(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-28
(45)【発行日】2022-02-07
(54)【発明の名称】ナノ粒子イムノコンジュゲート
(51)【国際特許分類】
A61K 47/68 20170101AFI20220131BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20220131BHJP
A61K 47/52 20170101ALI20220131BHJP
A61K 47/69 20170101ALI20220131BHJP
A61K 47/65 20170101ALI20220131BHJP
A61K 51/12 20060101ALI20220131BHJP
A61K 51/10 20060101ALI20220131BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20220131BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220131BHJP
A61K 103/00 20060101ALN20220131BHJP
A61K 103/10 20060101ALN20220131BHJP
A61K 103/20 20060101ALN20220131BHJP
A61K 103/30 20060101ALN20220131BHJP
A61K 103/32 20060101ALN20220131BHJP
A61K 103/34 20060101ALN20220131BHJP
A61K 103/36 20060101ALN20220131BHJP
A61K 103/40 20060101ALN20220131BHJP
【FI】
A61K47/68
A61K39/395 N
A61K47/52
A61K47/69
A61K47/65
A61K51/12
A61K51/10 100
A61K51/10 200
A61K45/00
A61P35/00
A61K103:00
A61K103:10
A61K103:20
A61K103:30
A61K103:32
A61K103:34
A61K103:36
A61K103:40
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021014331
(22)【出願日】2021-02-01
(62)【分割の表示】P 2017552058の分割
【原出願日】2016-04-07
【審査請求日】2021-03-03
(32)【優先日】2015-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2015-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500213834
【氏名又は名称】メモリアル スローン ケタリング キャンサー センター
(73)【特許権者】
【識別番号】508057896
【氏名又は名称】コーネル・ユニバーシティー
【氏名又は名称原語表記】CORNELL UNIVERSITY
(73)【特許権者】
【識別番号】504238378
【氏名又は名称】ザ キュレイターズ オブ ザ ユニバーシティ オブ ミズーリ
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】バーニー ヨー
(72)【発明者】
【氏名】トム クイン
(72)【発明者】
【氏名】ミシェル ブラッドベリー
(72)【発明者】
【氏名】ウルリッヒ ウィーズナー
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン ルイス
(72)【発明者】
【氏名】カイ マ
(72)【発明者】
【氏名】フェン チェン
【審査官】山村 祥子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/145606(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0222595(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0274617(US,A1)
【文献】J. Histochem. Cytochem., (2000), 48, [4], p.471-480
【文献】1.8nm Ni-NTA-Nanogold, Nanoprobes, (2009), Rev.2.1, p.1-6
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 47/00
A61K 39/395
A61K 45/00
A61K 51/00
A61P 35/00
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機ポリマーによりコーティングされているナノ粒子;
前記有機ポリマーによりコーティングされたナノ粒子にコンジュゲートされている抗体断片;および
リンカーを介して前記有機ポリマーによりコーティングされたナノ粒子にコンジュゲートされている治療剤
を含む、イムノコンジュゲートであって、
該ナノ粒子が、20ナノメートル以下の直径を有し、
該ナノ粒子が、シリカをベースとするコアおよび該コアの少なくとも一部を取り囲むシリカシェルを含み、
該抗体断片が一本鎖可変断片(scFv)であり、
該有機ポリマーがポリエチレングリコール(PEG)である、イムノコンジュゲート。
【請求項2】
前記リンカーが切断可能なリンカーである、請求項1に記載のイムノコンジュゲート。
【請求項3】
前記切断可能なリンカーが、ペプチドリンカー、ヒドラジンリンカーおよびジスルフィドリンカーからなる群から選択される、請求項2に記載のイムノコンジュゲート。
【請求項4】
前記リンカーがペプチドリンカーである、請求項1に記載のイムノコンジュゲート。
【請求項5】
前記リンカーが、リソソームのプロテアーゼにより切断されるペプチドリンカーである、請求項1に記載のイムノコンジュゲート。
【請求項6】
前記リソソームのプロテアーゼがカテプシン-Bである、請求項5に記載のイムノコンジュゲート。
【請求項7】
前記リンカーがジペプチドリンカーである、請求項1に記載のイムノコンジュゲート。
【請求項8】
前記ジペプチドリンカーが、バリン-シトルリンリンカーである、請求項7に記載のイムノコンジュゲート。
【請求項9】
前記抗体断片が、25kDa~30kDaである、請求項1に記載のイムノコンジュゲート。
【請求項10】
前記ナノ粒子が、前記コア内に蛍光化合物を含む、請求項1に記載のイムノコンジュゲート。
【請求項11】
前記ナノ粒子が、それに付加されている1~10個の抗体断片を有する、請求項1に記載のイムノコンジュゲート。
【請求項12】
前記ナノ粒子が、15ナノメートル以下の直径を有する、請求項1に記載のイムノコンジュゲート。
【請求項13】
前記ナノ粒子が、1nm~20nmの範囲の直径を有する、請求項1に記載のイムノコンジュゲート。
【請求項14】
前記抗体断片が抗VEGF-Aを含む、請求項1に記載のイムノコンジュゲート。
【請求項15】
前記イムノコンジュゲートが1つまたは複数のイメージング剤を含む、請求項1に記載のイムノコンジュゲート。
【請求項16】
前記1つまたは複数のイメージング剤がPETトレーサーを含む、請求項15に記載のイムノコンジュゲート。
【請求項17】
前記1つまたは複数のイメージング剤がフルオロフォアを含む、請求項15に記載のイムノコンジュゲート。
【請求項18】
前記治療剤が化学療法薬を含む、請求項1に記載のイムノコンジュゲート。
【請求項19】
前記治療剤が放射性同位体を含む、請求項1に記載のイムノコンジュゲート。
【請求項20】
前記放射性同位体が、
99m
Tc、
111
In、
64
Cu、
67
Ga、
186
Re、
188
Re、
153
Sm、
177
Lu、
67
Cu、
123
I、
124
I、
125
I、
11
C、
13
N、
15
O、
18
F、
186
Re、
188
Re、
153
Sm、
166
Ho、
177
Lu、
149
Pm、
90
Y、
213
Bi、
103
Pd、
109
Pd、
159
Gd、
140
La、
198
Au、
199
Au、
169
Yb、
175
Yb、
165
Dy、
166
Dy、
67
Cu、
105
Rh、
111
Ag、
89
Zr、
225
Ac、および
192
Irからなる群から選択される、請求項19に記載のイムノコンジュゲート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2015年4月7日に出願された米国出願番号第62/144,278号お
よび2015年4月23日に出願された米国出願番号第62/151,943号の利益を
主張しており、これら出願の開示は、それらの全体が参考として本明細書によって援用さ
れる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、一般に、例えば、がんおよび他の疾患の検出、予防および/または処置のた
めに有用な、ナノ粒子イムノコンジュゲート(例えば、直径が20ナノメートル未満)に
関する。
【0003】
(政府の財政支援)
本発明は、NIHにより授与された助成番号U54 CA199081-01の元、政
府支援を受けてなされた。政府は、本発明においてある特定の権利を有する。
【背景技術】
【0004】
(背景)
ナノ治療および/または診断の送達用ビヒクルは、通常、サイズが1~1,000nm
の範囲にあるマクロ分子または超分子の多成分系であり、これらの系は、本質的に治療用
(例えば、非活性な医薬品成分)送達系であるか、または治療用もしくは診断用送達系と
して機能するかのどちらかである。現在のところ、リポソームナノ粒子およびバイオロジ
クスは、様々なタイプのがんを処置および/または検出するために使用される、FDAに
より承認された製品または臨床試験における製品の大きな割合を構成するが、いくつかの
ポリマーをベースとする粒子製剤は、現在、臨床初期相にある。
【0005】
ナノ治療用送達系にとって望ましい候補は、制御された様式で薬物化合物を取り込み、
および放出するという共通した特徴を共有しており、このことは、好都合なことに、標的
外のものに対する毒性を最小にしながら、薬物生物学的体利用能および薬物動態を変える
ことができる。理想的には、イメージング用標識を、ナノ治療用送達系中に取り込ませ、
疾患部位におけるその精密な局在化および保持を評価する。
【0006】
しかし、これらの系は、異なる機構を使用して機能する。例えば、抗体薬物コンジュゲ
ート(ADC)は、主として、腫瘍細胞への能動的な標的化および薬物分子の条件付き放
出により、より低い薬物毒性を実現する。細胞表面の抗原に結合すると、細胞内在化およ
びエンドソームの取込み後に、活性薬物の放出が起こる。一方、より大きなペイロード(
ドキシルの場合、約10,000の薬物分子)またはイメージング剤を受動的に担持させ
た、通常、かなり大きなアセンブルされた複合体(約20~150nmの直径)である、
リポソームおよびポリマーをベースとする薬物送達系は、一般に、標的化能力が欠如して
いる(BIND-014は、例外である)。したがって、これらの複合体は、ナノ製剤化
薬物の送達を成功させるために、周知の血管透過性および滞留性の亢進(EPR)効果に
主に依存している。リポソームの介在性透過は、そのサイズのために不良となることがあ
り、一方、遊離薬物は、完全には理解されていない様々な機構によって放出される。例え
ば、アブラキサン(約140nm)は、疎水性化合物の生体利用能を増強するために、異
なる手法に依存している。この場合、アルブミンおよび薬物(パクリタキセル)の特定の
製剤は、初期複合体を形成し、次に、この複合体は、注射すると、より小さなタンパク質
-薬物凝集体に分散すると推定されている。
【0007】
転移性疾患は、免疫療法により効果的に処置され得る。しかし、抗原の変異の欠如また
はがんの免疫回避特性のため、多くの部分集団は応答しない。さらに、放射線療法(RT
)はがんの標準的処置であるが、局所再発(local failure)が起こる。前
臨床データにより、RTは免疫療法の全身的有効性を賦活することができ、一方、生得お
よび適応免疫系の活性化は、RTの局所有効性を増強することができることが示される。
【0008】
がんおよび他の疾患の検出、予防および/または処置のために使用することができるプ
ラットフォームが依然として必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
(要旨)
標的化された診断および/または治療プラットフォームのための標的特異的ナノ粒子イ
ムノコンジュゲート(例えば、粒子表面に結合された一本鎖抗体断片)が、本明細書に記
載されている。ある特定の実施形態では、ナノ粒子イムノコンジュゲートは、直径が20
nm未満(例えば、6~10nm)である。この小さなサイズは、治療用途および/また
はイメージング用途において、利点をもたらすことが見出されている。例えば、開示され
ているイムノコンジュゲートは、罹患組織の標的化の改善をもたらし、器官による(例え
ば、肝臓による)非特異的取込みを低減することができる。より小さなイムノコンジュゲ
ートはまた、免疫反応性の低下を示す、これにより、さらに有効性が改善される可能性が
ある。
【0010】
同様に、イムノコンジュゲートおよび治療用放射性同位体を含む多重治療プラットフォ
ームが、本明細書に記載されている。ある特定の実施形態では、イムノコンジュゲートお
よび治療用放射性同位体は、放射線療法と免疫療法とを組み合わせた相乗効果が得られる
ように、併せて送達される。ある特定の実施形態では、抗体断片および治療用放射性同位
体はナノ粒子に付加され、これにより、標的特異的ナノ粒子イムノコンジュゲートが生じ
る。所与のナノ粒子は、それに付加されている放射性核種(放射性同位体)ならびに抗体
(および/または抗体断片)の両方を有することができる(この場合、イムノコンジュゲ
ートは放射性イムノコンジュゲートである)。同様に、一部の実施形態では、投与される
ナノ粒子の一部分は、それに付加された放射性核種を有する(共有結合もしくは非共有結
合により、または他にはナノ粒子と会合している)一方、他の投与されるナノ粒子は、抗
体断片に付加されている。同様に、様々な実施形態では、既存の(例えば、従来の)放射
治療を本明細書に記載されているナノ粒子イムノコンジュゲートの投与と組み合わせるか
、または既存の(例えば、従来の)免疫療法をナノ粒子放射性コンジュゲート(放射性同
位体と結合したナノ粒子)の投与と組み合わせる、併用療法が含まれる。
【0011】
ある特定の実施形態である、標的特異的ナノ粒子イムノコンジュゲートは、標的化ペプ
チドを含む。ある特定の実施形態では、治療用放射性同位体は、標的特異的ナノ粒子イム
ノコンジュゲートとは別個に送達(deliver)される(例えば、放射線療法によって、ま
たは別個の標的特異的ナノ粒子への付加によって)。ある特定の実施形態では、免疫療法
は、標的特異的イムノコンジュゲートとは別個に行われる(deliver)。ある特定の実施
形態では、抗体断片は、1つのポリエチレングリコール(PEG)部分(特定のキレート
剤により)に付加され、放射性同位体は、別のPEG部分(別のキレート剤により)に付
加されている。PEG部分は、次に、ナノ粒子に付加されている。
【0012】
一つの態様では、本発明は、ナノ粒子、および
前記ナノ粒子にコンジュゲートされている抗体断片
を含むイムノコンジュゲートであって、
前記ナノ粒子が、(例えば、水溶液中、例えば生理食塩水溶液中、動的光散乱法(DL
S)により測定して)20ナノメートル以下の直径(例えば、平均直径)を有する(例え
ば、前記平均ナノ粒子径は1~20nm、例えば1~15nm、例えば1~10nm、例
えば1~8nm、例えば4~10nm、例えば4~8nmである)(例えば、前記イムノ
コンジュゲートは、50nm以下、例えば40nm以下、例えば30nm以下、例えば2
0nm以下、例えば15nm以下、例えば10nm以下の平均直径を有する)、
イムノコンジュゲートに関する。
【0013】
ある特定の実施形態では、前記抗体断片は、リンカーにより前記ナノ粒子に共有結合も
しくは非共有結合しているか、または前記ナノ粒子に共有結合もしくは非共有結合により
直接結合しているか、または例えばファンデルワールス力により、前記ナノ粒子、もしく
は前記ナノ粒子を取り囲む組成物と会合している。
【0014】
ある特定の実施形態では、前記ナノ粒子は、有機ポリマー(例えば、ポリエチレングリ
コール(PEG))によりコーティングされている(例えば、イムノコンジュゲートはキ
レート剤を含む)。
【0015】
ある特定の実施形態では、標的化ペプチド(例えば、アルファMSH、免疫調節性およ
び抗炎症性の性質があることが公知の任意のペプチド)。
【0016】
ある特定の実施形態では、前記抗体断片は、約5kDa~約25kDa(例えば、約1
0kDa~約20kDa、例えば、約15kDa)の範囲にある(例えば、前記抗体断片
は、機能的な単一ドメイン抗体断片を含む)。
【0017】
ある特定の実施形態では、前記抗体断片は、約20kDa~約45kDa(例えば、約
25kDa~約30kDa)である(例えば、前記抗体断片は、機能的な一本鎖抗体断片
を含む)。
【0018】
ある特定の実施形態では、前記抗体断片は、約40kDa~約80kDa(例えば、約
50kDa~約70kDa、例えば、約60kDa)である(例えば、前記抗体断片は、
機能的なfab断片を含む)。
【0019】
ある特定の実施形態では、前記ナノ粒子はシリカを含む。
【0020】
ある特定の実施形態では、前記ナノ粒子は、シリカをベースとするコア、および前記コ
アの少なくとも一部を取り囲むシリカシェルを含む。
【0021】
ある特定の実施形態では、前記ナノ粒子は、前記コア内に蛍光化合物を含む。
【0022】
ある特定の実施形態では、前記抗体断片は、組換え抗体断片(fAb)、一本鎖可変断
片(scFv)および単一ドメイン抗体(sdAb)断片からなるセットから選択される
メンバーである。
【0023】
ある特定の実施形態では、前記抗体断片は、一本鎖可変断片(scFv)である。
【0024】
ある特定の実施形態では、前記抗体断片は、単一ドメイン(sdAb)断片である。
【0025】
ある特定の実施形態では、前記ナノ粒子(単一ナノ粒子)は、それに付加されている1
~10個の抗体断片(例えば1~7個、例えば、1~5個、例えば2~7個、例えば2~
5個、例えば1~4個、例えば2~4個)を有する。
【0026】
ある特定の実施形態では、前記抗体断片は、PEG部分およびキレート剤によって、前
記ナノ粒子にコンジュゲートされている。
【0027】
ある特定の実施形態では、前記ナノ粒子は、15ナノメートル以下(例えば、13ナノ
メートル以下、例えば、10ナノメートル以下)の直径(例えば、平均直径)を有する。
【0028】
ある特定の実施形態では、前記ナノ粒子は、1nm~20nm(例えば、2nm~15
nm、例えば5nm~15nm、例えば1nm~10nm、例えば2nm~10nm、例
えば5nm~10nm)の範囲にある直径(例えば、平均直径)を有する。
【0029】
ある特定の実施形態では、前記抗体断片は、抗CEA scFv、抗GPIIb/II
Ia、抗VEGF-Aおよび抗TNF-α(例えば、PEG化)からなるセットから選択
されるメンバーを含む。
【0030】
ある特定の実施形態では、前記イムノコンジュゲートは、1つまたは複数のイメージン
グ剤を含む(例えば、前記ナノ粒子内か、前記ナノ粒子に付加されているか、そして/ま
たは前記抗体断片に付加されている)。
【0031】
ある特定の実施形態では、前記1つまたは複数のイメージング剤は、PETトレーサー
(例えば、89Zr、64Cuおよび/または[18F]フルオロデオキシグルコース)
を含む。
【0032】
ある特定の実施形態では、前記1つまたは複数のイメージング剤は、フルオロフォア(
例えば、シアニン)を含む。
【0033】
ある特定の実施形態では、前記イムノコンジュゲートは、治療剤をさらに含む(例えば
、前記治療剤は、前記ナノ粒子に、または前記抗体断片に、または前記ナノ粒子と前記抗
体断片の両方に付加されており、例えば、前記付加は、共有結合または非共有結合である
)。
【0034】
ある特定の実施形態では、前記治療剤は、化学療法薬(例えば、ソラフェニブ、パクリ
タキセル、ドセタキセル、MEK162、エトポシド、ラパチニブ、ニロチニブ、クリゾ
チニブ、フルベストラント、ベムラフェニブ、ベキソロテンおよび/またはカンプトテシ
ン)を含む。
【0035】
ある特定の実施形態では、前記治療剤は、放射性同位体を含む(例えば、前記放射性同
位体は、第2のキレート剤により、前記ナノ粒子に付加されている)(例えば、前記放射
性同位体は、治療用放射性同位体である)。
【0036】
ある特定の実施形態では、前記放射性同位体は、99mTc、111In、64Cu、
67Ga、186Re、188Re、153Sm、177Lu、67Cu、123I、1
24I、125I、11C、13N、15O、18F、186Re、188Re、153
Sm、166Ho、177Lu、149Pm、90Y、213Bi、103Pd、109
Pd、159Gd、140La、198Au、199Au、169Yb、175Yb、1
65Dy、166Dy、67Cu、105Rh、111Ag、89Zr、225Acおよ
び192Irからなる群から選択されるメンバーである。
【0037】
別の態様では、本発明は、疾患または状態を処置する方法であって、前記イムノコンジ
ュゲートを含む医薬組成物を(例えば、特定のタイプの組織、例えばがんを標的とするた
め)対象に投与するステップを含む、方法に関する。
【0038】
ある特定の実施形態では、前記方法は、治療用放射性同位体(例えば、前記治療用放射
性同位体は、(例えば、水溶液中、例えば生理食塩水溶液中、動的光散乱法(DLS)に
より測定して)20ナノメートル以下の直径(例えば、平均直径)を有する第2のナノ粒
子に付加されている(例えば、前記放射性同位体は、第2のキレート剤によって前記第2
のナノ粒子に付加されている))(例えば、前記第2のナノ粒子は、1~20nm、例え
ば1~15nm、例えば1~10nm、例えば1~8nm、例えば4~10nm、例えば
4~8nmの直径を有する)を投与するステップを含む。
【0039】
別の態様では、本発明は、疾患または状態を処置する方法であって、前記イムノコンジ
ュゲートを含む医薬組成物を(例えば、放射線療法と免疫療法とを組み合わせる場合)(
例えば、特定のタイプの組織、例えばがんを標的とするため)対象に投与するステップを
含む、方法に関する。
【0040】
ある特定の実施形態では、前記医薬組成物は、担体をさらに含む。
【0041】
別の態様では、本発明は、in vivoでイメージングする(例えば、手術中にイメ
ージングする)方法であって、前記イムノコンジュゲートを含む組成物を(例えば、前記
イムノコンジュゲートは、特定の領域、例えば特定の組織タイプ、例えばがんの近傍また
はその内部に優先的に集積するように)対象に投与するステップであって、前記イムノコ
ンジュゲートがイメージング剤を含む、ステップ、および前記イメージング剤を(例えば
、PET、X線、MRI、CTなどにより)検出するステップを含む方法に関する。
【0042】
別の態様では、本発明は、前記イムノコンジュゲートを作製する方法であって、ナノ粒
子-PEG-チオールにタンパク質-マレイミドを接触させ、これにより、前記イムノコ
ンジュゲートを生成するステップを含む方法に関する。
【0043】
ある特定の実施形態では、前記方法は、前記ナノ粒子を、チオール部分およびアミン部
分(例えば、システインメチルエステルまたはシステアミン-HCl)を含む1つまたは
複数の化合物と反応させ、これにより、ナノ粒子-PEG-アミンを生成するステップ、
前記ナノ粒子-PEG-アミンをSPDPと反応させ、次に、生成物からピリジン2-チ
オンを(例えば、TCEPを使用して)除去し、これにより前記ナノ粒子-PEG-チオ
ールを生成するステップをさらに含む。
【0044】
別の態様では、本発明は、前記イムノコンジュゲートを作製する方法であって、前記抗
体断片(タンパク質)を第1のクリック反応性基(例えば、メチルテトラジン-PEG4
-NHSエステル)により修飾するステップ、ナノ粒子-PEG-アミンを前記第1のク
リック反応性基のクリックパートナー(例えば、TCO-PEG4-NHSエステル)に
より修飾するステップ、および前記修飾抗体断片を前記修飾ナノ粒子-PEGと反応させ
、これにより、前記イムノコンジュゲートを生成するステップを含む方法に関する。
【0045】
ある特定の実施形態では、前記方法は、前記ナノ粒子を、チオール部分およびアミン部
分(例えば、システインメチルエステルまたはシステアミン-HCl)を含む、1つまた
は複数の化合物と反応させ、これにより、前記ナノ粒子-PEG-アミンを生成するステ
ップをさらに含む。
【0046】
別の態様では、本発明は、疾患または状態を処置する方法であって、
ナノ粒子、および
前記ナノ粒子にコンジュゲートされている治療用放射性同位体(例えば、リンカーによ
り前記ナノ粒子に共有結合もしくは非共有結合しているか、または前記ナノ粒子に共有結
合もしくは非共有結合により直接結合しているか、または例えばファンデルワールス力に
より、前記ナノ粒子、もしくは前記ナノ粒子を取り囲む組成物と会合している)
を含む組成物(例えば、医薬組成物)を、(例えば、特定のタイプの組織、例えばがんを
標的とするため)対象に投与するステップを含み、
前記ナノ粒子が、(例えば、水溶液中、例えば生理食塩水溶液中、動的光散乱法(DL
S)により測定して)20ナノメートル以下の直径(例えば、平均直径)を有する(例え
ば、前記平均ナノ粒子径は1~20nm、例えば1~15nm、例えば1~10nm、例
えば1~8nm、例えば4~10nm、例えば4~8nmである)、方法に関する。
【0047】
ある特定の実施形態では、前記方法は、免疫療法を投与するステップ(例えば、前記免
疫療法は、前記イムノコンジュゲートを含む医薬組成物を対象に投与するステップを含む
)を含む。
【0048】
別の態様では、本発明は、対象において、疾患または状態を処置する方法において使用
するためのイムノコンジュゲートであって、前記イムノコンジュゲートが、
ナノ粒子、および
前記ナノ粒子にコンジュゲートされている抗体断片(例えば、リンカーにより前記ナノ
粒子に共有結合もしくは非共有結合しているか、または前記ナノ粒子に共有結合もしくは
非共有結合により直接結合しているか、または例えばファンデルワールス力により、前記
ナノ粒子、もしくは前記ナノ粒子を取り囲む組成物と会合している)
を含み、
前記ナノ粒子が、(例えば、水溶液中、例えば生理食塩水溶液中、動的光散乱法(DL
S)により測定して)20ナノメートル以下の直径(例えば、平均直径)を有し(例えば
、前記平均ナノ粒子径は1~20nm、例えば1~15nm、例えば1~10nm、例え
ば1~8nm、例えば4~10nm、例えば4~8nmである)(例えば、前記イムノコ
ンジュゲートは、50nm以下、例えば40nm以下、例えば30nm以下、例えば20
nm以下、例えば15nm以下、例えば10nm以下の平均直径を有する)(例えば、前
記ナノ粒子は、有機ポリマー(例えば、ポリエチレングリコール(PEG))によりコー
ティングされている)(例えば、イムノコンジュゲートはキレート剤を含む)、
前記処置が、
前記対象に前記イムノコンジュゲートを送達するステップ、および
治療用放射性同位体(例えば、前記治療用放射性同位体は、(例えば、水溶液中、例え
ば生理食塩水溶液中、動的光散乱法(DLS)により測定して)20ナノメートル以下の
直径(例えば、平均直径)を有する第2のナノ粒子に付加されている(例えば、前記放射
性同位体は、第2のキレート剤によって前記第2のナノ粒子に付加されている))を送達
するステップ
を含む、イムノコンジュゲートに関する。
【0049】
別の態様では、本発明は、 対象において、疾患または状態を処置する方法において使
用するためのイムノコンジュゲートであって、前記イムノコンジュゲートが、
ナノ粒子、
治療用放射性同位体(例えば、前記放射性同位体は、第2のキレート剤により、前記ナ
ノ粒子に付加されている)(例えば、前記放射性同位体は、治療用放射性同位体である)
、および
前記ナノ粒子にコンジュゲートされている抗体断片(例えば、リンカーにより前記ナノ
粒子に共有結合もしくは非共有結合しているか、または前記ナノ粒子に共有結合もしくは
非共有結合により直接結合しているか、または例えばファンデルワールス力により、前記
ナノ粒子、もしくは前記ナノ粒子を取り囲む組成物と会合している)
を含み、
前記ナノ粒子が、(例えば、水溶液中、例えば生理食塩水溶液中、動的光散乱法(DL
S)により測定して)20ナノメートル以下の直径(例えば、平均直径)を有し(例えば
、前記平均ナノ粒子径は1~20nm、例えば1~15nm、例えば1~10nm、例え
ば1~8nm、例えば4~10nm、例えば4~8nmである)(例えば、前記イムノコ
ンジュゲートは、50nm以下、例えば40nm以下、例えば30nm以下、例えば20
nm以下、例えば15nm以下、例えば10nm以下の平均直径を有する)(例えば、前
記ナノ粒子は、有機ポリマー(例えば、ポリエチレングリコール(PEG))によりコー
ティングされている)(例えば、イムノコンジュゲートはキレート剤を含む)、
前記処置が、
前記対象に前記イムノコンジュゲートを送達するステップ
を含む、イムノコンジュゲートに関する。
【0050】
別の態様では、本発明は、対象において、疾患または状態をin vivo診断する方
法において使用するためのイムノコンジュゲートであって、前記イムノコンジュゲートが
、
ナノ粒子、および
前記ナノ粒子にコンジュゲートされている抗体断片(例えば、リンカーにより前記ナノ
粒子に共有結合もしくは非共有結合しているか、または前記ナノ粒子に共有結合もしくは
非共有結合により直接結合しているか、または例えばファンデルワールス力により、前記
ナノ粒子、もしくは前記ナノ粒子を取り囲む組成物と会合している)
を含み、
前記ナノ粒子が、(例えば、水溶液中、例えば生理食塩水溶液中、動的光散乱法(DL
S)により測定して)20ナノメートル以下の直径(例えば、平均直径)を有し(例えば
、前記平均ナノ粒子径は1~20nm、例えば1~15nm、例えば1~10nm、例え
ば1~8nm、例えば4~10nm、例えば4~8nmである)(例えば、前記イムノコ
ンジュゲートは、50nm以下、例えば40nm以下、例えば30nm以下、例えば20
nm以下、例えば15nm以下、例えば10nm以下の平均直径を有する)(例えば、前
記ナノ粒子は、有機ポリマー(例えば、ポリエチレングリコール(PEG))によりコー
ティングされている)(例えば、イムノコンジュゲートはキレート剤を含む)、
前記イムノコンジュゲートが、イメージング剤を含み、
前記in vivo診断が、
前記対象に前記イムノコンジュゲートを送達するステップ、および
前記イメージング剤を(例えば、PET、X線、MRI、CTなどにより)検出するス
テップ
を含む、イムノコンジュゲートに関する。
【0051】
別の態様では、本発明は、(a)対象において、疾患もしくは状態を処置する方法、ま
たは(b)対象において疾患または状態をin vivo診断する方法において使用する
ためのイムノコンジュゲートであって、前記イムノコンジュゲートが、
ナノ粒子、および
前記ナノ粒子にコンジュゲートされている抗体断片(例えば、リンカーにより前記ナノ
粒子に共有結合もしくは非共有結合しているか、または前記ナノ粒子に共有結合もしくは
非共有結合により直接結合しているか、または例えばファンデルワールス力により、前記
ナノ粒子、もしくは前記ナノ粒子を取り囲む組成物と会合している)
を含み、
前記ナノ粒子が、(例えば、水溶液中、例えば生理食塩水溶液中、動的光散乱法(DL
S)により測定して)20ナノメートル以下の直径(例えば、平均直径)を有し(例えば
、前記平均ナノ粒子径は1~20nm、例えば1~15nm、例えば1~10nm、例え
ば1~8nm、例えば4~10nm、例えば4~8nmである)(例えば、前記イムノコ
ンジュゲートは、50nm以下、例えば40nm以下、例えば30nm以下、例えば20
nm以下、例えば15nm以下、例えば10nm以下の平均直径を有する)(例えば、前
記ナノ粒子は、有機ポリマー(例えば、ポリエチレングリコール(PEG))によりコー
ティングされている)(例えば、イムノコンジュゲートはキレート剤を含む)、
前記イムノコンジュゲートが、イメージング剤を含み、
前記方法が、
前記イムノコンジュゲートを含む医薬組成物を、(例えば、特定のタイプの組織、例え
ばがんを標的とするため)対象に投与するステップ、および
任意選択で、前記イメージング剤を(例えば、PET、X線、MRI、CTなどにより
)検出するステップ
を含む、イムノコンジュゲートに関する。
【0052】
別の態様では、本発明は、治療において使用するためのイムノコンジュゲートであって
、前記イムノコンジュゲートが、
ナノ粒子、および
前記ナノ粒子にコンジュゲートされている抗体断片(例えば、リンカーにより前記ナノ
粒子に共有結合もしくは非共有結合しているか、または前記ナノ粒子に共有結合もしくは
非共有結合により直接結合しているか、または例えばファンデルワールス力により、前記
ナノ粒子、もしくは前記ナノ粒子を取り囲む組成物と会合している)
を含み、
前記ナノ粒子が、(例えば、水溶液中、例えば生理食塩水溶液中、動的光散乱法(DL
S)により測定して)20ナノメートル以下の直径(例えば、平均直径)を有する(例え
ば、前記平均ナノ粒子径は1~20nm、例えば1~15nm、例えば1~10nm、例
えば1~8nm、例えば4~10nm、例えば4~8nmである)(例えば、前記イムノ
コンジュゲートは、50nm以下、例えば40nm以下、例えば30nm以下、例えば2
0nm以下、例えば15nm以下、例えば10nm以下の平均直径を有する)(例えば、
前記ナノ粒子は、有機ポリマー(例えば、ポリエチレングリコール(PEG))によりコ
ーティングされている)(例えば、イムノコンジュゲートはキレート剤を含む)、
イムノコンジュゲートに関する。
【0053】
別の態様では、本発明は、 治療において使用するためのイムノコンジュゲートであっ
て、前記イムノコンジュゲートが、
ナノ粒子、
治療用放射性同位体(例えば、前記放射性同位体は、第2のキレート剤により、前記ナ
ノ粒子に付加されている)(例えば、前記放射性同位体は、治療用放射性同位体である)
、および
前記ナノ粒子にコンジュゲートされている抗体断片(例えば、リンカーにより前記ナノ
粒子に共有結合もしくは非共有結合しているか、または前記ナノ粒子に共有結合もしくは
非共有結合により直接結合しているか、または例えばファンデルワールス力により、前記
ナノ粒子、もしくは前記ナノ粒子を取り囲む組成物と会合している)
を含み、
前記ナノ粒子が、(例えば、水溶液中、例えば生理食塩水溶液中、動的光散乱法(DL
S)により測定して)20ナノメートル以下の直径(例えば、平均直径)を有する(例え
ば、前記平均ナノ粒子径は1~20nm、例えば1~15nm、例えば1~10nm、例
えば1~8nm、例えば4~10nm、例えば4~8nmである)(例えば、前記イムノ
コンジュゲートは、50nm以下、例えば40nm以下、例えば30nm以下、例えば2
0nm以下、例えば15nm以下、例えば10nm以下の平均直径を有する)(例えば、
前記ナノ粒子は、有機ポリマー(例えば、ポリエチレングリコール(PEG))によりコ
ーティングされている)(例えば、イムノコンジュゲートはキレート剤を含む)、
イムノコンジュゲートに関する。
【0054】
別の態様では、本発明は、in vivo診断において使用するためのイムノコンジュ
ゲートであって、前記イムノコンジュゲートが、
ナノ粒子、および
前記ナノ粒子にコンジュゲートされている抗体断片(例えば、リンカーにより前記ナノ
粒子に共有結合もしくは非共有結合しているか、または前記ナノ粒子に共有結合もしくは
非共有結合により直接結合しているか、または例えばファンデルワールス力により、前記
ナノ粒子、もしくは前記ナノ粒子を取り囲む組成物と会合している)
を含み、
前記ナノ粒子が、(例えば、水溶液中、例えば生理食塩水溶液中、動的光散乱法(DL
S)により測定して)20ナノメートル以下の直径(例えば、平均直径)を有し(例えば
、前記平均ナノ粒子径は1~20nm、例えば1~15nm、例えば1~10nm、例え
ば1~8nm、例えば4~10nm、例えば4~8nmである)(例えば、前記イムノコ
ンジュゲートは、50nm以下、例えば40nm以下、例えば30nm以下、例えば20
nm以下、例えば15nm以下、例えば10nm以下の平均直径を有する)(例えば、前
記ナノ粒子は、有機ポリマー(例えば、ポリエチレングリコール(PEG))によりコー
ティングされている)(例えば、イムノコンジュゲートはキレート剤を含む)、
前記イムノコンジュゲートが、イメージング剤を含む、
イムノコンジュゲートに関する。
【0055】
別の態様では、本発明は、対象において、疾患または状態を処置する方法において使用
するための組成物(例えば、医薬組成物)であって、前記組成物が、
ナノ粒子、および
前記ナノ粒子にコンジュゲートされている治療用放射性同位体(例えば、リンカーによ
り前記ナノ粒子に共有結合もしくは非共有結合しているか、または前記ナノ粒子に共有結
合もしくは非共有結合により直接結合しているか、または例えばファンデルワールス力に
より、前記ナノ粒子、もしくは前記ナノ粒子を取り囲む組成物と会合している)
を含み、
前記ナノ粒子が、(例えば、水溶液中、例えば生理食塩水溶液中、動的光散乱法(DL
S)により測定して)20ナノメートル以下の直径(例えば、平均直径)を有し(例えば
、前記平均ナノ粒子径は1~20nm、例えば1~15nm、例えば1~10nm、例え
ば1~8nm、例えば4~10nm、例えば4~8nmである)(例えば、前記ナノ粒子
は、有機ポリマー(例えば、ポリエチレングリコール(PEG))によりコーティングさ
れている)(例えば、イムノコンジュゲートはキレート剤を含む)、
前記処置が、
前記組成物を前記対象に送達するステップ、
免疫療法を行うステップ(例えば、前記免疫療法は、前記イムノコンジュゲートを含む
医薬組成物を対象に投与するステップを含む)
を含む、組成物に関する。
【0056】
本発明(例えば、方法)の一態様を含む実施形態の要素は、本発明(例えば、システム
)の他の態様を含む実施形態において適用され得、またその逆も真である。
【0057】
(定義)
本開示をより容易に理解するため、ある特定の用語が、まず、以下に定義される。以下
の用語および他の用語に関する追加の定義は、本明細書全体を通して説明される。
【0058】
本出願では、「または」の使用は、特に明記しない限り、「および/または」を意味す
る。本出願において使用する場合、用語「含む(comprise)」、ならびに「含む
(comprising)」および「含む(comprises)」などの、この用語の
変化形は、他の付加物、構成要素、整数またはステップを除外することを意図するもので
はない。本出願において使用する場合、用語「約」および「およそ」は、等価なものとし
て使用される。本出願において、約/およそを伴って、またはそれらを伴わないで使用さ
れる数はいずれも、当業者により認識される、通常のいかなる変動も包含することが意図
されている。ある特定の実施形態では、用語「およそ」または「約」とは、特に明記しな
い限り、または他には、文脈から明確な場合、明記されている参照値のどちらか一方の方
向(それ超またはそれ未満)に、25%、20%、19%、18%、17%、16%、1
5%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%
、3%、2%、1%またはそれ未満の範囲内に収まる値の範囲を指す(このような数が、
可能な値の100%を超えることを除く)。
【0059】
「投与」:用語「投与」は、対象に物質を導入することを指す。一般に、例えば、非経
口(例えば、静脈内)、経口、局所、皮下、腹腔、動脈内、吸入、膣、直腸、鼻、脳脊髄
液への注入、または生体コンパートメントへの点滴を含めた、任意の投与経路を利用する
ことができる。ある特定の実施形態では、投与は経口である。さらに、または代替として
、ある特定の実施形態では、投与は非経口である。ある特定の実施形態では、投与は静脈
内である。
【0060】
「抗体」:本明細書で使用する場合、用語「抗体」とは、特定の標的抗原に特異的結合
をもたらすのに十分な、標準的な免疫グロブリン配列エレメントを含む、ポリペプチドを
指す。天然で産生するインタクトな抗体は、一般に、「Y型」構造と呼ばれるものに互い
に会合する、2つの同一重鎖ポリペプチド(それぞれ、約50kD)および2つの同一軽
鎖ポリペプチド(それぞれ、約25kD)から構成される、約150kDの四量体の因子
(tetrameric agent)である。重鎖はそれぞれ、少なくとも4つのドメイン(それぞれ
は、約110個のアミノ酸長)、すなわち、アミノ末端可変(VH)ドメイン(Y構造の
先端に位置している)、次に、3つの定常ドメイン:CH1、CH2およびカルボキシ末
端CH3(Yの幹の底部に位置している)から構成される。「スイッチ」として知られて
いる短い領域は、重鎖の可変領域および定常領域を接続している。「ヒンジ」は、抗体の
残りにCH2およびCH3ドメインを接続している。このヒンジ領域中の2つのジスルフ
ィド結合は、インタクトな抗体において、2つの重鎖ポリペプチドを相互に接続している
。軽鎖はそれぞれ、2つのドメイン、すなわち、アミノ末端可変(VL)ドメイン、次い
で、別の「スイッチ」により相互に分離されているカルボキシ末端定常(CL)ドメイン
から構成される。インタクトな抗体四量体は、2つの重鎖-軽鎖二量体から構成され、こ
の場合、重鎖および軽鎖は、単一のジスルフィド結合により相互に連結している。2つの
他のジスルフィド結合は、重鎖ヒンジ領域を相互に接続させており、その結果、二量体は
互いに接続しており、四量体が形成される。天然に産生する抗体はまた、通常、CH2ド
メイン上でグリコシル化されている。天然抗体中のドメインはそれぞれ、圧縮された逆平
行ベータバレルにおいて、互いに詰め込まれた2つのベータシート(例えば、3鎖、4鎖
または5鎖シート)から形成される、「免疫グロブリンフォールド」によって特徴付けら
れる構造を有する。可変ドメインはそれぞれ、「相補性決定領域」(CDR1、CDR2
およびCDR3)として知られている3つの超可変ループ、および4つのやや不変の「フ
レームワーク」領域(FR1、FR2、FR3およびFR4)を含有する。天然の抗体が
フォールディングする場合、FR領域は、これらのドメインの構造フレームワークをもた
らすベータシートを形成し、重鎖および軽鎖の両方に由来するCDRループ領域は、三次
元空間において持ち寄られ、その結果、これらの鎖は、Y構造の先端に位置している単一
の超可変抗原結合部位を構成する。天然に存在する抗体のFc領域は、補体系のエレメン
トに、そしてまた、例えば、細胞毒性を媒介するエフェクター細胞を含めた、エフェクタ
ー細胞上の受容体に結合する。Fc受容体に対するFc領域の親和性および/または他の
結合属性は、グリコシル化または他の修飾により調節され得る。ある特定の実施形態では
、本発明に従って産生および/または利用される抗体は、修飾または操作されたこのよう
なグリコシル化を有するFcドメインを含めた、グリコシル化Fcドメインを含む。本発
明の目的のために、ある特定の実施形態では、天然抗体において見出される十分な免疫グ
ロブリンドメイン配列を含む任意のポリペプチドまたはポリペプチドの複合体を、このよ
うなポリペプチドが天然に産生される(例えば、抗原に反応する生物によって生じる)か
、あるいは組換え操作、化学合成または他の人工的なシステムもしくは方法によって産生
されるかに関わらず、「抗体」と呼ぶことができ、そして/または「抗体」として使用す
ることができる。ある特定の実施形態では、抗体はポリクローナルである。ある特定の実
施形態では、抗体はモノクローナルである。ある特定の実施形態では、抗体は、マウス、
ウサギ、霊長類またはヒトの抗体に特徴的な定常領域配列を有する。ある特定の実施形態
では、抗体配列エレメントは、当技術分野において公知である通り、ヒト化、霊長類化、
キメラ化などがなされている。さらに、用語「抗体」は、本明細書で使用する場合、適切
な実施形態において(特に明記されていない、または文脈から明確ではない限り)、代替
的な提示における抗体の構造上および機能上の特徴を利用するための、当技術分野におい
て公知であるかまたは開発された構築物もしくはフォーマットのいずれかを指すことがで
きる。例えば、実施形態である、本発明に従って利用される抗体は、以下に限定されない
が、インタクトなIgG、IgEおよびIgM、二重特異性または多重特異性抗体(例え
ば、Zybodies(登録商標)など)、一本鎖Fv、ポリペプチド-Fc融合物、F
ab、ラクダ科抗体、マスク抗体(例えば、Probodies(登録商標))、小モジ
ュラー免疫薬(Small Modular ImmunoPharmaceutical)(「SMIP(商標)」)、一
本鎖またはタンデムダイアボディ(TandAb(登録商標))、VHH、Antica
lins(登録商標)、Nanobodies(登録商標)、ミニボディ、BiTE(登
録商標)、アンキリンリピートタンパク質またはDARPIN(登録商標)、Avime
rs(登録商標)、DART、TCR様抗体、Adnectins(登録商標)、Aff
ilins(登録商標)、Trans-bodies(登録商標)、Affibodie
s(登録商標)、TrimerX(登録商標)、マイクロプロテイン、Fynomers
(登録商標)、Centyrins(登録商標)ならびにKALBITOR(登録商標)
から選択されるフォーマットにおけるものである。ある特定の実施形態では、抗体は、天
然で産生される場合に有するであろう共有結合修飾(例えば、グリカンの付加)を欠如し
ていてもよい。ある特定の実施形態では、抗体は、共有結合性修飾(例えば、グリカン、
ペイロード[例えば、検出可能部分、治療部分、触媒部分など]、または他のペンダント
基[例えば、ポリエチレングリコールなど]の付加)を含有していてもよい。
【0061】
「抗体断片」:本明細書で使用する場合、「抗体断片」は、例えば、抗体の抗原結合領
域または可変領域などのインタクトな抗体の一部を含む。抗体断片の例には、Fab、F
ab’、F(ab’)2およびFv断片;トリアボディ;テトラボディ;線状抗体;一本
鎖抗体分子;および抗体断片から形成される多重特異的抗体が挙げられる。例えば、抗体
断片には、単離断片、重鎖および軽鎖の可変領域からなる「Fv」断片、組換え一本鎖ポ
リペプチド分子が含まれ、この場合、軽鎖および重鎖の可変領域は、ペプチドリンカー(
「ScFvタンパク質」)、および超可変領域を模倣するアミノ酸残基からなる最小認識
単位により接続されている。多くの実施形態では、抗体断片は、親抗体の十分な配列を含
有しており、親抗体の断片は、親抗体と同様に同じ抗原に結合する。ある特定の実施形態
では、断片は、親抗体の抗原と同等の親和性で抗原に結合し、かつ/または抗原への結合
に親抗体と競合する。抗体の抗原結合断片の例としては、以下に限定されないが、Fab
断片、Fab’断片、F(ab’)2断片、scFv断片、Fv断片、dsFvダイアボ
ディ、dAb断片、Fd’断片、Fd断片、および単離した相補性決定領域(CDR)が
挙げられる。抗体の抗原結合断片は、任意の手段により産生され得る。例えば、抗体の抗
原結合断片はインタクトな抗体の断片化により、酵素的もしくは化学的に産生することが
できるか、そして/または抗体の抗原結合断片は、部分抗体配列をコードする遺伝子から
組換えにより産生することができる。代替として、またはさらには、抗体の抗原結合断片
は、全体または一部が合成によって産生され得る。抗体の抗原結合断片は、一本鎖抗体断
片を任意選択で含むことができる。代替として、またはさらには、抗体の抗原結合断片は
、例えば、ジスルフィド連結基により一緒に連結されている多重鎖を含むことができる。
抗体の抗原結合断片は、多分子複合体を任意選択で含むことができる。機能的な単一ドメ
イン抗体断片は、約5kDa~約25kDa、例えば約10kDa~約20kDa、例え
ば約15kDaの範囲にある。機能的な一本鎖断片は、約10kDa~約50kDa、例
えば約20kDa~約45kDa、例えば、約25kDa~約30kDaである。機能的
なfab断片は、約40kDa~約80kDa、例えば約50kDa~約70kDa、例
えば約60kDaである。
【0062】
「会合した」:本明細書で使用する場合、用語「会合した」とは、通常、直接的または
間接的のどちらか(例えば、作用物質として働く、1つまたは複数の追加の実体により)
で、互いに物理的に接近して、十分に安定な構造を形成する2つまたはそれ超の実体(en
tity)であって、その結果、これらの実体が、関連する条件、例えば生理的条件下で、物
理的に接近したままで存在する、実体を指す。ある特定の実施形態では、会合部分は、相
互に共有結合により連結されている。ある特定の実施形態では、会合実体は、非共有結合
により連結されている。ある特定の実施形態では、会合実体は、特異的な非共有結合の相
互作用により(例えばストレプトアビジン/アビジン相互作用、抗体/抗原相互作用など
、例えば、相互作用パートナーと、使用の文脈において存在する他の実体との間を区別す
る相互作用性リガンド間の相互作用により)互いに連結している。代替として、またはさ
らには、より弱い非共有結合の相互作用の数が十分にあれば、会合した状態にある部分に
とって十分な安定性がもたらされ得る。例示的な非共有結合の相互作用には、以下に限定
されないが、静電的相互作用、水素結合、親和力、金属の配位、物理吸着、ホストゲスト
相互作用、疎水性相互作用、パイスタッキング相互作用、ファンデルワールス相互作用、
磁気相互作用、静電相互作用、双極子-双極子相互作用などが挙げられる。
【0063】
「生体適合性」:用語「生体適合性」は、本明細書で使用する場合、in vivoで
実質的に有害な応答を誘発しない物質を記載することが意図される。ある特定の実施形態
では、この物質は、細胞に毒性ではない場合、「生体適合性」である。ある特定の実施形
態では、物質は、in vitroで細胞へそれらの物質を添加しても、20%またはそ
れ未満の細胞死しかもたらさない場合、および/またはそれらのin vivo投与が炎
症もしくは他のこのような副作用を誘発しない場合、「生体適合性」である。ある特定の
実施形態では、物質は生分解性である。
【0064】
「生分解性」:本明細書で使用する場合、「生分解性」物質は、細胞に導入されると、
細胞機構(例えば、酵素分解)により、または細胞が、細胞に及ぼす有意な毒性作用を伴
うことなく、再使用するかもしくは廃棄するかのどちらかとなり得る構成成分への加水分
解により分解されるものである。ある特定の実施形態では、生分解性物質の分解によって
生じる成分は、炎症および/または他の副作用をin vivoで引き起こさない。ある
特定の実施形態では、生分解性物質は、酵素により分解される。代替として、またはさら
には、ある特定の実施形態では、生分解性物質は、加水分解によって分解される。ある特
定の実施形態では、生分解性ポリマー材料は、それらの構成成分ポリマーに分解する。あ
る特定の実施形態では、生分解性物質(例えば、生分解性ポリマー材料を含む)の分解は
、エステル結合の加水分解を含む。ある特定の実施形態では、物質(例えば、生分解性ポ
リマー材料を含む)の分解は、ウレタン連結基の開裂を含む。
【0065】
「担体」:本明細書で使用する場合、「担体」とは、それとともに化合物が一緒に投与
される、希釈剤、アジュバント、賦形剤またはビヒクルを指す。このような医薬担体は、
ピーナッツ油、ダイズ油、鉱物油、ゴマ油などの、石油、動物、植物または合成を起源と
するものを含めた、水および油などの滅菌液体であり得る。水または水溶液、生理食塩水
溶液および水性デキストロースおよびグリセロール溶液が、特に注射溶液用の担体として
好ましくは使用される。適切な医薬担体は、E.W.Martinにより「Remington's Pharmaceu
tical Sciences」に記載されている。
【0066】
「イメージング剤」:本明細書で使用する場合、「イメージング剤」とは、それが結合
されている作用物質(例えば、多糖類のナノ粒子)の検出を容易にする、任意のエレメン
ト、分子、官能基、化合物、それらの断片または部分を指す。イメージング剤の例には、
以下に限定されないが:様々なリガンド、放射性核種(例えば、3H、14C、18F、
19F、32P、35S、135I、125I、123I、131I、64Cu、68G
a、187Re、111In、90Y、99mTc、177Lu、89Zrなど)、蛍光
色素(例示的な特異的蛍光色素に関しては、以下を参照されたい)、化学発光剤(例えば
、アクリジニウム(acridinum)エステル、安定化ジオキセタンなど)、生物発光剤、ス
ペクトル的に分解可能な無機蛍光半導体ナノ結晶(すなわち、量子ドット)、金属ナノ粒
子(例えば、金、銀、銅、白金など)ナノクラスター、常磁性金属イオン、酵素(酵素の
具体例に関しては、以下を参照されたい)、比色標識(例えば、色素、金コロイドなど)
、ビオチン、ジオキシゲニン、ハプテン、および抗血清またはモノクローナル抗体が利用
可能なタンパク質が挙げられる。放射性核種は、例えば、クリック化学反応によって付加
することができる。
【0067】
「タンパク質」:本明細書で使用する場合、用語「タンパク質」とは、ポリペプチド(
すなわち、ペプチド結合により、互いに連結している少なくとも3~5個のアミノ酸が一
続きのもの)を指す。タンパク質は、アミノ酸以外の部分を含んでいてもよく(例えば、
グリコタンパク質、プロテオグリカンなどであってよい)、そして/または他には、処理
もしくは修飾されていてもよい。ある特定の実施形態では、「タンパク質」は、細胞によ
って生成されるか、そして/または細胞中で活性な完全ポリペプチド(シグナル配列を含
むまたは含まない)であり得る。ある特定の実施形態では、「タンパク質」は、細胞によ
って生成されるか、そして/または細胞中で活性なポリペプチドなどの特徴的な一部分で
あるか、またはそれを含む。ある特定の実施形態では、タンパク質は、1つ超のポリペプ
チド鎖を含む。例えば、ポリペプチド鎖は、1つまたは複数のジスルフィド結合によって
連結され得るか、または他の手段により会合され得る。ある特定の実施形態では、本明細
書に記載されているタンパク質またはポリペプチドは、L-アミノ酸、D-アミノ酸、も
しくはそれらの両方を含有することができ、かつ/または、当分野に公知の様々なアミノ
酸修飾もしくはアナログのいずれかを含有することができる。有用な修飾には、例えば、
末端アセチル化、アミド化、メチル化などが含まれる。ある特定の実施形態では、タンパ
ク質またはポリペプチドは、天然アミノ酸、非天然アミノ酸、合成アミノ酸、および/ま
たはそれらの組合せを含むことができる。ある特定の実施形態では、タンパク質は、抗体
、抗体ポリペプチド、抗体断片、生物学的に活性なそれらの一部、および/もしくは特徴
的なそれらの一部であるか、またはそれらを含む。
【0068】
「医薬組成物」:本明細書で使用する場合、用語「医薬組成物」とは、1つまたは複数
の薬学的に許容される担体と一緒に製剤化される活性剤を指す。ある特定の実施形態では
、活性剤は、関連集団に投与されると、所定の治療効果を実現する、統計的に有意な可能
性を示す、治療レジメンにおいて投与するための好適な単位用量で存在する。ある特定の
実施形態では、医薬組成物は、以下のために適合されたものを含めた、固体形態または液
状形態で投与するために特別に製剤化され得る:経口投与、例えば、ドレンチ剤(水性ま
たは非水溶液または懸濁液)、錠剤、例えば、口内、舌下および全身性吸収を標的とする
もの、舌に施用するためのボーラス剤、散剤、粒剤、ペースト剤;非経口投与、例えば、
滅菌溶液もしくは懸濁液、または持続放出製剤として、例えば、皮下、筋肉内、静脈内ま
たは硬膜外注射により;局所施用、例えば、皮膚、肺または口腔に施用される、クリーム
剤、軟膏剤または制御放出パッチ剤もしくはスプレー剤として;膣内または直腸内に、例
えば、ペッサリー剤、クリーム剤または発泡剤として;舌下に;経眼;経皮;または鼻内
、肺内、および他の粘膜表面。
【0069】
「実質的に」:本明細書で使用する場合、用語「実質的に」および文法上の等価体は、
目的の特徴または特性の全部の範囲もしくはほとんど全部の範囲または程度を示す定性的
状態を指す。当業者は、生物学的および化学的現象は、仮にあるとしても、ほとんどまれ
にしか完了しないか、そして/もしくは完了まで進行しないか、または絶対的な結果を実
現しないか、もしくは回避しないことを理解し得る。
【0070】
「対象」:本明細書で使用する場合、用語「対象」は、ヒトおよび哺乳動物(例えば、
マウス、ラット、ブタ、ネコ、イヌおよびウマ)を含む。多くの実施形態では、対象は、
哺乳動物、特に霊長類、とりわけヒトとすべきである。ある特定の実施形態では、対象は
、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ブタなどの家畜;ニワトリ、アヒル、ガチョウ、シチメン
チョウなどの家禽;および飼い慣らされた動物、特にイヌおよびネコなどのペットである
。ある特定の実施形態では(例えば、特に研究の文脈では)、対象の哺乳動物は、例えば
、げっ歯類(例えば、マウス、ラット、ハムスター)、ウサギ、霊長類、同系交配したブ
タなどのブタであり得る。
【0071】
「治療剤」:本明細書で使用する場合、「治療剤」という言い回しは、対象に投与した
場合、治療効果を有するか、ならびに/または所望の生物学的効果および/もしくは薬理
学的効果を誘発する任意の薬剤を指す。
【0072】
「治療有効量」は、本明細書で使用する場合、投与されると、所望の効果を生じる量を
意味する。ある特定の実施形態では、この用語は、治療投与レジメンに従って、疾患、障
害および/もしくは状態にあるか、またはそれらになりやすい集団に投与した場合、疾患
、障害および/または状態を処置するのに十分な量を指す。ある特定の実施形態では、治
療有効量は、疾患、障害および/もしくは状態の1つもしくは複数の症状の出現率および
/もしくは重症度を低減する、ならびに/または疾患、障害および/もしくは状態の1つ
もしくは複数の症状の発症を遅延させる量である。当業者は、用語「治療有効量」は、実
際には、特定の個体において実現される処置の成功を必要とするものではないことを理解
し得る。むしろ、治療有効量は、このような処置を必要とする患者に投与した場合、有意
な数の対象において、特定の所望の薬理学的応答をもたらす量への言及であり得る。ある
特定の実施形態では、治療有効量と言う場合、1つまたは複数の特定の組織(例えば、疾
患、障害または状態によって影響を受ける組織)、または流体(例えば、血液、唾液、血
清、汗、涙、尿など)において測定される量を言うことがある。当業者は、ある特定の実
施形態では、特定の薬剤または治療剤の治療有効量を製剤化することができ、および/ま
たは単回用量で投与することができることを理解し得る。ある特定の実施形態では、治療
有効剤は、例えば、投与レジメンの一部として、複数回の用量で製剤化され得るか、およ
び/または投与され得る。
【0073】
「処置」:本明細書で使用する場合、用語「処置(treatment)」(同様に、
「処置する(treat)」または「処置すること(treating)」)とは、特定
の疾患、障害および/もしくは状態の1つもしくは複数の症状、特徴および/もしくは原
因を、部分的または完全に緩和するか、改善するか、軽減するか、阻害するか、それらの
発症を遅延させるか、それらの重症度を低減するか、ならびに/またはそれらの出現率を
低下させる、物質のいかなる投与も指す。このような処置は、関連疾患、障害および/も
しくは状態の徴候を示していない対象、ならびに/または疾患、障害および/もしくは状
態の早期の徴候を示しているだけの対象の処置であり得る。代替としてまたはさらには、
このような処置は、関連疾患、障害および/または状態の1つまたは複数の確立された徴
候を示す対象の処置であり得る。ある特定の実施形態では、処置は、関連疾患、障害およ
び/または状態に罹患していると診断された対象の処置である得る。ある特定の実施形態
では、処置は、関連疾患、障害および/または状態の発症が増加するリスクに統計的に関
連する、1つまたは複数の感受性因子を有することが知られている対象の処置であり得る
。
【0074】
特定の実施形態では、例えば以下が提供される:
(項目1)
ナノ粒子、および
前記ナノ粒子にコンジュゲートされている抗体断片
を含むイムノコンジュゲートであって、
前記ナノ粒子が、(例えば、水溶液中、例えば生理食塩水溶液中、動的光散乱法(DL
S)により測定して)20ナノメートル以下の直径(例えば、平均直径)を有する(例え
ば、前記平均ナノ粒子径は1~20nm、例えば1~15nm、例えば1~10nm、例
えば1~8nm、例えば4~10nm、例えば4~8nmである)(例えば、前記イムノ
コンジュゲートは、50nm以下、例えば40nm以下、例えば30nm以下、例えば2
0nm以下、例えば15nm以下、例えば10nm以下の平均直径を有する)、
イムノコンジュゲート。
(項目2)
前記抗体断片が、リンカーにより前記ナノ粒子に共有結合もしくは非共有結合している
か、または前記ナノ粒子に共有結合もしくは非共有結合により直接結合しているか、また
は例えばファンデルワールス力により、前記ナノ粒子、もしくは前記ナノ粒子を取り囲む
組成物と会合している、項目1に記載のイムノコンジュゲート。
(項目3)
前記ナノ粒子が、有機ポリマー(例えば、ポリエチレングリコール(PEG))により
コーティングされている(例えば、イムノコンジュゲートはキレート剤を含む)、項目1
または2に記載のイムノコンジュゲート。
(項目4)
標的化ペプチド(例えば、アルファMSH、免疫調節性および抗炎症性の性質があるこ
とが公知の任意のペプチド)を含む、前記項目のいずれか一項に記載のイムノコンジュゲ
ート。
(項目5)
前記抗体断片が、約5kDa~約25kDa(例えば、約10kDa~約20kDa、
例えば、約15kDa)の範囲にある(例えば、前記抗体断片は、機能的な単一ドメイン
抗体断片を含む)、前記項目のいずれか一項に記載のイムノコンジュゲート。
(項目6)
前記抗体断片が、約20kDa~約45kDa(例えば、約25kDa~約30kDa
)である(例えば、前記抗体断片は、機能的な一本鎖抗体断片を含む)、前記項目のいず
れか一項に記載のイムノコンジュゲート。
(項目7)
前記抗体断片が、約40kDa~約80kDa(例えば、約50kDa~約70kDa
、例えば、約60kDa)である(例えば、前記抗体断片は、機能的なfab断片を含む
)、前記項目のいずれか一項に記載のイムノコンジュゲート。
(項目8)
前記ナノ粒子がシリカを含む、前記項目のいずれか一項に記載のイムノコンジュゲート
。
(項目9)
前記ナノ粒子が、シリカをベースとするコア、および前記コアの少なくとも一部を取り
囲むシリカシェルを含む、前記項目のいずれか一項に記載のイムノコンジュゲート。
(項目10)
前記ナノ粒子が前記コア内に蛍光化合物を含む、前記項目のいずれか一項に記載のイム
ノコンジュゲート。
(項目11)
前記抗体断片が、組換え抗体断片(fAb)、一本鎖可変断片(scFv)および単一
ドメイン抗体(sdAb)断片からなるセットから選択されるメンバーである、前記項目
のいずれか一項に記載のイムノコンジュゲート。
(項目12)
前記抗体断片が一本鎖可変断片(scFv)である、項目11に記載のイムノコンジュ
ゲート。
(項目13)
前記抗体断片が単一ドメイン(sdAb)断片である、項目11に記載のイムノコンジ
ュゲート。
(項目14)
前記ナノ粒子(単一ナノ粒子)が、それに付加されている1~10個の抗体断片(例え
ば1~7個、例えば、1~5個、例えば2~7個、例えば2~5個、例えば1~4個、例
えば2~4個)を有する、前記項目のいずれか一項に記載のイムノコンジュゲート。
(項目15)
前記抗体断片が、PEG部分およびキレート剤によって、前記ナノ粒子にコンジュゲー
トされている、前記項目のいずれか一項に記載のイムノコンジュゲート。
(項目16)
前記ナノ粒子が15ナノメートル以下(例えば、13ナノメートル以下、例えば、10
ナノメートル以下)の直径(例えば、平均直径)を有する、前記項目のいずれか一項に記
載のイムノコンジュゲート。
(項目17)
前記ナノ粒子が、1nm~20nm(例えば、2nm~15nm、例えば5nm~15
nm、例えば1nm~10nm、例えば2nm~10nm、例えば5nm~10nm)の
範囲にある直径(例えば、平均直径)を有する、前記項目のいずれか一項に記載のイムノ
コンジュゲート。
(項目18)
前記抗体断片が、抗CEA scFv、抗GPIIb/IIIa、抗VEGF-Aおよ
び抗TNF-α(例えば、PEG化)からなるセットから選択されるメンバーを含む、前
記項目のいずれか一項に記載のイムノコンジュゲート。
(項目19)
前記イムノコンジュゲートが1つまたは複数のイメージング剤を含む(例えば、前記ナ
ノ粒子内か、前記ナノ粒子に付加されているか、そして/または前記抗体断片に付加され
ている)、前記項目のいずれか一項に記載のイムノコンジュゲート。
(項目20)
前記1つまたは複数のイメージング剤が、PETトレーサー(例えば、89Zr、64
Cuおよび/または[18F]フルオロデオキシグルコース)を含む、項目19に記載の
イムノコンジュゲート。
(項目21)
前記1つまたは複数のイメージング剤が、フルオロフォア(例えば、シアニン)を含む
、項目19または20に記載のイムノコンジュゲート。
(項目22)
治療剤をさらに含む(例えば、前記治療剤は、前記ナノ粒子に、または前記抗体断片に
、または前記ナノ粒子と前記抗体断片の両方に付加されており、例えば、前記付加は、共
有結合または非共有結合である)、項目1から21のいずれか一項に記載のイムノコンジ
ュゲート。
(項目23)
前記治療剤が、化学療法薬(例えば、ソラフェニブ、パクリタキセル、ドセタキセル、
MEK162、エトポシド、ラパチニブ、ニロチニブ、クリゾチニブ、フルベストラント
、ベムラフェニブ、ベキソロテンおよび/またはカンプトテシン)を含む、項目22に記
載のイムノコンジュゲート。
(項目24)
前記治療剤が、放射性同位体を含む(例えば、前記放射性同位体は、第2のキレート剤
により、前記ナノ粒子に付加されている)(例えば、前記放射性同位体は、治療用放射性
同位体である)、項目22に記載のイムノコンジュゲート。
(項目25)
前記放射性同位体が、99mTc、111In、64Cu、67Ga、186Re、1
88Re、153Sm、177Lu、67Cu、123I、124I、125I、11C
、13N、15O、18F、186Re、188Re、153Sm、166Ho、177
Lu、149Pm、90Y、213Bi、103Pd、109Pd、159Gd、140
La、198Au、199Au、169Yb、175Yb、165Dy、166Dy、6
7Cu、105Rh、111Ag、89Zr、225Acおよび192Irからなる群か
ら選択されるメンバーである、項目24に記載のイムノコンジュゲート。
(項目26)
項目1から23のいずれか一項に記載のイムノコンジュゲートを含む医薬組成物を、(
例えば、特定のタイプの組織、例えばがんを標的とするため)対象に投与するステップを
含む、疾患または状態を処置する方法。
(項目27)
治療用放射性同位体(例えば、前記治療用放射性同位体は、(例えば、水溶液中、例え
ば生理食塩水溶液中、動的光散乱法(DLS)により測定して)20ナノメートル以下の
直径(例えば、平均直径)を有する第2のナノ粒子に付加されている(例えば、前記放射
性同位体は、第2のキレート剤によって前記第2のナノ粒子に付加されている))(例え
ば、前記第2のナノ粒子は、1~20nm、例えば1~15nm、例えば1~10nm、
例えば1~8nm、例えば4~10nm、例えば4~8nmの直径を有する)を投与する
ステップ
を含む、項目26に記載の方法。
(項目28)
項目24または25に記載のイムノコンジュゲートを含む医薬組成物を(例えば、放射
線療法と免疫療法とを組み合わせる場合)(例えば、特定のタイプの組織、例えばがんを
標的とするため)対象に投与するステップを含む、疾患または状態を処置する方法。
(項目29)
前記医薬組成物が担体をさらに含む、項目26から28のいずれか一項に記載の方法。
(項目30)
in vivoでイメージングする(例えば、手術中にイメージングする)方法であっ
て、
項目1から25のいずれか一項に記載のイムノコンジュゲートを含む組成物を(例えば
、前記イムノコンジュゲートは、特定の領域、例えば特定の組織タイプ、例えばがんの近
傍またはその内部に優先的に集積するように)対象に投与するステップであって、前記イ
ムノコンジュゲートがイメージング剤を含む、ステップ、および
前記イメージング剤を(例えば、PET、X線、MRI、CTなどにより)検出するス
テップ
を含む方法。
(項目31)
項目1から25のいずれか一項に記載のイムノコンジュゲートを作製する方法であって
、
ナノ粒子-PEG-チオールにタンパク質-マレイミドを接触させ、これにより、前記
イムノコンジュゲートを生成するステップ
を含む方法。
(項目32)
前記ナノ粒子を、チオール部分およびアミン部分(例えば、システインメチルエステル
またはシステアミン-HCl)を含む1つまたは複数の化合物と反応させ、これにより、
ナノ粒子-PEG-アミンを生成するステップ、
前記ナノ粒子-PEG-アミンをSPDPと反応させ、次に、生成物から(例えば、T
CEPを使用して)ピリジン2-チオンを除去し、これにより前記ナノ粒子-PEG-チ
オールを生成するステップ
をさらに含む、項目31に記載の方法。
(項目33)
項目1から25のいずれか一項に記載のイムノコンジュゲートを作製する方法であって
、
前記抗体断片(タンパク質)を第1のクリック反応性基(例えば、メチルテトラジン-
PEG4-NHSエステル)により修飾するステップ、
ナノ粒子-PEG-アミンを前記第1のクリック反応性基のクリックパートナー(例え
ば、TCO-PEG4-NHSエステル)により修飾するステップ、および
前記修飾抗体断片を前記修飾ナノ粒子-PEGと反応させ、これにより、前記イムノコ
ンジュゲートを生成するステップ
を含む方法。
(項目34)
前記ナノ粒子を、チオール部分およびアミン部分(例えば、システインメチルエステル
またはシステアミン-HCl)を含む、1つまたは複数の化合物と反応させ、これにより
、前記ナノ粒子-PEG-アミンを生成するステップをさらに含む、項目33に記載の方
法。
(項目35)
ナノ粒子、および
前記ナノ粒子にコンジュゲートされている治療用放射性同位体(例えば、リンカーによ
り前記ナノ粒子に共有結合もしくは非共有結合しているか、または前記ナノ粒子に共有結
合もしくは非共有結合により直接結合しているか、または例えばファンデルワールス力に
より、前記ナノ粒子、もしくは前記ナノ粒子を取り囲む組成物と会合している)
を含む組成物(例えば、医薬組成物)を、(例えば、特定のタイプの組織、例えばがんを
標的とするため)対象に投与するステップを含む、疾患または状態を処置する方法であっ
て、
前記ナノ粒子が、(例えば、水溶液中、例えば生理食塩水溶液中、動的光散乱法(DL
S)により測定して)20ナノメートル以下の直径(例えば、平均直径)を有する(例え
ば、前記平均ナノ粒子径は1~20nm、例えば1~15nm、例えば1~10nm、例
えば1~8nm、例えば4~10nm、例えば4~8nmである)、
方法。
(項目36)
免疫療法を投与するステップ(例えば、前記免疫療法は、項目1から23のいずれか一
項に記載のイムノコンジュゲートを含む医薬組成物を対象に投与するステップを含む)
を含む、項目35に記載の方法。
(項目37)
対象において、疾患または状態を処置する方法において使用するためのイムノコンジュ
ゲートであって、前記イムノコンジュゲートは、
ナノ粒子、および
前記ナノ粒子にコンジュゲートされている抗体断片(例えば、リンカーにより前記ナノ
粒子に共有結合もしくは非共有結合しているか、または前記ナノ粒子に共有結合もしくは
非共有結合により直接結合しているか、または例えばファンデルワールス力により、前記
ナノ粒子、もしくは前記ナノ粒子を取り囲む組成物と会合している)
を含み、
前記ナノ粒子が、(例えば、水溶液中、例えば生理食塩水溶液中、動的光散乱法(DL
S)により測定して)20ナノメートル以下の直径(例えば、平均直径)を有し(例えば
、前記平均ナノ粒子径は1~20nm、例えば1~15nm、例えば1~10nm、例え
ば1~8nm、例えば4~10nm、例えば4~8nmである)(例えば、前記イムノコ
ンジュゲートは、50nm以下、例えば40nm以下、例えば30nm以下、例えば20
nm以下、例えば15nm以下、例えば10nm以下の平均直径を有する)(例えば、前
記ナノ粒子は、有機ポリマー(例えば、ポリエチレングリコール(PEG))によりコー
ティングされている)(例えば、イムノコンジュゲートはキレート剤を含む)、
前記処置が、
前記対象に前記イムノコンジュゲートを送達するステップ、および
治療用放射性同位体(例えば、前記治療用放射性同位体は、(例えば、水溶液中、例え
ば生理食塩水溶液中、動的光散乱法(DLS)により測定して)20ナノメートル以下の
直径(例えば、平均直径)を有する第2のナノ粒子に付加されている(例えば、前記放射
性同位体は、第2のキレート剤によって前記第2のナノ粒子に付加されている))を送達
するステップ
を含む、イムノコンジュゲート。
(項目38)
対象において、疾患または状態を処置する方法において使用するためのイムノコンジュ
ゲートであって、前記イムノコンジュゲートが、
ナノ粒子、
治療用放射性同位体(例えば、前記放射性同位体は、第2のキレート剤により、前記ナ
ノ粒子に付加されている)(例えば、前記放射性同位体は、治療用放射性同位体である)
、および
前記ナノ粒子にコンジュゲートされている抗体断片(例えば、リンカーにより前記ナノ
粒子に共有結合もしくは非共有結合しているか、または前記ナノ粒子に共有結合もしくは
非共有結合により直接結合しているか、または例えばファンデルワールス力により、前記
ナノ粒子、もしくは前記ナノ粒子を取り囲む組成物と会合している)
を含み、
前記ナノ粒子が、(例えば、水溶液中、例えば生理食塩水溶液中、動的光散乱法(DL
S)により測定して)20ナノメートル以下の直径(例えば、平均直径)を有し(例えば
、前記平均ナノ粒子径は1~20nm、例えば1~15nm、例えば1~10nm、例え
ば1~8nm、例えば4~10nm、例えば4~8nmである)(例えば、前記イムノコ
ンジュゲートは、50nm以下、例えば40nm以下、例えば30nm以下、例えば20
nm以下、例えば15nm以下、例えば10nm以下の平均直径を有する)(例えば、前
記ナノ粒子は、有機ポリマー(例えば、ポリエチレングリコール(PEG))によりコー
ティングされている)(例えば、イムノコンジュゲートはキレート剤を含む)、
前記処置が、
前記対象に前記イムノコンジュゲートを送達するステップ
を含む、イムノコンジュゲート。
(項目39)
対象において、疾患または状態をin vivo診断する方法において使用するための
イムノコンジュゲートであって、前記イムノコンジュゲートが、
ナノ粒子、および
前記ナノ粒子にコンジュゲートされている抗体断片(例えば、リンカーにより前記ナノ
粒子に共有結合もしくは非共有結合しているか、または前記ナノ粒子に共有結合もしくは
非共有結合により直接結合しているか、または例えばファンデルワールス力により、前記
ナノ粒子、もしくは前記ナノ粒子を取り囲む組成物と会合している)
を含み、
前記ナノ粒子が、(例えば、水溶液中、例えば生理食塩水溶液中、動的光散乱法(DL
S)により測定して)20ナノメートル以下の直径(例えば、平均直径)を有し(例えば
、前記平均ナノ粒子径は1~20nm、例えば1~15nm、例えば1~10nm、例え
ば1~8nm、例えば4~10nm、例えば4~8nmである)(例えば、前記イムノコ
ンジュゲートは、50nm以下、例えば40nm以下、例えば30nm以下、例えば20
nm以下、例えば15nm以下、例えば10nm以下の平均直径を有する)(例えば、前
記ナノ粒子は、有機ポリマー(例えば、ポリエチレングリコール(PEG))によりコー
ティングされている)(例えば、イムノコンジュゲートはキレート剤を含む)、
前記イムノコンジュゲートが、イメージング剤を含み、
前記in vivo診断が、
前記対象に前記イムノコンジュゲートを送達するステップ、および
前記イメージング剤を(例えば、PET、X線、MRI、CTなどにより)検出するス
テップ
を含む、イムノコンジュゲート。
(項目40)
(a)対象において、疾患もしくは状態を処置する方法、または
(b)対象において疾患または状態をin vivo診断する方法
において使用するためのイムノコンジュゲートであって、前記イムノコンジュゲートが、
ナノ粒子、および
前記ナノ粒子にコンジュゲートされている抗体断片(例えば、リンカーにより前記ナノ
粒子に共有結合もしくは非共有結合しているか、または前記ナノ粒子に共有結合もしくは
非共有結合により直接結合しているか、または例えばファンデルワールス力により、前記
ナノ粒子、もしくは前記ナノ粒子を取り囲む組成物と会合している)
を含み、
前記ナノ粒子が、(例えば、水溶液中、例えば生理食塩水溶液中、動的光散乱法(DL
S)により測定して)20ナノメートル以下の直径(例えば、平均直径)を有し(例えば
、前記平均ナノ粒子径は1~20nm、例えば1~15nm、例えば1~10nm、例え
ば1~8nm、例えば4~10nm、例えば4~8nmである)(例えば、前記イムノコ
ンジュゲートは、50nm以下、例えば40nm以下、例えば30nm以下、例えば20
nm以下、例えば15nm以下、例えば10nm以下の平均直径を有する)(例えば、前
記ナノ粒子は、有機ポリマー(例えば、ポリエチレングリコール(PEG))によりコー
ティングされている)(例えば、イムノコンジュゲートはキレート剤を含む)、
前記イムノコンジュゲートが、イメージング剤を含み、
前記方法が、
項目1から25のいずれか一項に記載のイムノコンジュゲートを含む医薬組成物を(例
えば、特定のタイプの組織、例えばがんを標的とするため)対象に投与するステップ、お
よび
任意選択で、前記イメージング剤を(例えば、PET、X線、MRI、CTなどにより
)検出するステップ
を含む、イムノコンジュゲート。
(項目41)
治療において使用するためのイムノコンジュゲートであって、前記イムノコンジュゲー
トが、
ナノ粒子、および
前記ナノ粒子にコンジュゲートされている抗体断片(例えば、リンカーにより前記ナノ
粒子に共有結合もしくは非共有結合しているか、または前記ナノ粒子に共有結合もしくは
非共有結合により直接結合しているか、または例えばファンデルワールス力により、前記
ナノ粒子、もしくは前記ナノ粒子を取り囲む組成物と会合している)
を含み、
前記ナノ粒子が、(例えば、水溶液中、例えば生理食塩水溶液中、動的光散乱法(DL
S)により測定して)20ナノメートル以下の直径(例えば、平均直径)を有する(例え
ば、前記平均ナノ粒子径は1~20nm、例えば1~15nm、例えば1~10nm、例
えば1~8nm、例えば4~10nm、例えば4~8nmである)(例えば、前記イムノ
コンジュゲートは、50nm以下、例えば40nm以下、例えば30nm以下、例えば2
0nm以下、例えば15nm以下、例えば10nm以下の平均直径を有する)(例えば、
前記ナノ粒子は、有機ポリマー(例えば、ポリエチレングリコール(PEG))によりコ
ーティングされている)(例えば、イムノコンジュゲートはキレート剤を含む)、
イムノコンジュゲート。
(項目42)
治療において使用するためのイムノコンジュゲートであって、前記イムノコンジュゲー
トが、
ナノ粒子、
治療用放射性同位体(例えば、前記放射性同位体は、第2のキレート剤により、前記ナ
ノ粒子に付加されている)(例えば、前記放射性同位体は、治療用放射性同位体である)
、および
前記ナノ粒子にコンジュゲートされている抗体断片(例えば、リンカーにより前記ナノ
粒子に共有結合もしくは非共有結合しているか、または前記ナノ粒子に共有結合もしくは
非共有結合により直接結合しているか、または例えばファンデルワールス力により、前記
ナノ粒子、もしくは前記ナノ粒子を取り囲む組成物と会合している)
を含み、
前記ナノ粒子が、(例えば、水溶液中、例えば生理食塩水溶液中、動的光散乱法(DL
S)により測定して)20ナノメートル以下の直径(例えば、平均直径)を有する(例え
ば、前記平均ナノ粒子径は1~20nm、例えば1~15nm、例えば1~10nm、例
えば1~8nm、例えば4~10nm、例えば4~8nmである)(例えば、前記イムノ
コンジュゲートは、50nm以下、例えば40nm以下、例えば30nm以下、例えば2
0nm以下、例えば15nm以下、例えば10nm以下の平均直径を有する)(例えば、
前記ナノ粒子は、有機ポリマー(例えば、ポリエチレングリコール(PEG))によりコ
ーティングされている)(例えば、イムノコンジュゲートはキレート剤を含む)、
イムノコンジュゲート。
(項目43)
in vivo診断において使用するためのイムノコンジュゲートであって、前記イム
ノコンジュゲートが、
ナノ粒子、および
前記ナノ粒子にコンジュゲートされている抗体断片(例えば、リンカーにより前記ナノ
粒子に共有結合もしくは非共有結合しているか、または前記ナノ粒子に共有結合もしくは
非共有結合により直接結合しているか、または例えばファンデルワールス力により、前記
ナノ粒子、もしくは前記ナノ粒子を取り囲む組成物と会合している)
を含み、
前記ナノ粒子が、(例えば、水溶液中、例えば生理食塩水溶液中、動的光散乱法(DL
S)により測定して)20ナノメートル以下の直径(例えば、平均直径)を有し(例えば
、前記平均ナノ粒子径は1~20nm、例えば1~15nm、例えば1~10nm、例え
ば1~8nm、例えば4~10nm、例えば4~8nmである)(例えば、前記イムノコ
ンジュゲートは、50nm以下、例えば40nm以下、例えば30nm以下、例えば20
nm以下、例えば15nm以下、例えば10nm以下の平均直径を有する)(例えば、前
記ナノ粒子は、有機ポリマー(例えば、ポリエチレングリコール(PEG))によりコー
ティングされている)(例えば、イムノコンジュゲートはキレート剤を含む)、
前記イムノコンジュゲートが、イメージング剤を含む、
イムノコンジュゲート。
(項目44)
対象において、疾患または状態を処置する方法において使用するための組成物(例えば
、医薬組成物)であって、前記組成物が、
ナノ粒子、および
前記ナノ粒子にコンジュゲートされている治療用放射性同位体(例えば、リンカーによ
り前記ナノ粒子に共有結合もしくは非共有結合しているか、または前記ナノ粒子に共有結
合もしくは非共有結合により直接結合しているか、または例えばファンデルワールス力に
より、前記ナノ粒子、もしくは前記ナノ粒子を取り囲む組成物と会合している)
を含み、
前記ナノ粒子が、(例えば、水溶液中、例えば生理食塩水溶液中、動的光散乱法(DL
S)により測定して)20ナノメートル以下の直径(例えば、平均直径)を有し(例えば
、前記平均ナノ粒子径は1~20nm、例えば1~15nm、例えば1~10nm、例え
ば1~8nm、例えば4~10nm、例えば4~8nmである)(例えば、前記ナノ粒子
は、有機ポリマー(例えば、ポリエチレングリコール(PEG))によりコーティングさ
れている)(例えば、イムノコンジュゲートはキレート剤を含む)、
前記処置が、
前記組成物を前記対象に送達するステップ、
免疫療法を行うステップ(例えば、前記免疫療法は、項目1から23のいずれか一項に
記載のイムノコンジュゲートを含む医薬組成物を対象に投与するステップを含む)
を含む、組成物。
図面は、本明細書において、限定するためではなく、例示目的で提示されている。
【0075】
本開示の前述および他の目的、態様、特徴および利点は、添付の図面と合わせて以下の
説明を参照することによって、一層明確になり、かつよりよく理解される。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【
図1】
図1は、キレート剤をベースとする放射標識技法を使用する、
89Zr標識C’ドット放射性イムノコンジュゲートの合成を示す概略図を示す。PEG化およびマレイミド官能基化C’ドット(C’ドット-PEG-Mal、1)をまず、還元型グルタチオン(GSH)と反応させて、その後のバイオコンジュゲートのために-NH
2基を導入し、C’ドット-PEG-GSH(2)を形成した。次に、このナノ粒子をDBCO-PEG4-NHSエステルおよびDFO-NCSとコンジュゲートし、それぞれ、C’ドット-PEG-DBCO(3)およびDFO-C’ドット-PEG-DBCO(4)を形成させた。一本鎖可変断片(scFv-アジド)(または、単一ドメイン抗体、sdAb-アジド)などのアジド官能基化された小さな標的化リガンドを、歪みにより促進されるアジド-アルキン環化付加にもとづいてナノ粒子にコンジュゲートし、DFO-C’ドット-PEG-scFv(5)を形成させた。最終のC’ドット放射性イムノコンジュゲート(
89Zr-DFO-C’ドット-PEG-scFv、6)は、
89Zr-オキサレートによりそれを標識したものであった。
図1に例示されている実施形態はscFvに限定されず、様々なタイプの抗体断片、例えばsdAbを含むことができる。
【0077】
【
図2】
図2Aおよび2Bは、健常なヌードマウスにおける、注射後の様々な時点(10分間、1時間、1日、3日および6日)での、
89Zr-DFO-C’ドット-PEGのin vivoPETイメージ(
図2A)冠状面方向PETイメージおよび(
図2B)矢状面方向PETイメージを示す。C’ドット-PEG-MalとGSHとの間の反応比は、1:20で維持した。PETイメージは、フォーカス120マイクロPETスキャナの使用により得た。
【0078】
【
図3】
図3は、健常なヌードマウスにおける、6日目での
89Zr-DFO-C’ドット-PEGの生体分布データを示す。2%ID/g未満の骨(および関節)への取込みが観察された。
【0079】
【
図4】
図4Aおよび
図4Bは、キレート剤がフリーの
89Zr放射標識化実験例を示す。
【0080】
図4Aは、75℃において、様々なpH条件下で、C’ドット-PEG-Malの
89Z
r標識化収率を示す。
【0081】
図4Bは、C’ドットと
89Zr-オキサレートとの比の様々な組合せを使用した、C’
ドット-PEG-Malの
89Zr標識化収率を示す。
【0082】
【
図5】
図5Aおよび
図5Bは、健常なヌードマウスにおける、注射後の様々な時点(10分間、1日、3日および6日)における、[89Zr]C’ドット-PEGのin vivo冠状面方向PETイメージを示す。[
89Zr]C’ドット-PEGは、キレート剤フリー放射標識化技法を使用して合成した。PETイメージは、フォーカス120マイクロPETスキャナの使用により得た。
【0083】
図5Aは、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)を使用しないで得たPETイメージを示
す。
【0084】
図5Bは、EDTAを使用して得たPETイメージを示す。
【0085】
【
図6】
図6は、7日目における、健常なヌードマウス(n=3)における、[
89Zr]C’ドット-PEGの生体分布データを示す。10%ID/gを超える骨(および関節)への取込みが、この場合に観察され、キレート剤フリーの方法を使用すると、放射標識化がそれほど安定ではないことが示された(キレート剤をベースとする方法のものと比較した場合)。
【0086】
【
図7】
図7は、注射後48時間での健常なヌードマウスにおける、
89Zr-DFO-C’ドット、
89Zr-DFO-C’ドット-DBCOおよび
89Zr-DFO-C’ドット-PEG-sdAbの生体分布データを示す。各C’ドットに由来するDFO、DBCOおよびsdAbの数を最適化することにより、改善された薬物動態プロファイル(延長された血液循環の半減期およびより低い肝臓取込みを有する)を実現することができる。
【0087】
【
図8】
図8は、チオール-マレイミド化学反応の例示的概略図を示す。
【0088】
【
図9】
図9は、アルケン-テトラジン化学反応の例示的概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0089】
(詳細な説明)
明細書全体を通して、組成物が特定の構成成分を有するか、含む(including
)か、もしくは含む(comprising)ものとして記載される場合、または方法が
特定のステップを有するか、含む(including)か、もしくは含む(compr
ising)ものとして記載される場合、列挙されている構成成分から本質的になるか、
またはこれらからなる本発明の組成物が存在すること、および列挙されている処理ステッ
プから本質的になるか、またはこれらからなる本発明による方法が存在することがさらに
企図されている。
【0090】
本発明が操作可能であり続ける限り、ステップの順序、またはある特定の行為を行う順
序は、重要ではないことを理解すべきである。さらに、2つもしくはそれ超のステップま
たは行為を同時に行ってもよい。
【0091】
例えば、背景技術の項目での、本明細書における任意の刊行物の言及は、刊行物が本明
細書において提示されている特許請求の範囲のいずれかに関して先行技術として用いられ
ることを認めるものではない。明確にするために、背景技術の項目が示されており、任意
の特許請求の範囲に関して、従来技術の記載を意図するものではない。
【0092】
分子治療剤(例えば、抗体)は、免疫のチェックポイントを操作することによって抗腫
瘍活性に対する免疫系をモジュレートすることができる(例えば、モノクローナル抗体で
あるイピリムマブは、免疫系の機能を阻害する、負に調節する分子である、CTLA4を
阻害する)。論理的根拠は、既に存在しているが休眠状態にある抗腫瘍免疫応答の引き金
を引くことである。他の分子および経路は、免疫スイッチとして作用している。T細胞上
で発現する負に調節する別の受容体であるPD-1もまた、標的とされている。単一免疫
チェックポイントの切り替えは、抗腫瘍応答を誘発するのに十分ではなく、これにより、
PD-1またはCTLA4のような単一の免疫調節チェックポイントを標的とすることの
失敗の一部が説明される。しかし、何らかの原理に拘泥することを望むものではないが、
処置は、一部の場合、免疫調節特性を有すると考えられる、RTの添加によって亢進され
得る。これらの場合、RT処置した領域の外側の腫瘍は、RTにより引き起こされる推定
上の全身性炎症または免疫反応の結果として、退縮することが見出され、このことは、放
射線が全身性の抗腫瘍免疫反応を誘発する可能性を強調するものである。免疫活性の増大
により、RTの局所効果を増強することもできる。
【0093】
これらのイムノコンジュゲートの濃度だけを向上させることにより、疾患を処置するこ
とができる。疾患をさらに処置するために、治療用放射標識も加えることができる。ある
特定の実施形態では、イムノコンジュゲートは、高濃度で、および治療用放射標識なしに
、治療剤として働く。ある特定の実施形態では、放射標識は、オールインワン型(all-in
-one)多重治療プラットフォームにおいて、同じナノ粒子に付加されている。あるいは、
治療用放射性同位体は、独立して投与され得る。
【0094】
標的化された診断および/または治療プラットフォームのための標的特異的ナノ粒子イ
ムノコンジュゲート(例えば、粒子表面に結合させた一本鎖抗体断片)が、本明細書に記
載されている。ある特定の実施形態では、ナノ粒子イムノコンジュゲートは、直径が20
nm未満(例えば、6~10nm)である。この小さなサイズは、治療用途および/また
はイメージング用途において、利点をもたらすことが見出されている。例えば、開示され
ているイムノコンジュゲートは、罹患組織の標的化の改善をもたらし、器官による(例え
ば、肝臓による)非特異的取込みを低減することができる。より小さなイムノコンジュゲ
ートは、免疫反応性の低下も実証することができ、これにより、さらに有効性が改善され
る。
【0095】
ある特定の実施形態では、ナノ粒子は、シリカ、ポリマー(例えば、ポリ(乳酸-co
-グリコール酸)(PLGA))および/または金属(例えば、金、鉄)を含む。
【0096】
ある特定の実施形態では、シリカをベースとするナノ粒子プラットフォームは、超小型
ナノ粒子または「Cドット」を含み、これらは、モジュラー機能の範囲内で、10nm未
満の範囲まで、直径を制御可能な程に小さくした蛍光性のオルガノシリカコアシェル粒子
である。Cドットは、それらの内容の全体が、参照により本明細書に組み込まれている、
米国特許第8298677B2号「Fluorescent silica-based nanoparticles」、米国
特許出願公開第2013/0039848A1号「Fluorescent silica-based nanopar
ticles」および米国特許出願公開第2014/0248210A1号「Multimodal sili
ca-based nanoparticles」によって記載されている。コアのシリカマトリックスに組み
込まれるものは、独特の光学特性をもたらす、Cy5.5などの近赤外色素分子である。
コアを取り囲んでいるものは、シリカの層またはシェルである。シリカ表面は、水性条件
および生物学的に関連する条件中で安定性を増強するため、シリル-ポリエチレングリコ
ール(PEG)基により共有結合で修飾される。これらの粒子をin vivoで評価し
、主にそれらのサイズおよび不活性表面のために、優れたクリアランス特性を示した。C
ドットに組み込まれる追加の機能の中には、化学センシング、非光学(PET)イメージ
コントラストおよびin vitro/in vivoでの標的化の能力があり、これに
より、外科的用途の場合のリンパ節の可視化、およびがんにおける黒色腫の検出にこれら
を使用することが可能となる。
【0097】
Cドットは、アルコールをベースとする修正Stober法により合成される。C’ド
ットは、水中で合成される。
【0098】
CドットまたはC’ドットは、それらの物理特性および実証されたヒトのin viv
o特徴のため、薬物送達用に特有なプラットフォームを提供する。これらの粒子は、超小
型であり、所望のクリアランスおよび薬物動態特性を保持しながら、腫瘍の微小環境にお
いてEPR効果から恩恵がもたらされる。この目的のために、ある特定の実施形態では、
薬物構築物が、CドットまたはC’ドット(または、他のナノ粒子)に共有結合により付
加されている、ナノ粒子薬物送達系が本明細書に記載されている。
【0099】
CドットまたはC’ドットは、抗体断片と単一プラットフォーム上の治療用放射標識(
例えば、177Lu、225Ac、90Y、89Zr)とを組み合わせるための、非常に
特異的で強力な多重治療標的化粒子プローブとして働くことができる。あるいは、天然で
免疫調節性および抗炎症性であることが公知の、アルファMSHなどの、標的化ペプチド
のCドットまたはC’ドットのカップリングはまた、CドットまたはC’ドット放射性治
療用(および/または他の粒子をベースとする)プラットフォームと組み合わせて、効力
の増強を実現することもできる。ある特定の実施形態では、放射性同位体および/または
抗体断片の濃度は、診断用途と比べて、治療用途では一層高い。
【0100】
他のマルチモーダルプラットフォームとは対照的に、イムノコンジュゲートは、ナノ粒
子それ自体に付加されている異なる部分を含むことができる。例えば、ある特定の実施形
態では、放射性同位体は、ナノ粒子に付加されており、抗体断片は、ナノ粒子に付加され
ている。すなわち、これらの実施形態では、放射性標識体は、抗体断片それ自体に付加さ
れていない。別の例として、イムノコンジュゲートは、ナノ粒子に付加されている標的化
リガンド、ナノ粒子に付加されている放射性同位体、およびナノ粒子に付加されている抗
体断片を含むことができる。Cドットに付加されている異なる部分の化学量論比は、ナノ
粒子イムノコンジュゲートの生体分布に影響し得る。
【0101】
イムノコンジュゲート、例えば、Cドット-抗体(mAb)およびCドット-抗体-断
片(vFab)コンジュゲートは、2つの手法のどちらか一方を使用して調製することが
できる。スキーム1は、
図8に示されている、チオール-マレイミド化学反応を含む。ス
キーム1は、タンパク質周辺にマレイミド基を含有するよう修飾されたものを設計したも
のである。スキーム2は、
図9に示されている、アルケン-テトラジン化学反応を含む。
【0102】
図8に示されているスキーム1では、表面がPEGおよびマレイミド基により官能基化
されているCy5色素を含有するCドット(Cドット-(Cy5)-PEG-mal)は
、2014年にBradburyらに以前に記載されている通り調製した。Cy5フルオロフォア
により修飾されているシランが調製され、NH
4OHの希釈溶液中にテトラメチルオルト
シラン(TMOS)で滴定した(TMOS:Cy5:NH3:H20のモル比は、1:0
.001:0.44:1215である)、24時間、混合した(Urata C、Aoyama Y、T
onegawa A、Yamauchi Y、Kuroda K. Dialysis process for the removal of s
urfactants to form colloidal mesoporous silica nanoparticles. Chem Commu
n(Camb). 2009年;(34巻):5094~6頁)(Yamada H、Urata C、Aoyama
Y、Osada S、Yamauchi Y、Kuroda K. Preparation of Colloidal Mesoporous
Silica Nanoparticles with Different Diameters and Their Unique Degradati
on Behavior in Static Aqueous Systems、Chem. Mater. 2012年;24巻(
8号):1462~71頁)(Wang J、Sugawara-Narutaki A、Fukao M、Yokoi T、S
himojima A、Okubo T. Two-phase synthesis of monodisperse silica nanosph
eres with amines or ammonia catalyst and their controlled self-assembly
. ACS Appl Mater Interfaces. 2011年;3巻(5号):1538~44頁)。
これは、Cy5が封入されたシリカ粒子となり、その表面は、PEG-シラン(500g
/モル)(Suzuki K、Ikari K、Imai H. Synthesis of silica nanoparticles h
aving a well-ordered mesostructured using a double surfactant system. J
Am Chem Soc. 2004年;126巻(2号):462~3頁)およびマレイミド-
PEG-シラン(PEG-シラン:TMOS:mal-PEG-シランのモル比は、1:
2.3:0.006)により処理することによって、さらにPEG化し、マレイミド基に
より官能基化した。マレイミド基は、次に、粒子を、チオールおよびアミン(例えば、シ
ステインメチルエステルまたはシステアミン-HCl)を含有する化合物と反応させるこ
とによりアミン基に効果的に変換することができる。次に、得られたCドット-(Cy5
)-PEG-アミンは、続いて、スクシンイミジル3-(2-ピリジルジチオ)プロピオ
ネート(SPDP)により修飾することができる。ピリジルジチオールは、少なくとも2
つの目的で働く:1つ目は、ピリジルジチオールは、コンジュゲート化の効率を定量化す
るために使用することができる。2つ目は、ピリジルジチオールは、「保護基」として働
き、チオール基の酸化を最小化することができる、などである。次に、TCEPは、ピリ
ジン2-チオンを放出する基を除去するために使用することができ、ピリジン2-チオン
は、定量するために、HPLCまたはUV吸収により測定することができる。次に、得ら
れたCドット-(Cy5)-PEG-チオールは、タンパク質-マレイミドと反応させて
、所望のCドット-(Cy5)-PEG-mAbまたはCドット-(Cy5)-PEG-
vFabに至ることができる。
【0103】
図9に示されているスキーム2において、タンパク質付加のためにアルケン-テトラジ
ン化学反応を利用する。ここで、mAbまたはvFabは、メチルテトラジン-PEG
4
-NHSエステルなどの、クリック反応性基により修飾される。次に、
図8(スキーム1
)に記載されているような、Cドット-(Cy5)-PEG-アミンは、適切なクリック
パートナー(例えば、TCO-PEG4-NHSエステル)により修飾される。次に、最
終工程において、メチルテトラジン-mAbまたはメチルテトラジン-vFabは、Cド
ット-(Cy5)-PEG-TCOと反応させて、Cドット-(Cy5)-PEG-mA
b生成物またはCドット-(Cy5)-PEG-vFab生成物に至ることができる。
【0104】
抗体断片(fAb)は、標準のモノクローナル抗体(mAb)と比べて、利点(例えば
、サイズ、低下した免疫原性のFc領域がない、スケーラビリティおよび適応性)をもた
らす。fAbは、発現宿主(例えば、E.Coli)において単一連続配列として通常発
現される、余分なものを含まない、抗体の結合領域である。ある特定の実施形態では、f
AbまたはmAbは、15kDa(+/-5kDa)ぐらい小さいものであることができ
る(例えば、約3nm)。他の実施形態では、fAbまたはmAbは、最大150kDa
(例えば、最大20nm)とすることができる。一実施形態では、fAbは、およそ60
kDa(例えば、+/-15kDa)である。fAbは、免疫グロブリン(immunoglobin
)軽鎖の対応するドメインに連結している、免疫グロブリン重鎖の可変ドメインおよび定
常ドメインを含む。別の実施形態では、抗体フォーマットは、およそ30kDa(例えば
、+/-10kDa)である一本鎖可変断片(scFv)とすることができる。scFv
断片は、軽鎖可変ドメインに連結している重鎖可変ドメインを含む。他の実施形態では、
抗体フォーマットは、約15kDa(例えば、+/-5kDa)である単一ドメイン抗体
(sdAb)断片であることができる。sdAb断片は、単一重鎖可変ドメインを含む。
ある特定の実施形態では、抗体断片は、異なる腫瘍を標的とする抗CEA scFvであ
る。
【0105】
ある特定の実施形態では、様々なリンカーが使用される。ある特定の実施形態では、切
断可能なリンカー(例えば、ペプチド、ヒドラジンまたはジスルフィド)が使用される。
ある特定の実施形態では、切断不能なリンカー(例えば、チオエーテル)が使用される。
ある特定の実施形態では、ペプチドリンカーは、リソソームのプロテアーゼ(例えば、カ
テプシン-B)により選択的に切断される。ある特定の実施形態では、バリン-シトルリ
ンジペプチドリンカーが使用される。
【0106】
ある特定の実施形態では、それらの内容が参照により本明細書に組み込まれている、米
国特許第4,680,338号、同第5,122,368号、同第5,141,648号
、同第5,208,020号、同第5,416,064号、同第5,475,092号、
同第5,543,390号、同第5,563,250号、同第5,585,499号、同
第5,880,270号、同第6,214,345号、同第6,436,931号、同第
6,372,738号、同第6,340,701号、同第6,989,452号、同第7
,129,261号、同第7,375,078号、同第7,498,302号、同第7,
507,420号、同第7,691,962号、同第7,910,594号、同第7,9
68,586号、同第7,989,434号、同第7,994,135号、同第7,99
9,083号、同第8,153,768号、同第8,236,319号、Zhao、R.ら、(
2011年) J. Med. Chem. 36巻、5404頁;Doronina、S.ら(2006年)
Bioconjug Chem、17巻、114頁;Hamann、P.ら(2005年) Bioconjug Chem
. 16巻、346頁に記載されている様々なリンカーが使用される。
【0107】
ある特定の実施形態では、mAbおよび/またはfAbは、ある特定の使用の場合、米
国で承認されている。mAbおよびfAbの非限定例は、抗GPIIb/IIIa、抗V
EGF-Aおよび抗TNF-αを含む。ReoPro(アブシキシマブ)は、Nelsonおよ
びReichert、「Development trends for therapeutic antibody fragments」、Natu
re Biotechnology、27巻(4号)、2009年により記載されている、Centoc
or/Eli Lillyによって開発された、抗GPIIb/IIIaである、キメラ
fAb、IgG1-κである。ルセンティス(ラニビズマブ)は、滲出型加齢黄斑変性を
予防するために使用される、Genentech(NelsonおよびReichert、2009年)
によって開発された、抗VEGF-Aである、ヒト化Fab IgG1-κである。シム
ジア(セルトリズマブペゴル)は、中度から重度なクローン病を予防するために使用され
る、UCB(NelsonおよびReichert、2009年)により開発された、抗TNF-αであ
る、PEG化ヒト化fAbである。
【0108】
ある特定の実施形態では、PET(ポジトロン断層法)トレーサーは、イメージング剤
として使用される。ある特定の実施形態では、PETトレーサーは、89Zr、64Cu
、[18F]フルオロデオキシグルコースを含む。
【0109】
ある特定の実施形態では、フルオロフォアは、蛍光色素、蛍光色素消光剤分子、任意の
有機色素もしくは無機色素、金属キレート、またはプロテアーゼにより活性化可能な酵素
基質を含めた任意の蛍光性酵素基質を含む。ある特定の実施形態では、フルオロフォアは
、長鎖のカルボフィリック(carbophilic)なシアニンを含む。他の実施形態では、フル
オロフォアは、DiI、DiR、DiDなどを含む。蛍光色素は、遠赤外および近赤外の
蛍光色素(NIRF)を含む。蛍光色素は、限定されないが、カルボシアニンおよびイン
ドシアニン蛍光色素を含む。ある特定の実施形態では、イメージング剤は、以下に限定さ
れないが、Cy5.5、Cy5およびCy7(GE Healthcare);Alex
aFlour660、AlexaFlour680、AlexaFluor750および
AlexaFluor790(Invitrogen);VivoTag680、Viv
oTag-S680およびVivoTag-S750(VisEn Medical);
Dy677、Dy682、Dy752およびDy780(Dyomics);DyLig
ht547、DyLight647(Pierce);HiLyte Fluor 64
7、HiLyte Fluor680およびHiLyte Fluor 750(Ana
Spec);IRDye 800CW、IRDye 800RSおよびIRDye 70
0DX(Li-Cor);およびADS780WS、ADS830WSおよびADS83
2WS(American Dye Source)およびKodak X-SIGHT
650、Kodak X-SIGHT691、Kodak X-SIGHT751(Ca
restream Health)を含めた、市販の蛍光色素を含む。
【0110】
ある特定の実施形態では、クリック反応性基が使用される(「クリック化学反応」のた
め)。クリック反応性基の例には、以下:アルキン、アジド、チオール(スルフィドリル
)、アルケン、アクリレート、オキシム、マリエミド(maliemide)、NHS(N-ヒド
ロキシスクシンイミド)、アミン(一級アミン、二級アミン、三級アミンおよび/または
四級アンモニウム)、フェニル、ベンジル、ヒドロキシル、カルボニル、アルデヒド、カ
ーボネート、カルボキシレート、カルボキシル、エステル、メトキシ、ヒドロペルオキシ
、ペルオキシ、エーテル、ヘミアセタール、ヘミケタール、アセタール、ケタール、オル
トエステル、オルトカーボネートエステル、アミド、カルボキシアミド、イミン(一級ケ
チミン、二級ケタミン、一級アルジミン、二級アルジミン)、イミド、アゾ(ジイミド)
、シアネート(シアネートまたはイソシアネート)、ニトレート、ニトリル、イソニトリ
ル、ニトライト(ニトロソオキシ基)、ニトロ、ニトロソ、ピリジル、スルフィド、ジス
ルフィド、スルフィニル、スルホニル、スルフィノ、スルホ、チオシアネート、イソチオ
シアネート、カロノチオイル(caronothioyl)、チオン、チアール、ホスフィン、ホスホ
ノ、ホスフェート、ホスホジエステル、ボロノ、ボロネート、ボルニノ、ボリネート、ハ
ロ、フルオロ、クロロ、ブロモおよび/またはヨード部分が挙げられる。
【0111】
処理され得るがんには、例えば、前立腺がん、乳がん、精巣がん、子宮頚がん、肺がん
、結腸がん、骨がん、神経膠腫、神経膠芽腫、多発性骨髄腫、肉腫、小細胞癌、黒色腫、
腎がん、肝臓がん、頭頸部がん、食道がん、甲状腺がん、リンパ腫および/または白血病
が挙げられる。
【0112】
ある特定の実施形態では、Cドットに付加されている、アルファ-MSHなどの標的化
ペプチドリガンドは、他の治療法と並行して、免疫調節剤として働き、処置応答を増強す
ることができる。
【0113】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載されているイムノコンジュゲートの投与に加
えて、処置方法は、抗体、低分子薬、放射線、薬物療法、化学療法、冷凍療法、温熱療法
、電気療法、光線療法、超音波療法および/または手術の投与を含むことができる。
【0114】
ある特定の実施形態では、イムノコンジュゲートは、治療剤、例えば、薬物(例えば、
化学療法薬)および/または治療用放射性同位体を含む。本明細書で使用する場合、「治
療剤」は、対象に投与した場合、治療効果を有するか、ならびに/または所望の生物学的
効果および/もしくは薬理学的効果を誘発する任意の薬剤を指す。
【0115】
ある特定の実施形態では、放射性同位体は、モニタリング/イメージングすることがで
きる放射標識である(例えば、PETまたは単一光子放射コンピュータ断層撮影(SPE
CT)による)。使用することができる放射性同位体の例は、ベータ放出体(例えば、1
77ルテチウム(Luteium))およびアルファ放出体(例えば、225Ac)を含む。あ
る特定の実施形態では、以下の1つまたは複数の放射性同位体:99mTc、111In
、64Cu、67Ga、186Re、188Re、153Sm、177Lu、67Cu、
123I、124I、125I、11C、13N、15O、18F、186Re、188
Re、153Sm、166Ho、177Lu、149Pm、90Y、213Bi、103
Pd、109Pd、159Gd、140La、198Au、199Au、169Yb、1
75Yb、165Dy、166Dy、67Cu、105Rh、111Ag、89Zr、2
25Acおよび192Irが使用される。
【0116】
ある特定の実施形態では、イムノコンジュゲートは、1つまたは複数の薬物、例えば、
ソラフェニブ、パクリタキセル、ドセタキセル、MEK162、エトポシド、ラパチニブ
、ニロチニブ、クリゾチニブ、フルベストラント、ベムラフェニブ、ベキソロテンおよび
/またはカンプトテシン(camptotecin)などの1つまたは複数の化学療法薬を含む。
【0117】
ある特定の実施形態では、イムノコンジュゲートは、キレート剤、例えば、1,4,8
,11-テトラアザビシクロ[6.6.2]ヘキサデカン-4,11-ジイル)二酢酸(
CB-TE2A);デスフェロキサミン(DFO);ジエチレントリアミン五酢酸(DT
PA);1,4,7,10-テトラアザシクロテトラデカン-1,4,7,10-四酢酸
(DOTA);チレンジアミン四酢酸(EDTA);エチレングリコールビス(2-アミ
ノエチル)-N,N,N’,N’-四酢酸(EGTA);1,4,8,11-テトラアザ
シクロテトラデカン-1,4,8,11-四酢酸(TETA);エチレンビス-(2-4
ヒドロキシ-フェニルグリシン)(EHPG);5-Cl-EHPG;5Br-EHPG
;5-Me-EHPG;5t-Bu-EHPG;5-sec-Bu-EHPG;ベンゾジ
エチレントリアミン五酢酸(ベンゾ-DTPA);ジベンゾ-DTPA;フェニル-DT
PA、ジフェニル-DTPA;ベンジル-DTPA;ジベンジルDTPA;ビス-2(ヒ
ドロキシベンジル)-エチレン-ジアミン二酢酸(HBED)およびその誘導体;Ac-
DOTA;ベンゾ-DOTA;ジベンゾ-DOTA;1,4,7-トリアザシクロノナン
N,N’,N”-三酢酸(NOTA);ベンゾ-NOTA;ベンゾ-TETA、ベンゾ-
DOTMA(DOTMAは、1,4,7,10-テトラアザシクロテトラデカン-1,4
,7,10-テトラ(メチル四酢酸)である)、ベンゾ-TETMA(TETMAは、1
,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン-1,4,8,11-(メチル四酢酸)
である);1,3-プロピレンジアミン四酢酸(PDTA)の誘導体;トリエチレンテト
ラアミン六酢酸(TTHA);1,5,10-N,N’,N”-トリス(2,3-ジヒド
ロキシベンゾイル)-トリカテコレート(LICAM)の誘導体;および1,3,5-N
,N’,N”-トリス(2,3-ジヒドロキシベンゾイル)アミノメチルベンゼン(ME
CAM)または他の金属キレート剤を含む。
【0118】
ある特定の実施形態では、イムノコンジュゲートは、1つ超のキレート剤を含む。
【0119】
ある特定の実施形態では、放射性同位体-キレート剤のペアは、89Zr-DFOであ
る。ある特定の実施形態では、放射性同位体-キレート剤のペアは、177Lu-DOT
Aである。ある特定の実施形態では、放射性同位体-キレート剤のペアは、225Ac-
DOTAである。
【0120】
ある特定の実施形態では、治療剤(例えば、薬物および/または放射性同位体)は、バ
イオオルソゴナルなコンジュゲート化手法(例えば、アミン/NHS-エステル、チオー
ル/マレイミド、アジド/アルキンクリック、またはテトラジン/TCOクリック)を使
用して、ナノ粒子または抗体断片(タンパク質)、またはそれらの両方に付加されている
。放射性金属を使用して放射標識する場合、放射性金属キレート剤をまず、粒子もしくは
タンパク質の一方、またはそれらの両方に付加し、次いで、放射性金属を付加することが
できる。あるいは、放射性金属/キレート剤の錯体化(complex)を行い、次いで、粒子
もしくはタンパク質、またはそれらの両方に付加することができる。放射性ヨウ素化はま
た、粒子もしくはタンパク質、またはそれらの両方にあるチロシン基またはフェノール基
が求電子付加化学反応により修飾される、標準的手法を使用して達成することができる。
【0121】
ある特定の実施形態では、イムノコンジュゲートは、疾患または状態を処置するために
、特定の疾患または状態(例えば、がん)に罹患している対象に投与される。
【実施例】
【0122】
(実験例)
(Cドット-(Cy5)-PEG-マレイミドの調製:)
マレイミドおよびNHSエステルにより官能基化されたポリエチレングリコール(ma
l-dPEG12-NHS)を、DMSO(モル比はmal-PEG-NHS:APTE
S:DMSO 1:0.9:60)中、アミノシラン(APTES)とコンジュゲートし
た。この反応混合物を室温で48時間、窒素下に置いたところ、シランにより官能基化さ
れたmal-dPEG(mal-dPEG-APTES)が生じた。マレイミド官能基化
Cy5(mal-Cy5)は、DMSO中、チオール-シラン(MPTMS)と反応させ
た(モル比Cy5:MPTMS:DMOS 1:25:1150)。この反応を室温で2
4時間、窒素下に置いたところ、シランにより官能基化したCy5(Cy5-MPTMS
)が生じた。次に、TMOSおよびCy5-MPTMSを、水酸化アンモニウム(ammoni
a hydroxide)溶液(約pH8)中に滴定した(モル比TMOS:Cy5:NH3:H2
O 1:0.001:0.44:1215)。この溶液を室温で、600rpmにおいて
24時間、撹拌すると、Cy5が封入された均一なシリカナノ粒子が形成された。次に、
mal-dPEG-APTESおよびシランにより官能基化したポリエチレングリコール
(PEG-シラン、MWは約500、Gelest)を上記の合成溶液に加え、粒子をP
EG化して表面を官能基化した(PEG-シラン:TMOS:mal-PEG-APTE
S 1:2.3:0.006)。この溶液を室温、600rpmで24時間、撹拌し、次
に、撹拌しないで、さらに24時間、80℃でインキュベートした。この溶液を、脱イオ
ン水を用いて2000mL中で2日間、透析し(10k MWCO)、200nmのシリ
ンジフィルターによりろ過し、最後に、クロマトグラフィー(Superdex200)
により精製すると、所望のmal-Cドットが得られた。
【0123】
(Cドットイムノコンジュゲートの調製)
一本鎖抗体断片(scFv)をCドットコアシリカナノ粒子にコンジュゲートする検討
を行った。マトリックスメタロプロテイナーゼ12(MMP-12)に結合したscFv
は、E.coliにおいて発現させた。構築物は、ニッケルアフィニティークロマトグラ
フィーおよび免疫検出を行うためのC末端HisおよびFLAGタグを含有した。変異体
scFvを構築し、この場合、ポリペプチド鎖の最後のアミノ酸をシステイン(Cys)
に変換した。この変化は、変異体遺伝子を配列決定することにより確認した。野生型sc
Fv、および変異体を含有しているC末端Cysの発現およびニッケルアフィニティー精
製は、scFvと一致する分子量のクマシーブルー染色により可視化した、ドデシル硫酸
ナトリウム(SDS)ポリアクリルアミドゲルの電気泳動(PAGE)により確認した。
scFv SDS PAGEゲルのウエスタンブロット分析は、抗FLAGタグHRPコ
ンジュゲートにより行われた。ウエスタンブロット分析により、ゲルバンドが同一である
ものはscFvであることを確認した。
【0124】
scFvは、二官能性リンカーを含有するアジドにより修飾されたクローンであった。
野生型scFvは、N-ヒドロキシ-スクシンイミド(NHS)エステル-ポリエチレン
グリコール(PEG)4-アジドにより修飾した。何らかの理論に拘泥することを望むの
ではないが、NHSエステル-PEG4-アジドにより野生型scFvを修飾すると、表
面リシン残基上の遊離アミン上にPEG4-アジドがランダムに組み込まれる。Cysス
ルフィドリル上に部位特異的にPEG3-アジドを導入するため、C末端scFv Cy
s構築物をマレイミド-PEG3-アジドとコンジュゲートした。scFv構築物を、ジ
ベンゾシクロオクチン(DBCO)-PEG-Cy5蛍光プローブを用いて反応させるこ
とによるアジド組込みについて分析した。アジドは、金属フリーのクリック化学反応によ
りDBCOと反応させて、共有結合連結基を形成させた。40kDaカットオフサイズ排
除スピンカラムによって、未反応DBCO-Cy5色素を反応混合物から除去した。sc
Fvの表面上へのアジド基の導入の成功は、BioRad Versa-Docイメージ
ャーを使用して、野生型およびC末端Cys scFv-PEG-Cy5蛍光色素構築物
を可視化することにより確認した。
【0125】
次に、アジドコンジュゲートしたscFvを、それらの表面に1~3つのDBCOを含
有するCドットと反応させた。この反応を室温で12時間、継続させた。非コンジュゲー
トscFvは、50,000の分子量をカットオフするスピンカラム中でのリン酸緩衝生
理食塩水による洗浄、G-200サイズ排除カラムクロマトグラフィーまたはサイズ排除
スピンカラム、およびスクロースクッションによる速度沈降法を含めた多重技法を使用し
て、コンジュゲートしたscFv-Cドットから精製した。速度沈降法およびサイズ排除
クロマトグラフィーは、最もスケールアップ可能な精製方法のように思われる。精製sc
Fv C-ドットコンジュゲートは、ドットブロットscFv免疫検出/粒子蛍光アッセ
イ、ゲル電気泳動および固定化MMP-12による蛍光ELISAにより分析した。
【0126】
これらの方法は、他のタイプの抗体断片、例えばsdAbに適用することができる。
【0127】
図1は、キレート剤をベースとする放射標識技法を使用する、
89Zr標識C’ドット
放射性イムノコンジュゲートの合成を示す概略図を示す。PEG化およびマレイミド官能
基化C’ドット(C’ドット-PEG-Mal、1)をまず、還元型グルタチオン(GS
H)と反応させて、その後のバイオコンジュゲートのために-NH
2基を導入し、C’ド
ット-PEG-GSH(2)を形成した。次に、このナノ粒子をDBCO-PEG4-N
HSエステルおよびDFO-NCSとコンジュゲートし、それぞれ、C’ドット-PEG
-DBCO(3)およびDFO-C’ドット-PEG-DBCO(4)を形成させた。一
本鎖可変断片(scFv-アジド)(または、単一ドメイン抗体、sdAb-アジド)な
どのアジド官能基化された小さな標的化リガンドを、歪みにより促進されるアジド-アル
キン環化付加にもとづいてナノ粒子にコンジュゲートし、DFO-C’ドット-PEG-
scFv(5)を形成させた。最終のC’ドット放射性イムノコンジュゲート(
89Zr
-DFO-C’ドット-PEG-scFv、6)は、
89Zr-オキサレートによりそれ
を標識したものであった。
図1に例示されている概略図は、scFvに限定されず、様々
なタイプの抗体断片、例えばsdAbを含むことができる。
【0128】
図2Aおよび
図2Bは、健常なヌードマウスにおける、注射後の様々な時点(10分間
、1時間、1日、3日および6日)での、
89Zr-DFO-C’ドット-PEGのin
vivoのPETイメージ(
図2A)冠状面方向のPETイメージおよび(
図2B)矢
状面方向のPETイメージを示す。C’ドット-PEG-MalとGSHとの間の反応比
は、1:20で維持した。PETイメージは、フォーカス120マイクロPETスキャナ
の使用により得た。
【0129】
図3は、健常なヌードマウスにおける、6日目での
89Zr-DFO-C’ドット-P
EGの生体分布データを示す。2%ID/g未満の骨(および関節)への取込みが観察さ
れた。
【0130】
図4Aおよび
図4Bは、キレート剤フリーの
89Zr放射標識化実験例を示す。
【0131】
図4Aは、75℃において、様々なpH条件下で、C’ドット-PEG-Malの
89
Zr標識化収率を示す。
【0132】
図4Bは、C’ドットと
89Zr-オキサレートとの比の様々な組合せを使用して、C
’ドット-PEG-Malの
89Zr標識化収率を示す。
【0133】
図5Aおよび5Bは、健常なヌードマウスにおける、注射後の様々な時点(10分間、
1日、3日および6日)における、[89Zr]C’ドット-PEGのin vivoコ
ロナルPETイメージを示す。[
89Zr]C’ドット-PEGは、キレート剤不含放射
標識化技法を使用して合成した。PETイメージは、フォーカス120マイクロPETス
キャナの使用により得た。
【0134】
図5Aは、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)を使用しないで得たPETイメージを
示す。
【0135】
図5Bは、EDTAを使用して得たPETイメージを示す。
【0136】
図6は、7日目における、健常なヌードマウス(n=3)における、[
89Zr]C’
ドット-PEGの生体分布データを示す。10%ID/gを超える骨(および関節)への
取込み(赤い箱により強調している)が、この場合に観察され、キレート剤フリーの方法
を使用すると、放射標識化がそれほど安定ではないことが示された(キレート剤をベース
とする方法のものと比較した場合)。
【0137】
図7は、注射後48時間での健常なヌードマウスにおける、
89Zr-DFO-C’ド
ット、
89Zr-DFO-C’ドット-DBCOおよび
89Zr-DFO-C’ドット-
PEG-sdAbの生体分布データを示す。各C’ドットに由来するDFO、DBCOお
よびsdAbの数を最適化することにより、改善された薬物動態プロファイル(延長され
た血液循環の半減期およびより低い肝臓取込みを有する)を実現することができる。