分散させる。電流フローの方向は、1回以上の回数、切り替えられ得る。ある場合、電極対寿命は、単一電流フロー方向を有する電極と比較して、約2倍であり、単一電流フロー方向を有する電極と比較して、より多くの衝撃波が形成され、および/または電極対がより小さく形成されることを可能にし得る。したがって、本明細書に説明される衝撃波デバイスは、特に、冠動脈等の小動脈において有用であり得る。さらに、両方向に電流フローを伴うパルスを有する複数の電極対を備えている、衝撃波デバイスは、電極対によって発生させられる衝撃波強度の均一性を促進し得る。
【0027】
(I.デバイス)
概して、血管形成術および/または弁形成術手技のための衝撃波デバイスが、本明細書において説明される。本明細書に説明されるデバイスおよび方法は、「LOW PROFILE ELECTRODES FOR AN ANGIOPLASTY SHOCK WAVE CATHETER」と題された米国特許第8,888,788号に説明される1つ以上のデバイスまたは要素、および/または「SHOCK WAVE BALLOON CATHETER WITH MULTIPLE SHOCK WAVE SOURCES」と題された米国特許第9,011,463号に説明される1つ以上のデバイスまたは要素(それらの各々は、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる)を使用し得る。
【0028】
図1Aは、電極アセンブリ100に結合されるコントローラ120のブロック図である。電極アセンブリ100は、第1の電極102と、第2の電極104と、第3の電極106とを備え得る。第1の電極102は、第1のワイヤ108によって、コントローラ120の電圧源の第1の電圧出力端子V01に接続され得、第3の電極106は、第2のワイヤ110によって、コントローラ120の電圧源の第2の電圧出力端子V02に接続され得、第2または共通電極104は、第1の電極102と第3の電極106との間に直列に提供され得る。十分な電圧パルスの印加時、第1のプラズマアークが、第1の電極102と第2の電極104と(すなわち、第1の電極対)の間に形成され得、第2のプラズマアークが、第2の電極104と第3の電極106と(すなわち、第2の電極対)の間に形成され得る。第1および第2の電極対は、直列に接続され、第2の電極104は、第1および第2の電極対間で共有される。電極アセンブリ100は、2つの電極対を形成する3つの電極を備えているように上で説明されるが、電極アセンブリのいくつかの変形例は、1つの電極対を形成する2つの電極を備え得る。
【0029】
電流フローの第1の方向112のエネルギーパルスが、コントローラ120の電圧源122によって、電極アセンブリ100に送達され得る。コントローラ120は、第1の方向112と反対電流フロー方向の第2の方向116を有するために、電極アセンブリ100に送達される他のパルスを引き起こし得る。コントローラ120は、電極アセンブリ100に送達される各パルスに対して、電流フローの方向、したがって、電極の電圧極性を選択し得る。電流フローの方向を選択するために、コントローラ120は、電圧極性スイッチ124を備え、正と負との間で電極102、106の極性を切り替え得、電極102、106は、反対極性を有する。
【0030】
いくつかの変形例では、一連のパルスに対して、コントローラは、一連のパルスの一部に対して第1の方向に、および残りの一連のパルスに対して第1の方向と反対の第2の方向に、電流に電極対を通って流動させ得る。一変形例では、第1の電流フロー方向は、パルスのうちの少なくとも1つ対して提供され得る。別の変形例では、第1の電流フロー方向は、パルスの少なくとも約5%対して提供され得る。別の変形例では、第1の電流フロー方向は、パルスの少なくとも約10%対して提供され得る。別の変形例では、第1の電流フロー方向は、パルスの少なくとも約15%対して提供され得る。別の変形例では、第1の電流フロー方向は、パルスの少なくとも約20%対して提供され得る。別の変形例では、第1の電流フロー方向は、パルスの少なくとも約25%対して提供され得る。別の変形例では、第1の電流フロー方向は、パルスの少なくとも約30%対して提供され得る。さらに別の変形例では、第1の電流フロー方向は、パルスの少なくとも約3分の1対して提供され得る。別の変形例では、第1の電流フロー方向は、パルスの少なくとも約40%対して提供され得る。別の変形例では、第1の電流フロー方向は、パルスの少なくとも約45%対して提供され得る。なおも別の変形例では、第1の電流フロー方向は、パルスの少なくとも約半分対して提供され得る。
【0031】
なおも他の変形例では、第1の方向と第2の方向におけるパルスの電流フロー比は、約1:6であり得る。別の変形例では、第1の方向と第2の方向におけるパルスの電流フロー比は、約5:6であり得る。別の変形例では、第1の方向と第2の方向におけるパルスの電流フロー比は、約1:8であり得る。別の変形例では、第1の方向と第2の方向におけるパルスの電流フロー比は、約3:8であり得る。別の変形例では、第1の方向と第2の方向におけるパルスの電流フロー比は、約5:8であり得る。別の変形例では、第1の方向と第2の方向におけるパルスの電流フロー比は、約7:8であり得る。別の変形例では、第1の方向と第2の方向におけるパルスの電流フロー比は、約1:9であり得る。別の変形例では、第1の方向と第2の方向におけるパルスの電流フロー比は、約2:9であり得る。別の変形例では、第1の方向と第2の方向におけるパルスの電流フロー比は、約4:9であり得る。別の変形例では、第1の方向と第2の方向におけるパルスの電流フロー比は、約5:9であり得る。別の変形例では、第1の方向と第2の方向におけるパルスの電流フロー比は、約7:9であり得る。別の変形例では、第1の方向と第2の方向におけるパルスの電流フロー比は、約8:9であり得る。別の変形例では、第1の方向と第2の方向におけるパルスの電流フロー比は、約1:12であり得る。別の変形例では、第1の方向と第2の方向におけるパルスの電流フロー比は、約1:16であり得る。別の変形例では、第1の方向と第2の方向におけるパルスの電流フロー比は、約1:32であり得る。
【0032】
これらの例は、非限定的であることを理解されたい。例えば、コントローラは、1つのパルスが第2の方向に提供される以外、全てのパルスのために電流送達を第1の方向に提供し得、その逆であり得る。各電流フローの方向におけるパルスの数(例えば、第2の電流フロー方向に対する第1の方向の比)は、衝撃波デバイスの所望の寿命、衝撃波均一性、衝撃波エネルギー等に基づいて、決定され得る。いくつかの変形例では、パルスの約半分対して提供される第1の電流フロー方向は、衝撃波デバイスの寿命を最大限にし得る。
【0033】
電流フロー方向間の移行の数は、特に、限定されない。いくつかの事例では、電流フローの方向は、第1の方向と第2の方向のパルス比に従って切り替えられ得る。例えば、電流フローの方向は、等数の正および負のパルスが存在するとき、パルス毎に移行し得る。しかしながら、電流フローの方向は、総パルス数が所定の電流フロー方向率を維持する限り、各パルスに対してランダムに変動し得る。故に、電流フローの方向は、各方向におけるパルスの数が等しい場合でも、パルス毎に切り替わる必要はない。別の例として、パルスの電流フローの方向を平均して交互させることは、より小さい電極の耐久性、したがって、電極アセンブリの寿命を約2倍にし得る。電極対における電極が、等しいサイズであっても、各電極が略同一数の正のパルスを受信するように、電流フローの方向を交互させることは、単一方向の電流を受信する電極と比較して、電極対の耐久性が約2倍になるように、2つの電極にわたって摩耗を分散させるであろう。任意の数のパルスの極性切り替えが、耐久性(例えば、電極故障までに電極が発生させる衝撃波の数)を補助することに留意されたい。
【0034】
さらに、異なる電極対からの衝撃波出力は、極性切り替えが各電極対が正のパルスを受信することを可能にするので、平均して衝撃波部位間の衝撃波力の均一性を促進し得る。これは、各衝撃波部位に送達されるより高い平均衝撃波強度を伴って、より予測可能な結果を可能にする。例えば、
図9Bは、静的(一定極性)衝撃波デバイスと切り替え(交互極性)衝撃波デバイスとに対するパルス数の関数として送達されるエネルギーの例証的グラフである。
図9Bでは、極性切り替え衝撃波デバイスによって送達される電気エネルギーは、一定極性デバイスに送達されるエネルギーよりパルスあたり平均して高く、それより小さく減衰する。送達される電気エネルギーは、衝撃波強度と正に関係づけられ得る。
【0035】
次に、
図1Bおよび1Cに図示される第2の電極104は、以下にさらに詳細に議論されるような
図6Cに描写されるものに類似する円筒形またはリング形状を有し得る。しかしながら、説明を容易にするために、
図1Bおよび1Cは、平坦化された第2の電極104を描写し、電極アセンブリ100に印加され得る異なる電圧極性を図示する。
図1Bでは、コントローラ120は、1つ以上の正のパルスを電流フローの第1の方向112に出力し得、第1のワイヤ108は、コントローラ120の電圧源122の正の端子と第1の電極102とに結合され、第2のワイヤ110は、コントローラ120の電圧源の負の端子と第3の電極106とに結合される。使用時、電圧パルスの印加は、電極対を横断して延び、電流の伝導を可能にする流体中にプラズマを作成する。電流は、次いで、第1の電極102から第2の電極104、次いで、第3の電極106に流動する。プラズマ形成は、したがって、直列に接続される2つの電極対を作成する。前述のように、正の端子の第1の電極102は、コントローラ120から正のパルスを受信するとき、負の端子の第3の電極106より高い摩耗率を経験し得る。
【0036】
逆に言えば、
図1Cでは、負の端子の第1の電極102は、コントローラ120の電圧源122から電流フローの第2の方向116に負のパルスを受信するとき、正の端子の第3の電極106より少なく材料を消耗させ得る。第1の電極102と第3の電極106との間の摩耗をより均一に分散させるために、コントローラ120は、パルスの一部のために第1の方向112(
図1B)に、および残りのパルスのために第1の方向112と反対の第2の方向116(
図1C)に、電流を流動させ得る。結果として、電極アセンブリ100は、より小さい電極(102、106)の一方または両方が消耗させられ、電極アセンブリ100が故障するまで、改良された一貫性を伴って、より多数の衝撃波を形成し得る。
【0037】
さらに、
図1Bおよび1Cに示されるように、第1の電極102および第3の電極106は、電流フローの方向にかかわらず、反対電圧極性を有するであろう。したがって、第1の電極対と第2の電極対とによって形成される衝撃波の強度は、パルス毎に異なるであろう。図示される実施形態では、第1の電極102および第3の電極106の伝導性領域は、第2の電極104の伝導性領域より小さくあり得る。故に、正のパルス112を受信する第1の電極対(
図1B)は、第2の電極対より強い衝撃波を発生させ得る。同様に、負のパルス116を受信する第1の電極対は、第2の電極対より弱い衝撃波を発生させ得る。
【0038】
しかしながら、電極アセンブリ100への正および負のパルスを交互させることによって、第1の電極対および第2の電極対による平均衝撃波強度出力は、より均一となり、変動性を低減させ得る。これは、衝撃波デバイスによるより一貫し、予測可能な治療を提供し得、それによって、施術者は、電極対間の差異衝撃波強度に基づいて血管系内の衝撃波デバイスを整列させる必要がないこともある。
【0039】
図1Dは、電極アセンブリ100に結合されるコントローラ120の別の変形例のブロック図である。電極アセンブリ100は、第1の電極102と、第2の電極104と、第3の電極106とを備え得る。第1の電極102および第2または共通電極104は、第1の電極対を形成し、第3の電極106および第2の電極104は、第2の電極対を形成する。第1の電流フロー方向112のエネルギーパルスが、コントローラ120の電圧源122によって、電極アセンブリ100に送達され得る。コントローラ120は、電極アセンブリ100を通して第1の方向112と反対の第2の電流フロー方向116を有する電極アセンブリ100に送達される他のパルスを引き起こし得る。コントローラ120の電圧極性スイッチ124は、電極アセンブリ100に送達されるパルスに対して、電流フローの方向、したがって、電極の電圧極性を選択し得る。
【0040】
図1Dでは、第1の電極102は、第1のワイヤ108によって、コントローラ120の電圧源122の第1の電圧出力端子V01に接続され得、第3の電極106は、第2のワイヤ110によって、コントローラ120の電圧源122の第2の電圧出力端子V02に接続され得、第2の電極104は、第3のワイヤ114によって、コントローラ120の電圧源122の第3の電圧出力端子V03(接地チャネル)に接続され得る。いくつかの変形例では、第1の電圧出力端子VO1および第2の電圧出力端子VO2は、パルスの一部に対して正のチャネルであり得る一方、第3の電圧出力端子VO3は、負のチャネルであり得る。コントローラ120は、残りのパルスに対して、第1の電圧出力端子VO1および第2の電圧出力端子VO2が負のチャネルであり、第3の電圧出力端子VO3が正のチャネルであり得るように設定され得る。
【0041】
第1および/または第2の電圧出力端子VO1、VO2における高電圧パルス中、電流は、第1のワイヤ108および/または第2のワイヤ110を介してそれぞれの第1の電極102および第3の電極106へと第1の方向112または第2の方向116に流動し得る。コントローラ120の電圧源122は、第1の電極102と第2の電極104との間の潜在的差異が、プラズマアークをそれらの間に形成し、衝撃波をもたらす泡を発生させるために十分に大きくなるように、正または負のパルスを出力端子VO1上に印加し得る。同様に、コントローラ120の電圧源は、第3の電極106と第2の電極104との間の潜在的差異が、プラズマアークをそれらの間に形成し、異なる衝撃波をもたらす泡を発生させるために十分に大きくなるように、同時に、または連続的に、正または負のエネルギーパルスを出力端子VO2に印加し得る。いくつかの変形例では、エネルギーパルスが出力端子V01およびV02に同時に印加されると、第1の電極102と第2の電極104との間に形成される第1の衝撃波と、第3の電極106と第2の電極104との間に形成される第2の衝撃波とが、同時に形成され得る。
【0042】
第1の電極102および第3の電極106が、互いに反対に円周方向に(例えば、細長い部材の円周の周囲に互いから180度離れて)位置する場合、第1および第2の電極対によって発生させられた衝撃波は、反対方向に伝搬し、衝撃波デバイスの側面から外向きに延び得る。第1の電極102および/または第3の電極106から第2の電極104に泡を横断する電流は、第3のワイヤ114を介して、電圧出力端子VO3(接地チャネルであり得る)に戻り得る。電圧出力端子VO1およびVO2は、独立してアドレスされること(例えば、電圧および電流は、一方の出力に印加され得るが、必ずしも、他方に印加されないこともある)も、独立してアドレスされないこともある(例えば、一方の出力のアクティブ化は、必然的に、他方をアクティブにする)。
【0043】
別の変形例では、
図2Aは、第1および第2の電極アセンブリ200、250に結合されるコントローラ220のブロック図である。第1の電極202および第1の共通電極206は、第1の衝撃波を発生させ得る第1の電極対を形成し、第2の電極204および第1の共通電極206は、第2の衝撃波を発生させ得る第2の電極対を形成する。同様に、第3の電極252および第2の共通電極256は、第3の衝撃波を発生さ得る、第3の電極対を形成し、第4の電極254および第2の共通電極256は、第4の衝撃波を発生させ得る第4の電極対を形成する。
【0044】
第1、第2、第3、および第4の電極対は、一連の構成において接続され、一連のパルスを受信し得る。第1の電流フロー方向214の一連のパルスの一部が、コントローラ220の電圧源222によって、第1および第2の電極アセンブリ200、250に送達され得る。コントローラ220は、電極アセンブリ200、250を通して第2の方向216の電流フローを有するように、第1および第2の電極アセンブリ200、250に送達される残りの一連のパルスを生じさせ得る。コントローラ220の電圧極性スイッチ224は、電極アセンブリ200、250に送達される各パルスに対して、電流フローの方向、したがって、電極の電圧極性を選択し得る。例えば、電圧極性スイッチ224は、正と負の間で第1の電極202および第4の電極254の極性を切り替え得、第1の電極202および第4の電極254は、反対極性を有する。
【0045】
いくつかの変形例では、一連のパルスに対して、コントローラは、一連のパルスの一部に対して第1の方向に、および残りの一連のパルスに対して第1の方向と反対の第2の方向に、電流に電極対を通って流動させ得る。一変形例では、第1の電流フロー方向は、パルスのうちの少なくとも1つに対して提供され得る。別の変形例では、第1の電流フロー方向は、パルスの少なくとも約5%に対して提供され得る。別の変形例では、第1の電流フロー方向は、パルスの少なくとも約10%に対して提供され得る。別の変形例では、第1の電流フロー方向は、パルスの少なくとも約15%に対して提供され得る。別の変形例では、第1の電流フロー方向は、パルスの少なくとも約20%に対して提供され得る。別の変形例では、第1の電流フロー方向は、パルスの少なくとも約25%に対して提供され得る。別の変形例では、第1の電流フロー方向は、パルスの少なくとも約30%に対して提供され得る。さらに別の変形例では、第1の電流フロー方向は、パルスの少なくとも約3分の1に対して提供され得る。別の変形例では、第1の電流フロー方向は、パルスの少なくとも約40%に対して提供され得る。別の変形例では、第1の電流フロー方向は、パルスの少なくとも約45%に対して提供され得る。なおも別の変形例では、第1の電流フロー方向は、パルスの少なくとも約半分対して提供され得る。
【0046】
なおも他の変形例では、第1の方向と第2の方向におけるパルスの電流フロー比は、約1:6であり得る。別の変形例では、第1の方向と第2の方向におけるパルスの電流フロー比は、約5:6であり得る。別の変形例では、第1の方向と第2の方向におけるパルスの電流フロー比は、約1:8であり得る。別の変形例では、第1の方向と第2の方向におけるパルスの電流フロー比は、約3:8であり得る。別の変形例では、第1の方向と第2の方向におけるパルスの電流フロー比は、約5:8であり得る。別の変形例では、第1の方向と第2の方向におけるパルスの電流フロー比は、約7:8であり得る。別の変形例では、第1の方向と第2の方向におけるパルスの電流フロー比は、約1:9であり得る。別の変形例では、第1の方向と第2の方向におけるパルスの電流フロー比は、約2:9であり得る。別の変形例では、第1の方向と第2の方向におけるパルスの電流フロー比は、約4:9であり得る。別の変形例では、第1の方向と第2の方向におけるパルスの電流フロー比は、約5:9であり得る。別の変形例では、第1の方向と第2の方向におけるパルスの電流フロー比は、約7:9であり得る。別の変形例では、第1の方向と第2の方向におけるパルスの電流フロー比は、約8:9であり得る。別の変形例では、第1の方向と第2の方向におけるパルスの電流フロー比は、約1:12であり得る。別の変形例では、第1の方向と第2の方向におけるパルスの電流フロー比は、約1:16であり得る。別の変形例では、第1の方向と第2の方向におけるパルスの電流フロー比は、約1:32であり得る。
【0047】
いくつかの変形例では、各電流フローの方向におけるパルスの数(例えば、第2の方向に対する第1の方向の電流フロー比)は、衝撃波デバイスの所望の寿命、衝撃波均一性、衝撃波エネルギー、材料性質、電極ギャップ距離、流体伝導性等に基づいて、決定され得る。いくつかの事例では、電流フローの方向は、第1の方向と第2の方向のパルス比に従って切り替えられ得る。他の事例では、電流フローの方向は、総パルス数が所定電流フロー方向の比を維持する限り、各パルスに対してランダムに変動し得る。
【0048】
さらに、第1から第4の電極対からの衝撃波出力は、極性切り替えが各電極対が正のパルスを受信することを可能にするので、平均してより均一な強度を有し得る。これは、各電極対に送達されるより大量の電気エネルギーを伴って、より予測可能な結果を可能にし、それは、より強い衝撃波の発生を促進し得る。したがって、衝撃波デバイスは、血管系内のその向きにかかわらず、機械的力/圧力をより均一に印加することが可能であり得る。
【0049】
図2Aに図示される第1および第2の共通電極206、256は、いくつかの変形例では、以下にさらに詳細に議論されるような
図6Cに描写されるのに類似する円筒形またはリング形状を有し得る。しかしながら、説明を容易にするために、
図2Bは、平坦化された第1および第2の共通電極206、256を描写し、第1および第2の電極アセンブリ200、250に印加され得る異なる電圧極性を図示する。コントローラ220の電圧源222は、第1のワイヤ208が、コントローラ220の正の端子VO1に結合され、第3のワイヤ212が、コントローラ220の負の端子VO2に結合される場合、1つ以上のパルスを出力し得る。第2の電極204は、第2のワイヤ210(例えば、相互接続ワイヤ)を介して、第3の電極252に接続され得る。この構成では、第1および第2の電極アセンブリ200、250は、正のパルスを受信し、第1および第3の電極対は、第2および第4の電極対より強い衝撃波を発生させる。
【0050】
逆に言えば、コントローラ220の電圧源222は、第1のワイヤ208が、コントローラ220の負の端子VO1に結合され、第3のワイヤ212が、コントローラ220の正の端子VO2に結合される場合、1つ以上のパルスを出力し得る。この構成では、第1および第2の電極アセンブリ200、250は、負のパルスを受信し、第2および第4の電極対は、より強い衝撃波を発生させる。したがって、第1および第2の電極アセンブリ200、250の電極間の摩耗をより均一に分散させるために、コントローラ220の電圧極性スイッチ224は、一連のパルスのパルスの一部に対して第1の方向に、および残りの一連のパルスに対して第1の方向と反対の第2の方向に、電流を流動させ得る。結果として、電極アセンブリ200、250は、より小さい内側電極(202、204、252、254)のうちの1つ以上のものが消耗するまで、より多数の衝撃波を形成し、かつ平均してより均一な衝撃波が電極アセンブリ(200、250)から伝搬され得る。
【0051】
図3は、第1の電極アセンブリ302と、第2の電極アセンブリ303と、第3の電極アセンブリ304と、第4の電極アセンブリ306と、第5の電極アセンブリ307とを備えている衝撃波システム300の変形例の例証的ブロック図である。第1の電極アセンブリ302は、
図1Aおよび1Bに描写されるような第1の電極102、第2の電極104、および第3の電極106に類似する構造を有する第1の電極302aと、第2の電極302bと、第3の電極302cとをそれぞれ備え得る。
図3に記号的に示されるように、第1の電極302aおよび第3の電極302cの伝導性表面積は、第2の電極302bの伝導性表面積と比較してより小さくあり得る。他の変形例では、より大きい電極302bは、例えば、相互接続ワイヤによって接続される個々の電極を備え得る。第2から第5の電極アセンブリ303、304、306、および307は、第1の電極アセンブリ302と同様の電極構成を備え得る。
【0052】
第1および第2の電極アセンブリ302および303は、直列に接続される。第4および第5の電極アセンブリ306、307は、直列に接続される。
図3に示されるように、電極アセンブリ302、303、304、306、および307は、コントローラ310と並列に切り替え可能に接続される。コントローラ310は、電圧源312を備え、パルスを電極アセンブリ302、303、304、306、および307に送達し得る。コントローラ310のマルチプレクサ316は、第1および第2の電極アセンブリ302および303と、第3の電極アセンブリ304と、第4および第5の電極アセンブリ306および307とを選択的にアクティブにし得る。マルチプレクサ316は、個々に、一度に1つ、または任意の組み合わせにおいて、並列電極アセンブリラインに電圧源312を選択的に接続するように構成され得る。コントローラ310は、第1のスイッチ位置318に対応する第1の電流フロー方向と、第1の方向と反対の第2の電流フロー方向とを提供するように構成されている電圧極性スイッチ314をさらに備え得、第2の方向は、第2のスイッチ位置320に対応する。
【0053】
例えば、電圧源312は、所定の電圧パルスを電圧極性スイッチ314に出力する。スイッチ314では、電流フローの方向は、第1の電流フロー方向と第1の方向と反対の第2の方向との間で選択される。マルチプレクサ316は、第1の方向または第2の方向のいずれかにおいてエネルギーパルスを受信し、次いで、
図4のタイミング図に図示されるように、電圧極性スイッチ314によって選択された電流フロー方向を有する一連のパルスを電極アセンブリ302、303、304、306、および307に選択的に送達し得る。
【0054】
図4は、電流の選択的に送達される方向を伴って電極を電源に選択的に結合するための衝撃波システム300の変形例の例証的タイミング図である。例えば、コントローラ310は、第1の電圧極性において、電極アセンブリの異なる組を連続的に(例えば、一度に1つ)アクティブにし、次いで、第2の電圧極性において、電極アセンブリの異なる組を連続的にアクティブにし得る。これは、各衝撃波源に対して、高電圧の全てを反転させ、したがって、血管系全体に沿ってカルシウム堆積物に印加されるための最大強度の衝撃波を形成する。電極アセンブリ302、303、304、306、および307の各々に対して後続パルスの極性を反転させることは、電極アセンブリの電極対における電極摩耗および衝撃波強度をより均一に分散させ、したがって、衝撃波デバイスの寿命および一貫性を増加させ得る。他の例では、電極アセンブリの電圧極性は、パルス毎、2パルス毎、3パルス毎に変動し得、特に、限定されない。さらに、電圧極性は、ランダムに変動し得る。例えば、第1の電圧極性(例えば、正のパルス)と第2の電圧極性(例えば、負のパルス)との間で均一に分割される50パルスの組に対して、電圧極性は、パルス毎に切り替わる必要はない。例証的例として、第1の電圧極性における8パルス後、第2の電圧極性における5パルス、次いで、第1の電圧極性における7パルス、第2の電圧極性における5パルス、第1の電圧極性における10パルス、および第2の電圧極性における15パルスが続き得る。故に、総パルス数は、第1および第2の電圧極性間で均一に分割されるが、極性の切り替え数は、必ずしも、電流フロー比に依存しない。
【0055】
いくつかの変形例では、マルチプレクサが、
図3に描写されるような電極アセンブリ302、303、304、306、および307のうちの1つ以上のものに結合され得る。例えば、本明細書で議論される電圧極性切り替えシーケンスの任意のものは、マルチプレクサ316とともに組み込まれ得る。いくつかの変形例では、電圧極性の選択は、マルチプレクサによって選択された電極アセンブリから独立し得る。極性とタイミングとを交互にすることは、正のパルス摩耗を複数の電極にわたって分散させることと、電極アセンブリのための休止時間を増加させることとの二重利点を提供し得る。
【0056】
上で説明される極性切り替えと多重化とは、以下に詳細に説明されるような
図5-7Bの例証的変形例を含む本明細書に説明される衝撃波デバイスのいずれかに適用され得る。一変形例では、複数の電極アセンブリを有する衝撃波デバイスが、説明される。特に、
図5は、2つの電極アセンブリ506、508を有する衝撃波デバイスの遠位部分を描写する。特に、
図5は、細長い部材502と、細長い部材502の長さに沿った第1の場所における第1の電極アセンブリ506と、細長い部材502の長さに沿った第2の場所における第2の電極アセンブリ508と、随意に、伝導性流体で充填可能であり、第1および第2の電極アセンブリ506、508をシール可能に封入するように構成されているエンクロージャ504とを備えている衝撃波デバイス500の一変形例を描写する。いくつかの変形例では、エンクロージャは、膜および/またはバルーンを備え得、膜および/またはバルーンは、非コンプライアント(例えば、PET等)、半コンプライアント(例えば、PBAX、ナイロン、PEBA、ポリエチレン等)、および/またはコンプライアント(例えば、ポリウレタン、シリコーン等)であり得る電気絶縁材料から作製され得る。エンクロージャ504は、任意の数の電極アセンブリを封入し得る。
【0057】
衝撃波デバイス500は、伝導性流体をエンクロージャ506の中に導入する流体源と連通する流体管腔(図示せず)を備え得る。第1の端子510と、第2の端子512とを有する電圧源(図示せず)が、衝撃波デバイス500に結合され得る。前述のように、端子510、512の極性は、パルス毎に、または所定のシーケンスで変動し得る。エネルギーパルスが、電極対506、508に印加され、それによって、流体を通って伝搬し、石灰化障害物に衝突し得る1つ以上の衝撃波を発生させ得る。
図5における衝撃波デバイス500は、2つの電極対506、508を有するように描写されるが、他の変形例は、異なる数の電極対(例えば、3、4、5、6、またはそれを上回る電極対)を有し得ることを理解されたい。
【0058】
いくつかの変形例では、電極アセンブリ506、508の各々は、互いに反対に円周方向に位置付けられる2つの内側電極と、2つの内側電極の上に整列させられる2つの開口部を伴う絶縁シースと、絶縁シースの2つの開口部と同軸に整列させられる2つの開口部を伴う外側共通電極とを備え得る。
図6A-6Cは、2つの内側電極と、外側共通電極とを含むこの構成における電極アセンブリの一変形例を図示する。電極アセンブリ506、508の各々は、一対の方向性衝撃波を発生させるように構成され得、第1の内側電極への高電圧パルスから生じる衝撃波は、第2の内側電極への高電圧パルスから生じる衝撃波の方向と反対の方向に伝搬する。いくつかの変形例では、電極アセンブリ506、508は、細長い部材502の円周の周囲の異なる場所から外向きに伝搬する衝撃波を発生させ得る。例えば、電極アセンブリ506は、細長い部材の左右縦方向側から伝搬する衝撃波を発生させ得る一方、電極アセンブリ508は、細長い部材502の上下縦方向側から伝搬する衝撃波を発生させ得る。
【0059】
他の変形例では、電極アセンブリ506は、細長い部材502の円周の周囲の0度および180度における位置から外向きに伝搬する一対の衝撃波を発生させ得る一方、電極アセンブリ508は、細長い部材の円周の周囲の60度および240度における位置から外向きに伝搬する一対の衝撃波を発生させ得る。なおも他の変形例では、電極アセンブリ506、508の各々は、細長い部材の円周の周囲の同一場所であるが、細長い部材の長さに沿って異なる場所から外向きに伝搬する一対の衝撃波を発生させ得る。随意に、1つ以上の放射線不透過性マーカバンドが、細長い部材の長さに沿って提供され、患者の血管系を通して挿入されるとき、施術者が衝撃波デバイス500の場所および/または向きを識別することを可能にし得る。
【0060】
カテーテルの長さに沿って分散させられた複数の電極アセンブリを伴う衝撃波デバイスは、脈管の長さに沿って位置し得る石灰化プラークを破壊するために、血管形成術手技において使用するために好適であり得ることを理解されたい。湾曲した細長い部材の長さに沿って複数の電極アセンブリを伴う衝撃波デバイスは、弁の円周の周囲に(例えば、弁の弁尖またはその周囲に)位置し得る石灰化プラークを破壊するために、弁形成術手技において使用するために好適であり得る。
図2Aの回路図および
図2Bの簡略化されたレイアウトは、電極アセンブリ506、508の各々が、
図6に示されるように、2つの電極対を含むとき、
図5の実施形態に電気的に対応することに留意されたい。
【0061】
図6A-6Bは、それぞれ、衝撃波を反対方向に発生させるように構成され得る電極アセンブリ600を有する衝撃波デバイスの一変形例の上面および底面図を描写する。
図6Aは、第1の内側電極602が描写される電極アセンブリ600の上面図であり、
図6Bは、第2の内側電極604が描写される電極アセンブリ600の底面図である。第1および第2の内側電極は、共通電極606を共有し、互いに反対に円周方向に(すなわち、180度離れて)位置する。第1の電極602は、第1のワイヤ608によって、コントローラ(
図6A-6Bには図示せず)の電圧源の第1の電圧出力端子VO1に接続され得、第2の電極604は、第2のワイヤ610によって、コントローラの電圧源の第2の電圧出力端子V02に接続され得る。第1の電極602および共通電極606は、第1の衝撃波方向に外向きに伝搬する第1の衝撃波を発生させ得る第1の電極対を形成し、第2の電極604および共通電極606は、第1の衝撃波方向と反対の第2の衝撃波方向に外向きに伝搬する第2の衝撃波を発生させ得る第2の電極対を形成する。第1の電流方向616に提供される正のパルスに対して、電流は、第1の電極対から第2の電極対に流動する。同様に、第1の電流方向616と反対の第2の電流方向618に提供される負のパルスに対して、電流は、第2の電極対から第1の電極対に流動する。
【0062】
電極対における伝導性領域の表面積の差異が、より大きい衝撃波を発生させために提供され得る。例えば、第1の電極602と第2の電極604との縁の表面積は、伝導性領域としての役割を果たし得、高エネルギーパルスに起因して、最も摩耗する可能性が高い電極の部分であり得る。共通電極606等の電極は、異なる表面積を有する第1および第2の電極602、604の各々のために2つの伝導性領域を形成し得る。いくつかの変形例では、第1の電極602および第2の電極604の伝導性領域の表面積は、共通電極606と比較して、より小さい表面積であり得る。したがって、電極アセンブリ600の寿命は、より小さい電極602、604の消耗率に依存し得る。
【0063】
エネルギーパルスが、電極対に印加され、衝撃波を形成するにつれて、内側および外側電極からの電極材料の浸食は、プラズマアークがもはや形成される可能性がなくなるまで、電極対における電極間の距離を増加させ得る。この時点で、電極対は、故障し、その寿命期間の終了に到達する。以下にさらに詳細に議論されるように、浸食および摩耗度は、電圧降下、電圧パルス幅、電圧パルス幅の低電圧相似、および/または電極対を横断する高電圧パルスの持続時間を示す(またはそれと関係づけられる)任意の信号のうちの1つ以上のものを測定することによって、決定され得る。
【0064】
図6Cは、外側共通電極606の斜視図を描写する。そこに描写されるように、第1の開口部612は、第2の開口部614の真向いに位置し得る。外側共通電極606は、第2の内側電極の上に同軸に整列させられる第2の開口部614を有し得、第1の内側電極604は、外側共通電極606の第1の開口部612と同軸に整列させられ得る。この構成は、第1の方向に外向きに伝搬する第1の衝撃波と、第1の方向と反対の第2の方向に外向きに伝搬する、第2の衝撃波とを発生させ得る。
【0065】
図6Aおよび6Bに戻ると、ワイヤ608、610は、ワイヤの導電性コアが露出され、内側および/または外側電極の一部に接触する1つ以上の領域を除き、その長さに沿って電気的に絶縁され得る(例えば、絶縁コーティング、または、例えば、ポリイミド、PEBA、PET、FEP、PTFE等から作製される、シースによって)。ワイヤ608、610は、任意の伝導性材料、例えば、無酸素銅または銅もしくは銀から作製され得る。
【0066】
図7A-7Bは、衝撃波デバイスの長さに沿って衝撃波を発生させるように構成され得る第1の電極アセンブリ700と、第2の電極アセンブリ750とを有する衝撃波デバイスの一変形例の上面および底面図を描写する。電極アセンブリ700、750は、第1の電極アセンブリ700をアクティブにすることが、第2の電極アセンブリ750をアクティブにするように、互いに対して直列に接続され得る。いくつかの変形例では、多くのワイヤを伴わずに、かつコントローラ上により少ない端子を使用して、複数の衝撃波源を有することが望ましくあり得る。例えば、2つの電極アセンブリを直列に接続することは、衝撃波デバイスが、2つの電圧出力端子(例えば、1つの正のチャネルおよび1つの負のチャネル)のみを使用して、最大4つの異なる衝撃波を同時に発生させることを可能にし得る。加えて、細長い部材の長さに沿って延びているワイヤの数を低減させることは、細長い部材が、患者の血管系を通して前進させられるとき、より自由に曲がり、屈曲することを可能にし得る(例えば、より小さい旋回半径を可能にし得る)。
【0067】
図7Aは、電極アセンブリ700、750の上面図であり、第1の内側電極706および第4の内側電極754が、描写される。
図7Bは、電極アセンブリ700、750の底面図であり、第2の内側電極704および第3の内側電極752が、描写される。第1および第2の内側電極702、704は、第1の共通電極706を共有し、互いに反対に円周方向に(すなわち、180度離れて)位置する。第3および第4の内側電極752、754は、第2の共通電極756を共有し、互いに反対に円周方向に位置する。代替として、内側電極および電極アセンブリは、上で説明されるように、ある他の様式で互いからオフセットされ得る。
【0068】
第1の電極702および第1の共通電極706は、第1の方向に外向きに伝搬する第1の衝撃波を発生させ得る第1の電極対を形成し、第2の電極704および第1の共通電極706は、第2の方向に外向きに伝搬する第2の衝撃波を発生させ得る第2の電極対を形成する。同様に、第3の電極752および第2の共通電極756は、第3の方向に外向きに伝搬する第3の衝撃波を発生させ得る第3の電極対を形成し、第4の電極754および第2の共通電極756は、第4の方向に外向きに伝搬する第4の衝撃波を発生させ得る第4の電極対を形成する。
【0069】
図7A-7Bにおける第1および第2の電極アセンブリ700、750は、直列に接続され得る。第1の電極702は、第1のワイヤ708によって、コントローラ(
図7A-7Bには図示せず)の電圧源の第1の電圧出力端子V01に接続され得る。第2の電極704は、第2のワイヤ710(例えば、相互接続ワイヤ)を介して、第3の電極752に接続され得る。第4の電極754は、第3のワイヤ712によって、コントローラの電圧源の第2の電圧出力端子V02に接続され得る。したがって、第1の電流方向714に提供される正のパルスに対して、電流は、第1の電極対から第4の電極対(昇順)に流動する。同様に、第1の電流方向714と反対の第2の電流方向716に提供される負のパルスに対して、電流は、第4の電極対から第1の電極対(降順)に流動する。第1から第4の電極702、704、752、754の各々は、第1および第2の共通電極706、756と比較してより小さいサイズであり得る。いくつかの変形例では、サイズは、総電極サイズおよび/または電極の伝導性領域の表面積を指し得る。したがって、電極アセンブリ700、750の寿命は、より小さい電極702、704、752、754の消耗率に依存し得る。
【0070】
本明細書に説明される衝撃波デバイスのいずれかは、血管形成術または弁形成術手技において使用するために好適な衝撃波システム内に提供され得る。衝撃波システム(図示せず)は、衝撃波デバイス、カテーテル、高電圧パルス発生器(例えば、電圧源)、および/または伝導性流体で充填可能であるように構成されているエンクロージャを含み得る。カテーテルは、それを通してガイドワイヤ管腔を有し得る。いくつかの変形例では、高電圧パルス発生器は、0.1kV~10kVパルス電力供給源、例えば、2kV~6kVパルス供給源であり得る。
【0071】
(II.方法)
概して、衝撃波を形成する方法が、本明細書において説明される。本明細書に説明される衝撃波デバイスのいずれかは、血管形成術および/または弁形成術手技において使用され得る。本明細書に説明される方法は、ガイドワイヤを患者における進入部位(例えば、脚部の鼠径部エリア内の動脈)から脈管の標的領域(例えば、破壊される必要がある石灰化プラークを有する領域)まで前進させることを含み得る。衝撃波デバイスは、ガイドワイヤ管腔を伴う軸方向に延びている細長い部材、第1の電極および第2の電極を備えている電極対、および/または細長い部材の長さに沿って提供される電極アセンブリを備え得る。電極対および/または電極アセンブリは、本明細書に説明される電極のいずれかであり得る。
【0072】
いくつかの変形例では、バルーンは、デバイスが血管系を通して前進させられる間、細長い部材の上に折り畳まれ得る。いくつかの変形例では、衝撃波デバイスの場所は、X線撮像および/または蛍光透視法によって決定され得る。衝撃波デバイスが、標的領域に到達すると、バルーンは、伝導性流体(例えば、生理食塩水および/または画像造影剤と混合された生理食塩水)で充填され得る。一連のパルスが、第1の電極対および/または電極アセンブリに送達され、例えば、石灰化プラークを破壊し得る、衝撃波を作成し得る。
【0073】
いくつかの変形例では、電流は、一連のパルスの一部に対して第1の方向に、および残りの一連のパルスのために、第1の方向と反対の第2の方向に、電極対および/または電極アセンブリを通って流動する。一変形例では、第1の電流フロー方向は、パルスのうちの少なくとも1つに対して提供され得る。別の変形例では、第1の電流フロー方向は、パルスの少なくとも約5%に対して提供され得る。別の変形例では、第1の電流フロー方向は、パルスの少なくとも約10%に対して提供され得る。別の変形例では、第1の電流フロー方向は、パルスの少なくとも約15%に対して提供され得る。別の変形例では、第1の電流フロー方向は、パルスの少なくとも約20%に対して提供され得る。別の変形例では、第1の電流フロー方向は、パルスの少なくとも約25%に対して提供され得る。別の変形例では、第1の電流フロー方向は、パルスの少なくとも約30%に対して提供され得る。さらに別の変形例では、第1の電流フロー方向は、パルスの少なくとも約3分の1に対して提供され得る。別の変形例では、第1の電流フロー方向は、パルスの少なくとも約40%に対して提供され得る。別の変形例では、第1の電流フロー方向は、パルスの少なくとも約45%に対して提供され得る。なおも別の変形例では、第1の電流フロー方向は、パルスの少なくとも約半分に対して提供され得る。
【0074】
なおも他の変形例では、第1の方向と第2の方向におけるパルスの電流フロー比は、約1:6であり得る。別の変形例では、第1の方向と第2の方向におけるパルスの電流フロー比は、約5:6であり得る。別の変形例では、第1の方向と第2の方向におけるパルスの電流フロー比は、約1:8であり得る。別の変形例では、第1の方向と第2の方向におけるパルスの電流フロー比は、約3:8であり得る。別の変形例では、第1の方向と第2の方向におけるパルスの電流フロー比は、約5:8であり得る。別の変形例では、第1の方向と第2の方向におけるパルスの電流フロー比は、約7:8であり得る。別の変形例では、第1の方向と第2の方向におけるパルスの電流フロー比は、約1:9であり得る。別の変形例では、第1の方向と第2の方向におけるパルスの電流フロー比は、約2:9であり得る。別の変形例では、第1の方向と第2の方向におけるパルスの電流フロー比は、約4:9であり得る。別の変形例では、第1の方向と第2の方向におけるパルスの電流フロー比は、約5:9であり得る。別の変形例では、第1の方向と第2の方向におけるパルスの電流フロー比は、約7:9であり得る。別の変形例では、第1の方向と第2の方向におけるパルスの電流フロー比は、約8:9であり得る。別の変形例では、第1の方向と第2の方向におけるパルスの電流フロー比は、約1:12であり得る。別の変形例では、第1の方向と第2の方向におけるパルスの電流フロー比は、約1:16であり得る。別の変形例では、第1の方向と第2の方向におけるパルスの電流フロー比は、約1:32であり得る。各電流フローの方向におけるパルスの数(例えば、第1の方向と第2の電流フロー方向比)は、衝撃波デバイスの所望の寿命、衝撃波均一性、衝撃波エネルギー等に基づいて、決定され得る。
【0075】
電流フロー方向の移行数は、特に、限定されない。いくつかの事例では、電流フローの方向は、第1の方向と第2の方向のパルス比に従って切り替えられ得る。他の事例では、電流フローの方向は、総パルス数が所定の電流フロー方向比を維持する限り、各パルスに対してランダムに変動し得る。故に、電流フロー方向は、各方向におけるパルスの数が等しい場合でも、パルス毎に切り替わる必要はない。パルスの電流フローの方向を平均して交互させることは、より小さい電極の耐久性、したがって、電極アセンブリの寿命を約2倍にし得る。電極対における電極が、等しいサイズであっても、各電極が略同一数の正のパルスを受信するように、電流フローの方向を交互させることは、電極対耐久性が約2倍になるように、摩耗を2つの電極にわたって分散させるであろう。
【0076】
さらに、異なる電極対からの衝撃波出力は、極性切り替えが各電極対が正のパルスを受信することを可能にするので、平均してより均一な強度を有し得る。これは、衝撃波強度における相違が殆どない、より予測可能な衝撃波を可能にする。
【0077】
プラーク破壊の進行度は、X線および/または蛍光透視法によって監視され得る。衝撃波デバイスは、石灰化領域が、電極アセンブリを伴う細長い部材の長さより長い場合、および/または石灰化領域が、発生させられた衝撃波の全力を受信するために電極アセンブリから離れすぎている場合、脈管の長さに沿って移動させられ得る。例えば、衝撃波デバイスは、石灰化脈管領域の長さに沿って段階化され、プラークを連続的に破壊し得る。
【0078】
電圧および電流測定が、負荷(この場合、電極アセンブリ)において行われ、パルスが送達されているときの衝撃波デバイスの状態を決定し得る。以下にさらに詳細に議論されるように、電圧降下、電圧パルス幅、および電流フローを含む、測定が、衝撃波デバイスの状態/寿命を決定するために使用され得る。
【0079】
いくつかの変形例では、パルスの極性切り替えは、衝撃波デバイス内の電極の状態に基づき得る。例えば、一連のパルスの電流フローの方向は、電極の状態に関係づけられ得る電圧パルス幅等、電圧降下と関係づけられた測定値を使用して決定され得る。例えば、電極対を横断する第1の電圧パルス幅が、第1の電流フロー方向に対して測定され得、電極対を横断する第2の電圧パルス幅が、第2の電流フロー方向に対して測定され得る。第1の電圧パルス幅と第2の電圧パルス幅との間の差異(該当する場合)は、電極摩耗における差異を示し得る。ある場合、対における電極間の電極浸食度の差異は、全体的衝撃波デバイスのより短い寿命期間につながり得る。測定された電圧パルス幅に基づいて、電流フローの方向を切り替え、第1および第2の電極間の摩耗をバランスさせることによって、衝撃波デバイスの寿命は、延長され得る。
【0080】
いくつかの変形例では、一連のパルスに対する電流フローの方向(例えば、一連の電圧パルスの各々の極性)は、測定された電圧パルス幅に従って選択され得る。例えば、電流フローの方向は、電流が第1の方向に流動するときの電極対を横断する電圧パルス幅と、電流が第2の方向に流動するときの電圧パルス幅との間の差異が、所定の閾値内であるように選択され得る。他の変形例では、電流フローの方向は、電流が第1の方向に流動するときの電極対を横断する電圧パルス幅が、電流が第2の方向に流動するときの電極対を横断する電圧パルス幅と実質的に等しくなるように選択され得る。第2の(反対)方向に対する第1の方向のパルスの電流フローの比(すなわち、極性比)は、少なくとも部分的に、測定された電圧パルス幅によって決定され得る。例えば、電流フローの第1の方向(すなわち、第1の極性)における測定された電圧パルス幅が、所定の閾値を満たすか、または超える場合、コントローラは、電極対の第1の電極が、電極対の第2の電極を上回る浸食度を有することを決定し得る。コントローラは、次いで、第2の電流フロー方向(すなわち、第2の極性)が第1の電流フロー方向と比較して増加させられるように、極性比を調節し得る。これは、極性が切り替えられず、および/または極性比が調節されない衝撃波システムと比較して、全体的電極対がより耐久性(例えば、より長い寿命期間)となり得るように、第1の電極の浸食率を低減または安定化させることに役立ち得る。
【0081】
衝撃波デバイスの電極アセンブリは、上で説明されるように、直列に接続され得、同時に、および/または、連続的にアクティブ化され得る。例えば、一対の電極アセンブリは、直列に接続され、同時に、または連続的にアクティブ化され得る。
【0082】
石灰化領域が、十分に治療されると、バルーンは、さらに膨張または収縮され得、衝撃波デバイスおよびガイドワイヤは、患者から抜去され得る。衝撃波デバイスの摩耗は、顕微鏡検査によって視覚的点検を通して評価され得る。
【0083】
(III.実施例)
以下の実施例では、全てのパルスに対して一定である極性(静的デバイス)および上で説明されるような交互極性(切り替えデバイス)を使用して受信する、電極の組への電気エネルギー送達を比較するための電極に対する試験結果が、提供される。パルスの関数として、電流、電圧、エネルギー測定、および視覚的点検が、8ギャップ銅コイルエミッタから求められ、浸食、電極完全性、および電極寿命を決定した。
【0084】
デバイスにパルスを与えた後、明視野顕微鏡検査評価が、実施され、電極の摩耗を視覚的に点検した。静的デバイスにおける正の端子は、負の端子より導体を消費したことが決定された。切り替えデバイスは、静的デバイスより均一な摩耗を有していた。以下に議論される
図8および9A-9Bでは、衝撃波デバイスは、約6μsのパルス幅を伴って、0.5Hzまたはより低速でパルスを与えられた。
【0085】
図8Aは、パルス数の関数としての電圧降下(kV)の例証的グラフである。電圧降下は、電流フローに先立った最高電圧と最低電圧との間の差異(電極摩耗と関係づけられる電圧損失を表す)として定義される。
図8Aに示されるように、電圧降下は、パルス数の関数として増加する。しかしながら、静的エネルギー送達は、切り替えエネルギー送達と比較してはるかにより大きい電圧降下率を有し、より多くの電極摩耗を示す。
図8Aは、線形最良適合(R)を有する電圧降下率(傾きa)を図示する。線形最良適合から、電圧降下(kV)によって表される電圧損失は、切り替えエネルギーに関する率802と比較して、静的エネルギーに対して、はるかにより高速の率800で増加する。静的衝撃波デバイスは、切り替え衝撃波デバイスが約70パルスで故障する前に、約40パルスで故障804することに留意されたい。
【0086】
電圧降下が、
図8Aではプロットされるが、電圧パルス幅は、電圧降下と強固に関連し、電圧パルス幅の測定が、パルス毎の衝撃波デバイスの寿命および/または状態を測定するために使用され得る。例えば、
図8Bおよび8Cは、それぞれ、非切り替え電極アセンブリおよび切り替え電極アセンブリに対するパルス幅の関数として電圧降下を比較する、例証的グラフである。
図8Bでは、線808は、非切り替え衝撃波デバイスに対する電圧降下とパルス幅との間の高相関適合を表す。同様に、線810は、極性切り替え衝撃波デバイスに関する電圧降下とパルス幅との間の高相関適合を図示する。各パルス(例えば、電圧、電流)の幅は、本明細書では、パルスが最大電圧ピーク値の20%に到達する最初の時間および最後の時間として定義される。電圧降下(kV)と同様に、電圧パルス幅は、パルス数の関数として増加し、電極劣化のインジケータである。言い換えると、電圧パルス幅の測定が、電極対の状態(例えば、劣化)を監視するための電圧降下の代替として使用され得る。すなわち、測定された電圧パルス幅が長いほど、正の極性を伴う電極は、より浸食または劣化されている。代替として、電極対を横断する高電圧パルスの開始およびオフセットを示す内部信号の測定が、電極の状態を監視するために使用され得る。例えば、内部信号は、高電圧パルス発生器のトリガTTL出力信号であり得る。
【0087】
図9Aは、電圧極性の関数としてのパルス数の例証的グラフである。前述のように、
図9Bは、パルス数の関数として送達されるエネルギーの例証的グラフである。より多くのパルスが、静的デバイスより切り替えデバイスに提供され得るので、切り替えデバイスの寿命は、静的デバイスの約2倍であり得る。
図9Bでは、切り替えデバイスによって送達されるパルスの数および平均エネルギー量は、極性切り替えに起因して、静的デバイスより著しく大きいことが明白である。例えば、静的デバイスは、静的デバイスが故障900する前に、約40パルスを提供する一方、切り替えデバイスは、切り替えデバイスが故障902する前に、約70パルスを提供する。
【0088】
試験結果は、電流フロー方向の切り替えが、一定電流フロー方向の8ギャップ衝撃波デバイスより8ギャップ衝撃波デバイスの寿命および送達されるエネルギーを増加させ得ることを示す。視覚的点検も、交互電流フローと比較して、単一電流フロー方向が印加されるときの電極の偏った摩耗を示す。実験試験は、電圧パルス幅が電流フローに先立ったエネルギー電圧降下に正比例することを示している。したがって、静的デバイスは、切り替えデバイスと比較して、より電圧損失を有する。電圧パルス幅は、パルス毎の衝撃波デバイスの寿命および/または状態を監視するための計測学ツールとして使用され得る。したがって、電流フローの方向を切り替えることは、衝撃波デバイスによる衝撃波出力の効率および/または一貫性を改良し得る。
【0089】
前述は、本発明の原理の例証にすぎず、種々の修正、改変、および組み合わせが、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、当業者によって行われることができることを理解されたい。本明細書に開示される種々の衝撃波デバイスの変形例のいずれかは、任意の他の衝撃波デバイスまたは開示されるデバイスの組み合わせによって説明される特徴を含むことができる。故に、本発明は、添付の請求項によることを除き、限定されることを意図するものではない。上で説明される変形例の全てに対して、方法のステップは、連続的に実施される必要はない。