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特許7016869局所的にフライス加工されたゴルフクラブフェース
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-28
(45)【発行日】2022-02-07
(54)【発明の名称】局所的にフライス加工されたゴルフクラブフェース
(51)【国際特許分類】
   A63B 53/04 20150101AFI20220131BHJP
   A63B 53/00 20150101ALI20220131BHJP
   A63B 102/32 20150101ALN20220131BHJP
【FI】
A63B53/04 A
A63B53/00 A
A63B53/04 B
A63B102:32
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019532993
(86)(22)【出願日】2017-12-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-02-20
(86)【国際出願番号】 US2017067433
(87)【国際公開番号】W WO2018119002
(87)【国際公開日】2018-06-28
【審査請求日】2019-11-01
(31)【優先権主張番号】62/435,944
(32)【優先日】2016-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591086452
【氏名又は名称】カーステン マニュファクチュアリング コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エリック エム. ヘンリクソン
(72)【発明者】
【氏名】マシュー ダブリュ. シモーネ
(72)【発明者】
【氏名】ユージェン ホアン
【審査官】宮本 昭彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-270517(JP,A)
【文献】特開2013-043092(JP,A)
【文献】特開昭62-144674(JP,A)
【文献】特開2016-016183(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0032498(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0111883(US,A1)
【文献】特開2004-208728(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 53/00 - 53/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウッド型のゴルフクラブヘッドであって、
トウ部と、ヒール部と、クラウンと、ソールと、
中空の内部クラブヘッド容積を画定するように協働する打撃フェース及びボディであって、前記打撃フェースはフライス加工の表面テクスチャ特性を有するボール打撃面をさらに備える、前記打撃フェース及び前記ボディと、
を備え、
前記表面テクスチャは、複数の第1の山部と、複数の第1の谷部と、前記複数の第1の山部と前記複数の第1の谷部の間を延びる基準中間平面と、を備え、前記基準中間平面の下方は負の距離であり、前記基準中間平面の上方は正の距離であり、前記複数の第1の山部及び前記複数の第1の谷部は、前記基準中間平面から、少なくとも-200マイクロインチ(-5.08マイクロメートル)から少なくとも200マイクロインチ(5.08マイクロメートル)の平均最大距離を延び、
前記表面テクスチャは、平均中心線に対する絶対表面偏差の算術平均値を表す平均表面粗さ(R)と、前記表面テクスチャにわたって理論的に転がる所定の曲率半径を有する円板を用いて作り出される閉じた基準表面に対する前記複数の第1の谷部の平均深さを表す表面空隙パラメータ(WVoid)と、前記閉じた基準表面と前記表面テクスチャの間の接触量を表す表面接触パラメータ(WVDCL)と、をさらに備え、
鉛直切断平面と第2の切断平面の少なくとも一方内で測定される前記表面テクスチャは、以下の少なくとも一方、即ち、
Voidに対するRの割合が4より大きいこと、又は、
VDCLが24%より大きいこと、
によって特徴付けられ、
前記第2の切断平面は、前記鉛直切断平面及び前記ボール打撃面の両方に対して垂直であり、
前記鉛直切断平面と前記第2の切断平面の前記少なくとも一方は、前記打撃フェースの幾何学中心を通って延び、
前記複数の第1の山部は、複数の第2の谷部を備え、前記複数の第1の谷部は、複数の第2の山部を備え
前記R は、0.762mmのカットオフを有するハイパスフィルタを用いて測定され、前記W Void は、0.127mmの半径クロージングフィルタを用いて測定され、前記W VDCL は、0.508mmの半径クロージングフィルタを用いて測定され、
前記打撃フェースは、8度から14度までのロフト角で配置される、
ゴルフクラブヘッド。
【請求項2】
前記表面テクスチャは、以下の少なくとも一方、即ち、
Voidに対するRの前記割合が8より大きいこと、又は、
前記WVDCLが28%より大きいこと、
によってさらに特徴付けられる、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項3】
前記表面テクスチャのWVoidに対するRの前記割合又は前記WVDCLは、前記フェースの幾何学中心からの距離の関数として変化する、請求項1または2に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項4】
前記打撃フェースは、周辺部分によって囲まれる中心部分をさらに含み、
前記表面テクスチャは、WVoidに対するRの前記割合又は前記WVDCLの少なくとも一方が、前記中心部分内よりも前記周辺部分内において大きいことによってさらに特徴付けられる、請求項1からのいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項5】
前記打撃フェースは、打撃板と、前記打撃板を囲むフレームと、を備え、前記打撃板は、前記打撃板及び前記フレームが前記ボール打撃面を画定するように協働するように、前記フレームに設けられる開口内に固定される、請求項1からのいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項6】
前記フェースの前記幾何学中心からずれた鉛直切断平面内で測定される前記表面テクスチャは、以下の少なくとも一方、即ち、
Voidに対するRの前記割合が4より小さいこと、又は、
前記WVDCLが24%より小さいこと、によって特徴付けられる、請求項1からのいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項7】
前記フェースの前記幾何学中心からずれた鉛直切断平面内で測定される前記表面テクスチャは、以下の少なくとも一方、即ち、
Voidに対するRの前記割合が、前記幾何学中心と交差する前記鉛直切断平面内で測定されるWVoidに対するRの前記割合より大きいこと、又は、
前記WVDCLが、前記幾何学中心と交差する前記平面内で測定される前記WVDCLより大きいこと、
によって特徴付けられる、請求項1からのいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項8】
前記フェースの前記幾何学中心を通って延びる前記鉛直切断平面内で測定される前記表面テクスチャは、
が3.56μmから7.62μmの間であること、
によってさらに特徴付けられる、請求項1からのいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項9】
前記ボール打撃面は、第1の表面テクスチャを有する第1の領域と、第2の表面テクスチャを有する第2の領域と、を備え、
以下の少なくとも一方、即ち、
鉛直切断平面内で測定されるWVoidに対するRの平均割合が前記第1の領域と前記第2の領域とで異なること、又は、
鉛直切断平面内で測定される平均WVDCLが前記第1の領域と前記第2の領域とで異なること、
を満たす、請求項1からのいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項10】
前記第2の領域が、前記第1の領域を囲む、請求項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項11】
ゴルフクラブヘッドを形成する方法であって、
打撃板及びフレームにわたって延びる外側ボール打撃面を提供するために、前記フレームに設けられる開口内で前記打撃板を溶接する工程と、
前記打撃板と前記フレームとの両方にわたって連続的に延びる表面テクスチャを作り出すために、前記ボール打撃面をフライス加工する工程と、
を備え、
前記表面テクスチャは、複数の第1の山部と、複数の第1の谷部と、前記複数の第1の山部と前記複数の第1の谷部の間を延びる基準中間平面と、を備え、前記基準中間平面の下方は負の距離であり、前記基準中間平面の上方は正の距離であり、前記複数の第1の山部及び前記複数の第1の谷部は、前記基準中間平面から、少なくとも-200マイクロインチ(-5.08マイクロメートル)から少なくとも200マイクロインチ(5.08マイクロメートル)の平均最大距離を延び、
前記表面テクスチャは、平均中心線に対する絶対表面偏差の算術平均値を表す平均表面粗さ(R)と、前記表面テクスチャに適用されるモルフォロジークロージングフィルタを用いて作り出される閉じた基準表面に対する前記複数の第1の谷部の平均深さを表す表面空隙パラメータ(WVoid)と、前記閉じた基準表面と前記表面テクスチャの間の接触量を表す表面接触パラメータ(WVDCL)と、をさらに備え、
前記Rが、0.762mmのカットオフを有するハイパスフィルタを用いて測定され、かつ、前記WVoidが、0.127mmの半径クロージングフィルタを用いて測定され、かつ、前記WVDCLが、0.508mmの半径クロージングフィルタを用いて測定される場合に、鉛直切断平面と第2の切断平面の少なくとも一方内で測定される前記表面テクスチャは、以下の少なくとも一方、即ち、
Voidに対するRの割合が4より大きいこと、又は、
VDCLが24%より大きいこと、
によって特徴付けられ、
前記第2の切断平面は、前記鉛直切断平面及び前記ボール打撃面の両方に対して垂直であり、
前記鉛直切断平面と前記第2の切断平面の前記少なくとも一方は、前記ボール打撃面の幾何学中心を通って延び、
前記複数の第1の山部は、複数の第2の谷部を備え、前記複数の第1の谷部は、複数の第2の山部を備える、
方法。
【請求項12】
前記溶接する工程では、前記打撃板の外側周辺の周囲に溶接ビードが形成され、
前記方法は、前記フレーム及び前記打撃板が連続した外面を形成するように、フライス加工する前に前記溶接ビードを研磨する工程をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
ゴルフクラブセットであって、
第1のロフト角(L)で配置される第1のフェースを有する第1のゴルフクラブヘッドであって、前記第1のフェースは、第1の表面テクスチャを伴うボール打撃面を有する、前記第1のゴルフクラブヘッドと、
第2のロフト角(L)で配置される第2のフェースを有する第2のゴルフクラブヘッドであって、前記第2のフェースは、第2の表面テクスチャを伴うボール打撃面を有する、前記第2のゴルフクラブヘッドと、
第3のロフト角(L)で配置される第3のフェースを有する第3のゴルフクラブヘッドであって、前記第3のフェースは、第3の表面テクスチャを伴うボール打撃面を有する、前記第3のゴルフクラブヘッドと、
を備え、
前記第1の表面テクスチャと、前記第2の表面テクスチャと、前記第3の表面テクスチャとの各々は、複数の第1の山部と、複数の第1の谷部と、前記複数の第1の山部と前記複数の第1の谷部の間を延びる基準中間平面と、をそれぞれ備え、前記基準中間平面の下方は負の距離であり、前記基準中間平面の上方は正の距離であり、前記複数の第1の山部及び前記複数の第1の谷部は、前記基準中間平面から、少なくとも-200マイクロインチ(-5.08マイクロメートル)から少なくとも200マイクロインチ(5.08マイクロメートル)の平均最大距離を延び、
前記第1の表面テクスチャと前記第2の表面テクスチャと前記第3の表面テクスチャとは、それぞれ、平均中心線に対する絶対表面偏差の算術平均値を表す平均表面粗さ(RA1、RA2、RA3)と、前記表面テクスチャに適用されるモルフォロジークロージングフィルタを用いて作り出される閉じた基準表面に対する前記複数の第1の谷部の平均深さを表す表面空隙パラメータ(WVoid1、WVoid2、WVoid3)と、前記閉じた基準表面と前記表面テクスチャの間の接触量を表す表面接触パラメータ(WVDCL1、WVDCL2、WVDCL3)と、をさらに備え、
前記第1、第2、及び第3のゴルフクラブヘッドの各々についての前記平均表面粗さは、0.762mmのカットオフを有するハイパスフィルタを用いて測定され、前記第1、第2、及び第3のゴルフクラブヘッドの各々についての前記表面空隙パラメータは、0.127mmの半径クロージングフィルタを用いて測定され、前記第1、第2、及び第3のゴルフクラブヘッドの各々についての表面接触パラメータは、0.508mmの半径クロージングフィルタを用いて測定され、
<L<Lであり、
(RA1/WVoid1)>(RA2/WVoid2)又はWVDCL1>WVDCL2の少なくとも一方であり、
それぞれの表面テクスチャは、それぞれのフェースの鉛直切断平面と第2の切断平面の少なくとも一方内で測定され、
前記第2の切断平面は、前記鉛直切断平面及び前記フェースの両方に対して垂直であり、
前記鉛直切断平面と前記第2の切断平面の前記少なくとも一方は、前記フェースの幾何学中心を通って延び、
前記第1のゴルフクラブヘッドは、閉じた内部容積を有するウッド型のクラブヘッドであり、
は8度から14度であり、
は3.56μmから7.62μmの間であり、
前記第1の表面テクスチャは、以下の少なくとも一方、即ち、
A1/WVoid1が4より大きいこと、又は、
VDCL1が24%より大きいこと、
によって特徴付けられており、
前記複数の第1の山部は、複数の第2の谷部を備え、前記複数の第1の谷部は、複数の第2の山部を備える、
ゴルフクラブセット。
【請求項14】
(RA2/WVoid2)>(RA3/WVoid3)又はWVDCL2>WVDCL3の少なくとも一方である、請求項13に記載のゴルフクラブセット。
【請求項15】
(RA2/WVoid2)<(RA3/WVoid3)又はWVDCL2<WVDCL3の少なくとも一方である、請求項13に記載のゴルフクラブセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年12月19日に出願された米国仮特許出願第62/435,944号からの優先権の利益を主張し、この仮特許出願は、本明細書によってその全体が参照により組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、フライス加工されたボール打撃面を有するメタルウッドゴルフクラブと、フライス加工されたフェースを有するゴルフクラブのセットと、に関する。
【背景技術】
【0003】
従来のメタルウッドゴルフクラブヘッドは、フェースと、フェースから後方へ延びるボディとを備える。いくつかの実施形態では、フェースは、ボールがフェースの中心から離れて打撃されるときであっても、ゴルフボールにより真っ直ぐな及び/又はより長い弾道を与えるために、わずかに丸まった形状を有することがある。この丸まった形状は、バルジプロファイル(トウ端からヒール端への曲率)及びロールプロファイル(クラウン端からソール端への曲率)の用語で規定してもよい。
【0004】
典型的なメタルウッドゴルフクラブヘッドは、所定のバルジ及びロールの曲率を有するように打撃板を圧印加工及び/又は機械加工することと、打撃板を前方フレーム内に設けられた開口内に溶接することと、溶接処理の後に外側に露出される溶接ビードを研磨して取り去ることと、フレーム及び打撃板にわたって均一な磨かれた面仕上げを適用することとによって形成できる。しかしながら、このような処理は、圧印、溶接、研磨、及び仕上げの処理におけるばらつきのため、最終製品においてどちらかと言えば大きな公差をもたらす可能性がある。そのため、本技術分野において、同じ設計の複数のクラブヘッドにわたるばらつきを低減するために、はるかにより厳密なバルジ/ロールの公差を達成することができるフェースプロファイルを有するゴルフクラブを作り出す必要性がある。また、小さいロフトのクラブヘッドにおいて、ゴルフボールに付与されるスピンを低減してキャリーの距離を増加させると共に、ゴルフボールの弾道を向上させるのを支援する必要性がある。
【発明の概要】
【0005】
本発明の態様は、詳細な記載及び添付の図面の検討によって明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】ゴルフクラブヘッドの概略的な斜視図である。
【0007】
図2図1のゴルフクラブヘッドの概略的な部分的に分解されている斜視図である。
【0008】
図3】ゴルフクラブヘッドを形成する方法の概略図である。
【0009】
図4】ゴルフクラブヘッドを形成する方法の概略図である。
【0010】
図5A】直線状の鉛直方向のフライス加工パターンを有するゴルフクラブヘッドの概略的な前面図である。
【0011】
図5B】直線状の水平方向のフライス加工パターンを有するゴルフクラブヘッドの概略的な前面図である。
【0012】
図5C】直線状の水平方向のフライス加工パターンを伴う円形の中心部分と、中心部分から径方向外向きに延びるフライス加工パターンを伴う周辺部分とを有する打撃フェースの概略的な前面図である。
【0013】
図5D】中心から径方向外向きに延びるフライス加工パターンを伴う円形の中心部分と、直線状の水平方向のフライス加工パターンを伴う周辺部分とを有する打撃フェースの概略的な前面図である。
【0014】
図5E】中心から径方向外向きに延びるフライス加工パターンを伴う円形の中心部分と、重なって交差する直線状のフライス加工跡を有するフライス加工パターンを伴う周辺部分とを有する打撃フェースの概略的な前面図である。
【0015】
図5F】中心から径方向外向きに延びるフライス加工パターンを伴う円形の中心部分と、重なって交差する曲線状のフライス加工跡を有するフライス加工パターンを伴う周辺部分とを有する打撃フェースの概略的な前面図である。
【0016】
図5G】中心から径方向外向きに延びる同心円状のフライス加工パターンを伴う円形の中心部分と、中心部分から径方向外向きに延びる同心円状のフライス加工パターンを伴う周辺部分とを有する打撃フェースの概略的な前面図である。
【0017】
図5H】直線状の水平方向のフライス加工パターンを伴う湾曲した多角形の中心部分と、異なる配向の直線状のフライス加工パターンを各々有する複数の領域を伴う周辺部分とを有する打撃フェースの概略的な前面図である。
【0018】
図5I】外側周辺から径方向内向きに延びる同心円状のフライス加工パターンを伴う湾曲した多角形の中心部分と、異なる配向の直線状のフライス加工パターンを各々有する複数の領域を伴う周辺部分とを有する打撃フェースの概略的な前面図である。
【0019】
図5J】直線状の水平方向のフライス加工パターンを伴う湾曲した多角形の中心部分と、異なる配向の直線状のフライス加工パターンを各々有する複数の領域を伴う周辺部分とを有する打撃フェースの概略的な前面図である。
【0020】
図6】表面パラメータWVoidの計算を概略的に示すグラフである。
【0021】
図7】表面パラメータWVDCLの計算を概略的に示すグラフである。
【0022】
図8】幾何学フェース中心に位置付けられるフェース中心の座標系を示すゴルフクラブヘッドの概略的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下で詳述されている実施形態は、概して、クラブヘッドによってインパクトされたゴルフボールに付与されるスピンに影響を与える目的のために、前方のボール打撃面にわたって表面テクスチャをフライス加工したゴルフクラブヘッド、ゴルフクラブヘッドを作る方法、及び/又はゴルフクラブヘッドの調整されたセットに向けられている。
【0024】
ゴルフクラブフェースをフライス加工することは、他のゴルフクラブ仕上げ技術と比較して、より制御された及び/又はより制御可能な表面プロファイル、外形、及びテクスチャを提供するために示されている。適切に実行されるとき、フライス加工された表面テクスチャは、磨きなどの他の仕上げ技術より、ゴルフボールへのインパクトの間により大きな量の接触摩擦を付与することができる。残念ながら、フライス加工は非常に変化しやすく、既存の表面粗さ(例えば、平均粗さ(R))の測定は、様々なフライス加工パターン間の差を適切に説明できない。そのため、本開示は、ドライバーなどの小さいロフトのクラブによってゴルフボールに付与されるスピンの量に密接に相関する新たに開発された表面パラメータ(すなわち、小さいロフトのクラブにおけるスピンの低減が、インパクトにおいて増加した接触摩擦を指し示してもよい)によって特徴付けられるフライス加工されたボール打撃面にさらに向けられている。これらの技術を用いることで、本開示のフライス加工されたフェースは、おおよそ等しいか又はわずかに小さくされた平均粗さ(R)であっても、付与されるスピンの低減を見出した。フライス加工されたゴルフクラブフェースを特徴付けるこの手法は、異なる設計目的(大きいバックスピン、小さいバックスピン、(例えば、ドライバーのバルジプロファイルを増大させるための)カスタマイズされたサイドスピンプロファイル、中心のずれたインパクトに影響を与えるためのゾーンでのフライス加工のパターン、ロフトの機能としてスピンプロファイルを変えることなど)に適したフェースを作り出すためにさらに用いられてもよい。
【0025】
「1つの(a)」、「1つの(an)」「その(the)」、「少なくとも1つの」、及び「1つ又は複数の」は、少なくとも1つの項目が存在することを示すために相互交換可能に使用され、文脈がそうでないことを明確に示していない限り、複数のこのような項目が存在してもよい。添付の特許請求の範囲を含め、本明細書における(例えば、量又は条件の)パラメータのすべての値は、値の前に「約」が実際にあるかどうかに関わらず、すべての場合において「約」という用語によって修飾されるとして理解されるべきである。「約」は、述べられた数値が若干の不正確さ(値の正確さに対するいくらかの接近性、値に対して、およそ又は値に合理的に近い、略)を許容することを示す。「約」によって与えられる不正確さが、この通常の意味で当技術分野において理解されない場合、本明細書で使用される場合、「約」は、このようなパラメータを測定及び使用する通常の方法から生じ得る少なくとも変動を示す。また、範囲の開示は、すべての値の開示、及び、範囲全体内のさらに分割された範囲の開示を含む。範囲内の各値及び範囲の端点は、本明細書ではすべて別個の実施形態として開示されている。「備える」、「備えている」、「含んでいる」、及び「有している」という用語は、包括的であり、したがって、述べられた項目の存在を特定しているが、他の項目の存在を排除するものではない。本明細書で使用される場合、「又は」という用語は、列記された項目の1つ又は複数の任意の組み合わせ及びすべての組み合わせを含む。第1、第2、第3などの用語が、様々な項目を互いに識別するために使用されるとき、これらの指定は単に便宜上のものに過ぎず、項目を限定するものではない。
【0026】
本明細書に記載されているように、ゴルフクラブの「ロフト」又は「ロフト角」という用語は、任意の適切なロフト及びライマシンによって測定されるような、クラブフェースとシャフトとの間に形成される角度を表している。フェースの幾何学中心又は「フェース中心」は、フェースの幾何学中心を特定するための慣習及び通念の意味で規定される。よく理解されているように、フェース中心は、フェースのヒール端とフェースのトウ端との間の等距離にある位置であり、フェースの上端とフェースの下端との間の等距離にある位置である。
【0027】
明細書及び特許請求の範囲における「第1」、「第2」、「第3」、「第4」などの用語は、それがある場合には、同様の要素同士を区別するために使用され、必ずしも特定の順次的又は経時的な順序を説明するために使用されているわけではない。そのように使用される用語は、適切な状況下で相互に置き換え可能であり、本明細書で記載されている実施形態が、例えば、本明細書に図示又は記載されているもの以外の順番で動作できるようになっていることが理解されるべきである。さらに、「含む」及び「有する」という用語、ならびにそれらの任意の活用形は、非排他的な包含に及ぶことが意図されており、そのため、列記された要素を含む工程、方法、システム、物、デバイス、又は装置が、必ずしもそれらの要素に限定されず、明示的に列記されていない他の要素、又は、そのような工程、方法、システム、物、デバイス、もしくは装置に固有の他の要素を含んでもよい。
【0028】
明細書及び特許請求の範囲における「左」、「右」、「前」、「後」、「上部」、「下部」、「上方」、「下方」などの用語は、それがある場合には、水平な地面上のアドレス位置に保持されたゴルフクラブ、ならびに所定のロフト角及びライ角に保持されたゴルフクラブを一般的な基準として、説明目的のために使用されており、必ずしも永久的な相対位置を説明するよことが意図されているわけではない。そのように使用される用語は、適切な状況下で相互に置き換え可能であり、本明細書で記載されている装置、方法、及び/又は製品の実施形態が、例えば、本明細書に図示又は記載されているもの以外の配向で動作できることが理解されるべきである。
【0029】
「連結」、「連結される」、「連結する」、「連結している」などの用語は、幅広く理解されるべきであり、2つ以上の要素を機械的又は他の手法で接続することを表している。連結(機械的であろうと他の手法であろうと)は、例えば、永久的又は半永久的なもの、又は、単なる瞬間のものなど、任意の長さの時間に関するものであってよい。
【0030】
他の特徴及び態様は、以下の詳細な説明及び添付の図面を考慮することによって明らかになる。本開示の任意の実施形態が詳細に説明される前に、本開示は、その適用において、以下の説明に述べられているような、又は、図面に図示されているような、構成要素の詳細又は構造及び配置に限定されないことが理解されるべきである。本開示は、他の実施形態をサポートすることが可能であり、様々な方法で実践又は実施することができる。特定の実施形態の説明は、本開示の精神及び範囲内のすべての変形物、均等物、及び代替物に及ぶことから、本開示を限定することを意図していないことが理解されるべきである。また、本明細書で使用されている表現及び専門用語は、説明目的のためのものであり、限定するものとして解釈されるべきではないことが理解されるべきである。
【0031】
図面を参照すると、同様の参照符号は、様々な視点において同様又は同一の構成要素を識別するために使用されており、図1は、(図2に示されている)中空の内部クラブヘッド容積16を画定するように協働する打撃フェース12及びボディ14を含むウッド型ゴルフクラブヘッド10の斜視図を概略的に示している。図示しているように、ゴルフクラブヘッド10は、トウ部20と、ヒール部22と、リア部24と、クラウン26と、ソール28と、をさらに含む。本開示は、概して、ドライバー、フェアウェイウッド、又はハイブリッドアイアンなどのウッド型のクラブヘッドに対して行われるが、本開示の態様は、接触摩擦及びスピンに影響を与えるためのフェーステクスチャの制御など、アイアンタイプのゴルフクラブに等しく適用可能であってよいことが理解されるべきである。
【0032】
図1図2に概して示されているように、いくつかの実施形態では、打撃フェース12は、連続的なボール打撃面34(すなわち、ゴルフボールに直接的にインパクトすることが意図されたクラブヘッド10の部分)を画定するように協働する打撃板30及びフレーム32を含んでよい。実施形態では、打撃板30及びフレーム32は、材料の単一部品から一体的に形成されてもよい。この設計のいくつかの変形では、フレーム32は、クラブヘッドの「カップフェース」部を形成するために、ボール打撃面34から後方へ離れるように流れてもよい。
【0033】
別の実施形態では、一体的に形成される代わりに、打撃板30は、フレーム32に設けられた開口36内に概して固定されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、フレーム32は、開口36の周辺の少なくとも一部分の周りに延びるリップ38又は凹棚部を含んでもよい。組み立てられるとき、打撃板30は、打撃板30の後面がリップ38に当接するように、及び、打撃板30の前面がフレーム32の前面とおおよそ同一面となるように、開口36内に入れ子になってもよい。開口36内に位置決めされると、打撃板30は、溶接などの一体装着技術を通じて、周辺/継ぎ目全体の周りでフレーム32に固定されてもよい。
【0034】
打撃板30がフレーム32とは別個に形成される実施形態では、打撃板30は、開口36内に固定される前に圧印加工を受けてもよい。この圧印加工は、「ギヤ効果」として一般的に称される動的な反応を通じて、中心から外れたインパクトに修正の余地を提供するために、バルジ及び/又はロールの曲率をボール打撃面34に付与してもよい。
【0035】
圧印加工の間、材料を(バルジ曲率半径及びロール曲率半径によって特徴付けられる)所定の曲率を有するように塑性変形させる大きな力が、打撃板30に加えられる。多くの実施形態では、バルジ半径とロール半径とは同じであってよい。他の実施形態では、バルジ半径とロール半径とは異なってもよい。図示した実施形態では、バルジとロールとの両方が12インチ(約304.8mm)の半径を有する。他の実施形態では、バルジは任意の曲率半径を有してよい。例えば、いくつかの実施形態では、バルジは、4インチ、5インチ、6インチ、7インチ、8インチ、9インチ、10インチ、11インチ、12インチ、13インチ、14インチ、15インチ、16インチ、17インチ、18インチ、19インチ、20インチ、21インチ、22インチ、23インチ、24インチ、25インチ、26インチ、27インチ、又は28インチ(約100mmから約720mm)の半径を有してよい。同じ実施形態又は他の実施形態では、ロールは任意の曲率半径を有してよい。例えば、いくつかの実施形態では、ロールは、4インチ、5インチ、6インチ、7インチ、8インチ、9インチ、10インチ、11インチ、12インチ、13インチ、14インチ、15インチ、16インチ、17インチ、18インチ、19インチ、20インチ、21インチ、22インチ、23インチ、24インチ、25インチ、26インチ、27インチ、又は28インチ(約100mmから約720mm)の半径を有してよい。
【0036】
フレーム32及び/又は打撃板30は、クラブヘッド10がゴルフボールを打撃するときに生じる繰り返しのインパクト応力に耐える十分な強度を伴ってそれらの両方が構築される限り、同じ材料又は異なる材料から形成されてよい。フレーム32及び/又は打撃板30のための適切な材料の例としては、ステンレス鋼又は合金鋼(例えば、C300、C350、Ni(ニッケル)-Co(コバルト)-Cr(クロム)-合金鋼、565鋼、AISIタイプ304又はAISIタイプ630のステンレス鋼)、チタン合金(例えば、Ti-6-4、Ti-3-8-6-4-4、Ti-10-2-3、Ti-15-3-3-3、Ti-15-5-3、Ti-185、Ti-6-6-2、Ti-7s、Ti-92、又はTi-8-1-1のチタン合金)、アモルファス金属合金、アルミニウム合金、又は、例えばプラスチックポリマー及びコポリマー、炭素繊維、ガラス繊維、もしくは金属繊維を含む1つ又は複数の高強度複合材料が挙げられる。
【0037】
クラブヘッドボディ14は、フレーム32及び/又は打撃板30と同じ材料又は異なる材料から形成されてよい。いくつかの実施形態では、ボディ14の材料は、ボディ構造の設計と共に、打ち出し角、スピン、及びボール速度に影響を与え得る制御された動的なインパクト応答を提供してよい。いくつかの実施形態では、ボディ14は、ステンレス鋼、チタン、アルミニウム、合金鋼、チタン合金、炭素繊維複合材料、成形された充填又は非充填エンジニアリングプラスチック/ポリマー、もしくはそれらの組み合わせから形成されてよい。
【0038】
図3は、ゴルフクラブヘッド組立体10を形成するための第1の方法100を示している。この第1の方法100は、打撃板30及びクラブヘッドボディ14を形成する第1のステップ102を含む。打撃板30及び/又はクラブヘッドボディ14は、機械加工、鋳造、型打ち、射出成形(金属及び/又はポリマー)、直接的なレーザー焼結、粉末金属形成加工、又は、当業者に知られている他の適切な処理を用いて形成されてよい。
【0039】
一般的な形へと形成されると、打撃板ブランクは、次にステップ104において圧印されてもよい。先に記載されているように、圧印は正確な型打ちの形態であり、打撃板30は、塑性的に変形される大きな力を受ける。圧印加工は、上述したバルジ及びロールの半径を作り出すために使用される。
【0040】
次に、打撃板30は、正確な外形及び表面テクスチャを提供するために、ステップ106において、フライス加工又は機械加工されてよい。機械加工は、材料を打撃板30から除去するために回転カッターを使用し、加工を制御するためにCNCシステムを使用して概して実施される。
【0041】
機械加工されると、次に打撃板30は、ステップ108において、フレーム32の開口36に溶接されてよい。打撃板30は、フレーム32の開口36と位置合わせされ、リップ38に当接する。打撃板30は、ゴルフクラブヘッド10を形成する開口36の周辺に沿って溶接することでフレーム32に固定される。いくつかの実施形態では、溶接ステップは、パルスプラズマ又はレーザー溶接加工を利用してよい。
【0042】
ステップ108における溶接加工に続いて、ステップ110において、溶接線及び任意の突出する溶接ビードが、研磨加工を通じて除去されてよい。研磨加工は、溶接線に沿って材料を除去するために使用される回転砥石車を伴う。研磨加工は、フレーム32のバルジ及びロールの半径が、圧印ステップ104及び機械加工ステップ106の間に作り出された打撃板30のバルジ及びロールの半径と合致することを確保することもできる。図3に示された方法100から形成されたゴルフクラブヘッド組立体10は、少なくとも2つの異なる表面仕上げ(すなわち、フレーム32の元の仕上げ及び/又は研磨仕上げと、打撃板30の機械加工/フライス加工仕上げ)を有する打撃フェース12を含むことになる。
【0043】
図4は、ゴルフクラブヘッド10を形成するための第2の方法200を概略的に示している。図4に示す方法200は、図3に示す第1の方法100と、ステップ108において打撃板30がフレーム32に溶接された後に、ステップ106の機械加工/フライス加工が実施されることを除いて、多くの点において同様である。そのようにするとき、ステップ110の研磨加工は任意で除外してもよく、打撃板30の表面テクスチャは、連続した手法でフレーム32にわたって任意で延ばされてもよい。
【0044】
第2の方法200は、機械加工、鋳造、型打ち、射出成形(金属及び/又はポリマー)、直接的なレーザー焼結、粉末金属形成加工、又は、当業者に知られている他の適切な処理などによって、ステップ202において、打撃板30及びゴルフクラブヘッドボディ14を形成することにより概して始まる。次に、打撃板30は、図3のステップ104において上述したように、ステップ204において圧印されてよい。
【0045】
次に、印圧された打撃板30は、ステップ206において、フレーム32に設けられた開口36に溶接されてよい。残存する溶接ビード/溶接線は、研磨加工208(この処理が厳格に要求されるステップではないことを示すために、仮想線で示されている)を介して任意で除去されてよい。最後に、ステップ210において、ボール打撃面34全体が機械加工/フライス加工されてよい。いくつかの実施形態では、この機械加工ステップ210は、任意選択のステップ208を介して除去されなかった任意の溶接ビードを除去するように作動可能であってよい。
【0046】
ボール打撃面34全体にわたる機械加工/フライス加工によって、この製造方法200は、打撃板30の溶接線/周辺の特定の位置に関してまったく又はほとんど表面テクスチャを作り出さなくてもよい。例えば、表面テクスチャは、打撃板30とフレーム32との両方にわたって均一及び連続的であってもよく、フェース中心からの距離の関数として連続的に変化してもよく、又は、望ましいと思われる他の任意のパターンを取ってもよい。最も重要なことに、これらのフライス加工パターンは、打撃板周辺のサイズ及び位置によって制約される必要がない。
【0047】
図4の第2の方法200を通じてなど、打撃フェース12全体をフライス加工又は機械加工することは、バルジ及びロールの半径についてプロファイル/曲率の公差をさらに厳しくする/低減する(すなわち、より正確な曲率を提供するために)という追加の利益を提供する。打撃フェース12全体にわたってテクスチャ化された表面を有する一方で、バルジ及びロールの半径についてより小さい公差を維持することは、より大きな距離、スピン制御、及び寛容性を提供するより高い性能を発揮するクラブヘッド組立体10を作り出すことができる。
【0048】
表面テクスチャ
一般的な意味において、フライス加工された打撃板30は、1つ又は複数の方向の切削パターンと、方向に依存する表面テクスチャとによって特徴付けられてよい表面テクスチャを有する。典型的なフライス加工は、材料を打撃板30から除去するために回転する切削工具を利用する。この加工は、複数のクラブヘッドにわたって精度の向上、一貫性、及び再現性を提供するために、コンピュータ数値制御(CNC)システムを使用して自動化されてよい。さらに、CNC機械加工は、主要なパターン方向、表面テクスチャ、及び全体的なフェース外形が所定の仕様に正確に合致することを確保できる。このレベルの精度の向上は、打撃板30上の主要なパターン方向及び表面テクスチャが、インパクト後のゴルフボールのスピン特性に有意に影響を及ぼすことができることが分かっているため、望ましい。そのため、CNCフライス加工によって得られる製造制御及び再現性のレベルを考慮すると、打撃板30上のテクスチャ化された表面を、個人のスイングタイプにカスタマイズすることが可能であり、これは、より長くより真っ直ぐなボールの飛行パターンをもたらす。
【0049】
典型的なフライス加工パターンは、外表面に同心円状又は直線状に切削される複数の溝を模してよい。これらのパターンは、より具体的には、直線状又は曲線状の経路に沿って各々延びる複数の主山部及び主谷部を備えてよい。フライス加工経路が重なるいくつかの実施形態では、各々の主山部は、山部の長さの少なくとも一部に沿って規則正しいパターンで配置される複数の副谷部を含んでもよく、各々の主谷部は、谷部の長さの少なくとも一部に沿って規則正しいパターンで配置される複数の副山部を含んでもよい。本設計のいくつかの実施形態では、測定する打撃板表面に沿う方向に依存して、(山部及び谷部の中間平面から測定される)複数の山部及び谷部は、-100μインチから100μインチ(約-2.54μmから約2.54μm)、-140μインチから140μインチ(約-3.56μmから約3.56μm)、-200μインチから200μインチ(約-5.08μmから約5.08μm)、-500μインチから500μインチ(約-12.7μmから約12.7μm)、-700μインチから700μインチ(約-17.78μmから約17.78μm)、-1000μインチから1000μインチ(約-25.4μmから約25.4μm)、-1400μインチから1400μインチ(約-35.56μmから約35.56μm)、又はそれ以上の範囲であってよい。
【0050】
いくつかの実施形態では、ボール打撃面34にわたる表面テクスチャは、打撃板30全体にわたって均一であってよいが、他の実施形態では、ボール打撃面34は、打撃フェース12にわたって機能的に変化する表面テクスチャを有してもよい。例えば、実施形態では、表面テクスチャは、打撃板30の中心領域から打撃板30の周辺に向かって変化してもよい。いくつかの実施形態では、表面粗さは、打撃板30上で、クラブヘッド10のトウ部20の近くからクラブヘッド10のヒール部22の近くへと変化してもよい。他の実施形態では、表面粗さは、打撃板30上で、クラブヘッド10のソール28の近くからクラブヘッド10のクラウン26の近くへと変化してもよい。なおも別の実施形態では、表面粗さは、前述の例の任意の組み合わせで変化してもよい。なおも別の実施形態では、表面粗さは、打撃板30の特定の領域において均一であってもよく、打撃板30の他の領域において変化してもよい。実施形態では、打撃板30のテクスチャ化された表面は、約148μインチ(約3.76μm)の均一な粗さを有してよい。他の実施形態では、テクスチャ化された表面は、約50μインチから約300μインチの間(約1.27μmから約7.62μmの間)の表面粗さを有してよい。いくつかの実施形態では、テクスチャ化された表面は、25~350、25~50、50~75、75~100、100~125、125~150、150~175、175~200、200~225、225~250、250~275、275~300、300~325、25~150、150~350、75~250、25~125、125~225、225~350、75~150、150~225、又は225~300μインチの間の表面粗さを有してよい。他の実施形態では、粗さは、25、50、75、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、又は350μインチであってよい。なおも他の実施形態では、表面粗さは、約140μインチから約300μインチの間(約3.56μmから約7.62μmの間)であってよい。
【0051】
図5A図5Jに概して示されているように、任意の特定の領域におけるテクスチャ化された表面の主要なパターン方向は、フライス加工パターン250を形成するために、1つ又は複数の直線状、曲線状、又は交差のパターンを備えてよい。いくつかの実施形態では、これらのパターンは、打撃フェース12全体にわたってある程度均一に延びてよい。しかしながら、他の実施形態では、これらのパターンは、帯状であってよい、又は、曲線状及び同心円状の性質のためにフェースにわたって変化してよい。いくつかの実施形態では、フライス加工パターン250は、図5C図5Jに示すように、周辺部分254によって囲まれる中心部分252を備えてよい。図5A図5Jに示したフライス加工プロファイルは、後で詳述しているように、異なる設計目的に合うように用いられてよい異なるフライス加工パターン250の例である。追加の設計が各々の図の組み合わせの態様で開発されてよいことや、中心部分252についてのパターン及び形状と周辺部分254のパターン及び形状とのすべての組み合わせが、たとえ図示されていなくとも、別個の実施形態としてみなされることが、理解されるべきである。
【0052】
図5Aにおいて概略的に示すように、実施形態では、フライス加工パターン250は、クラウン26とソール28との間で直線状の手法で配向された複数の山部及び谷部を含んでよい。図5Bは、このパターンが90度回転されてヒール部22とトウ部20との間を延びる実施形態を示している。図5A図5Bは、フライス加工パターン250とクラブ10の残部との間により明確な移行を提供するために、フライス加工パターン250の周辺の周りに配置されてよい溝256をさらに示している。図5A図5Bでさらに示されるように、いくつかの実施形態では、最も前方の表面(すなわち、ボール打撃面34)の端部分258は、フライス加工テクスチャを含まなくてもよい。このような表面は、代わりに、ボディにより容易に調和するように研磨又はサンドブラストされてもよい。
【0053】
図5C図5Jは、中心部分252及び周辺部分254の異なる態様を有するフライス加工パターン250の例をより明確に示している。図5C図5Gに示しているように、いくつかの実施形態では、中心部分252が丸くされていてよい。他の実施形態では、図5H図5Jに示しているように、中心部分252は、丸くされた三角形又は丸くされた方形(又は、丸くされた五角形、六角形、七角形、八角形など)のように、丸くされた多角形の設計を有してもよい。図5C図5Jにおいてさらに示されるように、中心部分252内のフライス加工パターン250は、直線状のパターン(図5C図5H、及び図5J)や、例えば中心部分252の外側周辺において始まる同心円状のパターン(図5G及び図5I)、又は点、線、もしくは領域から生じる径方向のパターン(図5D図5F)を備えてよい。
【0054】
周辺部分254は、その間においてフライス加工パターンの方向/配向が変わるか、種類が変わるか、又はフライス加工パターンが新たに始まる1つ又は複数の領域260を備えてよい。例えば、図5H図5Jは、直線状のパターンが各々の領域260の間で回転される複数の領域260を含む3つの周辺の設計を示している。図5Cは、発散する光線のパターンを示している(すなわち、フライス加工線が中心点又は中心領域から直線状に発散する)。図5Dは、周辺部分254にわたる直線状の配置を示している。図5Eは、交差する直線状の配置を示している(すなわち、第1の直線状の配置が切削され、次に、第2の配向で第2の直線状の配置が第1の直線状の配置の上に切削される)。図5Fは、交差する曲線状の配置を示している(すなわち、第1の曲線状の配置がトウからヒールへと切削され、第2がヒールからトウへと切削される。同様の配置が、クラウンからソールへと、及び、ソールからクラウンへと、又は、様々な角から切削されることにより形成されてもよい)。図5Gは、中心点又は中心領域から発散する同心円状のパターンを示している。
【0055】
いくつかの実施形態では、ゴルフクラブヘッド組立体の打撃フェース12は、2つ以上の異なる表面の仕上げ/テクスチャを備えてもよい。例えば、図3に関して上述したように、打撃板30は、フライス加工又は機械加工され、フレーム32の開口36に溶接される前に第1の表面仕上げを作り出してもよい。フライス加工されていない打撃フェース12の残部は、滑らかな表面仕上げ又はサンドブラストされた表面仕上げなど、第2の表面仕上げを有してもよい。打撃フェース12上に異なるテクスチャ化された表面を有することは、ゴルフボールを打撃フェース12の中心に位置決めするのを助けるために、視覚的な位置合わせ補助をプレイヤーに提供できる。他の実施形態では、(フレーム32及び打撃板30を含む)ボール打撃面34全体が、フライス加工又は機械加工からテクスチャ化された表面を備えることができる。
【0056】
フライス加工されたフェースは、より制御されたフェース曲率を提供するという意味において有益であるが、工具によって作り出される表面テクスチャ及びフライス加工パターンは、インパクトされたボールの結果生じるスピン及び打ち出しの特性において、相当の量の変化をもたらすことができる。例えば、90度離して配向されたフライス加工パターンを有する2つのクラブは、相当に異なるボール打ち出し特性を作り出せる。さらに、パターンが同様に配向される場合であっても、パターンを作り出すために用いられる送り量、切削深さ、工具直径、エンドプロファイル、及び工具スピンドル速度における差は、ボールの飛行に影響を与える表面テクスチャにおける変化をもたらすことができる。
【0057】
試験を通じて、表面粗さの従来の測定は、異なる表面テクスチャ及び/又はフライス加工パターンの効果を適切に特徴付けるようには思われないことが分かった。例えば、表1は、1つが打撃フェース12にわたって従来の磨かれた表面仕上げを伴い(すなわち、対照クラブ(control club))、3つが打撃フェース12にわたって異なるフライス加工された表面仕上げを伴う4つの同一のドライバー設計(すなわち、同様の体積、質量分布、構造、及びロフト)を示している。各々のクラブについて、平均表面粗さ(R)は、フェースの幾何学中心を通って延びる鉛直線に沿って(すなわち、ソール28からクラウン26へと)測定されている。
【表1】
【0058】
この分析では、第1のフライス加工されたフェース(フライス加工1)は、できるだけ磨かれた表面仕上げの平均粗さに合致するように試みられている。近い平均粗さにも関わらず、フライス加工されたフェースは、磨かれたフェースより約10.7%小さいスピンを生成した。スピン量のこの低減は予想されていない結果であった。平均粗さが増加するとドライバーによって付与されるスピンが低減するという通説があるため、次いで、フライス加工されたフェース2及び3は、平均粗さが増加するように構築された。しかしながら、フライス加工されたフェース2及び3の両方とも、より小さい粗さのフライス加工されたフェース(フライス加工1)より約5%大きいスピンという結果になった。この分析から、平均表面粗さは、ドライバーフェースの表面テクスチャによって引き起こされるスピン効果を十分に特徴付けるのに適していない可能性があると判断された(これは、一般的な理解と反対である)。
【0059】
追加の調査に続いて、打撃フェースの表面テクスチャを特徴付ける新たな手法が、打撃フェースによってゴルフボールに付与される結果生じるスピンをより効果的に予測するために開発された。さらに、本設計の実施形態は、1つ又は複数のスピンに基づく設計目的を満たすために最適化されるフェースをゴルフクラブに提供するために、この新たな特徴付けを利用する。
【0060】
ゴルフフェースの表面テクスチャが、インパクトされたゴルフボールのスピンにどのように影響を与え得るかをより正確に特徴付けるために、2つの新たな表面パラメータが見出された。これらのパラメータは、(1)WVoid(後に説明)と称される表面空隙パラメータに対するRの割合と、(2)WVDCL(後に説明)と称される表面接触パラメータの値とである。Rの曖昧さを排除するために、WVoid及びWVDCLは以下のように定義される。
【0061】
-当技術分野で知られているように、Rは平均中心線に対する絶対表面偏差の算術平均値を表している。実際には、偏差及び平均中心線は、表面のうねりを排除するために選択されたカットオフを伴うハイパスフィルタの適用に従って計算される。本設計では、安定したカットオフ波長は約0.03インチ(約0.762mm)であってよい。
【0062】
Void図6に概して示されるように、WVoidは、実際の表面プロファイル304にモルフォロジークロージング(morphological closing)フィルタを提供することによって作り出される基準表面302に対する平均プロファイル空隙深さ300を表すように開発されたパラメータである。モルフォロジークロージングは、概して、実際の表面プロファイル304にわたって理論的に転がる、所定の半径308(すなわち、曲率半径)の(二次元の)円板306又は(三次元の)球として最も類似され得る画像処理技術である。そのため、転がる円板によって形成される下方の包絡線は、「閉じた」基準表面302を生成する。図5に示されているものなど、二次元の状況では、WVoidは、閉じた基準表面302と実際の表面プロファイル304との間の全体の空隙の面積310を合計し、その総計の面積を表面の長さ(すなわち、平均中心線312の長さ)で除算することにより計算してよい。
【0063】
VDCL図7に概して示されるように、WVDCLは、(WVoid及び図5に関して上述した)閉じた基準表面302と実際の表面プロファイル304との間の(二次元の)接触長さ314又は(三次元の)接触面積の、表面自体の(二次元の)長さ又は(三次元の)面積(すなわち、中心線312に沿って計測される)に対する割合を表すために開発されたパラメータである。完全に平坦な表面については、WVDCLは1.0に等しく、波打った表面については(例えば、円板/球の曲率半径308が、表面のあらゆる外側曲率半径より小さい場合)、WVDCLは1.0より大きくてよく、どちらかというと細かいテクスチャを伴う表面については(例えば、円板/球の曲率半径308が、表面の一部分についての外側曲率半径より大きい場合)、WVDCLは1.0より小さくてよい。
【0064】
、WVoid、及びWVDCLを計算するとき、各々のパラメータは、いくつかの方向性に依存した手法で計算されてよい。より具体的には、図6及び図7に示した表面プロフファイルは、図1に示した打撃フェース12と同様に、打撃フェース12を通る二次元の切断平面から得られると仮定されてよい。この切断平面が主要なフライス加工の溝に対して垂直に配向される場合、3つの表面パラメータ全てが、切断平面がフライス加工の溝と平行に配向される場合の測定と異なってよく、これは、任意の閉じた基準表面が理論的な球によって生成される三次元の計算となおも異なってよい。
【0065】
本開示の目的について、図8に示すように、パラメータがどのように導出されるかをより良く説明するために、フェース中心の座標系400が利用されてもよい。図8に示すように、フェース中心の座標系400は、幾何学フェ-ス中心と一致した原点と、フェース中心においてボール打撃面34に対して各々正接するX軸402及びY軸404と、フェース中心においてボール打撃面34に対して直角であるZ軸406と、を有してよい。X軸402はさらに、クラブが所定のロフト角及びライ角に従ってアドレスにおいて保持されるとき、地面408と平行であってよく、概してヒールとトウとの間を延びてよい。Y軸404は、X軸402に対して垂直であり、クラブがアドレスにおいて保持されるとき、概してボール打撃面34上への鉛直基準線410の投影である。
【0066】
様々なパラメータを計算するとき、各々は、複数の二次元線にわたって平均化される(例えば、隣接するY-Z平面から得られる複数の二次元スライスにわたって平均化される)二次元線に沿って計算されてよい(例えば、Y-Z平面から得られた単一の二次元スライス内で計算されてよい)、又は、フェース全体にわたって(すなわち、方向性に依存しない)三次元で計算されてよい。
【0067】
/WVoidとWVDCLとの両方が、ゴルフボールがインパクトの間に(微視的レベルで)直接的に接触してよい表面積の大きさの若干異なる近似値を提供する(すなわち、したがって、インパクトの間にボールとフェースの間で経験される実際の接触摩擦のより正確な概算を提供する)と考えられる。より具体的には、「閉じた」基準表面302は、表面テクスチャと強制的に接触し、山部の周りで変形する柔軟物体(すなわち、重合体の圧縮可能なゴルフボール)に近似してもよい。この仮定に基づいて、柔軟物体(ゴルフボール)は、空隙/谷部の特定の部分に接触することはなく、したがって、非接触部分の深さ及び/又は大きさは、ボールと打撃フェース12との間の効果的な力の伝達及び接触摩擦に大きくは関係しない。これらの空隙が大きくは関係しないにも関らず、これらの空隙は、表面粗さの従来の測定に相当に影響を与え得る。これらの仮定の下で、R/WVoid及びWVDCLが増加するにつれて、接触摩擦も増加し、そのため、これはドライバーなどの小さいロフトのクラブについての付与されるスピンを当然ながら低減する。以下の比較例を通じて示されるように、実験に基づいた試験データがこの理解を支持している。
【0068】
Voidに対するRの割合:
基準表面302を作り出すために、約0.03インチ(約0.762mm)のRのハイパスフィルタと、約0.005インチ(約0.127mm)のWVoidの曲率半径と、を使用すると、WVoidに対するRの割合が、ドライバーなどの小さいロフトのゴルフクラブによってインパクトされたゴルフボールに付与されるスピン量に相関することが分かった。より具体的には、表2において概して示されるように、R/WVoidが増加するにつれて、付与されるスピンは減少する。表2における数字は、同様の全体的な幾何学的形状、構造、及び質量特性を伴うドライバーについてフェース中心を通るY-Z切断平面内ですべて計算されている。
【表2】
【0069】
表2に示されるように、磨かれたフェースと「フライス加工1」のフェースとの間のR値は略等しいが、これらのフェースについてのR/WVoidの割合はまったく異なり、付与されるスピンをより予測している。
【0070】
VDCL
基準表面302を作り出すために、約0.02インチ(約0.508mm)のWVDCLの曲率半径を使用すると、WVDCLの値は、ドライバーなどの小さいロフトのゴルフクラブによってインパクトされたゴルフボールに付与されるスピン量に相関することが分かった。より具体的には、表3において概して示されるように、WVDCLが増加するにつれて、付与されるスピンは減少する。表3における数字は、同様の全体的な幾何学的形状、構造、及び質量特性を伴うドライバーについてフェース中心を通るY-Z切断平面内ですべて計算されている。
【表3】
【0071】
クラブフェース設計
表面テクスチャの先に言及した特徴は、様々な技術(例えば、磨き、フライス加工、サンドブラストなど)によって形成される表面テクスチャのスピン効果を特徴付けるために利用してもよいが、フライス加工は、フェースにわたる三次元で結果として生じるテクスチャの最良の制御を提供することができる。このようにして、ゴルフクラブヘッド10は、具体的な設計の目的に合うようにカスタマイズされる、WVoidに対するRの割合及び/又はWVDCL値によって特徴付けられる表面テクスチャを有するフライス加工されたボール打撃面34を備えてもよい。以下に記載するすべての例について、あらゆる数値は、Rについて0.03インチ(約0.762mm)のハイパスカットオフフィルタと、WVoidについて基準表面を作り出すための0.005インチ(約0.127mm)の曲率半径と、WVDCLについての基準表面を作り出すための0.02インチ(約0.508mm)の曲率半径と、を仮定していることに留意されたい。
【0072】
第1の実施形態は、小さいロフトのドライバーなどの小さいロフトのクラブ(すなわち、約8~約14度、又は約8~約12度、又は約8~約10度のロフト角を有する)が、フェース中心を通るY-Z平面において測定される、約4超、約5超、約6超、約7超、約8超、約9超、又は約10超であるWVoidに対するRの割合によって特徴付けられる表面テクスチャを伴うフライス加工された打撃フェースを備えることにより、小さいバックスピンの傾向を有するように具体的に設計されてよい。いくつかの実施形態では、WVoidに対するRの割合は、4~12、4~8、8~12、6~10、4~6、36~8、8~10、又は10~12の範囲であってよい。例えば、WVoidに対するRの割合は、4、6、8、10、又は12であってよい。追加又は代替で、この小さいスピンのドライバーフェース表面テクスチャは、フェース中心を通るY-Z平面において測定される、約18%超、又は約20%超、又は約22%超、又は約24%超、又は約26%超、又は約28%超、又は約30%超であるWVDCL値によって特徴付けられてよい。いくつかの実施形態では、WVDCL値は、18%~33%、18%~24%、24%~36%、24%~30%、30%~36%、又は27%~33%の範囲であってよい。例えば、WVDCL値は、18%、20%、22%、24%、26%、28%、30%、32%、34%、又は36%であってよい。
【0073】
第2の実施形態は、より大きい量のロフトを誘導するように意図されたメタルウッド(すなわち、約12~約28度又は約14~約24度のロフト角を有する)が、フェース中心を通るY-Z平面において測定される、約4未満、約3未満、約2未満、又は、約1~約4もしくは約2~約4の範囲内であるWVoidに対するRの割合によって特徴付けられる表面テクスチャを伴うフライス加工された打撃フェースを備えることにより、より大きいバックスピンの傾向を有するように具体的に設計されてよい。追加又は代替で、このより大きいスピンのフェース表面テクスチャは、フェース中心を通るY-Z平面において測定される、約24%未満、又は約22%未満、又は約20%未満、又は約18%未満、又は約20%~約24%の範囲内であるWVDCL値によって特徴付けられてよい。
【0074】
これらの実施形態のいずれにおいても、単に単一の読み取りである代わりに、WVoidに対するRの割合及びWVDCL値は、複数のY-Zスライスにわたる値の平均であってもよい。例えば、これらの値は、フェース12の中心帯、領域、又は一部分にわたって平均化されてよい。例えば、これらの値は、1.68インチ(42.67mm)のインパクト領域にわたって平均化されてもよく、X軸に沿って測定されてもよく、フェース中心で中心付けられてもよい。同様に、いくつかの変形例では、これらの小さい又は大きいバックスピン表面テクスチャは、フェース中心で中心付けられる直径1.68インチの円内など、フェースの中心部分252内に局在化されてもよい。代替で、これらの値は、X軸に沿って、又は、直径において、約0.375インチ(約9.53mm)と測定され得るインパクト領域のより狭い中心部分にわたって平均化されてもよい。
【0075】
実施形態では、ヒール-トウ方向における接触摩擦を最大限にする試みにおいて、打撃フェース12が、フェース中心を通るX-Z平面において測定される、約4超、約5超、約6超、約7超、約8超、約9超、又は約10超であるWVoidに対するRの割合によって特徴付けられるフライス加工された表面テクスチャを備えてもよい。追加又は代替で、方向性に増加した接触摩擦を伴うこの表面テクスチャは、フェース中心を通るX-Z平面において測定される、約18%超、約20%超、約22%超、約24%超、約26%超、約28%超、又は約30%超であるWVDCL値によって特徴付けられてもよい。いくつかの実施形態では、WVDCL値は、18%~33%、18%~24%、24%~36%、24%~30%、30%~36%、又は27%~33%の範囲であってよい。例えば、WVDCL値は、18%、20%、22%、24%、26%、28%、30%、32%、34%、又は36%であってよい。
【0076】
代替で、ヒール-トウ方向における接触摩擦を最小限にするために、打撃フェース12が、フェース中心を通るX-Z平面において測定される、約4未満、約3未満、約2未満、又は、約1~約4もしくは約2~約4の範囲内であるWVoidに対するRの割合によって特徴付けられるフライス加工された表面テクスチャを備えてもよい。追加又は代替で、方向性に低減した接触摩擦を伴うこの表面テクスチャは、フェース中心を通るX-Z平面において測定される、約24%未満、約22%未満、約20%未満、約18%未満、又は約20%~約24%の範囲内であるWVDCL値によって特徴付けられてもよい。
【0077】
上述の実施形態は、打撃フェース12の中心において/中心の周りで接触摩擦を増加させること(これは、ドライバーにおけるバックスピンを低減させる)を詳述しているが、他の実施形態では、接触摩擦は、表面テクスチャの変化を介して、打撃フェース12の周りの他の位置又は領域において助長又は抑制されてもよい。例えば、打撃フェース12の周辺領域(又は周辺部分254)(例えば、中心領域又はより狭い中心部分252の外側)における表面テクスチャは、向上した寛容性を提供するために、スピンプロファイルを変えるために、及び/又は、クラブヘッド10の他の設計パラメータをオフセットするために、制御されてもよい。
【0078】
一実施形態では、接触摩擦は、Y-Z平面において、及び/又は、X-Z平面において測定され、周辺領域の少なくとも一部分にわたって平均化される、約4超、約5超、約6超、約7超、約8超、約9超、又は約10超であるWVoidに対するRの割合を提供することにより、周辺領域において増加してもよい。追加又は代替で、この増加した摩擦の周辺領域は、Y-Z平面において、及び/又は、X-Z平面において測定され、周辺領域の少なくとも一部分にわたって平均化される、約18%超、約20%超、約22%超、約24%超、約26%超、約28%超、又は約30%超であるWVDCL値によって特徴付けられる表面テクスチャを有してもよい。いくつかの実施形態では、WVDCL値は、18%~33%、18%~24%、24%~36%、24%~30%、30%~36%、又は27%~33%の範囲であってよい。例えば、WVDCL値は、18%、20%、22%、24%、26%、28%、30%、32%、34%、又は36%であってよい。増加した摩擦の周辺領域は、具体的には、ソール28に当接する増加した摩擦部分、トウ部20に当接する増加した摩擦部分、クラウン26に当接する増加した摩擦部分、及び/又は、ヒール部22に当接する増加した摩擦部分のうちの1つ又は複数を含んでもよい。
【0079】
いくつかの実施形態では、周辺領域における増加した接触摩擦は、例えば、打撃フェース12のバルジ及び/又はロールの曲率半径を変えるとき、クラブヘッド10の重心を変えるとき、又は、特定のインパクトへの寛容性を増加させるとき、追加的な設計の柔軟性を提供するために使用されてよい。
【0080】
実施形態では、接触摩擦は、Y-Z平面において、及び/又は、X-Z平面において測定され、周辺領域の少なくとも一部分にわたって平均化される、約4未満、約3未満、約2未満、又は、約1~約4もしくは約2~約4の範囲内であるWVoidに対するRの割合を提供することにより、周辺領域において低減されてよい。追加又は代替で、この低減した摩擦の周辺領域は、Y-Z平面において、及び/又は、X-Z平面において測定され、周辺領域の少なくとも一部分にわたって平均化される、約24%未満、約22%未満、約20%未満、約18%未満、又は約20%~約24%の範囲内であるWVDCL値によって特徴付けられる表面テクスチャを有してもよい。低減した摩擦の周辺領域は、具体的には、ソール28に当接する低減した摩擦部分、トウ部20に当接する低減した摩擦部分、クラウン26に当接する低減した摩擦部分、及び/又は、ヒール部22に当接する低減した摩擦部分のうちの1つ又は複数を含んでもよい。
【0081】
いくつかの実施形態では、打撃フェース12の中心領域又はより狭い中心部分252内からのWVoidに対するRの平均割合及び/又はWVDCL値は、打撃フェース12の周辺領域の一部分内からのWVoidに対するRの平均割合及び/又はWVDCL値と異なってもよい。別の実施形態では、WVoidに対するRの割合及び/又はWVDCL値は、打撃フェース12の幾何学中心からの増加距離の関数として変化してもよい。実施形態では、(Y-Z平面及びX-Z平面の一方又は両方において測定される)WVoidに対するRの平均割合及び/又はWVDCL値は、打撃フェース12の中心においてよりも、トウ部20及び/又はヒール部22の近くでより大きくなってよい。
【0082】
実際、特定のフェースについてのWVoidに対するRの割合及びWVDCL値は、1つ又は複数の工具(例えば、ボールエンドミル、スクエアエンドミル、又はコーナーラウンドエンドミル)、フェースに対する工具の角度(例えば、フェースに対して約0度超から約90度まで)、切削速度(例えば、チタンについては約60~約300インチ/分、又は、鋼については約300~約1000インチ/分)、ステップオーバ(例えば、約0.005インチ~約0.125インチ)、及び送り速度(例えば、約0.005インチ~約0.010インチ/分)を変えることにより、フライス加工の間にカスタマイズされてよい。
【0083】
Voidに対するRの割合とWVDCLとの両方が、インパクトされたゴルフボールに付与され得るスピンと良好に相関することを理解すると、クラブヘッドのロフト角の関数としてWVoidに対するRの割合及びWVDCL(フェース中心を通じてY-Z平面内で取られた)を変化させる調整されたゴルフクラブセットを提供することも望ましい可能性がある。例えば、小さいロフトのクラブでは、比較的より大きいロフトのクラブにおいてよりも、スピンが望ましくない可能性がある。このように、フェース上に設けられるフライス加工パターン/表面テクスチャは、クラブヘッドの設計目的を支持するように具体的に制御されてよい。
【0084】
一実施形態では、ゴルフクラブセットは、L<L<Lである異なるロフト角(L)を各々有する3本のゴルフクラブを備えてよい。このセットでは、各々のゴルフクラブは、漸進的に低下するR/WVoidの割合(すなわち、ここでは(R/WVoid>(R/WVoid>(R/WVoid)、及び/又は、漸進的に低下するWVDCL値(すなわち、ここではWVDCL1>WVDCL2>WVDCL3)を有してよい。一実施形態では、3本のクラブのうちの少なくとも第1のクラブ(上記の関係において下付き文字「1」で示されているもの)は、ウッド型のクラブであり、約8度~約12度のロフトを有するドライバーであってよい。実施形態では、セットのうちの少なくとも第3のゴルフクラブ(上記の関係において下付き文字「3」で示されているもの)は、アイアン型のゴルフクラブであってよい。実施形態では、Lは約24度以下であってよい。最後に、実施形態では、セットにおける3本のクラブ全てがウッド型のゴルフクラブであってもよいし、3本全てがアイアン型のゴルフクラブであってもよい。
【0085】
スピンとWVoidに対するRの割合及びWVDCLとの間の反対の相関は、概してより小さいロフトのクラブヘッド(すなわち、約8度~約24度のロフト角)のみに当てはまることが、さらに留意されるべきである。より大きなロフトのクラブヘッド(すなわち、約30度より大きいロフト角)については、逆の効果が存在してもよい。より具体的には、より大きいロフトのクラブヘッドでは、WVoidに対するRの割合とWVDCLとの両方での対応する増加と共にスピンが増加してもよい。この移行は、ロフト角及びインパクト角が増加するにつれてのせん断インパクト力の大きさの変化のために生じると考えられる(すなわち、ドライバーが主に圧縮力をゴルフボールに付与し、ウェッジははるかにより大きな実質的なせん断力を付与する)。
【0086】
したがって、実施形態では、大きいロフトのアイアン(すなわち、約30~約64度、約34~約64度、又は約39~約64度のロフト角を有する)が、フェース中心を通るY-Z平面において測定される、約4超、約5超、約6超、約7超、約8超、約9超、又は約10超であるWVoidに対するRの割合によって特徴付けられる表面テクスチャを伴うフライス加工された打撃フェースを備えることにより、大きいバックスピンの傾向を有するように具体的に設計されてよい。いくつかの実施形態では、WVoidに対するRの割合は、4~12、4~8、8~12、6~10、4~6、36~8、8~10、又は10~12の範囲であってよい。例えば、WVoidに対するRの割合は、4、6、8、10、又は12であってよい。追加又は代替で、この大きいスピンのアイアンフェース表面テクスチャは、フェース中心を通るY-Z平面において測定される、約18%超、約20%超、約22%超、約24%超、約26%超、約28%超、又は約30%超であるWVDCL値によって特徴付けられてよい。いくつかの実施形態では、WVDCL値は、18%~33%、18%~24%、24%~36%、24%~30%、30%~36%、又は27%~33%の範囲であってよい。例えば、WVDCL値は、18%、20%、22%、24%、26%、28%、30%、32%、34%、又は36%であってよい。
【0087】
同様に、実施形態では、ゴルフクラブセットは、L<L<Lである異なるロフト角(L)を各々有する3本のゴルフクラブを備えてよい。このセットでは、各ゴルフクラブは、(R/WVoid>(R/WVoid及び(R/WVoid>(R/WVoidであるR/WVoidの割合を有してよい。代替又は追加で、各クラブは、WVDCL1>WVDCL2及びWVDCL3>WVDCL2であるWVDCL値を有してよい。実施形態では、3本のクラブのうちの少なくとも第1のクラブ(上記の関係において下付き文字「1」で示されているもの)は、ウッド型のクラブであり、約8度~約12度のロフトを有するドライバーであってよく、3本のクラブのうちの第3のクラブ(上記の関係において下付き文字「3」で示されているもの)は、約30~約64度、約34~約64度、又は約39~約64度のロフトを有するアイアン型のクラブである。
【0088】
1つ又は複数の特許請求の範囲の要素の置き換えは、再構築を構成し、修復を構成しない。追加的に、利益、他の利点、及び課題に対する解決策は、特定の実施形態に関連して記載されていた。しかしながら、利益、利点、課題に対する解決策、及び、任意の利益、利点、又は解決策をもたらす又はより顕著にする任意の1つ又は複数の要素は、このような利益、利点、解決策、又は要素が請求項中に明示的に述べられていなければ、請求項のいずれか又は全ての重要な、必要な、又は必須の特徴又は要素として解釈されるべきではない。
【0089】
ゴルフの規則は、ときどき変わる可能性があるため(例えば、全米ゴルフ協会(USGA)、ロイヤルアンドエンシェントゴルフクラブオブセントアンドリュース(R&A)などのゴルフ標準化組織及び/又は運営団体によって、新たな規則が採用される可能性があり、又は、古い規則が廃止もしくは変更される可能性がある)、本明細書に説明されている装置、方法、及び製品に関するゴルフ機器は、任意の特定の時期において、ゴルフの規則に適合してもよく又は適合していなくてもよい。したがって、本明細書に説明されている装置、方法、及び製品に関するゴルフ機器は、適合又は非適合のゴルフ機器として、宣伝され、販売の申し出がされ、及び/又は販売されてもよい。本明細書に説明されている装置、方法、及び製品は、この点において限定されていない。
【0090】
上記の例は、アイアンタイプのゴルフクラブとの関連で説明されてよいが、本明細書に説明されている装置、方法、及び製品は、ドライバーウッドタイプのゴルフクラブ、フェアウェイウッドタイプのゴルフクラブ、ハイブリッドタイプのゴルフクラブ、アイアンタイプのゴルフクラブ、ウェッジタイプのゴルフクラブ、又はパタータイプのゴルフクラブなど、他のタイプのゴルフクラブに適用可能であってもよい。代替的に、本明細書に説明されている装置、方法、及び製品は、ホッケースティック、テニスラケット、釣り竿、スキーポールなど、他の種類のスポーツ器具にも適用可能であってよい。
【0091】
さらに、本明細書で開示した実施形態及び限定事項は、実施形態及び/又は限定事項が、(1)特許請求の範囲において明示的に特許請求されておらず、(2)均等論の下で特許請求の範囲における明示的な要素及び/又は限定事項の均等物であるか、又は潜在的な均等物である場合、公有の原則の下で公に供されることはない。
【0092】
様々な特徴及び利点と、本開示の特徴とは、以下の条項においてさらに述べられている。
【0093】
条項1:ウッド型のゴルフクラブヘッドであって、トウ部と、ヒール部と、クラウンと、ソールと、中空の内部クラブヘッド容積を画定するように協働する打撃フェース及びボディであって、前記打撃フェースはフライス加工の表面テクスチャ特性を有するボール打撃面をさらに備える、前記打撃フェース及び前記ボディと、を備え、前記表面テクスチャは、複数の山部と、複数の谷部と、前記複数の山部と前記複数の谷部の間を延びる基準中間平面と、を備え、前記基準中間平面の下方は負の距離であり、前記基準中間平面の上方は正の距離であり、前記複数の山部及び前記複数の谷部は、前記中間平面から、少なくとも-200マイクロインチ(-5.08マイクロメートル)から少なくとも200マイクロインチ(5.08マイクロメートル)の平均最大距離を延び、前記表面テクスチャは、平均中心線に対する絶対表面偏差の算術平均値を表す平均表面粗さ(R)と、前記表面テクスチャに適用されるモルフォロジークロージングフィルタを用いて作り出される閉じた基準表面に対する前記複数の谷部の平均深さを表す表面空隙パラメータ(WVoid)と、前記閉じた基準表面と前記表面テクスチャの間の接触量を表す表面接触パラメータ(WVDCL)と、をさらに備え、鉛直切断平面と第2切断平面の少なくとも一方内で測定される前記表面テクスチャは、以下の少なくとも一方、即ち、WVoidに対するRの割合が約4より大きいこと、又は、WVDCLパラメータが約24%より大きいこと、によって特徴付けられ、前記第2の切断平面は、前記鉛直切断平面及び前記ボール打撃面の両方に対して垂直である、ゴルフクラブヘッド。
【0094】
条項2:前記Rは、0.762mmのカットオフを有するハイパスフィルタを用いて測定され、前記WVoidパラメータは、0.127mmの半径クロージングフィルタを用いて測定され、前記WVDCLパラメータは、0.508mmの半径クロージングフィルタを用いて測定され、前記打撃フェースは、約8度から約14度までのロフト角で配置される、条項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【0095】
条項3:前記鉛直切断平面と前記第2の切断平面の少なくとも一方は、前記打撃フェースの幾何学中心を通って延びる、条項1又は2に記載のゴルフクラブヘッド。
【0096】
条項4:前記表面テクスチャは、以下の少なくとも一方、即ち、WVoidに対するRの前記割合が約8より大きいこと、又は、前記WVDCLパラメータが約28%より大きいこと、によってさらに特徴付けられる、条項1から3のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【0097】
条項5:前記複数の山部は、複数のより小さい谷部を備え、前記複数の谷部は、複数のより小さい山部を備える、条項1から4のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【0098】
条項6:前記表面テクスチャは、前記フェースの幾何学中心からの距離の関数として変化する、条項1から5のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【0099】
条項7:前記打撃フェースは、周辺部分によって囲まれる中心部分をさらに含み、前記表面テクスチャは、WVoidに対するRの前記割合又は前記WVDCLパラメータの少なくとも一方が、前記中心部分内よりも前記周辺部分内において大きいことによってさらに特徴付けられる、条項1から6のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【0100】
条項8:前記打撃フェースは、打撃板と、前記打撃板を囲むフレームとを備え、前記打撃板は、前記打撃板及び前記フレームが前記ボール打撃面を画定するように協働するように、前記フレームに設けられる開口内に固定される、条項1から7のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【0101】
条項9:前記フェースの前記幾何学中心からずれた鉛直切断平面内で測定される前記表面テクスチャは、以下の少なくとも一方、即ち、WVoidに対するRの前記割合が約4より小さいこと、又は、前記WVDCLパラメータが約24%より小さいこと、によって特徴付けられる、条項1から8のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【0102】
条項10:前記フェースの前記幾何学中心からずれた鉛直切断平面内で測定される前記表面テクスチャは、WVoidに対するRの前記割合が、前記幾何学的中心と交差する前記鉛直切断平面内で測定されるWVoidに対するRの前記割合より大きいこと、又は、前記WVDCLパラメータが、前記幾何学的中心と交差する前記平面内で測定される前記WVDCLパラメータより大きいこと、によって特徴付けられる、条項1から9のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【0103】
条項11:前記フェースの前記幾何学中心を通って延びる前記鉛直切断平面内で測定される前記表面テクスチャは、Rが約3.56μmから約7.62μmの間であること、によってさらに特徴付けられる、条項1から10のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【0104】
条項12:前記ボール打撃面は、第1の表面テクスチャを有する第1の領域と、第2の表面テクスチャを有する第2の領域と、を備え、以下の少なくとも一方、即ち、鉛直切断平面内で測定されるWVoidに対するRの平均割合が前記第1の領域と前記第2の領域とで異なること、又は、鉛直切断平面内で測定される平均WVDCLパラメータが前記第1の領域と前記第2の領域とで異なること、を満たす、条項1から11のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【0105】
条項13:前記第2の領域が、前記第1の領域を囲む、条項12に記載のゴルフクラブヘッド。
【0106】
条項14:ゴルフボールをインパクトするように作動するボール打撃面を有する打撃フェースを備えるゴルフクラブヘッドであって、前記ボール打撃面は、約8度から約24度のロフト角で配置され、直線状又は曲線状の方向で各々延びる複数の山部及び谷部を含むフライス加工の表面テクスチャ特性を有し、前記表面テクスチャは、0.762mmのカットオフを伴うハイパスフィルタを用いて測定される平均表面粗さ(R)と、0.127mmの半径クロージングフィルタを用いて測定される表面空隙パラメータ(WVoid)と、0.508mmの半径クロージングフィルタを用いて測定される表面接触パラメータ(WVDCL)と、を有し、フェースの幾何学中心を通って延びる鉛直切断平面内で測定される前記表面テクスチャは、以下の少なくとも一方、即ち、WVoidに対するRの割合が約4より大きいこと、又は、WVDCLパラメータが約24%より大きいこと、によって特徴付けられる、ゴルフクラブヘッド。
【0107】
条項15:前記フェースの前記幾何学中心からずれた鉛直切断平面内で測定される前記表面テクスチャは、以下の少なくとも一方、即ち、WVoidに対するRの割合が約4より小さいこと、又は、WVDCLパラメータが約24%より小さいこと、によって特徴付けられる、条項14に記載のゴルフクラブヘッド。
【0108】
条項16:前記フェースの前記幾何学中心からずれた鉛直切断平面内で測定される前記表面テクスチャは、WVoidに対するRの割合が、前記幾何学中心と交差する平面内で測定されるWVoidに対するRの割合より大きいこと、又は、WVDCLパラメータが、前記幾何学中心と交差する平面内で測定されるWVDCLパラメータより大きいこと、によって特徴付けられる、条項14又は15に記載のゴルフクラブヘッド。
【0109】
条項17:前記フェースの前記幾何学中心を通って延びる鉛直切断平面内で測定される前記表面テクスチャは、Rが約140μインチから約300μインチの間であること、によってさらに特徴付けられる、条項14から16のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【0110】
条項18:前記ロフト角は、約8度から約14度である、条項14から17のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【0111】
条項19:前記ボール打撃面は、第1の表面テクスチャを有する第1の領域と、第2の表面テクスチャを有する第2の領域と、を備え、以下の少なくとも一方、即ち、鉛直切断平面内で測定されるWVoidに対するRの平均割合が前記第1の領域と前記第2の領域とで異なること、又は、鉛直切断平面内で測定される平均WVDCLパラメータが前記第1の領域と前記第2の領域とで異なること、を満たす、条項14から18のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【0112】
条項20:前記第2の領域が、前記第1の領域を囲む、条項19に記載のゴルフクラブヘッド。
【0113】
条項21:前記表面テクスチャは、前記フェースの前記幾何学中心からの距離の関数として変化する、条項14から20のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【0114】
条項22:前記表面テクスチャは、以下の少なくとも一方、即ち、WVoidに対するRの割合が約8より大きいこと、又は、WVDCLパラメータが約28%より大きいこと、によってさらに特徴付けられる、条項14から21のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【0115】
条項23:前記ボール打撃面から後方へ延びるボディをさらに備え、前記ボディ及び前記打撃フェースは中空の内部容積を形成する、条項14から22のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【0116】
条項24:前記打撃フェースは、外側周辺を有する打撃板と、前記打撃板を囲むフレームと、を備え、前記打撃板は、前記外側周辺全体にわたって前記フレームに溶接され、前記ボール打撃面及び前記表面テクスチャは、前記打撃板と前記フレームとの両方にわたって連続的に延びる、条項14から23のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【0117】
条項25:前記複数の山部と前記複数の谷部の間を延びる基準中間平面をさらに備え、前記基準中間平面の下方は負の距離であり、前記基準中間平面の上方は正の距離であり、前記複数の山部及び前記複数の谷部は、前記中間平面から、少なくとも-200マイクロインチ(-5.08マイクロメートル)から少なくとも200マイクロインチ(5.08マイクロメートル)の平均最大距離を延びる、条項14から24のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【0118】
条項26:ゴルフクラブヘッドを形成する方法であって、打撃板及びフレームにわたって延びる外側ボール打撃面を提供するために、前記フレームに設けられる開口内で前記打撃板を溶接する工程と、前記打撃板と前記フレームとの両方にわたって連続的に延びる表面テクスチャを作り出すために、前記ボール打撃面をフライス加工する工程と、を備え、前記表面テクスチャは、複数の山部と、複数の谷部と、前記複数の山部と前記複数の谷部の間を延びる基準中間平面と、を備え、前記基準中間平面の下方は負の距離であり、前記基準中間平面の上方は正の距離であり、前記複数の山部及び前記複数の谷部は、前記中間平面から、少なくとも-200マイクロインチ(-5.08マイクロメートル)から少なくとも200マイクロインチ(5.08マイクロメートル)の平均最大距離を延び、前記表面テクスチャは、平均中心線に対する絶対表面偏差の算術平均値を表す平均表面粗さ(R)と、前記表面テクスチャに適用されるモルフォロジークロージングフィルタを用いて作り出される閉じた基準表面に対する前記複数の谷部の平均深さを表す表面空隙パラメータ(WVoid)と、前記閉じた基準表面と前記表面テクスチャの間の接触量を表す表面接触パラメータ(WVDCL)と、をさらに備え、前記Rが、0.762mmのカットオフを有するハイパスフィルタを用いて測定され、かつ、前記WVoidパラメータが、0.127mmの半径クロージングフィルタを用いて測定され、かつ、前記WVDCLパラメータが、0.508mmの半径クロージングフィルタを用いて測定される場合に、鉛直切断平面と第2切断平面の少なくとも一方内で測定される前記表面テクスチャは、以下の少なくとも一方、即ち、WVoidに対するRの割合が約4より大きいこと、又は、WVDCLパラメータが約24%より大きいこと、によって特徴付けられ、前記第2の切断平面は、前記鉛直切断平面及び前記ボール打撃面の両方に対して垂直である、方法。
【0119】
条項27:前記溶接する工程では、前記打撃板の外側周辺の周囲に溶接ビードが形成され、前記方法は、前記フレーム及び前記打撃板が連続した外面を形成するように、フライス加工する前に前記溶接ビードを研磨する工程をさらに含む、条項26に記載の方法。
【0120】
条項28:前記打撃フェースは、約8度から約14度のロフト角で配置される、条項26に記載の方法。
【0121】
条項29:前記鉛直切断平面及び前記第2の切削平面の少なくとも一方は、前記打撃フェースの幾何学中心を通って延びる、条項26から28のいずれか一項に記載の方法。
【0122】
条項30:前記表面テクスチャは、以下の少なくとも一方、即ち、WVoidに対するRの割合が約8より大きいこと、又は、WVDCLパラメータが約28%より大きいこと、によってさらに特徴付けられる、条項26から29のいずれか一項に記載の方法。
【0123】
条項31:前記複数の山部は、複数のより小さい谷部を備え、前記複数の谷部は、複数のより小さい山部を備える、条項26から30のいずれか一項に記載の方法。
【0124】
条項32:前記表面テクスチャは、前記フェースの幾何学中心からの距離の関数として変化する、条項26から31のいずれか一項に記載の方法。
【0125】
条項33:前記表面テクスチャは、WVoidに対するRの割合又はWVDCLパラメータの少なくとも一方が、前記ボール打撃面の中心部分内よりも前記ボール打撃面の周辺部分内において大きいことによってさらに特徴付けられる、条項26から32のいずれか一項に記載の方法。
【0126】
条項34:前記フェースの前記幾何学中心からずれた鉛直切断平面内で測定される前記表面テクスチャは、以下の少なくとも一方、即ち、WVoidに対するRの割合が約4より小さいこと、又は、WVDCLパラメータが約24%より小さいこと、によって特徴付けられる、条項26から33のいずれか一項に記載の方法。
【0127】
条項35:前記フェースの前記幾何学中心からずれた鉛直切断平面内で測定される前記表面テクスチャは、WVoidに対するRの割合が、前記幾何学中心と交差する鉛直切断平面内で測定されるWVoidに対するRの割合より大きいこと、又は、WVDCLパラメータが、前記幾何学中心と交差する平面内で測定されるWVDCLパラメータより大きいこと、によって特徴付けられる、条項26から34のいずれか一項に記載の方法。
【0128】
条項36:前記フェースの前記幾何学中心を通って延びる鉛直切断平面内で測定される前記表面テクスチャは、約3.56μmから約7.62μmの間のRによってさらに特徴付けられる、条項26から35のいずれか一項に記載の方法。
【0129】
条項37:前記ボール打撃面の第1の領域内に第1の表面テクスチャをフライス加工する工程と、前記ボール打撃面の第2の領域内に第2の表面テクスチャをフライス加工する工程と、をさらに備え、以下の少なくとも一方、即ち、鉛直切断平面内で測定されるWVoidに対するRの平均割合が前記第1の領域と前記第2の領域とで異なること、又は、鉛直切断平面内で測定されるWVDCLパラメータが前記第1の領域と前記第2の領域とで異なること、を満たす、条項26から36のいずれか一項に記載の方法。
【0130】
条項38:前記第2の領域が、前記第1の領域を囲む、条項36に記載の方法。
【0131】
条項39:ゴルフクラブセットであって、第1のロフト角(L)で配置される第1のフェースを有する第1のゴルフクラブヘッドであって、前記第1のフェースは、第1の表面テクスチャを伴うボール打撃面を有する、前記第1のゴルフクラブヘッドと、第2のロフト角(L)で配置される第2のフェースを有する第2のゴルフクラブヘッドであって、前記第2のフェースは、第2の表面テクスチャを伴うボール打撃面を有する、前記第2のゴルフクラブヘッドと、第3のロフト角(L)で配置される第3のフェースを有する第3のゴルフクラブヘッドであって、前記第3のフェースは、第3の表面テクスチャを伴うボール打撃面を有する、前記第3のゴルフクラブヘッドと、を備え、前記第1の表面テクスチャと、前記第2の表面テクスチャと、前記第3の表面テクスチャとの各々は、複数の山部と、複数の谷部と、前記複数の山部と前記複数の谷部の間を延びる基準中間平面と、をそれぞれ備え、前記基準中間平面の下方は負の距離であり、前記基準中間平面の上方は正の距離であり、前記複数の山部及び前記複数の谷部は、前記中間平面から、少なくとも-200マイクロインチ(-5.08マイクロメートル)から少なくとも200マイクロインチ(5.08マイクロメートル)の平均最大距離を延び、前記第1の表面テクスチャと前記第2の表面テクスチャと前記第3の表面テクスチャとは、それぞれ、平均中心線に対する絶対表面偏差の算術平均値を表す平均表面粗さ(RA1、RA2、RA3)と、前記表面テクスチャに適用されるモルフォロジークロージングフィルタを用いて作り出される閉じた基準表面に対する前記複数の谷部の平均深さを表す表面空隙パラメータ(WVoid1、WVoid2、WVoid3)と、前記閉じた基準表面と前記表面テクスチャの間の接触量を表す表面接触パラメータ(WVDCL1、WVDCL2、WVDCL3)と、をさらに備え、前記第1、第2、及び第3のゴルフクラブヘッドの各々についての前記平均表面粗さは、0.762mmのカットオフを有するハイパスフィルタを用いて測定され、前記第1、第2、及び第3のゴルフクラブヘッドの各々についての前記表面空隙パラメータは、0.127mmの半径クロージングフィルタを用いて測定され、前記第1、第2、及び第3のゴルフクラブヘッドの各々についての表面接触パラメータは、0.508mmの半径クロージングフィルタを用いて測定され、L<L<Lであり、(RA1/WVoid1)>(RA2/WVoid2)又はWVDCL1>WVDCL2の少なくとも一方である、ゴルフクラブセット。
【0132】
条項40:(RA2/WVoid2)>(RA3/WVoid3)又はWVDCL2>WVDCL3の少なくとも一方である、条項39に記載のゴルフクラブセット。
【0133】
条項41:(RA2/WVoid2)<(RA3/WVoid3)又はWVDCL2<WVDCL3の少なくとも一方である、条項39に記載のゴルフクラブセット。
【0134】
条項42:前記第1のゴルフクラブヘッドは、閉じた内部容積を有するウッド型のクラブヘッドであり、Lは約8度から約14度であり、Rは約3.56μmから約7.62μmの間であり、前記第1の表面テクスチャは、以下の少なくとも一方、即ち、RA1/WVoid1が約4より大きいこと、又は、WVDCL1が約24%より大きいこと、によって特徴付けられる、条項39から41のいずれか一項に記載のゴルフクラブセット。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図5H
図5I
図5J
図6
図7
【図 】