(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-31
(45)【発行日】2022-02-08
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
A47J 37/06 20060101AFI20220201BHJP
F24C 3/12 20060101ALI20220201BHJP
F24C 3/04 20060101ALI20220201BHJP
【FI】
A47J37/06 361
F24C3/12 X
F24C3/12 G
F24C3/04 M
(21)【出願番号】P 2017126856
(22)【出願日】2017-06-29
【審査請求日】2020-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【氏名又は名称】山本 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100174344
【氏名又は名称】安井 雅俊
(72)【発明者】
【氏名】中村 直司
【審査官】山本 崇昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-042972(JP,A)
【文献】特開2016-016193(JP,A)
【文献】特開平09-154746(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 37/00-37/07
F24C 3/00-3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被調理物が載置され、グリル庫内に前後方向に出し入れ可能に収納される調理皿と、
前記グリル庫内の奥側に設けられたセンサと、
前記グリル庫内の前記奥側に設けられ、前記センサの周囲を取り囲むセンサボックスと、
前記センサボックスの前壁部に設けられ、前記センサを前記センサボックスの内側から外側に向けて突出させるセンサ用孔部と
を備え、
前記センサ用孔部の下部は、前記調理皿の載置面よりも低い位置に配置され、
前記センサは、前記
センサボックスの内側から外側に向けて、前記センサ用孔部を介して、前方に対して水平面より斜め上方に傾斜した傾斜角度で突出し、前記グリル庫内に収納された前記調理皿の底部から上方に立ち上がる立壁部の下部と当接することを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
前記センサは、前記グリル庫内に収納された前記調理皿の前記底部と前記立壁部とを繋ぐコーナ部分と当接すること
を特徴とする請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記加熱調理器は、前記グリル庫内において、上バーナが設けられ、前記調理皿が出し入れ可能に収納される調理空間と、下バーナが設けられ、前記調理空間の下側に中板で区画して形成される加熱空間とを有し、前記被調理物に直接的に与えられる前記上バーナからの熱量と、前記加熱空間から前記調理皿を介して間接的に与えられる前記下バーナからの熱量とにより、前記調理皿上の前記被調理物を上下両面より加熱し、前記グリル庫の後方部に設けられた排気部より、前記調理空間からの燃焼排気と、前記加熱空間からの燃焼排気を外部に排出させる間接加熱方式を採用した加熱調理器であって、
前記センサボックスは、前記中板の上面の後端側であって、前記排気部よりも前側の位置に設けられたこと
を特徴とする請求項1又は2に記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記センサは、前記センサボックスの前記センサ用孔部から前記傾斜角度で出退可能に突出すると共に、前記センサを前記傾斜角度で突出する方向に付勢する付勢手段を備えたこと
を特徴とする請求項1から3の何れかに記載の加熱調理器。
【請求項5】
前記センサの位置に基づき、前記調理皿の有無を判定する判定手段を備えたこと
を特徴とする請求項4に記載の加熱調理器。
【請求項6】
前記調理皿の前記立壁部には、前記センサの突出する方向に対向し、前記センサが当接する当接部が形成されていること
を特徴とする請求項1から5の何れかに記載の加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、グリル庫内の床面からセンサが上方に向けて出退可能に設けられ、調理皿の底面にセンサを接触させることで、調理皿の温度を検出するグリルが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のグリルでは、グリル庫内の床面からセンサが上方に突出しているので、掃除の際の邪魔になったり、グリル庫内の美観が損なわれる等の問題点があった。
【0005】
本発明の目的は、グリル庫内の掃除を容易にできる加熱調理器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の加熱調理器は、被調理物が載置され、グリル庫内に前後方向に出し入れ可能に収納される調理皿と、前記グリル庫内の奥側に設けられたセンサと、前記グリル庫内の前記奥側に設けられ、前記センサの周囲を取り囲むセンサボックスと、前記センサボックスの前壁部に設けられ、前記センサを前記センサボックスの内側から外側に向けて突出させるセンサ用孔部とを備え、前記センサ用孔部の下部は、前記調理皿の載置面よりも低い位置に配置され、前記センサは、前記センサボックスの内側から外側に向けて、前記センサ用孔部を介して、前方に対して水平面より斜め上方に傾斜した傾斜角度で突出し、前記グリル庫内に収納された前記調理皿の底部から上方に立ち上がる立壁部の下部と当接することを特徴とする。
【0007】
請求項2の加熱調理器は、請求項1に記載の発明の構成に加え、前記センサは、前記グリル庫内に収納された前記調理皿の前記底部と前記立壁部とを繋ぐコーナ部分と当接するとよい。
【0008】
請求項3の加熱調理器は、請求項1又は2に記載の発明の構成に加え、前記加熱調理器は、前記グリル庫内において、上バーナが設けられ、前記調理皿が出し入れ可能に収納される調理空間と、下バーナが設けられ、前記調理空間の下側に中板で区画して形成される加熱空間とを有し、前記被調理物に直接的に与えられる前記上バーナからの熱量と、前記加熱空間から前記調理皿を介して間接的に与えられる前記下バーナからの熱量とにより、前記調理皿上の前記被調理物を上下両面より加熱し、前記グリル庫の後方部に設けられた排気部より、前記調理空間からの燃焼排気と、前記加熱空間からの燃焼排気を外部に排出させる間接加熱方式を採用した加熱調理器であって、前記センサボックスは、前記中板の上面の後端側であって、前記排気部よりも前側の位置に設けられるとよい。
【0009】
請求項4の加熱調理器は、請求項1から3の何れかに記載の発明の構成に加え、前記センサは、前記センサボックスの前記センサ用孔部から前記傾斜角度で出退可能に突出すると共に、前記センサを前記傾斜角度で突出する方向に付勢する付勢手段を備えるとよい。
【0010】
請求項5の加熱調理器は、請求項4に記載の発明の構成に加え、前記センサの位置に基づき、前記調理皿の有無を判定する判定手段を備えるとよい。
【0011】
請求項6の加熱調理器は、請求項1から5の何れかに記載の発明の構成に加え、前記調理皿の前記立壁部には、前記センサの突出する方向に対向し、前記センサが当接する当接部が形成されているとよい。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の加熱調理器によれば、センサは、グリル庫内の奥側において、前方に対して水平面より斜め上方に傾斜した傾斜角度で突出することによって、調理皿の底部から上方に立ち上がる立壁部の下部に当接し、調理皿の温度を検出する。これにより、グリル庫の清掃時、特に底面を清掃する際に、センサが邪魔になることがないので、清掃時の作業性を向上できる。また、グリル庫の手前にセンサを設けていないので、グリル庫内のフラット感を保つことができる。これにより、グリル庫内の美観を向上できる。また、センサをグリル庫の奥側に設けているので、被調理物の油等がセンサに付着するのを防止できる。
【0013】
また、センサは、グリル庫内に収納された調理皿のうち底部から立ち上がる立壁部の下部に当接するので、被調理物と接触する底部に近い部分の温度を検出できる。これにより、被調理物の調理の進行度合を精度良く検出できる。なお、調理皿の「立壁部の下部」とは、調理皿の底部と立壁部をつなぐ部分(例えばテーパ部分)を含む概念である。また、調理皿の立壁部は、底部から上方に立ち上がるにつれて外側に拡がるように傾斜していてもよい。その場合、本発明のセンサは、後方から前方に向かう方向に対して斜め上方に傾斜する方向に突出しているので、調理皿の傾斜する立壁部のうち底部に近い部分、即ち出来るだけ下部に容易に接触させることができる。
【0014】
請求項3の加熱調理器によれば、請求項1又は2に記載の発明の効果に加え、グリル庫内を中板で区画する間接加熱方式においては、センサボックスは、中板の上面の後端側であって、排気部よりも前側の位置に設けられる。センサは、その位置に設けられたセンサボックスのセンサ用孔部から前方に対して上記の傾斜角度で突出するので、中板上に配置される調理皿の立壁部の下部に接触させることができる。また、排気部よりも前側の位置にセンサを配置することで、排気部に流入する高温空気の影響を受け難くすることができる。
【0015】
請求項4の加熱調理器によれば、請求項1から3の何れかに記載の発明の効果に加え、センサは前記傾斜角度で突出する方向に出退可能に突出し、付勢手段による付勢力で、常時前方に付勢されている。これにより、調理皿がグリル庫内の奥側に収納されると、センサが調理皿の立壁部の下部に接触して後方に押し込まれるので、センサを、調理皿の立壁部の下部から離れることなく確実に当接させることができる。これにより、調理皿の温度を正確に検出できる。
【0016】
請求項5の加熱調理器によれば、請求項4に記載の発明の効果に加え、調理皿をグリル庫内の奥側に収納すると、センサが調理皿の立壁部の下部に接触して後方に押し込まれるので、センサの位置が変わる。判定手段は、このセンサの位置に基づき、調理皿の有無を判定できる。これにより、加熱調理器は、調理皿の有無の判定結果に応じて制御を行うことができる。
【0017】
請求項6の加熱調理器によれば、請求項1から5の何れかに記載の発明の効果に加え、調理皿の立壁部に形成された当接部は、センサの突出する方向に対向しているので、グリル庫内に調理皿を収納した際に、センサを調理皿の立壁部に確実に当接させることができる。
【0018】
上述した請求項1から6の発明は、任意に組み合わせることができる。例えば請求項1の全部または一部を備えずに他の請求項2から6の少なくともいずれか1つの構成を備えたものとしても良い。但し特に、請求項1の構成を備えて、請求項2から6の少なくともいずれか1つの構成と組み合わせを備えると良い。また請求項1から6の任意の構成要素を抽出し、組み合わせても良い。本願出願人はこれらのような構成についても特許権を取得する意思を有する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図2】コンロ1の断面斜視図(天板は省略)である。
【
図3】グリル扉21を前方に引き出した状態のコンロ1の断面斜視図(天板は省略)である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を説明する。以下に記載されている装置の構造は、特定的な記載がない限り、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられているものである。以下説明では、図中に矢印で示す左右、前後、上下を使用する。
【0021】
図1を参照し、コンロ1の構造を説明する。コンロ1はビルトインコンロである。コンロ1は筐体2を備え、該筐体2の内側にグリル装置20を備える。グリル装置20は、グリル庫25内が中板40によって調理空間27と加熱空間28に上下に区画された所謂「間接加熱方式」のグリル装置である。
【0022】
筐体2の上部には、天板3が設けられている。天板3において、右手前には右コンロバーナ4、中央奥側には奥コンロバーナ5、左手前には左コンロバーナ6が設けられている。天板3の後方部には、排気口7が設けられている。排気口7からは、筐体2内に設置されたグリル装置20のグリル庫25(
図2参照)からの燃焼排気が外部に排出される。筐体2の前面の略中央には、グリル扉21が手前側に引き出し可能に設けられている。グリル扉21は、グリル装置20のグリル庫25の前面に設けられたグリル開口部26を開閉する。
【0023】
グリル扉21の右側の領域には、右側から左側に向かって順に、操作ボタン11~13が横一列に並んで設けられている。グリル扉21の左側の領域には、操作ボタン11~13と同一高さ位置に、操作ボタン14が設けられている。操作ボタン11は右コンロバーナ4、操作ボタン12は奥コンロバーナ5、操作ボタン13は左コンロバーナ6、操作ボタン14は、グリル庫25内の上火バーナ50及び下火バーナ60を点火及び消火する為に押下される。操作ボタン11~14は、対応するバーナの消火時、コンロ1の前面とほぼ面一の状態である(
図1参照)。点火の為に押下されると、対応するバーナへの点火処理が実行され、公知のプッシュ・プッシュ機構(図示略)によって、操作ボタン11~14は、コンロ1前面から前方に向けて略円柱状に突出し、該突出した状態で回動操作が可能となる。操作ボタン11~14を回動操作すると、操作ボタン11~14の回動操作量に応じたガス量になるように、対応するバーナへのガス供給量が調整される。
【0024】
図2~
図5を参照し、グリル装置20の構造を説明する。グリル装置20は、略直方体状のグリル庫25を備える。グリル庫25は、上壁部251と下側筐体部252を備える。下側筐体部252は、グリル庫25の下側部分であり、断面視略U字状に形成されている。上壁部251は蓋状に形成され、下側筐体部252の開口する上部を覆うように固定されている。上壁部251の上側には、遮熱板29(
図2参照)が取り付けられている。そのようなグリル庫25の開口する前面には、略矩形状のグリル開口部26(
図3参照)が設けられている。グリル開口部26の前側には、グリル扉21が設けられている。グリル扉21の前面上部には、前方に突出する取手22が設けられている。グリル扉21は、レール機構80(
図5参照)によって前後方向にスライド移動可能に設けられている。レール機構80は、下側筐体部252の内側の左右両側に夫々取り付けられ、例えば周知のスライドレール機構を採用できる。レール機構80は、例えば、固定レール部81と可動レール部82(
図5参照)を備える。固定レール部81は、下側筐体部252の左右両側壁の近傍に支持され、前後方向に延設されている。可動レール部82は、固定レール部81に沿って前後方向に移動可能に設けられ、前後方向に延設されている。左右一対の可動レール部82の前端部には、前板部83が左右方向に架け渡して固定されている。前板部83の前面には、グリル扉21の背面下部が着脱可能に連結されている。
【0025】
前板部83の上部には、皿支持枠17が着脱可能に取り付けられている。皿支持枠17は、調理皿10を略水平に支持する。皿支持枠17は、例えば金属棒を屈曲して加工され、前側枠部17A、一対の摺動部17B(
図5参照)、後側枠部17Cを備える。前側枠部17Aは、前板部83の上部に着脱可能に取り付けられると共に、上方向に立設され、皿支持枠17の前端部を下方から支持する。一対の摺動部17Bは、前側枠部17A下部の左右の両端部から後方に略水平に延設され、グリル扉21の前後方向への移動に伴い、中板40の上面を前後方向に摺動する。後側枠部17Cは、一対の摺動部17Bの夫々の後端部の間を上方向に立設され、皿支持枠17の後端部を下方から支持する。それ故、皿支持枠17の一対の摺動部17Bと、左右一対のレール機構80との間には、後述する中板40を配置する為の空間が形成されている。
【0026】
図3に示すように、調理皿10は、底部101、立壁部102、フランジ部103等を備える。底部101は、平面視前後方向にやや長い略形状に形成され、4つの角部は丸みを帯びて形成されている。底部101は凹凸面を有するが、フラットな平面でもよい。底部101上には、魚等の被調理物が載置される。立壁部102は、底部101の外周部から外方に向けて斜め上方に傾斜して立ち上がるように形成されている。フランジ部103は、立壁部102の上縁部から外方に屈曲されて略水平に突出して形成されている。調理皿10は金属製であるが、好ましくは、熱伝導率の高い素材を用いるのがよい。そして、皿支持枠17の前側枠部17Aと後側枠部17Cに対して、フランジ部103を上方から係止させることで、調理皿10が皿支持枠17によって支持される。使用者は、グリル扉21の取手22を手前側に引き出し、グリル扉21を前方に移動させることによって、調理皿10をグリル庫25外へ取り出すことができる。
【0027】
そして、調理皿10の立壁部102において、底部101の一対の短辺側(本実施形態では、皿支持枠17に支持された状態で、グリル庫25内に収納されるときの前側と後ろ側)に対応する部分には、センサ当接部105,106(
図3,
図4参照)が設けられている。センサ当接部105,106は、底部101に対して立壁部102よりも90°に近い角度で起立し、その外面は略矩形状の平面で形成されている。なお、センサ当接部105,106は種々の方法で加工できるが、例えば、立壁部102をプレス加工することで形成してもよい。また、調理皿10は自身の長手方向を、グリル庫25の前後方向に合わせた状態でグリル庫25内に収納されるが、調理皿10は前後左右において対称形状であるので、調理皿10の長手方向において前後の向きは決まっていない。それ故、調理皿10の長手方向における向き(前後)を逆にしても、皿支持枠17に支持させることができ、グリル庫25内に収納させることができる。よって、本実施形態においては、説明の便宜上、皿支持枠17に支持した状態で、グリル庫25の奥側に向けられた調理皿10の立壁部102の面を「後面」と呼ぶ。センサ当接部105の面を、調理皿10の後面とした場合、センサ当接部105には、調理空間27の奥側に設けられた後述するセンサ90の先端部91が当接する。センサ当接部106の面を後面とした場合も同様である。センサ当接部105,106の傾斜角度は、センサ90の先端部91の突出する方向に対向するように調整するのがよい。
【0028】
グリル庫25の内側の空間は、略水平に配置された中板40によって上下に区画されている。なお、中板40の上下両面には、遠赤外線のホーロー処理を施してもよい。中板40の上側には調理空間27、中板40の下側には加熱空間28が形成されている。調理空間27において、グリル庫25の上壁部251には、上火バーナ50が設けられている。上火バーナ50は、プレート状に薄型化された平面バーナであり、下面には、多数の炎孔を配列することによって構成された炎孔部510(
図4参照)が設けられている。炎孔部510は、下方に向けて多数の火炎を形成する。
【0029】
グリル扉21を手前に引き出した状態(
図3参照)から後方に移動させると、レール機構80により、グリル扉21は後方に移動する。これに伴い、皿支持枠17の一対の摺動部17Bは、中板40の上面を後方に向けて摺動する(
図5参照)。グリル扉21がグリル庫25の前側の開口端に当接すると、グリル開口部26がグリル扉21によって閉じられ、調理空間27において、中板40の上側には、皿支持枠17に支持された調理皿10が略水平に配置される(
図2,
図4,
図5参照)。こうして、調理皿10上に載置された被調理物の上側面は、上火バーナ50からの熱量によって直接的に加熱される。
【0030】
一方、加熱空間28には、下火バーナ60が設けられている。下火バーナ60もプレート状に薄型化された平面バーナである。下火バーナ60は、水平面に対して、前端側が低く後端側が高くなるように傾斜した状態で支持されている。下火バーナ60の上面には、多数の炎孔を配列することによって構成された後述する炎孔部610(
図2,
図3参照)が設けられている。炎孔部610は、上方に向けて多数の火炎を形成する。
【0031】
図2~
図5に示すように、グリル庫25の後部には、グリル排気部70が設けられている。グリル排気部70は、グリル庫25の後部から後方に対して斜め上方に延びる略筒状に形成され、グリル庫25の内側と連通している。グリル排気部70の上部には、平面視横長略矩形状のグリル排気口71が設けられている。グリル排気口71は、天板3の排気口7の直下に配置される。グリル排気部70の内側は、内壁72によって上下に区画されている。内壁72は、中板40の後端部からグリル排気口71よりも下方の所定位置まで斜め上方に傾斜して延設されている。内壁72の上側には、上側ダクト74が設けられている。内壁72の下側には、下側ダクト76が設けられている。
【0032】
上側ダクト74は、調理空間27からの燃焼排気を受け入れる。下側ダクト76は、加熱空間28からの燃焼排気を受け入れる。上側ダクト74の燃焼排気が流れる下流側の端部には、上側排気口75が設けられている。上側排気口75は、上側ダクト74を流れた燃焼排気をグリル排気口71に向けて排出する。下側ダクト76の燃焼排気が流れる下流側の端部には、下側排気口77が設けられている。下側排気口77は、下側ダクト76を流れた燃焼排気をグリル排気口71に向けて排出する。上側排気口75及び下側排気口77から夫々排出された燃焼排気は、グリル排気口71から共に外部に排出される。また、上側排気口75の内側には、フレームトラップ65が設置される。フレームトラップ65は、万が一、調理皿10に載置された被調理物の油分等に引火した場合に、上側排気口75から火炎が出るのを防止する。
【0033】
図2~
図5を参照し、調理空間27の奥側の構造を説明する。
図4に示すように、調理空間27において、上壁部251の後端部よりもやや前側の所定位置には、仕切壁30が設けられている。仕切壁30は、上壁部251の所定位置から下方に延びると共に、左右両側に亘って設けられ、調理空間27と上側ダクト74の間を仕切る。仕切壁30の上側を除く略中央の領域には、前後方向に貫通する排気用開口部301が設けられている。排気用開口部301は、調理空間27で生成した燃焼排気を上側ダクト74へ流出させる。仕切壁30の上端部には、火移り用開口部(図示略)が設けられている。火移り用開口部は、仕切壁30の上端部から下方に向けて切欠き状に形成され、上火バーナ50の下面に向けて上向きに開口する。
図5に示すように、上火バーナ50の直下であって、仕切壁30に設けられた火移り用開口部の後ろ側の位置には、点火電極31が設けられている。火移り用開口部の前側の位置には、火炎検出器32が設けられている。
【0034】
点火電極31は火花放電を生じることで、上火バーナ50の下面の後端側に設けられた複数の炎孔が集合してなる点火用炎孔部(図示略)に点火する。点火用炎孔部と炎孔部510との間には、複数の炎孔で直線状に配列された延長炎孔部(図示略)が設けられている。火炎検出器32は、延長炎孔部に設けられた火炎検出用炎孔部(図示略)における失火を検出する。
【0035】
また、仕切壁30の前面における排気用開口部301の上側には、金属製の保護カバー35がグリル庫25内の左右方向の全域に亘って設けられている。保護カバー35は、調理空間27の奥側に配置された点火電極31及び火炎検出器32を前方と下方から覆って保護している。
図4に示すように、保護カバー35において、点火電極31の先端部に対応する位置には、火移り用開口部36が設けられている。これにより、保護カバー35よりも後方において、点火電極31によって点火された点火用炎孔部から前方に略直線状に配列された他の炎孔に火移りする火炎は、火移り用開口部36を通過できるので、調理空間27内に位置する炎孔部510に順次点火される。
【0036】
また、
図3に示すように、中板40の上面の後端側で、且つ内壁72の前面下部には、金属製のセンサボックス55が設けられている。センサボックス55は略直方体状に形成され、その前壁の右側には、円形状のセンサ用孔部56が設けられ、左側には、円形状の孔部57が設けられている。センサボックス55の内側には、温度センサ(図示略)が設けられている。グリル庫25内の空気は、孔部57を介してセンサボックス55内に流入する。これにより、温度センサは、グリル庫25の庫内温度を検出できる。
【0037】
センサ用孔部56には、略円柱状のセンサ90が、センサボックス55の内側から外側に向けて出退可能に設けられ、センサ用孔部56から前方に対して水平面より斜め上方に傾斜した角度で突出している。センサ90は温度センサであって、先端部91が調理皿10の立壁部102のうち後面であるセンサ当接部105の低い位置で当接することによって、調理皿10の温度を検出する。コンロ1は、センサ90の検出温度に基づき、調理の進行程度を検知できる。
【0038】
上記の通り、調理皿10の立壁部102の後面と前面には、センサ当接部105,106が設けられている。センサ当接部105,106は平面で形成され、何れの面をグリル庫25の奥側に向けたときでも、センサ90の先端部91と対向するように傾斜角度が調整されている。これにより、調理皿10をグリル庫25内に収納した際に、センサ90の先端部91を、調理皿10の立壁部102のセンサ当接部105(又はセンサ当接部106)に隙間なく確実に当接させることができる。
【0039】
なお、センサ90の傾斜角度は限定しないが、水平面に対して例えば10°程度に調整するとよい。センサ90は、センサ用孔部56から斜め上方に傾斜して突出しているので、調理皿10の外側に傾斜する立壁部102のセンサ当接部105に対して、センサ90の先端部91を容易に対向させることができると共に、センサ当接部105の出来るだけ下部に、センサ90の先端部91を当接させることができる。これにより、調理皿10のうち被調理物が載置される底部101に近い部分の温度を検出できるので、調理の進行程度を精度良く検知できる。なお、センサ90の先端部91を当接させる「センサ当接部105の下部」は、例えば、底部101と立壁部102とを繋ぐテーパ部分(曲がった部分)でもよい。これにより、底部101に近い部分の温度を容易且つ確実に検出できる。
【0040】
また、センサ90は、中板40の上面の後端側であって、グリル排気部70よりも前側に位置しているので、排気用開口部301から上側ダクト74に流入する高温空気の影響を受け難い。これにより、調理皿10の温度を精度良く検出できる。
【0041】
また、センサボックス55の内側には、センサ90を前方に付勢するバネ95(
図4参照)が設けられている。これにより、センサ90は、センサ用孔部56からグリル庫25内に向けて突出する方向に常時付勢されている。よって、調理皿10がグリル庫25内に収納される際、調理皿10のセンサ当接部105がセンサ90を後方に押し込むように動く。これにより、調理皿10がグリル庫25内に収納された状態において、センサ90の先端部91を、調理皿10のセンサ当接部105から離れることなく確実に当接させることができる。
【0042】
また、調理皿10の立壁部102のうち、調理皿10の長手方向である前後方向の両面に、センサ当接部105,106を設けているので、どちらの面をグリル庫25の奥側に向けて収納した場合でも、センサ90の先端部91を、センサ当接部105又は106に確実に当接させることができる。
【0043】
以上説明したように、本実施形態のコンロ1のグリル装置20は、グリル庫25内を中板40で区画し、中板40の上側の調理空間27内に上火バーナ50を備え、中板40の下側の加熱空間28内に下火バーナ60を備える所謂「両面加熱式間接加熱タイプ」である。グリル庫25の調理空間27には、被調理物が載置される調理皿10が前後方向に出し入れ可能に収納される。そのような調理空間27の奥側には、後方から前方に向けて突出するセンサ90が設けられている。センサ90は、グリル庫25内に収納された調理皿10の底部101から上方に立ち上がる立壁部102と当接することによって、調理皿10の温度を検出する。これにより、グリル庫25内の清掃時、特に中板40の上面を清掃する際に、センサ90が邪魔になることがないので、清掃時の作業性を向上できる。また、センサ90を中板40に設けていないので、調理空間27内のフラット感を保つことができる。これにより、グリル庫25内の美観を向上できる。また、センサ90を調理空間27の奥側に設けているので、被調理物の油等が落下してセンサ90に付着するのを防止できる。
【0044】
以上説明において、グリル排気部70は、本発明の「排気部」の一例である。センサ90に取り付けられるバネ95は、本発明の「付勢手段」の一例である。調理皿10の立壁部102に設けられたセンサ当接部105,106は、本発明の「当接部」の一例である。
【0045】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。上記実施形態は、ビルトインタイプのコンロ1を例示したが、テーブルコンロであってもよい。また、コンロ1はグリル装置20を内蔵するものであるが、グリル装置20のみで構成される加熱調理器であってもよい。
【0046】
上記実施形態では、センサ90を前方に付勢するバネ95が設けられ、調理皿10がグリル庫25内に収納される際に、センサ90が調理皿10によって後方に押し込まれることから、センサ90の軸の位置は変化する。よって、例えば、センサ90の軸の位置を検出する「検出手段」を備えるとよい。その場合、その検出手段による検出結果に基づき、調理皿10の有無を判定する「判定手段」をさらに備えるとよい。これにより、コンロ1に対して、グリル庫25内の構造を大きく変更することなく、調理皿10の有無を検出する構成を容易に追加できる。
【0047】
上記実施形態では、センサ90を前方に付勢する為にバネ95を用いたが、センサ90を前方に付勢できるものであればよく、例えば、ゴム、樹脂、板バネ等の他の付勢手段を用いてもよい。
【0048】
上記実施形態のグリル装置20は「両面加熱式間接加熱タイプ」であるが、例えば、中板を備えない一般的なグリル庫を備える加熱調理器であってもよい。その場合、グリル庫の奥側であって、調理皿の立壁部の下部に当接するように、センサを設ければよい。また、上記実施形態は、上火バーナ50と下火バーナ60を備える「両面加熱式」であるが、「片面加熱式」であってもよい。
【0049】
上記実施形態の上火バーナ50及び下火バーナ60は、何れも薄型プレート状の平面バーナであるが、これ以外のタイプのバーナでもよい。炎孔の位置、配列は上記実施形態と異なっていてもよい。
【0050】
上記実施形態の調理皿10の立壁部102には、二つのセンサ当接部105,106を設けているが、何れか一方のみでもよく、二つとも省略してもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 コンロ
10 調理皿
25 グリル庫
27 調理空間
28 加熱空間
40 中板
50 上火バーナ
60 下火バーナ
70 グリル排気部
90 センサ
91 先端部
95 バネ
101 底部
102 立壁部
105,106 センサ当接部