IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社サンメイテックの特許一覧

特許7017194洗浄媒体噴出装置および洗浄媒体噴出装置を備えた鋳物砂除去装置
<>
  • 特許-洗浄媒体噴出装置および洗浄媒体噴出装置を備えた鋳物砂除去装置 図1
  • 特許-洗浄媒体噴出装置および洗浄媒体噴出装置を備えた鋳物砂除去装置 図2
  • 特許-洗浄媒体噴出装置および洗浄媒体噴出装置を備えた鋳物砂除去装置 図3
  • 特許-洗浄媒体噴出装置および洗浄媒体噴出装置を備えた鋳物砂除去装置 図4
  • 特許-洗浄媒体噴出装置および洗浄媒体噴出装置を備えた鋳物砂除去装置 図5
  • 特許-洗浄媒体噴出装置および洗浄媒体噴出装置を備えた鋳物砂除去装置 図6
  • 特許-洗浄媒体噴出装置および洗浄媒体噴出装置を備えた鋳物砂除去装置 図7
  • 特許-洗浄媒体噴出装置および洗浄媒体噴出装置を備えた鋳物砂除去装置 図8
  • 特許-洗浄媒体噴出装置および洗浄媒体噴出装置を備えた鋳物砂除去装置 図9
  • 特許-洗浄媒体噴出装置および洗浄媒体噴出装置を備えた鋳物砂除去装置 図10
  • 特許-洗浄媒体噴出装置および洗浄媒体噴出装置を備えた鋳物砂除去装置 図11
  • 特許-洗浄媒体噴出装置および洗浄媒体噴出装置を備えた鋳物砂除去装置 図12
  • 特許-洗浄媒体噴出装置および洗浄媒体噴出装置を備えた鋳物砂除去装置 図13
  • 特許-洗浄媒体噴出装置および洗浄媒体噴出装置を備えた鋳物砂除去装置 図14
  • 特許-洗浄媒体噴出装置および洗浄媒体噴出装置を備えた鋳物砂除去装置 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-31
(45)【発行日】2022-02-08
(54)【発明の名称】洗浄媒体噴出装置および洗浄媒体噴出装置を備えた鋳物砂除去装置
(51)【国際特許分類】
   B08B 5/02 20060101AFI20220201BHJP
   B24C 1/08 20060101ALI20220201BHJP
   B24C 5/02 20060101ALI20220201BHJP
   B24C 9/00 20060101ALI20220201BHJP
   B22C 5/04 20060101ALI20220201BHJP
   B05B 7/14 20060101ALN20220201BHJP
   B05B 7/06 20060101ALN20220201BHJP
【FI】
B08B5/02 A
B24C1/08
B24C5/02 A
B24C9/00 B
B22C5/04 D
B05B7/14
B05B7/06
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2016236742
(22)【出願日】2016-12-06
(65)【公開番号】P2018089590
(43)【公開日】2018-06-14
【審査請求日】2019-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】503269759
【氏名又は名称】株式会社サンメイテック
(74)【代理人】
【識別番号】100089082
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 脩
(74)【代理人】
【識別番号】100190333
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 群司
(72)【発明者】
【氏名】山内 啓二
(72)【発明者】
【氏名】島 一博
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3158681(JP,U)
【文献】特開2003-024758(JP,A)
【文献】実開昭54-176727(JP,U)
【文献】特公平03-050671(JP,B2)
【文献】特開平04-367366(JP,A)
【文献】特開平11-207626(JP,A)
【文献】特開平05-069327(JP,A)
【文献】特開2016-048666(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0109939(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02727670(EP,A1)
【文献】独国特許出願公開第10248856(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 5/02
B24C 1/08
B24C 5/02
B24C 9/00
B22C 5/04
B05B 7/14
B05B 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吹き付けられて鋳物品の表面を洗浄する洗浄媒体としての鋳物砂であり前記鋳物品の鋳造に使用した前記鋳物砂のうち前記鋳物品から除去され洗浄媒体貯留部に貯留された前記鋳物砂を負圧による吸引力により吸引口から吸引し内部を流通させて終端部分に開口する吐出口から吐出可能とする筒状の洗浄媒体流通管と、
前記洗浄媒体流通管と同軸に前記洗浄媒体流通管の外周に軸方向に沿って延在するように設けられ、前記洗浄媒体流通管の外表面との間に供給された圧縮エアが流通するエア流通路を形成するエア流通外周壁と、
前記洗浄媒体流通管の前記終端部分と対向する前記エア流通外周壁の内周部分を縮径して設けられ、前記エア流通路の断面積を徐々に減少させて前記吐出口と対向する部分で開口し、前記圧縮エアを高速で噴出可能とすることで前記吐出口の吐出方向前方に前記負圧を生じさせる絞り噴出部と、
前記エア流通路の前記絞り噴出部に至る部分に前記洗浄媒体流通管の中心線に沿った方向に延在して前記エア流通外周壁と前記洗浄媒体流通管との間に設けられ、前記エア流通路を周方向に所定間隔で配置された複数の絞り流通路に分離することによって、前記エア流通路の断面積を減少させるとともに前記絞り噴出部に流入する前記圧縮エアを前記中心線方向に沿って整流する整流部材と、を備え、
前記整流部材は、前記エア流通外周壁と前記洗浄媒体流通管との間に径方向に立設されて前記エア流通外周壁の内周に周方向に所定間隔で配置された複数の整流板を含み、前記整流版は、前記洗浄媒体流通管の外周に固定された円筒ベース部を有し、前記円筒ベース部の前記吐出方向前方側には、前記エア流通外周壁の内周部分を縮径している部分に沿って前記吐出方向前方に向って外径が縮径される前方縮径部が形成され、各整流板の前記吐出方向前方側には、前記前方縮径部の後端部に連続するように前記吐出方向前方に向って高さが徐々に低くなる前方斜面部が形成され、
前記吐出口の吐出口端面と前記絞り噴出部の噴出口端面とは、前記中心線に直角に設けられた同一平面上に配設されている洗浄媒体噴出装置。
【請求項2】
前記洗浄媒体流通管は、鋼材製であり、少なくとも前記吐出口が開口する前記終端部分は焼入れされている請求項に記載の洗浄媒体噴出装置。
【請求項3】
請求項またはに記載された前記洗浄媒体噴出装置を備え、
鋳造され砂鋳型が取り外された前記鋳物品が載置される鋳物品載置台と、
前記鋳物品載置台の下方に設けられ前記洗浄媒体噴出装置によって除去された鋳物砂を受けて貯留する前記洗浄媒体貯留部を備えたホッパと、
前記洗浄媒体噴出装置の前記エア流通路に前記圧縮エアをエア供給管を介して供給する圧縮エア供給源と、
前記洗浄媒体貯留部に貯留された前記鋳物砂を吸引して前記洗浄媒体流通管の前記吸引口に供給する吸引洗浄媒体供給管と、をさらに備えた鋳物砂除去装置。
【請求項4】
前記吸引洗浄媒体供給管には、前記吸引洗浄媒体供給管による前記鋳物砂の吸引を遮断する洗浄媒体供給遮断装置を備えている請求項に記載の鋳物砂除去装置。
【請求項5】
前記洗浄媒体噴出装置は、多軸ロボットの先端操作軸に支持されている請求項またはに記載の鋳物砂除去装置。
【請求項6】
前記エア供給管および前記吸引洗浄媒体供給管が内部に導入され、前記鋳物品を着脱可能に収容する粉体密封容器をさらに備えた請求項3ないし5のいずれか1項に記載の鋳物砂除去装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、砂型により鋳造された鋳物品から鋳物砂を除去する洗浄媒体噴出装置および洗浄媒体噴出装置を備えた鋳物砂除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
砂型を使用して精巧な鋳物品を鋳造する方法としてシェルモールド造型法がある。これはけい砂にレジンを連結材としてコーティングした鋳物砂(レジンコーテッドサンド)を鋳型の原料として使用し、加熱した金属模型の熱で連結材が溶融後に硬化してシェルを形成する。これを砂で周辺を固めて鋳型とするものである。この鋳物砂は、流動性が極めて良く、金属模型への充てんが容易で、複雑な形状でも容易に充てん・造型ができ、造型された鋳型の砂充てん密度が高く、滑らかな鋳肌が得られる。
しかし、鋳物砂(レジンコーテッドサンド)は、鋳物品が冷却後に除去する必要がある。そのため、従来は、特許文献1に示すエジェクタ効果を有する流体式移送装置により、エアを吹き付けて鋳造品から鋳物砂を吹き飛ばすことで除去していた。この流体式移送装置は、第一の管状体および第二の管状体で構成される移送管体と第一・第二の管状体の内部に設けられる内筒と内筒の差替えによって噴射方向を第一管状体側および第二管状体側のいずれかに変換できる噴射ノズルとを備え、移送管体内に高圧エアを供給して噴射ノズルから高速で流れるエアを移送管体内に噴射することで、エジェクタ効果を生じさせて、第一の管状体および第二の管状体のいずれかからエアを噴出すものである。そして、けい砂にレジンを連結材としてコーティングした鋳物砂(レジンコーテッドサンド)は、エアの吹き付けによって割れやすく除去が容易であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平6-206625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、レジンコーテッドサンドは、主にフェノール樹脂を含むため造型時、注湯時に熱分解して不快なガスを発生させ、作業環境を悪くするなどの欠点があった。そのため、無機質の連結材を使用した改良鋳物砂が使用されるようになった。しかし、この改良鋳物砂は、壊れにくく塊となり易いものであった。そのため、複雑な形状の鋳造品に充填された鋳物砂の除去が、エアのみによる吹き付けでは、充分に除去できないという問題があった。
【0005】
本発明は係る従来の問題点に鑑みてなされたものであり、壊れにくく塊となり易い鋳物砂が使用されて、複雑な形状な鋳物品となるよう砂鋳型が形成されて鋳造された場合においても、鋳物砂を鋳物品より確実に除去することができる鋳物砂除去装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、請求項1に係る発明の構成上の特徴は、洗浄媒体噴出装置において、吹き付けられて鋳物品の表面を洗浄する洗浄媒体としての鋳物砂であり前記鋳物品の鋳造に使用した前記鋳物砂のうち前記鋳物品から除去され洗浄媒体貯留部に貯留された前記鋳物砂を負圧による吸引力により吸引口から吸引し内部を流通させて終端部分に開口する吐出口から吐出可能とする筒状の洗浄媒体流通管と、前記洗浄媒体流通管と同軸に前記洗浄媒体流通管の外周に軸方向に沿って延在するように設けられ、前記洗浄媒体流通管の外表面との間に供給された圧縮エアが流通するエア流通路を形成するエア流通外周壁と、前記洗浄媒体流通管の前記終端部分と対向する前記エア流通外周壁の内周部分を縮径して設けられ、前記エア流通路の断面積を徐々に減少させて前記吐出口と対向する部分で開口し、前記圧縮エアを高速で噴出可能とすることで前記吐出口の吐出方向前方に前記負圧を生じさせる絞り噴出部と、前記エア流通路の前記絞り噴出部に至る部分に前記洗浄媒体流通管の中心線に沿った方向に延在して前記エア流通外周壁と前記洗浄媒体流通管との間に設けられ、前記エア流通路を周方向に所定間隔で配置された複数の絞り流通路に分離することによって、前記エア流通路の断面積を減少させるとともに前記絞り噴出部に流入する前記圧縮エアを前記中心線方向に沿って整流する整流部材と、を備え、前記整流部材は、前記エア流通外周壁と前記洗浄媒体流通管との間に径方向に立設されて前記エア流通外周壁の内周に周方向に所定間隔で配置された複数の整流板を含み、前記整流版は、前記洗浄媒体流通管の外周に固定された円筒ベース部を有し、前記円筒ベース部の前記吐出方向前方側には、前記エア流通外周壁の内周部分を縮径している部分に沿って前記吐出方向前方に向って外径が縮径される前方縮径部が形成され、各整流板の前記吐出方向前方側には、前記前方縮径部の後端部に連続するように前記吐出方向前方に向って高さが徐々に低くなる前方斜面部が形成され、前記吐出口の吐出口端面と前記絞り噴出部の噴出口端面とは、前記中心線に直角に設けられた同一平面上に配設されている。
【発明の効果】
【0007】
これによると、エア流通路を通過する圧縮エアは、エア流通路に設けられた整流部材が形成する絞り流通路により複数の流れに分離されて流路が絞られるとともに洗浄媒体流通管の中心線方向に沿って整流される。これによって、複数に分離された圧縮エアは、夫々噴出方向に方向付けがなされて均等に流速が高められる。さらに、圧縮エアは、エア流通路の断面積を徐々に減少させる絞り噴出部によって、速度欠損を少なく維持するとともにさらに流速を高め、吐出口を囲むように均等な圧力で噴出する。そのため、噴出する圧縮エアが、吐出口の吐出方向前方に負圧を効果的に生じさせて、洗浄媒体流通管の吐出口から洗浄媒体を高速で噴出させる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る第一実施形態の鋳物砂除去装置の全体概要を示す図である。
図2】洗浄媒体噴出装置を示す断面図である。
図3】洗浄媒体噴出装置を示す正面図である。
図4】洗浄媒体噴出装置を示す背面図である。
図5】整流部材を示す正面図である。
図6図5におけるVI-VI断面図である。
図7】整流部材を示す背面図である。
図8】洗浄媒体噴出装置における圧縮エアおよび鋳物砂の流通状態を示す説明図である。
図9】第二実施形態における鋳物砂除去装置の全体概要を示す図である。
図10】整流部材の別例1を示す図である。
図11】整流部材の別例2を後方から示す背面図である。
図12図11におけるXII-XII断面図である。
図13】整流部材の別例3を後方から示す背面図である。
図14図13におけるXIV-XIV断面図である。
図15図13におけるXV-XV断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第一実施形態)
以下、本発明に係る洗浄媒体噴出装置および鋳物砂除去装置の第一実施形態について図面を参照して説明する。
鋳物砂除去装置1は、図1に示すように、洗浄媒体噴出装置2、鋳物品載置台3、ホッパ4、圧縮エア供給源5、吸引洗浄媒体供給管6、洗浄媒体供給遮断装置としての電磁切替弁7および多軸ロボットとしての6軸ロボット8を備えている。また、本実施形態では、洗浄媒体として鋳物砂FSを使用する。なお、本実施形態において、洗浄媒体噴出装置2の吐出方向を「前方」または「吐出方向前方」、吐出方向の逆方向を「後方」という。
【0010】
(洗浄媒体噴出装置)
洗浄媒体噴出装置2は、図2に示すように、洗浄媒体流通管21、エア流通外周壁22および整流部材としての整流板部材23を有している。
洗浄媒体流通管21は、例えば、鋼材製部材によって所定長さの均一な径で円筒状に形成されている。洗浄媒体流通管21は、円筒状の一方(後方)を吸引口21sとし他方(前方)を吐出口21vとする。洗浄媒体流通管21は、洗浄に使用する鋳物砂FSを吸引口21sから吸引して、吸引した鋳物砂FSを吐出口21vから吐出するようになっている。吐出口21vが設けられる終端部分21tは、焼入れにより硬化され、耐摩耗性や疲労強度の向上が図られている。
【0011】
エア流通外周壁22は、洗浄媒体流通管21と同軸に洗浄媒体流通管21の外周に軸方向(中心線CLに沿った方向)に沿って延在するように設けられている。エア流通外周壁22と洗浄媒体流通管21の外表面との間には、供給された圧縮エアCA(図8参照)が流通するエア流通路CAPが形成されている。エア流通外周壁22の後方には、洗浄媒体流通管21の中心線CLに対して直角方向上方に延在するエア流入管部22aが設けられている。エア流入管部22aには、エア供給通路ASPが形成され、エア供給管11に接続されることにより、圧縮エア供給源5(図1参照)(例えば、高圧エアポンプ)からの圧縮エアCAをエア流通路CAP内に導入するよう構成されている。エア流入管部22aの開口部には、雌ねじ係合部22bが設けられエア供給管11の端部に設けられた雄ねじ係合部11aに螺合するようになっている。エア流通外周壁22には、絞り噴出部22cが設けられている。
【0012】
絞り噴出部22cは、洗浄媒体流通管21の終端部分21tと対向するエア流通外周壁22の内周部分を縮径させた縮径部22fを有している。絞り噴出部22cは、内周部分を縮径部22fとすることでエア流通路CAPの断面積(流通断面積「圧縮エアCAの流通する方向に直角な方向の断面積をいう」)を徐々に減少させ、減少した断面積の噴出口22dとして開口している。エア流通路CAPの断面積を「徐々」に減少させることで、圧縮エアCAのエネルギー損失を少なく抑えつつ圧縮エアCAの高速化を図る。吐出口21vと噴出口22dとは、対向する部分で開口している(本実施形態では、吐出口21vの吐出口端面21veと噴出口22dの噴出口端面22deとは、洗浄媒体流通管21の中心線CLに直角に設けられた同一平面上に配置されている。)。なお、洗浄媒体噴出装置2は、吐出口21vの吐出口端面21veと噴出口22dの噴出口端面22deとが、洗浄媒体流通管21の中心線CLに直角に設けられた同一平面上に配置されているものに限定されない。例えば、エア流通外周壁22の噴出口22dが、洗浄媒体流通管21の吐出口21vよりも吐出方向前方に突出するように設けられていてもよい。
【0013】
エア流通外周壁22の後方の端部には、エア流通外周壁22の後方端部を気密性を保持して嵌合する円盤状の蓋部22eが設けられている。蓋部22eとエア流通外周壁22とは、例えば、蓋部22eの外周縁に設けられた図略の雄ねじ部とエア流通外周壁22の端部内周に設けられた図略の雌ねじ部とにより螺合されている。蓋部22eには、洗浄媒体流通管21の後方側が貫通する貫通穴22ehが設けられている。貫通穴22ehは、洗浄媒体流通管21の外周に、図略の気密材を介することで気密状態を保持して嵌合されている。洗浄媒体流通管21と、エア流通外周壁22との間には、複数の整流板23aを備えた整流板部材23が設けられている。隣接する整流板23aの間とエア流通外周壁22の内周壁との間で、複数の絞り流通路24が形成されている。これらの絞り流通路24は、エア流通路CAPの絞り噴出部22cに至る部分に洗浄媒体流通管21の中心線CLに沿った方向に延在している。これら複数の絞り流通路24は、エア流通路CAPをエア流通外周壁22の内周において周方向に所定間隔で分離させる。ここで「絞り噴出部22cに至る部分」とは、エア流通外周壁22に洗浄媒体流通管21を組み付けたときに、図2に示すように、絞り噴出部22cの後方手前から絞り噴出部22cに一部が重なる位置をいう。
【0014】
整流板部材23は、エア流通外周壁22に洗浄媒体流通管21を組み付けるときに、図2に示すように、絞り噴出部22cの後方手前から絞り噴出部22cに一部が重なる部分に配置固定されている。整流板部材23は、図5図6および図7に示すように、洗浄媒体流通管21の外周に嵌着する円筒ベース部23bと円筒ベース部23bより径方向に立設された複数(本実施形態では22枚)の整流板23aとを備えている。円筒ベース部23bの前方側には、エア流通外周壁22の内周部分の縮径部22fに沿って前方に向って外径が縮径される前方縮径部23fsが形成されている。円筒ベース部23bは、例えば、溶接によって洗浄媒体流通管21の外周に固定されている。なお、円筒ベース部23bの洗浄媒体流通管21への固定は、溶接に限定されず、例えば圧入による締まり嵌めでもよい。
【0015】
各整流板23aの径方向外側の端面は、エア流通外周壁22の内周に当接し、エア流通外周壁22の内周に周方向に所定間隔で配置されている。各整流板23aの前方側には、前方縮径部23fsの後端部に連続するように前方に向って整流板23aの高さが徐々に低くなる前方斜面部23asが形成されている。
なお、全ての絞り流通路24の流通断面積(圧縮エアCAの流通する方向に直角な方向の断面積)の合計値は、整流板部材23によって絞り流通路24に入る前のエア流通路CAPの流通断面積(断面積)の値よりも小さくなっている。さらに、好ましくは、全ての絞り流通路24の流通断面積の合計値よりも、絞り流通路24から前方に出た位置にあるエア流通外周壁22の縮径部22fの内周部分と整流板部材23の前方縮径部23fs等の外周部分との間で形成するエア流通路CAPの流通断面積を小さく設定する。これによって、エア流通路CAPの流通断面積が、噴出口22dに向って滑らかにかつ徐々に小さくなるようにし、圧縮エアCAのエネルギー損失、圧縮エアCAの速度欠損を減少させて高速となった圧縮エアCAの噴出口22dからの噴出を可能とする。
【0016】
(鋳物品載置台、ホッパ、6軸ロボット等)
鋳物品載置台3は、図1に示すように、砂鋳型が取り外され載置された鋳物品Wをクランプ装置110によって着脱可能に支持する。鋳物品載置台3は、吹き飛ばされた鋳物砂FSが落下するように複数の隙間(図略)を設けて形成されている。
ホッパ4は、鋳物品載置台3の下方に設けられ、例えば漏斗状に広がって落下する鋳物砂FSを収集する傾斜面部41と収集された鋳物砂FSを貯留する洗浄媒体貯留部42とを備えている。
圧縮エア供給源5は、例えば、高圧エアの注入が可能な高圧エアポンプであり、エア供給管11に接続されることにより、圧縮エアCAをエア流通路CAP内に供給する。
【0017】
吸引洗浄媒体供給管6は、図1に示すように、洗浄媒体貯留部42内に開口する吸入口6sと、洗浄媒体流通管21の後端部に連結する連結口6e(図2参照)とを備えている。この吸引洗浄媒体供給管6は、鋳物砂FSが流通可能な、例えば可撓性樹脂製部材或いは鋼材製部材からなるパイプを使用することができる。吸引洗浄媒体供給管6の材質は、取付状況に応じて任意に選択することができる。連結口6eには、例えば、図略の雌ねじ部が設けられ、洗浄媒体流通管21の吸引口21sに設けられた、例えば、図略の雄ねじ部に螺合されて固定される。
【0018】
吸引洗浄媒体供給管6の途中には、洗浄媒体供給遮断装置としての電磁切替弁7が設けられている。電磁切替弁7は、洗浄媒体の鋳物砂FSの流通および遮断の切替えを行う。例えば、制御装置Cにより送信される信号によって流通および遮断の切替えが実行される。
【0019】
6軸ロボット8は、図1に示すように、例えば、3軸からなる基体部81に3軸からなるリスト部82を連結し、リスト部82の先端に着脱可能に洗浄媒体噴出装置2が設けられている。基体部81は次のように構成されている。基台Bに固定されるベース81aには、旋回台81bが水平面に対して垂直な第1軸J1回りに回転駆動されるように連結されている。旋回台81bの先端には、第一アーム81cが水平な第2軸J2を介して垂直面方向に回転駆動されるように連結されている。第一アーム81cの先端には第二アーム81dが第2軸J2と平行な第3軸J3を介して垂直面方向に回転駆動されるように連結されている。
【0020】
リスト部82は次のように構成されている。基体部81の第二アーム81dの先端には、第一リスト82aが第3軸に直角な第4軸J4を介して第4軸回りに回転駆動されるように連結されている。第一リスト82aの先端には、第4軸J4と直角な第5軸J5回りに回転駆動可能な第二リスト82bが連結されている。第二リスト82bの先端には、第5軸J5に直角な第6軸J6を介して第三リスト82cが第6軸J6回りに回転駆動されるように連結されている。第三リスト82cの先端には、図示されてはいないが、夫々2つの洗浄媒体噴出装置2が図略のチャック機構により着脱可能に取り付けられている。この第三リスト82cが、先端操作軸に相当する。
図示はしないが、各軸J1~J6は、夫々サーボモータ等のアクチュエータにより駆動されるようになっており、それらのアクチュエータは、マイコン等からなる制御装置Cにより作動が制御される。
【0021】
(作動)
上記のように記載された鋳物砂除去装置1の作動について以下に説明する。
ホッパ4の洗浄媒体貯留部42には、予め鋳物砂FSが貯留され、吸引洗浄媒体供給管6の吸入口6sは、洗浄媒体貯留部42の鋳物砂FS中に挿入された状態にあるものとする。また、洗浄媒体供給遮断装置としての電磁切替弁7は、鋳物砂FSが流通可能な流通位置に位置決めされている。
【0022】
まず、鋳物品W(例えば、自動車エンジンのシリンダブロック)を鋳物品載置台3に載置する。制御装置Cは、6軸ロボット8を制御して、各洗浄媒体噴出装置2の吐出口21vを鋳物品Wの該当箇所に夫々対向させて配置する。
【0023】
次に、制御装置Cは、圧縮エア供給源5(高圧エアポンプ)を駆動させて、圧縮エアCAをエア供給管11より、各洗浄媒体噴出装置2のエア流通路CAPに圧縮エアCAを供給する。エア流通路CAPに供給された圧縮エアCAは、図8に示すように、整流板部材23が形成する複数の絞り流通路24と絞り噴出部22cとを通過する。絞り流通路24を形成する複数の整流板23aは、エア流通路CAPに供給された圧縮エアCAの流れを細かく均等に分けて整流するとともに、実質的に圧縮エアCAが流通するエア流通路CAPの流通断面積(断面積)を減じている。そのため、圧縮エアCAの直進性を高め、かつ流速を均等に高める。そして、絞り噴出部22cは、複数の整流板部材23を通過して流速が高められた圧縮エアCAの流速を縮径部22fにおいて流通断面積を減じることでさらに高める。流速が高められて高速となった圧縮エアCAは、洗浄媒体流通管21の吐出口21vを均等に囲むように噴出口22dから吐出方向前方に噴出する。このエア流通外周壁22の噴出口22dからの高速の圧縮エアCAの噴出によって、吐出口21vの吐出方向前方に空気の負圧エリアが生じる。この空気の負圧エリアにより洗浄媒体流通管21内の空気を前方に押出す吸引力を生じさせる。この生じた吸引力により、各洗浄媒体噴出装置2は、洗浄媒体貯留部42に貯留された鋳物砂FSを吸引洗浄媒体供給管6を経由して吸引する。吸引された鋳物砂FSは、洗浄媒体流通管21の吐出口21vより吐出して鋳物品Wの固まった鋳物砂FSが付着した箇所に吹き付けられる。鋳物品Wに固まった状態で付着した鋳物砂FSは、吹き付けられる鋳物砂FSにより細かく破砕されて除去される。
【0024】
鋳物品Wから鋳物砂FSが除去しにくい箇所は、中子や複雑な形状のコーナー部など鋳物品W毎に決まった傾向がある。そのため、その除去しにくい場所に鋳物砂FSを主に吹き付けるよう制御装置Cにプログラムすることで、6軸ロボット8により迅速かつ効果的に鋳物砂FSを除去することができる。
【0025】
鋳物品Wから破砕されて除去された鋳物砂FSは、ホッパ4の漏斗状に広がった傾斜面部41により集められ、洗浄媒体貯留部42に貯留される。貯留された鋳物砂FSは、吸引洗浄媒体供給管6により吸引されて、鋳物品Wに固まった状態で付着した鋳物砂FSに吹き付けることに使用される。このように、鋳物品Wより破砕して除去した鋳物砂FSを貯留して繰り返し吹き付けに使用できるので、特別な洗浄媒体を使うことなく低コストで効率の高い鋳物砂FSの除去を行なうことができる。
【0026】
固まった鋳物砂FSが鋳物品Wから除去された場合は、電磁切替弁7を鋳物砂FSが流通しない遮断位置に位置決めし、高速の圧縮エアCAのみを鋳物品Wに吹き付けて、残りの除去の容易な鋳物砂FSを完全に除去する仕上げを実行する。このように洗浄媒体噴出装置2は、洗浄媒体噴出装置2とは別のエアのみを噴出す装置(例えばエアガンなど)を設置する必要なく、電磁切替弁7を切り替えるだけで、圧縮エアCAのみの吹き付けによる砂除去の仕上げを行なうことができる。
【0027】
また、一般に、エンジンのシリンダブロック、シリンダヘッド等の砂型あるいは砂中子を用いて成型する鋳造品の製造工程では、従来、ノックアウト装置を用いて鋳造品に打撃力を付与して鋳物砂を落とすようにしている。しかし、ノックアウト装置による鋳物砂除去工程は、大きな騒音を生じるため好ましいものではない。打撃力を付与しなければ除去できなかった鋳物砂FSを、本実施形態における鋳物砂除去装置1および洗浄媒体噴出装置2を使用することで、ノックアウト装置による鋳物砂除去工程作業の軽減あるいは工程の省略を行なうことが可能となる。
【0028】
(まとめ)
上記の記載で明らかなように、本実施形態における洗浄媒体噴出装置2は、吹き付けられて鋳物品Wの表面を洗浄する鋳物砂FSを、吸引口21sから吸引し内部を流通させて終端部分21tに開口する吐出口21vから吐出可能とする筒状の洗浄媒体流通管21と、洗浄媒体流通管21と同軸に洗浄媒体流通管21の外周に沿って延在するように設けられ、洗浄媒体流通管21の外表面との間に供給された圧縮エアCAが流通するエア流通路CAPを形成するエア流通外周壁22と、洗浄媒体流通管21の終端部分21tと対向するエア流通外周壁22の内周部分を縮径して設けられ、エア流通路CAPの断面積を徐々に減少させて吐出口21vと対向する部分で開口し、圧縮エアCAを高速で噴出可能とすることで吐出口21vの吐出方向前方に負圧を生じさせる絞り噴出部22cと、エア流通路CAPの絞り噴出部22cに至る部分(絞り噴出部22cの後方手前から絞り噴出部22cに一部重複する部分)に洗浄媒体流通管21の中心線CLに沿った方向に延在してエア流通外周壁22と洗浄媒体流通管21との間に設けられ、エア流通路CAPを周方向に所定間隔で配置された複数の絞り流通路24に分離することによって、エア流通路CAPの断面積を減少させるとともに絞り噴出部22cに流入する圧縮エアCAを整流する整流板部材23(整流部材)と、を備えている。
これによると、エア流通路CAPを通過する圧縮エアCAは、エア流通路CAPに設けられた整流板部材23が形成する複数の絞り流通路24により複数の流れに分けられて流路が絞られるとともに洗浄媒体流通管21の中心線CL方向に沿って整流される。これによって、複数に分離された圧縮エアCAは、夫々噴出方向に方向付けがなされて均等に流速が高められる。さらに、エア流通路CAPの断面積を徐々に減少させる絞り噴出部22cによって、速度欠損を少なく維持するとともにさらに流速を高め、絞り噴出部22cから吐出口21vを囲むように均等な圧力で噴出する。そのため、吐出口21vの吐出方向前方に負圧を効果的に生じさせて、洗浄媒体流通管21の吐出口21vから鋳物砂FSを高速で噴出させる。
【0029】
整流板部材は、エア流通外周壁22と洗浄媒体流通管21との間に径方向に立設されてエア流通外周壁22の内周に周方向に所定間隔で配置された複数の整流板23aを含んでいる。
これによると、隣接する整流板23aとエア流通外周壁22とが囲む空間によって、周方向に所定間隔で配置された複数の絞り流通路24を形成する。これらの複数の絞り流通路24により複数の流れに分けられてエア流通路CAPは、流路が絞られるとともに洗浄媒体流通管21の中心線CL方向に沿って整流される。これによって、複数に分離された圧縮エアCAは、夫々噴出方向に方向付けがなされて均等に流速が高められる。さらに、エア流通路CAPの断面積を徐々に減少させる絞り噴出部22cによって、速度欠損を少なく維持するとともにさらに流速を高め、絞り噴出部22cから吐出口21vを囲むように均等な圧力で噴出する。そのため、吐出口21vの吐出方向前方に負圧を効果的に生じさせて、洗浄媒体流通管21の吐出口21vから鋳物砂FSを高速で噴出させる。
【0030】
洗浄媒体噴出装置2は、吐出口21vの吐出口端面21veと絞り噴出部22cの噴出口端面22deとは、中心線CLに直角に設けられた同一平面上に配設されている。
これによると、吐出口21vの吐出口端面21veと絞り噴出部22cの噴出口端面22deとは、中心線CLに直角に設けられた同一平面上に配設されているので、従来必要とした絞り噴出部22cおよび吐出口21vの出口前方に設けられる混合管(ディフューザ)のない極めてコンパクトな洗浄媒体噴出装置2とすることができる。
【0031】
洗浄媒体噴出装置2が実行する洗浄の対処物であるワークは、鋳物品Wであり、洗浄媒体は、鋳物品Wの鋳造に使用した鋳物砂FSである。
これによると、鋳物品Wの鋳造に使用した鋳型の鋳物砂FSを鋳物品Wに吹き付けることで、鋳物品Wに除去されずに固まった状態で残留している鋳物砂FSを、砕いて除去することができる。専用の洗浄媒体を用意する必要がなく、吹き付けた鋳物砂FSを繰り返し無駄なく使用することができる。洗浄時に吹き付けるものが、鋳物砂FSであるため、洗浄に使った鋳物砂FSを特別なものを使ってさらに洗浄する必要がない。
【0032】
洗浄媒体噴出装置2において、洗浄媒体流通管21は、鋼材製であり、少なくとも吐出口21vが開口する終端部分21tは焼入れされている。
これによると、洗浄媒体流通管21は、鋼材製であり、少なくとも吐出口21v側が焼入れされているので、鋳物砂FSが高速で通過しても、吐出口21vが開口する終端部分21tの内壁が磨耗することなく長寿命の洗浄媒体噴出装置2とすることができる。
【0033】
鋳物砂除去装置1は、洗浄媒体噴出装置2を備え、鋳造され砂鋳型が取り外された鋳物品Wが載置される鋳物品載置台3と、鋳物品載置台3の下方に設けられ洗浄媒体噴出装置2によって除去された鋳物砂FSを受けて貯留する洗浄媒体貯留部42を備えたホッパ4と、洗浄媒体噴出装置2のエア流通路CAPに圧縮エアCAをエア供給管11を介して供給する圧縮エア供給源5と、洗浄媒体貯留部42に貯留された鋳物砂FSを吸引して洗浄媒体流通管21の吸引口21sに供給する吸引洗浄媒体供給管6と、をさらに備えた。
これによると、鋳物品載置台3に載置された鋳物品Wに固まって付着している鋳物砂FSは、洗浄媒体噴出装置2により鋳物砂FSが吹き付けられて、鋳物砂FSの塊が砕かれて除去される。除去された鋳物砂FSおよび噴出された鋳物砂FSは、ホッパ4の洗浄媒体貯留部42に貯留される。洗浄媒体貯留部42に貯留された鋳物砂FSは、吸引洗浄媒体供給管6から吸引されて、次の鋳物品Wの洗浄に使用される。このように、専用の洗浄媒体を用意する必要がなく、吹き付けた鋳物砂FSを無駄なく繰り返し使用することができる。
【0034】
鋳物砂除去装置1において、吸引洗浄媒体供給管6には、吸引洗浄媒体供給管6による鋳物砂FSの吸引を遮断する洗浄媒体供給遮断装置(電磁切替弁7)を備えている。
これによると、洗浄媒体噴出装置2は、洗浄媒体として使用する鋳物砂FSの供給を遮断することで、洗浄媒体噴出装置2からの圧縮エアCAのみの噴出を可能とし、高速エアを噴出するエア噴出装置としても使用することができる。エア専用の装置を設ける必要がないので、設備コストの軽減を図ることができる。
【0035】
また、洗浄媒体噴出装置2は、6軸ロボット8の第三リスト82c(先端操作軸)に支持されている。
これによると、6軸ロボットの先端操作軸に支持して使用することで、作業者に粉塵による負担を生じさせること無く自動で鋳物品Wの鋳物砂FSの除去を細部に亘って実行することができる。鋳物品Wの種類によって鋳物砂FSが除去されにくい箇所がある。そのような鋳物砂FSが除去されにくい箇所を、鋳物品Wの種類毎にデータ化して予めプログラムし、6軸ロボットにより除去されにくい箇所に重点的に鋳物砂FSを吹き付けることで、効率よく鋳物砂FSの除去作業を行なうことができる。
【0036】
(第二実施形態)
以下、本発明に係る洗浄媒体噴出装置2および鋳物砂除去装置101の第二実施形態について図9を参照して説明する。
第二実施形態の鋳物砂除去装置101は、鋳物砂FSを除去する鋳物品Wを収容する粉体密封容器102を備え、粉体密封容器102の内部には、エア供給管11および吸引洗浄媒体供給管6が導入されている。また、ワークとしての鋳物品Wを搬送するコンベヤ装置103が設けられ、洗浄媒体噴出装置2は、粉体密封容器102内に図略のスタンド装置により固定されている。また、第二実施形態における鋳物品載置台は、コンベヤ装置103に直角に連結し粉体密封容器102内まで延在する分枝コンベヤ装置109である。これらの点において第一実施形態と相違し、その他の点はその構成が同様であるので、同じ符号を付与して説明を省略する。
【0037】
粉体密封容器102は、例えば、矩形箱状の容器であり、鋳物品載置台3に載置された鋳物品Wを覆って密封する縦壁部102aおよび天壁部102bと、縦壁部102aの一面(図9において左側の面)に設けられた開閉導入口102cと、を有している。粉体密封容器102は、図略のフィルタ付通気口を介して容器内と外気とは流通可能になっている。粉塵は、フィルタによって遮断され粉体密封容器102の外に漏れないように構成されている。鋳物品載置台3とホッパ104との間には、傾斜面部1041の上端と縦壁部102aの下端とを図略の気密材により気密状態を保持して接続する連結部105を備えている。
【0038】
縦壁部102aの四面には、各壁面に複数の洗浄媒体噴出装置2のエア供給管11および吸引洗浄媒体供給管6が夫々貫通し、洗浄媒体噴出装置2が粉体密封容器102内に導入されている。エア供給管11および吸引洗浄媒体供給管6は、気密材106によって縦壁部102aとの気密状態が保持された状態で途中部分が固定されている。洗浄媒体噴出装置2は、図略のスタンド装置によって、粉体密封容器102内における鋳物品Wの四方から3台ずつ該当箇所に対向させて支持されるようになっている。
【0039】
開閉導入口102cは、図略の昇降モータにより昇降する昇降ドア102c1が設けられている。昇降モータの駆動は、制御装置Cによって制御される。昇降ドア102c1が開放されているときに、例えば、図略の電気モータで駆動される分枝コンベヤ装置109により鋳物品Wがコンベヤ装置103上から洗浄作業位置WPに搬送される。
【0040】
また、傾斜面部1041は、傾斜面部1041の一部に設けられた可動面1041aを開閉させる開閉機構1042を備えている。開閉機構1042として、例えば、シリンダピストン機構1042aがある。シリンダピストン機構1042aは、例えば、シリンダ部1042a1が図略のエアパイプにより圧縮エア供給源5に連通され、シリンダ部1042a1と圧縮エア供給源5との間は、図略の電磁切替弁が設けられている。電磁切替弁は、制御装置Cにより作動が制御される。
圧縮エアで駆動するシリンダピストン機構1042aによって、回動アーム1042bを洗浄媒体貯留部42の上端に固定した回動軸1042cを中心に回転させて可動面1041aにより傾斜面部1041に開口を形成する。傾斜面部1041が、可動面1041aが形成する開口を閉止したときに、粉体密封容器102と洗浄媒体貯留部42との間が密封され、傾斜面部1041に鋳物砂FSが貯まるようになっている。傾斜面部1041は、可動面1041aにより開口を形成したときに傾斜面部1041から鋳物砂FSが洗浄媒体貯留部42に落下するようになっている。
【0041】
コンベヤ装置103は、図略の電気モータで駆動するローラコンベヤであって、冷却されて鋳型から取り出された鋳物品Wが搬送される。コンベヤ装置103の下方には、図略の砂受け樋部を備えた砂受け装置107が設けられている。砂受け装置107は、洗浄媒体貯留部42に連絡する連絡路107aを有し、砂受け装置107に落下した鋳物砂FSが洗浄媒体貯留部42に集められるようになっている。ローラコンベヤの電気モータの駆動は、制御装置Cによって制御される。コンベヤ装置103の粉体密封容器102に対向する位置には、直角方向に粉体密封容器102内にまで延在する分枝コンベヤ装置109が設けられている。分枝コンベヤ装置109は、図略の電気モータで駆動し、この電気モータの駆動は制御装置Cによって制御される。コンベヤ装置103と分枝コンベヤ装置109との間には、図略の直角移載機構が設けられ、直角移載機構によって鋳物品Wの搬送方向をコンベヤ装置103の搬送方向と分枝コンベヤ装置109の搬送方向とのいずれかに切り替えて搬送可能になっている。
コンベヤ装置103には、鋳物品Wが搬送されてきたことを検知する位置検知センサ108が設けられ、位置検知センサ108は、鋳物品Wが粉体密封容器102に対向する位置に搬送されたことを検知した場合に、制御装置Cに検知信号を送信する。制御装置Cは、コンベヤ装置103を停止させ、直角移載機構によって鋳物品Wの搬送方向を分枝コンベヤ装置109で搬送する方向に切り替える。分枝コンベヤ装置109は、鋳物品Wを粉体密封容器102内の洗浄作業位置WPに搬送するよう構成されている。洗浄作業位置では、分枝コンベヤ装置109(鋳物品載置台)上の鋳物品Wを把持して固定するクランプ装置110が設けられている。(鋳物品Wは、クランプ装置110によって分枝コンベヤ装置109上に着脱可能に固定されている)。鋳物品Wを分枝コンベヤ装置109で搬送する際には、昇降ドア102c1は、上昇されて開閉導入口102cを開放させる。鋳物品Wが粉体密封容器102内の洗浄作業位置WPに搬送されたとき、昇降ドア102c1は、下降されて粉体密封容器102からの粉塵の出入りを密封する。
【0042】
(作動)
次に上記のように構成された鋳物砂除去装置101の作動について、図9に基づき説明する。
なお、傾斜面部1041は、可動面1041aが閉止した状態で保持されている。
制御装置Cは、コンベヤ装置103を駆動させて鋳物品Wを搬送する。搬送された鋳物品Wが粉体密封容器102に対向する位置に搬送されると、位置検知センサ108が鋳物品Wの接近を検知し、電気モータを停止させることで、コンベヤ装置103の駆動を停止させる。
【0043】
次に、制御装置Cは、開閉導入口102cの昇降ドア102c1を開放し、コンベヤ装置103に直角に設けられた分枝コンベヤ装置109により鋳物品Wを粉体密封容器102内に搬送する。粉体密封容器102内に搬送された鋳物品Wは、クランプ装置110によって把持され、洗浄作業位置WPで載置されて固定される。
【0044】
次に、制御装置Cは、圧縮エア供給源5(高圧エアポンプ)を駆動させて、圧縮エアCAをエア供給管11より、各洗浄媒体噴出装置2のエア流通路CAPに圧縮エアCAを供給する。そして、第一実施形態と同様にして、各洗浄媒体噴出装置2は、洗浄媒体貯留部42に貯留された鋳物砂FSを吸引洗浄媒体供給管6を経由して吸引する。吸引された鋳物砂FSは、洗浄媒体流通管21の吐出口21vより吐出して鋳物品Wの固まった鋳物砂FSが付着した箇所に吹き付けられる。鋳物品Wに固まった状態で付着した鋳物砂FSは、粉体密封容器102内の四方から吹き付けられる鋳物砂FSにより細かく破砕されて除去される。このように四方から同時に吹き付けを行うことで、固まって付着した鋳物砂FSを鋳物品Wから迅速に除去することができる。
このとき、粉体密封容器102内には、吹き付けられる鋳物砂或いは除去される鋳物砂によって粉塵が容器内に充満するが、粉体密封容器102は、粉塵が容器外に出ないように密封されている。
【0045】
次に、制御装置Cは、鋳物砂FSの除去が終了したと判断した場合は、圧縮エア供給源5の駆動を停止させる。鋳物砂FSの除去が終了したことの判断は、例えば、予め実験等で調べられた時間毎の除去状況データに基づく設定時間の経過で行なうことができる。
【0046】
次に、制御装置Cは、シリンダピストン機構1042aを駆動させ、回動アーム1042bを回動させて傾斜面部1041の一部を開放する。これによって、傾斜面部1041に集められた鋳物砂FSは、洗浄媒体貯留部42に落下して貯留される。
制御装置Cは、貯留が終了すると、傾斜面部1041の可動面1041aを回動させて閉止する。
制御装置Cは、鋳物砂FSが除去された鋳物品Wを分枝コンベヤ装置109によって粉体密封容器102内から搬出してコンベヤ装置103に載置する。そして、コンベヤ装置103を駆動させて鋳物品Wを次工程に搬送する。
【0047】
(まとめ)
第二実施形態の鋳物砂除去装置101において、エア供給管11および吸引洗浄媒体供給管6が導入され、鋳物品Wを着脱可能に収容する粉体密封容器102をさらに備えた。
これによると、鋳物品Wを粉体密封容器102に収容した状態で、容器内部にエア供給管11および吸引洗浄媒体供給管6が導入された洗浄媒体噴出装置2による洗浄を行うので、作業者のいる室内に粉塵が漏れることのないクリーンな作業環境を維持することができる。
【0048】
なお、上記実施形態において、整流部材としての整流板部材23の整流板の数を22枚としたがこれに限定されず、例えば15枚から30枚の整流板を使用することができる。また、整流板部材23は、前方縮径部23fsと前方斜面部23asとが、設けられたものに限定されない。例えば、別例1として図10に示す整流板部材123のように、整流板123aに前方斜面部123asが形成されているが、円筒ベース部123bに前方縮径部が形成されていなくともよい。この整流板部材123の場合、上記実施形態における整流板部材23よりも、エア流通路CAP内の後方に配置できる。さらに、前方縮径部および前方斜面部の両方が形成されていない整流部材でもよい。
【0049】
また、整流部材は、板状の整流板を備え隣接する整流板23aの間に絞り流通路24を形成する整流板部材23としたが、これに限定されない。例えば、別例2として図11および図12に示すように、整流部材133は、絞り流通路としての複数の円形の通気穴134がエア流通外周壁22と洗浄媒体流通管21と間に周方向に所定間隔で配設されたものでもよい。整流部材133は、洗浄媒体流通管21に例えば圧入で外嵌する嵌合穴133aを有する。そして、複数の通気穴134は、洗浄媒体流通管21の中心線CLに沿った方向に延在している。そのため、これらの複数の通気穴134を通過する圧縮エアCAは、複数の流れに分けられて流路が絞られるとともに、中心線CL方向に沿って整流される。また、整流部材133の前方側には、エア流通外周壁22の内周部分の縮径部22fに沿って前方に向って外径が縮径される前方縮径部133fsが形成されている。なお、整流部材133に絞り流通路として使用される通気穴134の形状は、円形に限定されない。例えば、楕円形、多角形などでもよい。
【0050】
また、整流部材143は、別例3として図13図15に示すように、エア流通外周壁22に角部が当接する略四角柱状のものとし、四角柱の四つの外側面143bとエア流通外周壁22の内周面との間で、絞り流通路144が形成され、エア流通路CAPの断面積を減少させる構造としてもよい。整流部材143は、洗浄媒体流通管21に例えば圧入で外嵌する嵌合穴143aを有する。この場合においても、四角柱の四つの外側面143bとエア流通外周壁22との間を通過する圧縮エアCAは、複数(本実施形態では四つ)の流れに分けられて流路が絞られるとともに、中心線CL方向に沿って整流される。また、整流部材143の前方側には、エア流通外周壁22の内周部分の縮径部22fに沿って前方に向って外径が縮径される前方縮径部143fsが形成されている。なお、この場合の整流部材は、四角柱状に限定されず、例えば、三角柱状、五角柱状などの多角柱状のものでもよい。
また、整流部材23は、一体の部材で複数の絞り流通路24を形成するものとしたが、これに限定されない。例えば、複数の部材で複数の絞り流通路を形成する構成のものでもよい。
【0051】
また、洗浄媒体供給遮断装置は、電磁切替弁7としたがこれに限定されず、単純にON・OFFができる弁であればよい。また、作業者が洗浄媒体噴出装置2を手で把持して作業を行なう場合のために、鋳物砂の流通のON・OFFを手元で切り替える機構を洗浄媒体噴出装置に設けてもよい。
また、洗浄媒体を造型に使用された鋳物砂FSとしたが、これに限定されない。例えば、造型とは別に用意した砂でもよい。
また、洗浄媒体は、鋳物砂FSに限定されず、例えば、鋳型から鋳物品Wを取り出すときに使用される離型剤でもよい。離型剤として、例えば雲母を含有させた水を挙げることができる。この場合は、元来、離型剤として使用されているものなので、特別に離型剤を除去するためのさらなる除去工程を必要としない。
また、多軸ロボットを6軸ロボット8としたが、これに限定されない。例えば5軸ロボットや7軸ロボットを使用することができる。
また、粉体密封容器102を矩形箱状としたが、これに限定されず、例えば円筒状でもよい。
また、ホッパ4,104と鋳物品載置台3との間に、鋳物砂を篩にかける振動可能な篩機構を設けてもよい。篩機構によって細かく破砕した鋳物砂FSのみを洗浄媒体噴出装置2による吹き付けに使用することができる。
【0052】
斯様に、上記した実施の形態で述べた具体的構成は、本発明の一例を示したものにすぎず、本発明はそのような具体的構成に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の態様を採り得るものである。
【符号の説明】
【0053】
1…鋳物砂除去装置、11…エア供給管、2…洗浄媒体噴出装置、21…洗浄媒体流通管、21s…吸引口、21t…終端部分、21v…吐出口、21ve…吐出口端面、22…エア流通外周壁、22c…絞り噴出部、22d…噴出口、22de…噴出口端面、23…整流板部材(整流部材)、24…絞り流通路、3…鋳物品載置台、4…ホッパ、42…洗浄媒体貯留部、5…圧縮エア供給源、6…吸引洗浄媒体供給管、7…電磁切替弁(洗浄媒体供給遮断装置)、8…6軸ロボット(多軸ロボット)、101…鋳物砂除去装置、102…粉体密封容器、104…ホッパ、109…分枝コンベヤ装置(鋳物品載置台)、123…整流板部材(整流部材)、133…整流部材、134…通気穴(絞り流通路)、143…整流部材、144…絞り流通路、CA…圧縮エア、CAP…エア流通路、CL…中心線、FS…鋳物砂(洗浄媒体)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15