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特許7016864無線周波数コイルのチューニング方法及び装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-28
(45)【発行日】2022-02-07
(54)【発明の名称】無線周波数コイルのチューニング方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/055 20060101AFI20220131BHJP
   G01N 24/00 20060101ALI20220131BHJP
【FI】
A61B5/055 355
A61B5/055 350
G01N24/00 570A
G01N24/00 570Y
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019511960
(86)(22)【出願日】2017-09-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-10-24
(86)【国際出願番号】 US2017054316
(87)【国際公開番号】W WO2018064485
(87)【国際公開日】2018-04-05
【審査請求日】2020-09-25
(31)【優先権主張番号】62/401,657
(32)【優先日】2016-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517077511
【氏名又は名称】ハイパーファイン,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】リアリック,トッド
(72)【発明者】
【氏名】ジョーダン,ジェレミー,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】チャーヴァット,グレゴリー,エル.
(72)【発明者】
【氏名】ローゼン,マシュー,スコット
【審査官】伊知地 和之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0113484(US,A1)
【文献】国際公開第2013/018541(WO,A1)
【文献】特開平09-098960(JP,A)
【文献】特開昭63-286141(JP,A)
【文献】特開2009-139380(JP,A)
【文献】特表2009-511232(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0285659(US,A1)
【文献】特開2007-000619(JP,A)
【文献】特開2007-181615(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/055
G01N 24/00 - 24/14
G01R 33/28 - 33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気共鳴イメージング(MRI)システムとともに使用される無線周波数(RF)コイルをチューニングするよう構成されるチューニングシステムであって、
前記RFコイルが共振する周波数に影響を及ぼすよう構成される少なくとも1つのチューニング要素を含むチューニング回路と、
前記MRIシステムの実際のラーモア周波数を示す情報を検出するよう前記MRIシステムを制御し、
前記検出された情報を用いて前記実際のラーモア周波数を決定し、
前記MRIシステムの環境内で電磁ノイズを検出するよう前記MRIシステムを制御し、
前記検出された電磁ノイズに基づいて前記RFコイルの実際の共振周波数を決定し、
MRIシステムのおおよそ前記実際のラーモア周波数で前記RFコイルを共振させるように前記実際のラーモア周波数及び前記実際の共振周波数に基づいて前記少なくとも1つのチューニング要素についての少なくとも1つの値をセットするよう構成されるコントローラと
を有するチューニングシステム。
【請求項2】
前記実際のラーモア周波数を示す前記情報は、サンプルから発せられて前記RFコイルを用いて検出された磁気共鳴信号を有する、
請求項に記載のチューニングシステム。
【請求項3】
前記実際のラーモア周波数を示す前記情報は、少なくとも1つのセンサを用いて前記MRIシステムによって生成される実際のB磁界強度を測定することによって少なくとも部分的に当該チューニングシステムによって決定される、
請求項1に記載のチューニングシステム。
【請求項4】
前記コントローラは、
所望のラーモア周波数を示す情報に基づいて前記少なくとも1つのチューニング要素についての前記少なくとも1つの値を第1値にセットし、前記所望のラーモア周波数は、前記MRIシステムのB磁石によって生成される所望のB磁界強度及び/又は前記所望のラーモア周波数を示す情報を受け取ることによって少なくとも部分的に当該チューニングシステムによって決定され
前記少なくとも1つのチューニング要素についての前記少なくとも1つの値が前記第1値にセットされているとき、前記実際のラーモア周波数及び前記RFコイルの前記実際の共振周波数を決定し、
前記RFコイルを前記MRIシステムのおおよそ前記実際のラーモア周波数で共振させるように前記実際のラーモア周波数及び前記実際の共振周波数に基づいて前記少なくとも1つのチューニング要素についての前記少なくとも1つの値を第2値にセットする
よう更に構成される、
請求項1に記載のチューニングシステム。
【請求項5】
前記B磁石によって生成される前記所望のB磁界強度及び/又は前記所望のラーモア周波数を示す情報は、前記RFコイルのコイルコネクタから受け取られる、
請求項に記載のチューニングシステム。
【請求項6】
前記B磁石によって生成される前記所望のB磁界強度及び/又は前記所望のラーモア周波数を示す情報は、前記MRIシステムのコンソールから受け取られる、
請求項に記載のチューニングシステム。
【請求項7】
前記コントローラは、前記RFコイルが最大応答を示した前記検出された電磁ノイズのスペクトル内の周波数を特定するよう構成される、
請求項に記載のチューニングシステム。
【請求項8】
前記チューニング回路は、平衡チューニングネットワークを有する、
請求項1に記載のチューニングシステム。
【請求項9】
前記チューニング回路は、前記MRIシステムとともに使用される送信/受信RFコイルをチューニングするよう構成される、
請求項1に記載のチューニングシステム。
【請求項10】
前記コントローラは更に、複数の差動測定に少なくとも部分的に基づき、前記チューニング回路に取り付けられた前記RFコイルを自動的にチューニングするよう構成される、
請求項1に記載のチューニングシステム。
【請求項11】
前記コントローラは、
前記少なくとも1つのチューニング要素の前記少なくとも1つの値を初期値にセットすることと、
前記少なくとも1つのチューニング要素が前記初期値にセットされる場合に第1ノイズ測定を収集することと、
前記少なくとも1つのチューニング要素の前記少なくとも1つの値を新しい値にセットすることと、
前記少なくとも1つのチューニング要素が前記新しい値にセットされる場合に第2ノイズ測定を収集することと、
前記第1ノイズ測定と前記第2ノイズ測定との比較に少なくとも部分的に基づき前記RFコイルを自動チューニングすることと
によって少なくとも部分的に前記RFコイルを自動チューニングするよう構成される、
請求項10に記載のチューニングシステム。
【請求項12】
前記MRIシステムは、低磁場MRIシステムである、
請求項1に記載のチューニングシステム。
【請求項13】
所望の磁界強度は、0.1T以下且つ50mT以上である、
請求項12に記載のチューニングシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
磁気共鳴イメージング(magnetic resonance imaging)(MRI)は、多数の用途のための重要なイメージングモダリティを提供し、そして、人体の内部の画像を生成するために臨床及び研究施設で広く利用されている。一般的に、MRIは、印加された電磁場により生じる状態変化に応答して原子によって放射された電磁波である磁気共鳴(MR)信号を検出することに基づく。例えば、核磁気共鳴(nuclear magnetic resonance)(NMR)技術は、撮像される対象内の原子(例えば、人体の組織内の原子)の核スピンの再配列又は緩和時に励起原子の原子核から放射されたMR信号を検出することと伴う。検出されたMR信号は、画像を生成するよう処理され得る。画像は、医療応用との関連で、診断、治療及び/又は研究を目的とした体内の内部構造及び/又は生物学的過程の調査を可能にする。
【0002】
MRIは、他のモダリティの安全上の懸念なしで(例えば、被検体を電離放射線、例えば、x線にさらす必要性、又は身体への放射性物質の導入なしで)比較的高い解像度及びコントラストを有している非侵襲画像を生成する能力により、生体撮像のための魅力的なイメージングモダリティを提供する。その上、MRIは、軟組織コントラストを提供するのに特に適しており、他のイメージングモダリティが満足に撮像することができない対象を撮像するのに利用され得る。更に、MR技術は、他のモダリティが捕捉することができない構造及び/又は生物学的過程に関する情報を捕捉することができる。しかし、MRIには多数の欠点があり、所与のイメージング応用の場合に、比較的高い設備コスト、臨床MRIスキャナへのアクセスを得ることにおける困難性及び/又は限られた利用可能性、且つ/あるいは、画像捕捉プロセスの長さを伴うことがある。
【0003】
臨床MRIにおける傾向は、スキャン時間、画像解像度、及び画像コントラストのうちの1つ以上を改善するようMRIスキャナの磁界強度を強めることであるが、これは翻って、コストを跳ね上がらせ続ける。設置されたMRIスキャナの圧倒的多数は、1.5又は3テスラで動作し、これはメイン磁場Bの磁界強度を指す。臨床MRIスキャナについての概算コスト見積もりは、テスラ当たり100万ドルのオーダーであり、これは、そのようなMRIスキャンを動作させることに伴う実質的な運用、サービス、及び保守コストを考慮に入れない。
【0004】
その上、従来の高磁場MRIシステムは、対象(例えば、患者)が撮像される強い均一静磁場(B)を発生させるために大型の超電導磁石及び関連する電子機器を通常必要とする。そのようなシステムのサイズは、磁石、電子機器、熱管理システム、及び制御コンソール領域のための複数の部屋を含む典型的なMRI設備により相当なものである。MRIシステムのサイズ及び費用は、一般に、それらの使用を、それらを購入及び維持するのに十分なスペース及び資源を有している病院及び学術研究センターのような施設に制限する。高磁場MRIシステムの高コスト及び実質的なスペース要件は、MRIスキャナの利用可能性を制限することになる。そのようなものとして、以下で更に詳細に論じられるように、MRIスキャンが有益であるが、上記の制限のうちの1つ以上により、実際的でないか又は不可能である臨床状況がしばしば存在する。
【発明の概要】
【0005】
いくつかの実施形態は、磁気共鳴イメージングシステムとともに使用される無線周波数コイルを、該無線周波数コイルへ接続されたチューニング回路を用いて自動チューニングする方法であって、前記磁気共鳴イメージングシステムのラーモア周波数を示す情報を決定することと、前記無線周波数コイルを前記決定された情報に基づきおおよそ前記ラーモア周波数で共振させるよう前記チューニング回路の少なくとも1つの値を自動的にセットするためにコントローラを使用することとを有する方法を有する。
【0006】
いくつかの実施形態は、磁気共鳴イメージングシステムとともに使用される無線周波数コイルをチューニングするよう構成されるチューニングシステムであって、前記無線周波数コイルが共振する周波数に影響を及ぼすよう構成される少なくとも1つのチューニング要素を含むチューニング回路と、当該チューニングシステムによって決定された前記磁気共鳴イメージングシステムのおおよそラーモア周波数で前記無線周波数コイルを共振させるように前記チューニング要素についての少なくとも1つの値をセットするよう構成されるコントローラとを有するチューニングシステムを有する。
【0007】
いくつかの実施形態は、磁気共鳴イメージングシステムであって、B場を供給するよう構成されるB磁石と、少なくとも1つの無線周波数コイルと、前記少なくとも1つの無線周波数コイルをチューニングするよう構成されるチューニングシステムとを有し、前記チューニングシステムは、前記無線周波数コイルが共振する周波数に影響を及ぼすよう構成される少なくとも1つのチューニング要素を含むチューニング回路と、前記チューニングシステムによって決定された当該磁気共鳴イメージングシステムのおおよそラーモア周波数で前記無線周波数コイルを共振させるように前記チューニング要素についての少なくとも1つの値をセットするよう構成されるコントローラとを有する、磁気共鳴イメージングシステムを有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
開示されている技術の様々な態様及び実施形態は、次の図を参照して記載される。当然ながら、図は、必ずしも実寸通りではない。複数の図において現れるアイテムは、それらが洗われる全ての図において同じ参照符号によって示される。
【0009】
図1】いくつかの実施形態に従ってチューニングされ得るRFコイルを含む低磁場MRIシステムの概略図である。
図2】いくつかの実施形態に従うRFコイルチューニング回路の概略図である。
図3】いくつかの実施形態に従って図2のRFコイルチューニング回路で使用され得るチューニングネットワークの概略図である。
図4】いくつかの実施形態に従って図3のチューニングネットワークの実施の概略図である。
図5】いくつかの実施形態に従って図3のチューニングネットワークの代替の実施の概略図である。
図6】いくつかの実施形態に従って図3のチューニングネットワークの代替の実施の概略図である。
図7】いくつかの実施形態に従う代替のRFコイルチューニング回路の概略図である。
図8】いくつかの実施形態に従う代替のRFコイルチューニング回路の概略図である。
図9】いくつかの実施形態に従って受信専用RFコイルをチューニングする代替のRFコイルチューニング回路の概略図である。
図10A】MRIシステムの環境における電磁ノイズスペクトルの例を表す。
図10B】いくつかの実施形態に従って、RFコイルによって検出される図10Aで表された電磁ノイズスペクトルの例を表す。
図11】いくつかの実施形態に従って、RFコイルをチューニングする方法を表す。
図12A】いくつかの実施形態に従って、複数の周波数でチューニングされるRFコイルで検出されるノイズスペクトルを表す。
図12B図12Aのノイズスペクトルの拡大された部分を表す。
図13】いくつかの実施形態に従ってRFコイルをチューニングするための作動ノイズ測定を表す。
図14】いくつかの実施形態に従って、無線周波数コイルをチューニングする方法を表す。
図15】例えば、コントローラの部分として、本明細書で記載されるチューニング技術を実装するのに適したコンピュータ装置を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
MRIスキャナ市場は、高磁場システムによって、特に、医療又は臨床MRI用途のために、圧倒的に占められている。上述されたように、医用撮像における一般的な傾向は、臨床MRIスキャナの大部分が1.5T又は3Tで動作し、7T及び9Tのより高い磁界強度が研究環境で使用される状況で、ますます強い磁界強度を有するMRIスキャナを製造することである。本明細書で使用されるように、「高磁場」は、一般的には、臨床の場で目下使用されているMRIシステムを指し、より具体的には、1.5T以上のメイン磁場(すなわち、B場)で動作するMRIシステムを指す。なお、0.5Tから1.5Tの間で動作する臨床システムも、しばしば、「高磁場」と見なされる。おおよそ0.2Tから0.5Tの間の磁界強度は「中磁場」と見なされており、高磁場領域内の磁界強度が増大し続けるにつれて、0.5Tから1Tの間の範囲内の磁界強度も中磁場と見なされてきた。対照的に、「低磁場」は、一般的に、おおよそ0.2T以下のB場で動作するMRIシステムを指す。なお、0.2Tからおおよそ0.3Tの間のB場を有しているシステムは、高磁場領域の上限での磁界強度の増大の結果として、時々、低磁場と見なされてきた。低磁場領域内で、0.1Tに満たないB場で動作する低磁場MRIシステムは、本明細書では「極低磁場」と呼ばれ、10mTに満たないB場で動作する低磁場MRIシステムは、本明細書では「超低磁場」と呼ばれる。
【0011】
高磁場MRIシステムの魅力には、低磁場システムと比較して改善された解像度及び/又は短縮されたスキャン時間があり、臨床及び医療MRI用途のためのますます高い磁界強度への動きを動機付ける。しかし、上述されたように、MRIシステムの磁界強度の増大は、ますます効果で複雑なMRIスキャナをもたらして、利用可能性を制限し、汎用目的及び/又は一般的に利用可能な撮像ソリューションとしてのそれらの使用を妨げる。
【0012】
上述されたように、従来のMRIシステムは、特殊な設備を必要とする。MRIシステムが作動するためには、電磁気的に遮蔽された部屋が必要とされ、その部屋の床は、構造的に強化されなければならない。高電力電子機器及びスキャン技術の制御エリアのために追加の部屋が設けられなければならない。現場への安全なアクセスも設けられる必要がある。その上、専用の三相電源接続が、電子機器に電力を供給するために設置されなければならない。また、電子機器は、冷水供給によって冷却されなければならず、追加のHVACキャパシティが設けられる必要がある。そのような設置場所要件は、費用がかかるだけでなく、MRIシステムが配備され得る場所を大いに制限する。従来の臨床MRIスキャナはまた、運用及び維持の両方にかなりの専門知識を必要とする。これらの高度に訓練された技術者及びサービスエンジニアは、かなりの継続的な運用コストをMRIシステムの運用に加える。従来のMRIは、結果として、法外な費用がかかり且つアクセスのしやすさを厳しく制限され、MRIが、必要なときにいつどこでも広範囲の臨床撮像ソリューションを提供することができる広く利用可能な診断ツールであることを妨げる。患者は、事前に計画された時間及び場所で限られた数の施設の中の1つを訪ねなければならず、MRIが、診断、手術、患者モニタリングなどを支援するのに特に有効である多数の医療用途で使用されることを妨げる。
【0013】
上述されたように、高磁場MRIシステムは、それらのシステムのサイズ、重さ、電力消費及びシールド要件に適合するように、特別に適応された施設に求める。例えば、1.5TのMRIシステムは、典型的に、4から10トンの間の重さがあり、3TのMRIシステムは、典型的に、8から10トンの間の重さがある。その上、高磁場MRIシステムは、一般的に、相当量の重く且つ高価なシールドを必要とする。多数の中磁場スキャナは、非常に大きい永久磁石及び/又はヨークの使用に部分的に起因して、10から20トンの間の重さで、より一層重い。市販されている低磁場MRIシステム(例えば、0.2TのB磁場で動作する。)も、典型的に、B場を生成するために使用される大量の強磁性材料に加えて、シールドにおける追加のトン数により、10トン以上の範囲にある。この重い機器を収容するには、部屋(通常、最小サイズが30~50平方メートルである。)は補強床材(例えば、コンクリート床材)で建てる必要があり、電磁波がMRIシステムの動作に干渉しないように特別に遮蔽する必要がある。従って、利用可能な臨床MRIシステムは不動であり、病院又は施設内の大きな専用スペースの多大な費用を必要とし、手術のためのスペースを準備するための相当額のコストに加えて、システムの運用及び維持の専門知識における更なる追加の継続的なコストを必要とする。
【0014】
然るに、高磁場MRIの多くの要件は、導入を多くの状況において高額にし、それらの配置を大規模な施設の病院又は専門施設に制限し、一般的に、それらの使用を厳密に予定された予約に制限し、事前に予約された時間に患者が専用の施設を訪問することを求める。従って、高磁場MRIに対する多くの制限は、MRIイメージングモダリティとして十分に利用されることを妨げる。上記の高磁場MRIの欠点にもかかわらず、より高い磁場でのSNRの著しい増大の魅力は、臨床及び医療MRI用途での使用のために産業をますます高い磁界強度へ駆り立て続け、MRIスキャナのコスト及び複雑さを更に増大させ、それらの使用可能性を更に制限し、汎用目的及び/又は一般的に利用可能な撮像ソリューションとしてのそれらの使用を妨げる。
【0015】
低磁場領域において(特に、極低磁場領域において)生成されるMR信号の低いSNRは、比較的低いコスト、低い電力及び/又は持ち運び可能なMRIシステムの開発を妨げてきた。従来の“低磁場”MRIシステムは、有用な画像を実現するために、低磁場範囲と通常見なされるものの上限で動作する(例えば、臨床的に利用可能な低磁場システムは、おおよそ0.2Tのフロアを有している。)。高磁場MRIシステムよりも幾分安価ではあるが、従来の低磁場MRIシステムは、同じ欠点の多くを共有している。特に、従来の低磁場MRIシステムは、大きく、固定された、不動の設備であり、かなりの電力を消費し(専用の三相電源接続が必要。)、特別に遮蔽された部屋及び広い専用スペースを必要とする。低磁場MRIの課題は、有用な画像を生成することができる比較的低いコスト、低い電力、及び/又は持ち運び可能なMRIシステムの開発を妨げてきた。
【0016】
本発明者らは、病院及び研究施設での現在のMRI設置を超えた様々な環境におけるMRI技術の広範な展開性を改善することができる、持ち運び可能な、低磁場、低電力及び/又は低コストのMRIシステムを可能にする技術を開発した。結果として、MRIは、緊急治療室、小さな診療所、医師のオフィス、移動体ユニット、現場、などに配備することができ、多種多様なイメージングプロシージャ及びプロトコルを実行するために患者(例えば、ベッドサイド)に持って行くことができる。いくつかの実施形態は、持ち運び可能な、低コスト、低電力のMRIを容易にして、臨床現場でのMRIの利用可能性を著しく高める極低磁場MRIシステム(例えば、0.1T、50mT、20mT、など)を含む。
【0017】
いくつかの実施形態に従って、本明細書で記載されるチューニング技術は、MR信号捕捉のSNRを改善しながら、より高い精度でのRFコイルの自動チューニングを容易にし、よって、改善された低磁場MRIを容易にする。いくつかの実施形態に従って、本明細書で記載されるチューニング技術は、RFコイルがMRIシステムの実際の動作条件に合わせられることを可能にし(例えば、RFコイルは、MRIシステムのB場によって目下生成されている実際のB磁場により生じるラーモア周波数と一致するようチューニングされる。)、それによって、一般的に、この点においてSNRを最適化する。いくつかの実施形態に従って、本明細書で記載されるチューニング技術は、異なるB磁界強度を有しているMRIシステムとともに動作するよう、及び/又は異なるB磁界強度で動作するよう構成可能であるMRIシステムとともに動作するようRFコイルの自動チューニングを容易にする。
【0018】
図1は、低磁場MRIシステムの例となる構成要素のブロック図である。図1の実例において、低磁場MRIシステムは、ワークステーション104、コントローラ106、パルスシーケンスリポジトリ108、電力管理システム110、及び磁気部品120を有する。当然ながら、図1の低磁場MRIシステムは実例であり、低磁場MRIシステムは、図1に表されている構成要素に加えて、又はそれらの代わりに、如何なる適切なタイプの1つ以上の他の構成要素も有してよい。
【0019】
図1に表されているように、磁気部品120は、磁石122、シム(shim)コイル124、RF送信/受信コイル126、及び勾配コイル128を有する。磁石122は、メイン磁場Bを生成するために使用されてよい。磁石122は、低磁界強度を有するメイン磁場(すなわち、0.2テスラ以下の強さを有する磁場)を生成することができる如何なる適切なタイプの磁石であってもよい。シムコイル124は、磁石122によって生成されるB場の均一性を改善するよう磁場に寄与するために使用されてよい。勾配コイル128は、勾配磁場を供給するよう配置されてよく、例えば、3つの実質的に直交する方向(X,Y,Z)において磁場の勾配を生成するよう配置されてよい。
【0020】
RF送信/受信コイル126は、振動磁場Bを引き起こすようRFパルスを生成するために使用され得る1つ以上の送信コイルを有する。送信コイルは、低磁場MRイメージングを実行するのに有用な如何なる適切なタイプのRFパルスも生成するよう構成されてよい。
【0021】
磁気部品120の夫々は、如何なる適切な方法でも構成されてよい。例えば、いくつかの実施形態において、磁気部品120のうちの1つ以上(例えば、全て)は、“Low-field Magnetic Resonance Imaging Methods and Apparatus”と題されて2014年9月5日付け出願された米国特許仮出願第62/046814号で記載されている積層技術を用いて製造されてよい。この米国特許出願は、その全文を参照により本願に援用される。
【0022】
電力管理システム110は、低磁場MRシステムの1つ以上の構成要素へ動作電力を供給する電子機器を含む。例えば、以下で更に詳細に論じられるように、電力管理システム110は、1つ以上の電源、勾配電力増幅器、送信コイル増幅器、及び/又は低磁場MRIシステムの構成要素に給電し作動させるために適切な動作電力を供給するのに必要とされる如何なる他の適切なパワーエレクトロニクスも含んでよい。
【0023】
図1に表されているように、電力管理システム110は、電源112、増幅器114、送信/受信スイッチ116、及び熱管理部品118を有する。電源112は、低磁場MRIシステムの磁気部品120へ動作電力を供給するための電子機器を含む。例えば、電源112は、低磁場MRIシステムのメイン磁場を生成するよう1つ以上のBコイル(例えば、Bコイル122)へ動作電力を供給する電子機器を含んでよい。いくつかの実施形態において、電源112は単極性の連続波(continuous wave)(CW)電源であるが、如何なる適切な電源も使用されてよい。送信/受信スイッチ116は、RF送信コイル又はRF受信コイルが動作しているかどうかを選択するために使用されてよい。
【0024】
増幅器114は、1つ以上のRF受信コイル(例えば、コイル124)によって検出されたMR信号を増幅する1つ以上のRF受信(Rx)前置増幅器と、電力を1つ以上のRF送信コイル(例えば、コイル126)へ供給するよう構成された1つ以上のRF送信(Tx)増幅器と、電力を1つ以上の勾配コイル(例えば、勾配コイル128)へ供給するよう構成された1つ以上の勾配電力増幅器と、電力を1つ以上のシムコイル(例えば、シムコイル124)へ供給するよう構成されたシム増幅器とを含んでよい。
【0025】
熱管理部品118は、低磁場MRIシステムの構成要素を冷却し、そして、低磁場MRIシステムの1つ以上の構成要素によって生成された熱エネルギをそれらの構成要素から離れたところに移すことを容易にすることでそうするよう構成されてよい。熱管理部品118は、制限なしに、水に基づく又は空気に基づく冷却を実行する部品を含んでよく、Bコイル、勾配コイル、シムコイル、及び/又は送信/受信コイルを含む(がそれらに限られない)、熱を発生させるMRI部品に近接近して配置されるか又はそれらと一体化されてよい。熱管理部品118は、低磁場MRIシステムの構成要素から熱を遠ざける、空気及び水を含む(がそれらに限られない)如何なる適切な熱伝達物質も含んでよい。
【0026】
図1に表されているように、低磁場MRIシステムは、電力管理システム100へ命令を送るとともにそれから情報を受ける制御エレクトロニクスを有しているコントローラ106(本明細書では「コンソール」とも呼ばれる。)を含む。コントローラ106は、1つ以上のパルスシーケンスを実装するよう構成されてよい。パルスシーケンスは、所望のシーケンスで磁気部品120のうちの1つ以上を動作させるよう電力管理システム110へ送られる命令を決定するために使用される。コントローラ106は、本明細書で与えられる本開示の態様がこの点において制限されないということで、ハードウェア、ソフトウェア、又はハードウェアとソフトウェアとの如何なる適切な組み合わせとしても実装されてよい。
【0027】
いくつかの実施形態において、コントローラ106は、パルスシーケンスリポジトリ108からパルスシーケンスに関する情報を得ることによって、パルスシーケンスを実装するよう構成されてよい。パルスシーケンスリポジトリ108は、1つ以上のパルスシーケンスの夫々についての情報を記憶している。特定のパルスシーケンスについてパルスシーケンスリポジトリ108によって記憶されている情報は、コントローラ106がその特定のパルスシーケンスを実装することを可能にする如何なる適切な情報であってもよい。例えば、あるパルスシーケンスについてのパルスシーケンスリポジトリ108に記憶されている情報は、パルスシーケンスに従って磁気部品120を動作させるための1つ以上のパラメータ(例えば、RF送信/受信コイル126を動作させるためのパラメータ、勾配コイル128を動作させるためのパラメータ、など)、パルスシーケンスに従って電力管理システム110を動作させるための1つ以上のパラメータ、コントローラ106によって実行される場合に、コントローラ106に、パルスシーケンスに従って動作するようシステム100を制御させる命令を有する1つ以上のプログラム、及び/又は如何なる他の適切な情報も含んでよい。パルスシーケンスリポジトリ108に記憶されている情報は、1つ以上の非一時的な記憶媒体に記憶されてもよい。
【0028】
図1に表されているように、コントローラ106はまた、受け取られたMRデータを処理するようプログラムされているコンピュータ装置104と相互作用する。例えば、コンピュータ装置104は、如何なる適切な画像再構成プロセスも用いて、1つ以上のMR画像を生成するよう、受け取られたMRデータを処理してよい。コントローラ106は、コンピュータ装置104によるMRデータの処理を助けるよう、1つ以上のパルスシーケンスに関する情報をコンピュータ装置104へ供給してよい。例えば、コントローラ106は、1つ以上のパルスシーケンスに関する情報をコンピュータ装置104へ供給してよく、コンピュータ装置104は、供給された情報に少なくとも部分的に基づき画像再構成プロセスを実行してよい。
【0029】
コンピュータ装置104は、捕捉されたMRデータを処理し、撮像されている対象の1つ以上の画像を生成するよう構成された如何なる電子機器であってもよい。いくつかの実施形態において、コンピュータ装置104は、デスクトップコンピュータ、サーバ、ラックマウント型コンピュータ、又はMRデータを処理し、撮像されている対象の1つ以上の画像を生成するよう構成され得るあらゆる他の適切な固定電子機器のような、固定電子機器であってよい。代替的に、コンピュータ装置104は、スマートフォン、パーソナルデジタルアシスタント、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、又はMRデータを処理し、撮像されている対象の1つ以上の画像を生成するよう構成され得るあらゆる他のポータブル機器のような、ポータブル機器であってもよい。いくつかの実施形態において、コンピュータ装置104は、本明細書で与えられる本開示の態様がこの点において制限されないということで、如何なる適切なタイプの複数のコンピュータ装置も有してよい。ユーザ102は、低磁場MRIシステムの態様(例えば、特定のパルスシーケンスに従って動作するようシステムをプログラムすること、システムの1つ以上のパラメータを調整すること、など)を制御するよう及び/又は低磁場MRIシステムによって取得された画像を見るようコンピュータ装置104と対話してよい。
【0030】
簡単に述べると、MRIは、撮像されるべき対象(患者の全部又は一部)を静的な均一磁場Bに置いて、B場の方向において原子の原子スピンを整列させることを伴う。高磁場MRIシステムの場合に、高磁場MRIで用いられる磁界強度でBの均一性を達成するために、超電導線のコイルから作られた超電導磁石が一般的に必要とされる。超電導磁石はそれ自体の費用がかかるだけでなく、それらは、一般的に、動作中の極低温冷却を必要とし、高磁場MRIスキャナのコスト及び複雑さを増大させる。B磁気成分に加えて、対象からのMR信号を空間的に符号化するために勾配コイルが設けられるとともに、磁場Bの磁界強度に関連した周波数で磁場Bを生成して原子スピンに配向を変えさせ、そして、磁場Bと原子スピンとの再配列時に対象から放射されるMR信号を検出するために、送信コイル及び受信コイルが夫々設けられる。高い磁界強度及び関連する高い周波数で、それらの磁気部品はやはり比較的複雑且つ高価である。
【0031】
上述されたように、MRIシステムは、送信コイル及び受信コイル(例えば、RF Tx/Rxコイル126)(しばしば無線周波数(RF)コイルと呼ばれる。)を夫々用いて、MR信号を励起し、放射されたMR信号を検出する。送信/受信コイルの構成は、実施により変化し、送信及び受信の両方のための単一コイル、送信及び受信のための別個のコイル、送信及び/又は受信のための複数のコイル、又は単一チャネル若しくは並列MRIシステムを実現するためのあらゆる組み合わせを含んでよい。従って、送信/受信磁気部品は、MRIシステムの送信及び受信部品のための様々な構成を総称的に参照するようTx/Rx又はTx/Rxコイルとしばしば呼ばれる。
【0032】
送信コイルとして構成されたRFコイルは、磁場Bの磁界強度に関連した特定の周波数で磁場Bを生成する。その上、受信コイルは、その特定の周波数でMR信号を受信するよう構成される。最適に動作するよう、RFコイル(例えば、Txのみ、Rxのみ、又はTx/Rx)は、ラーモア(Larmor)周波数と呼ばれる特定の周波数に可能な限り近い周波数で共振するようしばしばチューニングされる。ラーモア周波数(ω)は、次の関係:ω=γBに従うB場の強さに関係がある。ここで、γは、撮像されたアイソトープの磁気回転比(例えば、H)(単位はMHz/T)であり、Bは、B場の強さ(単位はテスラ)である。高磁場MRIで使用される、一般的に使用されるラーモア周波数の例は、1.5TのMRIシステムについては約64MHzであり、3TのMRIシステムについては約128MHzである。低磁場MRIシステムの場合に、ラーモア周波数は、高磁場MRIシステムの場合よりも相当に低い。例えば、6.5mTのMRIシステムのためのラーモア周波数は約277kHzであり、50mTのMRIシステムのためのラーモア周波数は約2.1MHzであり、0.1TのMRIシステムのためのラーモア周波数は約4.2MHzである。
【0033】
高磁場MRIシステムとともに使用される大部分の市販RFコイルは、典型的に、特定の磁界強度を有するシステムとともに使用されるよう製造業者によってチューニングされ、そのようなコイルはしばしば、エンドユーザが現場でRFコイルを更にチューニングするために、限られた能力しか提供しないか、又はそのような能力を全く提供しない。実際に、高磁場MRIシステムにおいてRFエネルギの送信及び/又はMR信号の受信のために使用される大部分のRFコイルの正確なチューニングは、コイルの最適なチューニングからのわずかな変動によって導入されるコイルのノイズレベルに対する受信信号の強さにより、通常は不要である。しかし、本発明者らは、低磁場MRIシステム(例えば、0.2T、0.1T、50mT、20mT、10mT、など以下のB場を生成するシステム)とともに使用されるよう設計されたRFコイルがよりずっと小さい信号を検出し、それによって、RFコイルの正確なチューニングがより重要になるということを認識し理解している。磁界強度が更に(例えば、極低磁場範囲へと)低減されると、磁界強度の関数としてのSNRの低下はますます重要になり、RFコイルの正確なチューニングをより一層重要なものとする。
【0034】
その上、いくつかの実施形態に従って使用され得る一部の低磁場MRIシステムは、様々な撮像用途のために及び/又は外部ノイズ源を最小限とするためにB場の強さを変える機能を提供する。前述の議論から当然ながら、B場の強さを変えることは、RFコイルが最適に動作するようチューニングされるべきラーモア周波数を変える。然るに、本明細書で記載されるRFチューニング方法及び装置は、低磁場MRIシステムの現在のB場強さに基づきRFコイルを自動チューニングするために使用されてよい。RFコイルが製造業者によってチューニングされるところの従来のシステムでは、B場に対する斯様な変更は、そうすることが、正確な周波数で共振するようもはやチューニングされないRFコイルをもたらすということで、一般的には不可能である。
【0035】
RFコイルは、1つ以上の誘導素子及び1つ以上の容量素子を含むインダクタキャパシタ回路によって形成されてよい。RFコイルの共振周波数は、v=1/(2π√(LC))として決定される。ここで、L及びRは、コイル回路のインダクタンス及びキャパシタンスを表す。然るに、RFコイルを特定の共振周波数にチューニングすることは、回路のインダクタンス及び/又はキャパシタンスを変更することによって達成され得る。以下で更に詳細に論じられるいくつかの実施形態は、RFコイルの直列キャパシタンスを変更することによって、低磁場MRIのために使用されるRFコイルをチューニングする。
【0036】
図2は、低磁場MRIシステムで使用されるTx/Rx RFコイルをチューニングするために使用され得る、いくつかの実施形態に従うチューニング回路200を表す。チューニング回路200は、送信動作中にB場を生成するためにRFコイルの他の部品と組み合わせて使用され得る電流源202を含む。如何なる適切な電流源202も使用されてよく、実施形態はこの点において制限されない。例えば、いくつかの実施形態において、電流源202は、信号発生器、ネットワークアナライザ、又は他の電流源のような電流源へ接続された50Ω同軸ケーブルを有する。チューニング回路200は、電流源202とチューニングネットワーク206への入力部との間に接続されたバラン204を更に含む。
【0037】
チューニングネットワーク206は、RFコイルの共振周波数をチューニングするよう構成され得る1つ以上の制御可能な回路部品を含む。いくつかの実施形態に従って使用され得るチューニングネットワーク206の例は、以下で更に詳細に記載される。図示されるように、チューニング回路200は、チューニング回路200を用いてチューニングされるべきRFコイルのコイルコネクタ210と接続するよう構成された出力コネクタ208を更に含む。如何なる適切な出力コネクタ208及びコイルコネクタ210も使用されてよく、実施形態はこの点において制限されない。例えば、いくつかの実施形態において、3ピンミニジャックコネクタが出力コネクタ208として使用されてよく、3つのピンのうちの2つは、チューナーネットワーク206からの平衡出力に対応し、第3のピン(図示せず。)は、以下で更に詳細に論じられるように、コイルコネクタ210内の平衡シールド線(図示せず。)のシールドへ接続するよう構成される。
【0038】
図示されるように、コイルコネクタ210はRFコイル212へ接続されている。RFコイル212は、上述されたように、本明細書で記載される技術に従ってチューニングされ得るLC回路を形成する。いくつかの実施形態において、コイルコネクタ210は、シールドされた平衡給電線を用いてRFコイル212へ接続されてよく、コネクタ208は、平衡ケーブル接続に対応するよう構成されてよい。RFコイル212は、1つ以上のヘッドコイル、1つ以上のボディコイル、1つ以上の表面コイル、及びそれらのあらゆる組み合わせを含む(がそれらに限られない。)低磁場MRIのために使用される如何なる適切なタイプ及び数のRFコイルも有してよい。
【0039】
いくつかの実施形態において、コイルコネクタ210は、チューニング回路へ取り付けられるときにコイルのチューニングを助けるために使用され得るコイルに関する情報を記憶するよう構成された少なくとも1つの記憶デバイス(例えば、EEPROM)を含んでもよい。例えば、少なくとも1つの記憶デバイスに記憶されている情報は、コイルのタイプの識別子、及びコイルについての1つ以上のチューニングパラメータを含んでよいが、これらに限られない。出力コネクタ208へ接続されるときに、コイルコネクタに関連した少なくとも1つの記憶デバイスに記憶されている情報の少なくとも一部は、接続されているRFコイルをチューニングするようにチューニング回路の特性を制御するよう構成されたコントローラへ転送されてよい。
【0040】
チューニング回路200は、送信及び受信の両機能を備えたRFコイルをチューニングするよう構成された構成要素を含む。代替的に、チューニング回路200は、送信機能のみ又は受信機能のみを備えたRFコイルをチューニングするよう構成されてもよい。受信専用のRFコイルをチューニングするようチューニング回路200を構成する場合に、電流源202と、チューニングネットワーク206の1つ以上の構成要素を含む(がこれらに限られない)チューニング回路200のいくつかの構成要素は、以下で更に詳細に論じられるように、より簡単なチューニング回路設計を提供するよう、必要とされなくてもよい。
【0041】
図3は、いくつかの実施形態に従ってRFコイルをチューニングするために使用され得るチューニングネットワーク300を表す。図示されるように、チューニングネットワーク300は、調整される場合に、チューニング回路200へ接続されたRFコイルをチューニングする平衡構成において配置された複数のチューニング要素を含む。図示されるように、チューニングネットワーク300は、チューニングネットワーク300の第1入力部及び第1出力部の間に配置された結合チューニング要素302と、チューニングネットワーク300の第2入力部及び第2出力部の間に配置された結合チューニング要素304とを含む。結合チューニング要素302及び304の値は、チューニング回路と接続されているRFコイルとの間のインピーダンス整合を改善するよう調整されてよい。チューニングネットワーク300は、チューニングネットワーク300の第1及び第2出力部の間に配置された共振チューニング要素306を更に含む。チューニングネットワーク300がRFコイルへ接続される場合に、共振チューニング要素306は、RFコイル回路と直列に配置されて、コイルを所望の周波数にチューニングするようコイル回路の直列キャパシタンスを制御するメカニズムを提供する。
【0042】
本発明者らは、RFコイルのための所望の共振周波数及びインピーダンス整合特性を提供するようチューニングネットワーク300内のチューニング要素の値を手動で正確な値にセットすることが困難であり且つ厄介であると認識し理解している。然るに、いくつかの実施形態は、低磁場MRIシステムのB場強度又は他の適切なパラメータに少なくとも部分的に基づきチューニング要素302、304及び306のうちの1つ以上の値を所望の値へと自動調整してRF回路をチューニングするよう構成されたコントローラ310を含む。いくつかの実施形態において、コントローラ310は、コントローラ310に関連したルックアップテーブルに記憶されている値に少なくとも部分的に基づきチューニング要素302、304及び306のうちの1つ以上の値をセットしてよい。例えば、ルックアップテーブルは、チューニング要素302、304及び/又は306についてのキャパシタンス値とラーモア周波数との間の対応を記憶してよい。コントローラ310は、ルックアップテーブル内の記憶されている値に基づきチューニング要素302、304及び/又は306についての初期値をセットするよう構成されてよく、初期値は、RFコイルの最適なチューニングが達成されるまで、以下で更に詳細に論じられるように、調整されてよい。
【0043】
コントローラ310は、如何なる適切な方法でも低磁場MRIシステムのための所望のB場強度を決定してよい。いくつかの実施形態において、B場強度に関する情報は、低磁場MRIシステムに関連したコンソール106からコントローラ310へ供給されてよい。他の実施形態では、B場強度に関する情報は、コイルコネクタ210が出力コネクタ208へ接続されることに応答して、コイルコネクタ210からコントローラ310へ供給されてもよい。例えば、上述されたように、コイルコネクタ210は、B場強度情報を含む(がこれに限られない)コイルについてのチューニング情報を記憶するEEPROM又は他の記憶デバイスを含んでよく、記憶されているチューニング情報は、チューニング回路200へのRFコイル212の接続に応答してコントローラ310へ送信されてよい。上述されたように、低磁場MRIシステムを作動させることが望まれるB場強度は、例えば、オーバーハウザー(Overhauser)磁気共鳴イメージング(OMRI)を実行するよう、電磁干渉が十分に低いと決定された周波数帯域で低磁場MRIシステムを作動させるよう、又はあらゆる他の理由により、可変であってよい。そのようなものとして、コントローラ310は、RFコイルを所望の周波数にチューニングするようにチューニング要素の値を動的に決定するよう構成されてよい。
【0044】
本発明者らは、B磁場(例えば、MRIシステムによって現在生成されている実際のB場)の実際の磁界強度及び/又は実際のラーモア周波数に基づき1つ以上のRFコイルをチューニングする利点を更に理解している。特に、低磁場領域で、RFコイルがチューニングされる共振周波数とラーモア周波数との間の偏差は、画像の捕捉及び品質に大いに影響を及ぼし得る低減されたSNRをもたらす。然るに、現在のB磁場でラーモア周波数を示す情報を決定すること(例えば、実際のラーモア周波数を推定又は測定すること)によって、RFコイルは、可能な限りラーモア周波数の近くで共振するよう然るべくチューニングされ得、よって、MR信号捕捉のSNRを改善する。ラーモア周波数は、検出されたMR信号からラーモア周波数を導出すること、ノイズ測定からラーモア周波数を導出すること、B磁場を測定すること、などを含む(がこれらに限られない)多数の方法で推定されてよい。それらの方法のいくつかの例は、以下で更に詳細に記載される。
【0045】
チューニング要素302、304及び306の夫々の値は、個々に又は一緒に調整されてよく、実施形態は、チューニング要素についての値をセットするために使用される回路部品に基づき制限されない。いくつかの実施形態において、コントローラ310は、MRIシステムのラーモア周波数を示す情報を取得する。例えば、コントローラ310は、所望のB磁界強度に関する情報を決定又は受信してよく、あるいは、(例えば、コンソール106、コイルコネクタ210、1つ以上のMR測定、現在のB0場強度を測定する1つ以上のセンサ、又はあらゆる他の適切なソースから)現在のB0場強度に関連した情報を受信してよく、そして、チューニング要素302、304及び/又は306のうちの1つ以上の値を調整して、接続されているRFコイルを、所望の又は現在のB場強度に関連したラーモア周波数に近い共振周波数にチューニングするよう制御指示を送信する。
【0046】
3つのチューニング要素しか、図3に示されるチューニングネットワーク300には表されていないが、当然ながら、より多い又はより少ないチューニング要素が、代替的に、使用されてよく、図3に示される回路構成は、適切な構成の一例にすぎない。例えば、受信専用RFコイルをチューニングするために使用される場合に、RFコイルの端子間に配置されたただ1つのチューニング要素(例えば、チューニング要素306)しか、RFコイルを所望の共振周波数にチューニングするために必要とされなくてよく。
【0047】
図4は、チューニング要素302、304及び306の夫々が可変キャパシタを用いて実装されるところのチューニングネットワーク400の実施を表す。例えば、結合チューニング要素302及び304は、結合キャパシタ402及び結合キャパシタ404を用いて実装され、共振チューニング要素306は、共振キャパシタ406を用いて実装される。図4の実施では、コントローラ310は、チューニングネットワーク400の所望のチューニング特性を達成するようにキャパシタ402、404及び406のうちの1つ以上の値を変更するよう適応された1つ以上のモータ(例えば、サーボステッピングモータ)を駆動するように制御命令を送出するようプログラムされた1つ以上のプロセッサを含んでもよい。
【0048】
図5は、チューニング要素302、304及び306の夫々が固定値キャパシタのスイッチドネットワークを用いて実装されるところのチューニングネットワーク500の代替の実施を表す。例えば、結合チューニング要素302は、スイッチS1・・S4と接続された固定値キャパシタC1・・C4のネットワークを用いて実装され、結合チューニング要素304は、スイッチS5・・S8と接続された固定値キャパシタC5・・C8のネットワークを用いて実装され、共振チューニング要素306は、スイッチS9・・S12と接続された固定値キャパシタC9・・C12のネットワークを用いて実装される。図5の実施では、コントローラ310は、チューニング要素302、304及び306に対応する固定値キャパシタネットワークの夫々のキャパシタブランチを選択的に離接して、チューニングネットワークの所望の全体的なキャパシタンスを生成するように、スイッチS1・・・S12の状態を制御するよう構成されてよい。固定値キャパシタを使用することは、チューニング中にRFコイル回路のキャパシタンスを調整するために機械装置(例えば、サーボステッピングモータ)に依存しないチューニングネットワーク500のソリッドステート実装を可能にする。スイッチS1・・・S12は、トランジスタ、ダイオード(例えば、PINダイオード)、MEMSに基づくスイッチ、及びリレーを含む(がこれらに限られない)如何なる適切な回路部品も用いて実装されてよい。
【0049】
キャパシタC1・・・C12は、取り得るキャパシタンス値の組を所望のチューニング範囲内で提供するよう如何なる適切なキャパシタンス値も有してよい。いくつかの実施形態において、チューニング要素に対応するネットワーク内の各キャパシタは、キャパシタンス組み合わせの最大数を所望のダイナミックレンジを超えて可能にするよう異なるキャパシタンス値を有する。4つのキャパシタが図5に示されるキャパシタネットワークの夫々について示されているが、当然ながら、如何なる適切な個数のキャパシタも代替的に使用されてよく、夫々のチューニング要素は、実施形態がこの点に関して制限されないということで、同数又は異なった数のキャパシタを有してよい。
【0050】
図6は、チューニング要素302、304及び306の夫々が固定値キャパシタのスイッチドネットワークを用いて実装されるところのチューニングネットワーク600の実施を表し、図5のデジタルスイッチがマルチチャネルアナログスイッチに置き換えられている。例えば、結合チューニング要素302は、マルチチャネルアナログスイッチ610へ接続された固定値キャパシタC1・・C4のネットワークを用いて実装され、結合チューニング要素304は、マルチチャネルアナログスイッチ612へ接続された固定値キャパシタC5・・C8のネットワークを用いて実装され、共振チューニング要素306は、マルチチャネルアナログスイッチ614へ接続された固定値キャパシタC9・・C12のネットワークを用いて実装される。図6の実施では、コントローラ310は、チューニング要素302、304及び306に対応する固定値キャパシタネットワークの夫々のキャパシタブランチを選択的に離接して、チューニングネットワークの所望の全体的なキャパシタンスを生成するように、アナログスイッチ610、612及び/又は614の状態を制御するよう構成されてよい。コントローラ310によって制御されるスイッチの個数を、マルチチャネルスイッチを使用することで減らすことは、より少ない部品を使用することによって共振回路のレイアウトを簡単にし得る。
【0051】
本発明者らは、コイルの共振の帯域幅が狭すぎるために、チューニング回路200を用いて高品質(Q)値でRFコイルを正確にチューニングすることが困難であると認識し理解している。然るに、いくつかの実施形態に従うチューニング回路200は、コイルの帯域幅を増大させるための1つ以上の追加の部品を含んでもよい。いくつかの実施形態において、RFコイルの直列抵抗は、RFコイルループと直列に1つ以上の抵抗器を挿入することによって増大され得る。この技術は、それがコイルの直列抵抗を増大させることによってRFコイルの品質係数(quality factor)(Q)を小さくするということで、Qスポイリング(Q-spoiling)と時々呼ばれる。
【0052】
他の実施形態は、コイルの直列抵抗を増大させることよりもロスレスである又は損失が少ない技術を用いて高Qコイルのチューニングを容易にし得る。例えば、高インピーダンス演算増幅器が、キャパシタ306と並列に配置されてもよい。他の実施形態では、チューニング回路200は、“周波数プリング”(frequency pulling)を実行してチューニングを改善するよう第2チューニングネットワークを含んでもよい。更なる他の実施形態では、チューニング回路200は、チューニングネットワーク600の入力部とバラン204との間に挟まれた変圧器を含んでもよい。変圧器は、適切なダウン変圧器、例えば、4対1ダウン変圧器、2対1ダウン変圧器、などを用いて実装されてよい。入力部でそのような変圧器を使用することによって、共振回路600は、より低い抵抗を負荷され得る。更なる他の実施形態では、方向性結合器710が、図7に示されるように、入力ポート電圧反射係数(S11)を測定するようバラン204の前に挿入されてもよい。方向性結合器710は、代替的に、挿入損失を付加しないように、RF信号チェーン内の伝送路に直列に挿入されてもよい。これは、受信ノイズフロアの増大をもたらす。更なる他の実施形態では、ヒューズ810が、RF伝送電流を制限するようバラン204の前に直列に配置される。代替的に、ヒューズ810は、ヒューズ810が受信経路と直列ではないようにRF信号チェーンにおいてTx/Rxスイッチ116の前に配置されてもよく、それによって、挿入損失を低減するとともに受信ノイズフロアを増大させる。
【0053】
図9は、いくつかの実施形態に従って、受信専用RFコイルをチューニングするために使用され得る代替のチューニング回路900を示す。チューニング回路が受信専用RFコイルとともに使用されるよう構成される場合に、Tx/RXコイルのためのチューニング回路の場合よりも低い電圧の部品が使用可能である。その上、Tx/Rxスイッチは含まれる必要がなく、回路設計を更に簡単にする。
【0054】
チューニング回路900は、実施形態に従って、チューニングネットワークを含む。チューニング回路900は、RFコイルを所望の共振周波数にチューニングするようRFコイル回路の全体的なキャパシタンスから選択的に離接され得る8つの容量性ブランチC1・・・C8を含む。図示されるように、チューニング回路900の上半分及び下半分の夫々は、チューニング回路の各容量性ブランチを離接するよう制御され得るマルチチャネルアナログスイッチ902、904を含む。チューニング回路900は、受信されたMR信号を増幅する増幅器910へ接続される。8つの容量性ブランチが図9には示されているが、当然ながら、如何なる適切な個数のブランチも使用されてよい。いくつかの実施形態において、各スイッチによって生成される寄生キャパシタンスの平衡を保たせるよう、図示されるように、チューニング回路900の両側で同数のスイッチが使用されてよい。他の実施形態では、不平衡チューニング回路が使用されてもよい。
【0055】
いくつかの実施形態に従うチューニング回路は、一連の差動測定に応答して、取り付けられたRFコイルを自動チューニングするよう構成されてよい。例えば、初期チューニングパラメータが、(例えば、コントローラ310に関連したルックアップテーブル内の値、及び/又は取り付けられたコイルに関連した記憶デバイスから受け取られた値に基づき)最初にセットされてよく、ノイズ測定は、初期チューニングパラメータを用いて収集されてよい。第1の平均ノイズスペクトルは、ノイズ測定から生成されてよい。チューニング回路内のチューニング要素のうちの1つ以上の値が次いで変更されてよく、更なるノイズ測定は、新しいチューニングパラメータを用いて収集されてよい。第2の平均ノイズスペクトルは、第2組のノイズ測定から生成されてよく、第1の平均ノイズスペクトルは、どのように平均ノイズスペクトルが変化するかを評価するよう第2の平均ノイズスペクトルと比較されてよい。一連の差動測定は、RFコイルを最適にチューニングするようにチューニング要素の値の最良の組み合わせを決定するよう実行され続けてよい。
【0056】
上記のチューニングシステムは、RFコイルの共振周波数が変更され得る多数の技術を説明する。しかし、RFコイルを特定の周波数にチューニングする精度は、RFコイルが目下チューニングされている周波数が決定されない限り、不満足におおよそであり得る。本発明者らは、RFコイルの現在の共振周波数を決定するようRFコイルの環境内の電磁ノイズを使用する技術を開発した。従来のMRIでは、MRIシステム(RFコイルを含む。)は、電磁ノイズを無視可能なレベルまで減衰させる(例えば、事実上電磁ノイズをゼロに減衰させる)よう構成された特別に遮蔽された部屋の中で動作する。然るに、以降で記載される技術は、これまで考えられていなかった。上述されたように、本発明者らは、特別に遮蔽された部屋の外で動作するよう構成され得る低磁場MRIシステムを開発した。例えば、“Noise Suppression Methods and Apparatus”と題された米国特許第9625543(その全文を参照により本願に援用される。)で記載されているノイズ抑制技術が、特別に遮蔽された部屋の外で動作することをMRIシステムに可能にするために使用されてよい。
【0057】
本発明者らは、RFコイルがラーモア周波数とより正確に整合され得るように、環境内に存在する電磁ノイズがRFコイルの現在の共振周波数を決定するために使用され得ると気付いた。この例は、以下で更に詳細に論じられる。例えば、図10Aは、MRIシステム(例えば、遮蔽された部屋の外で、例として、緊急治療室、診療所、などで動作するMRIシステム)の環境の電磁ノイズスペクトルを例示する。図10Bは、所与の周波数にチューニングされた(例えば、この例では、735kHzで共振するようチューニングされた)RFコイルによって検出される、図10Aで例示された電磁ノイズスペクトルを表す。図示されるように、RFコイルはその共振周波数でノイズに最も強く反応するので、共振周波数で電磁ノイズに対するRFコイルの応答のピークが存在する。この性質は、RFコイルがチューニングされている現在の共振周波数を決定するために利用され得る。例えば、RFコイルによって検出された電磁ノイズスペクトルは、RFコイルがピーク応答を有している周波数を特定するよう解析され得、それによって、RFコイルの現在の共振周波数を決定する。RFコイルが現在共振している周波数を決定することによって、RFコイルは、その後に、より高い精度でラーモア周波数と整合するようチューニングされ得る。この例は、以下で更に詳細に記載される。
【0058】
図11は、いくつかの実施形態に従って、所望の又は実際のラーモア周波数で共振するようRFコイルをチューニングする方法1100を表す。動作1110で、ラーモア周波数が取得される。いくつかの実施形態に従って、取得されたラーモア周波数は、所望のB磁場に対応するラーモア周波数である。いくつかの実施形態に従って、ラーモア周波数は、例えば、RFコイルによって推定又は測定される実際のラーモア周波数である。例えば、ラーモア周波数は、MR信号の周波数(実際のラーモア周波数に対応する。)を決定するよう、サンプルから放射されるMR信号を励起し検出することによって決定されてよい。いくつかの実施形態に従って、コントローラは、実際のラーモア周波数を決定するよう構成され(例えば、1つ以上のプロセッサを有するコントローラは、MR応答を励起するようにRFコイルを動作させるよう、且つ、検出されたMR信号を解析してラーモア周波数を決定するよう構成されてよい。)、それにより、動作1110はコントローラによって自動的に実行されてよい。いくつかの実施形態に従って、放射されたMR信号に対するRFコイルの応答は、対応するラーモア周波数を決定するように、RFコイル応答が減衰している周波数を特定するよう解析される。すなわち、RFコイル応答が特徴的なMR減衰を示す周波数は、実際のラーモア周波数を示す。しかし、実際のラーモア周波数は、如何なる適切な技術によっても決定されてよい。
【0059】
動作1120で、環境内の(例えば、RFコイルがチューニングされているMRIシステムの環境内の)電磁ノイズが、RFコイルを用いて検出され、動作1130で、検出された電磁ノイズのスペクトルが、RFコイルの現在の共振周波数を決定するために、RFコイルが最大応答を示した周波数を特定するよう解析される。いくつかの実施形態に従って、コントローラは、電磁ノイズを検出するようにRFコイルを動作させるよう構成され、更には、共振周波数を特定するように電磁ノイズスペクトルを解析するよう構成される(例えば、RFコイルを制御するよう及び/又は結果として現れる電磁ノイズスペクトルを処理してRFコイルのピーク応答での周波数を特定するよう構成された1つ以上のプロセッサを介する。)。動作1135で、決定された共振周波数が、取得されたラーモア周波数と比較され、一致がある(例えば、決定された共振周波数がラーモア周波数と等しいか又は十分に近い)場合には、RFコイルは、ラーモア周波数で共振するよう十分な精度でチューニングされていると見なされる。
【0060】
一致がない場合には、RFコイルは、RFコイルの共振周波数を変更するようチューニングされる(動作1140)。例えば、本明細書で記載されるチューニングシステムのいずれかが、RFコイルの共振周波数を変更するよう1つ以上のチューニング要素を構成するために使用されてよい。いくつかの実施形態に従って、チューニング回路へ結合されたコントローラは、1つ以上のチューニング要素を、RFコイルの共振周波数(例えば、動作1120及び1130を実行することによって決定されたもの)と、取得されたラーモア周波数(例えば、動作1110を実行することによって取得されたもの)との間の差に基づき変更させるよう構成されてよい。RFコイルをチューニングした後(例えば、RFコイルに結合されたチューニング回路を調整した後)、動作1120及び1130が、新しいチューニングパラメータを有するRFコイル(例えば、動作1140を実行することによってチューニングされたRFコイル)を用いて繰り返される。このプロセスは、RFコイルの共振周波数が取得されたラーモア周波数と一致するまで繰り返されてよい(例えば、動作1120、1130、1135及び1140は、目下RFコイルがチューニングされている、動作1120及び1130で決定される共振周波数が、ラーモア周波数と等しいか又は十分に近くなるまで、反復的に繰り返されてよい。)。いくつかの実施形態に従って、コントローラは、指定された周波数(例えば、動作1110で取得される所望の又は実際のラーモア周波数)へのRFコイルの自動チューニングを容易にするように方法1100を実行するよう構成されてよい。
【0061】
図12A、12b及び13は、差動測定を用いてRFコイルの共振周波数を決定する方法を表す。図12Aは、3つの異なるチューニング周波数(例えば、名目上、732kHz、736kHz、及び740kHz)でチューニングされたRFコイルのノイズスペクトルを例示する。なお、正確な共振周波数は、正確に知られなくてもよい。異なる周波数でRFコイルをチューニングすることは、図12Bでより明りょうに示されるように、チューニング周波数の近くで、チューニングされたノイズスペクトルの差をもたらす。図12Bは、732kHz、736kHz及び740kHzで夫々チューニングされたRFコイルによって検出された別個のノイズスペクトル1210、1220及び1230を明らかにするよう、チューニング周波数の周囲の領域に対して拡大された図12Aのノイズスペクトルを示す。3つの公称チューニング周波数(732kHz、736kHz及び740kHz)を表す破線も示されている。
【0062】
上述されたように、差動チューニング測定は、RFコイルをチューニングするためにいくつかの実施形態で使用されてよい。例えば、異なる周波数にチューニングされたノイズスペクトルの比が決定され、RFコイルを所望の周波数にチューニングするために使用されてよい。図13は、RFコイルをチューニングするために差動チューニング測定を使用する概念を説明するよう、図12Bから、異なる周波数にチューニングされたノイズスペクトルの比のプロットを示す。図13における第1トレース1325は、740kHzに名目上チューニングされたノイズスペクトルによって除された、736kHzに名目上チューニングされたノイズスペクトルに対応し、図13における第2トレース1315は、736kHzに名目上チューニングされたノイズスペクトルによって除された、732kHzに名目上チューニングされたノイズスペクトルに対応する。同じノイズスペクトルは、複数のチューニング周波数の夫々についてチューニングされるので、異なる周波数にチューニングされたノイズスペクトルの比は、異なるチューニングのための共通のノイズ構造の相殺を反映する。図示されるように、図13にプロットされている2つの比の比較は、2つの比についてのトレースの交差部分での周波数によって示されるように、RFコイルの実際のチューニングを示す。すなわち、トレースの交差部分は、736kHzに名目上チューニングされる場合にRFコイルのその実際の共振周波数を決定するために使用され得る。
【0063】
図12A、12B及び13に関連して上述された、RFコイルをチューニングするために差動測定を用いてチューニングする例では、2kHzの周波数間隔が使用された。しかし、当然ながら、如何なる適切な周波数間隔も、差動測定を実行するために使用されてよく、実施形態はこの点について制限されない。その上、周波数間隔は、如何なる適切な因子(複数を含む。)を用いても決定されてよい。例えば、周波数間隔は、チューニングされるRFコイルの帯域幅に少なくとも部分的に基づき決定されてよく、より小さい周波数間隔は、より狭い帯域幅を有するRFコイルをチューニングするために使用され、より大きい周波数間隔は、より広い帯域幅を有するRFコイルをチューニングするために使用される。いくつかの実施形態において、RFコイルの品質(Q)係数に基づくメトリックが、コイルをチューニングするよう差動測定のために使用される周波数間隔を決定するために使用されてよい。例えば、1つの実施では、周波数間隔は、関係Q/10に従って決定されてよい。
【0064】
図14は、いくつかの実施形態に従って、MRIシステムとともに動作するよう1つ以上のRFコイルをチューニングする方法を表す。方法1400は、所望のラーモア周波数で共振させるように1つ以上のRFコイルを自動チューニングするよう、例えば、図2~9で表されており添付の明細書で記載されるチューニングシステムを用いて実行されてよい。動作1410で、MRIシステムのラーモア周波数を示す情報が取得される。ラーモア周波数を示す情報は、所望のラーモア周波数を示す情報を受け取ること(例えば、所望のラーモア周波数及び/又は所望のB磁界強度を受け取ること)及び/又は実際のラーモア周波数に関する情報を決定すること(例えば、測定されたMR信号から実際のラーモア周波数を推定若しくは測定すること、MRIシステムのB磁石によって現在生成されている実際のB磁場を測定すること、など)を含む多数の方法で取得されてよい。すなわち、ラーモア周波数を示す情報は、所望のラーモア周波数に関する情報を受け取ること、B磁石によって現在生成されている実際のB磁場から生じる実際のラーモア周波数に関する情報を決定すること、又はその両方によって取得されてよい。これの更なる詳細は、以下で論じられる。
【0065】
いくつかの実施形態に従って、ラーモア周波数を示す情報は、適切な方法で情報を受け取ることによって、取得される(動作1410)。例えば、ラーモア周波数を示す情報(例えば、所望のラーモア周波数、所望のB磁界強度、など)は、システムコンソールから(例えば、実行される所望のイメージングプロトコルに依存して)、所与のRFコイルと関連付けて記憶されたデータから、又はあらゆる他の適切な方法で、受け取られてよい。当然ながら、いくつかの実施形態において、動作1410は、ラーモア周波数及び/又はB磁界強度についての明示的な値を取得せずに実行されてもよい。代わりに、ラーモア周波数及び/又はB磁界強度に関連した1つ以上の値、チューニング回路のパラメータについての1つ以上の値、あるいは、適切にRFコイルをチューニングすることを助けるあらゆる他の適切な値が、(例えば、明示的な周波数及び/又は磁界強度の値の代わりに)取得されてよい。すなわち、ラーモア周波数を示す情報を受け取ることは、おおよそラーモア周波数(例えば、所望のB磁界強度に関連したラーモア周波数)で共振するようRFコイルをチューニングするために使用される情報を受け取ることを含む。
【0066】
いくつかの実施形態に従って、ラーモア周波数を示す情報は、B磁石によって現在生成されているB磁場から生じる実際のラーモア周波数を示す情報を決定(例えば、測定、計算、など)することによって、取得される(動作14010)。実際のラーモア周波数を示す情報を決定することは、測定されたMR信号から現在のラーモア周波数を推定すること、現在のB磁界強度を測定すること、などを含む(がこれらに限られない)あらゆる適切な技術も用いて実行されてよい。例えば、動作1410は、図11に関連して記載された方法1100の動作1110に関連して記載された技術のいずれかを実行することによって実行されてよい。このようにして、1つ以上のRFコイルは、MRIシステムの実際の動作パラメータにチューニングされ得る。例えば、実際のラーモア周波数は、実際のB場強度の偏差(例えば、オフセット、不均一性、磁石ドリフト、環境因子、などにより生じる偏差)に起因して、MRIシステムが動作するよう意図される公称B場に対応するラーモア周波数から外れる可能性がある。実際のラーモア周波数を推定、測定、計算、又は別なふうに決定することによって(例えば、実際のMR測定からMR信号減衰の周波数を見積もることによって)、MRIシステムのRFコイルは、SNRを改善するように、実際のラーモア周波数とより近く一致するようチューニングされ得る。同様に、実際のラーモア周波数でより正確に共振するようRFコイルをチューニングすることを助けるようMRIシステムの実際のパラメータを推定及び/又は測定するための他の技術が、MR信号補足SNRを増大させるために使用されてもよい。
【0067】
動作1420で、1つ以上のRFコイルは、動作1410で取得された情報に少なくとも部分的に基づきチューニングされる。例えば、動作1410で取得された情報は、1つ以上のRFコイルを自動的にチューニングするためにコントローラによって使用されてよい。いくつかの実施形態に従って、図11に表されており添付の明細書で記載されている方法1100は、示されているラーモア周波数へと1つ以上のRFコイルをチューニングするために使用されてよい。例えば、動作1420は、方法1100の動作1120、1130、1135及び1140を繰り返し実行すること、及び/又はそこで記載された技術のいずれかを用いることによって、実行されてよい。しかし、RFコイルを特定の共振周波数にチューニングする他の方法は、態様がこの点に関して制限されないということで、使用されてもよい。当然ながら、本明細書で記載されるチューニングシステムのいずれかが、所望の周波数で共振するよう1つ以上のRFコイルを自動的にチューニングすることを助けるために使用されてよく、あるいは、あらゆる他の適切なチューニングシステムが、態様がこの点に関して制限されないということで、使用されてもよい。MRIシステムのRFコイルが然るべくチューニングされると、チューニングされたRFコイルは、1つ以上の画像を捕捉するようMRIシステムの他の構成要素と協働して動作し得る(動作1430)。
【0068】
然るに、方法1400は、多種多様な状況においてRFコイルをチューニングするよう実行されてよい。例えば、方法1400は、MRIシステムの公称の又は意図されたB場強度に対応するラーモア周波数で共振するようにMRIシステムのRFコイルを自動チューニングするよう実行されてよい。例えば、公称B場強度でのラーモア周波数を受け取るか又は公称B場強度自体を受け取り、RFコイルを然るべくチューニングすることによって、1つ以上のRFコイルは、50mTの公称B場強度を有するMRIシステムとともに動作するようチューニングされ得、更には、0.1Tの公称B場強度を有する別のMRIシステムとともに動作するようチューニングされ得る。このようにして、RFコイルは、RFコイルのコストがかかる手動チューニングを必要とせずに、異なったMRIシステム又は単一のMRIシステムとともに動作するようチューニングされ得る。他の例として、方法1400は、異なったB場強度で動作するよう構成されるMRIシステムとともに動作するように1つ以上のRFコイルをチューニングするよう実行されてもよい。例えば、MRIシステムは、例えば、異なったイメージングプロトコルを実行するように、異なった磁界強度でB磁場を生成するよう構成されてよい。特に、MRIシステムは、第1のコントラストタイプ(例えば、T1、T2、など)に従って画像を捕捉するときに第1のB磁界強度で動作するよう構成され、第2のコントラストタイプ(例えば、拡散強調撮像(diffusion weighted imaging)(DWI))により画像を捕捉するときに第2のB磁界強度で動作するよう構成され、且つ/あるいは、第3のコントラストタイプ(例えば、OMRI)により画像を捕捉するときに第3のB磁界強度で動作するよう構成されてよい。他の例として、MRIシステムは、特定のRFスペクトルでのノイズを回避するように、異なったB磁界強度で動作するよう構成されてよく、方法1400は、他のスペクトルよりも少ない電磁ノイズを示すRFスペクトルで動作するよう動的に構成されているMRIシステムにRFコイルをチューニングするよう実行されてよい。然るに、方法1400は、複数のB磁界強度を生成するよう構成可能であるMRIシステムの所望のB磁界強度に対応する周波数で共振するようにRFコイルを自動チューニングするよう実行されてよい。
【0069】
上述されたように、方法1400はまた、MRIシステムの実際の動作パラメータにRFコイルをチューニングするよう実行されてもよく、それにより、例えば、RFコイルは、MRIシステムのB磁石によって現在生成されている実際のB磁場から生じる実際のラーモア周波数とより近く一致する周波数で共振する。然るに、方法1400は、SNRを改善するようにより正確にRFコイルをMRIシステムにチューニングするよう実行されてよい。当然ながら、MRIシステムの実際の動作パラメータを推定又は測定すること(例えば、実際ラーモア周波数を推定すること及び/又は実際のB磁界強度を測定すること)によってRFコイルをチューニングする技術は、MRIシステムの公称(例えば、意図された又は目標とする)動作パラメータ(例えば、所望のB磁界強度でのラーモア周波数)にRFコイルをチューニングする技術と組み合わせて、又は単独で使用され得る。例えば、RFコイルは、第1の近似として(例えば、動作1410及び1420を実行することによる。)、所望のB0磁界強度に対応するおおよそラーモア周波数で共振するようチューニングされてよく、続いて、RFコイルの共振周波数を実際のラーモア周波数とより近く一致するように、MRIシステムのB磁石によって現在生成されている実際のB磁場から生じる実際のラーモア周波数でおおよそ共振するようRFコイルをチューニングする(例えば、図14において任意の破線によって示されるように、動作1410及び1420を再び実行することによる。)。
【0070】
当然ながら、公称へのチューニングの後に実際へのチューニングが続く実施形態では、チューニング動作は時間的に分離されてよく(例えば、公称へのチューニングは、配備若しくは設置の時点で又は工場で実行されてよく、実際へのチューニングは、画像捕捉の直前で実行されてよい。)、且つ/あるいは、チューニング動作はほぼ時間的に連続して実行されてもよい(両方のチューニング動作が画像捕捉の直前に実行されてよい。)。更に、当然ながら、一方又は他方の動作は、残りの動作を実行することなしに実行されてもよい。例えば、いくつかの実施形態に従って、RFコイルは、MRIシステムの推定及び/又は測定された動作パラメータに基づく更なるチューニングを実行することなしに、公称へチューニングされる(例えば、所望のB場強度のラーモア周波数へチューニングされる。)。同様にして、RFコイルは、態様がこの点について制限されないということで、ラーモア周波数及び/又はB磁界強度の受け取られた公称値に基づくチューニング動作を実行することなしに、MRIシステムの実際の動作パラメータにチューニングされてもよい(例えば、実際のB場から生じる実際のラーモア周波数へチューニングされる。)。
【0071】
本開示で説明される技術のいくつかの態様及び実施形態がこのようにして記載されてきたが、当然ながら、様々な代替、変更及び改善が当業者に容易に想到されよう。そのような代替、変更及び改善は、本明細書で記載される技術の主旨及び適用範囲内にあるよう意図される。例えば、当業者は、本明細書で記載される機能を実行し及び/又は結果及び/又は利点の1つ以上を得るための様々な他の手段及び/又は構造を容易に思い描くだろう。そして、そのような変形及び/又は変更の夫々は、本明細書で記載される実施形態の適用範囲内にあると見なされる。当業者は、日常的な実験以上のものを使用せずに、本明細書で記載される特定の実施形態に対する多くの等価物を認識し又は確かめることができるだろう。従って、前述の実施形態は、単に例として示されており、添付の特許請求の範囲及びその均等の範囲内で、発明の実施形態は、具体的に記載されているのとは別なふうに実行されてよいことが理解されるべきである。その上、本明細書で記載される2つ以上の特徴、システム、物、材料、キット、及び/又は方法の如何なる組み合わせも、そのような特徴、システム、物、材料、キット、及び/又は方法が相互に矛盾しない場合には、本開示の適用範囲に含まれる。
【0072】
上記の実施形態は、多数の方法のいずれかにおいて実装され得る。プロセス又は方法の実行を伴う本開示の1つ以上の態様及び実施形態は、プロセス又は方法の実行又は実行の制御のためにデバイス(例えば、コンピュータ、プロセッサ、又は他のデバイス)によって実行可能なプログラム命令を利用してよい。例えば、コントローラは、本明細書で記載されるいずれかの方法又はその部分を実行するようプログラム命令を実行する1つ以上のコンピュータ装置を有してよい。これに関連して、様々な発明概念が、1つ以上のコンピュータ又は他のプロセッサで実行される場合に、上記の様々な実施形態のうちの1つ以上を実装する方法を実行する1つ以上のプログラムにより符号化されたコンピュータ可読記憶媒体(又は複数のコンピュータ可読記憶媒体)(例えば、コンピュータメモリ、1つ以上のフロッピー(登録商標)ディスク、コンパクトディスク、光ディスク、磁気テープ、フラッシュメモリ、フィールドプログラマブルゲートアレイ若しくは他の半導体デバイス内の回路構成、又は他の有形なコンピュータ記憶媒体)として具現されてもよい。コンピュータ可読媒体(複数を含む。)は可搬型であることができ、それにより、そこに記憶されたプログラム(複数を含む。)は、上記の態様のうちの様々なものを実装するよう1つ以上の異なるコンピュータ又は他のプロセッサにロードされ得る。いくつかの実施形態において、コンピュータ可読媒体は、非一時的な媒体であってよい。
【0073】
本明細書で記載される1つ以上の技術を実装するために使用され得るコンピュータ装置1500の実例となる実施が、図15に示されている。例えば、磁気共鳴イメージングシステムの様々な態様を制御するよう構成されたコントローラは、数ある制御機能の中でもとりわけ、本明細書で記載される自動チューニング技術の1つ以上の態様を実行するよう構成された1つ以上のコンピュータ装置1500を含んでよい。コンピュータ装置1500は、1つ以上のプロセッサ1510と、1つ以上の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体(例えば、メモリ1520及び1つ以上の不揮発性記億媒体1530)とを含んでよい。プロセッサ1510は、本明細書で記載される発明の態様がこの点について制限されないということで、如何なる適切な方法でも、メモリ1520及び不揮発性記憶デバイス1530へデータを書き込むことと、メモリ1520及び不揮発性記憶デバイス1530からデータを読み込むこととを制御してよい。プロセッサ1510は、例えば、活動追跡デバイス、モバイル機器、パーソナルコンピュータ装置、ゲーム機、クライアント装置、サーバ装置、及び/又はネットワークを介してアクセス可能な(例えば、クラウドアクセス可能な)あらゆるコンピュータ装置におけるプロセッサであってよい。
【0074】
本明細書で記載される機能及び/又は技術を実行するよう、プロセッサ1510は、プロセッサ1510によって実行される命令を記憶している非一時的なコンピュータ可読記憶媒体として機能し得る1つ以上のコンピュータ可読記憶媒体(例えば、メモリ1520、記憶媒体、など)に記憶されている1つ以上の命令を実行してよい。コンピュータ装置1500はまた、データを送ること、計算を実行すること、I/O機能を実行すること、などに必要とされる如何なる他のプロセッサ、コントローラ、又は制御ユニットも含んでよい。例えば、コンピュータ装置1500は、データを受け取るための如何なる数及びタイプの入力機能も含んでよく、且つ/あるいは、データを供給するための如何なる数及びタイプの出力機能も含んでよく、そして、I/O機能を実行するための制御装置を含んでよい。
【0075】
本明細書で記載される技術を実行することに関連して、情報を受け取り、情報を処理し、あるいは、本明細書で記載される機能を別なふうに実行するよう構成された1つ以上のプログラムは、コンピュータ装置1500の1つ以上のコンピュータ可読記憶媒体に記憶されてよい。特に、本明細書で記載されるいくつかの技術は、1つ以上のコンピュータ可読記憶媒体に記憶された命令として実装されてよい。プロセッサ1510は、コンピュータ装置1500でローカルに記憶され又はネットワーク上でアクセス可能であることによってプロセッサが利用可能であるそのようなプログラムのうちのいずれか1つ又は組み合わせを実行してよい。本明細書で記載される如何なる他のソフトウェア、プログラム又は命令もまた、コンピュータ装置1500によって記憶及び実行されてよい。上述されたように、コンピュータ装置1500は、コントローラ上の、コンソールの部分としての、又はネットワークコンピュータシステムの部分としてのコンピュータ装置などを表し得る。コンピュータ装置1500は、スタンドアローンコンピュータ、サーバ、分散型コンピュータシステムの部分として実装されてよく、ネットワークへ接続され、ネットワーク上でリソースにアクセスすることができ、且つ/あるいは、ネットワークに接続された1つ以上の他のコンピュータと通信してよい。
【0076】
語「プログラム」又は「ソフトウェア」は、上記の実施形態の様々な態様を実装するようコンピュータ又は他のプロセッサをプログラムするために用いられ得る如何なるタイプのコンピュータコード又はプロセッサ実行可能命令の組も指すよう、一般的な意味において本明細書では使用される。その上、当然ながら、1つの態様に従って、実行される場合に本明細書で提供されている本開示の方法を実行する1つ以上のコンピュータプログラムは、単一のコンピュータ又はプロセッサに存在する必要はなく、本明細書で提供される本開示の様々な態様を実装するよう異なるコンピュータ又はプロセッサの間でモジュール様式で分散されてもよい。
【0077】
プロセッサ実行可能命令は、1つ以上のコンピュータ又は他のデバイスによって実行されるプログラムモジュールのような多くの形を取り得る。一般に、プログラムモジュールは、特定のタスクを実行するか又は特定の抽象データ型を実装するルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造、などを含む。典型的に、プログラムモジュールの機能性は、様々な実施形態で望まれるように結合又は分散されてよい。
【0078】
また、データ構造は、如何なる適切な形式でもコンピュータ可読媒体に記憶されてよい。説明の簡単のために、データ構造は、データ構造内の位置により関連付けられているフィールドを有するように示されることがある。そのような関係は、フィールド間の関係を伝えるコンピュータ可読媒体内の位置をフィールドのためのストレージに割り当てることによって、同様に達成され得る。しかし、如何なる適切なメカニズムも、データ要素間の関係を確立するポインタ、タブ又は他のメカニズムの使用によることを含め、データ構造のフィールド内の情報どうしの関係を確立するために使用されてよい。
【0079】
ソフトウェアにおいて実装される場合に、ソフトウェアコードは、単一のコンピュータにおいて設けられようと又は複数のコンピュータ間で分散されようとも、如何なる適切なプロセッサ又はプロセッサの集合においても実行可能である。
【0080】
更には、当然ながら、コンピュータは、非制限的な例として、ラックマウント型コンピュータ、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、又はタブレットコンピュータのような多数の形態のいずれかにおいて具現されてよい。その上、コンピュータは、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、スマートフォン又はあらゆる他の適切なポータブル若しくは固定電子機器を含め、一般的にはコンピュータと見なされないが適切な処理機能を備えているデバイスにおいて組み込まれてよい。
【0081】
また、コンピュータは、1つ以上の入力及び出力デバイスを備えてよい。それらのデバイスは、特に、ユーザインターフェイスを提示するために使用され得る。ユーザインターフェイスを提供するために使用され得る出力デバイスの例には、出力の視覚提示のためのプリンタ又は表示スクリーン、及び出力の可聴提示のためのスピーカ又は他の音響発生装置が含まれる。ユーザインターフェイスのために使用され得る入力デバイスの例には、キーボード、及びマウスのような指示装置、タッチパッド、並びにディジタイザータブレット(digitizing tablet)が含まれる。他の例として、コンピュータは、発話認識により、又は他の可聴フォーマットで、入力情報を受けてもよい。
【0082】
そのようなコンピュータは、ローカルエリアネットワーク若しくはワイドエリアネットワーク、例えば、企業ネットワーク、及びインテリジェントネットワーク(IN)又はインターネットを含め、如何なる適切な形においても1つ以上のネットワークによって相互接続されてよい。そのようなネットワークは、如何なる適切な技術にも基づいてよく、如何なる適切なプロトコルに従っても動作してよく、無線ネットワーク、有線ネットワーク又は光ファイバネットワークを含んでよい。
【0083】
また、記載されるように、いくつかの態様は、1つ以上の方法として具現されてよい。方法の部分として実行される動作は、如何なる適切な方法でも順序付けられてよい。然るに、実施形態は、表されているのとは別の順序で動作が実行されるように構成されてもよく、実例となる実施形態において順次的な動作として示されていようとも、いくつかの動作を同時に実行することを含んでもよい。
【0084】
本明細書で定義され使用される全ての定義は、辞書の定義、参照によって援用されている文書における定義、及び/又は定義されている用語の通常の意味を超えて支配すると理解されるべきである。
【0085】
明細書において及び特許請求の範囲において本願で使用されている不定冠詞「1つの」(a又はan)は、別なふうに明らかに示されない限りは、「少なくとも1つの」(at least one)を意味すると理解されるべきである。
【0086】
明細書において及び特許請求の範囲において本願で記載されている語句「及び/又は」、「且つ/あるいは」、など(and/or)は、そのように結合された要素、すなわち、いくつかの場合に接続的に存在し、他の場合に離接的に存在する要素、のうちの「いずれか一方又は両方」(either or both)を意味すると理解されるべきである。「及び/又は」を用いて挙げられている複数の要素、すなわち、そのように結合された要素のうちの「1つ以上」(one or more)は、同じ様式で構成されるべきである。他の要素は、具体的に特定されている要素と関係があろうと無関係であろうと、「及び/又は」節によって具体的に特定されている要素以外に任意に存在してよい。よって、制限的な例として、「A及び/又はB」との言及は、「~を有する」(comprising)のような、制約がない語(open-ended language)とともに使用される場合に、1つの実施形態ではAのみ(任意に、B以外の要素を含む。)に、他の実施形態ではBのみ(任意に、A以外の要素を含む。)に、更なる他の実施形態ではA及びBの両方(任意に、他の要素を含む。)などに言及することができる。
【0087】
本明細書において及び特許請求の範囲において本願で使用されるように、「少なくとも1つ」との語句は、1つ以上の要素の列挙に関して、要素の列挙に含まれるいずれか1つ以上の要素から選択されるが、要素の列挙内で具体的に挙げられていないありとあらゆる要素のうちの少なくとも1つを必ずしも含まず、要素のリストに含まれる要素の如何なる組み合わせも除外しない少なくとも1つの要素を意味すると理解されるべきである。この定義はまた、要素が、具体的に特定されている要素に関係があろうと無関係であろうと、「少なくとも1つの」との語句が言及する要素の列挙内で具体的に特定されている要素以外に任意に存在してよいことを認める。よって、非制限的な例として、「A及びBの少なくとも1つ」(又は同等に、「A又はBの少なくとも1つ」、又は同等に、「A及び/又はBの少なくとも1つ」)は、1つの実施形態では、Bが存在しない状態で(任意に、B以外の要素を含みながら)少なくとも1つの、任意に1よりも多いAに言及することができ、他の実施形態では、Aが存在しない状態で(任意に、A以外の要素を含みながら)少なくとも1つの、任意に1よりも多いBに言及することができ、更なる他の実施形態では、(任意に、他の要素を含みながら)少なくとも1つの、任意に1よりも多いA、及び少なくとも1つの、任意に1よりも多いB、などに言及することができる。
【0088】
また、本願で使用される表現及び用語は、説明を目的としており、限定と見なされるべきではない。本願における「~を含む」(including)、「~を有する」(comprising)、又は「~を備える」(having)、「~を包含する」(containing)、「~を伴う」(involving)及びそれらの変形の使用は、それらの前に挙げられている項目及びそれらの同等物とともに追加の項目を網羅するよう意図される。
【0089】
特許請求の範囲において、更には上記の本明細書において、「~を有する」(comprising)、「~を含む」(including)、「~を運ぶ」(carrying)、「~を備える」(having)、「~を包含する」(containing)、「~を伴う」(involving)、「~を保持する」(holding)、「~から成る」(composed of)などのような全ての移行句は、制約がない(open-ended)と、すなわち、含むが制限されない(including but limited to)を意味すると理解されるべきである。「~から成る」(consisting of)及び「本質的に~から成る」(consisting essentially of)との移行句は、夫々、閉じられた(closed)又は半閉鎖的な(semi-closed)移行句であるはずである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12A
図12B
図13
図14
図15