IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ デビコー・メディカル・プロダクツ・インコーポレイテッドの特許一覧

特許7016984生検装置用のマルチチャンバ組織試料カップ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-28
(45)【発行日】2022-02-07
(54)【発明の名称】生検装置用のマルチチャンバ組織試料カップ
(51)【国際特許分類】
   A61B 10/02 20060101AFI20220131BHJP
【FI】
A61B10/02 110J
A61B10/02 110K
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021113493
(22)【出願日】2021-07-08
(62)【分割の表示】P 2019529512の分割
【原出願日】2017-12-01
(65)【公開番号】P2021168936
(43)【公開日】2021-10-28
【審査請求日】2021-07-08
(31)【優先権主張番号】62/429,471
(32)【優先日】2016-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】511148271
【氏名又は名称】デビコー・メディカル・プロダクツ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Devicor Medical Products, Inc.
【住所又は居所原語表記】5th Floor, 300 E Business Way, Cincinnati, OH 45241, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100101890
【弁理士】
【氏名又は名称】押野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100098268
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 豊
(72)【発明者】
【氏名】ノック・アンドリュー・ポール
(72)【発明者】
【氏名】ロビンソン・アンドリュー
【審査官】岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0317134(US,A1)
【文献】特表2014-526937(JP,A)
【文献】国際公開第2016/086084(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 10/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)本体と、
(b)前記本体から遠位に延在する針と、
(c)前記針に対して長手方向に平行移動が可能なカッターであって、前記カッターがカッター内腔を画定する、前記カッターと、
(d)組織試料ホルダであって、
(i)回転部材であって、前記回転部材の少なくとも一部が、前記回転部材の外壁から半径方向内向きに延在する複数のトレイ壁によって分割された内部チャンバを画定する、前記回転部材と、
(ii)単一試料チャンバを含む個別試料トレイであって、前記単一試料チャンバが、単一組織試料のみを収容するように構成されている、前記個別試料トレイと、
(iii)1つまたは複数の一括試料トレイであって、前記一括試料トレイが複数の組織試料を収容するように構成されている、前記一括試料トレイと
を含む前記組織試料ホルダと、
(e)前記本体に付随し、前記回転部材を前記本体に対して複数の位置に選択的に係止するように構成されている割出し器であって、前記複数の位置のうちの各位置が、前記個別試料トレイ、および前記1つまたは複数の一括試料トレイのうちの各一括試料トレイの単一の位置に対応する、前記割出し器と
を備えた生検装置。
【請求項2】
前記回転部材が複数のトレイ壁を含み、前記複数のトレイ壁が、前記回転部材の少なくとも一部によって画定された前記内部チャンバの内部に、複数の分離したトレイチャンバを画定する、請求項1に記載の生検装置。
【請求項3】
前記複数の分離したトレイチャンバが、個別トレイチャンバ及び一括トレイチャンバを含み、前記個別トレイチャンバが、前記個別試料トレイを収容するように構成され、前記一括トレイチャンバが、前記1つまたは複数の一括試料トレイのうちの単一の一括試料トレイを収容するように構成されている、請求項2に記載の生検装置。
【請求項4】
前記トレイ壁が前記外壁と一体化している、請求項3に記載の生検装置。
【請求項5】
前記トレイ壁のそれぞれが、隣接する別のトレイ壁に接続するように、前記トレイ壁が、前記外壁に対して半径方向内向きに延在している、請求項4に記載の生検装置。
【請求項6】
前記外壁が、一続きの外向き及び内向きの突起によって分断された概して円筒形の断面を画定し、前記外向き及び内向きの突起が、前記複数のトレイ壁の各トレイ壁に対応している、請求項4に記載の生検装置。
【請求項7】
前記回転部材が、前記回転部材の少なくとも一部から外向きに延在するフランジを含み、前記フランジが、前記本体に対する前記回転部材の回転を可能にしながら、前記回転部材を前記本体に軸方向に連結する構成となるように、前記フランジが、前記本体に付随している継手によって画定されたチャネルの内部で結合するように構成されている、請求項1に記載の生検装置。
【請求項8】
前記フランジが前記チャネルの内部に収容されると、前記継手が、前記回転部材を前記本体に持続的かつ取外し不能に保持するように構成されている、請求項7に記載の生検装置。
【請求項9】
前記フランジが複数のロケータを含み、前記複数のロケータの各ロケータが、前記個別試料トレイ、または前記1つまたは複数の一括試料トレイのうちの単一の一括試料トレイに対応している、請求項7に記載の生検装置。
【請求項10】
前記各ロケータが前記フランジに刻み目を備え、前記刻み目が三角形の形状を有する、請求項9に記載の生検装置。
【請求項11】
前記割出し器が、前記複数のロケータの前記各ロケータとの係合によって、前記回転部材を前記本体に対して複数の位置に選択的に係止するように構成されている、請求項9に記載の生検装置。
【請求項12】
前記割出し器が、弾性部分と割出し部分とを含み、前記弾性部分が、前記割出し部分を弾性的に付勢して、前記複数のロケータの前記各ロケータと係合させるように構成されている、請求項11に記載の生検装置。
【請求項13】
前記組織試料ホルダが外側カップを更に含み、前記外側カップが、前記回転部材の少なくとも一部を囲むように構成されている、請求項1に記載の生検装置。
【請求項14】
前記回転部材が、開放近位端と閉鎖遠位端とを含み、前記閉鎖遠位端が、前記カッターから組織試料を受け入れるように構成された複数の試料開口と、前記本体から真空を受け入れるように構成された複数の真空開口とを画定している、請求項1に記載の生検装置。
【請求項15】
前記回転部材の前記閉鎖遠位端が、複数のリブを更に画定し、前記リブが、各試料開口と各試料開口に伴う真空開口との間に延在して、前記回転部材が前記本体に結合されたときに、各試料開口を他の試料開口に対して流体的に隔離する、請求項14に記載の生検装置。
【請求項16】
(a)本体と、
(b)前記本体から遠位に延在する針と、
(c)前記針に対して長手方向に平行移動が可能なカッターであって、前記カッターがカッター内腔を画定する、前記カッターと、
(d)組織試料ホルダであって、
(i)回転部材であって、前記回転部材が、前記回転部材の外壁から半径方向内向きに延在する複数のトレイ壁によって分割された内部チャンバを画定し、単一の組織試料用の大きさに作られた個別チャンバと、複数の組織試料用の大きさに作られた1つまたは複数の一括チャンバと、を画定する、前記回転部材と、
(ii)単一試料チャンバを含む個別試料トレイであって、前記単一試料チャンバが、単一組織試料を収容するように構成されている、前記個別試料トレイと、
(iii)1つまたは複数の一括試料トレイであって、前記一括試料トレイが複数の組織試料を収容するように構成されている、前記一括試料トレイと、
(iv)前記回転部材に付随し、各前記個別チャンバおよび前記1つまたは複数の一括チャンバに対応する、複数の割出し機構であって、各割出し機構が、前記本体の一部と係合して、前記回転部材を複数の所定位置に向けて付勢するように構成されている、前記割出し機構と
を含む前記組織試料ホルダと
を備えた生検装置。
【請求項17】
前記回転部材が近位壁を含み、前記近位壁が、個別トレイ開口と1つまたは複数の一括トレイ開口とを含み、前記個別試料トレイが、前記個別トレイ開口内に収容されるように構成され、前記1つまたは複数の一括試料トレイの各一括試料トレイが、対応する一括トレイ開口内に収容されるように構成されている、請求項16に記載の生検装置。
【請求項18】
前記1つまたは複数の一括チャンバの各一括チャンバが、一対の側壁、後壁、及び床を含み、前記床がV字形であり、前記床が複数の真空開口を含み、前記真空開口が、前記床の前記V字形全体の周りに等間隔を置いて配置されている、請求項1に記載の生検装置。
【請求項19】
前記1つまたは複数の一括試料トレイのうちの各一括試料トレイが、前記一括トレイと前記回転部材との間にシールを提供するように構成されたOリングを含む、請求項1に記載の生検装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権
本出願は、2016年12月2日に出願された「Multi-Chamber Tissue Sample Cup for Biopsy Device」と題する米国仮特許出願第62/429,471号に対する優先権を主張し、この米国仮特許出願に開示されている全内容を、参照によって本明細書に援用するものである。
【背景技術】
【0002】
生検とは、がんまたは他の障害の徴候を対象にした組織の検査を可能にするために、患者から組織試料を採取することである。組織試料は、様々な試料収集装置の使用を伴う多数の医療処置を用いて、様々な方法で採取することができる。例えば、生検は、開放的な処置(切開創の作成後に外科的に組織を切除すること)である場合や、経皮的処置(例えば、細針吸引、コア針生検、または真空補助生検による)である場合がある。組織試料が収集された後、組織試料は、適切な試験(組織学的なものなど)を実施するように設けられた研究室(例えば、病理学研究室、生物医学研究室など)で分析され得る。
【0003】
生検試料は、様々な装置を使用する開放方法及び経皮的方法を含む様々な医療処置において、様々な方法で採取されている。例えば、生検装置のなかには、ユーザが片手を使うことによって完全に操作可能であり、1回の挿入で、患者から1つ以上の生検試料を取得できるものがある。加えて、生検装置のなかには、流体(例えば、圧縮空気、生理食塩水、大気、真空など)の連通、電力の伝達、及び/またはコマンドの通信などのために、真空モジュール及び/または制御モジュールに繋げられるものがある。一方、繋がれることなく、または別の方法で別の装置と接続されることもなく、完全に、または少なくとも部分的に操作可能であり得る生検装置もある。
【0004】
最先端の乳房生検は、真空補助乳房生検である。この分野の現教科書は、「Vacuum-Assisted Breast Biopsy with Mammotome(登録商標)」(2012年11月11日市販、著作権2013年(Devicor Medical Germany GmBh)、Springer Medizin Verlagによりドイツで出版、Markus Hahn、Anne Tardivon、及びJan Casselman著、ISBN 978-3-642-34270-7)である。
【0005】
生検装置は、超音波画像ガイド下、定位(X線)ガイド下、MRIガイド下、ポジトロンエミッションマンモグラフィ(「PEM」ガイド下)、乳房専用ガンマ撮像(「BSGI」)ガイド下などで使用され得る。各処置は、使用される撮像誘導の形式に基づいた独自の方法を有する。以下には、超音波画像ガイド下生検処置、定位ガイド下生検処置、及びMRIガイド下生検処置の簡単な説明を記す。
【0006】
超音波画像ガイド下乳房生検処置では、操作者は、超音波トランスデューサを患者の乳房表面に置き、超音波画像表示画面を見ながらトランスデューサを動かして、患者の乳房の疑わしい組織の位置を特定することができる。操作者が、疑わしい組織の位置を特定すると、操作者は、乳房の標的領域に麻酔をかけることが可能になる。乳房に麻酔がかけられた時点で、操作者は、トランスデューサからずらされた乳房の外表面の位置に、外科用メスを使用して、初期切開創を作成することができる。次に、イントロデューサカニューレ内に同軸に配置した乳房生検プローブの針が、初期切開創から乳房内に挿入される。操作者は、片方の手で超音波トランスデューサを保持しつつ、もう片方の手で生検プローブを動かす。表示画面の超音波画像を見ながら、操作者は、疑わしい組織に隣接した場所に針を誘導する。プローブの針の内部のカッターが使用されて組織が切除され、次にこれが、乳房生検装置の手操作による拾い上げ位置か、それとも組織試料チャンバに搬送される。次いで、イントロデューサカニューレが乳房内に配置されたままにして、乳房生検装置の針が取り出される。次いで、イントロデューサカニューレを使用して、生検部位に生検部位マーカを配備するための生検マーカカニューレを導入してもよい。生検部位にマーカが配備されたら、生検マーカカニューレとイントロデューサカニューレとの両方が乳房から取り外され、皮膚の傷を閉じる医学的に条件にかなった方法を使用して切開創が閉じられる。
【0007】
定位画像ガイド下乳房生検処置では、まず、乳房局在化アセンブリを含むX線装置に対して、患者の位置が決められる。処置によっては、患者は腹臥位の向きにされ、患者は、少なくとも片方の乳房を処置台の開口部から下垂させて、処置台にうつ伏せに横たわる。次いで、圧迫板と、処置台の下に置かれた局在化アセンブリのX線受光面との間で、乳房が圧迫される。乳房生検装置は、圧迫板の前方の、乳房とX線源との間の自動誘導装置に装着される。患者のポジショニングと乳房の局在化とが完了すると、X線受光面をゼロ度の角度位置にした状態で(すなわち、X線をX線受光面に対して垂直な軸と平行に放射させる)、スカウト画像が取得される。患者が所望の位置に位置決めされたことをスカウト画像が示している場合には、定位画像対の取得の処置を進めることができる。X線源を、X線受光面に対して様々な相補的な角度位置(例えば、+15°及び-15°)に向けることによって、各位置で少なくとも1つのX線画像を取得しながら、定位画像対が取得される。
【0008】
更に、定位画像ガイド下乳房生検処置では、適切な定位画像対が取得されると、操作者は、定位画像対を調べることによって、生検試料採取が望まれる標的部位を特定することができる。各定位画像上で標的部位に印がつけられ、デカルト座標系上での標的部位の正確な位置が、画像処理モジュールを使用して計算される。次いで、計算された標的部位の位置が、自動誘導装置に伝達される。自動誘導装置は、この情報に応答して、乳房生検プローブを標的部位と位置が合った位置に配置する。乳房生検装置を配置した状態で、次に操作者は、生検プローブの針を患者の乳房に発射し、それによって針を標的部位に配置することができる。プローブの針の内部のカッターが使用されて組織が切除されて、次いでこれが、乳房生検装置の手操作による拾い上げ位置か、それとも組織試料チャンバに搬送される。生検組織が切除された後、生検マーカカニューレが針の中に挿入され、生検部位に生検部位マーカを配備すべく使用される。マーカが生検部位に配備されると、針が乳房から取り外され、皮膚の傷を閉じる医学的に条件にかなった方法を使用して、切開創が閉じられる。
【0009】
MRIガイド下乳房生検処置では、患者が台上で適切に位置決めされた後に、ターゲティングデバイス(例えば、グリッド及び立方体の組合せ、またはピラー、ポスト、及びクレードル支持の組合せ)が配備及び使用され、標的の位置を確認するためにベースラインのMRI画像が撮影される。その後、メスを使って乳房の皮膚を切開する。次に、スリーブ内に配置されたオブチュレータによって形成されているアセンブリが、切開創を通して挿入されて、皮下の乳房組織に貫入する。条件にかなったいくつかの外科的手法においては、オブチュレータが取り外され、オブチュレータの代わりにイメージングロッドがスリーブ内に挿入される。イメージングロッドは、生検処置用に使用されているイメージング技術によって検出可能な特徴を含む、適切に成形されたロッドであると単に定義されている。イメージングロッドのMRI画像が、スリーブ/オブチュレータアセンブリが貫入している部位の位置を特定するために使用される。条件にかなった何らかの他の外科的手法においては、オブチュレータが乳房組織と協働して、MRI画像中に目視可能なアーチファクトをもたらす。これらの手法の両方を用いることで、生検が行われる乳房内の位置が確認された後に、オブチュレータまたはイメージングロッドが取り外される。
【0010】
更に、MRIガイド下乳房生検処置では、オブチュレータまたはイメージングロッドが取り外された後に、これらはスリーブ内で乳房生検プローブの針と交換される。プローブの針の内部のカッターが使用されて組織が切除されて、次いでこれが、乳房生検装置の手操作による拾い上げ位置か、それとも乳房生検装置の試料チャンバに搬送される。生検組織が切除された後、生検マーカカニューレが針の中に挿入され、生検部位に生検部位マーカを配備すべく使用される。次いで針がスリーブから取り外される。任意選択的に、イメージングロッドまたはオブチュレータは、生検部位の再撮像のために乳房内に戻される。次いで、イメージングロッドまたはオブチュレータ、及びスリーブが取り外される。
【0011】
周知の生検装置及び生検システムコンポーネントは、1996年6月18日に発行された「Method and Apparatus for Automated Biopsy and Collection of Soft Tissue」と題する米国特許第5,526,822号、1999年7月27日に発行された「Apparatus for Automated Biopsy and Collection of Soft Tissue」と題する米国特許第5,928,164号、2000年1月25日に発行された「Vacuum Control System and Method for Automated Biopsy Device」と題する米国特許第6,017,316号、2000年7月11日に発行された「Control Apparatus for an Automated Surgical Biopsy Device」と題する米国特許第6,086,544号、2000年12月19日に発行された「Fluid Collection Apparatus for a Surgical Device」と題する米国特許第6,162,187号、2002年8月13日に発行された「Method for Using a Surgical Biopsy System with Remote Control for Selecting an Operational Mode」と題する米国特許第6,432,065号、2003年9月11日に発行された「MRI Compatible Surgical Biopsy Device」と題する米国特許第6,626,849号、2004年6月22日に発行された「Surgical Biopsy System with Remote Control for Selecting an Operational Mode」と題する米国特許第6,752,768号、2008年10月8日に発行された「Remote Thumbwheel for a Surgical Biopsy Device」と題する米国特許第7,442,171号、2010年1月19日に発行された「Manually Rotatable Piercer」と題する米国特許第7,648,466号、2010年11月23日に発行された「Biopsy Device Tissue Port Adjustment」と題する米国特許第7,837,632号、2010年12月1日に発行された「Clutch and Valving System for Tetherless Biopsy Device」と題する米国特許第7,854,706号、2011年3月29日に発行された「Surgical Biopsy System with Remote Control for Selecting an Operational Mode」と題する米国特許第7,914,464号、2011年5月10日に発行された「Vacuum Timing Algorithm for Biopsy Device」と題する米国特許第7,938,786号、2011年12月21日に発行された「Tissue Biopsy Device with Rotatably Linked Thumbwheel and Tissue Sample Holder」と題する米国特許第8,083,687号、2012年2月1日に発行された「Biopsy Sample Storage」と題する米国特許第8,118,755号、2012年6月26日に発行された「Tetherless Biopsy Device with Reusable Portion」と題する米国特許第8,206,316号、2012年8月14日に発行された「Biopsy Device with Rotatable Tissue Sample Holder」と題する米国特許第8,241,226号、2012年8月28日に発行された「Revolving Tissue Sample Holder for Biopsy Device」と題する米国特許第8,251,916号、2009年5月21日に公開され、2013年6月4日に発行された「Icon-Based User Interface on Biopsy System Control Module」と題する米国特許第8,454,531号、2013年9月10日に発行された「Biopsy Marker Delivery Device」と題する米国特許第8,532,747号、2014年4月22日に発行された「Biopsy Device with Discrete Tissue Chambers」と題する米国特許第8,702,623号、2014年6月11日に発行された「Handheld Biopsy Device with Needle Firing」と題する米国特許第8,764,680号、2014年8月12日に発行された「Needle Assembly and Blade Assembly for Biopsy Device」と題する米国特許第8,801,742号、2014年10月14日に発行された「Biopsy Device with Motorized Needle Firing」と題する米国特許第8,858,465号、2015年1月20日に発行された「Access Chamber and Markers for Biopsy Device」と題する米国特許第8,938,285号、2015年8月4日に発行された「Biopsy System with Vacuum Control Module」と題する米国特許第9,095,326号、2015年8月4日に発行された「Biopsy System with Vacuum Control Module」と題する米国特許第9,095,326号、及び2016年5月3に発行された「Biopsy Device Tissue Sample Holder with Bulk Chamber and Pathology Chamber」と題する米国特許第9,326,755号に開示されている。上記の米国特許のそれぞれの開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0012】
更に、周知の生検装置及び生検システムコンポーネントは、2006年4月6日に公開されて現在は放棄されている「Biopsy Apparatus and Method」と題する米国公開第2006/0074345号、2008年9月4日に公開された「Presentation of Biopsy Sample by Biopsy Device」と題する米国公開第2008/0214955号、2009年5月21日に公開されて現在は放棄されている「Graphical User Interface For Biopsy System Control Module」と題する米国特許公開第2009/0131821号、2010年6月17日に公開されて現在は放棄されている「Hand Actuated Tetherless Biopsy Device with Pistol Grip」と題する米国公開第2010/0152610号、2010年6月24日に公開されて現在は放棄されている「Biopsy Device with Central Thumbwheel」と題する米国公開第2010/0160819号、2013年6月6日に公開された「Biopsy Device With Slide-In Probe」と題する米国公開第2013/0144188号、及び2013年12月5日に公開された「Control for Biopsy Device」と題する米国公開第2013/0324882号に開示されている。上記の米国特許出願公開のそれぞれの開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0013】
2014年9月18日に公開された「Biopsy device」と題する米国公開第2014/0275999号と、2016年6月30日に公開された「Biopsy device」と題する米国公開第2016/0183928号とは両方とも、プローブと、ホルスタと、組織試料を収集するための組織試料ホルダとを含む生検装置のいくつかの態様を記載している。プローブは、針及び中空カッターを含む。組織試料ホルダは、少なくとも1つの可撓性部材によって接続された複数のストリップを収容するように構成されている複数のチャンバを有するハウジングを含む。可撓性部材は、ストリップが平坦な構成と弓状の構成との間を移行することができるように、ストリップが互いに対して旋回できるように構成されている。組織試料ホルダは、組織試料がストリップ内に収集され得るように、各チャンバをカッター内腔に順次に割り出すべく回転可能である。ストリップを組織試料ホルダから取り外し、組織試料の撮像のために、組織試料ホルダ容器に収納することができる。
【0014】
従来の手法及び器具を使用した組織処理の間にわたるいくつかのステップにおいては、組織を手作業で操作することが必要な場合がある。この手作業での操作は、時間がかかり、組織を処理している間に間違いの原因となる人的ミスの可能性を持ち込み得る。組織を処理している間のありとあらゆる間違いにより、組織の病理学検査は、正確な診断を得るという所望の目的を達成するために、更に多くの問題を抱えるおそれがある。したがって、最近の組織処理の所望の目標は、組織が手作業で操作される必要性を減少させることである旨が理解されよう。
【0015】
2013年12月27日に公開された「Biopsy Tissue Sample Transport Device and Method of Using Thereof」と題する国際特許公開第WO2013/192606号は、試料容器を有する組織保管アセンブリを含む生検組織試料輸送装置及びその使用方法であって、組織試料を保持するための保持構造であって、保持構造が、側壁に形成された試料アクセス開口を有する、保持構造と、組織保管アセンブリを収容するハウジングであって、組織保管アセンブリが、ハウジング内に挿入されるためのアセンブリ挿入開口をハウジングが備えている、ハウジングと、組織保管アセンブリの試料容器の保持構造の試料アクセス開口と係合して、実質的にこれを密封するように構成されているシール部材と、ハウジングのアセンブリ挿入開口と係合して、実質的にこれを密封する蓋とを有する生検組織試料輸送装置及びその使用方法を記載している。
【0016】
2013年12月27日に公開された「Tissue Sample Container and Methods」と題する国際特許公開第WO2013/192607号は、複数の試料保持区分を有し、これらが、複数の組織試料を所与の向きで収容するように構成されているとともに、区画壁によって画定されている基部と、基部と密封係合するように構成されている蓋とを含む組織試料容器を記載している。試料保持区分は、基部が区画壁と協働して、それぞれの試料保持区分内で組織試料の所与の向き及び同一性を維持するために、特定の組織試料の大きさ及び形状に対応するような大きさ及び形状に作られている。
【0017】
2014年9月25日に公開された「Biopsy Device」と題する国際特許公開第WO2014/151603号は、プローブと、ホルスタと、組織試料を収集するための組織試料ホルダとを含む生検装置を記載している。プローブは、針及び中空カッターを含む。組織試料ホルダは、少なくとも1つの可撓性部材によって接続された複数のストリップを収容するように構成されている複数のチャンバを有するハウジングを含む。可撓性部材は、ストリップが平坦な構成と弓状の構成との間を移行することができるように、ストリップが互いに対して旋回できるように構成されている。組織試料ホルダは、組織試料がストリップ内に収集され得るように、各チャンバをカッター内腔に順次に割り出すべく回転可能である。ストリップを組織試料ホルダから取り外し、組織試料の撮像のために、組織試料ホルダ容器に収納することができる。
【0018】
生検試料を採取して処理するために、いくつかのシステムや方法が作製され、使用されているが、本発明者に先行して、添付の特許請求の範囲に記載されている発明を作製し、または使用した者はいなかったと考えられる。
【0019】
本明細書は、本技術を特定して指摘し明確に請求する請求項で完結しているが、本技術は、いくつかの例の以下の説明を、添付図面と併せ読むことにより、より良好に理解されると考えられる。図面では、類似の参照番号が同一の要素を特定する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】例示的な生検装置の斜視図である。
図2】組織試料ホルダが生検装置のプローブから分離された、図1の生検装置の組織試料ホルダの斜視図である。
図3図2の組織試料ホルダの斜視分解図である。
図4図2の組織試料ホルダの外側カップの斜視図である。
図5図2の組織試料ホルダの回転部材の斜視図である。
図6図5の回転部材の別の斜視図である。
図7図5の7-7線に沿った断面である、図5の回転部材の斜視断面図である。
図8図2の組織試料ホルダの手動回転ホイールの斜視図である。
図9図2の組織試料ホルダの個別試料トレイの斜視図である。
図10図2の組織試料ホルダの一括試料トレイの斜視図である。
図11図10の一括試料トレイの別の斜視図である。
図12図9の個別試料トレイがカッターに対して割り出された状態での、図2の組織試料ホルダの別の斜視図である。
図13図9の個別試料トレイを組織試料ホルダから取り外した、図2の組織試料ホルダの更に別の斜視図である。
図14図10の一括試料トレイがカッターに対して割り出された状態での、図2の組織試料ホルダの更にもう1つの斜視図である。
図15図10の別の一括試料トレイがカッターに対して割り出された状態での、図2の組織試料ホルダの更にもう1つの斜視図である。
図16図10の別の一括試料トレイがカッターに対して割り出された状態での、図2の組織試料ホルダの更にもう1つの斜視図である。
図17図1の生検装置と共に用いられる例示的な代替の組織試料ホルダの斜視図である。
図18】組織試料ホルダが図1の生検装置のプローブから分離された状態での、図17の組織試料ホルダの斜視図である。
図19図17の組織試料ホルダの斜視分解図である。
図20図17の組織試料ホルダの回転部材の斜視図である。
図21図17の組織試料ホルダの回転部材の別の斜視図である。
図22図17の組織試料ホルダの個別試料トレイの斜視図である。
図23図17の組織試料ホルダの一括試料トレイの斜視図である。
図24図17の24-24線に沿った断面である、図17の組織試料ホルダの側面断面図である。
図25A】組織試料ホルダが第1の一括試料収集位置にある状態での、図17の組織試料ホルダの別の斜視図である。
図25B】組織試料ホルダが第2の一括試料収集位置にある状態での、図17の組織試料ホルダの更に別の斜視図である。
図25C】組織試料ホルダが第3の一括試料収集位置にある状態での、図17の組織試料ホルダの更にもう1つの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図面は決して限定することを意図したものではなく、本技術の様々な実施形態が、必ずしも図面に描かれていないものを含め、様々な他の方法で実施し得ることが企図されている。本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付の図面は、本技術のいくつかの態様を例示し、その記述と共に本技術の原理を説明するのに役立つ。ただし、本技術は、提示される厳密な構成に限定されないものと解される。
【0022】
本技術のいくつかの例である以下の記述は、その範囲を限定するために用いられるべきではない。本技術の他の例、特徴、態様、実施形態、及び有利な点は、例証として、本技術を実施するに当たって企図される最良のモードの1つである以下の記述から、当業者に明らかになるであろう。認識されるように、本明細書に記載された技術は、全てその技術から逸脱することなく、他の様々な自明の態様が可能である。したがって、図面及び記述は、例示的な性質のものとみなされるべきであり、限定的なものではない。
【0023】
I.例示的な生検装置
図1は、いくつかの例では真空制御モジュール(図示せず)を含む乳房生検システムで使用することができる例示的な生検装置(10)を示す。本例の生検装置(10)は、プローブ(100)及びホルスタ(200)を備える。針(110)がプローブ(100)から遠位に延在し、針(100)は、患者の組織に挿入されて組織試料を採取する。このような組織試料は、以下で更に詳細に説明するように、プローブ(100)の近位端の組織試料ホルダ(300)に蓄積される。
【0024】
本例のホルスタ(200)は、プローブ(100)内の様々な構成要素を作動させるために、プローブ(100)に選択的に取り付け可能である。本構成では、ホルスタ(200)は再利用可能な構成要素であり、プローブ(100)及び組織試料ホルダ(300)は使い捨てである。本明細書での「ホルスタ」という用語の使用は、プローブ(100)のいずれかの部分が、ホルスタ(200)のいずれかの部分に挿入される必要があると解釈されるべきではないことが理解されるべきである。例えば本例では、ホルスタ(200)は、プローブ(100)をホルスタ(200)に解放可能なように固定するために、プローブ(100)によって受けられる1組のプロング(図示せず)または他の保持機構を含む。プローブ(100)はまた、プロングを外すために内方に押圧することができる1組の弾性タブ(図示せず)または他の適切な解放機構を含み、その結果、ユーザは、両方のタブを同時に押し下げ、次にプローブ(100)を後方にかつホルスタ(200)から離れる方向に引っ張って、プローブ(100)をホルスタ(200)から分離することができる。当然ながら、プローブ(100)とホルスタ(200)との取り外し可能な連結を実現するために、他の様々なタイプの構造、構成要素、機構など(例えば、バヨネットマウント、ラッチ、クランプ、クリップ、スナップフィットなど)を使用してもよい。更に、いくつかの生検装置(10)では、プローブ(100)及びホルスタ(200)は、単一構造または一体構造であってもよく、したがってこの2つの構成要素を分離することができない。単なる例示として、プローブ(100)及びホルスタ(200)が分離可能な構成要素として提供される形式においては、プローブ(100)が使い捨て構成要素として提供されてもよく、一方ホルスタ(200)が再使用可能な構成要素として提供されてもよい。プローブ(100)とホルスタ(200)との間の更に他の適切な構造的関係及び機能的関係は、本明細書の教示を考慮したうえで、当業者には明らかであろう。
【0025】
生検装置(10)のいくつかの変形形態は、プローブ(100)及び/またはホルスタ(200)内に、プローブ(100)がホルスタ(200)と結合されるときにこれを検出するように構成された1つまたは複数のセンサ(図示せず)を含み得る。更に、そのようなセンサまたは他の機構は、ある特定のタイプのプローブ(100)及びホルスタ(200)のみが、互いに結合されることを可能にするように構成されてもよい。加えて、または代替として、そのようなセンサは、適切なプローブ(100)及びホルスタ(200)が互いに結合されるまで、プローブ(100)及び/またはホルスタ(200)の1つまたは複数の機能を無効にするように構成されてもよい。単なる説明のための一例では、プローブ(100)は、プローブ(100)がホルスタ(200)と結合されたときに、ホルスタ(200)内のホール効果センサ(図示せず)または他の種類のセンサによって検出される磁石(図示せず)を含む。更に別の単なる説明のための例として、プローブ(100)とホルスタ(200)との結合は、導電性表面間または電極間の物理的接触を使用して、RFID技術を使用して、及び/または本明細書の教示を考慮したうえで当業者には明らかであろう他の数多くの方法で、検出してもよい。当然ながら、そのようなセンサ及び機構は、必要に応じて変更または省略してもよい。
【0026】
本例の生検装置(10)は、手持ち使用のために構成され、超音波ガイド下で使用される。当然ながら、生検装置(10)は、その代わりに、定位ガイド下、MRIガイド下、PEMガイド下、BSGIガイド下など別様に使用されてもよい。生検装置(10)は、使用者が片手で生検装置(10)を操作できるように、所定の大きさに作られ、構成され得ることも理解されるべきである。具体的には、使用者は、全て片手を使うだけで、生検装置(10)を把持し、針(110)を患者の乳房に挿入し、患者の乳房内から1つまたは複数の組織試料を収集することができる。あるいは、使用者は、複数の手で、及び/または何らかの望ましい補助を伴って、生検装置(10)を把持してもよい。更に他の例では、生検装置(10)は、手持ち操作せずに、テーブルまたは他の固定具に固定されるように構成してもよい。
【0027】
状況によっては、生検装置(10)が手持ち式であるか固定具に取り付けられているかにかかわらず、ユーザは、患者の乳房への針(110)の1回の挿入で複数の組織試料を取得することができる。そのような組織試料は、組織試料ホルダ(300)に蓄積され、後で分析のために組織試料ホルダ(300)から回収され得る。本明細書で説明されている例は、患者の乳房からの生検試料の取得に言及することが多いが、生検装置(10)は、他の様々な目的のための他の様々な処置において、及び患者の解剖学的構造の他の様々な部分(例えば、前立腺、甲状腺など)において、使用され得ることが理解されるべきである。生検装置(10)の様々な例示的な構成要素、機能、構成、及び操作性が、以下では更に詳細に説明される。しかし、他の適切な構成要素、機能、構成、及び操作性が、本明細書の教示を考慮したうえで当業者には明らかであろう。
【0028】
本例のホルスタ(200)は、ホルスタ(200)の内部構成要素を少なくとも部分的に取り囲むように構成された外側ハウジング(210)を含む。図示していないが、本例のホルスタ(200)は、プローブの様々な構成要素を駆動するように構成されている1つまたは複数のモータ及び/または他のアクチュエータを含むことが理解されるべきである。力または動きをプローブ(100)に伝達するために、ホルスタ(200)は、1つまたは複数の歯車を含み得る。例えば、いくつかの例では、1つまたは複数の歯車は、少なくとも部分的に外側ハウジング(210)の開口を通って延在している。外側ハウジング(210)の開口は、プローブ(100)に付随した対応する開口と整列して、それによって1つまたは複数のホルスタ(200)の歯車が、1つまたは複数の対応するプローブ(100)の歯車と噛み合うことを可能にするように構成され得る。
【0029】
図示していないが、ホルスタ(200)はまた、ホルスタ(200)を制御モジュールまたは別の制御機能に結合するように構成されている様々なケーブルを含み得ることが理解されるべきである。好適なケーブルとしては、電気ケーブル、回転駆動ケーブル、空気圧ケーブル、またはこれらのいくつかの組合せがあり得る。したがって、いくつかの例では、ホルスタ(200)内の内部構成要素は、電力(電気ケーブル)、回転力(回転駆動ケーブル)、及び/または空気圧力(空気圧ケーブル)によって動力が供給され得ることが理解されるべきである。あるいは、いくつかの例では、ケーブルは完全に除かれ、ホルスタ(200)はモータで電池駆動され得、真空ポンプは完全にホルスタ(200)内に収容される。
【0030】
上記のように、本例のホルスタ(200)は再利用可能部分として構成され、一方プローブ(100)は使い捨て部分として構成されている。いくつかの状況では、生検処置の間中に、再利用可能な構成要素の無菌性を維持することが望まれ得る。したがって、場合によっては、ホルスタ(200)の機能性を維持しながらも、ホルスタ(200)の無菌性を維持するために、ある特定の機構と関連付けてホルスタ(200)を使用することが望ましい場合がある。ホルスタ(200)の無菌性を維持するための単なる例示的な機構及び方法が、2016年12月2日に出願された「Functional Cover for Biopsy Device」と題する米国特許出願第62/429,356号に示され、説明されており、この米国特許出願の開示内容は、参照によって本明細書に援用される。
【0031】
本例のプローブ(100)は、患者の組織に挿入されて組織試料を採取する、プローブ(100)から遠位に延在する針(110)を含む。このような組織試料は、プローブ(100)の近位端にある組織試料ホルダ(300)に蓄積される。いくつかの例では、真空制御モジュール(図示せず)が、プローブ(100)への真空、食塩水、大気、及び排出を選択的に提供するように動作可能なバルブアセンブリ(図示せず)及びチューブ(図示せず)を介して、プローブ(100)と結合される。単なる例示として、本例のバルブアセンブリの内部構成要素は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2013年8月22日に公開された「Biopsy Device Valve Assembly」と題する米国特許公開第2013/0218047号に記載されるように構成及び配置されてもよい。
【0032】
ホルスタ(200)について先に述べたように、ホルスタ(200)が動力を供給するか、または別の方法でプローブ(100)を作動させることができるように、プローブ(100)はホルスタ(200)に選択的に結合可能である。具体的には、プローブ(100)は、ホルスタ(200)を受けるように構成されたホルスタ受け部分(104)を含む外側ハウジング(102)を含む。いくつかの例では、ホルスタ受け部分(104)は、ホルスタ(200)の対応する開口と整列するように構成されている開口を含む。1つまたは複数の歯車(図示せず)が、外側ハウジング(102)の開口を通して露出され、プローブ(100)のカッター作動機構を駆動させる働きをする。プローブ(100)とホルスタ(200)とが互いに結合されると、プローブ(100)の1つまたは複数の歯車は、ホルスタ(200)の1つまたは複数の歯車と噛み合う。したがって、ホルスタ(200)は、機械的動力を提供するかまたは別の方法で、プローブ(100)及びホルスタ(200)の歯車を介して、プローブ(100)内の構成要素の運動を駆動することができる。
【0033】
プローブ(100)の外側ハウジング(102)は更に、外側ハウジング(102)の遠位端に隣接して、外側ハウジング(102)の外側に遠位に配置された試料窓(140)を画定する。いくつかの例では、試料が針(110)によって収集されるときに、操作者が試料を見て確認することが望ましい場合がある。例えば、以下で更に詳細に説明するように、本例では組織試料ホルダ(300)は、組織試料をまとめて収集するように構成される。組織試料収集のこの構成は、組織試料容量を増大することができるが、複数の組織試料が共通の空間内に混合されるため、個々の組織試料を視覚化する能力は低下し得る。したがって、試料窓(140)は、個々の組織試料が針(110)を介して収集されるときに、操作者が個々の組織試料を視覚化することを可能にするように構成される。図示していないが、組織試料窓(140)は、組織試料窓(140)を介して観察するために、プローブ(100)によって所与の組織試料の進行を選択的に停止するためのシール、バルブ、ストッパ、ゲート、及び/または他の機構を備え得ることが理解されるべきである。いくつかの例では、組織試料窓(140)は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2016年12月2日に出願された「Apparatus to Allow Biopsy Sample Visualization During Tissue Removal」と題される米国特許出願第62/429,379号の教示に従って構築されてもよい。
【0034】
本例の針(110)は、穿孔先端(112)を有するカニューレ(113)と、先端(112)の近位に位置する側方開口部(114)とを備える。組織穿孔先端(112)は、大きな力を必要とせず、先端(112)を挿入する前に開口を組織に予め形成する必要なしに、組織に刺し通し、貫入するように構成される。あるいは、必要に応じて、先端(112)は、とがっていなくてもよい(例えば、丸みを帯びた、平らな、等)。単なる例示として、先端(112)は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2011年6月1日に出願された「Needle Assembly and Blade Assembly for Biopsy Device」と題する米国特許第8,801,742号の教示のうちのいずれかに従って構成されてもよい。別の単なる説明のための例として、先端(112)は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2013年6月6日に公開され、2016年11月8日に米国特許第9486186号として発行されることになる、「Biopsy Device with Slide-In Probe」と題する米国特許出願公開第2013/0144188号の教示の少なくともいくつかに従って構成されてもよい。先端(112)に使用され得る他の好適な構成は、本明細書の教示を考慮したうえで当業者には明らかであろう。
【0035】
側方開口部(114)は、装置(10)の動作中に脱出した組織を収容するような大きさである。鋭い遠位縁端(132)を有する中空管状カッター(130)が、針(110)内に配置されている。カッター(130)は、針(110)に対して側方開口部(114)を通り越して回転及び並進させられて、側方開口部(114)を通って突き出ている組織から組織試料を切断するように動作可能である。例えば、カッター(130)を、伸長位置から後退位置へと移動させることができ、それによって側方開口部(114)を「開」いて、組織がそこを通って突き出ることを可能にし、次に、後退位置から伸長位置に戻して、突出した組織を切断する。
【0036】
いくつかの例では、針(110)を回転させて、側方開口部(114)を針(110)の長手方向軸の周りの複数の所望の角度位置に向けることが望まれる場合がある。本例では、針(110)を、プローブ(100)またはホルスタ(200)に配置したモータによって回転させることができる。他の例では、針(110)は、プローブ(100)上のサムホイールか、または針(110)上に直接覆いかぶせた針ハブによって、手動で回転可能である。いずれにしても、本明細書に記載の他の構成要素と同様に、針(110)を様々な方法で変更、修正、置換、または補足することができることも理解されるべきである。そして、針(110)が、様々な代替の機構、構成要素、構成、及び機能性を有し得ることも理解されるべきである。例えば、針(110)を、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2016年5月24日に発行された米国特許第9,345,457号の教示に従って、及び/または本明細書に引用される他の任意の参考文献の教示に従って作成してもよい。
【0037】
上記のように、カッター(130)は、針(110)に対して同時に並進及び回転して、側方開口部(114)を通って組織から突出する組織試料を切断するように動作可能である。切断されると、組織試料は、カッター(130)を通って組織試料ホルダ(300)に運ばれる。図示していないが、本例ではプローブ(100)は、針(110)に対してカッター(130)を並進及び回転させるように構成されたある特定のカッター作動構成要素を含むことが理解されるべきである。いくつかの形式では、前述のカッター作動構成要素は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許公開第2008/0214955号の教示の少なくとも一部に従って構成される。更に別の単なる説明のための例として、カッター(130)は、1つまたは複数の空気圧モータ及び/または空気圧アクチュエータなどを使用して、回転及び/または並進させることができる。カッター(130)を作動し得る更に他の好適な方法は、本明細書の教示を考慮したうえで当業者には明らかであろう。
【0038】
II.例示的な組織試料ホルダ
組織試料ホルダ(300)は、プローブ(100)の近位端に選択的に連結可能である。図2に最も良く見て取れるように、プローブ(100)は、組織試料ホルダ(300)の少なくとも一部を受けるように構成されている細長いスロット(106)を備える。以下で更に詳細に説明するように、スロット(106)は、組織試料がカッター(130)を通って組織試料ホルダ(300)内に伝えられ得るように、組織試料ホルダ(300)がカッター(130)と連通することを可能にする。いくつかの例では、真空及び機械的運動がまた、スロット(106)を通して組織試料ホルダ(300)に伝達され得る。このような例では、真空は、組織試料をカッター(130)から組織試料ホルダ(300)内に引き込む、組織試料ホルダ(300)を通る流体回路を作り出すために提供される。以下で更に詳細に記載するように、組織試料ホルダ(300)を作動させるために、機械的機構を提供することもできる。
【0039】
本例の組織試料ホルダ(300)は、2つの別個の試料収集モードで動作するように構成されている。すなわち、一括組織収集モードと個別組織収集モードである。当然のことながら、そのような構成を有することによって、組織試料ホルダ(300)は、生検処置の間中に高い柔軟性を提供する。例えば、操作者が、個別の試料を分析することに大きな関心を払うことなく、患者から大量の組織を切除するとき、操作者は、組織試料を一括構成で収集することを望む場合がある。また一方、処置中の様々な時点で、操作者が、(例えば、組織試料取得が病変の縁で行われているかどうかを判断するために)個別の組織試料の分析を強化することを望む場合がある。したがって、一括組織収集モードから個別組織収集モードに切り替えて、個別の組織試料の更なる分析を行うことが望まれる場合がある。
【0040】
図3に最も良く見て取れるように、組織試料ホルダは、外側カップ(310)、回転部材(330)、手動回転ホイール(350)、個別試料トレイ(360)、及び3つの一括試料トレイ(400)を備える。以下で更に詳細に説明するように、外側カップ(310)は、回転部材(330)、手動回転ホイール(350)、及びトレイ(360、400)の少なくとも一部を収容するように構成される。この構成では、外側カップ(310)は、通例、プローブ(100)に固定され、したがって回転部材(330)は、手動回転ホイール(350)を介して外側カップ(310)及びプローブ(100)に対して回転可能であるが、外側カップ(310)は、プローブ(100)に対して固定されたままである。
【0041】
図3及び図4に最も良く見て取れるように、外側カップ(310)は、回転部材(320)を収容するように構成されているほぼ円筒形のカップを画定している。外側カップ(310)は、円筒体(312)、遠位壁(316)、開放近位端(324)、及び近位フランジ(326)を備える。円筒体(312)は、遠位壁(316)に隣接し、円筒体(312)から下方に延在する真空ポート(314)を含む。真空ポート(314)は、通例、円筒体(312)によって画定された外側カップ(310)の内部と連通している。以下で更に詳細に説明するように、真空ポート(314)は、組織試料ホルダ(300)へ真空を伝えることを可能にして、組織試料をカッター(130)から組織試料ホルダ(300)内に引き込む流体回路を作り出す。更に、状況によっては、血液、食塩水などの過剰な液体が、真空ポート(314)を介して、組織試料ホルダ(300)から排出され得ることが理解されるべきである。
【0042】
遠位壁(316)は、組織ポート(318)、及び機械的接地機構(322)を含む。組織ポート(318)は、遠位壁(316)から遠位に延在し、カッター(130)の近位端と連通して、組織試料をカッター(130)から組織試料ホルダ(300)内に移送するように構成される。更に、組織ポート(318)は、プローブ(100)内の細長いスロット(106)と係合するように構成されているフランジ機構(320)を備える。当然のことながら、フランジ機構(320)は、機械的接地機構(322)と協働して、フランジ機構(320)とプローブ(100)の細長いスロット(106)との間の係合を介して、全体として外側カップ(310)をプローブ(100)に結合する。
【0043】
機械的接地機構(322)は、外側カップ(310)の遠位壁(316)から遠位に延在する。機械的接地機構(322)は、機械的接地機構(322)の遠位延在部に対して外向きに延在する円形フランジ機構(323)を含む。組織ポート(318)のフランジ機構(320)に関して上に述べたのと同様に、機械的接地機構(322)のフランジ機構(323)は、プローブ(100)の細長いスロット(106)と係合して、外側カップ(310)の位置をプローブ(100)に対して固定するように構成されている。したがって、機械的接地機構(322)が、外側カップ(310)をプローブ(100)に固定することが理解されるべきである。更に、機械的接地機構(322)は、組織ポート(318)と協調的に作動して、プローブ(100)に対する外側カップ(310)の回転を防ぐための機械的接地として作用する。本例では、組織ポート(318)のフランジ機構(320、323)と機械的接地機構(322)とが使用されて、外側カップ(310)をプローブ(100)に結合するが、他の例では、本明細書の教示を考慮したうえで当業者には明らかなように、他の数多くの結合機構を外側カップ(310)及び/またはプローブ(100)に組み込み得ることが理解されるべきである。
【0044】
開放近位端(324)は、円筒体(312)の近位端によって画定される。したがって、開放近位端(324)は、外側カップ(310)に対して近位に回転部材(330)を収容するように構成されていることが理解されるべきである。近位フランジ(326)は、開放近位端(324)に隣接して配置され、円筒体(312)から外向きに延在する。以下で更に詳細に説明するように、近位フランジ(326)は、通常、手動回転ホイール(350)を受けて、手動回転ホイール(350)を外側カップ(310)に回転可能に固定するように構成されている。同様に以下で更に詳細に説明するように、回転部材(330)は手動回転ホイール(350)に固定される。したがって、近位フランジ(326)は、外側カップ(310)に対する手動回転ホイール(350)及び回転部材(330)の回転を可能にしながら、手動回転ホイール(350)及び回転部材(330)の両方を外側カップ(310)に固定するように構成されていることが理解されるべきである。
【0045】
近位フランジ(326)は、近位フランジ(326)の外周の周りに角度的に間隔を置いて配置された複数の割出し機構(328)を更に含む。割出し機構(328)は、通常、手動回転ホイール(350)の少なくとも一部と係合して、回転部材(330)の回転をある所定位置に向けて付勢するように構成されている。以下で更に詳細に説明するように、各所定位置は、通常、カッター(130)に対して割り出されている所与の試料トレイ(360、400)に対応する。本例の割出し機構(328)は、概して近位フランジ(326)の間隙または開口として示されているが、他の例では割出し機構(328)は、他の様々な形態を取り得ることが理解されるべきである。
【0046】
図5図7は、回転部材(330)をより詳細に示す。図から分かるように、回転部材(330)は、円筒壁(332)、開放遠位端(336)、及び近位壁(338)を備える。円筒壁(332)は、開放遠位端(336)と近位壁(338)との間に延在する概して中空の円筒形状を備える。円筒壁(332)の内部は、開放遠位端(336)から近位壁(338)まで延在する複数のトレイ突出部(334)を含む。各トレイ突出部(334)はまた、円筒壁(332)によって画定された内部空間内へ、半径方向内向きに延在している。したがって、円筒壁(332)は、トレイ突出部(334)によって少なくとも部分的に分割されている単一の内部空間を画定している。トレイ突出部(334)は、円筒壁(332)の内周の周りに角度的に間隔を置いて配置されている。隣接するトレイ突出部(334)に対する各トレイ突出部(334)の角度間隔は、個別試料トレイ(360)または一括試料トレイ(400)のいずれかの幅に対応している。更に、各トレイ突出部(334)が円筒壁(332)の内面から徐々に内側に延在するように、各トレイ突出部(334)は、円弧状表面(335)によって円筒壁(332)に一体化されている。したがって、2つの隣接したトレイ突起部(334)と円筒壁(332)の半径とは共に、各隣接トレイ突出部(334)間の角度間隔に応じて、個別試料トレイ(360)または一括試料トレイ(400)のいずれかを収容するように構成される半卵形状を画定する。各トレイ突出部(334)は、円筒壁(332)の中心に向かって内方に延在するので、以下で更に詳細に説明するように、各トレイ突出部(334)はまた、対応する個別試料トレイ(360)または一括試料トレイ(400)を円筒壁(332)に固定するように構成されていることが理解されるべきである。
【0047】
図6に最も良く見て取れるように、近位壁(338)は、円筒壁(332)の近位端に配置されて、円筒壁(332)の近位端を覆っている。円筒壁(332)の近位端は、概して近位壁(338)によって閉鎖されているが、近位壁(338)はその中に複数の開口(340、342)を画定する。具体的には、近位壁(338)は、単一の個別トレイ開口(340)と、3つの一括トレイ開口(342)とを画定している。個別トレイ開口(340)は、概して楕円形である。以下で更に詳細に説明するように、個別トレイ開口(340)は、個別試料トレイ(360)を収容するように構成される。各一括トレイ開口(342)は、概ねパイ形である。同様に、以下で更に詳細に説明するように、各一括試料トレイ開口(342)は、単一の一括試料トレイ(400)を収容するように構成される。本例の近位壁(338)は、単一の個別トレイ開口(340)と3つの一括トレイ開口(342)とを有するものとして示されているが、他の例においては、他の数多くの構成を利用できることが理解されるべきである。例えば、いくつかの例では、近位壁(338)は、単一の一括トレイ開口(342)と複数の個別トレイ開口(340)とを画定する。当然ながら、他の例では、近位壁(338)は、他の任意の好適な数の個別トレイ開口(340)または一括トレイ開口(342)を画定する。
【0048】
図7に最も良く見て取れるように、個別トレイ開口(340)及び各一括トレイ開口(342)は、円筒壁(332)の2つの対応するトレイ突出部(334)に隣接するように配置される。具体的には、個別トレイ開口(340)は、個別トレイ開口(340)の楕円形状の各外側隅部に隣接した対応するトレイ突出部(334)と位置合せされている。同様に、各一括トレイ開口(342)は、各一括トレイ開口(342)の略パイ形状の各外側隅部に隣接した対応するトレイ突出部(334)と位置合せされている。以下で更に詳細に説明するように、この構成は、個別試料トレイ(360)または各一括試料トレイ(400)が、対応する個別トレイ開口(340)または一括トレイ開口(342)の内部に収容されるとき、トレイ突出部(334)が個別試料トレイ(360)または各一括試料トレイ(400)のための行路または保持機構として機能することを全体として可能にする。
【0049】
図6に戻ると、近位壁(338)は、円筒壁(332)の外径から外向きに延在する近位フランジ(346)を更に画定している。以下で更に詳細に説明するように、近位フランジ(346)は、通常、外側カップ(310)の近位フランジ(326)と併せて、手動回転ホイール(350)によって係合されるように構成されている。当然のことながら、この構成は通常、回転部材(330)が外側カップ(310)に対して回転することを可能にしながら、手動回転ホイール(350)が回転部材(330)を外側カップ(310)に連結することを可能にする。
【0050】
回転部材(330)の近位フランジ(346)は、複数の係止突出部(348)を更に備える。係止突出部(348)は、近位フランジ(346)から近位に延在し、近位フランジ(346)の外周の周りに角度的に間隔を置いて配置されている。係止突出部(348)は、手動回転ホイール(350)の少なくとも一部と係合するように構成されている。更に詳細に説明するように、係止突出部(348)と手動回転ホイール(350)の少なくとも一部との間の係合は、回転部材(330)と手動回転ホイール(350)との間に機械的接地を提供して、それによって、手動回転ホイール(350)の回転運動と回転部材(330)の回転運動を関連付ける。本例では6つの係止突出部(348)を含むように示しているが、他の例では、好適な任意の数の係止突出部(348)が使用されることが理解されるべきである。各係止突出部(348)を、概して円筒形状を有するように示しているが、他の例では、他の任意の好適な形状を使用できることが理解されるべきである。更に、本明細書では係止突出部(348)を、近位フランジ(346)から突出するように図示及び説明しているが、他の例では係止突出部(348)を、近位フランジ(346)内に窪ませることができることが理解されるべきである。
【0051】
図8は、手動回転ホイール(350)を詳細に示す。図から分かるように、手動回転ホイール(350)は、収容チャネル(354)を画定するリング状本体(352)を備える。上記のように、手動回転ホイール(350)は、通例、外側カップ(310)の近位フランジ(326)と回転部材(330)の近位フランジ(346)とに係合するように構成されて、回転部材(330)を外側カップ(310)に回転可能に固定する。この構成は、手動回転ホイール(350)が、回転部材(330)の回転運動を駆動し、それによって試料トレイ(360、400)をカッター(130)に対して割り出すことを可能にする。
【0052】
手動回転ホイール(350)の把持を助長するために、本体(352)は複数のグリップ機構(355)を含む。本例のグリップ機構(355)は、本体(352)の外周の周りに角度的に間隔を置いて配置された、複数の軸方向に延在する凹部として示している。他の例では、グリップ機構(355)は、ナーリング加工表面、ゴム引き表面、構造化された表面など、グリップを強化するように構成された、他の何らかの好適な機構を備えることができる。
【0053】
上記のように、フランジ(326、346)を収容するために、本体(352)は、本体(352)内部の周囲全体に延在した収容チャネル(354)を含む。それに伴って、本体(352)の軸方向幅は、外側カップ(310)のフランジ(326)が収容チャネル(354)内で自由に回転可能であることを可能にしながら、収容チャネル(354)内に両方のフランジ(326、346)を収容するのに十分に広くなるように構成されることが理解されるべきである。
【0054】
上記のように、外側カップ(310)の近位フランジ(326)は、近位フランジ(326)の軸を回る外周の周りに配置された複数の割出し機構(328)を含む。手動回転ホイール(350)の本体(352)は、対応して、近位フランジ(326)の割出し機構(328)と係合するように構成された弾性機構(356)を含む。具体的には、手動回転ホイール(350)が外側カップ(310)に対して回転されると、弾性機構(356)は、収容チャンネル(354)内に内向きに弾性的に付勢されて、各割出し機構(328)と係合する。この構成は、手動回転ホイール(350)が外側カップ(310)に対して回転されるときに、手動回転ホイール(350)が、ある特定の所定位置に向かって付勢されるようにする。この構成は、次いで、回転部材(330)を、外側カップ(310)に対して、ある特定の所定位置に向けて付勢する。以下で更に詳細に説明するように、このような所定位置は、カッター(130)に対して割り出される各サンプルトレイ(360、400)に対応する。
【0055】
上記のように、回転部材(330)の近位フランジ(346)は、手動回転ホイール(350)に対する回転部材(330)の回転を止めるための複数の係止突出部(348)を含む。それに伴って、手動回転ホイール(350)の本体(352)は、近位フランジ(346)の各係止突出部(354)に対応する複数の係止凹部(358)を含む。図8から分かるように、各係止凹部(358)は、係止突出部(348)の軸を回る間隔に対応した、軸を回る間隔で、本体(352)の内部の周りに軸に関して配置されている。したがって、各係止凹部(358)は、近位フランジ(346)の対応する係止突出部(348)を収容するように構成されていることが理解されるべきである。上記のように、係止突出部(348)は、単なる円筒形突起とは異なる様々な形態を取り得る。それに伴って、いくつかの例では、本明細書の教示を考慮したうえで当業者には明らかなように、係止凹部(358)も同様に、様々な代替の対応する形態を取り得ることが理解されるべきである。
【0056】
図9は、個別試料トレイ(360)を更に詳細に示す。当然のことながら、個別試料トレイ(360)は、通常、その中にただ1つの単一組織試料を収容するように構成されている。文脈によっては、本明細書で言及される「個別」及び「単一組織試料」という用語は、個別試料トレイ(360)の横断面に関係していることが理解されるべきである。したがって、いくつかの例では、個別試料トレイ(360)は、複数の組織試料を収容する場合があることが理解さるべきである。例えば、いくつかの例では、個別試料トレイ(360)の横断面が、単一組織試料を収容するように構成されているにもかかわらず、個別試料トレイ(360)は、端から端まで積み重ねられた配置で複数の組織試料を個別試料トレイ(360)内に収容し得るような、延長された長さを有する。
【0057】
個別試料トレイ(360)は、トレイ部分(362)、ハンドル部分(380)、及びトレイ部分(362)とハンドル部分(380)との間に配置されたシール(390)を備える。トレイ部分(362)は、回転部材(330)の個別トレイ開口(340)の楕円形に対応する、概して楕円形の外形断面を画定するストリップ(364)を含む。ストリップ(364)は、開放遠位端(370)、一対の側壁(366)、床(368)、及び後壁(372)を更に画定している。側壁(366)、床(368)、及び後壁(372)は、全体として、開放遠位端(370)を通して単一組織試料を収容するように構成された組織試料チャンバ(376)を画定している。
【0058】
ストリップ(364)は更に、長手方向の長さを画定している。本例では、この長手方向の長さは、側方開口部(114)の長さよりも約2.5倍大きい。したがって、個別試料トレイ(360)は通常は単一組織試料を収容するように構成されているが、いくつかの例では、ストリップ(364)の長手方向の長さのために、端から端まで積み重ねられた配置で、複数の組織試料を個別試料トレイ(360)内に収容し得ることが理解されるべきである。当然ながら他の例では、ストリップ(364)は、側方開口部(114)の長さにほぼ等しい長手方向の長さを有する。このような例では、個別試料トレイ(360)は、個別試料トレイ(360)によって受け取られる1つまたは複数の組織試料を圧縮することなく、単一組織試料のみを収容することができる。
【0059】
各側壁(366)は、隣接する側壁から所定の幅だけ間隔を空けている。この幅は通常、単一組織試料の幅にほぼ対応するように構成されている。いくつかの例では、この幅は、カッター(130)の直径の2倍以下であり得る。他の例では、各側壁(366)間の幅は、カッター(130)の直径とほぼ等しい。
【0060】
組織試料チャンバ(376)に真空を伝えるために、床(368)は、組織試料チャンバ(376)と個別試料トレイ(360)の外部とを連通させる複数の真空開口(374)を更に含む。以下で更に詳細に説明するように、個別試料トレイ(360)は、真空開口(374)を通じて組織試料チャンバ(376)内に真空が印加されると、カッター(130)を通して組織試料を組織試料チャンバ(376)内に引き込むように構成されている。
【0061】
ハンドル部分(380)は、トレイ部分(362)から近位に突出している。ハンドル部分(380)は、操作者が個別試料トレイ(360)を操作して、回転部材(330)に対して個別試料トレイ(360)を動かすことができるように構成されている。具体的には、ハンドル部分(380)は、操作者による把持のために構成された概して長方形の把持機構(382)を含む。図示していないが、把持機構(382)は、把持機構(382)を握るときに、操作者の握りを向上させる機構を含み得ることが理解されるべきである。
【0062】
シール(390)は、トレイ部分(362)とハンドル部分(380)との間に配置されている。シール(390)は、トレイ部分(362)の楕円形の外面から外向きに延在して、回転部材(330)の近位壁(338)に対して密封を施す。以下で更に詳細に説明するように、シール(390)は通常、外側カップ(310)の真空ポート(314)から、トレイ部分(362)の床(368)の真空開口(374)を経由して、トレイ部分(362)からカッター(130)へと到る、真空の流れを促進するように構成されている。本例のシール(390)は、Oリングとして示している。しかしながら、他の例では、シール(390)は、ワイパーシールなどの数多くの代替形態を取り得ることが理解されるべきである。あるいは、更に他の例では、シール(390)を完全に除外し、トレイ部分(362)と回転部材(330)の近位壁(338)との間の締まりばめによる密封で置き換えることができる。
【0063】
図10及び図11は、一括試料トレイ(400)を更に詳細に示す。当然のことながら、一括試料トレイ(400)は通常、その中に複数の組織試料を収容するように構成されている。一括試料トレイ(400)は、トレイ部分(402)、ハンドル部分(420)、及びトレイ部分(402)とハンドル部分(420)との間に配置されたシール(430)を含む。トレイ部分(402)は、回転部材(330)の各一括トレイ開口(342)のパイ形状に対応する、概してパイ形状の外形断面を画定するストリップ(404)を含む。ストリップ(404)は更に、前壁(410)、一対の側壁(406)、床(408)、及び後壁(412)を画定している。側壁(406)、床(408)、前壁(410)、及び後壁(412)は、全体として、前壁(410)の組織開口(411)を通して複数の組織試料を収容するように構成された一括組織試料チャンバ(416)を画定している。
【0064】
組織試料チャンバ(416)に真空を伝えるために、床(408)は、組織試料チャンバ(416)と一括試料トレイ(400)の外部とを連通させる複数の真空開口(414)を更に含む。以下で更に詳細に説明するように、一括試料トレイ(400)は、真空開口(414)を通じて組織試料チャンバ(416)内に真空が印加されると、カッター(130)を通して組織試料を組織試料チャンバ(416)内に引き込むように構成されている。
【0065】
より多数の組織試料を収容するために、床(408)は通常、「V」の脚部が側壁(406)まで上向きに延在するV字形の横断面を画定している。このV字形の床(408)は、組織試料チャンバ(416)の容積を増大させて、より多くの組織試料を収容する。更に、組織試料チャンバ(416)が充填されたときの真空の流れを促進するために、真空開口(414)が床全体(408)にわたって均一に間隔を空けて配置されている。
【0066】
床(408)がV字形であることに加えて、各側壁(406)は、組織試料チャンバ(416)から外向きに湾曲している。側壁(406)の湾曲は、通常、組織試料チャンバ(416)の容積を増大させる。加えて、側壁(406)の湾曲は、回転部材(330)の各トレイ突出部(334)によって画定される各円弧状表面(335)の湾曲に対応している。側壁(406)の形状と円弧状表面(335)の形状との間のこの対応は、トレイ突出部(334)が側壁(406)をつかんで、それによって、一括試料トレイ(400)を回転部材(330)内の所定の位置に保持することを可能にする。
【0067】
ハンドル部分(420)は、トレイ部分(402)から近位に突出している。ハンドル部分(420)は、操作者が一括試料トレイ(400)を操作して、回転部材(330)に対して一括試料トレイ(400)を動かすことができるように構成されている。具体的には、ハンドル部分(420)は、操作者による把持のために構成された概して台形の把持機構(422)を含む。図示していないが、把持機構(422)は、把持機構(422)を握るときに、操作者の握りを向上させる機構を含み得ることが理解されるべきである。
【0068】
シール(430)は、トレイ部分(402)とハンドル部分(420)との間に配置されている。シール(430)は、トレイ部分(402)の楕円形の外面から外向きに延在して、回転部材(330)の近位壁(338)に対して密封を施す。以下で更に詳細に説明するように、シール(430)は通常、外側カップ(310)の真空ポート(314)から、トレイ部分(402)の床(408)の真空開口(414)を経由して、トレイ部分(402)からカッター(130)へと到る、真空の流れを促進するように構成されている。本例のシール(430)は、Oリングとして示している。しかしながら、他の例では、シール(430)は、ワイパーシールなどの数多くの代替形態を取り得ることが理解されるべきである。あるいは、更に他の例では、シール(430)を完全に除外し、トレイ部分(402)と回転部材(330)の近位壁(338)との間の締まりばめによる密封で置き換えることができる。
【0069】
図12図16は、生検装置(10)から組織試料を収集する組織試料ホルダ(300)の例示的な使用法を示す。以下で更に詳細に説明するように、組織試料ホルダ(300)は、通常、手動回転ホイール(350)を介して回転部材(330)を回転させて、組織試料を収集するべき個別試料トレイ(360)またはいずれか1つの一括試料トレイ(400)をカッター(130)に対して選択的に割り出すように構成されている。組織試料ホルダ(300)のこのような選択可能な割出しは、組織試料ホルダ(300)の、個別試料収集モードと一括試料収集モードとの間の選択的な移行を提供する。個別試料収集モードにある場合には、組織試料ホルダ(300)は、組織試料分析に関してより大きな柔軟性を操作者に提供することができる。一括試料収集モードにある場合には、組織試料ホルダ(300)は、トレイ(400)を交換するかまたは別の方法で空にする必要なしに、比較的多数の組織試料を収集する能力を操作者に提供することができる。生検処置に関連して、このような2つのモードを使用する様々な方法が、本明細書には記載されているが、本明細書の教示を考慮したうえで当業者には明らかであるように、他の数多くの方法を使用できることが理解されるべきである。
【0070】
単なる例示的な一使用法において、操作者は、図12に示すように、個別試料収集モードにある組織試料ホルダ(300)を用いて生検処置を開始してもよい。いくつかの使用法では、生検処置を開始する前に、組織試料ホルダ(300)を個別試料収集モードに移行させる。あるいは、組織試料ホルダ(300)は、患者内に針(110)を配置した後であるがカッター(130)を用いた組織試料収集を開始する前に、個別試料収集モードに設定される。いずれにしても、本動作モードでは、組織試料ホルダ(300)が個別試料収集モードに設定され、したがってカッター(130)によって取得された第1の試料は、一括トレイ(400)のいずれか1つではなく、個別試料トレイ(360)に運ばれることが理解されるべきである。この使用方法では、操作者は、第1の試料を分析して、患者内の針(110)の所望の位置決めを検証するか、または別の目的で第1の組織試料の何らかの予備分析を行うことが可能とされ得る。
【0071】
本使用例では、操作者が手動回転ホイール(350)を握り、手動回転ホイール(350)を時計回りまたは反時計回りに回転させることによって、組織試料ホルダ(300)が個別試料収集モードに移行する。手動回転ホイール(350)は、操作者によって所望の時計方向または反時計方向に回転されて、回転部材(330)を回転させる。回転部材(330)のこの回転は、回転部材(330)内に配置されている試料トレイ(360、400)の対応する回転をもたらす。回転部材(330)の回転は、個別試料トレイ(360)が、図12に示す位置に対応する「12時」の位置に配置されるまで続く。この位置では、個別試料トレイ(360)は、カッター(130)から組織試料ホルダ(300)によって受け取られた組織試料が、個別試料トレイ(360)内に収容されるように、カッター(130)と整列させられる。
【0072】
図12に示すように、組織試料ホルダ(300)が個別試料収集モードに移行すると、カニューレ(113)に対してカッター(130)を作動させて第1の組織試料を切断することによって、第1の組織試料を取得することができる。次に、真空が、外側カップ(310)の真空ポート(314)に印加される。この真空の印加は、回転部材(330)の内部に負圧を誘発する。この負圧は、個別試料トレイ(360)の床(368)にある真空開口(374)を介して、個別試料トレイ(360)の組織試料チャンバ(376)に流れ込む。次いで、真空が、個別試料トレイ(360)の組織試料チャンバ(376)からカッター(130)へと流れて、それによって第1の組織試料をカッターを通して、個別試料トレイ(360)の組織試料チャンバ(376)内へと近位に輸送する。カッター(130)内の組織試料の遠位面に通気を適用して、それによってカッター(130)を通して組織試料チャンバ(376)内へと組織試料の近位への並進をもたらす圧力差を設けることができる。
【0073】
第1の組織試料が個別試料トレイ(360)内に収容された時点で、操作者が、第1の組織試料を検査することを望む場合がある。第1の組織試料を検査するために、操作者は、図13に示すように、把持機構(382)を用いて個別試料トレイ(360)を把持して、個別試料トレイ(360)を近位に引っ張り、回転部材(330)から引き出す。個別試料トレイ(360)が回転部材(330)から取り外された時点で、第1の組織試料は視覚的に検査することができる。操作者が、第1の組織試料に触れ、感触を調べ、または別の仕方の手操作を望む場合には、操作者は、個別試料トレイ(360)から第1の組織試料を取り出すことができる。それに加えて、またはその代わりに、操作者が目視検査以上の分析を望む場合には、第1の組織試料を個別試料トレイ(360)から取り出し、試料の放射線写真または他の適切な予備組織試料分析モダリティのために、別の容器に入れることができる。
【0074】
第1の組織試料の予備分析が完了した時点で、場合によっては、操作者が、第1の組織試料に満足できないことがある。例えば、上記のように、第1の組織試料は、患者内の針(110)の位置決めを評価するために使用され得る。第1の組織試料の予備分析が、患者内の針(110)の位置決めが望ましくないことを示す場合、操作者は、針(110)を再配置し、検査のために別の試料を取得することを望む場合がある。この場合、操作者は、第1の組織試料を廃棄し、個別試料トレイ(360)を回転部材(330)に挿し戻し、次いで予備分析の目的で、第2の組織試料を取得するために、上記のステップを繰り返す。このプロセスは、操作者が、個別試料トレイ(360)内に収集される組織試料に満足するまで、必要に応じて何度でも繰り返すことができる。
【0075】
操作者が、第1の組織試料、またはその後に個別試料トレイ(360)で取得される他の後続の試料に満足したら、次に操作者は、一括試料収集モードで組織試料を取得することを望む場合がある。組織試料ホルダ(300)を一括収集モードに移行させるために、操作者は、手動回転ホイール(350)を把持して、手動回転ホイール(350)を介して回転部材(330)を時計方向または反時計方向に回転させる。図14に示すように、一括試料トレイ(400)のいずれか1つが12時の位置に配置されるまで、回転を続ける。図14に示す位置では、選択された一括試料トレイ(400)は、カッター(130)で割り出しされて、カッター(130)によって切断されるときに、その中に組織試料を収容する。
【0076】
組織試料ホルダ(300)の回転部材(330)が回転されて、選択された一括試料トレイ(400)をカッターに対して割り出すと、組織試料ホルダ(300)は一括試料収集モードに移行する。一括試料収集モードでは、操作者は、各一括試料トレイ(400)内に複数の組織試料を収集することができる。例えば、組織試料は、針(110)のカニューレ(113)と相対的にカッター(130)を作動させることによって、切断することができる。各組織試料が切断されると、外側カップ(310)の真空ポート(314)を介して、組織試料ホルダ(300)に真空が印加される。次いで、真空ポート(314)に印加された真空は、回転部材(330)に、選択された一括試料トレイ(400)の組織試料チャンバ(416)に、組織開口(411)を通ってカッター(130)に流れる。この真空の流れは、カッター(130)によって切断された各組織試料を、カッター(130)に通して、選択された一括試料トレイ(400)の組織試料チャンバ(416)内に輸送する流体回路を作り出す。上記の通り、カッター(130)内の組織試料の遠位面に通気を適用して、それによってカッター(130)を通して組織試料チャンバ(416)内へと組織試料の近位への並進をもたらす圧力差を設けることができる。
【0077】
選択された一括試料トレイ(400)がその試料容量に達するまで、組織試料を収集し続けることができる。特定の試料容量は、組織試料ホルダ(300)の特定の寸法、または針(110)のゲージなどのいくつかの要因によって変わり得るが、いくつかの例では、各一括試料トレイ(400)は、10~20個の間の組織試料の程度まで、収容することができる。
【0078】
各一括試料トレイ(400)の特定の容量にかかわらず、選択された一括試料トレイ(400)が満杯になると、操作者は、図15に示すように、手動回転ホイール(350)を把持し、手動回転ホイール(350)を介して回転部材(330)を回転させて、カッター(130)に対して別の一括試料トレイ(400)を割り出すことによって、一括収集モードで組織試料を収集し続けることができる。組織試料収集は、3つの一括試料トレイ(400)のうちの2つが満杯になるまで続けられてもよい。
【0079】
3つの一括試料トレイ(400)のうち2つが満杯になると、操作者は、上記のように組織試料ホルダ(300)を回転させて、図16に示すように、組織試料ホルダ(300)を位置決めすることによって、一括収集モードで試料を収集し続けることができる。これにより、第3の最後の一括試料トレイ(400)がカッター(130)と連通するように位置決めされて、切断された組織試料を、これらがカッター(130)によって切断されるときに、収容する。一括組織試料収集は、3つ全ての一括試料トレイ(400)が満杯になるまで続けられてもよい。
【0080】
全ての一括試料トレイ(400)が充填されると、操作者は、患者から針(110)を取り外して、他の仕上げステップを実行することによって、生検処置を簡単に終わらせることができる。あるいは、いくつかの用途では、操作者は、更なる組織試料分析を実施することを望む場合がある。例えば、いくつかの用途では、操作者は、一括収集中に病変全体が除去されたかどうかを判定するために、1つまたは複数の組織試料を分析することを望む場合がある。更なる分析に従事するために、操作者は、組織試料ホルダ(300)を図12に示す位置に回転させることによって、組織試料ホルダ(300)を上記の個別収集モードに戻すことができる。個別試料モードに入ると、操作者は、組織試料を収集し、回転部材(330)から個別試料トレイ(360)を取り外すことによって、上記のように、視覚的分析または他の形態の分析を行うことができる。その後、この個別組織試料分析のプロセスは、操作者が満足のいく結果を得るまで繰り返され得る。
【0081】
操作者が、1つまたは複数の個別試料の分析後に、追加の一括試料を収集することを望む場合には、操作者は、上記のように組織試料ホルダ(300)を一括収集モードに戻すことができる。この段階で全ての一括試料トレイ(400)が満杯である場合、操作者は1つまたは複数の一括試料トレイ(400)を空にするために1つまたは複数の一括試料トレイ(400)を取り外してもよい。その後、所望の数の組織試料が収集されるまで、一括組織収集が続けられてもよい。
【0082】
上では述べていないが、一括試料収集中のいかなる時点においても、操作者は、一括試料収集モードと個別試料収集モードとの間を、選択的に切り替えることができることが理解されるべきである。このことは、個別試料収集モードを介して、中間処置の個別試料分析に従事するために望ましい場合がある。例えば、いくつかの用途では、操作者は、患者から病変全体を除去するために、一括試料収集モードを使用することがある。したがって、個別試料収集モードを使用して、この目的に向けて進捗を定期的にチェックすることが望ましい場合がある。そのような使用において、個別収集モードによる目視検査が疑わしい組織を示す場合、操作者は、追加の試料を収集するために一括試料収集モードに戻ってもよい。また一方、個別収集モードによる目視検査で、疑わしい組織がないことが示された場合、操作者は、適切な試料が採取されたと結論を下して、その処置を終了することができる。
【0083】
III.例示的な代替の組織試料ホルダ
図17は、上記の組織試料ホルダ(300)の代わりに、生検装置(10)と共に使用することができる例示的な代替の組織試料ホルダ(600)を示す。上述の組織試料ホルダ(300)と同様に、本例の組織試料ホルダ(600)は、回転部材(630)、個別試料トレイ(660)、及び3つの一括試料トレイ(700)を含む。上記の組織試料ホルダ(300)とは異なり、本例の組織試料ホルダ(600)は、外側カップ(310)と同様の構造を除外している。代わりに、組織試料ホルダ(600)は、プローブ(100)に直接連結されている。以下で更に詳細に説明するように、この構成を容易にするには、プローブ(100)は、回転部材(630)とプローブ(100)との間の結合を容易にするある特定の結合機構(610)を含み得る。例えば、本例では、プローブ(100)の近位端は、円筒形の近位チャネル(612)を画定する継手(610)を含む。以下で更に詳細に説明するように、この近位チャネル(612)は、プローブ(100)に対する回転可能部材(630)の回転を可能にするために、回転可能部材(630)の少なくとも一部を収容するように構成され、その一方でプローブ(100)に対する回転部材(630)の軸方向位置を固定もする。
【0084】
プローブ(100)と回転部材(630)との間の結合は、他の例では、様々な方法で達成できることが理解されるべきである。例えば、いくつかの例では、組織試料ホルダ(600)は、外側カップ(310)と同様の構造の短縮版を含み得る。この構成では、回転部材(630)への妨げのないアクセスを依然として維持しながら、外側カップ(310)と同様の構造の短縮版は、未修正プローブ(100)と回転部材(630)との間の結合を容易にすることができる。当然のことながら、回転部材(630)へのこの妨害されないアクセスは、回転部材(630)を、手動回転ホイール(350)と同様の構造を通して間接的にではなく、直接作動させることによって、組織試料ホルダ(600)の手動回転を促進するために一般的に望ましい。
【0085】
プローブ(100)はまた、継手(610)に組み込まれた割出し器(614)を含むように修正することができる。この例では、割出し器(614)は、弾性部分(616)と割出し歯(618)とを含む。弾性部分(616)は、概して、割出し歯(618)を回転部材(630)の一部へ付勢するように構成される。以下で更に詳細に説明するように、割出し器(614)は、通常、回転部材(630)の少なくとも一部を弾性的に係合して、回転部材(630)を複数の割出し位置に向けて弾性的に付勢するように構成される。
【0086】
図20及び図21は、回転部材(630)を更に詳細に示す。図から分かるように、回転部材(630)は、遠位端(636)と近位端(638)との間に延在する外壁(632)を備える。外壁(632)は、概して円筒形であるが、不規則な断面を画定する。以下で更に詳細に説明するように、外壁(632)は、少なくとも部分的に、1つまたは複数のトレイ(660、700)を収容するための複数のチャンバ(648、650)を画定する。各トレイ(660、700)を収容するために、外壁(632)は、概して各トレイ(660、700)の形状を反映している。したがって、外壁(632)は、概して円筒形状を画定しているが、この概略形状は、各トレイ(660、700)の形状に対応する内向き及び外向きに延在した湾曲によって分断されている。この構成は一般に、回転部材(630)内の使用可能容積を増大させるのに望ましい。加えて、この構成はまた、回転部材(630)に対する操作者の握りを強化するために使用され得る回転部材(630)の比較的不規則な外面を提供し、それによって外壁(632)を介した回転部材(630)の手動回転を提供する。
【0087】
外壁(632)の内部は、遠位端(636)から近位端(638)まで延在する複数のトレイ壁(646)を含む。各壁(646)はまた、他のトレイ壁(646)と集まるまで、外壁(632)によって画定される内部空間内に半径方向内向きに延在する。したがって、トレイ壁(646)は、互いに、複数の分離したトレイチャンバ(648、650)を画定する。本例では、トレイ壁(646)は、集合的に3つの一括トレイチャンバ(648)と1つの個別トレイチャンバ(650)とを画定する。しかしながら、他の例では、複数の一括トレイチャンバ(648)及び複数の個別トレイチャンバ(650)、1つの一括トレイチャンバ(648)及び複数の個別トレイチャンバ(650)、またはそれらの代替の組合せなどの様々な代替構成を使用し得ることが理解されるべきである。
【0088】
各トレイ壁(646)は、外壁(632)の内周の周りに角度的に間隔を置いて配置されている。隣接するトレイ壁(646)に対する各トレイ壁(646)の角度間隔は、個別試料トレイ(660)または一括試料トレイ(700)のいずれかの幅に対応している。この間隔に起因して、トレイ壁(646)によって画定されているトレイチャンバ(648、650)は、概して三角形またはパイ形である。更に、各トレイ壁(646)は、外壁(632)に一体化されている。本構成では、各トレイ壁(646)は、外壁(632)によって画定された谷または刻み目で外壁(632)に一体化されている。
【0089】
図20に最も良く見て取れるように、近位端(638)は、回転部材(630)の外部に対して、トレイチャンバ(648、650)及びトレイ壁(646)を露出させるように、概して開いている。したがって、各トレイチャンバ(648、650)は、近位端(638)を介して直接対応するトレイ(660、700)を収容するように構成されていることが理解されるべきである。本例では近位端(638)は、通常、開いているが、他の例では近位端(638)は、回転部材(630)の外部に対して近位端(638)を閉じるための壁または他の構造的特徴を含み得ることが理解されるべきである。このような構成では、壁は、回転部材(630)のトレイチャンバ(648、650)へのトレイ(660、700)の進入を容易にするための開口を含み得る。
【0090】
図21に最も良く見て取れるように、回転部材(630)の遠位端(636)は、ほぼ閉じた端部を画定している。プローブ(100)からトレイチャンバ(648、650)へ真空及び組織試料を伝えることを容易にするために、遠位端(636)は複数の試料開口(652)及び複数の真空開口(654)を画定する。各試料開口(652)は、特定のトレイチャンバ(648、650)に対応するように配置されて、プローブ(100)から、プローブ(100)のカッター(130)に対して割り出されるトレイ(660、700)へ組織試料を伝えることを容易にする。真空は、プローブ(100)から、対応する真空開口(654)を介して、割り出されたトレイチャンバ(648、650)内に供給される。以下で更に詳細に説明するように、割出しトレイチャンバ(648、650)に供給される真空は、切断された組織試料をカッター(130)を通して割出しトレイ(660、700)内に搬送するために、通常は使用される。
【0091】
本例では、個別トレイチャンバ(650)に関連する真空開口(654)は、一括トレイチャンバ(648)に関連する真空開口(654)とは異なる形状にすることができる。この構成は一般に、個別トレイチャンバ(650)に関連する真空開口(654)を通る真空の自由な流れを促進するのに望ましい。例えば、上に述べたように、個別トレイチャンバ(650)は、通常は一括トレイチャンバ(648)よりも小さい。この縮小されたサイズに起因して、トレイ(646)は集合して、一括トレイチャンバ(648)を形成するトレイチャンバ(646)に比してより鋭角の個別トレイチャンバ(650)を形成する。このため、個別トレイチャンバ(650)に対応付けられた真空開口(654)が、一括トレイチャンバ(648)に対応付けられた真空開口(654)と同一であれば、トレイ壁(646)は、個別トレイチャンバ(650)に対応付けられた真空開口(654)の少なくとも一部を塞ぐ可能性がある。このような妨害を回避するために、個別トレイチャンバ(650)に対応付けられた真空開口(654)は、上方に延在する部分的な長方形の延長部を含み得る。加えて、トレイ壁(646)は、個別トレイチャンバ(650)に伴う真空開口(654)とトレイ壁(646)との間の界面に何らかの修正を含み得ることが理解されるべきである。本例では、これは、個別トレイチャンバ(650)及びトレイ壁(646)に対応付けられた真空開口(654)の一部からの段階的拡大を含む。他の例では、トレイ壁(646)は、個別トレイチャンバ(650)に対応付けられた真空開口(654)に隣接して、チャネルを備えてもよい。あるいは、トレイ壁(646)は、個別トレイチャンバ(650)に対応付けられた真空開口(654)とトレイ壁(646)との間の境界面で、外側に突出してもよい。そのような外側突出部は、通常は、個別トレイチャンバ(650)に対応付けられた真空開口(654)の直径と一致してもよい。当然ながら、本明細書の教示を考慮したうえで当業者には明らかなように、数多くの代替構成を使用してもよい。
【0092】
各チャンバ(648、650)に対応する開口(652、654)の各セットの間に、遠位端(636)は複数のリブ(637)を画定する。リブ(637)は、回転部材(630)の外部から内側に延在し、回転部材(630)の中心で集合し、それによって遠位端(636)上にX字形パターンを形成する。各リブ(637)は、通常は、遠位端(636)の遠位面から外向きに突出している。当然のことながら、各リブ(637)は、プローブ(100)の近位端と係合するように構成される。いくつかの例では、プローブ(100)の近位端は、各リブ(637)と直接係合するゴム製シールまたはガスケットを含む。したがって、リブ(637)とプローブ(100)の近位端との間の係合は、それらの間にシールを提供し得る。この構成は通常、他の試料開口(652)に対する各試料開口(652)間の流体隔離、及び他の真空開口(654)に対する各真空開口(654)間の流体隔離を提供する。当然のことながら、チャンバ(648、650)がプローブ(100)のカッター(130)に対して割り出されるとき、この流体隔離は通常、単一の一括トレイチャンバ(648)及び個別トレイチャンバ(650)のみを通る真空の流れを促進する。
【0093】
回転部材(630)の遠位端(636)は、更に遠位フランジ(634)を含む。遠位フランジ(634)は通常、回転部材(630)がプローブ(100)に対して回転することを可能にしながら、回転部材(630)をプローブ(100)に軸方向に固定するために、プローブによって収容されるように構成される。遠位フランジ(634)は、遠位フランジ(634)の外側の周りに角度をなして間隔を置かれた複数の刻み目(635)を画定する。各刻み目(635)は、前述の割出し器(614)の割出し歯(618)の三角形状に対応した、ほぼ三角形状を画定している。更に、各刻み目(635)は、回転部材(630)によって画定された特定のトレイチャンバ(648、650)に対応している。以下で更に詳細に説明するように、このことは、各刻み目(635)が割出し器(614)の割出し歯(618)と連続的に係合して回転部材(630)を複数の割出し位置に向けて弾性的に付勢することを可能にする。本例では、各刻み目(635)及び割出し歯(618)は、対応する概して三角形の形状を有するように示されているが、他の例では、例えば丸みを帯びた、半卵形の、半球形などの、複数の代替の形状を使用できることが理解されるべきである。
【0094】
図22は、個別試料トレイ(660)を更に詳細に示す。当然のことながら、個別試料トレイ(660)は、通常、その中にただ1つの単一組織試料を収容するように構成されている。個別試料トレイ(660)は、トレイ部分(662)、ハンドル部分(680)、及びトレイ部分(662)とハンドル部分(680)との間に配置されたシール(690)を備える。トレイ部分(662)は、回転部材(630)の個別トレイチャンバ(650)の形状の少なくとも一部に対応した、概して楕円形の、または卵形の断面を画定するストリップ(664)を含む。ストリップ(664)は、試料開口(670)、一対の側壁(666)、床(668)、及び後壁(672)を更に画定している。側壁(666)、床(668)、及び後壁(672)は、全体として、試料開口(670)を通して単一組織試料を収容するように構成された組織試料チャンバ(676)を画定している。
【0095】
組織試料チャンバ(676)に真空を伝えるために、床(668)は、組織試料チャンバ(676)と個別試料トレイ(660)の外部とを連通させる複数の真空開口(674)を更に含む。以下で更に詳細に説明するように、個別試料トレイ(660)は、真空開口(674)を通じて組織試料チャンバ(676)内に真空が印加されると、カッター(130)を通して組織試料を組織試料チャンバ(676)内に引き込むように構成されている。
【0096】
ハンドル部分(680)は、トレイ部分(662)から近位に突出している。ハンドル部分(680)は、操作者が個別試料トレイ(660)を操作して、回転部材(630)に対して個別試料トレイ(660)を動かすことができるように構成されている。具体的には、ハンドル部分(680)は、操作者による把持のために構成された概して長方形の把持機構(682)を含む。図示していないが、把持機構(682)は、把持機構(682)を握るときに、操作者の握りを向上させる機構を含み得ることが理解されるべきである。
【0097】
シール(690)は、トレイ部分(662)とハンドル部分(680)との間に配置されている。シール(690)は、トレイ部分(662)の楕円形の外面から外向きに延在して、トレイ壁(646)及び回転部材(630)の外壁(632)に対して密封を施す。以下で更に詳細に説明するように、シール(690)は通常、回転部材(630)の対応する真空開口(654)から、トレイ部分(662)の床(668)の真空開口(674)を経由して、トレイ部分(662)からカッター(130)へと到る、真空の流れを促進するように構成されている。本例のシール(690)は、Oリングまたは他のシールガスケットを装備することができる、ほぼ三角形のフランジとして示されている。しかしながら、他の例では、シール(690)は、ワイパーシールなどの数多くの代替形態を取り得ることが理解されるべきである。あるいは、更に他の例では、シール(690)を完全に除外し、トレイ部分(662)と回転部材(630)の壁(632、646)との間の締まりばめによる密封で置き換えることができる。
【0098】
図23は、一括試料トレイ(700)を更に詳細に示す。当然のことながら、一括試料トレイ(700)は通常、その中に複数の組織試料を収容するように構成されている。一括試料トレイ(700)は、トレイ部分(702)、ハンドル部分(720)、及びトレイ部分(702)とハンドル部分(720)との間に配置されたシール(730)を含む。トレイ部分(702)は、回転部材(630)の一括トレイチャンバ(648)の少なくとも一部分の形状に対応した、概して細長い楕円形の断面を画定するストリップ(704)を含む。ストリップ(704)は更に、前壁(710)、一対の側壁(706)、床(708)、及び後壁(712)を画定している。側壁(706)、床(708)、前壁(710)、及び後壁(712)は、全体として、前壁(710)の組織開口(711)を通して複数の組織試料を収容するように構成された一括組織試料チャンバ(716)を画定している。
【0099】
組織試料チャンバ(716)に真空を伝えるために、床(708)は、組織試料チャンバ(716)と一括試料トレイ(700)の外部とを連通させる複数の真空開口(714)を更に含む。以下で更に詳細に説明するように、一括試料トレイ(700)は、真空開口(714)を通じて組織試料チャンバ(716)内に真空が印加されると、カッター(130)を通して組織試料を組織試料チャンバ(716)内に引き込むように構成されている。
【0100】
各側壁(706)は、床(708)に対して外側に湾曲している。側壁(706)の湾曲は、通常、組織試料チャンバ(716)の容積を増大させる。更に、側壁(706)の湾曲は、回転部材(630)の外壁(632)及びトレイ壁(646)によって画定される湾曲に対応している。側壁(606)の形状と壁(632、646)の形状との間のこの対応は、壁(632、646)が側壁(706)をつかんで、それによって、一括試料トレイ(700)を回転部材(630)内の所定の位置に保持することを可能にする。
【0101】
ハンドル部分(720)は、トレイ部分(702)から近位に突出している。ハンドル部分(720)は、操作者が一括試料トレイ(700)を操作して、回転部材(630)に対して一括試料トレイ(700)を動かすことができるように構成されている。具体的には、ハンドル部分(720)は、操作者による把持のために構成された概して台形の把持機構(722)を含む。図示していないが、把持機構(722)は、把持機構(722)を握るときに、操作者の握りを向上させる機構を含み得ることが理解されるべきである。
【0102】
シール(730)は、トレイ部分(702)とハンドル部分(720)との間に配置されている。シール(730)は、トレイ部分(702)の外面から外向きに延在して、回転部材(630)の外壁(632)及びトレイ壁(646)に対して密封を施す。以下で更に詳細に説明するように、シール(730)は通常、回転部材(630)の所与の真空開口(654)から、トレイ部分(702)の床(708)の真空開口(714)を経由して、トレイ部分(702)からカッター(130)へと到る、真空の流れを促進するように構成されている。本例のシール(730)は、Oリングまたは他のシールガスケットを装備することができる、外向きに延在するフランジとして示されている。しかしながら、他の例では、シール(730)は、ワイパーシールなどの数多くの代替形態を取り得ることが理解されるべきである。あるいは、更に他の例では、シール(730)を完全に除外し、トレイ部分(702)と回転部材(630)の壁(632、646)との間の締まりばめによる密封で置き換えることができる。
【0103】
図24は、回転可能なマニホールド(630)内に配置されたトレイ(648、650)を示す。図から分かるように、回転部材(630)の壁(632、646)は、トレイ(648、650)を回転部材(630)の外周に向かって外側に向けるように形作られている。これにより、各トレイ(648、650)の床(668、708)と回転部材(630)の内側部分との間に流路が形成される。この構成によって形成される各流路は、床(668、708)の下の回転部材(630)内への真空の流れを促進し、各トレイ(676、716)によって画定される各チャンバ(648、650)内へ上方に流れ、それによって切断された組織試料を各トレイ(648、650)内へ移送するように構成される。
【0104】
図17及び図25A図25Cは、生検装置(10)から組織試料を収集する組織試料ホルダ(600)の例示的な使用法を示す。以下で更に詳細に説明するように、組織試料ホルダ(600)は、通常、操作者が回転部材(630)を直接把持することによって回転部材(630)を回転させて、組織試料を収集するために、個別試料トレイ(660)または一括試料トレイ(700)のいずれかをカッター(130)に対して選択的に割り出すように構成されている。組織試料ホルダ(600)のこのような選択可能な割出しは、組織試料ホルダ(600)の、個別試料収集モードと一括試料収集モードとの間の選択的な移行を提供する。個別試料収集モードにある場合には、組織試料ホルダ(600)は、組織試料分析に関してより大きな柔軟性を操作者に提供することができる。一括試料収集モードにある場合には、組織試料ホルダ(600)は、トレイ(700)を交換するかまたは別の方法で空にする必要なしに、比較的多数の組織試料を収集する能力を操作者に提供することができる。生検処置に関連して、このような2つのモードを使用する様々な方法が、本明細書には記載されているが、本明細書の教示を考慮したうえで当業者には明らかであるように、他の数多くの方法を使用できることが理解されるべきである。
【0105】
単なる例示的な一使用法において、操作者は、図17に示すように、個別試料収集モードにある組織試料ホルダ(600)を用いて生検処置を開始してもよい。いくつかの使用法では、生検処置を開始する前に、組織試料ホルダ(600)を個別試料収集モードに移行させる。あるいは、組織試料ホルダ(600)は、患者内に針(110)を配置した後であるがカッター(130)を用いた組織試料収集を開始する前に、個別試料収集モードに設定される。いずれにしても、本動作モードでは、組織試料ホルダ(600)が個別試料収集モードに設定され、したがってカッター(130)によって取得された第1の試料は、一括トレイ(700)のいずれか1つではなく、個別試料トレイ(660)に運ばれることが理解されるべきである。この使用方法では、操作者は、第1の試料を分析して、患者内の針(110)の所望の位置決めを検証するか、または別の目的で第1の組織試料の何らかの予備分析を行うことが可能とされ得る。
【0106】
本使用例では、操作者が回転部材(630)を握り、回転部材(630)を時計回りまたは反時計回りに回転させることによって、組織試料ホルダ(600)が個別試料収集モードに移行する。回転部材(630)のこの回転は、回転部材(630)内に配置されている試料トレイ(660、700)の対応する回転をもたらす。回転部材(630)の回転は、個別試料トレイ(660)が、図17に示す位置に対応する「12時」の位置に配置されるまで続く。この位置では、個別試料トレイ(660)は、カッター(130)から組織試料ホルダ(600)によって受け取られた組織試料が、個別試料トレイ(660)内に収容されるように、カッター(130)と整列させられる。
【0107】
図17に示すように、組織試料ホルダ(600)が個別試料収集モードに移行すると、カニューレ(113)に対してカッター(130)を作動させて第1の組織試料を切断することによって、第1の組織試料を取得することができる。次に、個別トレイチャンバ(650)に対応付けられた真空開口(654)に真空が印加される。この真空の印加は、回転部材(630)の内部に負圧を誘発する。この負圧は、個別試料トレイ(660)の床(668)にある真空開口(674)を介して、個別試料トレイ(660)の組織試料チャンバ(676)に流れ込む。次いで、真空が、個別試料トレイ(660)の組織試料チャンバ(676)からカッター(130)へと流れて、それによって第1の組織試料をカッターを通して、個別試料トレイ(660)の組織試料チャンバ(676)内へと近位に輸送する。カッター(130)内の組織試料の遠位面に通気を適用して、それによってカッター(130)を通して組織試料チャンバ(676)内へと組織試料の近位への並進をもたらす圧力差を設けることができる。
【0108】
第1の組織試料が個別試料トレイ(660)内に収容された時点で、操作者が、第1の組織試料を検査することを望む場合がある。第1の組織試料を検査するために、操作者は、把持機構(682)を用いて個別試料トレイ(660)を把持して、個別試料トレイ(660)を近位に引っ張り、回転部材(630)から引き出す。個別試料トレイ(660)が回転部材(630)から取り外された時点で、第1の組織試料は視覚的に検査することができる。操作者が、第1の組織試料に触れ、感触を調べ、または別の仕方の手操作を望む場合には、操作者は、個別試料トレイ(660)から第1の組織試料を取り出すことができる。それに加えて、またはその代わりに、操作者が目視検査以上の分析を望む場合には、第1の組織試料を個別試料トレイ(660)から取り出し、試料の放射線写真または他の適切な予備組織試料分析モダリティのために、別の容器に入れることができる。
【0109】
第1の組織試料の予備分析が完了した時点で、場合によっては、操作者が、第1の組織試料に満足できないことがある。例えば、上記のように、第1の組織試料は、患者内の針(110)の位置決めを評価するために使用され得る。第1の組織試料の予備分析が、患者内の針(110)の位置決めが望ましくないことを示す場合、操作者は、針(110)を再配置し、検査のために別の試料を取得することを望む場合がある。この場合、操作者は、第1の組織試料を廃棄し、個別試料トレイ(660)を回転部材(630)に挿し戻し、次いで予備分析の目的で、第2の組織試料を取得するために、上記のステップを繰り返す。このプロセスは、操作者が、個別試料トレイ(660)内に収集される組織試料に満足するまで、必要に応じて何度でも繰り返すことができる。
【0110】
操作者が、第1の組織試料、またはその後に個別試料トレイ(660)で取得される他の後続の試料に満足したら、次に操作者は、一括試料収集モードで組織試料を取得することを望む場合がある。組織試料ホルダ(600)を一括収集モードに移行させるために、操作者は、回転部材(630)を把持して、回転部材(630)を時計方向または反時計方向に回転させる。図25Aに示すように、一括試料トレイ(700)のいずれか1つが12時の位置に配置されるまで、回転を続ける。図25Aに示す位置では、選択された一括試料トレイ(700)は、カッター(130)に対して割り出されて、カッター(130)によって切断されるときに、その中に組織試料を収容する。
【0111】
組織試料ホルダ(600)の回転部材(630)が回転されて、選択された一括試料トレイ(700)をカッター(130)に対して割り出すと、組織試料ホルダ(600)は一括試料収集モードに移行する。一括試料収集モードでは、操作者は、各一括試料トレイ(700)内に複数の組織試料を収集することができる。例えば、組織試料は、針(110)のカニューレ(113)と相対的にカッター(130)を作動させることによって、切断することができる。各組織試料が切断されると、選択された一括試料トレイ(700)に対応付けられた真空開口(654)を介して、組織試料ホルダ(600)に真空が印加される。次いで、真空開口(654)に印加された真空は、回転部材(630)に、選択された一括試料トレイ(700)の組織試料チャンバ(716)に、組織開口(711)を通ってカッター(130)に流れる。この真空の流れは、カッター(130)によって切断された各組織試料を、カッター(130)に通して、選択された一括試料トレイ(700)の組織試料チャンバ(716)内に輸送する流体回路を作り出す。上記の通り、カッター(130)内の組織試料の遠位面に通気を適用して、それによってカッター(130)を通して組織試料チャンバ(716)内へと組織試料の近位への並進をもたらす圧力差を設けることができる。
【0112】
選択された一括試料トレイ(700)がその試料容量に達するまで、組織試料を収集し続けることができる。特定の試料容量は、組織試料ホルダ(600)の特定の寸法、または針(110)のゲージなどのいくつかの要因によって変わり得るが、いくつかの例では、各一括試料トレイ(700)は、10~20個の間の組織試料の程度まで、収容することができる。
【0113】
各一括試料トレイ(700)の特定の容量にかかわらず、選択された一括試料トレイ(700)が満杯になると、操作者は、図25Bに示すように、回転部材(630)を把持し、回転部材(630)を回転させて、カッター(130)に対して別の一括試料トレイ(700)を割り出すことによって、一括収集モードで組織試料を収集し続けることができる。組織試料収集は、3つの一括試料トレイ(700)のうちの2つが満杯になるまで続けられてもよい。
【0114】
3つの一括試料トレイ(700)のうち2つが満杯になると、操作者は、上記のように組織試料ホルダ(600)を回転させて、図25Cに示すように、組織試料ホルダ(600)を位置決めすることによって、一括収集モードで試料を収集し続けることができる。これにより、第3の最後の一括試料トレイ(700)がカッター(130)と連通するように位置決めされて、切断された組織試料を、これらがカッター(130)によって切断されるときに、収容する。一括組織試料収集は、3つ全ての一括試料トレイ(700)が満杯になるまで続けられてもよい。
【0115】
全ての一括試料トレイ(700)が充填されると、操作者は、患者から針(110)を取り外して、他の仕上げステップを実行することによって、生検処置を簡単に終わらせることができる。あるいは、いくつかの用途では、操作者は、更なる組織試料分析を実施することを望む場合がある。例えば、いくつかの用途では、操作者は、一括収集中に病変全体が除去されたかどうかを判定するために、1つまたは複数の組織試料を分析することを望む場合がある。更なる分析に従事するために、操作者は、組織試料ホルダ(600)を図17に示す位置に回転させることによって、組織試料ホルダ(600)を上記の個別収集モードに戻すことができる。個別試料モードに入ると、操作者は、組織試料を収集し、回転部材(630)から個別試料トレイ(660)を取り外すことによって、上記のように、視覚的分析または他の形態の分析を行うことができる。その後、この個別組織試料分析のプロセスは、操作者が満足のいく結果を得るまで繰り返され得る。
【0116】
操作者が、1つまたは複数の個別試料の分析後に、追加の一括試料を収集することを望む場合には、操作者は、上記のように組織試料ホルダ(600)を一括収集モードに戻すことができる。この段階で全ての一括試料トレイ(700)が満杯である場合、操作者は1つまたは複数の一括試料トレイ(700)を空にするために1つまたは複数の一括試料トレイ(700)を取り外してもよい。その後、所望の数の組織試料が収集されるまで、一括組織収集が続けられてもよい。
【0117】
上では述べていないが、一括試料収集中のいかなる時点においても、操作者は、一括試料収集モードと個別試料収集モードとの間を、選択的に切り替えることができることが理解されるべきである。このことは、個別試料収集モードを介して、中間処置の個別試料分析に従事するために望ましい場合がある。例えば、いくつかの用途では、操作者は、患者から病変全体を除去するために、一括試料収集モードを使用することがある。したがって、個別試料収集モードを使用して、この目的に向けて進捗を定期的にチェックすることが望ましい場合がある。そのような使用において、個別収集モードによる目視検査が疑わしい組織を示す場合、操作者は、追加の試料を収集するために一括試料収集モードに戻ってもよい。また一方、個別収集モードによる目視検査で、疑わしい組織がないことが示された場合、操作者は、適切な試料が採取されたと結論を下して、その処置を終了することができる。
【0118】
IV.例示的な組合せ
以下の例は、本明細書の教示を組み合わせ、または適用することができる非網羅的な様々な方法に関する。以下の例は、本願において、または本願の後の出願において、いつでも提示され得る、いかなる請求の範囲も限定することを意図するものではないことが理解されるべきである。権利の放棄は意図されていない。以下の例は、単に例示を目的としたものに過ぎない。本明細書の様々な教示は、他の数多くの方法で構成され、適用され得ることが企図されている。また、いくつかの変形形態は、以下の例で言及される特定の特徴を省いてもよいことが企図されている。したがって、後に発明者によって、または発明者の利益の承継人によって、明確にそのように別段の指示がない限りは、以下で言及される態様または特徴のどれもが決定的に重要な意味を持つものであるとみなされるべきではない。本出願、または本出願に関連する後続の提出物に、以下に述べるもの以外の追加の特徴が含まれた請求項が提示される場合にも、これらの追加の特徴が、特許性に関わる何らかの理由で追加されたものと推定されるべきではない。
【0119】
例1
本体と、前記本体から遠位に延在する針と、前記針に対して長手方向に平行移動が可能なカッターであって、前記カッターがカッター内腔を画定する、前記カッターと、組織試料ホルダであって、外側カップと、回転部材であって、前記回転部材が、前記回転部材の円筒壁から半径方向内向きに延在する複数のトレイ突出部によって部分的に分割された内部チャンバを画定し、前記複数のトレイ突出部の各トレイ突出部が、半径方向延在長を画定し、前記複数のトレイ突出部の各トレイ突出部が、各トレイ突出部の前記半径方向延在長に沿って軸方向に湾曲している、前記回転部材と、単一試料チャンバを備える個別試料トレイであって、前記単一試料チャンバが、単一組織試料を収容するように構成されている、前記個別試料トレイと、1つまたは複数の一括試料トレイであって、前記一括試料トレイが複数の組織試料を収容するように構成されている、前記一括試料トレイとを含む前記組織試料ホルダとを備えた生検装置。
【0120】
例2
前記回転部材が近位壁を含み、前記近位壁が、個別トレイ開口と1つまたは複数の一括トレイ開口とを含み、前記個別試料トレイが、前記個別トレイ開口内に収容されるように構成され、前記1つまたは複数の一括試料トレイの各一括試料トレイが、対応する一括トレイ開口内に収容されるように構成されている、例1に記載の生検装置。
【0121】
例3
前記回転部材の一対のトレイ突出部が位置決めされて、前記個別トレイ開口及び前記1つまたは複数の一括トレイ開口と整列する、例2に記載の生検装置。
【0122】
例4
前記個別試料トレイがトレイ部分を含み、前記1つまたは複数の一括試料トレイの各一括試料トレイがトレイ部分を備える、例1~3のいずれか1つまたは複数に記載の生検装置。
【0123】
例5
前記回転部材の前記トレイ突出部が、前記個別試料トレイの前記トレイ部分と、各一括試料トレイの前記トレイ部分とを前記回転部材内に固定するように構成されている、例4に記載の生検装置。
【0124】
例6
前記1つまたは複数の一括チャンバの各一括チャンバが、一対の側壁と、後壁と、床とを備える、例1~5のいずれか1つまたは複数に記載の生検装置。
【0125】
例7
前記床がV字形であり、前記床が複数の真空開口を備え、前記真空開口が、前記床の前記V字形全体の周りに等間隔を置いて配置されている、例6に記載の生検装置。
【0126】
例8
前記組織試料ホルダが、手動回転ホイールを更に含む、例1~7のいずれか1つまたは複数に記載の生検装置。
【0127】
例9
前記手動回転ホイールが弾性機構を含み、前記弾性機構が、前記外側カップの少なくとも一部と係合するように構成されて、前記回転部材を複数の所定位置に向けて付勢するように構成されている、例8に記載の生検装置。
【0128】
例10
前記個別試料トレイと、前記1つまたは複数の一括試料トレイの各一括試料トレイとを、前記カッターに対して割り出すために、前記回転部材が手動で回転可能なように、前記手動回転ホイールが前記回転部材に連結されている、例8に記載の生検装置。
【0129】
例11
本体と、前記本体から遠位に延在する針と、前記針に対して長手方向に平行移動が可能なカッターであって、前記カッターがカッター内腔を画定する、前記カッターと、組織試料ホルダであって、回転部材であって、前記回転部材の少なくとも一部が、前記回転部材の円筒壁から半径方向内向きに延在する複数のトレイ突出部によって部分的に分割された内部チャンバを画定する、前記回転部材と、単一試料チャンバを含む個別試料トレイであって、前記単一試料チャンバが、単一組織試料のみを収容するように構成されている、前記個別試料トレイと、1つまたは複数の一括試料トレイであって、前記一括試料トレイが複数の組織試料を収容するように構成されている、前記一括試料トレイとを含む前記組織試料ホルダとを備えた生検装置。
【0130】
例12
前記回転部材が、前記回転部材の少なくとも一部によって画定された前記内部チャンバの内部に、複数の分離したトレイチャンバを画定する複数のトレイ壁を含む、例11に記載の生検装置。
【0131】
例13
前記複数の分離したトレイチャンバが、個別トレイチャンバ及び一括トレイチャンバを含み、前記個別トレイチャンバが、前記個別試料トレイを収容するように構成され、前記一括トレイチャンバが、前記1つまたは複数の一括試料トレイのうちの単一の一括試料トレイを収容するように構成されている、例12に記載の生検装置。
【0132】
例14
前記回転部材が外壁を含み、前記トレイ壁が前記外壁と一体化している、例13に記載の生検装置。
【0133】
例15
各トレイ壁が、前記他のトレイ壁に接続するように、前記トレイ壁が、前記外壁に対して半径方向内向きに延在している、例14に記載の生検装置。
【0134】
例16
前記外壁が、一続きの外向き及び内向きの突起によって分断された概して円筒形の断面を画定し、前記外向き及び内向きの突起が、前記複数のトレイ壁の各トレイ壁に対応している、例14に記載の生検装置。
【0135】
例17
前記回転部材が、前記回転部材の少なくとも一部から外向きに延在するフランジを含む、例11~16のいずれか1つまたは複数に記載の生検装置。
【0136】
例18
前記フランジが、前記プローブに対する前記回転部材の回転を可能にしながら、前記回転部材を前記プローブに軸方向に連結する構成となるように、前記フランジが、前記プローブに付随している継手によって画定されたチャネルの内部で結合するように構成されている、例17に記載の生検装置。
【0137】
例19
前記フランジが複数のロケータを含み、前記複数のロケータの各ロケータが、前記個別試料トレイ、または前記1つまたは複数の一括試料トレイのうちの単一の一括試料トレイに対応している、例17または例18に記載の生検装置。
【0138】
例20
各ロケータが前記フランジに刻み目を備え、前記刻み目が三角形の形状を有する、例19に記載の生検装置。
【0139】
例21
割出し器を更に備え、前記割出し器が前記プローブに付随し、前記割出し器が、前記複数のロケータの各ロケータとの係合によって、前記回転部材をプローブに対して複数の位置に選択的に係止するように構成されている、例19に記載の生検装置。
【0140】
例22
前記割出し器が、弾性部分と割出し部分とを含み、前記弾性部分が、前記割出し部分を弾性的に付勢して、前記複数のロケータの各ロケータと係合させるように構成されている、例21に記載の生検装置。
【0141】
例23
前記割出し器の前記割出し部分が、前記複数のロケータの各ロケータの三角形状に対応した三角形状を画定する、例22に記載の生検装置。
【0142】
例24
前記組織試料ホルダが外側カップを更に含み、前記外側カップが、前記回転部材の少なくとも一部を囲むように構成されている、例11~23のいずれか1つまたは複数に記載の生検装置。
【0143】
例25
前記回転部材が、開放近位端と閉鎖遠位端とを含み、前記閉鎖遠位端が、前記カッターから組織試料を受け入れるように構成された複数の試料開口と、前記プローブから真空を受け入れるように構成された複数の真空開口とを画定している、例11~24のいずれか1つまたは複数に記載の生検装置。
【0144】
例26
前記回転部材の前記閉鎖遠位端が、前記複数の真空開口の各真空開口の間に配置された複数のリブを画定し、前記複数のリブが、前記複数の真空開口の各真空開口を、他の前記真空開口に対して流体的に隔離するように構成されている、例25に記載の生検装置。
【0145】
例27
前記複数のリブが合わせてX字形パターンを形成する、例26に記載の生検装置。
【0146】
例28
前記複数の真空開口のうちの各真空開口が、対応する個別試料トレイまたは一括試料トレイと対応付けられ、前記個別試料トレイに対応付けられた前記真空開口が、前記真空開口を通る前記真空の流れを促進するように構成された上方に延在する延長部を含む、例25に記載の生検装置。
【0147】
例29
前記個別試料トレイに対応付けられた前記真空開口が段に隣接し、前記段が、前記個別試料トレイへの前記真空の流れを促進するように構成されている、例28に記載の生検装置。
【0148】
例30
生検処置のための生検プローブを準備することであって、前記生検プローブが、プローブ本体と、前記プローブ本体から延在する針と、1つまたは複数の組織試料を収集するためのカッターに対して平行移動が可能な前記カッターとを含む、前記生検プローブを準備すること、組織試料ホルダの回転部材を手動で回転させて、前記回転部材内に配置された個別試料トレイを前記生検プローブの前記カッターと連絡するように整列させること、前記個別試料トレイ内に単一組織試料を収容すること、前記組織試料ホルダから前記個別試料トレイを取り外して、その中に収容された組織試料を検査すること、及び一括試料トレイを前記生検プローブの前記カッターと整列させるように、前記組織試料ホルダの前記回転部材を手動で回転させて、前記一括試料トレイ内の複数の組織試料を収集することを含む、生検装置を使用する方法。
【0149】
例31
前記組織試料ホルダから前記個別試料トレイを取り外して、組織試料を検査するステップが、前記組織試料の目視検査を含む、例30に記載の方法。
【0150】
例32
前記組織試料ホルダから前記個別試料トレイを取り外して、組織試料を検査するステップが、前記組織試料の触診を含む、例30に記載の方法。
【0151】
例33
一括試料トレイに複数の試料を充填した後に、別の一括試料トレイを前記生検プローブの前記カッターと整列させるように、前記組織試料ホルダの前記回転部材を手動で回転させて、その他の前記一括試料トレイ内の複数の組織試料を収集することを更に含む、例30に記載の方法。
【0152】
例34
前記組織試料ホルダから前記個別試料トレイを取り出した後、前記個別試料トレイを空にし、前記個別試料トレイを前記組織試料ホルダに挿入して戻すことを更に含む、例30に記載の方法。
【0153】
例35
前記一括試料トレイ内の複数の組織試料を収集した後に、前記回転部材を手動で回転させて、前記個別試料トレイを前記生検プローブの前記カッターと整列させることを更に含む、例34に記載の方法。
【0154】
例36
前記一括試料トレイ内の複数の組織試料を収集した後に、前記組織試料ホルダから前記個別試料トレイを取り外して別の組織試料を目視検査することを更に含む、例35に記載の方法。
【0155】
参照によって本明細書に、その全体または一部が組み込まれると言及されるあらゆる特許、刊行物、または他の開示資料は、組み込まれる資料が、本開示に記載される既存の定義、声明、または他の開示資料と矛盾しない限りにおいてのみ、本明細書に組み込まれることが理解されるべきである。したがって、必要な限りにおいて、本明細書に明確に記載されている開示の内容は、参照により本明細書に組み込まれる矛盾する資料に対して優先される。参照によって本明細書に組み込まれると言及されているが、本明細書に記載されている既存の定義、声明、または他の開示資料と矛盾するあらゆる資料またはその一部分は、その組み込まれた資料と既存の開示資料との間に矛盾が生じない範囲内でのみ組み込まれる。
【0156】
本発明の実施形態は、従来の内視鏡的な手術器具や直視下的な手術器具、及びロボット支援手術での用途を有する。
【0157】
単なる例示として、本明細書に記載の実施形態では、手術前に処理が施されてもよい。まず、新品または使用済みの器具を調達し、必要に応じて洗浄を行う場合がある。次いで、器具を滅菌してもよい。ある滅菌技法においては、器具は、プラスチックバッグやTYVEKバッグといった密閉容器中に置かれる。次に、容器及び器具は、ガンマ線、X線、または高エネルギー電子などの、容器を透過することができる放射線の場に置かれてもよい。放射線により、器具上の細菌と容器内の細菌とは除菌され得る。次に、滅菌した器具は、滅菌容器内に格納されてもよい。密封された容器は、医療施設内で開封されるまで、器具を無菌状態に保つことができる。装置は、ベータ線もしくはガンマ線、エチレンオキシド、または蒸気を含むがこれらに限定されない、当技術分野で知られている他のいかなる技法をも用いて滅菌することもできる。
【0158】
本明細書で開示される装置の実施形態は、少なくとも1回の使用の後に、再使用のために再調整することができる。再調整には、装置の分解と、その後に続く特定の部品の洗浄または交換と、それに続く再組立てとのステップの任意の組合せが含まれ得る。特に、本明細書で開示される装置の実施形態は、分解することができ、任意の数の特定の装置部品または装置パーツを、任意の組合せで選択的に交換または除去することができる。特定のパーツの洗浄及び/または交換を行い次第、本装置の実施形態は、再調整施設で、または外科処置の直前に外科チームによって、次の使用のために再組み立てすることができる。当業者であれば、装置の再調整が、分解、洗浄/交換、及び再組立てのために、様々な技法を利用し得ることが理解されるであろう。そのような技法の使用、及び結果として再調整された装置は、すべて本願の範囲内にある。
【0159】
本発明の様々な実施形態が示され、説明されたので、本明細書に記載の方法及びシステムの更なる改変は、本発明の範囲から逸脱することなく、当業者による適切な変更によって達成され得る。そのような可能性のある変更のいくつかは言及されており、その他は当業者には明白であろう。例えば、上述の例、実施形態、幾何学的特徴、材料、寸法、比率、ステップなどは、例示的なものであって必須ではない。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲の観点から検討されるべきであり、明細書及び図面に示され、説明された構造及び動作の詳細に限定されないことが理解される。
【0160】
〔実施の態様〕
(1) (a)本体と、
(b)前記本体から遠位に延在する針と、
(c)前記針に対して長手方向に平行移動が可能なカッターであって、前記カッターがカッター内腔を画定する、前記カッターと、
(d)組織試料ホルダであって、
(i)回転部材であって、前記回転部材の少なくとも一部が、前記回転部材の円筒壁から半径方向内向きに延在する複数のトレイ突出部によって部分的に分割された内部チャンバを画定する、前記回転部材と、
(ii)単一試料チャンバを含む個別試料トレイであって、前記単一試料チャンバが、単一組織試料のみを収容するように構成されている、前記個別試料トレイと、
(iii)1つまたは複数の一括試料トレイであって、前記一括試料トレイが複数の組織試料を収容するように構成されている、前記一括試料トレイと
を含む前記組織試料ホルダと
を備えた生検装置。
(2) 前記回転部材が、前記回転部材の少なくとも一部によって画定された前記内部チャンバの内部に、複数の分離したトレイチャンバを画定する複数のトレイ壁を含む、実施態様1に記載の生検装置。
(3) 前記複数の分離したトレイチャンバが、個別トレイチャンバ及び一括トレイチャンバを含み、前記個別トレイチャンバが、前記個別試料トレイを収容するように構成され、前記一括トレイチャンバが、前記1つまたは複数の一括試料トレイのうちの単一の一括試料トレイを収容するように構成されている、実施態様2に記載の生検装置。
(4) 前記回転部材が外壁を含み、前記トレイ壁が前記外壁と一体化している、実施態様3に記載の生検装置。
(5) 各トレイ壁が、前記他のトレイ壁に接続するように、前記トレイ壁が、前記外壁に対して半径方向内向きに延在している、実施態様4に記載の生検装置。
【0161】
(6) 前記外壁が、一続きの外向き及び内向きの突起によって分断された概して円筒形の断面を画定し、前記外向き及び内向きの突起が、前記複数のトレイ壁の各トレイ壁に対応している、実施態様4に記載の生検装置。
(7) 前記回転部材が、前記回転部材の少なくとも一部から外向きに延在するフランジを含み、前記フランジが、前記プローブに対する前記回転部材の回転を可能にしながら、前記回転部材を前記プローブに軸方向に連結する構成となるように、前記フランジが、前記プローブに付随している継手によって画定されたチャネルの内部で結合するように構成されている、実施態様1に記載の生検装置。
(8) 前記フランジが前記チャネルの内部に収容されると、前記継手が、前記回転部材を前記プローブに持続的かつ取外し不能に保持するように構成されている、実施態様7に記載の生検装置。
(9) 前記フランジが複数のロケータを含み、前記複数のロケータの各ロケータが、前記個別試料トレイ、または前記1つまたは複数の一括試料トレイのうちの単一の一括試料トレイに対応している、実施態様7に記載の生検装置。
(10) 各ロケータが前記フランジに刻み目を備え、前記刻み目が三角形の形状を有する、実施態様9に記載の生検装置。
【0162】
(11) 割出し器を更に備え、前記割出し器が前記プローブに付随し、前記割出し器が、前記複数のロケータの各ロケータとの係合によって、前記回転部材をプローブに対して複数の位置に選択的に係止するように構成されている、実施態様9に記載の生検装置。
(12) 前記割出し器が、弾性部分と割出し部分とを含み、前記弾性部分が、前記割出し部分を弾性的に付勢して、前記複数のロケータの各ロケータと係合させるように構成されている、実施態様11に記載の生検装置。
(13) 前記組織試料ホルダが外側カップを更に含み、前記外側カップが、前記回転部材の少なくとも一部を囲むように構成されている、実施態様1に記載の生検装置。
(14) 前記回転部材が、開放近位端と閉鎖遠位端とを含み、前記閉鎖遠位端が、前記カッターから組織試料を受け入れるように構成された複数の試料開口と、前記プローブから真空を受け入れるように構成された複数の真空開口とを画定している、実施態様1に記載の生検装置。
(15) 前記回転部材の前記閉鎖遠位端が、複数のリブを更に画定し、前記リブが、各試料開口と各試料開口に伴う真空開口との間に延在して、前記回転部材が前記プローブに結合されたときに、各試料開口を他の試料開口に対して流体的に隔離する、実施態様14に記載の生検装置。
【0163】
(16) (a)本体と、
(b)前記本体から遠位に延在する針と、
(c)前記針に対して長手方向に平行移動が可能なカッターであって、前記カッターがカッター内腔を画定する、前記カッターと、
(d)組織試料ホルダであって、
(i)外側カップと、
(ii)回転部材であって、前記回転部材が、前記回転部材の円筒壁から半径方向内向きに延在する複数のトレイ突出部によって部分的に分割された内部チャンバを画定し、前記複数のトレイ突出部の各トレイ突出部が、半径方向延在長を画定し、前記複数のトレイ突出部の各トレイ突出部が、各トレイ突出部の前記半径方向延在長に沿って軸方向に湾曲している、前記回転部材と、
(iii)単一試料チャンバを含む個別試料トレイであって、前記単一試料チャンバが、単一組織試料を収容するように構成されている、前記個別試料トレイと、
(iv)1つまたは複数の一括試料トレイであって、前記一括試料トレイが複数の組織試料を収容するように構成されている、前記一括試料トレイと
を含む前記組織試料ホルダと
を備えた生検装置。
(17) 前記回転部材が近位壁を含み、前記近位壁が、個別トレイ開口と1つまたは複数の一括トレイ開口とを含み、前記個別試料トレイが、前記個別トレイ開口内に収容されるように構成され、前記1つまたは複数の一括試料トレイの各一括試料トレイが、対応する一括トレイ開口内に収容されるように構成されている、実施態様16に記載の生検装置。
(18) 前記1つまたは複数の一括チャンバの各一括チャンバが、一対の側壁、後壁、及び床を含み、前記床がV字形であり、前記床が複数の真空開口を含み、前記真空開口が、前記床の前記V字形全体の周りに等間隔を置いて配置されている、実施態様1に記載の生検装置。
(19) 前記組織試料ホルダが手動回転ホイールを更に含み、前記手動回転ホイールが弾性機構を含み、前記弾性機構が、前記外側カップの少なくとも一部と係合するように構成されて、前記回転部材を複数の所定位置に向けて付勢するように構成されている、実施態様1に記載の生検装置。
(20) (a)生検処置のための生検プローブを準備することであって、前記生検プローブが、プローブ本体と、前記プローブ本体から延在する針と、1つまたは複数の組織試料を収集するためのカッターに対して平行移動が可能な前記カッターとを含む、前記生検プローブを準備すること、
(b)組織試料ホルダの回転部材を手動で回転させて、前記回転部材内に配置された個別試料トレイを前記生検プローブの前記カッターと連絡するように整列させること、
(c)前記個別試料トレイ内に単一組織試料を収容すること、
(d)前記組織試料ホルダから前記個別試料トレイを取り外して、その中に収容された組織試料を検査すること、及び
(e)一括試料トレイを前記生検プローブの前記カッターと整列させるように、前記組織試料ホルダの前記回転部材を手動で回転させて、前記一括試料トレイ内の複数の組織試料を収集すること
を含む、生検装置を使用する方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25A
図25B
図25C