(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-31
(45)【発行日】2022-02-08
(54)【発明の名称】外接ギヤポンプ
(51)【国際特許分類】
F04C 2/18 20060101AFI20220201BHJP
F04C 15/00 20060101ALI20220201BHJP
【FI】
F04C2/18 311D
F04C15/00 G
(21)【出願番号】P 2017091231
(22)【出願日】2017-05-01
【審査請求日】2020-04-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】特許業務法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 直史
【審査官】上野 力
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-288168(JP,A)
【文献】実開昭62-114184(JP,U)
【文献】特開2002-202018(JP,A)
【文献】特開2009-185973(JP,A)
【文献】実開昭59-121486(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 2/18
F04C 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源の駆動力によって回転する駆動軸と、前記駆動軸に連結された駆動ギヤと、前記駆動ギヤとの噛み合いにより回転する従動ギヤと、前記駆動ギヤ及び前記従動ギヤが収容されるポンプ室が形成されたハウジングと
、前記駆動ギヤの前記ハウジングに対する回転を円滑にする軸受とを備え、前記駆動ギヤ及び前記従動ギヤの回転によって流体を吸入側から吸入して吐出側に吐出する外接ギヤポンプであって、
前記ハウジングは、前記駆動ギヤ及び前記従動ギヤのギヤ歯の歯先面に対向する内面を有する筒部と、前記筒部の軸方向一側及び他側に設けられて前記筒部と共に前記ポンプ室を形成する一対の側板部と、前記駆動ギヤを支持する第1の支持部と、前記従動ギヤを支持する第2の支持部とを有し、
前記第1の支持部は、前記一対の側板部のうち一方の側板部から他方の側板部に向かって突出し、
前記駆動ギヤは、前記駆動軸が相対回転不能に嵌合する嵌合孔と、前記第1の支持部が挿入される支持孔とを有し、
前記駆動ギヤの中心部に前記嵌合孔が形成され、前記嵌合孔の外周側に前記支持孔が環状に形成されると共に、前記支持孔の外側の内面と前記第1の支持部との間に前記軸受が配置されており、
前記駆動ギヤの軸方向において、前記嵌合孔が形成された範囲と前記支持孔とが形成された範囲とが少なくとも一部において重複している、
外接ギヤポンプ。
【請求項2】
前記駆動源として、前記ハウジングに保持された環状の固定子と前記固定子の内側に配置された回転子との間に作用する磁力によって前記駆動力を発生する駆動力発生機構を備え、
前記ハウジングは、前記固定子を保持する保持部と、前記筒部と、前記一方の側板部と、前記第1及び第2の支持部とを一体に有する、
請求項
1に記載の外接ギヤポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに噛み合う駆動ギヤ及び従動ギヤの回転により、流体を吸入して吐出する外接ギヤポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、駆動ギヤ及び従動ギヤの回転によって流体を吸入して吐出する外接ギヤポンプが例えば自動車の自動変速機に用いられている。駆動ギヤ及び従動ギヤは、ハウジングに形成されたポンプ室に収容され、その歯先面がポンプ室の内面に対向している。駆動ギヤは電動モータ等の駆動源の駆動力によって回転し、従動ギヤは駆動ギヤとの噛み合いによって回転する。
【0003】
特許文献1に記載の外接ギヤポンプの駆動ギヤ(原動ギヤ)及び従動ギヤは、複数の外歯が設けられたギヤ本体と、ギヤ本体の軸方向一端部及び他端部から同軸的に延出された軸状のシャフトとを有している。これらのシャフトは、ハウジングに設けられた軸受部に挿通されている。駆動ギヤは、一方のシャフトの先端部がハウジングの外部に突出し、この突出した部分から駆動源の駆動力を受けて回転する。
【0004】
特許文献2に記載の外接ギヤポンプの駆動ギヤ(第1の歯車)及び従動ギヤ(第2の歯車)は、中空の円筒状に形成されており、その中心部にハウジング(ケーシング)に設けられた一対の支承ジャーナルがそれぞれ受容されている。駆動ギヤを支持する支承ジャーナルには、駆動ギヤに駆動力を伝達する駆動軸が挿通されており、駆動軸の先端部に設けられた成形ヘッドを介して駆動軸と駆動ギヤとが連結されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2000-130358号公報
【文献】特開平10-288168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように構成された外接ギヤポンプが例えば自動車に搭載される場合には、搭載上の都合から可能な限り小型であることが望まれる。特許文献2に記載された外接ギヤポンプでは、駆動ギヤ及び従動ギヤがその中心部に受容される支承ジャーナルによって支持されるので、特許文献1に記載の外接ギヤポンプに比較して軸方向の小型化が可能となる。しかし、駆動軸と駆動ギヤとは、支承ジャーナルの先端部とハウジングとの僅かな隙間において成形ヘッドを介して連結されているので、その連結強度を高めることが難しく、負荷容量が制限されるおそれがある。
【0007】
そこで、本発明は、小型化が可能であると共に、駆動源によって回転駆動される駆動軸と駆動ギヤとの連結強度を十分に確保することが可能な外接ギヤポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記の目的を達成するため、駆動源の駆動力によって回転する駆動軸と、前記駆動軸に連結された駆動ギヤと、前記駆動ギヤとの噛み合いにより回転する従動ギヤと、前記駆動ギヤ及び前記従動ギヤが収容されるポンプ室が形成されたハウジングと、前記駆動ギヤの前記ハウジングに対する回転を円滑にする軸受とを備え、前記駆動ギヤ及び前記従動ギヤの回転によって流体を吸入側から吸入して吐出側に吐出する外接ギヤポンプであって、前記ハウジングは、前記駆動ギヤ及び前記従動ギヤのギヤ歯の歯先面に対向する内面を有する筒部と、前記筒部の軸方向一側及び他側に設けられて前記筒部と共に前記ポンプ室を形成する一対の側板部と、前記駆動ギヤを支持する第1の支持部と、前記従動ギヤを支持する第2の支持部とを有し、前記第1の支持部は、前記一対の側板部のうち一方の側板部から他方の側板部に向かって突出し、前記駆動ギヤは、前記駆動軸が相対回転不能に嵌合する嵌合孔と、前記第1の支持部が挿入される支持孔とを有し、前記駆動ギヤの中心部に前記嵌合孔が形成され、前記嵌合孔の外周側に前記支持孔が環状に形成されると共に、前記支持孔の外側の内面と前記第1の支持部との間に前記軸受が配置されており、前記駆動ギヤの軸方向において、前記嵌合孔が形成された範囲と前記支持孔とが形成された範囲とが少なくとも一部において重複している、外接ギヤポンプを提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る外接ギヤポンプによれば、小型化が可能であると共に、駆動源によって回転駆動される駆動軸と駆動ギヤとの連結強度を十分に確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1の実施の形態に係る外接ギヤポンプを示す断面図である。
【
図3】駆動軸であるモータシャフトを示す斜視図である。
【
図5】第2の実施の形態に係る外接ギヤポンプを示す断面図である。
【
図6】第2の実施の形態に係るモータシャフトを示す斜視図である。
【
図7】第3の実施の形態に係る外接ギヤポンプを示す断面図である。
【
図8】第3の実施の形態に係る第2の側板部ならびに第1及び第2の支持部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1の実施の形態]
本発明の実施の形態について、
図1乃至
図4を参照して説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、本発明を実施する上での好適な具体例として示すものであり、技術的に好ましい種々の技術的事項を具体的に例示している部分もあるが、本発明の技術的範囲は、この具体的態様に限定されるものではない。
【0012】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る外接ギヤポンプを示す断面図である。
図2は、外接ギヤポンプを示す分解斜視図である。
図3は、駆動軸であるモータシャフトを示す斜視図である。
図4は、
図1のA-A線断面図である。この外接ギヤポンプ1は、例えば自動車に搭載され、エンジンの出力を変速する自動変速機のアクチュエータに流体としての作動油を供給する。
【0013】
(外接ギヤポンプの構成)
外接ギヤポンプ1は、1方向に回転駆動される駆動ギヤ2と、駆動ギヤ2との噛み合いにより回転する従動ギヤ3と、駆動ギヤ2及び従動ギヤが3収容されるポンプ室400が形成されたハウジング4と、駆動ギヤ2及び従動ギヤ3の回転を円滑にする第1及び第2の軸受5,6と、樹脂からなる板状のサイドプレート7と、駆動ギヤ2を回転駆動するモータ部8とを備え、駆動ギヤ2及び従動ギヤ3の回転によって作動油を吸入側から吸入して吐出側に吐出する。
【0014】
モータ部8は、駆動源としての駆動力発生機構80と、駆動ギヤ2に連結されて駆動力発生機構80の駆動力によって回転するモータシャフト81と、モータシャフト81を支持する第1及び第2の転がり軸受82,83と、モータシャフト81に摺接するシール部材84とを有している。駆動力発生機構80は、ハウジング4に保持された環状の固定子85と、固定子85の内側に配置された回転子86とによって構成され、固定子85と回転子86との間に作用する磁力によって駆動力を発生する。
【0015】
固定子85は、鉄心851と、鉄心851に保持されたインシュレータ852と、インシュレータ852に巻き付けられた巻線853とを有している。巻線852には、図略の制御装置から励磁電流が供給される。回転子86は、モータシャフト81に固定されたコア861と、コア861の外周面に取り付けられた複数の永久磁石862とを有している。
【0016】
第1の転がり軸受82は、回転子86よりも駆動ギヤ2側でモータシャフト81を支持し、第2の転がり軸受83は、回転子86の駆動ギヤ2とは反対側でモータシャフト81を支持している。第1及び第2の転がり軸受82,83は、それぞれが外輪821,831、内輪822,832、及び複数の球状の転動体823,833を有する玉軸受である。
【0017】
モータシャフト81は、
図3に示すように、駆動ギヤ2に嵌合する嵌合部810と、外径がそれぞれ異なる円柱状の第1乃至第3軸部811~813とを一体に有している。第1乃至第3軸部811~813は、軸方向に並び、嵌合部810に連続する第1軸部811の外径が第2軸部812の外径よりも小さく、嵌合部810とは反対側の端部における第3軸部813の外径が第2軸部812の外径よりも大きい。第2軸部812の外周には、回転子86のコア861が固定されている。第1の転がり軸受82の内輪822は、第1軸部811における第2軸部812側の端部に嵌着され、第2の転がり軸受83の内輪832は、第2軸部812における第3軸部813側の端部に嵌着されている。
【0018】
駆動ギヤ2は、中心部における基部21と、及び基部21から放射状に設けられた複数のギヤ歯22とを一体に有している。また、駆動ギヤ2は、モータシャフト81の嵌合部810が相対回転不能に嵌合する嵌合孔201と、後述するハウジング4の第1の支持部44が挿入される支持孔202とを有している。嵌合孔201及び支持孔202は、駆動ギヤ2の軸方向に沿って基部21に形成されている。本実施の形態では、嵌合孔201が基部21の中心部に形成され、支持孔202が嵌合孔201の外周側に環状に形成されている。嵌合孔201は、駆動ギヤ2を軸方向に貫通し、駆動ギヤ2の一方の軸方向端面2a及び他方の軸方向端面2bに開口している。支持孔202は、その軸方向の長さが嵌合孔201よりも短く、軸方向の一端部が駆動ギヤ2の一方の軸方向端面2aに開口し、軸方向の他端部が閉塞された止まり孔である。
【0019】
このように、嵌合孔201と支持孔202とは、駆動ギヤ2の軸方向に重なるように形成されている。ここで、軸方向に重なるとは、駆動ギヤ2の軸方向において、嵌合孔201が形成された範囲と支持孔202とが形成された範囲とが少なくとも一部において重複していることをいう。本実施の形態では、嵌合孔201が駆動ギヤ2を軸方向に貫通しているので、支持孔202の全体が嵌合孔201と駆動ギヤ2の軸方向に重なっている。
【0020】
嵌合孔201は、駆動ギヤ2の軸方向に対して直交する断面が非円形であり、本実施の形態ではこの断面における嵌合孔201の形状が矩形状である。この嵌合孔201の形状はモータシャフト81の嵌合部810に対応する形状であり、嵌合孔201にモータシャフト81の嵌合部810が嵌合することで、駆動ギヤ2とモータシャフト81とが相対回転不能に連結される。本実施の形態では、モータシャフト81の嵌合部810が断面矩形の棒状であり、嵌合孔201にその軸方向の略全体にわたって嵌合している。
【0021】
従動ギヤ3は、中心部に軸孔30が形成された円筒状の基部31と、基部31から放射状に設けられた複数のギヤ歯32とを一体に有している。軸孔30は、基部31を軸方向に貫通し、従動ギヤ3の一方の軸方向端面3a及び他方の軸方向端面3bに開口している。従動ギヤ3のギヤ歯32と駆動ギヤ2のギヤ歯22とは互いに噛み合っている。従動ギヤ3は、この噛み合いによって駆動ギヤ2から回転力を受けてポンプ室400内で回転する。
【0022】
ハウジング4は、駆動ギヤ2及び従動ギヤ3のギヤ歯22,32の歯先面22a,32aに対向する内面41aを有する筒部41と、筒部41の軸方向一側及び他側に設けられた一対の側板部としての第1及び第2の側板部42,43と、第1の側板部42から第2の側板部43に向かって突出する第1及び第2の支持部44,45と、モータ部8の固定子85及び第1の転がり軸受82の外輪821を保持する第1の保持部46と、第2の転がり軸受83の外輪831を保持する第2の保持部47とを有している。第1及び第2の支持部44,45は、第1の側板部42の立設面42aに垂直に立設されている。第1及び第2の側板部42,43は共に平板状であり、第1の側板部42が駆動力発生機構80側に配置されている。
【0023】
本実施の形態では、ハウジング4が本体部40を含む3つの部材からなる。本体部40は、筒部41と、第1の側板部42と、第1及び第2の支持部44,45と、第1の保持部46とを一体に有している。本体部40は、例えばエンドミル等の刃具を用いた切削加工によって各部が形成されている。ただし、これに限らず、本体部40を例えば圧入嵌合によって一体化された複数のパーツによって構成してもよい。第2の側板部43は、本体部40とは別体で、本体部40の筒部41に複数のボルト48によって固定されている。ボルト48は、第2の側板部43に形成されたボルト挿通孔430(
図2に示す)に挿通され、筒部41に形成されたねじ孔410に螺合している。第2の保持部47は、本体部40とは別体で、第1の保持部46に複数のボルト49によって固定されている。
【0024】
筒部41には、ポンプ室400に作動油を吸入する吸入口411と、ポンプ室400から作動油を吐出する吐出口412とが形成されている。第1の側板部42及び第2の側板部43は、筒部41と共にポンプ室400を形成する。第1及び第2の支持部44,45は、駆動ギヤ2及び従動ギヤ3の軸方向に沿ってポンプ室400内に突出している。第1の側板部42には、モータシャフト81の第1軸部811を挿通させる挿通孔420が形成されている。挿通孔420の内周面には、第1軸部811に摺接するシール部材84が取り付けられている。
【0025】
第1の支持部44は、駆動ギヤ2の支持孔202に嵌入して駆動ギヤ2を支持している。本実施の形態では、
図2及び
図4に示すように、第1の支持部44が円弧状に形成されている。また、第1の支持部44は、ポンプ室400における吸入口411側の低圧室401と吐出口412側の高圧室402のうち、高圧室402側で駆動ギヤ2を支持し、低圧室401側の一部が径方向に開放されている。この構成により、刃具による第1の支持部44の加工が容易となる。第2の支持部45は、円柱状であり、従動ギヤ3の軸孔30に嵌入して従動ギヤ3を支持している。
【0026】
第1の支持部44は、駆動ギヤ2の支持孔202に、ギヤ歯22の歯筋方向の中央部よりも第2の側板部43に近い位置まで挿入されている。また、第2の支持部45は、従動ギヤ3の軸孔30に、ギヤ歯32の歯筋方向の中央部よりも第2の側板部43に近い位置まで挿入されている。そして、この構成により駆動ギヤ2及び従動ギヤ3の軸方向に対する傾きが抑制されている。ここで、歯筋方向の中央部とは、駆動ギヤ2及び従動ギヤ3の軸方向においてギヤ歯22,32が設けられた範囲を軸方向に二等分する位置をいい、
図1ではこの位置を二点鎖線で図示している。また、
図1では、駆動ギヤ2及び従動ギヤ3の回転軸線をそれぞれ一点鎖線で図示している。
【0027】
第1及び第2の軸受5,6は、円筒状に形成されたすべり軸受である。第1の軸受5は、駆動ギヤ2の支持孔202の内面と第1の支持部44との間に配置されている。第2の軸受6は、従動ギヤ3の軸孔30の内面と第2の支持部45との間に配置されている。第1の軸受5は、駆動ギヤ2の支持孔202の外側の周面202a及び内側の周面202bのうち外側の周面202aに圧入され、駆動ギヤ2と一体に回転する。第2の軸受6は、従動ギヤ3の軸孔30の内周面に圧入され、従動ギヤ3と一体に回転する。第1の軸受5の内径は第1の支持部44の外径よりも僅かに大きく、第2の軸受6の内径は第2の支持部45の外径よりも僅かに大きい。また、駆動ギヤ2の支持孔202の内側の周面202bと第1の支持部44との間には環状の隙間が形成されている。
【0028】
サイドプレート7は、駆動ギヤ2及び従動ギヤ3とハウジング4の第2の側板部43との間に配置され、表(おもて)面7aが駆動ギヤ2の軸方向端面2b及び従動ギヤ3の軸方向端面3bに接触している。また、サイドプレート7は、駆動ギヤ2と従動ギヤ3の並び方向に沿った長手方向の寸法がポンプ室400の同方向の長さと略同一であり、長手方向の中央部においてこの長手方向に直交する短手方向の長さがポンプ室400の同方向の長さよりも短くなっている。
【0029】
サイドプレート7の裏面7bには、サイドプレート7の厚さ方向に窪んだ溝7cが形成され、この溝7cにゴム製のサイドシール71がサイドプレート7の厚さ方向に圧縮された状態で配置されている。サイドシール71は、第2の側板部43に弾接し、ポンプ室400を吸入口411側の低圧室401と吐出口412側の高圧室402とに区画している。また、サイドプレート7の表面7aは、サイドシール71の復元力によって駆動ギヤ2の軸方向端面2b及び従動ギヤ3の軸方向端面3bに押し付けられている。また、駆動ギヤ2及び従動ギヤ3は、サイドプレート7から受ける押し付け力により、サイドプレート7とは反対側の軸方向端面2a,3aが第1の側板部42の立設面42aに押し付けられている。第1の側板部42の立設面42aは、ポンプ室400を介してサイドプレート7の表面7aに対向する平面である。
【0030】
(外接ギヤポンプの動作)
上記のように構成された外接ギヤポンプ1は、モータ部8の駆動力によって駆動ギヤ2及び従動ギヤ3がポンプ室400内で回転することで、吸入口411から吸入した作動油を吐出口412から吐出する。
図4では、駆動ギヤ2及び従動ギヤ3の回転方向を矢印で示している。
【0031】
ハウジング4における筒部41の内面41aと駆動ギヤ2及び従動ギヤ3の複数のギヤ歯22,32の歯先面22a,32aとは、例えば3~4μmの僅かな隙間(シール隙間)を介して向かい合う。駆動ギヤ2の周方向に隣り合う2つのギヤ歯22の間、及び従動ギヤ3の周方向に隣り合う2つのギヤ歯32の間には、それぞれ油室Sが形成されている。吸入口411から吸入された作動油は、駆動ギヤ2及び従動ギヤ3の回転に伴い、油室Sによって低圧室401から高圧室402に移動する。高圧室402では、駆動ギヤ2のギヤ歯22と従動ギヤ3のギヤ歯32とが噛み合うことによる容積変化によって作動油の圧力が高められ、吐出口412から作動油が吐出される。
【0032】
(第1の実施の形態の作用及び効果)
以上説明した第1の実施の形態では、駆動ギヤ2がその支持孔202に挿入される第1の支持部44によって回転可能に支持されると共に、嵌合孔201に一端部が嵌合するモータシャフト81によって回転駆動され、かつ嵌合孔201と支持孔202とが駆動ギヤ2の軸方向おいて重なるように形成されている。また、従動ギヤ3がその軸孔30に挿入される第2の支持部45によって回転可能に支持されている。これにより、駆動ギヤ2及び従動ギヤ3を軸方向に小型化することができ、外接ギヤポンプ1の小型化が可能となる。また、駆動ギヤ2とモータシャフト81とが他の部材を介することなく直接的に嵌め合されることによって連結されているので、駆動ギヤ2とモータシャフト81との連結強度を十分に確保することが可能となる。
【0033】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について、
図5及び
図6を参照して説明する。
【0034】
図5は、本実施の形態に係る外接ギヤポンプ1Aを示す断面図である。
図6は、本実施の形態に係る外接ギヤポンプ1Aのモータシャフト81を示す斜視図である。
図5以降の各図面において、第1の実施の形態で説明したものと機能が共通する部材等については、
図1乃至
図4に付したものと同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0035】
本実施の形態に係る外接ギヤポンプ1Aは、モータシャフト81と駆動ギヤ2との連結構造及びハウジング4の構造が異なる。以下、この外接ギヤポンプ1Aについて、第1の実施の形態に係る外接ギヤポンプ1との違いの部分について重点的に説明する。
【0036】
本実施の形態のモータシャフト81は、第1の実施の形態と同様に、駆動ギヤ2に嵌合する嵌合部810と、外径がそれぞれ異なる第1乃至第3軸部811~813とを一体に有しているが、嵌合部810の形状が第1の実施の形態とは異なっている。本実施の形態では、嵌合部810が、外周面に複数のスプライン突起810aが形成された円筒部810bと、円筒部810bと第1軸部811とを繋ぐ円環板状の接続部810cとを有して構成されている。
【0037】
本実施の形態では、嵌合部810の円筒部810bが嵌合する駆動ギヤ2の嵌合孔201が環状に形成されている。嵌合孔201には、複数のスプライン突起810aが周方向に係合する係合部201cが形成されている。嵌合孔201は、駆動ギヤ2の第2の側板部42側の軸方向端面2aに開口し、軸方向の他端部が閉塞された止まり孔である。
【0038】
また、第1の実施の形態では、第1及び第2の支持部44,45が第1の側板部42から第2の側板部43に向かって突出し、サイドプレート7が駆動ギヤ2及び従動ギヤ3と第2の側板部43との間に配置されていたが、本実施の形態では、第1及び第2の支持部44,45が第2の側板部43から第1の側板部42に向かって突出し、サイドプレート7が駆動ギヤ2及び従動ギヤ3と第1の側板部42との間に配置されている。第1及び第2の支持部44,45は、共に円柱状であり、ポンプ室400を介してサイドプレート7の表面7aに対向する第2の側板部43の平坦な立設面43aに垂直に立設されている。
【0039】
サイドプレート7には、モータシャフト81の嵌合部810を挿通させるための挿通孔70が形成されている。サイドシール71は、第1の側板部42に弾接している。また、本実施の形態では、筒部41と、第2の側板部43と、第1及び第2の支持部44,45とが一体に形成されると共に、第1の側板部42と第1の保持部46とが一体に形成されている。第1の側板部42と筒部41とは、ボルト48によって締結されている。
【0040】
駆動ギヤ2の支持孔202は、基部21の中心部に形成され、駆動ギヤ2を軸方向に貫通している。支持孔202の内周面には、第1の軸受5が圧入されている。また、従動ギヤ3の軸孔30の内周面には、第1の実施の形態と同様に第2の軸受6が圧入されている。嵌合孔201は、支持孔202の外周側に形成されている。
【0041】
本実施の形態においても、駆動ギヤ2の嵌合孔201と支持孔202とが、駆動ギヤ2の軸方向に重なるように形成されている。また、本実施の形態では、支持孔202が駆動ギヤ2を軸方向に貫通しているので、嵌合孔201の全体が支持孔202と駆動ギヤ2の軸方向に重なっている。
【0042】
以上説明した第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様に、駆動ギヤ2及び従動ギヤ3を軸方向に小型化することができ、外接ギヤポンプ1Aの小型化が可能となる。また、駆動ギヤ2とモータシャフト81とが他の部材を介することなく直接的に嵌め合されることによって連結されているので、駆動ギヤ2とモータシャフト81との連結強度を十分に確保することが可能となる。
【0043】
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について、
図7及び
図8を参照して説明する。
【0044】
図7は、本実施の形態に係る外接ギヤポンプ1Bを示す断面図である。
図8は、本実施の形態に係る第2の側板部43ならびに第1及び第2の支持部44,45を示す斜視図である。
【0045】
本実施の形態に係る外接ギヤポンプ1Bは、主として第1及び第2の支持部44,45が第2の側板部43と一体に構成されている点が第1の実施の形態と異なる。以下、この外接ギヤポンプ1Bについて、第1の実施の形態に係る外接ギヤポンプ1との違いの部分について重点的に説明する。
【0046】
第1の実施の形態では、第1及び第2の支持部44,45が第1の側板部42と一体で、第1の側板部42から第2の側板部43に向かって突出している場合について説明したが、本実施の形態では、第1及び第2の支持部44,45が第2の側板部43と一体で、第2の側板部43の平坦な立設面43aから第1の側板部42に向かって垂直に突出している。第1の支持部44が挿入される駆動ギヤ2の支持孔202は、第2の側板部43に接触する軸方向端面2bに開口して軸方向に延在し、軸方向の他端部が閉塞された止まり孔である。第1の支持部44は円筒状であり、第2の支持部45は円柱状である。第1の支持部44の軸方向長さは、第2の支持部45の軸方向長さよりも短く、駆動ギヤ2の軸方向の厚みの半分の寸法よりも長い。
【0047】
また、第1の実施の形態では、サイドプレート7が駆動ギヤ2及び従動ギヤ3と第2の側板部43との間に配置された場合について説明したが、本実施の形態では、サイドプレート7が駆動ギヤ2及び従動ギヤ3と第1の側板部42との間に配置されている。サイドプレート7の表面7aは、サイドシール71の復元力によって駆動ギヤ2の軸方向端面2a及び従動ギヤ3の軸方向端面3aに押し付けられている。
【0048】
本実施の形態では、第1及び第2の支持部44,45が第2の側板部43と一体に構成され、第2の側板部43と筒部41とが複数のボルト48によって締結されている。複数のボルト48は、第2の側板部43に形成されたボルト挿通孔430に挿通されて筒部41のねじ孔に螺合している。
【0049】
以上説明した第3の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様に、駆動ギヤ2の嵌合孔201と支持孔202とが軸方向に重なるように形成されているので、駆動ギヤ2及び従動ギヤ3を軸方向に小型化することができ、外接ギヤポンプ1Bの小型化が可能となる。また、駆動ギヤ2とモータシャフト81とが他の部材を介することなく直接的に嵌め合されることによって連結されているので、駆動ギヤ2とモータシャフト81との連結強度を十分に確保することが可能となる。
【0050】
(付記)
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明したが、これらの実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【0051】
また、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能であり、上記各実施の形態の構成を適宜組み合わせて実施してもよい。また、上記各実施の形態では、駆動ギヤ2を駆動する駆動源として磁力によって駆動力を発生する駆動力発生機構80を用いた場合について説明したが、これに限らず、例えば自動車のエンジン等の走行用の駆動源の駆動力の一部によって駆動ギヤ2を駆動してもよい。また、上記各実施の形態では、ポンプ室400内に単一のサイドプレート7が配置された場合について説明したが、これに限らず、駆動ギヤ2及び従動ギヤ3の軸方向両側にそれぞれサイドプレート7を配置してもよい。
【符号の説明】
【0052】
1,1A,1B…外接ギヤポンプ 2…駆動ギヤ
201…嵌合孔 202…支持孔
22…ギヤ歯 22a…歯先面
3…従動ギヤ 30…軸孔
32…ギヤ歯 4…ハウジング
400…ポンプ室 41…筒部
41a…内面 42…第1の側板部
43…第2の側板部 44…第1の支持部
45…第2の支持部 46…第1の保持部
5,6…第1及び第2の軸受 80…駆動力発生機構(駆動源)
81…モータシャフト(駆動軸) 85…固定子
86…回転子