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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-28
(45)【発行日】2022-02-07
(54)【発明の名称】電線差し込みコネクタプラグ
(51)【国際特許分類】
   H01R 4/48 20060101AFI20220131BHJP
   H01R 13/42 20060101ALN20220131BHJP
【FI】
H01R4/48 A
H01R13/42 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020194225
(22)【出願日】2020-11-24
【審査請求日】2020-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】391005581
【氏名又は名称】三和電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100069213
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 功
(72)【発明者】
【氏名】関本 正彦
(72)【発明者】
【氏名】篠崎 達人
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-92846(JP,A)
【文献】特開2000-134767(JP,A)
【文献】特開平7-14632(JP,A)
【文献】米国特許第5429526(US,A)
【文献】米国特許第7431603(US,B1)
【文献】実開平5-57771(JP,U)
【文献】米国特許第4304457(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 4/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタプラグ内に配したソケットまたはピンの電線接続部側の接触部に電線を挿入し、この電線に対する押圧力で前記接触部と電線とが接触させられるよう挿入方向に対し配置された弾性部材と、コネクタプラグ内のインシュレータに形成された側面穴に挿入され且つ前後方向にスライド可能とした押圧解除部材が付設されており、前記押圧解除部材を一方向にスライドさせることで前記弾性部材の付勢力に抗して前記接触部から前記弾性部材を離間させ電線を引き抜くことができるように形成したことを特徴とする電線差し込みコネクタプラグ。
【請求項2】
前記コネクタプラグ内のインシュレータは、その外面形状を円筒状に形成したことを特徴とする請求項1記載の電線差し込みコネクタプラグ。
【請求項3】
前記押圧解除部材は、前記円筒状のインシュレータの側面穴上面の両側に設けられた案内溝内をスライドするように上部にスライダ板が配設されるとともに、前記スライダ板の下方に前記弾性部材と同じ数の突起を備えていることを特徴とする請求項2に記載の電線差し込みコネクタプラグ。
【請求項4】
前記押圧解除部材は、前記円筒状のインシュレータ外面に適合するように、前記スライダ板を孤状に湾曲させて形成したことを特徴とする請求項3に記載の電線差し込みコネクタプラグ。
【請求項5】
前記押圧解除部材は、前記スライダ板下方の突起が前記インシュレータの側面穴に対して挿抜自在に挿入されるように形成したことを特徴とする請求項3又は4に記載の電線差し込みコネクタプラグ。
【請求項6】
前記押圧解除部材は、前記スライダ板下方の突起先端にテーパを備えていることを特徴とする請求項3、4又は5に記載の電線差し込みコネクタプラグ。
【請求項7】
前記弾性部材は、電線の挿入方向に対し一個若しくは複数個配設されていることを特徴とする請求項1、3のいずれかに記載の電線差し込みコネクタプラグ。
【請求項8】
前記弾性部材は、略つノ字状に折り返しその先端が電線の挿入方向へ向けて配置されてなり、この略つノ字先端で、接触部に挿入した電線を該接触部に押圧し保持し、電線を引き抜く方向に力が働いたとき、該電線に食い込む構造を有することを特徴とする請求項1、3、7いずれかに記載の電線差し込みコネクタプラグ。
【請求項9】
前記コネクタプラグ内には複数のソケットまたはピンの接触部が設けられ、該接触部に挿入された複数本の電線を、前記各押圧解除部材をスライドさせることで前記接触部から前記弾性部材をそれぞれ離間させ引き抜くことができるように形成したことを特徴とする請求項1、3乃至8のいずれかに記載の電線差し込みコネクタプラグ。
【請求項10】
前記押圧解除部材は、スライド時に適正位置に留まるように、コネクタプラグ内のインシュレータにストッパを設けたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の電線差し込みコネクタプラグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタプラグに内蔵のソケットにおける電線接続部側の接触部に電線を差し込み接続させる電線差し込みコネクタプラグに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電線接続部側の構成としては、特許文献1に示すように、接続部はソケットコンタクトにおいて、複数の割り溝を開口部側から長手方向に沿って形成した有底円筒状の割りスリーブによって形成され、前記ソケットコンタクトのケーブル圧着部は円筒状に形成され、当該割りスリーブの底部外面側には凸部を備え、当該ケーブル圧着部の一端開口部に前記割りスリーブの凸部を圧入、または、カシメて一体化したものとしてある構成が公知である。
【0003】
また、特許文献2に示すように、解除孔を用いた際の解除は、ドライバーやボルト等の細長い部材からなる解除器具を解除孔から該鎖錠バネ片に当接させ、該解除器具を該鎖錠バネ片の遊端の揺動方向かつ押圧力解除方向に沿って動かすことにより行われるものとしてある構成が公知である。
【0004】
さらに、特許文献3に示すように、リリースボタンがホームポジションの状態から押込んで行くと、リリースボタンは下方に摺動し、この摺動と共に圧接部が板ばねの屈曲部を徐々に圧迫し、付勢力に抗して上側開口部を開く方向に徐々に変位して行く工程と、前記リリースボタンの押込みが抑止されると、板ばねの姿勢は、上側開口部を完全に開いた位置で保持され、この状態で、電線を上側開口部から挿入すると、電線は、突起部及び端子金具の内壁面に当接した状態で端子金具内に収容される工程と、電線の端子金具への挿入が終了した後、リリースボタンの押込み状態を解除すると、当該リリースボタンは原位置に復帰し、圧接部による板ばねの屈曲部の圧迫も解消されることとなるので、板ばねは、その付勢力により電線を端子金具に圧接し、電線を端子金具側の突起部と共働して固定する。これにより、電線が端子金具から離脱するのが阻止されるものとしてある構成が公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-062988号公報
【文献】特開平9-306560号公報
【文献】特許第3357245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記した特許文献1の場合、割りスリーブの凸部を圧入、または、カシメて一体化するための市販の圧着工具、例えば裸圧着端子またはスリーブ用の手動片手式内線工具等が必要で接続作業が煩雑なものとなってしまう問題がある。
【0007】
また、上記した特許文献2の場合、ドライバーやボルト等の細長い部材からなる解除器具を一端の解除孔から該鎖錠バネ片に当接させて押圧力解除方向に沿って動かすことにより行われる。この際、鎖錠バネ片が複数に並んでいるため、奥の鎖錠バネ片へのアクセスが難しいものとなる。しかもドライバーやボルト等の解除器具を持ち歩かなければならず、作業性が劣るという問題がある。
【0008】
また、上記した特許文献3の場合、リリースボタンの押込み及び押込み解除により、電線を端子金具側の突起部と共働して固定するので、構造が複雑となり、コストアップやコネクタの大型化につながる。しかも、電線を上側開口部から挿入すると、当該電線は、突起部及び端子金具の内壁面に当接した状態で端子金具内に収容されるので、幾度ものリリースボタンの押込み動作が必要で、電線の端子金具への接触が不十分になる虞があり、当該電線を保持する力を十分に確保できないという問題がある。
【0009】
そこで、本発明は、叙上のような従来存した諸事情に鑑み案出されたもので、電気的接続解除がワンタッチで行い得るものとし、不要な突出部分が無くコストアップやコネクタの大型化を回避でき、電線接続部側の接触部への接触が確実に行い得るとともに電線を保持する力を十分に確保でき、しかも市販の圧着工具、例えば裸圧着端子またはスリーブ用の手動片手式内線工具等や、ドライバーやボルト等の解除器具を持ち歩かなくて済む電線差し込みコネクタプラグを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するために、本発明にあっては、コネクタプラグ内に配したソケットまたはピンの電線接続部側の接触部に電線を挿入し、この電線に対する押圧力で前記接触部と電線とが接触させられるよう挿入方向に対し配置された弾性部材と、コネクタプラグ内のインシュレータに形成された側面穴に挿入され且つ前後方向にスライド可能とした押圧解除部材が付設されており、前記押圧解除部材を一方向にスライドさせることで前記弾性部材の付勢力に抗して前記接触部から前記弾性部材を離間させ電線を引き抜くことができるように形成したことを特徴とする。
【0011】
前記コネクタプラグ内のインシュレータは、その外面形状を円筒状に形成したことを特徴とする。
【0012】
前記押圧解除部材は、前記円筒状のインシュレータの側面穴上面の両側に設けられた案内溝内をスライドするように上部にスライダ板が配設されるとともに、前記スライダ板の下方に前記弾性部材と同じ数の突起を備えていることを特徴とする。
【0013】
前記押圧解除部材は、前記円筒状のインシュレータ外面に適合するように、前記スライダ板を孤状に湾曲させて形成したことを特徴とする。
【0014】
前記押圧解除部材は、前記スライダ板下方の突起が前記インシュレータの側面穴に対して挿抜自在に挿入されるように形成したことを特徴とする。
【0015】
前記押圧解除部材は、前記スライダ板下方の突起先端にテーパを備えていることを特徴とする。
【0016】
前記弾性部材は、電線の挿入方向に対し一個若しくは複数個配設されていることを特徴とする。
【0017】
前記弾性部材は、略つノ字状に折り返しその先端が電線の挿入方向へ向けて配置されてなり、この略つノ字先端で、接触部に挿入した電線を該接触部に押圧し保持し、電線を引き抜く方向に力が働いたとき、該電線に食い込む構造を有することを特徴とする。
【0018】
前記コネクタプラグ内には複数のソケットまたはピンの接触部が設けられ、該接触部に挿入された複数本の電線を、前記各押圧解除部材をスライドさせることで前記接触部から前記弾性部材をそれぞれ離間させ引き抜くことができるように形成したことを特徴とする。
【0019】
前記押圧解除部材は、スライド時に適正位置に留まるように、コネクタプラグ内のインシュレータにストッパを設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、電気的接続解除がワンタッチで行い得るものとし、押圧解除部材の構造を装着時に不要な突出部分を省略することでコストアップやコネクタプラグの大型化を回避でき、電線接続部側の接触部への接触が確実に行い得るとともに電線を保持する力を十分に確保することができ、しかも市販の圧着工具、例えば裸圧着端子またはスリーブ用の手動片手式内線工具等や、ドライバーやボルト等の解除器具を持ち歩かなくて済む。
【0021】
すなわち、本発明では、コネクタプラグ内に配したソケットの電線接続部側の接触部に電線を挿入し、この電線に対する押圧力で前記接触部と電線とが接触させられるよう挿入方向に対し配置された弾性部材と、コネクタプラグ内のリアソケットインシュレータに形成された側面穴に挿入され且つ前後方向にスライド可能とした押圧解除部材が付設されており、前記押圧解除部材を一方向にスライドさせることで前記弾性部材の付勢力に抗して前記接触部から前記弾性部材を離間させ電線を引き抜くことができるように形成したので、装着時に前記押圧解除部材がコネクタプラグ外面に突出しないため、現場で複数の光コネクタプラグを取付ける際互いのコネクタプラグ同士が邪魔となり当該作業の障害となることがない。また、電気的接続解除がワンタッチで行い得るものとし、コストアップやコネクタプラグの大型化を回避できる。さらに、コネクタプラグ内に配設されたリアソケットインシュレータに押圧解除部材が付設されているため、前記押圧解除部材を紛失する虞がない。
【0022】
前記コネクタプラグ内のインシュレータは、その外面形状が円筒状に形成されているため、同形状のコネクタプラグ内に効率良く収容することが可能である。
【0023】
前記押圧解除部材は、前記円筒状のインシュレータの側面穴上面の両側に設けられた案内溝内をスライドするように上部にスライダ板が配設されるとともに、前記スライダ板の下方に前記弾性部材と同じ数の突起を備えているので、前記押圧解除部材はインシュレータの外面に突出することなく前後方向へ円滑且つ確実にスライドさせることができるとともに、前記電線に対する弾性部材の圧接若しくは離間操作が極めて容易である。
【0024】
前記押圧解除部材は、前記円筒状のインシュレータ外面に適合するように、前記スライダ板を孤状に湾曲して形成しているため、平板状のスライダ板と比べてインシュレータ外面に余分な突起物が生じない。したがって、コネクタプラグ内におけるインシュレータの収容効率が向上する。
【0025】
前記押圧解除部材は、前記スライダ板下方の突起が前記インシュレータの側面穴に対して挿抜自在に挿入されるように形成したので、前記スライダ板や下方の突起が損壊したような時に新規部材と容易に交換することができ経済性に優れている。
【0026】
前記押圧解除部材は、前記スライダ板下方の突起先端にテーパを備えているので、前記押圧解除部材をスライドさせたとき、弾性部材の下に潜り込ませやすくして前記弾性部材をスムーズに電線から離間させることができる。
【0027】
前記弾性部材は、挿入方向に対し一個若しくは複数個配設されているので、一個は勿論、複数個の弾性部材をこれと同じ数の押圧解除部材の突起で同時に電線から押圧解除することができる。
【0028】
前記弾性部材は、略つノ字状に折り返しその先端が電線の挿入方向へ向けて配置されてなり、この略つノ字先端で、接触部に挿入した電線を該接触部に押圧し保持し、電線を引き抜く方向に力が働いたとき、該電線に食い込む構造を有するので、電線接続部側の接触部への接触が確実に行い得るとともに電線を保持する力を十分に確保することができる。しかも、電線の密着力が向上し、接触部側へ確実に接触保持させることができ、電線の引き抜きに対し、強力な保持機能をもたせることができる。
【0029】
前記コネクタプラグ内には複数のソケットまたはピンの接触部が設けられ、該接触部に挿入された複数本の電線を、前記各押圧解除部材をスライドさせることで前記接触部から弾性部材をそれぞれ離間させ引き抜くようにしたので、市販の圧着工具、例えば裸圧着端子またはスリーブ用の手動片手式内線工具等や、ドライバーやボルト等の解除器具を持ち歩かなくて済むものである。
【0030】
前記押圧解除部材は、スライダ板のスライド時に適正位置に留まるように、コネクタプラグ内にストッパを設けたので、前記弾性部材を過度に押し込みすぎて破損してしまうのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明を実施するためのコネクタプラグの一例を示す分解状態の斜視図である。
図2】コネクタプラグの一例を示すもので、(a)は平面図、(b)は背面図、(c)は正面図、(d)は側面図である。
図3図3中(a)は電線挿入前の側面から視た断面図、図3中(b)は正面から視た断面図である。
図4図4中(a)は電線挿入後の側面から視た断面図、図3中(b)は正面から視た断面図である。
図5】押圧解除部材の一例を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は底面図、(d)は背面図、(e)は左側面図、(f)は右側面図である。
図6図6中(a)は押圧解除部材の左側面方向から視た全体斜視図、図6中(b)は右側面方向から視た全体斜視図である。
図7図7中(a)は電線を差し込む前において、インシュレータの側面穴に付設された押圧解除部材が前方へスライドする前の状態を示す全体斜視図、図7中(b)は、電線を差し込むことにより、前記押圧解除部材が前方へスライドした後の状態を示す全体斜視図である。
図8】ソケットの接触部に電線を差し込む前の状態を示す部分断面図である。
図9】(a)は押圧解除部材の案内用突起の離間状態を示す断面図、(b)は押圧解除部材の案内用突起がストッパに係止された接触状態を示す断面図である。
図10】(a)は押圧解除部材の突起の電線を解除させる前の状態を示す斜視図、(b)は押圧解除部材の突起の電線を解除させた後の状態を示す斜視図である。
図11】(a)は押圧解除部材の突起の電線を解除させる前の状態を示す断面図、(b)は押圧解除部材の突起の電線を解除させた後の状態を示す断面図である。
図12】本発明の他の実施例を示す斜視図である。
図13】同じく本発明の他の実施例を示すもので、(a)は電線を挿入する前のコネクタプラグの側断面図、(b)は電線を挿入した後のコネクタプラグの側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照して本発明に係る電線差し込みコネクタプラグの実施の一形態を詳細に説明する。
【0033】
本実施形態のコネクタプラグPは、図1図2(a)、図2(b)、図2(c)、図2(d)、及び図3(a)、図3(b)、図4(a)、図4(b)に示すように、円筒状のプラグフレーム10の前端開口縁部内側に円筒状のバレル2の後端開口側縁部がパッキン7を介して係止され、外側から六角穴付き止めねじ9をねじ込むことにより当該バレル2の後端開口側縁部が固定され、さらにバレル2の外周にはカップリングナット4が覆設されてなる。このカップリングナット4内周面と前記バレル2外周面との間には若干の隙間が形成されており、不図示のレセプタクルにコネクタプラグPが接続されると当該レセプタクルのシェル前端部側が当該隙間に挿入される。
【0034】
また、前記バレル2の内側には、前側に円筒状合成樹脂製のフロントソケットインシュレータ1が、後側に円筒状合成樹脂製のリアソケットインシュレータ5が、ともに前後で重なるようにして嵌め込まれている。なお、図2中の符号6は、前記バレル2と前記リアソケットインシュレータ5との間に介装させたスプリングである。前記フロントソケットインシュレータ1とリアソケットインシュレータ5とには、これらを互いに貫通するように3個の挿入孔1a、1b、1cが穿設されている(図1図2(c)参照)。
【0035】
前記プラグフレーム10の後端開口側には、その外周縁部後端に円筒状のケーブルクランプ11が当該プラグフレーム10の後端開口側を覆うようにして嵌め込まれ、外側から六角穴付き止めねじ9をねじ込むことにより当該ケーブルクランプ11自体は前記プラグフレーム10に固定されている。また、プラグフレーム10の後端開口側からはゴムブッシング12が嵌挿され、当該ゴムブッシング12自体はプラグフレーム10とケーブルクランプ11とによって挟持されている。
【0036】
また、図3(a)、図3(b)、図4(a)、図4(b)に示すように、前記ケーブルクランプ11の後端部は小径筒状の延長部分11aが設けられ、且つこの延長部分11aの略半分(図2(b)中の上半分)が切欠されており、当該延長部分11aと前記ゴムブッシング12とに跨って、なべ小ねじ14により締結される上下一対の半月状枠部によって形成されたクランプ15が取付けられている。
【0037】
次に、ソケット8の構成について、図1図3図4図8図10図11に基づき詳細に説明すると、このソケット8は、不図示のピンコンタクトの接続部である有底筒状の割りスリーブ8aと、該割りスリーブ8a後端の抜け止め部8eを介して設けられた電線Kを載せる電線接続部側の接触部8bとの一体構造となっている。この接触部8bは円筒の上半分が切除されている。そして、図1に示すように、前記バレル2の後方側からフロントソケットインシュレータ1の各挿入孔1a、1b、1cに、前記ソケット8の割りスリーブ8a側を挿入する。このとき、各挿入孔1a、1b、1cにおいて、前記抜け止め部8eがフロントソケットインシュレータ1の後端部によって把持される。また、前記接触部8bはリアソケットインシュレータ5の内部空間Sに配置される(上記図3図4参照)。
【0038】
前記リアソケットインシュレータ5の内部空間Sに臨ませたソケット8の接触部8bには外皮を剥いた電線Kが挿入され、この挿入方向に対し隣接配置、すなわち接触部8bの上半分が切除された部位に前後一対の弾性部材(板バネ)16が配置され、弾性部材16の電線Kに対する押圧力で前記接触部8bと電線Kとが接触させられるようにしてある。例えば、図3図4図10図11に示すように、前記弾性部材16は、略つノ字状に折り返しその先端が電線Kの挿入方向へ向けて配置されてなり、この略つノ字先端は、電線Kを引き抜く方向に力が働いたとき、該電線Kに食い込む構造を有し、これにより接触部8bに挿入した電線Kを該接触部8bに保持する。この内部空間Sは、3つの挿入孔1a、1b、1cに対応して設けられ、各内部空間Sに臨ませたソケット8の接触部8bに弾性部材16が対向配置されている。
【0039】
図1図5図6図7図8図9に示すように、前記リアソケットインシュレータ5には金属部材若しくはプラスチック部材にて形成された押圧解除部材17が付設されている。すなわち、図5図6に示すように、前記押圧解除部材17は、前記円筒状のリアソケットインシュレータ5の外周面に沿う円弧状となってスライダ板17aが形成され、その幅方向の両側には、前記リアソケットインシュレータ5の側面穴18の両側に形成されたレール状の案内溝5a内において、前後方向にスライドされるよう案内用突起17dがそれぞれ突設されている。そして、前記押圧解除部材17のスライダ板17aの下面中央の前後部位には、前記リアソケットインシュレータ5の側面穴18に挿入されて前記弾性部材16の下側に潜り込ませるための一対の突起17b、17cが形成されている。すなわち、前記押圧解除部材17の突起17b、17cが側面穴18を介して弾性部材16と交差する位置まで入れ込まれるものとなっている。
【0040】
この場合、前記リアソケットインシュレータ5の側面穴18が前記フロントソケットインシュレータ1の3つの挿入孔1a、1b、1cに対応して設けられ、図10図11に示すように、この押圧解除部材17を電線Kの差し込み方に沿ってスライドさせることで、弾性部材16の付勢力に抗して前記接触部8bから当該弾性部材16を離間させ電線Kを容易に抜くことができる。
【0041】
また、前記押圧解除部材17は、前記リアソケットインシュレータ5の内部空間Sに配した一対の弾性部材16と同じ数の突起17b、17cを有し、該突起17b、17cのそれぞれの先端には前記弾性部材16をスムーズに持ち上げるために先端周囲エッジを面取りした1方向のテーパ19、19を備えている。なお、前記押圧解除部材17は、複数の前記接触部8bと同じ数だけコネクタプラグP内部に配置されたリアソケットインシュレータ5の複数の側面穴18に付設されている。
【0042】
前記押圧解除部材17は、前方へのスライド時に適宜位置を保持するように、コネクタプラグP内のフロントソケットインシュレータ1の端部にストッパ20を備えている。このストッパ20は、押圧解除部材17が弾性部材16を押し込みすぎて破損させてしまうのを防止する機能を有する。
【0043】
具体的には、図9(a)、(b)に示すように、電線Kから弾性部材16を解除させるときの押圧解除部材17のストロークは0.5~1mm程度に設定する。さらに押し込もうとすると、押圧解除部材17は前述のストッパ20に当り、それ以上の移行が阻止され、前記破損が生じないよう適正位置に留まる。
【0044】
次に、以上のように構成された形態についての使用の一例について説明すると、前記リアソケットインシュレータ5の内部空間Sに臨ませたソケット8の接触部8bに電線Kが挿入されると、図10図11に示すように、弾性部材16が押圧され、その反作用で電線Kは前記接触部8bに接触保持させられる。この場合、ソケット8の接触部8bは、複数本の電線Kを各側面穴18から同時挿入して接触できるよう前記リアソケットインシュレータ5の各内部空間Sに設けられている。
【0045】
電線誤挿入時や接続変更時には、リアソケットインシュレータ5の押圧解除部材17のスライダ板17aをスライドし、当該押圧解除部材17の下方に設けられた2つの突起17b、17cのそれぞれ先端に形成された1方向のテーパ19、19が、弾性部材16をその付勢力に抗して円滑且つ確実に持ち上げることができ、これによって前記接触部8bから電線Kを容易に引き抜くことができるものとなっている。
【0046】
なお、図12図13に示すように、コネクタプラグPは、メスタイプのソケット8ではなく、オスタイプのピン21のコネクタプラグPにも適用可能である。すなわち、ソケット8の割りスリーブ8aの替わりにピン21を設け、前記フロントピンインシュレータ22の挿入孔1a、1b、1cに挿入する。図13中23はリアピンインシュレータである。その他の構成は上記本実施形態と同じなのでその詳細な説明を省略する。
【符号の説明】
【0047】
P コネクタプラグ
S 内部空間
K 電線
1 フロントソケットインシュレータ
1a、1b、1c 挿入孔
2 バレル
4 カップリングナット
5 リアソケットインシュレータ
5a 案内溝
6 スプリング
7 パッキン
8 ソケット
8a 割りスリーブ
8b 接触部
8e 抜け止め部
9 六角穴付き止めねじ
10 プラグフレーム
11 ケーブルクランプ
11a 延長部分
12 ゴムブッシング
14 なべ小ねじ
15 クランプ
16 弾性部材
17 押圧解除部材
17a スライダ板
17b、17c 突起
17d 案内用突起
18 側面穴
19 テーパ
20 ストッパ
21 ピン
22 フロントピンインシュレータ
23 リアピンインシュレータ
【要約】
【課題】電気的接続解除がワンタッチで行い得るものとし、コストアップやコネクタプラグの大型化を回避でき、取付け作業性に優れた電線差し込みコネクタプラグを提供する。
【解決手段】コネクタプラグP内に配したソケット8の電線接続部側の接触部8bに電線Kを挿入し、この電線Kに対する押圧力で前記接触部8bと電線Kとが接触させられるよう挿入方向に対し配置された弾性部材16と、リアソケットインシュレータ5に形成された側面穴18に挿入され前後方向にスライド可能とした押圧解除部材17が付設されており、前記押圧解除部材17は、前記弾性部材16の下に潜り込ませる突起17b、17cをスライダ板17a下方に備え、前記押圧解除部材17を一方向にスライドさせることでその付勢力に抗して前記接触部8bから当該弾性部材16を離間させ電線Kを引き抜くように構成する。
【選択図】図10
図1
図2
図3
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図5
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図8
図9
図10
図11
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図13