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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-31
(45)【発行日】2022-02-08
(54)【発明の名称】介護用半身入浴装置の浴槽フレーム
(51)【国際特許分類】
   A61H 33/00 20060101AFI20220201BHJP
   A47K 3/022 20060101ALI20220201BHJP
   A47K 3/062 20060101ALI20220201BHJP
【FI】
A61H33/00 310E
A47K3/022
A47K3/062
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020220029
(22)【出願日】2020-12-22
【審査請求日】2021-02-09
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、権利譲渡・実施許諾の用意がある。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】309018467
【氏名又は名称】夏目 三郎
(72)【発明者】
【氏名】夏目 三郎
【審査官】梶本 直樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-035049(JP,A)
【文献】特開2003-093469(JP,A)
【文献】登録実用新案第3099416(JP,U)
【文献】特開2000-135265(JP,A)
【文献】特開平08-164083(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 33/00 - 37/00
A47K 3/022
A47K 3/062
(57)【特許請求の範囲】
【請求項5】
ベッド上に展開して設置される浴槽シート(6)と、U字型の三面からなり、被介護者の頭部側の一面が開口(9)しており、ベッド背もたれを上げて、前記浴槽シート(6)を収容して浴槽を形成するための浴槽機能部とを備えた介護用半身入浴装置であって、前記浴槽機能部が、外周枠をパイプとなるフレーム本体(10a)と、当該前記フレーム本体(10a)に囲まれた内部の空間(5)及び、当該前記空間(5)の内面側を覆う補強シート(1a)を設けた浴槽フレーム(10c)であり、当該補強シート(1a)が、前記フレーム本体(10a)の形状に合わして、長手方向に適所な位置で分割され、その端部(1b)が重なるように設置されることを特徴とする介護用半身入浴装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、介護用半身入浴装置に関し、より詳しくは、介護用半身入浴装置の浴槽機能部を軽量化しつつ、浴槽板の湯水を溜める浴槽組立形状の機能と、浴槽シートに加えられる水圧を抑える機能も有した浴槽フレームに関する。
【背景技術】
【0002】
超高齢化、少子化社会の到来に伴い、介護現場、在宅入浴等における介護用の入浴装置に対する社会的ニーズが高まっている。近年、各種介護用の入浴装置が商品化されているが、それらは全身入浴タイプが多く、被介護者を入浴させる際に、介護者に大きな負担が伴っている。また、現在の訪問入浴による介護者3人で車両による機材持込の入浴システムでは、高層階への持込、狭い道への持込は困難で制約あり、災害時、交通不能時も機材の持込が困難である。さらに介護者3人による移乗させる入浴作業などは感染症、濃厚接触のリスクもあり制約されている。そこで1人の介護者で被介護者を、寝たままで、移乗させずに、何時でも楽に入浴させて、主に下半身部を清浄できる、また、分割してリュックで持運びできることから介護用半身入浴装置が注目されている。
【0003】
例えば、本発明者の発明に係る特許文献1には、身体の下に浴槽シート(6)を敷き、ベッド背もたれを背上げ状態(8)にした後、側板形状(1)がU字型の三面からなり一面が開口(9)しているものであって、その開口部(9)の両側板の開口部側板先端には勾配(2)が設けられている構成の浴槽板(10)を、前記浴槽シート(6)の下、身体の足裏から、両脇に至る周囲に前記開口部(9)の両側板先端が、ベッド背もたれに密着するように押し当てて配置し、前記浴槽シート(6)を前記浴槽板(10)内面に接触させながら上部まで上げた後、外側に折り曲げ、前記浴槽板(10)外面に接触させながら垂れ下げることにより浴槽機能となる、と共に前記浴槽板(10)と前記ベッド(7)の固定、及び前記開口部(9)の両側板間の間隔幅の固定をベルトで行うことを特徴とする介護用半身入浴装置が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、自力入浴の困難な入浴者を、入浴させるための、防水シートの浴槽と、防水シートを浴槽に形造る、組み立て式骨組みから成る、床上組立式浴槽が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第4985856号公報
【文献】特開2005-118496号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、前記特許文献1に開示される介護用半身入浴装置の実用性を更に高めることである。より詳しくは、浴槽シート(6)を収容して浴槽を形成するための浴槽板(10)の取扱に際し、前記浴槽板(10)を組立たり、ベッドの上に持ち上げたり、また持運びしたりするのに重量が重く、1人の介護者で取扱いしたり、移動させたり、持運びする上で、肉体的また時間的に負担となることから、軽量化しつつ、浴槽としての機能と、前記浴槽シート(6)に加わる水圧を抑える機能も備えた浴槽フレームを提供することである。
【0007】
また本発明の目的は、文献2のような、水圧を支える浴槽機能として防水シートを使用しているが、水重量及び身体洗いなどにより発生する波振動などの力が防水シートに加えられることより、強靭な引張り強さのある専用の防水シート、またテープ付きに加工された専用シートを使用しないですむ浴槽フレームを提供することである。
【0008】
更に、顔を湯水面より高くする行為として防水シートで、頭を引き上げることにしているが、頭だけを引き上げると、喉が押さえられることになり患者は苦痛になることが予想される。また、入浴中の胴体を乗せているのは防水シートの上であることより、患者が腕、背中、頭などの身体を動かした時に、防水シートが動いたりして身体のバランスが不安定になることより、患者が不安になることが予想される。加えて、テープの固定部に力が加わりテープが外れて、防水シート上の胴体がベッド上に落ちる危険性があると予想される。また、入浴する患者の顔面の高さ位置を湯水面より高くするとしても、患者が浴槽内で身体を動かしたり、洗ったりすることで湯水波が立ち、顔面が湯水を被って呼吸困難になる危険性があると予想される。
【0009】
以上のような問題点より、介護者は患者の傍を離れることができず、一人の介護者による行為では危険が伴うことより、安心して介護することができないことから、どうしても複数の介護者によって行わざるを得ないと予想される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、特許文献1に開示される介護用半身入浴装置の改良について鋭意検討を重ねた結果、ベッド上に展開して設置される浴槽シート(6)と、U字型の三面からなり、被介護者の頭部側の一面が開口(9)しており、ベッド背もたれを上げて、前記浴槽シート(6)を収容して浴槽を形成するための浴槽機能部とを備えた介護用半身入浴装置に用い、前記浴槽機能部が、外周枠となるフレーム本体(10a)と、当該前記フレーム本体(10a)に囲まれた内部の空間(5)及び、当該空間(5)の内面側を覆う補強シート(1a)を設けられたものであることを特徴とする浴槽フレーム(10c)とすることにより、軽量化しつつ、浴槽板(10)の湯水を溜める浴槽組立形状の機能と、前記浴槽シート(6)に加わる水圧を抑える機能をも備えることができ、軽くなり、ベッドの上に置く作業の負担が軽減され、取扱し易くなり、持運びし易くなることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
本発明は、ベッド上に展開して設置される浴槽シート(6)と、U字型の三面からなり、被介護者の頭部側の一面が開口(9)しており、ベッド背もたれを上げて、前記浴槽シート(6)を収容して浴槽を形成するための浴槽機能部とを備えた介護用半身入浴装置に用い、前記浴槽機能部が、外周枠となるフレーム本体(10a)と、当該前記フレーム本体(10a)に囲まれた内部の空間(5)及び、当該空間(5)の内面側を覆う補強シート(1a)を設けられたものであることを特徴とする浴槽フレーム(10c)である。
【0012】
また、本発明は、前記フレーム本体(10a)が、パイプであり、且つ、補助フレーム(10b)をさらに設けられたことを特徴とする前記浴槽フレーム(10c)である。当該フレーム本体(10a)が、接続部(3a)と、固定部材(3b)とを有していても良い。また本発明は、前記補強シート(1a)が、前記フレーム本体(10a)の形状に合わして、長手方向に適所な位置で分割され、その端部(1b)が重なるように設置されることを特徴とする前記浴槽フレーム(10c)である。また、本発明は、ベッド上に展開して設置される浴槽シート(6)と、U字型の三面からなり、被介護者の頭部側の一面が開口(9)しており、ベッド背もたれを上げて、前記浴槽シート(6)を収容して浴槽を形成するための浴槽機能部とを備えた介護用半身入浴装置であって、前記浴槽機部が、外周枠をパイプとなるフレーム本体(10a)と、当該前記フレーム本体(10a)に囲まれた内部の空間(5)及び、当該空間(5)の内面側を覆う補強シート(1a)を設けた浴槽フレーム(10c)であることを特徴とする介護用半身入浴装置である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の介護用半身入浴装置の浴槽機能に相当する浴槽フレーム(10c)は、浴槽板(10)の浴槽組立の機能となるフレーム本体(10a)と、湯水を溜める機能としての浴槽シート(6)、及び加えられる湯水深さ約20cmの水圧を抑える補強シート(1a)を有することにより、浴槽としての機能と、前記浴槽シート(6)に加わる水圧を抑える機能も備えた浴槽フレームを提供でき、且つ、フレーム本体が軽くなり、そのフレーム本体をベッドの上に置く作業の負担が各段に軽減される。
【0014】
本発明の介護用半身入浴装置の浴槽機能に相当する浴槽フレーム(10c)は、特許文献1に開示されるような介護用半身入浴装置の実用性を著しく向上させることができる。すなわち、浴槽フレームのフレーム本体は、軽量な薄肉鋼管または合成樹脂などの軽い強度のあるパイプなどで製作され、そのフレーム本体に囲まれた内部に空間を設けて軽くしていることから、フレーム本体を組立たり、ベッドの上に置く作業、持運び作業などが楽になり取扱し易くなる。また、補強シートは、EVA樹脂などの軽量で適度な柔軟性と強度のある板状のシートでできていることから取扱し易く、フレーム本体で形付けられる空間に浴槽シートに加わる水圧を抑えることが可能である。
【0015】
その結果、浴槽フレームが軽くなることから、女性でも取扱がし易くなり、肉体的負担が少なくなり、作業の時間も短縮されることにより、入浴介護がスムーズに行えるので、入浴回数が増え、清潔に、笑顔になり、家庭内が明るくなり、接し易くなる。また、外出・社会進出もし易くなる。
【0016】
また軽くなるので、リュックでも持運びし易くなることから、現在の訪問入浴による介護者3人の車両機材持込の入浴システムでは対応困難な、高層階への持運び、狭い道への持込、自転車での持運び、交通不能時、災害時の避難所などで、
【0017】
また、1人の介護者または家族で被介護者を、寝たままで、移乗させずに、何時でも入浴介護できるので、感染症、接触感染のリスクは極めて少なくなる。さらに今後少子高齢化、介護者不足でも家族で対応できることから、浴室への移動困難な多くの障害者、高齢者の在宅入浴、また介護施設、病院での入浴困難者のベッドの上で入浴介護に利用可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】浴槽板の側板形状がU字型の三面からなり一面が開口している、開口部の両側板先端には勾配を設けている、又接続部が設けていることを示す浴槽板の斜視図。
図2】浴槽板の側板の接続部、開口穴、及び側板先端の勾配形状を示す側面図。
図3】半身入浴姿と浴槽板固定ベルトを示す平面図。
図4】浴槽シート敷きを示す左側面図。
図5】ベッド背もたれの背上げ状態を示す正面図。
図6】浴槽板とベッド背もたれ部との状態を示す正面図。
図7】浴槽板内面を浴槽シートが覆い浴槽機能となることを示す正面図。
図8】浴槽板開口部の両側板間と間隔幅固定ベルトを示す右側面図。
図9】フレーム本体と補助フレーム、接続部と固定部材及び固定部位の詳細を示す斜視図。
図10】フレーム本体と接続部の固定部材の詳細を示す平面図。
図11】フレーム本体と補強シートからなる浴槽フレームを示す平面図。
図12】フレーム本体と補強シートからなる浴槽フレームと浴槽シートを示す左側面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、介護用半身入浴装置に用いる、介護用半身入浴装置の浴槽機能部を軽量化しつつ、浴槽板の湯水を溜める浴槽組立形状の機能と、浴槽シートに加えられる水圧を抑える機能も有した浴槽フレームに関する。本発明は以下に限定されない。
【0020】
本発明は以下の〔1〕~〔10〕の態様を含む。
【0021】
〔1〕本発明の第1の態様は、ベッド上に展開して設置される浴槽シート(6)と、U字型の三面からなり、被介護者の頭部側の一面が開口(9)しており、ベッド背もたれを上げて、前記浴槽シート(6)を収容して浴槽を形成するための浴槽機能部とを備えた介護用半身入浴装置に用い、前記浴槽機能部が、外周枠となるフレーム本体(10a)と、当該前記フレーム本体(10a)に囲まれた内部の空間(5)及び、当該空間(5)の内面側を覆う補強シート(1a)を設けられたものであることを特徴とする浴槽フレーム(10c)である。
【0022】
〔2〕本発明の第2の態様は、前記フレーム本体(10a)が、パイプであり、且つ、補助フレーム(10b)をさらに設けられたことを特徴とする前記態様〔1〕に記載の浴槽フレーム(10c)である。
【0023】
〔3〕本発明の第3の態様は、前記フレーム本体(10a)が、接続部(3a)と、固定部材(3b)とを有することを特徴とする前記態様〔1〕又は〔2〕に記載の浴槽フレーム(10c)である。
【0024】
〔4〕本発明の第4の態様は、前記補強シート(1a)が、前記フレーム本体(10a)の形状に合わして、長手方向に適所な位置で分割され、その端部(1b)が重なるように設置されることを特徴とする前記態様〔1〕~〔3〕の何れか1態様に記載の浴槽フレーム(10c)である。
【0025】
〔5〕本発明の第5の態様は、前記補助フレーム(10b)が、高さ比率で上から1:1~4:1の位置に設置されることを特徴とする前記態様〔1〕~〔4〕の何れか1態様に記載の浴槽フレーム(10c)である。
【0026】
〔6〕本発明の第6の態様は、ベッド上に展開して設置される浴槽シート(6)と、U字型の三面からなり、被介護者の頭部側の一面が開口(9)しており、ベッド背もたれを上げて、前記浴槽シート(6)を収容して浴槽を形成するための浴槽機能部とを備えた介護用半身入浴装置であって、前記浴槽機部が、外周枠をパイプとなるフレーム本体(10a)と、当該前記フレーム本体(10a)に囲まれた内部の空間(5)及び、当該空間(5)の内面側を覆う補強シート(1a)を設けた浴槽フレーム(10c)であることを特徴とする介護用半身入浴装置である。
【0027】
〔7〕本発明の第7の態様は、前記フレーム本体(10a)が、パイプであり、且つ、補助フレーム(10b)をさらに設けられたことを特徴とする前記態様〔6〕に記載の介護用半身入浴装置である。
【0028】
〔8〕本発明の第8の態様は、前記フレーム本体(10a)が、接続部(3a)と、固定部材(3b)とを有することを特徴とする前記態様〔6〕又は〔7〕に記載の介護用半身入浴装置である。
【0029】
〔9〕本発明の第9の態様は、前記補強シート(1a)が、前記フレーム本体(10a)の形状に合わして、長手方向に適所な位置で分割され、その端部(1b)が重なるように設置されることを特徴とする前記態様〔6〕~〔8〕の何れか1態様に記載の介護用半身入浴装置である。
【0030】
〔10〕本発明の第10の態様は、前記補助フレーム(10b)が、高さ比率で上から1:1~4:1の位置に設置されることを特徴とする前記態様〔6〕~〔9〕の何れか1態様に記載の介護用半身入浴装置である。
【0031】
以下本発明を詳細に説明する。
(介護用半身入浴装置)
図1図8に示すように、本発明の介護用半身入浴装置は、ベッド上に展開して設置される浴槽シートと、ベッド上方から平面視した側板形状がU字型の三面からなり、被介護者の頭部側の一面が開口しており、背もたれを上げて浴槽シートを収容して浴槽を形成するための浴槽板と、を少なくとも備えた介護用半身入浴装置を有している。なお、介護用半身入浴装置の詳細な構造については、本発明者の別の発明に係る特許文献1に開示されている。
【0032】
図4図5に示すように、浴槽シートは、在宅介護、病院や介護施設等において、浴室まで移動が困難な被介護者が入浴する際に、介護者がベッドの寝台部上に広げて使用する柔軟性シートである。浴槽シートの材質、サイズや厚みなどは、ベッド上に横たわる入浴者の入浴および介護者の補助作業に支障をきたさなければ、特に限定されない。被介護者の入浴に使用した浴槽シートは洗浄して乾燥後、折り畳んで介護用具置き場等に保管することができる。
【0033】
図2図3図6、及び図8に示すように、浴槽板は、浴槽シートを収容して浴槽を形成するための部材であり、ベッド上方から平面視した側板形状がU字型の三面からなり、被介護者の頭部側の一面には開口部があり、その先端には勾配(2)が設けられている、また、側板面には開口穴(4)を適所な位置にもうけて、図8に示すように前記開口部(9)の間隔幅をベルトなどで固定することのできるようにしたり、図3に示すように、浴槽板がベッド上で移動しないようにベルトなどで固定できるようにする固定部位としている。
【0034】
図7図8に示すように、一般的に病院や介護施設等に設置されるベッドの上半身側寝台部は起き上がり部を有し、被介護者をリクライニング状態へ傾動できるタイプのものが多用されている。また、浴槽板の長手方向の中央部には長さ調整部が設けられている。これにより、被介護者の体格等に応じて浴槽板の長手方向の長さ、すなわち浴槽の全体的なサイズを調整することが可能になる。
【0035】
また、布団式の寝台部で起き上がり部を有していないタイプは、布団の上半身下部に厚物を詰めて布団の上半身部を少し高くすることで、背もたれ部をリクライニング状態にすることもできる。
【0036】
本発明の「浴槽フレーム」とは、ベッド上に展開して設置される浴槽シート(6)と、U字型の三面からなり、被介護者の頭部側の一面が開口(9)しており、ベッド背もたれを上げて、前記浴槽シート(6)を収容して浴槽を形成するための浴槽機能部とを備えた介護用半身入浴装置に用い、前記浴槽機能部が、外周枠となるフレーム本体(10a)と、当該前記フレーム本体(10a)に囲まれた内部の空間(5)及び、当該空間(5)の内面側を覆う補強シート(1a)を設けられた浴槽フレームを示す。
【0037】
かかる構成を有する本発明の浴槽フレームのフレーム本体(10a)は、軽量な薄肉鋼管または合成樹脂などで強度のあるパイプなどで製作され、内部に空間を設けて軽くしていることからフレーム本体を組立たり、ベッドの上に置く作業、持運び作業などの負担が軽減され取扱し易くなる。
【0038】
かかる構成を有する本発明の浴槽フレームのフレーム本体(10a)の材質としては、軽量なアルミニウム管、または薄肉炭素鋼鋼管などが挙げられる。当該のパイプの外径の直径は、16φ~25φの範囲であり、19φ~22φであることが好ましいく、20φ~21φであることがより好ましい。当該パイプの厚さは0.8mm~1.2mmの範囲で、1.0mmであることが好ましい。また製作は、曲げ加工や溶接などで行い、リュックでの持運びもできるように左右対称に3分割にする。これらフレーム本体(10a)の材質、直径、厚さについては、総重量4kg~5kgの範囲の中で適宜調整することが可能である。
【0039】
本発明に係る前記フレーム本体(10a)は、パイプでつくられ、形状の変形や強度を保つために、適所な位置に適度な数の補助フレーム(10b)をさらに設けるように構成するようにしてもよい。
【0040】
すなわち、フレーム本体(10a)の内部の空間(5)には、浴槽に加わる水圧深さ約20cmを抑えることのできる形状となるように、空間内の水圧の強く加わる位置に補助フレームを設定することが可能である。水圧を抑える点から上部と下部の1/2以下に設置することが好ましく、高さ比率で上から1:1~4:1の範囲に設置することがより好ましい。例えば、フレーム本体(10a)の高さ下部から4分の1の高さ、すなわち、高さ比率で上から3:1の位置であることがさらに好ましい。当該水圧を抑える機能の範囲で適所な位置に、補助フレーム(10b)などを1本または複数本、設けることで、形状の変形や強度を保つようにしている。また、水圧を受ける空間部の広さを適度な広さに分散させて、補強シート(1a)が水圧を抑えることができるようにしている。なお、補助フレームは、フレーム本体と同じ材料でなくても、水圧の抑えることのできる軽い物なら良い。補助フレームの重量は、1kgほどとする。
【0041】
その結果、フレーム本体と補助フレームの合わせた総重量は、5kg~6kgとなり、またリュックでの持運びもできるように左右対称に3分割ほどにする。これらによりフレーム本体が軽くなることより、ベッドの上にフレーム本体を置く作業の負担が軽減され、取扱し易くなり、持運び作業もし易くなる。また素材として、塩ビパイプ、合成樹脂パイプなどの軽い強度のあるパイプなどでも同様に製作することができる。
【0042】
また、本発明に係る前記フレーム本体(10a)は、接続部(3a)を適所な位置に設けて分割でき、固定部材(3b)で長さ調整できる構成にするようにしてもよい。
【0043】
前記フレーム本体(10a)は、接続部(3a)で分割でき、ホースバンドなどの固定部材(3b)で長さ調整ができる。このことより、室内保管でき、リュックで持運びもし易くなり、被介護者の体型に合わせることができるので1台で多人数サイズに使用できることより、利用性が高くなる、また製品サイズも少なくて済むのでコスト的にも安価になる。
【0044】
また、前記フレーム本体(10a)のパイプには、適所な位置にマジックテープなどを取付て、間隔幅固定ベルト(11)、浴槽板固定ベルト(12)などを取付けできる固定部位(4a)としている構成にするようにしてもよい。
【0045】
例えば、図3、または図8に示すように、本発明者の発明に係る特許文献1には、浴槽板開口部(9)の両側板間の間隔幅が、水圧などにより広がらないように 前記両側板面の開口穴(4)を固定部位として、間隔幅固定ベルト(11)等を使用して前記両側板(1)及び浴槽シート(6)の下を通して取付け、前記間隔幅を固定する。続いて、図3に示すように、浴槽板(10)がベッド上で移動しないように、前記両側板面の前記開口穴(4)を前記固定部位として、浴槽板固定ベルト(12)等を使用しで前記開口穴(4)に取付けて、前記浴槽板(10)とベッド(7)を結束して固定できるようにすることが可能である。
【0046】
すなわち、文献1に開示されている図2図8の、開口穴(4)を固定部位としている機能と同じように、前記フレーム本体(10a)のパイプには、適所な位置にマジックテープなどを取付て、ベルトなどを取付けできる固定部位(4a)としている
【0047】
フレーム本体(10a)の強度は、補助フレームによりさらに強度が増すことから、フレーム本体の内面側に補強シートを設けて浴槽シートに加わる水圧を抑えることのできる強度を確保することを可能としている。
【0048】
本発明に係る前記補強シート(1a)は、前記フレーム本体(10a)の形状に合わして、長手方向に適所な位置で分割しており、その端部が重なるように設置されるようにしてもよい。
【0049】
本発明の補強シート(1b)は、フレーム本体に設けられている空間部を塞ぐことができ、内面側に設置される浴槽シートに加わる水圧を抑えることのできる軽量で適度な柔軟性と強度のある板状のシートでできており、分割して小さくなることから設置し易くなる。また室内保管、持運びもできるようになる。
【0050】
本発明の補強シート(1b)は、ベッドの上に置かれたフレーム本体の空間部の内面側に置き、浴槽シートに加わる水圧を抑えることのできる適度な柔軟性と強度のある軽いEVA樹脂などで板状のシートであることが好ましい。
【0051】
本発明の介護用半身入浴装置の浴槽機能となる浴槽フレーム(10c)、すなわちフレーム本体(10a)と補強シート(1a)を別々にして使用することによりフレーム本体が軽くなり、フレーム本体をベッドの上に置く作業や、持運びする作業の負担が軽減されることにより、取扱し易くなる。また、別の作業として補強シートをベッドの上に置くことになるので、軽くなり取扱し易くなることのできる介護用半身入浴装置の浴槽フレームとなるように構成したものである。
【実施例
【0052】
(フレーム本体)
図9に示すように、フレーム本体(10a)は、浴槽シート(6)を収容して浴槽を形成するための部材であり、ベッド上方から平面視したU字型の三面からなり、被介護者の頭部側の一面が開口(9)しており、浴槽機能としての外周枠となるフレーム本体の内部を空間とすることで軽くしている形状で、またフレーム本体を、軽量なアルミニウム管、または薄肉炭素鋼鋼管の肉厚1mmなどの管径20φ前後のものを、曲げ加工や溶接などで製作する。リュックでの持運びもできるように左右対称に3分割ほどにし、重量は4kg程度になるようにする。また素材として、塩ビパイプ、合成樹脂パイプなどの軽い強度のあるパイプなどでも同様に製作することができる。
【0053】
かかる構成を有する本発明の浴槽フレームのフレーム本体(10a)の材質としては、軽量なアルミニウム管、または薄肉炭素鋼鋼管などが挙げられる。当該のパイプの外径の直径は、16φ~25φの範囲であり、19φ~22φであることが好ましいく、20φ~21φであることがより好ましい。当該パイプの厚さは0.8mm~1.2mmの範囲で、1.0mmであることが好ましい。また製作は、曲げ加工や溶接などで行い、リュックでの持運びもできるように左右対称に3分割にする。これらフレーム本体(10a)の材質、直径、厚さについては、総重量4kg~5kgの範囲の中で適宜調整することが可能である。
【0054】
また、図9に示すように、すなわち、フレーム本体(10a)の内部の空間(5)には、浴槽に加わる水圧深さ約20cmを抑えることのできる形状となるように、空間内の水圧の強く加わる位置に補助フレームを設定することが可能である。水圧を抑える点から上部と下部の1/2以下に設置することが好ましく、高さ比率で上から1:1~4:1の範囲に設置することがより好ましい。例えば、フレーム本体(10a)の高さ下部から4分の1の高さ、すなわち、高さ比率で上から3:1の位置であることがさらに好ましい。当該水圧を抑える機能の範囲で適所な位置に、補助フレーム(10b)などを1本または複数本、設けることで、形状の変形や強度を保つようにしている。また、水圧を受ける空間部の広さを適度な広さに分散させて、補強シート(1a)が水圧を抑えることができるようにしている。なお、補助フレームは、フレーム本体と同じ材料でなくても、水圧の抑えることのできる軽い物なら良い。補助フレームの重量は、1kgほどとする。
【0055】
なお、フレーム本体と補助フレームの合わせた総重量は、5kg~6kg程度になるよう適宜調整するが、可能な限り5Kgとなるようにすることが好ましい。これらによりフレーム本体が軽くなることより、ベッドの上にフレーム本体を置く作業の負担が軽減され、取扱し易くなり、持運び作業もし易くなる。またリュックでの持運びもできるように左右対称に3分割されている。尚、素材として塩ビパイプ、合成樹脂パイプなどの軽い強度のあるパイプなどでも同様に製作することができる。
【0056】
図9図10に示すように、フレーム本体(10a)には、複数個所に接続部(3a)を設けて分割できるようにしている、接続部の幅は5cmほどから重なるようにして、ぐらつきなどしない幅とし、また、その接続部を重なるようにすることで長さ調整、横幅の調整ができ、その重なっている接続部をホースバンド、また幅広さ4cmほどのマジックテープを使用すれば固定もしっかりして、ぐらつきなども無くなり脱着も早くできる、などの固定部材(3b)で固定することで被介護者の体型に合わせることができる。すなわち分割されているフレーム本体(10a)を接続部で組立てた後、ベッドの上の浴槽シート(6)の下、身体の足裏から、両脇に至る周囲に前記開口部(9)の両側板先端の勾配(2a)が、ベッド背もたれに密着するように押し当てて配置する。なお、分割できることから、室内保管でき、リュックで持運びもし易くなり、軽くなることから取扱する介護者の肉体的な負担も軽減され、また、被介護者の体型に合わせることができるので1台で多人数サイズに使用できるので、介護施設、病院などでは1台で多人数に使用できる。
【0057】
また、図9に示すように、フレーム本体(10a)および補助フレーム(10b)には、マジックテープ、ホースバンドなどを適所な位置に適度な数を設けて、開口部(9)の間隔幅が、水圧などにより広がらないように、図8に示すように間隔幅固定ベルト(11)で固定することのできるようにしたり、またフレーム本体がベッド上で移動しないように、図3に示すように浴槽板固定ベルト(12)で固定できるようにする固定部位(4a)としている。
【0058】
(補強シート)
図11図12に示すように、フレーム本体(10a)設置の後、フレーム本体(10a)とほぼ同じ形状で軽量に適度な柔軟性と強度のある板状にできており全周の端部は柔らかく浴槽シート(6)と接しても傷つけることがない切口になるような、EVA樹脂などを長手方向に適所な位置に複数に分割されたシートでできている補強シート(1a)を、図11に示すように、フレーム本体(10a)の内面側に設置する。すなわち図12に示すように、フレーム本体(10a)と浴槽シート(6)の間に補強シート(1a)を設置し、その分割された端部は重なるようにして、浴槽シート(6)に加わる水圧を抑えることができるようにしている。補強シートは軽くて分割されて小さくなることから設置し易くなり、また室内保管、持運びもし易くなり、介護者の負担も軽減される。
【0059】
次に、図12に示すように、補強シート(1a)の設置後に浴槽シート(6)を補強シート(1a)の内面側に接触させながら上部まで上げた後、フレーム本体(10a)の外側に折り曲げ、フレーム本体(10a)の外面に接触させながら垂れ下げることによりフレーム本体とベッドの背もたれ部が密着状態になっているので周囲が囲まれた形状となり、その内面を浴槽シートが覆うことになり浴槽機能となる。
【0060】
(浴槽フレーム)
図11に示すように、フレーム本体(10a)とその内面に設けられる補強シート(1a)により、図12に示すように、浴槽シート(6)内に湯水を溜めることのできる浴槽機能となることを可能にする浴槽フレーム(10c)としている。
【0061】
尚、フレーム本体(10a)を使用することで、浴槽シート(6)に加わる水圧を抑えることのできる柔軟性のあるEVA樹脂などの補強シート(1a)を設置して使用することとしているが、必ずしも限定されるものでなく、浴槽シート(6)に加わる湯水深さ約20cmの水圧を抑えることのできる物なら良い、
【0062】
例えば、フレーム本体(10a)の空間の内面側に、浴槽シート(6)に加わる水圧を抑えることのできる合成繊維などでできている柔軟性と強度のある適度な網目の大きさのある網などを、固定部位(4a)に取付けて補強シート(1a)に変わる物としても良い。
【0063】
また、フレーム本体(10a)の空間部の内面側に補強シート(1a)になるように固定部位に取付けてから組立しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明の介護用半身入浴装置の浴槽フレームは、介護用半身入浴装置の浴槽機能部を、フレーム本体と補強シートからなる浴槽フレームを適用することで、湯水を溜める浴槽組立形状の機能と、浴槽シートに加えられる水圧を抑える機能も有しながら、軽量化が可能となり有用である。
【0065】
その結果、浴槽フレームが軽くなることから、女性でも取扱がし易くなり、ベッドの上に置く作業がし易くなり、持運びできることから、1人の介護者の肉体的な負担を軽減できるとともに、作業の時間も短縮されることにより、入浴介護がスムーズに行えるので、入浴回数が増え、清潔に、笑顔になり、家庭内が明るくなり、接し易くなる。また、外出・社会進出もし易くなる。
【0066】
更に、室内保管でき、分割してリュックで高層階への持運び、自転車で持運びもできることから、交通不能時、災害時の避難所でも、ベッドの上で少ない湯量約
介護者または家族で被介護者を、寝たままで、移乗させずに、何時でも入浴介護できるので、感染症、濃厚接触のリスクは極少なくなり、有用である。
【0067】
すなわち、現在の訪問入浴による介護者3人で車両による機材持込の入浴システムでは、高層階への持込、狭い道への持込は困難で制約あり、災害時、交通不能時も機材の持込が困難である。さらに介護者3人による移乗させる入浴作業などは感染症、濃厚接触のリスクもある。
【0068】
今後、少子高齢化、介護者不足でも、1人の介護者または家族で被介護者を、寝たままで、移乗させずに、何時でも楽に入浴させることができることから、浴室への移動困難な多くの障害者、高齢者の在宅入浴、また介護施設、病院での入浴困難者のベッドの上で入浴介護が可能となるので、本発明の介護用半身入浴装置の浴槽フレームは、大いに利用されることが期待される。
【符号の説明】
【0069】
1 浴槽板の側板
1a 補強シート
1b 補強シートの端部
2 浴槽板の側板先端の勾配
2a フレーム本体の側板先端の勾配
3 浴槽板の側板の接続部
3a フレーム本体の接続部
3b 接続部の固定部材
4 浴槽板の側板の開口穴
4a フレーム本体に取付ける固定部位
5 フレーム本体の内部に設ける空間
6 浴槽シート
7 ベッド
8 ベッド背もたれ部の背上げ状態(リクライニング状態)
9 浴槽板の両側板間の開口部
10 浴槽板
10a フレーム本体
10b 補助フレーム
10c 浴槽フレーム
11 間隔幅固定ベルト
12 浴槽板固定ベルト
【要約】
【課題】ベッドの上で入浴する介護用半身入浴装置の浴槽機能部を軽量化しつつ、浴槽板の湯水を溜める浴槽組立形状の機能と、浴槽シートに加えられる水圧を抑える機能も有し、取扱いし易くなり、肉体的、時間的な負担を軽減し、持運びできる浴槽フレームを提供する。
【解決手段】ベッド上に展開して設置される浴槽シート(6)と、U字型の三面からなり、被介護者の頭部側の一面が開口(9)しており、ベッド背もたれを上げて、前記浴槽シート(6)を収容して浴槽を形成するための浴槽機能部とを備えた介護用半身入浴装置に用い、前記浴槽機能部が、外周枠となるフレーム本体(10a)と、当該前記フレーム本体(10a)に囲まれた内部の空間(5)及び、当該空間(5)の内面側を覆う補強シート(1a)を設けられたものであることを特徴とする浴槽フレーム(10c)。
【選択図】図9
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12