(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-28
(45)【発行日】2022-02-07
(54)【発明の名称】ゼオライト膜の合成方法及びガス分離方法
(51)【国際特許分類】
B01D 71/02 20060101AFI20220131BHJP
B01D 53/22 20060101ALI20220131BHJP
C01B 39/04 20060101ALI20220131BHJP
【FI】
B01D71/02
B01D53/22
C01B39/04
(21)【出願番号】P 2020138960
(22)【出願日】2020-08-19
(62)【分割の表示】P 2019509249の分割
【原出願日】2018-03-15
【審査請求日】2020-08-20
(31)【優先権主張番号】P 2017071538
(32)【優先日】2017-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】萩尾 健史
(72)【発明者】
【氏名】野田 憲一
(72)【発明者】
【氏名】宮原 誠
(72)【発明者】
【氏名】清水 克哉
(72)【発明者】
【氏名】三浦 綾
(72)【発明者】
【氏名】吉村 遼太郎
【審査官】目代 博茂
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0001273(US,A1)
【文献】特開2015-044162(JP,A)
【文献】国際公開第2016/084845(WO,A1)
【文献】特表2004-532095(JP,A)
【文献】特開2004-250290(JP,A)
【文献】ZHONG, Shenglai et al.,Aluminophosphate-17 and silicoaluminophosphate-17 membranes for CO2 separations,Journal of Membrane Science,2016, 520, 507-514
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D61/00-71/82
B01D53/22
C02F1/44
C01B39/00-39/54
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ERI構造のゼオライト膜の合成方法であって、
T原子源と構造規定剤とを水に溶解または分散させることによって原料混合液を調製する工程と、
前記原料混合液に多孔質支持体を浸漬し、水熱合成により前記多孔質支持体上に前記ゼオライト膜を形成する工程と、
を備え、
前記T原子は、前記ゼオライト膜においてゼオライトを構成する酸素四面体の中心に位置する原子であり、前記原料混合液において、前記T原子に対する水のモル比は30以上であり、かつ、前記T原子に対する前記構造規定剤中のN原子のモル比は0.7以上1.5以下である、
ゼオライト膜の合成方法。
【請求項2】
前記原料混合液において、前記T原子に対する水のモル比は、60以上である、
請求項1に記載のゼオライト膜の合成方法。
【請求項3】
前記原料混合液において、前記T原子に対する水のモル比は、120以上である、
請求項1又は2に記載のゼオライト膜の合成方法。
【請求項4】
前記原料混合液において、前記T原子に対する前記構造規定剤中のN原子のモル比は、0.9以上1.1以下である、
請求項1乃至3のいずれかに記載のゼオライト膜の合成方法。
【請求項5】
前記T原子は、Si、Al及びPのうちいずれか2つ以上を含む、
請求項1乃至4のいずれかに記載のゼオライト膜の合成方法。
【請求項6】
前記T原子は、少なくともAlとPを含む、
請求項5に記載のゼオライト膜の合成方法。
【請求項7】
膜表面にX線を照射して得られるX線回折パターンにおける(002)面のピーク強度が(100)面のピーク強度の0.5倍以上であるERI構造のゼオライト膜を用いて、二酸化炭素とメタンを含む混合ガスから二酸化炭素を分離する、
ガス分離方法。
【請求項8】
前記ERI構造のゼオライト膜において、(002)面のピーク強度が(100)面のピーク強度の0.9倍以上である、
請求項7に記載のガス分離方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゼオライト膜の合成方法及びガス分離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ERI構造とOFF構造との混晶から合成したERI構造の種結晶に用いて、ERI構造を有するSAPO型及びAlPO型のゼオライト膜を合成する手法が知られている(非特許文献1参照)。支持体の上に形成する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】Journal ofMembrane Science,520,(2016),507-514「Aluminophosphate-17 and silicoaluminophosphate-17 membranes for CO2 separations」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、非特許文献1に記載のERI構造のゼオライト膜では、ERIより細孔の大きいOFF構造のゼオライトが残存する可能性があり、かつ、構成粒子の結晶方位がランダムな方向を向いているため、構成粒子同士が接合しにくい。その結果、OFFの細孔から透過させたくない成分が透過してしまう上、膜が緻密になり難く、十分な分離性能を発揮できない。
【0005】
本発明は、上述の状況に鑑みてなされたものであり、分離性能を向上可能なゼオライト膜の合成方法及びガス分離方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1側面に係るゼオライト膜の合成方法は、ERI構造のゼオライト膜の合成方法である。当該ゼオライト膜の合成方法は、T原子源と構造規定剤とを水に溶解または分散させることによって原料混合液を調製する工程と、原料混合液に多孔質支持体を浸漬し、水熱合成により多孔質支持体上にゼオライト膜を形成する工程とを備える。ここで、T原子とは、当該ゼオライト膜においてゼオライトを構成する酸素四面体の中心に位置する原子のことである。原料混合液において、T原子に対する水のモル比は30以上であり、かつ、T原子に対する構造規定剤中のN原子のモル比は0.7以上1.5以下である。
【0007】
本発明の第2側面に係るガス分離方法では、膜表面にX線を照射して得られるX線回折パターンにおける(002)面のピーク強度が(100)面のピーク強度の0.5倍以上であるERI構造のゼオライト膜を用いて、二酸化炭素とメタンを含む混合ガスから二酸化炭素を分離する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、分離性能を向上可能なゼオライト膜の合成方法及びガス分離方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】ERI構造のゼオライト結晶の構成を説明するための図
【
図4】ERI構造のゼオライト膜の製造方法を説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0010】
(膜構造体1)
図1は、膜構造体1の断面図である。
図2は、ERI構造のゼオライト膜10の平面図である。
【0011】
膜構造体1は、多孔質支持体10と、ERI構造のゼオライト膜20とを備える。ERI構造のゼオライト膜20は、ERI構造のゼオライト結晶30によって構成される。
【0012】
以下の説明では、ERI構造のゼオライト膜20を「ERI膜20」と略称し、ERI構造のゼオライト結晶30を「ERI結晶30」と略称する。
【0013】
1.多孔質支持体10
多孔質支持体10は、ERI膜20を支持する。多孔質支持体10は、その表面にERI膜20を膜状に形成(結晶化、塗布、或いは析出)できる程度の化学的安定性を有する。
【0014】
多孔質支持体10は、セラミックスの焼結体である。多孔質支持体10の骨材には、アルミナ、シリカ、ムライト、ジルコニア、チタニア、イットリア、窒化ケイ素、炭化ケイ素、セルベン、及びコージェライトなどを用いることができる。多孔質支持体10は、結合材を含有していてもよい。結合材としては、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)などを含むガラス材料を用いることができる。結合材の含有率は、20体積%以上40体積%以下とすることができるが、これに限られるものではない。
【0015】
多孔質支持体10は、分離対象である流体混合物(気体混合物又は液体混合物)をERI膜20に供給できる形状であればよい。多孔質支持体10の形状としては、例えば、モノリス状、平板状、管状、円筒状、円柱状、及び角柱状などが挙げられる。モノリス状とは、長手方向に形成された複数のセルを有する形状であり、ハニカム状を含む概念である。多孔質支持体10がモノリス状である場合、長手方向の長さは150~2000mmとすることができ、径方向の直径は30~220mmとすることができるが、これに限られるものではない。多孔質支持体10がモノリス状である場合、多孔質支持体10には、直径1~5mmのセルを30~2500個形成することができる。
【0016】
多孔質支持体10は、多数の開気孔を有する多孔質体である。多孔質支持体10の平均細孔径は、流体混合物のうちERI膜20を透過した透過成分を通過させられる大きさであればよい。多孔質支持体10の平均細孔径を大きくすることによって、透過成分の透過量を増加させることができる。多孔質支持体10の平均細孔径を小さくすることによって、多孔質支持体10の強度を増大させることができる。多孔質支持体10の平均細孔径は特に制限されないが、例えば0.01μm以上5μm以下とすることができる。多孔質支持体10の平均細孔径は、細孔径の大きさに応じて、水銀圧入法、ASTM F316に記載のエアフロー法、パームポロメトリー法によって測定できる。多孔質支持体10の気孔率は特に制限されないが、例えば25%~50%とすることができる。
【0017】
多孔質支持体10の平均粒径は特に制限されないが、例えば0.1μm以上100μm以下とすることができる。多孔質支持体10の平均粒径とは、SEM(Scanning Electron Microscope)を用いた断面観察によって測定される30個の粒子それぞれの最大直径の算術平均値である。測定対象である30個の粒子は、SEM画像上において無作為に選出すればよい。
【0018】
多孔質支持体10は、細孔径が一様な単層構造であってもよいし、細孔径が異なる複層構造であってもよい。多孔質支持体10が複層構造である場合、ERI膜20に近い層ほど平均細孔径が小さくなっていることが好ましい。多孔質支持体10が複層構造である場合、多孔質支持体10の平均細孔径とは、ERI膜20と接触する最表層の平均細孔径を意味するものとする。多孔質支持体10が複層構造である場合、各層は上述した材料から選択される少なくとも一つの材料によって構成することができ、各層の構成材料は異なっていてもよい。
【0019】
2.ERI膜20
ERI膜20は、多孔質支持体10の表面に形成される。ERI膜20の厚みは特に制限されないが、0.1μm以上10μm以下とすることができる。ERI膜20の厚みは、結晶どうしを十分に結合させることを考慮すると、0.3μm以上が好ましく、0.5μm以上がより好ましい。ERI膜20の厚みは、熱膨張によるクラックを抑制することを考慮すると、5μm以下が好ましく、3μm以下がより好ましい。
【0020】
ERI膜20は、複数のERI結晶30同士が連結することにより膜状に形成されている。各ERI結晶30は、ERI構造のゼオライトによって構成される結晶である。ERI構造とは、国際ゼオライト学会(International Zeolite Association)のStructure Commissionが定めているIUPAC構造コードでERI型となる構造である。
【0021】
各ERI結晶30を構成するゼオライトとしては、ゼオライトを構成する酸素四面体(TO4)の中心に位置する原子(T原子)がSiとAlからなるゼオライト、T原子がAlとP(リン)からなるAlPO型のゼオライト、T原子がマグネシウム(Mg)とAlとPからなるMAPO型のゼオライト、T原子がSiとAlとPからなるSAPO型のゼオライト、T原子が亜鉛(Zn)とAlとPからなるZnAPO型のゼオライトなどが挙げられる。T原子の一部は、他の元素に置換されていてもよい。
【0022】
各ERI結晶30は、複数の酸素8員環細孔を内部に有する。酸素8員環細孔とは、酸素8員環の環からなる細孔である。酸素8員環とは、単に8員環とも称され、細孔の骨格を構成する酸素原子の数が8個であって、酸素原子が前述のT原子と結合して環状構造をなす部分のことである。
【0023】
各ERI結晶30は、特定成分に対する吸着性を付与するなどの目的のため、金属や金属イオンを含有していてもよい。このような金属や金属イオンとしては、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び遷移金属からなる群から選択される1種以上の金属を挙げることができる。遷移金属としては、具体的には、例えば白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、銀(Ag)、鉄(Fe)、銅(Cu)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)及びインジウム(In)などが挙げられるが、これに限られるものではない。
【0024】
ここで、
図3は、ERI結晶30の構成を示す模式図である。
図3に示すように、ERI結晶30は、六角柱状である。ERI結晶30のc面に平行な断面は、正六角形であることが好ましいが、特に限定されるものではない。ERI結晶30の断面を六角形状とすることによって、例えば不定形状、円形状、又は楕円形状の場合に比べて結晶性が高く耐久性に優れた膜を得ることができる。
【0025】
ERI結晶30の端面には、六角形のc面((00l)面)が現れている。ERI結晶30の側面には、それぞれ矩形のa面({h00}面)が現れている。
【0026】
図1及び
図2に示すように、各ERI結晶30は、多孔質支持体10の表面に立設されており、各ERI結晶30は、c面配向している。そのため、ERI膜の外表面には、主にc面が露出しており、ERI結晶30同士は、主にa面で接合している。これにより、ERI結晶30同士の接合性を高めることができるため、膜の緻密性が高くなり、十分な分離性能を発揮することができる。
【0027】
X線回折(XRD:X-ray diffraction)法を用いて、ERI膜20の膜表面にX線を照射して得られるX線回折パターンにおいて、(002)面(c面)のピーク強度は、(100)面(a面)のピーク強度の0.5倍以上である。このことは、ERI結晶30のc面配向性が高いことを意味している。そのため、(002)面のピーク強度を(100)面のピーク強度の0.5倍以上とすることによって、ERI膜20の分離性能を実用可能な程度にまで向上させることができる。
【0028】
X線回折パターンにおいて、(002)面のピーク強度は、(100)面のピーク強度の0.9倍以上であることが好ましく、1.0倍以上であることがより好ましい。これによって、ERI膜20の分離性能をより向上させることができる。
【0029】
ピーク強度とは、測定値からバックグラウンドの値を引いた値を意味する。X線回折パターンは、X線回折装置(リガク社製、型式Miniflex600)を用いて、ERI膜20の膜表面にCuKα線を照射することによって得られる。X線出力:600W(管電圧:40kV、管電流:15mA)、走査速度:0.5°/min、走査ステップ:0.02°、CuKβ線フィルタ:0.015mm厚Ni箔とする。(002)面のピークは2θ=12°付近に、(100)面のピークは2θ=8°付近に観察される。
【0030】
(膜構造体1の製造方法)
1.多孔質支持体10の作製
押出成形法、プレス成形法又は鋳込み成形法などを用いて、セラミックス原料を所望の形状に成形することによって成形体を形成する。
【0031】
次に、成形体を焼成(例えば、900℃~1450℃)することによって、多孔質支持体10を形成する。多孔質支持体10の平均細孔径は、0.01μm以上5μm以下とすることができる。
【0032】
なお、多孔質支持体10を多層構造とする場合には、焼成した成形体の表面にろ過法などを用いてセラミックス原料を含むスラリーを塗布した後に焼成すればよい。
【0033】
2.種結晶の作製
ケイ素源、アルミニウム源、リン源などのT原子源、及び構造規定剤(SDA)を純水に溶解・分散させることによって原料混合液を調製する。ERIの結晶性を向上させることができることから、T原子としては、Si、Al、Pのうちいずれか2つ以上を含有することが好ましく、少なくともAl、P及びOを含有することがより好ましい。ケイ素源としては、例えばコロイダルシリカ、ヒュームドシリカ、テトラエトキシシラン、ケイ酸ナトリウムなどを用いることができる。アルミニウム源としては、例えばアルミニウムイソプロポキシド、水酸化アルミニウム、アルミン酸ナトリウム、アルミナゾルなどを用いることができる。リン源としては、例えばリン酸、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素アンモニウムなどを用いることができる。構造規定剤としては、例えばN,N,N’,N’-テトラメチルジアミノヘキサン、シクロヘキシルアミンなどを用いることができる。
【0034】
次に、原料混合液を圧力容器に投入して水熱合成(150~200℃、10~60時間)することによって、ERI結晶を合成する。
【0035】
次に、ERI結晶の一部が多孔質支持体10の表面に形成された細孔の開口部に係止される程度に、ERI結晶のサイズを調整し、ERI種結晶(ERI構造の種結晶)を準備する。合成したERI結晶の平均粒径が多孔質支持体の塗布面における平均細孔径に対して、0.3倍以上、5倍より小さい場合は、分散させることでそのままERI種結晶(ERI構造の種結晶)として使用できる。合成したERI結晶の平均粒径が多孔質支持体の塗布面における平均細孔径に対して0.3倍より大きい場合は、ERI結晶を純水に投入し、前述の範囲に収まるようにボールミルなどで解こう・粉砕することによって、ERI種結晶を作製してもよい。粉砕する場合、ERI種結晶のサイズは、粉砕時間の変更によって調整することができる。ERI種結晶の形状は特に制限されるものではなく、六角柱状、六角板状、円柱状、円板状、又は不定形状などであってもよいが、等方的な形状の方が好ましい。ERI種結晶の平均粒径は、多孔質支持体の塗布面における平均細孔径に対して0.3~5倍であることが好ましく、0.5~3倍であることがより好ましい。
【0036】
3.ERI膜20の形成
ERI種結晶を水、エタノールやイソプロパノールなどアルコール、あるいはそれらの混合溶媒に分散させた種結晶分散溶液を調製する。
【0037】
次に、多孔質支持体10の表面に種結晶分散溶液をろ過することによって、ERI種結晶を多孔質支持体10の表面に付着させる。この際、ERI種結晶が、多孔質支持体10の表面に形成された細孔の開口部に係止されて、ERI種結晶は多孔質支持体10の表面に配置される。
【0038】
次に、ケイ素源、アルミニウム源、リン源などのT原子源、及び構造規定剤(SDA)を純水に溶解・分散させることによって原料混合液を調製する。
【0039】
次に、ERI種結晶が付着した多孔質支持体10を原料混合液に浸漬して水熱合成(150~190℃、10~60時間)する。この際、多孔質支持体10の表面に配置したERI種結晶がERI構造のa面どうしが隣接するように結晶成長するため、
図4に示すように、立設したERI結晶30どうしが接合しやすくなり、ERI膜20が形成される。
【0040】
具体的には、H2O/T原子のモル比(H2O/T原子比)を30以上、かつ、SDA中のN原子/T原子のモル比(SDA/T原子比)を0.7~1.5にすることで、ERI種結晶がERI構造のa面どうしが接合するように結晶成長させることができる。H2O/T原子のモル比が30より小さいと、膜の合成中に原料混合液中でERI結晶が生成してしまい、多孔質支持体上の種結晶が成長しにくくなって膜形成が困難になる可能性がある上、原料混合液中で生成したERI結晶が多孔質支持体の種結晶を塗布した表面に付着し、ERI結晶がc面に配向しないため、分離性能が低下する可能性がある。H2O/T原子比は60以上が好ましく、120以上がより好ましい。また、SDA中のN原子/T原子のモル比が1.5より大きいと膜の合成中に原料混合液中でERI結晶が生成してしまい、膜形成が困難になる可能性がある。また、SDA中のN原子/T原子のモル比が0.7より小さいとERI結晶がc面に配向しないため、分離性能が低下する可能性がある。SDA中のN原子/T原子比は0.9~1.1が好ましい。
【実施例】
【0041】
以下において本発明の実施例について説明する。ただし、本発明は以下に説明する実施例に限定されるものではない。
【0042】
(実施例1)
1.多孔質支持体の作製
アルミナ原料を含む坏土を用いて、押出成形法により複数の貫通孔をもつモノリス形状の成形体を形成し、焼成した。
【0043】
次に、焼成した成形体の、貫通孔の表面にアルミナを主とした多孔質層を形成し、再度焼成することによって、多孔質支持体を形成した。多孔質支持体の膜を形成する部分の表面における平均細孔径は、65~110nmの範囲であった。
【0044】
2.種結晶の作製
アルミニウム源であるアルミニウムイソプロポキシド、リン源である85%リン酸、及び構造規定剤であるN,N,N’,N’-テトラメチルジアミノヘキサン(TMHD)を純水に溶解させることによって、組成が1Al2O3:1.3P2O5:1.4SDA:130H2Oの原料混合液を調製した。
【0045】
次に、原料溶液を圧力容器に投入して水熱合成(195℃、30時間)した。
【0046】
次に、水熱合成によって得られた結晶を回収して純水で十分に洗浄した後、65℃で完全に乾燥させた。
【0047】
その後、X線回折測定によって結晶相を確認したところ、水熱合成によって得られた種結晶はERI結晶であった。
【0048】
次に、合成したERI結晶を10~20mass%となるように純水に投入し、ボールミルで7日間粉砕することによって、ERI種結晶を作製した。SEM(電子顕微鏡)によってERI種結晶の外形を確認したところ、得られたERI種結晶は不定形状であり、粒径は0.01~0.3μm、平均粒径はおよそ0.2μmであった。
【0049】
3.ERI膜の形成
ERI種結晶をエタノールに分散させた種結晶分散溶液を調製した。
【0050】
次に、多孔質支持体のセル内で種結晶分散溶液をろ過することによって、ERI種結晶を多孔質支持体のセル内表面に付着させた。
【0051】
次に、アルミニウム源であるアルミニウムイソプロポキシド、リン源である85%リン酸、及び構造規定剤であるTMHDを純水に溶解させることによって、組成が1Al2O3:2.1P2O5:2.8SDA:1340H2Oの原料混合液を調製した。実施例1の原料混合液において、H2O/T原子のモル比(H2O/T原子比)は220であり、SDA中のN原子/T原子のモル比(SDA中のN原子/T原子比)は0.9である。
【0052】
次に、ERI種結晶が付着した多孔質支持体を原料混合液に浸漬して水熱合成(160℃、30時間)することによって、ERI膜を合成した。
【0053】
次に、合成したERI膜を純水で十分に洗浄した後、90℃で完全に乾燥させた。乾燥後、ERI膜のN2透過量を測定したところ、0.08nmol/m2・s・Paであった。これにより、実施例1に係るERI膜は、実用可能な程度の緻密性を有していることが確認された。
【0054】
次に、ERI膜を450℃で50時間加熱処理することによってSDAを燃焼除去して、ERI膜内の細孔を貫通させた。
【0055】
次に、多孔質支持体の両端部をシール材で封止した状態で、0.3MPaGでCO2/CH4(50:50)の混合ガスの分離試験を実施したところ、CO2/CH4のPerm.比は293であった。これにより、実施例1に係るERI膜は、十分に実用可能な分離性能を有していることが確認された。
【0056】
そして、ERI膜の膜表面にX線を照射して得たX線回折パターンにおいて、(002)面(c面)のピーク強度は、(100)面(a面)のピーク強度の0.90倍であった。また、ERI膜の外表面とERI膜を膜厚方向に切断した切断面とをSEMで観察したところ、六角柱状のERI結晶がc面配向していることが確認された(
図1及び
図2参照)。
【0057】
(実施例2)
1.多孔質支持体の作製
実施例1と同じ工程で多孔質支持体を作製した。
【0058】
2.種結晶の作製
実施例1と同じ工程でERI種結晶を作製した。
【0059】
3.ERI膜の形成
水熱合成条件を160℃×40hに変更した以外は、実施例1と同様の工程にてERI膜を合成した。
【0060】
次に、合成したERI膜を純水で十分に洗浄した後、90℃で完全に乾燥させた。乾燥後、ERI膜のN2透過量を測定したところ、0.005nmol/m2・s・Paであった。これにより、実施例2に係るERI膜も十分に実用可能な緻密性を有していることが確認された。
【0061】
次に、ERI膜を450℃で50時間加熱処理することによってSDAを燃焼除去して、ERI膜内の細孔を貫通させた。
【0062】
次に、多孔質支持体の両端部をシール材で封止した状態で、0.3MPaGでCO2/CH4(50:50)の混合ガスの分離試験を実施したところ、CO2/CH4のPerm.比は504であった。これにより、実施例2に係るERI膜も十分に実用可能な分離性能を有していることが確認された。
【0063】
そして、ERI膜の膜表面にX線を照射して得たX線回折パターンにおいて、(002)面のピーク強度は、(100)面のピーク強度の1.19倍であった。また、ERI膜の外表面とERI膜を膜厚方向に切断した切断面とをSEMで観察したところ、六角柱状のERI結晶がc面配向していることも確認された。
【0064】
(実施例3)
1.多孔質支持体の作製
実施例1と同じ工程で多孔質支持体を作製した。
【0065】
2.種結晶の作製
実施例1と同じ工程でERI種結晶を作製した。
【0066】
3.ERI膜の形成
原料混合液の組成を1Al2O3:2.1P2O5:2.8SDA:775H2Oに変更し、かつ、水熱合成条件を160℃×20hに変更した以外は、実施例1と同様の工程にてERI膜を合成した。なお、実施例3の原料混合液において、H2O/T原子比は126であり、SDA中のN原子/T原子比は0.9である。
【0067】
次に、合成したERI膜を純水で十分に洗浄した後、90℃で完全に乾燥させた。乾燥後、ERI膜のN2透過量を測定したところ、0.04nmol/m2・s・Pa以下であった。これにより、実施例3に係るERI膜も十分に実用可能な緻密性を有していることが確認された。
【0068】
次に、ERI膜を450℃で20時間加熱処理することによってSDAを燃焼除去して、ERI膜内の細孔を貫通させた。
【0069】
次に、多孔質支持体の両端部をシール材で封止した状態で、0.3MPaGでCO2/CH4(50:50)の混合ガスの分離試験を実施したところ、CO2/CH4のPerm.比は69であった。これにより、実施例3に係るERI膜も十分に実用可能な分離性能を有していることが確認された。
【0070】
そして、ERI膜の膜表面にX線を照射して得たX線回折パターンにおいて、(002)面のピーク強度は、(100)面のピーク強度の0.54倍であった。また、ERI膜の外表面とERI膜を膜厚方向に切断した切断面とをSEMで観察したところ、六角柱状のERI結晶がc面配向していることも確認された。
【0071】
(実施例4)
1.多孔質支持体の作製
実施例1と同じ工程で多孔質支持体を作製した。
【0072】
2.種結晶の作製
実施例1と同じ工程でERI種結晶を作製した。
【0073】
3.ERI膜の形成
原料混合液の組成を1Al2O3:2.0P2O5:3.0SDA:210H2Oに変更し、かつ、水熱合成条件を170℃×50hに変更した以外は、実施例1と同様の工程にてERI膜を合成した。なお、実施例4の原料混合液において、H2O/T原子比は35であり、SDA中のN原子/T原子比は1.0である。
【0074】
次に、合成したERI膜を純水で十分に洗浄した後、90℃で完全に乾燥させた。乾燥後、ERI膜のN2透過量を測定したところ、0.7nmol/m2・s・Pa以下であった。これにより、実施例3に係るERI膜も十分に実用可能な緻密性を有していることが確認された。
【0075】
次に、ERI膜を450℃で50時間加熱処理することによってSDAを燃焼除去して、ERI膜内の細孔を貫通させた。
【0076】
次に、多孔質支持体の両端部をシール材で封止した状態で、0.2MPaGでCO2/CH4(50:50)の混合ガスの分離試験を実施したところ、CO2/CH4のPerm.比は59であった。これにより、実施例4に係るERI膜も十分に実用可能な分離性能を有していることが確認された。
【0077】
そして、ERI膜の膜表面にX線を照射して得たX線回折パターンにおいて、(002)面のピーク強度は、(100)面のピーク強度の0.51倍であった。また、ERI膜の外表面とERI膜を膜厚方向に切断した切断面とをSEMで観察したところ、六角柱状のERI結晶がc面配向していることも確認された。
(実施例5)
1.多孔質支持体の作製
実施例1と同じ工程で多孔質支持体を作製した。
【0078】
2.種結晶の作製
実施例1と同じ工程でERI種結晶を作製した。
【0079】
3.ERI膜の形成
原料混合液の組成を1Al2O3:2.1P2O5:2.8SDA:490H2Oに変更した以外は、実施例4と同様の工程にてERI膜を合成した。なお、実施例5の原料混合液において、H2O/T原子比は80であり、SDA中のN原子/T原子比は0.9である。
【0080】
次に、合成したERI膜を純水で十分に洗浄した後、90℃で完全に乾燥させた。乾燥後、ERI膜のN2透過量を測定したところ、0.2nmol/m2・s・Pa以下であった。これにより、実施例5に係るERI膜も十分に実用可能な緻密性を有していることが確認された。
【0081】
次に、ERI膜を450℃で50時間加熱処理することによってSDAを燃焼除去して、ERI膜内の細孔を貫通させた。
【0082】
次に、多孔質支持体の両端部をシール材で封止した状態で、0.2MPaGでCO2/CH4(50:50)の混合ガスの分離試験を実施したところ、CO2/CH4のPerm.比は162であった。これにより、実施例5に係るERI膜も十分に実用可能な分離性能を有していることが確認された。
【0083】
そして、ERI膜の膜表面にX線を照射して得たX線回折パターンにおいて、(002)面のピーク強度は、(100)面のピーク強度の0.99倍であった。また、ERI膜の外表面とERI膜を膜厚方向に切断した切断面とをSEMで観察したところ、六角柱状のERI結晶がc面配向していることも確認された。
【0084】
(実施例6)
1.多孔質支持体の作製
実施例1と同じ工程で多孔質支持体を作製した。
【0085】
2.種結晶の作製
実施例1と同じ工程でERI種結晶を作製した。
【0086】
3.ERI膜の形成
原料混合液の組成を1Al2O3:2.1P2O5:2.8SDA:890H2Oに変更し、かつ、水熱合成条件を170℃×30hに変更した以外は、実施例4と同様の工程にてERI膜を合成した。なお、実施例6の原料混合液において、H2O/T原子比は144であり、SDA中のN原子/T原子比は0.9である。
【0087】
次に、合成したERI膜を純水で十分に洗浄した後、90℃で完全に乾燥させた。乾燥後、ERI膜のN2透過量を測定したところ、0.06nmol/m2・s・Pa以下であった。これにより、実施例6に係るERI膜も十分に実用可能な緻密性を有していることが確認された。
【0088】
次に、ERI膜を500℃で20時間加熱処理することによってSDAを燃焼除去して、ERI膜内の細孔を貫通させた。
【0089】
次に、多孔質支持体の両端部をシール材で封止した状態で、0.3MPaGでCO2/CH4(50:50)の混合ガスの分離試験を実施したところ、CO2/CH4のPerm.比は186であった。これにより、実施例6に係るERI膜も十分に実用可能な分離性能を有していることが確認された。
そして、ERI膜の膜表面にX線を照射して得たX線回折パターンにおいて、(002)面のピーク強度は、(100)面のピーク強度の1.14倍であった。また、ERI膜の外表面とERI膜を膜厚方向に切断した切断面とをSEMで観察したところ、六角柱状のERI結晶がc面配向していることも確認された。
【0090】
(実施例7)
1.多孔質支持体の作製
実施例1と同じ工程で多孔質支持体を作製した。
【0091】
2.種結晶の作製
実施例1と同じ工程でERI種結晶を作製した。
【0092】
3.ERI膜の形成
原料混合液の組成を1Al2O3:2.1P2O5:2.8SDA:1320H2Oに変更し、かつ、水熱合成条件を170℃×45hに変更した以外は、実施例4と同様の工程にてERI膜を合成した。なお、実施例7の原料混合液において、H2O/T原子比は220であり、SDA中のN原子/T原子比は0.9である。
【0093】
次に、合成したERI膜を純水で十分に洗浄した後、90℃で完全に乾燥させた。乾燥後、ERI膜のN2透過量を測定したところ、0.005nmol/m2・s・Pa以下であった。これにより、実施例7に係るERI膜も十分に実用可能な緻密性を有していることが確認された。
【0094】
次に、ERI膜を500℃で20時間加熱処理することによってSDAを燃焼除去して、ERI膜内の細孔を貫通させた。
【0095】
次に、多孔質支持体の両端部をシール材で封止した状態で、0.3MPaGでCO2/CH4(50:50)の混合ガスの分離試験を実施したところ、CO2/CH4のPerm.比は205であった。これにより、実施例7に係るERI膜も十分に実用可能な分離性能を有していることが確認された。
そして、ERI膜の膜表面にX線を照射して得たX線回折パターンにおいて、(002)面のピーク強度は、(100)面のピーク強度の1.04倍であった。また、ERI膜の外表面とERI膜を膜厚方向に切断した切断面とをSEMで観察したところ、六角柱状のERI結晶がc面配向していることも確認された。
【0096】
(比較例1)
1.多孔質支持体の作製
実施例1と同じ工程で多孔質支持体を作製した。
【0097】
2.種結晶の作製
実施例1と同じ工程でERI種結晶を作製した。
【0098】
3.ERI膜の形成
原料混合液の組成を1Al2O3:2.1P2O5:2.8SDA:105H2Oに変更した以外は、実施例4と同様の工程にてERI膜を合成した。なお、比較例1の原料混合液において、H2O/T原子比は18であり、SDA中のN原子/T原子比は0.9である。
【0099】
次に、合成したERI膜を純水で十分に洗浄した後、90℃で完全に乾燥させた。乾燥後、ERI膜のN2透過量を測定したところ、5.8nmol/m2・s・Paであり、比較例1に係るERI膜の緻密性が低かった。
【0100】
次に、ERI膜を500℃で20時間加熱処理することによってSDAを燃焼除去して、ERI膜内の細孔を貫通させた。
【0101】
次に、多孔質支持体の両端部をシール材で封止した状態で、0.2MPaGでCO2/CH4(50:50)の混合ガスの分離試験を実施したところ、CO2/CH4のPerm.比は4であった。これにより、比較例1に係るERI膜は分離性能が低いことが確認された。
そして、ERI膜の膜表面にX線を照射して得たX線回折パターンにおいて、(002)面のピーク強度は、(100)面のピーク強度の0.19倍であった。また、ERI膜の外表面とERI膜を膜厚方向に切断した切断面とをSEMで観察したところ、ERI結晶がc面配向していないことも確認された。
【0102】
(比較例2)
1.多孔質支持体の作製
実施例1と同じ工程で多孔質支持体を作製した。
【0103】
2.種結晶の作製
実施例1と同じ工程でERI種結晶を作製した。
【0104】
3.ERI膜の形成
原料混合液の組成を1Al2O3:4.2P2O5:2.8SDA:210H2Oに変更した以外は、実施例1と同様の工程にてERI膜を合成した。なお、比較例2の原料混合液において、H2O/T原子比は20であり、SDA中のN原子/T原子比は0.53である。
【0105】
次に、合成したERI膜を純水で十分に洗浄した後、90℃で完全に乾燥させた。乾燥後、ERI膜のN2透過量を測定したところ、1014nmol/m2・s・Paであり、比較例1に係るERI膜の緻密性が大幅に低かった。緻密性が不十分だったため、以降の評価は行わなかった。
【0106】
(比較例3)
1.多孔質支持体の作製
実施例1と同じ工程で多孔質支持体を作製した。
【0107】
2.種結晶の作製
上記のJournal ofMembrane Science,520,(2016),507-514「Aluminophosphate-17 and silicoaluminophosphate-17 membranes for CO2 separations」に倣ってERI構造のSAPO型種結晶を作製した。
【0108】
3.ERI膜の形成
SDAをシクロヘキシルアミンに変更し、かつ、原料混合液の組成を1Al2O3:1P2O5:1SDA:220H2Oに変更し、かつ、水熱合成条件を200℃×90hに変更した以外は、実施例1と同様の工程にてERI膜を合成した。なお、比較例3の原料混合液において、H2O/T原子比は55であり、SDA中のN原子/T原子比は0.25である。
【0109】
次に、合成したERI膜を純水で十分に洗浄した後、90℃で完全に乾燥させた。乾燥後、ERI膜のN2透過量を測定したところ、1.5nmol/m2・s・Paであり、比較例3に係るERI膜の緻密性がやや低かった。
【0110】
次に、ERI膜を450℃で10時間加熱処理することによってSDAを燃焼除去して、ERI膜内の細孔を貫通させた。
【0111】
次に、多孔質支持体の両端部をシール材で封止した状態で、0.3MPaGでCO2/CH4(50:50)の混合ガスの分離試験を実施したところ、CO2/CH4のPerm.比は24であった。これにより、比較例3に係るERI膜は分離性能が低いことが確認された。
そして、ERI膜の膜表面にX線を照射して得たX線回折パターンにおいて、(002)面のピーク強度は、(100)面のピーク強度の0.39倍であった。また、ERI膜の外表面とERI膜を膜厚方向に切断した切断面とをSEMで観察したところ、ERI結晶がc面配向していないことも確認された。
【0112】
【0113】
表1に示すように、ERI膜の膜表面にX線を照射して得たX線回折パターンにおいて、(002)面のピーク強度が(100)面のピーク強度の0.51倍以上である実施例1~7では、実用可能な程度の分離性能を得ることができた。これは、c面配向性の高いERI結晶同士をa面で接合させることによって、ERI膜の緻密性を向上させることができたためである。
【0114】
また、実施例1,2,5~7と実施例3,4とを比較すると分かるように、(002)面のピーク強度が(100)面のピーク強度の0.90倍以上にすることによって分離性能をより向上させられることを確認できた。
【符号の説明】
【0115】
1 膜構造体
10 多孔質支持体
20 ERI構造のゼオライト膜(ERI膜)
30 ERI構造のゼオライト結晶(ERI結晶)