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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-28
(45)【発行日】2022-02-07
(54)【発明の名称】イオンビーム装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/302 20060101AFI20220131BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20220131BHJP
   H01J 37/305 20060101ALI20220131BHJP
【FI】
H01L21/302 201B
H01L21/68 N
H01J37/305 A
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019522522
(86)(22)【出願日】2017-10-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-11-28
(86)【国際出願番号】 US2017058523
(87)【国際公開番号】W WO2018085110
(87)【国際公開日】2018-05-11
【審査請求日】2020-09-02
(31)【優先権主張番号】15/340,603
(32)【優先日】2016-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500239188
【氏名又は名称】ヴァリアン セミコンダクター イクイップメント アソシエイツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100134577
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 雅章
(72)【発明者】
【氏名】アーネスト イー アレン
(72)【発明者】
【氏名】リチャード ジェイ ヘルテル
(72)【発明者】
【氏名】ジェイ アール ウォレス
(72)【発明者】
【氏名】キース エー ミラー
【審査官】田中 崇大
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-014943(JP,A)
【文献】特開2005-135867(JP,A)
【文献】特開平04-030419(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/302
H01L 21/683
H01J 37/305
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を保持するプラテンと、
該プラテンの前に配置され、その中に開口を有する基板平面構造と、
該基板平面構造の前記開口の中に配置され、前記プラテンの表面を露出する開口を有する取り外し可能な構造と、を備え、
前記取り外し可能な構造は、1つ以上の取り外し可能な固定器具部材を用いて、前記基板平面構造の背面に取り外し可能に取り付けられる、イオンビーム装置。
【請求項2】
前記取り外し可能な構造は、前記基板平面構造の背面に接触するレッジを含む、請求項1記載のイオンビーム装置。
【請求項3】
前記レッジは、前記基板平面構造の前記背面の1つ以上のホールに同調する1つ以上のスルーホールを含み、少なくとも1つの取り外し可能な固定器具部材は、前記1つ以上のスルーホールの中に配置され、前記基板平面構造の前記背面の前記1つ以上のホールは、前記取り外し可能な構造を前記基板平面構造に取り外し可能に取り付ける、請求項記載のイオンビーム装置。
【請求項4】
前記取り外し可能な構造は取り外し可能なリング構造である、請求項1記載のイオンビーム装置。
【請求項5】
基板を保持するプラテンと、
該プラテンの前に配置され、その中に開口を有する基板平面構造と、
該基板平面構造の前記開口の中に配置され、前記プラテンの表面を露出する開口を有する取り外し可能なリング構造と、を備え、
前記取り外し可能なリング構造は、1つ以上の取り外し可能な固定器具部材を用いて、前記基板平面構造の背面に取り外し可能に取り付けられる、イオンビーム装置。
【請求項6】
前記取り外し可能なリング構造は、内側エッジ表面及び外側エッジ表面を有し、前記内側エッジ表面は前記プラテンの円周より大きい円周を有する、請求項記載のイオンビーム装置。
【請求項7】
前記取り外し可能なリング構造は、さらに、前記取り外し可能なリング構造の円周の少なくとも一部の中に形成される溝を含む、請求項記載のイオンビーム装置。
【請求項8】
プラテンと、
該プラテンに連結される基板と、
前記プラテンの前に配置され、その中に開口を有し、前記基板の正面表面に同調する正面表面を有する基板平面構造と、
該基板平面構造の前記開口の中に配置され、その中に前記基板が配置される開口を有する取り外し可能なリング構造と、を備え、
前記取り外し可能なリング構造は、1つ以上の取り外し可能な固定器具部材を用いて、前記基板平面構造の背面に取り外し可能に取り付けられる、イオンビーム装置。
【請求項9】
前記取り外し可能なリング構造は、内側エッジ表面及び外側エッジ表面を有し、前記内側エッジ表面は前記プラテンの円周より大きい円周を有する、請求項記載のイオンビーム装置。
【請求項10】
前記取り外し可能なリング構造は、前記基板平面構造の背面に接触するレッジを含む、請求項記載のイオンビーム装置。
【請求項11】
前記レッジは、前記基板平面構造の前記背面の1つ以上のホールに同調する1つ以上のスルーホールを含み、少なくとも1つの取り外し可能な固定器具部材は、前記1つ以上のスルーホールの中に配置され、前記基板平面構造の前記背面の前記1つ以上のホールは、前記取り外し可能なリング構造を前記基板平面構造に取り外し可能に取り付ける、請求項10記載のイオンビーム装置。
【請求項12】
前記取り外し可能なリング構造に連結され、前記取り外し可能なリング構造に電圧を加える電圧源をさらに備える、請求項記載のイオンビーム装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明及び記載の実施形態は、通常、イオンビームデバイスの分野に関する。もっと詳細には、本発明及び記載の実施形態は、基板を包囲するハロー又は基板平面構造、及び、基板を保持するプラテンを含むイオンビームデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェーハ又は他の基板の上に所望の表面特徴部を創生するために、所望の特徴部を基板の中へ「エッチング」するように、所定のエネルギーのイオンビームを、所定のパターンで基板の表面の上に放射することができる。基板を保持するためにプラテンを用いることができる。エッチングプロセスの間中、イオン源により基板の上に放射されたイオンビームに対して横方向に、基板を機械的に駆動することができ、又は、「スキャン」することができる。例えば、イオンビームが、垂直に方向づけられた基板へ、水平面に沿って放射される場合、放射されるイオンビームに垂直な、垂直方向及び/又は横方向に、基板をスキャンすることができる。したがって、基板の全面をイオンビームにさらすことができる。
【0003】
イオンビームを基板に放射する従来の装置は、基板を包囲するハロー又はウェーハ平面構造、及び、プラテンを含むことができる。ハロー又はウェーハ平面構造は、基板の背面及びエッジへのイオンビームの照射を緩和するために、用いることができる。さらに、ウェーハ平面構造は、プラテンへのイオンビームの照射、及び、プラテンの近くのハードウェア及び機器へのイオンビームの照射を緩和するために、用いることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
イオンビームを放射する従来の装置において用いられるウェーハ平面構造は、通常、ワンピースの構造である。従来のウェーハ平面構造のワンピースの構造のデザインの予防保全は、通常、全体のウェーハ平面構造の取り外し及び交換可能性を必要とする。したがって、従来のウェーハ平面構造のワンピースの構造のデザインの予防保全は、コストがかかり得る。さらに、従来のウェーハ平面構造のワンピースの構造のデザインの予防保全は、イオンビームを放射する関連する装置の非常に長い動作のダウンタイムを引き起こし得る。
【0005】
現改良が有益であり得るのは、これらの及び他の考慮に対してである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本概要は、以下の詳細な説明に記載されるよりも更に簡略化した形式でコンセプトの選択を導入するために、提供される。本概要は、特許請求の範囲の主題の肝要な特徴又は本質的特徴を同定することを意図するものではなく、特許請求の範囲の主題の範囲を決定する助けを意図するものでもない。
【0007】
一実施態様において、装置は基板を保持するためのプラテンを含んでもよい。基板平面構造は該プラテンの前に配置されてもよい。前記基板平面構造は、その中に開口を有する。前記装置は更に前記基板平面構造の前記開口の中に配置される取り外し可能な構造を含んでもよい。前記取り外し可能な構造は前記プラテンの表面を露出する開口を有してもよい。
【0008】
別の実施態様において、装置は基板を保持するためのプラテンを含んでもよい。基板平面構造は前記プラテンの前に配置されてもよい。前記基板平面構造は、その中に開口を有してもよい。取り外し可能なリング構造は前記基板平面構造の前記開口の中に配置されてもよい。前記取り外し可能なリング構造は前記プラテンの表面を露出する開口を有してもよい。
【0009】
さらに別の実施態様において、装置はプラテンを含んでもよい。基板は前記プラテンに連結されてもよい。前記装置は、さらに、前記プラテンの前に配置される基板平面構造を含んでもよい。前記基板平面構造は、その中に開口を有してもよい。前記基板平面構造の正面表面は、前記基板の正面表面に同調してもよい。取り外し可能なリング構造は前記基板平面構造の前記開口の中に配置されてもよい。前記取り外し可能なリング構造は開口を有してもよい。前記基板は前記開口の中に配置されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態によるイオンビームエッチングシステムの略ブロック図を示す。
図2】本発明の一実施形態による基板平面構造の正面表面図を例示する。
図3図2に示す線I-Iの視点から見た、本発明の一実施形態による、基板平面構造、プラテン、基板及び取り外し可能な構造の断面図を例示する。
図4図2に示す線I-Iの視点から見た、本発明の別の実施形態による、基板平面構造、プラテン、基板及び取り外し可能な構造の断面図を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明の一実施形態によるイオンビームエッチングシステム100の略ブロック図を示す。イオンビームエッチングシステム100は、イオンビーム発生器102、エンドステーション104、及びコントローラ106を含む。イオンビーム発生器102は、イオンビーム108を発生し、イオンビーム108を基板110の前面へ向ける。イオンビーム108は、ビームの動き、基板の動き、又はそれらの任意の組合せにより、基板110の前面にわたり、分布される。
【0012】
イオンビーム発生器102は、所望の特徴を有するイオンビーム108を発生するために、様々なタイプのコンポーネント及びシステムを含むことができる。イオンビーム108は、スポットビーム又はリボンビームにすることできる。スポットビームは、一例において、ほぼ円形の不規則な断面形状を有することできる。一実施形態において、スポットビームは、スキャナのない、固定の又は不動のスポットビームにすることできる。あるいは、スキャンイオンビームを供給するために、スキャナにより、スポットビームでスキャンすることができる。リボンビームは、大きい幅/高さアスペクト比を有することができ、少なくとも基板110と同じ幅にすることができる。イオンビーム108は、基板110に注入するために用いるエネルギーイオンビームなどの任意のタイプの荷電粒子ビームにすることができる。
【0013】
エンドステーション104は、所望の種のイオンを基板110に注入するように、イオンビーム108の通路に1つ以上の基板を支持することができる。基板110は、プラテン112により支持することができ、静電ウェーハクランプなどの既知の技術により、プラテン112にクランプすることができる。基板110は、ありふれたディスク形状などの様々な物理的形状をとることができる。基板110は、シリコン、又は、イオンビーム108を用いて注入されるべき、及び/もしくは、エッチングされるべき、任意の他の材料のような、任意のタイプの半導体材料から製造される、半導体ウェーハなどのワークピースにすることができる。
【0014】
ハロー又は基板平面構造128は、基板110及びプラテン112の前面に配置することができる。一実施形態において、基板平面構造128及び基板110の前面表面は、共通の平面表面を形成する。基板平面構造128は基板110のオーバースキャンを促進する。特に、基板平面構造128の使用により、基板110のスキャン中の基板110のエッジ及び裏面への堆積からの堆積物又は粒子を低減する。さらに、基板平面構造128の使用により、プラテン112、並びに、プラテン112の近くのハードウェア及び機器への堆積からの堆積物又は粒子を低減する。一実施形態において、電圧源130は基板平面構造128の部分に連結することができる。電圧源130は基板平面構造128の部分に電荷を加えるために用いることができる。一実施形態において、電圧源130は、基板平面構造128に関連する取り外し可能な構造200(図2を参照)に、電圧を印加する又は電荷を加えるために用いることができる。取り外し可能な構造200に電荷を加えることにより、基板110のスキャン中の基板のエッジ及び裏面へ堆積する堆積物又は粒子を、さらに低減することができる。基板平面構造128の追加の詳細は、図2~4を参照して、以下に提供する。
【0015】
エンドステーション104は、基板110を保持領域からプラテン112への往復に物理的に動かすために、駆動システム(図示せず)を含むことができる。エンドステーション104は、プラテン112、及び、よって基板110を、所望の方法で駆動するために、駆動機構114も含むことができる。駆動機構114は、基板110がプラテン112に置かれたときに基板110を駆動するために、サーボ駆動モーター、スクリュー駆動機構、機械的リンク機構、及び、当技術分野で既知の任意の他のコンポーネントを含むことができる。
【0016】
エンドステーション104は、基板110のイオンビーム108に対する位置を表すセンサ信号を供給するために、位置センサ116も含むことができる。位置センサ116は駆動機構114に連結することができる。別個のコンポーネントとして例示されているけれども、位置センサ116は駆動機構114などの他のシステムの部分にすることができる。さらに、位置センサ116は、位置エンコーダ装置などの当技術分野で既知の任意のタイプの位置センサにすることができる。位置センサ116からの位置信号はコントローラ106へ供給することができる。
【0017】
エンドステーション104は、基板110から上流のビームセンサ118、及び、基板から下流のビームセンサ120などの、様々な位置で、イオンビーム108のビーム電流密度を感知するために、様々なビームセンサも含むことができる。本明細書で用いられるように、「上流」及び「下流」は、イオンビーム108に関連するイオンビーム輸送の方向を基準とする。各ビームセンサ118、120は、特定の方向のビーム電流密度分布を感知するために配置されたファラデーカップなどの複数のビーム電流センサを含むことができる。
【0018】
当業者は、イオンビームエッチングシステム100が図1に示されない追加のコンポーネントを有することができることを、認識するであろう。例えば、基板110の上流には引き出し電極があり得て、引き出し電極は、イオンビーム発生器102からイオンビームを受け、正の荷電イオンを加速してビームを形成する。イオンビームエッチングシステム100は、マグネットアナライザーも含むことができ、マグネットアナライザーは、正の荷電イオンがイオンビーム発生器から引き出された後に、イオンビームを受けて加速し、ビームから不必要な種をフィルターする。イオンビームエッチングシステム100は、さらに、ビームからの種の選択をさらに制限するマススリット、イオンビームを成形し集束する静電レンズ、及び、イオンビームのエネルギーを操作する減速ステージを含むことができる。エンドステーション104は、ビーム角センサ、充電センサ、ウェーハ位置センサ、ウェーハ温度センサ、ローカルガス圧センサ、残留ガス分析器(RGA)、発光分光法(OES)、飛行時間(TOF)センサなどのイオン化種センサ、などのそれぞれのパラメータを測定するための他のセンサを含むことができる。
【0019】
コントローラ106は、イオンビームエッチングシステム100の任意の様々なシステム及びコンポーネントからの入力データ及び命令を受けることができ、システム100のコンポーネントを制御するために、出力信号を供給することができる。コントローラ106は、所望の入力/出力機能を実施するためにプログラムされた、汎用コンピュータ又は汎用コンピュータのネットワークであり得るか、又は、含むことができる。コントローラ106はプロセッサ122及びメモリ124を含むことができる。プロセッサ122は当技術分野で既知の1つ以上のプロセッサを含むことができる。メモリ124は、1つ以上のコンピュータ可読媒体を含むことができ、コンピュータ可読媒体は、コンピュータシステムもしくは任意の命令実行システムにより、又は、に関連して、用いるための、プログラムコード又はコンピュータ命令を供給する。この説明の目的のため、コンピュータ可読媒体は、コンピュータ、命令実行システム、装置もしくはデバイスにより、又は、に関連して、用いるための、プログラムを含み、格納し、通信し、伝搬し、又は、輸送することができる任意の装置にすることができる。コンピュータ可読媒体は、電子、磁気、光、電磁、赤外、もしくは、半導体システム(もしくは装置、もしくはデバイス)、又は、伝搬媒体にすることができる。コンピュータ可読媒体の例は、半導体又は固体メモリ、磁気テープ、リムーバブル・コンピュータ・ディスケット、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、リジッド磁気ディスク、及び、光ディスクを含む。光ディスクの現在の例は、コンパクトディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)、リード/ライト・コンパクトディスク(CD-R/W)、及び、デジタル・ビデオ・ディスク(DVD)を含む。
【0020】
コントローラ106は、特定用途向け集積回路、他の配線接続又はプログラム可能電子デバイス、個別素子回路、その他などの他の電子回路又はコンポーネントも含むことができる。コントローラ106は、通信装置も含むことができる。
【0021】
ユーザインターフェースシステム126は、限定されないが、タッチスクリーン、キーボード、ユーザポインティング・デバイス、ディスプレイ、プリンタ、その他などのデバイスを含むことができ、ユーザが、コマンド、データを入力し、及び/又は、コントローラ106により、イオンビームエッチングシステム100をモニターすることを可能にする。
【0022】
コントローラ106は、ユーザがイオンビームエッチングシステム100とやりとりすることができるように構成することができる。例えば、ユーザは、基板110をエッチングするためのレシピを入力することができ、コントローラ106により自動的に選択されたレシピを、基板をエッチングするために、見ることができ、又は、修正することができる。レシピは、基板110の上に望ましい特徴を具体化する。特に、イオンビームエッチングシステム100が、望ましい特徴を有する基板を生成するために用いるプロセスパラメータ用の値を、レシピは具体化する。プロセスパラメータの例示的ではあるが包括的ではないリストは、真空チャンバ圧力、基板温度、イオンビーム種、エネルギー、電流、電流密度、基板に対するイオンの角度、ウェーハスキャン速度、ビームスキャン速度、エンドステーション圧力(又は、真空ポンプ速度)、イオンビーム一様性分布を含む。追加のパラメータは、1つ以上の個々に調整できるガスフローコントローラにより供給される1つ以上の中性ガス種のバックグラウンド圧力、プラズマエッチング用のプラズマを生成するために用いるガス種、プラズマ密度、プラズマの中性密度、電子温度及び電子閉じ込めの程度を含むことができる。
【0023】
コントローラ106は、レシピからプロセスパラメータの値を用いて、基板をエッチングするために用いる、イオンビーム108で具体化されるイオンビームパラメータの値を選択する。コントローラが初期の値を設定するイオンビームパラメータの例示的ではあるが包括的ではないリストは、イオンビーム強度、イオンビーム電流、イオンビーム108が表面を当てる角度、イオンビーム108のイオンのドーズ率を含む。一実施形態において、コントローラ106は、過去のイオンビームエッチングにおいて適用したこれらのパラメータを設定する組合せを提供する多くの実体を含む歴史的データベースから、これらのイオンビームパラメータの初期値を選択する。通常、レシピ生成器、ビーム設定レポート及びイオン注入レポートなどの様々なソースからの入力データを受けることにより、各実体はまとめられている。
【0024】
コントローラ106は、また、レシピからのプロセスパラメータの値を用いて、イオンビーム発生器102により散布される原子種をエッチングプロセス中の基板110に当てることを決定し制御する。一実施形態において、イオンビーム発生器102により発生されるイオンビーム108は、化学的不活性種(Si+、Ar+、など)、又は、追加の化学エッチングコンポーネント(SiFx+、BF2、など)から成ることができる。別の実施形態において、イオンビーム発生器102は、また、基板の均一エッチングを達成するのに役立つために、反応種を導入することができる。代表的反応種は、HCL、Cl2、CO2、CO、O2、O3、CF4、NF3、NF2 +イオン、BF2 +イオン、Fイオン、F+イオン、Cl又はCl+イオンを含むことができる。反応種は、反応ガスを有するかそれとも有しないUV光を含むこともできる。別の実施形態において、イオンビーム発生器102は、中性反応種又は反応低エネルギーイオンも導入することができる。
【0025】
動作において、基板110がプラテン112に積まれ、かつ、クランプされた後に、イオンビーム発生器102は、原子種を基板の表面に当てる。原子種は基板110の表面に反応する。原子種が、所定の期間、基板110の表面と相互作用した後に、次いで、イオンビーム発生器102は、イオンビーム108を基板110の表面に向ける。イオンビーム108は基板110の表面に当たり、原子種が揮発しエッチングを始めることを引き起こす。実質的に、イオンビーム108は、原子種が有する基板110の表面との相互作用を制御し、基板のもっと均一なエッチングを促進する。
【0026】
イオンビーム108が基板の均一なエッチングを提供することを確実にするために、コントローラ106は、イオンビームパラメータ(例えば、イオンビーム電流、イオンビームが表面に当たる角度、及び、イオンビームのイオンのドーズ率)を継続的にモニターする。特に、コントローラは、ビームセンサ118及び120、並びに/又は、上記のリストの他のセンサからの測定結果を受ける。受けた測定結果は、イオンビームの特性を示す信号の形をとり、コントローラは、イオンビーム電流、イオンビーム108が基板110の表面に当たる角度、イオンビームの密度、及び、イオンビーム108のイオンのドーズ率などのビームパラメータに信号を関連付けるために用いる。
【0027】
コントローラ106は、次いで、イオンビームパラメータのための値を受け取り、基板110に対するイオンビームのエッチング深さ及びエッチング速度を決定する。特に、コントローラは、残留ガス分析(RGA)、生成物によるエッチングの発光分光法(OES)分析、反射率測定法、偏光解析法、干渉分光法による基板の表面解析などの任意の周知技術、又は、他の技術を用いることにより、エッチング深さ及びエッチング速度を決定する。特に、時間で積分したローカルエッチング深さ又はローカルエッチング速度は、エッチング深さの均一性の測定を提供する。
【0028】
図1には示さないけれども、コントローラ106は、エンドステーション104内に配置されたセンサからの他の測定を受けることができる。他の測定は、エッチングの均一性を制御するために、コントローラにより用いることができる。例えば、基板110の温度を制御することにより、種の堆積による反応速度だけでなく、原子種の吸収速度及び時間も調整することを可能にする。通常、基板110の温度制御は、プラテン112のガスアシスト冷却により、又は、基板110を冷却すること若しくは加熱することにより、達成することができる。例えば、背面ガス圧力及びプラテン112の温度の制御により、もっと均一なエッチングプロファイルを促進する半径方向温度分布を達成することができる。
【0029】
図2は、本発明の一実施形態による基板平面構造128の正面図を例示する。例示されるように、基板平面構造128は、基板平面構造128の開口202に配置された取り外し可能な構造200を含む。一実施形態において、取り外し可能な構造200は取り外し可能なリング構造である。図において、基板110は、開口202の中に配置されているように例示される。基板110を保持するプラテン112は基板110の後ろである。基板110がプラテン112により保持されないとき、プラテン112は、通常、開口202の中で露出している。
【0030】
取り外し可能な構造200は、外側エッジ表面204及び内側エッジ表面206を有する。内側エッジ表面206の円周はプラテン112の円周より大きい。さらに、一実施形態において、取り外し可能な構造200は、基板平面構造128の正面表面210に同調している外部表面208を有する。さらに、一実施形態において、基板110の正面表面212は、基板平面構造128の正面表面210に、及び、取り外し可能な構造200の外部表面208に同調することができる。したがって、一実施形態において、取り外し可能な構造200の外部表面208、基板平面構造128の正面表面210、及び、基板110の正面表面212は、平面表面を形成する。別の実施形態において、外部表面208は、基板平面構造128の正面表面210、及び/又は、基板110の正面表面212に同調していない。
【0031】
図3は、図2に示す線I-Iの視点から見た、本発明の一実施形態による、基板平面構造128、プラテン112、基板110及び取り外し可能な構造200の断面図を例示する。図3に例示する断面図は、取り外し可能な構造200が溝300を含むことを示す。溝300は、取り外し可能な構造200の円周の少なくとも一部の中に形成することができる。一実施形態において、溝300は、取り外し可能な構造200の円周の全体の中に形成される。溝300は、イオンビーム108に関連する粒子を基板110の背面304から離れるように向ける機能を有する、傾斜表面302を含むことができる。さらに、傾斜表面302は、イオンビーム108に関連する粒子をプラテン112から離れるように向ける機能を有する。一実施形態において、イオンビーム108に関連する粒子は、傾斜表面302により、溝300に関連する表面306の方へ向けることができる。溝300は、図3に示すよりも、より浅い又はより深い深さを有するように形成することができる。さらに、表面306は真っすぐであるとして例示されるが、表面306は、その代わりに、傾斜表面302に類似の角度で形成することができる。
【0032】
図3に更に例示されているように、取り外し可能な構造200はレッジ308を含む。レッジ308は、基板平面構造128の背面310に接触することができる。一実施形態において、レッジ308は、基板平面構造128の背面310の上で、基板平面構造128に対して、取り外し可能に圧入される。
【0033】
図4は、図2に示す線I-Iの視点から見た、本発明の別の実施形態による、基板平面構造128、プラテン112、基板110及び取り外し可能な構造200の断面図を例示する。図4は、取り外し可能な構造200が1つ以上のスルーホール400を含むことができることを例示する。一実施形態において、複数のスルーホール400がレッジ308の中に配置される。複数のスルーホール400は、ファスナー、ねじ、または同種のものなどの固定器具部材402を受けることができる。固定器具部材402の各々は、基板平面構造128のホール404により、受けられ得る。したがって、基板平面構造128は複数のホール404を含むことができる。別の実施形態において、ホール404はスルーホールにすることができ、それ故に、固定器具部材402は、基板平面構造128の正面表面210から挿入することができ、ナット、ファスナー又はねじ山を用いて、レッジ308に保持可能に取り付けることができる。
【0034】
取り外し可能なリングを有する基板平面構造は、メンテナンスするために、有利なことに容易である。特に有利なのは、予防メンテナンスが必要なときに、全体の基板平面構造を取り外すよりはむしろ、必要な予防メンテナンスを完了するために、取り外し可能なリングを単に取り外すことが可能になり得ることである。さらに、基板平面構造及び取り外し可能なリング部品は、有利に、モジュール式ユニットを提供するため、モジュール式ユニットをメンテナンスし交換することに関連するコストは、1つの接続ユニットとして形成される従来の基板平面構造をメンテナンスし交換することに比べて、有利に低減することができる。加えて有利なことに、取り外し可能なリングは、基板平面構造の残余に比べて異なる材料から作ることができる。例えば、取り外し可能なリング用に特定の材料のタイプを使用することにより、ウェーハのエッジの上の堆積物及び粒子の蓄積を有利に軽減することができる。他方、取り外し可能なリングの他の特定の材料のタイプを使用することにより、イオンビームの電界を制御することに有利に支援することができる。
【0035】
例示的イオン注入装置及び方法を開示するが、本願の特許請求の範囲及び精神から逸脱せずに、様々な変更をすることができ、均等物に置き換えることができることは当業者により理解されるであろう。特許請求の範囲から逸脱せずに、特定の状況又は材料を上記に開示した教示に適合するために、他の変更をすることができる。したがって、特許請求の範囲は、開示した特定の実施形態のいずれかに限定されるものであるとして解釈すべきではなく、特許請求の範囲内に収まる任意の実施形態にあるとして解釈すべきである。
図1
図2
図3
図4