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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-31
(45)【発行日】2022-02-18
(54)【発明の名称】フェイスシールド
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/11 20060101AFI20220201BHJP
   A62B 18/02 20060101ALI20220201BHJP
【FI】
A41D13/11 H
A41D13/11 L
A41D13/11 Z
A62B18/02 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020164493
(22)【出願日】2020-09-30
【審査請求日】2020-09-30
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、権利譲渡・実施許諾の用意がある。
(73)【特許権者】
【識別番号】518000523
【氏名又は名称】株式会社河内
(73)【特許権者】
【識別番号】504155293
【氏名又は名称】国立大学法人島根大学
(74)【代理人】
【識別番号】100111132
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 浩
(72)【発明者】
【氏名】大前 敦司
(72)【発明者】
【氏名】中村 守彦
【審査官】森本 哲也
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第111264923(CN,A)
【文献】登録実用新案第3227824(JP,U)
【文献】登録実用新案第3227932(JP,U)
【文献】特開2021-179066(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 13/11
A62B 18/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透視性及び可撓性を有する樹脂板からなり顔面を被覆するシールド面と、
可撓性を有する帯状の樹脂板からなり、前記シールド面に取設されて頭部に前記シールド面を着脱可能に装着させるバンドと、を備え、
前記シールド面は、
前記バンドを挿通させる挿通領域と、
前記挿通領域に延設され前記顔面を被覆するマスク領域と、
前記挿通領域に形成され前記バンドを挿通させる一対の切込みと、を備え、
前記バンドは、
前記バンドを前記頭部に装着した際鉛直上方側長辺に設けられ、前記長辺において前記バンドの平面方向でかつ前記バンドから離れる方向に突設されて前記切込みの端部に掛止される一対の突起と、
前記バンドの長手方向端部寄りに設けられ前記バンドを環状に保持する連結構造と、を備え、
前記突起間の前記バンドは、平面視した際に前記バンドの平面方向でかつ前記突起が突出している方向に突状に湾曲している湾曲領域を備え
一対の前記切込み間の最短距離L は、一対の前記突起間の距離L よりも大きいことを特徴とするフェイスシールド。
【請求項2】
透視性及び可撓性を有する樹脂板からなり顔面を被覆するシールド面と、
可撓性を有する帯状の樹脂板からなり、前記シールド面に取設されて頭部に前記シールド面を着脱可能に装着させるバンドと、を備え、
前記シールド面は、
前記バンドを挿通させる挿通領域と、
前記挿通領域に延設され前記顔面を被覆するマスク領域と、
前記挿通領域に形成され前記バンドを挿通させる一対の切込みと、を備え、
前記バンドは、
その長辺において前記バンドの平面方向でかつ前記バンドから離れる方向に突設されて前記切込みの端部に掛止される一対の突起と、
いずれかの前記突起の近傍でかつ前記長辺に形成される第2の切欠きと、
前記バンドの長手方向端部寄りに設けられ前記バンドを環状に保持する連結構造と、を備え、
一対の前記切込み間の最短距離L は、一対の前記突起間の距離L よりも大きく設定され、
前記第2の切欠きとこの第2の切欠きからより離れた場所に位置する前記突起間の距離Lは、前記最短距離Lと同じであり、
前記シールド面及び前記バンドは組立て前の状態において、一対の前記切込みに前記バンドが挿通され、かつ一方の前記切込みに一方の前記突起が掛止され、かつ他方の前記切込みに前記第2の切欠きが掛止されていることを特徴とするフェイスシールド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛沫等から顔面を保護するためのフェイスシールドに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ウィルス感染症(例えばCOVID-19等)の蔓延に伴い、空気中に飛散するウィルスを含んだ飛沫等の汚染物質から顔面を保護するための保護具の需要が高まっている。
上述のような顔面保護具に関する先願としては、例えば以下に示すようなものが開示されている。
【0003】
特許文献1には「フェイスプロテクター」という名称で、飛沫や風などから顔面を保護するためのフェイスプロテクターに関する考案が開示されている。
特許文献1に開示される考案であるフェイスプロテクターは、同文献中の図1に記載される符号をそのまま用いて説明すると、人体の前頭部からこめかみ近傍にかけて当接する当接部102と、この当接部102の当接状態を保持する保持部材104と、当接部102から前方へ突出する、人体の顔面を覆う、透明のシート状のプロテクター101と、当接部102の両端部に付設され、そのプロテクター101を少なくとも左右方向へ突設するスペーサ103とを備えてなるものである。
上記構成の特許文献1に開示される考案によれば、眼鏡をかけた状態でもプロテクターと眼鏡とが干渉せず、かつプロテクターの内側に熱や湿気がこもってプロテクター101が曇るのを防止できる。
【0004】
特許文献2には「フェースガード」という名称で、使用者の顔面の少なくとも一部を覆うフェースガードに関する考案が開示されている。
特許文献2に開示される考案であるフェースガードは、同文献中の図1に記載される符号をそのまま用いて説明すると、使用者の顔面の少なくとも一部を覆う透明性のシールド部2と、このシールド部2を支持するフレーム部1とを備え、フレーム部1は、使用者の前頭部から両側頭部に向かって延びる形状を有し、使用者の頭部に装着される頭部装着部11と、頭部装着部11に沿って延び、両側頭部の係止位置14において頭部装着部11に係止され、係止位置14間において頭部装着部11から離間し、より前方に配置されるシールド支持部12と、前頭部において頭部装着部11の縁部及びシールド支持部12の縁部を連結するブリッジ部13と、を有し、シールド部2が、柔軟性を有するシート状部材からなり、シールド支持部12に取り付けられ、シールド支持部12から垂下され、フレーム部1が、1枚のシート状部材の折り曲げ加工により形成されることを特徴とするものである。
上記構成の特許文献2に開示される考案によれば、シート状部材の折り曲げ加工により、所定の構造的強度を有するフレーム部を形成することができる。このため、特許文献2に開示される考案によれば、極めて軽量であり、低いコストでフェースガードを製造することができる。また、組み立て前のシールド部及びフレーム部は、いずれもシート状部材であることから、省スペースで保管することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実用新案登録第3227460号公報
【文献】実用新案登録第3227233号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の特許文献1に開示される考案の場合は、樹脂板からなるヘッドバンドやプロテクター(顔面保護部材)の他に、紐やストッパを別途準備する必要があり、部品点数が多く製造コストを安価にし難いという課題があった。
さらに、特許文献1に開示される考案の場合は、その使用に先立って、ヘッドバンドを折り曲げ加工し、さらにこの折り曲げ加工部分に紐を挿通させる等の作業を行う必要があり、フェイスプロテクターの使用を開始するまでに手間がかかるという課題があった。
【0007】
特許文献2に開示される考案の場合も、その使用に先立って樹脂板からなるフレーム部を折り曲げ加工し、さらにこの折り曲げ加工したフレーム部に別体の樹脂板からなるシールド部を取付けてから、フレーム部に輪ゴムを係止する等の一連の作業を行う必要がある。
したがって、特許文献2に開示される考案の場合も、フェースガードの使用を開始するまでに手間がかかるという課題があった。
【0008】
本発明はかかる従来の事情に対処してなされたものでありその目的は、シンプルな構造で、かつ組立が容易ですぐに使用を開始できるフェイスシールドを提供することにある。
さらに、本発明は、装着対象の頭部からフェイスシールド取り外すことなく顔面を覆うガードを顔面から跳ね上げて離間させて、その状態を保持しておくことができるフェイスシールドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための第1の発明であるフェイスシールドは、透視性及び可撓性を有する樹脂板からなり顔面を被覆するシールド面と、可撓性を有する帯状の樹脂板からなり、シールド面に取設されて頭部にシールド面を着脱可能に装着させるバンドと、を備え、シールド面は、バンドを挿通させる挿通領域と、この挿通領域に延設され顔面を被覆するマスク領域と、挿通領域に形成されバンド挿通させる一対の切込みと、を備え、バンドは、その長辺においてバンドの平面方向でかつバンドから離れる方向に突設されて切込みの端部に掛止される一対の突起と、バンドの長手方向端部寄りに設けられバンドを環状に保持する連結構造と、を備え、一対の切込み間の最短距離Lは、一対の突起間の距離Lよりも大きいことを特徴とするものである。
上記構成の第1の発明においてシールド面は、顔面の全域を被覆して保護するという作用を有する。また、バンドは、シールド面に取設されて、顔面の正面側でかつ顔面から離間した位置にシールド面保持するという作用を有する。
また、シールド面の挿通領域は一対の切込みを備え、この切込みにバンドを挿通させることで、バンドにシールド面を掛止させるという作用を有する。さらに、シールド面のマスク領域は、顔面の正面側に常時配設されることでウィルス等を含む有害な飛沫が顔面に付着するのを防ぐという作用を有する。
さらに、バンドが連結構造を備えていることで、このバンドを環状に保持することが可能になり、頭部へのバンドの装着を可能にするという作用を有する。
加えて、バンドの長辺に一対の突起を設け、かつこの一対の突起間の距離Lが一対の切込み間の最短距離Lよりも小さくなるよう設定しておくことで、バンドにシールド面を掛止した際に、常時シールド面を顔面の正面側に向かって突状をなすように湾曲させた状態で保持させるという作用を有する。
【0010】
第2の発明であるフェイスシールドは、上述の第1の発明であって、一対の突起は、バンドを頭部に装着した際に鉛直上方側に配される長辺に設けられ、一対の切込みは、頭部にフェイスシールドを装着した状態で正面から見た際に「ハ」字状をなしていることを特徴とするものである。
上記構成の第2の発明は、上述の第1の発明による作用と同じ作用を有する。さらに、上記構成の第2の発明において、シールド面に形成される一対の切込みが「ハ」字状をなしていることで、つまりバンドの長手方向に対して傾斜(直交を含まない概念である)するように一対の切込みが形成されていることで、第2の発明であるフェイスシールドを頭部に装着した際に、頭頂部から顎に向かうにつれて顔面からシールド面がより離間するように、シールド面をバンドに保持させるという作用を有する。
加えて、第2の発明において、シールド面に形成される一対の切込みが「ハ」字状をなしている場合は、シールド面におけるバンドの挿通位置を支点にして、シールド面を鉛直上方側に跳ね上げるように顔面から離間させる動作を行うことが可能になる。
【0011】
第3の発明であるフェイスシールドは、上述の第2の発明であって、シールド面は、頭部に前記フェイスシールドを装着した状態で正面から見た際の左右側縁の少なくともいずれかに、シールド面の平面方向でかつシールド面から離れる方向に突設され、かつ鉛直上方側を向いているフックを備えていることを特徴とするものである。
上記構成の第3の発明は、上述の第2の発明による作用と同じ作用を有する。さらに、上記構成の第3の発明において、フックは、シールド面をバンドの挿通位置を支点にして鉛直上方側に跳ね上げた際に、バンドの鉛直下方側に配される長辺に掛止される。
この結果、第3の発明におけるシールド面がフックを備えていることで、フェイスシールドの装着時に、シールド面を鉛直上方側に跳ね上げた状態のまま保持しておくことが可能になる。
【0012】
第4の発明であるフェイスシールドは、上述の第1乃至第3のいずれかの発明であって、一対の突起は、バンドを頭部に装着した際に鉛直上方側に配される長辺に設けられ、突起間のバンドは、平面視した際にバンドの平面方向でかつ突起が突出している方向に突状に湾曲している湾曲領域を備えていることを特徴とするものである。
上記構成の第4の発明は、上述の第1乃至第3のそれぞれの発明による作用と同じ作用を有する。さらに、上記構成の第4の発明において、バンドが一対の突起間に湾曲領域を備えていることで、第4の発明であるフェイスシールドの使用時に、バンド上に配されるシールド面の切込み位置が、バンドに形成される一対の突起間の中央側に意図せず移動してしまった際に、湾曲領域の下り傾斜を利用してシールド面の切込み位置を元の位置に戻す作業を容易にするという作用を有する。
【0013】
第5の発明であるフェイスシールドは、上述の第1乃至第4のいずれかの発明であって、バンドは、平面視した際に一対の突起のそれぞれに隣接する位置で、かつ突起同士の内側に、凹状の第1の切欠きを備えていることを特徴とするものである。
上記構成の第5の発明は、上述の第1乃至第4のそれぞれの発明による作用と同じ作用を有する。さらに、第5の発明においてバンドがそれぞれの突起の隣接する位置に第1の切欠きを備えていることで、シールド面に形成される切込みの端部を第1の切欠き内に落とし込んで、そこに保持するという作用を有する。
この場合、第5の発明であるフェイスシールドの使用時に、バンド上におけるシールド面の切込み位置が、一対の突起間の中央側に意図せず移動してしまうのを抑制するという作用を有する。
【0014】
第6の発明であるフェイスシールドは、上述の第1乃至第5のいずれかの発明であって、バンドは、いずれかの突起の近傍でかつこのバンドの長辺に形成される第2の切欠きを備え、第2の切欠きとこの第2の切欠きからより離れた場所に位置する突起間の距離Lは、一対の切込み間の最短距離Lと同じであることを特徴とするものである。
上記構成の第6の発明は、上述の第1乃至第5のそれぞれの発明による作用と同じ作用を有する。さらに、第6の発明においてバンドが、第2の切欠きを備えかつ、第2の切欠きと、この第2の切欠きからより離れた場所に位置する突起の間の距離Lが、一対の切込み間の最短距離Lと同じになるよう設定しておくことで、第2の切欠きと、この第2の切欠きからより離れた場所に位置する1つの突起により、シールド面にバンドを挿通した状態でフェイスシールドを提供する際に、シールド面とバンドの位置関係を一定にするという作用を有する。
この場合、バンドの第2の切欠きに配設されているシールド面の切込みの端部を、この第2の切欠きの近傍に配設されるバンドの突起に移動して掛止するだけで、使用前のフェイスシールドにおけるシールド面のセッティング作業を完了することができる。
【0015】
第7の発明であるフェイスシールドは、上述の第1乃至第6のいずれかの発明であって、バンドは、一対の突起間の領域とそれ以外の領域を区別するための目印又は着色領域を備えていることを特徴とするものである。
上記構成の第7の発明は、上述の第1乃至第6のそれぞれの発明による作用と同じ作用を有する。さらに、第7の発明では、バンドが一対の突起間の領域とそれ以外の領域を区別するための目印又は着色領域を備えていることで、フェイスシールドを組立てる際に、バンド上の目的とする位置にシールド面に形成される切込みを配設する作業を容易にするという作用を有する。
さらに、第7の発明では、組立済のフェイスシールドを使用する際に、バンドにおける一対の突起間の領域が、頭部の前額に配されるようにバンドを頭部に装着すればよい。
このため、第7の発明においてバンドが上述のような目印又は着色領域を備えることで、使用者に第7の発明であるフェイスシールドの適切な組立作業及び使用を促すという作用を有する。
【発明の効果】
【0016】
上述のような第1の発明によれば、頭部にフェイスシールドを装着した際にバンドの曲率よりもガードの曲率を大きくすることができる。このことは、頭部にバンドを密着させながら巻回して装着した場合でも、シールド面と顔面の間に適度な空隙を確保できることを意味している。
また、第1の発明によれば、上述のように顔面から適度にシールド面を離間させた状態で保持するための構造を、シールド面とバンドの2つの平板状のパーツのみで実現することができる。
つまり、第1の発明であるフェイスシールドは、不使用時にはシールド面とバンドを単に積層しただけのフラットな状態にしておくことができるので、搬送時や保管時にフェイスシールドが嵩張るのを防ぐことができる。
よって、コンパクトな形態で機能性の高いフェイスシールドを廉価に提供することができる。
【0017】
第2の発明は、上述の第1の発明による効果と同じ効果を有する。さらに、第2の発明によれば、組立後のフェイスシールドを頭部に装着した際に、頭頂部から顎に向かうにつれて顔面からシールド面がより離間するように、シールド面をバンドに保持しておくことができる。
この場合、頭部の前額からシールド面の内側面までの距離よりも、口や鼻からシールド面の内側面までの距離が相対的に大きくなる。このため、第2の発明であるフェイスシールドの装着時に使用者が感じる息苦しさ等の不快感を軽減しつつ、使用者の吐息によりシールド面の内側が曇るのを防止できる。
よって、第2の発明によれば、使用中に息苦しさを感じることなく、かつ使用時にシールド面が曇ってしまって前が見えないといった不具合が生じ難い高性能なフェイスシールドを提供することができる。
さらに、第2の発明によれば、シールド面におけるバンドの挿通位置を支点にして、シールド面を鉛直上方側に跳ね上げるように顔面から離間させる動作を行うことができる。このため、使用者は第2の発明であるフェイスシールドを装着したまま、食事をする、あるいは自らの顔面に対して必要なケアを行うことができる。
この場合、フェイスシールドの使用中に、食事や顔面に対するケアのために使フェイスシールドを取外して周囲に置いておく必要がなくなる。このため、フェイスシールドが汚損されるリスクを低減でき、しかもフェイスシールドの置き忘れによる紛失も防ぐこともできる。
【0018】
第3の発明は、上述の第2の発明による効果と同じ効果を有する。さらに、第3の発明によれば、シールド面を鉛直上方側に跳ね上げるように顔面から離間させた際に、フックを利用してその状態を保持しておくことができる。
よって、第3の発明によれば、使用者がフェイスシールドを装着したまま食事をしたり、顔面に対するケアを行ったりする際に、シールド面が跳ね上げられた状態を維持し続けるために、使用者が自らの手でシールド面を支えておく必要がなくなる。
よって、第3の発明によれば、使用者はフェイスシールドの装着時に、シールド面が鉛直上方側に跳ね上げられた状態のまま両手を使って作業することができる。
したがって、第3の発明によれば、より高性能で利便性に優れたフェイスシールドを提供することができる。
【0019】
第4の発明は、上述の第1乃至第3のそれぞれの発明による効果と同じ効果を有する。さらに、第4の発明において、一対の突起同士の間のバンドが湾曲領域を備えていることで、バンド上におけるシールド面の切込み位置が意図せず一対の突起同士の中間側に移動してしまった場合(ずれてしまった場合)に、湾曲領域の外縁をなす下り傾斜を利用して、シールド面の切込み位置を適切な位置(突起に隣接する位置)に容易に戻すことができる。
また、第4の発明では、シールド面の切込み位置が突起同士の中間側に意図せず移動しようとする際に、シールド面に形成される切込みは、バンドに形成される湾曲領域の外縁をなす傾斜を登るように移動する必要がある。このため、第4の発明では、バンドの湾曲領域の形態そのものによっても、シールド面の切込み位置が、バンドにおける一対の突起同士の中間側に移動するのを抑制することができる。
したがって、第4の発明によれば、使用時にバンドに掛止されるシールド面の位置ずれが起こり難く、しかも万一シールド面の位置ずれが起きた場合でも容易に元の位置に戻すことができるフェイスシールドを提供することができる。
よって、第4の発明によれば、装着時にシールド面の位置ずれが起こり難い高性能なフェイスシールドを提供することができる。
【0020】
第5の発明は、上述の第1乃至第4のそれぞれの発明による効果と同じ効果を有する。さらに、第5の発明では、バンドが第1の切欠きを備えていることで、バンドにシールド面を湾曲させた状態で掛止した際に、バンド上におけるシールド面の切込み位置が、バンドに形成される一対の突起の中央側に意図せず移動するのを好適に防ぐことができる。
よって、第5の発明によれば、使用中にバンド上におけるシールド面の位置ずれが一層起こり難い高性能なフェイスシールドを提供することができる。
【0021】
第6の発明は、上述の第1乃至第5のそれぞれの発明による効果と同じ効果を有する。さらに、第6の発明では、使用前(組立前)の個々のフェイスシールドにおいて、シールド面とバンドの位置関係を一定にしておくことができる。
つまり、第6の発明では、シールド面の切込みに予めバンドが挿通され、かつバンドに形成される第2の切欠きからより離れた位置に設けられる突起を、予めシールド面の切込みに掛止した状態でフェイスシールドを使用者に提供することができる。
つまり、第6の発明では、使用前のフェイスシールドが、その組立て作業の一部を完了した状態で、すなわち半組立状態で使用者に提供されることになる。
そして、使用者は上記半組立状態のフェイスシールドにおいて、バンドの第2の切欠きに配設されているシールド面の切込みを、この第2の切欠きの近傍に設けられる突起に移動して掛止するだけで、バンドに対するシールド面のセッティング作業を完了することができる。
したがって、第6の発明によれば、簡単な作業を行うだけですぐに使用を開始できる利便性に優れたフェイスシールドを提供することができる。
しかも、第6の発明では、半組立状態のフェイスシールドが平坦状をなしているため、搬送時や収納時に嵩張ることがなく便利である。
よって、第6の発明によれば、迅速かつ容易に組立てることができる高性能なフェイスシールドをコンパクトな形態で提供することができる。
【0022】
第7の発明は、上述の第1乃至第6のそれぞれの発明による効果と同じ効果を有する。さらに、第7の発明では、バンドが目印又は着色領域を備えていることで、使用者は第7の発明であるフェイスシールドを頭部に装着する際に、バンドのどの部分を前額にあてがえばよいのかを容易に理解することができる。
この場合、使用者は第7の発明であるフェイスシールドを適切に使用することができるので、シールド面による顔面の保護効果を確実に発揮させることができる。
また、第7の発明が特に第6の発明を引用する場合は、バンドに設けられる目印又は着色領域と、シールド面に形成される一対の切込みとの相対的な位置関係から、バンド上にシールド面が適切にセッティングされているか否かを使用者は目視により容易に判断することができる。
したがって、第6の発明を引用する第7の発明によれば、使用者はフェイスシールドの組立状態の適否を確認してからその使用を開始することができる。
この場合、使用者によるフェイスシールドの適切な使用を促すことができるため、シールド面による顔面の保護効果を一層確実に発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】(a)本発明の実施形態に係るフェイスシールドにおけるシールド面の平面図であり、(b)同フェイスシールドにおけるバンドの平面図である。
図2】本発明の実施形態に係るフェイスシールドのシールド面にバンドを挿通した状態で、シールド面の裏面(顔面に相対する面)から見た平面図である。
図3】本発明の実施形態に係るフェイスシールドを組立てた状態を示す斜視図である。
図4】本発明の実施形態に係るフェイスシールドを装着した状態を示すイメージ図である。
図5】(a)本発明の実施形態に係るフェイスシールドにおいてシールド面が位置ずれを起こした状態を示す部分斜視図であり、(b)同フェイスシールドにおいてシールド面の位置ずれを修正した後の状態を示す部分斜視図である。
図6】本発明の実施形態に係るフェイスシールドに用いられるバンドの変形例を示す平面図である。
図7】本発明の実施形態に係るフェイスシールドの使用方法を説明するためのイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施形態に係るフェイスシールドについて図1乃至図7を参照しながら詳細に説明する。
【0025】
[1;本発明の基本構成について]
[1-1;基本構成の構造について]
はじめに、図1を参照しながら、本実施形態に係るフェイスシールドを構成する各パーツについて説明する。
図1(a)は本発明の実施形態に係るフェイスシールドにおけるシールド面の平面図であり、(b)は同フェイスシールドにおけるバンドの平面図である。
本実施形態に係るフェイスシールド1は、透視性及び可撓性を有する樹脂板からなり顔面12b(後段における図4を参照)を被覆する面状のシールド面2[図1(a)を参照]と、可撓性を有する帯状の樹脂板からなり、シールド面2に取設されて装着対象である頭部12(後段における図4を参照)にシールド面2を着脱可能に装着させるバンド4[図1(b)を参照]からなる。
また、本実施形態に係るフェイスシールド1のシールド面2は、図1(a)に示すように、バンド4を挿通させるための挿通領域2aと、平面視した際にこの挿通領域2aに延設されて顔面12b(後段における図4を参照)を被覆するマスク領域2bと、上記挿通領域2aの左右側縁寄りに形成されてバンド4を挿通させるための一対の切込み3,3とを備えている。
さらに、本実施形態に係るフェイスシールド1のバンド4は、その長辺4aにおいてバンド4の平面方向でかつバンド4から離れる方向に突設され、かつシールド面2に形成される切込み3の端部に掛止される一対の突起5,5と、バンド4の長手方向端部4b, 4b寄りに設けられバンド4を環状に保持するための連結構造8とを備えている。
加えて、本実施形態に係るフェイスシールド1では、図1(a)に示すように、シールド面2の挿通領域2aに形成される一対の切込み3,3間の最短距離Lが、バンド4に形成される一対の突起5,5間の距離Lよりも大きくなるよう構成されている。
なお、図1では、バンド4を頭部12(図4を参照)に装着した際に、鉛直上方側に配される長辺4aに一対の突起5,5を形成する場合を例に挙げているが、一対の突起5,5は、頭部12にバンド4を装着した際に鉛直下方側に配される長辺4aに形成されてもよい。
【0026】
図2は本発明の実施形態に係るフェイスシールドのシールド面にバンドを挿通した状態で、シールド面の裏面(顔面に相対する面)から見た平面図である。なお、図1に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
上述のような本実施形態に係るフェイスシールド1は、使用者に提供する際に、図1に示すようにシールド面2とバンド4を分離された状態で別々に提供してもよいし、例えば図2に示すようにシールド面2に形成される一対の切込み3,3にバンド4を挿通させた状態(半組立状態)で提供してもよい(任意選択構成要素)。
【0027】
また、特にシールド面2に形成される一対の切込み3に予めバンド4を挿通した状態で本実施形態に係るフェイスシールド1を提供する場合は、例えば図2に示すように、バンド4の長手方向に対して交差する方向に折り目9を設けておき、この折り目9においてバンド4をシールド面2上(又はバンド4の中央側)に折り畳んだ状態で使用者に提供してもよい(任意選択構成要素)。
この場合、平面視した際のフェイスシールド1の外形寸法を小さくすることができる。この場合は、本実施形態に係るフェイスシールド1をコンパクトな形態で提供できるので、その搬送や保管に必要なスペースを小さくできて便利である。
なお、図1(b)及び図2では、バンド4に一対の折り目9を形成する場合を例に挙げて説明しているが、折り目9は1つのみでもよい。
【0028】
[1-2;本発明の組立て方法及び使用方法について]
次に、図3,4を参照しながら本実施形態に係るフェイスシールド1の組立方法について説明する。
図3は本発明の実施形態に係るフェイスシールドを組立てた状態を示す斜視図である。また、図4は本発明の実施形態に係るフェイスシールドを装着した状態を示すイメージ図である。なお、図1,2に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
本実施形態に係るフェイスシールド1を組立てるには、先の図2に示すようにシールド面2の挿通領域2aに形成される一対の切込み3,3にバンド4を挿通してから、図3に示すように、シールド面2における一対の切込み3,3のそれぞれの外側に、バンド4の例えば長辺4aに設けられているそれぞれの突起5を配設して、シールド面2のそれぞれの切込み3の端部に、バンド4のそれぞれの突起5を掛止した状態にすればよい。
【0029】
先にも述べたが、本実施形態に係るフェイスシールド1では、シールド面2に形成される一対の切込み3,3間の最短距離Lが、バンド4に形成される一対の突起5,5間の距離Lよりも大きくなるよう構成されている(先の図1,2を参照)。
このため、シールド面2に形成される一対の切込み3,3のそれぞれの端部に、バンド4に形成される突起5をそれぞれ掛止させると、バンド4上にシールド面2を湾曲させた状態で掛止することができる。つまり、図3に示すように、バンド4の長手方向の曲率よりも、同方向におけるシールド面2の曲率が大きくなる。
【0030】
さらに、バンド4の端部4b, 4b寄りに設けられる連結構造8を連結することで、より詳細にはバンド4の端部4b寄りに形成され連結構造8をなす挿通孔8b, 8bに、バンド4の端部4b寄りに形成され同じく連結構造8をなす係止用突起8aを挿通させることで、バンド4を環状に形成することができる。
また、本実施形態に係るフェイスシールド1では、バンド4の端部4b寄りの長辺4a及び長辺4aに鋸歯状の係止用突起8aを備えていることで、バンド4を環状に形成した際のバンド4の周長を所望に変更することができる。
なお、本実施形態では、連結構造8として上述のような挿通孔8b, 8b及び係止用突起8aからなる連結構造8を用いる場合を例に挙げて説明しているが、バンド4の端部4b, 4bを連結して環状するための構造は、上述されるものに特定される必要はなく、例えば面ファスナやスナップボタン等の従来公知の連結具を支障なく使用することができる。
【0031】
[1-3;本発明による作用・効果について]
そして、図3に示すような状態に組み立てられた本実施形態に係るフェイスシールド1を頭部12に装着した状態を示したものが図4である。
本実施形態に係るフェイスシールド1では、その組立時においてバンド4の長手方向の曲率よりも、同方向におけるシールド面2の曲率が大きくなる(図3,4を参照)。
このため、本実施形態に係るフェイスシールド1を装着した際に、シールド面2と顔面12bの間に適度な空隙を設けつつ、シールド面2により顔面12bの全域を被覆することができる。
この場合、使用者の吐息や体温によりシールド面2に曇りが生じる、あるいは使用者の鼻や口にシールド面2が密接することによる息苦しさや、使用時の圧迫感を軽減することができる。
さらに、本実施形態に係るフェイスシールド1によれば、その装着時に頭部12の側頭12cにシールド面2の左右側縁を接近又は接触させることができるので、頭部12の側頭12cとシールド面2の隙間から汚染された飛沫が顔面12b側に侵入するのを好適に防ぐことができる。
よって、本実施形態に係るフェイスシールド1によれば、シールド面2とバンド4のみからなるシンプルな構造により、高性能なフェイスシールドを提供することができる。
【0032】
[2;本発明の細部構造について]
[2-1;シールド面におけるバンドの取付け位置について]
また、本実施形態に係るフェイスシールド1では、シールド面2に形成される一対の切込み3,3に予めバンド4を挿通した状態で提供する場合、先の図2に示すように、シールド面2に形成される一対の切込み3,3のいずれかに、バンド4の長辺4a又は長辺4aに設けられる突起5を掛止しておいてもよい(任意選択構成要素)。
つまり、例えば図2に示すように、シールド面2に形成されるいずれかの切込み3において、一対の切込み3,3の外側にバンド4の突起5を配設するとともに、この切込み3に突起5を掛止しておいてもよい(任意選択構成要素)。
【0033】
先に述べた通り本実施形態に係るフェイスシールド1では、一対の切込み3,3にバンド4を挿通させた状態で、さらに一対の切込み3,3の外側に突起5をそれぞれ配設して、それぞれの切込み3の端部に突起5を個別に掛止した状態がバンド4に対するシールド面2のセッティングを完了した状態である(先の図3を参照)。
したがって、例えば図2に示すようにシールド面2にバンド4を挿通した状態で、いずれかの切込み3において、一対の切込み3,3の外側にバンド4の突起5を配設するとともに、その切込み3の1つに突起5を掛止した状態は、バンド4に対するシールド面2のセッティング作業の一部を完了した状態である。つまり、本実施形態に係るフェイスシールド1は半組立状態となる。
この場合、使用者は突起5が掛止されていない側のもう一方の切込み3にもう一方の突起5を掛止するだけで、バンド4へのシールド面2のセッティング作業を完了することができる。さらに、バンド4の連結構造8を利用してバンド4を環状に形成するだけで直ちに本実施形態に係るフェイスシールド1の使用を開始することができる。
この場合、本実施形態に係るフェイスシールド1の使用に先立ち、フェイスシールド1の組立作業を迅速かつ容易に行うことができるので、フェイスシールド1の利便性を大幅に向上させることができる。
【0034】
[2-2;バンドに形成される切欠きについて]
先の図1,2に示すように、本実施形態に係るフェイスシールド1のバンド4は、平面視した際に一対の突起5,5のそれぞれに隣接する位置で、かつこれら突起5,5同士の内側に平面視凹状をなす切欠き6を備えていてもよい(任意選択構成要素)。
この場合、バンド4に設けられる突起5,5を、シールド面2に形成される切込み3,3の端部に掛止する際に、バンド4における切欠き6にシールド面2の切込み3を落とし込むことで、バンド4上における切込み3位置の移動を規制することができる。すなわち、バンド4上におけるシールド面2の配置が固定される(図2の紙面左側及び図3を参照)。
【0035】
本実施形態に係るフェイスシールド1では、シールド面2の切込み3,3にバンド4を挿通した際に、バンド4上における切込み3位置が、突起5を越えてバンド4の端部4b又は端部4b側に移動することはない。
その一方で、バンド4が切欠き6を備えていない場合は、本実施形態に係るフェイスシールド1の使用中に、バンド4上における切込み3位置が、一対の突起5,5の中央側へ移動してしまう可能性がある。
この場合、バンド4上の適切な位置にシールド面2を掛止しておくことができなくなるため、顔面12b(図4を参照)の全域をシールド面2で被覆しておくことができなくなるという不具合が生じてしまう。
【0036】
これに対して、本実施形態に係るフェイスシールド1のバンド4が、突起5と隣接する位置に切欠き6を備えていることで、バンド4上における切込み3位置が、一対の突起5,5の中央側に意図せず移動してしまうのを防止することができる。
よって、本実施形態に係るフェイスシールド1においてバンド4が切欠き6を備えていることで、フェイスシールド1の使用時に、バンド4上においてシールド面2が位置ずれを起こすのをより確実に防止することができる。
この結果、本実施形態に係るフェイスシールド1の使用時にシールド面2により常時顔面12bの全域を被覆しておくことができる。
よって、本実施形態に係るフェイスシールド1によれば、ウィルス等の病原体が含まれる飛沫等の汚染物が使用者の顔面12bに付着するのを一層確実に防ぐことができる。
【0037】
[2-3;バンドに形成される位置決め用切欠きについて]
先の図1,2に示すように、本実施形態に係るフェイスシールド1のバンド4は、一対の突起5,5が形成される側の長辺4a又は長辺4aで、かつ突起5,5のいずれかの近傍(ただし、突起5,5の中央側でなく、かつ「近接」よりは離れた概念である)に、位置決め用切欠き6´を備えていてもよい(任意選択構成要素)。
この位置決め用切欠き6´は、先の切欠き6と同様に、バンド4を平面視した際に長辺4a又は長辺4aに対して平面視凹状に形成されるものである。
さらに、図1,2に示すように、バンド4に形成されている位置決め用切欠き6´とこの位置決め用切欠き6´からより離れた場所に位置する突起5間の距離Lは、シールド面2に形成される一対の切込み3,3間の最短距離Lと同じ(略同一の概念を含む)に設定されている。
【0038】
この場合、シールド面2に形成される切込み3,3にバンド4を予め挿通した状態で使用者に本実施形態に係るフェイスシールド1を提供する場合に、図2に示すように、シールド面2に形成される一方の切込み3(図2では紙面左側の切込み3)の端部に一方の突起5(図2では紙面左側の突起5)を掛止しておくとともに、シールド面2に形成される他方の切込み3(図2では紙面右側の切込み3)の端部を位置決め用切欠き6´に掛止しておくことができる。
先にも述べたが、本実施形態に係るフェイスシールド1では、一対の突起5,5の両方が、シールド面2に形成される切込み3のそれぞれに個別に掛止されることでバンド4へのシールド面2のセッティング作業が完了する。
したがって、バンド4の位置決め用切欠き6´にシールド面2に形成される一方の切込み3が係止されている状態は、バンド4へのシールド面2のセッティング作業の約半分の工程が完了した状態である。
【0039】
この場合、バンド4上の位置決め用切欠き6´に掛止されている切込み3を、バンド4上の他方の突起5(図2では紙面右側の突起5)に移動するだけで、使用者はバンド4の最適な位置にシールド面2を配置することができる。
したがって、本実施形態に係るフェイスシールド1のバンド4が位置決め用切欠き6´を備えている場合は、フェイスシールド1を半組立状態で使用者に提供することができる。さらに、このような半組立状態のフェイスシールド1は全体がフラットな状態であるため嵩張らない。
したがって、本実施形態に係るフェイスシールド1によれば、使用前の組立作業に手間がかからず、不使用時に嵩張らない高機能なフェイスシールドを提供することができる。
なお、バンド4に形成される位置決め用切欠き6´は、必ずしも切欠き6と併せて設けられる必要はなく、切欠き6を備えていない状態でバンド4が位置決め用切欠き6´を備えていてもよい。
【0040】
[2-4;バンドに形成される湾曲領域について]
図5(a)は本発明の実施形態に係るフェイスシールドにおいてシールド面が位置ずれを起こした状態を示す部分斜視図であり、(b)は同フェイスシールドにおいてシールド面の位置ずれを修正した後の状態を示す部分斜視図である。なお、図1乃至図4に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。また、図5(a),(b)はともに、本実施形態に係るフェイスシールド1を図3中の符号Pで示す方向から見た図である。
本実施形態に係るフェイスシールド1のバンド4を頭部12に装着した際に、バンド4の鉛直上方側に配される長辺(長辺4a)に突起5を備えている場合(図4を参照)は、バンド4は一対の突起5,5間に湾曲領域7を備えていてもよい(任意選択構成要素)。
このような湾曲領域7は、バンド4を平面視した際に、バンド4の平面方向でかつ一対の突起5,5が形成される方向に弓なり状に突出してなる領域である。
より詳細には、このような湾曲領域7は、バンド4を平面視した際に、例えば図1,2に示すように、バンド4の突起5,5間の長辺4aに形成される弓なり状の緩やかな山形7aと、バンド4の長辺4aにおいて上記山形7aと呼応して形成される緩やかな弓なり状の谷形7bからなる。
【0041】
本実施形態に係るフェイスシールド1では、シールド面2に形成される一対の切込み3,3にバンド4を挿通させる必要性から、バンド4の短手方向の幅は一様(略一様の概念を含む)であることが望ましい。
このため、バンド4が一対の突起5,5間に上述のような湾曲領域7を備える場合は、例えば図5(a)に示すように、本実施形態に係るフェイスシールド1の使用時に、バンド4上における切込み3位置が、一対の突起5,5の中央側に意図せず移動してしまった場合に、湾曲領域7における山形7a又は谷形7bの下り傾斜を利用して、本来あるべき突起5に隣接する位置に切込み3を戻すことができる。
すなわち、図5(a)中の紙面右側の切込み3を、同図中の符号Aで示す方向にスライドさせることで、本来あるべき突起5(紙面右側)に隣接する位置に移動した切込み3を戻すことができる。
よって、本実施形態に係るフェイスシールド1のバンド4が一対の突起5,5の間に湾曲領域7を備える場合は、バンド4上の切込み3位置のずれ状態を容易に解消でき、かつその際の操作性が良好なフェイスシールドを提供することができる。
【0042】
また、本実施形態に係るフェイスシールド1のバンド4が一対の突起5,5の間に湾曲領域7を備える場合は、バンド4上の切込み3が一対の突起5,5の中央側に移動しようとする際に、湾曲領域7の山形7a又は谷形7bを形成する傾斜を切込み3が上りながら移動する必要がある。
つまり、バンド4上の切込み3が一対の突起5,5の中央側に意図せず移動する場合は、図5(b)中の符号Bで示す方向に切込み3が移動することになる。
この場合は、湾曲領域7の山形7a又は谷形7bにおける傾斜が、突起5と同様の掛止構造として作用することで、バンド4上における切込み3位置がずれるのを抑制することができる。
なお、本実施形態に係るフェイスシールド1において、バンド4に形成される湾曲領域7は、必ずしも切欠き6及び/又は位置決め用切欠き6´と併せて設けられる必要はなく、切欠き6及び/又は位置決め用切欠き6´を備えていない状態でバンド4に湾曲領域7を設けてもよい。
【0043】
[2-5;バンドに形成される折り目について]
本実施形態に係るフェイスシールド1においてバンド4が特に一対の折り目9,9を備える場合は、先の図2に示すように、一対の折り目9,9間の距離Lを、シールド面2の幅Wよりも大きくなるよう設定しておいてもよい(任意選択構成要素)。
この場合、本実施形態に係るフェイスシールド1を、シールド面2に形成される一対の切込み3,3にバンド4を挿通した状態で提供する場合で、かつこのバンド4を一対の折り目9,9においてシールド面2側に折り畳んで提供する際に、折り目9,9とシールド面2が干渉するのを防止することができる。
この場合、使用前の本実施形態に係るフェイスシールド1の外形寸法をコンパクトにできる。この場合、多数の使用前のフェイスシールド1をまとめて運搬又は保管する際の取扱いを容易にできる。
よって、本実施形態に係るフェイスシールド1によれば、可搬性及び収納性に優れた簡易組立タイプのフェイスシールドを提供することができる。
【0044】
さらに、本実施形態に係るフェイスシールド1のバンド4が一対の折り目9,9を備える場合、バンド4を頭部12に巻回(装着)した際に、折り目9,9が側頭12cに位置するよう構成してもよい(任意選択構成要素)。
この場合、バンド4を頭部12に巻回(装着)した際に、バンド4によりシールド面2の左右側縁が頭部12の側頭12cにおいて浮き上がった状態になるのを防止できる。
つまり、バンド4を頭部12に巻回(装着)した際に、バンド4によりシールド面2の左右側縁を頭部12の側頭12cに押しつけた状態で保持することができる。これにより、本実施形態に係るフェイスシールド1の装着時にシールド面2の左右側縁と側頭12cの間に隙間が生じ難くなる。
この結果、本実施形態に係るフェイスシールド1の装着時に、シールド面2の左右側縁側から顔面12bに人体に有害な飛沫が侵入するのを好適に防止できるので、本実施形態に係るフェイスシールド1の装着時の安全性を一層向上させることができる。
【0045】
[2-6;バンドに設けられる滑り止め材について]
先の図1,2に示すように、本実施形態に係るフェイスシールド1のバンド4は、頭部12に装着した際に前額12a(図4を参照)と接触する部分に、例えばシート状の発泡樹脂材や、シート状の不織布等からなる滑り止め材10を備えていてもよい(任意選択構成要素)。
先にも述べたが、バンド4は可撓性を有する樹脂板からなる。このため、このような樹脂板を使用者の前額12aに直接接触して用いると、使用者の汗や皮脂によりバンド4が滑って、頭部12から本実施形態に係るフェイスシールド1が外れやすくなる。
これに対して、本実施形態に係るフェイスシールド1ではバンド4が前額12aと接触する領域に滑り止め材10を備えていることで、バンド4の装着時に滑りによる外れを好適に防止できる。
したがって、本実施形態に係るフェイスシールド1によれば、装着性が良好で高性能なフェイスシールドを提供することができる。
【0046】
[2-7;バンドに設けられる着色領域について]
図6は本発明の実施形態に係るフェイスシールドに用いられるバンドの変形例を示す平面図である。なお、図1乃至図5に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
図6に示すように、バンド4´は、一対の突起5,5間の領域とそれ以外の領域を区別するための着色領域11を備えていてもよい(任意選択構成要素)。
この場合、使用者が本実施形態に係るフェイスシールド1を組立てる際に、バンド4´の目的とする位置にシールド面2に形成される切込み3を適切に配置することが容易になる。
さらに、この場合は、バンド4´に設けられる着色領域11と、シールド面2に形成される一対の切込み3の相対的な位置関係から、使用者はバンド4´上にシールド面2が適切にセッティングされているか否かを目視により容易に確認することができる。
この結果、使用者は本実施形態に係るフェイスシールド1の組立状態の良否を確認してからその使用を開始することができる。
【0047】
また、本実施形態に係るフェイスシールド1のバンド4´が着色領域11を備えている場合は、組立完了後のフェイスシールド1(図3を参照)を頭部12に装着する際に、バンド4´のどの部分を前額12aにあてがえばよいのかを容易に理解することができる。
この場合、使用者は本実施形態に係るフェイスシールド1を適切に使用することができるので、シールド面2による顔面12bの保護効果を確実に発揮させることができる。
したがって、本実施形態に係るフェイスシールド1のバンド4´が着色領域11を備えていることで、使用者に対してフェイスシールド1の適切な組立動作及び使用を促すことができる。
【0048】
なお、図6ではバンド4´における一対の突起5,5間の領域とそれ以外の領域とを区別するために着色領域11を設ける場合を例に挙げて説明しているが、この着色領域11に代えて着色領域11の境界部に線等の目印を設けることによっても同様の作用・効果を発揮させることができる。
【0049】
[2-8;シールド面に形成される一対の切込みについて]
先の図1,2に示すように、シールド面2に形成される切込みは、頭部12にフェイスシールド1を装着した状態で正面から見た際に「ハ」字状をなすように形成されていてもよい(任意選択構成要素)。
この場合、組立後の本実施形態に係るフェイスシールド1を頭部12に装着した際に、頭頂部から顎に向かうにつれて顔面12bからシールド面2がより離間した状態になるように、シールド面2をバンド4上に保持しておくことができる。
この場合、図4に示すように、頭部12の前額12aからシールド面2の内側面までの距離よりも、使用者の口や鼻からシールド面2の内側面までの距離が相対的に大きくなる。
これにより、本実施形態に係るフェイスシールド1の装着時に使用者が感じる息苦しさ等の不快感を軽減しつつ、使用者の吐息によりシールド面2の内側が曇るのを防止できる。
よって、本実施形態に係るフェイスシールド1によれば、使用中に息苦しさを感じることなく、かつ使用時にシールド面2が曇ってしまって前が見えづらいといった不具合が生じ難い高性能なフェイスシールドを提供することができる。
【0050】
図7は本発明の実施形態に係るフェイスシールドの使用方法を説明するためのイメージ図である。なお、図1乃至図6に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
さらに、本実施形態に係るフェイスシールド1では、シールド面2に形成される一対の切込み3,3が上述のように「ハ」字状をなしていることで、図7に示すように、シールド面2におけるバンド4の挿通位置を支点にして、シールド面2を鉛直上方側に跳ね上げるようにして顔面から離間させることができる。
この場合、使用者は本実施形態に係るフェイスシールド1を装着したまま、食事をする、あるいは自らの顔面12bに対して必要なケアを行うことができる。
この場合、フェイスシールド1の使用中に、食事や顔面12bに対するケアのために使フェイスシールド1を取外して周囲に置いておく必要がなくなる。
これにより、頭部12から取り外されたフェイスシールド1が汚損されてしまうリスクを低減でき、かつフェイスシールド1の置き忘れによる紛失を防ぐこともできる。
よって、本実施形態に係るフェイスシールド1によれば、シンプルな構造でありながら利便性に優れたフェイスシールドを提供することができる。
【0051】
[2-9;シールド面に形成されるフックについて]
本実施形態に係るフェイスシールド1のバンド4を頭部12に装着した際に、バンド4の鉛直上方側に配される長辺(長辺4a)に突起5を備えている場合(図4を参照)で、かつ装着時にシールド面2を正面から見た際に一対の切込み3,3が「ハ」字状をなしている場合、シールド面2はさらに以下に示すような構成を備えていてもよい。
すなわち、フェイスシールド1を頭部12に装着した状態でシールド面2を正面から見た際にシールド面2は、その左右側縁のいずれか又は両方に設けられるフック2cを備えていてもよい(任意選択構成要素)。
また、上記フック2cは、シールド面2の平面方向でかつシールド面2から離れる方向に突設され、かつフック2cはその先端がシールド面2を頭部12に装着した際に鉛直上方側を向くように設けられている。
さらに、上記フック2cは、シールド面2に形成される切込み3,3にバンド4を挿通した際に、バンド4と重なる領域に形成されている。
【0052】
上述のような本実施形態に係るフェイスシールド1によれば、図7に示すように、頭部12にフェイスシールド1を装着した状態で、顔面12bを被覆するシールド面2を鉛直上方側に跳ね上げた後、この状態でシールド面2の左右いずれか又は両方に設けられるフック2cの先端側を、バンド4の鉛直下方側に配される長辺4aに掛止することで、跳ね上げられたシールド面2をそのままの状態で保持しておくことができる。
この場合、使用者はフェイスシールド1のシールド面2を鉛直上方側に跳ね上げておくために、自らの手でシールド面2を支えておく必要がなくなる。
このため、使用者は、フェイスシールド1のシールド面2を鉛直上方側に跳ね上げた状態のまま、両手を自由に使うことができる。
したがって、本実施形態に係るフェイスシールド1によれば、シンプルな構造でより高性能なフェイスシールドを提供することができる。
【0053】
なお、本実施形態に係るフェイスシールド1では、シールド面2がその左右側縁にそれぞれフック2cを備える場合を例に挙げて説明しているが、フック2cがシールド面2の左右側縁のいずれかにのみ設けられる場合でも十分に目的とする機能を発揮させることができる。
【0054】
[2-10;シールド面に形成される切込みについて]
先の図1乃至図3に示すように、本実施形態に係るフェイスシールド1においてシールド面2に形成される切込み3の端部のいずれか一方又は両方は、鉤状に屈曲部又は湾曲部を備えていてもよい(任意選択構成要素)。
この場合、シールド面2に形成される切込み3にバンド4を挿通させる際に、切込み3の端部に形成される鉤状の屈曲部又は湾曲部が押し広げられて、切込み3内におけるバンド4のスライドをスムーズに行うことができる。
なお、図1乃至図3では、シールド面2に形成される切込み3の端部の両方に鉤状の屈曲部(又は湾曲部)を備える場合を例に挙げているが、切込み3の端部のいずれか一方にのみ屈曲部又は湾曲部を備える場合も、同様の作用効果を発揮させることができる。
【0055】
さらに、切込み3の端部に形成される屈曲部又は湾曲部は、切込み3にバンド4を挿設した際に、突起5,5が配設される側に設けておいてもよい(任意選択構成要素)。
この場合、切込み3の端部に形成される屈曲部又は湾曲部に突起5をしっかりと掛止することができ、これにより本実施形態に係るフェイスシールド1の使用時に、バンド4上における切込み3位置が意図せずずれてしまうのを好適に防止できる。
よって、本実施形態に係るフェイスシールド1によれば、その使用時にバンド4上におけるシールド面2の位置ずれが生じ難い機能性の高いフェイスシールドを提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
以上説明したように本発明は、シンプルな構造でかつ組立容易なフェイスシールドであり、衛生用品に関する技術分野において利用可能である。
【符号の説明】
【0057】
1…フェイスシールド 2…シールド面 2a…挿通領域 2b…マスク領域 2c…フック 3…切込み 4,4´…バンド 4a,4a…長辺 4b,4b…端部 5…突起 6…切欠き 6´…位置決め用切欠き 7…湾曲領域 7a…山形 7b…谷形 8…連結構造 8a…係止用突起 8b,8b…挿通孔 9…折り目 10…滑り止め材 11…着色領域 12…頭部 12a…前額 12b…顔面 12c…側頭
【要約】
【課題】シンプルな構造でかつ組立容易なフェイスシールドを提供する。
【解決手段】透視性及び可撓性を有する樹脂板からなり顔面を被覆するシールド面2と、可撓性を有する帯状の樹脂板からなり、シールド面2に取設されて頭部12にシールド面2を着脱可能に装着させるバンド4、とを備え、シールド面2は、バンド4を挿通させる挿通領域2aと、この挿通領域2aに延設され顔面12bを被覆するマスク領域2bと、挿通領域2aに形成されバンド4挿通させる一対の切込み3と、を備え、バンド4は、その長辺4aにおいてバンド4の平面方向でかつバンド4から離れる方向に突設されて切込み3の端部に掛止される一対の突起5と、バンド4の長手方向端部4b寄りに設けられバンド4を環状に保持する連結構造と、を備え一対の切込み3,3間の最短距離Lは、一対の突起5,5間の距離Lよりも大きいフェイスシールド1による。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7