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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-31
(45)【発行日】2022-02-08
(54)【発明の名称】棒状物用陳列板
(51)【国際特許分類】
   A47F 7/00 20060101AFI20220201BHJP
   B65D 73/00 20060101ALI20220201BHJP
【FI】
A47F7/00 E
A47F7/00 Q
B65D73/00 D
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020126319
(22)【出願日】2020-07-27
(62)【分割の表示】P 2016071797の分割
【原出願日】2016-03-31
(65)【公開番号】P2020175226
(43)【公開日】2020-10-29
【審査請求日】2020-07-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000005511
【氏名又は名称】ぺんてる株式会社
(72)【発明者】
【氏名】押田 泰輔
(72)【発明者】
【氏名】古屋 千佳
(72)【発明者】
【氏名】片桐 俊生
【審査官】大内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-029139(JP,A)
【文献】特開2000-053161(JP,A)
【文献】特開平11-216048(JP,A)
【文献】登録実用新案第3193267(JP,U)
【文献】特開2003-165576(JP,A)
【文献】特開2006-027615(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 25/00~25/56
B65D 73/00~75/70
A47F 1/00~13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吊り下げ陳列のための吊り下げ部を有し、板本体の一部に形成した切れ目によって折り上げ可能となした折り上げ部を形成して棒状物が備えるクリップに対する係止部とした棒状物用陳列板において、前記板本体を一枚の板の全体を二つ折り、もしくは、同材質または異質材を二枚以上重ねたものとすると共に、棒状物の長手方向に沿った谷折り部を折り上げ基部として前記切れ目によって折り上げ可能となした折り上げ部を棒状物の長手方向に沿った板状部分として板本体の表面より突出させ、この折り上げ部に、クリップの基部の移動規制辺を有する凹部を形成すると共に、折り上げ部の板本体背面相当部分を、棒状物本体を配置する部分とした棒状物用陳列板。
【請求項2】
前記折り上げ部にクリップの玉部が挿配される穴部を形成した請求項1に記載の棒状物用陳列板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボールペン、マーキングペン、筆などの筆記具や塗布具、箸、フォーク、スプーンなどの食器、リップスティック、アイライナーなどの化粧品やその容器など、ある程度の長さがある棒状の商品を、小売店や見本市などで吊り下げ展示するための台紙などの陳列板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、商品を吊り下げ展示するための台紙として、台紙の穴に針金を通して商品を結びつけるように固定するものや、特許文献1(特開2015-229511号公報)に記載の発明のように、一枚の台紙を折り曲げたり、穿孔したりするなどして、棒状の商品を挿入する部分を形成したものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-229511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の発明は、棒状の商品を載置することはできるが、輸送の際などに、振動が生じたり天地を返された場合などに、台紙から商品が外れてしまうことがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、吊り下げ陳列のための吊り下げ部を有し、板本体の一部に形成した切れ目によって折り上げ可能となした折り上げ部を形成して棒状物が備えるクリップに対する係止部とした棒状物用陳列板において、前記板本体を一枚の板の全体を二つ折り、もしくは、同材質または異質材を二枚以上重ねたものとすると共に、棒状物の長手方向に沿った谷折り部を折り上げ基部として前記切れ目によって折り上げ可能となした折り上げ部を棒状物の長手方向に沿った板状部分として板本体の表面より突出させ、この折り上げ部に、クリップの基部の移動規制辺を有する凹部を形成すると共に、折り上げ部の板本体背面相当部分を、棒状物本体を配置する部分とした棒状物用陳列板を第1の要旨とし、前記折り上げ部にクリップの玉部が挿配される穴部を形成した棒状物用陳列板を第2の要旨とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の棒状物用陳列板は、板本体から折り上げられた折り上げ部を形成するための切れ目の一部として形成された折り上げ部の一部である凹部に、筆記具等の棒状物が有するクリップが配置されることによって、凹部を形成する両側の移動規制辺によってクリップの移動が制限されるので、筆記具等の棒状物そのものの移動も抑制されることとなり、輸送時の振動が生じたり、天地が返された場合であっても、陳列板から筆記具等の棒状物が離脱してしまうことが抑制される。また、凹部が折り上げ部の一部であることによって、筆記具等の棒状物本体を、折り上げ部と板本体との少なくとも2方向から支えることになるので、取り付けられる筆記具等の棒状物を多方向から支え、振動などによる影響を極力抑制できるものとなる。更に、板本体から折り上げられた折り上げ部の穴部にクリップの玉部が挿配されることによって、移動規制辺と穴部とでクリップを支えることとなり、筆記具等の棒状物の移動自由が抑制され、より離脱する可能性が少ないものである。また、一枚の板の全体を二つ折りにしたり、同質材または異質材を二枚以上重ねて使用することで、背面の強度(剛性)を担保することができる。さらに、一枚の板の全体を二つ折りにすることで、シートの一面に印刷した後に折り曲げて前面と後面とを形成することができるため、板材を裏返したりすることなしに一度の印刷で、部材の表裏印刷が形成でき効率的である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一例を示す展開図。
図2】使用例を示す斜視図。
図3】一例の正面部分拡大図。
図4】他の一例の正面部分拡大図。
図5】他の一例の正面部分拡大図。
図6】他の一例の正面部分拡大図。
図7】他の一例の斜視拡大図。
図8】他の一例の斜視拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の棒状物用陳列板は、陳列棚の金具等に吊り下げるための吊り下げ部を有する、紙やプラスチックなどの板状材に、パンチングやカッターなどで切れ目や穿孔をなして折り上げ部を形成して、この折り上げ部を、筆記具などの棒状物が有するクリップで挟みこむなどして筆記具等の棒状物そのものを係止するようなしたものである。
【0009】
基本的に一枚の板状材に対し、上述の折り上げ部を形成するものであるが、背面の強度(剛性)を担保するために、一枚の板の全体を二つ折りにしたり、同質材または異質材を二枚以上重ねて使用することなどもできる。材質としては、上述の紙材として、JIS P 0001:1998(番号4001)に記載の、段ボール原紙、白板紙などの板紙や、その他パルプ材を板状に加工したものや、ポリエチレン、ポリプロピレン、セルロイド、ポリエチレンテレフタレートなどのプラスチックをシート状に成形したもの、布などの繊維織物やコルクなどの樹皮を加工したものにワックスや合成樹脂等の接着剤や硬化剤を含浸させて板状に形成したものなどを使用することができる。
【0010】
折り上げ部を形成して筆記具等を係止することから、板厚み10μmから3mm程度である程度の剛性と可撓性、折り曲げ後の形状保持性を備えた材質であることが好ましい。
【0011】
吊り下げ部や折り上げ部となる部分の切り目や穿孔部分などや外観形状などは、プレス加工による剪断にて打ち抜き作ることが好ましい。このとき、折り上げ部の折り曲げ基部となるところに凹みや破線状の切れ目を形成することによって、折り曲げ位置がばらつかない様にしたり、折り曲げやすさを付与したりすることもできる。また、打ち抜かれるシートには、展開図として一枚のシートから無駄な切れ端が発生しないよう効率的な配置で並べることが好ましい。また、紙やプラスチックなどの材質によっては、切れ端を集め再加工によって原材料シートを得ることもできる。
【0012】
板本体に形成する吊り下げ用の吊り下げ部は、かぎ状に湾曲した形状部分としても孔を穿孔したものでも良いし、別部品を接着やピン、ハトメなどによって取り付けたものでもよい。
【0013】
板本体は、少なくとも上述の吊り下げ部と折り上げ部を備えるものであればよいが、商品名やキャッチフレーズなどの文字や、模様、柄、イラスト、写真などを印刷などにより表記した部分として、陳列時の表示効果を高めるものとすることもできる。
【0014】
板本体に、筆記具のペン先部分や軸筒本体などの、クリップ部分とは異なる部分に対する挿入穴を形成し、更にがたつきを抑制することもできるし、筆記具等の棒状物の本体部分に対して粘着シートなどを利用して固定することもできるが、折り上げ部が有する凹部にクリップ部分が配置される構造であれば、少なくともクリップ部分により筆記具等の棒状物のがたつき抑制効果を有することとなるので本発明の範囲とされるものである。
【0015】
折り上げ部は、筆記具等の棒状物のクリップを係止する部分であり、クリップの挟持力によって挟持させることもできるが、必ずしもクリップと筆記具等の棒状物の本体などとの間で挟持される状態とする必要は無い。また、クリップが先端部分に玉部を有するものとした場合に、当該玉部が落ち込む穴部を形成しておくこともできる。クリップに対する係止部と玉部の挿配される穴部とでクリップを係止し筆記具等の棒状物を支えるものとすることで、筆記具等の棒状物のがたつきがよりいっそう抑制される。
【0016】
この折り上げ部は、筆記具等の棒状物のクリップが配置される凹部を有している。凹部は、折り上げ部のどの位置に形成してもよいが、陳列時の上部分位置に形成し、筆記具等の棒状物のクリップの基部が配置されるものとすると、筆記具等の棒状物の重みが抜け止めに良好に働くので好ましい。凹部の形状などについては、後述する実施例にて詳細に説明する。
【0017】
以上の他にも本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々なせる。
【0018】
例えば、陳列対象であり商品となる筆記具に汚れや埃が付着することを防止するために、全体を、透明性を有する熱可塑性プラスチックのバキュームフォーム成形などで包む所謂ブリスターパックとしたり、透明または着色半透明の箱やビニール袋にて包装したりすることや、陳列時に筆記具本体のペン先が下向き、上向き、または、横向きに配置するようにしたり、板本体に対して斜めに配置されるようなすことなど適宜である。
【実施例
【0019】
以下、図面に基き一例について説明する。
【0020】
図1に示したものは、本発明の棒状物用陳列板の一例を展開図で示したものであり、所謂厚紙とかボール紙と称される紙製のシートにプレスによる打ち抜き加工を施した状態を示している。図面上破線で示されている部分は折り曲げられる部分であり、それぞれ山折り、谷折りに折り曲げられて筆記具を陳列できる形態に形成される。
【0021】
板本体1は、山折り部2にて折り曲げられることによって前板3と後板4とに分割されており、折り曲げ時に合わさる位置に横穴である吊り下げ部5が穿孔されている。
【0022】
前板3の前面は商品名や注意書き、模様などが印刷される表示面となるが、後板の後面となる部分にも注意書きなどの印刷を施すこともできる。この場合、シートの一面に印刷した後に折り曲げて前面と後面とを形成するので、板材を裏返したりすることなしに一度の印刷で、部材の表裏印刷が形成でき効率的である。
【0023】
前板3には、折り上げ部6を形成するための切れ目7と谷折り部8とが形成されており、谷折り部8は、プレスによる線状の凹部として形成されているので、少ない力でばらつき無く一定の線状に折り曲げることができる。
【0024】
折り上げ部6の上側切れ目7aには、クリップの基部が配置される凹部9が形成されている。また、折り上げ部6の中腹部分には、クリップの玉部が挿配される穴部10が穿孔されている。
【0025】
図2に使用状態の一例を示す。図1に示した一例を組み立て、筆記具Aを設置した状態を示すものである。
【0026】
板本体1を山折り部2で折り曲げ、折り上げ部6を立ち上げた状態で、折り上げ部6の凹部9に筆記具A(後端ノック式のシャープペンシルを想定している。)のクリップ11の基部11aが配置されている。凹部9の幅はクリップ11の基部11aより数百ミクロン~数ミリ幅広状態になっており、凹部の側辺がクリップ11の基部11aを、その長手方向の範囲にわたって横方向の移動を規制している移動規制辺となっている。
【0027】
また、折り上げ部6の中腹に形成された穴部10に、クリップ11の玉部11bの内側に凸となる部分が挿置され、筆記具Aが、クリップ11の基部11aを支点に振れることを抑制している。
【0028】
尚、参照符号12は筆記具Aの軸筒、13は先部材、14はノック冠である。
【0029】
また、凹部9の幅はクリップの基部11aより数百ミクロン~数ミリ幅狭状態としてもよい。これにより、クリップ基部11aをその長手方向の範囲にわたって挟持することができ、より大きな筆記具のがたつき抑制効果を得ることができる。
【0030】
次に、クリップの基部11aが配置される凹部9の形状についての変形例を、折り上げ部6を正視した要部拡大図である図3以降に基き説明する。
【0031】
図3に示したものは、凹部9の形状として下辺9aが短い台形形状となるように側辺を下向きに狭くなるよう傾斜させた一例である。下辺9a部分が最も幅狭となる部分であり、凹部9のクリップの入り口部分が相対的に幅が広い部分となるので、筆記具Aをセットするのが容易である。この下片9aの幅をクリップ11の基部11aの幅よりも狭くして、挟持状態とすることもできる。また、凹部9に形成される各辺の境界部分である角部9bがすべて鈍角となるので、外部から切れて破損するような事態も極力抑制されたものとなる。
【0032】
図4に示した一例は、凹部9の側辺9cの中腹部分に最も幅狭となる凸部9dを形成したものである。図示した一例は曲面状の凸部9dとしているが、直線上の傾斜した辺が結合した角を形成するものとしても良い。この凸部9dの頂点部分における凹部9の最狭幅部分は、クリップ11の基部11aの幅よりもかなり狭い部分として形成しており、クリップ11の基部11aはここを乗り越えて比較的幅広の部分に配置されることを想定している。即ち、凸部9dの頂点部分が庇となってクリップ11の基部11aが抜けることをよりいっそう抑制するものとなる。
【0033】
図5に示した一例は、凹部9を折り上げ部6の横部分に開口させ、横からクリップ11の基部11aを挿入するようにした一例である。クリップ11の基部11aが配置される部分は挿入方向から90度方向に下側に案内された位置の下辺9a部分近傍となしてあり、クリップの基部11aが抜けるためには複数の方向に移動する必要があるので、よりいっそう抜け難くなされたものである。
【0034】
図6に示した一例は、凹部9の移動規制辺である側辺9cが平行に形成されているものであるが、板本体側の側辺が短く形成されているものである。クリップ11の基部11aが配置される部分は側辺9cの範囲内であることは前述の例と同様であるが、それよりも上部に、板本体1との間に空間を形成することができ、例えば内蔵インキ色の異なる複数のリフィルを選択的に摺動操作してペン先突出させる複式繰り出しボールペンの操作部(図示せず)のような部材がクリップの基部11a以降の位置の横方向に凸配置されているものが設置しやすいようになされたものである。この場合、筆記具本体の横方向に凸配置された部分と、クリップ11の基部11aとの間でも、板本体1と折り上げ部6とによって筆記具を挟持するような関係となすこともでき、より固定が確実になるものである。
【0035】
図7図8は、折り上げ部6の要部拡大図である点は前例の図と同様であるが、構造説明の便宜上斜視図として示してある。
【0036】
図7にて示した一例は、凹部9の下辺9a部分を折り上げ部6から切り離さず連結したまま折り曲げ片15としたものである。側辺9cは平行に形成されている点は上述の例と同様であるが、折り曲げ片15は筆記具の本体が配置される側に折り曲げられており、この状態で筆記具を設置することによってクリップ11と筆記具の本体との間で折り曲げ片15弾性的に両者を離間させる方向に力をかけるので、筆記具Aの固定がより確実になされるものである。
【0037】
図8に示したものも、前例と同様に折り曲げ片15aを形成したものであるが、側辺9cとなる部分を折り上げ部6と連結し下辺9aを切り離したことにより観音開きの扉のごとく折り曲げ片15aを形成したものである。
【0038】
いずれの一例も、切れ目を入れることによって部分を打ち抜かずに形成できるので材料の無駄な廃棄分を極力減らせるものである。
【符号の説明】
【0039】
1 板本体
2 山折り部
3 前板
4 後板
5 吊り下げ部
6 折り上げ部
7 切れ目
7a 上側切れ目
8 谷折り部
9 凹部
9a 下辺
9b 角部
9c 側辺
9d 凸部
10 穴部
11 クリップ
11a クリップの基部
11b 玉部
12 軸筒
13 先部材
14 ノック冠
15 折り曲げ片
15a 折り曲げ片
A 筆記具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8