(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-31
(45)【発行日】2022-02-08
(54)【発明の名称】眼瞼を閉じた対象者における瞳孔の大きさを決定するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
A61B 3/11 20060101AFI20220201BHJP
【FI】
A61B3/11 ZDM
(21)【出願番号】P 2018564813
(86)(22)【出願日】2017-06-15
(86)【国際出願番号】 IL2017050668
(87)【国際公開番号】W WO2017216800
(87)【国際公開日】2017-12-21
【審査請求日】2020-06-05
(32)【優先日】2016-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514263687
【氏名又は名称】ハダシット メディカル リサーチ サービシズ アンド ディベラップメント リミテッド
【住所又は居所原語表記】Jerusalem BioPark, Hadassah Ein Kerem Medical Center, P.O.B. 12000 Jerusalem, 9112001 Israel
(73)【特許権者】
【識別番号】598025706
【氏名又は名称】イッスム・リサーチ・デベロプメント・カムパニー・オブ・ザ・ヘブリュー・ユニバシティー・オブ・エルサレム リミテッド
【住所又は居所原語表記】Hi Tech Park, The Edmond J. Safra Campus, The Hebrew University of Jerusalem, Givat Ram, P.O.Box 39135, 9139002 Jerusalem, Israel
(74)【代理人】
【識別番号】100120662
【氏名又は名称】川上 桂子
(74)【代理人】
【識別番号】100140327
【氏名又は名称】大塚 千秋
(72)【発明者】
【氏名】コーエン、 ホセ
(72)【発明者】
【氏名】ゴールドマン、 ヴラジミル
(72)【発明者】
【氏名】ファラージ、 ユーセフ、 ナディム
(72)【発明者】
【氏名】バックスボイム、 アムノン
(72)【発明者】
【氏名】ミンツ、 ヤーブ
(72)【発明者】
【氏名】フリード、 エルハナン
(72)【発明者】
【氏名】レビー、 ガール
(72)【発明者】
【氏名】ベアトゥス 、 ツェビ
(72)【発明者】
【氏名】カン-ター、 ヤーブ
【審査官】▲高▼原 悠佑
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0185010(US,A1)
【文献】特表2007-531579(JP,A)
【文献】特表2008-543352(JP,A)
【文献】登録実用新案第3137375(JP,U)
【文献】特開2010-017205(JP,A)
【文献】特開2013-248313(JP,A)
【文献】特開2013-248312(JP,A)
【文献】特表2011-508651(JP,A)
【文献】HARRIES, A. et al. ,Ultrasound assessment of extraocular movements and pupillary light reflex in ocular trauma,The American journal of emergency medicine.,2010年10月,Vol.28, No.8,pp.956-959,<PMID: 20887915>,<DOI: 10.1016/j.ajem.2009.06.026>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 3/00-3/18
A61B 5/00
A61B 5/06-5/22
A61B 8/00-8/15
A61B 10/00
PubMed
IEEE Xplore
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
瞼を閉じた対象者における瞳孔の大きさおよび/または瞳孔反射評価のための装置であって、
対象者の硝子体腔に向かって光を
照射するように構成された1つ以上の光源と、
閉じた眼を通って対象者の瞳孔から出る透過光の一部を検出するように構成された1つ以上の
光検出器とを備えた、装置。
【請求項2】
前記1つ以上の
光検出器は、対象者の閉じた眼を通して対象者の瞳孔を撮影するように構成されたデジタルカメラである、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記デジタルカメラが、電荷結合素子(CCD)または相補型金属酸化物半導体(CMOS)である、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記デジタルカメラから得られた少なくとも1つの画像の画像分析に基づいて、前記対象者の瞳孔サイズを決定するように構成されたプロセッサをさらに含む、請求項2または3に記載の装置。
【請求項5】
前記画像分析が、前記対象者の瞳孔の領域および/または輪郭および/または形状を抽出するための前記画像のセグメント化を含む、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記1つ以上の光源が、非誘発光源および/または反射誘発光源を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記非誘発光源は、750nm~1000nmの範囲の波長を有する光を
照射するように構成される、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記誘発光源は、400nm~700nmの範囲の波長を有する光を
照射するように構成される、請求項6に記載の装置。
【請求項9】
前記反射誘発光源は、前記対象者の瞼を通して前記対象者の眼に光を照射し、それによって瞳孔反射を誘発するように構成される、請求項6に記載の装置。
【請求項10】
前記プロセッサは、前記瞳孔反射を誘発する前後に決定された瞳孔サイズの比較に基づいて、前記対象者の瞳孔反射機能を決定するようにさらに構成される、請求項
4または5に記載の装置。
【請求項11】
瞳孔の大きさおよび/または瞳孔反射が、各瞳孔について別々に決定され、前記プロセッサが、対象者の瞳孔のそれぞれの大きさおよび/または各瞳孔の瞳孔反射を比較するようにさらに構成される、請求項
10に記載の装置。
【請求項12】
前記プロセッサは、前記決定された瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射をベースライン瞳孔サイズおよび/またはベースライン瞳孔反射と比較するようにさらに構成される、請求項
10または11に記載の装置。
【請求項13】
前記プロセッサは、前記決定された瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射を、前記対象者の前に決定された瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射と比較するようにさらに構成される、請求項
10~12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記プロセッサは、決定された瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射の傾向、ならびにその変化を計算するようにさらに構成される、請求項
10~13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記プロセッサは、異常な瞳孔サイズおよび/または異常な瞳孔反射が検出された場合にアラームをトリガするようにさらに構成される、請求項
10~14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記プロセッサは、対象者の瞳孔の大きさおよび/または瞳孔反射を定期的および/または連続的に決定するように構成される、請求項
10~15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
少なくとも一部が対象者の眼の前に配置されるように、対象者の頭部に着用および/または配置されるように構成されたプラットフォームユニットを備え、前記1つ以上の非誘発光源、前記1つ以上の誘発光源、および/または前記1つ以上の光検出器が、前記プラットフォームユニットに取り付けられる、請求項
6~9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記1つまたは複数の光源は、前記プラットフォームユニットが着用され、かつ/または前記対象者の頭部に配置されたときに、前記2つの光源によって
照射された光が前記対象者のテンプルおよび/または前記対象者の眼の側面を透過するように、前記プラットフォームユニット上に配置された少なくとも2つの光源を含む、請求項17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
前記1つ以上の光源は、前記プラットフォームユニットが着用され、および/または対象者の頭部に位置付けられるときに、光が対象者の頭部の背面を通って透過されるように、前記プラットフォームユニット上に位置付けられる、請求項17~18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
前記1つ以上の誘発光源は、前記プラットフォームユニットが着用および/または対象者の頭部に配置されたときに、前記2つの誘発光源によって
照射された光が対象者の瞼を通って対象者の眼に照射されるように、前記プラットフォームユニット上に配置された少なくとも2つの誘発光源を含む、請求項17~19のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
前記プラットフォームユニットは、光の侵入を防止する大きさおよび形状である、請求項17~20のいずれか一項に記載の装置。
【請求項22】
瞼を閉じた対象者の瞳孔の大きさを決定するための方法であって、
1つ以上の光源を用いて対象者の硝子体腔に向けて光を照射するステップと、
1つ以上の光検出器を使用して、対象者の閉じた眼を通って対象者の瞳孔から出る透過光の一部を検出するステップとを含む、方法。
【請求項23】
前記1つ以上の光検出器は、検出器アレイであり、前記対象者の瞳孔を出る前記透過光の一部を検出することは、前記対象者の閉じた眼を通して前記対象者の瞳孔を撮影することを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記1つ以上の
光検出器から得られた少なくとも1つの鏡像の鏡像分析に基づいて、前記対象者の瞳孔サイズを決定するステップをさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記1つ以上の光源が、非誘発光源および/または反射誘発光源を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記対象者の閉じた瞼を通して前記対象者の眼に誘発光を照射し、それによって瞳孔反射を誘発するステップと、前記対象者の硝子体腔に向かって非誘発光を照射するステップと、前記瞳孔反射の誘発に応答して前記対象者の眼を撮影するステップと、前記瞳孔反射を誘発する前後に決定された瞳孔サイズの比較に基づいて前記対象者の瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射を決定するステップと、をさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
対象者の瞳孔のそれぞれのサイズおよび/または各瞳孔の瞳孔反射を比較するステップをさらに含む、請求項22~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
決定された瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射を、ベースライン瞳孔サイズおよび/またはベースライン瞳孔反射と比較するステップをさらに含む、請求項22~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
決定された瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射を、対象者の以前に決定された瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射と比較するステップをさらに含む、請求項22~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
瞳孔の大きさおよび/または瞳孔反射の傾向を計算するステップをさらに含む、請求項22~29のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、瞳孔の大きさの評価に関する。
【背景技術】
【0002】
頻繁な瞳孔評価は、重篤な傷害または病気の患者をケアするためのプロトコルの一部である。瞳孔光反射(PLR)および瞳孔の大きさは、伝統的に、臨床パラメータとして、および予後指標として用いられてきた。脳外傷財団および米国神経外科学会は、各眼の瞳孔光反射を予後パラメータとして使用すること、および瞳孔拡張および固視の期間を記録することを推奨している。
【0003】
瞳孔の制御には異なる神経解剖学的経路が関与しており、これらの神経学的経路の完全性および機能性は、瞳孔挙動の分析および解釈を通じて確認できることが多い。このことは、瞳孔の大きさと瞳孔の光反射を、多くの臨床条件において考慮すべき重要な因子にしている。
【0004】
-重度の外傷性脳損傷(TBI)の管理および予後において、瞳孔反応および/または眼球異視(瞳孔サイズの非対称性)の異常は、しばしば神経学的悪化に関連し、神経学的転帰の不良と相関する。
【0005】
-神経系の集中治療室(ICU)患者で実施された血流イメージングは、瞳孔変化が脳幹酸素化および潅流/虚血と高度に相関することを示した。
【0006】
-患者を保存療法または大規模病変の外科的除去のいずれか一項トリアージするかの決定は、典型的には瞳孔の状態に基づく。
【0007】
-瞳孔検査は、昏睡患者の臨床評価のための主要なツールである。
【0008】
片側または両側固定散瞳(FDP)は緊急事態を示し、予後不良と相関する。したがって、診断および治療手順に関する迅速な意思決定は、典型的には瞳孔評価に基づく。
【0009】
現在、ほとんどの瞳孔測定は、看護スタッフによって実施される目視観察によって実施される。患者の瞼は開いて持ち上げられ、瞳孔の大きさおよび光反応性(本明細書では瞳孔反射とも呼ぶ)は、目視観察によって、またはせいぜい定規を用いて測定することによって推定され、瞳孔の反応性はペンライトを用いて評価される。典型的には、瞳孔径が1mmより大きい変化は、病理学的に有意であると考えられる。
【0010】
しかし、このような手動瞳孔評価は、不正確さおよび不整合の影響を受けやすく、検査者間のばらつきが大きいことを特徴とする。さらに、周囲光条件は、瞳孔の視覚的評価の有効性に影響を及ぼし、観察者間の不一致を増大させる可能性がある。これらの要因は、例えば、患者の部屋の不十分な照明条件、検査者の視力、ならびに患者の眼に対する観察者の距離および方向を含み得る。
【0011】
さらに、手動評価では、看護師が患者に注意を払わなければならいので、時間がかかり、労働集約的な評価となり、最も頻繁には、数時間おきの定期的な訪問においてのみ実行される。結果として、瞳孔の大きさの変化は、即時の医学的介入が患者の生存および神経学的転帰にとって重要であるという事実にもかかわらず、変化が起こるときに検出されることはほとんどない。
【0012】
したがって、対象の瞳孔の大きさおよび/または瞳孔反射の客観的かつ断続的または連続的な評価を可能にする装置および方法が必要である。
【発明の概要】
【0013】
本開示は、対象者の瞼が閉じられている間に、対象者の瞳孔の大きさおよび/または瞳孔反射を評価するための装置および方法に関する。
【0014】
有利なことに、これは、対象者の瞳孔の大きさおよび/または瞳孔反射を評価するために対象者の瞼を持ち上げる必要をなくし、それによって、患者の快適さを増加させ、労働要件を低減する。
【0015】
本明細書で開示される装置および方法は、装置が患者に取り付けられると、瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射の評価が実行され得るように、部分的または完全に自動化され得、医療スタッフからのさらなる支援をほとんどまたは全く必要としない。有利なことに、医療スタッフの立ち会いの必要性の低減は、瞳孔の大きさおよび/または瞳孔反射の頻繁なまたは連続的な測定さえも可能にし、したがって、患者の神経学的状態の悪化を示す瞳孔の大きさおよび/または瞳孔反射の変化が直ちに識別されることを確実にし、それによって、生存の可能性ならびに神経学的結果が有意に増加し得る。
【0016】
さらなる利点として、本明細書で開示される装置および方法は、本明細書でさらに説明されるように、定量化可能なパラメータを評価することによって、対象の瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射ならびにその変化の客観的かつ再現可能な評価を提供する。これは、今日の手動評価を特徴付ける不正確さおよび不整合を低減するか、または排除することさえでき、以前の測定、ならびに患者固有のベースライン(例えば、入院時の瞳孔の大きさ、または手術前の瞳孔の大きさ)の両方と比較して、対象者の瞳孔の大きさおよび/または瞳孔反射の変化を確実に決定することを可能にする。
【0017】
いくつかの実施形態によれば、瞼を閉じた対象者における瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射評価のための装置が提供され、この装置は、対象者の硝子体腔に向かって光を照射するように構成された1つ以上の光源と、閉じた瞼を通って対象者の瞳孔から出る光を検出するように構成された1つ以上の光検出器とを含む。
【0018】
いくつかの実施形態によれば、1つ以上の光源は、非誘発光源(すなわち、波長および/または強度を有する光を照射する光源であって、以下でさらに説明されるように、瞳孔反射を誘発しない光源)であってもよい。非限定的な例として、装置は、瞳孔反射を測定することなく、瞳孔サイズを測定するためにのみ使用され得る。そのような状況では、光源は、前記サイズの変化を誘発することなく瞳孔のサイズを測定することを可能にする非誘発光源であってもよい。
【0019】
いくつかの実施形態によれば、非誘発性光源は、750nm-1mmの範囲の近赤外(NIR)光のような赤外(IR)光を透過させるように構成することができる。IR光は、好ましくは、以下の
図13に記載されるように、瞳孔サイズの測定の間(すなわち、瞳孔反射を誘発する前に)、または全手順の間、透過される。いくつかの実施形態によれば、1つまたは複数の光検出器は、近赤外線撮影によって瞳輪郭および/または瞳形状の検出を可能にするように構成された、近赤外線に感応するIRカメラを含むことができる。いくつかの実施形態によれば、装置は、バックグラウンド光を低減するように構成された光学ロングパスフィルタ(例えば、800nm)をさらに含んでもよい。
【0020】
さらに、またはあるいは、1つ以上の光源は、誘発光源(すなわち、波長および/または強度を有する光を照射する光源(これは、以下にさらに記載されるように、瞳孔反射を誘発する))であり得る。非限定的な例として、装置は、誘発光源を使用することによって、瞳孔サイズ-瞳孔反射の変化を測定するために使用され得る。そのような実施形態では、光源は、測定され、標準瞳孔サイズまたは患者の入院時に取られた初期瞳孔サイズのいずれかと比較される瞳孔サイズの変化を誘発する。
【0021】
いくつかの実施形態によれば、装置は、誘発光源および非誘発光源の両方を含むことができる。いくつかの実施形態によれば、装置は、第1の非誘発光(瞳孔サイズに有意な変化を引き起こさない)を使用することによって初期瞳孔サイズを測定し、さらに、第2の誘発光(inducible light)を使用することによって瞳孔サイズの瞳孔反射変化を測定する。
【0022】
いくつかの実施形態によれば、装置は、誘発光(瞳孔反射を誘発することができる光)、すなわち400~700nmの範囲、を透過するように構成された誘発光源をさらに含むことができる。可視光は、閉じた瞼を通して対象者の眼に照射されるように構成され、瞳孔反射を誘発するように構成される。
【0023】
いくつかの実施形態によれば、装置は、光検出器によって検出された光および/またはイメージングカメラ(例えば、IRカメラまたは他のイメージングカメラ)からの画像を受信し、受光光強度に基づいて、光の検出/検出の欠如に基づいて、受光光強度の変化に相関する光強度の変化に基づいて、受光光強度の変化に基づいて、および/またはIRカメラ(または他のイメージングカメラ)から得られた画像の画像分析に基づいて、対象者の瞳孔サイズを決定するように構成されたプロセッサをさらに含む。いくつかの実施形態によれば、画像分析は、瞳孔の領域および/または輪郭および/または形状を抽出するために、画像にセグメント化アルゴリズムを適用することを含むことができる。本明細書で使用されるように、用語「セグメント化」は、デジタル画像を、類似の属性を有する複数のセグメント(画素の集合)に細分化するプロセスを指し得る。いくつかの実施形態によれば、セグメント化は、不連続性、すなわち、識別された急激な変化に基づく画像の分割に基づいてもよい。いくつかの実施形態によれば、セグメンテーションは、類似性、すなわち、閾値化、領域成長、領域分割、およびマージなどのような、事前に定義された基準による類似の領域に基づく画像の分割に基づくことができる。各可能性は、別個の実施形態である。いくつかの実施形態によれば、セグメンテーションは、水平方向、垂直方向、および/または斜め方向において実行され得る。各可能性は、別個の実施形態である。
【0024】
いくつかの実施形態によれば、対象者の瞳孔、瞳孔の大きさ、および/または瞳孔反射の光検出および/または画像化は、各瞳孔について別々に実行され得る。いくつかの実施形態によれば、プロセッサは、検出された光、対象者の瞳孔のそれぞれのサイズ、および/または各瞳孔の瞳孔反射を比較するようにさらに構成されてもよい。
【0025】
いくつかの実施形態によれば、プロセッサは、決定された瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射を、対象者の瞳孔を出る光のベースライン強度、ベースライン瞳孔サイズおよび/またはベースライン瞳孔反射と比較するようにさらに構成されてもよい。いくつかの実施形態によれば、ベースラインパラメータは、正常な瞳孔反射を有する対象者において得られるパラメータであってもよい。
【0026】
いくつかの実施形態によれば、プロセッサは、決定された瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射を、以前に決定された瞳孔サイズおよび/または以前に決定された瞳孔反射と比較するようにさらに構成され得る。
【0027】
いくつかの実施形態によれば、プロセッサはさらに、決定された瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射における傾向およびその変化を計算するように構成されてもよい。
【0028】
いくつかの実施形態によれば、プロセッサは、異常な瞳孔サイズおよび/または異常な瞳孔反射が検出された場合に、アラームをトリガするようにさらに構成され得る。
【0029】
いくつかの実施形態によれば、プロセッサは、対象者の瞳孔の大きさおよび/または瞳孔反射を定期的および/または連続的に決定するように構成されてもよい。
【0030】
いくつかの実施形態によれば、装置は、プラットフォームユニットの少なくとも一部が対象者の眼の前に配置されるように、対象者の頭部に装着および/または配置されるように構成されたプラットフォームユニットを含む。いくつかの実施形態によれば、1つ以上の誘発および/または非誘発光源、および/または1つ以上の光検出器、および/または1つ以上の撮像カメラは、プラットフォームユニットに取り付けられてもよい。
【0031】
いくつかの実施形態によれば、1つまたは複数の光源は、プラットフォームユニットが着用され、および/または対象者の頭部に位置決めされたときに、2つの光源によって放出された光が対象者のテンプルを通って透過するように、プラットフォームユニット上に位置決めされた少なくとも2つの光源を含むことができる。
【0032】
いくつかの実施形態によれば、1つまたは複数の光源は、プラットフォームユニットが着用され、および/または対象者の頭部に位置付けられるときに、光が対象者の頭部の背面を通って透過するように、プラットフォームユニット上に位置付けられてもよい。
【0033】
いくつかの実施形態によれば、1つ以上の光検出器は、プラットフォームユニットが着用され、および/または対象者の頭部に配置されるときに、対象者の眼の前に配置されるように、プラットフォームユニット上に配置されてもよい。
【0034】
いくつかの実施形態によれば、1つまたは複数の光検出器は、複数の光ファイバを含むことができる。
【0035】
いくつかの実施形態によれば、1つまたは複数の光検出器は、近赤外線に感応するIRカメラを含むか、またはIRカメラとすることができる。いくつかの実施形態によれば、1つ以上の光検出器は、IRスペクトルの光に感応するカメラを含むか、またはカメラであってもよい。いくつかの実施形態によれば、1つ以上の光検出器は、視覚スペクトルの光に感応するカメラを含むか、またはカメラであってもよい。いくつかの実施形態によれば、1つ以上の光検出器は、紫外線スペクトルの光に感応するカメラを含んでもよく、またはカメラであってもよい。
【0036】
いくつかの実施形態によれば、対象者の眼の前に配置されるプラットフォームユニットの少なくとも一部は、光に対して不透過性の材料から作製され得る。
【0037】
いくつかの実施形態によれば、プラットフォームユニット全体は、光に対して不透過性の材料から作製されてもよい。
【0038】
いくつかの実施形態によれば、プラットフォームユニットは、光の透過を防ぐようなサイズおよび形状とすることができる。
【0039】
いくつかの実施形態によれば、瞼を閉じた対象者の瞳孔サイズを決定するための方法が提供され、この方法は、1つ以上の光源を使用して対象者の硝子体腔に向かって光を照射するステップと、光検出器を使用して、対象者の閉じた瞼を通って対象者の瞳孔から出る光を検出するステップとを含む。
【0040】
別の実施形態によれば、本発明は、誘発光に応答して瞳孔サイズの変化を決定する方法に関し、この方法は、誘発光を対象者の閉じた瞼を通して対象者の眼に照射し、それによって瞳孔反射を誘発するステップと、対象者の瞳孔から出る光の強度の変化に基づいて瞳孔反射機能を決定するステップとを含む。
【0041】
さらに別の実施形態によれば、本発明は、瞼を閉じた対象者の瞳孔の大きさおよび瞳孔反射の両方を決定する方法に関する。対象者の硝子体腔に向かって非誘発光を照射すること;光検出器を使用して、対象者の閉じた眼瞼を通して対象者の瞳孔から出る光を検出すること、および/または対象者の閉じた眼の撮像に基づいて対象者の瞳孔の大きさを決定すること;誘発光を対象者の閉じた眼瞼を通して対象者の眼に照射し、それによって瞳孔反射を誘発すること;1つまたは複数の光源を使用して、対象者の閉じた眼瞼を通して対象者の瞳孔から出る光を検出すること、および/または対象者の閉じた眼の撮像に基づいて対象者の瞳孔の大きさを決定すること;および瞳孔反射を誘発する前後の決定された瞳孔の大きさの変化に基づいて、対象者の閉じた眼を通して対象者の瞳孔から出る光を決定すること。
【0042】
いくつかの実施形態によれば、方法は、プロセッサを使用して、検出された光に基づいて、および/または受光された光強度の変化の速度に基づいて、対象者の瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射を決定することをさらに含む。
【0043】
いくつかの実施形態によれば、瞼を閉じた対象者の瞳孔の大きさを決定するための方法が提供され、この方法は、1つ以上の光源を使用して対象者の硝子体腔に向けて非誘発光を照射するステップと、IRカメラを使用して、照射された非誘発光に基づいて、閉じた瞼を通して対象者の眼を撮影するステップとを含む。いくつかの実施形態によれば、方法は、誘発光を対象者の閉じた瞼を通して対象者の眼に照射し、それによって瞳孔反射を誘発するステップと、非誘発光を対象者の硝子体腔に向けて照射するステップと、IRカメラを使用して、照射された非誘発光に基づいて、対象者の眼を閉じた瞼を通して撮影するステップとをさらに含む。いくつかの実施形態によれば、方法は、プロセッサを使用して、瞳孔反射を誘発する前および/または後に撮影から得られた1つまたは複数の画像上の画像分析に基づいて、対象者の瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射を決定することをさらに含む。
【0044】
いくつかの実施形態によれば、方法は、対象者の瞳孔のそれぞれのサイズおよび/または各瞳孔の瞳孔反射を互いに比較するステップをさらに含んでもよい。
【0045】
いくつかの実施形態によれば、方法は、決定された瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射を、ベースライン瞳孔サイズおよび/またはベースライン瞳孔反射と比較するステップをさらに含んでもよい。
【0046】
いくつかの実施形態によれば、方法は、決定された瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射を、前に決定された瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射と比較するステップをさらに含んでもよい。
【0047】
いくつかの実施形態によれば、方法は、瞳孔の大きさおよび/または瞳孔反射の傾向を計算することをさらに含むことができる。
【0048】
いくつかの実施形態によれば、方法は、異常な瞳孔サイズおよび/または異常な瞳孔反射が決定された場合に、アラームをトリガするステップをさらに含んでもよい。
【0049】
いくつかの実施形態によれば、瞼を閉じた対象者の瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射の間欠的および/または連続的な決定のためのシステムが提供され、この装置は、瞼を通して対象者の眼の超音波出力を提供するように構成された超音波トランスデューサと、対象者の頭部に装着および/または位置決めされるように構成されたプラットフォームユニットとを備え、超音波トランスデューサは、対象者の眼に近接して位置決めされるように、プラットフォームユニットに取り付けられるように構成される。
【0050】
いくつかの実施形態によれば、プラットフォームユニットは、対象者の頭部に着用および/または配置されてもよい。
【0051】
いくつかの実施形態によれば、プラットフォームユニットは、誘発光(瞳孔反射を誘発することができる光)、すなわち400~700nmの範囲の光を透過するように構成された誘発光源をさらに含むことができる。可視光は、閉じた瞼を通して対象者の眼に照射され、瞳孔反射を誘発するように構成される。
【0052】
いくつかの実施形態によれば、システムは、取得された超音波出力に基づいて対象者の瞳孔サイズを決定するように構成されたプロセッサをさらに含むことができる。
【0053】
いくつかの実施形態によれば、プロセッサは、取得された超音波出力に基づいて、対象者の瞳孔のそれぞれのサイズおよび/または各瞳孔の瞳孔反射を比較するようにさらに構成されてもよい。
【0054】
いくつかの実施形態によれば、装置は、対象者の眼のそれぞれに超音波出力を提供するように同時に構成された両眼用超音波トランスデューサを含むことができる。
【0055】
いくつかの実施形態によれば、プロセッサは、決定された瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射を、ベースライン瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射および/または以前に決定された瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射と比較するようにさらに構成され得る。
【0056】
いくつかの実施形態によれば、プロセッサは、瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射の傾向を計算するようにさらに構成されてもよい。
【0057】
いくつかの実施形態によれば、プロセッサは、異常な瞳孔サイズおよび/または異常な瞳孔反射が決定された場合に、アラームをトリガするようにさらに構成され得る。
【0058】
いくつかの実施形態によれば、超音波トランスデューサは、眼用超音波トランスデューサであってもよい。いくつかの実施形態によれば、眼用超音波トランスデューサは、10~60MHzの周波数で動作するように構成されてもよい。前眼房のイメージングのための非限定的な例として、約20MHzの周波数が、画像処理に適した解像度を有する画像を得るために使用され得るが、より高い周波数は、近視野においてより高い空間解像度を提供し得る。別の非限定的な例として、後眼房の画像化のために、10MHzの平均周波数が、画像処理を可能にする解像度を得るために適切であり得る。いかなる理論にも縛られることなく、周波数が低いほど、超音波ビームはより深く伝播し、遠視野においてより良好な空間分解能が達成される。利用される正確な周波数は、要求される分解能および/または物体(前房/後房)に基づいて規定され得ることが理解される。
【0059】
これらの範囲に加えて、関心領域に焦点を合わせて画質を達成することを目的とした画像生成に使用されるビーム形成プロセスに応じて、他の範囲が関心の対象となり得る。
【0060】
いくつかの実施形態によれば、超音波トランスデューサは、前記超音波トランスデューサを対象者の眼の上に配置されるように構成されたアイパッチに取り付けるように構成された1つまたは複数の取り付け要素を備える。
【0061】
いくつかの実施形態によれば、対象者の瞳孔の大きさを決定するためのアイパッチが提供され、このパッチは、その間にサックを形成するように互いに取り付けられた第1および第2のシース、および前記サック内に収容された伝導性媒体(conductive media)を有する。
【0062】
いくつかの実施形態によれば、伝導性媒体は、パッチ上に配置された超音波トランスデューサによって照射された超音波が対象者の眼に到達することを可能にするように構成されてもよい。
【0063】
いくつかの実施形態によれば、パッチは、周囲光が対象者の眼に到達するのを防止するようなサイズおよび形状とすることができる。いくつかの実施形態によれば、パッチは、人間の眼の解剖学的構造に適合するように成形されてもよい。
【0064】
いくつかの実施形態によれば、パッチは、超音波トランスデューサをパッチに固定するように構成された1つまたは複数の取り付け要素を含むことができる。
【0065】
いくつかの実施形態によれば、パッチは、パッチ上の超音波トランスデューサの位置決めを支援するように構成された位置決めマーカを含むことができる。
【0066】
いくつかの実施形態によれば、パッチは、伝導性媒体がサックから解放されることを可能にする複数の開口を含むことができる。
【0067】
いくつかの実施形態によれば、パッチは、サック内の伝導性媒体の内容物を示すように構成されたインジケータを含むことができる。
【0068】
いくつかの実施形態によれば、対象者の頭部に着用および/または位置決めされるように構成されたプラットフォームユニットが提供され、プラットフォームユニットは、プラットフォームユニットが対象者の頭部に着用および/または位置決めされるときに、超音波トランスデューサが対象者の閉じた瞼に近接して位置決めされるように、眼の超音波トランスデューサの取り付けを可能にするように構成された取り付け要素を含む。
【0069】
いくつかの実施形態によれば、プラットフォームユニットが着用され、および/または対象者の頭部に位置決めされるとき、対象者の眼の前に位置決めされるプラットフォームユニットの少なくとも一部は、光に対して不透過性の材料から作製され得る。
【0070】
いくつかの実施形態によれば、瞼を閉じた対象者の瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射を決定するための方法が提供され、この方法は、超音波出力を得るために超音波トランスデューサを使用して瞼を通して対象者の眼に超音波を照射するステップと、超音波出力に対して実行される測定に基づいて対象者の瞳孔のサイズを決定するステップとを含む。いくつかの実施形態によれば、方法は、誘発光を対象者の閉じた瞼を通して対象者の眼に照射し、それによって瞳孔反射を誘発するステップと、超音波トランスデューサを使用して瞼を通して対象者の眼に超音波を照射して、超音波出力を得るステップと、瞳孔反射を誘発することに応答して得られた超音波出力に対して実行される測定に基づいて、対象者の瞳孔および/または瞳孔反射のサイズを決定するステップとをさらに含む。
【0071】
いくつかの実施形態によれば、方法は、対象者の瞳孔のサイズおよび/または各瞳孔の瞳孔反射を比較するステップをさらに含んでもよい。
【0072】
いくつかの実施形態によれば、方法は、決定された瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射を、ベースライン瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射および/または予め決定された瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射と比較するステップをさらに含んでもよい。
【0073】
いくつかの実施形態によれば、方法は、瞳孔の大きさおよび/または瞳孔反射の傾向を計算することをさらに含むことができる。
【0074】
いくつかの実施形態によれば、方法は、異常な瞳孔サイズおよび/または異常な瞳孔反射が決定された場合に、アラームをトリガするステップをさらに含んでもよい。
【0075】
本開示の特定の実施形態は、上記の利点のいくつか、すべて、またはいずれも含まなくてもよい。1つまたは複数の技術的利点は、本明細書に含まれる図面、説明、および特許請求の範囲から当業者には容易に明らかになるであろう。さらに、特定の利点が上記に列挙されているが、様々な実施形態は、列挙された利点の全てを含むか、いくつかを含むか、または何も含まない。
【図面の簡単な説明】
【0076】
実施形態の例を、添付の図面を参照して以下に説明する。図面において、複数の図に現れる同一の構造、要素又は部品は、一般に、それらが現れるすべての図に同一の数字でラベル付けされる。あるいは、2つ以上の図に現れる要素または部分は、それらが現れる異なる図において異なる数字でラベル付けされてもよい。図面に示される構成要素および特徴の寸法は、概して、提示の便宜および明瞭さのために選択され、必ずしもスケールで示されない。図面を以下に列挙する。
【
図1】
図1は、いくつかの実施形態による、対象者の瞳孔を出る経頭蓋透過光の強度および/または瞳孔径の変化時間を検出することによって、対象者の瞳孔の大きさおよび/または瞳孔反射を評価する方法を例示的に示す。
【
図2】
図2は、
図1に本質的に記載されるような、対象者の瞳孔の大きさおよび/または瞳孔反射の評価に適した光透過の任意の方向を示す。
【
図3】
図3は、対象者の瞳孔の大きさおよび/または瞳孔反射を評価するための典型的な手順のタイムラインを示す。
【
図4】
図4は、いくつかの実施形態による、対象者の瞳孔を出る経頭蓋透過光の強度を検出するのに適した、対象者の瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射を決定するための装置を示す。
【
図5A】
図5Aは、いくつかの実施形態による、対象者の瞳孔を出る経頭蓋透過光の強度を検出するのに適した、対象者の瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射を決定するための装置の正面図を示す。
【
図5B】
図5Bは、いくつかの実施形態による、対象者の瞳孔を出る経頭蓋透過光の強度を検出するのに適した、対象者の瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射を決定するための装置の後方図を示す。
【
図6】
図6は、いくつかの実施形態による、2つの眼超音波トランスデューサを含む、対象の瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射を決定するためのシステムを示す。
【
図7】
図7は、いくつかの実施形態による、超音波イメージングによって対象者の瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射を決定するための装置を示す。
【
図8】
図8は、いくつかの実施形態による、眼の超音波画像の例示的な例である。
【
図9】
図9は、いくつかの実施形態による、眼の超音波画像の例示的な例である。
【
図10】
図10は、いくつかの実施形態による、アイパッチの例示的な例である。
【
図11】
図11は、いくつかの実施形態による、経頭蓋照明を使用して対象者の瞳孔サイズを評価する方法の例示的なフローチャートである。
【
図12】
図12は、いくつかの実施形態による、超音波を使用して対象者の瞳孔サイズを評価するための方法の例示的なフローチャートである。
【
図13】
図13は、画像化を用いた瞳孔サイズの生体外評価で得られた画像を示す。
【
図14B】
図14Bは、瞳孔反射を誘発した後に(
図14Aのように)前方を見たときの、対象者の眼の代表的な超音波画像を示す。
【
図14C】
図14Cは、横向きに見たときの対象者の眼の代表的な超音波画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0077】
[詳細な説明]
以下の説明では、本開示の様々な態様を説明する。説明の目的のために、本開示の異なる態様の完全な理解を提供するために、特定の構成および詳細が記載される。しかし、本明細書で具体的な詳細を提示することなく、本開示を実施することができることも、当業者には明らかであろう。さらに、周知の特徴は、本開示を不明瞭にしないために、省略または簡略化され得る。
【0078】
いくつかの実施形態によれば、対象者の瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射を決定するための装置が提供され、この装置は、対象者の硝子体腔に、またはそれに向かって光を照射することができる1つまたは複数の非誘発光源と、照射された光に応答して決定された、対象者の閉じた瞼を通って対象者の瞳孔から出る光の強度および/またはピークまでの時間を検出するように構成された1つまたは複数の光検出器とを含む。
【0079】
いくつかの実施形態によれば、対象者の瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射を決定するための装置が提供され、この装置は、対象者の硝子体腔に、またはそれに向かって光を照射することができる1つまたは複数の非誘発光源と、照射された光に基づいて閉じた瞼を通して対象者の眼および/または瞳孔を撮影するように構成された1つまたは複数のカメラとを含む。いくつかの実施形態によれば、対象者の眼を撮影することは、対象者の眼の後眼房および/または前眼房を撮影することを含むことができる。
【0080】
本明細書で使用されるように、用語「対象者」および「患者」は、瞳孔の大きさおよび/または瞳孔反射を決定することが医学的関連性を有する任意の個体を指し得る。いくつかの実施形態によれば、対象は、頭部外傷患者、脳手術を受ける患者、虚血性または出血性の脳卒中/事象を有する患者、肝臓移植または手術後に脳障害を有する患者;骨折固定、血管修復、腹部介入などの他の手術を受ける複数の外傷患者;脳感染を有する患者;急性または慢性の肝不全/肝機能障害を患う脳障害患者;脳血管系または任意の他の神経学的状態を伴う自己免疫プロセス後の脳障害であり得る。
【0081】
本明細書で使用されるように、用語「瞳孔サイズ」および「瞳孔直径」は、互換的に使用され得、光を網膜に衝突させる眼の虹彩の中心に位置する穴のサイズ/直径を指す。いくつかの実施形態によれば、瞳孔サイズの決定は、眼に照射されている光(本明細書では「瞳孔光反射」とも呼ばれる)に応答して実行されてもよい。明るい光が眼に照射されると、桿体および錐体光受容体およびメラノプシン神経節細胞を含む網膜中の感光性細胞は、眼球運動神経、特に輪状虹彩括約筋で終結するエディンガー-ウェストファル核から来る副交感神経部分に信号を送る。この筋肉が収縮すると、瞳孔の大きさが小さくなる。これは瞳孔光反射であり、これは脳幹機能の重要な試験である。成人における正常な瞳孔の大きさは、明るい光における直径が2~4mmから暗い光における直径が4~8mmまで変化し、また、年齢とともに異なる個体間でも変化することが知られている。
【0082】
脊椎動物の眼の中には、前部、後部、硝子体の3室があると考えられている。硝子体室は、3つの室のうちの最大のものであり、水晶体の後方かつ視神経の前方に位置し、硝子体液と呼ばれる濃厚で透明なゲル様物質で満たされている。
【0083】
いくつかの実施形態によれば、1つ以上の光源は、近赤外(IR)範囲(約700~約1500nmまたはそれ以上の波長)のスペクトル内の光を放射するように構成され得る。各可能性は、別個の実施形態である。いくつかの実施形態によれば、1つ以上の光源は、400~750、650~1500nm、700~1400nm、750~1200nm、750~1000nm、800~1000nm、または任意の他の適切な範囲内の光を放射するように構成され得る。各可能性は、別個の実施形態である。いくつかの実施形態によれば、1つ以上の光源は、本明細書では「非誘発光」とも呼ばれる、瞳孔の直径に影響を及ぼさない波長および/または強度の光を放射するように構成されてもよい。いくつかの実施形態によれば、1つ以上の光源は、加熱することなく、または周囲の組織を損傷させることなく、対象者の頭部を通して硝子体腔にその透過を可能にする波長および/または強度で光を放射するように構成されてもよい。いくつかの実施形態によれば、1つ以上の光源はLEDであってもよい。いくつかの実施形態によれば、1つ以上の光源はレーザであってもよい。いくつかの実施形態によれば、1つ以上の光源はランプであってもよい。
【0084】
いくつかの実施形態によれば、1つ以上の光源は、単一の光源であってもよい。いくつかの実施形態によれば、単一の光源は、対象者の両眼の硝子体腔に到達する光を、同時にまたは連続的に(例えば、患者の眼に対する光源の移動のために)放出することができる。いくつかの実施形態によれば、装置は、2つの光源、例えば、対象者の右テンプルから右硝子体腔に光を照射するように構成された第1の光源と、対象者の左テンプルから左硝子体腔に光を照射するように構成された第2の光源とを含むことができる。いくつかの実施形態によれば、装置は、3個、4個、5個、またはそれ以上の光源など、3個以上の光源を含むことができる。各可能性は、別個の実施形態である。
【0085】
いくつかの実施形態によれば、1つ以上の光源は、装置の一体部分であってもよい。あるいは、1つ以上の光源は、装置に物理的および/または機能的に取り付けられるように構成された別個の要素であってもよい。
【0086】
本明細書で使用するとき、用語「光検出器」は、光源によって照射され、対象者の瞳孔から出る光を検出することができる任意の光検出器を指すことができる。いくつかの実施形態によれば、1つ以上の光検出器は、単一の光検出器であってもよい。いくつかの実施形態によれば、光検出器は、400nm以上、550nm以上、または750nm以上のような、少なくとも300nmから1000nm以上の範囲の光を検出することができる任意の光検出器とすることができる。各可能性は、別個の実施形態である。いくつかの実施形態によれば、光検出器は、電荷結合素子(CCD)であってもよい。いくつかの実施形態によれば、光検出器は、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)であってもよい。いくつかの実施形態によれば、単一の光検出器は、対象者の瞳孔の両方を出る光を、同時にまたは連続的に(例えば、患者の眼に対する光検出器の動きのために)検出するように構成されてもよい。いくつかの実施形態によれば、光検出器は、対象者の瞳孔を出る光を光検出器セルに照射するように構成された複数の光ファイバを含むことができる。いくつかの実施形態によれば、光ファイバは、フィルタの有無にかかわらず、光パイプ、シングルモードおよび/またはマルチモードファイバであってもよい。各可能性は、別個の実施形態である。いくつかの実施形態によれば、1つ以上の光検出器は、2つの光検出器、すなわち、右瞳から出る光を検出するように構成された第1の光検出器と、左瞳から出る光を検出するように構成された第2の光検出器とを参照することができる。いくつかの実施形態によれば、1つまたは複数の光検出器は、3個、4個、5個、またはそれ以上の光検出器など、3個以上の光検出器を含むことができる。各可能性は、別個の実施形態である。いくつかの実施形態によれば、光検出器は、光検出器のアレイを含むことができ、各アレイは、複数の光検出器(例えば、5個を超える、10個を超える、または20個を超える光検出器)を含み、各可能性は、別個の実施形態である。本明細書で使用されるように、複数の光検出器に関する用語「アレイ」は、任意選択的に系統的に、行および列における光検出器の配置を指すことができる。いくつかの実施形態によれば、装置は、2つのアレイを含んでもよく、各アレイは、患者の眼の一方の前に配置される。
【0087】
いくつかの実施形態によれば、1つ以上の光検出器は、IRカメラなどのカメラであってよいが、これに限定されない。いくつかの実施形態によれば、IRカメラは、近赤外(NIR)光に感度を有し、NIR撮影を行うことができる。
【0088】
いくつかの実施形態によれば、1つ以上の光検出器は、装置の一体部分であってもよい。あるいは、1つ以上の光検出器は、装置に物理的および/または機能的に取り付けられるように構成された別個の要素であってもよい。
【0089】
いくつかの実施形態によれば、装置は、閉じた瞼を通して対象者の眼に向かって誘発光を照射するように構成された誘発光源をさらに含むことができる。本明細書で使用するとき、用語「誘発光源」は、瞳孔反射を誘発することができる光を指すことができる。いくつかの実施形態によれば、誘発光源は、可視光、すなわち、400~700nm、400~750nm、または400~1000nmの範囲を透過するように構成され得る。各可能性は、別個の実施形態である。いくつかの実施形態によれば、誘発光源は、可視スペクトルの光を透過するように構成されてもよい。いくつかの実施形態によれば、誘発光源は、近赤外スペクトルの光を透過するように構成されてもよい。
【0090】
いくつかの実施形態によれば、1つ以上の誘発光源は、装置の一体部分であってもよい。あるいは、1つ以上の誘発光源は、装置に物理的および/または機能的に取り付けられるように構成された別個の要素であってもよい。
【0091】
いくつかの実施形態によれば、装置は、1つまたは複数の光検出器から検出された光および/または鏡像を受信し、検出された光および/または撮影に基づいて対象者の瞳孔サイズを決定するように構成されたプロセッサをさらに含む。
【0092】
いくつかの実施形態によれば、プロセッサは、装置から受信したデータに基づいて、対象者の瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射を操作および/または変換し、処理し、コンピュータ処理し、計算し、決定し、推定する任意のコンピュータ、コンピューティングシステム、または類似の電子処理装置であり得、ここでは、光は、対象者の硝子体腔に照射された光に応答して、対象者の瞳孔を出て、瞳孔径変化の速度、および/または硝子体腔を介して照射された非誘発光に基づいて実施される対象者の眼の撮像である。いくつかの実施形態によれば、対象者の瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射を決定することは、対象者の瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射を示すおよび/または相関する受信光強度における光強度および/または変化の速度を決定することを含み得る。各可能性は、別個の実施形態である。いくつかの実施形態によれば、対象者の瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射の決定は、対象者の眼の撮影中に取得された鏡像に対して実施される鏡像分析に基づいて実施されてもよい。いくつかの実施形態によれば、画像分析は、画像内の瞳の領域および/または輪郭および/または瞳の形状を抽出するように構成されたセグメント化アルゴリズムを使用する画像のセグメント化を含むことができる。いくつかの実施形態によれば、画像分析は、自動または半自動であってもよい。
【0093】
いくつかの実施形態によれば、プロセッサは、装置の一体部分であってもよい。あるいは、プロセッサは、リモートコンピュータ、ラップトップ、スマートフォン、または処理能力を有し、1つまたは複数の光検出器および/または撮像によって検出された光強度に関するデータを(有線または無線で)受信および処理するように構成された任意の他の装置などのリモートユニットであってもよい。
【0094】
いくつかの実施形態によれば、瞳孔の大きさおよび/または瞳孔反射は、各瞳孔について別々に/個々に同時にまたは連続的に決定されてもよい。これは、本明細書中で「異斜視」とも呼ばれる不均等な瞳孔サイズ、ならびに虚血、頭蓋内動脈瘤、頭部外傷、および脳腫瘍、または眼球運動神経麻痺を引き起こす他の状態を示し得る瞳孔の直径変化の速度の非対称性を検出することを可能にする。
【0095】
いくつかの実施形態によれば、プロセッサは、対象者の瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射を周期的に(すなわち、5分毎、10分毎、または任意の他の適切な時間間隔)、および/または連続的に決定するように構成されてもよい。対象者の瞳孔のサイズのこのような連続的なモニタリングは、現在知られている技術を使用しては実行不可能であり、それは、それが非常に労働集約的であるという理由だけでなく、瞳孔のサイズおよび瞳孔反射評価の現在の方法が対象者の眼瞼を開けることを必要とするという事実のためでもあることが理解される。
【0096】
いくつかの実施形態によれば、プロセッサは、決定された瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射を、ベースライン瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射、および/または予め決定された瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射と比較するようにさらに構成されてもよい。
【0097】
本明細書で使用されるように、瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射に関して、用語「ベースライン」は、それぞれ、所定のベースライン瞳孔サイズおよび/または直径変化の速度を指し得、例えば、これらに限定されないが、教科書正常瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射、特定の神経学的状態に関連する教科書瞳孔サイズ、平均正常または疾患特異的瞳孔サイズ、および/または装置によって任意に収集され、瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射ライブラリーに保存された瞳孔サイズライブラリーに基づいて決定される瞳孔反射などを指し得る。各可能性は、別個の実施形態である。加えて、または代替として、ベースライン瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射は、患者固有のベースライン瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射であってもよい。有利なことに、これは、瞳孔の大きさおよび/または瞳孔反射が、対象者間で、および年齢に従って変化することが知られていることを考慮に入れることができる。さらに、患者特有のベースラインは、内眼筋の脱神経の結果であるAdieの瞳孔現象などの正常な人の約20%に見られる非病理学的なアニソコリア(生理学的なアニソコリアとしても知られる)などの患者特有の特徴を平準化することができるが、これに限定されない。いくつかの実施形態によれば、ベースライン瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射は、所定のベースライン、患者固有ベースライン、または両方の組み合わせとして手動で決定されてもよい。例えば、予定通りの神経外科手術を受ける患者については、患者固有のベースライン(または患者固有のベースラインと所定のベースラインの組み合わせ)がより関連性があり、手術の進行および/または成功を評価するためのツールとして役立ち得る。他方、頭部外傷を負って病院に搬送された患者については、患者特有のベースラインは関連性が限られている可能性がある。
【0098】
本明細書で使用されるように、用語「以前に決定された瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射」は、現在の瞳孔サイズ測定の5分前、20分前、1時間前、または任意の他の適切な時点などの、より早い測定点で決定された瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射を指し得る。さらに、またはあるいは、以前に決定された瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射は、患者の平均瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射を指し得る。いくつかの実施形態によれば、平均瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射は、患者から決定されたすべての瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射の平均を指すことができる。さらに、または代替として、平均瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射は、現在の瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射測定の前の最後の所定の期間(5分、10分、1時間または任意の他の適切な期間など)にわたって決定された平均瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射を指すことができ、本明細書では「移動窓」平均とも呼ばれる。有利なことに、対象者の瞳孔の大きさおよび/または瞳孔反射を対象者の予め決定された瞳孔の大きさおよび/または瞳孔反射と比較することは、それが起こるときの瞳孔の大きさおよび/または瞳孔反射の病理学的変化の検出を可能にする。これにより、患者の状態が手遅れになる前に、ただちに救命的な医療介入を行うことが可能となる。
【0099】
いくつかの実施形態によれば、プロセッサは、対象者の瞳孔の大きさおよび/または瞳孔反射の傾向を計算するようにさらに構成されてもよい。このような傾向は、医療スタッフが、対象者の神経学的状態を示し得る、対象者の瞳孔の大きさおよび/または瞳孔反射における漸増的であるが有意な変化を検出することを可能にし得る。
【0100】
すなわち、プロセッサは、決定された瞳孔の大きさおよび/または瞳孔反射、対象者の瞳孔の大きさおよび/または瞳孔反射の比較、瞳孔の大きさおよび/または瞳孔反射の基線瞳孔の大きさおよび/または瞳孔反射および/または以前に決定された瞳孔の大きさおよび/または瞳孔反射との比較、ならびに/あるいは瞳孔の大きさおよび/または瞳孔反射における計算された傾向に基づいて、対象者の神経学的状態を決定するように構成されてもよい。各可能性は、別個の実施形態である。
【0101】
いくつかの実施形態によれば、プロセッサは、対象者の神経学的状態の変化が決定された場合にアラームをトリガするように構成されてもよい。いくつかの実施形態によれば、プロセッサは、対象者の瞳孔の大きさおよび/または瞳孔反射の変化が検出された場合に、アラームをトリガするように構成されてもよい。いくつかの実施形態によれば、瞳孔の大きさおよび/または瞳孔反射が2%、5%、10%または任意の他の適切なパーセンテージを超えて変化した場合に、アラームをトリガすることができる。各可能性は、別個の実施形態である。いくつかの実施形態によれば、瞳孔の大きさが明るい光で3.5mm以上、4mm以上、4.5mm以上であると判定された場合に、アラームをトリガすることができる。いくつかの実施形態によれば、瞳孔の直径変化の速度が、可視光による照明に応答して0.5、1、1.5、2秒を超えると判定された場合、アラームをトリガすることができる。各可能性は、別個の実施形態である。いくつかの実施形態によれば、対象者の瞳孔サイズの1%、21%、5%、10%又はその他の適切なパーセンテージ未満の変化が瞳孔反射試験に応答して検出された場合に、アラームをトリガすることができる。
【0102】
いくつかの実施形態によれば、プロセッサは、決定された瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射および/またはその中の変化に基づいて、医学的推奨を提供するようにさらに構成されてもよい。
【0103】
いくつかの実施形態によれば、プロセッサは、以前に取得された瞳孔サイズ測定値および/または瞳孔反射に基づいて、瞳孔サイズ測定値および/または瞳孔反射測定値の頻度を増加/減少させるようにさらに構成されてもよい。
【0104】
いくつかの実施形態によれば、装置は、決定された瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射、対象者のベースラインおよび/または以前の瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射と比較した決定された瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射の変化を表示するように構成されたディスプレイをさらに含んでもよい。いくつかの実施形態によれば、ディスプレイは、瞳孔の大きさおよび/または瞳孔反射に基づいて決定されるように、患者の神経学的状態をさらに表示することができる。いくつかの実施形態によれば、ディスプレイは、決定された瞳孔サイズ、決定された瞳孔反射、および/またはその中の変化に応答して提供される医療推奨をさらに表示してもよい。これは、救急車または救急室内の患者をトリアージングするなど、病院外の状況において特に有益であり得る。
【0105】
いくつかの実施形態によれば、ディスプレイは、装置との一体部分であってもよい。
【0106】
いくつかの実施形態によれば、ディスプレイは、プロセッサとの一体部分であってもよい。
【0107】
いくつかの実施形態によれば、ディスプレイは、装置に物理的および/または機能的に接続されるように構成されたスタンドアロンディスプレイであってもよい。いくつかの実施形態によれば、表示装置は、汎用モニタの一部であってもよいし、他の医療装置のモニタに組み込まれていてもよい。各可能性は、別個の実施形態である。
【0108】
いくつかの実施形態によれば、装置は、プラットフォームユニットの少なくとも一部が対象者の眼の前に配置されるように、対象者の頭部に着用および/または配置されるように構成されたプラットフォームユニットを含むことができる。いくつかの実施形態によれば、1つ以上の光源および/または1つ以上の光検出器は、プラットフォームユニットに取り付けられてもよい。本明細書で使用されるように、用語「プラットフォームユニット」は、眼鏡、ネット、フード、フレームなどのような、しかしこれらに限定されない、患者の頭部に取り付けられるかまたは着用されるように構成された任意の要素を指し得る。各可能性は、別個の実施形態である。
【0109】
いくつかの実施形態によれば、1つまたは複数の非誘発光源は、使用時に光が対象者のテンプルの各々を透過するように、または使用時に光が対象者の頭部の背面を透過するように、プラットフォームユニット上に位置決めされ、成型され、取り付けられ、または他の方法でプラットフォームユニット上に取り付けられてもよい。いくつかの実施形態によれば、1つ以上の非誘発光源は、光が患者の口、鼻、または耳を透過するように配置されてもよい。各可能性は別個の実施形態である。いくつかの実施形態によれば、1つ以上の非誘発光源は、光が強膜(眼の白色領域)を透過し、患者の(任意選択で閉じた)瞼の前に集められるように、位置付けられてもよい。あるいは、1つ以上の非誘発光源は、プラットフォームユニットに取り付け可能(および任意選択で取り外し可能)であってもよい。例えば、各非誘発光源および/またはプラットフォームユニットは、非誘発光源とプラットフォームユニットとの間の取り付けを可能にするように構成されたクリップまたは他の適切な取り付け要素を含むことができる。
【0110】
いくつかの実施形態によれば、非誘発光源は、プラットフォームユニットに取り付けられた外部電源またはバッテリのいずれかから電気を得ることができる。
【0111】
いくつかの実施形態によれば、1つまたは複数の光検出器は、プラットフォームユニットが着用され、および/または対象者の頭部に位置決めされるときに対象者の眼の前に配置されるように、プラットフォームユニット上に位置決めされ、成型され、取り付けられ、あるいは、プラットフォームユニット上に取り付けられてもよい。あるいは、1つ以上の光検出器は、プラットフォームユニットに取り付け可能(および任意選択で取り外し可能)であってもよい。例えば、各光検出器及び/又はプラットフォームユニットは、光検出器とプラットフォームユニットとの間の取り付けを可能にするように構成されたクリップ又は他の適切な取り付け要素を含むことができる。
【0112】
いくつかの実施形態によれば、1つ以上の誘発光源は、プラットフォームユニットが着用され、および/または対象者の頭部に位置決めされるときに、対象者の眼の前に位置するように、プラットフォームユニット上に位置決めされ、成型され、取り付けられ、またはそうでなければ、プラットフォームユニット上に取り付けられてもよい。あるいは、1つ以上の誘発光源は、プラットフォームユニットに取り付け可能(および任意選択で取り外し可能)であってもよい。例えば、各誘発光源及び/又はプラットフォームユニットは、誘発光源とプラットフォームユニットとの間の取り付けを可能にするように構成されたクリップ又は他の適切な取り付け要素を含むことができる。
【0113】
いくつかの実施形態によれば、対象者の眼の前に位置するプラットフォームユニットの少なくとも一部は、光に対して不透過性の材料から作製され得る。これは、瞳孔を出る光が光検出器から漏れないことを確実にし、および/または周囲光が測定を妨害しないことを確実にするのに役立つ。非限定的な例として、プラットフォームユニットは、レンズが光に対して不透過性の材料で作られた眼鏡であってもよい。
【0114】
いくつかの実施形態によれば、プラットフォームユニットは、光の透過を防ぐようなサイズおよび形状とすることができる。非限定的な例として、プラットフォームユニットは、光を通さない材料から作られたサイドカバーおよび/または光バリアを含む眼鏡であってもよい。
【0115】
いくつかの実施形態によれば、プラットフォームユニットは、1つまたは複数の非誘発光源、1つまたは複数の光検出器、および/または1つまたは複数の誘発光源が、一方の眼から他方の眼に移動する(例えば、スライドする)ことを可能にする1つまたは複数の機構(例えば、バッテリ駆動スライド)を含むことができる。各可能性は、別個の実施形態である。そのようなスライド機構は、両眼の検査のために単一の非誘発光源、単一の光検出器、および/または単一の誘発光源を利用することを可能にし得る。いくつかの実施形態によれば、プロセッサは、機構の動作を制御するようにさらに構成されてもよい。
【0116】
いくつかの実施形態によれば、瞼を閉じた対象者の瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射を決定するための方法が提供され、この方法は、1つ以上の非誘発光源を使用して対象者の硝子体腔に、または硝子体腔に向かって非誘発光を照射するステップと、光検出器を使用して、対象者の瞳孔を出る、1つ以上の光源によって照射された光の強度を検出するステップと、プロセッサを使用して、受信された光の強度および記録された変化の速度に基づいて、対象者の瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射を決定するステップとを含む。
【0117】
いくつかの実施形態によれば、瞼を閉じた対象者の瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射を決定するための方法が提供され、この方法は、1つ以上の光源を使用して対象者の硝子体腔に、または硝子体腔に向かって光を照射するステップと、照射された非誘発光に基づいて対象者の眼を撮像カメラで撮影するステップと、撮影像に基づいて対象者の瞳孔サイズをプロセッサを使用して決定するステップとを含む。いくつかの実施形態によれば、この方法は、閉じた瞼を通して対象者の眼に向かって誘発光を照射するステップをさらに含み、その後、非誘発光を対象者の硝子体腔に向かってまたはそれに向かって照射するステップ、撮影、および対象者の瞳孔サイズの決定が繰り返される。いくつかの実施形態によれば、方法は、誘発光を照射する前後の対象者の瞳孔サイズの変化に基づいて、対象者の瞳孔反射を決定するステップをさらに含む。
【0118】
いくつかの実施形態によれば、瞳孔の大きさおよび/または瞳孔反射は、各瞳孔について同時にまたは連続的に決定されてもよい。いくつかの実施形態によれば、方法は、対象者の瞳孔のそれぞれのサイズおよび/または瞳孔反射を比較するステップをさらに含んでもよい。これは、本明細書において本質的に記載されるように、虚血、頭蓋内動脈瘤、頭部外傷、および脳腫瘍、または眼球運動神経麻痺を引き起こす他の状態を示し得る、本明細書中で「異方性コリア」とも呼ばれる、等しくない瞳孔サイズを検出することを可能にする。
【0119】
いくつかの実施形態によれば、この方法は、対象者の眼が閉じられている間に実施されるので、瞳孔の大きさおよび/または瞳孔反射は、間欠的に(すなわち、5分毎、10分毎、または任意の他の適切な時間間隔で)、および/または連続的に決定され得る。
【0120】
いくつかの実施形態によれば、本方法は、本質的に本明細書に記載されるように、決定された瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射を、ベースライン瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射および/または以前に決定された瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射と比較するステップをさらに含む。
【0121】
いくつかの実施形態によれば、方法は、対象者の瞳孔の大きさおよび/または瞳孔反射の傾向を計算するステップをさらに含んでもよい。このような傾向は、医療スタッフが、本質的に本明細書に記載されるように、患者の神経学的状態を示し得る、対象の瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射における漸増的であるが有意な変化を検出することを可能にし得る。
【0122】
いくつかの実施形態によれば、方法は、決定された瞳孔の大きさ、対象者の瞳孔の大きさの比較、瞳孔の大きさおよび/または瞳孔反射の基線瞳孔の大きさおよび/または瞳孔反射との比較、および/または前に決定された瞳孔の大きさおよび/または瞳孔反射との比較、および/または瞳孔の大きさおよび/または瞳孔反射における計算された傾向に基づいて、対象者の神経学的状態を決定することをさらに含むことができる。各可能性は、別個の実施形態である。
【0123】
いくつかの実施形態によれば、この方法は、対象者の神経学的状態の変化が決定された場合に、アラームをトリガするステップをさらに含み得る。いくつかの実施形態によれば、対象者の瞳孔の大きさおよび/または瞳孔反射の変化が検出された場合に、アラームをトリガすることができる。いくつかの実施形態によれば、異常な瞳孔サイズが検出された場合、アラームをトリガすることができる。さらに、または代替として、異常な瞳孔反射が検出された場合に、アラームをトリガすることができる。いくつかの実施形態によれば、瞳孔の大きさが2%、5%、10%または任意の他の適切なパーセンテージを超えて変化した場合に、アラームをトリガすることができる。各可能性は、別個の実施形態である。いくつかの実施形態によれば、瞳孔の大きさが明るい光で3.5mm以上、4mm以上、4.5mm以上であると判定された場合に、アラームをトリガすることができる。各可能性は、別個の実施形態である。いくつかの実施形態によれば、対象者の瞳孔サイズの1%、21%、5%、10%又はその他の適切なパーセンテージ未満の変化が瞳孔反射試験に応答して検出された場合に、アラームをトリガすることができる。
【0124】
いくつかの実施形態によれば、方法は、決定された瞳孔の大きさおよび/またはその中の変化に基づいて、医学的推奨を提供するステップをさらに含んでもよい。いくつかの実施形態によれば、方法は、決定された瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射、対象者のベースラインおよび/または以前の瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射と比較した決定された瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射の変化を表示するステップをさらに含んでもよい。各可能性は、別個の実施形態である。いくつかの実施形態によれば、方法は、患者の神経学的状態、および/または医療推奨をディスプレイに表示するステップをさらに含んでもよい。
【0125】
いくつかの実施形態によれば、瞼を閉じた対象者の瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射の間欠的および/または連続的な決定のための装置が提供され、この装置は、対象者の眼の超音波出力を提供するように構成された超音波トランスデューサ(例えば、眼の超音波トランスデューサ)と、超音波出力を受信し、得られた超音波出力に基づいて対象者の瞳孔サイズを決定するように構成されたプロセッサとを含む。
【0126】
いくつかの実施形態によれば、装置は、閉じた瞼を通して対象者の眼に向かって誘発光を照射するように構成された誘発光源をさらに含むことができる。本明細書で使用するとき、用語「誘発光源」は、瞳孔反射を誘発することができる光を指すことができる。いくつかの実施形態によれば、誘発光源は、可視光、すなわち400~750nmまたは400~700nmの範囲を透過するように構成されてもよい。
【0127】
いくつかの実施形態によれば、1つ以上の誘発光源は、装置の一体部分であってもよい。あるいは、1つ以上の誘発光源は、装置に物理的および/または機能的に取り付けられるように構成された別個の要素であってもよい。
【0128】
いくつかの実施形態によれば、プロセッサは、瞳孔反射を誘発する前後に瞳孔サイズを比較することによって、対象者の瞳孔反射を決定するようにさらに構成されてもよい。
【0129】
いくつかの実施形態によれば、超音波トランスデューサは、撮影中に瞳孔を自動的にまたは半自動的に「探索」するように構成することができる。これは、有利には、前方を向いていない(例えば、側方を見ている)瞳孔の撮影を可能にし得る。非限定的な例として、超音波トランスデューサは、2つ以上の角度から画像を取得するように構成された2次元(2D)プローブを含むことができる。別の非限定的な例として、装置または超音波トランスデューサは、瞳孔が適切に撮影されるようにプローブを動かすように構成された機構を(追加的または代替的に)含むことができる。いくつかの実施形態によれば、機構は、自動または半自動であってもよい。いくつかの実施形態によれば、機構の動きは、後続の画像処理がプローブを含む画像を「選択」する場合に予め決定されてもよい。いくつかの実施形態によれば、機構の動きは、応答的であってもよく、すなわち、対象者の瞳孔がフレーム内にあるかどうかを識別するように構成された画像前処理に基づいて決定されてもよく、その後、後続の画像分析は、フレーム内画像のみに対して実行される。
【0130】
いくつかの実施形態によれば、超音波出力は、超音波画像であってもよい。
【0131】
いくつかの実施形態によれば、超音波出力は、超音波ビデオであってもよい。
【0132】
いくつかの実施形態によれば、超音波出力は超音波信号であってもよい。
【0133】
いくつかの実施形態によれば、超音波トランスデューサは、眼用(眼球用)超音波トランスデューサであってもよい。本明細書で使用されるように、用語「眼球外超音波トランスデューサ」、「眼球超音波プローブ」、および「眼球超音波トランスデューサ」は、互換的に使用され得、閉じた瞼上に配置されたときに眼の超音波画像/ビデオ/信号を提供し、眼の前眼房および後眼房の解剖学的寸法の決定を可能にするように構成された任意の超音波装置を指す。いくつかの実施形態によれば、超音波トランスデューサを使用して評価され得る任意のパラメータは、対象者の瞳孔サイズ、虹彩サイズ、虹彩陥凹角、視神経寸法、網膜厚、および任意の他の内眼筋肉または外眼筋肉または外眼部ならびに直径変化の速度を含む。各可能性は、別個の実施形態である。いくつかの実施形態によれば、超音波トランスデューサは、瞳孔の機能分析を容易にすることができる。
【0134】
適切な超音波トランスデューサの非限定的な例には、A-Scan超音波トランスデューサ、B-Scan超音波トランスデューサ、超音波バイオ顕微鏡、および60mmまでの深さで物体を走査することができる任意の他の眼の超音波トランスデューサが含まれる。トランスデューサは、標準的なワイヤベースのトランスデューサおよび/または着用可能なトランスデューサおよび/またはワイヤレストランスデューサ、または任意の他の種類のトランスデューサとすることができる。それらは、小型または標準のサイズであり得る。トランスデューサは、ソノクリスタル、または容量性マイクロマシン超音波トランスデューサ(CMUT)などの任意の他の音響超音波センサを使用して構築されてもよく、社内で製造されてもよく、またはMicro Medical Devices(MMD)などの任意の利用可能なベンダ/製造業者によって製造されてもよい。任意の適切な量の標準的な水溶性超音波伝達ゲルが使用され得る。いくつかの実施形態によれば、プローブは、送信-受信プログラム/構成を可能にする、センサの線形アレイ、センサの凸アレイ、または任意の他のアレイ構造から構成することができる。いくつかの実施形態によれば、超音波トランスデューサは、静止画像および/または信号および/またはビデオを提供するように構成されてもよい。いくつかの実施形態によれば、超音波トランスデューサは、2MHzを超える周波数、約2~4MHz、4~6MHz、6~8MHz、8~10MHz、10~12MHz、12~15MHz、18~20MHz、10~60MHz、20~60MHz、30~60MHz、40~50MHz、50MHz、または任意の他の適切な周波数もしくは周波数範囲で動作するように構成され得る。いくつかの実施形態によれば、走査深さは、固定および/または調整可能であってもよい。いくつかの実施形態によれば、トランスデューサは、任意のコンピュータベースのシステムおよび/またはタブレットおよび/またはスマートフォンベースのシステム、あるいは任意の他の接続フォーマットに接続することができる。いくつかの実施形態によれば、トランスデューサは、利用可能なすべてのワイヤレス接続を含むワイヤ接続またはワイヤレス接続を使用して接続されてもよい。
【0135】
いくつかの実施形態によれば、プロセッサは、本明細書のアルゴリズムを適用することによって、超音波画像/ビデオから少なくとも1つの瞳パラメータを測定、抽出、決定、またはさもなければ推定するように構成されてもよい。
【0136】
いくつかの実施形態によれば、トランスデューサから受信された信号は、空間的または時間的信号変動、ピーク検出、勾配変動検出、および/または任意の他の信号処理アルゴリズムを検出するために、自動的にまたは半自動的に分析され得る。いくつかの実施形態によれば、機械学習および/または深層学習ベースのアルゴリズムは、空間的または時間的点検出、および/または信号および/または画像分類、および/または物体検出および分類に加えて、またはその代わりに使用されてもよい。
【0137】
いくつかの実施形態によれば、超音波出力の分析は、信号、画像、またはビデオベースの分析であってもよい。
【0138】
いくつかの実施形態によれば、アルゴリズムは自動または半自動であってもよい。
【0139】
いくつかの実施形態によれば、半自動アルゴリズムは、スキャン全体のうちの1つ、2つ、またはそれ以上の画像/フレーム上の1つ、2つ、またはそれ以上の解剖学的マーカ、例えば、虹彩凹部を示す2つのマーカのユーザ入力を必要とする場合がある。次いで、虹彩をセグメント化し、瞳孔を検出し、および/またはその寸法を測定することができる。いくつかの実施形態によれば、分析は、同じフレームを使用して行われ、その後、利用可能な場合、後続のフレームで検出された特徴を追跡することができる。
【0140】
いくつかの実施形態によれば、自動アルゴリズムは、最初に解剖学的マーカを検出し、次いで、虹彩および瞳孔を検出およびセグメント化して、正確な寸法を測定し得る。後続のフレームにおける瞳孔の追跡および検出を同様に行うことができる。
【0141】
いくつかの実施形態によれば、アルゴリズムは、空間的および/または時間的特徴および情報を利用しながら、任意のセグメント化および/または物体検出ベースのアルゴリズムを利用することができる。さらに、またはあるいは、機械学習および深層学習ベースのアルゴリズムは、物体検出および/またはコンピュータ支援診断のために利用され得る。
【0142】
いくつかの実施形態によれば、装置は、2つの眼外超音波トランスデューサを含むことができる。本明細書で使用されるように、超音波トランスデューサに関する用語「2つ」は、両側超音波撮影を可能にするようにユニット上に位置決めされるか、またはユニットに取り付けられる2つの超音波プローブを含む超音波ユニットを指すことができる。あるいは、この用語は、2つの別個の眼外トランスデューサを指してもよい。
【0143】
いくつかの実施形態によれば、プロセッサは、眼の超音波出力(例えば、超音波画像、ビデオ、および/または信号)に基づいて、対象者の瞳孔サイズ、および/または瞳孔反射を操作、変換、処理、コンピュータ処理、計算、決定、または推定することが可能な、任意のコンピュータ、計算システム、または類似の電子処理装置であり得る。いくつかの実施形態によれば、プロセッサは、装置の一体部分であってもよい。あるいは、プロセッサは、リモートコンピュータ、ラップトップ、スマートフォン、または処理能力を有し、有線を介してまたは無線で、眼の超音波出力の測定値を受信し、処理し、および/または実行するように構成された任意の他の装置などのリモートユニットであってもよい。
【0144】
いくつかの実施形態によれば、プロセッサは、取得された超音波出力に基づいて、対象者の瞳孔および/または瞳孔反射のサイズを比較するようにさらに構成されてもよい。いくつかの実施形態によれば、瞳孔の大きさおよび/または瞳孔反射は、各瞳孔について同時にまたは連続的に決定されてもよい。これは、本明細書中で「異方性コリア」とも呼ばれる等しくない瞳孔サイズ、ならびに、虚血、頭蓋内動脈瘤、頭部外傷、および脳腫瘍、または眼球運動神経麻痺を引き起こす他の条件を示し得る、非対称的な光反応性を検出することを可能にする。本明細書において使用される場合、非対称光反応性という用語は、瞳孔間の光反応性における少なくとも5%の差、少なくとも10%の差、または少なくとも20%の差を意味し得る。各可能性は、別個の実施形態である。
【0145】
いくつかの実施形態によれば、プロセッサは、対象の瞳孔の大きさおよび/または瞳孔反射を周期的に(すなわち、10分ごとに5分毎、または任意の他の適切な時間間隔で)、および/または連続的に決定するように構成されてもよい。対象者の瞳孔の大きさのこのような連続的なモニタリングは、非常に労働集約的であるという理由だけでなく、瞳孔の大きさおよび/または瞳孔反射評価の現在の方法が対象者の眼瞼を開けることを必要とするという事実のため、現在知られている技術を使用しては実行不可能であることが理解される。
【0146】
いくつかの実施形態によれば、プロセッサは、本質的に本明細書に記載されるように、決定された瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射を、ベースライン瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射および/または以前に決定された瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射と比較するようにさらに構成されてもよい。
【0147】
いくつかの実施形態によれば、プロセッサは、本明細書に本質的に記載されるように、決定された瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射、対象者の瞳孔のサイズおよび/または瞳孔反射の比較、瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射の基線瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射および/または以前に決定された瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射に対する瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射の比較、ならびに/あるいは瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射の計算された傾向に基づいて、対象者の神経学的状態を決定するように構成されてもよい。各可能性は、別個の実施形態である。
【0148】
いくつかの実施形態によれば、プロセッサは、本質的に本明細書に記載されるように、対象者の神経学的状態の変化が決定された場合に、アラームをトリガするように構成されてもよい。いくつかの実施形態によれば、プロセッサは、対象者の瞳孔の大きさおよび/または瞳孔反射の変化が検出された場合に、アラームをトリガするように構成されてもよい。いくつかの実施形態によれば、異常な瞳孔サイズが検出された場合、アラームをトリガすることができる。さらに、または代替として、異常な瞳孔反射が検出された場合に、アラームをトリガすることができる。いくつかの実施形態によれば、瞳孔の大きさが2%、5%、10%または任意の他の適切なパーセンテージを超えて変化した場合に、アラームをトリガすることができる。各可能性は、別個の実施形態である。いくつかの実施形態によれば、瞳孔の大きさが明るい光で3.5mm以上、4mm以上、4.5mm以上であると判定された場合に、アラームをトリガすることができる。各可能性は、別個の実施形態である。いくつかの実施形態によれば、対象者の瞳孔サイズの1%、21%、5%、10%又はその他の適切なパーセンテージ未満の変化が瞳孔反射試験に応答して検出された場合に、アラームをトリガすることができる。いくつかの実施形態によれば、瞳孔の直径変化の速度が、明るい光において0.5、1、1.5、2秒よりも大きいと判定された場合に、アラームをトリガすることができる。いくつかの実施形態によれば、瞳孔の大きさおよび/または瞳孔反射の傾向が対象者の神経学的状態の拡大を示す場合、アラームをトリガすることができる。
【0149】
いくつかの実施形態によれば、プロセッサは、本質的に本明細書で説明されるように、決定された瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射および/またはその中の変化に基づいて、医療アドバイスを提供するようにさらに構成されてもよい。
【0150】
いくつかの実施形態によれば、装置は、データ(生データならびに瞳孔サイズおよび光反応性)を送信するように構成された送信機をさらに含み得る。
【0151】
いくつかの実施形態によれば、装置は、決定された瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射、対象者のベースラインおよび/または以前の瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射と比較した決定された瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射の変化を表示するように構成されたディスプレイをさらに含んでもよい。いくつかの実施形態によれば、ディスプレイは、瞳孔の大きさおよび/または瞳孔反射に基づいて決定されるように、患者の神経学的状態をさらに表示することができる。いくつかの実施形態によれば、ディスプレイは、決定された瞳孔サイズ、決定された瞳孔反射、および/またはその中の変化に応答して提供される、取得された医療推奨をさらに表示してもよい。これは、救急車または救急室内の患者のトリアージングなどの院外環境において特に有益であり得る。
【0152】
いくつかの実施形態によれば、ディスプレイは、装置の一体部分であってもよい。いくつかの実施形態によれば、ディスプレイは、プロセッサの一体部分であってもよい。いくつかの実施形態によれば、ディスプレイは、装置に物理的および/または機能的に接続されるように構成されたスタンドアロンディスプレイであってもよい。いくつかの実施形態によれば、表示装置は、汎用モニタの一部であってもよいし、他の医療装置のモニタに組み込まれていてもよい。各可能性は、別個の実施形態である。
【0153】
いくつかの実施形態によれば、装置は、プラットフォームユニットの少なくとも一部が対象者の眼の前に配置されるように、対象者の頭部に着用および/または配置されるように構成されたプラットフォームユニットをさらに含む。
【0154】
いくつかの実施形態によれば、眼用超音波トランスデューサは、プラットフォームユニットが着用され、および/または対象者の頭部に位置決めされるときに、対象者の眼に近接して位置決めされるように、プラットフォームユニット上に位置決めされ、成型され、取り付けられ、または他の方法でプラットフォームユニット上に取り付けられてもよい。あるいは、眼用超音波トランスデューサは、プラットフォームユニットに取り付け可能(および任意選択で取り外し可能)であってもよい。例えば、眼用超音波トランスデューサ及び/又はプラットフォームユニットは、眼用超音波トランスデューサとプラットフォームユニットとの間の取り付けを可能にするように構成されたクリップ又は他の適切な取り付け要素を含むことができる。非限定的な例として、プラットフォームユニットは、超音波トランスデューサの確実な位置決めおよび/または取り付けを可能にするように構成された、例えば、各レンズ上またはレンズの代わりの要素を含む一対の眼鏡であってもよい。
【0155】
いくつかの実施形態によれば、1つまたは複数の誘発光源は、プラットフォームユニットに取り付け可能(および任意選択で取り外し可能)であってもよい。例えば、誘発光源及び/又はプラットフォームユニットは、光源とプラットフォームユニットとの間の取り付けを可能にするように構成されたクリップ又は他の適切な取り付け要素を含むことができる。いくつかの実施形態によれば、1つまたは複数の誘発光源は、同時にまたは連続的に(例えば、対象者の眼に対する光源の移動のために)、両方の対象者の眼に光を照射するように構成された単一の光源であってもよい。あるいは、装置は、それぞれが対象者の一方の眼の前に配置され、両側瞳孔分析を可能にする2つの光源を含んでもよい。
【0156】
いくつかの実施形態によれば、眼用超音波プローブは、対象者の眼の上に配置されたアイパッチへのその取り付けを可能にするように構成された、1つ以上の取り付け要素を含んでもよい。いくつかの実施形態によれば、取り付け要素は、プローブが患者の眼に正しく位置決めされることを保証することができる。いくつかの実施形態によれば、取り付け要素は、患者の眼への不必要な圧力を回避しつつ、プローブと患者の眼との間に界面が生成されることを確実にし、超音波撮影を可能にするように働くことができる。
【0157】
いくつかの実施形態によれば、プラットフォームユニットは、機構(例えば、バッテリ駆動スライド)を含んでもよく、誘発光源が一方の眼から他方の眼へ移動(例えば、スライド)することを可能にし、それによって、両方の眼の検査のための単一の光源の利用を可能にする。いくつかの実施形態によれば、プロセッサは、機構の動作を制御するようにさらに構成されてもよい。
【0158】
いくつかの実施形態によれば、対象者の瞳孔の大きさおよび/または瞳孔反射を決定するために使用されるアイパッチが提供される。パッチは、その間にサックを形成するように互いに取り付けられた第1および第2のシースと、前記サック内に収容された伝導性媒体とを含むことができ、伝導性媒体は、パッチ上に配置された超音波プローブによって照射された超音波が対象者の眼に到達することを可能にするように構成される。
【0159】
本明細書で使用されるように、用語「アイパッチ」および「アイパッド」は、対象者の眼の前に着用/配置されるように構成された一片の材料である。いくつかの実施形態によれば、パッチは布から作られてもよい。いくつかの実施形態によれば、パッチは、ポリマー材料から作製されてもよい。いくつかの実施形態によれば、パッチは、超音波に使用される水、生理食塩水、またはゲルなどの液体に対して非吸収性の材料から作製されてもよい。いくつかの実施形態によれば、パッチは、例えば、弾性バンド、紐、接着包帯、一対の眼鏡にクリップ留めされるプラスチック装置、または任意の他の適切な着用可能な特徴によって、対象者の頭部の周囲に取り付けられてもよい。各可能性は、別個の実施形態である。
【0160】
本明細書で使用するとき、用語「サック」は、パッチの2つの層の間に形成された区画を指すことができる。サックは、超音波イメージングのための伝導性媒体として機能するように構成された液体を収容するように構成されてもよい。いくつかの実施形態によれば、サックは、液体に対して不浸透性の材料から作られてもよい。いくつかの実施形態によれば、サックは、液体を吸収しない材料で作られてもよい。いくつかの実施形態によれば、サックは、液体の排出および漏れを防止するために、異なる形状に作られてもよい。いくつかの実施形態によれば、袋は、排出された液体をポンプで送り、それらを袋に戻すように構成された装置に取り付けることができる。いくつかの実施形態によれば、同じポンプが両眼のサックに取り付けられてもよく、あるいは、1つまたは複数のポンプが各サックに使用されてもよい。追加の可撓性材料(例えば、ゴムが挙げられるが、これらに限定されない)は、液体の排出または漏出を防ぐために使用され得る。いくつかの実施形態によれば、可撓性材料は、ポンプ装置および/またはサックに取り付けられてもよい。
【0161】
本明細書で使用されるように、用語「伝導性媒体」は、超音波プローブと対象者の皮膚との間の最適な接触を提供するように構成された任意の媒体を指し得る。いくつかの実施形態によれば、伝導性媒体は、最適な音の伝達を確実にするために、アイパッチのサック内に含まれるときに気泡が無いようにしてもよい。いくつかの実施形態によれば、伝導性媒体は、水、アルコール、ハイドロゲル、リポゲル、または超音波の伝達を可能にする任意の他の適切な媒体、またはそれらの組み合わせであり得る。各可能性は、別個の実施形態である。いくつかの実施形態によれば、伝導性媒体はハイドロゲルである。
【0162】
いくつかの実施形態によれば、パッチは、周囲光が対象者の眼に到達するのを防止するようなサイズおよび形状とすることができる。いくつかの実施形態によれば、パッチは、人間の眼の解剖学的構造に適合するように成形されてもよい。
【0163】
いくつかの実施形態によれば、パッチは、超音波プローブをパッチに固定するように構成された1つまたは複数の取り付け要素を含むことができる。いくつかの実施形態によれば、パッチは、対象者の瞳孔サイズの決定を容易にするように、対象者の眼の上に超音波プローブを位置決めするのを補助するように構成された位置決めマーカを含むことができる。いくつかの実施形態によれば、取り付け要素は、患者の眼への不必要な圧力を回避しつつ、プローブと患者の眼との間に界面が生成されることを確実にし、超音波撮影を可能にするように働くことができる。
【0164】
いくつかの実施形態によれば、パッチは、伝導性媒体がサックから解放されることを可能にする複数の開口を含むことができる。いくつかの実施形態によれば、アパーチャは、ある量の伝導性媒体を解放して最適なイメージングを提供するようなサイズおよび形状とすることができる。
【0165】
いくつかの実施形態によれば、パッチは、サック内の伝導性媒体の内容物を示すように構成されたインジケータを含むことができる。したがって、インジケータは、モニタリングセッション全体にわたって最適な条件下で超音波イメージングが実行されることを確実にする働きをすることができる。いくつかの実施形態によれば、インジケータは、人間の眼または適切な読者によって容易に見ることができる色インジケータまたは他のインジケータとすることができる。
【0166】
いくつかの実施形態によれば、瞼を閉じた対象者の瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射を決定するための方法が提供され、この方法は、本質的に本明細書に記載されるように、超音波出力に対して実行される測定に基づいて、対象者の瞳孔のそれぞれのサイズを決定する超音波出力(例えば、超音波画像、ビデオおよび/または信号)を取得するために、眼の超音波プローブを使用して、対象者の眼に超音波を照射することを含む。いくつかの実施形態によれば、方法は、誘発光を対象者の閉じた瞼を通して対象者の眼に照射し、それによって瞳孔反射を誘発するステップと、超音波出力を得るために眼の超音波トランスデューサを使用して対象者の眼に超音波を照射するステップと、瞳孔反射を誘発することに応答して得られた超音波出力に対して実行される測定に基づいて、対象者の瞳孔および/または瞳孔反射のサイズを決定するステップとをさらに含む。
【0167】
いくつかの実施形態によれば、本方法は、本質的に本明細書に記載されるように、対象者の瞳孔のサイズならびに光反応性を比較するステップをさらに含む。
【0168】
いくつかの実施形態によれば、この方法は、対象者の眼が閉じられている間に実施されるので、瞳孔の大きさは、間欠的に(すなわち、10分毎に5分毎、または任意の他の適切な時間間隔で)、および/または連続的に決定され得る。各可能性は、別個の実施形態である。
【0169】
いくつかの実施形態によれば、本方法は、本質的に本明細書に記載されるように、決定された瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射を、ベースライン瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射および/または以前に決定された瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射と比較するステップをさらに含む。
【0170】
いくつかの実施形態によれば、本方式は、本質的に本明細書に記載されるように、瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射の傾向を計算するステップをさらに含む。
【0171】
いくつかの実施形態によれば、本方法は、本質的に本明細書に記載されるように、決定された瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射、対象者の瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射のサイズの比較、瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射の基線瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射および/または以前に決定された瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射に対する瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射の比較、ならびに/または瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射の計算された傾向に基づいて、対象者の神経学的状態を決定することをさらに含む。各可能性は、別個の実施形態である。
【0172】
いくつかの実施形態によれば、方法は、対象者の神経学的状態の変化が決定された場合に、アラームをトリガするステップをさらに含む。いくつかの実施形態によれば、対象者の瞳孔の大きさおよび/または瞳孔反射の変化が検出された場合に、アラームをトリガすることができる。いくつかの実施形態によれば、瞳孔の大きさが2%、5%、10%または任意の他の適切なパーセンテージを超えて変化した場合に、アラームをトリガすることができる。各可能性は、別個の実施形態である。いくつかの実施形態によれば、瞳孔の大きさが明るい光で3.5mm以上、4mm以上、4.5mm以上であると判定された場合に、アラームをトリガすることができる。各可能性は、別個の実施形態である。いくつかの実施形態によれば、瞳孔反射試験に応答して対象者の瞳孔サイズの1%、2%、5%、10%又はその他の適切なパーセンテージ変化未満が検出された場合に、アラームをトリガすることができる。いくつかの実施形態によれば、瞳孔の直径変化の速度が、明るい光において0.5、1、1.5、2秒よりも大きいと判定された場合に、アラームをトリガすることができる。
【0173】
いくつかの実施形態によれば、方法は、決定された瞳孔の大きさおよび/またはその中の変化に基づいて、医学的推奨を提供するステップをさらに含んでもよい。いくつかの実施形態によれば、方法は、決定された瞳孔サイズ、対象者のベースラインおよび/または以前の瞳孔サイズと比較した決定された瞳孔サイズの変化を表示するステップをさらに含んでもよい。各可能性は、別個の実施形態である。いくつかの実施形態によれば、方法は、患者の神経学的状態、および/または医療推奨をディスプレイに表示するステップをさらに含んでもよい。
【0174】
図1は、いくつかの実施形態による、対象者の瞳孔を出る経頭蓋透過光の強度を検出することによって、および/または経頭蓋透過光に基づいて対象者の眼を撮影することによって、対象者の瞳孔の大きさおよび/または瞳孔反射を評価する方法100を例示的に示す。経頭蓋透過光は、好ましくは瞳孔反射を誘発しないことが理解される。図示のように、光120は、ここではスティックライト125として例示的に示される光源を使用して、対象者の頭部105を通って硝子体腔110に向かって照射され得る。光源125は、ここでは、対象者の頭部の背面を通して光を透過するように示されているが、他の構成(例えば、テンプルを通して、または対象者の眼の側面(眼の外側Vの近位側)を通して透過される光)もまた適用可能であり、本開示の範囲内である。透過光は、その後、矢印122で示すように、対象者の瞳孔から出て、光検出器130によって検出され、及び/又は、撮像カメラによって撮影される。次いで、検出された光の強度は、本明細書に記載されるように、検出された光に基づいて対象者の瞳孔の大きさを決定するように構成されたプロセッサ(図示せず)に伝達され得る。
【0175】
次に、
図2を参照すると、
図2は本質的に
図1に記載されているように、対象者の瞳孔の大きさおよび/または瞳孔反射の評価に適した光透過の任意の方向を示している。左のパネル(パネルA)に示されるように、光は、患者の頭部の側から(テンプルを通して、または眼の側を通して、すなわち、眼の外側Vに近接して)硝子体腔に照射され得る。あるいは、右パネル(パネルB)に示すように、患者頭部の背面から硝子体腔に光を透過させてもよい。
【0176】
次に、
図3を参照する。
図3は、対象者の瞳孔の大きさおよび/または瞳孔反射を評価するための典型的な手順の時系列300bを示している。3つの主要な時点、すなわち、a)瞳孔の大きさの第1の測定が行われる瞳孔反射を誘発する前;b)瞳孔反射が誘発される期間;およびc)瞳孔の大きさの第2の測定が行われる瞳孔反射の誘発後、を同定することができる。第1の期間(a)の間、初期瞳孔サイズは、例えば、正常なベースラインを表すベースライン/範囲と比較することによって決定され得る。このような決定は、単独で、神経学的状態を示し得る。例えば、瞳孔の大きさが異常に大きいことは、神経学的機能不全の指標となり得る。第1の測定の間、近赤外光を照射する光源のような非誘発光源が動作する。非誘発光の照射により、光検出器、ここでは近IR放射に感応するIRカメラは、限定はしないが、画像セグメント化アルゴリズムなどの画像分析アルゴリズムを適用することによって、対象者の眼を画像化し、対象者の瞳孔の面積および/または輪郭および/または形状を決定することができる。瞳孔反射誘発(b)の期間中、誘発光源が作動され、この光源は、本質的に本明細書に記載されるように、好ましくは可視範囲の光を放射する。この期間中、瞳孔サイズの測定は行われず、すなわち、非誘発光源およびカメラはオフにされる。あるいは、この期間中に行われた測定は、その後のさらなる分析から除外されてもよい。最後の期間(c)の間、瞳孔サイズを再評価することができる。瞳孔反射の誘発の前後に得られた瞳孔サイズを比較することによって、反射の正常性/異常性を決定することができる。前述のように、第2の測定中に、非誘発光源が再び作動され、それにより、本質的に説明したように、対象者の眼の撮影、および、対象者の瞳孔の面積および/または輪郭および/または形状の決定が可能になる。ここでは、非誘発性IR光源の活性化は、特定の時点でのIRカメラの動作と同時に行われることが示されている。しかし、IR光源および/またはカメラは、手順全体またはその一部にわたって連続的に作動させることができ、その後、画像処理を使用して、関連する測定値を識別することが理解される。さらに、本手順は、本質的に本明細書に記載されるように、両眼で(同時または連続して)実行され得、それによって、対象者の眼とそれに関連する徴候との間の瞳孔サイズおよび/または瞳孔反射の差の検出を可能にすることが理解される。
【0177】
次に、いくつかの実施形態による、対象者の瞳孔から出る経頭蓋透過光の強度を検出する装置400を示す
図4を参照する。装置400は、ここでは眼鏡410として示されるプラットフォームユニットを含む。眼鏡410は、フレームテンプル412aおよび412bと、フレームフロント414とを含む。フレームテンプル412aおよび412bの各々は、光源(ここでは、光源420aおよび420bとして示される)を含み、光源420aおよび420bは、
図2に本質的に示されるように、対象者の頭の側面を通して硝子体腔に光を照射するように構成される。フレーム前面414は、光に対して不透過性の材料から作られ、使用時に対象者の眼の前に位置するように配置された光検出器430aおよび430bを含む。光検出器430aおよび430bは、本質的に本明細書に記載されるように、光源420aおよび420bによって透過された光の結果として対象者の瞳孔を出る光を検出するように構成される。
【0178】
ここで、いくつかの実施形態による、対象者の瞳孔を出る経頭蓋透過光の強度を検出するための例示的な装置500の正面図および背面図を示す、
図5Aおよび
図5Bを参照する。装置500は、ここでは眼鏡510として示されるプラットフォームユニットを含む。眼鏡510は、フレームテンプル512aおよび512bと、フレームフロント514とを含む。フレームテンプル512aおよび512bの各々は、2つの光源(ここでは、光源520aおよび520bとして示される)を含み、光源520aおよび520bは、本質的に
図1に示されるように、対象者の頭の側面を通して硝子体腔に光を照射するように構成される。フレーム前面514は、光に対して不透過性の材料から作られ、使用時に対象者の眼の前に位置するように位置決めされた光検出器アレイ530aおよび530bを含む。光検出器アレイ530aおよび530bは、本質的に本明細書に記載されるように、光源520aおよび520bによって透過された光に応答して対象者の瞳孔から出る光を検出するように構成される。フレームテンプル512aおよび512bは、周囲光が光検出器アレイ530aおよび530bに到達するのを防止するとともに、光が対象者の瞳孔から出て光検出器アレイ530aおよび530bから逃げるのを防止するように構成された光バリア560aおよび560bをさらに含む。
【0179】
次に、いくつかの実施形態による、対象者の瞳孔サイズを決定するためのシステム600を示す
図6を参照する。システム600は、本明細書でさらに説明するように、対象者の眼に超音波出力を提供するように構成された2つの眼用超音波トランスデューサ610aおよび610bと、取得された超音波出力に基づいて対象者の瞳孔サイズを決定するように構成されたプロセッサ620とを含む。トランスデューサ610aおよび610bは、以下の
図7でさらに説明するように、プラットフォームユニットに取り付けるように構成することができる。
【0180】
次に、いくつかの実施形態による、超音波イメージングによって対象者の瞳孔サイズを決定するための装置700を示す
図7を参照する。装置700は、ここでは眼鏡710として示されるプラットフォームユニットを含む。眼鏡710は、フレームテンプル712aおよび712bと、フレーム・フロント714とを含む。フレーム前面714は、光に対して不透過性の材料から作られ、超音波トランスデューサ(図示せず)の取り付けを可能にするように構成された取り付け要素720aおよび720bを含む。取り付け要素720aおよび720bは、使用時に、超音波トランスデューサが対象者の瞼(または対象者の瞼上に配置されたパッチ)に接触するように、フレーム前面714上に配置される。
【0181】
ここで
図8を参照すると、それは、本質的に本明細書で説明されるように、眼用トランスデューサを利用することによって得られる、いくつかの実施形態による眼用超音波画像800の例示的な例である。線810は、画像800上で測定される瞳孔のサイズを示す。瞳孔の大きさは、各眼の虹彩間の距離を決定することによって計算され、本明細書では「内部前房直径」とも呼ばれる。
【0182】
次に、いくつかの実施形態による、対象者の右瞳孔および左瞳孔のサイズを比較する眼の超音波出力900の例示的な例である
図9を参照する。各瞳孔についてベースラインが設定された後、その後の各測定値がベースラインと比較され、グラフに記録される。1つの瞳孔、またはその両方がベースラインと異なる場合、モニタは、例えば、アラームをトリガすることによって応答する。
【0183】
次に、いくつかの実施形態による、アイパッチ1000の例示的な例である
図10を参照する。アイパッチ1000は、アイパッチ1000上に配置された超音波トランスデューサ(図示せず)によって照射された超音波が対象者の眼に到達することを可能にする伝導性媒体を含むように構成された、サック1020を形成する二層材料1010を含む。アイパッチ1000は、ここでは、丸いものとして示されているが、好ましくは、人間の眼の解剖学的構造に従って、周囲光が対象者の眼に到達するのを防止するように成形される。パッチ1000は、超音波トランスデューサ(図示せず)をパッチに固定するように構成された1つ以上の取り付け要素(ここでは、取り付け要素1030として例示的に示される)を含み得る。取り付け要素1030は、患者の眼への不必要な圧力を回避しつつ、プローブと患者の眼との間に界面が生成されることを確実にし、超音波撮影を可能にするように働くことができる。パッチ1000は、超音波プローブ(図示せず)を対象者の眼上に位置決めするのを補助するように構成された位置決めマーカ1040をさらに含む。
【0184】
次に、いくつかの実施形態による、経頭蓋照明を使用して対象者の瞳孔サイズを評価する方法の例示的なフローチャート1100である
図11を参照する。この方法のステップ1110では、非誘発光が対象者の硝子体腔に向けて照射される。非誘発光源がオンにされている間、対象者の眼は、透過した非誘発光に基づいて、閉じた瞼を通して、IRカメラを用いて撮影される(ステップ1120)。ステップ1130において、対象者の瞳孔サイズは、ステップ1120の撮影から得られた少なくとも1つの画像に対して実行される画像分析に基づいて決定される。任意選択的に、この方法は、誘発光が対象者の閉じた瞼を通して対象者の眼に照射され、それによって瞳孔反射を誘発する工程1140をさらに含み、続いて、非誘発光を対象者の硝子体腔に向けて照射し(工程1150)、IRカメラを使用して、照射された非誘発光に基づいて、閉じた瞼を通して対象者の眼を撮影する(ステップ1160)。任意選択的に、方法はさらに、ステップ1170を含み、ステップ1170において、瞳孔反射誘発後の瞳孔サイズが、ステップ1160の撮影から得られた少なくとも1つの鏡像に対して実行される鏡像分析に基づいて決定される。同様に、瞳孔反射を誘発する前後の瞳孔サイズが得られれば、得られた瞳孔サイズの変化に基づいて、瞳孔反射機能を任意に決定することができる(ステップ1180)。
【0185】
次に、いくつかの実施形態による、超音波を使用して対象者の瞳孔サイズを評価する方法の例示的なフローチャート1200である
図12を参照する。この方法のステップ1210において、超音波は、眼の超音波プローブを使用して対象者の眼に照射され、それによって、超音波出力(例えば、超音波画像、ビデオおよび/または信号)を得る。ステップ1220において、対象者の瞳孔の大きさは、ステップ1210の超音波出力に対して行われた測定に基づいて決定される。任意選択的に、この方法は、誘発光が対象者の閉じた瞼を通して対象者の眼に照射され、それによって瞳孔反射を誘発するステップ1230をさらに含み、続いて、対象者の眼の超音波画像化(ステップ1240)およびステップ1240の超音波出力に対して行われた測定に基づく瞳孔サイズ決定(ステップ1250)が行われる。瞳孔反射を誘発する前後の瞳孔サイズが得られたら、得られた瞳孔サイズの変化に基づいて、瞳孔反射機能を決定することができる(ステップ1260)。
【0186】
[実施例]
実施例1:画像化による瞳孔の大きさの生体外測定
瞳孔の大きさを測定するためのex-vivo実験をブタの眼に対して行った。ブタの眼を単離し、指定のホルダーに置いた。眼は、810nm付近を中心とするスペクトルを有するLED光を用いて側方から照射された。近IR範囲に感応するデジタルカメラを使用して前面(瞳孔側)から眼を撮影し、光学ロングパスフィルタ(800nm)を使用して背景光を低減した。瞳孔の大きさは、最初に開いた瞼で測定し、続いて閉じた瞼で繰り返した。両方のシナリオについて得られた測定値を比較して、閉じた瞼による瞳孔サイズ決定の能力および精度を決定した。画像分析セグメンテーション・アルゴリズムを使用して、本質的に本明細書で説明するように、各画像内の瞳孔の面積および輪郭を抽出した。導出された輪郭は、生の画像に加えられ(太線(bold line))、瞳の輪郭を描いた(delineate)。
【0187】
図13は、瞳輪郭が描かれた状態で得られた画像を示す(全ての画像の寸法単位はピクセルである)。左のパネル(画像a)は、開いた瞼上で得られた画像および瞳孔の輪郭を示す。右パネル(画像b)は、閉じた瞼で得られた画像および瞳孔の輪郭を示す。
【0188】
図13および以下の表1から分かるように、得られた瞳孔形状の寸法を示し、この実験は、閉じた瞼を通して瞳孔寸法を正確に評価する、本明細書に開示された方法の能力を実証した。
【0189】
【0190】
実施例2:超音波による瞳孔の大きさの決定
眼の超音波は、暗室で対照対象者の左眼に対して行った。対象者の瞳孔の直径は、超音波出力画像上にマークされ、そのサイズは、本明細書に記載されるように、超音波処理を用いて決定された。
図14Aに見られるように、対象者の瞳孔の直径は容易に検出可能であり、5.15mmであると測定された。この手順は、対象者の閉じた眼に向かって可視光を透過させることによって瞳孔反射を誘発した後に繰り返した。光に応答して、
図14Bに見られるように、対象者の瞳孔は予想通りに減少した(3.87mmまで)。この手順を再度繰り返し、対象者に側方を見るように依頼した。
図14Cから分かるように、決定された瞳孔の大きさ(5.17mm)は、対象者が真っ直ぐ前を見ているときに決定されたものと本質的に同一であった(
図14A:5.15mm)。
【0191】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明するためのものに過ぎず、限定を意図するものではない。本明細書で使用されるように、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、複数形も含むことを意図する。さらに、本明細書で使用される場合、用語「備える(comprises)」または「備える(comprising)」は、述べられた特徴、整数、ステップ、動作、要素、または構成要素の存在を指定するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、またはそれらのグループの存在または追加を排除または除外しないことを理解されたい。別途定義されないかぎり、本明細書に用いられるすべての技術的および科学的用語は、本発明が属する技術分野の技術者により一般に理解されるのと同じ意味をもつ。
【0192】
特に明記しない限り、以下の議論から明らかなように、明細書全体を通して、「処理(processing)」、「コンピューティング(computing)」、「計算(calculating)」、「決定(determining)」、「推定(estimating)」などの用語を利用する議論は、計算システムのレジスタおよび/またはメモリ内の電子量などの物理量として表されるデータを、計算システムのメモリ、レジスタ、または他のこのような情報記憶、伝送、またはディスプレイ装置内の物理量として同様に表される他のデータに操作および/または変換する、コンピュータまたは計算システム、または類似の電子計算装置の動作および/またはプロセスを指すことが理解される。
【0193】
本発明の実施形態は、本明細書の動作を実行するための装置を含むことができる。この装置は、所望の目的のために特別に構築されてもよいし、コンピュータに格納されたコンピュータプログラムによって選択的に起動または再構成される汎用コンピュータを含んでもよい。そのようなコンピュータプログラムは、フロッピー(登録商標)ディスク、光ディスク、CD-ROM、磁気光ディスク、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、電気的にプログラム可能な読み取り専用メモリ(EPROM)、電気的に消去可能およびプログラム可能な読み取り専用メモリ(EEPROM)、磁気または光カード、または電子命令を記憶するのに適し、コンピュータシステムバスに結合することができる任意の他のタイプの媒体を含むがこれらに限定されない、任意のタイプのディスクなどのコンピュータ可読記憶媒体に記憶することができる。
【0194】
本明細書で提示されるプロセスおよび表示は、本質的に、いかなる特定のコンピュータまたは他の装置にも関係しない。様々な汎用システムが、本明細書の教示に従うプログラムと共に使用されてもよく、または所望の方法を実行するためにより特殊化された装置を構築することが便利であることが判明してもよい。様々なこれらのシステムのための所望の構造は、以下の説明から明らかになるであろう。さらに、本発明の実施形態は、いかなる特定のプログラミング言語を参照しても説明されない。様々なプログラミング言語が、本明細書で説明される本発明の教示を実装するために使用され得ることが理解されるであろう。
【0195】
本発明は、コンピュータによって実行されるプログラムモジュールなどのコンピュータ実行可能命令の一般的な文脈で説明することができる。一般に、プログラムモジュールは、特定のタスクを実行し、または特定の抽象データ型を実装するルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などを含む。本発明はまた、タスクが、通信ネットワークを通してリンクされた分散処理装置によって実行される、分散コンピューティング環境において実行されてもよい。分散コンピューティング環境では、プログラムモジュールは、メモリ記憶装置を含むローカルおよびリモートのコンピュータ記憶媒体の両方に配置することができる。
【0196】
いくつかの実施形態によれば、用語「おおよそ」および「約」は、+/-0.5%、+1-1%、+1-2%、+1-5%、または+/-10%を指すことができる。各可能性は、別個の実施形態である。
【0197】
多くの例示的な態様および実施形態が上記で議論されてきたが、当業者は、その特定の修正、追加、およびサブコンビネーションを認識するであろう。したがって、以下の添付の特許請求の範囲および以下に紹介される特許請求の範囲は、それらの真の精神および範囲内にあるすべてのそのような修正、追加、およびサブコンビネーションを含むと解釈されることが意図される。