(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-28
(45)【発行日】2022-02-07
(54)【発明の名称】情報収集装置
(51)【国際特許分類】
G16H 40/40 20180101AFI20220131BHJP
【FI】
G16H40/40
(21)【出願番号】P 2019094091
(22)【出願日】2019-05-17
(62)【分割の表示】P 2015096798の分割
【原出願日】2015-05-11
【審査請求日】2019-05-20
(73)【特許権者】
【識別番号】513184275
【氏名又は名称】宮田 昭
(73)【特許権者】
【識別番号】513184518
【氏名又は名称】曽篠 恭裕
(73)【特許権者】
【識別番号】515126134
【氏名又は名称】森 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100099634
【氏名又は名称】平井 安雄
(72)【発明者】
【氏名】宮田 昭
(72)【発明者】
【氏名】曽篠 恭裕
(72)【発明者】
【氏名】森 正樹
(72)【発明者】
【氏名】中村 博文
(72)【発明者】
【氏名】黒田 彰紀
(72)【発明者】
【氏名】倉山 功治
【審査官】松田 岳士
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-106557(JP,A)
【文献】特開2004-348717(JP,A)
【文献】特開2006-167400(JP,A)
【文献】特開2007-310759(JP,A)
【文献】特開2012-079189(JP,A)
【文献】特開2013-097761(JP,A)
【文献】特表2012-523880(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0195064(US,A1)
【文献】特開2012-027628(JP,A)
【文献】特開2013-050810(JP,A)
【文献】特開2008-287627(JP,A)
【文献】特開2006-113973(JP,A)
【文献】特開2008-193595(JP,A)
【文献】特開2015-097689(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療機関内を移動する移動装置に設置される情報収集装置であって、
前記移動装置が、前記医療機関内において
当該医療機関内の空気中の浮遊物をモニタリングする装置が発信する信号の受信範囲外から受信範囲内に移動して近距離無線通信することで、
空気の状態に関する情報を管理対象情報として受け取る受取手段と、
受け取った前記管理対象情報を当該管理対象情報を管理する管理端末に送信する送信手段とを備えることを特徴とする情報収集装置。
【請求項2】
巡回者により医療機関内を移動する移動装置に設置される情報収集装置であって、
前記移動装置が、前記医療機関内において患者が身に着けている当該患者の生体情報をモニタリングする装置が発信する信号の受信範囲外から受信範囲内に移動して近距離無線通信することで、前記生体情報を管理対象情報として受け取る受取手段と、
受け取った前記管理対象情報を当該管理対象情報を管理する管理端末に送信する送信手段とを備えることを特徴とする情報収集装置。
【請求項3】
医療機関内を移動する移動装置に設置される情報収集装置であって、
前記移動装置が、前記医療機関内において管理の対象となる医療機器に付設する通信手段から発信される信号の受信範囲外から受信範囲内に移動して近距離無線通信することで、前記医療機器の使用に応じた電流変化に基づく当該医療機器の稼働状態を管理対象情報として受け取る受取手段と、
受け取った前記管理対象情報を当該管理対象情報を管理する管理端末に送信する送信手段とを備えることを特徴とする情報収集装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機器に関する情報等を巡回して収集する情報収集装置に関する。
【背景技術】
【0002】
大規模な病院などは様々な種類の数多くの医療機器を所有しており、その所在、稼働状態、劣化具合、利用履歴等を管理するのに非常に多くの手間が掛かり、また、一元的に管理する場合には、大規模なシステム開発が必要となる。特に、医療機器の場合は、機器自体に改造を加えることができないため、外部から簡易的に必要な情報のみを検出する技術の開発が求められる。
【0003】
物品管理に関する技術として、例えば特許文献1に示す技術が開示されている。特許文献1に示す技術は、書籍Bに対応して設けた無線タグ回路素子To-Bに保持された書籍情報を、13.56MHzの短波(HF)を用いて無線通信で読み取って取得するとともに、この取得結果に応じ、利用者Mに対応して設けた無線タグ回路素子To-Mに保持された人物情報を、2.45GHzの極超短波(UHF)を用いて無線通信で読み取って取得する高周波回路201B,201M、アンテナ10B,10M及び制御回路202とを備えるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に示す技術は、異なる周波数帯の無線通信を行うことで、電波の干渉等を防止する技術であるが、機器の稼働状態を管理できる技術ではない。また、書籍に関する情報と利用者に関する情報を対応付けて貸出等の管理をすることができるものの、書籍の具体的な位置や状態を管理することができるものではない。
【0006】
本発明は、医療機関における医療機器や備品等に関する情報を施設内を巡回することで収集する情報収集装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る情報収集装置は、医療機器を管理する管理施設内を巡回する巡回装置に設置される情報収集装置であって、前記管理施設内において管理対象となる管理対象情報を受け取る手段と、受け取った前記管理対象情報を当該管理対象情報を管理する管理端末に送信する送信手段とを備えるものである。
【0008】
このように、本発明に係る情報収集装置においては、巡回装置が巡回しながら効率よく情報を収集することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施形態に係る医療機器管理システムのシステム構成図である。
【
図2】第1の実施形態に係る稼働状態検出装置の構成を示す機能ブロック図である。
【
図3】第1の実施形態に係る稼働状態検出装置の動作を示すフローチャートである。
【
図4】第2の実施形態に係る医療機器管理システムのシステム構成図である。
【
図5】第2の実施形態に係る稼働状態検出装置の構成を示す機能ブロック図である。
【
図6】第2の実施形態に係る稼働状態検出装置の動作を示すフローチャートである。
【
図7】第3の実施形態に係る医療機器管理システムのシステム構成図である。
【
図8】第3の実施形態に係る稼働状態検出装置の構成を示す機能ブロック図である。
【
図9】第3の実施形態に係る稼働状態検出装置の動作を示すフローチャートである。
【
図10】その他の実施形態における管理施設のフロアの一例を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を説明する。また、本実施形態の全体を通して同じ要素には同じ符号を付けている。
【0011】
(本発明の第1の実施形態)
本実施形態に係る稼働状態検出装置を用いた医療機器管理システムについて、
図1ないし
図3を用いて説明する。本実施形態に係る稼働状態検出装置は、医療機器の稼働状態を計測し、その使用履歴を演算して920MHz帯の無線信号で無線通信を行うものである。また、本実施形態に係る医療機器管理システムは、稼働状態検出装置の通信機能を利用して、医療機器の稼働状態等を効率的に一元管理するものである。なお、本発明において管理対象となる医療機器の一例として、例えば、超音波検査器(ポータブルエコー)、AED、空気中に浮遊する微生物などの浮遊物をモニタリングする浮遊物モニタリング装置等が挙げられる。
【0012】
図1は、本実施形態に係る医療機器管理システムのシステム構成図である。医療機器は安全性の観点から機器の改造等が薬事法で禁止されている。そのため、医療機器の内部に基板等を設置して稼働状態を管理したり、使用者の使い勝手が良くなるように医療機器自体に手を加えることはできない。本実施形態に係る医療機器管理システムにおいては、医療機器を改造することなく、医療機器の稼働状態を管理できるものであり、既存の医療機器に対しても後付けで適用することができるものである。
【0013】
図1において、本実施形態に係る医療機器管理システム1は、医師等の医療従事者が患者に対して医療行為を行う際に使用する医療機器10と、医療機器10のコンセントと商用電源との間にコンセントモジュールとして設置される稼働状態検出装置11と、無線通信を中継する中継機12と、医療機器10のデータを一元管理するための管理端末13とを備える。
【0014】
稼働状態検出装置11は、医療機器10と商用電源との間に設置されるコンセントモジュールであり、医療機器10の使用に応じた電流変化から稼働状態を演算すると共に、稼働状態検出装置11間で920MHz帯の無線通信(例えば、Wi-SUN規格の通信)が可能となっている。この稼働状態検出装置11について、
図2及び
図3を用いて詳細に説明する。
図2は、本実施形態に係る稼働状態検出装置11の構成を示す機能ブロック図、
図3は、本実施形態に係る稼働状態検出装置11の動作を示すフローチャートである。
【0015】
まず、稼働状態検出装置11の構成について説明する。
図2において、稼働状態検出装置11は、当該装置全体の制御する制御CPU21と、制御CPUに商用電源からの電力を供給する電源部22と、医療機器10が稼働した際に流れる電流を検出するCTセンサ23と、制御CPU21で演算された医療機器10の稼働状態に関する情報を920MHz帯の周波数を用いて他の稼働状態検出装置11及び/又は中継機12に送信する通信部24とを備える。制御CPU21は、医療機器10が起動した際に消費される多くの電力からCTセンサ23による電流情報を取得することで、医療機器10の起動日時(XX月XX日 XX時XX分)、起動場所(予め使用場所が決まっている場合)、機器ID(予め医療機器10と稼働状態検出装置11とが1対1で対応付けられている場合)、停止日時(XX月XX日 XX時XX分)等の稼働情報を得ることができる。通信部24は、取得した医療機器10の稼働情報を最寄の他の稼働状態検出装置11にマルチホップ通信で送信する。送信された情報は、いくつかの他の稼働状態検出装置11を経由して、又は、直接中継機12に送信され、最終的に管理端末13に送信される。また、通信部24は、他の稼働状態検出装置11から情報が送信された情報を受信した場合に、受信した情報をそのまま、又は、自身の稼働状態検出装置11に関する情報を付与して最寄りの他の稼働状態検出装置11に情報を送信する。
【0016】
なお、例えば、医療機器10がポータブルエコーのような場合は、心臓用、腹部用、その他部位用に応じて、使用するプローブやチャンネルが異なることを利用し、計測される電流値の値から使用した部位の情報を得ることも可能である。また、例えば、医療機器10がAEDのような場合は、通常人気がないような場所に設置されているAEDの電池切れアラーム等の警報音をセンサで取得し、その旨の情報を得ることも可能である。さらに、医療機器10が、空気中の浮遊物をモニタリングする浮遊物モニタリング装置のような場合は、空気の汚染状態をリアルタイムに取得して、感染防止等に利用することが可能である。
【0017】
また、医療機器10自体が通信機能を有する場合や、医療機器10に通信機能を付加した場合(例えば、USBをインターフェースとする無線アダプタ等を使用した場合)には、電流の状態以外にも医療機器10から取得した情報から稼働状態を測定するようにしてもよい。
【0018】
次に、稼働状態検出装置11の動作について説明する。
図3において、稼働状態検出装置11が商用電源に接続され、制御CPU21は待機状態となる(S1)。この状態では、Wi-SUN通信の中継機としての役割のみを担うことができる。制御CPU21は、医療機器10が接続されて起動されたかどうかを、CTセンサ23から所定値以上の通電が計測されたかどうかで判定する(S2)。所定値以上の通電が計測された場合は、上述したような医療機器10の稼働情報を内部メモリ又は外部メモリ等(図示しない)に記録する(S3)。通信部24は、記録された稼働情報を最寄の他の稼働状態検出装置11にマルチホップ通信で送信し(S4)、ステップS1の待機状態に戻る。
【0019】
ステップS2で所定値以上の通電が計測されない場合は、通信部24が、他の稼働情報検出装置11からの情報を受信したかどうかを判定し(S5)、受信していない場合はステップS1の待機状態に戻る。受信した場合は、受信した情報をそのまま、又は、自身の稼働状態検出装置11に関する情報を付与して最寄りの他の稼働状態検出装置11に情報を送信し(S6)、ステップS1の待機状態に戻る。
【0020】
以上のように、稼働状態検出装置11を経由して送信された医療機器10に関する情報は、最終的に中継機12を介して管理端末13に入力される。管理端末13では、全ての医療機器10の稼働状態を一元的に管理することで、医療機器10の所在、稼働率、使用状態が適正かどうか等を把握することができると共に、保守・メンテナンス等の情報として利用することができる。すなわち、医療機器10の使用履歴等を一覧で表示したり、印刷して出力することができ、それらの情報を元に電子カルテシステムへの入力作業を効率的に行うことが可能となるため、電子カルテシステム自体を大規模に改修することなく、医療機器10の使用履歴等を少ない手間で管理することが可能となる。
【0021】
なお、管理端末13において、医療機器10の使用に対応する予め決められた病名をデータベースとして記憶し、医療機器10ごとに対応する病名の候補を使用履歴と共に出力するようにしてもよい。そうすることで、電子カルテシステムへの入力の手間を省くことができる。
【0022】
このように、本実施形態に係る稼働状態検出装置及び医療機器管理システムにおいては、稼働状態検出装置が医療機器に装着され、当該医療機器の稼働状態を計測し、その計測結果から前記医療機器の使用履歴を演算し、演算結果を920MHz帯の無線信号で出力するため、周り込みや障害物等の影響を抑えた安定した通信により、医療機器の稼働状態をリアルタイムに計測して出力することが可能になる。
【0023】
また、稼働状態検出装置が医療機器における電源コンセントの差込プラグとプラグ受けとの間に介在するコンセントモジュールであり、医療機器に通電される交流電流を計測するため、医療機器の通電状態からその稼働状態を正確に計測することができる。
【0024】
さらに、稼働状態検出装置が装着された複数の医療機器と、稼働状態検出装置から送信される情報を中継する中継機と、稼働状態検出装置で取得された情報を出力する管理端末とを有し、任意の地点で利用されている他の稼働状態検出装置から出力される無線信号を受信し、受信した信号をそのまま、又は、自稼働状態検出装置が装着される前記医療機器の情報と共に出力し、前記中継機が、前記稼働状態検出装置から送信された情報を中継して前記管理端末に送信するため、建物内の様々な場所で稼働している医療機器の稼働状態に関する情報を効率よく、且つ、安定して収集することができ、医療機器の管理を容易に行うことが可能になる。
【0025】
(本発明の第2の実施形態)
本実施形態に係る医療機器管理システムについて、
図4ないし
図6を用いて説明する。本実施形態に係る医療機器管理システムは、前記第1の実施形態に係る医療機器管理システムの機能を拡張したものであり、前記医療機器以外の他の管理対象物を簡易的な構成で一元的に管理するものである。なお、本実施形態において前記第1の実施形態と重複する説明は省略する。
【0026】
本実施形態においては、医療機器10については前記第1の実施形態と同様の方法で管理するが、他の管理対象物については、近距離無線通信(例えば、RFID等)により情報収集を行う。前記第1の実施形態におけるWi-SUN通信等を実現するには、稼働状態検出装置11が高価なものとなってしまい、特に大規模な医療機関等における全ての医療機器10に設置するのは現実的ではない。そこで、本実施形態においては、比較的数が多く、それほど稼働状態の厳密な管理が必要ではない医療機器10(例えば、酸素濃度計、血圧計、車いす、ストレッチャー等)や備品(例えば、書籍、情報端末、共有文献等)については、RFIDにより情報を取得し、その情報をWi-SUN通信により管理端末13に送信する。
【0027】
図4は、本実施形態に係る医療機器管理システムのシステム構成図である。本実施形態に係る医療機器管理システム1は、比較的数が多く、それほど稼働状態の厳密な管理が必要ではない管理対象物40と、当該管理対象物40に付着されるRFIDタグ41aと、管理対象物40を所持する所持者が保有しているIDカード等に含まれるRFIDタグ41bと、予め施設内に点在して設置されたRFIDリーダ42と、Wi-SUN中継機としての稼働状態検出装置11と、前記第1の実施形態における医療機器管理システムと同様の中継機12及び管理端末13とを備える。
【0028】
RFIDリーダ42は、予め施設内の所定の場所に設置されており、その設置場所をRFIDタグ41a,41bが通過すると、当該RFIDタグ41a,41bの情報を近距離無線通信により読み取る。RFIDリーダ42と稼働状態検出装置11とは予め有線又は無線で接続されており、RFIDリーダ42が読み取ったRFIDタグ41a,41bの情報は、稼働状態検出装置11に入力される。稼働状態検出装置11は、前記第1の実施形態の場合と同様の通信方法で、RFIDタグ41a,41bの情報(例えば、タグID、場所情報、通過日時等)をWi-SUN通信を利用して管理端末13に送信する。
【0029】
ここで、本実施形態における稼働状態検出装置11について、
図5及び
図6を用いて詳細に説明する。
図5は、本実施形態に係る稼働状態検出装置11の構成を示す機能ブロック図、
図6は、本実施形態に係る稼働状態検出装置11の動作を示すフローチャートである。
【0030】
まず、本実施形態における稼働状態検出装置11の構成について説明する。
図5において、第1の実施形態における
図2の場合と異なるのは、制御CPU21がRFIDリーダ42からの情報を取得し、そのRFIDリーダ42から取得した情報が、いくつかの他の稼働状態検出装置11を経由して、又は、直接中継機12に送信され、最終的に管理端末13に送信されることである。上述したように、RFIDリーダ42が取得する情報は、RFIDタグ41a,41bに予め登録されている情報である。すなわち、RFIDリーダ42が設置された場所を通過した管理対象物40及びその保持者に関する情報を取得することができる。これらの情報から、管理対象物40をいつ、誰が、どの辺りで所持しているかを把握して管理することができる。
【0031】
なお、RFIDタグ41aと41bとの所持関係に関する関連付けについては、同時刻にRFIDタグ41aと41bとが同一のRFIDリーダ42で読み込まれた場合に所持関係があるものと見なしてもよいし、同時刻に複数回に亘ってRFIDタグ41aと41bとが同一のRFIDリーダ42で読み込まれた場合に所持関係があるものと見なすようにしてもよい。また、管理対処物40の位置については、RFIDタグ41aを読み込んだRFIDリーダ42の時系列順によりその移動経路を割り出すことが可能であり、最終的に読み込まれたRFIDリーダ42の位置により、管理対処物40の所在場所をおおよそ特定する(範囲を特定する)ことが可能となる。
【0032】
次に、本実施形態における稼働状態検出装置11の動作について説明する。
図6において、ステップS1~ステップS6までは、前記第1の実施形態における
図3の場合と同じであるため説明は省略する。
図3の場合は、ステップS5で他の稼働状態検出装置からの情報を受信していない場合は、ステップS1の待機状態に戻ったが、本実施形態においては、制御CPU21がRFIDリーダ42からの情報を受信したかどうかを判定する(S7)。RFIDリーダ42からの情報を受信していない場合は、ステップS1の待機状態に戻る。RFIDリーダ42からの情報を受信した場合は、受信した情報をそのまま、又は、自身の稼働状態検出装置11に関する情報を付与して最寄りの他の稼働状態検出装置11に情報を送信し(S8)、ステップS1の待機状態に戻る。
【0033】
以上のように、医療機器10の稼働状態の管理に加えて、管理対象物40の管理を安価で簡易的な構成で行うことが可能となる。なお、上記RFIDタグに代えてバーコードやQRコード(登録商標)を用いてもよく、その場合はRFIDリーダに代えてバーコードリーダやQRコード(登録商標)リーダを用いるようにしてもよい。
【0034】
このように、本実施形態に係る医療機器管理システムにおいては、管理施設内にRFIDリーダが点在されており、管理対象物に貼着され、及び/又は、当該管理対象物の所持者が保持するRFIDタグを有し、RFIDリーダが読み込んだRFIDタグの情報を稼働状態検出装置を経由して管理端末に送信するため、管理対象物の所在を施設内に点在されるRFIDリーダの位置と対応付けて容易に管理することができる。
【0035】
(本発明の第3の実施形態)
本実施形態に係る医療機器管理システムについて、
図7ないし
図9を用いて説明する。本実施形態に係る医療管理システムは、前記第1の実施形態に係る医療機器管理システムの機能を拡張したものであり、医療機器の稼働状態と共に、医療機器の使用者(例えば、医師や看護師等の医療従事者であり、以下、単に医師という)、及び/又は、医療機器が使用される使用対象者(例えば、医療行為の対象となる患者であり、以下、単に患者という)に関する情報を併せて一元的に管理するものである。なお、本実施形態において前記各実施形態と重複する説明は省略する。
【0036】
医療機器10を医療行為に使用した際に、医療機器10の種類によっては診療報酬点数を加算するものがある。しかしながら、特に、救急外来のように医師も患者も一刻を争う状況においては、医療機器10を使用した医師の情報や医療機器10を使用された患者の情報を履歴として残すのが極めて困難な現状となっている。また、これらの使用履歴を確実に残すには、電子カルテシステムと連結させるのが確実であるが、電子カルテシステムや医療機器10を改修するには莫大な費用と手間を要してしまう。そこで、本実施形態においては、医療機器10の稼働状態を管理すると共に、医師や看護師の情報を簡単な操作で取り込んで関連付けることで、上記のような課題を解決する。
【0037】
図7は、本実施形態に係る医療機器管理システムのシステム構成図である。本実施形態に係る医療機器管理システム1は、医療機器10と、医師が保有しているIDカード等に含まれる当該医師を特定する情報を少なくとも含むRFIDタグ70aと、患者に配布されるIDカード等に含まれる当該患者を特定する情報を少なくとも含むRFIDタグ70bと、RFIDタグ70aやRFIDタグ70bに登録されている情報を近距離通信で読み込むRFIDリーダ71と、RFIDタグ70aやRFIDタグ70bの情報及び医療機器10の稼働状態に関する情報を取得してWi-SUN通信を行う稼働状態検出装置11と、前記第1の実施形態における医療機器管理システムと同様の中継機12及び管理端末13とを備える。
【0038】
RFIDリーダ71は、医療機器10の近傍であり、医療機器10を使用する際に容易に手が届く位置に近接配設されている。医師は自身のID情報が登録されているIDカードを普段から常時所持しており、そのIDカードには医師の個人情報等が登録されたRFIDタグ70aが付設されている。患者についても、当該患者のID情報が登録されているIDカードに、患者自身の個人情報等が登録されたRFIDタグ70aが付設されており、診察の際に所持している。RFIDリーダ71は、稼働状態検出装置11と有線又は無線(例えば、Wi-FiやBluetooth等)で接続されており、RFIDリーダ71が読み込んだRFIDタグ70aやRFIDタグ70bの情報は、稼働状態検出装置11に送信される。
【0039】
なお、医師のRFIDタグ70aは、必ずしもIDカードに付設される必要はなく、医師が常に所持しており、取り出しが容易であるものであればよい。また、患者のRFIDタグ70bについても、例えば、患者ごとに発行されている診察券や、診察順を管理するために院内で一時的に発行する診察カード、リストバンド、診察用紙等に付設されてもよい。また、救急の場合などは、診察券を所持していない場合も多いので、院内で仮に発行する診察カードを利用するのが好ましい。
【0040】
医師は、患者に対して医療機器10を用いた診療行為を行う前又は後に、自身のRFIDタグ70aと患者のRFIDタグ70bの情報をRFIDリーダ71に読み込ませる。稼働状態検出装置11は、前記第1の実施形態において上述したように、医療機器10の稼働状態を演算すると共に、医療機器10の起動前後に取得したRFIDタグ70aとRFIDタグ70bの情報を医療機器10の稼働状態と関連付けて記録する。記録された情報は、中継機12を経由して管理端末13に送信される。管理端末13側では、医療機器10の稼働状態と共に、その時に医療機器10を使用した医師と患者を特定する。
【0041】
医療機器10の稼働状態と共に、医療機器10を使用した医師と患者を特定することで、医療機器10を使用したことによる診療報酬点数を患者に加算して診療費を確実に回収することができると共に、医療機器10の使用態様が適正ではない(例えば、使用時間が長すぎる、使用時間が短すぎる、使用頻度が多すぎる等)ような場合に、使用した医師に対して、注意勧告を行うことも可能となる。
【0042】
なお、医療機器10に稼働状態とRFIDタグ70a、70bの情報との関連付けについては、医療機器10の起動中又は起動や停止の前後における数秒~数分以内に取得されたRFIDタグ70a、70bの情報を医療機器10の稼働状態と関連性があるものとして演算するようにしてもよい。
【0043】
また、上記RFIDタグに代えてバーコードやQRコード(登録商標)を用いてもよく、その場合はRFIDリーダに代えてバーコードリーダやQRコード(登録商標)リーダを用いるようにしてもよい。
【0044】
ここで、本実施形態における稼働状態検出装置11について、
図8及び
図9を用いて詳細に説明する。
図8は、本実施形態に係る稼働状態検出装置11の構成を示す機能ブロック図、
図9は、本実施形態に係る稼働状態検出装置11の動作を示すフローチャートである。
【0045】
まず、本実施形態に係る稼働状態検出装置11の構成について説明する。
図8において、通信部24は、RFIDリーダ71から送信されるRFIDタグ70a、70bの情報を受信すると共に受信した情報を制御CPU21に出力し、制御CPU21で演算された結果を他の稼働状態検出装置11を経由して、又は、直接中継機12に送信する。なお、第2の実施形態における
図5の構成も、この
図8の場合と同様に、通信部24がRFIDリーダ42からの情報をWi-FiやBluetooth(登録商標)等の無線通信で受信するようにしてもよい。
【0046】
次に、本実施形態に係る稼働状態検出装置11の動作について説明する。
図9において、稼働状態検出装置11が商用電源に接続され、制御CPU21は待機状態となる(S1)。制御CPU21は、医療機器10が接続されて起動されたかどうかを、CTセンサ23から所定値以上の通電が計測されたかどうかで判定する(S2)。所定値以上の通電が計測された場合は、計測の前後における所定時間内にRFIDリーダ71から取得したRFIDタグ70a、70bの情報を含む医療機器10の使用履歴を内部メモリ又は外部メモリ等(図示しない)に記録する(S3)。通信部24は、記録された使用履歴を最寄の他の稼働状態検出装置11にマルチホップ通信で送信し(S4)、ステップS1の待機状態に戻る。ステップS2で所定値以上の通電が計測されない場合は、前記第1の実施形態における
図3の場合と同じである。
【0047】
なお、例えば、医療機器10がポータブルエコーのような場合は、心臓用、腹部用、その他部位用に応じて、使用するプローブやチャンネルが異なることを利用し、計測される電流値の値から使用した部位の情報を得ることも可能である。
【0048】
このように、医療機器の使用者、及び/又は、前記医療機器を使用される使用対象者に関する情報が医療機器の使用履歴として関連付けて管理されるため、電子カルテシステム自体を大規模に改修することなく、医療機器を誰が誰に対して使用したかを容易に管理することができると共に、診療報酬点数を確実に記録することができる。
【0049】
(その他の実施形態)
本実施形態に係る医療機器管理システムについて、
図10を用いて説明する。本実施形態に係る医療機器管理システムは、管理施設内を巡回する巡回装置に設置されたRFIDリーダ、Wi-SUNモジュール、無線通信の受信機等を介して、管理施設内の様々な情報を収集するものである。なお、本実施形態において、前記各実施形態と重複する説明は省略する。
【0050】
図10は、管理施設におけるフロアの一例を示す図である。ここでは、管理施設を病院とし、菱形状の廊下に沿って入院患者用の病室やナースステーション等を有する一般的な病院フロアの一例である。このような大規模な病院においては、清掃車(掃除道具等を運ぶためのカート等)や配膳車(食事を運ぶためのカート等)が定期的にフロア内を巡回している。本実施形態においては、フロア内を定期的に巡回するこれらの巡回装置にRFIDリーダ、Wi-SUNモジュール、無線通信の受信機等を設置し、各室内で記録されている情報を読み込んで送信することで、各室内で記録されている情報を管理端末13にて一元管理する。
【0051】
各室内で記録されている情報としては、上記各実施形態において上述した医療機器10や管理対象物に関する情報に加え、患者の生体情報等も含まれる。より具体的には、医療機器10の情報は、稼働状態検出装置11から送られる情報をWi-SUNモジュールを介して管理端末13に送信することができる。また、RFIDタグ41aが付着された管理対象物は、例えば、短距離(数メートル)の読み取りが可能なRFIDリーダを用いることで、室内に存在しているRFIDタグ41aの情報を取得し、Wi-SUNモジュールを介して管理端末13に送信することができる。患者の生体情報については、予め患者自身が生体情報をモニタリングする装置を身に着けており、その装置が記録した情報を巡回装置に設置された無線受信機が受信し、Wi-SUNモジュールを介して管理端末13に送信することができる。
【0052】
また、管理端末13で一元管理する情報として、巡回装置自体の移動に関する情報を含んでもよい。すなわち、巡回装置の移動態様をRFIDリーダ42からの情報や、予め巡回装置に設置されたGPS受信機の情報からWi-SUNモジュールを介して取得し、移動態様が適正であるかどうかを判断することで、巡回者に何かトラブルが発生していないかを管理することができる。具体的には、巡回装置が所定時間以上移動していないような場合には、巡回者に何か重大な問題(例えば、急病で倒れた等)が発生した可能性があると判断し、管理端末13にて警告表示を行う。また、予定している巡回経路から外れたような場合にも、巡回者に何か問題が発生したと判断し警告表示を行う。管理端末13の管理者は、これらの警告表示に基づいて、巡回者にいち早く確認を取ることができる。
【0053】
このように、本実施形態に係る医療機器管理システムにおいては、管理施設内を巡回装置が巡回しながら効率よく情報収集することができる。また、患者の健康状態に関する情報を通信手段により定期的に収集することができるため、一元的に効率よく管理してモニタリングすることができる。
【0054】
以下、本発明に関する付記を示す。
【0055】
(付記1)
稼働状態検出装置は、医療機器に装着され、当該医療機器の稼働状態を計測する動作検出手段と、前記動作検出手段の計測結果から前記医療機器の使用履歴を演算する制御CPUと、前記制御CPUの演算結果を少なくとも920MHz帯の無線信号で出力可能な通信手段とを備えるものである。このように、稼働状態検出装置においては、医療機器に装着され、当該医療機器の稼働状態を計測し、その計測結果から前記医療機器の使用履歴を演算し、演算結果を920MHz帯の無線信号で出力するため、周り込みや障害物等の影響を抑えた安定した通信により、医療機器の稼働状態をリアルタイムに計測して出力することが可能になるという効果を奏する。
【0056】
(付記2)
稼働状態検出装置は、当該稼働状態検出装置が、前記医療機器における電源コンセントの差込プラグとプラグ受けとの間に介在するコンセントモジュールであり、前記動作検出手段が、前記医療機器に通電される交流電流を計測するものである。このように、稼働状態検出装置においては、医療機器における電源コンセントの差込プラグとプラグ受けとの間に介在するコンセントモジュールであり、医療機器に通電される交流電流を計測するため、医療機器の通電状態からその稼働状態を正確に計測することができるという効果を奏する。
【0057】
(付記3)
医療機器管理システムは、前記稼働状態検出装置が装着された複数の前記医療機器と、前記稼働状態検出装置から送信される情報を中継する中継機と、前記稼働状態検出装置で取得された情報を出力する出力端末とを有する医療機器管理システムであって、前記通信手段が、任意の地点で利用されている他の稼働状態検出装置から出力される無線信号を受信し、受信した信号をそのまま、又は、自稼働状態検出装置が装着される前記医療機器の情報と共に出力し、前記中継機が、前記稼働状態検出装置から送信された情報を中継して前記出力端末に送信するものである。このように、医療機器管理システムにおいては、前記稼働状態検出装置が装着された複数の前記医療機器と、前記稼働状態検出装置から送信される情報を中継する中継機と、前記稼働状態検出装置で取得された情報を出力する出力端末とを有し、任意の地点で利用されている他の稼働状態検出装置から出力される無線信号を受信し、受信した信号をそのまま、又は、自稼働状態検出装置が装着される前記医療機器の情報と共に出力し、前記中継機が、前記稼働状態検出装置から送信された情報を中継して前記出力端末に送信するため、建物内の様々な場所で稼働している医療機器の稼働状態に関する情報を効率よく、且つ、安定して収集することができ、医療機器の管理を容易に行うことが可能になるという効果を奏する。
【0058】
(付記4)
医療機器管理システムは、前記医療機器を管理する管理施設内に点在される管理情報読取素子と、前記稼働状態検出装置が装着される前記医療機器以外の他の医療機器を含む管理対象物に貼着され、又は、前記管理対象物の所持者に保持される管理情報格納素子とを備え、前記通信手段が、前記管理情報読取素子が読み込んだ前記管理情報格納素子の情報を送受信するものである。このように、医療機器管理システムにおいては、医療機器を管理する管理施設内に点在される管理情報読取素子と、前記稼働状態検出装置が装着される前記医療機器以外の他の医療機器を含む管理対象物に貼着され、及び/又は、前記管理対象物の所持者に保持される管理情報格納素子とを備え、前記通信手段が、前記管理情報読取素子が読み込んだ前記管理情報格納素子の情報を送受信するため、稼働状態検出装置が装着される医療機器以外の管理対象物の所在を、施設内に点在される管理情報読取素子の位置と対応付けて容易に管理することができるという効果を奏する。
【0059】
(付記5)
医療機器管理システムは、前記管理情報読取素子が、前記管理施設内を巡回する巡回装置に設置されているものである。このように、医療機器管理システムにおいては、前記管理情報読取素子が、前記管理施設内を巡回する巡回装置に設置されているため、巡回装置が巡回しながら効率よく管理情報格納素子の情報を収集することができるという効果を奏する。
【0060】
(付記6)
医療機器管理システムは、前記医療機器の使用者、及び/又は、前記医療機器を使用される使用対象者に関する情報が格納された使用情報格納手段と、前記稼働状態検出装置に接続され、前記使用情報格納手段に格納された情報を読み取る使用情報読取素子とを備え、前記制御CPUが、前記医療機器の使用履歴と前記使用情報読取素子が読み取った前記使用情報格納手段の情報とを関連付けて演算するものである。このように、医療機器管理システムにおいては、医療機器の使用者、及び/又は、前記医療機器を使用される使用対象者に関する情報が格納された使用情報格納手段と、稼働状態検出装置に接続され、使用情報格納手段に格納された情報を読み取る使用情報読取素子とを備え、制御CPUが、前記医療機器の使用履歴と前記使用情報読取素子が読み取った前記使用情報格納手段の情報とを関連付けて演算するため、医療機器を誰が誰に対して使用したかを容易に管理することができるという効果を奏する。
【0061】
また、医療機器の使用履歴について、誰が誰に対して使用したかが管理されることで、診療報酬点数を確実に記録することができるという効果を奏する。
【0062】
(付記7)
医療機器管理システムは、患者に装着され、当該患者の健康状態を測定する生体情報検出装置を備え、前記通信手段が、測定された生体情報を送受信するものである。このように、医療機器管理システムにおいては、患者に装着され、当該患者の健康状態を測定する生体情報検出装置を備え、前記通信手段が、測定された生体情報を送受信するため、患者の健康状態に関する情報を通信手段により収集して一元的に効率よく管理することができるという効果を奏する。
【符号の説明】
【0063】
1 医療機器管理システム
10 医療機器
11 稼働状態検出装置
12 中継機
13 管理端末
21 制御CPU
22 電源部
23 CTセンサ
24 通信部
40 管理対象物
41a,41b RFIDタグ
42 RFIDリーダ
70a,70b RFIDタグ
71 RFIDリーダ