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特許7016988格納可能なファン付きシャフトを備えた自動車
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  • 特許-格納可能なファン付きシャフトを備えた自動車 図1
  • 特許-格納可能なファン付きシャフトを備えた自動車 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-28
(45)【発行日】2022-02-07
(54)【発明の名称】格納可能なファン付きシャフトを備えた自動車
(51)【国際特許分類】
   B62D 37/02 20060101AFI20220131BHJP
【FI】
B62D37/02 Z
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021180998
(22)【出願日】2021-11-05
【審査請求日】2021-11-05
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517188828
【氏名又は名称】出雲 雄樹
(72)【発明者】
【氏名】出雲 雄樹
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-283979(JP,A)
【文献】特開2010-47190(JP,A)
【文献】特開2007-196991(JP,A)
【文献】実開平5-78932(JP,U)
【文献】実公昭48-2195(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D37/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車であって、前記自動車底面に設けられた、少なくとも1つのファンが直列に連続して配された少なくとも1つのシャフトを備え、前記ファンが前記シャフト内に格納され前記シャフトが円柱状となり前記自動車内側に格納される格納状態と、前記シャフトが前記自動車下方に平行移動し前記ファンが展開され、前記シャフトが回転し前方から後方に空気を加速または排出させる展開状態が可動式である自動車。
【請求項2】
請求項1に記載の自動車において、さらに前記シャフトのいずれかがプロペラシャフトを兼ねるものである自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車における、強力なダウンフォースを発生させ、車両を安定させ、空気抵抗を減少させることを省スペースで実現するための車両構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両下面の空間を負圧状態とし車両上面にかかる圧力差によりダウンフォースを得ることを物理的根拠とした空力装置又は構造を持った自動車で、一般的にファンカー(例えば、特許文献1参照)と呼ばれるものが公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-249788号公報
【非特許文献】
【0004】
【文献】ベストカーWeb、[令和3年10月8日検索]、インターネット<URL:https://bestcarweb.jp/news/197292>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ファンカーは、ファンを底面に設置する場合(例えば、特許文献1参照)、車両底面に広いスペースが必要になるという問題があり、ファンを後方に設置する場合(例えば、非特許文献1参照)後方の車両スペースを圧迫し、トランク等のためのスペースが取れなくなるという問題がある。
【0006】
また、ファンカーに限らず、起伏の多いコースを走ると車両が不安定になりタイムロスを招くという問題がある。
【0007】
また、ファンカーに限らず、ダウンフォースを向上させようとすると空気抵抗も向上してしまう場合が多いという問題がある。
【0008】
本発明は、上記の従来のダウンフォース発生装置及び構造の課題を解決する、すなわち省スペースで、強力なダウンフォースを発生させ、車両を安定させ、空気抵抗を減少させる車両構造に関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、格納可能なファンを備えたシャフトを備えた車両であって、ファン格納時は車両底面の気流をそのまま流し、ファン展開時は車両底面の気流を加速させるよう前記シャフトを回転させるものとした車両構造である。
【発明の効果】
【0010】
流体の性質より、ファンにより車両底面の気流が加速されると車両底面にかかる圧力が小さくなり、車両上面との圧力差が生まれ、車両に下向きの力、すなわちダウンフォースが生まれるという効果がある。
【0011】
またシャフトが回転することにより生じるジャイロ効果により車両が安定する効果がある。
【0012】
また、空気を後方に送り出す反作用として、車両に前方への推力をもたらせられる効果がある。これは見方を変えれば空気抵抗の減少とみなせられる。
【0013】
また、シャフト及びファンが格納機能を備えることによって省スペースで上記発明の効果が実現でき、さらに車検時等必要時に車高(最低地上高)が確保できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る自動車の一実施の形態を示した斜視図である。
図2】本発明に係る自動車の一実施の形態を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
街中走行時等、特にダウンフォースが求められない通常走行時は図2のようにファンA(図2、14)、B(図2、15)、C(図2、16)ともに折りたたまれ車両内に格納される。このとき車両底面はおおよそフラットとなり車高(最低地上高)に余裕ができるため車検時等の車高が必要となる状況を解決できるようになる。また、車両底面に細長いシャフト13の格納スペースさえ用意すればこの発明は実施可能である故、車両設計自由度を損ねにくい。
【0016】
一方、サーキットでの走行時等、自動車の運動性能を向上させたい場合、シャフト1を地面方向にせり出させ、ファンの羽2~10を展開し、エンジンやモーター等の動力源とシャフト1をリンクさせ高速回転させる構成とすることで車両底面の空気の流速を上げ、底面にかかる圧力を減少させることでダウンフォースを得ることができる。
【0017】
また、シャフト1が回転することによりジャイロ効果が発現し、車両が安定するが、この安定度はシャフト1の質量に比例するので、シャフト1に重い素材を使用する構成としてもよい。
【0018】
また、ジャイロ効果は必ずしもファンがなくても発現するので、シャフト格納状態(図2)のシャフト13が回転する構成としてもよい。
【0019】
また、進行方向後ろ向きに勢いよく空気を排出する反作用として、進行方向への力、すなわち推力を車両が得られる。これは見方を変えれば空気抵抗の減少とみなせられる。故に高速道路走行時等、一般道でも空気抵抗を減少させたいときにシャフト1を地面方向にせり出させ、ファンの羽2~10を展開し、エンジンやモーター等の動力源とシャフト1をリンクさせ高速回転させる構成としてもよい。
【0020】
また、前輪から後輪、もしくは後輪から前輪へ動力を伝える場合車体底面にプロペラシャフトが設置されることが多いため、シャフト1及びシャフト13がプロペラシャフトを兼ねる構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0021】
自動車の運動性能を大きく向上させるゆえ、モータースポーツで用いる車両の構造や市販のスポーツカーの構造として有用である。
【符号の説明】
【0022】
1 展開時シャフト
2 展開時ファンAの羽
3 展開時ファンAの羽
4 展開時ファンAの羽
5 展開時ファンBの羽
6 展開時ファンBの羽
7 展開時ファンBの羽
8 展開時ファンCの羽
9 展開時ファンCの羽
10 展開時ファンCの羽
11 車両底面ライン
12 車両底面ライン
13 格納時シャフト
14 格納時ファンAの羽
15 格納時ファンBの羽
16 格納時ファンCの羽
17 車両底面
【要約】
【課題】省スペースで、自動車に強いダウンフォースと、車両の安定と、小さな空気抵抗をもたらすことを課題とする。
【解決手段】車両に格納可能なファンが備わったシャフト1を備え、ファン格納時は車両底面の気流をそのまま流し、ファン展開時は車両底面の気流を加速させるようにシャフト1を回転させる。
【選択図】図1
図1
図2