(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-31
(45)【発行日】2022-02-08
(54)【発明の名称】精米設備の運転情報表示システム
(51)【国際特許分類】
B02B 7/00 20060101AFI20220201BHJP
【FI】
B02B7/00 101A
B02B7/00 Q
(21)【出願番号】P 2018034743
(22)【出願日】2018-02-28
【審査請求日】2020-05-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】川端 英臣
【審査官】櫻井 健太
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-342832(JP,A)
【文献】特開2011-218264(JP,A)
【文献】特開平08-206521(JP,A)
【文献】特開2004-326159(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02B 1/00 - 7/02
G07F 17/00 - 17/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建屋(1)を仕切壁(2)で前後方向に機械室(3)と客室(4)に仕切る精米設備にインターネットと無線で接続する通信機器を設け、インターネットを介して精米設備を示すマーク
(M)及び精米設備の運転情報を付されるマップ
(P)を端末画面に表示可能とする精米設備の情報表示システムにおいて、
仕切壁(2)に設ける管理者用開閉扉(17)内には、精米機器を自動制御で運転するか、管理者が手動スイッチで運転するかを切り換える自動・手動切り替えスイッチ(18)を設け、
前記運転情報には、精米設備の現在の運転情報と、設定期間における運転履歴を含み、現在の運転情報と前記運転履歴の一方又は双方を前記マップ
(P)に表示可能とし、
精米設備の利用者の端末
(22)には現在の運転情報を表示
し、精米設備の管理者の端末
(21)には、現在の運転情報と、前記運転履歴の双方を表示
し、
前記運転履歴には、設定期間における投入された料金の累積金額を含み、
前記自動・手動切り替えスイッチ(18)の操作の検出により、前記累積金額の情報がリセットされることを特徴とする精米設備の運転情報表示システム。
【請求項2】
現在の運転情報には、運転中、利用可能中、故障停止中の情報を含むことを特徴とする請求項1記載の精米設備の運転情報表示システム。
【請求項3】
精米設備には、精米機器の騒音を検出する騒音センサ、又は精米機器の振動を検出する振動センサを設け、振動センサ又は騒音センサが設定以上の値を検出すると、確認情報をマップに表示し、管理者側の端末に表示することを特徴とする請求項1
又は請求項2のいずれかに記載の精米設備の運転情報システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、料金を投入して精米する無人の精米設備に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、利用者の端末に精米設備の設置場所及び運転状況を表示する技術が記載されている。
【0003】
特許文献2には、複数の精米設備それぞれの稼働情報が管理者の端末に表示される技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-205762公報
【文献】特開2002-342832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、近年、発達した携帯端末のアプリケーション技術を活用し、利用者及び管理者の双方の端末に精米設備の運転情報を適切に表示し、精米設備の使用利便性及び管理利便性の双方を向上させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決するために、請求項1記載の発明は、
建屋(1)を仕切壁(2)で前後方向に機械室(3)と客室(4)に仕切る精米設備にインターネットと無線で接続する通信機器を設け、インターネットを介して精米設備を示すマーク(M)及び精米設備の運転情報を付されるマップ(P)を端末画面に表示可能とする精米設備の情報表示システムにおいて、
仕切壁(2)に設ける管理者用開閉扉(17)内には、精米機器を自動制御で運転するか、管理者が手動スイッチで運転するかを切り換える自動・手動切り替えスイッチ(18)を設け、
前記運転情報には、精米設備の現在の運転情報と、設定期間における運転履歴を含み、現在の運転情報と前記運転履歴の一方又は双方を前記マップ(P)に表示可能とし、
精米設備の利用者の端末(22)には現在の運転情報を表示し、精米設備の管理者の端末(21)には、現在の運転情報と、前記運転履歴の双方を表示し、
前記運転履歴には、設定期間における投入された料金の累積金額を含み、
前記自動・手動切り替えスイッチ(18)の操作の検出により、前記累積金額の情報がリセットされることを特徴とする精米設備の運転情報表示システムとする。
【0007】
これにより、利用者は精米設備の現在の運転情報を閲覧して、適切な精米設備を選択して精米運転ができる。また、管理者は現在の精米設備の運転情報以外に精米設備の運転履歴を閲覧できるので管理しやすくなる。
また、自動・手動切り替えスイッチ(18)を操作すると、運転履歴がリセットされるので、次回のメンテナンスを適切なタイミングで行うことができる。
【0008】
請求項2記載の発明は、
現在の運転情報には、運転中、利用可能中、故障停止中の情報を含むことを特徴とする請求項1記載の精米設備の運転情報表示システムとする。
【0009】
これにより、利用者は、適切な精米設備を選択して精米運転がし易い。
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
請求項3記載の発明は、
精米設備には、精米機器の騒音を検出する騒音センサ、又は精米機器の振動を検出する振動センサを設け、振動センサ又は騒音センサが設定以上の値を検出すると、確認情報をマップに表示し、管理者側の端末に表示することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の精米設備の運転情報システムとする。
【0017】
これにより、管理者は、故障による運転停止を未然に防ぐことを防止できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明により、利用者及び管理者の双方が共通のソフトを利用して精米設備の利用や管理を適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施の形態の料金式精米設備について以下説明する。
【0021】
図2に示すように建屋1を仕切壁2で前後方向に機械室3と客室4に仕切る。本実施例では客室4側を前側と呼び機械室3側を後側と呼ぶ。
【0022】
利用者が持参した玄米を収容する投入ホッパ5と、投入ホッパ5内の玄米を繰り出すロータリバルブ6と、玄米を揚穀する昇降機7と、玄米から石を抜く石抜機8と、玄米を精米する精米機9と、精白米を収容する白米タンク10を設ける。
【0023】
投入ホッパ5と白米タンク10は客室4側に設け、昇降機7・石抜機8・精米機9等の精米機器は機械室3側に設ける。また、精米機9の精米運転で発生した糠は空気搬送されて糠袋30を備えている投入ホッパ5は客室4の左右一側に設け、白米タンク10は客室4の左右他側に設ける。投入ホッパ5と白米タンク10の間には精白度を設定する精白度選択スイッチ11と、料金を投入する料金投入口12、及び釣銭返却口13を設ける。
【0024】
利用者は、投入ホッパ5に持参した玄米を投入して、料金投入口に料金を投入し、精白度選択スイッチ11を操作すると運転が開始され、精米機で精米処理された精白米が白米タンク10に供給される。
【0025】
投入ホッパ5の下部には玄米の有無を検出する玄米有無センサ14を設ける。
【0026】
投入ホッパ5の前側には、投入ホッパ5の投入口を閉鎖・開放する開閉扉15を設ける。
【0027】
図4に示すように、精米設備の制御部16は、入力側に投入料金を検出する料金検出センサ23や精白度選択スイッチ11等の情報が入力され、精米機器に出力する。
【0028】
料金を収容する金庫(図示せず)や、精米機器を制御する制御部16や、精米設備の管理者が運転条件等を設定するメンテナンス用操作具を内蔵する管理者用開閉扉17を仕切壁2に設ける。
【0029】
前述のメンテナンス操作具の一例として、精米機器を自動制御で運転するか、管理者が手動スイッチ(図示せず)で運転するかを切り換える自動・手動切り替えスイッチ18や、金庫内の料金回収や糠の回収を行ったことを入力するメンテナンス用スイッチ19が挙げられる。すなわち、管理者がメンテナンス時に使用する操作具であればよい。メンテナンス用操作具を操作したことを検出することにより、後述の累積金額や換算累積糠量の情報がリセットされる。
【0030】
建屋1にはインターネットと接続可能なルータ等の通信機器20を設け、制御部16の運転情報がインターネットを介して管理者用クラウドCに送信可能としている。また、管理者用の携帯端末21や、利用者用の携帯端末22はインターネット上のアプリやブラウザ等のソフト31を介して後述のマップPを閲覧できる構成である。
【0031】
次に
図5~
図7に基づいて、精米設備の設置状況を示すマップを利用者の携帯端末22や管理者の携帯端末21で閲覧する方法について説明する。
【0032】
精米設備の設置を示すマークM(M1~M5)を表示したある地域のマップPを、利用者用の携帯端末22や管理者用の携帯端末21からインターネットを介してソフト31にアクセスして表示可能としている。マークMは精米設備の所在地に付されている。
【0033】
図5は精米設備の利用者が閲覧できる携帯端末22の画面を示している。精米設備のマーク毎に現在の運転情報を示す吹き出しHが表示されている。例えばマークM1には現在運転していない(利用可能)であることを示しており、マークM2には故障中で使用できないことを示しており、マークM3には、現在運転中で残りの運転時間を示しており、マークM4には、管理者がメンテナンス中であることを示している。マークM5には営業時間外であることを示している。
【0034】
利用者は、当該マップPを閲覧することで、現在利用可能な精米設備を把握して、利用可能な精米設備で精米運転を行うことができる。
【0035】
図6と
図7は精米設備の管理者が閲覧できる携帯端末21の画面を示している。
【0036】
図6は現在の運転状況を示す携帯端末21の画面で、利用者が閲覧できる携帯端末22の画面と略共通している。但し、管理者のみが閲覧できる情報が追加されている。例えば、マークM2には、「故障中」の表示に例えば「精米機異常」と故障の原因の情報が表示される。また、マークM1には、「振動値異常、確認要」の情報が表示される。この情報は、例えば精米機9に振動センサ35を取り付け、運転時の振動の値を検出する。この振動の値が設定値以上になると、精米機9内部の一部に不具合が生じていることを推定する。現在は利用者による運転は可能であるが、近い将来故障につながる可能性のある情報を表示し、管理者に確認して予防を促している。なお、前述の故障した場合や確認要の状況が発生した場合には、管理者用の携帯端末にメールを送信してもよい。また、振動センサ35以外に騒音センサでもよい。
【0037】
図7は、精米設備の運転履歴情報を示す管理者用の携帯端末21の画面である。運転履歴とは、例えば、利用者が投入した料金の累積金額が表示される。また、累積金額から精米運転によって換算される糠量を表示してもよい。換算される糠量とは、例えば300円で30kgを精米運転すると約3Kgの糠が発生する。そのため、例えば累積金額が9千円になると発生した糠量は90kgと換算される。管理者は累積金額が設定金額になると、当該精米設備の金庫内の料金を回収する。又は、累積金額から糠袋30内の糠量が満量近くなったと判断すると当該糠袋30を回収する。
【0038】
図7の吹き出しにはグラフgが表示されている。このグラフgは、
図8に示すように日毎の投入料金額と累積金額が表示されている。前述のメンテナンス操作具を操作するとリセットされて累積金額がその日から計算される。これにより、管理者は精米設備の売り上げ状況を把握することができ管理がしやすい。また、金庫内の料金の回収や糠袋30の回収のタイミングを管理しやすい。
【0039】
本実施の形態の吹き出しHは、マップPにアクセスしたときにマークMと同時に表示されてもよいし、マークMを操作すると表示するようにしてもよい。
【0040】
管理者は
図6と
図7の画面を選択スイッチ(図示せず)で切り替えるように構成することで、マップ上に情報が煩雑にならない。また、現在の状況と、過去の履歴を分けて閲覧することで、視認しやすい。
【0041】
本実施の形態により、管理者は広範囲の複数の精米設備を効率よく管理することができる。
【0042】
本実施の形態のマップPは利用者と管理者の双方が共通のソフト31を使用できるので、ソフト31を安価に作成することができる。
【符号の説明】
【0043】
1 精米設備
9 精米機
18 自動・手動切り替えスイッチ(メンテナンス用操作具)
19 メンテナンス用スイッチ(メンテナンス用操作具)
20 通信機器
21 管理者用(携帯)端末
22 利用者用(携帯)端末
35 振動センサ
P マップ
M マーク