(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-28
(45)【発行日】2022-02-07
(54)【発明の名称】切断装置
(51)【国際特許分類】
B26D 3/26 20060101AFI20220131BHJP
B26D 3/28 20060101ALI20220131BHJP
A47J 43/20 20060101ALI20220131BHJP
A47J 25/00 20060101ALI20220131BHJP
【FI】
B26D3/26 605B
B26D3/28 620L
A47J43/20
A47J25/00
(21)【出願番号】P 2019013004
(22)【出願日】2019-01-29
【審査請求日】2020-09-14
(73)【特許権者】
【識別番号】393027822
【氏名又は名称】株式会社千葉工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100091904
【氏名又は名称】成瀬 重雄
(72)【発明者】
【氏名】長島 勝敏
【審査官】山本 裕太
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-315092(JP,A)
【文献】特開2002-238530(JP,A)
【文献】登録実用新案第3211530(JP,U)
【文献】実開昭49-066985(JP,U)
【文献】国際公開第03/051162(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0134386(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 3/26
B26D 3/28
A47J 43/20
A47J 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の切断刃と、
前記複数の切断刃を保持する保持部材と
、
切断対象物を載置するための台座部と、
複数のレール部とを備える切断装置であって、
前記複数の切断刃各々における先端部同士
が互いに当接して
おり、
前記複数の切断刃各々における後端側部分が前記保持部材に保持されており、
前記切断刃の下端には、前記後端側部分に向かって前記先端部から連続するように切刃が設けられており、
前記切刃は、前記先端部から前記後端側部分にかけて全体として下に凸の湾曲状となっており、かつ、前記先端部から前記後端側部分に向かうにつれて下方に位置する形状となっており、
前記保持部材には、上下方向に延びる複数の貫通孔が設けられており、
前記レール部は、上下方向に延びる棒状に形成されており、
前記複数のレール部の各々は、水平方向において互いに異なる位置に配置されており、
前記複数のレール部の各々が前記複数の貫通孔の各々に1本ずつ挿入されており、
前記切断装置は、前記台座部に載置された前記切断対象物の上方から前記保持部材を前記レール部に沿って押し下げることにより、前記台座部に載置された前記切断対象物の上方から下方まで前記切刃を移動させながら、前記切断対象物を前記切刃によって切断する構成となっていることを特徴とする切断装置。
【請求項2】
前記
複数の切断刃各々における前記後端側部分が嵌合部を有しており、
前記嵌合部がフック状に形成されており、
前記嵌合部は、前記保持部材に形成されたフック状の溝に嵌合されており、
前記嵌合部のフック先端が前記フック状の溝のフック先端に位置していることを特徴とする請求項1に記載の切断装置。
【請求項3】
前記
複数の切断刃各々における前記後端側部分が嵌合部を有しており、
前記
嵌合部がフック状に形成されており、
前記嵌合部は、前記保持部材に形成された溝に嵌合されている柄部材に形成されたフック状の溝に嵌合されており、
前記嵌合部のフック先端が前記フック状の溝のフック先端に位置していることを特徴とする請求項1に記載の切断装置。
【請求項4】
食品の芯抜きを行うために筒状に形成された芯抜き部材をさらに備え、
前記芯抜き部材の側面には、当該側面を貫通する貫通孔が複数形成されており、
前記複数の切断刃各々が前記
側面を貫通する貫通孔各々に挿入され、前記先端部同士が前記芯抜き部材の内部において互いに当接して
おり、
前記側面を貫通する貫通孔各々においては、前記複数の切断刃各々における先端側が前記芯抜き部材により保持されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の切断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保持部材により複数の切断刃を保持した切断装置に関し、特に、野菜や果物などの食品を切断するスライサーに関する。
【背景技術】
【0002】
切断装置には、保持部材により複数の切断刃を保持したものがある。このような切断装置の一例としては、野菜や果物などの食品を切断して等分するスライサーが挙げられる。スライサーには、例えば、下記特許文献1に記載のように、円筒状の枠体(保持部材)と、この枠体の中心軸から放射状に設けられた6つの切断刃とを備えるものが挙げられる。
【0003】
ここで、下記特許文献1に記載のスライサーのように、複数の切断刃を保持部材により保持する切断装置を製造するにあたっては、切断装置の製造を容易にするために、複数の切断刃を簡易な方法で保持部材に保持させることが好ましい。その一方で、簡易な方法では、保持部材が切断刃を保持する強度が低くなるため、切断刃を保持部材に保持させることが難しくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、複数の切断刃を保持部材に保持させるために必要な強度が低く、これら切断刃を簡易な方法により保持部材に保持させることが可能な切断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る切断装置は、複数の切断刃と、前記複数の切断刃を保持する保持部材とを備え、前記複数の切断刃各々における先端部同士は、互いに当接していることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、複数の切断刃各々における先端部同士が互いに当接しているため、この当接している箇所において切断刃同士が互いを支持することになる。このため、複数の切断刃を保持部材に保持させるために必要な強度を低くすることができ、これら切断刃を簡易な方法により保持部材に保持させることが可能となる。
【0008】
また、上記切断装置において、前記切断刃は、前記保持部材に形成された溝に嵌合される嵌合部を有しており、当該嵌合部が前記溝に嵌合されることで、前記切断刃が前記保持部材に保持されることが好ましい。これにより、保持部材への切断刃の取り付けと保持部材からの切断刃の取り外しとを容易にすることができ、使用に伴い劣化した切断刃を新たな切断刃に交換する作業の容易性を高めることができる。
【0009】
さらに、上記切断装置において、前記切断刃は、柄部材が嵌合される嵌合部を有しており、前記保持部材に形成された溝に前記柄部材が嵌合されることで、前記切断刃が前記保持部材に保持されることがさらに好ましい。これにより、柄部材を把持して切断刃を取り扱うことが可能となり、保持部材への切断刃の取付作業、保持部材からの切断刃の取外作業をより安全に行うことができる。さらに、切断刃の嵌合部へ柄部材を取り付けるだけの簡易な方法で、上述した取付作業及び取外作業を安全に行うことができる。
【0010】
また、上記切断装置において、食品の芯抜きを行うために筒状に形成された芯抜き部材をさらに備え、前記芯抜き部材の側面には、当該側面を貫通する貫通孔が複数形成されており、前記複数の切断刃各々が前記複数の貫通孔各々に挿入され、前記先端部同士が前記芯抜き部材の内部において互いに当接していることが好ましい。これにより、芯抜き部材を切断刃の保持に利用することができ、これら切断刃をより強固に固定することができる。このため、切断対象物の切断時における切断刃の撓みを効果的に抑制することができる。よって、厚い切断刃より撓みやすい薄い切断刃を使用して切断対象物を切断することが容易となり、厚い切断刃で切断すると潰れるおそれがある軟らかい切断対象物を容易に切断することができる。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明に係る切断装置によれば、複数の切断刃を保持部材に保持させるために必要な強度が低く、これら切断刃を簡易な方法により保持部材に保持させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明に係る切断装置の第一実施形態であるスライサーを示す全体構成図である。
【
図2】
図1に示すスライサーが備える切断部の斜視図である。
【
図3】
図2に示す切断部が備える保持部材の一部を示す図である。
【
図4】
図2に示す切断部が備える切断刃を示す正面図である。
【
図5】
図1に示すスライサーが備える切断部とカバー部との分解図である。
【
図6】本発明に係る切断装置の第二実施形態であるスライサーにおける切断部の分解図である。
【
図7】
図6が示す切断部が備えるカット部材の分解図である。
【
図8】本発明に係る切断装置の第三実施形態であるスライサーにおける切断部の一部を示す斜視図である。
【
図9】
図8に示す切断部の一部における平面図である。
【
図10】本発明に係る切断装置の第四実施形態であるスライサーを示す全体構成図である。
【
図11】
図10に示すスライサーが備える切断部の一部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下においては、本発明に係る切断装置をスライサーに適用する場合を例にとって説明する。このスライサーは、野菜や果物などの食品を切断して等分するようになっている。
【0014】
図1は、本発明に係る切断装置の第一実施形態であるスライサーを示す全体構成図である。同図に示すように、スライサー1は、切断対象物であるトマトTを切断するための切断部11と、切断部11を覆うように設けられるカバー部21と、切断対象物であるトマトTを固定するための固定部31とを備える。また、切断部11は、複数の切断刃12A~12Hと、複数の切断刃12A~12Hを保持する保持部材13とを備える。さらに、固定部31は、トマトTが載置される台座部32と、台座部32の土台となる土台部33と、台座部32の両端に各々配置された棒状のレール部34(34A、34B)とを備える。
【0015】
図2は、
図1に示すスライサーが備える切断部を示す斜視図である。
図2に示すように、保持部材13は、円筒状に形成された基部13aと、基部13aにおける径方向外側に配置されたレール挿通部13bとを備えている。レール挿通部13bは、基部13aの周方向において180°異なった位置に各々1箇所ずつ(合計2箇所)配置されている。そして、レール挿通部13bには、レール部34A、34B(
図1参照)を挿通するための貫通孔h1が形成されている。
【0016】
図3は、
図2に示す切断部が備える保持部材の一部を示す図である。
図3に示すように、基部13aの内周面Iには、基部13aの軸線方向に延びるように溝D1が形成されている。さらに、溝D1は、基部13aにおいて内周面Iから径方向外側に突出するように形成されている。また、溝D1は、基部D1の周方向において等間隔で複数形成されている。さらに、溝D1は、フック状に形成されている。
【0017】
また、
図4は、
図2に示す切断部が備える切断刃を示す正面図である。
図4に示すように、切断刃12は、基部Bと、保持部材13に形成された溝D1に嵌合される嵌合部Rとを有する。ここで、基部Bは、基部Bの後端部b3が嵌合部Rに連続するように形成されている。さらに、嵌合部Rは、フック状に形成されており、保持部材13に形成された溝D1に嵌合される。そして、嵌合部Rのフック先端である先端部P2は、溝D1のフック先端である先端部P1に位置する。
【0018】
複数の切断刃12(12A~12H)は、各々に形成された先端部b1同士が互いに当接するように保持部材13に保持される。これにより、複数の切断刃12(12A~12H)は互いを支持する。具体的には、保持部材13の周方向において隣接する切断刃(例えば、12Aと12B、12Aと12H)の先端部b1同士が当接することで、これら切断刃が互いを支持する。そして、保持部材13の径方向中心において、複数の切断刃12(12A~12H)の先端部b1が保持部材13の周方向に沿って配置される。
【0019】
また、切断刃12の切刃b2は、正面視曲線状(下に凸の曲線状)に形成されている(すなわち、湾曲している。)。また、切断刃12の峰部b4(切刃b2の反対側に位置する部分)は正面視直線状に形成されている。そして、切断刃12が保持部材13に保持された状態においては、切刃b2と峰部b4との距離(保持部材13に形成された溝D1が延びる方向における距離)は、基部Bの後端部b3から先端部b1に向かうにつれて徐々に小さくなる。
【0020】
さらに、
図5は、
図1に示すスライサーが備える切断部とカバー部との分解図である。
図5に示すように、カバー部21は、リング状に形成された基部21aと、基部21aの周方向において180°異なった位置に各々1箇所ずつ(合計2箇所)配置されたレール挿通部21bとを備える。そして、レール挿通部21bには、レール部34A、34B(
図1参照)を挿通するための貫通孔h2が形成されている。そして、カバー部21は、貫通孔h2が保持部材13に形成された貫通孔h1に重なり合うように、保持部材13の上面に配置される。
【0021】
次に、
図1乃至
図5に示すスライサーの組立方法及び使用方法について説明する。まず、
図4に示す切断刃12の嵌合部Rを、
図3に示す保持部材13に形成された溝D1に嵌合させる。これにより、
図2に示すように、8枚の切断刃12(12A~12H)を保持部材13に保持させる。この際、
図2に示すように、保持部材13が保持した複数の切断刃12(12A~12H)における先端部b1(
図2参照)を互いに当接させる。
【0022】
次に、
図5に示すように、保持部材13に形成された貫通孔h1とカバー部21に形成された貫通孔h2とが重なり合うように、保持部材13の上面にカバー部21を重ね、ネジ止めなどにより両者13、21を固定する。さらに、
図1に示すように、固定部31の台座部32に切断対象物であるトマトTを載置する。そして、切断部11の貫通孔h1にレール部34A、34Bを挿通し、切断部11をレール部34A、34Bに沿って摺動させる。これにより、切断部11が備える複数の切断刃12(12A~12H)の切刃b2により、切断対象物であるトマトTを切断して等分する。なお、スライサー1によるトマトTの切り方は、いちょう切りである。
【0023】
以上のように、本発明に係る切断装置の第一実施形態であるスライサーによれば、複数の切断刃12(12A~12H)各々における先端部b1同士が互いに当接しているため、この当接している箇所において切断刃12(12A~12H)同士が互いを支持することになる。このため、複数の切断刃12(12A~12H)を保持部材13に保持させるために必要な強度を低くすることができ、これら切断刃12(12A~12H)を簡易な方法により保持部材13に保持させることが可能となる。
【0024】
また、上記第一実施形態において、切断刃12(12A~12H)は、保持部材13に形成された溝D1に嵌合される嵌合部Rを有しており、嵌合部Rが溝D1に嵌合されることで、切断刃12(12A~12H)が保持部材13に保持されている。これにより、保持部材13への切断刃12(12A~12H)の取り付けと保持部材13からの切断刃12(12A~12H)の取り外しとを容易にすることができ、使用に伴い劣化した切断刃を新たな切断刃に交換する作業の容易性を高めることができる。
【0025】
さらに、上記第一実施形態においては、切断部11の他にカバー部21及び固定部31によりスライサー1を構成しているが、切断部11のみによりスライサー1を構成することもできる。また、上記第一実施形態においては、切断刃として切断刃12A~12Hの8枚を備えているが、切断刃の数は複数であれば特に限定されない。さらに、上記第一実施形態においては、切断刃12の切刃12bを正面視曲線状に形成したが正面視直線状に形成してもよい。また、上記第一実施形態においては、複数の切断刃12(12A~12H)を保持部材13の周方向に沿って等間隔で配置したが、複数の切断刃12(12A~12H)同士の間隔が互いに異なっていてもよい。
【0026】
また、本発明に係る切断装置は、トマトT以外の野菜を切断することができ、さらには野菜以外の食品を切断することもできる。また、食品以外のものを切断することもできる。つまり、本発明に係る切断装置は、複数の切断刃と、これら複数の切断刃を保持する保持部材とを備え、これら複数の切断刃各々における先端部同士が互いに当接していれば、スライサー以外のものに適用することができる。
【0027】
次に、本発明に係る切断装置の第二実施形態であるスライサーについて説明する。以下においては、上記第二実施形態のうち上記第一実施形態と共通する箇所については説明を省略する。本発明に係る切断装置の第二実施形態であるスライサーは、本発明に係る切断装置の第一実施形態であるスライサーにおける切断部11に代えて切断部111を備えるものである。
【0028】
図6は、本発明に係る切断装置の第二実施形態であるスライサーにおける切断部の分解図である。
図6に示すように、保持部材113は、円筒状に形成された基部113aと、基部113aにおける径方向外側において形成されたレール挿通部113bとを備えている。レール挿通部113bは、基部113aの周方向において180°異なった位置に各々1箇所ずつ(合計2箇所)配置されている。
【0029】
基部113aの内周面Iには、基部113aの軸線方向に延びるように溝D2が形成されている。さらに、溝D2は、基部113aにおいて内周面Iから径方向外側に突出するように形成されている。また、溝D2は、基部113aの周方向において等間隔で複数形成されている。
【0030】
さらに、切断刃12Bの嵌合部R(
図4参照)には、切断刃12Bとは異なる材質で構成された柄部材114Bが嵌合されている。そして、保持部材113に形成された溝D2に柄部材114Bが嵌合されることで、切断刃12Bは保持部材113に保持される。そして、切断刃12Bに柄部材114Bが取り付けられたものは、これらが一体となったカット部材112Bとして取り扱うことができる。具体的には、カット部材112Bを溝D2に取り付けることができ、かつ、カット部材112Bを溝D2から取り外すことができる。なお、これらの点は、切断刃12F、柄部材114F及びカット部材112Fについても同様である。なお、柄部材114B、114Fは、例えば、切断刃12B、12Fの材質である金属と異なる材質である樹脂で形成することができる。
【0031】
図7は、
図6に示す切断部が備えるカット部材の分解図である。
図7に示すように、カット部材112Fは、柄部材114Fの内部に形成された溝D3に、切断刃12Fの嵌合部Rが嵌め込まれることで構成されている。溝D3は、フック状に形成されている。そして、嵌合部Rの先端部P2は、溝D3のフック先端である先端部P3に位置する。
【0032】
以上のように、本発明に係る切断装置の第二実施形態であるスライサーによれば、切断刃12B、12Fは、柄部材114B、114Fが嵌合される嵌合部Rを有しており、保持部材113に形成された溝D2に柄部材114B、114Fが嵌合されることで、切断刃12B、12Fが保持部材113に保持されている。これにより、柄部材114B、114Fを把持して切断刃12B、12Fを取り扱うことが可能となり、保持部材113への切断刃12B、12Fの取付作業、保持部材113からの切断刃12B、12Fの取外作業をより安全に行うことができる。さらに、切断刃12B、12Fの嵌合部Rへ柄部材114B、114Fを取り付けるだけの簡易な方法で、上述した取付作業及び取外作業を安全に行うことができる。
【0033】
次に、本発明に係る切断装置の第三実施形態であるスライサーについて説明する。以下においては、上記第三実施形態のうち上記第一実施形態又は第二実施形態と共通する箇所については説明を省略する。本発明に係る切断装置の第三実施形態であるスライサーは、本発明に係る切断装置の第二実施形態であるスライサーにおける切断部111に代えて切断部211を備えるものである。この第三実施形態であるスライサーは、芯を有する野菜(例えば、レタス)や果物(例えば、りんご)の切断に好適な切断装置である。
【0034】
図8は、本発明に係る切断装置の第三実施形態であるスライサーにおける切断部の一部を示す斜視図である。
図9は、
図8に示す切断部の一部における平面図である。
図8及び
図9に示すように、切断部211は、切断部111(
図6参照)に芯抜き部材215を備えたものである。なお、切断部211は、保持部材113(
図6参照)を備えている。ただし、
図8及び
図9においては保持部材113の図示を省略する。
【0035】
芯抜き部材215は、食品の芯抜きを行うために貫通孔H1が形成された筒状に形成されている。さらに、芯抜き部材215の側面Sには、側面Sを貫通する貫通孔H2が形成されている。また、この貫通孔H2は、側面Sの周方向に沿って等間隔で複数形成されている。そして、複数の切断刃12A、12C、12E、12Gは、芯抜き部材215に形成された貫通孔H2に各々挿入されている。さらに、複数の切断刃12A、12C、12E、12Gにおける先端部b1は、芯抜き部材215の内部において互いに当接している。
【0036】
芯抜き部材215には、芯抜き部材215の軸線方向一方側又は両側において、切断対象物であるレタスやりんごから芯を抜くための切刃Eが形成されている。
【0037】
なお、カット部材112A、112C、112E、112Gは、上記第二実施形態であるスライサーが備えるカット部材112B、112F(
図7参照)と同様の構成を有する。また、柄部材114A、114C、114E、114Gは、柄部材114B、114F(
図6参照)と同様の構成を有する。
【0038】
以上のように、本発明に係る切断装置の第三実施形態であるスライサーによれば、食品の芯抜きを行うために筒状に形成された芯抜き部材215をさらに備え、芯抜き部材215の側面Sには、側面Sを貫通する貫通孔H2が複数形成されており、複数の切断刃12A、12C、12E、12G各々が複数の貫通孔H2各々に挿入され、先端部b1同士が芯抜き部材215の内部において互いに当接している。これにより、芯抜き部材215を切断刃12A、12C、12E、12Gの保持に利用することができ、これら切断刃12A、12C、12E、12Gをより強固に固定することができる。このため、切断対象物の切断時における切断刃12A、12C、12E、12Gの撓みを効果的に抑制することができる。よって、厚い切断刃より撓みやすい薄い切断刃を使用して切断対象物を切断することが容易となり、厚い切断刃で切断すると潰れるおそれがある軟らかい切断対象物を容易に切断することができる。
【0039】
次に、本発明に係る切断装置の第四実施形態であるスライサーについて説明する。以下においては、上記第四実施形態のうち上記第一実施形態乃至上記第三実施形態と共通する箇所については説明を省略する。
【0040】
図10は、本発明に係る切断装置の第四実施形態であるスライサーを示す全体構成図である。同図に示すように、スライサー301は、切断対象物である大根rを切断するための切断部311と、切断部311を覆うように設けられるカバー部321と、切断対象物である大根rを固定するための固定部331とを備える。切断部311は、切断部311が備える保持部材313が薄型角筒状に形成されている点において、
図1に示す切断部11と異なっている。さらに、カバー部321は、ロの字に形成されている点において、
図1に示すカバー部21と異なっている。そして、固定部331は、切断部311の形状に合わせた形状となっている点において、
図1に示す固定部31と異なっている。
【0041】
図11は、
図10に示すスライサーが備える切断部の一部を示す斜視図である。また、
図12は、
図11に示す切断部の一部における平面図である。具体的には、
図11及び
図12は、
図10に示す保持部材313に保持されるカット部材112A~112Lの配置を示している。なお、
図11及び
図12においては、切断部311が備える保持部材313の図示は省略している。また、カット部材112A~112Lは、切断刃12A~12Lと柄部材114A~114Lとを各々備えている。そして、カット部材112A~112L、切断刃12A~12L及び柄部材114A~114Lは、各々同様の構成を有している。
【0042】
図11及び
図12に示すように、カット部材112A、112Bの切断刃12A、12Bは互いに対向するように配置され、これら切断刃12A、12B各々の先端部b1同士が当接している。なお、この点については、カット部材112C及び112D、112E及び112F、112G及び112H,112I及び112J、112K及び112Lについても同様である。なお、スライサー313による大根rの切り方は、短冊切りである。
【符号の説明】
【0043】
1 スライサー
11 切断部
12(12A~12L) 切断刃
13 保持部材
13a 基部
13b レール挿通部
21 カバー部
21a 基部
21b レール挿通部
31 固定部
32 台座部
33 土台部
34(34A、34B) レール部
111 切断部
112(112A~112L) カット部材
113 保持部材
113a 基部
113b レール挿通部
114(114A~114L) 柄部材
211 切断部
215 芯抜き部材
301 スライサー
311 切断部
313 保持部材
313a 基部
313b レール挿通部
321 カバー部
331 固定部
332 台座部
333 土台部
334(334A、334B) レール部
B 基部
b1 先端部
b2 切刃
b3 後端部
b4 縁部
D1~D3 溝
E 切刃
H1、H2 貫通孔
h1,h2 貫通孔
I 内周面
P1~P3 先端部
R 嵌合部
r 大根(切断対象物)
S 側面
T トマト(切断対象物)